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陽乃「ゆうべもお楽しみでしたね///」 八幡「….」【俺ガイルss/アニメss】

 

陽乃「はちま~ん♪」ダキッ

 

八幡「陽乃これから仕事に行くから離してくれるか?」ナデナデ

 

陽乃「え~八幡分補給中なのに~」スリスリ

 

八幡「きのうも充分補給しただろ、直接」

 

陽乃「ゆうべもお楽しみでしたね///」

 

八幡「ちょ、自分で言って照れるなよ…こっちまで恥ずかしくなるだろ」

 

陽乃「だって~」

 

八幡「ほんとおまえってかわいいなー出会ったころの印象とは大違いだ」ナデナデ

 

陽乃「八幡と陽子にだけだよ私がこんな一面を出すのは」スリスリ

 

八幡「そうだな…」

陽乃「うん!これで補給完了♪1日持ちそうだよ!」

 

八幡「おう、じゃあ行ってくる」

 

陽乃「うん!独神には気をつけてね♪」

 

八幡「おい、そこは普通車に気をつけてだろ?独神って何だよ?平塚先生のことか?」

 

陽乃「そうだよ♪静ちゃんもう年だからね

もう結婚あきらめたみたいだけど、せめて子供が欲しいっていたし」

 

八幡「あの人年齢的に高齢出産だろ?まあ見た目は若くて30代にしか見えねえけど」

 

陽乃「そうなんだよね…いまだにラーメンとかタバコとか酒バンバンやっているのにあの美貌とスタイルだからね…ある意味すごいよね」

 

八幡「だよな、でもなんで平塚先生に気をつけないといけないんだ?」

 

陽乃「この前、道端で不吉な歌を歌っていたんだよ」

 

八幡「歌?」

 

陽乃「翼○くださいの替え歌なんだけど…

ねがいぃぃぃごとがぁぁぁ…かなうぅぅなぁらばぁぁぁ…子種が…ほしいぃぃぃぃぃぃぃーー」

 

八幡「ひどすぎだろ!名曲だいなし!!」

 

陽乃「もう静ちゃんも追いつめられているんだよ、だからどんな強行手段とってくるかわからないから八幡気をつけて」

八幡「だからなんで?」

 

陽乃「今の八幡かなりかっこいいからね、もしみんなが私と結婚してるの知らなかったら逆ナンされまくるよ

 

八幡「…おまえのおかげだけどな、以前のオレならありえないと思ったが目を腐ったの治ったし

お前のような最高の妻とかわいい娘に好かれたら劣等感も減少するわ」

 

陽乃「最初のころの八幡は自分に自信なかったよね、今ももっと自信もっていいのに」

 

八幡「でもなんでオレが狙われるの?あの人、陽乃と結婚してる知ってるだろ?」

 

陽乃「静ちゃん自分に男見る目ないの悟ちゃったんだ

でも子供は欲しい、どうせならいい子供が

だから自分の知り合いの中で信頼できてイケメンで能力の高い八幡が狙われる可能性が高いの」

 

八幡「なにそれ怖い!じゃあ、たまにオレの方を飢えた獣の目で見ているのは気のせいじゃなかったのか?」

 

陽乃「うん、だから気をつけて!いざとなったら防犯ベルを使って」つ防犯ベル

 

八幡「防犯ベル…あの人には学生時代いろいろ世話になったから、あまり大事にはしたくないんだけど…」

 

陽乃「ほんと八幡は優しいんだから…でもまあ、妻が私だから静ちゃんも実行に移ろうとはしないだろうけど

もしやったら…静ちゃんでも許さない…社会的に殺しちゃうよ」<●><●>

 

八幡「おい目がダンガンロンパのセレスさんみたいになってんぞ!」

 

陽乃「あっ、いけない!つい…私の大好きな八幡が盗られると思ったら…怖かった?」

 

八幡「別におまえのそういうとこ全部含めて好きになったんだ

いちいちそんなことでびびっていたら、おまえの夫は勤まらねえよ」

 

陽乃「フフ…ありがとう八幡大好きだよ」

 

八幡「ああ、オレもだ」ギュ

 

陽乃「♪」

 

八幡「なあ、雪乃にも素の部分全部見せたらどうだ?」

 

陽乃「う~ん、私は別にかまわないけどヘタすると雪乃ちゃんにトラウマ与えちゃうから

あの子まだ精神的に弱い部分残っているから」

 

八幡「そうだな…出会ったころはわからなかったが」

 

陽乃「でもいつか雪乃ちゃんにも全てさらけだしたいと思う」

 

八幡「そうだな」

 

陽乃「そろそろ時間じゃないかな?いろはちゃん待たせるいけないからそろそろ行った方がいいよ

でもいろはちゃん会うまでは気をつけて」

 

八幡「ああ、あと陽子にいっといてくれ無理はするなと」

 

陽乃「うんわかった伝えとくよ」

 

八幡「いってくる、いつもどおり会社終わったら速攻家に帰ってくるわ」

 

陽乃「今日も精がつくもの作った待ってるからね」チュ

 

八幡「おう、昨日みたいにスッポン鍋は勘弁な」チュ

 

陽乃「さて…さっさと家事片付けとこうかな」パタン

 

静「………」

 

いろは「せんぱーい遅いです!」

 

八幡「いや、オレはもうおまえのせんぱいじゃねえだろ部署違うし」

 

いろは「私にとって先輩は一番(好きな)のせんぱいなのです。先輩の後輩第一号はわたしなんですから!」ぷくぅ~

 

八幡「はいはいあざといあざとい」

 

いろは「妻のポジションはもう無理でも最初の後輩ポジションは誰にもゆずれませんよ♪」

 

 

ピンポーン

 

陽乃「は~い、あら雪乃ちゃん」ガチャ

 

雪乃「こんにちは姉さん、ちょっとおもしろい話を聞いたから伝えたくてきたの」

 

陽乃「そうなんだ~入って入って♪」

 

雪乃「おじゃまします」

 

 

陽乃「はい、お菓子とお茶だよ!好きなだけ食べていいからね♪」

 

雪乃「ありがとう」

 

陽乃「で、雪乃ちゃんどんな話をもってきたのかな?」

 

雪乃「葉山くんのことだけど」

 

陽乃「葉山?ああ、あの虚無丸(笑)ね、どんな話?」

 

雪乃「なんでも就寝中に阿部さんという男性に『やらないか?』と襲われホモになっちゃったそうよ…フフフ…」

 

陽乃「ブッ!?ホント雪乃ちゃん!ついにあの虚無丸が『アー!』になったんだ!あははっ!」

 

雪乃「フフ…ええ、ほんとよ間違いないわ」

 

陽乃「あははは!まあ当然の報いだね♪昔とはいえ私の大好きな八幡を罠にかけようとしたんだから!自業自得よ!愉快愉快♪」

 

雪乃「そのあと、ずーとレイプ目のままで何言われても反応なかったらしいわ!

情報聞きかけつけた海老名さんが鼻血を噴出しながら『阿部×ハヤ!キタァァァァァー!!最高のネタだわ!次の薄い本はこれで決まりね!』と

歓喜していたら『それだけはやめてくれえええぇぇぇぇ!!!』と発狂したそうよ」

 

陽乃「あっははは!海老名ちゃんやるねえ!虚無丸(笑)人生終わったね♪」

 

雪乃「ホントおろかな男だったわ

義兄さんをはめようだなんて、葉山くん身の程知らずね」

 

陽乃「あ~おもしろかった♪ところで雪乃ちゃんお茶おかわりいる?」

 

雪乃「ええ、いただくわ

ところで兄さんは?」

 

陽乃「八幡なら仕事にいったよ、あれあれ~雪乃ちゃんは八幡に会いたかったのかな?かな?

 

陽乃「いいえ、ちょっと気になっただけよ …そういないのね」シュン

 

陽乃「フフ…ほんとは雪乃ちゃん、八幡に会いたくて来たんでしょ?」

 

雪乃「な、何を言っているのかしら…私はただ世間話をしに…」

 

陽乃「そんなの電話でも充分じゃない~

ただ雪乃ちゃんはそれを口実にここに来たかったでしょ?八幡に会うために」

 

雪乃「…そうよ悪いかしら」

 

陽乃「別に悪くないよ、雪乃ちゃんは家族だし、八幡を奪うとか考えてないもん」

 

雪乃「当たり前よ、たしかに義兄さんの事は好きだけど…人の夫に手を出すなんてこと、まして姉さんから奪おうなんて考えてないわ」

 

陽乃「ほんと雪乃ちゃん素直になったよね~相変わらず照れ屋だけど」

 

雪乃「そうね…たしかにそう思うわ」

 

陽乃「うんうん!これも八幡のおかげだね!」

 

雪乃「そうね義兄さんにはいくら感謝しても足りないくらいだわ」

 

陽乃「いまこうして雪乃ちゃんと仲良く話せるようになったのも八幡が仲を取り持ってくれたおかげだもんね」

 

雪乃「そうね、当時私は姉さんのこと誤解していて避けていたから

あのころはごめんなさい姉さん、まさか姉さん私のことをあそこまで大切に思っていたなんて」

 

陽乃「いいのよ雪乃ちゃん、私歪んでいるし、イタズラ心がなかったわけでもないからさ」

 

雪乃「でも」

 

陽乃「雪乃ちゃんはほんとまじめなんだから♪でもそういうところもかわいいだけど」ダキッ

 

雪乃「ちょ、姉さん暑苦しいわ」

 

陽乃「姉妹のスキンシップだよホレホレ ♪」

 

雪乃「ね、姉さん…胸が当たって…い、息が…」モゴモゴ

 

陽乃「あっ、ごめんね雪乃ちゃん

つい夢中になっちゃた」

 

雪乃「…相変わらず大きいのね

それなのに形がよくて張りもあるなんてずるいわ…」

 

陽乃「毎日八幡に触ってもらってるからね♪」

 

雪乃「…はあ」

 

陽乃「…雪乃ちゃんちょっと聞いていいかな?」

 

雪乃「何かしら姉さん?」

 

陽乃「雪乃ちゃんは結婚しないの?」

 

雪乃「………」

 

陽乃「まだ八幡の事が好きなのはわかるけど…このままだと静ちゃんみたいになってしまうよ…

もうお母さんさんたちの邪魔は入らないのだし、新しい恋でも…」

 

雪乃「いいのよ…姉さん、私は一生独身で

平塚先生みたいに男や子供に飢えているわけじゃないし、義兄さんみたいに私のこと理解できる人はもう現れないだろうから」

 

陽乃「雪乃ちゃん…」

 

雪乃「それに私は一人で生きていけるだけの能力も財力もあるのよ

何も問題ないわ」

 

陽乃「…たしかに雪乃ちゃんや静ちゃんレベルになると一人で生きていける

だけどね…」

 

陽乃「それはとても悲しいことなの

人間は誰も愛さなくてもいけてゆける

だけど愛すれば今まで以上豊かになる

愛が力になる、雪乃ちゃんが誰かを愛すれば雪乃ちゃんもその相手も満たされる」

 

雪乃「…そうなのかしら?」

 

陽乃「そうだよ!だって私がそうだったし、雪乃ちゃんだってきっとそう」

 

雪乃「実に説得力のある言葉ね。体験者だからかしら?」

 

陽乃「うんそうだよ♪やっぱり私って幸せそうに見える♪」

 

雪乃「見えるわすごく…義兄さんもだけど…それにさっきのセリフ、昔の姉さんだったら絶対言わないわね」

 

陽乃「フフ…そうだね、あのころの私は雪ノ下家にとって都合がよくて使いやすい人物を演じていたんだから

結婚は政略結婚とか親にとって都合のいい相手で決められていただろうし

自分が望んだ相手と結ばれることはけしてないと思っていた…

だから結婚はくだらないとか、所詮幻想だの、世代の残すための儀式程度にしか思っていなかった…」

 

雪乃「………姉さん」(姉さんが昔そう思っていたのも私のせいでもあるのよね…

姉さん一人なら雪ノ下家の束縛から逃げることができた、でもそうなった場合姉さんの役が私にまわされる

私にそんな思いをさせたくないため姉さんは逃げずに役目を勤めた

仮面をつけて…)

 

陽乃「またそんな顔して、気にしなくていいってば、十年以上前に和解した時もいったでしょ」ツンツン

 

雪乃「……」

 

陽乃「私…今とっても幸せなんだよ

大好きな夫とかわいい娘にも恵まれて、何一つ縛られず自由にいられるいまが…」

 

陽乃「そして…そんな幸せをくれた八幡のことを世界で一番愛してる

もし彼が世界をめちゃくちゃに破壊しくしたとしても私はかまわない

彼が望むことをしてあげたいし、叶えてあげたいと思う…だって彼が必要としない世界なんて私もいらないからね」クスッ

 

雪乃「………」ゾクッ

 

陽乃「ごめんね…怖がらせるつもりはなかったの

さっきのは例えばの話だから、それに八幡がそんなことするわけないでしょ」

 

雪乃「え、ええ…それはわかっているわ」

 

(普段冷静で落ち着きのある姉さんだけど義兄さんがらみのことになると、まれに仮面の中から内に秘めた何か…心の闇なのかしら…それが漏れる)

 

雪乃(もしかして姉さんは元々とても優しくて愛情深い人間だったのかもしれない…それが雪ノ下家によって歪みと狂気が生じてしまった

愛する義兄さんに危害を加えようとする者、奪い取ろうとする者には誰であろうとどんな手を使ってでも潰す

葉山くんのこと虚無丸が、まさにいい例ね

そのとき彼は姉さんの怒りを買っていたと知らなかったけど、どちらにしろ自業自得ね)

 

陽乃「話を戻すね…雪乃ちゃん結婚を考える気はないかな?」

 

雪乃「そうね。さっきの話を聞いて少し惹かれたけど、もう相手が…」

 

陽乃「そうね…八幡みたいな子はなかなかいないからね、戸塚くんも結婚しているし」

 

雪乃「ええ、彼は優しくて今時珍しいくらい純粋だったわ

それに美形だから大学時代には彼女できて、就職と同時に結婚してしまったのだけど」

 

陽乃「うん、八幡のお気に入りだったからね~それにどんな時でも八幡の味方で信じていた子だから私も結構好きな子だよ♪

もちろん恋愛感情はないけど」

 

雪乃「当時の私や由比ヶ浜さん以上に彼は義兄さんを信じていたわ

長い時間を過ごした私や由比ヶ浜さん以上ね…」

 

陽乃「そうそう、でもほんと戸塚くんが男でよかった

もし女だったら八幡と結婚していたのは戸塚くんだった可能性が高かったからね」

 

雪乃「それは同感だわ」

 

陽乃「はあ…もし戸塚くんの奥さんが悪女だったら破局させて雪乃ちゃんとくってけられるのにな~」

 

雪乃「さらっと恐ろしい言うわね姉さん」

 

雪乃「でもそれはやめてあげて、あの二人はとてもいい夫婦だから

 

 

陽乃「もちろんわかっているわよ。八幡の大切な親友を幸せを壊すようなことするわけないでしょ。八幡が悲しむから」

 

陽乃「それに私と八幡が問題ないと判断した子だから戸塚くんの結婚賛成したんだし」

 

雪乃「そのとおりよ。姉さんと義兄さんの両方の観察眼をごまかせる人なんていないわよ」

 

陽乃「フフ…そうだね」

 

陽乃「じゃあ材木座くんはどうかな?」

 

雪乃「…彼ね、嫌いではないのだけど」

 

陽乃「ええ~結構いい物件だと思うけどな~

だって雪乃ちゃんの辛辣な正論ぶつけられてたら大抵の人間は逆切れ、逃亡、影で悪口とかだけど

彼はそんな連中と違って雪乃ちゃんのアドバイスを素直に受け取りグチらず、逃げないで何回も小説を見せてきた

雪乃ちゃんの言葉を正面から受け止め努力を続けた

身近に八幡がいたから材木座くんの良さに気づけなかったのだろうけど」

 

雪乃「そうね…すぐそばに私の事を理解してくれていた義兄さんがいたし

彼の容姿や言動で敬遠して、名前をまとも覚えようともせず義兄さんにほとんど相手させてひどいことをしたと思うわ…」

 

陽乃「雪乃ちゃんへの下心もなく雪乃ちゃんの毒舌に打ちのめされても努力し、ついには夢を叶えラノベ作家になったんだもんね♪」

 

雪乃「当時の私はほんと見る目がなかったわ…彼を外側だけで判断して内面を見てなかった

彼は努力せず嫉妬したり私を貶めようとする連中と違って己を鍛えようとする向上心をもっていたというのに…」

 

陽乃「そうだね…雪乃ちゃん八幡に対しても最初から見下した態度とかやっていたもんね

見ず知らずの人を犬をとっさに助けてケガしたことを見ていながら八幡を心優しい人間だとすぐ気づかなかったからね」

 

雪乃「言い返す言葉もないわ…幼かったとはいえ葉山くんの本質を見抜けず小学時代は状況が悪化させた…」

 

陽乃「今思えばあの虚無丸あの時消しておけばよかった…」ニヤリ

 

雪乃「……」

 

陽乃「まあ、あの虚無丸どうでもいいか~でも材木座くんはおすすめだよ♪

知ってとおり激やせして知的イケメンになっているし、お互い八幡というつながりあるから交流しやすいでしょ♪」

 

雪乃「たしかにそうだけど…てもあの言動はいまだ慣れないわ

イデア浮かんだ時奇声あげたり、「はふん」とか意味不明な言葉とかどう反応すればいいのかしら?」

 

陽乃「雪乃ちゃん世の中に100%自分の理想どおりの人間なんていないんだよ

それは雪乃ちゃんも知っているよね?」

 

雪乃「わかっているわ…生徒会選挙の時私が生徒会長になりたいことと気づいてくれる、わかってくれるはずと二人に理想を押し付けて勝手に失望した経験があるから」

 

陽乃「多少は妥協しなきゃだめだよ」

 

雪乃「あれは妥協できる範囲なのかしら?」

 

陽乃「グズグズしてると他の子にとられちゃうよ~」

 

雪乃「他の人?お金目当てや利用しようとする人達は姉さんが見抜いて排除しているはずでしょ?そんな心配…」

 

陽乃「違うよ、そんな連中のことじゃなくて本当に好きになる人のことだよ」

 

雪乃「まさか…でも一体誰が?」

 

陽乃「海老名ちゃんだよ」

 

雪乃「海老名さん…彼女がなぜ?」

 

陽乃「BL趣味てさ、大抵の男性に差別されがちなんだよ。なかなか理解してもらえないし、やめるよう要求してくる

でも材木座くんは違う…趣味は人それぞれ他人など気にせず好きなことをするばいいと考えている

そしてそれは八幡も同じ、誰にも迷惑かけないなら別に何やってもいいだろと言っている」

 

雪乃「………」

 

陽乃「それに海老名ちゃんは恋愛より自分の好きな趣味などに打ち込むのが好きなタイプだからさ

自分の好きなようにさせてくれて願望を押し付けない八幡や材木座くんに好印象もつのは仕方のないこと

まあ八幡は私と結婚しているから無理だけど、材木座くんはフリーだからね」

 

雪乃「だからといってそうと決まったわけじゃ」

 

陽乃「海老名ちゃん仕事繋がりでちょくちょく材木座くんと会ったりしているし、日があえば食事する時もあるみたいよ」

 

雪乃「!?」

 

陽乃「それに奇声やらおかしな行動するのは海老名ちゃんも同じだからね~気が合うのかも」

 

陽乃「鼻血を噴出した海老名ちゃんに材木座くん慌ててティッシュをあげていたし」

 

雪乃「………」

 

陽乃「「ふひっ!」この八幡の笑い方、私が八幡に付き合う前はちょっと苦手だったけど

今ではすごくかわいく思えるの!この前も感極まって八幡の顔をおっぱいに挟んでスリスリしちゃった♪」

 

陽乃「材木座くんの「はふん」だって、いつか雪乃ちゃんは微笑んで聞けるようになると思うの」

 

雪乃「………」

 

陽乃「ものごとは考えようとかいうけどさ、どれだけ雪乃ちゃんが考えたところで、ものごとは変わりはしないよ

でもね雪乃ちゃん、前向きに考えるとそれだけで、何かが変わった気がするんじゃないかな?」

 

雪乃「………そうね」

 

陽乃「私は雪乃ちゃんの味方だけど、最後に決めるのは材木座くん本人なんだから

後悔だけはしないようにね…時間は待ってはくれないから…」

 

雪乃「ええ…」

 

ゴーンゴーン

 

陽乃「そろそろ陽子ちゃんの準備が終わるころかな?雪乃ちゃんもくる?」

 

雪乃「ええ、私も気になっていたから、ちゃんと成功するのか」

 

陽乃「じゃ、いこうか」

 

 

陽乃「陽子ちゃん入っていい?」

 

陽子「いいよ~」

 

陽子「あっ、雪乃叔母ちゃんも来ていたんだ」

 

雪乃「ひさしぶりね陽子さん」

 

雪乃(雪乃叔母ちゃん…時の流れは残酷よね…グスッ)

 

陽子「お母様~お父様は?」

 

陽乃「会社に行ったよ」

 

陽子「……………うう…」(´;ω;`)

 

陽乃「もう~そんなこの世の終わったような顔しないで陽子ちゃん」ナデナデ

 

雪乃(こうして見ると親子というより実の姉妹に見えるわね…容姿やスタイルもだけど…姉さんがかなり若く見えるから)

 

比企谷陽子16歳

母譲りの美貌とスタイルを持ち、身長は2cmほど陽乃より高く、髪も陽乃のセミロングよりも数センチ長い、八幡の特徴の一つであるアホ毛が生えている

 

陽子「だ、だって~今日まだお父様とスキンシップとってないし…お父様分が…」シクシク

 

陽乃「その装置の最終調整していたんだから仕方ないじゃない…私も八幡も陽子ちゃんの集中力を奪わないよう部屋にははいれなかったから…」

 

陽子「わかっている…わかっているけど私の愛するお父様と会えないのがつらい…もうやだ死にたい」

 

雪乃「相変わらずすごいファザコンね」

 

陽乃「このあとすぐそっちの八幡に会えるじゃない

帰ってきた後もいつもの八幡に会えるし」

 

陽子「………うん」

 

陽乃「それに八幡が「あまり無理するなよ」言ってたわよ」

 

陽子「お父様///」ヽ(=´▽`=)ノ

 

陽乃「じゃあ早くそっちの八幡に会って思いっきり甘えて来なさい!」

 

陽子「うん♪」

 

陽乃「でも八幡を襲ちゃダメだぞ♪」

 

陽子「ふえ///」

 

雪乃「なにこの反応…」

 

陽乃「いくら陽子ちゃんが八幡のこと好きでも

そっちの八幡があなたのこと知らなくても血の繋がりはあるんだから、くれぐれもいつもみたいに迫ってはだめよ

 

陽子「…できるだけ我慢する」

 

雪乃「絶対してはだめよ陽子さん」

 

陽子「ぜ、善処します」

 

陽乃「はあ~ほんと心配だわ…過去の八幡を逆レイプしないか

私もいけたらよかったけど」

 

雪乃「それは無理よ。限定的とはいえ過去に行ける装置を作った陽子さん以外でも使えるようになったらもうチートよ」

 

雪乃「それより陽子さんあなたにいい話もってきたの」

 

陽子「なに~?」

 

雪乃「葉山くんのことだけど」カクカクシカジカ

 

陽子「アハッ…アハハハハハハハハ!!!ざま~みたらしだんご!あのゴミ虫ぃぃ!!私の愛するお父様をはめようとしたあのクズがぁぁー!!

そのまま未来永劫絶望しながら苦しみなさい!本当なら私自らアカメが斬るエスデスやアリアのようなえげつない拷問で死ぬまで苦しめたかったけど…

お父様に止められたからね!感謝することね!ノミのクソ以下の存在である虚無丸!!生きていられるのはてめーがはめようとしていたお優しいお父様のおかげだということをね!

苦しめ!苦しみ!そして死ぬ!原子一つ残らず消滅しろ!死後は冥獄界墜ちてしまえ!アッハハハハハハハ!!!フヒッ!」

 

 

雪乃「も、ものすごい喜びようね…」

 

陽乃「うんそうだね♪陽子ちゃんが世の中で一番嫌いな存在だからね虚無丸は

まあ元々陽子ちゃんは八幡と一部の男(材木座など)除いて男嫌いだから」

 

雪乃「ところで姉さん冥獄界ってなにかしら?」

 

陽乃「たしか…八幡の本棚にあった幽遊白書に…ありとあらゆる苦痛を一万年かけて与え続けられそれを一万回繰り返し、その後は魂の消滅だったかな」

 

雪乃「た、魂まで消したいくらい嫌いなのね」

 

陽乃「うん、虚無丸への憎しみは私より上かもね~」

 

雪乃「そうね…あの男の下劣な罠が成功していたら陽子さんは産まれてこなかったかもしれないから…」

 

陽乃「それもあるけど、一番の理由はそうじゃないよ」

 

雪乃「えっ?」

 

陽乃「そうなると八幡に出会えなかったからだよ

親子の繋がり関係なしに本気で結ばれたいと思うほど好きな八幡に出会えなくなるところだった

だから一層憎いんだと思う、そしてそんな大事な人に罠にかけようとした虚無丸がゆるせないんだよ」

 

雪乃「……」

 

陽乃「知ってのとおり、あの子八幡のこと心からすごく愛しているからね~私の次くらいに」

 

陽子「え~ちがうよ!この世で一番愛しているのは私だよ!」

 

陽乃「私よ!」

 

陽子「私!」

 

「「む~」」

 

雪乃「二人ともやめなさい」

 

雪乃「それにしても不思議ね

いくら親子とはいえ同じ相手を溺愛して取り合う仲なのに仲がいいなんて」

 

陽乃「当然だよ!陽子ちゃんは愛する八幡と私の子だよ♪そんなかわいい陽子ちゃんを嫌いになったり憎むわけないじゃん♪

 

 

陽子「そうだよ!お母様は愛するお父様が選んだ大事な女性、それに私のこと大切に育ててくれたし

この美貌とスタイル、そして頭脳を与えてくれたんだもの、感謝はしても恨みはしないよ♪」

 

「「それに親子で争ったら八幡(お父様)が悲しむからね」」

 

雪乃「さすが親子といったところかしら…」

 

陽子「じゃ、いってくる!過去の世界のお父様を救いに!」

 

陽乃「いってらっしゃい!あなたのことだから失敗はありえないけど、くれぐれも八幡を襲っちゃダメだよ!」

 

陽子「…たぶんね、まあお父様が本気で嫌がることはしないから、できればしたいけど…」

 

雪乃「できれば向こうの私にも会わないようにね

そのころの私、今と違って相当毒舌だから…義兄さんにひどいこと言ってしまうから、そしたらあなたはブチギレそうだし…」

 

陽子「うんわかってるわかってる!じゃいってきます♪」キュイン

 

 

ギュイーン

 

陽子はタイムゲートを開き中にはいっていた

 

雪乃「大丈夫かしら…」

 

陽乃「大丈夫よ♪私と八幡の子だから!それにあの子が愛する八幡の元に帰って来ないなんてありえる?」

 

雪乃「ありえないわね」

 

雪乃「そういえば姉さんに聞いていいかしら」

 

陽乃「なに雪乃ちゃん?」

 

雪乃「姉さんは……その///いつも義兄さんとラブラブなのになぜ子供を増やさないのかしら?」

 

陽乃「ああ、それわね~もし陽子ちゃんみたいなファザコンの子が産まれたら大変だから

今でさえ陽子ちゃんたけで大変なのに、それが二人以上になったら、いくら私でも目が届かないよ」

 

雪乃「な、なるほどじゃあ男の子は?」

 

陽乃「もしそれで八幡そっくりの子が産まれたら、私が理性を押さえきれず襲っちゃう可能性があるから♪」

 

雪乃「………」

 

陽乃「フフ…」

 

 

過去の世界

八幡高校三年の春の休日

 

八幡が朝目覚めとキッチンに行くと

 

『お兄ちゃんへお母さんたちとレストランに食べにいってきます。そこにあるのチンして食べてね!ちゃんとごはん用意して出かける小町ポイント高い~』

 

八幡「おれを置いていく時点でポイント低いぞ小町…」

 

八幡(まあ、いつものことだけどね…置いていかれるのは…)

 

八幡「さて、せっかくの休日だ…全力でダラダラするか!まずは録画したアニメでも見るか」

 

ピンポーン

 

八幡「誰だ一体?この前注文したアマゾンの商品か?めんどくせえけど出るか」

ガチャ

 

八幡(誰だこの人?なんかすげー美人でスタイルいいんですけど…でもどっかで見たことある気がするような…)

 

陽子「はじめましてお父様!娘の陽子です!」

 

八幡「…新手のサギか?」

 

陽子「違います!私は正真正銘お父様の子供です!」

 

八幡(なにいってんのこいつ?誰が自分と同じくらいの年の奴に言われて信じるバカいるかよ!)

 

八幡「人違いです。帰ってください」パタン

 

陽子「ちょ、なぜ閉めるんですか!開けてください!お父様!お父様!」

 

八幡「オレには自分と同じくらいの年の子供を作った覚えも作るような行為をした覚えはねえ!」

 

陽子「そんな~信じてください~」

 

八幡(だまされちゃダメだ!絶対罠だ!サギでなければ電波系の奴だ!このあと前世の記憶が!とか言い出すパターン)

 

陽子「じゃあこれを見てください」

 

パサ

 

八幡「んっ、ドアのポストから写真入れてきやがった」つ写真

 

八幡「な、なんだこれは…」

 

八幡(ここに映っているのはオレだが…オレはこんな写真を撮った覚えはねえし、目がいつもより腐ってないように見える

そしてその隣に映るのは…」

 

八幡「雪ノ下さん…」

 

八幡(ありえねえ…ありねえだろ!オレと雪ノ下さんがツーショットだと!

それになんだここに映っているオレ!嫌がっているように見えねえ…ごく自然な状態で雪ノ下さんと密着してるだと…)

 

八幡(それより驚きなのは雪ノ下さんの表情だ

この人のこんな笑顔見たことがない…いつも強化外骨格によって作られた笑顔とは違って、とても魅力的で安いでいるような笑顔だ…どこか安心してるような…)

 

八幡(いやいやオレの勘違いだ!そうに決まっている!あの人がそんな…)ペラペラ

 

八幡「ちょっとまて!この写真って結婚式の奴じゃねえか!っていうかここに映っているの…オレ…か?

なにこれ…ほとんど目が腐ってなくてスゲーイケメンなんですけど…一瞬誰かわからんかった…」

 

陽乃「このドレス姿の雪ノ下さんスゲー幸せそうで満たされている顔をしている気がする…

なんだ…これ?魔王というより女神みたいな………か、可愛すぎる///」

 

八幡(お、落ち着け冷静になれ…あの人はたしかにかなりの美人だが、かわいいというより恐ろしいが正しいはずだ!

しかしこの写真は…)

 

八幡(新婚旅行か?)ペラペラ

 

八幡(新しい写真になるほど、オレの姿はもはや別人のように見えた

腐った目がなくなっているだけでなく、なんというかオーラというか雰囲気というか違いすぎる…)ペラペラ

 

八幡(あと抱いている子供って一体…)ペラペラ

 

陽子「信じてくれましたか♪」

 

八幡「よ、よくできた合成写真だな

どうやったんだ?」」

 

陽子「ちがいます本物です~これから先の未来で実際あった出来事です

日付にもそうなっているでしょ」

 

八幡「し、しかし…オレと雪ノ下さんが付き合うとか結婚とかありえないだろ…あの人だったらオレをからかうため細工してもおかしくない」

 

八幡「それにあんただれだ?雪ノ下さんの親戚か?」

 

陽子「違います!私はお父様とお母様二人の子供です」

 

八幡「はあ~いくらなんでもありえねえだろ

じゃあ、お前は未来から来たとでもいうのか?」

 

陽子「はいそうです!私は未来からあなたの娘比企谷陽子です♪」

 

八幡「なん……だ……と……」

 

陽子「私はお父様とお母様が愛し合って産まれた子なんです」

 

八幡「…証拠は証拠あるのか」

 

陽子「証拠はさっきの写真です♪」

 

八幡「今の世の中、技術が進んでいるからな、合成とかすごいだろきっとそう簡単に信じられねえよ

きっとここに映っているオレもただのそっくりさんにちがいない」

 

陽子「もう~お父様たら相変わらず疑い深くて警戒心高いんだから~

まあそういう難攻不落な所も好きなんだけど///」

 

八幡(おいおい…あまり好きとかいってくるなよ

ちょっと勘違いしそうなるだろ)

 

陽子「とりあえず開けてくれませんか?中に入れなくてもいいので話だけでも」

 

八幡「…とりあえずわかった

いちおう話だけは聞いてやる」

 

陽子「お父様やさしい~♪」

 

ガチャ

 

八幡「っ…」

 

八幡(最初誰かに似てると思ったら雪ノ下さんに似ていたんだな…だがなんだこの子は雪ノ下さんにすごく似ているが全く似てない

なぜならこいつには仮面がない。あの人のように多くの人に受けがいい作られた外面の笑顔が

この子のはとても自然でありのままさらけだしてありえないほど善意で笑顔を浮かべているのだ

そういった面ではまるで正反対だ)

 

八幡(だが写真の中の雪ノ下さんは年を重ねるごとにどんどん自然で魅力的な笑顔を浮かべていた…それはこの子の笑顔とよく似ていた)

 

陽子「お父様♪」(つ'ω')っダキッ

 

八幡「ちょ、あんた!なにいきなり抱きついてるの///」

 

陽子「はあ~若い頃のお父様もやっぱりいい…わたしの知ってるお父様と違って目が腐っているけどそれもまたいい」

 

八幡「きけよ」グッ

 

陽子「む~もっとお父様分欲しかったのに…」

 

八幡「わ、わけを話すんだろうが、いきなり抱きついてくるんじゃね///」

 

陽子「あん、お父様顔真っ赤!もしかして照れてる?超うれしい♪

未来のお父様は抱きついても風呂に乱入しても夜ベッドで全裸で迫っても平然な顔であしらうのに」

 

八幡「おまえそんなことまでしてるのかよ…それに未来のオレおまえみたいな美少女よく平然としていられるな」

 

陽子「ワーイ!美少女っていわれた♪」(*'ω' *)

 

八幡(無邪気な奴だな…体はすげー大人なのに…)

 

陽子「それはね実の娘だから身内フィルターがかかっているからだよ

過去のお父様は私を娘だと実感してないから動揺するんだよ♪

それにこの時代のお父様も小町叔母ちゃんのバスタオル姿見ても動揺しないでしょ!それと同じだよ♪」

 

八幡(おい小町おまえ知らない奴から叔母ちゃん呼ばわりされてんぞ…まだ中学生なのに)

 

八幡「なるほど…たしかにそうだ

でもなんでそんなにオレになついているんだ?

普通その年頃の娘は父親に冷たいはずだろ?ソースはオレのオヤジ」

 

陽子「なにいってるの?お父様とお母様の子供だからに決まってるじゃん♪」

 

八幡「そんなの理由になんねえだろ」

 

陽子「考えてみてよお母様とお父様の家族の性質」

 

八幡「オレの家族…オレはボッチで小町はかわいくて…」

 

陽子「そうじゃなくてシスコンとかだよ」

 

八幡「………」

 

オレ:シスコン 雪ノ下さん:シスコン

小町:ブラコン

オヤジ:娘溺愛

母さん:ノーマル?

 

八幡(両親ともシスコンじゃねえかーーー!!!)

 

八幡(そしてオレの家族75%アウトじゃねえか!たしかにこの組み合わせならファザコン娘が産まれてもおかしくない…)

 

八幡「…なんだか状況証拠がそろい始めているんですけど」

 

陽子「じゃあ続きを♪」スリスリ

 

八幡「よ、よせ!顔をすりよせてくるな!魅惑の果実おしつけるな///」

 

八幡(なんという心地よさ!まずいこのままでは理性の化物が崩壊してしまう…

これが有名な「当ててんのよ♪」なのか…)

 

八幡「ま、ま、まて!オレはまだおまえを未来から来た子供だと認めたわけでは」

 

陽子「ん~お父様の匂いがする…暖かい///」

 

八幡(これ以上はやめたげてよぉ~このままでは八幡の八幡がリミットブレイクしちゃうよ~)

 

八幡「と、とりあえず離れてくれ!ストップ!ストップ!これ以上はオレの心臓がもたん!」バッ

 

陽子「あはっ♪お父様もしかして私にドキドキした?もしかして興奮してる?」

 

八幡「し、しかたないだろ!オレみたいなボッチはおまえみたいなかわいい子に抱きつかれる経験がねえんだからよ///」

 

八幡「それにお前からはためらいや照れや悪意が感じない分ダイレクトにくるんだよ///」

 

 

陽子「そうなんだ///フフ…」

 

八幡(そんな上目づかいで恍惚の眼差し向けるのやめてくれません…オレじゃなかったら襲っていたよ)

 

陽子(お父様たら我慢しないで私を家に連れ込み、ベッドに押し倒して処女奪ってくれたらいいのに///)

 

八幡「そ、それより…他に証拠はあるんだろな?」

 

陽子「…じゃあ、おじいさまの書斎の本棚の上段の左から五番目の本をめくってみて、そこにおじいさまのヘソクリがあるはずだから」

 

 

八幡「マジであった」つ三万

 

陽子「でしょ!未来で小町叔母ちゃんから聞いたんだよ」

 

八幡「だ、だが…まだ信じるわけにはいかん」

 

陽子「じゃあお父様が誰にも言っていないことを当てられたら信じてくれる?」

 

八幡「…いってみろ」

 

陽子「じゃあお父様が奉仕部に来たばかりのころ、雪乃叔母ちゃんのあまりの毒舌にムカついたお父様が思ったこと」

 

八幡(雪ノ下まで叔母ちゃん呼びかよ…聞かれたら氷の女王がキレるぞ)

 

陽子「だったら壁にでも話してろよ」

 

八幡「なっ!?」

 

陽子「ね♪これはこの時代の小町叔母ちゃんや雪乃叔母ちゃんさえも知らないことだよ

知っているのは思った本人であるお父様だけ」

 

八幡(な、なんだこいつ…どうしてそのこと知っているの!?エスパーなの?室田なの?能力で心を読んだの!?)

 

陽子「ちなみにこの話は未来のお父様から聞いたんだよ」

 

八幡(たしかに未来のオレが話したのなら知っていてもおかしくない)

 

陽子「まだ疑っているね…なら結衣さんが奉仕部に入ったばかりのころ、雪乃叔母ちゃんが由比ヶ浜さんのおっぱいと自分のを交互を見て溜め息をはいていた雪乃叔母ちゃんに…」

八幡(由比ヶ浜はさんづけか…ああ、親族じゃないからか)

陽子「バーカ!おまえがメロンになれるわけねーだろw」

 

八幡「はひっ!?」

 

陽子「フフフ…」

 

八幡(たしかにそう思った…!そのあと声を出してなかったのに雪ノ下に睨まれてめっちゃくちゃ怖かったからよく覚えている)

 

八幡「まいった…さすがにここまでオレしか知らないことをいい当てられたら全くデタラメとは思えねえ…」

 

陽子「うん!やっと少しは信じる気になってくれたね♪」

 

八幡「ああ…それでお前は未来から何しにきたんだ?」

 

陽子「それは…お父様の貞操を守るためきたんだよ」

 

八幡「はっ!?オレの貞操を守るために来ただと…」

 

陽子「はい…そうです」

 

八幡「なんだそれ!一体誰がオレなんかの貞操狙いにくるっていうんだよ

どう考えてもおかしいだろ」

 

陽子「正確にはお父様を罠にはめるための方法として使われたのです…

あの憎き虚無丸に」ギリッ

 

八幡(っ!?………なんだ…さっきまであんなに無邪気だったこいつが別人のように雰囲気が変わり始めた…)

 

八幡「…なあ、虚無丸って、だれだ?」

 

陽子「…虚無丸は未来で付けられた外道の名前………私の大好きなお父様とお母様の幸せを壊そうとした憎き相手…」

 

陽子「葉山!!!」

 

八幡「葉山だと!?なんであんなリア充野郎がオレなんかを罠にはめようとするんだ? ますます意味わからん」

 

陽子「あのミジンコ以下の有害生物虚無丸は無謀にも雪乃叔母さんに好意を持っていて…お父様とお母様が婚約すると聞いた時

その相手をお母様ではなく雪乃叔母さんと勘違いし、婚約をぶち壊そうと下劣な手を使ってきたのです」

 

八幡「なんだと!?」

 

八幡(ってゆうか…オレと雪ノ下が婚約なんてありえねえだろ……バカじゃねえ~の葉山の奴

どう勘違いしたらオレと雪ノ下が婚約すると思うんだよ? まあ雪ノ下さんともありえねえけど…それにしても)

 

陽子「………」グヌヌ

 

八幡(よっぽど葉山の野郎が嫌いなんだな…抑えているみたいだけど嫌悪感とか怒りのオーラがすげー出ているぞ…

さっきすげー口悪かったし、よっぽど憎いんだろうな…)

 

八幡「それが本当だったらマジ最低だな葉山の野郎…で? どんな手を使ってきたんだ?」

 

陽子「虚無丸は童貞風見鶏のこと、自分の親友大岡をそそのかしてお父様をレイプさせたんです」プルプル

 

八幡「な、なんだってぇぇぇーー!!?」( ゚Д゚)

 

 

陽子の世界の過去

 

大岡『ああ…やりてえなあ……でも彼女できねえし………くっそ!もういいや!ヤレるんだったら男でも!』

 

?『それだったらいい人を紹介するよ』

 

大岡『おお、隼人!ホントか?』

 

葉山『ああ』

 

大岡『それ、だれだ!!』

 

葉山『ヒキタニくんだよ』

 

大岡『ヒキタニ? たしか………………あの目の腐っていて、文化祭で相模さん泣かしたヒデー奴か?』

 

葉山『その誤解といてあげるよ』ニヤ

 

葉山は今まで八幡が解決した奉仕部の行動や文化祭の真実を自分の都合のいいように説明した

 

大岡『なんだよ!ヒキタニって、すげーいい奴じゃん!相模さんを守るために全生徒を自分に敵意を向けさせるとか普通できねえだろ!

それにあいつのおかげで高校時代の時、グループ崩壊しなかったんだな』

 

葉山『ああ、そうだよ。ヒキタニは自分を犠牲にしてまで多くの人達を救ってきたんだ』

 

大岡『すげー!汚名をかぶってまで人の名誉を守るなんてまるでテイルズのユージーンだな!』

 

葉山『はは、どうだい彼なら君のその苦しみを助けてくれる。救ってくれる。そう思わないかい?』

 

大岡『で、でも…』

 

葉山『大丈夫さ、それはオレが保証する…彼以外で君の事を受け止めてくれる存在はいるかい』

 

大岡『そ、それは…』

 

葉山『彼なら人に漏らすこともそれをネタに脅すこともしない…けして目的もなく人を傷つけるようなこともしない。

それに彼は見ず知らずの人の犬を命がけで助ける心優しい人物だ。君を苦しみから解放してくれるさ』

 

大岡『………』

 

葉山『それにオレがついてる。親友だろうオレたちは。悩んでいる親友を助けるのは当然のことだよ』

 

大岡『あ、ああ!ありがとう隼人!おまえはオレの一番の親友だ!』

 

葉山『どういたしまして、何があってもオレが全力でフォローするよ』

 

葉山『親友の大岡のために』ニヤ

 

葉山(雪乃ちゃんはオレのものだ…比企谷には渡さない…大岡、親友のオレのために協力してくれよ)

 

葉山(計画どおり…)(´∀`)ニヤリ

 

 

陽子「そのころ童貞風見鶏の大岡は童貞をこじらせていて、もう男でもいいやと精神的に追い詰められていたようです…

そこで非道にも虚無丸は友達思いの善人を装って、誘導して自分の手駒として使ったのです」

 

陽子「お父様の解決(解消)した奉仕部の活躍を自分の都合のいいように伝えたのです」

 

陽子「好きでもない相模のためにだって全生徒から嫌われてまで自己犠牲で救ういい奴だって

きっと大岡な気持ちも受け止めてくれる。救ってくれると虚無丸の甘い言葉を信じて、惑わされ童貞風見鶏はお父様を…」

 

陽子「そしてお父様は深い心の傷を負い…そして…」

 

八幡「ちょっとまて!オレ雪ノ下さんと結婚したんじゃなかったのかよ? そしてお前が産まれたんじゃ」

 

陽子「混乱させないように最初は伏せてましたが、私は未来でも平行世界から来ました」

 

八幡「平行世界」

 

陽子「未来は一本の木から伸びる枝のように複数存在するのです。

私はその未来の一つ、お父様が虚無丸の罠を回避し、無事お母様と結婚して毎晩ズッコンバッコン愛し合って私が産まれた未来から来たんです」

 

八幡「ズッコンバッコンって………もっとソフトにいえよ///あと毎晩やってんの?」

 

陽子「はい。お母様はもうお父様を好きすぎてお父様を求めてくるから///」

 

八幡「えっ? オレそんなに雪ノ下さんに好かれてんの?」

 

陽子「はい♪」

 

八幡「マジか…」

 

八幡(いやオレ愛されすぎでしょ。う~ん想像できん…)

 

陽子「そのおかげでなかなかお父様を夜這いできないんですよね~」

 

八幡「まてまて!普通娘は父親を夜這いしないだろ」

 

陽子「私普通じゃないもん!超ファザコンだもん!」ヽ(=´▽`=)ドヤッ

 

八幡「ぶっちゃけすぎだろ…まるで俺はスーパーベジータだっと、いっているみたいなドヤッ顔やめろ」

 

陽子「お父様大好き!愛してる♪」(つ'ω')っダキッ

 

八幡「わかった!わかったから離れてくれ///」

 

八幡(この子オレのこと好き過ぎでしょ。これ以上はやめてくれ、ほんと勘違いして惚れそうになるから///

でも今回は別に勘違いじゃないんだよな…いやいや!未来とはいえ娘に惚れるのはまずいでしょ!いくら実感がなくてもこいつは実の娘

とにかくできるだけ密着しないようにしないとやばい…)

 

八幡「話の続きは家で話すぞ…誰かに聞かれたらまずそうな話だし///」パッ

 

陽子「うん♪」

 

八幡(やべー今までの会話誰かに聞かれていたらどうしよう…厨二病だと思われたかも

最初から中で話せばよかったぜ…)ガチャ

 

カマクラ「ニャー」

 

八幡(そういや、こいつがいたんだった)

 

陽子「カマクラー!!」(つ'ω')っ

 

八幡(!?)

カマクラ「ニャ!?」

 

陽子「ほんとにカマクラだ!なつかしいなー!また会えてうれしいよ!」

 

カマクラ「ニャ…ニャ!!」

 

八幡「おまえカマクラも知っているのか?」

 

陽子「うん。私の小さい時に老衰で死んだの…ヒック…でもまた会えてうれしいよ…うわ~んカマクラー!!」

 

八幡(…さっき葉山の時は別人のように怖かったが、ほんと心優しい奴なんだな。カマクラを本当の家族のように思って泣いてくれてるからな…

まあ娘とはいえオレに懐いている時点ですごく優しい子なんだが)

 

陽子「カマクラー!」

 

カマクラ「………」

 

八幡(カマクラが戸惑っている…オレにどうにかしてくれと視線を送っているが無視しとこ

お前にとっては見知らぬ人物だろうが、こいつにとっては二度と会えなくなった家族に感動の再会を果たしたのだからな)

 

 

15分後

 

八幡(さすがにそろそろやめさせた方がいいか)

 

カマクラ「………」グテ

 

陽子「カマクラ~♪」ナデナデ

 

八幡「あ~うれしいのはわかったから、そろそろカマクラを離してやってくれ疲れているみたいだし」

 

陽子「あっ、ごめん。ついなつかしくて…また触らせてねカマクラ♪」

 

カマクラ「…ニャー」

 

八幡「お前猫好きなんだな」

 

陽子「まあね。雪乃叔母さんほどではないけど」

 

八幡「…ああ、あいつなら言ってもすぐやめないだろうな」

 

陽子「でしょ、仮に猫好きでなくても私にとってカマクラは大事な家族であることには変わらないよ」ニコ

 

八幡(か、かわいい///ほんとにあの人の子供か? 裏表がなさすぎる…葉山の話の時は別人のようだったが

考えてみれば俺が罠にかかっていたら、こいつ生まれなかったからな…憎しみがあってもむりはないか…)

 

八幡「話を戻すが、おまえは平行世界の未来からオレを助けに来たと?」

 

陽子「うん。この過去の世界はお父様は私の世界と違って虚無丸の罠にはまって不幸になるから、そうならないようにするためにきたの」

 

八幡「くっそ!!葉山の野郎…」

 

陽子「ほんと死ぬばいいのに…あとかたもなく」クスッ

 

八幡「…と、ところでおまえはどうやって未来から来たんだ?」

 

陽子「フフ…それはね~私が作ったゲートホルダーを使って来たんだよ♪」

 

八幡「クロノトリガーかよ…っておまえが作ったの?」

 

陽子「うん♪さすがにどこの時代でもとかは無理だけど、使えるのは私だけなのと、特定の時期ならどの平行世界でも行けるよ♪」

 

八幡「いや十分すげえけど…なにおまえ将来科学者でもなるの?」

 

陽子「違うよ、お父様のお嫁さん///」

 

八幡「バ、バカ///ちげーよ、職業の事を聞いているんだ職業を」

 

陽子「専業主婦!」

 

八幡「即答かよ。おまえやっぱオレの娘だわ」ナデナデ

 

陽子「えへへ///」(≧∇≦)

 

八幡「あっ、わりーつい小町にやっているくせで」パッ

 

陽子「もっと撫でてくださいお父様。未来でも私、頭撫でられる好きなんですよ♪でもどうせならここも」グイ

 

八幡「ちょ///おまえ!?なに胸の中にオレの手を入れてるんだ///」

 

陽子「んっ///はぁん…お父様………もっと…」

 

八幡「は、はやく手を離せ!た、頼む///」

 

八幡(なにこれめっちゃくちゃさわり心地いいんですけど…大きくてやわらかくて張りがあってスベスベして…さすがあの人の子供だ…マジ超高級品だわ)モミモミ

 

カマクラ「………」

 

陽子「んっ…あ、ああ…お父様もっと……やん!あ、あん…はあ…ん……はあはあ…」

 

八幡(手が勝手に!勝手にぃー!このままでは理性が………頼む!カマクラおまえだけが頼りだ!なんとかしてくれ!!!)

 

カマクラ「ニャー」(青春ね)

 

カマクラ(いや性春か)

 

八幡(生暖かい目で見守られている気がする………見てないで止めろよ!!いや、リア充爆発しろと言われないだけマシなのか…)モミモミモミーン

 

陽子「やあ、あ、ああん!んあっ!ああー!お父様!!」

 

八幡(!?手の力緩んだ!今だ!)バッ

 

陽子「………あっ」

 

八幡(くっ、すげー名残惜しいけど、これ以上はほんとダメ…オレの理性がもたない

むしろ自らの意志であのおっぱいの魔力から逃れたオレの理性を褒めてほしいね…)

 

陽子「………」ウルウル

 

八幡(あの陽子さん~そんな物欲しそうな目で見るのやめてくれない…オレだって、ほんとはずーと揉んでいたかったのをこらえたんだからな)

 

陽子「お父様たらテクニシャン///もう少しで陽子イケそうにだったのに…」

 

カマクラ「…ニャ~」(ヘタレめ…)

 

八幡「も、目的を忘れるな目的を///」

 

陽子「その前にお互い初体験をしましょう~お父様♪」

 

八幡「だ、だめだ!オレには実感はないが、オレとおまえは親子だろう。そういうことはしてはだめだ」

 

陽子「むう~そこまでいうならわかりました…でも我慢できなくなったら、いつでもバッチコイなので遠慮しないでくださいねお父様♪」

 

八幡「くっ///」

 

八幡(こいつ少なくてもオレとカマクラにはオープンすぎるだろ

絶対防御の雪ノ下さんの仮面とは正反対だ。見た目が似ているからそのギャップがすごい)

 

八幡「…それでどうやってオレの未来を変える気なんだ?」

 

陽子「最初は駆除するのが一番だと思ったけど」

 

八幡「駆除!?この人いま駆除といいましたよ![ピーーー]とか始末でなはなく!害虫扱いかよ!」

 

八幡(まあ葉山のことはどうでもいいけど、こんないい子がここまで変貌するとはな…

邪魔な者…嫌いな者は容赦なくつぶすか…たしかにあの人の血だ)

 

陽子「でもそれだと未来がどう変化するかわからないからね…まあ、お父様が[ピーーー]のはやめろ。自分の娘が人殺しになるのは見たくないと言われたからそれはやめたけど」

 

八幡「そりゃそうだ」

 

陽子「で、決まったのがフラグを崩すことなの」

 

八幡「はあ? フラグ?」

 

陽子「うん。私の能力にフラグ崩しというのがあって人の恋愛フラグを倒してなくすことができるの。

これで大岡フラグを倒しとけばお父様は絶対レイプされないよ」

 

八幡「なんとも奇妙な能力だが…それはまじ助かる。海老名さんのBL的なストーリーはまじ勘弁だからな」

 

陽子「逆に虚無丸が大岡を使ってお父様をはめようとした時、大岡が虚無丸をレイプするようにフラグを置いてやる」ニヤリ

 

八幡「うわあ~すごい悪い笑顔…」

 

八幡「とりあえずオレの不幸な未来はなくなるんだな。サンキューな」ナデナデ

 

陽子「えへへ…愛するお父様のためなら当然のことですわ!陽子と呼んでください♪」

 

八幡「そ、そうだな…よ、陽子…ありがとう///」

 

陽子「うん///」

 

陽子(あとお父様に内緒だけど静ちゃんのフラグにもトラップ型のフラグ崩しを設定するつもりなの。

30歳後半になってから、静ちゃんは完全に余裕をなくなって、お父様を飢えた目で見てくるようになるから35歳になったとたんフラグが倒れるようにしておかないと)

 

陽子(いま倒したら親密度に影響が出るんだよね…ほんとはお母様以外の恋愛フラグ全て倒したいけどそれだとお父様の人生大きく変わってしまうし、

雪乃叔母さんのフラグ消したら、お母様がお父様にあまり接近しなくなるかもしれないから余計なことはできないんだよね)

 

八幡「他の平行世界のオレは大丈夫なのか?」

 

陽子「全部大丈夫とはいえないけど、この世界のお父様が一番虚無丸の罠にかかる確率が高かったのでこの平行世界の過去に来たんです」

 

八幡「おまえが来なかったらオレ大変な目にあっていたんだな」

 

陽子「はい。97%で」

 

八幡「………」

 

陽子「他の世界では病気で亡くなったり、事故で亡くなった未来もあります…」

 

八幡「まじかよ…その世界のオレは助けられないのか?」

 

陽子「はい…私が行ける時間軸は修学旅行終了後からだいたい7ヶ月後の間なので…その先の時間軸にはいけないんです…」

 

八幡「そうか…」

 

陽子「あと、そんなにたくさん過去にいけないので、ゲートホルダーといっても劣等品なので…

 

八幡「いや十分すげーよおまえ、本当にオレの子か?っと、いうくらいすげー有能だな…まあ、あの人が母親なら、なくはないか」

 

陽子「あっ、でも安心してください。普通に結婚して幸せになった未来もたくさんありますから」

 

八幡「そうなのか?」

 

陽子「はい。Iさん結婚した未来や、Kさん、Yさん、Tさん、Oさんとかいろいろ」

 

八幡「まじかよ!?以外といるんだな…信じられないが…」

 

八幡「そういえばなんで名前じゃなくてイニシャルで答えるんだ?」

 

陽子「それは名前を知るとその人に会った時、意識して気まずくなるじゃないですか」

 

八幡「まあ、たしかにそうだな」

 

八幡(オレの知っている奴にいるのか?いやまて勘違いするな。この先の人生で出会う相手かもしれん…)

 

陽子(…特に小町叔母さんの名前言ったら千葉の兄弟エンドになる可能性グ~ンと上がりそうだし…)

 

八幡「そういえば葉山の外道はお前の世界でそのあとどうなったんだ」

 

陽子「あの虚無丸は作戦に失敗した後お母様に見つかり、あらゆる制裁を受けたあと、ペンチで金玉を粉砕!玉砕!大喝采!されました」

 

八幡「こ、こえー」ゾゾー

 

陽子「それだけお父様を愛してるいるんですよ♪あっ、心配しなくていいですよ♪

お母様はお父様に毎日子猫のように甘えて、今まで一度もお父様を傷つけたり脅したりもしてないですから」

 

八幡「ほ、ほんとか…」

 

陽子「はい。毎日お父様分補給しないと寂しくて泣いたりします」

 

八幡「なにそれかわいい…」

 

陽子「いつもお父様が出かける前はキスしてるし、夜はいつもお父様と愛し合ってます」

 

八幡「な、なんつーか…すげーな…よく体力もつな」

 

陽子「夜はスッポンとか山芋とか高麗人参とか使った料理がよく出るので」

 

八幡「は、はあ!?ス、スッポン!!」

陽子「家で飼育しているんだよ。いっぱいいるよ。いい加減食べ飽きったけど」

 

八幡「と、とりあえずすごく愛されているのはわかった…」

 

八幡(スッポンって高級食材だよな…それを飼育だと…)

 

陽子「お父様さえいれば世界がどうなってもいいともいってました。それは私もだけど」

 

八幡「そこまで…」

 

陽子「私達の望むのはお父様の幸せだから、お父様が絶対嫌がること悲しむことは絶対しないのです。逆にお父様を危害加える者貶めようとする者は容赦なく潰します」

 

八幡「そ、そうか…」

 

陽子「でもぶっちゃけそんな心配はないんですけどね。お父様は家族想いの最高の男性ですし、お母様を敵にまわそうとする愚かな人もいませんし」

 

八幡(この子…オレのこと過大評価しすぎじゃね…確かに未来の写真のオレはウソみたいに変わっていたけど…

オレのことをここまで善意で見てくれるのは戸塚以外では初めてだ

とつかわいい…フヒッ!)

 

八幡(しかし葉山が虚無丸という変な名前に変わったのはなぜだ?制裁と関係があるのか?まて名付けたのが雪ノ下さんではなく別の人物…もしくは自分だったりした場合は…)

 

八幡「もしかして葉山が虚無丸といい名に変わったのは…まさか…」

 

八幡「そうか!わかったぞ!」←苗木くんのまね

 

陽子「さすがお父様気づきましたか」

 

八幡「ああ、だてに国語学年三位じゃねえよ。あとラノベもよんでるしな」

 

八幡「名前が変わったのは金玉潰されてから、つまりそこにヒントがある」

 

八幡「虚無といえばゼロの使い魔が連想できる。そして丸は形を指している。丸は球体…金玉もいちおう球体だ」

 

八幡「つまり虚無丸は金玉がゼロということ意味。つまり玉無しだ!」

 

陽子「正解ですお父様♪そうです虚無丸は葉山家が滅亡した後、俗世を捨てて寺に出家したんです

そして元の名を捨てて、付けた法名が虚無丸だったのです」

八幡「しゅ、出家したのか葉山の奴…しかも法名まで…」

 

八幡「たしかに名前はそれであっているけど、そうだったら無玉とかでもよかったんじゃねえか?」

 

陽子「無丸だとひねりがなくてそのままだし、最初虚無玉にしようとしていたらしいけど、無駄にちょっとかっこよくなるからお母様が丸に変えたよ」

 

陽子「虚無玉だと、元気玉とか気合い玉とか魔王玉みたいに必殺技みたいだもんね」

 

八幡「たしかに腹たつな…」

 

八幡(陽子がいっていた技はドラゴンボールポケモンディスガイアか…)

 

八幡「そういや童貞風見鶏は?」

 

陽子「虚無丸よりは少しましだけどお母様にかなり制裁されたらしいよ。その後、童貞風見鶏の姿をみた者は誰もいなかった…らしいよ」

 

八幡「まるでRPGのコンテニューみたいだな…」

 

 

未来(陽子の世界)

昼休み

 

八幡「………」ソワソワ

 

いろは「せんぱ~い♪今日はかなり挙動不審ですね。学生時代みたいですよ

それでもイケメンだからカッコいいですけど…」

 

いろは(同じ人物なのにこうも変わるもんなんですね…時の流れを感じます。私、今のせんぱいも好きですけど、昔のせんぱいも好きでしたから…)

 

八幡「一色か…過去に行った陽子が心配でな」

 

一色「そういえば今日でしたね。大丈夫ですよ陽子ちゃんなら!絶対帰ってきますって!」

 

八幡「いや、その点は全く心配してない。あいつめっちゃ優秀だから失敗なんてありえんからな。

それにオレと同じでリスクリターンはしっかりしているし」

 

いろは「じゃあ何が心配なんですか?」

 

八幡「葉山を勢いで殺さないか…」

 

いろは「ああ」ポン

 

八幡「あいつ…普段は冷静だけど、葉山のことなるとなると憎しみのあまり豹変するから」

 

いろは「別にいいんじゃないですか?虚無丸なんて死んでも」

 

八幡「オレも別に葉山はどうでもいい。あいつを人殺しにしたくないだけだ」

 

いろは「せんぱい愛されていますからね」

 

八幡「まあな」

 

いろは「でも陽子ちゃんの気持ちはよくわかりますよ。 私も過去に戻れたら、虚無丸殺したくなりますね。向こうの虚無丸は平和に生きていますし」ギリッ

 

八幡「相変わらずだなおまえも…いちおう昔好きだった奴だろう」

 

いろは「あんなクズ好きだったなんて黒歴史ですよ!誰だって黒歴史は消したいと思うじゃないですか!

あんなのに無駄な時間を使っていたと思うとムシャクシャします!」

 

いろは(一学期からせんぱいの良さに気づいて仲良くしていれば、もしかしたらせんぱいの奥さんになれたかもしれないのに…)

 

八幡「それはわかる…いまのオレはかなり幸せだが、過去は黒歴史だらけだったからな…」

 

いろは「とりあえず昼ご飯にしませんか?昼休みなくなちゃいますよ」

 

八幡「そうだな…」

 

いろは「はい♪マックスコーヒーです♪せんぱいのために買ってきました♪」ウワメヅカイ

 

八幡「あざといあざとい」

 

いろは「だから、あざとくないてすってば!」

 

静「比企谷…」(^q^)ジュルリ

 

八幡「なあ…なんだか視線を感じるんだが…」

 

いろは「奇遇ですね…わたしもです」

 

静「………」[壁]д=) ジー

 

八幡「振り向かない方がいいよな?」

 

いろは「ですね…」

 

静「比企谷…いい男になったな…ほんと高2のころとは別人のようだ…」(^q^)ジュルリ

 

静(いや、変わる前から気に入ってはいたが、ここまで見た目や雰囲気が変わるとは正直夢にも思っていなかったな…)

 

静(それにあのころあった優しさは失われていないし…

くっそっ!なぜ、あのころの私はもっと比企谷に優しくしていなかったんだ!)

 

静(殴らないで泣き落としで奉仕部に行かせればよかったんだ!)

 

静(殴って好感度が上がるのはドMくらいだ!普通は好感度下がる!さいわい比企谷は優しかったから嫌われなかったが…

でもあのころの私は生徒に恋愛感情持つなんて思っていなかったんだ)

 

静(それは世間で当たり前のことだし、でも卒業後なら問題なかったのだ!くそっ!十歳…せめて五歳の年の差だったら、チャンスはあったかもしれなかったのにぃ!

それに私が比企谷に恋愛感情を持ったきっかけはあの言葉だ)

 

『いや、そりゃ相手に見る目がないんですよ』

 

静(あれは嬉しかった!すごく!あの言葉がどれだけ私の心の支えになったか!)

 

静「陽乃が言っていたな、自分を理解している人がいるだけで救われた気がするって…全くそのとおりだ」

 

静「あんなことをいってくれた男は比企谷だけだ!

同じ年の女友達も「静ちゃんも早く結婚しなよ」「大丈夫だってそのうち結婚できるって」ぐらいしか言ってくれなかった…」

 

静(私が比企谷を好きだと自覚したのは35歳。なぜ、男共は私と付き合ってくれない!このままだと誰とも結婚できないのではないかっと、追い詰められた時だった…)

 

静(あまりに遅すぎる自覚だった…

なぜならすでに比企谷は結婚し、子供までいたからだ)

 

静(自覚が遅れた原因は相手が教え子で恋愛対象別と認識していたからだ。

だが、なりふり構っている場合じゃない!どうして男は私の魅力をわかってくれないんだ!絶望したそのとき、比企谷のあのセリフが脳内再生されたのだ)

 

静(そのとき私はいい年こいて、ときめいてしまったのだ…)

 

静「新婚のころの陽乃から幸せそうに散々のろけ話を聞かされ、私は泣かされたが話によると比企谷はかなりエッチがうまいらしい」

 

静(愛する人に抱かれるのが、こんなに心満たされるものだと昔は思いもしなかったらしい…)

 

陽乃(うう~いちおう私だって、あまり経験はないがエッチくらいやったことある…

だが、私はそんなこと一度もなかった。痛かったり満足できなかったりでテレビゲームの方が何十倍も楽しかった!くそっ!なんで私はあんなクズに初めてを…)

 

静「いいな~私も一度でいいからそんな経験してみたいな~」(^q^)ジュルリ

 

八幡「ッ!?」ビクッ

 

いろは「どうかしましたかせんぱい?」

八幡「いや、なんでもない…」

 

静(一度でいいから比企谷とセッ〇スできないだろうか?

比企谷なら逆レ〇プしてもなんだかんだいって優しいから許してくれそうな気がする…)(^q^)ジュルリ

 

静(でも陽乃が奥さんじゃ殺される…私の本能がそう訴えている。

妹の方か別の女だったら、逆レ〇プするのも怖くないのに…よりにもよって陽乃だ。

比企谷とやったら絶対死亡フラグだ。

いっそ陽乃に正面から頼んでみるか…)

 

 

妄想

 

静『お願いだ陽乃!!一度でいいから比企谷とセッ〇スさせてくれ!!』土下座m(_ _)m

 

陽乃「死んで♪」

 

静「………」サアア-

 

静(…死ににいくようなものだ。でも一度でいいから愛する人と最高のセッ〇スをして妊娠したい!結婚できなくてもせめて子供くらい欲しい!)

 

静(ならセッ〇スは断腸の思いで諦めて…)

 

静「そうだ!セッ〇スは無理でも子種くらいは!」

 

静『比企谷の子種をください!!』土下座m(_ _)m

 

陽乃「」<●><●>

 

静「だめだ!モノクマみたいにおしおきタ~イムといわれて、おしおき(処刑)されかねん!」((( ;゜Д゜)))ガクガクブルブル

 

静「おしおき内容は婚活生活という名前になりそうだ!そして最後、ウェディングドレス着た私が教会のハリバテの前で消防車にひき殺されるに違いない!」

 

静(むしろモノクマの正体は実は陽乃でも全く違和感がない。

比企谷と結ばれる前の陽乃なら、モノクマの仲間になって世界中を絶望で染め上げようと考えてもおかしくない)

 

静(比企谷本人がダメなら、比企谷の子供ならと思ったが、陽子くんは女だから無理だ…)

 

静(そういえば陽子くんの話によれば平行世界の中には私と比企谷が結婚している未来もあるらしい…)

 

静「くそー!!うらやましいぞ!!その世界の私!!いますぐ私と代われ!!

寿退社で教師をやめて、三人の子持ちの専業主婦だと!!

なんだその理想の結婚生活は!!うらやましすぎだろ!!!」

 

「ママあの人怖い!」

 

「見ちゃいけません!」

 

静「あっ、いかん!また思考が暴走していた…」

 

静(落ち着け…下手すれば通報されるぞ)フゥ~

 

静(ふっ…もし、わたしの精神力が並レベルだったら、とっくの昔に我慢できず比企谷を逆レイプしたか、我慢しすぎて気が狂っていたかもしれん…)

 

静(比企谷も陽乃も大事な教え子だ…教師である私が傷つけてどうする!)

 

静「また残業だな………はぁ~子供欲しいな……」

 

静(好きなものを欲しくない者がこの世にいるだろうか?躊躇する者、遠慮する者、自覚がない者ほど、そのチャンスを不意にして手に入らない。

好きなものほどすぐ狙われ、気がついた時には手の届かない所へ行ってしまう…

それがとてもせつない…)

 

 

そのころ、はるのんは

 

陽乃「陽子ちゃんいまごろどうしているかな…過去の八幡を襲ってないかな?あの子のことだから八幡の気持ちをないがしろにして無理やりはしないだろうけど…」

 

雪乃「心配ね…」

 

陽乃「八幡の理性の化物だけがたよりだね…陽子ちゃん絶対誘惑するだろうから」

 

雪乃「そうね。胸を押し付けたり、揉ませたりしてせまるかもしれないわね」ペタペタ

 

陽乃「うう~八幡の初めては私だけのものなんだから!」

 

雪乃「それはそうと姉さん」

 

陽乃「なに~」

 

雪乃「そこに落ちているのって、高校時代の制服じゃないかしら?」

 

陽乃「フフ…そうだよ!昨日八幡とプレイの時使った後、すっかり片付けるの忘れてた♪」テヘペロ

 

雪乃「プ、プレイ///」

 

陽乃「そう♪新婚のころはたまにお互い高校時代の制服を着て誰もいない夕焼けの空き教室で恋人同士が愛し合うシチュエーションで楽しんでいたっけ~」

 

雪乃「………」

 

陽乃「さすがに今は無理があるからやらないけどね。八幡が教師役で私が生徒役の禁断の愛プレイならやるけど♪」

 

雪乃「…いくら姉さんでも、もう制服姿は無理があるんじゃないかしら?」

 

陽乃「雪乃ちゃんひど~い!じゃあ、見せてあげるよ♪」

 

雪乃「ちょっと姉さん!」

 

雪乃(別に見たいといってないのに…)

 

陽乃「着替えたよ!どう、雪乃ちゃん似合う~」

 

雪乃「いい年した大人が…と、いいたいところだこど、悔しいけど似合っているわ…大人ぽい高校生といった感じね。大抵の現役高校生が霞んで見えるわ」

 

陽乃「でしょ♪」

 

 

雪乃(高校の頃より胸が大きいわ…形もいいし…一体世の中どうなっているの…由比ヶ浜さんもいまだすごい美巨乳だし)

 

陽乃「やっぱり高校時代八幡と過ごしたかったな…」

 

雪乃「…姉さん」

 

陽乃「正直高校生活はつまらなかった。だから、いろいろやって盛り上げて少しでも楽しくしようとしたけどダメだった。

だって、みんな仮面の私しか見てないんだもん。誰も本当の私を見ていない。みんなに好かれる人物を演じている私を疑いもせず、みんな私の思い通りに動く…」

 

陽乃「誰一人私の予想外の行動する人いなかった。まるで買ったゲームをやる前に動画サイトでそのゲームのプレイ動画を見てからゲームしたみたいにわかりきったストーリーをしているようなもの…

三年間過ごして、唯一私の仮面に気づき、私が興味をもったのは静ちゃんだけだったよ。今はちょっと残念な人になっちゃったけど、感謝しているんだよ」

 

雪乃「………」

 

陽乃「静ちゃんが八幡を奉仕部に連れて来なければ雪乃ちゃんと八幡が関わることなかった。そうなれば私と八幡の出会いもなかった。

だって、私が初め八幡に興味をもった理由は妹の雪乃ちゃんの側にいれる子だったからだもん」

 

雪乃「そうだったわね…」

 

雪乃(あのころは認めたくなかったけど…私と義兄さんと初めてデートした日///そして、姉さんと義兄さんが初めて出会った日…)

 

陽乃「もし八幡が奉仕部入らなかったら、学校終わったら八幡は即下校するし、休みの日は外出しないから親しくなるどころかエンカウントさえできなかったからね………」(´;ω;`)シュン

 

雪乃「そうね………たしかに平塚先生のおかげだわ。現に比企谷くんは車に乗っていた私はともかく、由比ヶ浜さんにさえ一年関わるどころか名前すら知らなったですもの…

少なくとも小町さんに聞いておけば由比ヶ浜さんの名前くらい知ることができたのにそれもしなかった…」

 

 

陽乃「昔の八幡は他人に関わろうとも知ろうともしなかったからね…

総武高に静ちゃんがいなかったと思うとゾッとするね」ガクブル

 

雪乃「全くだわ。私は誰にも理解されないで孤独のままで姉さんの思いやりも気がつかないで寂しい人生だったでしょうね…」

 

雪乃(気のせいかしら?姉さんが一瞬すごく弱々しく見えた気がするわ…)

 

陽乃「静ちゃんには幸せになってもらいたいね。さすがに八幡は渡せないけど…」

 

雪乃「陽子さんに頼んで平塚先生の義兄さんフラグを倒してもらったらどうかしら?」

 

陽乃「それは無理だね…静ちゃんにとって八幡は大きな心の支えになってしまっているからね…八幡フラグを倒してしまったら、喪失感が大きくて絶望しかねないよ」

 

雪乃「平塚先生はそこまで義兄さんを…………」

 

陽乃「だから雪乃ちゃん…静ちゃんのこと慰めてあげてね。同じ相手に失恋したあなたなら静ちゃんの心を癒せると思うから……」

 

雪乃「…そうね。それができるのは私だけね。ひさしぶりに一瞬に飲みにいこうかしら…二日酔いになりそうだけど…」

 

陽乃「今、静ちゃんを一番理解してあげられるのは雪乃ちゃんだけだから助けてあげて…

私もいろいろ方法考えて見るから」

 

雪乃「まかせなさい」

 

陽乃(うんうん、雪乃ちゃん頼もしくなったよ。ほんと…)

 

陽乃「んっ………」

 

陽乃(や、やばい!八幡分が不足ぎみに……な、なんで…まだ夜まで保つはずだったのに…………

しまった!!さっき静ちゃんがいない総武高を想像して、八幡と結ばれなかったことを考えたせいだ!!!)

 

陽乃(そのせいで心が沈んで………)

 

雪乃「ど、どうしたの姉さん…具合でも悪いのかしら?」オロオロ

 

雪乃(こんな姉さん初めて見たわ…)

 

陽乃「だ、大丈夫よ…心配しない…で………」ガクガク

 

陽乃(まずい…まずいわ…陽子ちゃんにならたまに見られているから気にしないけど、雪乃ちゃんの前では恥ずかしくて見せられない…

私が雪乃ちゃんの前で寂しくて八幡の名前呼びながら泣いたら姉の威厳台無しじゃない!)

 

陽乃(八幡に会いたい!声聞きたい!触れ合いたい!抱かれたいよ~!)ガクガク

 

陽乃(ああ~今すぐ八幡のベッドに飛び込んでお布団に顔埋めたいよ~でも雪乃ちゃんが…)

 

雪乃「とてもそうは見えないけど…そうだわ!何かしてほしいことある?」

 

陽乃「………そうね、その棚に入っているマックスコーヒーをちょうだい…」

 

 

雪乃「マックスコーヒー?わかったわ!」

 

雪乃「はい姉さん」 つマックスコーヒー

 

陽乃「ありがとう」グビグビ

 

陽乃「ふ~」

 

 

陽乃(八幡と昔デートとして公園でマックスコーヒーを飲んだことを思い出しながら飲んだら少しは落ち着いたわ…)

 

陽乃「ありがとう雪乃ちゃん♪ちょっと水分不足だったみたい」

 

雪乃「え、ええ………」

 

雪乃(ただの水分不足だったとは思えなかったけど、追求すのはやめときましょう…)

 

陽乃(…冷静になって考えれば適当な理由をつけて席を外して、八幡のベッドに行けばよかった…

フフ…私がこんなことにもすぐ気づかないなんて、よっぽどテンパっていたんだね)

 

陽乃(八幡早く帰ってきて~寂しいよ…………晩御飯はヤツメウナギだよ~今日もいっぱい私を愛してね八幡♪)

 

 

過去(八幡の世界)

 

八幡「ほれ、これでも飲んどけ」

 

陽子「やったー!マックスコーヒーだ!」

 

八幡「おまえマッ缶好きなのか?」

 

陽子「当然だよ!大好き♪これがないと1日始まらないよ」

 

八幡「さすがオレの娘…わかってんな」

 

陽子「マッ缶は私にとってソウルドリンクだよ!ロックマンに例えるならE缶だね!」

 

八幡「同感だ。マッ缶飲めば元気はつらつ全回復だ」ナデナデ

 

陽子「エヘヘ…」(≧∇≦)

 

八幡(くっ///かわいい…この純粋な笑顔守ってやりたい)

 

カマクラ「ニャーオ 」

 

八幡(オレたちは今マッ缶摂取中だ。こいつに聞いた話によると童貞風見鶏は行方不明らしい…自殺さえしてなければどっかに生きているらしい…どうでもいいけど)

 

八幡「そういえばおまえ以外にも能力持った奴いるのか?」

 

陽子「さあ~いくら私の世界が平行世界だからって、基本的にはお父様の世界と変わりはありませんよ

ラノベみたいにウジャウジャ能力者いたり、学園都市みたいなのもないですし、上条さんも一方通行さんも食蜂さんもいませんよ」

 

八幡「そ、そうか…」

 

八幡(こいつもラノベ好きなのか、ますますオレの娘だ)

 

八幡「じゃあおまえが特別だということか?」

 

陽子「そうだよ」

 

八幡「だ、だよな………やはりあの人の子供だからこんな特殊能力を持っているんだな…

むしろあの人自身が能力者なんじゃ? 相手の心を読むとか、人を操るとか?」

 

八幡「あっ、だったらオレにもあるかも…存在隠蔽能力」

 

陽子「いやいや、お父様もお母様も能力なんて持ってないよ」

 

八幡「………お前の能力を知っているのは?」

 

陽子「私、世間に隠しているから、知っているのは身内(雪ノ下家は陽乃と雪乃だけ)とほんの一部の人間だから」

 

八幡「だな…知られたら絶対ろくでもない奴に狙われるからな」

 

陽子「うん。それに私も能力使いたくないから今まで二回しか使ったことないし」

 

八幡「たった二回か…ずいぶん少ないな

まあ使いすぎると気づかれやすくなるからいいと思うが…」

 

八幡(そういえば未来のオレにその能力使えばゲットできるんじゃ……効かなかったのか? 気づかなかったのか?)

 

八幡「雪ノ下さんにでも止められているのか?」

 

陽子「だって…能力によってお父様のフラグを操作して恋人になってもそれは偽物で本物じゃないもん」

 

八幡「!? おまえ…」

 

陽子「私はこんな能力を使ってお父様と結ばれたくない!

そうなっても能力で感情操作されただけでお父様が心から私を女として愛してくれているわけじゃないから…そんな偽物なんかいらない!

だから私は自分の魅力だけでお父様に女として見てもらうの!だってそれが本物だから…」

 

八幡「………」

 

八幡(こいつ…まさかオレと同じ価値観を持っているのか? 未来の娘とはいえここまで似るとはな…なんだか少しうれしいな)

 

陽子「だからお父様今すぐ私とエッチしましょう!!」

 

八幡「なぜそうなる!!」

 

陽子「いいじゃないですか~お父様♪私の世界ではお母様にお父様の童貞とられているので、こっちでくらい先にもらっちゃっても問題ないじゃないですか♪」

 

八幡「いや…その理屈はおかしい」

 

陽子「そういわず私の処女奪ってくださいよ♪」ムニムニ

 

八幡「ちょ///突然何いいだすんだおまえ!? ぶっ飛びすぎだろ!!」

 

八幡(や、やめろー!!そんなご立派なものをオレに押しつけるなぁーーー!!この子積極的すぎ!どんだけオレとやりたいんだよ!さっきの感動返せよ!!)

 

陽子「それに私は未来の…しかも平行世界から来たから孕ませても責任とらずにすむんですよ♪こんな都合のいい女他にはいませんよ~」ムニムニ

 

八幡「で、でかい…やわらかい…心地いい…うおっ!!そ、そういう問題じゃねえ!!だからダメだっての!!」

 

八幡(なんでこの子こんなに積極的なの!? オレの娘なのに…オレは基本引っ込み思案で自分から相手にアプローチなんてかけたりしねえよ…)

 

陽子「フフフ…お父様触ってもいいんですよ♪」

 

八幡(くそっ!このままじゃまずい…グイグイ攻めてきやがって!誰だよ!こいつの母親は)

 

八幡(…雪ノ下さんでした…なら仕方ない…………ってあきらめるなよオレ!?)

 

陽子「やっぱり服の上からじゃなくて生で直接攻めないとダメだね」ススス

 

八幡「よ、よせ…」

 

八幡(これは本気やばい…そうなってしまえばいくら理性の化物といわれたオレでもまずい………材木座オレに力を貸してくれ!!!)

 

材木座『はふん』

 

八幡(よし!あまりのキモさに一気に萎えた!)

 

八幡「今だ!!」サッ

 

陽子「あっ………」

 

八幡「こ、これ以上はダメだ……わかったな?」

 

陽子「…はい」シュン

 

八幡(全く油断もスキもない…まあキッパリ断ったらすぐ引き下がってくれるから助かるけど………オレの気持ちを考えてくれているのは本当みたいだな。

例の能力使えばオレに恋愛フラグで立てて、求めさせることも可能なはずだしな)

 

八幡「…とりあえずお互いマッ缶を飲んで落ち着こうぜ」

 

陽子「…はいお父様」

 

八幡「………」クルッ

 

カマクラ「………」ジー

 

八幡「………」

 

カマクラ「………」ジー

 

八幡「こっちみんな」

 

カマクラ「………」プイ

 

 

八幡「それで…未来で小町どうしてる?」

 

陽子「小町叔母ちゃんなら結婚したよ」

 

八幡「なんだと!?」

 

カマクラ「ニャ!」

 

八幡「誰だそいつ…大志か? 大志なのか!!なら今のうちに殺さなきゃ!!」

 

陽子「落ち着いて小町叔母ちゃんは別の人と結婚したから」

 

八幡「そ、そうか…」

 

陽子(話には聞いていたけど、結婚前のお父様は超シスコンだったんだね…正直想像以上だったよ)

 

陽子「安心してお父様。小町おばちゃんは幸せになってるから」

 

八幡「幸せか…複雑だが小町が幸せならそれでいい…どんな奴だ?」

 

カマクラ「ニャー!ニャー!」(教えろ)

 

陽子「う~ん…いい人だよ…どんな人といわれても………あっ、少しバッツぽい!」

 

八幡「バ、バッツ」

 

陽子「うん!いつもウチの家に来た時、家のスッポンを突っついて楽しんでいる」

 

『こりゃあ~おもしろいや!』

 

八幡「亀突っついて楽しいのか小町の夫…少し幼稚というか…まあ、たしかに悪い奴に思えんな」

 

カマクラ「ニャ~」

 

陽子「よしよし…大丈夫だよ。だってお父様とお母様が問題ないと判断して結婚許したんだから」ナデナデ

 

八幡「そ、そうか…まあオレだけでなくあの雪ノ下さんがそう判断したならある意味安心だな」

 

陽子「お父様、私の世界じゃお母様はもう雪ノ下じゃないから、いつもみたいに陽乃と呼んでよ」

 

八幡「いやそれボッチには難易度高すぎだろ呼び捨てるなんて…こっちじゃ恋人にすらなってないし、せいぜい魔王とそれに遊ばれるオモチャの関係だから」

 

陽子「お父様」ウルウル

 

八幡「う…わ、わかった…善処する。なら…さん付けで」

 

陽子「私もこんな中途半端な能力じゃなくてダーククロニクルグリフォンみたいなのがよかった…

別の時代から人に干渉したり操ったりできたら、お父様をもっと簡単に助けることができたのに…」

 

八幡「いや、もはやそれチートすぎんだろ。使い方次第では世界が終わるぞ…それ」

 

八幡(ダーククロニクルってなんだ? ゲームか?)

 

陽子「実際、グリフォンは世界を滅亡するため未来にいる邪魔な奴の存在そのものを消していたし」

 

八幡「なにそれ…こわい」

 

陽子「あの虚無丸の事、腐れ外道の葉山隼人の起源点は葉山父と葉山母が結婚して子作りすることだから…つまりこの二人が出会わないようにすれば虚無丸はこの世に産まれてこないだよ」ニタァ~

 

八幡「………」

 

陽子「…仮の話しても仕方ないね。虚無丸と童貞風見鶏にフラグをつけに行きましょう…お父様」

 

八幡「大丈夫か…おまえ虚無丸見た瞬間殺そうとしたりしないか? それに能力使いたくないだろ?」

 

陽子「あはっ、大丈夫ですよ!だてにお父様の血を引いてません!

リスクリターンは心がけてます!ホラッさっきだってお父様に注意された時すぐ自制したじゃないですか!」

 

八幡「そ、そうだな…」

 

陽子「それに私やお母様はお父様が大好きなんで本気で嫌がる事はしたくないんです」

 

八幡「おまえはともかくあの雪ノ…は、陽乃さんがな…にわかに信じられんが」

 

陽子「そんなことないですよ、お母様いつもお父様にかなり甘えてますよ~雪乃叔母ちゃんの前では姉の威厳を保つため控えめですか…

娘の私の前では気にせず」

 

八幡(いや…娘の前でも控えろよ)

 

陽子「能力だって愛するお父様を救うためなら…それにあのチンカス野郎なら罪悪感0ですしね!むしろ奴の未来を地獄に変えることができて楽しみですよ!」

 

八幡「お、おう…」

 

陽子「ほんとならお父様とお家デートしたかったです」

 

八幡「デ、デート…」

 

陽子「はい。家でゲームしたり、マンガ読んだり、DVD見たり、カマクラ撫でながらお話したりしたいです…そして///」ポッ

 

カマクラ(おいおい…普通、デートって外でやるもんじゃないの~遊園地とか映画館とか…)

 

八幡「陽子とデートするかはおいといて…そのプランはオレ好みだな」

 

カマクラ「ニャ!?」

 

陽子「さすがお父様わかってるぅ~♪なんでリア充どもはわざわざ外に出てHPと所持金を減らしてまで外でデートするか意味不明ですよ!」

 

八幡「だよな!外出るのめんどくせえし~うるせえし~家の中でも十分楽しいしな!

それに休日は休むためのものだ。わざわざ学校ない日に外に行って疲れて帰ってくるなんて休みになってねえじゃん。よってオレは間違ってない」

 

陽子「そうだ!そうだ!」

 

カマクラ(だめだこいつら……早く…なんとかしないと…)

 

八幡「ほんと…気が合うな、おまえが娘じゃなかったら惚れていたわ」

 

陽子「フフフ…うれしいですお父様。そういえば未来のお父様に聞きましたけど、静ちゃんがあと十年若かったらと思ったことあるそうですね」

 

八幡「そんなことまで知ってんのか…未来のオレしゃべりすぎだろ…」

 

陽子「そろそろ外に行きましょうお父様。その前にこれを」

 

八幡「サングラスと服…」

 

陽子「お父様と私が外に出る時のためにお母様が用意してくれました。お父様の魅力がわからない愚民共が私と歩いているお父様にいちゃもんつけてくるのを避けるために」

 

八幡「あの人がわざわざオレのために…」

 

八幡(オレの知ってるあの人なら、オレが嫌がったり困ったりするとおもしろそうにするのに…)

 

陽子「あとは髪型を変えればOKですね♪」

 

 

陽子「行ってくるねカマクラ帰ったら一緒に遊ぼう♪」

 

カマクラ「ニャ~」ゴロゴロ

 

八幡「短い間なのに結構なついてんな」・

 

 

八幡「なあ…」

 

陽子「なんですかお父様?」

 

八幡「そ、そんなにくっつかないでくれるか///」

 

陽子「え~いいじゃないですか♪お父様だってほんとうれしいくせに~」

 

八幡「いや…人が見てんだろ…それに知ってる奴に会っちまったら」

 

「ねえ、あの子すごくかわいくない!」

 

「彼氏も顔が結構整っているし素敵!」

 

「くぅ~あんな美人でスタイル抜群の子を連れているなんてうらやましい…」

 

「くっそー!イケメン[ピーーー]!」

 

八幡「ほ、ほら…なんか悪口いわれてんぞ…たぶん「なに、あの男怪しくない? めちゃキョドってるし、キモ~イw」とかいわれてんぞ」

 

陽子「はぁ…」

 

陽子(お母様から昔のお父様はマイナス思考だと聞いていましたがここまでとは…)

 

陽子「もっと自信もってくださいお父様…こんなに私がラブラブオーラ出しているんですよ。

それに周りの人達もお父様の悪口をいっているわけじゃありません。むしろカッコよくて男は妬んでるし、女は好感ももってます」

 

八幡「いや、いくら腐った目を隠してオシャレしたからってそんなこと…おまえはともかく」

 

陽乃「お父様以外の人に恋愛感情もたれても迷惑なだけです…それに私、基本的に男嫌いなのでお父様や戸塚さんとかの一部の男以外とは口も聞きたくないので…」

 

八幡「えっ、おまえ男嫌いなの?」

 

陽子「はい」

 

八幡「意外だったな…」

 

八幡(でも戸塚は大丈夫なんだな。さすがオレの娘わかってんじゃねえか!)

 

八幡(戸塚を知っているということは未来でも戸塚はオレと交流関係が続いているということか!やっぱり戸塚は天使だ!とつかわいい!フヒッ!)

 

陽子「フフフ…」

 

陽子(さて、このままお父様と二人でずっとイチャイチャしたいところですが…いつお父様の知り合いに気づかれるかわかりません。

変装しているとはいえ声はそのままなのですから…)

 

陽子(幸いな事にお父様の声を聞かなくても見抜けそうなこの時代のお母様は大学の友達と遠くの町で交流しているし…

さっさと虚無丸たちが遊んでいるカラオケ屋付近にいって)

 

陽子「まずは路地裏から先回りを…」

 

「うぎゃあああ!!」ドサッ

 

「なっ!? 一瞬でオレの仲間を…」

 

?「ごめんね~強くてさ!」

 

「ふざけんな!」

 

?「フン…」ボキッ

 

「ウボァァァ!!」

 

陽子「………」

 

陽子(どこの誰かは知らないけど巻き込まれると余計に時間をくいそう…近道はやめておこう。余計ないざこざにお父様を巻き込ませたくないし…)チラッ

 

八幡「?」

 

 

陽子「ここにいればそのうち来るからしばらく待ってよう」

 

八幡「ああ、おまえの能力はどうやって発動するんだ?」

 

陽子「相手を視認さえすればいつでもできるよ」

 

八幡「そうか…!?きた!虚無丸だ!」

 

戸部「はやとくぅ~んマジパネェ~」

 

大岡「さすが隼人だな」

 

大和「だな」

 

優美子「あーし、次カラオケやりたい~隼人一緒に歌うし!」

 

戸部「海老名さんもくればよかったのに~まじ残念だわ~」

 

葉山「はは、姫菜は秋葉原に行っているから無理だろ」

 

八幡(くっそ葉山の野郎…あんなリア充生活しておきながらなんでボッチのオレをそんなに目の敵にしやがるんだ

しかも数年後、友達の童貞風見鶏を騙してオレを逆レイプさせるとかマジサイテーだな!理性の化物と言われたオレでなければ今すぐ殴りにいっていたぞ)

 

八幡(いま思えば…オレの名前を知っていながら、わざとずーと間違って呼んでいるしな…オレの名前はヒキタニじゃなくてヒキガヤだっつの!!)

 

八幡(陽子が葉山を殺したくなるのも無理ないぜ…この世界の未来ではあの葉山のせいで産まれて来れなかったらしいからな)

 

八幡(そういややけにおとなしいな…オレの娘…)チラッ

 

陽子「………」<●><●>

 

八幡「!?」Σ(゚д゚;)

 

陽子「あのウジ虫めぇペラペラのんきに笑いやがって!!カス!ゴミ!何が「はは」だよ!!きめーんだよ有害物質が!!」ボソボソ

 

陽子「[ピーーー]よお前!!無能がよ!!雪乃叔母ちゃんの時も状況を悪化させた災厄の存在がぁ!!こりずに留美さんの時も同じような失敗起こそうとしやがって!

認知症かよ!それとも池沼かよ!いい加減気づけよ自分の無能さによぉぉ!!」

 

陽子「身の丈に合わない行動起こそうとするんじゃねえ![ピーーー]よマジで!!それが世の中のためだ!!!」

 

陽子「自分のグループの問題くらいてめーでなんとかしやがれ!!他力本願くせして何回もお父様のおかげで助けられておきながら、いちゃもんつけるとか何様だゴミ虫!!」

 

陽子「何おまえ? 自分が偉いと思ってやがるの? お父様と対等だと思っているの? まじふざけんな!!!二酸化炭素製造マシーンが!!

おまえのせいで地球上の貴重な酸素減らされてしまうだろうが!!この世から消えろよ地球上の害悪め!!」

 

陽子「おまえなんか道端のクソだ!クソ以下だ!クソが人間にたてつくんじゃねええ!!

お前のようなクズが人類全体がレベルを落としているんだよ!!」

 

陽子「てめーの汚物なような嫉妬心と独占欲でどれだけこの世界のお父様が未来で絶望したのかわかってんのか!!てめえの腐れきった嫉妬心と独占欲でお父様を傷つけ、お母様との仲を破壊しやがってぇ!!」

 

陽子「てめえみたいな偽善野郎が雪乃叔母ちゃんと結婚できるわけねえだろーが!!しかもお母様とお父様の婚約を雪乃叔母ちゃんと間違いやがって!!」

 

陽子「誰に聞いたかしらねーが同じ名字だからって、間違ってんじゃねーぞクソ野郎が!!爆破すんぞコラッ!!」

 

陽子「ああ…やっぱだめだわ~理性には自信があったけど…まさか実物を目にしただけでこれだけの憎しみと殺意で心がいっぱいになって溢れそうになるなんて…

フラグ操作して童貞風見鶏に強姦させて、童貞風見鶏なしで生きていけない体にして社会的殺そうと思ったけど…その程度じゃ生ぬるいわ」

 

陽子「やっぱりお父様は優しすぎる…たとえ未遂ですんだとはいえ自分をはめようとした汚物を殺さないでフラグを折るだけでいいとまでいいだすし」

 

陽子「私やお母様、雪乃叔母さんやいろはさんたちが説得して、さらに私が「我慢できず虚無丸殺しちゃうよ」と、いって

ようやくお父様も「陽子をあんな奴のために人殺しにさせたくない!」と、決心して作戦に賛成してくれましたが…ああーダメ…やっぱり虚無丸許せない…

よし!殺そう♪」

 

八幡「お、おいおい…」

 

陽子「ただ[ピーーー]だけじゃ気が収まらない…残虐極まりもないえげつない殺し方をしてやる…原型さえとどめられないように愉快なオブジェに変えてやんよ…フヒッ!」

 

陽子「どうやって殺そうかな~そうだ、そこらへんの不良どもを大金雇って、虚無丸を瀕死寸前までフルボッコにして放置させて、そこに知らないふりをした私が通りかかる…」

 

陽子「そして虚無丸は惨めに「た、助けてくれ」と救いを求めてくる主犯である私にさ~

そこで私は善人ぶって手を差し伸べる………そして奴がホッとして手を掴んだ瞬間」

 

陽子『なぁに』ニヤ

 

ブン

 

葉山『うわああああー!!!な、何するんだ!!!』

 

陽子「上空に投げ飛ばされた虚無丸は悲鳴をあげる」

 

陽子『動けないダニのフンなど必要ない![ピーーー]!!』

 

 

陽子「っと、爆死させて[ピーーー]か…」ボソボソ

 

八幡「」(°□°;)

 

陽子「それとも柱に張り付けにして千個のサッカーボールを猛スピードで撃ち当てて殺してやろうかな~

おしおきタ~イム!とかいってw」

 

陽子「いや、大昔の某有名サスペンスの女の犯人がやった自殺のように打ち上げ花火にセットして打ち上げるか…コナゴナにはじけて血の雨が降ってくるだろうな~

そしてあの名セリフ『けっ、汚ねえ花火だ』をいうw」

 

八幡「ちょ…」

 

陽子「ああ…やっぱりダメだよ…お父様との約束を破るなんてとんでもない…あの心優しいお父様が自分のせいで娘の手が血で染めてしまったと心を痛めてしまう…

だめよ陽子…自分のエゴを通して愛するお父様の気持ちを裏切っては………だったら」

 

八幡(思い止まったか…)

 

陽子「殺さなきゃいいんじゃん♪」<●><●>

 

八幡「」

 

陽子「そうよ。何も殺さなくてもあいつが苦しめばいいじゃん…死ぬより苦しい苦痛を与え続ければいいのよ…永遠に!」

 

陽子「殺して苦しみから解放されるなんて許されない!虚無丸なんて[ピーーー]価値すらない!」

 

陽子「指を一本一本切り落とす…ダメねシンプル過ぎて芸がないわ……やっぱりやるとしたらアカメが斬るエスデスやアリアぐらいはやらないと…」

 

陽子「でも私は未来に帰らないといけないから、ここにいつまでいられないし…そうなるとやっぱりうってつけなのは邪念樹かヒトモドキか」

 

八幡「さ、さすがにそれは…おい、頼むから正気に戻れ…」

 

陽子「邪念樹は相手に幻を見せた後、相手に取り憑いて死ぬまで悪夢を見せながら栄養を徐々に奪い取る、邪念樹はエサが死ぬまでを離されない…」

 

陽子「ヒトモドキは宿主に寄生する。そして宿主が傷ついてもすぐ治す、宿主の脳を破壊しないかぎり宿主は死なない。

つまり脳を破壊しないかぎり、いくら切り刻もうが何しようが死なないから好きなだけ拷問し放題ということ。

何これすごく便利!さすが蔵○!でもいくら私でも植物の知識は常人と変わらなから再現できないよ…そもそもマンガの魔界植物なんて作れるわけないし」ブツブツ

 

 

八幡「お、落ち着け!これ飲んで冷静になれ!」つマックスコーヒー

 

陽子「んぐっ!? んんっ!!」ゴクゴク

 

陽子「あ、あれ…お父様…? 私…」

 

八幡「正気に戻ったか…びっくりしたぞ。まるで別の作品のキャラクターみたいな顔になってたぞ」」

 

陽子「ウソ………どんな顔?」

 

八幡「ああ、遊戯王の闇バクラか闇マリク…アカメが斬るのアリアやセリューみたいなものすごい顔芸になってたぞ」

 

陽子「うう~お父様怖かった私の顔」

 

八幡「…正直かなりビビったがそれはオレのために怒っていたんだろう?」

 

陽子「…はい」

 

八幡「それに理性が崩壊しそうになっても未来のオレとの約束を守ろうと必死に耐えていた。

未来のオレが悲しまないように自制していたしな…おまえみたいな家族想いの娘がいて未来のオレは幸せ者だな」ナデナデ

 

陽子「お父様ーーー!!」ダキッ

 

八幡「さあさっさと用をすまそうぜ…おまえをここまで精神的に追い詰めたあいつを見ていたら、オレもいますぐ殴りなくなってくる!

おまえに我慢させたオレがそんなことするわけにはいかないからな!」

 

陽子「わかりました!お父様!」

 

 

八幡「これでオレの未来は変わったんだな?」

 

陽子「はい!虚無丸に人生を壊されることはなくなりました」

 

八幡「ありがとうな…娘とはいえわざわざ平行世界の未来からオレを助けにきてくれて」

 

陽子「何水臭い事言っているんですかお父様!」

 

八幡「?」

 

陽子「親子だから当然じゃないですか」

 

八幡「…陽子」

 

八幡(不覚にも泣きそうになった…)

 

陽子(あとは静ちゃんのフラグだけ)

 

陽子「ねえ最後にラーメン屋寄っていこうよ」

 

八幡「ラーメン屋?」

 

陽子「うんお父様が昔たまに行っていたラーメン屋!私が小さいころになくなっちゃったから食べていきたくて」

 

八幡「わかった。行こうぜ、好きなだけおごってやるよ」

 

陽子「やったー!」(≧∇≦)

 

八幡(なんて無邪気な笑顔…さっきとは別人だな。

それがあの虚無丸のせいであんな風に…ゆるせねえ!虚無丸なんてブラネ女王やモルボルみたいな顔の不細工女にストーカーされてしまえばいい!!)

 

陽子「あっ、でも静ちゃんが出没するかもだから声を出すのは控えておこうね。後でいろいろ面倒でしょ」(この日は絶対来るけどね)

 

八幡「だな…俺みたいなボッチがおまえみたいなかわいい奴と一緒に食事していたとバレたらショック受けちまうからな」

 

陽子(お父様には未来の静ちゃんの事とても言えない…)

 

 

ラーメン屋

 

静「いや~この世には同じ顔の人間が三人いるとは聞いていたが、ほんと君は見た目陽乃そっくりだな」

 

陽子「そうなんですか~」

 

静「ああ、だが性格は全く似てないな!コインの裏表、光と闇、黒と白のように真逆だ」

 

八幡(…どうやらオレに気づいてないようだな)ホッ

 

陽子「へえ~」

 

陽子(お母様がそうなったのは雪ノ下家のせいですよ)

 

陽子(とりあえず)ピッ

 

陽子(これでよし!お父様とお母様の結婚を応援してくれた静ちゃんには幸せになってもらいたいからね。

30代後半になった時、お父様に恋愛フラグたたないようしておいたよ…子持ちの結婚した男性に恋してずーと引きずるなんてつらい人生送って欲しくないから)

 

陽子(これで結婚できるかどうかは静ちゃんしだいだよ♪がんばってね!私の世界みたいにならないで…お幸せに)

 

 

比企谷家

 

陽子「うう…カマクラ~別れたくないよ…」ポロポロ

 

カマクラ「…ニャー」

 

八幡「どうしたんだ…なんでおまえ泣いているの?」

 

陽子「…お父様そろそろ陽子は未来に帰ります」

 

八幡「えっ、もう帰るのかよ…もう少しいても?」

 

陽子「私だって、もっとお父様とカマクラと一緒にいたいですよ…

でも、未来の…しかも平行世界の人間である私がこれ以上長くこの時代にいることができないの…」シュン

 

八幡「そ、そうなのか…」

 

陽子「そんな悲しそうな顔をしないでくださいお父様…うまくいけばきっとまた会えますから」

 

八幡「あ…ああ………」

 

八幡(オレいつからこんなにメンタル弱くなったんだ…こいつとこんなに別れたくないと思うなんて………プロボッチであるこのオレが…)

 

陽子「あの…お父様お願いがあります」

 

八幡「…なんだ?」

 

陽子「帰る前に私をギュッと抱きしめてください」

 

陽子「最後にお父様に抱きしめて欲しいの」

 

八幡「…わかった」ギュ

 

陽子「フフフ…」ギュウウ

 

八幡「おい、そんなに強く抱きしめられたら動け…んっ!?」

 

陽子「ちゅ…ん、んん…」

 

八幡(え!? なにこれ…オレ、キスされてる…未来のとはいえ実の妹にキスされてるーーーー!!!やわらか…じゃなくて!!ふりほどけねえ!!)

 

陽子「ん、はぁん…う、うん……んん~♪」

 

八幡「ん~!!」ジタバタ

 

八幡「プハー!!お、お、おおおまえ…何を///」

 

陽子「フフ…ワーイ!!お父様の初のディープキスもらっちゃった♪」

 

陽子「ここの世界のお父様はまだ誰ともキスしてないよね~私がお父様の初めての人…キャ///」(≧∇≦)

 

 

八幡「お、おおおおおまえ…その言い方はいろいろ誤解を招くからやめろ…人に聞かれたらいろいろとまずいから///」

 

陽子「大丈夫!家の中だからカマクラしかいないよ!」

 

カマクラ「ニャー」

 

カマクラ(めでたいなぁ~八幡)

 

八幡「くっ///」

 

八幡(いくらオレと似ているところが多かったからって、頭では娘だと理解できていても感覚的に100%娘だとまだ実感できねえんだよオレ…

おまえの母親とピーなことどころか恋人にすらなってねえんだからよ///)

 

八幡(ドキドキしない方が無理だ!高所恐怖症の人が頭ではここは大丈夫だと理解していても高い所から外を眺めることができないのと同じだ)

 

陽子「エヘヘ…これぐらいはゆるしてくださいねお父様♪私、お父様が大好きですから!!それではお父様!カマクラ元気でね」つゲートホルダー

 

キュイン

 

グオオオーン

 

 

八幡「陽子また会えるといいな」

 

カマクラ「ニャン!」(できるだけ長生き目指すか)

 

八幡「これは写真。あいつ一枚忘れていきやがった」

 

八幡(オレと陽乃さんと5歳ぐらいの時陽子の写真か…あの人…こんな優しく微笑むことができるんだな)

 

E子「ねえ陽乃」

 

陽乃「なに~E子?」

 

E子「昨日イケメンとデートしてたでしょ!」

 

陽乃「してないよ~今の所誰とも付き合う気ないし~」

 

E子「ウソばっかりーじゃあこの写真写っているの誰?」

 

E子「どうみても陽乃でしょ?このサングラスのイケメンは誰?」

 

陽乃「何をいって…!?」

 

陽乃(そこに写っていたのは私に全く似てない女の子だった…)

 

陽乃(こんなに素の姿を丸出しにして笑顔を浮かべるなんて…全く私と別の存在じゃない)

 

陽乃(私のよくつくられた仮面は分厚くて強固だ。ほとんど人が私の本性に気づかず仮面を見破ることができない。

そんな私とは逆に写真の女は腕を組んでいる男性を絶対的信頼と好意を持って心から笑顔を浮かべている

そしてその男は…)

 

陽乃(比企谷くん…)

 

陽乃(間違いない…比企谷くんだ。

いつもの腐った目はサングラスに隠され、髪型や服装がオシャレになっていても私の目は誤魔化せない。これは比企谷くんだ)

 

陽乃(ほとんどの人が気がつかないだろうけど、私の観察眼にかかれば簡単に見抜ける)

 

E子「ねえ~陽乃この男誰よ~結構顔整っているし…なんかクールぽくてかっこよくない///彼氏じゃないなら紹介してくれない」

陽子(全く…この写真の女と私が違うと見分けることができないなんて…一体どんな目をしているんだろう。まあ所詮は凡人だからしかたないか(笑)

比企谷くんぐらいの観察眼がないと私の仮面を見抜けないからね)

 

陽子(まあ…外見だけならたしかに私によく似ているけど中身は全く別物。

私は十年以上人前で心から微笑んだことなんてない)

 

陽子(とりあえず目の前の駒がうるさいから黙らせちゃおうか)

 

陽乃「昨日はA子たち合わせて5人で○○町で遊んでいたんだもん」

 

E子「えっ?」

 

陽乃「ほら、写真」

 

E子「あっ…」

 

陽子「フフ…それでも信じられないならA子たちに聞くといいよ。レシートならC美がもっていると思うから…それに」

 

E子「それに…」

 

陽乃「私にはそんなアホ毛生えてませーん」

 

E子「ああー!!」

 

陽子(外見が私とそっくりな女の子と一緒にデートだなんて…これは比企谷くんに詳しく聞かせてもらう必要があるねえ~)

 

 

数年後

 

葉山(くくく…これでヒキタニは終わりだ)

 

大岡「………」

 

葉山(大岡は俺の言葉を信じきっている!俺の言葉通りに動く!これからヒキタニは大岡に掘られて深い心の傷をおうのだ!あはははは!!)

 

葉山(雪乃ちゃんは俺のものだ!)ガシッ

 

葉山「えっ?」

 

大岡「………」

 

葉山「大岡…どうした?」

 

大岡「………」

 

葉山「大岡…?」

 

大岡「やらないか?」

 

葉山「!? と、突然何をいって…」

 

大岡「隼人かわいいよ~お持ち帰りしてえ~」(;´Д`)ハァハァ

 

葉山「えっ………」ゾクッ

 

大岡「はやとぉぉぉぉぉぉ!!!!!」

 

葉山「いぎゃああああああああああ!!!!!」

 

 

未来(陽子の世界)

 

陽子「ただいま戻りましたわお母様♪」

 

陽乃「お帰りなさい陽子ちゃん♪。それでどうだった過去の八幡?」

 

陽子「すごく素敵だったよ♪優しくてカッコよくて、カマクラもかわいかったよ」

 

陽乃「そう、良かったね♪虚無丸は」

 

陽子「うんバッチリだよ!そういえば雪乃叔母ちゃんは?」

 

陽乃「静ちゃんを慰めにいったよ」

 

陽子「そっか…」

 

陽子(私…とうとうお父様と念願のファーストキスを///し、幸せ…)

 

陽乃「!?」

 

陽乃「陽子ちゃんまさかあなた八幡に…」

 

陽子「うん♪ファーストキスあげちゃった///エヘヘ」(≧∇≦)

 

陽乃「こら!陽子ちゃん!親子同士はダメといつも言っているでしょ!」プンスカ

 

タダイマー

 

陽子「あっ、お父様が帰ってきた♪」

 

陽乃「さては陽子ちゃんが気になって速攻で仕事片付けて帰ってきたね♪」

 

陽乃(もうお姉さん…八幡分が不足気味だよ~今日も八幡にたっぷり注入してもらわないと♪)

 

陽乃「少なくても八回はね♪」

 

 

翌日

 

陽乃「ZZZ…」

 

八幡「九回もやってしまった…若いなオレも」フッ

 

八幡(いくら昔から8度勃つと言われているヤツメウナギを食べたとはいえ…これも陽乃が可愛すぎるからだ)

 

陽乃「ZZZ…」

 

八幡「この美貌にこのスタイルほんと女神だな…」

 

八幡(魔王はるのんはどこいった?)

 

陽乃「おはよう八幡♪」

 

八幡「おはよう陽乃」

 

陽乃「ゆうべはお楽しみでしたね♪」

 

八幡「自分でいうな自分で」

 

陽乃「ウフフ…」

 

八幡(陽子が昨日行ってきた平行世界のオレは葉山に人生を狂わされることなく無事陽乃と結ばれたらしい…)

 

八幡(なぜかオレたちより早くあの世界のオレたちは付き合いだしたらしい…陽子に会った影響か? あと平塚先生は四十前にかなりいい人と結婚できたし、ほんと良かった…)

 

八幡(ただあの世界でE子さんがオレに惚れることは本来なかったのだが、変装して出かけていたのを見られたことが原因らしい…)

 

陽乃「はちま~ん」ダキッ

 

八幡「陽乃」ギュ

 

陽乃「しよ♪」

 

八幡「おいおい昨日散々やりまくっただろう?」

 

陽子「八幡とならいくらでもできるよ!!それとも…いや」ウルウル

 

八幡「わかったよ。今日会社は休みだし…やるぞ陽乃」

 

陽乃「八幡大好き♪」チュ

 

 

 

 

 

 

 

 

元スレ

?「はじめましてお父様!娘の陽子です」八幡「…新手のサギか?」

http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1436281082/

 

暦「僕と別れてくれないか」 ひたぎ「そう、わかったは、チェンソーでいいかしら」【化物語ss/アニメss】

 

戦場ヶ原「あら阿良々木君、何をふざけたことを言ってやがるのかしら」

 

阿良々木「すまない戦場ヶ原」

 

戦場ヶ原「謝らないで。ところで何を言ったの」

 

阿良々木「僕と別れてくれないか」

 

戦場ヶ原「そう、細胞分裂したいのね。わかったは、チェンソーでいいかしら」

 

阿良々木「それは僕が真っ二つに分かれるってことだろうが!というかチェンソーがあるのか!?」

 

戦場ヶ原「コンビニに売っているわよ、知らないの」

 

阿良々木「少なくとも僕が行くようなコンビニにはない!」

 

阿良々木「戦場ヶ原、僕はお前のそういうところにもう付いていけないんだ」

 

戦場ヶ原「どういうところかはっきりと言いなさい。そういうところ、阿良々木君の悪いところよ」

 

阿良々木「ツン過ぎてデレが少ないところだよ!」

 

戦場ヶ原「大好きよ阿良々木君」

 

阿良々木「いきなりデレた!?」

 

戦場ヶ原「てへり、どう?」

 

阿良々木「かわいくないっ!いきなり頭をこつんとしてベロを出したところで無表情なお前ではかわいくないっ!」

 

戦場ヶ原「あら失礼ね。こんなに尽くす彼女は他にいないわ、そうこの宇宙のどこにも」

 

阿良々木「規模がでかい!!」

 

戦場ヶ原「私のどこが悪いのかしら」

 

阿良々木「さっき言っただろ。僕はそう、もっと普通な恋人が欲しいんだ」

 

戦場ヶ原「普通とは何かしら。阿良々木君、あなたはもしかして自分の思う、考える全てが普通だとでも思っているの」

 

阿良々木「別にそうじゃない。でもな、眼球に鉛筆の先を突き立てられる彼氏の身にもなってみろ」

 

戦場ヶ原「不満かしら」

 

阿良々木「不満しかねぇよ」

 

戦場ヶ原「もっとハードなプレイがいいのね」

 

阿良々木「そうじゃない!!もっとソフトにしろ、むしろ優しくしろっ!!」

 

戦場ヶ原「それよりも阿良々木君、わたしはうまいぼぉが食べたい気分」

 

阿良々木「露骨に話題を変えてきた!」

 

戦場ヶ原「私が好きなのは、お好み焼き味よ。知ってたかしら」

 

阿良々木「知らない!というかうまいぼぉの話題なんてした覚えがないんだが」

 

戦場ヶ原「そんな、うそ、知らないなんて……」

 

阿良々木「そこまでショックを受けることか?」

 

戦場ヶ原「いいえ、別にどうでもいいわ……でも、一番好きなのは阿良々木君よ」

 

阿良々木「キュンとこない!!無理やり過ぎる言葉運びで胸にキュンとこない!!」

 

戦場ヶ原「ねぇ、そんなことより」

 

阿良々木「そんなこともどんなこともない。戦場ヶ原、俺はお前とはいっしょに居られないんだ」

 

戦場ヶ原「どうして、なぜ。本当に私には理解できないの」

 

阿良々木「なぁ戦場ヶ原。お前は本当に心当たりがないのか」

 

戦場ヶ原「ないわ」

 

阿良々木「即答かよっ!!」

 

戦場ヶ原「強いて言うなら……大丈夫よ阿良々木君。確かにあなたと比較すると、釣り合いが取れないのかもしれないけれど」

 

阿良々木「僕の容姿のことを言ってるんだな!?そうなんだな!?」

 

戦場ヶ原「体重の話しよ」

 

阿良々木「体重で釣り合う恋人ってどうなんだ!?」

 

戦場ヶ原「……阿良々木君」

 

阿良々木「なんだよ」

 

戦場ヶ原「今夜は帰さないわよ」

 

阿良々木「かっこいいこと言った!?」

 

戦場ヶ原「ふふん」

 

阿良々木「……戦場ヶ原、どうすれば僕の話を聞いてくれるんだ?」

 

戦場ヶ原「そうね。キス、しましょう阿良々木君」

 

阿良々木「お、おい戦場ヶ原……いきなりそんな寄ってくるな……」

 

戦場ヶ原「どうしてかしら。私たちは恋人よ、キスくらいなら私にだってできるわ」

 

阿良々木「とりあえず落ち着け!」

 

戦場ヶ原「……」

 

戦場ヶ原「仕方ないわ。今だけは言うことを聞いてあげる、感謝なさい阿良々木君」

 

阿良々木「あーありがとう戦場ヶ原っ!」

 

戦場ヶ原「なによその態度。割と本気で傷つくのだけれども」

 

阿良々木「すまん。確かに少し悪かった」

 

戦場ヶ原「じゃあもっと私を大切にしなさい」

 

阿良々木「はい、そうしま……じゃない!!」

 

戦場ヶ原「……ちっ」

 

阿良々木「いま舌打ちしたのか!?戦場ヶ原、恐ろしい子!!」

 

阿良々木「とにかく、別れないか僕ら」

 

戦場ヶ原「いやよ」

 

阿良々木「どうしてなんだ。自分で言うのもなんだが、僕みたいなさえない男は他にたくさん――」

 

戦場ヶ原「あなたはばかだったわね。阿良々木君ほどの男の子なんてそう居ないわ」

 

阿良々木「吸血鬼属性のことを言っているのか」

 

戦場ヶ原「鈍感もここまでくると凶器かしら。鈍器で殺害できるレベルね」

 

阿良々木「僕の鈍感さで人を殺してしまうのか!?」

 

戦場ヶ原「少なくとも」

 

阿良々木「否定しろよ!!」

 

阿良々木「そう、そこなんだ戦場ヶ原」

 

戦場ヶ原「そことはどこを指して言っているの。もしかして、いやだわ、厭らしい……」

 

阿良々木「やめて、そんなゴミを見るような目で机の上から見下さないで!!」

 

戦場ヶ原「もっと見下してあげる」

 

阿良々木「天井の柱にまで登るくらいか!?というか落ちたら危ない!!」

 

戦場ヶ原「心配してくれているのね、嬉しいわ」

 

阿良々木「誰だって心配する、降りてくるんだ戦場ヶ原」

 

戦場ヶ原「優しく受けてとめて」

 

阿良々木「飛び降りる予告をするな!」

 

阿良々木「とにかくだ戦場ヶ原。その僕を罵倒する数々の暴言が耐えられなくなってきたんだ」

 

戦場ヶ原「…………」

 

阿良々木「だから、別れよう。きっと僕らは上手くいかない」

 

戦場ヶ原「あら、目にゴミが入ったかしら。目薬を差してくるわ」

 

阿良々木「ああ、それくらいなら」

 

戦場ヶ原「いやよ、別れたくないわ」ウルウル

 

阿良々木「だから露骨すぎるぞ戦場ヶ原!?」

 

戦場ヶ原「女の涙は武器なのよ、知らなかったのね」

 

阿良々木「偽者の武器なんて通用するか」

 

戦場ヶ原「…ええ、偽者よ。でも阿良々木君にならもしかするとと思って」

 

阿良々木「その自信はどこから来るんだ!?」

 

阿良々木「別れよう、戦場ヶ原」

 

戦場ヶ原「これで5度目の別れ話です」

 

阿良々木「どこかの帰国子弟がボーカルのバンドグループの数字ばかりのタイトルの歌詞の一部を引用したような言い方をするな」

 

戦場ヶ原「私の答えは、いやよ」

 

阿良々木「……どうすれば別れてくれるんだ」

 

戦場ヶ原「阿良々木君と今別れてしまうと、きっと他の女の子達が黙っていないと思うの」

 

阿良々木「まさか。僕はモテない非実在的青少年だぞ」

 

戦場ヶ原「その鈍感さ、何度も言うけれど人を殺すわよ。少なくとも私が死にそう」

 

戦場ヶ原「逆に問いかけるわ。どうすれば別れないで済むのかしら」

 

阿良々木「残念ながらその選択枝はどこにもない」

 

戦場ヶ原「待っていればバッドエンドを回避できるっていう」

 

阿良々木「そんな都合のいい展開はない」

 

戦場ヶ原「ご都合主義って知っているかしら阿良々木君」

 

阿良々木「真に残念だがこれは現実だ。ジャプの週刊誌の主人公のような展開は用意されていない」

 

戦場ヶ原「なら私は私なりの方法で阿良々木君を引き止めるしかないのね」

 

阿良々木「お前はどうしてそこまで意固地になっているんだ」

 

戦場ヶ原「あなたが好きだから」

 

阿良々木「……」

 

戦場ヶ原「キュンとしたかしら」

 

阿良々木「認めたくないが、認めるしかない……」

 

戦場ヶ原「そう」

 

阿良々木「しかしだ、これはあくまでも数字にすると1キュンだ。今までの数え切れないツンに比べると些細なものでしかない」

 

戦場ヶ原「でも阿良々木君、考えてもみて欲しいの。私と別れるということはこのキュンを味わうことができなくなってしまうのよ」

 

阿良々木「キュンを頂く前にお前の暴言に僕が潰されてしまいそうだ」

 

戦場ヶ原「大丈夫、工作なら得意よ」

 

阿良々木「そういう問題じゃねぇ!というか僕の心はもっと繊細だ!」

 

戦場ヶ原「何を言っているのかしら、あなたの肉体の話をしているのよ」

 

阿良々木「暴言だけで潰れる僕の肉体!工作程度で治されてしまう僕の肉体ってなんなんだ!!」

 

戦場ヶ原「……えと」

 

阿良々木「そろそろ僕は帰りたいのだが」

 

戦場ヶ原「何を言っているの阿良々木君。まだ話しは終わっていないのよ」

 

阿良々木「二人の関係はもう終わりそうだけどな」

 

戦場ヶ原「お願い、待って、もう少しだけでも話しをしましょう」

 

阿良々木「……」

 

戦場ヶ原「お願い……します、阿良々木君」

 

阿良々木「お前のそんな顔、初めて見た」

 

戦場ヶ原「それもそうよ。なんだか、今行かせてしまうと、もう元の関係には戻れない気がするのよ」

 

阿良々木「……わかったよ戦場ヶ原。でも、家に電話くらいはさせてくれ。もう夜中に差し掛かる時間帯だ」

 

戦場ヶ原「わかったわ」

 

阿良々木「電話をしてきた。火憐ちゃんがすごく怒ってた」

 

戦場ヶ原「……どうかしら」

 

阿良々木「っておい戦場ヶ原!なんでお前下着姿になってんだ!」

 

戦場ヶ原「腹を割って話しましょう阿良々木君」

 

阿良々木「だからって腹を見せる必要はない!風邪を引かれたら困るから、早く服を着てくれ!」

 

戦場ヶ原「本当にそれでいいのかしら。女の子の下着姿なんてそう易々と見られるものでもないと思うのだけど」

 

阿良々木「……服を着るんだ戦場ヶ原。それだとマジメな話しができないだろ」

 

戦場ヶ原「わかったわ阿良々木君。だからそう怒らないで欲しいの」

 

阿良々木「ああ。ってどうしてパジャマなんだ!?」

 

戦場ヶ原「もう布団も敷いてあるわ」

 

阿良々木「既成事実を作ろうとしている!」

 

戦場ヶ原「ねぇ阿良々木君、今日はどんな日だったかしら」

 

阿良々木「お昼過ぎに待ち合わせして、買い物行って」

 

戦場ヶ原「あまり面白くなかった映画を見て、晩御飯をいっしょに食べたわ」

 

阿良々木「普通のデートだな、客観的には」

 

戦場ヶ原「阿良々木君とのデート、すごく楽しかったわ」

 

阿良々木「その間、遅刻もしていないのに遅刻扱いにされ、買い物では我侭を言われ、ポップコーンは思わせぶりなあーんだけだった」

 

戦場ヶ原「え」

 

阿良々木「晩御飯なんて、僕が作ったのに美味しいとも言ってくれなかった」

 

戦場ヶ原「それは全部照れていたのよ、理解して」

 

阿良々木「いま素直になられても信用できないぞ戦場ヶ原」

 

戦場ヶ原「いま素直にならないと、阿良々木君を手放してしまいそうだからよ」

 

阿良々木「もう僕はお前がわからないんだ。だから僕はお前といっしょに居ても」

 

戦場ヶ原「それ以上言うと、ホッチキスで口内を刺すことになるのだけど」

 

阿良々木「はは、そういえば最初もそんな出会いだった気がする」

 

戦場ヶ原「ふふふ、ええ、そうだったわ」

 

阿良々木「……」

 

戦場ヶ原「……」

 

阿良々木「なぁ」

 

戦場ヶ原「いや、別れるなんて絶対にいや。もしそうなると、私はあなたを殺すしかない」

 

阿良々木「神原でも殺し切れない僕をどうやって殺すんだ」

 

戦場ヶ原「一生かけてでも殺してみせるわ」

 

阿良々木「まるでストーカーみたいだな」

 

戦場ヶ原「いいえ、スナイパーよ」

 

阿良々木「命の危機がより高まった!」

 

阿良々木「……」

 

戦場ヶ原「ココアでも入れましょうか」

 

阿良々木「いいや結構だ」

 

戦場ヶ原「そう……」

 

阿良々木「……せんじょう」

 

戦場ヶ原「じゃあトランプをしましょう阿良々木君」

 

阿良々木「そんな空気じゃないと僕は思う」

 

戦場ヶ原「……そう」

 

阿良々木「いつまで話題を反らすつもりなんだ戦場ヶ原」

 

戦場ヶ原「いつになく強気ね」

 

阿良々木「お前を相手にしているんだからな。これくらい強気にならないと話しができない」

 

戦場ヶ原「買い被られたものね。私だったその辺りにいる普通の女の子なのよ」

 

戦場ヶ原「今だって必死にあなたを引き止める術を考えているの」

 

阿良々木「……」

 

戦場ヶ原「素直じゃない、ひねくれた私がだめかしら。それとも、ツンばかりで暴言が多い私がだめなのかしら」

 

阿良々木「それは」

 

戦場ヶ原「両方とも、よね。いいえ、もしかすると、もっと何かがあるのかもしれない」

 

阿良々木「……」

 

戦場ヶ原「我侭なところ? めんどくさいメンヘラ女なところ? ねぇ、お願い、教えて……下さい……」

 

阿良々木「いろいろと理由はあるんだが、最大の理由はお前がもう信じられないんだ」

 

戦場ヶ原「阿良々木君に嘘を言ったことなんてないわ」

 

阿良々木「そうかもしれない。いや実際にはお前の言う通りだ。僕はお前に嘘をつかれたことがない。でも、だからこそ、罵倒や暴言も事実と受け止めたとき、お前の愛が信じられない」

 

戦場ヶ原「そんな」

 

阿良々木「何でも言おう、改めて言わせてもらう。別れよう、戦場ヶ原」

 

戦場ヶ原「……目薬を差してきます」

 

阿良々木「また目にゴミが入ったのか」

 

戦場ヶ原「……」

 

阿良々木「おい、少し目薬やりすぎじゃないのか」

 

戦場ヶ原「黙りなさい。あまりに大きなゴミが入ってしまったせいで」

 

阿良々木「……戦場ヶ原?」

 

戦場ヶ原「だめ、ゴミが取れないの。目薬が足りないなんて初めての経験ね」

 

阿良々木「もう止めろ。逆に目に悪いっ!」

 

戦場ヶ原「なっ!? 離しなさい阿良々木君っ!」

 

阿良々木「もしかして、泣いているのか?」

 

戦場ヶ原「……目にゴミが入っただけ、何度も言わせないで」

 

阿良々木「だが」

 

戦場ヶ原「離しなさいっ! もう、これ以上惨めな思いをさせないで、私を見ないで」

 

阿良々木「……」

 

戦場ヶ原「お願い阿良々木君、本当にお願い。私と別れるなんて言わないで」

 

阿良々木「……無理だ。お前の涙を見ても、それが本当なのかどうかさえ解らない」

 

戦場ヶ原「私が解らないというなら、それなら少しづつ私を教えてあげるから」

 

阿良々木「……」

 

戦場ヶ原「私の好きな食べ物も、ブランドも、本も、趣味も、なにもかも教えるから。好みが合わないというならあなたに合わせる。あなたが好むものがあるなら、願うものがあるなら精一杯叶えてみせる手に入れてみせる」

 

阿良々木「……僕が欲しいのはそういうものじゃない」

 

戦場ヶ原「……初めて、今までで初めて阿良々木君が解らなくなってきた」

 

戦場ヶ原「……阿良々木君」

 

阿良々木「どうした戦場ヶ原、僕の手を掴んでどうするつもりなんだ」

 

戦場ヶ原「……」

 

阿良々木「戦場ヶ原! どうして胸に持っていく必要がある!」

 

戦場ヶ原「……ねぇ阿良々木君、私の胸、鼓動が激しいのわかるかしら」

 

阿良々木「……」

 

戦場ヶ原「今日は、最初のうちは大好きな阿良々木君とのデートで胸が高鳴っていたわ。でも今は…、あなたと別れるのが怖くてこんな風になってしまったの」

 

阿良々木「戦場ヶ原……」

 

戦場ヶ原「お願い阿良々木君、もう一度だけチャンスを下さい。あなたが望むものを与えられるように努力する……」

 

阿良々木「……」

 

戦場ヶ原「……阿良々木君」

 

阿良々木「別れよう」

 

戦場ヶ原「……」

 

阿良々木「もう、戦場ヶ原も解っているだろ。もとには戻れない」

 

戦場ヶ原「……」

 

阿良々木「今までありがとうな、こんな冴えない奴を好きになってくれて」

 

戦場ヶ原「……」

 

阿良々木「……離してくれないだろうか」

 

戦場ヶ原「……や、よ」

 

阿良々木「……戦場ヶ原?」

 

戦場ヶ原「いや、いやに決まってるわ……うぅっ……」

 

阿良々木「で、でもだな」

 

戦場ヶ原「だってこんなの……私が一方的に悪いみたいで……ひっく……でも、じ、実際には……私が……」

 

阿良々木「ごめんな」

 

戦場ヶ原「謝らないで……うぅ、ひっく……阿良々木君は悪くない……から……」

 

阿良々木「……もう、お互い辛いだけだと思うんだよ」

 

戦場ヶ原「いやぁっ……おねがいです、おねがいします……おねがいだからぁ……ひっ、うぅぅ……あぁ」」

 

阿良々木「……」

 

戦場ヶ原「好きなの、あなたが好きで、あなたに会えるだけで毎日幸せで、それだけでいいの……」

 

阿良々木「……もうやめよう戦場ヶ原」

 

戦場ヶ原「―――っ!!!」

 

阿良々木「さよならだよ」

 

戦場ヶ原「いやっ、おねがい、行かないで!」

 

阿良々木「でも安心しろ、当分は誰かと付き合ったりはしないからさ」

 

戦場ヶ原「そうじゃないっ!! わたしが、わたしが阿良々木君の隣にいられないなら、それなら……」

 

阿良々木「……ああ、そうだよな」

 

戦場ヶ原「……あなたを殺すわ」

 

阿良々木「はは、まさかカッターナイフで……元カノに腹を……引き裂かれるなんてな…………」

 

戦場ヶ原「……」

 

阿良々木「……」

 

戦場ヶ原「……うぅ、あああ……ぁぁ、ひっく……うぅうぅう」

 

阿良々木「ごめんな、この程度じゃ死なないんだよ僕は」

 

戦場ヶ原「……いいえ、死んだわ……わたしが好きだった阿良々木暦は死んだ、死んでしまったから……」

 

阿良々木「……そうか」

 

戦場ヶ原「もう帰って……ゾンビは怖いわ……」

 

阿良々木「ああ、帰るよ。戦場ヶ原」

 

戦場ヶ原「……さようなら」

 

阿良々木「……さようなら」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

阿良々木「……もうやめよう戦場ヶ原」

 

戦場ヶ原「―――っ!!!」

 

阿良々木「さよならだよ」

 

戦場ヶ原「いやっ、おねがい、行かないで!」

 

阿良々木「でも安心しろ、当分は誰かと付き合ったりはしないからさ」

 

戦場ヶ原「そうじゃないっ!! わたしが、わたしが阿良々木君の隣にいられないなら、それなら……」

 

阿良々木「……ああ、そうだよな」

 

戦場ヶ原「……あなたを殺すわ」

 

阿良々木「…………」

 

戦場ヶ原「……」

 

阿良々木「……」

 

戦場ヶ原「……」

 

阿良々木「……なぁ、僕はてっきり刺されるかと思っていたんだが」

 

戦場ヶ原「ふふ、そんなこと……できるはずないわ……ばか」

 

阿良々木「どうしてなんだ戦場ヶ原」

 

戦場ヶ原「いい加減に理解しなさい。私は阿良々木君が好き、愛しているの、傷付けたくなんてないの」

 

阿良々木「戦場ヶ原?」

 

戦場ヶ原「きっとこのカッターナイフで刺してしまうと、阿良々木君の心まで傷つけてしまいそうだと思ったのよ」

 

阿良々木「……」

 

戦場ヶ原「阿良々木君はお人よしで優しいから、きっと私の全部を受け入れてくれるから。このカッターナイフだってきっと真っ直ぐ受け入れてしまうわ」

 

阿良々木「……戦場ヶ原」

 

戦場ヶ原「そうして私の失恋をまっすぐ受け入れてしまって、自分ばっかり背負い込んで……」

 

阿良々木「それこそ僕を買いかぶり過ぎだ」

 

戦場ヶ原「……ねぇ阿良々木君、どうして私と別れたいって思ったのかしら」

 

阿良々木「だからそれは何度も言っているだろう。お前の暴言とか」

 

戦場ヶ原「嘘はよくないわ阿良々木君」

 

戦場ヶ原「あなたはわたしを甘く見ているのね。私は、阿良々木ストーカーなのよ、あなたの知らないことなんて何一つないわ」

 

阿良々木「それは違うな戦場ヶ原。僕は素直な気持ちでお前と別れようと思ったんだ」

 

戦場ヶ原「……いいえ違うわ。そんなの、阿良々木君が言うような言葉ではないもの」

 

阿良々木「……」

 

戦場ヶ原「何が怖いのかしら。本音を言う事?それとも、自分のこと?」

 

阿良々木「だからっ!」

 

戦場ヶ原「正直に話してちょうだい」

 

阿良々木「それは命令なのか?」

 

戦場ヶ原「お願いよ。私の命を懸けてもいい」

 

阿良々木「……」

 

阿良々木「どうしてそんなことに命を懸けられるんだお前は」

 

戦場ヶ原「それはね、あなたを誰よりも、何よりも信じているからよ」

 

阿良々木「……」

 

戦場ヶ原「別に阿良々木君は気にしなくていいわ。遺書には彼氏にふられて自殺しましたって書くもの」

 

阿良々木「はは。それだと僕に対する世間の目が厳しくなってしまうな」

 

戦場ヶ原「そうなりたくなかったら、正直に理由を話しなさい」

 

阿良々木「……わかったよ、言うよ」

 

阿良々木「実は僕はすごく怖がりだ」

 

戦場ヶ原「そうなの」

 

阿良々木「そして自分のことばかり考えている最低な奴だ」

 

戦場ヶ原「私ほどではないけど?」

 

阿良々木「あはは。あとさ、僕って吸血鬼属性だろ」

 

戦場ヶ原「ええそうね」

 

阿良々木「……きっと、あと数百年以上は生きるだろう」

 

戦場ヶ原「……」

 

阿良々木「そうするとさ、きっと将来、周りには誰もいないんだよ」

 

戦場ヶ原「……ええ」

 

阿良々木「もちろんお前もだ。羽川も神原も千石も、八九寺だってどうなるかわからない」

 

戦場ヶ原「そうね」

 

阿良々木「妹たちや、僕の両親もいない」

 

戦場ヶ原「ええ」

 

阿良々木「そして何よりも苦痛なのは、お前がいなくなることなんだ」

 

戦場ヶ原「……」

 

阿良々木「これ以上さ、お前を好きなると……別れが怖いんだよ」

 

戦場ヶ原「……阿良々木君」

 

阿良々木「きっと、生きている限りはお前を忘れられない。記憶だって色あせさせない自信がある。今までだって、お前との思い出は大事にしてある」

 

戦場ヶ原「やばい、かっこよすぎ……」

 

阿良々木「だからって、僕は将来自殺をする訳にもいかない。僕一人の命じゃないから」

 

戦場ヶ原「……」

 

阿良々木「だから、これ以上お前を好きになる前に、別れてしまえばって……はは、本当に僕って最低な奴だ、臆病者だな」

 

戦場ヶ原「そうね、その通りだわ」

 

阿良々木「ああ、そうだ……」

 

阿良々木「これでわかっただろ。僕がお前と別れたい理由をさ」

 

戦場ヶ原「わかったわ」

 

阿良々木「じゃあ、これでさよならだ」

 

戦場ヶ原「あなたは何を言っているのかしら?」

 

阿良々木「……は?」

 

戦場ヶ原「そんなあなたの身勝手な理由で別れるとでも思っているのかしら。このど低脳は本当にどうしようもないわ。あなた本当に人間?」

 

阿良々木「いや、吸血鬼だ。というか突然元気になったな戦場ヶ原……」

 

戦場ヶ原「元気じゃないわ。というかこれは照れ隠し」

 

阿良々木「はぁ?」

 

戦場ヶ原「そんな、数百年先の未来まで続く愛の告白を受けて喜ばない女なんていないわ。少なくとも私は嬉しいと思うけれど」

 

阿良々木「……お前って本当に変わっているよな」

 

戦場ヶ原「それに、これで二度目よ。あなたの前で泣いてしまったの」

 

阿良々木「確かに」

 

戦場ヶ原「一度目はまぁいいとしましょう。でも、今回のは許せない。忘れなさい、私が泣いてしまったこと」

 

阿良々木「なんでだよ」

 

戦場ヶ原「……私は普通の人間だもの、あと70年くらいすれば死ぬかもしれない」

 

阿良々木「……」

 

戦場ヶ原「だから、私の残りの人生において、あなたの前だけでは笑顔であり続けるわ」

 

阿良々木「どうしてだよ」

 

戦場ヶ原「そうすれば、あなたは私と過ごした幸せな記憶を胸に抱いて生きていけるじゃない」

 

阿良々木「……戦場ヶ原」

 

戦場ヶ原「悔しいかしら。一度は泣かしたはずの女が、常に笑顔でしか思い出せなくなってしまうなんて」

 

阿良々木「……ああ、悔しいさ!」

 

戦場ヶ原「だから阿良々木君、わたしと今別れるなんて言わないで頂戴」

 

阿良々木「戦場ヶ原、お前」

 

戦場ヶ原「私が死んでしまった先でも、私を思い出す度に幸せな気持ちになれるように呪いをかける必要があるんだもの」

 

阿良々木「……そうか、俺は呪われる必要があるんだな」

 

戦場ヶ原「ええそうよ、その通りよ。だから、これからもずっと宜しくお願いするわ」

 

阿良々木「そこまで言われてしまったら、僕も言い返すことができなくなるな。ああ、よろしく。死が二人を分かつそのときまで」

 

 

―――――

――――――――・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

~~~数百年後~~~

 

 

忍「カカ、お前様、どうしたんじゃ? 空ばかり見上げてにやにやしおって」

 

暦「ああ、昔のことを思い出していたんだよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

元スレ

阿良々木「戦場ヶ原をフッてみる」

https://hayabusa.5ch.net/test/read.cgi/news4vip/1330092418

 

 

打ち止め「ねーねー、あーそーぼ?ってミサカはミサカは」 一方「あァ?メンドクセェ…」【とあるss/アニメss】

 

打ち止め「ねーねー、あーそーぼ?ってミサカはミサカは営業スマイルでおねだりしてみたり!」グイグイ

 

一方「あァ?メンドクセェから芳川か番外個体と遊ンで来いよ…」ゴロン

 

打ち止め「ミサカはあなたと遊びたいのーってミサカはミサカはぐいぐいぐいーっ!」グイグイグイグイ

 

一方「あァ…わかった、わかった…何がしてェンだ」

 

打ち止め「じゃあなぞなぞしよう!ってミサカはミサカは第一希望を述べてみる!」

 

一方「ンじゃオマエが問題出せよ」ゴロゴロ

 

打ち止め「うん!じゃあ第一問!」ターラン♪

 

 

打ち止め「パンはパンでも食べられないパンは?ってミサカはミサカはオーソドックスな問題を出題してみたり!」

 

一方「…」

 

 

一方「パンスト」

 

打ち止め「」

 

 

打ち止め(いや確かに食べられないけどってミサカはミサカは期待した答えが来なくて戸惑ってみたり)

 

 

打ち止め「せ、正解…かなってミサカはミサカはおまけで○をあげてみたり」

 

一方「ちなみによォ」

 

打ち止め「?」

 

 

一方「その理屈で言うと"パ"ッショ"ン"、パターン、パビリオン、パウンド、パンクラス、パンドラ、パンプスなンかも正解なのか?」

 

打ち止め「…り、理屈の上では…?ってミサカはミサカは意外な掘り下げにビックリしてみたり」

 

 

打ち止め「じゃあ今度はあなたが出して!ってミサカはミサカはハリーハリー!」ヘイヘイ

 

一方「あァ?ンー……」

 

一方「レベル1からレベル5までの難易度を用意してやれるが何がいい」

 

打ち止め「んーじゃあレベル1からで!ってミサカはミサカは小手調べ!」

 

 

一方「ハイ、第一もォン」ターラン♪

 

 

一方「食っても食ってもなくならねェものは?」

 

打ち止め「え?うーん…?」

 

 

打ち止め「わかんない!答えは何?ってミサカはミサカは抱きついてこうさーん!」ダキッ

 

一方「"年"だ。食っても食ってもなくなるんじゃなくて重ねるもンだからな」

打ち止め「あー、なるほどー」

 

 

打ち止め「じゃあ今度はミサカの番ね?」

 

 

打ち止め「女が濡れたので男がさしました。さて、何をさしたでしょうか!」

 

一方「……」

 

 

打ち止め「黄泉川がお酒飲みながら芳川に出してたんだよってミサカはミサカは大人ななぞなぞを出した事にご満悦!」フンス!

 

一方「……」

 

一方「……」

 

一方「…膣液、バルトリン腺液、スキーン腺液、子宮顕管粘液になどの分泌によって濡れた女性器に男性が挿すもの…」

 

一方「すなわち。」

 

 

一方「チ○ポだ」

 

打ち止め「」

 

※正解:傘

 

 

 

打ち止め「ねーねー、あーそーぼ?ってミサカはミサカは可愛い笑顔でおねだりしてみたり!」グイグイ

 

一方「あァ?メンドクセェから金髪のガキかフロイなンちゃらと遊ンで来いよ…」ゴロン

 

打ち止め「ミサカはあなたと遊びたいのーってミサカはミサカはぐいぐいぐいーっ!」グイグイグイグイ

 

一方「あァ…わかった、わかった…何がしてェンだ」

 

打ち止め「じゃあオセロしよっ!ってミサカはミサカはゲーム盤を差し出してみたり!」

 

 

打ち止め「ミサカがせんこーね!」つ●

 

一方「あァわかった」つ○

 

打ち止め「ふっふっふー!手加減無用!全力で来い!でないと黄泉川との戦いでコツを掴んだミサカには勝てないぞ!」

 

一方「そォかよ」

 

 

●●●●●●●●

●●●●●●●●

●●●●●●●● ←盤面

●●●●●●●●

●●●●●●●●

●●●●●●●●

●●●●●●●●

●●●●●●●●

 

 

打ち止め「」

 

一方「なンだよ?ちゃンと御要望通り手加減しなかっただろォが」

 

 

一方(これでガキも満足するだろ)

 

打ち止め(完全に掌握された上で完全にわざと負ける……だと…?)

 

 

 

打ち止め「ねーねー、あーそーぼ?ってミサカはミサカはしなだれかかっておねだりしてみたり!」グイグイ

 

一方「あァ?メンドクセェから非番の黄泉川と遊ンで来いよ…」ゴロン

 

打ち止め「ミサカはあなたと遊びたいのーってミサカはミサカはぐいぐいぐいーっ!」グイグイグイグイ

 

一方「あァ…わかった、わかった…何がしてェンだ」

 

打ち止め「じゃあ外の公園で遊んで!」

 

 

打ち止め「砂場で何か山を作ろ?ってミサカはミサカは砂場へダーッシュ!」

一方「おい待て。そォやってオマエが汚した服は誰が洗うと思ってンだ?」

 

打ち止め「え?黄泉川か芳川じゃないの?」

 

一方「そォだ。俺達は居候の身。ただでさえ迷惑かけてンのに更に迷惑をかける真似はしちゃいけねェ」フルフル

 

打ち止め「! そ、そっかぁ…そうだよねってミサカはミサカは自分の浅慮さを恥じてみたり」

 

一方(悪いが流石にこの年で幼女と砂場で泥ンこ遊びなンてできねェ)

 

 

一方「滑り台とか…遊具で遊べ」

 

打ち止め「! うん!わかった!」ダッ

 

 

打ち止め「ねーねー!ミサカが乗ったブランコを後ろから押して?ってミサカはミサカはお願いお願い!」

 

一方「杖ついてる障害者に頼む事じゃねェと思うンだが」

 

 

打ち止め「あ、そっか…」ショボン

 

一方「……はァ…」カチッ

 

一方「よし、押してやる。」

 

打ち止め「わあ!本当?」

 

一方「いいか?上手く受け身を取れ」

 

打ち止め「え?受け身ってどういう――― 一方「ベクトルキーック!」バキャ!

 

 

ポ―――………ン

 

ドシャ!

 

打ち止め「」

 

打ち止め(ブランコから砂場にダイブさせよった…)

 

一方「楽しかったか?昔、小さい頃に公園であった奴にやったらウケたンだが…」

 

打ち止め「……」ウルウル

 

一方「ごめン」

 

 

 

打ち止め「ねーねー、あーそーぼ?ってミサカはミサカは懲りずにおねだりしてみたり!」グイグイ

 

一方「あァ?メンドクセェから公園によくいるガキと遊ンで来いよ…」ゴロン

 

打ち止め「ミサカはあなたと遊びたいのーってミサカはミサカはぐいぐいぐいーっ!」グイグイグイグイ

 

一方「あァ…わかった、わかった…何がしてェンだ」

 

打ち止め「じゃあカラオケいこっ!ってミサカはミサカは誘ってみたり!」

 

 

打ち止め「何歌う?何歌う?デュエットしちゃう?ってミサカはミサカはイヤンイヤン!」

 

一方「俺は聞く専派だ。好きに歌え」つマイク

 

打ち止め「ぷー!一緒に歌いたいのに!ってミサカはミサカは頬を膨らませてみたり!」プクゥ!

 

一方「わかった、わかった。後で一曲だけな」ヒラヒラ

 

 

打ち止め「めーると♪とけーてしまーいーそぉー♪」

 

一方「…」

 

 

打ち止め「はいっ!終わり!はくしゅ!」ビシッ!

 

一方「あァよかったよかった」パチパチ

 

一方「ンじゃ帰るか。時間もそろそろだしな」ヨイショ

 

打ち止め「え…?でも、まだあなたと歌ってないよ?」

 

一方「…」

 

打ち止め「ロシアで聞いたけど…あなたは音痴ってわけでもないじゃない?なんで嫌がるのってミサカはミサカは理由を尋ねてみたり」

 

一方「…あンま歌うのは得意じゃねェンだよ。一般受けしない曲しか知らねェしな」フイッ

 

打ち止め「ミサカは笑わないよ。」フルフル

 

打ち止め「コアな曲でも。どんな汚い、恥ずかしい言葉の歌詞でも。」ニコッ

 

一方「……」

 

打ち止め「だから、歌お?ミサカとお歌を歌ってほしいな」ニコッ

 

一方「打ち止め…」

 

 

タタッタタッタ♪

 

パーヤッ♪パヤパッパヤー♪パッパッパヤッパー♪

 

テテッテ♪テテーッテ♪

 

 

【三年目の浮気】

 

 

一方「馬鹿言ってンじゃないよ♪オマエと俺は♪」

 

一方「ケンカもしたけど一つ屋根の下暮らして来たンだぜ?♪」

 

一方「馬鹿言ってンじゃないよ♪オマエの事だけは♪」

 

一方「一日たりとも忘れた事などなかった俺だぜ?♪」

 

打ち止め「よくいうわ♪いつも騙してばかりで♪」

 

打ち止め「私が何にも知らないとでも思っているのね♪」

 

一方「よくいうよ♪惚れたオマエの負けだよ♪」

 

一方「もてない男が好きなら俺も考え直すぜ♪」

 

打ち止め「馬鹿いってんじゃないわ♪」

 

一方「馬鹿言ってンじゃないよ♪」

 

打ち止め「遊ばれているのがわからないなんて可哀想だわ♪」

 

一方「3年目の浮気ぐらい♪大目にみろよ♪」

 

打ち止め「ひらきなおる♪その態度が気にいらないのよ♪」

 

一方「3年目の浮気ぐらい♪大目にみてよ♪」

 

打ち止め「両手をついて謝ったって♪許してあっげっない♪」

 

 

打ち止め(MNWから取得したミサカは死んだ眼で歌い続けた)

 

打ち止め(一般受けどうこう前に『お前何歳だよ』ってツッコミは入れられなかったってミサカはミサカはでも一緒に歌えてよかった)

 

 

 

打ち止め「ねーねー、あーそーぼ?ってミサカはミサカはしがみついておねだりしてみたり!」グイグイ

 

一方「あァ?メンドクセェから一人で遊ンで来いよ…」ゴロン

 

打ち止め「ミサカはあなたと遊びたいのーってミサカはミサカはぐいぐいぐいーっ!」グイグイグイグイ

 

一方「あァ…わかった、わかった…何がしてェンだ」

 

打ち止め「じゃあダーツ!ダーツやろ!ってミサカはミサカはダーツの矢と盤を差し出してみたり!」

 

 

打ち止め「壁にかけてっと…じゃあミサカからやるね!えーいっ!」つ→

 

カツッ!

 

打ち止め「やった!当たったよ!ってミサカはミサカはどーだえっへん!」

 

一方「ハッ、真ン中に当てられなかった時点でオマエに勝ち目はねェよ」つ→

 

一方「この程度の物理計算なンざチョロいっての」ツルッ

 

一方「あ」ポーン…

 

 

ガスッ。

 

 

打ち止め「」

 

一方「」

 

 

壁「めっちゃ傷つきました」

 

 

打ち止め「あわわわわわ…どうしよう、黄泉川に怒られちゃう…ってミサカはミサカはガクガク」

 

一方「安心しろ。こォして…」ペタリ

 

黄泉川家皆で撮った写真

 

一方「こォしておけば剥がせはしねェはずだ」

 

打ち止め「」

 

 

一方「ンで…なンで今度は俺の部屋のドアに張り付けてやがンだ」

 

打ち止め「え?あなたのお部屋なら多少は大丈夫かなって」

 

一方「…まァいいけどよ」

 

打ち止め「じゃ、あなたは外したし…またミサカの番ね!えーいっ!」つ→

 

カツッ。

 

打ち止め「わーい!真ん中に当たったよってミサカはミサカは喜んでみたり!」

 

一方「……ハッ。だァから、言っただろォが。」ムクッ…

 

 

一方「初撃を真ン中に当てられなかった時点で」スッ…

 

一方「この学園都市第一位には勝てねェンだよ!!!」

 

一方「うるァアアア!!!」ブンッ!!!

 

 

ガチャ。

 

黄泉川「あ、一方通行!ちょっと話が――」

 

打ち止め「あ」

 

一方「あ」

 

 

サクッ。

 

 

黄泉川「」

 

 

一方「」

 

打ち止め「」

 

 

※しこたま怒られました。

 

 

 

打ち止め「ねーねー、あーそーぼ?ってミサカはミサカはあなたのお耳を引っ張ってみたり!」グイグイ

 

一方「あァ?メンドクセェから昼寝でもして来いよ…」ゴロン

 

打ち止め「ミサカはあなたと遊びたいのーってミサカはミサカはぐいぐいぐいーっ!」グイグイグイグイ

 

一方「あァ…わかった、わかった…何がしてェンだ」

 

打ち止め「ゲームやろ!ゲーム!対戦しよ!」

 

一方「なンのゲームをやるンだ?ポケモンとかならやらねェぞ。最近のはわかンねェし持ってないから戦えねェ」

 

打ち止め「違うよ!格闘ゲームだよ!ってミサカはミサカはゲーム出すのを手伝ってほしいな?って目で見つめてみたり」

 

一方「チッ誘ったンだからオマエが出せよ… ほら、3色コードと電源ケーブル、コントローラーつけるからオマエはどけ」

 

打ち止め「ありがとうそんな事言いながら全部やってくれるあなたが好きよ?ってミサカはミサカは微笑んでみたり」

 

 

一方「…」ポチ。

 

 

『とある魔術師とインディアン』

 

 

一方「なンか悪意あるタイトルに見えンのは気のせいか」

 

打ち止め「気のせいだよ!」

 

 

キャミ条『キャラを選んでくれないとお前の幻想をブチ殺す!』

 

 

一方「コイツなンか最近どっかで見た気がすンだが」

 

打ち止め「気のせいだよ!」

 

 

一方「…じゃあ俺はこのアックマで」

 

アックマ『任せるのである!』ジャキン!

 

 

打ち止め「じゃあミサカはこのオシリーサで!」

 

オシリーサ『殲滅白書最強の私が相手してやるわ!』

 

 

打ち止め「ステージどこがいい?ってミサカはミサカは決戦のバトルフィールドへ!」

 

一方「ランダムにしとけ。後腐れがねェだろ」

 

 

キャミ条『第7学区の街中に決まったぜ!お前をブチ殺す!』

 

一方「なンかこの全裸にキャミソールのツンツン頭ウゼェな?」

 

打ち止め「そういうキャラだからね!」

 

 

アックマ『我が"アスカロン"の錆びになるのである!』ジャキン!

 

一方「ディフォルメされたくまさンの着ぐるみをいかついオッさンが…」

 

打ち止め「そういうキャラだからね!」

 

 

オシリーサ『あら、荼毘にしてあげるわ?』ボッ!

 

一方「やたらケツがでかい上にケツまるだしな赤い修道女…」

 

打ち止め「そういうキャラだからね!」

 

 

一方「……」カチカチ

 

 

アックマ『ふぅぅンぬっ!!ふぅぅンぬっ!!』

 

オシリーサ『「一本足の家の人喰い婆さ…いっやーん!いっやーん!』

 

打ち止め「あー!せっかくの詠唱が邪魔されたー!ってミサカはミサカは逃げろ逃げろー!」カチカチカチカチ!

 

オシリーサ『これで決めるわ!』ガキーン!

 

一方「カットイン?…チッ!」

 

打ち止め「くらえー!ひっさつ…!」

 

オシリーサ『「一本足の家の人喰い婆さん♪」』ユラッ…

 

オシリーサ『「髑髏のランプをくださいな♪」』ニタリ。

 

オシリーサ『「意地悪な義母や姉を焼き殺す髑髏のランプを♪」』ボボボ…

 

ボボボボボボボボボボボボボボォォブァアアアあ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!!

 

アックマ『ぬっ、ぬわあああああああ!?』

 

 

ばぼーん!

 

キャミ条『 K . O !』

 

 

オシリーサ『帰ったらサーシャちゃんをいーっぱいモフモフしよーっと♪』

 

 

打ち止め「うわーい!ミサカのかちーっ!ってミサカはミサカは勝利の雄叫びをあげてみる!」

 

一方「…」

 

一方「ハッ、まぐれだろ…ちょっとオマエの力量をはかり間違えただけだ」

 

一方「それに俺これ今日初めてだし初めて使うキャラだしあンなゲームバランス崩壊な技あるとか知らねェし」

 

打ち止め「」

 

打ち止め(こ、コイツ器ちっちぇー?!ってミサカはミサカは子供かお前は!)ガビーン!

 

一方「おら、次やンぞ」

 

打ち止め「はいはい」

 

 

一方「よし、コイツだ」カチッ

 

ねーちん『いきます…!"Salvere 000"!!!』

 

 

打ち止め「じゃあミサカはこれー」カチカチ

 

"雷神"とおる『俺を楽しませてくれよ?ベイビー?』

 

 

とおる『いくぜ、「全能神」…フルパワーの俺を見せてやる……!』

 

とおる『ミョ―――ルニィィ―――ル!!!』

 

とおる『接続!魔力供給開始だッッ!!』

 

ブァアアア!!!

 

とおる『ははっ…「必ず勝てる位置に世界を移動させる」術式――』

 

とおる『アーク溶断ブレードに、自分から截断されちまいな!』

 

ズシャアアアアアン!!!

 

 

ねーちん『キャアアアアアアア!!!』

 

 

キャミ条『 K . O ! 』

 

 

打ち止め「うわーい!また勝ったー!ってミサカはミサカはぶいぶいぶいっ!」

 

一方「……」

 

一方「っあー…」

 

 

一方「っべーな。こりゃ相当響いてやがるな… 昨日からの徹夜 」

 

打ち止め「」

 

一方「っべーわ。どォりで今日演算の調子が悪ィとは思ってたンだよな…」ヤレヤレ

 

打ち止め「」

 

一方「次やるぞ。まァもォ大丈夫だからな次からは容赦しねェから」

 

 

乱数ロット『ヒャッハー!さーて?さーて?テメェの精神はい・つ・ま・で・持つかなーぁああ?!』

 

一方「よし、最初から頭脳プレイしとけばよかったンだよ。俺に肉体労働系キャラなンて合わねェよ」

 

 

打ち止め「じ、じゃあミサカはこれ!」

 

オッエムス『私かい?…魔神になり損ねた、哀れな魔術師だよ』

 

シルビアーン『また子供を拾ってきた?だから!養えねえって!言ってるだろ!お仕置きだ!』

 

オッエムス『ひええええ?!』

 

シルビアーン『三角木馬にのんな!』

 

オッエムス『あはーん!』

 

シルビアーン『気持ち悪い!』ゲシッ!

 

オッエムス『理不尽だぁああ?!』ヒューン…

 

 

乱数ロット『ぐあああああああ?!!』チュドーン!

 

 

オッエムス『ハアハア…///』

 

 

オッエムス『この世で最も恐ろしい攻撃は、「説明のできない力」だ』キリッ

 

 

一方「……」

 

打ち止め「…」

 

 

一方「…いや、あの、あれだ。今日まだコーヒー飲ンでねェから」

 

打ち止め(いい加減に負けを認めろよってミサカはミサカは可哀想なものを見る目を向けてみたり)

 

 

 

打ち止め「ねーねー、あーそーぼ?ってミサカはミサカはあなたのまぶたを引っ張ってみたり!」グイグイ

 

一方「あァ?メンドクセェから体のほくろの数でも数えてろよ…」ゴロン

 

打ち止め「ミサカはあなたと遊びたいのーってミサカはミサカはぐいぐいぐいーっ!」グイグイグイグイ

 

一方「あァ…わかった、わかった…何がしてェンだ」

 

打ち止め「ゲーセン行こっ!ゲーセン!ってミサカはミサカは連れてって!」

 

一方「何がやりてェンだ」カツッカツッ

 

打ち止め「うーんとね、うーんとね…あれ!あれがやりたい!ってミサカはミサカは指差してみたり!」

 

 

ユーフォーキャッチャー

 

 

一方「…おらよ、1000円分のクレジット入れてやったから好きにやれ」

 

打ち止め「わーい!ありがとう!あなた大好きよってミサカはミサカは喜びと感謝を示してみたり!」

 

 

チャンチャカチャーン♪

 

打ち止め「うーんと、うーんと…」カチャカチャ

 

ぽと。

 

 

打ち止め「あう。失敗失敗…」

 

一方「今のは角度計算が甘かったからだな。次気をつけろ」

 

 

打ち止め「あっ」

 

打ち止め「あー…おっしーい…」

 

打ち止め「あーダメダメダメ!あー…」

 

打ち止め「うう…」

 

 

打ち止め「あと一回になっちゃった…まだ景品とれてないのに」クスン

 

一方「…ちょっとトイレ行くから少し待ってろ。まだやるなよ」カツッカツッカツッ

 

打ち止め「?」

 

 

打ち止め「…」チラッ

 

 

一方「おい、そこのバイト」

 

半蔵「あ、はいはい」

 

一方「オマエあのユーフォーキャッチャーどォなってンだよ…?ウチの子取れなくて泣いてンだけどよォ?」

 

半蔵「いやそんな事を言われましても」

 

一方「あァン?死ぬか?いっぺん死ンどくか?あンな取りにくい位置に配置しやがってよォ…幼い子への配慮はナシですかァ?!」

 

半蔵「でしたら配置をしなおしますので…」

 

一方「あァー、あァー、"企業努力"と誠意が見えねェ―――なァ―――?」

 

打ち止め(モンスターペアレントみたいなクレーマーになってるぅぅぅ!!!ってミサカはミサカはそこまでの思いやりは要らないよ?!) 

 

※結局散々文句垂れた後に一方通行さんが1プレイで取りました。

 

 

 

打ち止め「ねーねー、あーそーぼ?ってミサカはミサカはほっぺたペチペチしてみたり!」ペチペチ

 

一方「あァ?メンドクセェからテレビでも観てろよ…」ゴロン

 

打ち止め「ミサカはあなたと遊びたいのーってミサカはミサカはぐいぐいぐいーっ!」グイグイグイグイ

 

一方「あァ…わかった、わかった…何がしてェンだ」

 

打ち止め「バッティングセンター!バッティングセンター行こっ!ってミサカはミサカはさあ行こうぜ!」

 

一方「…ッチ、杖つきを運動施設に誘うンじゃねェっつゥの…」カツッカツッ

 

打ち止め「ご、ごめんなさい…」

 

一方「…構わねェよ。オマエが行きてェとこならどこへでも連れてってやるってだけだ。俺の事は考えなくていい」

 

一方「ちょっと失言しただけなンだからそンなマジにとってンじゃねェよほらバットだケガすンじゃねェぞ」

 

打ち止め「…前から思ってたけど。あなたってひどく不器用だよねってミサカはミサカはそれでもあなたの優しさはちゃんとわかってるからねって思ってみたり」

 

 

打ち止め「よーし!いっくぞー!さあこーい!ってミサカはミサカはイチロー打法を真似してみたり!」

 

一方「軽いやつから行くぞ」カチ

 

 

バシュッ。

 

打ち止め「うえーい!」ブンッ

 

スカッ

 

一方「どンまい!どンまーい!」

 

打ち止め「」

 

 

バシュッ。

 

打ち止め「すべからず!すべからず!」ブンブン!

 

スカッ。

 

一方「へいへーい!ピッチャーノーコンだよォっ!かっとーばせー!らっすとオーダー!」パンパン!

 

打ち止め「」

 

 

バシュッ。

 

打ち止め「うなー!」ブン!

 

スカッ。

 

 

一方「あの機械壊れてンじゃねェのか?俺ちょっと店長に"聞いて"くるわ」ガタッ

 

打ち止め「やめて」

 

 

一方「あァ、疲れたり喉乾いたンじゃねェか?何が飲みてェンだ言ってみろ」

打ち止め「…あのね、ひょっとしてなんだけど。」

 

打ち止め「あなたがさっきからやたら不自然に優しいのって、さっきの失言のお詫びのつもりなのかなってミサカはミサカはジト目で見つめてみたり」

 

一方「……」プイ

 

打ち止め「…ミサカが自分の事ばかりで。あなたの事を考えてなかっただけだからそんなに気をつかわれてもミサカ困っちゃうよ」

 

打ち止め「優しいあなたは大好きだけど。『頑張って優しくする』のはきっと違うよってミサカはミサカはあなたに伝えてみたり」

 

一方「…」

 

 

一方「…オマエを、傷つけたンじゃねェかと」

 

打ち止め「ううん、そんな事ないよ。」フルフル

 

 

打ち止め「だからそんなに気にやまないでってミサカはミサカは項垂れるあなたの頭を撫でてみたり」

 

 

一方「…」カツッカツッ

 

打ち止め「…」テクテク

 

一方「…」カツッカツッ

 

打ち止め「…今日、楽しかったね!ってミサカはミサカは話題を提供してみたり」テクテク

 

一方「そォだな」カツッカツッ

 

打ち止め「あなたのホームラン凄かったよ!あなたの能力すごいよね!ってミサカはミサカは褒めてみたり」テクテク

 

一方「褒められるほどじゃねェよ」カツッカツッ

 

打ち止め「…」ワキワキ

 

一方「どォした。そンな手をわきわきさせて」

 

打ち止め「…なんでも。」フルフル

 

一方「…手、握って帰りてェのか」

 

打ち止め「うん。でもあなたは杖をついてるから。ってミサカはミサカは遠慮してみたり」フルフル

 

一方「…家まであと5分だ。」カチッ

 

一方「だから多少は無駄使いできる」

 

一方「おら、手ェ出せよ」つ

 

打ち止め「…うん!」つ

 

 

一方「…」スタスタ

 

打ち止め「…」テクテク

 

一方「…」スタスタ

 

打ち止め「…」テクテク

 

一方「…」スタスタ

 

打ち止め「…」テクテク

 

 

芳川「あら。おかえりなさい」

 

打ち止め「ただいま!ってミサカはミサカは無事帰還の挨拶をしてみたり!」

一方「今帰った。」バタン

 

芳川「…? あらあら。」クスッ

 

芳川「ねぇ。ひょっとしてあなた達手を繋いで帰って来たの?」クスクス

 

一方「…」プイ

 

打ち止め「うん!そうなの!ってミサカはミサカは喜びに溢れた報告をしてみたり!」

 

 

 

打ち止め「ねーねー、あーそーぼ?ってミサカはミサカは(>ワ<≡>ワ<)コシコシコシ!」コシコシコシ

 

一方「あァ?メンドクセェから芳川か番外個体と遊ンで来いよ…」ゴロン

 

打ち止め「ミサカはあなたと遊びたいのーってミサカはミサカはぐいぐいぐいーっ!」グイグイグイグイ

 

一方「あァ…わかった、わかった…何がしてェンだ」

 

打ち止め「じゃああなたに本を音読してほしいな!ってミサカはミサカはリクエストしてみたり!」

 

一方「あァ、わかった。じゃあ俺が好きな本を読んでやる」

 

打ち止め「うっわーい!あなたの音読なんて貴重すぎるー!ってミサカはミサカはレア体験に胸を踊らせてみたり!」ワクワク!

 

 

一方「じゃあ読みまァす」

 

打ち止め「わー」パチパチパチ

 

 

一方「ボボボーボ○ボーボボ、第10巻。はじまりはじまりィ~」

 

打ち止め「?!」

 

 

一方「『ぐっ…こいつら強い!!』」

 

一方「『こうなったら兄弟3人の力を合わせるしかない!!いくぞ』」

 

打ち止め「漫画?!まさかの漫画?!普通絵本じゃないの?!」

 

一方「ウチにそンなファンシーなもンはねェ。これも芳川のだしな。『兄弟奥義!!!』」

 

一方「『マシンガンに頼ります!!』」

 

一方「『ダダダダ!!!ダダダダ!!!』」

 

打ち止め「効果音を口で?!」

 

一方「ド『く!こっちも何か武器はないのか!!』」

 

一方「ボ『ボンタンがある』」

 

一方「天『武器じゃねーじゃン!!!』」

 

打ち止め(キャラ毎に声色変えてる?!ってミサカはミサカはつっこんでみたり!)

 

一方「ド『そういえば古くから固いボンタンは鉄砲に勝る武器と言われていたな…』」

 

一方「天『言われてねーよ!!』」

 

一方「ボ『あえて柔らかいのだけ持ってきました』」

 

一方「天『何で!!?』」ビシッ!

 

一方「ド『やる価値アリだな』」コクン!

 

打ち止め「読みながらキャラのモーションまで入れてきた…ってミサカはミサカは半端ない熱の入り具合に恐怖を感じてみたり」

 

一方「注『ボンタン:みかんみたいなの』」

 

打ち止め「へー」

 

一方「3バカ『うおおおおおおお』!!!」

 

一方「『ボンタンボンタンボンタンボンタンボンタンボンタンボンタン』!!!!」

 

芳川「ねえ一方通行。私のボーボボ知らないかしら?10巻なんだけど」

 

一方「『ボンタンボンタンボンタンボンタン』!!!」

 

芳川「あら読んでたのね。後で返してちょうだいね?BOOK・OFFに売りにいくから」

 

一方「『ボンタンボンタンボンタンボンタンボンタンボンタンボンタンボンタンボンタンボンタン』!!!」

 

芳川「ちょっと、一方通行?聞いてる?」

 

一方「『ドガガガガガガ』ッッ!!!」

 

芳川「ねえ、一方 一方「『ぐおおおおおおおボンタン強え――――――!!』ッッッッ」

 

芳川「……」

 

打ち止め「…」

 

一方「ド『ボンタンが無くなった!!もっとくれ!!!』」サッ

 

芳川「……ボ『ボンタンならまだある!!』」

 

打ち止め「え?」

 

一方「ド『どこに?』」

 

芳川「…」ススッ…

 

一方「ド『どこにあるのボンタン?ねえどこに?』」

 

芳川「ボ『自分に甘い真拳奥義 いい加減人の話を聞きなさいチョップ』!!」

 

一方「は?おい芳川それ台詞違ッンフッ?!」メキョ!

 

打ち止め「」

 

一方「ぐ、ああああ…芳川、オマエ喉はアウトだろォが…!」ジタバタジタバタ

 

芳川「? あら、打ち止めに読んであげてたのね」

 

打ち止め「うん、読んでもらってた?かな?ってミサカはミサカはどっちかっていうと紙芝居を見せてもらってた気分」ウーン

 

芳川「…打ち止め。あれの続き、読む?」

 

打ち止め「うん!見たーい!ってミサカはミサカは貸出求むーっ!」

 

芳川「じゃあ売るのはもう少しあとにしようかしらね」クスクス

 

打ち止め「…あ!ねぇねぇあなた!ってミサカはミサカはつんつん!」

 

一方「あ゙ァ゙?なンだよ」ゴッホッ゙…

 

 

打ち止め「よかったら。続きも、前のも…」

 

打ち止め「あなたに読んでほしいなってミサカはミサカは上目使いでお願いしてみたり」

 

一方「…ッチ、しょォがねェな…」

 

 

芳川「あらあら。いいお兄ちゃんね?」クス

 

一方「うるせェよ」ケッ

 

 

~その夜~

 

 

黄泉川「はー…やっと寝れるじゃんよー」バタム。

 

黄泉川「教師に警備員と兼任してると本当に大変じゃん」

 

黄泉川「…せめて今日はゆっくり眠りたいじゃん……」ウト、ウト…

 

 

「ボ『つべこべ言わずに1コマ進め――――――!!!』」

 

 

黄泉川「………あ?」

 

 

一方「『バキ』ッッ!」キック

 

一方「ド『ぎゃああああああ』!!!」ピョイン♪

 

一方「『ボシャーン』!!ド『ぶ!!』」

 

一方「天『おお!!このコマボーナスステージだってよ!ラッキー!!』『ブォン』!」

 

 

黄泉川「………」

 

黄泉川「……………」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…

 

一方「天『ん~~~~ボーナスステージねえ』?」ニンマリ

 

 

ひた。  ひた。ひた。

 

 

一方「天『日頃の行いが良い私にこそふさわしい』」

 

打ち止め「わー」ワクワク!

 

 

ひた。ひた。ひた。

 

 

一方「ハ『おめでとう!ボーナスステージに止まった者には私からプレゼントをするというルールがある』『スタッ』」

 

 

ひた。ひたひたひた。

 

一方「天『何をくれるのかね?』『ズズ…』」

 

ガチャリ。

 

 

一方黄泉川「「ハ『 死だ 』」」

 

 

通行止め「「えっ?」」クルッ

 

黄泉川「……」ニッコリ。

 

打ち止め「その夜。『もう二度と夜中には読んでもらわない』ってミサカはミサカは誓いました……」プルプル

 

 

 

打ち止め「ねーねー、あーそーぼ?ってミサカはミサカはかわいこぶって上手におねだりしてみたり!」グイグイ

 

一方「あァ?メンドクセェからプリキ○アのDVD見てろよ…」ゴロン

 

打ち止め「ミサカはあなたと遊びたいのーってミサカはミサカはぐいぐいぐいーっ!」グイグイグイグイ

 

一方「あァ…わかった、わかった…何がしてェンだ」

 

打ち止め「うんとね、えっとね、あなたの能力でミサカを乗せて空を飛んでほしいのってミサカはミサカは希望を述べてみたり!」

 

一方「あァン?危ねェだろ却下だ却下」ゴロリ。

 

打ち止め「ええー!?そんな事ないよ!ってミサカはミサカは食い下がってみる!」

 

一方「万が一俺やオマエ、芳川や黄泉川、番外個体を狙う奴が来たら…」

 

一方「俺はどォやって電池切れの状態で守ればいいンだよ」

 

打ち止め「そ、それは…ってミサカはミサカは口ごもってみたり…」モゴ

 

一方「つゥかよ、俺が万が一オマエを落っことしちまったらどォすンだ?」

 

一方「いくら冥土帰しでも死人にベホマズンはかけられねェンだぞ」

 

打ち止め「うう…」

 

一方「だから、」

 

打ち止め「うぇっ、ふえぇ…」

 

一方「…ッチ、10分だけなら許してやる」

 

打ち止め「!」パァ

 

 

一方「よォし、マンションの屋上に来たぞ」

 

打ち止め「わくわくするっ!ってミサカはミサカは目を輝かせてみたり!」

 

一方「しっかり掴まってろ。オマエにかかるあらゆるベクトルは操作するが億が一って事も有りうる。いいな?」

 

打ち止め「うん…もうわかったよってミサカはミサカは内心耳タコ話にうんざりしてみたり」

 

 

一方「じゃあ…行くぞ」カチッ。

 

 

ドンッ!

 

 

打ち止め「…っ」プルプル

 

一方「…おい、せっかく空飛んでンだから目を開けろ。景色楽しまなくて何を楽しむンだ」

 

打ち止め「…ちょっと怖くなっちゃって」

 

一方「…降りるか?」

 

打ち止め「ううん。…あなたがぎゅーってしてくれたら大丈夫かなってミサカはミサカは遠回しに期待してみたり」

 

一方「…」

 

 

一方「…おらよ」ギュ

 

打ち止め「! えへへ…!///」

 

一方「ほら、一番眺めがいいとこだ」

 

打ち止め「…!」パチリ。

 

 

視界いっぱいに広がる空の青。

 

鈍色、白銀に輝くビル群。

 

くるくる回る風車と風。

 

人。人、人。

 

 

いつもは見上げるばかりの景色全てが、今は眼下に。

 

(あなたはこういう景色を見てたのねって、ミサカはミサカは思いを馳せてみたり。)

 

 

「どォだ。最高だろ」

 

ニヤリ。ドヤ顔で笑うあなたに思わず笑ってしまう。

 

「ふふ…うん。」

 

「Level5しか見れねェよォな景色だ。たんと味わえ」

 

「うん!あ、ねぇねぇ旋回とか、螺旋飛行とかやって見て!ってミサカはミサカはリクエスト!」

 

「…ちょっとだけだぞ」

 

グ ルゥゥ リ。

 

重力に従って頭に血が集まるのがわかる。

 

景色も牽連してぐるぐる回る。まさにレールのないジェットコースター。

 

「ふわぁ…!」

 

たぶん、きっと。この体験は将来ミサカの宝物になる。

 

そんな遊覧飛行だった。

 

 

打ち止め「あ、みてみて!番外個体がいるってミサカはミサカはウォー○ーを探せ気分!」

 

一方「あン?おォ。あの暗部の黒夜と一緒か」

 

 

~夜~

 

 

番外「やっほう。第一位。」

 

一方「…あン?なンだよ」グデー

 

番外「…今日さぁ。おチビと空飛んでたでしょ?見たよ」ヨイショ

 

一方「…俺の上にのし掛かってくるの止めてもらえませンかねェ?」

 

番外「はぁ?ナニナニ?最終信号とは違うミサカのメリハリエ口ボディに勃っちゃうとかぁ?」ニヤニヤニヤニヤ

 

一方「重いからに決まってンだろォが…」ッチ

 

番外「あっそ」ムス

 

番外「まあ?口リコンウサギさんは最終信号みたいな口リボディにしか反応しないもんね。ミサカのカラダのエ口さなんてわかんないっしょ?」プイッ

 

一方「なンでもいいからどけ。疲れてるし充電がしづれェンだよ」

 

番外「は?第一位に嫌がらせするのが大好きなミサカがやめてやるワケないじゃん」

 

番外「むしろ密着してやるし」ギュ

 

一方「…おい、動けねェだろ」

 

番外「や・だ☆」ニヤリ

 

一方「ハァ…わかった。勝手にしろ」

 

番外「は?何それ。ミサカは最初から最後まで勝手にしてるし。」ぎゅー

 

一方「ハイハイ」ヒラヒラ

 

番外「……」ムス

 

番外「えい」コチョコチョ

 

一方「なァンなァンですかァー…?」ジロ

 

番外「ちょっとはくすぐったいリアクションしろよ」ムス

 

一方「…めんどくせェ奴だなオマエは。何だ?何がして欲しいンだ」

 

番外「……」

 

一方「……」

 

番外「…べっつに!」ヒョイ

 

番外「ミサカの気持ちなんて、あんたにはたぶん一生わかんないよ」

 

一方「そォかよ」ゴロリ

 

番外「……」

 

 

一方「…」ウトウト

 

番外「ハァ?意味わかんない。ちょっと起きなよ第一位」ペシペシ

 

一方「……なンだよ」ムス

 

番外「普通そこで終わる?『じゃあわかろォと努力する』とか、『そンな事ねェ!』とか」

 

番外「あってもいいはずでしょ?」

 

一方「なくてもいいはずだろォが」

 

番外「ハァ?ハァ?じぇーんじぇんそんな事ないですケドー?あって当然ですケドー?」グニグニ

 

一方「頬を引っ張るンじゃねェ」ペチ

 

番外「…なんだよ、最終信号だったらもっと優しくするくせにさ」

 

一方「あァ?」

 

番外「不公平だよ。不平等。不利益。不平不満。不足。」

 

番外「ミサカだって妹達なんだけど。最終信号と同じ妹達なんだけど。」

 

一方「……」

 

番外「は?何?ミサカと最終信号の待遇の差ってなんなの?時間?イベント?」

 

一方「オマエ…」

 

番外「だって、納得できないよ」

 

一方「……」

 

番外「ハァ?だってさ、最終信号ばっかりズルくない?おかしいよ」

 

一方「…」

 

一方(…ああ、『いっつもお兄ちゃンばっかり!』とか『私にかまって!』とかのアレか…)

 

番外「何?ミサカをジッと見ちゃってさ。気があるの?今更ミサカに見とれてんの?バッカじゃねーの?」

 

番外「まあ見たければ見れば?どれだけ見てもミサカは手に入らないけどね」ニヤニヤ

 

一方「あァ…わかった、わかった。」ガシガシ

 

番外「何が?言っとくけど――」

 

一方「おら。」ダキッ

 

番外「へ?」

 

一方「オマエも俺にとって大事な奴だ。」ギュ…

 

番外「」

 

一方「最近オマエにかまってやらなかったのはよ、オマエが家にいない事が多いから…」スリ

 

番外「」

 

一方「あンまりかまってほしくねェのかと思ったンだよ」モフモフ

 

番外「」

 

一方「悪かったな。寂しい想いさせちまって」ギュ…

 

番外「 」

 

 

黄泉川「 」

 

芳川「 」

 

打ち止め「 」

 

 

一方「…あン?どォした?」クルッ…

 

一方「 」

 

 

 

打ち止め「ねーねー、あーそーぼ?ってミサカはミサカはマロニーマートダンスしながら誘ってみたり!」グイグイ

 

一方「あァ?メンドクセェから俺みたいに昼寝でもなンでもしてろよ…」ゴロン

 

打ち止め「ミサカはあなたと遊びたいのーってミサカはミサカはぐいぐいぐいーっ!」グイグイグイグイ

 

一方「あァ…わかった、わかった…何がしてェンだ」

 

打ち止め「映画が観たいなーってミサカはミサカは所望するーっ!」

 

 

~映画館~

 

一方「で、何が観てェンだ」

 

打ち止め「うん!最近流行りの『アンナと雪野武女王』だよ!」

 

一方「…」カツッ、カツッ

 

打ち止め「ミサカ一回観てみたかったの!…って早速帰ろうとしないで?!」

一方「オマエ…俺にそンなファンシーな映画を観ろってのか?」

 

打ち止め「あなたが一人で観るよりはずっといいと思うけどなってミサカはミサカはあなたのプライドは守られる事を伝えてみたり」

 

 

絹旗「超いらっしゃいませです!」

 

一方「ポップコーンと飲み物買うが…オマエは何味がいいンだ」

 

打ち止め「うんとね、うんとね!ミサカはメロンソーダとキャラメル味がいいなってミサカはミサカは希望を伝えてみたり」

 

一方「そォか。塩のM一つとキャラメルのS一つ。アイスコーヒーMとメロンソーダS」

 

絹旗「超かしこまりました!超少々超お待ちください!」

 

一方「少々なのかスゲェ待たされンのかどっちだ」

 

絹旗「超イヤですねー第一位様は超細かくて」プヒー

 

一方「なンで知ってるかは知らねェが早くやれ始まっちまうだろォが…」イライラ

 

 

打ち止め「ねえねえ、あなたは他に頼んだりしないの?」

 

一方「あァ」

 

打ち止め「ホットドックとか美味しそうなのあるよ?」

 

一方「俺はいい」

 

打ち止め「チュロスとかあるよ?ってミサカはミサカは本当に後悔しない選択かどうかを迫ってみたり」ジー

 

一方「…食いてェなら食いてェって言え」

 

打ち止め「いいの?!じゃあミサカは」

 

一方「買わないけどな」クルッ

 

打ち止め「?!」

 

打ち止め「どうしてどうしてってミサカはミサカは今買ってくれる空気の流れだったのに無視なんて納得できない!」

 

一方「オマエ今そンなたくさン食ったら晩御飯食べられなくなるだろォが」

 

打ち止め「あう!」

 

絹旗「あの」

 

打ち止め「食べれるもん!絶対晩御飯も食べられるもん!」

 

一方「無ー理ーでーすゥー。オマエが晩御飯食べられなくて俺が怒られンのが目に浮かびますゥー」

 

打ち止め「いぢわるー!」

 

絹旗「あの、超お待たせしましたー!」

 

 

~3番シアター~

 

 

一方「…いいか、絶 対 に 晩御飯残すンじゃねェぞ?」

 

打ち止め「うんわかった!ってミサカはミサカは買って貰ったチョコチュロスを頬張ってみたり!」ハムハム

 

一方「おい、俺の椅子の方に飲み物のカップを置け。隣の席の奴の迷惑になるだろォが」

 

打ち止め「はーい!」モグモグ

 

 

アンナ『ありのぉー♪ままのー♪姿ーみーせるのよぉー♪』

 

雪野『貴様ァァアアア?!謀ったなァァアアア!!!だがこの武女王(アーマメントクイーン)!貴様ごときに討ち取れる者ではないわぁああ!!!!』

 

一方「…」モグモグ

 

打ち止め「はむはむ」

 

 

雪野『ふ、ふははははははは!!!!ヴァカめぇぇえええ!!!だから貴様はアホなのだ!!!』

 

アンナ『ぐ………は………ッッッ』ドサ…

 

何か雪ダルマっぽいマスコット『皆!大変だ!このままじゃアンナがくたばっちまう!』

 

 

一方「大変だなァ」モグモグ

 

打ち止め「どうなっちゃうのかな」モグモグ

 

 

雪ダルマ『皆で歌うんだ!そしたらなんやかんやで不思議パワー的な何かによるアレが反作用してアンナは助かるぞ!』

 

 

一方「ふわっふわし過ぎだろ…もう少し設定煮詰めろよ…」モグモグ

 

打ち止め「へー」モグモグ

 

 

雪ダルマ『画面に歌詞が出るし、機械のチカラで音痴な人も上手いように聞こえるから皆で立って歌ってね!』

 

一方「ハッ、勝手にやってろよ」モグモグ

 

 

ガタッ、ガタガタ…

 

打ち止め「…立ってないのあなただけだよ?ってミサカはミサカは恥ずかしいから早く立ってほしいな」

 

一方「」ポロッ…

 

 

一方「レリゴー♪レリゴー♪」

 

打ち止め「レリゴー♪レリゴー♪」

 

 

アンナ『…!聞こえてくる……!皆の、歌が…!』

 

雪野『ふははははははは!!!何をヴァカな事を!!聞こえた所で貴様に何ができる!』

 

雪野『腕をもがれ、足はヘシ折れ。仲間は皆、貴様を守るために斃れた!!!』

 

雪野『できもしない事をほざく貴様に道連れにされ、憎まれているだろうよ!!!』

 

アンナ『…かもしれない…!』

 

アンナ『だが…!』グググ…

 

アンナ『まだこの身は滅んじゃいねえ!』

 

アンナ『託された"魂"は消えちゃいねえ!』

 

 

アンナ『この歌はまだ!!途切れちゃいねえ!!!』

 

アンナ『聴かせてやるぜ、武女王(クソッタレ)』

 

アンナ『…これが最期の「Let it go」だ』

 

 

一方「メルヘンだなァ」モグモグ

 

打ち止め「ねー」モグモグ

 

 

打ち止め「すごかったねー!最期のアンナのレリゴー・レクイエムバスター!ってミサカはミサカは映画の感想を話してみたり!」

 

一方「そォだな」

 

打ち止め「~♪」

 

 

一方「楽しかったか」カツッカツッ

 

打ち止め「うん!連れてってくれてありがとう!ってミサカはミサカはあなたに感謝してみたり!」

 

 

~黄泉川家~

 

 

黄泉川「―――で、今日私が作った特製ハンバーグが食べれなかったと」

 

打ち止め「はい…」セイザ

 

一方「……………」セイザ

 

 

芳川「勿体ないから私の夜食にするわね」

 

番外「夜食べると太るよ?」

 

黄泉川「ガミガミ!ガミガミガミガミ!じゃん!」

 

 

一方「…だから言っただろ…」

 

打ち止め「うんゴメンねってミサカはミサカは言うこと聞かなくてゴメンなさい」

 

 

 

打ち止め「ねーねー、あーそーぼ?ってミサカはミサカはあなたの耳たぶはみはみしてみたり!」ハムハム

 

一方「あァ?見りゃわかンだろ、今俺はコーヒータイム中だ」クピクピ

 

打ち止め「ミサカはあなたと遊びたいのーってミサカはミサカはぐいぐいぐいーっ!」グイグイグイグイ

 

一方「やめ、溢れ…!あァわかったわかった!何がしてェンだ?」ハァ

 

打ち止め「うん、あのねあのね!かくれんぼしよ!ってミサカはミサカは定番の遊びを持ちかけてみたり!」

 

一方「あァ?オマエと二人で?」

 

打ち止め「ううん。ミサカとあなたとお子様とフロイラインとカブトムシさんで5人だよ!ってミサカはミサカは参加者の充実さを伝えてみたり!」

 

 

~公園~

 

「みんなーっ!」タタタタ

 

フロイライン「あ、来ました」

 

フレメア「にゃあにゃあ!遅いぞ!」フリフリ

 

白垣根「お待ちしていましたよ」ニコリ

 

打ち止め「うん遅れてゴメンねってミサカはミサカは遅刻を謝罪してみたり」

一方「おい打ち止め!走るンじゃねェ」カツッカツッ

 

フレメア「にゃあ?大体、あの時の白い人だ!」

 

フロイライン「あの時はお世話になりました…む、"感謝"の気持ち…美味しいです二ツ星」

 

白垣根「おやあなたも一緒でしたか」ニコッ

 

一方「チッ、おい第二位。オマエ普段からこンなガキどもに混じって遊ンでンのか?」

 

白垣根「私は彼女達の護衛の役目を担う"私"ですからね」ニコッ

 

一方「ハッ、自ら進ンでボランティアとか随分綺麗になっちまったなァオマエ」

 

白垣根「おや、善性であろうとする、ありたがる事は美徳ではありませんか?」ニコッ

 

一方「ンだよ結局自分が善人である事を確認するためかよ。偽善野郎」

 

打ち止め「んもーう!あなたは喧嘩売るの禁止ー!」ペチペチ

 

 

フレメア「じゃあ大体、最初の鬼決めじゃんけんな!」フンス!

 

打ち止め「ようし、負けないぞってミサカはミサカは意気込んでみたり!」フンス!

 

白垣根「あ、もしよかったら私が鬼をやりましょうか?」ニコッ

 

フレメア「えー?いいからじゃんけんするのだ!じゃんけんして負けるやつが大体鬼なんだ!」

 

白垣根「そうですか?」

 

打ち止め「プレイsideも鬼sideも勝ち取るものだよ!誰かに押し付けるものじゃない!ってミサカはミサカはかくれんぼの暗黙のルールを言ってみたり」 

フロイライン「もぐもぐ…"情熱"…美味しいです二ツ星半」モギュモギュ

 

一方「じゃあじゃんけンな」

 

「「「「「さいっしょはグー!」」」」」

 

 

フレメア「にゃあにゃあ!では皆のもの隠れるのだ!」ダダダダ

 

打ち止め「よーし!見つからないとこに隠れるぞーって、ミサカはミサカは潜伏場所を模索してみたり!」ダダダダ

 

フロイライン「私も同じところがいいです」ダダダダ

 

白垣根「ではあそこなんて如何でしょう?」ダダダダ

 

 

一方「……いィーち、にィー、さーン……」

 

一方「ごーォ、ろォーく…」

 

一方(これやってると昔を思い出すな…)

 

 

『かくれんぼやろーぜー!』

 

一方『俺も入ーれーて!』

 

『………』

 

『いいよ?一緒に遊ぼうよ!』ニタリ

 

 

一方『いーち、にー、さーン』

 

一方『もーいーかい?』

 

シーン……

 

一方『もーいーかい!?』

 

 

シーン……

 

 

一方『…みンな隠れてる場所がわからないように言わないのかな』テクテク

 

一方『ここかな?』チラ

 

一方『どこだろ』キョロキョロ

 

一方『…こーさン!もうこーさン!』

 

 

シーン…

 

 

一方『……』

 

 

一方『……なンだよ、かくれンぼやるって言ったじゃンか』

 

一方『一緒にかくれンぼしてくれるって言ったじゃンか!』

 

 

一方『………皆、きらいだ……っ!』グスッ

 

 

一方「はァーち、きゅー」

 

一方(誰でも一つは持ってるガキの頃の苦い思い出ってかァ?)

 

 

一方「十!」

 

一方(…これで帰られてたら俺はもォ一生かくれンぼはしねェ)

 

一方「もォいいか!?」

 

「もーいーよーって、ミサカはミサカはお返事してみたり!」

 

一方「…」

 

一方「…ハァ、自分の位置もろバレしちまってンじゃねェか」カツッカツッ

 

一方「もォいつでも見つけられるアイツは後回しでいいな」キリッ

 

 

一方「ンじゃ、探しに行くとしますかァ」ニタリ

 

 

フレメア(ふふふ…大体、ここなら絶対見つかるまい!)

 

フレメア(なんてったって木の上の方だぜ?にゃあにゃあ!)

 

フレメア(これで最後まで残って「もーフレメアちゃん隠れるの上手すぎー!」って言われるのは大体私だ!)

 

一方「見ィー……つっ……けたァ♪」ガシッ

 

フレメア「うにゃァァアああああアアア?!」ドッキーン?!

 

 

フロイライン(隠れる……私は公衆トイレの個室に入って鍵をかけました)

 

フロイライン(私を見つけるのは男性では不可能です)

 

フロイライン("楽しい"…三ツ星です)モグモグ

 

 

ガタン!

 

 

フロイライン「?」

 

ガタ、ガタン!

 

フロイライン「??」

 

ガシッ

 

 

一方「見ィー……つっ……けたァ♪」

 

フロイライン「あの、ここ女子トイレですよ?」

 

 

白垣根(ふふ…私を見つけられますか?第一位)ニヤリ

 

白垣根(ある場所では未元物質で"私"を大量生産して誰が私かわからなくし…)

 

白垣根(空に未元物質で光を屈折させ透明化した"私"…)

 

白垣根(地中に潜ませた"私"!)

 

白垣根(数々のダミーがいる中…しかして本物の私はゴミ箱の中なんですよ!)ドーン!

 

白垣根(これなら絶対見つかりません!)

 

一方「…」ガシッ

 

白垣根(ん?ゴミ箱が持ち上げられた?)

 

一方「すンまっせーン!これの中身も捨ててもらっていいですかァー」

 

お掃除ロボ『了解デス』ウィーンガシャッ

 

白垣根(?!)

 

 

打ち止め「……」

 

打ち止め(まだかな)

 

打ち止め(山みたいな遊具の中に隠れてるし…普通すぐに見つかっちゃうと思うんだけど)

 

打ち止め(ってミサカはミサカは暇をもて余してみたり)

 

打ち止め(んー…回転率が悪いなら鬼を増やすか、ミサカがここから出てわざと見つかろっかな)

 

打ち止め(ってミサカはミサカは合理性や効率を考えてみたり)

 

 

一方「…こンなとこにいやがったのか」

 

打ち止め「あ、やっときた!」

 

一方「ったく、オマエはかくれンぼの天才かっての。オマエが一番最後だ」

 

打ち止め「わーい」テテテ

 

一方「…打ち止め見ーつけた」

 

打ち止め「見つかっちゃった~ってミサカはミサカはお決まりのやりとりをしてみたり!」

 

 

一方(かくれンぼって本当は楽しいものだったンだな…)ギュ

 

打ち止め(まさかあなたから手を繋いでくれるとは?!ってミサカはミサカは嬉しい誤算!)

 

 

白垣根「…」ズーン…

フロイライン「…」ズーン

フレメア「…」ズーン

 

↑かくれんぼが若干トラウマになった人たち。

 

 

 

打ち止め「ねーねー、あーそーぼ?ってミサカはミサカはあなたの服の中に潜りこんでみたり!」モソモソ

 

一方「おいやめろ今俺はコーヒータイム中だ」クピクピ

 

打ち止め「ミサカはあなたと遊びたいのーってミサカはミサカはぐいぐいぐいーっ!」グイグイグイグイ

 

一方「やめ、溢れ…!あァわかったわかった!何がしてェンだ?」ハァ

 

打ち止め「ジェンガやろ!ジェンガ!ってミサカはミサカはジェンガ片手にお誘いしてみたり!」

 

一方「構わねェが二人でかァ?」

 

打ち止め「うんっ!あなたとしたいの!」

 

一方「まァいいけどよォ…」ヨイショ

 

打ち止め「さっきね、芳川がコンビニでミサカにジェンガ買ってくれたんだよってミサカはミサカは最近あった嬉しかった事を報告してみたり!」

 

一方「ほォ?アイツ金ねェくせによくそンな余裕あったな」カチャカチャ

 

打ち止め「うん、なんかね、『臨時収入があった』んだって!ってミサカはミサカは芳川の経済情報を流してみる」

 

一方「あァ?『臨時収入』だァ?」カチャカチャ

 

打ち止め「パチンコで20万買ったんだって!ってミサカはミサカはオフレコ情報も流してみたり!」

 

一方「アイツいよいよ末期だなァ」カチャカチャ

 

 

一方「おら、ジェンガ組めたぞ」

 

打ち止め「わーい!ありがとう!」

 

打ち止め「それじゃあ…」

 

一方「オマエからでいいぞ」つジェンガハンマー

 

打ち止め「うんありがとう!」

 

 

打ち止め「どりゃあああああああああ!!!ってミサカはミサカはジェンガに盛大にダイブしてみたりぃぃぃいいい!!!」

 

ガッチャーアアアン!!!

 

 

一方「?!」

 

打ち止め「ねぇねぇ!どうだった?!ミサカ何点?ってミサカはミサカはあなたに採点をお願いしてみたり!」キャッキャッ!

 

一方「いや意味がわかンねェよどォいう事だ」

 

打ち止め「え?だって芳川が『ジェンガっていうのはね、組んだジェンガタワーをいかに豪快に壊すかを競うゲームなのよ』って」

 

一方「ちょっと後で芳川さンにはお話しなくちゃいけなくなっちまったなァ」 

 

一方「いいか打ち止めァ?ジェンガってのはタワーを倒さないでブロックを抜いていくゲームだ」

 

一方「最初っからぶち壊す気でジェンガやるとかキレても許されるレベルだぞ」

 

打ち止め「そ、そうだったの?!」ガーン!

 

一方「俺がオマエのために一生懸命タワー組んだのに、そのオマエに崩されるとかマジで鬼かと思ったからな?」

 

打ち止め「ごめんなさい」ペコ

 

一方「だが芳川とやる時は盛大にやってやれ。存分にな」

 

打ち止め「うんわかった!ってミサカはミサカはいいお返事してみたり!」

 

一方「じゃあもっかい組むからちょっと待ってろ」カチャカチャ

 

打ち止め「あなたって本当に優しいよねってミサカはミサカは微笑んでみたり」

 

 

一方「おら、出来たぞ」

 

打ち止め「うん!じゃあやろっ!」

 

 

芳川「あら?楽しそうね?私も混ぜてもらってもいいかしら?」

 

打ち止め「うん!いいよ!ってミサカはミサカは芳川のためのスペースをあけてみたり!」

 

芳川「ありがとう」ニコッ

 

芳川「それじゃあ、誰から――――

 

打ち止め「どりゃあああああああああ!!!ってミサカはミサカはジェンガに盛大にダイブしてみたりぃぃぃいいい!!!」

 

ガッチャーアアアン!!!

 

一方「?!」

 

芳川「?!」

 

 

一方「お、オマ、オマママママ………」

 

芳川「ちょっと打ち止めどうしたの!?」

 

打ち止め「え?だってこの人が『芳川とやる時は盛大にやれ』って…」キョトン

 

芳川「……」チラッ

 

一方「一応言っとくが元凶はオマエだからな?」

 

 

 

打ち止め「ねーねー、あーそーぼ?ってミサカはミサカはあなた髪の毛を指でくるくるしてみたり!」クルクル

 

一方「あァ?見りゃわかンだろ、今俺はコーヒータイム中だ」クピクピ

 

打ち止め「ミサカはあなたと遊びたいのーってミサカはミサカはぐいぐいぐいーっ!」グイグイグイグイ

 

一方「やめ、溢れ…!あァわかったわかった!何がしてェンだ?」ハァ

 

打ち止め「水族館!水族館行きたい!ってミサカはミサカは連れてってー!」

 

~とある水族館~

 

 

一方「チッ、最近の水族館のチケットって高ェな…」ブツブツ

 

打ち止め「楽しみ~♪」

 

一方「ところでオマエは何を見たいンだ」

 

打ち止め「あのねあのね!イルカさんとシャチさんが見たいのってミサカはミサカは目当てを教えてあげるっ!」

 

一方「ほォ…その二択か」

 

打ち止め「? なあに?何かあるの?ってミサカはミサカは訊ねてみたり」キョトン

 

一方「いいか?まずはイルカさンだが」

 

打ち止め「うん」

 

一方「確かにイルカはチャーミングだ。2年に1度の割合で海に迷うダイバーがイルカに助けられているし、」

 

一方「2004年11月にはニュージーランドで3人の水難救助員をイルカ達が団結して助けたという報告もある」

 

一方「頭もいい。ある程度の会話が可能で、尾ひれでサーフィンをしたりジャンプしてコミュニケーションがとれたりな」

 

打ち止め「へぇー!ってミサカはミサカはイルカさん豆知識に聞き入ってみたり!」

 

一方「―――だが、」

 

一方「過去17年間…海洋生物学者たちは時々砂浜に打ち上げられるイルカの赤ちゃンの死体に注目した」

 

打ち止め「……え?」

 

一方「死体はどれもズタボロなンだと。イルカの成体の雄がな、赤ちゃン見つけては殴り殺しちまうンだよ」

 

打ち止め「えっ……」

 

一方「しかもその後、特に理由もなく死体を弄ぶ」

 

打ち止め「」

 

一方「それからな、イルカは実は非常に性欲が強い」

 

打ち止め「?」

 

一方「めちゃンこエ口い。エ口エ口なンだよ」

 

打ち止め「……?」

 

一方「1994年には人間の女に惚れたオスのイルカがその女に近づく男二人に襲い掛かってその内の一人を殺しちまったンだ」

 

一方「男が酔っ払ってたり、イルカにちょっかいをかけていた…なンて事情もあるにはあるが…」

 

一方「愛らしい見た目やイメージだけで『野性動物』を見ねェ方がいい」

 

打ち止め「」

 

 

一方「次にシャチさンだが」

 

打ち止め「シャチさンも?!ってミサカはミサカは聞くのが怖い!」

 

一方「むしろシャチさンのがめちゃくちゃ怖いぞ?シャチさンは別名"海の殺し屋"だからな」

 

打ち止め「?!」

 

一方「例えば、その体躯で」

 

打ち止め「も、もういいよ!ってミサカはミサカはこれ以上聞きたくなーい!」イヤイヤ

 

一方「ンだよ、これからが本番だってのに」ゲッヘッヘ

 

打ち止め「ミサカはね、何でもそうだけど誰かの悪いところじゃなくて、良いところをよく見る派なの!」プンプン!

 

 

打ち止め「…あなたみたいに、悪いとこばかり見られがちな人の側にいるから余計にねってミサカはミサカは呟いてみたり」ポソリ

 

 

一方「マンボウとか海月は癒されるよなァ…」ホワ

 

打ち止め「ゆーらゆらたゆたってて、楽しそうだよねーってミサカはミサカは同意してみたりー」ホワ

 

 

~水中トンネル~

 

 

打ち止め「あーっ!見て見て!マンタ!でっかいマンタだよ!ってミサカはミサカは大興奮!」

 

一方「マンタの泳ぎ方ってなンかいいよなァ…」

 

 

打ち止め「うおー…でっかいお魚…」

 

一方「ああいうのって食ったら美味そうだよなァ…ワサビ醤油なンかでいきてェ」

 

 

~イルカショー~

 

 

ヴェント「ハーイっ!そっれじゃあ!今からイルカショーやりまーすっ♪」

 

打ち止め「わあ!楽しみー♪」パチパチ

 

一方「水飛沫飛ンでくるからしっかりカッパと傘を装備しろよ?」

 

打ち止め「うー、ごわごわするーってミサカはミサカはカッパの動きづらさに辟易してみたり」

 

ヴェント(すっぴん)「まずはイルカさん達のダンスを御覧くださーい!」

 

 

イルカ「きゅっ♪」

 

イルカ「きゅっ♪」

 

イルカ「きゅ♪」

 

 

打ち止め「うわあーカワイイ!」

 

一方「へェー」

 

 

ヴェント「それっ!ジャンプしなさい!」

 

イルカ「きゅーっ♪」ジャーンプッ

 

バッシャーン!

 

打ち止め「うおー!すごいすごーい!ってミサカはミサカは拍手喝采してみたり!」パチパチパチパチ!

 

一方「あァ、確かにスゲェよ。まず、あの水中から空中へ跳ぶジャンプに必要な筋力は…」

 

打ち止め「頭いい人ってどーして素直に抽象的なスゴいって感想が出ないんだろってミサカはミサカは思ってみたり」

 

 

ヴェント「ほらっ」つボール

 

イルカ「きゅ♪」ポン、ポン!

 

 

打ち止め「あっみてみて!鼻でキャッチボールしてる!」キャッキャッ!

 

一方「上手いもンだな」

 

 

ヴェント「ヘーイ!」ポーン!

 

イルカ「きゅ♪」ポーンポーン!

 

イルカ「きゅ♪」ポーン!

 

ヴェント「よし!ご褒美の魚よ!」ポーイ

 

ヴェント「可愛いやつめ!ほらもう一匹!」ポーイ!

 

 

打ち止め「いいなーミサカもエサやりたーい!ってミサカはミサカは楽しそうなイルカのお姉さんを羨んでみたり」

 

 

ヴェント「イルカと泳いでみたい人ーッ!」

 

 

一方「…行かねェのか?」

 

打ち止め「さすがに泳ぐのはちょっと怖いかなってミサカはミサカは怖じ気づいてみたり」

 

 

ヴェント「今からイルカさんにエサやるんだケド」

 

ヴェント「やりたいチビッ子はいるカナーッ?!」

 

 

打ち止め「ハイハイッ!ハイハイハイハイハーイッ!!!ってミサカはミサカは必死に猛アピールっ!」

 

一方「気をつけろよォー」

 

 

打ち止め「おー……」

 

イルカ「きゅ」

 

 

打ち止め「ど、どうぞ!ってミサカはミサカは差し出してみたり」つ魚

 

イルカ「きゅー」バクンッ

 

打ち止め「わひゃあっ!?ってミサカはミサカはひっくり返る!?」

 

ヴェント「口に放り込む感じでやると上手くいくわよー?」クスクス

 

 

一方「楽しかったか」

 

打ち止め「うん!楽しかった!」

 

一方「じゃあお土産でも買っていけ」つ金

 

打ち止め「うん!」

 

 

~土産コーナー~

 

 

打ち止め「黄泉川にーつまみの干物ー」

 

打ち止め「芳川にーイルカのストラップー」

 

打ち止め「番外個体にーイルカのシルバーアクセー」

 

打ち止め「お子さまとおねーちゃんとカブトムシにーイルカグミー」

 

打ち止め「自分にーイルカのぬいぐるみー」

 

打ち止め「あの人にー…?」チラッ

 

 

「限定!イルカペアキーホルダー!」

 

打ち止め「……」

 

 

一方「コーヒー美味ェ」クピクピ

 

打ち止め「おーまーたーせっ!ってミサカはミサカは買い物終了をお知らせします!」

 

一方「じゃあ帰るぞ」カツッカツッ

 

打ち止め「ん!」トコトコ

 

 

黄泉川「へー?そっかー水族館かー」

 

打ち止め「うんっ!はいこれお土産!ってミサカはミサカは両手で渡してみたり!」

 

黄泉川「おー!ありがとうじゃん!」ニコッ

 

打ち止め「はいっ!芳川!」

 

芳川「あら素敵なお土産ね?ありがとう」ニコッ

 

打ち止め「はい!番外個体!」

 

番外「ふーん?中々いい趣味だね?ミサカ気に入ったよ」ニヤリ

 

打ち止め「それからー…」チラッ

 

一方「疲れた時のコーヒーは美味ェな」クピ

 

 

打ち止め「はいっ!あなたにも!ってミサカはミサカはプレゼントフォー・ユー!」

 

一方「あン?」

 

打ち止め「ペアのイルカキーホルダーなんだよってミサカはミサカはあなたにも持っててほしーなー?」

 

一方「…わざわざ悪ィな」

 

打ち止め「…ひょっとして、気に入らなかった?」ショボン

 

一方「いや。丁度携帯のストラップが欲しかったとこだしな」カチカチ

 

一方「ほら着けた。これでいいか?」

 

打ち止め「! うん!あ、ほら見て!ミサカも携帯につけてるの!」つ携帯

 

打ち止め「おそろいだねっ!ってミサカはミサカはあなたに抱きついてみたり!」ダキッ

 

一方「そォだな」クピ

 

 

一方「………暑い」グダッ…

 

一方「クソッタレ、なンでこンな時に限って温度調整マッスィーンが壊れやがるンだ」

 

エアコン「ぶっちゃけ常時稼働と寿命が原因ッスねマジで」

 

 

一方「…空調効いてる喫茶店で水出しアイスコーヒー飲みに行くか」ノソノソ

 

 

 

打ち止め「あーなーたーっ!ってミサカはミサカはあなたにダーイブッッ!」

一方「ごっ、がァァァァあああああッッ?!」ズシャアアアアッッ!?

 

 

 

打ち止め「ねぇーねぇー!あーそーぼっ!ってミサカはミサカはあなたのお腹に顔をすりつけてみたりーっ!」スリスリ!

 

一方「お、ご…」ピクピク

 

打ち止め「あのねあのねっ!今日夏の花火大会あるんだって!屋台も出るんだってー!ってミサカはミサカは行きたい行きたい!」

 

一方「…っ、」プルプル

 

ゴスゴスゴスゴスゴスゴスゴスゴスゴスゴスゴスゴスゴスゴスゴスゴスゴス

 

打ち止め「あうっ?!あうあうあうあうあうあうあうあうあうあうあうあうあうあうあうあうあうあうあうあうあう?!」

 

打ち止め「ひっどーい!なんで連続横チョップするのってミサカはミサカはほっぺたをさすってみたりーっ!」プクー!

 

一方「オマエの胸に聞いてみやがれこのすっとこどっこい」イライラ

 

打ち止め「ねぇ行こう?ミサカとわたあめ食べたりお面つけて花火みたりしよ?ってミサカはミサカは瞳に星入れて誘ってみる!」

 

一方「芳川とか友達と行ってこい。そォいうのも大事な勉強だ」ヒラヒラ

 

打ち止め「じゃああなたもそういう勉強しよ?ってミサカはミサカはあなたと楽しみたい気持ちをあらわにしてみたり」クイクイ

 

一方「めンどくせェ」ゴロリ

 

打ち止め「うわーん!やだやだー!あなたも一緒がいいーっ!ってミサカはミサカは駄々をこねこねしてみたりぃぃいいい!!」

 

一方「うっぜェ…ただでさえクソ暑くてイライラしてるってのによォ…」

 

 

~数時間後~

 

 

一方「おら、走るンじゃねェよ」カツッカツッ

 

打ち止め「へへーまさか浴衣と下駄を買ってもらえるなんて!ってミサカはミサカは嬉しさのあまりくるくる回ってみたり!」クルクル

 

一方「夏祭りには浴衣だから買ってやっただけだ。いつもはこンな甘やかしたりしねェからな覚えとけ」カツッカツッ

 

打ち止め「うーんあなたはいつも優しいから甘やかされてるとかミサカわかんないなー?」カラッコロッ

 

打ち止め「あ!あなたも浴衣似合ってるよ!ってミサカはミサカはあなたの袖にしがみついてみたり!」カラッコロッ

 

一方「ハイハイどォも。危ねェからやめろ」カツッカツッ

 

 

「結局このさば焼きが美味いってわけよ!買ってかない?」

 

「神の血(ワイン)と神の肉(パン)はいかがですかねー?」

 

「………わたあめはどうだ?舶来」

 

「ホットドックを凶悪に改造した木原印のハウンドドックぁいかぁっすかァーー?!オラァ!買ってけクソガキ」

 

打ち止め「うわー色んなお店があるね!どれから行く?!」ワクワク

 

一方「あァいうガラ悪い危なそォなとこには行っちゃいけませン」グイ

 

 

「へい、そこのカワイイお嬢ちゃん」

 

打ち止め「?」クル

 

ステファニー「私の射的、やってかない?他とは違ってめがっさおっもしろいぞー?」

 

打ち止め「へぇ?どんなのなのー?ってミサカはミサカは興味しんしん!」ダーッ

 

一方「オマっ…ちょ、待ちやがれ!」カツッカツッカツッカツッ

 

ステファニー「ふっふっふ。なんと!実弾をぶちまけられるのだー!」つガトリング銃

 

打ち止め「」

 

一方「」

 

ステファニー「あ、安心してね?最新のロボット工学の技術が満載な脚がついてるからお子様でも安全に撃ち放題だから!」ニコッ

 

一方「もしもし、警備員ですかァ?ちょっと危険物所持した危ないバカがいるンですゥ」

 

ステファニー「即通報とか止めて?!」ガーン!?

 

ステファニー「タダで!一回分タダでやらせてあげるから!」

 

打ち止め「ほんと?」

 

一方「おいやめろ食いつくンじゃねェよ。こォいう頭ヤバイのは牢にブチこんどいた方がいいンだって」

 

ステファニー「失礼ですね、私これでも元警備員ですよ?」

 

一方「辞めてるンじゃねェか胡散臭さ倍増じゃねェか」

 

ステファニー「いや辞めたっていっても自分から辞めましたし?」

 

一方「ほォ?」

 

ステファニー「その後、傭兵になって暗殺者として学園都市にカムバックしてきたんです」

 

一方「そのまま外で死ンどけばよかったのにな」

 

打ち止め「!」

 

くまたんぬいぐるみ

 

打ち止め「ねぇねぇ!ミサカあれ欲しい!やろう?ってミサカはミサカは挑戦理由を見いだしてみたり!」

 

一方「…一回だけだからな」チッ

 

ステファニー「毎度っ♪」

 

ステファニー「じゃあ説明するわね?」

 

打ち止め「はーい」

 

 

ステファニー「まあとにかく?要はただ賞品に弾を当てればいいだけなんだけど…」

 

ステファニー「やっぱり賞品(てき)の手足や腹部に当たっただけじゃ殺害(ヒット)した事にはならないと思うのよ」

 

打ち止め「へー」

 

ステファニー「負傷させると仕留め易くはなるけどね。より多くの賞品(てき)を倒したいなら眉間や心臓を狙うのをオススメしたい!」グッ!

 

打ち止め「」プルプル

 

一方「俺はオマエの眉間や心臓にブチこンでやりてェよ」

 

ステファニー「え?なんでよ」

 

一方「教育上よくねェンだよクソッタレ」

 

ステファニー「そ?あ、じゃあ"仕込み"もやめとく?」

 

一方「…なンかあンまり聞きたかねェが…何だ仕込みって」

 

ステファニー「いやリアル感出すためにね?賞品を撃った時に赤い液体がドバッて出るようにしたんだけどさ」

 

一方「今すぐそのトラウマ製造仕込みは全部外せ」

 

ステファニー「えー」プクー

 

一方「えーじゃねェよ。他にはねェだろォな」

 

ステファニー「賞品(てき)に当たったら『断末魔の叫び声テープ』が流れるくらい?」

 

一方「オマエもォ店畳め」

 

 

~全部外しました~

 

 

打ち止め「よーし!えい!」カチッ

 

ウィー……むっ

 

バラタタタタタッッッッ!!!!

 

ギュー…むっ

 

くまたんぬいぐるみ→愉快なオブジェ

 

打ち止め「」

 

ステファニー「おっ、やるねお嬢ちゃん!一回の掃射で仕留めたね!」

 

打ち止め「くまたんが…くまたんがミサカのせいで…」ブツブツ

 

一方「スクラップ決定だな」カチッ

 

 

~ぶっ潰しときました~

 

 

一方「チッ、せっかくの祭り気分を台無しにしやがって」カツッカツッ

 

打ち止め「でも予備のくまたんぬいぐるみ貰えたねってミサカはミサカはわりと満足!」カラッコロッ

 

一方「普通のだ。次は普通の店行くぞ」カツッカツッ

 

打ち止め「あ!金魚すくいだって!ってミサカはミサカは暗に『行きたい』意思表示をしてみたり」チラッ

 

一方「行きてェなら素直に言え」カツッカツッ

 

 

白垣根「おや?これはどうも」ニコッ

 

一方「よし、他行くぞ」クルッ

 

打ち止め「えーなんでーってミサカはミサカは理由開示を求めてみたり」

 

一方「ぜってェろくなもンじゃねェからだ」

 

白垣根「それは心外ですね。どうか見てから言ってください」

 

打ち止め「ミサカやりたい…」チラッ

 

一方「…チッ、好きにしろ」

 

打ち止め「じゃあ一回やらせて?ってミサカはミサカは百円を握りしめた手をつきだしてみたり!」ニコッ

 

白垣根「ありがとうございます」ニコッ

 

白垣根「ではどうぞ!救いに救ってください!」ニコッ

 

 

カブトムシ達「「ごぼぼぼぼぼぼぼぼ」」

 

打ち止め「」

 

一方「やっぱな」カチッ

 

白垣根「水中で瀕死のカブトムシを掬って救う、『カブトムシ救い』でS 一方「ベクトルパァンチ」バッキャア

 

 

~ぶっ潰しときました~

 

 

一方「だから言っただろ、ぜってェろくなもンじゃねェって」カツッカツッ

 

打ち止め「でも白いカブトムシ一匹掬えたねってミサカはミサカはちょっと嬉しかったり」

 

カブトムシ「…」キシキシ…

 

一方(「捨てちまえ」って言いてェ)カツッカツッ

 

 

一方「次はどこ行きてェンだ」

 

打ち止め「んー…お腹すいちゃったから、ミサカ何か食べたいなってミサカはミサカは空腹を訴えてみたり」

 

一方「じゃあそこのお好み焼きにするか」カツッカツッ

 

打ち止め「わーい!」カラッコロッ

 

 

麦野「いらっにゃいませにゃーん♪」ニャン♪

一方「……」

 

打ち止め「わあ、可愛いね!ってミサカはミサカは猫耳と尻尾つけたむぎにゃんを褒めてみたり!」

 

麦野「」

 

一方「…オマエ…何してンだ」ウワァ

 

麦野「……」

 

麦野「…久しぶりね、第一位。私がこういう"表の世界"にいるのがそんなに気にくわない?」キリッ

 

一方「いやあのな?」

 

麦野「でもね、アンタにだってここに来てる。アンタも私と同じって忘れてんじゃないでしょうね」キリッ

 

一方「違」

麦野「…安心しな。私だってアンタを責めたいワケじゃない」

 

麦野「でもね、私達みたいな人間だって楽しむ権利くらいあるはずよ」

 

一方「第四位…」

 

麦野「いえ、これは正確じゃないわね。『そんな権利なんてない』なんて強制できる人間がいないってだけ」

 

麦野「だからこそ。私は勝手に…私の好きに生きて、楽しむって決めたのよ」キリッ

 

麦野「アンタも…そうなんでしょ?」キリッ

 

一方「いやオマエわかってて言ってンだろ?俺がドン引きしてンのはオマエの格好と言動だ」

 

麦野「うっせえよ!人がせっかく話逸らそうとしてんだからノりなさいよぉぉ!!!////」

 

一方「まァオマエの痛い趣味は置いといて、だ」

 

麦野「ハァ――――?!痛くないわよ?ゼェーんゼェン痛くないわよー?」

 

一方「俺たちは客だ。オラ、さっさとメニュー見せやがれ麦にゃン」

 

打ち止め「そーだそーだ!メニュー見せろ麦にゃーん!ってミサカはミサカは便乗してみたり!」

 

麦野「うっせえよ!麦にゃん言うな!ばかやろー!!////」

 

一方「つゥかオマエ一人でにゃンにゃン言ってンのかよ?痛い上にぼっちできめェとか最悪じゃねェか」ハッ

 

麦野「テメェマジで殺すぞ?」ピキピキ

 

打ち止め「でも他に人いないねってミサカはミサカは麦にゃんを心配してみたり」

 

麦野「いや今ちょっと他の奴はパシリに行かせてるだけだからね?ぼっちじゃないから」

 

打ち止め「そうなんだ!ってミサカはミサカは麦にゃんの心配をしなくて済んだ事を喜んでみたり!」

 

麦野「いい子ねーできたら『麦野お姉ちゃん』って呼んで欲しいにゃーん?」ニコッ

 

一方「ならその痛い口調直してから言えよ麦野お姉ちゃン」

 

麦野「…」つ ○〓〓〓〓〓〓≫メルトダウナー

 

 

麦野「何か言う事は」

 

一方「早くメニュー出せよ」

 

麦野「ちげぇよな?」ガシ

 

一方「すンまっせンしたァ~」ちぃす

 

麦野「コイツは…!」ビキビキ

 

打ち止め「ねー、ミサカお腹すいたーってミサカはミサカは早く注文したいかも」

 

麦野「あ、ごめんね?今すぐ出すから。…ハイッ」つ

 

打ち止め「うわーい!」

 

一方「オイ、俺にも寄越せ」

 

麦野「テメェは木の根でも噛んでろ」

 

打ち止め「じゃああなたも一緒に見よ!ってミサカはミサカはあなたにもメニューを見せてみたり!」

 

一方「悪ィな」ニヤ

 

麦野「チッ」

 

一方「えェ…と?」チラッ

 

 

~メニュー表だにゃーん♪~

 

 

・焼き鮭、サーモン、炙りサーモン

 

・塩シャケ、鮭の薫製、干し鮭

 

・鮭のお好きな部位3つ♪

 

・鮭マヨ、鮭フライ、塩煮込み鮭

 

・鮭一匹まるごと!贅沢三昧

 

 

一方「………」

 

打ち止め「………」

 

一方「ここってさァ、何屋だっけ」

 

麦野「お好み焼き屋よ」

 

一方「鮭専門店じゃねェの?」

 

麦野「お好み焼き屋よ」

 

一方「…鮭オンリーなお好み焼き屋とかバカじゃねェの?」

 

麦野「世の中に一つくらい。そんなお好み焼き屋があったっていいと思うわ」キリッ

 

一方「…打ち止め。オマエは何がいいンだ」

 

打ち止め「じゃあミサカは鮭マヨが入ってるやつー」

 

 

一方「美味いか?それ」

 

打ち止め「うん!意外とイケるってミサカはミサカは頬張ってみたり!」アムアム

 

 

 

打ち止め「はいっ!あなたにも。あーん!」ニコッ

 

一方「…あむ」パク

 

 

一方「次はどォすっか」カツッカツッ

 

打ち止め「んー…あ!あのお店!ミサカの第六感が『あの店にするべき』って告げている!ってミサカはミサカは猛ダーッシュッ!」ダッ

 

一方「また走りやがって…転ぶぞ?」カツッカツッ

 

打ち止め「あっ」コケッ

 

ズシャアアアアァァアアア!!!

 

打ち止め「」

 

一方「言わンこっちゃねェ…」ハァ

 

一方「おい大丈夫か」カツッカツッ

 

 

打ち止め「………」ムク

 

打ち止め「…あれ?」←カブトムシ入れてた袋なくした

 

打ち止め「……」キョロキョロ

 

打ち止め「あ…」

 

持ってたお好み焼き→地面にどばー

 

打ち止め「……」

 

打ち止め「…あれ、くまたんぬいぐるみもない…」キョロキョロ

 

打ち止め「あっ」

 

「でもよー、黒妻のやつなまらつえーべ?」

「蛇谷さんもまあ強いけどなー」

 

ぐしゃ。ぐしゃっぐしゃ。

 

打ち止め「あっ、あっあっ……」

 

くまたんぬいぐるみ→踏まれて泥まみれ

 

打ち止め「……」

 

打ち止め「……」

 

打ち止め「…」チラッ

 

買ってもらった浴衣→泥まみれ

 

打ち止め「……」ウルウル

 

打ち止め「……ぐずっ…」

 

打ち止め「う…うぇええ…っ…」グスッグスッ

 

一方「…ハァ、なにやってンだバカ」

 

打ち止め「うぇええ……うえええん!うえええん!」ポロポロ

 

一方「ったく、だから走ンなって言っただろォが。ほら、立て」つ

 

打ち止め「えぐ、えぐっ」ボロボロ

 

一方「…気にすンな。カブトムシは自然に帰っただけだし、食いもンはまた後で買ってやる」ポン

 

打ち止め「うう…でもっ、せっがぐ、ぜっがぐ買ってもらっだの゙に゙って、みざがは、みざがはっ…」グジュグジュ

 

一方「あァもォ…そンなに泣くンじゃねェよ」ナデナデ

 

一方「俺は気にしねェし、汚れは落とせばいい」カチッ

 

一方「ベクトル汚れ落とし」パンッ!

 

打ち止め「!」ぽふっ

 

一方「ぬいぐるみも貸せ」パンッ!

 

一方「汚れを微細動衝撃で浮かばせて下に落とした」

 

打ち止め「ほんとだ…綺麗になったってミサカはミサカはほっとしてみたり」

一方「…これで綺麗になったし、問題は全部片付いた。もォ泣くなよ」

 

打ち止め「うんっ!ありがとう!ってミサカはミサカは涙を拭いてお礼を言ってみる!」ニコッ!

 

一方「ほら、手ェ繋げ」テギュ

 

打ち止め「!」

 

一方「もォ二度と勝手に俺から離れるンじゃねェぞ」ギュ

 

打ち止め「…うん、てミサカはミサカはあなたの手を握り返してみたり」ニギ

 

 

シルバークロース「いらっしゃ、」

 

一方「『わたあめ駆動鎧を装着かき氷』のイチゴ味二つ」

 

シルクロ「…久しぶりだな、第一位」

 

一方「いや誰だオマエ」

 

シルクロ「なっ?!…くっ、ヒントは"アルマジロ"だ」

 

一方「いや知らンな」フルフル

 

シルクロ「」

  

シルクロ「"新入生"のシルバークロース=アルファだ」イライラ

 

一方「今度は零すンじゃねェぞ」

 

打ち止め「うんってミサカはミサカはわたあめかき氷を受け取ってかぶりついてみる!」ハムハム

 

シルクロ「おい無視するんじゃな、」

 

一方「よし行くぞォ。知らないお兄さんから話しかけられたらすぐ逃げなきゃダメだからな」カツッカツッカツッカツッカツッカツッ!

 

打ち止め「黄泉川から耳タコなくらい言われてるもんね!」ダダダダダダダダ!

 

シルクロ「ちょっ待っ、」

 

 

『まもなく花火が上がります。演算により導きだされた火の粉が飛ぶ範囲、指定の区域からは退避してください』

 

 

打ち止め「あっ、いよいよだねってミサカはミサカはワクワクと胸を踊らせてみたり!」

 

一方「混むからはぐれるンじゃねェぞ?しっかり手ェ握ってろ」

 

打ち止め「うん!ってミサカはミサカはこっくりと頷いてみたり!」

 

 

~花火打ち上げ場所~

 

 

妹達「それでは点火します、とミサカは恐々とライターに火を灯します」つ臼 シュボ!

 

妹達「待ってください!そんな火の点け方は風情がありません!とミサカはストップをかけます!」

 

妹達「なるほど…つまりチャッカマンですね?とミサカはボケながらチャッカマンを胸元から取りだします」

 

妹達×2「「いやチャッカマンもダメだろ!とミサカ達はツッコミます!!」」ビシッ!

 

御坂妹「もうなんでもいいだろ面倒クセェ、とミサカは勝手に能力で火をつけます」バチッ!

 

妹達×3「「「ふざけんなテメェ!?とミサカ達はキレツッコミをしますッッ!」」」ビシイッ!

 

 

ヒュー……

ドーーーーン!!

 

 

打ち止め「わぁ…!」キラキラ

 

一方「へェ…!」キラキラ

 

 

バーン!ババーン!!

ドーーーーン!!

 

 

打ち止め「きれー…ってミサカはミサカは見惚れてみる」キラキラ

 

一方「あァ、大したもンだな」

 

 

~花火打ち上げ場所~

 

 

妹達「おいホントマジで何してくれやがったんだよ!とミサカはミサカ10032号につめよります!」

 

御坂妹「はっ、んなもん何で点けたって変わんねえよとミサカは合理性を説きます」

 

妹達「ちげぇよバカ!そこのミサカ10085号はこの打ち上げ花火の着火をすげー楽しみにしてたんだよ!とミサカはキレてみます!」プンスコ!

 

御坂妹「じゃあ次のを点ければいいでしょう、とミサカは悪びれません」ツーン

 

妹達「そういう問題ではないんです」

 

妹達「この子、わざわざ送られた外国で日本製のマッチを集めてこの花火に着火したがってたミサカなのですとミサカはMNWで得た情報を提供します」

妹達(10085号)「ううっ…ミサカが集めたマッチで点けたかったのにっ……ってミサカは涙目でマッチを握りしめます」ウッウッ

 

御坂妹「え…」ズキ

 

御坂妹「っ……ゴメン、とミサカは謝罪します」ペコリ

 

妹達×3「「「まあ嘘なんだけどな、とミサカ達はドヤ顔でダッシュします」」」ダッ

 

御坂妹「ぶっころ」ダッ

 

 

ドーーーーン!!

 

 

打ち止め「ねえ」

 

一方「なンだ」

 

打ち止め「また、来年も一緒に花火観にこようねって、ミサカはミサカはあなたに寄り添ってみたり」

 

一方「……暇だったらな」

 

 

 

打ち止め「あーそーぼっ!ってミサカはミサカはあなたにお誘いかけてみたり!」ばふー

 

一方「却下だ」クピ

 

打ち止め「えー、なんでなんでってミサカはミサカはぶーたれてみたり」ぶー

一方「俺にも予定があンだよ」クピクピ

 

打ち止め「えっ、あなたに?!どんなどんなってミサカはミサカは興味深々!」

 

一方「俺は今日、買いだめしてた缶コーヒーを飲みつつソファでだらけるっつゥハードスケジュールをこなさなきゃならねェンだよ」

 

一方「だから…悪ィがかまってやれねェ」ゴロリ

 

打ち止め「思いっきり超絶暇人じゃん!ってミサカはミサカは灰色の青春を送るあなたに憤ってみたりぃい!」ウワーン!

 

一方「つゥかよ、オマエは俺と何したいってンだ?」ゴロゴロ

 

打ち止め「! あのね、」

 

打ち止め「プール!プール行こう!ってミサカはミサカはサマーバケーションの定番施設を叫んでみたり!」

 

一方「イヤだ」プイ

 

打ち止め「…ひょっとして。」

 

打ち止め「体が細いのとか、日焼けとか、泳げないとかを気にしてたり?ってミサカはミサカは邪推してみたり」

 

一方「」ビクッ

 

打ち止め「……」

 

一方「……ナンデモイイダロ…」ポソ

 

打ち止め「…」←生暖かい目

 

一方「その目をやめろ」

 

打ち止め「じゃあ、やめとこっか。ってミサカはミサカは優しい笑顔を向けてみたり」ニコッ

 

一方「よォおおおおしっ!!プール行くぞォ!プールッッ!!浮き輪持とシュノーケル、新しい水着は用意したかァ?!」

 

 

番外「…」ぢーっ

 

黄泉川「…行きたいなら早めに言った方がいいじゃんよ?」

 

番外「う、うっさいな!ミサカそんなんじゃねーし!」

 

芳川(最近太ったから一緒にはいけないわねー…)

 

 

打ち止め「水着♪水着♪あったらしい水着♪」

 

一方「クソ、勢いに身を任せるンじゃなかった」カツッカツッ

 

打ち止め「キワドイの着てあなたを誘惑しちゃうんだからっ!って、ミサカはミサカはウインクぱちこーん!」ミ☆

 

一方「言ってろ」カツッカツッ

 

 

~水着屋~

 

警策「イラッシャーイ」

 

打ち止め「~♪」カチャ

 

打ち止め「ねえねえ?あなたはスク水好き?」

 

一方「どォでもいいわ」

 

打ち止め「えーじゃあ何が好きなの?」

 

打ち止め「セクシーなの?キュートなの?どっちが好きなの~?♪」

 

一方「懐かしいなオイ」

 

一方「俺の好みじゃなくて、オマエが着てェもンを着ろ」

 

一方「それが一番だろォが」

 

打ち止め「うーん…」

 

打ち止め「ミサカはあなたの好みのものが一番着たいんだけどな、ってミサカはミサカは困ったような笑顔を浮かべてみたり」

 

一方「…ふン」

 

 

一方「これかこれはどォだ」

 

打ち止め「うーん、それならこれかなーってミサカはミサカは二者択一してみたり!」

 

 

警策(オオウ、女児コーナーにいて一緒に水着選ぶとかとんだ変態さんだねぇ?)

 

 

打ち止め「~♪」ガサッガサッ♪

 

一方「……」カツッカツッ

 

打ち止め「ふふふ!プール楽しみねってミサカはミサカはあなたの周りをクルクル回ってみたり!」クルクル

 

一方「そォか」カツッカツッ

 

一方(……強力な日焼け止めクリーム買っとくか…)カツッカツッ

 

 

一方「クソが、五千円以上も取られンのかよ…」ブツブツ

 

打ち止め「温泉とかにも入れる一番高いフリーパスのにしなくてもってミサカはミサカはでもそんなあなたが好きよ?」

 

 

打ち止め待ち。

 

 

浜面「でさー」ムキムキ

 

滝壺「はまづら、どうでもいいからかき氷食べたい」

 

浜面「あ、はい」ムキムキ

 

一方「…」ジー

 

アックア「うむ、ソフトクリームが美味だ」ペロペロペロペロ

 

一方「……」ジー

 

 

一方(筋肉欲しい)

 

一方(特に大胸筋と上腕二等筋肉、腹筋だ)

 

一方(もォ鍛える。今年から俺頑張る)

 

一方(黄泉川に筋トレマシン貸してもらってガシャガシャする絶対やる)

 

 

打ち止め「おっまったせー!って、ミサカはミサカは水着お披露目!」

 

一方「やっと来やがったか…」

 

打ち止め「じゃーじゃじゃーん!って、ミサカはミサカはタオルを放っておニューの水着を披露してみたりぃい!」バサァッ!

 

一方(黄色のチェック柄ワンピースか…)

 

打ち止め「ねぇねぇねぇ!どう!?ミサカ可愛い?何か言ってよあーなーたー!ってミサカはミサカは腰をクネクネさせてみたり!」クネクネクネクネ!

 

一方「あァ、まァいいンじゃねェのか」

 

打ち止め「ホント!ミサカ可愛い?ってミサカはミサカはあなたにつめよってみたり!」

 

一方「あァ可愛い可愛い(棒)」

 

 

浜面「…何故か、突然飛んできたタオルで…俺のかき氷が…」川Ort

 

滝壺「大丈夫。そんな不幸なはまづらを私は応援している」ポン

 

浜面「滝壺ぉおお!!」ダキッ

 

滝壺「やめてはまづら。私のもこぼれるから」ペチッ

 

浜面「」

 

 

一方「で、どこに行きてェンだ」カツッカツッ

 

打ち止め「あのね、波の出るプール!一回行ってみたかったの~ってミサカはミサカは思いを馳せてみたり!」ハフーン♪

 

 

一方「じゃ、俺はプールサイドでオマエを見守っててやるから」ゴロリ

 

打ち止め「なんでーーー?!ってミサカはミサカは一人プールに憤ってみたりぃぃ!」プンスコ!=3

 

 

一方「言っとくがな、別に意地悪とかじゃねェぞ」

 

打ち止め「じゃあなんで?」

 

一方「俺、チョーカーしてるだろ」

 

打ち止め「でも一緒にお風呂入ってた時大丈夫だったよ!?ってミサカはミサカはチョーカーの安全性を説いてみたり」

 

一方「そこじゃねェよ。このチョーカー、コードで俺の脳と直で繋がってるよな?」

 

打ち止め「? うん」

 

 

一方「もしこのコードが他の人に引っ張られたり引っ掛かったりしたら?」

 

打ち止め「あ、ミサカ一人で遊んでくるね!ってミサカはミサカは全て察して走り出してみる!」ダダダダ!

 

 

打ち止め「おー…」

 

ざぱーんざぱーん。

 

打ち止め「浮き輪装備!」ガシャーン!

 

打ち止め「シュノーケル装備!」ガシャーン!

 

打ち止め「準備運動は既に!」ガシャーン!

 

打ち止め「ラストオーダー!!いっきまーすっ!!」ダンッ

 

 

どぽーーん!!

 

 

アックア「そこの君!プールには飛び込んではいかんのである!」ピリリリリ!

 

アックア「あんまり悪さをするならば退場である!」

 

打ち止め「ご、ごめんなさい…ってミサカはミサカは大きな声と怖い顔に怯えてみたり…」グスッ

 

一方(あァ?怒りすぎじゃねェのかあのクソ監視員。さっきまでソフトクリーム舐めてたクセによ)ギヌロ

 

打ち止め「うう…楽しい気持ちから一気に悲しい気持ちに…ってミサカはミサカは萎えた気持ちでプカプカ浮かんでみたり…」クスン

 

一方「…」

 

一方「…はァ」カチッ

 

 

打ち止め「んー…」プカプカ

 

ざぱーん!

 

打ち止め「はわわわっ!?ってミサカはミサカは浮き輪がひっくり返されないよう踏ん張ってみる!」

 

ざぱーん。

 

打ち止め「あ……」グラッ…

 

がしっ。

 

打ち止め「…?」クルッ

 

一方「……」

 

打ち止め「あれ…?」

 

一方「…5分だけだ。その間だけ、一緒にいる」

 

一方「だから、プールに来てそンなつまンなそォな顔してンじゃねェよ」チッ

 

打ち止め「!」

 

打ち止め「うぇーい!ってミサカはミサカはあなたに水をかけてみたりー!」バッシャバッシャ!

 

一方「あっ、ぐあ?!…調子に乗ンじゃねェ!」バッシャバッシャバッシャバッシャ!

 

打ち止め「やったなー!ってミサカはミサカは水をかけかえしてみたり!」バッシャバッシャバッシャ!

 

 

アックア「他の人にもかかる!水をかけあうのはやめるのである!」

 

通行止め「「ゴメンなさい」」

 

 

打ち止め「次はどこ行くー?ってミサカはミサカは新天地を求めてみたり」テクテク

 

一方「もォ普通のお子様プールでも行ってこい。それが一番いい」カツッカツッ

 

打ち止め「ミサカはいいけど…あなたも一緒に来てくれるの?小さな子しか居ないけどってミサカはミサカはあなたのプライドを心配してみたり」

 

一方「悪ィ、やっぱり流れるプールに行くぞ」カツッカツッカツッ

 

 

~流れるプール~

 

 

打ち止め「あ!」

 

一方「あン?」

 

 

フレメア「にゃあにゃあ!なんだ大体お前も来てたのかー!」

 

打ち止め「うん!でーもー?ミサカはデートで来てるんですけどー?ってミサカはミサカはドヤ顔してみたり!」

 

フレメア「なん……だと……?」

 

打ち止め「保護者付きのお子様とは違うのだよお子様とは!」ハーッハッハッ

 

 

絹旗「…超誰が保護者なんでしょうね?」

 

白垣根「私達全員では?」クス

 

麦野「はーまづらぁー?早く私の焼きそばもってきなさいよ」

 

浜面「へーへー。」

 

滝壺「ぐーすかぴー…」zzz

 

フロイライン「プールの水…星一つです」ガブガブ

 

黒夜「アホ!何してんだバカ!」グイグイ!

 

 

一方「大変そォだな、アイテム組は」

 

麦野「あら、よく会うわね」

 

一方「そォだな」

 

 

フレメア「ようし!大体あっこのゴールまでにどっちが早くつけるか勝負だ!にゃあ!」

 

打ち止め「ふっふっふ!いいだろう、受けて立ってやるぜってミサカはミサカはバチバチ火花を散らしてみたり!」

 

フレメア「ふふふ」

打ち止め「ふふふ」

 

 

フロイライン「あむ。火花…星一つですね」モキュモキュ

 

黒夜「だっから!お前は変なもんを食うんじゃねえよ!」グイグイ

 

黒夜「ああんもう!何で私以外誰も注意してやらねぇんだよぉ!」

 

フロイライン「あなたは優しいですから」

 

黒夜「っ////」

 

フレメア「うおおおおお!!」

 

打ち止め「うおおおおお!!」

 

ぷかー……

 

フレメア「にゃあ!大体遅いからって自分で漕いだりしちゃダメなんだからな!」プカー

 

打ち止め「そんなのわかってるもん!ってミサカはミサカは流れに身を任せてみたり!」プカー

 

ぷかー…

 

浜面「おっせー…」

 

絹旗「まあ本人達が超面白いなら超いいんじゃないですかね」

 

絹旗「ところで浜面。あっちで私とビーチボールで超戯れませんか」クイクイ

 

浜面「いいけどよ、海パンの裾引っ張るのやめてくれない?あとちょっとで俺の仕上が晒されちゃうから」

 

 

打ち止め「く、このままでは負けてしまう…!ってミサカはミサカは歯噛みしてみたり…!」ギリッ

 

フレメア「ふ、はは…ふははははははは!!!大体私に勝とうなんて一万年早かったのだ!」

 

打ち止め「うー!打開策もない…万策尽きた、か…!ってミサカはミサカは悔しがってみたり!」

 

 

一方「……」

 

一方「…」カチッ

 

一方「…」チョン

 

 

フレメア「…にゃあ?」

 

ぴたっ。

 

フレメア「大体私だけ止まっただとぉおおぉおお!?」にゃああああ?!

 

打ち止め「はっ!これは絶好の好機!ってミサカはミサカはいけいけゴーゴー!」

 

ぷかー。

 

黒夜「でも相変わらずおっせぇんだな…ん?」

 

打ち止め「いえーい!いっけー!ってミサカはミサカはノリと波にノッてみたり!」

 

ぷかぷかぷか。

 

黒夜「…心なしか最終信号の周りだけ流れが…早くなってるような…?」チラッ

 

一方「へェ。このプールって意外に早く流れるンだなァー(棒)」

 

黒夜「…おい第一位」

 

一方「なンだよ」

 

黒夜「何で能力使用状態で水に足を突っ込んでんだよ」

 

一方「そォいう気分だからだな」

 

黒夜「…えこひいき。」

 

一方「なンとでも言え」キリッ

 

打ち止め「ねぇねぇ見てた!?ミサカ勝ったよ!ってミサカはミサカはあなたに結果を報告してみたり!」

 

黒夜「八百ちょゲフッ 一方「そォか。よかったな」

 

フレメア「くっそー…大体、やるな!」

 

打ち止め「ふふふ、たまたま今回は天がミサカに味方しただけさってミサカはミサカは余裕を見せてみたり!」

 

黒夜「天っていうかコイtゲフッ 一方「確かに運がよかったお陰だな」

 

 

 

黒夜「…オイ、喉チョップはやめろ」ゴホッ

 

一方「雉も鳴かずば撃たれまいって知ってっかァ?」

 

 

フレメア「にゃあ!浜面!大体お腹が減ったー!」グイグイ

 

浜面「だーっ!わかったから俺の海パン引っ張んな!って!脱げちゃうだろ!?」

 

麦野「あらもうお昼過ぎ?」チラッ

 

滝壺「うん。どこで食べる?」

 

絹旗「プール内の売店しか選択肢は超ありませんけどね」プヒー

 

黒夜「そういえばお前って食事できんのかよ?」

 

白垣根「いえ。できるできないというよりは『必要ない』と言った方がいいかもしれませんね」ニコッ

 

黒夜「ふーん」

 

フロイライン「気遣い…二ツ星です」ムグムグ

 

黒夜「…美味いのか?」

 

フロイライン「わりと。」ムグムグ

 

 

麦野「で?アンタ達は何か希望ある?」

 

一方「あァ?なンで俺達も一緒に食う前提なンだよ」アァン?

 

麦野「え、嫌ならいいけど…」

 

打ち止め「いやむしろなんであなたこそ別々に食う前提なのってミサカはミサカはあなたのコミュ障っぷりに引いてみたり…」

 

 

浜面「ほら、焼きそばとお茶」

 

滝壺「ありがとうはまづら」

 

麦野「はーまづらぁ?私の鮭フレークは?」

 

浜面「今出すよ…つーかわざわざマイ鮭フレークかけるって…」

 

麦野「なんか言ったか」

 

浜面「何も」フルフル

 

フロイライン「あむぐ。むぐむぐ…美味しいです。親しい人達と食べる焼きそば…三つ星です」

 

黒夜「…初めてお前と食事について共感したよ」モキュモキュ

 

絹旗「黒夜が超デレましたか」モッサモッサ

 

 

~別テーブル~

 

 

一方「おら、オマエ御所望のオム焼きそばだ。味わって食え」ドサ

 

打ち止め「うわーい!すっごく美味しそう!って、ミサカはミサカはB級グルメに過度の期待をかけてみたり!」

 

一方「ケチャップかけンのを忘れるなよ」つケチャップ

 

打ち止め「おおっと!忘れるとこだったぜぃ!ってミサカはミサカは美味しく食べられるようにしてくれたあなたに感謝を心の中で捧げてみたり!」

 

一方「かけ過ぎンなよ」

 

 

打ち止め「…ところで席はあと一つ空いてたのになんでわざわざ別テーブルにしたの?ってミサカはミサカは疑問をぶつけてみたり」

 

一方「いいから黙って食え」

 

打ち止め「~♪」つケチャップ

 

打ち止め「はいっ!あなたのにかけてあげたよってミサカはミサカは出来る女をアピールしてみる!」

 

打ち止め「真ん中におっきくハートを描いてみました♪ってミサカはミサカはてへっ♪」

 

一方「…」

 

 

打ち止め「い、嫌だった?ってミサカはミサカは険しい顔のあなたにごめんなさいの顔を向けてみたり…」ショボン

 

一方「別にどンな絵が描かれてよォが味は変わらねェし気にした事ねェから大丈夫だ」モッサモッサモッサモッサ

 

 

一方「打ち止め、デザートは何が」

 

フレメア「にゃあ!大体、私もこっちで食べる!」ゴト!

 

打ち止め「うん!いいよってミサカはミサカはちょっと隣にズレてみたり!」ズリズリ

 

フレメア「ありがと!」

 

 

フレメア「にゃあ?そー言えば今デザートって言った?」

 

一方「……何が、食いてェンだ?」

 

フレ止め「「かき氷」」

 

 

フレメア「私はメロン~♪」シャクシャク

 

打ち止め「ミサカはいちご~♪」シャクシャク

 

一方「美味ェのか」

 

打ちメア「「うん!(ってミサカはミサカは肯定してみたり!)」」

 

一方「…よかったな」

 

麦野「あ、ごめん悪いわね?出させちゃって」

 

一方「別に構わねェよかき氷ぐれェ」

 

麦野「ま、今度ご飯でも奢るわ」

 

一方「…期待しねェで待っててやるよ」ヒラヒラ

 

 

打ち止め「…」シャクシャク

 

一方「…」クピクピ

 

打ち止め「ねぇあなたはかき氷食べないの?ってミサカはミサカはデザートなしのあなたを気にかけてみたり」シャクシャク

 

一方「俺はコーヒー飲んでるだろォが」クピクピ

 

打ち止め「ふうん…」

 

打ち止め「!」ピコンッ!

 

打ち止め「はいっ、あーん!ってミサカはミサカはかき氷を一匙あなたに突き出してみたり!」

 

一方「……」

 

打ち止め「…いや?」

 

一方「あむ。」パク

 

打ち止め「!」パアッ

 

打ち止め「美味しい?!ってミサカはミサカはあなたに味の感想を求めてみたり!」

 

一方「不味くはねェ」シャクシャク

 

打ち止め「よかった!あなたの『不味くはねェ』=美味しいだもんねってミサカはミサカはツンデレ言語の真意を通訳してみたり」

 

 

絹旗「おや、あの第一位が幼女に超あーんされてますね」クスクス

 

一方「…」ピク

 

黒夜「はっ、やっぱり口リコンかよ第一位」ヘッ

 

一方「勝手に愉快な妄想してンじゃねェよ…」チッ

 

滝壺「…」ジー

 

滝壺「はまづら。私もはまづらにあーんしたい」つ―⊃

 

浜面「おう!」あーん

 

フレメア「!」

 

フレメア「ずるい!大体私も浜面にあーんするっ!」つ―⊃

 

滝壺「また?人の嫁に手を出さないでふれめあ。」グイグイ

 

フレメア「にゃあにゃあ!大体浜面は私のだ!あげないし!」グイグイ

 

滝壺「それはこっちの台詞。」グイグイ

 

浜面「いだだだだだ!?ちょっ、二人ともスプーンを俺の鼻に捩じ込むのはやめて?!」

 

白垣根「滝壺さんにとって浜面さんって旦那じゃなくてお嫁さんだったんですね…」

 

絹旗「私にとっての浜面は超下僕ですね」

 

麦野「同じく」

 

黒夜「テメェらせめて仲間と言ってやれ」

 

フロイライン「浜面さん…?」ジー

 

フロイライン「私はいつか食べてみたいなとは思ってます」

 

黒夜「浜面ぁぁああ!?私はちゃんとお前を仲間だと思ってるからなぁ?!」 不憫すぎるわ!

 

 

フレメア「にゃあ!次は大体、あれ乗ろうぜ!」ビシッ

 

打ち止め「うわー…でっかいスライダー…ってミサカはミサカは最早山にしか見えない遊具を眺めてみたり」

 

フレメア「にゃあにゃあ!それじゃあ私二人乗り浮き輪を借りてくるぜい!」テテテテテテ

 

滝壺「はまづら。一緒にすべろ?」

 

浜面「勿論さハニー!」

 

 

絹旗「はっ。鼻の下をあんなにデロンデロンに超伸ばして…やっぱり浜面は超浜面です」ムスー

 

黒夜「いーじゃねぇかよ。つきあってんだろ?あの二人」

 

絹旗「超うっせーです」ムス

 

黒夜「…まあ、ドンマイ」ポン

 

 

フレメア「に゙ゃあ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙?!」

 

打ち止め「うみゃぁあああああああああ?!」

 

どぱーーーん!!!

 

フレメア「」ぷかー

 

打ち止め「」ぷかー

 

フレメア「むばぁ!だ、大体大した事なかったな…!」ガクガク

 

打ち止め「うばっ!す、凄まじいカーブと急降下、トルネードだった…もう何が何だかって、ミサカはミサカは壮絶な旅の感想を述べてみたり…」

 

一方「俺ちょっとクレームつけてくるわ」カツッカツッ

 

白垣根「私もお供しますよ」ザッザッザッ

 

麦野「またんかい口リコンツートップ」ガシッ

 

一方「あァ?違ェよこンな危険なもンを置いてたらいつか事故が起きンだろ?だから今のうちに潰して未然に事故をだな」カチッ

 

麦野「ならチョーカーのスイッチ入れるな」カチッ、チョップ!

 

一方「ごはっ?!」バタッ!

 

白垣根「何故止めるんです!"私"の使命はフレメア=セイヴェルンの警護…」

 

白垣根「彼女の安全を脅かすモノは死あるのみなんですよ?!」

 

麦野「じゃああんたから死になさい」チョッフ!!!゚

 

白垣根「ぽまっ?!」ビタン!

 

一方「」

白垣根「」

 

麦野「全く…」

 

 

フレメア「じゃーなー!」フリフリ!

 

打ち止め「うん!またねー!ってミサカはミサカは手を振り返してみたり!」フリフリ

 

浜面「じゃな」フリフリ

 

麦野「またね」フリフリ

 

滝壺「ばいばい」フリフリ

 

絹旗「超さよならです」フリフリ

 

黒夜「じゃあな」

 

白垣根「では」ニコッ

 

フロイライン「?」

 

 

一方「…おォ」フリフリ

 

 

打ち止め「楽しかったね!」テクテク

 

一方「そォかよ」カツッカツッ

 

打ち止め「あは、あなたも大分日焼けしたねって、ミサカはミサカはミサカとおそろいの肌になったあなたを指摘してみたり!」

 

一方「チッ、日焼け止めはしっかり塗ったはずなンだがな」カツッカツッ

 

一方「…にしても。オマエ泳げたンだな」

 

打ち止め「ミサカは学習装置《テスタメント》で泳ぎ方をマスターしたからねって、ミサカはミサカは楽チン学習法を教えてみたり」

 

 

打ち止め「そういえば…あなたは能力使えばチョーカーコードも守れるからプールで泳げるはずなのに何故泳がなかったの?ってミサカはミサカはあなたにもったいなかったよねって暗に伝えてみたり」

 

一方「………」

 

打ち止め「ひょっとして、」

 

打ち止め「あなた、泳げない……の?」

 

一方「………」

 

一方「…」メソラシ

 

 

 

黄泉川「あ、皆準備できてたじゃん?」

 

一方「とっくに出来てるっつゥの。つゥかよォ、オマエ待ちなンだよ!」

 

打ち止め「もう行く?ってミサカはミサカは散々待ったって旨を遠回しに伝えてみたり」

 

芳川「あら、愛穂帽子被った方がいいんじゃないかしら?油断するとすぐシミが出来るわよ」

 

番外「はーやーくー。もうミサカ待ち過ぎて立つの疲れちゃった☆」ノシッ

 

一方「俺によりかかってくるンじゃねェよ」ビシッ

 

黄泉川「やーごめんごめん!それじゃ…」

 

黄泉川「皆で私の実家がある田舎に行くじゃんよ!」

 

打ち止め「うわーい!」

 

一方「…めンどくせェ」

 

 

ブゥウウン。

 

 

芳川「――それにしても。よくLevel5の君が学園都市から出る許可が降りたわね?」

 

一方「理事長脅したからな」つ珈琲ゴクゴク

 

番外「へぇー?そんな手を使ってまでに皆と外出したかったんだー?」ニヤニヤニヤニヤ

 

一方「まァな」クピ。

 

番外「」

黄泉川「」

芳川「」

打ち止め「」

 

番外「へ、へー?なんか今日は素直じゃん?あ、ひょっとして近くに行きたいとことかがあったりするワケ?だから――」

 

一方「小さい頃、家族で田舎に泊まって遊ぶってのに憧れててな」クピ

 

一方「それが叶うかと思うとな」クピクピ

 

打ち止め「いっがーい…ってミサカはミサカは」

 

番外「…へぇ」

 

黄泉川「ほー」

 

 

一方「嘘だけどな」

 

番外「このやろ!」ぺチッ

 

 

一方「ただの暇潰しだ。家にいんのも近所も飽き飽きしてたとこだったンだよ」

 

打ち止め「まぁ、あなたって家かコンビニかファミレスにしかいかないものねってミサカはミサカはあなたの行動パターンのバリエーションの少なさを指摘してみたり」

 

一方「…」チョップチョップチョップチョップ

 

打ち止め「あう、あうあうあう!」

 

黄泉川「学校行けってツッコミはなしかじゃん?」

 

芳川「やめたげなさいよ。行きたくないとこには行かなくていいじゃない」

 

番外「…んだよ、家族って思ってるのかーって」ブツブツ

 

 

黄泉川「さ!着いたじゃんよー」

 

一方「ここか」カツッカツッ

 

打ち止め「ちょっと古めの大きい日本家屋って感じ?良さそうなとこだねってミサカはミサカは第一印象と感想を述べてみたり」

 

番外「ねぇねぇ、ヤクザとかの屋敷にも見えなくないよね?」ケラケラ

 

黄泉川「おいおい…それ、私もそのスジの人って事になるじゃんよ?」

 

芳川「…もしそうならまんまヤンクm」

黄泉川「誰が由紀恵じゃんよ」ビシッ!

 

 

黄泉川「母さん、これが今の私の家族じゃん!」

 

黄泉川「え?いや違うじゃん!私はレズではないじゃんよ!」

 

黄泉川「いや産んでない!まだ一人も出産はしてない…は?!うっせーじゃん!相手がいないじゃんよ!」ダンッ

 

黄泉川「見合い?私はまだ…」

 

芳川「愛穂も大変ねー」お茶ズズー

 

一方「オマエももォ少し焦ろよ」ズズー

 

打ち止め「お茶菓子美味しー♪ってミサカはミサカは茶菓子を口一杯に頬張ってみたり!」ハムハム

 

番外「ちょっと、ミサカの分まで食べないでよ」ズズー

 

 

打ち止め「そういえば白とグレーの半袖なのねってミサカはミサカは話題をふってみたり」

 

一方「ン?あァ…俺の服か。なンか悪いとこでもあったか」

 

打ち止め「んーん。ただ、ミサカと初めて会ったあの日みたいな黒地に白の鷹デザインじゃないんだなーって」

 

打ち止め「ミサカはアレ結構好きなの。あの日を思い出すからねーってミサカはミサカは脳裏にありありとイメージしてみたり」

 

一方「…考えておいてやる」

 

 

一方(俺は『実験』してた時の事思い出すから黒系とか、特に『あの服』は着たくないンだが)

 

 

黄泉川「ふー…いやあ参ったじゃんよ。帰ってくるたびに結婚の話されるじゃん」

 

芳川「早く結婚すればいいのよ」

 

黄泉川「それができれば苦労はしねえじゃん?」

 

芳川「なら私と結婚する?」ウフフ

 

黄泉川「そういえばこの辺ザリガニとか魚とかを釣れるんだが…お前らどうじゃん?」スルー

 

一方「めンどくせェ」

 

番外「同じく」

 

黄泉川「まー現代っ子には魅力を感じねえじゃん?」

 

打ち止め「ミサカは行きたい!ってミサカはミサカははいはいはーい!」

 

一方「げっ…」

 

 

一方「ンで、こォなるンだよな…」ガッシャガッシャ

 

一方(麦わらにノースリーブシャツ短パンクロックスに餌箱、バケツと釣竿装備)

 

一方(知り合いに見られたら恥ずかしいなこれ)

 

打ち止め「よーし!いっぱい釣るぞーって、ミサカはミサカは意気込んでみる!」

 

一方「つゥかよ、オマエら少しは荷物持てよ杖つきなンだぞこっちはよ…」

 

番外「えー?でも持ててるしぃ☆力持ちのあなた素敵よー?」ギャハッ☆

 

一方「死ね」カツッカツッ

 

打ち止め「あ、じゃあミサカも何か持つよ!ってミサカはミサカは助力を申し出てみたり!」

 

一方「いい。持ててるからな」ナデナデ

 

打ち止め「そう?」

 

番外「…」ムス

 

 

~池~

 

 

一方「じゃあまずザリガニ釣るか」ゴソゴソ

 

打ち止め番外「「うえーい!」」

 

一方「ほら、オマエらの竿だ」つ

 

 

割り箸+糸+餌

 

 

打ち止め「……」

 

番外「………」

 

番外「ハァ?こんなんで本当に釣れんの?」

 

打ち止め「これじゃあ大物がかかったら折れちゃうし、貧相っていうか…もっと可愛いのがいいってミサカはミサカはワガママ言ってみたり!」

 

一方「っせーなァ」

 

一方「こンなンでもちゃンと釣れる。それから可愛い竿がいいなら自分で描け」つ黒マジック

 

番外止め「「えー!」」ブーブー

 

 

~釣りちう。~

 

 

一方「………」

 

番外「………」

 

打ち止め「…」

 

 

番外「はん、やっぱり釣れないじゃーん?おらおら嘘ついた謝罪でミサカにゴメンねしろよ第一位様よぅ」グリグリ。

 

一方「まだ開始10分も立ってねェだろォが…」チッ

 

打ち止め「…」

 

一方「打ち止めを見ろ。いい子にして真剣にやってるだろォが。オマエも見習え」

 

番外「やなこった」プイ

 

打ち止め「…!」

 

 

ぐぐぐぐ…!

 

 

打ち止め「きた!ねぇねぇ!ミサカのにかかったよ!ってミサカはミサカは興奮ぎみに報告してみたり!」フンスフンス!

 

一方「おォどれどれ?」

 

番外「わーお、マジか」

 

打ち止め「うう~っ!ふくくくく…っ」フヌヌヌヌ!

 

打ち止め「重い!浮き上がってこないぃ~ってミサカはミサカは悪戦苦闘!」

一方「仕方ねェな」カチッ

 

一方「ほら、一緒に釣るぞ」ソッ…

 

打ち止め「!///」

 

一方(今は能力使用モード…)グググ

 

一方(当然俺がやればあっという間に釣れる)

 

一方(だがそれじゃあ意味がねェ)

 

一方(打ち止めが自分で釣った、俺本来の現実的力による助力も少しあったと感じさせる事が大事だ)

 

一方(さあ演算しろ、全力でだMNW!)

 

一方(打ち止めに最高のザリガニ釣りの思い出を残してやるンだァァああああ!!)

 

打ち止め「うおおー!」

 

一方「でりゃァぁぁああああ!!!!」

 

打ち止め「ふぬぉー!」

 

一方「でゅうらっがしゃったっぱらぁぁああああ!!!」

 

番外「」ヒキッ

 

 

ザリガニ(おっきい)ザパー!

 

 

打ち止め「おおおおおお!!」

 

一方「っしゃァァああああ!!見たかコルァ!!!」ドンドンドン!

 

 

番外「」

 

 

~再び釣りなう~

 

 

一方「………」

 

番外「………」

 

打ち止め「…」

 

 

ぐぐ。

 

番外「!」

 

番外「ほらよ!」グイッ

 

 

ザリガニ(ちゅーくらい)ザパー

 

番外「おお…///」キラキラ

 

 

番外「ねぇちょっと見なよ」

 

一方「あァ?」チラッ

 

番外「ミサカこんなの釣っちゃった☆」

 

一方「あーすごいすごい」

 

番外「あなたは何匹?何匹だっけー?」

 

一方「っせェな」

 

番外「ミサカがコツ教えてやろうか」

 

一方「…一応聞いといてやる」

 

番外「ん?教えてください!じゃないの?」ニヤニヤニヤニヤ

 

一方「うっぜェ…」

 

番外「こう、ね?あの赤いあんちきしょうが掴みやすいようにぶら下げてやんの」

 

番外「そしたらけっこー釣れるよ?ミサカのように!」

 

一方「へェへェ。そりゃどォも……ん?」

 

 

ビクンッ!ググッ…!

 

 

一方「……あァ?」

 

 

ググッ、ググッッッ!!

 

一方「ンなっ?!」

 

打ち止め「? どうしたの?ってミサカはミサカはすごい顔して割り箸引っ張るあなたを心配してみたり」

 

一方「大物が、引っ掛かりやがったンだよ!!」フヌヌ…!

 

一方「ふンぬぬぬ……!」

 

一方「が、ァアアアア……!」

 

一方「ひっぎぎぎぎ…!」

 

一方「はンンン……!?」

 

 

番外止め「「あははははは!!」」

 

 

一方「笑ってンじゃねェよ!ちったァ助けやがれ!」

 

打ち止め「だ、だって…!顔真っ赤にして踏ん張るあなたの姿が面白すぎるんだもんってミサカはミサカは爆笑してみたり!」

 

番外「うひゃひゃひゃひゃひゃ!ケッサク!あははははは!!腹痛ぇ!」

 

一方「オマエらあとで覚えてやがれ!」

 

 

一方「クソ…!」カチッ

 

番外「え?能力使っちゃうのー?」プクク

 

一方「あァ?」

 

番外「非力で貧弱、虚弱でモヤシでヒョロ男はザリガニよりも力ないんだー?(笑)」

 

一方「」カチン。

 

打ち止め「もう!いいじゃないそんなの!誰だって出来る事と出来ない事があるでしょって、ミサカはミサカはフォロー入れてみる!」

 

一方「」カチン。

 

 

一方「くっかか…!」

 

番外「?」

 

打ち止め「?」

 

 

一方「くかきけこかかきくけききこくけきこきかかかーーーーーー!!」

 

一方「やってやンよォォ!ザリガニの分際で!この俺に楯突きやがった事を!!後ォォ悔させてやるッッ!!!」

 

一方「うらァアアアアあああああああッッッッ!!!!」

 

一方「第一位としてのプライド、…いや、"男"としての俺のプライドを賭ける!!!」

一方「うォォおおおおァアアアアッッッッ!!!」

 

 

打ち止め(たかがザリガニ釣りにプライド賭ける時点でプライドも何もないんじゃない?ってのは言っちゃダメかなってミサカはミサカは本心を心の内に留めてみたり)

 

一方「おふゥううううッッ…!」

 

一方「この、野郎ォォおおおお!!!」

 

プツン。

 

一方「?! 糸が?!」

 

一方「あっ?!」コケッ

 

一方「」ズシャァァアアア!!!

 

 

番外「ぶははは!!あっははは!だっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃ!」

 

番外「ギャハハハハハ!!笑い殺される…!あーはははは!!?」

 

 

黄泉川「――――で、そんな泥だらけにして帰ってきたわけじゃん?」プクク…!

 

一方「笑ってンじゃねェよ」チッ

 

芳川「いやそりゃ笑うわよ」

 

黄泉川「あははは!まあ楽しかったみたいでいいじゃん?」

 

一方「楽しくねェよ」ブスッ

 

芳川「ダメ……!もう私我慢が…ぶふぅっ…!」

 

\「「「「あははははははは!!!」」」」「笑うンじゃねェェ!!」/

 

 

 

黄泉川「ほーらお前ら!母さんがスイカ切ってくれたじゃんよー?」

 

芳川「あらいいわね。塩はある?」

 

黄泉川「ほれ」

 

打ち止め(ワンピ)「わー…ミサカ半分のやつを食べるの初めて!って、ミサカはミサカは期待で胸を踊らせてみたり!」

 

番外(Tシャツ+ショーパン)「ふーん…?これがスイカ、なんだ?」

 

一方(半袖ウルトラマン)「…」

 

 

一方「縁側でスイカ食うなンざ初めてだな」

 

打ち止め「あなたもなんだ」

 

一方「あァ。…そォいや一回やってみてェ事があるンだが」

 

打ち止め「?」

 

一方「こう、志村●ン食いって奴と種を口から飛ばすアレだ」

 

打ち止め「! ミサカもやってみたい!ってミサカはミサカはミサカもやるー!」

 

 

一方「行くぞ、打ち止め」

 

打ち止め「うん!」

 

 

一方「はぷっ…!はぷはぷはぷはぷはぷはぷ…!」シャクシャクシャクシャク!

 

打ち止め「はむっ!はむはむはむはむはむ!」シャクシャクシャクシャク

 

番外「うわっ?!」ベチョ

 

一方「はぷっ…!はぷはぷはぷはぷはぷはぷ…!」シャクシャクシャクシャク!

 

打ち止め「はむっ!はむはむはむはむはむ!」シャクシャクシャクシャク

 

 

番外「ちょっと!ミサカの方に飛んで来るんだけど?!」

 

 

芳川「懐かしいわねー。私も昔やったわ」

 

黄泉川「あいつら…服も床も汚しすぎじゃんよ」

 

黄泉川「童心に帰りすぎじゃん?」

 

芳川「あら、実年齢としては今の内にやっておくべき事じゃない?」

 

黄泉川「一方通行は違うだろ?」

 

芳川「彼は彼で取り戻しているのよ。昔出来なかった事をね」

 

 

一方「チッ、中々難しいな…」

 

打ち止め「わー口の回りベトベトって、ミサカはミサカはスイカ食べた時現象を目の当たりにしてみたり」

 

一方「…次は種飛ばしやるか」

 

打ち止め「じゃあどっちが遠くに飛ばせるか勝負ね!」

 

 

番外「……」ウズウズ

 

芳川「やりたいなら混ざれば?経験する事はいい事よ」

 

番外「は?は?ミサカ違うんですけど?そんなんじゃないですけど?」

 

黄泉川「そろそろ素直になっとけー。ツンデレは損するだけじゃんよー」

 

 

一方「プップップップップップッ!!!」

 

打ち止め「プップップップップッ!!!」

 

一方「……俺の勝ちだな」ドヤァ

 

打ち止め「むー!もっかい!もっかいー!って、ミサカはミサカは再戦要求!」

 

一方「はン、負けても泣くンじゃねェぞ?」

 

 

「「「せーの!!」」」

 

 

一方「プップップップップップッ!!!」

 

打ち止め「プップップップップッ!!!」

 

番外「プップップップップップッ!!!」

 

 

一方「……」

 

打ち止め「……」

 

番外「な、なんだよ!ミサカも参戦したっていいじゃんか!?///」

 

 

打ち止め「明日は山に蝉とかカブトムシ取り行こうね!ってミサカはミサカはお誘いしてみたり!」

 

一方「めンどくせェ…」ゴロリ

 

打ち止め「あ!ねぇねぇ!一緒に寝よ!って、ミサカはミサカはあなたのお布団に潜り込んでみる!」モソモソ

 

一方「えェい!やめろ!もそもそ動くンじゃねェよ!」チョップ!

 

打ち止め「あう?!」

 

番外「……」

 

番外「…」モソモソ

 

一方「オマエも入ってくんじゃねェ!」チョップ

 

番外「やだ。絶対ミサカも一緒に寝てやるし!」プクゥ

 

番外「でも童貞臭い勘違いすんなよ?ミサカは単に嫌がらせしたいだけなんだからね」

 

一方「うざってェ…」

 

 

打ち止め「すーすー」

 

一方「………」

 

番外「……」

 

一方「おい」

 

番外「……?」

 

一方「オマエに言ってンだよ。何『え?誰に言ってるの?』フェイスしてンだ」

 

番外「何の用?ミサカ早く寝たいんだけど」

 

一方「そォだな、俺も早く寝てェンだけどよ」

 

 

一方「オマエが俺にしがみついてると死ぬほど寝づれェンだよクソッタレ」

 

番外「へーそのまま死んじゃえばいいのに☆」ギャハ☆

 

一方「俺がキレねェ内にさっさと離れろ」

 

番外「は?ミサカはキレさせたくて嫌がらせしてんだけど」

 

一方「……はァ、もォいい。勝手にしてろ」

 

番外「うん、勝手にする」ダキ

 

番外「……」ギュー。

 

一方「おい、なンで腕回してきた?寝辛いっつってンだろオマエも寝辛いだろだから離せ」

 

番外「勝手にしろって言ったのそっちじゃん。だからミサカ勝手にしてるだけですけど?」ギュ

 

一方「…そォかよ、じゃあ許してやるからこれ以上密着してくンなよ」

 

番外「さあね」ニヤニヤ

 

 

打ち止め「あー、なんか楽しそうな事してるー!ってミサカはミサカは寝ぼけ眼で絡んでみたり」

 

一方「ほォーら起きちまったじゃねェか面倒臭さが倍だぞどォしてくれンだ」

番外「は?ミサカそんなん知らんし」モフモフ

 

打ち止め「あーんミサカもかまってよーってミサカはミサカはあなたにくすぐり攻撃を敢行してみたり!」

 

一方「っ……く、は…!やめっ、やめやがれ!」

 

番外「よし、今ミサカがガッシリだいしゅきホールドしたぜ!やっちまえ最終信号!」

 

打ち止め「わかったー!ってミサカはミサカはこちょこちょこちょ!」コチョコチョコチョコチョ

 

一方「うぜェェ……っく、あっ!」

 

 

\「だーひゃっひゃっひゃっひゃっ!」/

 

 

\「うるせぇじゃん!」バキ!/

 

 

~早朝~

 

一方「くそ…なンで俺が殴られなきゃいけないンだ」モグモグ

 

黄泉川「騒いだ張本人だからに決まってるじゃんよ」モグモグ

 

芳川「あら、このお味噌汁美味しいわね」ズズ

 

番外「…ホント。美味し…」ズズ

 

打ち止め「他のも美味しい!ってミサカはミサカは口いっぱいに頬張ってみたり!」モムモム。

 

黄泉川「あ、そうだ一方通行」

 

一方「なンだ」モグモグ

 

黄泉川「食ったらラジオ体操行くじゃんよ?」

 

一方「あァ?なンでそンなかったるい…食ったら二度寝に決まってンだろ」モグモグ

 

黄泉川「いいから。打ち止めや番外個体にも経験させてやりたいし、保護者のお前がいくべきじゃん」

 

一方「あァ?ならオマエか芳川でもいいだろォが」

 

黄泉川「私よりお前の方が強いし、何かあったら助けられるだろ?」

 

一方「…わーったよ」モグモグ

 

 

……チャーンチャッチャラッチャチャ♪

 

打ち止め「!」タタタタタ

 

チャーンチャッチャラッチャチャチャ♪

 

一方「…」タタタタタ

 

番外「♪」タタタタタ

 

チャチャチャチャチャチャ♪チャーンチャッチャチャ♪

 

一方「…」ザッ

 

打ち止め「…」ザッ

 

番外「…」ザッ

 

チャーンチャッチャーララーラ♪チャンチャッチャチャ♪

 

一方「…」クイクイ

 

打ち止め「♪」クイクイ

 

番外「♪」クイクイ

 

 

チャラン♪チャッチャーララーラ♪チャンチャッチャチャ♪

 

一方「…」グイー

 

打ち止め「♪」グイー

 

番外「♪」グイー

 

 

チャーンチャッチャーララーラ♪チャンチャッチャチャ♪

 

一方「…」グイッ…グイッ

 

打ち止め「♪」グイッ…グイッ

 

番外「♪」グイッ…グイッ

 

 

チャーンチャッチャーララーラ♪チャンチャッチャチャ♪

 

一方「…」ピョンピョン

 

打ち止め「♪」ピョンピョン

 

番外「♪」ピョンピョン

 

 

チャーンチャッチャー♪チャーンチャッチャチャーン♪

 

一方「…」スーハー

 

打ち止め「♪」スーハー

 

番外「♪」スーハー

 

一方「…」

 

 

一方「俺、なンで睡眠時間削ってまでこンな無駄な事してンだ…?」

 

 

打ち止め「あれ?あなたはハンコもらわないのってミサカはミサカはたずねてみたり」

 

打ち止め(花柄シャツに短パン、麦藁)「ねーねー!早く早く!」

 

番外(黒シャツに七分丈ジーパン)「遅いよ、第一位サマー?」

 

 

一方(ノースリーブ、短パン、麦藁、虫取網と篭)「……」

 

一方「……俺はいつから虫取少年になったンだよ…」ゲンナリ

 

番外「虫取少年のアクセラレータが勝負を仕掛けて来た! ▼」

 

一方「うるせェ」ペチ

 

 

〓〓山中〓〓

 

 

一方「だっからよォ…杖つきを屋外レジャーに誘うンじゃねェと何度…」カツッカツッ

 

番外「ブツブツうるさいなー一人でお留守番してる?」プクク

 

一方「家に戻るにしろこの場にしろ地獄じゃねェかふざけンな」

 

打ち止め「あ!見て見て!蝉がいる!ってミサカはミサカは発見をお知らせしてみたり!」

 

一方「何…?おいどこだ?俺の網捌き見せてやる」カツッカツッカツッカツッ

 

番外「言ってるわりにはノリノリじゃねーか」

 

打ち止め「ほら、あそこ!ってミサカはミサカは指さしてみる」ヒソヒソ

 

一方「アソコかァ…」ニタァ…

 

番外「逃げられんなよー」

 

一方「うるせェな、蝉さンが逃げちまうだろォが」

 

番外(蝉さんて)

 

打ち止め「よし、ジリジリいこっ!ってミサカはミサカは作戦立案!」

 

一方「おォ…」

 

打ち止め「……」ジリジリ

 

一方「……」ジリジリ

 

番外「ふわぁ…」

 

 

一方「いいか、俺のやり方を見て覚えろ」ジリジリ

 

打ち止め「わかったってミサカはミサカは言ってみる」ジリジリ

 

一方「あンま警戒させずに、させる瞬間を許さず、一気に……!」

 

 

バサッ!

 

 

蝉「ミ゙ーン゙!ミ゙ーン゙!!」バタバタ

 

一方「――とまァ、こンなもンだ」ドヤッ

 

打ち止め「わー!すごいすごい!ってミサカはミサカははしゃいでみたり!」ピョンピョン!

 

番外「ふーん…これが蝉なんだ」ジー

 

一方「っと」

 

蝉「ミ゙ーン゙!ミ゙ーン゙!!」バタバタ

 

 

一方「…」つ蝉

 

打ち止め「わー…これはアブラゼミねってミサカはミサカは図鑑からの知識によって種族を判別してみたり」

 

一方「ほォーれ」つ蝉グイッ

 

打ち止め「わぁ?!」バッ

 

一方「…」ニヤニヤ

 

打ち止め「んもう!そういうのやめてってミサカはミサカはむくれてみたり!」

 

一方「…」

 

一方「ほォーれ」つ蝉

 

打ち止め「いやぁああん!!」

 

番外「最終信号いじめはやめたら?小学生じゃあるまいし」

 

一方「……」

 

一方「ほォーれ」つ蝉

 

番外「……」ペチッ

 

一方「あっ」

 

蝉「ミーン」パタパタパタパタ…

 

一方「オマエ…!蝉さンが逃げちまっただろォが!」プンスコ!

 

番外「ざまぁ」

 

一方「あン?」

 

クワガタ

 

一方「クワガタさンだ…!おい見ろ!」キラキラ

 

打ち止め「わー…!」キラキラ

 

番外「そんなに盛り上がる虫なの?あれ…」

 

一方「ったく…オマエは何もわかっちゃいねェな」ハァーヤレヤレ

 

一方「クワガタさンはな、たかが一匹…しかも幼虫だろォが蛹だろォが成虫だろォが」

 

一方「種によってはン十万円もするパネェ生き物なンだぞ」

 

一方「カブトムシさンに比べて寿命は長いし、世界的に見て種類も多い」

 

一方「何よりアゴの強さはギロチン並み!」

 

一方「イカすだろォが!」クワッ!

 

打ち止め「イカすだろォが!ってミサカはミサカは真似てみる!」

 

番外「へー」

 

一方「ありゃオオクワさンかもな」

 

打ち止め「森の黒いダイヤだね!ってミサカはミサカは拙い知識で認識してみたり!」

 

一方「行くぜ、絶対にとってやる」カチ、ソロリソロリ

 

打ち止め「やるぞーってミサカはミサカは意気込んでみる」ソロリソロリ

 

番外「楽しそうだね、あんたら」

 

 

一方「………っ、」ゴクリ

 

打ち止め「……」ゴクリ

 

番外「……」ホジホジ

 

一方「こンなに緊張したのは久しぶりだ…!」ジリ、ジリ…

 

打ち止め「はりつめた空気が肌を刺すぜ…!ってミサカはミサカは、へへ…!」

 

番外(ここで脅かしたら怒るかなー)

 

 

クワガタ<ジュエキガウマイノヨナ

 

一方「!」キュピピーン!

 

 

一方「そりゃァァ!!!」ピョイイーン!

 

打ち止め番外「「と、跳んだぁああ!!」」

 

 

ばふっ…!

 

 

一方「おい見ろ!! 捕 ま え た ぞォ ! 」キラキラキラキラ

 

クワガタ<ツカマッタノヨナー

 

打ち止め「わーい!」タタタタ

 

番外「見たことないくらい超いい笑顔してんなー」スタスタ

 

 

一方「よし、もっと探すぞ」カチoff

 

打ち止め「おー!ってミサカはミサカは行進に追従してみたり!」

 

番外「元気だねー」

 

 

一方「今帰った」

 

打ち止め「ただいまー!ってミサカはミサカは帰宅を宣言してみたり!」

 

番外「やれやれ」

 

黄泉川「お。お帰りじゃん」

 

芳川「楽しかった?」

 

打ち止め「うん!ってミサカはミサカは大きく頷いてみたり!」

 

芳川「そう」ニコッ

 

黄泉川「まあ。聞かなくても顔を見ればわかるじゃん?」

 

一方「あン?」ニヤニヤ

 

打ち止め「?」ニコニコ

 

番外「ん?」ニシシ

 

芳川「そうね。皆『楽しかった!』って顔してる」クスクス

 

 

黄泉川「明日の昼には帰るじゃんよ」

 

打ち止め「えーまだいたーい!ってミサカはミサカは駄々をこねてみる!」

 

芳川「ダメよ、打ち止め。こんな大人数が泊まり続けたら迷惑になるもの」

 

打ち止め「うー」

 

一方「もォ帰ンのか…」

 

番外「なーんか。あっという間だったねぇ?」

 

黄泉川「何もないとこだけど。そんなに楽しんでくれたなら連れてきたかいがあったってもんじゃん」

 

芳川「そうね。私も愛穂の小さい頃の話とか聞けてよかったわ」

 

黄泉川「んなッッ?!何をっ!何を聞いたじゃん!?」

 

芳川「可愛かったのねー随分と」クスクス

 

黄泉川「のわーっ?!」

 

番外「ふーん?どんなんだったんだろ?」

 

一方「さァな」

 

打ち止め「ヨミカワにも子供の頃ってあったんだよね…ってミサカはミサカは当たり前なのになんとなく信じられない心境だったり」

 

 

~次の日ィ~

 

 

一方「あ?オマエ黄泉川の…」

 

一方「え、川で冷やした野菜?」

 

一方「…悪いな。ありがたく貰っとく」

 

一方「…あァ。楽しかった…うン、また来たい」

 

一方「あァ元気でな。長生きしろよ」

 

一方「いや黄泉川とは…あァー、母子、みたいな?」

 

一方「…考えといてやる。野菜ありがとう」

 

一方「じゃァな」フリフリ

 

 

ブゥウウウウン。

 

黄泉川「さーて。こっから学園都市、か…」

 

芳川「運転する?」

 

黄泉川「桔梗は保険に入ってないからダメじゃんよ」

 

芳川「よね。お願い」

 

黄泉川「運転手は辛いじゃーんよー」

 

一方「…おい」

 

一方「黄泉川の親から貰ったンだけどよ」

 

一方「野菜。食っていいか?ぬるくなっちまう」

 

黄泉川「へー?いいけど溢すなよ?」

 

芳川「私にももらえるかしら?」

 

打ち止め「ミサカも!ミサカもー!」

 

番外「ミサカにも寄越せよ」

 

一方「わかった!わかったから襲ってくンじゃねェ!潰れるだろォが!」ゲシゲシ!

 

打ち止め「おいしー!ってミサカはミサカはひんやりトマトを頬張ってみたり!」

 

番外「こっちのキュウリも美味いよ」

 

芳川「ほんと。美味しいわね」

 

一方「……」チラ

 

 

田園風景

 

一方「!」

 

黄泉川の親「……」フリフリ

 

一方「……」フリフリ

 

黄泉川「? どうしたじゃん?」

 

一方「……」

 

一方(あァいうのもいいもンだな……)

 

一方「…いや、なンでもねェよ」シャクッ!

 

 

 

打ち止め「ねぇねぇ!ハロウィンのコスプレパーティーだって!ってミサカはミサカは目を輝かせてチラシを見せてみたり!」

 

一方「そォか行ってこいよ。俺は寝る」ゴロリ

 

打ち止め「あなたも!あなたも行くのーって、ミサカはミサカはあなたのほっぺたぷにぷにしてみたりィイイイ!!」

 

プニプニプニプニプニプニプニプニプニプニプニプニ

 

一方「ァアアアアア!!!わかった!わかったから止めろ!鬱陶しい!」

 

打ち止め「わーい!」

 

 

一方(かぼちゃ頭)「……ちっ」

 

打ち止め「わー…かぼちゃ頭を被っただけなのに不機嫌オーラ出ててすっごく恐い…ってミサカはミサカはあなたの凶悪オーラにびびってみたり」

 

一方「オマエは着替えねェのか?」

 

打ち止め「着替える着替える!ちょっと待ったらんかーい!ってミサカはミサカはお着替えルームにダダッダーッシュ!」

 

一方「俺、こンな格好で放置かよ…」ハァ

 

 

打ち止め「じゃっじゃじゃーんっ!ってミサカはミサカはハロウィン衣装を御披露目ー!」

 

一方「…オレンジと黒の小悪魔か」

 

打ち止め「ふっふっふー!背中の翼もぱたぱたするのだぜ?ってミサカはミサカは得意気に翼を動かしてみたり」パタパタ

 

一方「はン。動いたら何だってェンだ?ふっつーに可愛いだけじゃねェか抱きしめられてェのかよ」

 

打ち止め「…えっ?///」パタパタ

 

一方「何にも言ってねェようるせェな聞き返してくンじゃねェよ」

 

打ち止め「それじゃ!ハロウィンパーティーにれっつごー!ってミサカはミサカは腕わ高く突き上げてみたり!」

 

一方「面倒くせェ…」

 

 

~パーティー会場~

 

一方「あ」

 

麦野(魔女)「あ」

 

 

「「来てたのか」」

 

 

打ち止め「ほほう、中々可愛いなー!ってミサカはミサカは友達の衣装を褒めてみたり」

 

フレメア(フレンダの服)「にゃあ!お前も大体やるな!」

 

打ち止め「…でもそれは何の衣装?ってミサカはミサカはハロウィンぽくなくね?と尋ねてみたり」

 

フレメア「大体、幽霊のコスプレ。にゃあ!」

 

打ち止め「…AKB的なアイドルの幽霊?」

 

フレメア「ううん。私のお姉ちゃんが着てたの」

 

打ち止め「……そう」

 

フレメア「うん」

 

フレメア「にゃあ、お化けのフリして身を守るのがハロウィンでしょ?」

 

フレメア「お姉ちゃんが守ってくれてる気がするから…」

 

打ち止め「…うん」

 

 

一方「おい滅茶苦茶盛り下がるっつゥか反応しづれェンだが」

 

麦野「私に振らないでよ…」

 

一方「まァいい。オマエ、連れは」

 

麦野「あっちで駄弁ってるわ」

 

一方「ふゥン」

 

麦野「あんたも来ない?」

 

一方「あー…どーすっかな」

 

 

打ち止め「行こ行こーって、ミサカはミサカはあなたの手を引っ張ってみたりーっ!」

 

フレメア「にゃあにゃあ!私も私も引っ張ってみたりーっ!」

 

一方「オマ、やめっ!あぶねェだろォが!」

 

麦野「……ぷっ。」クスクス

 

 

浜面(フランケン)「あー滝壺はかーいーなー!」

 

滝壺(黒猫)「…そう?////」テレテレ

 

浜面「おう!」

 

滝壺「その…はまづらも」

 

 

滝壺「ゴリラっぽいよ…?///」

 

浜面「そ、そうか!」

 

滝壺「はまづら、私今猫だから…猫可愛いがりして?」コテン

 

浜面「うぉおおおおお!!!」

 

 

絹旗黒夜「「チッ」」

 

 

絹旗(悪魔っ娘)「…で?」

 

黒夜(悪魔っ娘)「なんだよ」

 

絹旗「超なんだよじゃないですから。何超被ってんですかコノヤロー」

 

黒夜「知らねぇよ」ハン

 

絹旗「しかも色とか超同じで系統も超同じじゃないですか」

 

黒夜「まあな」

 

絹旗「なんかアレじゃないですか、超お揃とか超仲良しって感じじゃないですか」

 

黒夜「いいだろ別に」

 

絹旗「私達そんな超仲良しでしたか?超違いますよね?」

 

黒夜「…じゃあどうしろってんだ」

 

絹旗「とりまそのヘソ出しを超やめましょう」

 

黒夜「いやヘソ出しは譲れないから」

 

絹旗「オーケー、オーケー…じゃあ超こうしましょう」

 

絹旗「とりまその可愛い蝙蝠羽根を超もいでですね、」

 

黒夜「なあ」

 

絹旗「なんです?」

 

黒夜「私とのお揃いはそんなに嫌か」

 

絹旗「……」

 

黒夜「嫌なら、まあ…もぐよ」

 

 

絹旗「…超ごめんなさいです。本当は超嬉しくて…つい」

 

黒夜「…そっか。まあそのなんだ、私もちょっと嬉しいよ」

 

 

打ち止め「………」ニヤニヤ

 

フレメア「………」ニヤニヤ

 

 

黒夜「」

絹旗「」

 

打ち止め「うんうん。仲良しが一番だよって、ミサカはミサカは善きかな善きかな」

 

フレメア「にゃあにゃあ。仲良しに勝る人間関係は大体そうそうないのだ!

 

黒夜「べ、別に仲良しなンかじゃねェ!////」

絹旗「超そうですよ!仲良しなンかじゃ///」

 

打ち止めフレメア「「息ピッタリー」」

 

 

麦野「…確かあいつらあんたの精神性植え付けられてたわよね?」

 

一方「かもしれねェが俺とあいつらを一緒にすンじゃねェよ」

 

「おや」

 

一方「あン?」クルッ

 

白垣根(鬼神)「やあどうも。似合っていますよ?」ニコッ

 

一方「…オマエも随分綺麗になっちまったなァ?前のオマエは」

 

白垣根「カボチャのように中身がない所を現しているとことか」

 

一方「…前言撤回だ。ついでに殺す」カチ

 

白垣根「冗談ですよ」フフ

 

一方「つゥかよォ、なンでオマエはその仮装なンだ?」

 

白垣根「あなたが以前の"私"を惜しんでいるのでは、と思いましてね」

 

白垣根「私なりに以前の"私"のイメージを模した異形を選んだんですよ」ニコッ

 

一方「…そォかよ」

 

白垣根「私達も仲良くしませんか?」ニコッ

 

一方「するかバカ」プイ

 

白垣根「まあそう言わずに。お互いの守るべき彼女達は仲良しですし?」

 

 

フレメア「にゃあ、見ろ!あっちにチョコフォンデュタワーがあるぞ!」

 

打ち止め「なんですと!?やる!やるやるやるーってミサカはミサカは猛ダッシュ!」

 

 

白垣根「というか最近は一緒に遊んだりしたじゃないですか」クスクス

 

一方「…ただの付き添いでたまたま一緒になっただけだ」

 

白垣根「友人関係というのはそういう関係から始まるものではないのですか?」ニコッ

 

一方「さァな」

 

白垣根「麦野さんも」ニコッ

 

麦野「ぅえっ?!」ビクッ

 

白垣根「ほら、皆Level5じゃないですか」

白垣根「この際打算や権謀術数、利用する意思があっても構いません」

 

白垣根「仲良くしませんか?今度3人で遊びに行きましょう」

 

麦野「私は…いいけど」プイ

 

一方「…まァ、暇だったらな」プイ

 

白垣根「…お二人共もう少し本音出していきましょうよ」

 

一方「は、勘違いするなよ?俺はオマエの内の一人か二人くらい打ち止めの盾くれェにはできるンじゃねェかと思ってるだけなンだからな」

 

麦野「あんたね…」ハァ

 

白垣根「はは、考えてはおきますよ」

 

 

『えー☆本日はご来場いただき誠にありがとうございまーす☆』

 

食蜂『主催者の食蜂でっす☆』

 

 

一方「あン?第五位じゃねェか」

 

白垣根「超能力者の半分が一堂に介するというのは珍しいですね?」

 

麦野「てーかお姫様コスプレって…まあ最近多いけどさ」

 

 

食蜂(シンデレラ的な姫)『それじゃ!今夜は楽しんでって欲しいんだゾ☆』

 

「「「わああああああ!!」」」

 

 

一方「ハロウィンパーティーっつってもよォ、ようはコスプレ立食パーティーじゃねェか?」

 

白垣根「ミニゲームや出し物、ビンゴもありますよ?」

 

麦野「あれよね、規模がデカイ町内会のお楽しみ会レベルよね」

 

 

打ち止め「カボチャ投げだって!やろやろってミサカはミサカはお誘いしてみたり!」

 

フレメア「にゃあにゃあ!」

 

 

浜面「ビンゴ!ビンゴビンゴぉ!」ウヒョー

 

滝壺「やったねはまづら」

 

 

一方「テンションうぜェな、オマエンとこの下っ端。蹴りいれてェ」

 

麦野「一個も当たらねーからって人に当たらないで」

 

白垣根「まあ当たったところで大したモノは貰えませんけどね」

 

打ち止め「!」

 

打ち止め「ビンゴぉー!ビンゴビンゴ!ってミサカはミサカは狂喜乱舞してみたりー♪」

 

フレメア「うにゃあ?!ず、ズルいぞ!」

 

打ち止め「チッチッチィ。運も実力なんだよ君ィ!ってミサカはミサカはドヤ顔で指を振ってみる!」

 

縦ロール「おめでとう!景品はDVDですわよ!」

 

打ち止め「あ、アンナの続編のやつ?ってミサカはミサカはたずねてみたり」

 

縦ロール「ええ。『アンナと紅蓮の女帝』ですわ?」

 

打ち止め「よっしゃー!あの人と一緒に観るぞーって、ミサカはミサカは今から予定を立ててみたり!」

 

フレメア「ぬぅおお!大体、私も観たい!にゃあ!」

 

打ち止め「今度ね!」

 

 

麦野「なんだっけ、劇中歌の歌詞が変わるんだっけ?」

 

白垣根「『少しも寒くないわ』から『少しも熱くねェよ』になりますね」

 

一方「はっ、どォせ駄作だろ?観る気しねェよ」

 

打ち止め「えっ…」ショボン

 

一方「と思ったがなンか超見たくなってきたわァーあァ見てェ見てェ」

 

打ち止め「!」パァ…!

 

 

一方「しっかしよォ、ハロウィンパーティーなのに甘いもンが少なくねェか?」モグモグ

 

白垣根「そういえばそうですね?」ハテ

 

麦野「なんか意図があるのかもね」モグモグ

 

食蜂『えー、ゴホン☆ゴホン☆』

 

 

食蜂『それでは皆様!間もなく「Trick or treat.」をしに行くお時間でぇす☆』

 

 

一方「あン?」

 

白垣根「ほう」

 

麦野「ふぅん?」

 

 

食蜂『今から皆で街を練り歩き、指定された街の各ポイントでTrick or treaってきてくださぁい☆』

 

食蜂『あ、あと…』チラ

 

 

一方「あン?」

 

食蜂『小さい子と一緒に来た保護者の方はしっかり手を繋いで、仲良く、にこやかにTrick or treaってくるんだゾ☆』

 

食蜂『ちゃあんとやらなきゃダメだゾ☆』クスクスクスクス

 

一方「あの野郎明らかに俺を見て言いやがった」

 

白垣根「いいじゃないですか。慣れてるでしょう?」クスクス

 

 

「「「Trick or treat!」」」

 

 

一方「こォして見るとコスプレの種類が豊富だな」カツッカツッ

 

打ち止め「ねー」テクテク

 

一方「手ェ離すなよ」

 

打ち止め「うん!ってミサカはミサカは笑顔で頷いてみたり!」

 

 

滝壺「はまづら、私達は腕組んでいこ?」

 

浜面「お、おう///」

 

 

白垣根「さあ、行きましょうか」ニコッ

 

フレメア「にゃあ…私、大体浜面がよかった…」ショボン

 

白垣根「すみませんね」クスクス

 

フレメア「…ぷー」テクテク

 

 

絹旗「…じゃあ超行きましょうか」テギュ

 

黒夜「…ああ」テギュ

 

絹旗「…まさか『お揃いの人は手を繋いでいってね☆』という超意味わからんルールが超あるとわ」テクテク

 

黒夜「いいんじゃねぇの?関係改善の一歩だよ」テクテク

 

麦野「わ、私は誰と行けば…!」キョロキョロ

 

フロイライン「ぢー。」

 

麦野「はっ!」

 

フロイライン「…」ニッコリ

 

 

通行止め「「Trick or treat!」」

 

御坂「なんであたしの部屋?!」

 

一方「知らねェよ指定ポイントがここだったンだよ」チッ

 

打ち止め「お姉様だー!Trick or treat.って、ミサカはミサカは御菓子ちょーだいっ!」

 

御坂「あーはいはい。一応あるにはあるけどさ…」

 

御坂(食蜂あとで超電磁砲ぶちこむ)

 

一方「…超電磁砲

 

御坂「…あによ」

 

一方「悪ィな、オマエがとっといた菓子もらっちまって」

 

御坂「別に?いいわよ可愛い妹にそれくらいは、ね」

 

御坂「ってーか。あんたが私に気を使うって…明日は矢でも降るのかしらね」

一方「さァな」

 

御坂「…Happy Halloween.」

 

一方「あァ、Happy Halloween.」

 

 

海原(エツァリ)「……」ニコニコニコニコ

 

一方「よし、次に行くぞ」クルッ

 

打ち止め「え?でも次の指定ポイントはここの海原さんちだよ?ってミサカはミサカは疑問をぶつけてみたり」

 

一方「いいンだ。オマエがここに入ったら孕まされちまうぞ」

 

打ち止め「そうなの?」

 

 

海原「いやちょ、そんなわけないでしょ、いやホント…ちょ、待て!!!待ってくださいよ!!!」

 

一方「ヤベェな、このクソストーカーいつになく本気だわ。さァ早く次に」

 

海原「待ってくださいよって言ってるでしょう?!」ガシッ

 

打ち止め「きゃ!?」

 

一方「うちの子に触れンな性犯罪者」ペシッ

 

海原「やめてください。汚物を見る目で見ないでください」

 

海原「本当大丈夫なのでどうぞTrick or treaってください」

 

一方「トリッカットリー。おら、大人しく菓子寄越しやがれ」

 

海原「いやあなたではなくてですね、」

 

打ち止め「ミサカ?ってミサカはミサカは小首をかしげてみたり」

 

海原「はい!できればツンデレっぽくですね、」

 

一方「トリッカットリー。別にオマエなンかからは菓子なンざ欲しくねェが…もらってやるから感謝しろ」

 

海原「いやあなたではなくてですね」

 

打ち止め「Trick or treat!別にお菓子じゃなくてイタズラの方でもいいんだから!ってミサカはミサカは頑張ってツンデレしてみたり!」

 

海原「うへへ…」ニタ

 

一方「…」カチ

 

海原「では自分にイタズラしてみますか?ああもちろん御菓子も差し上げますし…」グヘヘ

 

打ち止め「え、いいのー?ってミサカはミサカはイタズラ内容を考えてみたり」

 

海原「ああ、できれば自分の股間にですね、」

 

一方「アウトォ」

 

 

打ち止め「…海原さんしばらく悶絶した後動かなくなっちゃったねって、ミサカはミサカは心配になってみたり」テクテク

 

一方「奴がくたばったのは自業自得から気にすンな。菓子もぶんどってきたしな」カツッカツッ

 

一方「…次で最後か」

 

打ち止め「あ、そうなの?」

 

 

上条「ほーらインデックスさーん?食べちゃダメですのことよー」ヒョイ

 

インデックス「ああん!ちょっとだけ!ちょっとだけぇー!」

 

上条「ダぁメです!これはハロウィンイベントで来た人に配るヤツなの!」

 

 

<ピンポーン

 

上条「あ、はーい!…ほら、来たから諦めろ」

 

インデックス「ううー!」

 

上条「はーい」ガチャ

 

カボチャ頭「 よ ォ …… ! 」ゴゴゴ

 

上条「」

 

打ち止め「ちょっと強烈な殺意オーラ抑えてもらえます?って、ミサカはミサカは気迫に圧されたヒーローさんを気遣ってみたり」

 

カボチャ頭「オマエには借りがありまくりな上に返せそォもねェンだがな…」ゴゴゴゴゴゴ

 

カボチャ頭「今日またオマエに借りを作らなきゃならなくなっちまった俺の心境はクソヤベェンだよ…!」ゴゴゴゴゴゴ

 

カボチャ頭「察してもらえると助かるなァあああ?!」

 

上条「あ、ハイ」

 

打ち止め「ごめんね?ってミサカはミサカはうちの保護者がご迷惑おかけした事に謝罪を入れてみたり」

 

一方「じゃあ聞いてやる…」

 

一方「Dead or alive ?! 」

 

上条「aliveで!!!aliveでお願いします!!!」

 

打ち止め「と、Trick or treat!ってミサカはミサカは慌てて言ってみたり!」

 

一方「Dead or alive?!(御菓子を寄越すか死ぬを選べ!)」

 

上条「あげるあげます!さしあげますって?!」

 

 

上条「全くもー…ん?」

 

インデックス「おいひーんだよ」モキュモキュモキュモキュ。

 

カラッポ。

 

上条「」

 

上条「…インデックスさん?可愛らしく口元をモゴモゴさせていらっしゃいますが…?」

 

インデックス「ハロウィンクッキーはおいひーんだよ」モキュモキュモキュモキュ

 

打ち止め「えー…御菓子ないの?って、ミサカはミサカはしょぼくれてみたり…」

 

一方「そォかそォか。なら……」

 

一方「死ね」ニタァアア…!

 

上条「不幸だ」

 

インデックス「私は幸せなんだよ」モキュモキュ

 

 

上条(だったもの)「」

 

 

インデックス「あ、でもちゃんと渡す分は食べてないんだよ!はい!」つ

 

インデックス「御菓子あげるからイタズラはやめてね!」ニッコリ

 

打ち止め「! ありがとう!ってミサカはミサカはお礼を言ってみる!」ニコ

 

一方「悪ィな」

 

上条(俺が死に損じゃねーか)

 

上条(…もうこのままゾンビとして生き返ってハロウィンやろっかな)

 

 

一方「邪魔したな」

 

打ち止め「バイバーイ!ってミサカはミサカは挨拶してみる!」フリフリ

 

インデックス「バイバイなんだよー」フリフリ

 

バタン。

 

インデックス「とうまとうま」クルッ

 

上条「なんでござんしょ」

 

インデックス「Trick or treat!」

 

上条「お前今散々食ったよね?!」

 

インデックス「でもアレは御客様用であって、とうまから私へのハロウィンスゥイーツではないかも」

 

上条「いやでもアレ以外用意してないし…」

 

インデックス「えー」ガチ☆ガチ☆

 

上条「噛みつきたいなら噛みついてもいいけどないもんはないからな?」

 

インデックス「じゃあ…」

 

インデックス「こういうイタズラは <ピムプォム♪

 

上条「……」

 

インデックス「……」

 

インデックス「あ、私の事はいいから出てあげて、どうぞ」

 

上条「あ、はいッス」

 

 

ガチャ、

 

上条「はいはーい?どちらさん…」

 

食蜂「やっはろ☆」

 

上条「………」

 

上条「えー…………と、」

 

上条「あー…………」

 

食蜂「……」ニコニコ

 

上条「ごめん、誰?」

 

食蜂「ん?そぉねぇ、」

 

食蜂「かつてあなたに助けられた女の子の一人。そんな風にでも思ってくれれば結構よぉ☆」

 

上条「……どこか、で、いや……うーん?会った…とは、思うんだけど」

 

上条「んん…?」

 

食蜂「あはは、いいのよぉ?それで。私とあなたの関係力は正解なのよぉ?」ニコ

 

インデックス「? とうまが"また"なのは別にして…とうまがあなたの事を覚えてないのに理由があるの?」

 

食蜂「あなたは?」

 

インデックス「えーと…私もあなたと同じ、かな」

 

食蜂「そう」クス

 

 

食蜂「いや待って待って?なんでこの人の家に自分んち感覚力でいる感じなのよぉ?」

 

インデックス「…」メソラシ

 

食蜂「ちょっと見過ごせないかなぁって」

 

インデックス「色々事情があって…できれば触れないで欲しいんだよ」

 

食蜂「何なのそれぇ?!」

 

上条「あのー」

 

食蜂「何か?!」キッ

 

上条「いや…どこの誰かは知らねーけど何しに来たの?」

 

食蜂「え?ああ」

 

食蜂「ハロウィンパーティーイベントの協力ありがとうって」

 

上条「ああ。いいよそんくらい」

 

食蜂「―――という、会いにくる口実力を作るためにハロウィンパーティー企画したの」

 

上条「……え?」

 

食蜂「…あのね、本当は私達最近頻繁に会ってたのよぉ?」

 

上条「え?」

 

インデックス「? …ああ、最近とうまが『イベント主催者と話してくる』って出掛けてたのって」

 

食蜂「そ。私」

 

食蜂「あなたは昔、とある事件で私に関する事だけをピンポイントで思い出せなくなったのよ。だから……」

 

上条「……」

 

上条「…あ、そういえばそうだったな。ごめんな、食蜂」

 

食蜂「………」

 

食蜂「………………え?」

 

上条「やー悪い悪い。なんかこう、思い出せなかったけど今思い出したわ」

 

上条「蜜蟻ん時にも会ってたな、俺たち」

 

食蜂「は、……?え、え……?」

 

上条「いやー、なんで思い出せなかったんだろーな?ボケたか?」

 

食蜂「………え?」ポロポロポロポロ…

 

 

――――昔、『上条当麻』がとある事件にあった時。ある医者は言った。

 

『これは記憶の破損というより呼び出し経路の破損といった方に近いね?』

 

『この少年は、君の事を話していても、それを思い出す事が出来ない』

 

『人の顔や名前を格納する部分で、君の枠だけ物理的に潰れているのに近い』

『きっと、君の能力でももうどうにもならないんじゃないかな?』

 

 

―――それは、本当に偶然だった。馬鹿馬鹿しい程に。

 

色々な現実や世界、常識や人を舐め腐っているとしか思えぬ程に。

 

 

一方『死ね』ニタァアア…!

 

上条『不幸だ』

 

 

あの時。

 

 

一方通行のベクトル操作能力が展開された、

 

『死なない程度に絶妙な痛さを与えるベクトル』

 

と設定された拳を上条当麻は服数回頭部に受けた。

 

『人の顔や名前を格納する部分で、君の枠だけ物理的に潰れているのに近い』

 

ならば。

 

もし、物理的に、脳を壊さずに、ピンポイントに。

 

絶妙な力加減で、

 

へこんだり歪んだりした金属を叩いて形を戻すように、

 

その破損した呼び出し経路……"枠"を、叩いたら?

 

 

―――もしそれが。たまたま奇跡的に元の形に修繕される形となったならば。

 

食蜂「あ――――あ、ああ……――」

 

上条「? 何泣いてんだよ、"食蜂"」

 

 

打ち止め「楽しかったねーって、ミサカはミサカは同意を求めてみたり」テクテク

 

一方「あァそォかよ。まァあの野郎をボコッた時は楽しかったが」カツッカツッ

 

打ち止め「帰ったらヨミカワとヨシカワにも『Trick or treat.』しよーっと!ってミサカはミサカは更なる御菓子入手を企んでみたり!」

 

一方「あンま菓子ばっか食うなよ?」カツッカツッ

 

一方「太るし、飯は食えなくなる。それに虫歯になンぞ。健康に悪いしな」

 

打ち止め「ふーんだ!ちゃんと歯を磨くし食べすぎないから大丈夫だもん!ってミサカはミサカは御菓子禁止に抗ってみる!」

 

一方「そォかよ。ちゃンと計画的に食えよ」

 

打ち止め「うん!」

 

打ち止め「『アイテム』の人達は?」

 

一方「あいつらはあいつらでこの後何か予定があるンだとよ。先帰った」

 

打ち止め「ふぅん……あ、ねぇねぇ!」

 

一方「なンだ」

 

打ち止め「ハロウィンにも『クリスマスの奇跡』みたいな事ってないのかな?ってミサカはミサカは疑問提起してみたり」

 

一方「はン、あるワケねェだろ」

 

打ち止め「ううー!起きろ!起きろ!奇跡じゃなくていいから、不思議な事起きろーって、ミサカはミサカは神様に電波を飛ばしてみたりぃい!」

 

一方「そンなもンで非現実的な事が起こるなら、神様ってのは相当安っぽいヤツだな」

 

打ち止め「あ、じゃあじゃあ!ハロウィンだけに、ジャック・オー・ランタンにお願いしてみるとか?ってミサカはミサカは案を出してみたり」

 

一方「オマエな…ジャック・オー・ランタンがどンなヤツか知らないで言ってるだろ…」

 

打ち止め「うん!でもお願いしてみるの!って、ミサカはミサカは案外聞いてくれるかもと期待してみる!」

 

打ち止め「ジャックさん、ジャックさん。カボチャ頭のジャックさん。」

 

打ち止め「何か、誰かが楽しくなるような、嬉しくなるようなイタズラを誰かにしてください!」

 

一方「……はン」

 

一方(ちょォど俺は今カボチャ頭だし…何かイタズラでもして驚かすか?)

 

ジャック(一方)「…何すっかな」ニヤリ

 

打ち止め「ん?」

 

 

上条当麻食蜂操祈の事を記憶できるようになる、数秒前の会話。

 

 

 

 

打ち止め「あーそーぼ!ってミサカはミサカはアメリカンタックルを仕掛けてみたりー!」

 

一方「ウボェッ!?」つc□'・ビチャッ

 

打ち止め「」

 

一方「」ビッタビタ

 

一方「よォおおし!?"遊んで"やるよォ!!俺のコーヒータイム邪魔した罪は重ェぞオラァ!!?」

 

打ち止め「ご、ごめんなさーい!って、ミサカはミサカは猛ダッシュぅう!!」

 

一方「チッ。いいか、今度からは俺がコーヒー飲ンでる時に触れンな声かけンな」

 

打ち止め「えー声くらいはかけさせてって、ミサカはミサカは不満げに声を漏らしてみたり」

 

一方「…」ギロ

 

打ち止め「ひゃう」

 

一方「…ンで?何がしたかったンだ」

 

打ち止め「! 遊んでくれるの?ってミサカはミサカは目を輝かせてみたり!」

 

一方「まァ、暇だからな」プイ

 

打ち止め「うわーい!あのねあのね!」

 

打ち止め「お芋でハンコつくろ!って、ミサカはミサカはお誘いしてみたり!」

 

一方「食いもン粗末にすンのはな…消ゴムとかでいいだろォが」

 

打ち止め「やだ!さつまいもがいいの!って、ミサカはミサカはぷっぷくぷー!」

 

一方「へェへェ…」

 

打ち止め「あのね、ヨミカワのおかーさんが『畑でさつまいも採れたから』って!」

 

打ち止め「こーんなに送ってくれたんだよ!って、ミサカはミサカは両手で示してみたり!」

 

一方「ふゥン…」

 

一方「じゃあ用意すっから手伝え」ヨイショ

 

打ち止め「はーい!って、ミサカはミサカは元気よく了承してみたり!」

 

 

一方「いいか、 絶 対 に 。彫刻刀で怪我をすンな。いいな?」

 

打ち止め「了解であります!ってミサカはミサカは敬礼してみたり!」ビシッ!

一方「今回はなるべく危険じゃないよォに凸になるような削り方はしねェ」

 

一方「凹になるよォに上手に彫るぞ」

 

打ち止め「うん!ってミサカはミサカは頷いてみる!」

 

一方「よし、最初にハンコの絵を描け。それを切った芋に下書きしてから削る」

 

打ち止め「ん!」

 

打ち止め「~♪」カキカキ

 

打ち止め「で~きたっ♪ってミサカはミサカは完成をお知らせしてみたり!」

一方「あン?ちょっと見せてみろ…あァダメだな」

 

打ち止め「えー!なーんでなんでー?ってミサカはミサカは憤ってみたり!」プクー!

 

一方「背景を書き込み過ぎだ。ついでに絵が細かいからこれじゃ線が潰れて彫れねェンだよ」

 

打ち止め「えー…」

 

一方「やっても構わねェがオマエが大変なだけだぞ。たぶンオマエじゃ彫れねェし」

 

打ち止め「ぶー。ってミサカはミサカはガッカリー」

 

 

打ち止め「でーきた!って、ミサカはミサカは完成絵を見せびらかしてみたりー」

 

一方「…まァこれならいいだろ。ンじゃ、彫るぞ」

 

打ち止め「うん!」

 

一方「おい、絶対怪我すンなよ?細心の注意を払えよ?」

 

打ち止め「うん」つ/

 

一方「大体オマエみたいな奴が調子こいて指の腹に刺したりしちまうンだよホント気を付けろ」

 

打ち止め「はーい」ホリホリ…

 

打ち止め「………」ホリホリホリホリ…

 

一方「さて、俺はコーヒーでも」

 

打ち止め「あれ?あなたはハンコ彫らないの?ってミサカはミサカは尋ねてみたり」

 

一方「面倒クセェからな」

 

打ち止め「えー!一緒にやろうよ!」

 

一方「別に彫りたいもンもねェし」

 

打ち止め「やーろーおーよーやーろーうーよーってミサカはミサカは袖をクイクイ引っ張ってみる!」

 

一方「オマっ、ちょっ!彫刻刀持ったまま暴れンな!危ない危ない危ない!」 

 

グサッ。

 

一方「あ」

 

打ち止め「あ」

 

 

一方通行の服<みごとな穴が

 

 

打ち止め「ご、ごめんなさい…!ってミサカは、ミサカは…」

 

一方「……」

 

一方「ハァ…ったく、」

 

打ち止め「ううっ…!ってミサカはミサカは目をギュッと瞑って身構えてみる…!」

 

一方「怪我、しなかったか」

 

打ち止め「え……うん」

 

一方「ならいい」ホッ

 

打ち止め「あ…」

 

一方「だから気をつけろって言っただろォが」コツン

 

打ち止め「…うん…」

 

一方「あァー…ほら、俺も一緒にやってやるから」

 

打ち止め「!」パァ

 

一方「彫刻刀は置いてから次の事やれ」

 

打ち止め「うん!」

 

一方「……」ホリホリ…

 

打ち止め「♪」ホリホリ…

 

一方「……」ホリホリ…

 

打ち止め「~♪」ホリホリ…

 

一方「……」ホリホリ…

 

打ち止め「ガーガガッガ♪ノイジー♪」ホリホリ…

 

一方「……」ホリホリ…

 

打ち止め「耳をふーさいっだっらー♪」ホリホリ…

 

一方「……」ホリホリ…

 

打ち止め「オマエ♪泣いていーるー♪」ホリホリ…

 

一方「……」ホリホリ…

 

打ち止め「声ーをー♪聞ィーたァー♪」ホリホリ…

 

打ち止め「でーきたっ♪ってミサカはミサカはうぇーい!」

 

一方「そォかよ」

 

打ち止め「じゃんじゃじゃーん!何とミサカがあなたにあすなろ抱きされてる絵です!」

 

一方「へェーそりゃまた使い所がなさそうだな」

 

打ち止め「いいの!ミサカが押したいとことか、お手伝いカードのハンコにしてもらうの!」

 

一方「お手伝いカード?」

 

打ち止め「うん!何かおうちの事でお手伝いするとね、ハンコもらえるの!」

打ち止め「それでね、いっぱいになると何かご褒美もらえるのだー!って、ミサカはミサカは制度システムを説明してみたり!」

 

一方「へェー」

 

打ち止め「あのね、今のとこはあと一個なんだよ?ってミサカはミサカは今までの頑張りを暗に示してみたり」

 

一方「そォか。精々頑張れ」ヒラヒラ

 

打ち止め「あなたはどんなハンコにしたの?って、ミサカはミサカは覗いてみたり!」ヒョコ

 

一方「ン」つ

 

打ち止め「……? ああ、あなたの本名ね、これ!ってミサカはミサカは推理してみる!」

 

一方「あァ。名前ハンコのがまだ使い道があるしな」

 

一方「…やっぱり使いどこがねェけどな」

 

 

打ち止め「じゃあ押してみるね?ってミサカはミサカはぺたぺた…」

 

打ち止め「えい!」ギュム。

 

打ち止め「! わーい!上手く押せたー♪ってミサカはミサカは作品が上手くできた事を喜んでみたり!」

 

一方「よかったな」

 

打ち止め「……」

 

打ち止め「!」

 

打ち止め「ねぇねぇ!後片付けはミサカやるよ!ってミサカはミサカは申し出てみる!」

 

一方「あン?…じゃあ好きにやれよ」

 

打ち止め「よいしょよいしょ!」

 

一方「コーヒーコーヒー…」

 

打ち止め「んしょんしょ!」

 

一方「うめェ」ズズー

 

打ち止め「ほりゃほりゃ!」

 

一方「最高だな」つc□~~

 

打ち止め「終わったぁああ!ってミサカはミサカは雄叫びをあげてみるーっ!」ウォー!

 

一方「お疲れェーす」ダラダラ

 

打ち止め「あ、じゃあ!」テテテ…

 

一方「?」

 

打ち止め「お手伝いしたから!ハンコちょーだい!ってミサカはミサカはカードを提示してあなたのお芋ハンコを求めてみたり!」

 

一方「あァ…そォいう事か」

 

一方「……」ペタペタ…

 

一方「おらよ」ギュム

 

打ち止め「! うわーい!ありがとう!」

 

打ち止め「ご褒美ご褒美♪って、ミサカはミサカはヨミカワの帰宅を心待ちにしてみたり!」

 

一方「どンなご褒美もらうつもりなンだよ」

 

打ち止め「うーん?何にしよっかな~?って、ミサカはミサカはあれこれ思案してみる!」

 

打ち止め「お菓子?服?迷っちゃう!って、ミサカはミサカは嬉しい悲鳴をあげてみたり!」イヤンイヤン!

 

一方「そりゃよかったな」ズズー…

 

 

打ち止め「あなたとお芋ハンコ作ってよかったーって、ミサカはミサカは微笑んでみたり!」

 

一方「そォか」ズズー…

 

打ち止め「ねぇねぇ!見て見てーって、ミサカはミサカはあなたに駆け寄ってみる!」

 

一方「あァ?」つC□~~

 

打ち止め「じゃんじゃじゃーん!って、ミサカはミサカはポッキー(ストロベリーチョコ)を目の前に突きだしてみたり!」

 

一方「あァはいはい。どォぞご勝手に味わってくださァい」

 

打ち止め「んもー!どんだけ興味ないのー?!って、ミサカはミサカはあなたの無関心さに呆れてみたり!」

 

一方「俺にくれンのか?なら遠慮するからオマエが食え」

 

打ち止め「一人で食べても美味しくないもん!って、ミサカはミサカはあなたの側に来た理由の一つを明かしてみる!」

 

一方「あァ?」

 

打ち止め「ポッキーゲームしよっ!って、ミサカはミサカは花丸笑顔でお誘いしてみる!」

 

一方「断る。オマエ俺がそンなくっだらねェ遊びする奴に見えンのか?」ズズ…

 

打ち止め「ミサカがお願いしたら仕方なくやってくれるかなーって。って、ミサカはミサカはあなたの厚意を期待してみたり」

 

一方「…」ハァ

 

一方「…一回だけだぞ」パク

 

打ち止め「! わーい!」

 

 

黄泉川(やんのかよ!)ビシッ

 

 

打ち止め「あむーっ!って、みひゃはわみひゃはわあにゃはのくひからでてるふぉっひーをふわえへみひゃり!」

 

一方「あンま喋ンな」

 

 

一方「…」ポリポリ

 

打ち止め「♪」ポリポリ

 

一方「…」ポリポリ

 

打ち止め「ふふ」ポリポリ

 

打ち止め(うわー…顔が近い…////って、ミサカはミサカはドキドキしてきた事を心の中で実況してみたり)

 

一方「…」ポリポリ

 

打ち止め「////」ポリポリ

 

一方「…」ポ、リ。

 

打ち止め(ちゅー?このままちゅーしちゃうのー?!ってミサカはミサカはドッキドキー!////)

 

一方(…これ、どこでどォ止めればいいンだ?)

 

打ち止め(このままこーい!きーて!きーて!って、ミサカはミサカはちゅーを期待してみたり!)

 

一方(…自分から折ったら負けなンだよなァ、確か)

 

一方「……」

 

一方「…」コチョコチョコチョコチョ

 

打ち止め「ぷひゃ?!あはははっ、やめ、あははは?!」

 

ポキッ。

 

打ち止め「」

 

一方「はァい、オマエの負けェー」ゴロリ

 

打ち止め「」

 

一方「まァオマエが俺に勝負挑むなンざ100年早かったンだよ」ドヤ!

 

打ち止め「このゲーム勝ち負け競うやつじゃないよ?!って、ミサカはミサカはまさかの仕打ちに納得いかないよぉおお!?」

 

一方「あァ?じゃあ何がどォするゲームなンだよ」

 

打ち止め「え?!えーとえーとって、ミサカはミサカは説明するには羞恥を覚える故に言い澱んでみる」

 

打ち止め「////」モジモジ

 

一方「はァ」

 

番外「ギャハハ☆いーじゃんいーじゃん?ちゅーしちゃえばー?」

 

一方「はァ?なンで」

 

番外「おチビもそれ望んででしょーに。あーあー、第一位様はアイスハートさも第一位って?ヒッドーイ☆」

 

一方「俺がコイツにキスしたらそれこそ問題だろォが」

 

番外「ま、ねー?まあ?見た目的に不味いよねー」

 

番外「…じゃあ、ミサカとヤるかい?」グイ

一方「あァ?オマエは実質0才で尚更ヤベェだろォが」

 

番外「まあまあ。事故事故☆しょーがないんだからさぁ?」ノシ

 

一方「それもう故意じゃねェか。つゥか上に乗ってくンなボケ」ペチ

 

番外「は?恋じゃないし!?」

 

一方「あァ?故意だろ。わざとだったら」

 

番外「バっカじゃねーの!ちょっと迫られたくらいで恋とかマジキモい!マジ童貞!」

 

一方「いや童貞関係ねェだろ…意味わかンねェし、気持ちの問題なンだからよ」

 

番外「気持ちって…」

 

打ち止め「言っとくけど今一番すごい勘違いしてるのはあなただからねって、ミサカはミサカはジト目で末の妹を見つめてみたり」

 

ギャーギャー

 

黄泉川(指導はしなくて済みそうじゃん)ホッ

 

芳川「ポッキーゲームねぇ…最後にやったのいつかしらね?」

 

黄泉川「私はやった事ねーじゃんよ」

 

芳川「あらそうなの?」

 

黄泉川「桔梗は?」

 

芳川「私もないわ?」

 

黄泉川「…なら、さも『やった事あります』みたいに言うのやめるじゃんよ」

芳川「んー…じゃあこれを期にやってみようかしら?」

 

黄泉川「え?」

 

芳川「一方通行?なら私とポッキーゲームやらない?」パク

 

黄泉川「お前は子供相手に何しようとしてんじゃんよ!」ペチ

 

 

〓〓公園〓〓

 

打ち止め「あ、アリさんだ!ってミサカはミサカは駆け寄ってみる!」

 

芳川「この科学の街では確かにちょっと珍しいかもね」クスクス

 

蟻<ハコベエ☆ハコブノヨオ!スマフォデアヤツラレタイノオ?

 

打ち止め「こんな小さな体で自分より大きいものを運ぶなんてすごいよねーって、ミサカはミサカはテンプレ染みた感想を述べてみたり」

 

芳川「ふふ、そうね」

 

芳川「あ、打ち止め。こんな話は知ってる?」

 

打ち止め「?」

 

芳川「実はね?一つの巣穴の働き蟻達の内、約20%は働かないのよ」

 

打ち止め「へー」

 

芳川「ちなみに、これは全く別の巣穴から連れてきた蟻を混ぜても同じ比率になるのよ?あと蜂にも似た話があるの」

 

打ち止め「へー…」

 

打ち止め「じゃあ芳川はその20%だから働かないのねって、ミサカはミサカは真顔で言ってみる」

 

芳川「やめて」

 

サツマイモ<コンモリ

 

一方「…まだ消費しきれてねェのかよ」

 

打ち止め「いっぱい送ってくれたからねぇ?ってミサカはミサカは未だ段ボール一箱分のおイモを見つめてみたり」

 

一方「お裾分けって事でダチと食うか」

 

打ち止め「え、あなたが友達…?」

 

一方「…」チョップチョップチョップチョップチョップチョップチョップチョップチョップチョップチョップチョップチョップチョップチョップチョップチョップチョップチョップ

 

打ち止め「やめてやめて」

 

一方「なンだなンだよなンなンですかァ?俺に友達居たらおかしいですかァ?」チョップチョップチョップチョップ

 

打ち止め「いやそうじゃなくて」

 

一方「『え?いつもボッチでいるけど…友達、居た…の?大丈夫?幻想じゃないよね?脳内じゃないよね?』」

 

一方「――って事ですかァ?」チョップチョップチョップチョップ

 

打ち止め「あなた実はそれ気にしてたのねってミサカはミサカはあなたのデリケート部分に触れてしまった事を悔やんでみる」

 

一方「別に気にしてねェよ」

 

打ち止め「………」

 

打ち止め「というかミサカは『あなたが友達だと認めてる人が居た』って事に驚いたんだけどって、ミサカはミサカは言い方が悪かったなぁって」

 

一方「紛らわしい言い方してンじゃねェ」チョップチョップチョップチョップチョップ

 

打ち止め「…いつになくムキになりすぎじゃない?ってミサカはミサカはあなたの連続チョップがそろそろキツい」

 

一方「うるせェ。いいから呼ぶぞ」つ携帯

 

一方「オマエは誰か呼びてェ奴いねェのか」

 

打ち止め「え?うーん…あ、じゃあねじゃあね?って、ミサカはミサカは候補をあなたに伝える前置きをしてみる」

 

一方「アイテムの金髪と銀髪か」

 

打ち止め「うん!仲良しなの!お願い!ってミサカはミサカはじゃ、お友だち呼んでくれるかなー!?」

 

一方「俺が『いいともォ!』と言うとでも思ったか?自分でやれ、自分で」

 

打ち止め「えー」ぶー

 

一方「俺が金髪と銀髪口リに直接『一緒におイモ食べませンかァ?』とかキモいだろォが」

 

打ち止め「……」コクン

 

一方「わかったらさっさと電話しろ。俺は俺で呼ぶ」

 

打ち止め「はーい!ってミサカはミサカはミサカのお子さまケータイを取り出してピ、ポ、パ!」

 

一方「―――というわけなンだが」

 

麦野『あー…ごめん。今ダイエット中だし…』

 

一方「オマエ別にそンなデヴじゃねェだろ。充分痩せてるし綺麗だろォが」

 

麦野『そ、そう?』

 

一方「あァ、だから来い」

 

麦野『…いや、やっぱやめとくわ』

 

一方「あァ?なンでだよ」

 

 

麦野『今滝壺が私の腹つまんだ』

 

一方「…ダイエット、頑張れよ」

 

 

一方「―――と言うわけなンだが」

 

白垣根『すみません。ちょっと今回はパスします』

 

一方「あァ?なンでだよ」

 

白垣根『いえね、しばらくの期間未元物質個体全員のメンテをするんですよ』

白垣根『個体は増やせませんし、システムチェックやフレメア達の警護個体ですら持ち場を外れるくらいですから』

 

一方「一体くらい来ればいいだろォが」

 

白垣根『すみません、メンテ参加は"全員"なので』

 

一方「そォかよ」

 

 

一方「―――と言うわけなンだが」

 

上条『あー悪い!俺ちょっと今からイギリス行かなきゃ行けなくてさ』

 

一方「…オマエのとこのシスターは」

 

上条『インデックス?いやインデックスも連れて行くから…』

 

一方「オマエ、また何かいらン事に首突っ込ンでンのか」

 

上条『まあそんな感じ』

 

一方「そォか。死ぬなよ?借りが返せなくなる」

 

上条『はいはい』

 

一方「あとなンか土産買ってこい」

 

上条『買えたらな』

 

 

一方「ふー……」

 

打ち止め「………」

 

打ち止め「ひょっとして…全滅?って、ミサカはミサカはうなだれたあなたの反応から推察してみたり」

 

一方「……」

 

一方「…」チョップチョップチョップチョップチョップチョップチョップ

 

打ち止め「うんわかったごめんなさいだからチョップやめてってミサカはミサカはローテンションなあなたにお願いしてみる」

 

一方「…いや、まだダチはいたな」

 

打ち止め「一縷の望みとプライドをかけるのね!って、ミサカはミサカは希望を見いだしたあなたを内心応援してみたり!」

 

一方「一縷じゃねェ。俺はダチはいっぱいいるからまだ5人も候補いるから」 

 

一方「―――というわけなンだが」

 

浜面『あー悪い。俺今から絹旗と映画付き合ったあとに飯食って一緒に寝てやらなきゃいけないんだ』

 

浜面『前から約束してたんだけど、あいつその時「私にも超かまってください…!」って泣きながら約束求めてきたし…』

 

浜面『しかもその数時間後に黒夜と一日遊んでやらなきゃいけなくて。』

 

浜面『黒夜の奴も「私だって…浜ちゃんと一緒にいてぇよ…!」って震え声してたし…』

 

浜面『その後は麦野のダイエットの手伝い、「手伝わなかったら…殺す」、その後でようやく滝壺と前から約束してたデートができるから…』

 

 

浜面『悪い、ちょっと』

 

一方「オマエが今死ぬ程大変な事になってンのはわかった」

 

 

一方「―――というわけなンだが」

 

エステル『すまない。私は今入院していて…固形物接種はちょっと』

 

一方「何があったンだオマエ」

 

エステル『いやDAの思想を継いだ奴等と戦闘して』

 

一方「そォか、お大事にィ」

 

 

一方「…もうあいつ等に賭けるしかねェのか」

 

一方「…」ピポパ

 

打ち止め「あ、フレメアとフロイラインは来てくれるって!って、ミサカはミサカは報告してみたり」

 

プルルルル、プルルルル。

 

一方「…」キリッ

 

打ち止め「誘うだけなんだからそんな真剣な顔にならなくてもって、ミサカはミサカは真顔のあなたを見つめてみたり」

 

 

〓〓公園〓〓

 

フレメア「にゃあ!」

 

フロイライン「どうも」

 

打ち止め「おーよく来たな!ってミサカはミサカは出迎えてみたり!」

 

一方「……」

 

 

ザッザッザッ。

 

一方「! よォ、遅かったな」

 

土御門「…なあ、今更なんだがオレ達は友達ではなかったよな?」

 

結標「ええ。グループ時代だってお互いがお互いを利用し合うビジネスパートナーだったし」

 

エツァリ「ですね。まあヒマでしたから来ましたけど」

 

一方「待てオマエ誰だ」ガシ

 

エツァリ「あ、海原です海原。今日は久しぶりに素顔晒してみました」

 

一方「ふゥン…そっちの方がいいと思うぞ」

 

エツァリ「おや、そうですか?」

 

エツァリ「にしても…やはり小さい御坂さんは可愛いですね」チラリ

 

一方「指一本でも触れたらミンチにすっから」

 

エツァリ「はいはい」

 

土御門「で、イモは?」

 

一方「そこだ」

 

土御門「どれ」ガサゴソ

 

土御門「…」

 

一方「何してンだよ」

 

土御門「いや…何か仕掛けられてる可能性が」

 

一方「ねェよ」

 

 

結標「にしても意外ね?」

 

一方「何がだ?」

 

結標「あなたが私達を友達にカウントしてたのが」

 

一方「…知人から友人にランクアップすンのはいつだってそいつの存在が"必要"になった時だろ」

 

結標「へぇ?いつから必要になったのかしら?暗部抗争の時?」

 

一方「さァな」

 

一方(ついさっき、しかも理由が『呼ぶ友達がいねェから』とは口が裂けても言えねェ)

 

打ち止め「ねぇねぇ!集まったけどどうすればいいの?って、ミサカはミサカはあなたに尋ねてみたり」

 

一方「まずはその辺に落ちてる落ち葉拾ってこい」

 

打ち止め「うん!わかった!ってミサカはミサカは行くぜ皆!」

 

フレメア「にゃあー!」ダッ!

 

フロイライン「はい」ダッ

 

エツァリ「では自分は火床を作ります」

 

土御門「オレは濡れ新聞紙とホイルで芋を包んでく」

 

結標「じゃあ私は他に必要な荷物下ろしてくるわね」

 

一方「俺は…」

 

土御門「やる事なかったらオレと新聞紙包みやるか?」

 

一方「そォするわ」

 

土御門「……」ツツミツツミ

 

一方「…」ツツミツツミ

 

土御門「最近は何してる?」

 

一方「大して変わらねェよ。たまにクソガキの相手してるぐらいだ」

 

土御門「そうか」

 

一方「オマエは?」

 

土御門「色々だな。最近また死にかけた」

 

一方「死ぬなよ?」

 

土御門「努力はしてるさ」

 

一方「そォかよ」

 

エツァリ「焚き火をするためには土を山盛りにしてならし、添え木を『日』の字状に組んでおきます」

 

エツァリ「この部分全体は水をかけ、湿り気をもたせます」バシャ

 

エツァリ「『日』の字状にくんだ木の内側を少し掘っておきます」

 

エツァリ「こうすることで空気が入りやすく燃えやすくなるんですよ」

 

 

エツァリ「…自分は誰に説明してるんでしょうか」

 

 

結標「椅子と、テーブル」ヒュン、ヒュン!

 

結標「バターやら何やら」ヒュンヒュン

 

結標「飲み物各種に、紙コップ」ヒュンヒュンヒュン

 

結標「サツマイモ段ボール一箱分」ヒュン

 

 

結標「…将来は引っ越し屋になった方がいいかしら?」ヒュン

 

 

打ち止め「おちばーおちばー♪ってミサカはミサカは大量の落ち葉を抱えて運んでみる!」

 

フレメア「にゃあ!大体、どっちがいっぱい運べるか勝負だ!」

 

打ち止め「よーし負けないぞ!って、ミサカはミサカはダーシュッ!」

 

フロイライン「私も参加します」ダッ

 

フレメア「にゃあにゃあ!大体、一位は私なのだー!」

 

打ち止め「いーや!ミサカだね!って、ミサカはミサカは落ち葉を更に抱えてみたり!」

 

フロイライン「私も負けません!」

 

「「「うぉおおおおお!!!」」」

 

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: 

 

結標「落ち葉もうまく盛れたわね」

 

打ち止め「頑張りました!って、ミサカはミサカは努力した事をアピールしてみる!」

 

結標「えらいわねー」ナデナデ

 

打ち止め「えへー」

 

フレメア「ず、ズルい!大体、私だって頑張ったし!にゃあ!」

 

フロイライン「私もです。私も撫でて貰えるはず!」

 

結標「はいはい」ナデナデ

 

 

土御門「じゃあ、オレが火をつけるから離れてろよ?」

 

一方「おォ」カツッカツッカツッカツッ

 

エツァリ「はい!」ダッ

 

土御門「いやお前らは手伝え」ガシ

 

一方「おいおい…土御門?俺だって火は恐ェンだぜ?」

 

エツァリ「ええ!フェミニストは結構ですが自分達なら燃えてもいいというのは納得できません!」

 

土御門「うるせぇヘタレども!食いたきゃさっさと芋を入れるの手伝え!」ウガー!

 

一方エツァリ「「へーへー」」シブシブ

 

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: 

: 

 

打ち止め「おいもまだかなーって、ミサカはミサカは焚き火を見つめてみたり」

 

一方「そンなすぐには焼けねェよ。しばらくはゆっくりするぞ」

 

打ち止め「どれくらい?」

 

一方「少なくとも一時間だな。芋自体は30分程で焼けるが美味くするなら少し蒸さなきゃいけねェ」

 

打ち止め「へー」

 

土御門「コーヒー淹れたぞ」

 

一方「さっすが土御門ォ」カツッカツッカツッカツッ

 

打ち止め「ああん!待ってよぉ!なんであなたはコーヒーの事になるとそんなに行動早いの?ってミサカはミサカは慌てて追いかけてみたりぃ!」

 

一方「コーヒー美味ェ」ズズー

 

土御門「そりゃよかった」

 

エツァリ「あ、自分は砂糖とミルクください」

 

結標「はい」ヒュン

 

エツァリ「…」ドポドポドポドポドポドポドポ

 

結標「…入れすぎじゃない?」

 

エツァリ「甘くしなかったらコーヒーは苦くて不味くはありませんか?」ニッコリ

 

結標「わからなくはないけど限度ってあると思うの」フルフル

 

フレメア「にゃあ、大体コーヒー牛乳が一番なのだ」コクコク。

 

フロイライン「同意します」コクコク。

 

打ち止め「ね。って、ミサカはミサカは激しく同意しながら飲んでみる」コクコク。

 

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: 

: 

 

土御門「…」ゴソゴソ

 

土御門「よし、焼けたぞ」

 

打ち止め「やったー!早く食べたーい!って、ミサカはミサカはテンションアーップ!」ピョン

 

フレメア「にゃあー!」ピョン

 

フロイライン「わー」ピョン

 

 

結標「……」

 

一方「今、『ああ、これが小さい男の子だったらな』って」

 

結標「思ってないから!」

 

一方「手ェ出したら殺す」

 

結標「出さないわよ」

 

土御門「オレが芋を出してくから全員受けとれ。」

 

土御門「小さい彼女らは芋2つずつ、オレ達は3個ずつだ」

 

一方「待て、俺はそンなに食えねェ」

 

土御門「…じゃあオレが食うよ」

 

エツァリ「逆に自分はもっと食べたいです!」

 

土御門「わかった」

 

結標「私は1個半でいいわ」

 

土御門「わかった」

 

 

打ち止め「楽しみだなーって、ミサカはミサカは心待ちにしてみたり」

 

フロイライン「ええ。どんな味がするのか楽しみです」

 

 

土御門「全員行き渡ったな?バターとマーガリンとハチミツ、ピーナッツバターがあるから好みでつけろ」

 

打ち止め「はーい!って、ミサカはミサカは早速ペタペタ!」ペタペタ

 

フレメア「にゃあー」ペタペタ

 

フロイライン「いい匂いがします」ペタペタ

 

エツァリ「…」ペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタ

 

結標「だからつけすぎよ」

 

エツァリ「例え邪道でも健康に悪くても自分が一番美味しいと思う食べ方が正義」

 

エツァリ「そうは思いませんか?」ニッコリ

 

結標「あんた絶対早死にするわね」

 

一方「コーヒーに浸してみた」

 

土御門「舞夏特製ピーナッツバターをのたくった」

 

 

「「いっただっきまーす!」」

 

 

結標「あなた達の辞書に『健康に気を使う』って言葉はないの…?」

 

 

打ち止め「はぷはぷ…」

 

一方「美味いか」

 

打ち止め「うん!甘くて美味し~い!って、ミサカはミサカは感想を述べてみる!」

 

一方「そォか」

 

打ち止め「あなたはどう?って、ミサカはミサカはあなたも楽しめてるか気にかけてみる!」

 

一方「……」

 

一方「あァ、美味い」

 

打ち止め「よかった!」ニッコリ!

 

 

エツァリ「もう一個いいですか?」

 

土御門「お前どんだけ食うんだよ…構わないが」

 

結標「焼きいもとはやっぱり牛乳が一番合うわねー」モキュモキュ

 

フロイライン「あむあむあむあむあむあむあむあむ」

 

フレメア「にゃあ?!ちょっ…大体食べすぎだ!にゃあ!」

 

 

打ち止め「ふふっ!」

 

一方「?」

 

打ち止め「皆で食べると更に美味しいっていうのは本当なのねって、ミサカはミサカはあなたにも同意を求めてみたり!」

 

一方「そォだな」モグ

 

 

 

 

打ち止め「あーそーぼー!って、ミサカはミサカはくるりくるりら回ってあなたを誘ってみる!」クルクル

 

一方「パス」ゴロリ

 

打ち止め「いえーい!まさかの2文字でお断りーい!ってミサカはミサカはこんちくしょー!」バタッ

 

一方「つゥかよォ、オマエは俺と何をそンなに遊びてェンだよ」

 

打ち止め「! 遊んでくれる?」ガバッ

 

一方「内容次第だ」

 

打ち止め「あのねあのねっ!」

 

打ち止め「ミサカと折り紙しよっ!って、ミサカはミサカは折り紙を懐から取り出してみる!」

 

一方「折り紙て」

 

一方「…まァ、折り紙くれェなら」

 

打ち止め「ホント?わーい!って、ミサカはミサカは両腕をふって喜びを表現してみたり!」

 

一方「でもよォ、折り紙ってどうやって遊ぶンだ?俺は知らねェぞ」

 

打ち止め「一緒に折りっこして、それで見せ合うの!って、ミサカはミサカはただそれだけでも楽しいという事を暗に伝えてみたり!」

 

一方「ふゥン…」

 

一方「でも折り紙ってオマエの持ってるそれだけか?」

 

打ち止め「え?うん。ミサカが一応新しく買ってもらった一色につき3枚ずつ入ってるやつなんだけどって、ミサカはミサカは視線を折り紙に落としてみる」

 

一方「足りねェな」

 

打ち止め「?」

 

一方「量が足りねェンだよ。第一位に折り紙やらせるならよォ?スゲェのを作るに決まってンだろ」

 

一方「ン万円くらいにはなるような作品にな」ニヤリ

 

打ち止め「えっと、あの、ミサカはそんなすごいのじゃなくても二人で折れたらそれでよかったんだけどなって、ミサカはミサカはあなたの予想外のやる気に驚いてみたり」

 

一方「ちょっと折り紙買ってくるから留守番してろ」

 

打ち止め「普通なら絶対聞けないレア台詞にミサカはミサカはちょっと笑ってみたりぶふぅ」

 

: 

: 

: 

 

一方「買ってきた」ドッサリ

 

打ち止め「こ、こんなに?って、ミサカはミサカはあなたが何を作ろうとしてるのか気になってみたり」

 

一方「楽しみにしてろ」

 

打ち止め「…ん?なんか買ってきた折り紙の色、偏ってない?ってミサカはミサカは疑問に思ってみたり」

 

一方「一色を多く使うからな」

 

打ち止め「むむぅ。中々に謎だらけ!あなたが何を作るのか名探偵ミサカは推理してみたり!」

 

一方「ハッ、当てれるもンなら当てみろ」

 

 

一方「……」オリオリ

 

打ち止め「…」オリオリ

 

一方「オマエは何を折るンだ」

 

打ち止め「ん?ナイショー。当ててみて?って、ミサカはミサカはにっしっしぃ!」

 

一方「その折り方パターン…やっこさンか」

 

打ち止め「あーん!すぐ当てちゃうのはなしぃ!って、ミサカはミサカはクイズのしがいがかない!」

 

 

一方「…」オリオリオリオリオリ

 

一方「ン」

 

一方「…」オリオリオリオリオリ…

 

一方「ン」

 

打ち止め「次々何かのパーツを作ってる…?」

 

一方「オマエはできたのか?」

 

打ち止め「あ、今やってる!やってるの!って、ミサカはミサカは慌てて折り進めてみたり!」

 

一方「…」オリオリオリオリ…

 

打ち止め「…」オリオリ

 

打ち止め「でーきたっ♪」

 

打ち止め「みてみて!やっこさんー♪って、ミサカはミサカは見せびらかしてみる!」

 

一方「そォだな、やっこさンだな」オリオリオリ

 

打ち止め「……」

 

一方「……」オリオリオリオリオリオリ

 

打ち止め「もうちょっと!もうちょっと反応!って、ミサカはミサカはもっと褒めてほしい事を伝えてみる!」

 

一方「……」エー

 

一方「よく頑張りましたァ偉い偉ーい」オリオリオリオリ

 

打ち止め「投げやりぃいい!ってミサカはミサカは納得できなーい!」ジタバタジタバタ

 

一方「面倒なやつだな、何をそんなにご所望なンだよ」オリオリオリオリオリ

 

打ち止め「え?えっとー…」

 

打ち止め「もっとこう、『へェーよく出来てンなァ?』とか…」

 

打ち止め「『打ち止めに似て可愛らしいぜェ』とか?」

 

打ち止め「言ってほしいなぁーって、ミサカはミサカは期待してみたり」

 

一方「……」オリオリオリオリ

 

打ち止め「聞いて!ミサカの話を聞いてー!って、ミサカはミサカはあなたにスリスリしてみるー!」

 

一方「あァ?!邪魔すンじゃねェ!」

 

打ち止め「うー…って、ミサカはミサカは寂しさのあまりに瞳をうるうるさせてみる…」

 

一方「…ったく」

 

一方「じゃああれだ、一緒に『手裏剣』折るぞ」

 

打ち止め「え?」

 

一方「『手裏剣』は折り紙を二枚使う」

 

一方「俺とオマエで一枚づつ折って、合体させンだよ」

 

一方「そしたらオマエも楽しめンだろ」

 

打ち止め「!」

 

打ち止め「でも…いいの?ってミサカはミサカはあなたが折ってた大作の作りかけをチラ見してみたり」

 

一方「…面倒臭くなっちまったンだよ。またいつか気が向いたら折る」

 

一方「ほら、折り方教えてやるから好きな色の折り紙出せ」

 

打ち止め「!」パァッ…!

 

打ち止め「うんっ!」

 

 

一方「ここをこォやって…折り目をつけて目印にする」

 

打ち止め「こう?って、ミサカはミサカはあなたの真似して折り目をつけてみる」

 

一方「そォだ。で、俺の方だと右側はこう折って、左はこう折る」

 

一方「だがオマエの奴はこれと反対に折らなきゃならねェ」

 

打ち止め「てことは…って、ミサカはミサカは考えながら折ってみる」

 

一方「そォじゃねェ。裏のこの部分は三角形にならなきゃダメなンだよ」

 

打ち止め「?」

 

一方「こうだ、こう」

 

打ち止め「なるほど!って、ミサカはミサカは理解した事を伝えてみたり!」 

 

: 

: 

 

一方「出来たか?」

 

打ち止め「うん!」

 

一方「じゃあ次は組み合わせる。俺が折ったやつの上にオマエが作ったやつを乗せろ」

 

打ち止め「うん」

 

一方「で、三角形を折り曲げて…そォだ。ンでポケットに角を入れる」

 

打ち止め「こう?」

 

一方「ああ。後は裏返して、そっちも同じように折る」

 

一方「そしたら完成だ」

 

打ち止め「…」オリオリ…

 

打ち止め「できたーっ!って、ミサカはミサカはババーン!と完成品を掲げてみたりぃー!」

 

一方「よかったな」

 

打ち止め「ふふふ…!ミサカは今からくのいちになったのだ!って、ミサカはミサカは完成した手裏剣を構えてみる」

 

一方「言っとくが、それは絶対に人に向けて投げるなよ?意外と尖ってて固いから危なry

 

打ち止め「どりゃー!」ブンッ

 

 

プス。

 

 

一方「」

 

 

: 

: 

: 

 

一方「…ちょっと眼科行ってくる」カツッカツッ

 

打ち止め「ごめんなさい…って、ミサカはミサカは…軽率な行動を謝罪してみる」

 

一方「もうやンなよ」

 

打ち止め「…うん」

 

一方「…」カツッ、カツッ…

 

打ち止め「あの、ミサカもついていこうか?ってミサカはミサカは足元をふらつかせるあなたを心配してみたり」

 

一方「いい。家で大人しくしてろ」

 

 

バタン

 

 

打ち止め「……」

 

 

: 

: 

: 

 

一方「…眼帯つけると一気に視界悪くなりやがるな」

 

ぽつり、ポツポツ…

 

一方「あン?」

 

ザ――――――――

 

一方「チッ…最悪だな」

 

 

一方「"反射"と飛行で帰、」

 

打ち止め(カッパ)「…あっ」

 

一方「ン」

 

打ち止め「えっと…もうすぐ雨降るってテレビでやってたから傘持ってきたのって、ミサカはミサカはあなたの傘を手渡してみる」

 

一方「…悪ィな、わざわざ」

 

 

バッチャバッチャ。

 

 

一方「おい、なンで自分の傘使わねェンだよ」

 

打ち止め「え?えっと…」

 

一方「別に構わねェが」

 

打ち止め「ありがとう」

 

一方「…もォ少しこっちに寄れ。濡れちまうだろ」

 

打ち止め「いいの?ってミサカはミサカはあなたの方に近づいてみる」

 

一方「あァ」

 

 

一方「…」バチャバチャ

 

打ち止め「…」バチャバチャ

 

 

打ち止め「目、大丈夫?ってミサカはミサカは気にしてみたり」

 

一方「問題ねェ。失明や視力低下までいかなかったしな」

 

打ち止め「そう。よかったって、ミサカはミサカは一安心」ホッ

 

打ち止め「ねぇ」

 

一方「なンだ」

 

打ち止め「ごめんなさい。って、ミサカはミサカは改めて謝ってみる」

 

一方「もォいい。そンな気にするな。これくれェ大した事ねェよ」

 

 

一方「…帰り、プリンでも買ってくか」

 

打ち止め「!」

 

: 

: 

: 

 

「ありゃとりゃしたー」

 

打ち止め「あ、雨止んだねって、ミサカはミサカは帰りが楽になる事を喜んでみたり」

 

一方「そォだな」

 

打ち止め「…」

 

一方「おら、ボーッとしてンじゃねェよ。行くぞ」テギュ

 

打ち止め「!」

 

一方「…帰ったらまた何か違うのを教えてやる」

 

打ち止め「ホント?って、ミサカはミサカはあなたに手を引かれながら笑顔で聞き返してみたり!」

 

 

 

打ち止め「ねぇねぇ!今ひま?って、ミサカはミサカは問いかけてみる」

 

一方「生憎ひまじゃねェな」

 

打ち止め「おこたでこたつむりになってるのに?って、ミサカはミサカは矛盾した言動不一致さに疑問を持ってみる」

 

一方「見てわかンねェのか?寒ィンだよ」

 

一方「オマエが具体的に何の誘いで俺に声かけてきたかくらいわかってンだよ」

 

一方「昨日の天候は大雪。そして現段階で積もってやがる」

 

一方「学園都市は排雪機構に優れちゃいるが、あえて積もらせるとこもある」

 

一方「ウチの前とかなァ。そンでオマエの格好は対雪遊び用だ」

 

一方「すなわち。オマエは今雪遊びに俺を誘おうとしてるだろ」

 

打ち止め「すごーい!当たった!あなたってエスパー?ってミサカはミサカはあなたの推理に脱帽してみたり!」

 

一方「いやエスパーといやエスパーだが」

 

 

打ち止め「ねぇーあーそーぼ!ってミサカはミサカはくいくい引っ張ってみる」

 

一方「面倒くせェンだよ」

 

打ち止め「10分だけ!10分だけでいいからぁー!って、ミサカはミサカはあなたの髪の毛引っ張ってみる!」

 

一方「いてっ!?いだだだだだ!やめろ!わかった!行ってやる!だから放せ!」

 

打ち止め「ホント!?」キラキラ

 

一方「クソが…ハゲたらどうしてくれンだ」シブシブ

 

 

打ち止め「わー…一面銀世界!って、ミサカはミサカは感動を覚えてみる」

 

一方「チッ…早く満足しろよ」

 

打ち止め「雪合戦しよ!」

 

一方「俺、杖つき。な?そーいうのは友達と」

 

打ち止め「ていっ!」つ○

 

一方<バシャッ

 

一方「……」

 

打ち止め「どーしたー!ヘイへーイ!かかってこんかーい!って、ミサカはミサカは挑発してみたり!」

 

一方「………」

 

一方「…」カチ

 

一方「ふン!」ペタ

 

ボゴッ。

 

打ち止め「能力で積雪から巨大な雪塊を…だと!って、ミサカはミサカはオサレ先生風に」

 

一方「……」ニヤァアア!

 

打ち止め「って!ひょっとしてミサカは大ピンチぃいい?!ってミサカはミサカはぁああ!?」

 

一方「お仕置きだ。なァに、死にやしねェから安心しやがれ」ググッ…!

 

打ち止め「あ、よく考えたら演算ボッシュートするだけでいいのかって、ミサカはミサカはピッ」

 

 

一方「」グラッ

 

どしゃああああん!!!

 

打ち止め「あ」

 

打ち止め「あわわわわ!生き埋めになったぁああ!って、ミサカはミサカはパニック起こしてみる!」

 

打ち止め「はっ!そーだ演算再開!」ピッ

 

 

ボゴォオオオオン!!!

 

 

一方「ラァァああああストォォおおおオーダァァああああ……?」

 

打ち止め「イヤー!地獄から悪魔も蘇ったー!」

 

一方「『ごめンなさい』してケツを差し出しなァ?今ならペンペンだけで済ましてやるからよォ…!」

 

打ち止め「ボッシュート!」ピッ

 

一方「」

 

 

どしゃあああああん!!

 

 

打ち止め「あ」

 

: 

: 

: 

 

一方「……」チョップチョップチョップチョップチョップチョップチョップチョップチョップチョップチョップチョップチョップチョップチョップチョップチョップチョップチョップチョップチョップ

 

打ち止め「はい…反省してます…ってミサカはミサカは正座でごめんなさいしてみたり」

 

一方「危ねェだろォが。調子こきすぎてその程度の危険予測すらできなかったのか?」チョップチョップチョップチョップチョップチョップチョップチョップチョップチョップチョップチョップチョップチョップチョップチョップチョップチョップチョップチョップチョップチョップチョップ

 

打ち止め「はい…ごめんなさい…」

 

一方「…反省してるならもォいい。今度からは巨大な雪塊を頭上に掲げてる人の演算没収はするンじゃねェぞ」

 

打ち止め「…それ、あなたぐらいなんじゃ、」

 

一方「……」チョップチョップチョップチョップチョップチョップチョップチョップチョッフチョップチョップチョップチョップチョップチョップチョップチョップチョップチョップチョップチョップチョップチョップチョップチョップチョップチョップチョップチョップ゚

 

打ち止め「はい…しません…ってミサカはミサカはちょっとそろそろ頭が痛いんでやめてほしかったり」

 

一方「よォし、普通にやンぞ普通にだ」

 

打ち止め「はーい!ってミサカはミサカは元気よくお返事!」

 

一方「まずは雪兎さンを作るぞォォー!」

 

打ち止め「おー!」

 

 

一方「雪をこうこねてだな、」コネコネ

 

打ち止め「みなさまご覧ください。第一位の貴重な雪兎作りの映像ですって、ミサカはミサカはレア映像を実況してみたり」

 

 

雪兎

 

打ち止め「わー!かっわいい!ってミサカはミサカはあなたの作品を愛でてみる!」

 

一方「チッ」

 

打ち止め「?」

 

一方「兎さンの目は赤くなきゃダメなンだよ…!だが今ここにはそういう素材がねェ…!」

 

打ち止め「あなた意外と凝り性よね?って、ミサカはミサカは悔しさにうち震えるあなたを見つめてみたり」

 

一方「仕方ねェ」ガブ

 

一方「俺の血で」ボタボタ

 

打ち止め「」

 

一方「完成だ」パァ…!

 

打ち止め「よかったねって、ミサカはミサカは嬉しそうなあなたに優しい笑顔を向けてみたり」

 

一方「次は雪ダルマさンだ」

 

打ち止め「あ!知ってる知ってる!転がして作るんでしょ!って、ミサカはミサカははしゃいでみたり!」

 

一方「あァ。土があるとこの雪は避けろよ?汚くなる」

 

打ち止め「はーい!ってミサカはミサカは雪塊をコロコロ転がしてみる!」

 

打ち止め「♪」コロコロ♪

 

一方「……」ウズウズ

 

打ち止め「ねぇねぇ、このくらい?ってミサカはミサカは出来映えを見せてみる」

 

一方「あァ…もうちょっと、じゃねェか?」

 

打ち止め「はーい!」

 

打ち止め「~♪」コロコロ

 

一方「…」ウズウズ

 

一方「……」

 

一方「…」カチ

 

打ち止め「?」

 

一方「俺が体の方を作るからオマエは頭を作れ」コロコロコロコロ

 

打ち止め「うん!あなたも一緒に作ってくれるなんて嬉しいな!って、ミサカはミサカは花丸笑顔!」

 

一方「チッ、早く帰りてェだけだ…」コロコロコロコロ

 

: 

: 

: 

 

打ち止め「できたーっ!って、ミサカはミサカはばんざいしてみたり!」

 

一方「俺もだ」

 

打ち止め「…わー綺麗な雪玉」

 

一方「計算づくで作ったからな」

 

打ち止め「そんじゃミサカの作った頭乗せよ?ってミサカはミサカは二人での完成を望んでみる」

 

一方「あァわかった」

 

通行止め「「せーの!!」」

 

通行止め「「よいしょー!」」

 

 

雪ダルマ<デン!

 

 

打ち止め「わーい!かんせー!って、ミサカはミサカは喜んでみるーっ!」

 

一方「…ふン」

 

打ち止め「あー手がちべたーい!ねぇ見てって、ミサカはミサカは真っ赤なお手手をあなたに見せてみる」

 

一方「よく擦って温めとけ。おら、行くぞ」カツッカツッ

 

打ち止め「? どこに?」

 

一方「コンビニだコンビニ」カツッカツッ

 

打ち止め「何か買うの?」

 

一方「…あったけェ缶コーヒー買いにいきてェだけだ」

 

打ち止め「ミサカもついていっていい?」

 

一方「好きにしろ」カツッカツッ

 

店員「いらっしゃいまセ」

 

一方「唐揚げくンひとつください」

 

店員「すみませン、今はきらしてまス」

 

一方「そォかよ」チッ

 

一方「じゃあ肉まン二つ」

 

店員「かしこまりましタ」

 

一方「…最近はコンビニでも淹れたてコーヒーがあンだよな…」

 

打ち止め「でもあんまりあなたは飲まないよね?って、ミサカはミサカは指摘してみたり」

 

一方「外ではパッと飲みたいし、どォせなら家かスタバでゆっくり飲みてェからな」

 

打ち止め「へぇー」

 

一方「ゆっくり飲めるスペースがある店舗もあるが…なンとなく長居はできねェし」

 

一方「そもそもコーヒーとは嗜好品だ。休むために飲むもンだ」

 

一方「コンビニで休まるか?コーヒー楽しめるか?」

 

一方「淹れたてコーヒーと飲むスペースを考えたのは偉い。実にな」

 

一方「ただ、もォちょっと頑張りとアイデアが必要なンじゃねェかと俺は一コンシューマーとして」

 

打ち止め「あ、うんもうそのへんで。って、ミサカはミサカは切ってみたり」

店員「助かりまス」

 

: 

: 

: 

 

<ありゃしター

 

一方「…おら、コンポタと肉まンだ」つ

 

打ち止め「ありがとー♪って、ミサカはミサカは受けとってみたり!」

 

一方「これで手を温めろ」

 

打ち止め「はーい!」

 

打ち止め「はむはむ!はむはむーっ!って、ミサカはミサカは肉まんを頬張ってみる!」

 

一方「…美味いか」

 

打ち止め「うん!」

 

一方「そォか」クピクピ

 

打ち止め「雪遊び楽しかった」

 

一方「そォかよ」クピクピクピクピ

 

一方「おら、早く部屋に帰ンぞ」

 

打ち止め「……」ジー

 

一方「…あン?」

 

打ち止め「雪兎さんだけでも部屋に連れて帰っていい?って、ミサカはミサカは何かを訴える子供の目を向けてみたり」

 

一方「好きにしろ。溶けても知らねェがな」カツッカツッ

 

打ち止め「!」

 

: 

: 

: 

 

芳川「―――それで打ち止めはベランダをじっと見てるわけね」クス

 

打ち止め「…」ジー

 

一方「雪兎さン溶けちまうからな」

 

黄泉川「雪兎さんて」ブフッ

 

一方「まァ打ち止めはいい。ただ予想外なのが」

 

打ち止め「…」ジー

 

番外「…」ジー

 

 

一方「オマエもかよ」

 

番外「何あれ?なんかミサカの何かをくすぐるんだけど」

 

打ち止め「ミサカのだからさわっちゃダメだからね?ってミサカはミサカは所有権を主張してみる」

 

番外「いーじゃんちょっとくらい」

 

打ち止め「ダメ!壊れちゃうかもしれないもん!ってミサカはミサカは肉壁ガード!」

 

番外「肉壁排除」ヒョイ

 

打ち止め「あー!ミサカを持ち上げるなー!って、ミサカはミサカはあっさり突破されて悔しがってみる!」

 

 

黄泉川「可愛いもんじゃん?」

 

芳川「私達はどこにあの純真さを置いてきてしまったのかしらね」

 

 

~翌日~

 

 

打ち止め「雪兎さん!」ガバッ

 

打ち止め「まだあるかな…って、ミサカはミサカは不安ながらも走ってベランダに行ってみる!」

 

打ち止め「……」ドキドキ

 

打ち止め「…」ソロー…

 

 

sagさぎ

 

 

打ち止め「……」

 

一方「ふァ……ン?」

 

打ち止め「……」ションボリ

 

一方(あァ、溶けちまったのか)

 

打ち止め「あ、おはよう…って、ミサカはミサカはダウナーに挨拶してみたり…」

 

一方「……」

 

打ち止め「雪兎さん、溶けちゃったのって、ミサカはミサカは伝えてみたり」

一方「あァ」

 

打ち止め「……」

 

一方「あー…、そォいう"寂しさ"を感じるのも雪遊びの内だ」

 

一方「オマエにそこまで思ってもらえたンなら、雪兎さンも逝った先で喜ンでンじゃねェのか」

 

打ち止め「そっかな…そうだといいなって、ミサカはミサカは希望的観測を抱いてみる」

 

一方「…ほら、まだ朝は寒いだろ。ちょっとオマエ湯たンぽ代わりになれ」

 

打ち止め「!」

 

打ち止め「ねぇそれって『一緒に寝よう』って事?って、ミサカはミサカは自室に戻るあなたについてってみる!」

 

一方「寒いからだ」カツッカツッ

 

 

<「ツゥカ、ユキダルマサンハイイノカヨ?」「ユキダルマサンはイイノ!ツヨイカラ!」

 

 

雪兎

 

雪兎<アリガトウ

 

 

 

打ち止め「ねぇねぇ!あーそーぼ!って、ミサカはミサカはお誘いしてみる!」

 

一方「構わねェが何やるンだ?」

 

打ち止め「…あれ?今日は珍しく乗り気?ってミサカはミサカはぱちくりしてみたり」

 

一方「別に…そンな気分だったってだけだ」

 

打ち止め「へー?」

 

一方「ンで?何やンだよ」

 

打ち止め「あのね!」

 

打ち止め「おままごとやろう!ってミサカはミサカは買ってもらったままごとセットを突きだしてみる!」

 

一方「悪ィ、今言った事は無しにしてくれねェか?」

 

打ち止め「ヨシカワがね?『打ち止めも人生で一回くらいはやっときなさい』って言ってたの!」

 

一方「あの野郎ホントマジでロクな事しねェな」

 

打ち止め「でねでね!ヨシカワがヨミカワに『買ってあげて』って頼んでくれたの!ってミサカはミサカは経緯を説明してみたり!」

 

一方「芳川(オマエ)が買わねェのかよ」

 

打ち止め「ミサカがお母さんね!で、あなたが子供ね!ってミサカはミサカは配役を設定してみる!」

 

一方「やらねェっつってンだろ。なんか違うのに」

 

打ち止め「お母さんになんて口を利くの!ってミサカはミサカはビンタしてみたり!」ぺしーん!

 

一方「もォ始まってンの?!」ゴハッ?!

 

打ち止め「起きなさい一方通行!ってミサカはミサカはぺしぺし!」

 

一方「今起床設定かよ…わかったわかったちょっと待て」

 

打ち止め「お母さんになんて口を」スッ

 

一方「すいまっせンしたァ!以後気をつけますゥ!」チッ

 

打ち止め「わかればいいの!って、ミサカはミサカは腰に手をあててうんうん頷いてみる!」

 

一方(くそ、面倒くせェのを始めちまったな)

 

打ち止め「ごはんをよく噛んで食べるのよって、ミサカはミサカはごはんを用意してみる!」つ

 

一方「あァ?なンだ?これ…納豆ご飯と味噌汁、焼き鮭の消ゴムか?」

 

打ち止め「見た目は消ゴムとかみたいだけどお菓子だよ!って、ミサカはミサカは説明してみる!」

 

一方「…あァ、知育菓子ってやつか」

 

打ち止め「召し上がれ!」ニコッ

 

一方「…」パク

 

一方「…」ムグムグ

 

打ち止め「美味し?ってミサカはミサカは掌を頬に、両肘を床につけて感想を求めてみる」

 

一方「あァ…美味い」

 

一方(くっそ甘ェ。しかも味自体がチープだから余計に苛つく…なンだこれ)モグモグ

 

打ち止め「さあ!学校に行きなさい!って、ミサカはミサカは背中を押してみる!」

 

一方「行かねェ。今更学校が俺に何を教えるっつゥンだよ」

 

打ち止め「今しかない青春の味とか?ってミサカはミサカは憶測で言ってみる」

 

一方「一人だけの特別教室でかァ?」

 

打ち止め「それなら誰かに関わりに行けばいいじゃないって、ミサカはミサカはぼっち脱却案を出してみる」

 

一方「面倒くせェ」

 

打ち止め「いーきーなーさーいー!って、ミサカはミサカはぐいぐいぐいーっ!」

 

一方「行くっつったってよォ、具体的にはどォすりゃ"行った"って設定になるンだ?」

 

打ち止め「歩いていってそこの壁際で足踏み、壁の向こうで授業を受けた時の受け答えなんかをシュミレートしてくれれば」

 

一方「マジかよ…」チッ

 

一方「…」テクテク

 

一方「…」足踏み足踏み

 

一方「……」スッ…

 

 

「はよーっす。おォ土御門!元気かァ?」

 

「海原、またパンツ被ってンのか」

 

「やめろよ結標ェ!サラシは制服じゃねェ!」

 

「あれ麦野?オマエちょっと痩せたンじゃねェ?」

 

「垣根!オマエ実はいい奴だったンだなァ!」

 

「黄泉川先生!宿題増量は勘弁して欲しいじゃン!」

 

「ちょ、やめろよ上条!オマエまた俺に助け請う気だろ!」

 

 

打ち止め「……」

 

 

一方「学校終わったァただいまァ」

 

打ち止め「あなたの理想の学園生活がアレなのね…って、ミサカはミサカは現実化はしないあなたの願望に切なさを覚えてみる」

 

一方「うるせェ。別にそンなンじゃねェよ」

 

打ち止め「おかえり。今日は学校楽しかった?」

 

一方「おォ」

 

打ち止め「よかったわねーって、ミサカはミサカは微笑んでみる!」

 

一方「母ちゃン喉乾いたからコーヒー」

 

打ち止め「はいはい。仕方ないわねーってミサカはミサカはコーヒーを淹れにキッチンへGO!」

 

一方「……」

 

 

一方(…こォいう"普通"ってのは初めてだな)

 

: 

: 

: 

 

打ち止め「ほーらコーヒー淹れてきましたよって、ミサカはミサカは御盆からコーヒーをあなたの前においてみる」

 

一方「どォも」

 

打ち止め「たんとお飲み!」

 

一方「……」クピクピ

 

打ち止め「……」

 

一方「? どォした」

 

打ち止め「次の配役どうしよっかなってミサカはミサカは悩んでみたり」

 

一方「まだやンのかよ…」

 

: 

: 

: 

 

一方「ただいまァハニー」

 

打ち止め「おかえりなさいあなたっ!って、ミサカはミサカは出迎えてみたり!」

 

一方「…このハニー呼びやめねェか?」

 

打ち止め「だめ」

 

一方「ところでハニー、俺はコーヒー飲みたいンだが(棒)」

 

打ち止め「あなた?飲みすぎは体に毒よ?」

 

一方「うるせェ飲みてェもン飲ンで体に悪いわけがあるかァー(棒)」

 

打ち止め「あーん!やめて!暴力はやめてー!ってミサカはミサカはDVに抵抗してみたりー!」

 

一方「くらえー」コチョコチョコチョコチョ

 

打ち止め「あははは!あはっひひひっ!やーくすぐったいよー!って、ミサカはミサカはっ」

 

一方(なンなンだよこの台本…意味わかンねェ。理論のりの字もわかンねェ) 

 

打ち止め「あなた…」

 

一方「あァ?」

 

打ち止め「ミサカの体を好きにしちゃうの…?」

 

一方「するかバカ」

 

打ち止め「いいの!ミサカの事を好きにしてあなたの気が晴れるなら…っ!ってミサカはミサカは健気な幼な妻の自己犠牲精神を見せてみたり!」

 

一方「やらねェっつってンだろ。何一人で盛り上がってンだオマエは」ペチ

 

打ち止め「あぶ」

 

: 

: 

: 

 

打ち止め「にしても。あなたが付き合ってくれるとは思わなかったなって、ミサカはミサカは青天の霹靂にびっくりしてみたり」

 

打ち止め「ほら、普段のあなたは本当にイヤだと『やらン』って言ってふて寝しちゃうじゃない?ってミサカはミサカは予想される反応を述べてみる」

 

一方「気まぐれだ。特に理由なンざねェよ」

 

打ち止め「んー?何か隠してたり?ってミサカはミサカは踏み込んでみる」

 

一方「ねェよ」

 

打ち止め「……」

 

打ち止め「…本当は小さい頃皆と一緒に一度やってみたかったとか?」

 

一方「……」

 

一方「なワケねェだろ。男がそンな事考えてたらキモいだろォが」ゴロリ

 

打ち止め「そう?形はどうあれ、『本当は自分も皆の輪に入りたかった』ってそんなに恥ずかしい事なの?ってミサカはミサカは疑問に思ってみたり」

 

一方「…」

 

打ち止め「…」

 

一方「例えそォだったとしても。結局俺は入れなかった」

 

一方「入る資格も場所もねェ。今更なンだよ色々とな」

 

一方「大体、あンなガキな遊びなンてやりたくもなかったっての」ハッ

 

打ち止め「…何かを嫌う、叩く、攻撃するのは『羨ましいから』」

 

打ち止め「心理学的にはそうなんだって。イソップ寓話の『狐と葡萄』がいい例で」

 

一方「…でもよ」

 

一方「は、だから何だってンだ?狐はどれだけ鳥を貶そうと葡萄を不味いと言おうと」

 

一方「結局葡萄は食えねェだろォが」

 

打ち止め「じゃあさ、プライドを捨てたらよかったんじゃないかなって、ミサカはミサカは打開策を考えてみる」

 

一方「あァ?」

 

打ち止め「葡萄を取れる鳥にね、『僕にもどうか葡萄をとってくれないか』って言うとか」

 

打ち止め「自分と同じ人を見つけて協力するとか」

 

打ち止め「諦めてしまうのではなくて。考えてみたらよかったんじゃないかなって、ミサカはミサカは自分の考えを述べてみる」

 

一方「……」

 

打ち止め「それにね、」

 

打ち止め「今のあなたは『あの葡萄は酸っぱい』と負け惜しみを言うだけの狐のままじゃないよって、ミサカはミサカは言ってみる」

 

一方「…」

 

打ち止め「少しづつ。少しづつあなたは自分の居場所を作ってきたじゃないって、ミサカはミサカは笑顔で指摘してみたり」

 

一方「……」

 

打ち止め「『アイテム』の皆も、『グループ』の人達も」

 

打ち止め「ミサカや番外個体、ヨミカワヨシカワ」

 

打ち止め「人恋しくなったら自分から行ってみようよ」

 

打ち止め「もう昔のあなたと今のあなたは違うの。ってミサカはミサカは励ましてみる」

 

一方「…」

 

打ち止め「ほらほら。ミサカに正直に言ってみて?って、ミサカはミサカは促してみる」

 

打ち止め「素直になってみたらまた少しあなたの世界は広がるよって、ミサカはミサカは更に促してみる」

 

一方「……」

 

一方「…そォだな、」

 

 

一方「俺も。皆とおままごとがしたかった」

 

 

番外「 」

 

黄泉川「 」

 

芳川「 」

 

 

一方「…いつから居やがった」

 

 

 

打ち止め「へい!へいへい!ミサカと遊ぼうぜっ!って、ミサカはミサカはナンパ男風に誘ってみる!」

 

一方「悪ィが眠ィから」グデン

 

打ち止め「えーやだー」

 

一方「やだーじゃねェよ俺もやだーなンだよわかれ」

 

打ち止め「なわとびやろ!って、ミサカはミサカはなわとびを突き出してみる!」

 

一方「オマエ俺が杖つきって忘れてねェか?」

 

打ち止め「やってくれなきゃなわとびでペチペチしちゃうぞ?って、ミサカはミサカは強迫してみる」ジリ…ジリ…

 

一方「おい止めろ」

 

打ち止め「……」ウルウルウルウルウルウル…

 

一方「…何かを訴えかける子供の目をすンじゃねェ」チッ

 

 

~公園~

 

一方「…いいか、俺が縄を回してやるから好きに跳べ」

 

打ち止め「はーい!ってミサカはミサカは元気よくお返事!」

 

一方「行くぞ」

 

打ち止め「こーい!」フンス!

 

一方「おっ嬢っさンっ♪お入ンなさいっ♪」ピターン!ピターン!

 

打ち止め「……」

 

一方「あ?どォした?」

 

打ち止め「いや…歌ってくれるとは思わなかったからって、ミサカはミサカは意外とノリがいいあなたに驚いてみる」

 

一方「違う歌にしとくか」

 

打ち止め「え?他のversionまで?ってミサカはミサカはサービスの良さにびっくりしてみる」

 

一方「郵便屋さン♪郵便屋さン♪」

 

一方「ハっガキが♪10枚♪落ちました♪」

 

打ち止め「えいっ」サッ

 

一方「拾っーてあげましょっ♪1枚ィ2枚ィ」

 

打ち止め「♪」ピョンッ!ピョンッ!

 

一方「3枚♪4枚♪」

 

打ち止め「きゃー!早ーい!ってミサカはミサカはそれでもジャーンップッ!」ピョンッ

 

一方「ごォー枚♪ロック枚♪」タシッ、タシッ、

 

打ち止め「えいっ!えいっ!とりゃー!」ピョンッピョンッ

 

一方「なァなまァーい…♪はァーちまァーい…♪」

 

打ち止め「…? 何か歌のトーンが下がり始めた…?」

 

一方「きゅゥゥウウまァァァァァいッッ!♪」

 

打ち止め「?!」

 

 

一方「…一枚足りねェ……♪」

 

 

一方「うゥゥウウらァァァァめェェェェェしィィィィィィィやァァァァァァァ!!!」

 

打ち止め「それ違う!違う奴入ってるよ!?ってミサカはミサカはツッコんでみたり!?」

 

一方「あァ?違ったか?俺が聞いたのはこれだったンだが」

 

打ち止め「どの地域の歌にもそんなほのぼの→ホラーへのギアチェンジはないよミサカはミサカはあなたがどこで聞いたのか気になってみたり」

 

一方「あァ?確か――――」

 

――――

――――――――

―――――――――――――

 

〓〓公園〓〓

 

一方(6)『………』キィコ、キィコ

 

『なわとびやろーよ!』

 

『いーよー』

 

『郵便屋さんっ♪郵便屋さんっ♪』

 

『ハガキが10枚落っちましたっ♪』

 

一方『………』

 

『ひろーってあっげまっしょ♪』

 

『いっちまい♪にーまい♪』

 

 

一方『…さァンまい♪よーンまい…♪』

 

 

『ごーまい♪ろっくまい♪』

 

 

一方『なっなまい♪はっちまい…♪』キィコ、キィコ

 

『きゅぅーまーい♪』

 

 

『ねぇ!○○ちゃんが新しい遊具買ったから、次はそれやろうよ!』

 

『さんせー!』

 

 

キャッキャッ。

 

 

一方『えっ…』

 

一方『……』

 

一方『……』

 

一方『…10枚目は?郵便屋さンの歌は最後どォなるンだよ』

 

一方『……』

 

一方(友達居ないから、聞けねェし)

 

一方『ネットで調べるか』

 

一方『…』ポチポチ

 

一方(一枚、二枚って数えていくやつ…と)

 

『番町皿屋敷

 

一方『これだ!』

 

 

~夕刻~

 

縄跳び

 

一方(結局あいつらこの縄跳び忘れて帰っちまった)

 

一方『……』

 

一方(ちょっとくらい借りてもいいよな?)

 

一方(確か…木に結び付けて)キュッ、キュッ

 

一方(回す…ダメだ跳ぶやつがいねェと)

 

一方『…』

 

一方(仕方ねェ、かたっぽ持って自分で跳ぼう)

 

 

タシッ。タシッ。

 

 

一方『……』ピョン、ピョン

 

 

タシッ。タシッ。

 

 

一方『…ゆーびン屋さン♪ゆーびン屋さン♪』

 

一方『はっがきっが10枚♪おっちまっしった♪』

 

 

タシッ。タシッ。

 

 

一方『ひろーって♪あっげましょ♪』

 

一方『いっちまァい♪にィーまァい♪』

 

一方『さァンまい♪よォンまい♪』

 

 

タシッ。タシッ。

 

 

一方『ろっくまーい♪なっなまァい♪』

 

一方『はっちまい♪きゅーまーい♪』

 

 

タシッ。タシッ。

 

 

一方『一枚足りねェ…♪』

 

一方『うらめしやァああ!』

 

 

しーん……

 

 

一方『………』

 

一方『……』

 

一方『…』

 

 

一方『…なンだこれ。ちっとも楽しくねェ遊びだな?』

 

一方『…あいつらこンなつまンねェ遊びやって楽しそうにはしゃいでたのかよ』

 

一方『バッカじゃねェの』

 

一方『……』

 

一方『変な歌だよな。ゆーびン屋さン、ひろってもらったのに恨むなんて…逆恨みじゃねェか』

 

一方『…きっと。ゆーびン屋さンはお手紙一枚無くしちまったから責任とらされてクビになったンだな』

 

一方『だから恨ンでるって歌なのか』ウン

 

 

一方『自分のせいなのにな』

 

―――――――――

―――――

――――

 

打ち止め「……」

 

一方「それ以降に縄跳びなンてやらなかったしな」

 

打ち止め「そう…」

 

一方「オマエの知ってるやつはどンな歌なンだ」

 

打ち止め「ん?えっとね、」

 

打ち止め「郵便屋さんっ♪郵便屋さんっ♪」

 

打ち止め「ハガキが10枚落っちましたっ♪」

 

打ち止め「ひろーってあっげまっしょ♪」

 

打ち止め「いっちまい♪にーまい♪」

 

打ち止め「さんまい♪よんまい…♪」

 

打ち止め「ごーまい♪ろっくまい♪」

 

打ち止め「なっなまい♪はっちまい♪」

 

打ち止め「きゅぅーまい♪」

 

一方「……」

 

打ち止め「じゅうーまいっ♪あっりがっとう♪」

 

一方「……」

 

打ち止め「これで終わり。ってミサカはミサカは歌い終わりを告げてみる」

 

一方「そォか…」

 

打ち止め「ねぇ」

 

一方「なンだ」

 

打ち止め「回す時に歌ってほしいなって、ミサカはミサカはお願いしてみる」

一方「…あァ、わかった」

 

 

一方「郵便屋さン♪郵便屋さン♪」

 

一方「ハっガキが♪10枚♪落ちました♪」

 

打ち止め「えいっ」サッ

 

一方「拾っーてあげましょっ♪1枚ィ2枚ィ」

 

打ち止め「きゃっ♪えいえい!」ピョンッ!ピョンッ!

 

一方「3枚♪4枚♪」

 

一方「5ー枚♪6枚♪」タシッ、タシッ、

 

打ち止め「ほいっ!えいっ!とりゃー!」ピョンッピョンッ

 

一方「7まァーい♪8まァーい♪」

 

打ち止め「それっ!」

 

一方「9まァい♪」

 

打ち止め「どりゃー!」ピョイン!

 

一方「10まァい!」

 

一方「あっりがっとう♪」

 

打ち止め「イエーイ!」

 

打ち止め「ねぇねぇ!見てた?ミサカ10回ぜーんぶ跳べたよっ!ってミサカはミサカはかけよってみる!」

 

一方「あァ、見てた」

 

打ち止め「すごいでしょ!普通は5回目とかで引っ掛かっちゃうんだから!ってミサカはミサカはどやぁ!」

 

一方「そンなもンか?」

 

打ち止め「じゃあさ、回してあげるからあなたもやってみて?ってミサカはミサカは挑戦を促してみる」

 

一方「面倒くせェよ」

 

打ち止め「あ…ごめんね?ひょっとしてなわとび苦手だった?」

 

一方「仕方ねェな。なわとびぐらい100回跳ンでやるよ」カチッ

 

 

打ち止め「じゃあ、いくよー!」←遊具の一部の上に立ってる

 

一方「あァ。早くしろ」

 

打ち止め「せーのっ!」

 

打ち止め「ゆーびんやさんっ♪ゆーびんやさんっ♪」タシン!タシン!

 

一方「よっ、はっ!」ピョイン!ピョイン!

 

打ち止め「ハッガキっが♪100枚♪おっちまっしたっ♪」タシン!タシン!

 

一方「えっ」

 

ぴしんっ。

 

打ち止め「あ、引っ掛かった~って、ミサカはミサカは指指して笑ってみる!」

 

一方「待ちやがれ!100枚に驚いたンだよ俺ァ!」

 

打ち止め「え?だってあなたが100回跳ぶって言ったから…」

 

一方「言葉の綾に決まってンだろォが!」

 

打ち止め「えー?」

 

一方「チッ、10だ!10にしやがれ」

 

打ち止め「値切り交渉ってカッコ悪くない?って、ミサカはミサカはぷぷぷー!」

 

一方「」ピキッ。

 

一方「よォし、100回跳ンでやる。ちゃンと回せよ!」

 

打ち止め「あなたって挑発に弱かったりする?ってミサカはミサカはハイハイわかりましたしながら思ってみる」

 

一方「おら、さっさとしやがれ!」カマーン!

 

打ち止め「せーのっ!」

 

打ち止め「ゆーびんっやさ、」

 

ぴしんっ。

 

一方「あっ」

 

打ち止め「……」

 

一方「……」

 

一方「…どォした。もう一回だ」

 

打ち止め「あ、うん。ってミサカはミサカはそれ以上言わずに体勢を整え直してみる」

 

打ち止め「ゆーびんやさんっ♪ゆーびんやさんっ♪

 

一方「よっ、はっ」ピョイン!ピョイン!

 

打ち止め「ハッガキが♪じゅーまい♪おっちまっしたっ♪」

 

一方「おらァ!うらァ!」ピョインピョイン

 

打ち止め「ひろーってあっげまっしょ♪いっちまいにーまい♪」

 

一方「どらァ!うゥェあっ!」ピョインピョイン

 

打ち止め「さーんまい♪よーんまい♪」

 

一方「そりゃァっ!うゥあァっ!」ピョインピョイン

 

打ち止め「ごーまい、」

 

ぴしんっ。

 

一方「あンっ」

 

一方「」ズシャアアアアアア!

 

打ち止め「」

 

打ち止め「……」

 

一方「……」

 

一方「………」

 

打ち止め「……」

 

一方「……笑えよ」チッ

 

打ち止め「んー…ちょっと笑えないかなって、ミサカはミサカはミサカも良心の呵責が、ね?」

 

一方「久しぶりってのもあるが…意外と難しいもンだな」カチ

 

打ち止め「でしょー?」

 

一方「やっぱ俺には跳ぶなンざ似合わねェな。オマエが跳ぶ時に縄を回す役のが合ってる」

 

打ち止め「そう?」

 

一方「あァ」

 

打ち止め「ねぇねぇ」つ杖

 

一方「なンだ」

 

打ち止め「なわとび楽しかった?って、ミサカはミサカはなわとびがホントは楽しいモノってあなたに伝えられたかを確かめてみたり」

 

一方「……」

 

打ち止め「どう?」

 

一方「…あァ。楽しかった」

 

打ち止め「!」パァッ…!

 

打ち止め「じゃあまたやろっ!って、ミサカはミサカはお誘いしてみる!」

 

一方「…気が向いたらな」

 

打ち止め「あ、ミサカなわとび片付けとくね!ってミサカはミサカは縄の片方を結んだ木にダーッシュ!」

 

一方「元気だなオイ」ヨイショ

 

一方(帰ったら寝るか…)カツッカツッ

 

一方「……」チラ

 

打ち止め「ゆーびんやさん♪ゆーびんやさんっ♪」フンフンフーン♪

 

一方「…ハガキが10枚落ちましたァ…♪」

 

 

一方「あっりがっとう♪」

 

 

一方「……」つc□~~

 

一方「コーヒー美味ェ…」ズズ…

 

一方(でもこォやってまったりしてると来るンだよなァ…)

 

一方(仕方ねェな。今日も一丁遊ンでやるか…)ズズズズズズ

 

一方「……」

 

一方「……あァ?来ねェな…?」

 

一方「何してやがンだ?」ヨッコイショ

 

一方「人がせっかくスタンバってンだからさっさと来やがれっつゥンだよ」カツッカツッ

 

 

番外「ぎゃははは☆んで?クロにゃんはミサカに玩具にされたいのかなぁ?」

番外「え?違う?またまたぁ~」

 

一方「おい」

 

番外「あ、うん。ちょっと待ってて。…何?」

 

一方「打ち止めはどォした」

 

番外「え?さぁ。ミサカ今日は見てないよ」

 

一方「…そォか。悪い、邪魔したな」

 

番外「ん。……あ、もしもし?うん、また第一位様がサー?」

 

一方「……アイテムンとこか?」

 

一方「……」ポチポチ

 

一方「……」

 

『もしもし?』

 

一方「俺だ」

 

麦野『何か用?遊びの誘いかにゃーん?』

 

一方「いや確認だ。家に打ち止めがいねェンだがそっち行ってねェか」

 

麦野『え?いや来てないわよ?そんな話も聞いてないし』

 

一方「そォか。悪い、邪魔したな」

 

麦野『いーわよ別に。あ、明後日ヒマ?』

 

一方「今ンとこはな」

 

麦野『実は明後日アイテムで集まって新しく出来たアミューズメントパーク行くんだけど』

 

一方「そォか」

 

麦野『よかったらあんた達も来ない?』

 

一方「俺は行く。番外個体と打ち止めは聞いてから答える」

 

麦野『わかったわ。じゃあ後で持ってくる物についてメールするから』

 

一方「おォ」

 

麦野『ばいば……あ、そういえば私ダイエット成功したのよ!』

 

一方「おめでとォー」

 

 

一方「チッ、15分も話しやがって…」

 

一方「クソ、打ち止めに直接電話したくても…」チラ

 

 

机<携帯

 

 

一方「…置きっぱなしなンだよなァ…」ハァ

 

一方「一応もっかい家ン中見てみるか?」カツッカツッ

 

 

一方「リビングには番外個体しかいねェ」

 

一方「…ン?」チラ

 

 

オセロ ゲーム機 ダーツセット ジェンガ DVD

 

ぬいぐるみ 芋判子 折り紙手裏剣 なわとび

 

 

一方「ハァー…あの野郎、片付けずに行きやがって」

 

一方「目障りなンだよ。邪魔くせェし」

 

一方(よし、あいつの部屋に勝手に片付けてやるか)

 

一方(どこに何がしまってあるかわからなくなっちまえ!)カタシカタシ

 

一方(黄泉川の部屋も風呂もトイレにもいねェ)カツッカツッ

 

一方(芳川の部屋か?)カツッカツッ

 

一方「おい、芳川」コンコン

 

<ハァイ

 

芳川「なぁに?」ガチャ

 

一方「こっちに打ち止め来てねェか」

 

芳川「打ち止め?来てないわよ?」

 

一方「そォか。ならいい」

 

芳川「そう?…あ、ボーボボの10巻どこやったか知らない?」

 

一方「悪いな、前に黄泉川に没収されちまった」カツッカツッ

 

一方「……」

 

一方「……」ポチポチ

 

一方「……」プルルル、プルルル。

 

『どうしたじゃん?』

 

一方「今日、打ち止めからどっかに行く予定があるとか聞いてねェか?」

 

黄泉川『いや?何も聞いてないじゃんよ』

 

黄泉川『何があった?』

 

一方「…いや、何でもねェ」

 

黄泉川『そうか?何かあったら相談してほしいじゃん』

 

一方「あァ、あったらな」

 

黄泉川『じゃーん』プツッ

 

一方「……」

 

 

一方「面倒くせェな、探しに行くか…」カツッカツッ

 

 

〓〓カラオケ〓〓

 

 

海原「いえ、今日は見かけていません。ミサカな匂いも嗅いでいませんし」

 

一方「そォかありがとう死ね」

 

土御門「オレ達がいるカラオケにわざわざ来たのはそれだけか?」

 

一方「あァ。じゃあな」

 

結標「えー?あなたも歌っていけば?」つマイク

 

一方「いや、」

 

結標「というかあなた、さっき誘いの電話した時は何で出なかったのよ?」

 

一方「あ?悪ィな。たぶン話し中だった」

 

結標「あ、そうなの?」

 

一方「あァ。今俺は打ち止め探しで忙し―――」

 

 

一方「生ゥまれたァ♪意味をっ知る♪」

 

土御門「存在が♪続く♪限り♪」

 

海原「仕方ないから場所をっ♪とーる♪」

 

結標「一つ分の♪ひだーまりーに♪ふたーつは♪ちょっと入れない♪」

 

一方「ガラス玉ひっとつ落とされたァ♪」

 

一方「落ちた時何か弾き出した♪」

 

一方「奪い取った場♪所ーで♪」

 

 

「「「「ヒっカリを浴びィたァー♪」」」」

 

 

一方「クソ、つい3曲も歌っちまった」カツッカツッ

 

一方「…公園か?」カツッカツッ

 

一方(あいつ公園好きだしな)カツッカツッ

 

 

〓〓公園〓〓

 

 

白垣根「おや」

 

一方「オマエか」

 

白垣根「どうしました?今日は彼女が居ないようですが…」

 

一方「その彼女を探しに来たンだよ」

 

白垣根「そうですか。残念ながら私は見かけていませんね」

 

一方「あァ?ここもかよ…クソ」

 

フレメア「にゃあにゃあ!一人とは大体珍しいな!」

 

フロイライン「そうですね。彼女がいません。私も寂しい、です」

 

一方「……」

 

一方(「一人が珍しい」、か。ちょっと前の俺ならあり得ねェ言われ様だな) 

 

 

フレメア「にゃあ!大体早く見つけてやれよ!あいつすぐ迷子になるからな!」

 

フロイライン「ええ。私達は迷子になりやすいです」

 

フレメア「にゃあ?!違うし!大体あいつだけだもん!」

 

フロイライン「そうなのですか?」

 

フレメア「にゃあ!」コクン!

 

白垣根「ふむ…もしよろしければ"私"もお手伝い致しましょうか?」

 

白垣根「未元物質カブトムシで捜索隊を組みましょう」

 

一方「あァ…悪いな。頼むわ」

 

白垣根「発見次第すぐにお伝えします」ニコッ

 

一方「あァ」

 

 

〓〓ゲーセン〓〓

 

 

半蔵「いや来てないですね」

 

一方「あァ?本当なンだろォなァ?何せこのゲーセンは小さい子供に優しくねェェみてェだしなァァ?!」

 

半蔵「いや本当ですって。なんならカメラ映像見てもらってもいいんで」

 

一方「チッ…今すぐ確認させろ」

 

半蔵「かしこまりました」

 

 

一方「無駄足だったな」カツッカツッ

 

一方「…空からも確認しとくか」カチッ

 

一方「っ、」ダンッ!

 

 

一方「……」ビュゥウウウン!

 

一方「…いねェな」キョロキョロ

 

一方「水族館…いや金がないアイツじゃ入れねェしな…」

 

一方「映画館…?」チラ

 

 

浜面「へー…お前こういう映画も観るんだなー」

 

絹旗「ええまあ。アンナ雪は前から超観たかったので」

 

浜面「あれだろ?ありのーままのー♪の」

 

絹旗「超音痴なので歌わないでください。結構『あそこまで流行るほど面白いかぁ?これ』らしいんですよ」

 

浜面「へー」

 

 

〓〓病院〓〓

 

冥土「来てないね?」

 

一方「そォか。邪魔して悪かったな」カツッカツッ

 

御坂妹「おや、とミサカはざーとらしく声をかけてみます」

 

妹達「ほう?珍しい。とミサカは続いてみます」

 

妹達「しかも上位個体がいませんね?とミサカは二重に珍しい点を指摘してみます」

 

一方「! 丁度いい。オマエらMNWで打ち止めがどこにいるか調べろ」

 

御坂妹「? 居なくなったのですか?とミサカは聞き返してみます」

 

一方「そォだ」

 

御坂妹「ちょっと待ってください、とミサカはなうろーでぃんぐ!なうろーでぃんぐ!」

 

御坂妹「…? 変ですね、そんな何かしら異常があるようには見受けられませんが…とミサカは報告します」

 

一方「…あァ?ならあいつはどこで何やってやがンだよ」

 

御坂妹「あなたのお住まいから動いていません。あなたの部屋にいるようですね、とミサカはまともに探し物できないあなたを笑います」

 

御坂妹「はははははは」

 

一方「一ミリも口角上がってねェンだが…まァいい。悪いな。助かった」

 

御坂妹妹達「「「「?!」」」」

 

一方「…なンだよ」

 

御坂妹「いえ…あなたからお礼を言われるとは、と」

 

一方「うっせェな…」

 

御坂妹「…あなたも少しは成長というものをしているのですね、とミサカは超上から目線で言ってみます」

 

一方「は、オマエらもな」カツッカツッ

 

エステル「あ」

 

一方「ン?」

 

エステル「久しぶりだな!元気か?」

 

一方「おォ。傷はもォいいのか」

 

エステル「ああ。ここの医者は腕がいいからな!」

 

一方「だろ。じゃあな、見舞いはまた今度来てやる」カツッカツッ

 

エステル「えっ?!」ギョッ

 

一方「…なンだよ」

 

エステル「いや…少し君へ抱いていたイメージと違うなぁと言うか…」

 

一方「はン。人間なンて一年で細胞が入れ替わるンだ」

 

一方「ちょっと会わなきゃ変わって見えるのは当たり前なンだよ」

 

エステル「そういうものか?」

 

一方「そォいうもンなンだよ」

 

 

〓〓大通り〓〓

 

 

一方「あン?」

 

上条「あっ」

食蜂「あらぁ?」

インデックス「あっ」

御坂「ん?」

 

 

一方「オマエ…両手に花どころか口にまでくわえてンのか」

 

上条「違いますのことよ?!」ガビーン!

 

上条「そこで会っただけだっての!上条さんをそーいうやつにしないで?!」

一方「あァ?タラシじゃねェのか?」

 

食蜂「私はこの人ならタラシでもいいわねぇ☆」ダキッ

 

上条「Oh…OPPAIが…」

 

御坂「はぁっ?!ちょっ!あんた何抱きついてんのよ!」ビリビリ

 

インデックス「…」

 

一方「? オマエは何も言わねェのか」

 

インデックス「私はもうとうまの体質に関しては諦めたんだよ」フッ…

 

一方「そォかよ」

 

ヴェント「見つけたわよ!上条当麻ぁああ!!」

 

上条「ええっ?!何でお前がここにいんの?!」

 

食蜂「ちょっとぉ!だぁれ?あの人!」

 

御坂「あんたまたぁ?!」

 

インデックス「あれ?あの人…もしかして」

 

一方「タラシは大変だなァ」カツッカツッ

 

 

〓〓服屋〓〓

 

 

警策「……」チラ

 

滝壺「これとかどう?くろよる」

 

黒夜「可愛すぎないか…?」

 

滝壺「フリルスカート。きっと似合うよ」

 

黒夜「そうかぁ?」

 

 

警策「…」チラ

 

シルクロ「いや待て!これは男物だし、私が見つけたいい感じの下着で」

 

ステファニー「いやです!砂皿さんにプレゼントするんですぅう!」

 

警策(ハァ。今日も色んな個性的な人が来てるなぁ?)

 

 

〓〓コンビニ〓〓

 

ウィン。

 

一方(あいつに何か菓子でも買ってってやるか…)カツッカツッ

 

縦ロール「まだですか?」

 

アックア「まだであるか?」

 

アドバイザー

知的傭兵(店員)「えエ。たった今肉まん入れたばかりですかラ」

 

縦ロール「……」ソワソワ

 

アックア「……」ソワソワ

 

一方(チョコ、飴、ケーキ…ポテチ…)カツッカツッ

 

縦ロール「まだですか?」

 

アックア「まだであるか」

 

知的傭兵「まだでス」

 

一方「これくれ」

 

知的傭兵「お預かりしまス」

 

アックア「何を頼む?」

 

縦ロール「餡まんです」

 

一方「…」

 

知的傭兵「600円頂戴致しまス」

 

一方「ン」つ

 

知的傭兵「ありがとうございましタ」ペコ

 

アックア「……」ソワソワ

 

縦ロール「……」ソワソワ

 

 

知的傭兵「……あ、肉まんのコンセント刺さってなかっタ」

 

アックア「」ブチッ

 

縦ロール「」ブチッ

 

 

アックア「貴様、名前は?店長も呼ぶのであるぅう!肉まん!肉まんんん!!」

 

知的傭兵「カイツ=ノックレーベンでス」

 

縦ロール「餡まん!私の餡まん!」

 

知的傭兵「申し訳ございませン」

 

 

一方「ただいま」ガチャ

 

一方「……」カツッカツッ

 

一方(しまったな。まさか俺の部屋だとは思わなかった)カツッカツッ

 

一方(俺は基本ソファに居るしなァ)カツッカツッ

 

一方「…」ガチャ

 

 

 

 

打ち止め「あ、おかえり!って、ミサカはミサカは笑顔で出迎えてみる!」

 

一方「何勝手に人の部屋入ってやがンだクソガキ」チョップチョップチョップチョップチョップチョップチョップチョップチョップチョップチョップチョップチョップチョップチョップチョップチョップチョップチョップチョップチョップ

 

打ち止め「あうっ?!あうあうあうあうあうあうあうあうあう?!」

 

 

一方「…心配させやがって」ハァ

 

打ち止め「?」サスサス

 

 

一方「…オマエ、今日一日この部屋で何やってたンだよ」

 

打ち止め「? ずっと絵を描いてたよ?って、ミサカはミサカは答えてみたり」

 

一方「絵?」

 

打ち止め「うん。見る?」

 

一方「…見せてみろ」

 

打ち止め「はい!」つ

 

一方「……」ピラ

 

一方「……」

 

打ち止め「笑ったあなたを色鉛筆で描いてみたの!上手でしょ?って、ミサカはミサカは誇ってみる!」

 

一方「あァ…そォだな。上手いンじゃねェのか」

 

打ち止め「あなたは普段あんまり笑わないけど…ミサカと遊んでくれてる時は笑ってくれるから」

 

一方「…は?」

 

打ち止め「?」

 

一方「……笑ってた?俺が?」

 

打ち止め「え?うん」

 

打ち止め「ずっと。ずっとずっとこんな感じの優しい笑顔だったよって、ミサカはミサカは参考画像と共に教えてみたり」

 

打ち止め「自分でも気づいてなかったの?って、ミサカはミサカは聞いてみる」

 

一方「……あァ、気づかなかった」

 

打ち止め「じゃあ、ミサカだけじゃなくてあなたも本当に心から楽しかったんだね!って、ミサカはミサカは笑いかけてみる!」

 

一方「……」

 

打ち止め「…?」

 

一方「……」

 

打ち止め「どうしたの?ってミサカはミサカは止まったあなたの顔を覗きこんでみる」

 

一方「……」

 

打ち止め「?」

 

一方「…冷蔵庫にケーキがある。晩メシに響かないよォに食え」

 

打ち止め「! 本当?!わーい!」

 

一方「……」ギシ、

 

一方(俺は…ちょっと前まで、誰かと遊ぶ事なンて数えるほどしかなかった)

 

一方(その僅かな思い出だって…俺が仲間に入ろうとした時は、皆は苦い顔で)

 

一方(自然、俺も渋い顔になって。…楽しく、なくて)

 

一方「………」

 

一方(遊ンでやってると、思ってた)

 

一方(仕方なく。誰も一緒に遊ンでくれねェ辛さは知ってたから、同情だって)

 

一方(そォ、思ってたンだが)

 

一方「……」チラ

 

一方「……」つ絵

 

 

一方(遊ンでもらってたのは、俺の方だったのかも知れねェ)

 

 

一方(本当なら皆が得ていた『誰かと遊ぶ楽しさ』を、)

 

一方(俺が得られなかった、得ようとしなかった楽しさを)

 

一方(あいつが…取り戻して、いや、教えてくれていたのかも知れねェ)

 

一方(あいつに自覚は多分ないンだろォが…)

 

一方「……」

 

 

タタタタタ……

 

 

打ち止め「ねぇねぇ!あなたも一口食べない?甘いよ!って、ミサカはミサカはとってきたケーキを一口フォークで差し出してみたり!」

 

一方「ン?あァ…じゃあもらう」

 

打ち止め「いいよ!はい!あーんっ!ってミサカはミサカは差し出してみる!」

 

一方「あむ」

 

打ち止め「美味しいでしょ?」

 

一方「…あァ」ムグムグ

 

一方(…こォいう事も、か。小さな、本当に見逃すよォな日常を、普通を)

 

一方(こいつは、くれていたのか)ムグムグ

 

 

打ち止め「そういえばあなたは今日忙しそうだったみたいだけど…大丈夫だった?ってミサカはミサカは聞いてみる」

 

一方「あァ、もう解決した」

 

一方(忘れてた…探してくれてた奴にメール送っとかねェと)

 

打ち止め「そう?よかった!って、ミサカはミサカは微笑んでみる!」

 

 

 

打ち止め「あ。あなたって今日はこの後ヒマ?ってミサカはミサカは予定を尋ねてみたり」

 

一方「あ?あァ…ヒマだ」

 

打ち止め「本当?それじゃあさ―――――」

 

 

打ち止め「あそぼ!」

 

 

一方「しょォがねェな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

打ち止め「あそぼ!」一方「しょォがねェな」

http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1401351224/

 

 

小咲「い………一条君、私、実はね………」 楽「お、小野寺…………?」【ニセコイss/アニメss】

 

ーーー教室ーーー 

小咲「い………一条君、私、実はね………」 

楽「お、小野寺…………?」 

小咲「今までずっと、言えなかったんだけど……………私……」 

 

小咲「ずっと…………ずっと一条君のことが好きでした……!私と…付き合ってください………!」 

楽「えっ…………小野寺…………!?」 

小咲「ホントは私……この高校に入った理由も……い、一条君がこの高校に入るからで………中学の時からずっと一条君を見てたの!」 

楽「え……………?///」 

小咲「千棘ちゃんから、一条君と千棘ちゃんはホンモノの恋人じゃないって聞いたから……思いを告白しました……………」 

楽「お、小野寺………………………」 

楽「……お、オレも…………」 

小咲「へ?」 

楽「オレも、小野寺のこと好きだぞ!!」 

小咲「ふぇっ!?///」

 

楽「中学の時から、ずっと………小野寺のこと見てて…………それで、今日小野寺が告白してくれてすごく嬉しかった!!!オレからもお願いだ!付き合ってくれ!!」 

小咲「い、一条君!?///」 

ギュッ 

小咲「あっ…………///」 

一条「小野寺!」 

小咲「い、一条………くん………」

 

 

ーーー家ーーー 

楽「そんな訳で」 

千棘「このバカもやし!」ペシッ 

楽「いてっ!」 

千棘「それじゃあ抗争が再開しちゃうでしょうが!せめてこの偽物の期間が終わってから思う存分ちちくりあいなさいよ!」 

楽「いや、それに関して何だが……」 

千棘「何よ?」 

楽「オレ達の親父達って、ギャングとヤクザのボスで、古い仲なんだろ?」 

楽「だったらその二人が停戦宣言すればいいんじゃ……………」 

千棘「……………………あっ」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー 


千棘「結局………案外簡単に終わったわね」 

楽「ああ………………」

 

 

ーー翌日ーー 

楽「お、小野寺、その、……」 

小咲「あっ………お、おはよう一条君…………////」 

楽「お、おう…………///」 

テクテク……… 

楽(……何話していいかわかんねぇ…………夢じゃねぇんだよな?ホントにオレ、小野寺と恋人同士になったんだよな) 

小咲(うう………恥ずかしい…………///)

 

ガラッ 

『一条ーーーーーーーーー!!!』 

A「キサマ今度は小野寺と付き合い始めたらしいなーーーー!」 

B「二股かキサマーーーーーー!!!」 

C「今俺はキサマの口に青酸カリをぶちまけたい衝動にかられている!!」 

楽「ええーーーー!?何でみんな知って………」 

E「オレが昨日見たんだよーーー!小野寺がお前に告白してお前がOKを出したところをーーーーー!!!」 

『死ねーーーーーーーーー!!』 

楽「えっちょま………あああああああああああああ!!!」

 

ジャーー 

楽「はぁ………言い訳が大変だった……………」 

小咲「大丈夫?一条君」 

楽「おう、大丈夫だ…………そうだ小野寺」 

小咲「ん?どうしたの?」 

楽「俺たちも恋人何だしさ…………し、下の名前で呼び合うってのはどうかな?」 

小咲「えっ…………………///」 

楽「い、いや!イヤならいいぞ……」 

小咲「ら……………楽…君……」 

楽「!!」

 

小咲「アハハ………何か…恥ずかしいね………////」 

楽(…………かっ……) 

楽「可愛ええええええええええええええええええええ!!!!」 

小咲「えっ!?///」 

楽「あっいや何でもない……………///」 

小咲「ほ、ほら、楽君も………名前で…呼んで……?」 

楽(ああ………たまらん………) 

楽「え、えっと…………小咲………?」 

小咲「………….///」 

楽「…………………///」 


ピピッ 

楽「38.6…………うぉー、こりゃ完全に風邪だなー」ズズ 

楽(ハァ………休日だから小咲のところへ行こうと思ってたのに………) 

楽(しゃーねー……大人しく寝てるか) 

ピンポーン 

楽(………?誰だこんな朝から……) 

ガラガラ 

小咲「ら、楽君……」 

楽「こっ………小咲ーーーー!?」

 

楽「ど、どうしたんだ?」 

小咲「ら、楽君が風邪ひいたって聞いたからお見舞いに…………///」 

楽(おおー、流石小咲マジ天使) 

楽「で、でも風邪うつったらいけねーから………」 

小咲「だ、大丈夫だよ!マスクもしてきてるし!」ホラ 

楽「そ、そっか………じゃあお言葉に甘えて………」

 

小咲「体、大丈夫?」 

楽「ああ、大丈夫だ、心配してくれてありがとな」 

小咲「ううん、楽君が元気無いと私まで元気無くなっちゃうから」ニコッ 

楽(何この可愛い生物) 

楽「そ、そうか、あんがとな///」 

小咲「アハハハハ……///」 

小咲「あ、そうだ、リンゴ持って来たんだけど、食べる?」 

楽「おう、サンキュー」

 

シャリシャリ……… 

小咲「はい、むけたよ」 

楽「おうサンキュ………え!?これ形変わってないのに皮だけ完璧にむけてるけどどういうこと!?」 

小咲「え………?普通にむいてただけだよ………?」 

楽「いやスゲェよコレ………マジ尊敬するわ…………」 

小咲「そ、そうかな……えへへ///」

 

小咲「あ、そうだ、私おかゆ作ろうと思うんだけど、台所借りていいかな?」 

楽「え……いいのか……!?」 

小咲「うん!」タタタ 

楽(ハァー、マジかぁー、風邪様GJ!!一生尊敬します!」 

風邪「そんな大袈裟な」 

楽(ハッ!待てよ、小咲の料理って…………) 

楽(まぁ流石におかゆなんてシンプルな料理で……)コソコソ

 

 

小咲「えーと、元気出るように青汁入れて………」ドプチャ! 

小咲「塩は………この袋の半分くらいかなぁ」ドサッ 

小咲「他に体にいいものってなんだろう………黒酢とレバーと納豆と…………」 

小咲「あ、あとめんたいことひじきも………」 

楽(ヒイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!!!) 

楽(さ、流石に小咲の作ってくれた料理といえど死ぬ………!どうしようどうしよう……) 

小咲「お待たせ一条君!」 

楽(ヒイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!!!)

 

小咲「お口に合うか分からないけど…………」 

キラキラ~ン 

楽(何であんな色々入れてたのにこんなキレイなの!?逆にコエー!!) 

小咲「……………///」 

楽「こ、小咲?」 

小咲「あ…………アーン………///」 

楽「いただきます!」パクッ 

小咲「わっ!!」

 

モグモグ………ゴクン 

楽「………うめぇ………!!」 

小咲「ホント!?よかった~~~!」 

楽「いやこれスゲェうめぇよ!」 

楽(あんなに色々入れてたのに!) 

小咲「わ、私1万回に一回くらい美味しいの出来るの…………」 

楽(神様感謝します!!!) 

楽「ありがとな、小咲!!」 

小咲「あ、あの………無理ならいいんだけど………」 

楽「ん?何だ?」 

小咲「な……なでなでしてほしいな…………なんて………」 

楽(ふおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!)ナデナデナデナデ 

小咲「あ………ふわぁ///」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー 


楽「36.2…………もう大丈夫みたいだな」 

小咲「ホント!?よかった~~~」 

楽「いや、小咲、ホントありがとな、今日来てくれて」 

小咲「うん!楽君が治って良かったよ!」 

楽「そうだ、今度お礼したいから小咲ん家行っていいか?」 

小咲「もちろん!春やお母さんもきっと喜ぶよ!」

 

楽「じゃあな、小咲、本当にありがとう」 

小咲「あ、楽君、ほっぺたにご飯粒付いてるよ?」 

楽「え?」 

小咲「取ってあげるからこっちに顔持ってきて」 

楽「おう、こうか?」スッ 


チュッ……………… 


楽「え…………………」 

小咲「初めて………もらっちゃった………///」 

楽「」 

小咲「じゃ、じゃあね!///」タタタタタタ 

楽「………………」バタン 

竜「うおーーー!?坊っちゃん!?」 


このあと楽の容態は悪化したそうな……………

 

ーー和菓子屋『おのでら』ーー 

ガー……… 

小咲「こんにちは!楽君!」 

楽「こ……こんにちは~……」 

楽(うわヤッベやっぱ小咲の売り子姿何度見てもたまんねぇわ) 

春「あ、こんにちは楽さん~」 

楽「おう、春ちゃん」 

春「すみませんわざわざ呼び出しちゃって………」

 

 

ーーーー事の発端は昨日ーーーー 

小咲ママ「お?これはパパの新作かなー?いっただきー」パクッ 

小咲ママ「ぐ……………………ッ!?」バタン 

春「はぁーさっぱりしたー……………ってお母さん!?どうしたの!?」 

小咲「春どうしたの………ああっ!ここに作って置いてあったお菓子がなくなってる………!」 

春「え"………………………」 

小咲ママ「うおおおおおお………」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー 
 
春『………というわけなんです!楽さん!手伝っていただけませんか!?』 
 
楽「あ、ああ、いいよ」 
 
春『ありがとうございます!それじゃあ明日の午前9時に!』 
 
ガチャッ!ツー、ツー…………  

 

楽(うぅ………やっぱ小咲の家…何度来ても緊張するな~……………) 

小咲「今日はよろしくね!頑張ろうね!楽君!」ニコッ 

楽(結婚しよ………ハッ!) 

楽「お、おう!そうだな!お互い頑張ろうな!///」 

小咲「う、うん!///」 

春(付き合いたてかっつーの) 

小咲ママ「あぅ~……すまないね少年………」ヨロヨロ 

春「お母さんまだ寝てなきゃダメ!」

 

春「じゃあ私接客やるんで若いお二人さんは調理場でよろしくやっててくださ~い」ニヤニヤ 

小咲「ちょっ……………春!///」 


タタタタタタ…………… 


小咲「もう……………///」 

楽「ははは、相変わらずだな春ちゃんは///」 

小咲「ふふ…………楽君、顔赤いよ?」 

楽「えっ…………あっ…///」 

小咲「うふふ……………」 


ーーレジーー 

春(熱気がここまで…………)

 

 

カチャカチャ………… 

楽「ほい、小咲、仕上げよろしく」 

小咲「うん、任せて」 

パクッ……… 

小咲「うん、おいしいよ!仕上げするね!」 

楽(よっしゃ) 

小咲「ふふ…………楽君が味をつけて私が仕上げをすれば、いいお菓子ができるね………」ニコッ 

楽(!!)ドキューン 

楽「い、いやぁ~、そ、そうだなぁ~……ハハ///」 

小咲「?」 

楽(危ねー、ハートを持ってかれるところだった…………///)ドキドキ

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 

小咲「今日はありがとう楽君!助かったよ!」 

春「いやぁ~、今日は里中さんとかも手伝い来れないって言ってたし、どうしようかと……………ありがとうございます!」 

楽「いや、オレも楽しかったし!」 

小咲「あ、あの!良かったらコレ!」ガサッ 

楽「え?」 

小咲「ウチのお菓子!帰ったら食べて!」 

楽「お、おう!ありがとう小咲!」 

楽「そんじゃーな!」 

小咲「バイバーイ!」 

春「またお願いしますねー!」

 

春「今日も一日中ずっとニヤニヤしっぱなしだったよねお姉ちゃん~」ニヤニヤ 

小咲「もうっ………からかわないでっ!///」 

春「わーお姉ちゃん可愛いー」 

小咲「………あれ?ここのテーブルに置いてあった私のお菓子がない?」 

小咲「失敗しちゃったから捨てようと思ったのに………」 

春「あれ!?……お、お姉ちゃん…」 

小咲「え?…………あ!!こ、コレ…………!楽君にあげたはずのどら焼き!!」 

春「もしかして……………」サー 

小咲「……………」サー

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 

楽「さーて、小咲からもらったお菓子食べるかー」 

ガサゴソ…… 

楽「おっ!桜餅か………いただきまーす!」パクッ 

竜「うおおおーーー!?坊っちゃんが倒れてるー!?」 

ヤクザA「泡吹いてるぞーーー!」 

楽はこの後二日寝込んだ……………

 

ーーーーそれはとある日曜日のことでした。 


春『ハァ……お姉ちゃんの嫉妬しているところを見たい?』 

楽「おう、そうなんだよ、だから協力してくれ」 

春『ハァ………でも、勿論タダではやりませんよ?』 

楽「涼美屋の苺大福三箱でどうだ」 

春『では今すぐウチに来てください』 

ガチャ 

ツー、ツー、………

 

楽(ふぅ………自慢じゃないが小咲とは常にいちゃいちゃしてるけど、嫉妬してるところとか見たことねぇんだよな~…………いや自慢じゃねぇけど) 

楽(きっと頬とか膨らませて……)ホワンホワン 



小咲『もう、楽君のばかっ!』プンプン 



楽(ぐふっ!想像しただけで鼻血が………いかんいかん早くいかないと………) 


ーーーこの時のオレは、まだ夢にも思ってなかったーーあんなことになるなどーーーーーー

 

ピーーーンポーーーン 

ガチャッ 

春「もう、遅いですよ楽さん!」 

楽「悪い悪い、ほらこれ、苺大福」スッ 

春「わぁい」 

楽「それでどうするんだ?」 

春「はい、それじゃあまずは……」

 

ーー春の部屋ーー 

春「はいコレ台本です」スッ 

楽「うわビッシリ………いつ書いたんだよコレ」 

春「さっき5分程で書きあげました」 

楽「すげぇなオイ」 

春「とりあえず今お姉ちゃんは買い物に行っています」 

春「お姉ちゃんが帰って来たら、その台本通りにいちゃいちゃするんです」 

楽「な、なるほど………」

 

春「棒読みにならないように気をつけてくださいね」 

楽「おう、わかってるわかってる」 

ガララッ 

タダイマー 

楽「!!来た!」 

春「配置に着けぃ!!」

 

小咲「あれ?楽君来てるの?」 

キタ! 
ハイチニツケィ! 

小咲「あれ?楽君の声?しかも春の部屋から………何だろう?」 

タッタッタッ………… 

小咲「二人ともどうし………」 

楽『いやぁ春ちゃんは可愛いなぁ!!』 

小咲「」

 

春「や、やだなぁ楽さん!照れますよ!」 

楽「いやぁ!だって春ちゃんが可愛すぎるもんだからつい口に出しちゃって!なでなで!」 

春(ちょっと!『なでなで』は擬音ですよ!ここは私の頭を撫でるんです!) 

楽(あ、悪い)ナデナデ 

春「あっ……ふぁ……」トロン

 

楽「なぁ………春ちゃん………」 

春「な、何ですか?」 

春(むぅ~、入って来ないなぁ~……………) 

楽「スケベ、しようや……………………って何書いてんだオイ!!!」 

ガラッ!!!!! 

小咲「………………」 

楽「ひっ!!!」ビクゥ 

春(やっとき………た…………………)

 

小咲「………………」 

楽「こ、小咲………さん………?」 

小咲「…………………楽君」 

楽「はっ!!!はいぃっ!」ビクゥ! 

小咲「これは…………どういうことかなぁ?」 

楽「え、いや、その………」ガクブルガクブルガクブル 

春(あ、あのお姉ちゃんが………ドスきかしてる…………) 

楽「いや違うんだ小咲、これは………………」 

ガシッ 


小咲「………少し…………頭…………冷やそうか………」ニコッ 

楽「」

 

楽(この後のことはよく覚えていない) 

楽(小咲は事情を話すと分かってくれた) 

楽(ただ一つ、今回分かったことがある………それは…………) 

楽(小咲を怒らせてしまってはダメだ、ということであった) 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー 

春「それじゃあ、お姉ちゃんと楽さんが付き合って一ヶ月の記念にカンパーイ!!」 

「「カンパーイ」」 

春「いやぁ~、長いようで短いですね~」 

小咲「もう一ヶ月もたつんだね…………」 

楽「ホントあっという間だよなぁ……………」 

小咲「これからもよろしくね、楽君」 

楽「おう!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー 

春「あ、ちょっとお手洗い行って来ますねー」トコトコ 

楽「おーう」 

小咲「………………………………」 

楽「…ん?どうしたんだ小咲?」 

小咲「……………」ギュッ 

楽「………なぁっ!?///」

 

楽「ちょっ…………小咲!?」 

小咲「えへへ~楽君~~///」ギューーー 

楽「はわわわわわわわわわ///」 

ガラッ 

春「ん?どうしたんですか?」 

楽「あ、春ちゃん!小咲が…………」 

小咲「楽君の背中あったか~~~い///」ムギュー

 

春「一体何が………ああ、ウイスキーボンボン…………」 

楽「へっ!?」 

春「このウイスキーボンボンを食べちゃったんでしょうね………」 

楽「どんだけ酒弱いんだよ!?」 

春「じゃーわたし邪魔者みたいなんでむこーいってますねー」 

楽「えっ!?ちょっ、春ちゃん!?」 

小咲「楽君、いっちゃやだっ!」ギュウッ 

楽(うひょおおおおおお!!!)

 

小咲「ねぇ~楽君~」 

楽「な、なんだ………?」 

楽(顔赤くなっててめっちゃ可愛い…………) 

小咲「だーい好きっ」ニコッ 

楽「ぐぼふぁっ!!!!」 

楽(ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ理性が9割以上削られたよなにあれマジ可愛い、女神が糞に見えるレベルだよ) 

小咲「楽君の肌白くてスベスベだねぇ~」サスサス 

楽(りっ、理性が!!理性が!!!)

 

小咲「えいっ!」 

チュッ 

楽「」 

小咲「えへへ………しちゃった……………////」 

楽(もう我慢できねええええええええええええええええ)ガバアッ 

春「ストーーーーーップ!!!!」スパーン 


この後春が必死に頑張って楽は何とか理性を取り戻した…………

 

ーーー 最寄りのスーパー ーー 


小咲「ごめんね、買い物に付き合わせちゃって」 

楽「いいって、暇だったし」 

楽(むしろ役得だし) 

店員「お買い上げありがとうございますー、こちら、福引き券となっておりますので、よろしければご利用くださいー」 

楽「福引きだってよ、どうする?」 

小咲「せっかくだし引いていこうか」

 

 

ーー福引き場ーー 

店員「おめでとうございま~~~す!3等のポケットティッシュで~~す!!」 

楽(3等でポケットティッシュ!?) 

店員「では次の方どうぞ~」 

小咲「わたしあんまり運良くないから楽君どうぞ」 

楽「よし来た」ガラガラ、コロンッ 

カランカラーン 

店員「おめでとうございま~~~~~す!!!1等のペア温泉旅行で~~~す!!!」 

小咲「」 

楽「」

 

ーー和菓子屋『おのでら』ーー 

小咲ママ「あらあら、これまたすごいのがあたったわねぇ」 

春「楽さん、どんだけクジ運良いんですか………」 

楽「ははは…」 

小咲ママ「せっかくだし、これは二人で行って来たら?」 

小咲「ふぇ!?////」

 

春「この機会に関係深めて来なよ~~」ニヤニヤ 

楽「そ、そんな…///」 

小咲「行きます!!」 

楽「な!?」 

小咲ママ「決まりね」

 

 

ーー旅館ーー 

女将「ようこそいらっしゃいました、ごゆっくりどうぞ」 

楽「ど、どうも…………」 

小咲「うわー広ーい」 

楽「そ、そうだな」 

楽(うぅ……マジ緊張してきた…………二人で旅行なんて………)

 

ツカツカ………… 

小咲「ここがわたしたちの部屋だね」 

楽(小咲は緊張とかしてないんだろうか………) 

小咲「じゃあ入ろうか」 

ガンッ 

小咲「あいたっ!」 

楽「お、おい大丈夫か!」 

小咲「う、うん、これくらい大丈夫だよ」 

ガンッ! 

小咲「いたっ!」 

楽(またぶつけた!やっぱ緊張してんのか………)

 

ーー楽と小咲の部屋ーー 

楽「……………………」 

小咲「………………………」 

小咲「……………しりとりでもする?」 

楽「いや、それはやめておこう」 

小咲「う、うん………………」 

楽(くっそ~…………混浴じゃなかったらこんなに緊張してなかったのに…)

 

楽「と、とりあえず、この旅館ゲームセンターあるみたいだし、そこ行ってみるか?」 

小咲「そ、そうだね………」 


ーーゲームセンターーー 
小咲「あっ、これ可愛い………」 

楽「この地域限定のマスコットだな」

 

小咲「よーし、頑張ってとってみるよ!」 

楽「いや、オレがとってやるよ」 

小咲「えっ、いいの?」 

楽「任せとけって、こういうの得意なんだ」ウィーン、ガシッ 

ポトッ 

楽「ほら取れたぞ」 

小咲「ありがとう楽君っ!」満面の笑み 

楽「お、おう!」 

楽(この笑顔だけでご飯5杯はいける)

 

楽「おっ、太○の達人だ」 
  

小咲「二人でやろうか」 
 
楽「おうそうするか」 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーー 
 
フルコンボダドン! 
 
楽「鬼の裏さいたま2000(4倍速)をフルコンボ…………だと………!?」 
 
小咲「やったぁ!」ピョンピョン  

 

 

楽(喜んでる小咲可愛い)カシャ  

 

楽「ホッケーがあるな」 

小咲「せっかくだしやろうか?」 

楽「よし!負けねぇぞ!」 

楽(この一条楽、ホッケーに関しては無敵と自負しているぞ!) 

ーー10分後ーー 

楽「1ポイントもとれなかった………」 

小咲「勝った!」グッ 

楽(癒される)

 

小咲「あ~楽しかった!」 

楽「小咲って意外とゲームうまいんだな」 

小咲「うん、そういうのは得意なの」 

楽「っと………そろそろ飯の時間だな」 

小咲「速く部屋に戻ろう」

 

 

小咲「うわぁ、すっごい豪華!!」 

楽「ホントだな…………こりゃすげぇ」 

小咲「いただきまーす」 

楽「いただきます」モグモグ 

楽「うぉなんだこりゃ!?すげぇうめぇじゃねぇか!」 

小咲「わたしもこれくらい作れるように頑張らないと…………」  

 

楽「あーうまかった………」 

小咲「ホントだねぇ…」 

楽「………って、もう風呂の時間だな」 

小咲「うっ………///」 

楽「あ……………///」 

楽(そ、そうだ………小咲と混浴………………) 

楽(い、いかん!こんなことで鼻血を流しては!!)

 

楽「じ、じゃあ先入ってるからな!!」 

小咲「う、うん……///」 

楽(ヤッベェ~……めちゃくちゃ緊張してきた…………) 

楽(オレの理性がぶっこわれないことを祈るばかりだな………)

 

ーー風呂ーー 

チャポン………… 

楽「ふぅ……………」 

楽(しかし、よく考えれば、小咲と付き合ってから一度もまともなキスしたことねぇな……………) 

楽(キスは小咲の不意打ちの一回きりだったよな………………) 

楽(オレってヘタレだなぁ……………)トホホ

 

ガラッ 

小咲「お、お待たせ~」 

楽「お、おう小さ…………」 

楽「」 

小咲「は、恥ずかしいからあんまり見ないで……………///」モジモジ 

楽(…………………………………こんなふつくしいものが………この世に存在したなんて……………) 

楽「綺麗だ………………」 

小咲「ふぇっ!?」 

楽(やべ、声に出てた) 

小咲「あ、ありがとう…………嬉しい」ニヘラ 

楽(あああああでもやっぱり可愛いいいいいいいいいい)

 

ポチャン……………… 


楽「………………………………////」 

小咲「……………………………////」 

楽(デ……デジャブ) 

楽(くっそ~………こんな時何話したらいいかわかんねぇよ……………) 

小咲「らっ!楽君!!」 

楽「な、なんだ!?」 

小咲「わたし!楽君を好きになって本当によかった!」 

楽「!?///」

 

小咲「楽君と過ごす毎日、凄く楽しかった!!優しくて、いつも私のこと気にかけてくれて…………」 

小咲「ううん……わたしだけじゃない!どんな人にも分け隔てなく優しい楽君が、わたしは大好き!!」 

小咲「わたしじゃ釣り合わないかもしれないけど………楽君!!これからもよろしくお願いします!」 

ギュッ 

小咲「!?////」 

楽「お、オレも、小咲のこと、だ、大好きだぞ!///」

 

楽「こ、小咲は可愛くて優しくて!中学の時からずっとオレの憧れだった!!」 

楽「釣り合わないなんてとんでもない!!オレからも言わせてくれ!これからもずっと一緒に居よう!」 

小咲「……………………」 

楽「………………………」 

小咲「……………フフッ」 

楽「……………………ハハッ」 

アハハハハハハハハハハ………………

 

小咲「……………………ありがとう」 

楽「………………オレのセリフだよ」 

小咲「…………ねぇ、楽君」 

楽「………………ん?」 

小咲「キス…………してくれない……………?」 

楽「………………………////」 

チュッ 

小咲「………………………!////」 

楽「お、オレからは…………初めて……だったよな…………///」 

小咲「……………そうだね」 

小咲「…………………ねぇ、楽君」 

楽「……………………なんだ?」 

小咲「これからも………一緒に居てくれる?」 

楽「ああ、もちろんだ…………」 


『ずっと、一緒に居よう』 

 

 

 

 

 

 

 

元スレ

楽「もし小野寺の告白の時に野球ボールが飛んで来なかったら」

https://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/kako/1395/13952/1395254468.html

 

 

雪乃「まだ夜は長いからたっぷりかわいがってちょうだい」【俺ガイルss/アニメss】

 

雪乃「こっちに来ないで比企谷君」

 

「悲しいこと言うなよ雪ノ下」

 

雪乃「お願いだからやめてちょうだい!」

 

「…」

 

雪乃「い、いまなら誰にも言わないから」

 

「ずいぶんと上からものを言うんだな」

 

雪乃「わ、私が何かひどいことを言ったのなら謝るから」

 

「はぁ、お前自覚無いのかよ」

 

雪乃「な、なに?」

 

「おめぇのそのいやらしい身体が原因だよ!」

 

雪乃「ひっ!」

 

「へっへへ!たっぷりかわいがってやるよ」

 

雪乃「お、お願いだから」

 

「うるせぇ!」

 

雪乃「あぁ!乱暴しないで!」

 

八幡「何やってんだあいつ。頭でも打ったのか?」

 

雪乃「見損なったわ比企谷君!あなたがこんな卑劣な人だったなんて」

 

「…」

 

雪乃「何とか言ったどうなの!?」

 

「うるせぇな!少し黙ってろよ!!」

 

雪乃「ひぃ!」

 

「ったくよぉ!黙って聞いてればいつもいつも好き勝手言いやがってよぉ!」

 

雪乃「ご、ごめんなさい。でもあなたはいつも話を聞いてくれるから」

 

「おめぇが一方的に言ってるだけだろうが」

 

雪乃「ご、ごめんな」

 

「謝ってすむわけねぇだろがぁ」

 

雪乃「いや!服を破かないで!!」

 

八幡「だから一人で何やってんのあいつ?近所迷惑でしょ」

 

雪乃「お願いだから何もしないで」

 

「…」ピタッ

 

雪乃「や、やめてくれるの?」

 

「やめるわけねぇだろがぁ!!!」ビリビリ

 

雪乃「ひっ!!」

 

「畜生が!!全部剥ぎ取ってやる!!」ビリビリ

 

雪乃「いやぁぁぁ!!」

 

「こんな服着やがって俺を誘ってたんだろ?えぇ!?」ビリビリ

 

雪乃「ち、違うのこれはあなたを信用してぇえ」

 

「けっ!こんな形で裏切られるとは思ってなっかただろうよ雪ノ下さんよぉ!!」ビリビリ

 

雪乃「いや、ほ、本当にやめて」

 

「ここもできたら止まるわけねぇだろうぉがよぉ!!」ビリビリ

 

雪乃「そ、そんな」

 

八幡「うわ、自分で服破り始めたよ…それよりうるさいな」

 

雪乃「お願いだからやめてよぉ」ガクガク

 

「…」ゴクリ

 

雪乃「ひ、比企谷君?」ガクガク

 

「思わず見とれちまったぜ!それより、ぐへへへ自分から身体を揺すりやがってずいぶんやらしいじゃないか雪ノ下!?」

 

雪乃「これはあなたがこ、怖くて」ガクガク

 

「ほんとにそうなのかぁ?」

 

雪乃「ほ、本当に決まってるでしょ!」ガクガク

 

「ほぉ、そんなことを言っているに何で」スッ

 

雪乃「いやっ!!」ビクッ

 

「こんなに濡れちゃってるんだいぃ!?」クチュクチュ

 

雪乃「そ、それはぁ!!」ビクビクッ

 

八幡「ていうか裏声で俺の真似すんじゃねぇよ」

 

雪乃「お、お願いだから、ほ、本当にお願いだからやめてぇ」ビクビクッ

 

「…」クチュクチュ

 

雪乃「お願いだからぁやめてぇ!!」ビクビクッ!!

 

「おい」

 

雪乃「はぁ、ひ、比企谷、はぁ、くん?」

 

「…なに勝手にイってんだよ」

 

雪乃「えっ?だってそ、そんな…」

 

「喋んじゃねぇ!!」スパァンスパァン

 

雪乃「ひぐっ!比企谷君そ、その」ビクッ

 

「あぁ!!?んっだよぉ!?」スパァンスパァン

 

雪乃「お、おしりをたたかないでぇ!!」ビクビクッ!!ビクビクッ!!

 

八幡「何だよ結局〇慰かよ一人で尻ぶったたきやがって」

 

雪乃「はぁはぁ、ひ、比企谷君。こ、こんなところではなくもっとちゃんとしたところでそ、その」

 

「…」

 

雪乃「し、してくれるのなら、わ、私も」

 

「うるせぇ!なに上品ぶってるんだよ!!おめぇなんてソファの上で十分なんだよ!!」

 

雪乃「きゃぁ!」ドスン

 

「なにがきゃぁ!だよ!!いつまでカマトトぶってんだよ!!」

 

雪乃「お、お願いこんな形であなたとは結ばれたくないの!!」

 

「なにその気になってんだよ!」

 

雪乃「お、お願いだからせめて、せめて愛してると言って」

 

「雪ノ下」

 

雪乃「は、はい」

 

「あ、愛してるぞ」

 

雪乃「は、はい。私もあいs」

 

由比ヶ浜の次になぁ!!」クチャ---!!!

 

雪乃「!ん"あぁぁぁ!!そんなぁぁ!!!」クチュクチュ×8

 

八幡「たっく、人の部屋をぐちゃぐちゃにしやがって」

 

雪乃「ひっ、ひどいぃ。ひ、ひきが、やくん、そん、なのってぇ!あぁっぁぁ!!」クチュクチュ

 

「…」

 

雪乃「お、おね、がいだから、んぁ。や、めて、ん"ぁ」クチュクチュ

 

「へへっへ口ではイヤって言ってても体は正直だぜぇ雪ノ下ぁ!!」

 

雪乃「そ、そんなわけ、ない、んだか、らぁ」クチュクチュ

 

「けどお前はしょせん二番目の女なんだよぉ!!」

 

雪乃「い、や"ぁああぁあっぁ、いわ"、な、いでぇよぉ」クチュクチュ

 

「早くいけぇええぇっぇぇ!!!」

 

雪乃「ああぁああぁあっぁ!」ビクビクッ!!ビクビクッ!!ビクビクッ!!ビクビクッ!!

 

「気持ちよかったぜ雪ノ下」

 

雪乃「こ、こんなのって、はぁはぁ、ひ、ひどすぎるわ」

 

「…」

 

雪乃「ふぅ」

 

八幡「ふぅじゃねぇよ!人の部屋とソファ汁まみれにしやがって!」

 

雪乃「さてこんなものかしら?アレへのあてつけとはいえ少しやりすぎたわね」

 

雪乃「あとは彼に仕上げをやってもらだけだわ」

 

雪乃「けれどこんな汁まみれのソファは彼も嫌でしょうから少しだけ清掃しましょう」

 

雪乃「フン~フン♪フ~ン♪フフ~~ン♪」フキフキ

 

八幡「ほぼ全裸で鼻歌歌ってますよ」

 

娘「パパおしっこおわった~」

 

八幡「ん?はいはいじゃぁ戻りましょうね。抱っこする?」

 

娘「しゅる~」

 

八幡「はい、ベットに到着だ」

 

「ん」

 

八幡「じゃぁお休み」

 

娘「パパも寝てくれないの?」

 

八幡「え?あぁちょっとね、一人で寝れるだろ?」

 

娘「ん、がんばゆ」

 

八幡「じゃぁお休み」

 

「ん」

 

八幡「はぁ、さてあのバカのところに」

雪乃「あらバカとはどの口で言っているのかしら?」

 

八幡「」

 

雪乃「どの口で言っているのかしら?」

 

八幡「お、お前何時からそこに」

 

雪乃「さっきよ。それで私に何か用かしら」

 

八幡「あ、のさ最近になって俺に言いたいことでもできたんじゃないかなぁって」

 

雪乃「それはこんな夜更けに言う価値があるとあなたは思っているの」

 

八幡「え?ま、まぁね」

 

雪乃「そう、いい心がけね。ま、言いたいこと何て片手で足りるくらいしかないのだけれど」

 

八幡「そ、そっk」

雪乃「ただ、最近比企谷君が私にかまってくれないから身体を持てあましていて毎夜自〇にふけってしまっていることくらいかしら」

 

八幡「」

 

雪乃「さっきも比企谷君の書斎でオ〇ニーをしたら比企谷君の視線もあってか2~3回イってしまったわ」

 

八幡「き、気づいていたのか?」

 

雪乃「えぇ夫の視線気づかないほど私の嫁力は落ちぶれてはいないわ」

 

八幡「さいで」

 

雪乃「で、愛しき嫁からこの体のほてりをどうにかしてくれと言われたあなたはどうするのかしら」

 

八幡「えぇ」

 

雪乃「なに?不満でも?」

 

八幡「いや、もうなんかわけわからん」

 

雪乃「因みにさっきのは二人の初めてを再現したのだけれど」

八幡「いや、あんなんではなかった」

 

雪乃「それでしてくれるの?してくれないの?どっちなのかしら?」

 

八幡「…」

 

雪乃「もうベットメイクは終わっているのだけれど」

 

八幡「じゃぁ、ねぇ、ほらその、ね?」

 

雪乃「ヘタレ」

 

八幡「うっせ」

 

雪乃「はぁ。あ、私今足腰が抜けているんだったわ」ドサッ

 

八幡「おい、あってなんだ?あって?」

 

雪乃「いいからあなたの書斎で手当てをしてちょうだい」

 

八幡「はいはいわかりましたよ」

 

雪乃「あ、その、お、お姫様だ、っこで」

 

八幡「はいはい」ガバッ

 

雪乃「あっ」

 

八幡「い、いきますか」

 

雪乃「そうね、まだ夜は長いからたっぷりかわいがってちょうだい」

 

雪乃「だまっちゃ嫌よあなた?」

 

 

 

雪乃「ところであなた?」

 

八幡「ん?」

 

雪乃「最近面白いDVDを見つけたのよ今度一緒にどうかしら?」

 

八幡「へぇ雪乃が言うならよっぽど面白いんだろうな。なんて題名なんだ?」

 

雪乃「たしかあなたのPCのHDDのロックのかかったフォルダにあったのよ」

 

八幡「」

 

雪乃「えぇっとたしかフォルダ名は資料でタイトルは名は“同窓会、久しぶりあった巨乳同級生と一夜の過ち”だったかしら」

 

八幡「」

 

雪乃「たしか、女優の人が由比ヶ浜さんにどことなく似ていたわよね?比企谷君」

 

八幡「」

 

雪乃「だまっていれば無いことになるわけではないわよ比企谷君?」

 

八幡「あ、あの」

 

雪乃「何か申し開きでも?」

 

八幡「お、お手柔らかに」

 

雪乃「ふふ、たっぷりかわいがってあげるわよあなた?」

 

 

 

 

 

 

 

 

元スレ

八幡「…」

http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1438849195/

 

八幡「てか、なんで用もないのに来んのお前……」 いろは「別に何も用がなくてもいいじゃないですかー、せーんぱい」【俺ガイルss/アニメss】

 

【わたしは】

 

えぇー……なに、なんなんですかこれ……。

 

先輩に今日の会合がなくなったことを伝えに奉仕部の部室に来たんだけど、漏れ聞こえてくる声からするとどうも和やかな雰囲気じゃなさそうだ。

 

なんか結衣先輩と雪ノ下先輩が言い争ってる……ように聞こえる。

 

あ、先輩の声もする。三人ともいるみたい。

 

なになに?痴話喧嘩?

 

じゃないか。

 

わたしの見たところあの三人はまだ何もないみたいだし。

 

イベントを助けてもらおうとして来た時も妙な雰囲気で、先輩一人だけで手伝ってるままだし、もしかしたらやっぱりなにかあったんですかね?

 

このまま聞いてるのも悪いかなーとも思ったけど、何を話しているか知りたいという興味の方が勝ってしまった。

 

そのまま扉の前で漏れてくる声を聞く。

 

なんだか抽象的というかなんというか、話せばわかるかも、とか言葉が欲しいんじゃない、とかよくある青春ドラマみたいな台詞が聞こえてくる。

 

うっわー……先輩たち青春してますねー……。

 

最初はそんな冷やかしみたいなことを思ってたけど、さらに雰囲気が重く変わったように感じて思考が中断される。

 

先輩………………泣いてる?

 

俺は、本物が欲しい。

 

呻くように、絞り出すように、誰かにすがるように放たれた先輩の言葉が響く。

 

わたしと扉一枚を隔てた、向こう側から。

 

誰に、何に向けていたのかもわからないその真剣な願いの言葉は、わたしの足を動かなくさせる程の迫真さがあった。

 

突然扉が開き、雪ノ下先輩が逃げるように部室から出てくる。

 

わたしのほうを一瞬だけ見たような気がした。

 

けどすぐに、そこに誰もいなかったかのように振り向くと、そのまま階段を上へ駆けていった。

 

わたしはまだ動けずにいた。

 

部室の中では結衣先輩が懇願するように先輩に話しかけている。

 

今、この場所に、わたしの存在は必要ない。

 

だから離れるべきなのに、足は動かない。

 

そうこうしていると結衣先輩と先輩が出てきて、固まっているわたしと目が合う。

 

わ、わ、なんか言わなきゃ……わたしは何も聞いてませんから……。

 

「あ、先輩……あー、あの声かけようと思ったんですけど……」

 

うわ、わたし超怪しい……。

 

これじゃバレるかもしれないと思ったけど、そんなことを気にしていたのはこの場でわたしだけだった。

 

「いろはちゃん?ごめん、また後でね」

 

結衣先輩が、いろはちゃんには関係ないから、とばかりに断りを入れすぐに駆け出す。

 

結衣先輩に続いて行こうとする先輩を見て、ここへ来た目的の伝えるべき言葉を思い出した。

 

「せ、先輩、今日会合休みですから!それを言いに……。あ、あと」

 

「ああ、わかった」

 

先輩はわたしの言葉を最後まで聞かずに返事をして、すぐに行こうとする。

 

おもわず先輩のブレザーを掴んでしまった。

 

少しだけの嫉妬と疎外感があった。

 

はぁ……先輩たちには仲良くしてほしいですし、ちゃんと伝えますかね……。

 

「話、最後まで聞いてくださいよ……。雪ノ下先輩なら上です!上!」

 

先輩の顔、こんなんだったっけ……。

 

目も少し赤い気がする。ほんとに泣いてたんだ……。

 

「悪い、助かる。由比ヶ浜、上だ」

 

二人はわたしを残して、特別棟の階段を駆け上がっていった。

 

今の先輩たちの前に、わたしはいないも同然だった。

 

だから、追いかけて続きを見たいとは思わなかった。

 

きっと、嫉妬と疎外感が大きくなって、虚しくなるだけだから。

 

あんな風に真剣に言葉を、想いをぶつけ合える関係。

 

それでもなお、まだ今とは違う本物が欲しいと、涙を流しながら願う先輩。

 

これまで冷めた人生を送ってきたわたしにとって、先輩たち三人の関係はとても破滅的で、愚かしくて、何よりも美しいものに見えた。

 

わたしは、こういうものに憧れていたのかもしれない。

 

この時は頭でよくわかっていなかったけど、わたしの心の奥底で燻っていた、僅かな願望に火を灯すには十分だったみたい。

 

さっきまでわたしを足止めして動けなくしていたその言葉は、すぐにわたしを突き動かす不思議な力に変わっていった。

 

そして、わたしの目の前を駆けて行った先輩たち三人の間に、これまでにわたしが諦めていた何かが見えた気がした。

 

☆☆☆

 

はぁ……また手の込んだことを……めんどくさー……。

 

以上、現生徒会長である城廻先輩から呼び出されて、わたしが生徒会長選挙に立候補していたことを聞かされた時の感想。

 

まあ、周りの女子からあまり好かれてはいないことは知ってましたけどねー。

 

ちょっと手の込んだことやりすぎじゃないですかね……ムカつくー……。

 

顔にはあまり出さないように、心の中でこんなことをした連中に悪態をついていると、城廻先輩がほわんとした顔で「どうかしましたかー?」と言わんばかりにこちらを覗き込んでくる。

 

うっ……わたし、この人たぶん苦手だ……。

 

生徒会長だからとか先輩だからとかじゃなく、このほんわかオーラには紛い物の気配がしないから。

 

そういうものが作られたものであるかどうかは、女子同士ならすぐにわかる。

 

まあだからわたしはこんな目にあっているわけなんですが……。

 

それは置いといて、女子同士ならすぐにわかるのに、男子はもう、それはもうビックリするほどに騙される。

 

まるでジャグラーにでもなったかのように手玉に取れるので、おもし……たまに気の毒になることすらある。

 

で、城廻先輩のほんわかビームは天然培養、純国産、混じり気なしの本物とわたしは判断した。

 

ということは、ですよ。

 

養殖培養、雑外国産(?)、混じり気しかないわたしの愛嬌は見透かされて、それはいいにしても本物をまざまざと見せつけられるわけで。

 

そんな人(失礼)とあまり話したくないのは当然です。

 

「あ、あのー……わたし、立候補とかした覚えないんですけど……」

 

ようやくそれだけを話すと、城廻先輩は不思議そうな表情を浮かべて首を傾げる。

 

くっ、あざと……くない!城廻先輩本物だ!もういやこの人!

 

「でも立候補の書類出てたし、公示も既に終わっちゃってるんだよねー……」

 

こうじ?工事?好事?

 

聞き慣れない言葉に対して漢字をいくつか当てはめる。

 

あ、公示か。で、それってどんな意味でしたっけ?

 

「それで、公示?が終わってたらなんなんでしょうか……?」

 

城廻先輩は真っ直ぐにわたしを見つめ、優しく諭すように話す。

 

「……もう、立候補は取り消せないってこと」

 

はー…………マジ、超めんどー…………。

 

 

それからわたしは、立候補などしていない、他人の悪ノリで勝手にされたことなんです、ということをじっくり説明した。

 

いじめられている、とは言わなかった。

 

実際にそんな酷いことをされているわけじゃないし、口にすると他人からの無責任な悪意に屈してしまうような気がしたから。

 

たぶん妬まれている、というほうが正しいんだと思う。

 

だって、自慢でもないけど、わたしは可愛いし。

 

わたしは入学して割とすぐ、葉山先輩に目をつけた。

 

この人はわたしが追いかける価値のある人だ。そう思った。

 

サッカー部のマネージャーとして、学校で一番モテる先輩を追いかける健気な後輩。

 

うん、これだ。これこそわたしに相応しい。

 

わたしが求める、わたしの姿。

 

そう考えてすぐにサッカー部のマネージャーとして入部した。

 

そんな風にして葉山先輩やおまけで戸部先輩にも近い立場にいるし、同じ学年のいろいろな男子からかなり言い寄られてることもある。

 

だから、わたしを良く思わない女子がたくさんいるんだろう。

 

でもそんなの、はいはい妬みに僻み、お疲れさまでーす、ってなもんです。わたしからすれば。

 

くだらない。

 

ちやほやされたいと思って何が悪いんですか。

 

わたしは適当に愛嬌を振りまいて、世間一般で言ういい男と青春っぽい恋愛をして、付き合って、進学して、就職して、結婚して、適当な家庭を築いて幸せになるんです。

 

それの、どこが悪いんですか。

 

……ほんと、くだらない。

 

生徒会長とかやりたくもないし、しかも信任投票。

 

落ちても嫌だし、当選しても嫌。

 

なにこれ……リスクオンリーノーリターンとか交渉の余地あるわけないじゃないですかバカなんですか。

 

けど城廻先輩曰く、立候補撤回はどうにも難しいらしい。

 

嫌ですやりたくないですわたしも被害者です、というスタンスのわたしに困り果てた城廻先輩は、平塚先生のところへ相談しに行くことを提案してきた。

 

そこで初めて知った奉仕部の存在。

 

なんでも生徒の相談事を聞いて、手助けしてくれる部活らしい。

 

はー……変わったことをやる人たちがいるもんですねー……。

 

まあ他に相談相手もいないわたしにとっては都合のよいことですし、しっかり解決してもらいますかねー。

 

城廻先輩は奉仕部のことを知っているらしい。

 

なんでも過去のイベントで何度もお世話になったとか。

 

なるほど、遊び半分でやってる部活とは違いそうですね。

 

それならますます頼りにしちゃいましょうかー。

 

特別棟の入ったことのない部屋の扉をくぐる。

 

中には結衣先輩と、噂で聞いたことのある雪ノ下先輩と、どこかで見たことがあるような気がする、変な目をした男の人がいた。

 

これが、わたしと奉仕部と、先輩との出会い。

 

これから先、わたしをあんなに変えることになる特別な出会いとはとても思えなかった。

 

 

わたしが最初に訪れた時、奉仕部はお世辞にもいい雰囲気とは言えない状態だったと思う。

 

正直なところ何を言ってるのかよくわかってなかったけど、雪ノ下先輩と先輩の意見は対立していたようだし、結衣先輩はその間で困っているようだった。

 

まあわたしが生徒会長にならなければなんだっていいんですけどね……。

 

そう思ってたのに、最終的には先輩に乗せられる形で生徒会長を引き受けることになった。

 

釈然としない部分はいくつかあったけど、一年生なのにサッカー部のマネージャーと生徒会長を兼任する健気なわたし☆という先輩の言葉は確かに魅力的だった。

 

けどその言葉を話す先輩は果てしなくうざかった。

 

わたしというブランドに更に付加価値を与えてくれる、そう思った。

 

それと同時に、そういう事を思い付く先輩に少し驚いた。

 

簡単に手玉に取れそうなタイプの男子に見えたけど、そうじゃないみたい。

 

わたしが望むわたしの姿、その方向性を理解している。

 

つまり、わたしの作っている部分を見透かした上で、それでも構わないと後押しをしたことになる。

 

先輩が何を思ってそうしたのかはわからなかったけど、そんな対応をされたのは初めてのことだった。

 

わたしの作っている性格を見透かしている人ならこれまでにもいた。

 

でも、葉山先輩のようにわかっていながら何も言ってくれないか、もしくはそういのはやめたほうがいいと、全然ありがたくもない否定をされるかのどちらかだった。

 

ただわたしのことに興味がないだけかもしれないけど、それをわかった上で認めてくれる先輩のことに、少しだけ興味が沸いた。

 

 

生徒会長選挙の依頼を通じて、わたしは奉仕部の先輩たちに好印象を抱いた。

 

三人ともろくに知らないわたしの依頼に対して、とても真剣に解決しようとしてくれたのは確かだから。

 

この人たちは利用……じゃなくて、ちょっとは信用してもいいのかなと思った。

 

だからその後、海浜総合高校とのクリスマスイベントで困り果てたわたしは、また奉仕部を頼ることにした。

 

ちょっとだけ先輩に興味があるのも確かですけど、だいたい生徒会長になったのは先輩のせいなんですからね。

 

しっかり手伝ってもらいますよー。

 

そう思って奉仕部の扉をくぐって甘えながらお願いをしたけど、奉仕部の雰囲気は前よりもさらに妙なものになっていた。

 

そのせいなのかどうかは知らないけど、先輩は奉仕部への依頼じゃなくて個人的に手伝ってくれると申し出てくれた。

 

結衣先輩と雪ノ下先輩となにかあったんですかね……。でもまあわたしが一番興味があるのは先輩だし、扱いやすいし、それでも構いませんよ。

 

そうして海浜総合高校との会合に一緒に出ることになった。

 

 

そこでの先輩はわたしが思っていたよりも、ずっと真面目で、有能で、優しかった。

 

人って見かけによらないもんですね……。

 

人にあざといとか言っておきながら、いいですって言ってるのに奪ってまで荷物を持ってくれたのはあざとくて……でも、とても嬉しかった。

 

そんな中、偶然奉仕部で三人の関係性を見ることになり、わたしは奉仕部へ、先輩たちへ、先輩へ。

 

嫉妬と疎外感と、憧れを抱いた。

 

奉仕部がいつからあったのかは知らないけど、わたしが訪れるまでの間にも、三人でいろんな時間を過ごしてきたんだなと思えた。

 

そのあとは三人で、奉仕部として手伝ってくれることになり、イベントは無事成功を収めることができた。

 

奉仕部の先輩たち三人の間に、見えない信頼のようなものが見えた気がした。

 

 

もし、わたしが一年早く生まれて先輩達と同級生だったら。

 

わたしは奉仕部の仲間に入れてたのかな、と考えてみる。

 

たぶんだけど、そうはなってないと思う。

 

結衣先輩はともかくとして、あの性格の雪ノ下先輩とこんなわたしが仲良くやれているはずがない。

 

ましてや同級生の先輩となんか、話をしている自分が全く想像できない。

 

今わたしの周りにいる、有象無象のモテナイ君と同等、もしくはそれ以下で気付きもしないかも。

 

それなら、一年早く生まれてこなかったことを幸運だと思わないと。

 

わたしが下級生だから、後輩だから、先輩たちはわたしにも目をかけてくれているんだ。

 

自業自得なところもあるんだけど、生徒会長選挙に立候補させられるというわたしの周りからの嫌がらせ。

 

そのおかげで、本来であれば繋がれることのなかった先輩たちと、か細くも繋がれたという幸運。

 

……ほんとに何がどう転ぶかわかんないもんですね……。

 

三人の間にうっすら見える気がする、わたしの憧れ。

 

わたしもそこに近づいてみたい。

 

何が見えるんだろう。

 

あるかどうかもわからないものに希望を抱き、柄にもなく胸の奥に確かな熱さを感じる。

 

こんなの、全然わたしらしくない。

 

お互いがちゃんと欺くことなく向き合う、適当じゃない人間関係。

 

作らないわたしで言いたいことを言い合えて、ぶつかって離れたりすることもあるけど、何度でもまた繋がり合える関係。

 

そんなものを、わたしも願おうとしたことはある。

 

でも、素の自分がみんなに好まれる性格ではないことを知っているわたしと、なるべく全員に好かれようとするわたしは、それを願うことを許さなかった。

 

そんなものは存在しないと妥協して、まるで何かを演じているように、ふとした時に冷めた自分を認識するという生活を送ってきた。

 

こんなわたしでも、まだ、それを夢見ることは許されるだろうか。

 

 

 

わたしもそれが欲しい、見てみたいと勝手に熱くなったわたしは、勢いに任せて葉山先輩に告白をしたけど、それは見えてこなかった。

 

葉山先輩はわたしのことを見透かしていたし、わたしも葉山先輩自身のことを見ていなかった。

 

自分でも結果はわかってたけど、止められなかった。

 

それでも、振られたという事実は悔しくて、悲しかった。

 

ただの憧れでも、葉山先輩は素敵な人だとは思っていたから。

 

告白をしたもう一つの意味は、わたしなりのケジメをつけるという意味があった。

 

あれから自分でも、本当に惹かれ始めているのは誰なのかと考え、それを否定することができなくなっていたから。

 

でも、その人はわたしなんかよりも確実に大切なものを、素敵な人たちとの関係を既に持っている。

 

そしてわたしがその間に入ることは、とても難しい。

 

無理だとしか思えない。

 

なら、間じゃなくてもその輪に入ることができたら。

 

もうわたしはわたしを抑えることができなくなっていた。

 

無理だと思っていても、なまじ見えてしまった気がするから諦めきれない。

 

先輩たちと一緒にいれば見えるのかな。

 

結衣先輩は誰よりも暖かくて、分け隔てなく優しくて、可愛い。

 

雪ノ下先輩はちょっと怖いけど、誰よりも芯が通っていて、かっこよくて、美人。

 

先輩はさほどかっこよくもないし、口は悪いし、ぶっきらぼう

 

だけどクレバーなように見えて、内心では熱い何かを持っていて、たまに優しくて、素のわたしも作ったわたしも認めてくれる。

 

奉仕部の先輩たちはみんなわたしにはないものを持っていて、だからこそわたしは憧れ、惹かれている。

 

わたしをこんな風に思わせたのは……先輩ですからね?

 

責任、取ってもらってもいいですか。

 

わたしも、それが欲しいんです。

 

あのときの扉一枚の向こう側へ、わたしも行けますか?

 

三人の間には、わたしの持っていない、何があるんですか?

 

もう少しだけ近くにいけば、それは見えますか?

 

先輩。

 

【わたしが】

 

奉仕部へ行きたいわたしがいるのは確実なんだけど、自分の先輩への想いがどうなのかは、まだはっきりよくわからない。

 

惹かれ始めていることは事実だけど、そもそも先輩なんか全然タイプじゃない。

 

わたしの望むわたしが、というわけじゃなくて、なんというか、見た目とか、性格とか……いろいろ。優しいとこは好きだけど。

 

わたしが実際に気に入るのは、やっぱりもっと葉山先輩みたいな……甘いマスクをしているか、誠実そうな印象の人だ。

 

先輩は……どっちも当てはまりませんよね……。

 

性格が誠実でないというわけではないんだけど、とてもそうは見えないですね……。

 

はー、なんであんな人に惹かれ始めてるんですかね、わたしは……。

 

だからその確認と、奉仕部の関係性の調査を兼ねて、結構無茶だったけど依頼という形にして先輩をデートに誘った。

 

依頼にあたって葉山先輩をダシに使ってしまったことは少し心苦しかったから、練習をしている葉山先輩を見ながら心の中で謝った。

 

でもこうでもしないと、この人ほんと外に出ないみたいなんですよ……ほんと面倒な人ですねー……先輩は。

 

その時に安パイとか伏兵とか言っていると、結衣先輩と雪ノ下先輩が意味ありげな反応を示した。

 

結衣先輩はわかりやすすぎるから今さらなんですけど、やっぱり雪ノ下先輩もそうなんですか……?

 

えー、先輩なんでこんな可愛い二人に、そんな……。

 

でもそうなら先輩にはわたしの知らない、いいところがきっとあるに違いない。

 

ならわたしももう少し、先輩を知りたい、近づいてみたい。

 

そう思ってデートへ向かった。

 

確かに先輩は人と違っていた。

 

これまで適当に遊んだ男の子とは、全く全然まるっきり違っていた。

 

結果は10点だった。

 

いや、葉山先輩じゃない分はオマケして20点かな。

 

そもそも、素敵な先輩たちが二人いるのに、わたしに誘われてノコノコ出てくるのがよくないです。

 

デート中の先輩の言葉とか行動はもう、だいたい最悪だった。

 

映画を別々に見ようとするとか、ほんとバカじゃないんですか……。

 

そんなだから結衣先輩とも雪ノ下先輩とも、恋愛的な進展はあんまりしてなさげだったんですね……。

 

心中お察しします、お二方。

 

でも……なんだかんだ、楽しかった、かな。

 

デート中はいろいろあざといわたしも見せたし、割と素のわたしも見せた。

 

それでも先輩は、どちらのわたしもちゃんと認めて普通にしてくれたし、意外とわたしの細かいところを見てくれていた。

 

不思議と心地好い気分になれた。

 

だからデート中は、次もあるかもしれないですよ、というようなこともしっかり匂わせておいた。

 

うん、これは我ながらあざといですね。

 

最後に、先輩も参考にしてくださいね、と忘れず伝えたときに胸にちくりとしたものを感じた。

 

その時点で、ん?と思ったんだけど、そのあと先輩と別れてから点数は70点まで上がった。

 

それは、初めてわたしが見えなくなる最後まで見送ってくれた男の人になったから。

 

これまで遊んだ男子は、わたしと別れを済ませるともう興味は失せたとでもいうように、最後まで見送ることなく途中で去っていた。

 

見えなくなる別れ際に振り返ると、わたしが見ることになるのはいつも後ろ姿だった。

 

それは、わたしにとってとても悲しいことだった。

 

愛嬌を振りまかないわたしには興味がないと言われたようで。

 

でも、わたしは今日、別れ際に先輩の後ろ姿を見ることはなかった。

 

たったそれだけのことで50点もあげるのは甘いですかね?

 

でも、わたしがそう感じたんだからしょうがないですね。

 

結論。

 

わたしはかなり、先輩に惹かれつつある。

 

むー……まずいです、かね……これは……。

 

先輩たちの求める本物。

 

そこにわたしはどこにもいない。

 

だからわたしが先輩を好きになったところで、先輩たちからすればきっと邪魔なだけ。

 

わたし自身も、先輩たちの邪魔をしたいとは思ってない。

 

でもわたしは……先輩の傍にいたいと思い始めた。

 

ここで自分の気持ちを抑えて全て諦めることができれば楽なんだけど、わたしにはもうそれはできない。

 

わたしはわがままなんです。少し近づくだけだから、許してください……。ご先輩方。

 

だったら、わたしがやれる手段は。

 

好意を悟られないように、先輩の傍にいるようにする、ですかね……。

 

先輩はわたしから明らかな好意を向けられると、きっと避けようとすると思う。

 

そうなるともう奉仕部へは行きにくくなる。先輩たちを近くで見ることができなくなる。それは困る。

 

わたしは今、完全に先輩の恋愛対象外だからあそこにいれる、とも言える。

 

うっ……現状を確認して想像しただけなのに、結構辛い……。

 

わたしは先輩に、めんどくさくない女の子なんていないですよって言ったけど。

 

すいません、わたしももれなくめんどくさい女の子の仲間入りみたいです。

 

あの時は、自分はそこまでめんどくさくないですけどね、って意味も含んだ言葉のつもりだったんだけどなー……。

 

でも、先輩も間違いなくめんどくさい人だと思いますよ。

 

あ、そうか。

 

先輩の言ってためんどくさい人間がそもそもいねぇってのが正しいんだ。

 

人間って、人間関係ってめんどくさいですね、先輩。

 

先輩たちの望む本物って、どんなものなんでしょう。

 

ほんと、面倒。

 

わたし。

 

☆☆☆

 

それからも、用もないのに奉仕部に入り浸って先輩を、先輩たちを見ていると、一緒にいたいという思いがどんどん強くなってきて何かせずにはいられなくなってきた。

 

だから、しばらくの時間を置いてまた、まだ依頼は終わっていないとかなんとか理由をつけて先輩をデートに誘った。

 

明日は千葉じゃなくて先輩の近場でも構いませんよと提案すると、すぐに近場にしようそうしようと答えが返ってきた。

 

知り合いの少ないところに、とも考えたけど、前みたいにニアミスすることはそうそうない……ですよね。先輩は知り合いがそもそも少なそうですし。

 

そんなに遠出が面倒ですかそうですか、と思わないこともなかったけど、正直なところ今は先輩と行けるなら割とどこでもよくなっていた。

 

待ち合わせ場所で先輩を待っていても全然落ち着かない。

 

な、なんでこんなにソワソワしてるんですかねわたしは……。

 

とりあえず、あんまり意識しすぎはよくない。

 

あくまでわたしも先輩も予行演習という名目なんだから、あまりおかしな態度にならないようにしないと。

 

先輩に避けられることになっては目も当てられない。

 

そんな想像しただけで胸が締め付けられる気がする。

 

これは……こんなに苦しいもんなんですか、人を好きになるのって……。

 

結衣先輩と雪ノ下先輩のことを思い浮かべる。

 

二人は奉仕部でどんな気持ちなんだろう。

 

嫌になったり、しないのかな。しないんだろうな。

 

わたしの狭い価値観と、先輩たちを一緒にするのは失礼なことなのかもしれない。

 

頭を振って先輩たちのことを考えないようリセットする。

 

とりあえず、今日はわたしから誘ったんだし、楽しんでもらって、楽しまないと。

 

あ、先輩だ。

 

もう歩く姿勢からして超卑屈っぽいからすぐにわかっちゃいますね……。なんて悲しい発見方法。

 

でも、ちゃんと来てくれたことが嬉しくて自然と笑顔になってしまう。

 

「おす。お前早いな、今日は。待たせたか?」

 

「はい。超待ちました」

 

「……それこないだのお返し?」

 

「そうですよー。先輩待たせるとうるさいし」

 

ほんとは緊張してたせいか変な時間に起きてしまい、早く出すぎただけなんだけど黙っておこう。

 

「あー、そう……。んで、今日はどこいくの」

 

相変わらずノープランなんですか……。先輩たちのための予行演習だって言ってるのに、わかってます?

 

「はー……相変わらず仕方ないですね……。歩きながら考えましょうか」

 

「おう、いいぞ」

 

なんでこんなに偉そうなんですかこの人……。

 

並んで町を歩き始める。

 

高いヒールのついたブーツを履いているので、いつもより先輩の顔が近い。

 

あれだけさほどかっこよくはないと思っていた顔が、今では精悍な顔にすら見える気がする。

 

やだ、わたし怖い……絶対病気ですよこんなの……。

 

もしくは麻薬。気がついた時にはどっぷり浸かっている感じ。

 

「そうだ先輩。今日は映画見ましょう。一緒に。同じものを。一緒に」

 

一緒に出掛けて別のものを見るという選択をする、ふざけた先輩の思考は正さないといけない。

 

同じものを見るから、そのあとも内容について話せるのに。

 

「二回も言うなよ……。見たくもないもの見なけりゃならんのか……」

 

「いえ、先輩が見たいのでいいですよ。わたし、割となんでも楽しめますし」

 

まあ、一緒に見る相手によるんですけどね。

 

「おお、そうか……。それなら、まぁ……」

 

「じゃあ、行きましょっか」

 

「へーい……」

 

相変わらず渋々な感じだけど、目的地が決まると先輩はわたしを先導して歩いてくれる。

 

しかも、歩く速度はわたしに合わせて。

 

おとなしく黙ってついていくだけなんだけど、それが不思議と心地好い。

 

今までどの男の子と歩いても、こんな気持ちになることはなかった。

 

そんな自分の変化に驚きを感じる。

 

案外、わたしの人生もいろいろあるもんですね。

 

「なんか口数少なくないか」

 

「あ、あんまり気にしないでください。先輩に面白い会話は期待してませんから」

 

「そうだな。俺にそんなん求められても困る」

 

自慢気に話す先輩は、少しだけ楽しそうに見えた。

 

「開き直るのはどうかと……。でも、先輩とだと沈黙はあんまり気になりませんね、わたしは」

 

「……そりゃ助かる」

 

「わたしが優しいからですよ。感謝してくださいね?」

 

上目遣いで、わざとらしくはにかんだ笑顔を作る。

 

うまく、出来てるかな。

 

「はいはい、あざといあざとい」

 

先輩は頬を染めながら斜め上に視線を逸らす。

 

ちょっとは効いてるのかな?

 

よくわかんないけど、その行動をした自分が急に恥ずかしくなってきた。

 

誤魔化すために無難な質問をしてみる。

 

「……な、何見るつもりですか?先輩」

 

「お、おぉ……行ってから考えるわ……」

 

「……はい」

 

なんかぎこちないなー……わたしも。

 

というかわたしのせいですね、これは。

 

先輩は前とそう変わってないし、だったら変わったのはわたしのほうだ。

 

でもまぁ、デートっぽいし、これでもいっか……な。

 

 

それから映画を見て、お昼御飯を食べて、ちょっとした買い物をして、カフェに行って。

 

一回目とあまり変わらないけど、わたしは前よりも楽しい時間を過ごすことができた。

 

先輩もわたしと行くのは二回目だから慣れたのか、少しだけ進歩していて驚いた。

 

いや、普通なんですけどね……先輩は元が全然普通じゃないので。

 

先輩の見たいと言った映画は少し難解なミステリーもので、先輩の横顔を見ていた時間も長かったわたしにはあまり理解ができなかった。

 

だから内容についてあれこれ質問をすると、先輩らしからぬ饒舌さでいろいろと説明してくれた。

 

わたしは映画そのものよりも、そのあと先輩の話を聞いてる時のほうが楽しかったけど、先輩もそれなりに満足して頂けたようで何よりです。

 

今回のお昼御飯はラーメンでなく、なんと先輩から意外な店、オムライス専門店を提案された。

 

理由がここなら小町ちゃんときたことがある、というのが悲しかったけど、まぁ及第点ってとこですかねー。

 

でも女子はパスタとかアボカドとかオムライスとか行っときゃ文句言わねぇんだろ?って態度が透けて見えたのは減点ですよ、先輩。

 

いろいろと楽しかったけど、その時間ももうすぐおしまい。

 

帰り道を歩いていると、以前にはなかった別れの寂しさを感じる。

 

「……で、今日は何点?」

 

「んー……75点……ですかね!」

 

「うおっ、前回の10点からえらい上がったな……。何がそんなによかったんだ……」

 

「先輩はあんまり変わってませんよ。変わったのは、わたし……なんでしょうね」

 

「そうか……」

 

葉山先輩じゃない分のマイナス10点と、わたしに呼ばれてついてきた分のマイナス50点は今回なしですから。

 

言動のマイナス40点は同じですけどね。

 

それで、前よりもわたしは楽しかったから、プラス15点。

 

別れの場所が近づいてきた。

 

これからわたしは駅に、先輩は停めている自転車のほうへ歩いていく。

 

「ありがとうございます、今日も参考になりました。……先輩も、参考に、してくださいね」

 

前と同じ言葉なのに、前とは全然気持ちが違う。

 

こんなこと言いたくないと思ってしまった。

 

「おお……ありがとな」

 

「じゃあ、また」

 

「気を付けて帰れよ」

 

別れの挨拶をして、駅に向かって歩く。

 

もうそろそろ見えなくなるかな、という距離になったところで振り返ると。

 

先輩は、やはりまだ見てくれていた。

 

些細なことかもしれないけど、凄く嬉しい。

 

胸の前で小さく手を振ると、先輩も小さく手を振ってくれた。

 

また駅に向かって歩こうとしたけど、足が動かなくなった。

 

ダメだ。もう少しだけ、先輩と一緒にいたい。

 

先輩のところへ戻ろうと決め、振り返って走ろうとしたとき、右足のブーツの踵が取れて派手にすっ転んでしまった。

 

「きゃっ!」

 

いった……痛い!超痛い!

 

右足を派手に捻ったようだ。

 

なんでこんな時にヒール取れるの……もう!

 

いたいいたいいーたーいー……周りの人もじろじろ見てはいるけど誰も助けてくれないし……。

 

晒し者になっているようで惨めな気分になり、涙が滲んできた。

 

うぅ……かっこ悪い……わたし……。

 

座り込んだ体勢で痛みと羞恥心と戦っていると、先輩が走ってこっちに向かってきていた。

 

せ、先輩ぃ……。

 

「おい、大丈夫か一色」

 

「超痛いです先輩……助けてください……」

 

「ちょ、道の真ん中だしとりあえず移動するか。立てるか?」

 

「わたしだけじゃ無理です……」

 

「肩貸すから、ほら」

 

先輩はしゃがみこんでわたしの腕を取り、自分の肩へ回す。

 

もっとドキドキするかと思ったけど、痛くて痛くてそれどころじゃなかった。

 

でも先輩の手が、わたしの腰のあたりに触れると驚いてビクッとしてしまった。

 

「ど、どこ触ってるんですか先輩!」

 

「触らないと支えれねぇだろが……すげぇ注目されてるし……ちょっと我慢しろ」

 

そういうと先輩はわたしの体を支えて、わたしごとぐっと立ち上がる。

 

右足は痛くて地面につけないから、片足で立っている格好だ。

 

「ちょっと、そこの座れるとこまで行くぞ」

 

「はい……」

 

わたしがけんけんみたいになってるから先輩も歩きにくそうだ。

 

わたしも一歩進むその衝撃で足が痛む。いたいいたいいたいよぅ……。

 

なんとか座れるところまで移動すると、先輩はわたしをゆっくり座らせる。

 

「捻ったのか?ちょっとブーツ脱いでみろ」

 

「わかりました……」

 

ちょっとした刺激で激痛になるので、ブーツを脱ごうとするだけでも一苦労だった。

 

ちょっと先輩、その角度、スカートの中見てないでしょうね……。

 

「うおっ、割と腫れてんな……。折れては……ないよな」

 

「折れてはないかと……たぶん。でも超痛いです歩けませんー……」

 

肩を貸してもらったとしても、物凄く時間がかかりそうだ。

 

タクシーとか使うしかないですかねー……。

 

「んー……病院ももうやってねぇしな……。……ちょっと待ってろ」

 

先輩はわたしの返事を待たずに小走りで駆けていった。

 

「ちょ、ちょっと先輩、どこ行くんですかー!」

 

よくわからないけど置いていかれた。

 

うぅ……もうちょっと説明してくださいよ……。

 

そう思っていると、先輩は自転車に乗ってすぐに戻ってきた。

 

「乗れ。うち行くぞ、近いし」

 

「え、なんでですか……?」

 

「なんでって、うちなら湿布なんかもあるし、ゆっくり座れるだろ」

 

「は、はー……でも、悪くないですかね、そんなの……」

 

というかですねー、先輩の家とかちょっと心の準備が……。

 

いや、先輩ともっといたいからそれはいいんですけど……。

 

「親は旅行でいねぇから気にすんな。小町はいるけど」

 

「あ、小町ちゃんはいるんですね……。残念なような、そうでもないような……」

 

「何言ってんだお前……。どうすんだ、嫌なのか?」

 

「あ、う、あー……行き、ます」

 

なんか押し切られたような感じが……。

 

先輩わたしを家に連れ込んで何する気なんですか!?

 

絶対にないんだろうなぁ、それは……はぁ……。

 

「うし、じゃあ行くか。ほれ」

 

そう言って先輩は先程と同じ格好で肩を貸してくれたので、わたしはなんとか自転車に座ることができた。

 

「行くぞ」

 

「はい」

 

ゆっくりと自転車が進み始める。

 

先輩の体にしがみつけば楽なんだろうけど、恥ずかしくてとてもできないから、わたしは荷台を掴んで座っていた。

 

そこらの男子なら気軽にボディタッチぐらい、なんでもないのに……。

 

ちゃんと好きになると、わたしもこうなっちゃうんですね……。

 

自分のうぶな感情を自覚して、可笑しくなってしまう。

 

わたし、変わりすぎでしょー……。

 

先輩の背中、やっぱり男子なんですねー、細身でも大きいなぁ。

 

んー……さっきから段差を越えて振動が起こる度に足が痛いんですが……。

 

「すいません先輩、振動はちょっと控えてもらえますか……」

 

「いや、最初から気をつけてるんだが、どうしても多少はな……悪い」

 

「あ、気を使ってもらってたんですね……すいませんほんと……」

 

失礼なことを言ってしまった。

 

反省するところなんだけど、先輩に気を使ってもらえていることを知って、嬉しいという気持ちのほうが強い。

 

ヤバいなぁこれ……。なにがヤバいって、なにがですかね……。

 

つまらないことを考えていると、先輩から話しかけられた。

 

「……足、まだ痛いよな」

 

「はい……ちゃんと歩ける気がしません……」

 

「もう着くから、うちでちょっと休んでけ。帰りは……まぁ、また落ち着いて考えるか……」

 

「そうします……」

 

先輩の家に着いたらしい。

 

先に降りてから先輩が自転車を停めるのを待ち、また肩を借りて玄関の扉をくぐる。

 

うわー、先輩のおうちだー……。

 

意味もなくドキドキしてしまう。なんですかこれなんですかこれ……。

 

「小町ー、ちょっと来てくれー」

 

「はいよー?おかえりー」

 

リビングから出てきた小町ちゃんが、肩を組んでいるわたしと先輩を見比べて目をぱちくりさせる。

 

「な、何これ、お兄ちゃん……」

 

「一色だ、イベントで会ったし知ってるだろ」

 

「うん、知ってるけど……なんで肩組んでるの?」

 

「ああ、こいつ足捻ったから」

 

「はー、なるほどー……」

 

小町ちゃんはようやく合点がいったのか、わたしに声をかけてくれる。

 

「お兄ちゃんがごめんなさい。さあさ、汚いところですが上がってください」

 

「お邪魔してごめんね、小町ちゃん」

 

「いえいえー、とんでもない!責任はちゃんと取らないとですよ!救急箱取ってくるんで待っててください!」

 

「小町ちゃん、俺が怪我させたって前提になってない?おかしいよねそれ?」

 

ぶつぶつ言っている先輩を尻目になんとかブーツを脱ぐと、先輩の肩を掴んでリビングまで移動しソファに座った。

 

はー、疲れた……。ここが先輩が普段過ごす場所かー……。

 

「一色。冷やしたりとかそういうのは小町にやってもらえ。俺がやるのは、その、あれだからな……」

 

先輩は恥ずかしそうに言い淀む。

 

「は、はい……」

 

というかそんなの恥ずかしくてわたしも無理です……。

 

リビングに気まずい沈黙が流れていると、救急箱を取ってきた小町ちゃんが入ってきた。

 

「お待たせでーす、ってあれ。なんで二人はそんなに離れてるんですか……?」

 

「あはっ、な、なんでもないよ小町ちゃん!」

 

小町ちゃんの目がキラーンと光った。気がした。

 

「そうですかそうですか……。ねぇお兄ちゃん、捻挫って最初冷やしたほうがいいんだよね?」

 

「おお、腫れてるからそうだな。腫れが引いたら暖めるほうがいいって聞くが」

 

「じゃあまずは……冷やさないとですね!氷準備しまーす。生徒会長……さんは、座っててください」

 

「いろはでいいよ、小町ちゃん」

 

「じゃあ、いろは先輩って呼びますね」

 

「うん」

 

小町ちゃんに笑顔を向ける。

 

なんて良くできた妹さんなんでしょう……。

 

テキパキと動くし、可愛いし、愛嬌もあるし、人懐っこいし。

 

小町ちゃんといて先輩はなんでああなるんですかね、全く……。

 

「あ、いろは先輩。冷やすからタイツ脱いだほうがいいんじゃないですか?」

 

「あ、そうだね……」

 

ほんといろんなとこに気が回るなぁ、小町ちゃん……。

 

チラリと先輩に目だけを向ける。

 

「……俺、部屋戻るわ。小町、飯の時また呼んでくれ。あー……よかったら、一色もついでに晩飯食ってくか?作るの俺じゃねぇけど」

 

「おー、小町は全然オッケーですよー。お兄ちゃんと二人のご飯はもう飽きましたし」

 

「あ、いや、それはさすがにご迷惑じゃ……」

 

「いーえいえー。全然気にしないでください!いろは先輩さえよければ、ですけど」

 

小町ちゃん結構押し強いなー……どういうつもりなんだろう。

 

でもまぁ、せっかくの先輩のお誘いですし、ご一緒しよう……かな。

 

「じゃ、じゃあ。お言葉に甘えて……」

 

「わーい!小町美味しいもの作っちゃいますよー」

 

「ほんじゃ、部屋にいるわ」

 

「はーい、できたらまた呼ぶよ、お兄ちゃん」

 

小町ちゃんが氷を袋に入れて、簡易アイスノンのようなものを作ってくれている間にわたしはタイツを脱ぐ。

 

先輩の家で服を脱いでいると考えると無駄に緊張してしまう。

 

顔赤くなってないかな……。

 

「はい、いろは先輩。15分ぐらい冷やすといいらしいですよ。」

 

「ありがとー小町ちゃん。ごめんね、お世話になっちゃって」

 

「いえいえー、気にしないでください。お兄ちゃんがお世話になってるみたいですし。で、お兄ちゃんとはどういうご関係で……?」

 

小町ちゃん、なんか目がちょっと怖いよ!

 

「え、どういうって……先輩と、後輩?」

 

「今日デートしてたのに、それだけですか?」

 

小町ちゃんは違うでしょう?という怪訝な目をこちらに向けてくる。

 

「んー……わかっちゃうもん……なのかな?」

 

「はいー。いろは先輩の態度見てたら、なんとなく、ですけどねー」

 

この子が鋭いだけなのか、回りから見たらバレバレなのか……どっちなんだろう……。

 

「じゃあ……たぶん、先輩のことが好き、かな……」

 

「そんな、正直に言われるとこっちが照れちゃいますよー……」

 

小町ちゃんはわざとらしく両手を頬にやり首を振る。

 

面白いなぁ、この子……。

 

「でもまぁ、わたしじゃ無理なのもわかってるから。見てるだけだよ」

 

「えー、そうなんですか?お兄ちゃん結構意識してるみたいですけど」

 

「あはは、わたしもそれはちょっとは思うけどね。先輩には、もっと大切なものがあるはずだから……」

 

「……結衣さんと、雪乃さん、ですか?」

 

「小町ちゃんも知ってるんだね……。そうだよ」

 

「でもでも、応援してほしいときは小町は応援しますから!そうだ、アドレス交換しときましょう!」

 

はしゃぐ小町ちゃんを見ながら携帯を取り出す。

 

予想外の展開で先輩の家に来ることになり浮かれていたけど、小町ちゃんとの会話で、少しの間忘れていた事実を思い出す。

 

どれだけ先輩のことが好きでも、わたしの想いが先輩に受け入れられることは、ない。

 

さっきからずっと冷やしているのに、足首の痛みはまだ引かない。

 

ずきずきと感じているのは足なのか、心なのか。

 

自分でもどちらかわからなくなった。

 

【わたしから】

 

アドレスの交換を終えると、小町ちゃんは晩御飯の調理に取りかかり始めた。

 

わたしも手伝うべきなんだろうけど、この足じゃ邪魔にしかならない。

 

おとなしくしとこっと……。

 

小町ちゃんは手際よく料理を次々と作り上げていく。

 

「ほぇー、凄いねー。わたしもお菓子だけじゃなくて料理練習しないとなー」

 

「両親がいつも遅いんで慣れちゃいましたねー。じゃあそろそろお兄ちゃん呼んできますねー。あ、いろは先輩は座っててくださいね、お兄ちゃん来たら椅子にいきましょう」

 

「うんー、ありがとー」

 

完璧だ、小町ちゃん。

 

あんな子ならわたしも妹に是非欲しいです。

 

あ、先輩と………………いやいや、発想が飛躍しすぎだから。

 

もはや妄想ですね妄想。

 

なんかどんどん変になっていくなぁわたし……。

 

性格いいあざとい可愛いわたしがどんどん薄まっていく。

 

変なことを考えていたら、部屋着に着替えた先輩がリビングに戻ってきた。

 

もう外には出るつもりないってことですかね……。

 

あれ、小町ちゃんは?

 

「一色、足どうだ?多少ましになってきたか?」

 

「間隔あけながら冷やしてるんですけど、まだ腫れてますねー。でもさっきより痛くはないです」

 

「歩けるか?」

 

「ど、どうでしょう……ちょっとやってみます」

 

ソファから立ち上がろうとしてみる。

 

「いたっ!いったい!超いたいー…」

 

床に右足をついた瞬間激痛が走って、ソファにまた座り込んでしまった。

 

「やっぱそんなに簡単にはよくならねぇか」

 

「みたいですー……」

 

「じゃあご飯にしましょーかー。今日は和食だよー」

 

リビングに戻ってきた小町ちゃんが元気に口を開く。

 

「おう。一色、こりゃ今日は歩くの無理だな。飯食ったらタクシー呼ぶか。それでいいな?」

 

「あれ、いろは先輩泊まるんじゃないんですか?」

 

「え?」

 

「あ?」

 

先輩とわたしが同時に驚嘆の声をあげる。

 

「なんでそうなるんだ小町……。大体こいつどこで寝るんだよ」

 

「お兄ちゃんのベッドじゃないの?」

 

「じゃあ俺はどうなる」

 

「だから小町、お兄ちゃんの部屋に布団敷いてきたよ?」

 

ど、どんな思考と行動力してるの小町ちゃん……。

 

「……アホかお前は。だいたい一色が泊まる理由がどこにあんだよ」

 

「いろは先輩歩けないし、タクシー呼ぶとお金かかっちゃうし。それに小町がいろは先輩とお話したいからだよー。目指してる高校の生徒会長さんだし。だから、小町のお客さんだよ」

 

「そうきたか……なら……お前が相手しろよちゃんと。俺は知らねぇからな」

 

「ダメだよーお兄ちゃんもいてもらわなきゃ。だって小町じゃいろは先輩支えてあげられないもん」

 

「む……ならせめて、寝る場所は……」

 

「お兄ちゃんの部屋じゃなきゃ布団敷けないし。いろは先輩一人で寝てたら、夜トイレとか行きたくなったらどうすんの」

 

「う……ぐっ……」

 

せ、先輩が押されてる……。

 

あのー、でもわたし意思確認もされてないし、口も全く挟めてないんだけど……。

 

なのに話はどんどん進んでいく。

 

「というわけで、明日までうちで休んでいくってことで、いいですよね?いろは先輩?」

 

小町ちゃんは先輩から見えないようにわたしにウインクをする。

 

あざとい!ていうか超強引!なんなのこの子!

 

たぶんさっきの話を聞いて、小町ちゃんなりに応援してくれてるんだろうな……。

 

振り向いてもらえるとは思ってないけど、わたしは先輩といるの嫌じゃないわけだし、うーん……。

 

「嫌なら遠慮なく言えよ。小町の戯れ言に無理に付き合わなくていいぞ」

 

せっかく小町ちゃんが強引にお膳立てしてくれたんだし、先輩のことをもっと知れるチャンスだと思うことにしよう……かな。

 

……超恥ずかしいけど。

 

「先輩は……迷惑、じゃないですか……?」

 

いつもの意識してやるやつじゃなくて、恥ずかしくて俯き加減だから自然と上目遣いになってしまった。

 

「め、迷惑かと言われると、そうとまでは言わねぇけど……」

 

「わーい、じゃあ決まりですね!いろは先輩ゆっくりしていってくださいっ」

 

あはは、なんかもう、あれですよあれ。

 

なるようにな~れ、って感じ。

 

 

とりあえずほとんど自動的に話がまとまったので、夕食の時間が始まった。

 

小町ちゃんの作ったメニューは、筑前煮と鯖の塩焼きとほうれん草のごま和えとお味噌汁。

 

な、なにこの家庭の夕食感。小町ちゃんレベル高い……。

 

緊張しながらも、先輩の家で夕食を一緒に食べる時間は幸せで楽しかった。

 

夕食後、しばらくすると先輩は風呂行ってくるわと言い放っていなくなり、わたしは片付けをしている小町ちゃんとリビングに残された。

 

家には友達のところに泊まるって連絡したけど、どうしようかなぁ、いろいろ。着替えとか。

 

「いろは先輩、お風呂入ってもらう間に小町買い物行きますけど、何が必要ですか?歯ブラシと下着は考えてるんですが……」

 

あーんもう、ほんと小町ちゃんマジ小町ちゃん。

 

「ほんとありがとー小町ちゃん。化粧道具は持ってるからー、メイク落としとか化粧水は……借りちゃっていいかな?」

 

「はいもうママのでもなんでも、遠慮なく使っちゃってください」

 

「じゃあ、それぐらいかなー。あ、着替えどうしよう。わたしはこのままでもいいんだけど、着替えずに先輩のベッドに寝る……の、嫌がるかな?」

 

先輩のベッドに寝るって……よく考えたらすごいことやるんですね、わたし……。

 

口に出すだけでも照れてしまう。

 

「あー、そうですね、どうしましょう。お兄ちゃんのジャージでもいいですか?洗ったばかりのやつならありますよ」

 

「それは……いいの、かな……」

 

「大丈夫です、いろは先輩脱いだらすぐ洗いますから!お兄ちゃんに変態行為はさせません!」

 

「あ、いやそうじゃなくて……まぁ、うん……先輩がいいなら、それで……」

 

「じゃあ用意しときますねー」

 

「小町ちゃんなんかこういうの慣れてる?もしかして他にも、わたしみたいに泊まりにきたりとか、あるの?」

 

「いえー、そんなことないですよ。お兄ちゃんが女の子家に連れてくるとか、初めてです」

 

「そっかー」

 

そっか、初めてか……。

 

なんなんですかね、わたし今、凄く嬉しいです。

 

一人でニヤニヤしていると先輩がお風呂から戻ってきた。

 

なんかもわもわしてて、頬も紅潮してる。

 

髪がペタッてなっててちょっと可愛い。アホ毛は健在。

 

新鮮ですねーこれは……写真取りたいな……とか思いながらじろじろ見ていると顔を背けられた。

 

「あんまじろじろ見んなよ……。そういやお前風呂どうすんだ、入んのか?」

 

「え、入っちゃまずいですか?」

 

「いやまずいっつか、捻挫腫れてるならあんま温めないほうがいいだろ。入るにしてもシャワーにしとけよ」

 

「なるほどー……。じゃあ、そうしときます」

 

「お兄ちゃんいろは先輩をお風呂に案内しといて。小町ちょっと買い物でるからー。あ、タオルとか着替えなんかは後で持ってきますねー」

 

「おー、わかった。んじゃ一色、行くか」

 

「は、い」

 

先輩の肩を掴んで立ち上がり、そのままなんとかお風呂まで移動する。

 

「使い方、わかるよな?」

 

「はいー、うちとあんまり変わんないんで大丈夫ですー」

 

「じゃ俺リビングいるから、なんかあったら呼べ。何かできる気はあんまりせんけど……」

 

「あ、はい……たぶん、呼びませんから……」

 

「じゃ」

 

脱衣場で一人になる。

 

ふ、服脱がなきゃ、だよね……。

 

あわわわ、超恥ずかしい超緊張するなにこれなにこれ……。

 

ゆっくりとぎこちない動きで服を脱いでいく。

 

見られているわけでもないのに、一枚脱ぐ度に羞恥心が増してくる。

 

下着を脱ぐのはもの凄く抵抗があったけど、片足のままでなんとか脱いでお風呂に入った。

 

捻挫した箇所を温めないように足を伸ばしてシャワーを頭から浴びていると、湯船のことが気になり始めた。

 

先輩の浸かったお湯………………。

 

つ、浸かるのは足にも悪いし無理だけど……手ぐらいなら……。

 

ゆっくりと指先からお湯に沈めてみる。

 

……うーん……普通の、お湯ですね……そ、それは当たり前か……。

 

………………。

 

顔、つけちゃおうかな……ちょ、ちょっと、ぐらい……。

 

ゆっくりと湯船に顔を近づける。

 

やだ、わたし超変態っぽい……ていうか変態以外の何物でもないですね……。

 

すんでのところで踏み留まれた。あ、危なかったー……。

 

変な汗かいちゃった……さっさと体を……。

 

「おい、いっし……」

 

「ぎゃああー!!!」

 

「おわぁー!な、なんだっ!」

 

扉が動く。

 

「開けちゃダメーっ!なんでも、なんでもないですっ!」

 

「わ、わかった……けどあんまり騒ぐなよ……近所に聞こえたらどうすんだ……」

 

「な、なんで先輩がいるんですか!覗きですか!?はっ!わたしの服漁りにきたんですか!?死にますか!?」

 

「お前は俺をなんだと思ってんだ……。俺の服を洗濯機に入れるついでに問題ないか聞こうとしただけだ……」

 

「そ、そうですか……だったら問題ないですから、早く出てってくださいよぉー……」

 

「お、おお、すまん……」

 

は、恥ずかしすぎて死にそう……。

 

どんな顔してお風呂から出たらいいんですか、もう……。

 

これ以上お風呂にいるとのぼせそうだし、さっさと体と頭洗って出よっと……。

 

わたしがお風呂に入ってる間に、小町ちゃんがタオルとかお泊まり用の歯ブラシとか、替えの下着とか着替えを用意してくれていた。

 

なにからなにまでもう……助かるなぁ。

 

下着を履いて先輩のジャージに足を通す。当然サイズは合わないので腰紐を引っ張って調整する。

 

ブラは……しとくべきですよね……。

 

たぶん部屋に行くときに先輩の肩借りるから……。

 

上を羽織って匂いを嗅いでみる。

 

先輩の匂いは……別にしませんね……。

 

でも、他所の家の匂いがする。

 

あ、わたしすっぴんだけど……もともとメイク濃くないし、まぁいっか……。

 

不思議な感じー。なんでこんなことになってるんでしょうね、全く……。

 

こんなに心を動かされてばかりの日は、わたしの人生で始めてかもしれないと思った。

 

☆☆☆

 

お風呂からあがった後は、三人で、たまに二人になったりもしながらリビングでお話をしたりゲームをしたりして時間を過ごした。

 

先輩と小町ちゃんはとても仲がよさそうで、見ているわたしも嬉しくなった。

 

先輩って、家だとこんな感じなんですねー。

 

ちゃんと話もするし、学校ではあまり見ることがない表情も浮かべていた。

 

今まで知らなかった先輩の姿を見て、もっと好きになっている自分がいるような気がした。

 

「もうこんな時間ですねー、そろそろ寝ますか?」

 

「おお……そうだな、寝るか……」

 

つ、ついにこの時が……先輩の部屋……。

 

「じ、じゃあ行くか……階段登らせて悪いが……小町も手伝え」

 

「ほーい、いろは先輩、行きましょー」

 

「うん……」

 

三人がかりでなんとか二階まで上がり、先輩の部屋のベッドに体を投げ出すように倒れ込む。

 

はー、はー、疲れた……。片足ってすごい大変……。

 

「じゃあ小町は部屋に戻るねー。お兄ちゃん、変なことしないでよ。いろは先輩、この兄に何かできるとは思えませんけど、何かあったら大声で叫んでくださいね」

 

「人聞きの悪いことを言うなよ……つーかこの状況お前のせいだろが、さっさと帰れっ」

 

「あいあーい、じゃあ、おやすみなさーい」

 

「おやすみ、小町ちゃん」

 

なんとかそれだけは言えたけど、ドキドキが全然止まらない。

 

先輩の部屋に二人きり。

 

今さらなんだけど、何この状況……。

 

先輩の家に泊まって、お風呂に入って、先輩の部屋のベッドに

座っている。

 

完全にあれじゃないですか、お泊まりデート的なあれじゃないですか……。

 

いきなりそんなの想定してなかったんですけど……。

 

「じゃ、おやすみ。なんかあったら言え」

 

先輩はわたしの返事を待たずに、電気を消してさっさと布団に潜ってしまった。

 

なんだろう……緊張してるわたしがバカみたいじゃないですか……。

 

バカ、先輩のバカ。

 

「……おやすみなさい、先輩」

 

わたしもベッドに横になり、布団に入る。

 

あ、先輩の匂いがする……。

 

鼓動が激しくなって、異常な音を立てているような気がしてくる。

 

そんなわけはないんだけど、先輩に聞かれているような気分になる。

 

うぅ……こんなの、寝れるわけないじゃないですかぁー!

 

寝ようとしてからどのぐらいの時間がたったのかわからないけど、ちっとも寝れる気配がない。

 

先輩の寝息は聞こえてこないけど、もう寝ちゃったのかな……。

 

「先輩……もう、寝ちゃいました?」

 

小声で話しかけてみる。

 

返事はない。

 

寝れないのはわたしだけなんですね……。

 

お前なんかなんとも思っていないと言われているようで、その事実が酷く悲しい。

 

「…………起きてる」

 

驚いた。時間差ありすぎじゃないですかね……。

 

「返事、遅くないですかー……」

 

「寝たふりしようかと思ってたからな……」

 

「なんでそういうことバカ正直に言うんですかー……傷つきました」

 

「……すまん」

 

「謝るぐらいなら最初からそんなことしないでください……」

 

それきり二人とも口を開かなくなり、しばらく無言の時間が流れる。

 

何を話そうとしていたのか忘れてしまった。とりあえず何か話さないと……と思っていたら先輩が起き上がる音がした。

 

「はぁ……こんなの、寝れるわけねぇだろが……。コーヒー飲むけど、お前も寝れないんなら飲むか?」

 

「え、あ、はい、いただきます……」

 

んー、コーヒー飲んだら余計寝れなくなるんじゃないですかねー……?

 

「起きるだけで下りなくていいぞ。持ってあがってやるから待ってろ」

 

先輩はそう言うと、電気をつけて出て行った。

 

先輩の部屋にわたし一人取り残される。

 

机の中とか、見てみたい……。パッと見る限り写真なんかはないですね……。

 

意識すると先輩の部屋のいろいろなものが気になり始めて、キョロキョロ周りを見渡していると先輩が戻ってきた。

 

「ほれ」

 

雑にマグカップを渡される。

 

「あ、ありがとうございます、先輩」

 

「おお……」

 

また部屋に沈黙が訪れ、コーヒーを啜る音だけが響く。

 

気まずい……なんでもいいから話そう……。

 

「あの……先輩。さっきのお風呂……見てないですよね……?」

 

ドアは中が見えるほど開いてなかったと思うから大丈夫だと思うけど、一応……。

 

「ばば、馬鹿、見てねぇよ、本当に……。でもあれだぞ、見てたとしても俺は悪くねぇ。悲鳴が聞こえたら何かあったのかと思うだろ普通……」

 

「あ、あれは……ごめんなさいでした……。いきなり話しかけられて驚いてしまいまして……」

 

「……ふーん。いやでもぎゃああ!はないだろ……あざといお前はどこいったんだよ」

 

先輩は呆れたような笑みを浮かべて肩を揺らす。

 

うわ、わたし笑われてる……超恥ずかしい……。

 

「す、すいませんね、わたしらしくなくて……」

 

「いや、別にいいんじゃねぇの。どっちもお前だろ」

 

「でもきっと素のわたしは可愛くないので……わたしは好きじゃないです」

 

それに、人からは好かれないと思うから。

 

「そうか?俺はあっちのが好きだけどな……。まあお前の勝手だなそんなの」

 

……え?先輩が、わたしを、好き?え?

 

「……はっ!なんか今露骨に口説かれてた気がしてすごい嬉しいですけどもう少しだけ落ち着いて気持ちを整理する時間とかもらっていいですかごめんなさい」

 

はー、先輩から好きとか言われて調子に乗りかけるところだった……危なかった……。

 

顔赤くなってないかな……落ち着けわたし。

 

一気に捲し立てるように話したから息が苦しくなって、少し大きく息を吸いこむ。

 

いつものわたしを思い出すんだ。

 

「また勝手に振られた……。まぁもう慣れたからいいんだけど……」

 

「あ、あの、先輩。今日はいろいろほんとにありがとうございました。で、次はどこに行きます?」

 

「まだ次があんのかよ……」

 

「もちろんー。100点になるまで行きますよー」

 

「それ終わる気がしねぇんだけど……」

 

「あはっ、先輩、早く満点取らないと終わりませんよー。あ、ディスティニィーランドとか行ってみます?」

 

「それは……駄目だ」

 

あまり見せることはない、はっきりとした先輩の拒絶。

 

驚きと恐怖で声が出せなくなってしまった。

 

「あー、いやその、あれだ。お前にとっては、そんないい場所じゃねぇだろ」

 

「あ、あー……そういえば、そうですねー」

 

「なんか軽いな……。あれを、もう気にしてねぇのか」

 

少しだけ呆れられているような、軽蔑されているような。

 

嫌だ。違います、そうじゃないんですって言いたい。

 

あれはあの時にもう終わっていて、今は先輩しか見てないですって言いたい。

 

でも、気にしてないですって言ったら、軽い気持ちでそんなことをする女だと思われるかもしれない。

 

なら、嫌でも気にしていると言うしかない。

 

「あ、いえ、気にしてないことは、ないです……たぶん……」

 

「……そうか。でもまぁお前は俺なんかと違って遊び慣れてるんだろうし、うまく切り替えもできるんだろうな」

 

先輩の何気ないその一言は、これまで誰に向けられたどんな言葉よりも、わたしの胸に痛みをもたらした。

 

先輩には、先輩だけには、適当に付き合ったりするようないい加減な人間だと思われたくない。

 

今までが今までだし、そう思われても仕方ないかもしれない。

 

でも、わたしのことを好きになってくれなくても、これだけは知ってもらいたい。

 

今のわたしはそんないい加減な、適当な気持ちで、先輩を好きになったんじゃないってことだけは。

 

「……確かに今までは、そうだったかもですけど……。わたし、今はもう、これからはもう、そんなんじゃありません。適当じゃ、ないです」

 

「……葉山も幸せもんだな。お前みたいなやつに一途に思われて」

 

「違います。葉山先輩のことは、もう……いいんです」

 

「え、あれ?なんか話がよくわかんねぇんだけど……。じゃあなんのための予行演習なんだ?」

 

「それは、その……」

 

このまま誤魔化し続けても、わたしがどんどん好きになってるから、いずれバレてしまう気がした。

 

そうなると、なにも伝えられないまま避けられて、奉仕部に行けなくなるかもしれない。

 

なら、いっそのこと。

 

「あれは……最初はちょっと違いましたけど、わたしが先輩とそうしたかったからです。わたし態度がどんどん変になってますし、先輩案外鋭いから……。ちゃんと伝えないまま先輩が、わたしを避けるようになると嫌だから、今、言います」

 

小さく深呼吸する。

 

「わたし、先輩のことが好きです。どんどん、好きになってます」

 

知られたらいけないとか、言っちゃいけないと思ってたけど、もうバレないようにするのは無理だ。

 

先輩の前だと、今までのわたしみたいにはもういられなくなってきてるから。

 

葉山先輩のときもそうだったけど、わたしは熱くなると直情的になっちゃうみたいだ。

 

場の雰囲気とかに振り回されないわたしは、偽物だ。

 

もう、引き返せない。

 

たとえその先がわかっていても。

 

早く楽になりたいだけなのかもしれない。

 

楽にはならないって知っているのに、止められない。

 

やっぱりこんなの全然、わたしらしくない。

 

先輩のあの言葉を聞いてから、どんどん変わってきてる。

 

今までできていたことができない。

 

これが本当のわたしなのかな。

 

今までみたいに自分が痛くないように、本気にならない振りをして適当に振る舞って、誤魔化しながらやっていければ楽なのに。

 

けど、それじゃそれなりのものしか手に入らない。

 

先輩たちが言っていたのは、たぶんそういうことなんだ。

 

こんなときに、なんとなくだけど自分なりの答えが見つかったような気になった。

 

「…………本気で言ってるのか?」

 

「……はい、本気です」

 

「……葉山は、本当にもういいのか?」

 

「葉山先輩は……好きとは違うんだと……割とすぐに。ただの憧れ、みたいな……。あのときの告白は、わたしなりのケジメでした」

 

「……そうか」

 

「それだけ、ですか?」

 

「……言わないと、駄目か?」

 

「ほんとはわたしもわかってますけど、一応……」

 

なんでわたしは自分から勝ち目のない戦いをするんだろう。

 

失ってからじゃ取り返しのつかないものもたくさんあるのに。

 

こんなこと、聞くまでもなくわかってるのに。

 

分不相応なものを求めると、いつも苦しみがつきまとう。

 

でもきっと、この苦しみから逃げてたら、あそこにはいられない。

 

わたしは、この痛みとちゃんと向き合わないといけないんだ。

 

先輩は辛そうに顔を伏せ、頭を下げてからわたしに告げた。

 

「……今の俺には、無理だ。すまん」

 

予想していた通りの、わかりきった答えが返ってくる。

 

よかった、そう言ってくれて。

 

先輩にはわたしなんかよりも、よほど大切なものがあるんですから。

 

「そうですよね……。でも、いいんです。先輩なら……そう言ってくれると思ってましたから」

 

「…………そうか」

 

「あ、いやその……ほんとに、いいんですよ……。そう言ってくれないと、逆に幻滅してたっていうか……」

 

「……じゃあ、泣かないでくれるか……」

 

言われてから初めて頬を水滴が伝っていることに気がついた。

 

わかってたのに、なんでだろう。

 

「え、あ、あれ……。なん、なんでしょうね、これ……」

 

「俺に聞かれてもな……」

 

「いや、先輩は、ほんとなにも悪くないと……思います……っ……」

 

溢れる涙は止まらない。

 

だんだん嗚咽のような声に変わっていく。

 

捻った足の痛みが頭に響く。

 

でもそれ以上に、胸が、心が痛い。

 

「わたし、もう……ひっ……奉仕部に、行けない、ですよね……」

 

振られることはわかっていても辛いけど、あそこへ行けなくなることを考えるともっと辛い。

 

この苦しさは、たぶんそれによるものだ。

 

「……なんでだ。別にいいんじゃねぇのか」

 

「だって……先輩のこと好きだと……先輩わたしを避けるし……結衣先輩も、雪ノ下先輩も……」

 

「俺は別に避けねぇし……。雪ノ下も由比ヶ浜も、そんなことないだろ……あいつらになんか言われたのか」

 

「い、いえ……別に、何も……」

 

確かに、なにか言われたわけではない。

 

先輩に避けられると思っていたのもわたしが勝手に思っていたことだし、結衣先輩と雪ノ下先輩にしてもそうだ。

 

「お前が嫌ならいいけどな……また、遊びに来いよ」

 

照れ臭そうにしながらそう言ってくれる先輩の顔から、不器用な優しさを感じた。

 

少しだけ、ほんとに少しだけ、心が楽になる。

 

「……なんで、先輩はわたしに優しくしようとするんですか……」

 

「……別にお前がどうでもいいってほど嫌なわけじゃないからな、俺は……。もしそうだったら今日も一緒に出掛けてねぇよ。俺の中では、最近の奉仕部の景色にはお前も含まれてんだよ。だから……」

 

こんな、好きと言われているわけでもない、ただ否定されていないというだけで救われた気分になる。

 

やっぱり、これは麻薬のようなものだと思った。

 

簡単に抜け出せるような気がしない。

 

「先輩、それもしかして口説いて……ませんよね、すいません……」

 

「なんかお前がしおらしいと調子狂うな……」

 

「そんな、今すぐいきなりは、できないですよ……」

 

「……一回しか言わねぇからな。俺は、お前を可愛い後輩だと思ってる。たぶん、雪ノ下も、由比ヶ浜もだ。だから、気にせず遊びにこい」

 

「そう……なん、ですか……」

 

「そうだ。なんか気になるなら雪ノ下とか由比ヶ浜にも話してみろ」

 

「……はい。あ、あの、わたし、振られましたけど……。先輩のこと、まだ好きでいても、いいんですか?拒絶とか避けられたりとか、しませんか?」

 

「いいかと聞かれてもな……それは俺が決めることじゃねぇし……。とりあえず、今までみたいな感じなら、避けたりはしない……と思う」

 

……そりゃあ、自分が振った相手から今まで以上にベタベタされても困りますよね。

 

となると、わたしは今まで通りやれれば大丈夫……ってことなのかな。

 

「そろそろ、寝るか」

 

「……はい」

 

先輩はわたしからマグカップを受けとると、机に置いて電気を消した。

 

部屋が暗闇で満たされ、先輩の姿がおぼろげにしか見えなくなる。

 

「おやすみ」

 

「おやすみなさい、先輩」

 

時計の秒針が動く音だけが聞こえる。

 

寝る前に、一つだけ聞いておこうと思った。

 

今なら聞ける。今しか聞けないかもしれないから。

 

「……先輩」

 

「なんだ、もう寝ろよ」

 

「ひとつだけ……。先輩は、どっち、なんですか?」

 

具体的な言葉は何も含んでいない、曖昧な質問。

 

でも先輩は、これでちゃんとわかるはず。

 

「……わかんねぇんだよ。本当に……」

 

「そうですか……」

 

先輩の声は弱々しく、自信が感じられない。

 

まだ決めかねている、そういうことなんだろうか。

 

だとしたらこれ以上の質問に意味はない。

 

もうやめて寝ようとすると、先輩が口を開いた。

 

「……俺は、もう失いたくない。あの光景を」

 

「でも、先輩……」

 

何も選ばないというのは、たぶん無理ですよ。

 

ずっとこのままなんてことは、ないと思いますから。

 

そう伝えようとしたけど言葉にはできなかった。

 

でも、言葉にしなくても伝わっていた。

 

「……そんなのは、わかってんだけどな……。でも、まだ問題が残ってるから……今は……」

 

「わかりました……。すいませんでした。おやすみなさい」

 

わかってなかったけど、話を打ち切った。

 

問題ってなんだろう。

 

でもそれを聞けるほど、今のわたしは先輩たちと近くない。

 

先輩には、今日一歩だけ近づけたかもしれないけど。

 

結衣先輩と雪ノ下先輩とはまだ何も話していない。

 

なら、わたしは。

 

わたしから、二人に近づくようにしないと。

 

ちゃんと話すんだ。

 

何度もそうしてきたから、きっと今の先輩たちがあるんだ。

 

わたしも、もう一度勇気を出さないといけない。

 

そこへ近づくために。

 

小さな決意を心の中で済ませ落ち着いてくると、さっき先輩に振られた寂しさがまた表に出てきた。

 

可愛い後輩だって言われたことは嬉しいですけど、やっぱりわたしはそんなんじゃ嫌です……先輩。

 

先輩の、たった一つの特別になりたい。

 

叶わぬ願いが捨てきれず、涙が浮かぶ。

 

目尻から溢れた涙は、目の横をまっすぐに流れもみあげの辺りを濡らした。

 

悔しいから、先輩の部屋に何か残していこう。

 

そう思ってわたしはうつ伏せになる。

 

そのまま先輩の枕に顔を押し付けて、声を出さずに泣いていると、いつの間にか眠りに落ちていた。

 

【わたしは2】

 

翌日になっても問題なく歩ける程に足は回復してなくて、結局タクシーで帰ることになった。

 

泊まった意味ないじゃないですかー……とも思ったけど、進展……進展でいいんですかねーあれは……。

 

違うかな、変化、はあった。

 

わたしの気持ちは受け入れられることはなかったけど、知ってもらうことはできた。

 

そしてその上で、奉仕部にまた遊びに行ってもいいと言われた。

 

葉山先輩のときにも言った、この敗北は布石ですという一連の発言。

 

あれは半分はあざといわたしが言わせた負け惜しみだけど、半分は本気だったりする。

 

恋愛というのは意識させたほうの勝ちだとわたしは思っている。

 

意識させることができたら、こちらのなんでもない行動にも相手が勝手に意味を持たせて解釈してくれるから。

 

だから、わたしは泣いてる場合じゃないんです。

 

まだ好きなんだから、簡単に諦めたりはしませんよー、先輩。

 

それと、もう一つやらないといけないことがある。

 

結衣先輩と、雪ノ下先輩ともちゃんと話さないといけない。

 

先輩たちと、あそこに引け目を感じることなくいれるようにするために。

 

わたしの憧れがそこにあって、これからどうなるのかを見届けるために。

 

わたしがそうすると決めた。

 

結衣先輩とか雪ノ下先輩に嫌がられたらと思うと怖いけど……がんばらなきゃ。

 

☆☆☆

 

月曜になってから朝すぐに病院へ行き、捻挫の治療をしてから学校に向かった。

 

腫れはもう大分引いていたし、テーピングで固定してもらってからはなんとか歩けるぐらいになった。

 

お昼休みになり、部室へ向かっている結衣先輩を見つけることができたので声をかける。

 

「結衣先輩、ちょっとだけいいですか?」

 

「うんいいよー。あれ、いろはちゃん、足どうしたの?」

 

「あ、ちょっと捻ってしまいましてー。もうよくなってきてますけどね。じゃあ生徒会室に来てもらえますか?」

 

「なになに、重要なこと?」

 

「まぁちょっと、そんな感じですかねー」

 

曖昧な言葉でぼかしながら、二人で生徒会室に向かった。

 

立っているのは辛いので、わたしは椅子に座る。

 

「結衣先輩も座ってください」

 

「はーい、なんの話かな?」

 

結衣先輩は気楽に足をブラブラさせている。

 

わたしが話すことを聞いたらどんな反応をするんだろう。

 

「わたし、この前先輩に告白しました」

 

「えっ?先輩って……ヒッキーのこと?」

 

「はい、比企谷先輩です」

 

比企谷先輩って言ったの初めてかも。

 

結衣先輩は目を見開いて驚きの表情を浮かべている。

 

「え、あー、いろはちゃんも、そうだったんだ……。あの、葉山君は?」

 

「葉山先輩は……かっこいいなとは思うんですけど……。好きとは違うかなって、結構前に……」

 

「そっか……」

 

結衣先輩は横を向いて黙り込んでしまった。

 

「……聞かないんですか?」

 

「こ、怖くて……。オーケーだったら、どうしようかって……」

 

弱々しい声は話すほどに小さくなって、最後には消えそうになっていた。

 

結衣先輩も怖いんだ……。

 

わたしからすれば、わたしが選ばれないことはわかりきっていたのに。

 

「そんなわけないじゃないですかー……。わたしもわかってましたけど、当然のように振られました」

 

「そ、そっか。いろはちゃんは、辛く、ないの?」

 

「辛いです、それは……でも諦めたわけでもありません。結衣先輩は、どうなんですか?」

 

「どうって……。そりゃヒッキーは好きだけどさ……ヒッキーにお似合いなのは、ゆきのん、だと、思ってるから……」

 

「……どうして、ですか?」

 

「あたしはこんなだからさ、ヒッキーの支えには、なれないんだ。ゆきのんみたいに、並んで立って、一緒に傷付く、みたいな覚悟はできないの、あたし。だから、だよ」

 

支えるとか、一緒に傷付くとか。

 

先輩のことを想う、その気持ち自体はわたしと同じだけど、その思いの丈の大きさはわたしとは比べ物にならない気がした。

 

同時に、そんなにも先輩を想える結衣先輩に、醜い嫉妬のような、劣等感のような感情が一瞬頭をよぎった。

 

だから、少し意地の悪い聞き方をしてしまった。

 

「結衣先輩は、それでいいんですか。そんなに簡単に、諦められるんですか?」

 

結衣先輩は悲しそうに俯いて、首を横に振った。

 

「ううん、そんなわけ、ないよ……。あたしはそんなに聞き分けよくないし、卑怯だから……。たぶん、選ばれなかったら、嫉妬とかしちゃうと思う」

 

結衣先輩はなんでそんな風に、自分の嫌だと思っているところをわたしに話せるんだろう。

 

それを隠したくて、人に見られたくなくて、ずっと作り物を見せてるような人もいるのに。

 

「でもね、あたしは……ゆきのんのことも、同じぐらい大切だから。ゆきのんを悲しませてまで、そんな風にはなりたくない、かな……。

 それにさ、決めるのはヒッキーだから。ヒッキーの選んだことなら、あたしは受け入れる、つもりだよ」

 

とても悲しそうな顔なのに、とても静かな声なのに。

 

結衣先輩の目と、その声からはしっかりとした決意が感じ取れた。

 

「やっぱり……わたしは、先輩たちの中には入れそうにないですねー……」

 

「え?いろはちゃん、奉仕部入りたいの?」

 

「あ、いえ、んー?そう、なんですかね……」

 

先輩たちと一緒にいたいとは思ってたけど、そう考えたことはこれまでなかった。

 

わたしが、奉仕部……。

 

それも、ありなんですかね?

 

「あたしにはそれを決める権限ないから、ゆきのんに聞いてみたら?それにもしダメでもさ、今までみたいに遊びにくればいいんじゃない?」

 

「え?あ、いや、結衣先輩は嫌じゃないんですか?わたしが、その、あそこにいたら邪魔、とか……」

 

「なんで?いろはちゃんは友達じゃん。そんなこと思うわけないよ。あ、下級生で友達って変なのかな?じゃあ、可愛い後輩?でいいじゃん」

 

結衣先輩は本当に、素直で、純粋で、どこまでも優しい。

 

わたしには到底真似のできない、包み込むような暖かさがある。

 

こんな人に、こんなにも想われる先輩は、きっと幸せ者ですよ。

 

「ありがとうございます。すごく、嬉しいです……」

 

「でもさ、いろはちゃんって勇気あるよね。生徒会長もだし、イベントの時とかも。今だって……言いにくいこと、話してくれたし」

 

「あー、なんというか、そのー……最近わたしを見失いつつあります。というかこれが本来のわたし、なんですかねー?

 あと、そうしないと先輩たちと一緒にいられない、と思ったもので……」

 

「あははっ、よくわかんないけどさ、あたしはちゃんと言ってくれて、嬉しかったよ。ありがとね、いろはちゃん」

 

ニカッという音がしそうな程の、底抜けに明るい笑顔をわたしなんかに向けてくれる。

 

やっぱり、素敵な人です。結衣先輩。

 

「なんか、奉仕部が先輩を取り巻く会みたいになっちゃってますねー……」

 

「ていうかね、あそこは……ヒッキーのこと好きな人しか、いられないと思うよ」

 

「確かにそうですねー。あんな人、好きでもないと一緒にいたくないですよねー」

 

「そうそう、あんなめんどくさい人なんか、好きでもなきゃ付き合ってらんないよ」

 

二人で顔を見合わせた瞬間、ぷっと吹き出す。

 

「あ、もう行かないとご飯食べる時間なくなっちゃう!じゃあねいろはちゃん、また放課後に」

 

「はい、ありがとうございましたー」

 

わたしに軽く手を振ってから、小走りで去っていった。

 

結衣先輩は自分のことを卑怯だって言ってましたけど。

 

ほんとに卑怯です。

 

わたしも、結衣先輩を悲しませてまでって気持ちになっちゃうじゃないですか……。

 

☆☆☆

 

放課後になって若干緊張しながら奉仕部へ向かっていると、副会長から声をかけられた。

 

明日の放課後に打ち合わせたいことがあるから、生徒会室に来て欲しいらしい。

 

久し振りの生徒会の仕事ですし、忘れないようにしないとですね。

 

「こ、こんにちはー」

 

「こんにちは」

 

奉仕部の扉を開けると、中にいたのは雪ノ下先輩だけだった。

 

あれ、二人がいないって珍しいですね。どこ行ったんだろ?

 

由比ヶ浜さんと比企谷君なら少し遅れるそうよ。平塚先生に呼ばれたらしいわ」

 

二人を目で探したからだろうか、雪ノ下先輩が頭の中の質問に回答してくれた。

 

「そ、そうですかー……わたし、ここにいてもいいですか?」

 

「別に構わないわ」

 

奉仕部のわたしの椅子に座る。

 

前までのわたしなら雪ノ下先輩しかいない場合は、ここに残ることを選択しなかったと思う。

 

雪ノ下先輩はちょっと怖いし、気まずくなりそうだから。

 

けど、雪ノ下先輩と二人になれた今はきっとチャンスだ。

 

先輩たちのように大袈裟なものじゃないけど、わたしも雪ノ下先輩に一歩踏み込むんだ。

 

雪ノ下先輩は本から目を離さない。

 

けどチラチラとわたしが見ていることに気がついているようで、雪ノ下先輩から話しかけてきてくれた。

 

「私に、何か話があるのかしら」

 

「え、あ、はい。ちょっと、聞いてほしいことが……あるかなーなんて」

 

「どうぞ」

 

意を決して、息を飲み込む。

 

「わたし、この前先輩に、告白しました」

 

雪ノ下先輩の動きが一瞬止まり、それからゆっくりと顔がこちらに向く。

 

「そう……。やっぱり、そうだったのね」

 

「やっぱり、ですかー。わたしバレバレだったんですね……」

 

「葉山君のことが本当に好きなら、そっちに顔を出すのが普通じゃないかしら。あなた、ほとんど奉仕部にいたじゃない」

 

「それはそうですねー……。でもわたし、それだけで奉仕部に来てたわけでもないですよ」

 

「どういうこと?」

 

「わたし先輩のこと好きですけど、雪ノ下先輩も、結衣先輩も好きです。というか三人の関係が、奉仕部が好きなんです。わたしの……憧れ、なんです」

 

「……あなたが思うほど、私達はいいものではないわ……。内心では何を思っているかなんて、わかり合えないもの」

 

「それでも、わかり合おうとしてるじゃないですか。適当で誤魔化さずに。それがわたしの憧れなんです。もっと近くで、見てたいんです」

 

「そう……それで、比企谷君はなんて?」

 

「あ、それは見事に振られちゃいました……」

 

「彼も贅沢になったものね。一色さんの何が不満なのかしら」

 

「えー、雪ノ下先輩、それ嫌味ですかー?」

 

「い、いえ……そんなつもりは……」

 

「先輩が見てるのは、雪ノ下先輩と、結衣先輩だけですよ。わたしなんかじゃ、三人の間には入れないってことです……。雪ノ下先輩は、どう思ってるんですか?」

 

「私は……好きとか、よくわからないわ……。それに好きだったとしても、私では……。比企谷君に相応しいのは、由比ヶ浜さんのような人だと思うわ」

 

「ちなみに、それは……どうしてですか?」

 

「私は由比ヶ浜さんのように、優しく寄り添って支えてあげることなんて、できないから……」

 

「雪ノ下先輩は、それでいいんですか?」

 

「いいもなにも、選ぶのは私じゃないわ。受け入れるしかないもの。それに……」

 

「それに?」

 

由比ヶ浜さんは、私の唯一の、大切な、友達だもの……。彼女を悲しませることなんて、私はもう……したくないわ」

 

雪ノ下先輩も、なんですね。

 

結衣先輩と同じこと言ってますよ。

 

二人とも嘘をついているようには見えない。

 

なんでこの人たちは自分のことを第一に考えないんだろう。

 

なんで相手のことを第一に想えるのだろう。

 

お互いがお互いのことを想い合っている。

 

けどそれ故に、お互いが動けずにいる。

 

なんて優しくて、美しくて、悲しい関係だろう。

 

先輩は、あの光景を失いたくないと言った。

 

結衣先輩は、お似合いなのは雪ノ下先輩だと言った。

 

雪ノ下先輩は、相応しいのは結衣先輩だと言った。

 

お互い想い合っているが故に何も手に入らないとしたら。

 

それはまるで、この前の賢者の贈り物のお話みたいだ。

 

でもあのお話は、最後にお互いが想い合っていることを再確認できた、というお話だと思う。

 

だったら先輩たちも三人で、お互いが想い合っているということを、はっきり確認できる日がくるのかもしれない。

 

何よりも大切なものは、三人とも既に持っているのかもしれない。

 

妬けちゃいますよ、こんなの……。

 

わたしも、この中に入りたかった。

 

一年早く生まれていたら奉仕部との繋がりはなかったかもしれないけど。

 

その一年に果てしない時間の重みと隔たりを感じる。

 

もっと早く、先輩たちと出会いたかった。

 

どうにもならないことだってわかってるけど。

 

あのときのこの部屋に、わたしもいたかった。

 

「なぜ泣いているの?」

 

気がつけば目から一筋の涙が流れていた。

 

「先輩たちが、羨ましくて……寂しくて、悔しくて……」

 

「よくわからないわ……」

 

「いいんです、先輩たちはわからなくても。わかりますから、きっと。あの、雪ノ下先輩」

 

涙を袖で拭って、まっすぐ雪ノ下先輩に向き直る。

 

どうしても、言いたい。

 

「なにかしら?」

 

「わたし、雪ノ下先輩の二人目の友達になれますか?」

 

「それは無理ね」

 

即答された。

 

「はい……調子に乗りました申し訳ありませんでした……」

 

「あなたは友達じゃなくて、その……初めての、可愛い後輩だもの」

 

ほんとですね、先輩。

 

わたし、結衣先輩にも、雪ノ下先輩にも、同じこと言われちゃいました。

 

三人で同じこと言わないでくださいよ、まったく。

 

「あ、あの。じゃあその可愛い後輩から、お願いが一つあるんですけどー……」

 

「自分で言ったら可愛くない後輩になるわよ。何かしら」

 

「わ、わたしも奉仕部に、入りたいなー、なんて……」

 

「それも無理ね」

 

また即答された。

 

やっぱりわたしはただの部外者ですよね……。

 

「で、ですよねー。わたしなんか全然そんな感じじゃないし、似合いませんよねそんなの……」

 

「いえ、そうじゃなくて、その……。一色さんは生徒会長なのだし、サッカー部のマネージャーもあるでしょう。だから……」

 

雪ノ下先輩は恥ずかしそうに俯いてしまった。

 

「……でも、生徒会で何もない暇なときなら……。たまに遊びにくるのは、別に構わないわ」

 

再びこちらに顔を向け、少女のような柔らかい笑顔で話す。

 

雪ノ下先輩って、こんなに優しい笑顔、できるんだ。

 

きっと、先輩たちはこの表情を知ってるんだろうな。

 

女のわたしですら見とれてしまう。

 

……わたしは、先輩たちにはやっぱり敵わないかも。

 

とても素敵な人ばかりで、紛い物のわたしには眩しすぎる。

 

おそらく、先輩たちしか見ることのできない雪ノ下先輩の表情。

 

それをわたしにも向けてくれたことが嬉しくて、おもわず雪ノ下先輩に抱きついてしまった。

 

「雪ノ下先輩やさしー、かわいいー、大好きですっ。ありがとうございますー」

 

「ちょっと……暑苦しいから離れてもらえるかしら……」

 

迷惑そうな顔をして押しのけようとしてるけど、その手に力はあまりこもっていない。

 

「あはっ、雪ノ下先輩って、先輩とやっぱり似てるところありますね」

 

「あんなのと一緒にしないでもらえるかしら……酷く不愉快だわ」

 

そう言う雪ノ下先輩の顔は、どこか嬉しそうで。

 

しばらくの間、雪ノ下先輩にくっついて押し問答をしていた。

 

雪ノ下先輩とこんなことができるなんて。

 

わたしから踏み込まないと、こんなことにはならなかったんだろうな。

 

ひとしきりくっついて満足したので、雪ノ下先輩から離れる。

 

「紅茶……飲む?」

 

「はい、いただきます」

 

紅茶を淹れてくれるのを静かに待っていると、結衣先輩と先輩がやってきた。

 

「やっはろー!」

 

「うーす」

 

「こんにちはー先輩」

 

「こんにちは」

 

入ってきた結衣先輩は何故かものすごく上機嫌で、楽しそうにニコニコしている。

 

先輩は先輩で、にやにやしながらわたしと雪ノ下先輩に視線を送る。

 

おや、これは一体……。

 

どこからかは知りませんけど、聞いてましたかね……?

 

まあ、わたしには嬉しいことしかなかったし気になりませんけど、雪ノ下先輩はどうなんでしょう?

 

「……何かしら、その卑猥な目は。訴えられる前にやめておいたほうが身のためよ」

 

「なんだよ目が卑猥って……俺目潰すしかないの?別になんでもねぇよ」

 

「そうそう、なんでもないなんでもなーい」

 

結衣先輩はご機嫌な笑顔を崩さない。

 

「はぁ……この部屋の扉、防音にしてもらおうかしら……」

 

「それ、ある!」

 

雪ノ下先輩が俯いてぽつりと呟くと、先輩も誰かの真似をしながら同意する。

 

だ、だめですよ!

 

盗み聞きだけど、あれを聞いていなかったらわたしは今、きっとこうしていないんですから。

 

「い、いいじゃないですかーこのままで。じゃないとわたしもあれ、聞けなかったわけですし」

 

「お前、それ忘れてくれつっただろ……」

 

そんなの、できるわけないじゃないですか。

 

「いろはちゃん、あれって何?」

 

そういえば結衣先輩と雪ノ下先輩はわたしが聞いていたのを知らないんでしたね。

 

言ってもいいかどうか先輩に目で聞いてみたけど、目を逸らされてしまった。

 

……じゃあ、言っちゃいますよ?先輩。

 

「あ、あー……あれです、ほら……」

 

結衣先輩と雪ノ下先輩に顔を近づけて耳打ちをする。

 

「あー、なるほど……」

 

「あなたも聞いていたのね……」

 

二人は納得した様子で先輩に向き直ると、自信満々に言い放つ。

 

「きっと一生忘れないよ、ヒッキー」

 

「そうね、一生覚えておくわ」

 

「ですよねー。だそうですよー、先輩」

 

「三人結託してお前ら……鬼畜かよ……」

 

ぷいっとそっぽを向く先輩を見て、三人の笑い声が部室に響く。

 

この部屋はやっぱり、優しくて、暖かい。

 

わたしの憧れの場所。

 

心から笑いながら、胸の内で密かに先輩たちに尋ねる。

 

今のわたしは、あの時の扉一枚向こう側へ、近づけていますか?

 

☆☆☆

 

わたしは先輩たちと一人一人話して、それぞれの思いを聞いた。

 

もっと早く進展させるだけなら、三人を集めてわたしがそれぞれから聞いたことを話せば、なんらかの変化はするのかもしれない。

 

けどそんな野暮な真似はしたくないし、それに、先輩たち自身もずっとこのままでいられないことはわかってる。

 

結衣先輩も、雪ノ下先輩もいつか決断する。

 

そして先輩もきっとはこれから先、何かを選ぶ。

 

結衣先輩か、雪ノ下先輩か、どちらもか、どちらも選ばないか。

 

その時奉仕部がどう変わるかはわからないけど、ひとつだけわたしが自信を持って言えることがある。

 

先輩たちが何を選んでも、三人の繋がりはきっと切れない。

 

だから、わたしにもそれを、その行く先を見せてください。

 

わたしが選ばれないことはわかってますけど、わたしの信じたものが、憧れたものがちゃんとそこにあって、正しいんだということを見せてください。

 

こんなの、やっぱりわたしらしくないかな?

 

ううん。

 

わたしがみんなに好かれたくて愛嬌を振りまくのも、好かれようとした結果嫌われたりするのも、振り向いてくれなさそうな人を追いかけるのも、先輩たちに憧れるのも。

 

全部、わたし。

 

だから、振り向いてくれなくても、三人の間に入れなくても、もう少しだけ追いかけて、傍にいさせて欲しいんです。

 

でもね、先輩。

 

わたし思うんですけど、本物って、今見てるそれだけとは限らないんじゃないですか?

 

いろんな形があってもいいと思うんですよね。

 

ふと後ろを振り返ってみたらそこにもあった、なんてのも十分考えられるじゃないですか。

 

そこにわたしがいられたら、なお良いですけどね。

 

自分にばかり都合のいい想像を、少しだけ自重して諌める。

 

でもまぁ、先は長いんです。

 

奉仕部が、高校生活が全てじゃないし、大学、社会人、まだまだあるんですから。

 

結衣先輩、雪ノ下先輩。

 

あんまりもたもたしてると、なんでもないと思っていた可愛い後輩が、後ろからさらっていっちゃうかもしれませんよ?

 

そんな考えはわたしの心の片隅で、今も生き続けている。

 

やっぱりわたしはわがままで、いろんなことが諦めきれない。

 

でもこれが、きっと、わたしなので。

 

あ、このことだけはもう諦めちゃいましたね。

 

こんなわたしでも、許してくれて、見てくれて、認めてくれる人がいるから。

 

わたしは嘘臭い愛嬌を携えて、今日も部室の扉を開けることができるんです。

 

「こんにちはー」

 

「やっはろー、いろはちゃん」

 

「こんにちは」

 

「うす。てかなんで用もないのに来んのお前……」

 

いつもみたいに文句を言ってくれる先輩だけに。

 

他の二人から見られないように。

 

今のわたしに出来る、精一杯のあざとい笑顔を向ける。

 

「まぁ、別に何も用がなくてもいいじゃないですかー、せーんぱい」

 

先輩は言葉をなくして顔を逸らしてから、俯いて本を読む格好に戻った。

 

何になのかはよくわからないけど、今回は勝った気がする。

 

わたしの椅子につき、静かで幸せな時間に身を委ねる。

 

んー、何か忘れてるような……。

 

あ、副会長に生徒会に呼ばれてましたね、そういえば……。

 

でもまあ、いっか。

 

この部室は暖かいし、居心地もいいから。

 

もう少しだけ、ここで先輩たちを見てよっと。

 

 

 

 

 

 

 

元スレ

一色いろはは諦めきれない

http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1432214701/

 

三浦「あ……んっ……ふぅ……んんっ…………今日はなんだか、積極的だし」 【俺ガイルss/アニメss】

 

三浦「あーしってさ案外一途なんだよね」

 

八幡「はぁ」

 

んじゃ

 

八幡「・・・・・・」

 

三浦「・・・・・・」

 

八幡「い、いいんじゃねーの、一途な女の子って」

 

三浦「!」

 

八幡「男で嫌いなやつはいないだろーし」

 

三浦「そ、そうっしょ、いいっしょ、いいっしょ!?」

 

三浦「そ、それにあーしって意外と料理もできるし、掃除洗濯もちゃんとやるし!」

 

三浦「え、えーと、こ、子供も大好きだし、ね? ね? いいっしょ、いいっしょ!!」

 

八幡「あ、あー、うん・・・・・・葉山が羨ましいわ、リア充爆発しろ」

 

三浦「え・・・・・・?」

 

八幡「料理、掃除洗濯、子供も好き」

 

八幡「さらには容姿端麗、眉目秀麗・・・・・・っと」

 

八幡「まさに完全無欠超人の葉山とはベストカップルってわけだ」

 

八幡「羨ましくて、反吐が出そう」

 

八幡「んで、んで、その三浦優美子様がカースト最下層の俺になんか用?」

 

三浦「え・・・・・・えっと・・・・・・」

 

八幡「ああ、俺にベストカップルっぷりを見せつけに来た・・・・・と」

 

三浦「・・・・・・」じわぁ

 

三浦「・・・・・・」ぐすっ

 

八幡「あ、えーと、その」

 

三浦「・・・・・・わかった」

 

八幡「へ?」

 

三浦「わかったし!」バンっ!

 

八幡「ななな、何がでございますでしょうかか」ビクっ

 

三浦「あんたにあーしがどんだけ一途か、どんだけラブラブか!」

 

三浦「ヒキタ二の濁った眼でもわかるように見せてあげるッ!!」

 

八幡「は、はいっ!!」

 

三浦「返事・・・・・・したよね」

 

八幡「え、いや、これは・・・・・・」キョロキョロ

 

三浦「 し た よ ね 」ガシっ

 

八幡「痛い痛い痛い、か、顔ッ、離して、ごめんなさい、ごめんなさい」

 

三浦「視線をそらさず、見てなさいよ、約束!」

 

八幡「は、はいぃぃ!」

 

三浦「・・・・・・」パッ

 

八幡「ほっ・・・・・・」

 

三浦「・・・・・・」すっ

 

八幡「え、なんですか、いきなり手を出して」

 

三浦「指切りよ、そんくらいわかるっしょ」

 

八幡「いやいや、今日日小学生でもし・・・・・・」

 

三浦「 い い か ら 指 切 り し ろ し ! !」

 

八幡「すすす、すみません!!」

 

三浦「ゆーびーきーりーげーんーまーん」

 

八幡「うそついたら・・・・・・」

 

三浦「はーりーせーんーぼーん、のーまーす」

 

八幡「指切った……」

 

三浦「約束……約束だかんね!」

 

三浦「覚えてなさいよっ!!」ダッ

 

八幡「……な、なんだよ、全く」

 

ガラッ

 

雪乃「……今、三浦さんが泣きながら廊下を走っていったのだけれど」

 

由比ヶ浜「……ヒッキー……」

 

雪乃「流石にあなたといえど犯罪行為には手を染めないと思っていたのだけど」

 

由比ヶ浜「ヒッキー、最低!!」

 

八幡「ちょ、ちょっと待てよ! ご、誤解だ、誤解!」

 

八幡「俺は三浦にはなんにもしてない!」

 

雪乃「けれど、三浦さんは泣いていた、それが事実ではなくて?」

 

八幡「ウッ……そ、それは……」

 

由比ヶ浜「そ、そうだよ、ヒッキー! どうして優美子は泣いてたの!?」

 

八幡「い、いや……」

 

由比ヶ浜「ちゃんと、答えてよヒッキー!!」

 

八幡「わ、わかった、わかったから、落ち着け……」

 

雪乃「……なるほどね」

 

由比ヶ浜「……」

 

八幡「……」

 

雪乃「聞く限りではあなたは悪くないわ」

 

雪乃「『表面上』はね」

 

由比ヶ浜「ヒッキー……」

 

八幡「……なんだよ」

 

由比ヶ浜「ヒッキー、私からお願いがあるの」

 

由比ヶ浜「優美子にはちゃんと向き合ってあげて」

 

八幡「由比ヶ浜……」

 

由比ヶ浜「ああ見えて、優美子……本当に一途だから……」

 

八幡「ふぅ……」

 

八幡(今日は疲れた、はよ帰りたい)

 

平塚「お疲れのようだな」

 

八幡「なんですか先生まで」

 

平塚「ふむ、まぁ悩める少年のために、一つ面白い雑学でもと思ってな」

 

平塚「元来、指切りというのはだな、遊女が不変の愛を証のために小指を切断し」

 

平塚「男のため送ったことが、由来となっていると言われている」

 

平塚「まぁ、遊女が愛を証明するためにはそれほどの覚悟が必要ということだ」

 

八幡「流石先生、色々と話の説得力がありますね、いろんな意味で」

 

平塚「すまないな、いろんな意味で」ドカッ

 

八幡「ぐぇ……ご、げほ」

 

平塚「まぁ、冗談はそれぐらいにして」

 

八幡「腹パンは冗談で済まされるんですか?」

 

平塚「遊女が小指を切り落とす」

 

平塚「これは言うまでもなく取り返しのつかない」

 

平塚「差し出す女は一途な愛、受け取る男には誠意の心が必要となる」

 

八幡「……」

 

平塚「一途な愛と誠意の心だ」

 

八幡「大事な事だから2回ですか」

 

平塚「ああ、大事な事だからな」

 

八幡「は、はぁ……」

 

 

次の日

 

八幡(昨日はまるで眠れなかった)

 

三浦「……」チラッチラッ

 

八幡(視線が痛い……)

 

由比ヶ浜「……」チラッチラッ

 

八幡(痛い……)

 

平塚「で、あるからしてー」チラッチラッ

 

八幡(……うぜぇ)

 

 

放課後

 

八幡「今日の授業はかなりハードだった……」

 

三浦「ヒキオ!」トンッ

 

八幡「ヒッ!」

 

八幡「な、なになに!? ごめんなさい!?」

 

三浦「な、なに、肩に叩いただけなんだけど、ちょっとキモイ」

 

八幡「う、うるせーキモイのは生まれつきなんだよ」

 

三浦「自分で言っててハズくないの?」

 

八幡「な、なんだよ」

 

三浦(おどおどしてる、なんだろう……これ)

 

三浦(ああ、わかった、犬だ、怯えた犬)

 

三浦(うん、かわいい、ちょーかわいいし)

 

三浦「//////」

 

八幡「な、なにニヤついてるんだよ、気持ち悪」

 

三浦「はぁ!? に、ニヤついてなんてねーし!!//////}

 

由比ヶ浜「まぁまぁ、二人とも、落ち着いて、落ち着いて」ズイッ

 

由比ヶ浜「優美子、ヒッキーに何か用なの?」

 

三浦「あ、あぁ、うん、あ、あのさ、ヒキオ、今日さ、これから……」

 

三浦「暇?」

 

八幡「……暇じゃ……」チラッ

 

由比ヶ浜「?」

 

由比ヶ浜『ああ見えて、優美子……本当に一途だから……』

 

八幡「ちっ……」

 

八幡「ああそーですよ、俺はぼっちで暇人だよ、何か文句あるか?」

 

三浦「そ、そう、じゃあさ、これから、あーしにさ……」

 

三浦「付き合ってよ」

 

八幡「……はぁ……はいはい、付き合う付き合う」

 

三浦「本当!?」パァァ

 

三浦「じゃ、じゃあ行くよ、ほら、今すぐに!!」グイッグイッ

 

八幡「ひ、引っ張んなって、痛い痛い!!」

 

由比ヶ浜「あ、ゆきのんにはちゃんと伝えておくからー」

 

八幡(んで、なぜか俺はテニスコートにつれてこられたわけだが)

 

三浦「ヒキオー、サーブいくよー」

 

八幡「ちょ、ちょっとまて!!」

 

三浦「待たんし」スッパーン

 

八幡「あ、くっそ、この」

 

三浦「ゲームポイントマッチ、あーし、あーしの勝っちー」

 

八幡「ひ、卑怯だぞ、よそ見しているときに!」

 

三浦「ヒキオがあーしを見てないのが悪いし」

 

八幡「ぐぬぬ

 

八幡「だいたい、なんでテニスなんだよ」

 

三浦「ん?」

 

八幡「いや、お前がテニス得意なのは知ってる」

 

八幡「けどさ、普通、初めてのデートとかには使わんだろ」

 

三浦「へぇーデートだと思ってたんだ」

 

八幡「えっ……い、いや、これはだな、想定相手が葉山だとしてだな」

 

三浦「はいはい」(顔真っ赤にしてかわいい///)

 

八幡「な、なにニヤついてるんだよ気持ち悪」

 

三浦「そういうヒキオも顔真っ赤だし」

 

八幡「ち、違う、こ、これは夕日が赤いせいだ!」

 

三浦「まだ日は落ちてないし」

 

八幡「う、うるせー///」

 

三浦「なんでテニスかって?」

 

八幡「ん……ああ」

 

三浦「テニスってさ紳士のスポーツじゃん」

 

八幡「まぁ、世間一般的にはそーだな」

 

三浦「テニスは相手を見て、相手を賞賛し、それに敬意を表して自分も全力を尽くす」

 

三浦「あーしはさ、あんたを良いところ見たかったし」

 

三浦「ヒキオにはあーしの全力を見てほしかった」

 

八幡「……」

 

三浦「この前さ、あーしとあんたでテニスで勝負したじゃん」

 

八幡「あー、あれね」

 

三浦「正直、あんたなんか眼中にもなかった」

 

三浦「正直、こっちじゃなくあんたたちについたユイにムカついてた」

 

三浦「そのあと、雪ノ下が出てきた時も、あーし、あいつに恥かかすことしか考えてなかった」

 

三浦「だからだと思う、あんたにしてやられたのは」

 

三浦「さっきのあんたみたいにね」

 

八幡「い、いや、それは……」

 

三浦「さっきのでわかった」

 

三浦「あんたはあーしを見てない」

 

八幡「す、すまん」

 

三浦「あやまんなし」ベシッ

 

八幡「痛ッ!」

 

八幡「た、叩くことねーじゃねーか」ヒリヒリ

 

三浦「うるさいし、正直に言われると傷つくし」プイッ

 

八幡「ご、ごめ……」

 

三浦「……2回目」

 

八幡「ちょ、まって、叩くのはやめて!」

 

三浦(うん、やっぱり、子犬みたいだし)

 

三浦「えいっ!」ギュムー

 

八幡「ひゃうぅぅ!」

 

三浦「むふー」スリスリ

 

八幡「み、三浦さん、いったい何してるんでごじゃりますです」

 

三浦「叩かないでって言ったのはあんただし」ムニムニ

 

八幡「いいいいやややや、そそそそれれれれはははは」(柔らかい、柔らかいぃぃ!)

 

三浦「それにさ、こーしてればあーしを見てくれるじゃん!」ニコッ

 

八幡(近い、近いぃぃ! 良い匂い、良い匂いぃぃぃ!?)

 

三浦「あーしは見てるよ、あんたを……」

 

三浦「あんたは……どうよ?」

 

八幡「おおおおおおおれれれれれ」

 

三浦「ねぇ、あーしの顔、真っ赤?」

 

八幡「               」

 

八幡「……ん……むぅ」

 

三浦「お、起きたし」膝枕中

 

八幡「……なんだ、夢か……」すぅ

 

三浦「また寝るなし」ぺしっ

 

八幡「いてっ!」

 

三浦「あんたが、気絶したせいでもうすっかり夕暮れじゃん」

 

八幡「えっ、マジで!?」

 

三浦「マジマジ」

 

八幡「うわぁ、マジだよ……マージマジマジーロだよ」

 

八幡「気絶した挙句、膝枕までされるとか……」

 

三浦「……嫌だった?」

 

八幡「え、いやじゃ、ないですけど、うん、なんというか男のプライドというか」ゴニョゴニョ

 

三浦「あーしは良かったけど、あんたの寝顔が見られたし」

 

八幡「えっ……?」

 

三浦「うん//////」

 

八幡「//////」

 

三浦「あ、あのさ……」

 

八幡「な、なにっ?!」

 

三浦「さっきの質問……答えて欲しいし」

 

八幡「あ、あー、あれ、えっと……」

 

三浦「//////」

 

八幡「う、うんとね、夕日が眩しくてよくわかんない」

 

八幡(我ながら、なんというヘタレ返答)

 

三浦「そっか……

 

八幡「す、すま……」

 

三浦「あやまんなし」

 

八幡「う、うん」

 

三浦「……まぁ今日はお開きってことでいいしょっ!」ニコッ

 

八幡「そ、そうだな……」

 

三浦「あ、あのさ、今週の日曜は空いてる?」

 

八幡「え、ああ、、まぁ空いてないことはない……」

 

三浦「よし、じゃあ約束!」スッ

 

八幡「えーまたかよ」

 

三浦「文句いうなし!」

 

八幡「はいはい」

 

三浦「ゆーびきりげんまん」

 

八幡「嘘ついたらー」

 

三浦「はりせんぼんのーます」

 

八幡・三浦「指切ったっ!」

 

八幡(しかし、まぁ、今週の日曜か……)

 

八幡(ノリでOKしてしまったが、今からでも断るべきなのでは?)

 

八幡(だいたい、俺とは釣り合わないだろうし、それに……)

 

八幡(しかし、指切りで約束までしてしまったし)

 

平塚『差し出す女は一途な愛、受け取る男には誠意の心が必要となる』

 

平塚『一途な愛と誠意の心だ』

 

八幡「むぅ」

 

小町「おにーちゃん!」ヒョイ

 

八幡「うぉっと、いきなり横からでてくんなビックリする」

 

小町「いやいや、何やら難しい顔してましたので、ほぐしてあげようかと」

 

八幡「いらんお世話だ」

 

小町「えー、だって、お兄ちゃんが難しい顔してると変なんだもん」

 

八幡「変ってなんだ、変って……」

 

小町「うーんと、ほら、あれだよあれ」

 

小町「例えると深海魚? の一種?」

 

小町「いや、もっとあれかな昆虫? 微生物?」

 

八幡「おい、やめろ、これ以上いうと泣くぞ、ほら泣くぞ」グスッ

 

小町「冗談だって、冗談、ほらほらいいこいいこ」ナデナデ

 

小町「まぁ、そんなことはいいとして」

 

八幡「よくねーよ、俺のハートはボロボロだ」

 

小町「まぁまぁ悩みがあるなら、言ってみてって」

 

小町「この小町ちゃんにどーんと任せてみなさい!」

 

八幡「当てにできなさそーだな」

 

小町「あっ、ひっどーい、こー見えて学校では頼りにされてるんだよ、私」

 

八幡「はいはい」

 

八幡(とはいえ、本当のことを小町に言うと、ろくなことになりそうにない)

 

八幡(ここは、オブラートに被せて相談してもらったほうが良さそうだな)

 

 

八幡「ごほん……それじゃ改めまして」

 

小町「どーぞどーぞ」

 

八幡「実はな、材木座に小説のストーリーを相談されてな」

 

小町「なるほど、なるほど」

 

八幡「その小説のキャラ、仮にAとヒロインB子としよう」

 

小町「ふむふむ、HさんとY子さん」

 

八幡「どういう風に聞いたらそう聞こえるの!?」

 

小町「まぁまぁ、気にせず続けて続けて♪」

 

八幡「……Aは、わけありで、クラスでは孤立している」

 

八幡「ちょっと陰のある、一匹狼という設定だ」

 

小町「うわぁ……言い方って大事だねー、小町一つ勉強しちゃったよ」

 

八幡「おい、どういう意味だ……これは小説のキャラの設定だぞ」

 

小町「あーうん、そういう事にしといてあげる」

 

八幡(うぜぇ……)

 

八幡「一方のB子はだな……」

 

小町(どっち? どっちかな?! 小町的にはどっちでも応援しちゃう♪)ワクワク

 

八幡「容姿端麗でクラスの中心人物……あと、かなり胸がでかい、これ重要だな」

 

小町「……ん?」

 

小町(えっと、雪乃さんは容姿端麗だけど、クラスの中心人物とはいえない)

 

小町(なにより、胸は……うん……)

 

小町(結衣さんは胸はかなりでかいけど……)

 

小町(容姿端麗というより可愛い系……それと中心人物……?)

 

小町「ん~~~~?」首傾げ

 

八幡「どうした?」

 

小町「お兄ちゃん、もしかしてB子さんて年上?」

 

八幡「いや、同学年……という設定だ」

 

小町(年上二人でもない……もしかして……)

 

小町(新たなるお嫁さん候補!? やだ!?)

 

小町(お兄ちゃん来てますなー、来てますよー)ムフフフ

 

小町「いいよ~、お兄ちゃん、続けて続けて」キラキラ

 

八幡「お、おぅ……」(やっぱやめたほうが良かったかも知れん)

 

八幡「Aはさっき言ったとおりワケありでな」

 

八幡「特殊な能力持ちでそのせいで孤独になってしまった、まぁ詳しい能力の説明はここでは省こう」

 

小町「ああ~、そだね、悲しい想い出が残っちゃうしね……」

 

八幡「おい、なんだ、その目は、やめろ、憐れむな」

 

小町「はいはい、あったかいものどうぞ」スッ

 

八幡「あったかいものどうも……」

 

八幡「話を戻そう、Aは最終決戦の際、B子を連れて行くか迷った」

 

八幡「Aの能力はB子を不幸にするかもしれないからだ」

 

八幡「しかしながら、B子はついていくと言って聞かない」

 

八幡「ここでだ、あろうことか材木座は彼女を連れて行き、二人ぼっちになることを選択した」

 

八幡「俺は反論した、彼女は日向の人間、敢えて日陰に引きずり込むのは単なる自己満足」

 

八幡「ここは永遠の別れを告げ、悲しくも美しい悲劇として演出をすすめるべきだ」

 

八幡「まぁ、簡潔に言えばこんな所だ……」

 

小町「……ふーん」

 

八幡「どうだ、俺が正しいだろ?」

 

小町「うん、お兄ちゃんが間違えてるよ、それ」

 

八幡「え……いやいやだって……」

 

小町「だってもこってもないって、B子さんはついて行きたいっていったんでしょ」

 

小町「だったら連れていかないほうが、自己満足じゃん」

 

小町「だいたい、なに、悲しくも美しい悲劇? みんな好きだよね、そういうの」

 

小町「でもね小町だったら、そんなのじゃなく、ふたりで笑って、ふたりぼっちを歩んでいく」

 

小町「そして大声で言っちゃう」

 

小町「へいき、へっちゃらだって」

 

小町「……うん、今の小町的にポイント高いよ……」

 

八幡「…………」

 

八幡「そっか……まぁ参考にさせてもらうわ」

 

小町「おにいちゃん、ファイトだよ、正念場、正念場!」

 

八幡「小説のキャラだって言ってるだろ、バカ」

 

小町「えー、そうだっけー」

 

八幡「ったく、もう寝るぞ、俺は今日は、微生物の顔で寝てやる」

 

小町「まーだ、根に持ってる、可愛くなーい」ニシシシ

 

八幡「うるへー」

 

小町「おにーいちゃん♪」

 

八幡「うん?」

 

小町「おにいちゃんが取られても小町はね」

 

小町「へいき、へっちゃら、覚悟したから♪」

 

小町「いまの小町的にポイント高いから♪」

 

小町(あの、おにいちゃんがかー)

 

小町(人はやっぱり進歩ってするんだなー)

 

小町(しかし、まぁ、B子さんてどんな人なんだろ)

 

小町(結衣さんに聞けばわかるのかなー)むぅ

 

prrrr

 

小町「うん?」

 

小町(知らない番号から……)

 

小町「はい、もしもし、小町ですけど」ピッ

 

三浦『あ、は、はじめまして、あーしはヒキ……あっ、ちょちが、えっとユイの友達の……」

 

小町(ああ、この人が……)

 

小町「はじめまして♪ B子さん♪」

 

三浦『は、はい?』

 

八幡(昨日デートしたからといって何が変わるわけでもない)

 

八幡(俺はクラスでは、ボッチ、そしてあいつ、三浦は)

 

八幡(クラスの中心グループとして、むこうで葉山達と青春を謳歌している)

 

八幡(そう、あいつは日向、俺は日陰)

 

八幡(交わることも、関わることもない)

 

八幡(なにも変わらない日常、変わらない関係)

 

八幡(小難しく考える必要もなかった)

 

八幡(一日で変わる大切なことなんてなんにもない)

 

八幡(なんで考えていた? 変わって欲しかった? 期待していた?)

 

三浦「え~まじで~」キャハハ

 

葉山「そーなんだよー」アハハ

 

八幡「……」イラッ

 

八幡(……なんで今、ムカついた?)

 

八幡(三浦と葉山が楽しそうに喋っていたから?)

 

八幡(嫉妬? いやいや、三浦と俺はたった一日デートをしただけの関係だぞ)

 

八幡(これで嫉妬とかどんだけ勘違いさん、乙だよ)

 

八幡(……世界は変えられない……自分は変えられる)

 

八幡(変わったのは自分自身?)

 

八幡(いやいや、肝心要な所は変わってない)

 

八幡(今までも何回もあっただろ、ちょっと優しくされた女子に勘違いしたこと)

 

八幡(それと、変わらない、変わってなんかない……多分)

 

三浦「隼人、ちょー面白すぎるっしょ、それ」アハハ

 

八幡「……」イライライラ

 

八幡(くそ、くっそ、何勘違いしてるんだよ!)

 

八幡(自分自身言ってたじゃねーか、元からあいつと葉山はベストカップルだって)

 

八幡(なのになんで葉山の名前が出ただけでムカついてるんだよ! 俺は!)

 

キーンコーンカーンコーン

 

八幡(昼休みか、外に出て、風にでも当たるか)

 

八幡(そーすれば、少しは頭も冷えるだろ)ガタッ

 

戸部「よー! どこに行こうとしてんだ大将!」トン

 

八幡「ひっ! やめて、ごめんなさい!」

 

戸部「えっ?」

 

由比ヶ浜「あー、ヒッキーはこんなのだから気にしないで」

 

海老名「こ、これは新ジャンル開拓?! 戸部×八幡?! 嫌いじゃない、嫌いじゃないわ!」

 

葉山「ははは、ヒキタニくんは面白いな」

 

八幡「 (゚д゚ )」

 

戸部「いやいや、オレッチもしょーみ驚きの連続? ちゅーか、驚愕?」

 

海老名「大丈夫、大丈夫、男体化っていうのも結構いける口だから……ふふふ……」

 

葉山「優美子から色々聞いてるよ……おめでとう? 応援してる? うーんいい言葉が浮かばないな」 

 

八幡「( ゚д゚)」

 

由比ヶ浜「えーと、うん、もうみんな知っちゃてるんだよ、ヒッキー」

 

八幡「( ゚д゚ )」

 

三浦「やーっと、こっちみてくれたし」

 

三浦「ほーら、じゃ、いっしょ弁当、食べにいくし」

 

八幡「( ゚д゚ )」

 

八幡(あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!)

 

八幡(1日で世界は変わらない、そう思っていたら半日で完全包囲網が形成されていた)

 

八幡(な…何を言っているのかわからねーと思うが)

 

八幡(俺も何をされたのかわからなかった…)

 

八幡(頭がどうにかなりそうだった…催眠術だとか超スピードだとか)

 

八幡(そんなチャチなもんじゃあ断じてねえ)

 

八幡(もっと恐ろしいリア充のコミュ能力の片鱗を味わったぜ…)

 

三浦「どうでもいいけど、なんであんたそんな変な顔してんの?」

 

八幡「ってゆーか、なんで他の奴に話してんの、お前?」

 

三浦「別に良いじゃん、それとも嫌だったの?」

 

八幡「いや、別に嫌なわけじゃないけど……」

 

三浦「だったらいいっしょ、隠してて良いことなんてないし」

 

八幡「いやいや、普通は、こういうことは女の子のほうが」

 

八幡「『一緒に帰って友達に噂とかされると恥ずかしいし』」

 

八幡「とかのどこぞの幼馴染みたいなことをいうもんだろ」

 

三浦「なにその言い草、もうちょっと断り方ってもんがあるっしょ」

 

三浦「あーしが文句いってやるから、その幼馴染にちょっとあわせてよ」

 

八幡「あーすまんかった、お前にこういう話しても通じんわな、すまんかった」

 

三浦「?」

 

三浦「まぁ、いいわ、それよりほら、とっとと弁当、食べてよ」

 

八幡「お、おぅ……」

 

三浦「召し上がれ♪」

 

パカッ

 

八幡「うぉ……」

 

八幡(すげぇ豪華な弁当、ってゆーか俺の好物ばかりで構成されている)

 

八幡(さらに、小難しいことはわからんが、たぶん弁当の飾り付けとかも考えられてる、こんなにカラフルだし)

 

八幡(味は、味はどうだ……)ぱくっ

 

八幡「……うまい」

 

三浦「……!」

 

三浦「本当?!」ズイッ

 

八幡(近い近い近い!)

 

八幡「……ま、まずかったら、こけにしてやるところなんだが」

 

八幡「い、いや……うん、うまい……ぜ」

 

三浦「そ、そっか、どう? あーしの言ったこと嘘じゃないっしょ?!」ズイッ

 

八幡「あー、あーその……うん」(近いどころか接触してるっての!)

 

三浦「よ、よかった、本当によかったし///」

 

八幡(こいつ、いったいなんなんだよ、本当に)

 

八幡(……ん?)

 

八幡(なんだ……前近くで見たときと違う?)

 

八幡(顔の造形なんざ一日で変わるわけない……はず)

 

八幡(よく見ると、違うんじゃなく、なんか、違和感がある?)

 

八幡(…化粧が濃い……?)

 

八幡(目の下がうっすらと黒い……隈?)

 

八幡(夜遅くまで起きていた?)

 

八幡(そういえば、昨日小町が、あの後も長い時間起きてたな……)

 

八幡(そして、この弁当は俺の好物ばかりで構成されている)

 

八幡(小町から、あの時間の後聞いたのか……)

 

八幡(この、ゴーヤチャンプルーのゴーヤなんか普通は家になんかないよな)

 

八幡(あの時間から、買い出しに行ったのか)

 

八幡(あの時間からだったら、睡眠時間は2~3時間ぐらいしかとれねーぞ)

 

八幡(いや、女には化粧の時間がある……もしかして徹夜かよ)

 

八幡(俺なんかの……ために?)

 

八幡(本当になんなんだよ、こいつは……)

 

八幡(なんで……なんで、俺のためにそこまでするんだよ!)

 

八幡「……」ギリッ

 

三浦「……ヒキオ?」

 

八幡「……なぁ、一つ聞いていいか?」

 

八幡「……なんで俺なんだ?」

 

八幡「三浦だったら、他にもいるだろ……葉山とか」

 

八幡「いや、葉山じゃなくったっていい、お前らのグループの一人」

 

八幡「それどころか、探せば学校中に候補はいくらでもいるはず」

 

八幡「その有象無象の中でだ……」

 

八幡「自慢じゃないがな、俺はボッチでひねくれものだ」

 

八幡「校内で彼氏にしたくない、もしくは存在感のない男ランキングがあったら上位にくる自信はある」

 

八幡「なんで俺なんだよ……?」

 

八幡(なんで、おれなんかのためにそこまでしてくれんだよ……)

 

三浦「……」

 

三浦「あんたさー、ちょーっち勘違いしてない?」

 

八幡「なにがだよ」

 

三浦「じゃあ、逆に聞くし」

 

三浦「あんたにふさわしい彼女ってだれになるん?」

 

三浦「可愛い? 頭いい? 運動神経がいい? 性格がいい?」

 

三浦「不細工? バカ? 運動音痴? 性格ブス?」

 

三浦「どれよ?」

 

八幡「は? 意味がわからん」

 

八幡「個性の羅列だけ上げても、全体像が浮かばん」

 

八幡「そんなので選べるわけがないじゃねーか」

 

八幡「もっと総合的に判断すべきだろ」

 

三浦「それよ」

 

八幡「は?」

 

三浦「あんたがさっきいった事は個性の羅列じゃん」

 

三浦「自分の悪い個性だけ上げて並べてるだけ」

 

三浦「そんなので総合的な判断なんかできるわけないっしょ

 

三浦「あんたが自己評価が低いのはわかる」

 

三浦「じゃあ、言ったげるわ、あんたの良いところ」

 

三浦「あんたさ、自分が子犬みたいと思ったこない? あーしは何回もある」

 

三浦「あーしは、子犬みたいなあんたが、可愛くて可愛くてしょうがない」

 

三浦「抱きしめていたいし、ずっと見ていたいとも思ってるし」

 

三浦「それだけじゃない、あんたはやるときにはやる男だってのも知ってる」

 

三浦「この前のテニス勝負のとき、あんたは、風の流れが変わる瞬間」

 

三浦「その一瞬を狙って、勝負をしかけた」

 

三浦「あんたわかってる? 普通はそんな状況に置かれたら足がすくんでもおかしくない」

 

三浦「でも、あんたはその一瞬に恐ることなく勝利を掴んだ」

 

三浦「そんときのあんたは正直かっこよかったし」

 

三浦「そしてね、あーしはね……」

 

三浦「あんたが、誰かのために自分が悪者になったり」

 

三浦「誰かのために自分のなにかを諦めたり」

 

三浦「自分の事を簡単に二の次にできる」

 

三浦「あんたの優しさが」

 

三浦「大好き!」

 

三浦「……でもね、それで傷つくあんたの姿はさ」

 

三浦「あーしは大嫌いなんだよ……」

 

三浦「……だからさ、今回は傷つかなくてもいいっしょ」

 

三浦「今回はあーしのために、あーしの事を諦めないで」

 

三浦「あーしのことをずっと見ていて欲しい」

 

三浦「お願い……お願いだから」ギュッ

 

八幡(……笑顔で二人ぼっちを歩むか……)

 

八幡「……俺は嫌だね……」

 

三浦「……えっ? どうして?」

 

八幡「……」

 

三浦「あ、あのさ、あーしが悪いところあったんなら、直すから……」

 

三浦「だ、だから……お願い……お願いします……」

 

三浦「だ、だから……もう見放さないで……」

 

八幡「……」

 

八幡「……はぁ、なに勘違いしてんだよ」

 

三浦「えっ…」

 

八幡「まだ、俺には、お前よくわからん」

 

三浦「うん…」

 

八幡「だ、だからさ……もうちょい、見せてくれよ」

 

八幡「お前の良いところも、悪いところも……もっと見てみたい……から」

 

三浦「!」

 

三浦「わ、わかったし! だから、見てて!」

 

三浦「男子三日会わざれば刮目して見よっていうなら」

 

三浦「あーしは一瞬見逃せば後悔させてやるし!」

 

八幡「意味がわからんわ……」

 

三浦「わかんないなら、わからせてやるし!」

 

八幡・三浦「……プッ、クッ、アハハハハハハ!」

 

三浦「はー、あぁ……」クタッ

 

八幡「お、おいっ!」

 

三浦「眠いし……」

 

八幡「そっか……」

 

三浦「やだな、また見つめ合えるのに……」ウト

 

三浦「まだ、寝たくないし……」ウトウト

 

八幡「いいから眠っとけ……俺が見といてやるから」

 

三浦「……」スッ

 

八幡「お前、指切り大好きだな……」ハァ

 

八幡「指切りげんまん」

 

三浦「嘘ついたら……」ウトウト

 

八幡「針千本のーます」

 

八幡「指切った」

 

三浦「すぅ……んぅ……」

 

八幡「……ったく」

 

八幡「これじゃ俺がバカみたいじゃねーか」

 

八幡「バーカ」クスッ

 

 

~~放課後~~

 

由比ヶ浜「やっはろー! ゆきのん!」ガラッ

 

雪乃「こんにちは、由比ヶ浜さん」

 

由比ヶ浜「ごめんね、ヒッキー今日も奉仕部を休むってー」

 

雪乃「……あなたが謝る必要はないわ、比企谷くんの勝手なのだから」

 

由比ヶ浜「それもそっかー」

 

由比ヶ浜「でもさ、でもさ、ゆきのん、もう、なんていうかね」

 

由比ヶ浜「ヒッキーと優美子ラブラブだよね!」

 

由比ヶ浜「今日の昼も、一緒にお昼ご飯食べてたんだよ、もちろん優美子の手作りだよ!」

 

由比ヶ浜「その後ね、優美子寝ちゃったらしくて、保健室までヒッキーがおんぶしてあげたんだって!」

 

由比ヶ浜「ヒッキーそのあとも、優美子が起きるまで、見ててあげて」

 

由比ヶ浜「それでね、それでね、今日も一緒に帰るって言ってた!」

 

由比ヶ浜「もう、本当にベストカップルって感じだよね!」

 

雪乃「そう」

 

由比ヶ浜「あー、いいなー、あたし、憧れちゃうなー」

 

由比ヶ浜「いつか……あたしもああなりたいな!」エヘヘヘ

 

雪乃「なれると思うわ……由比ヶ浜さんなら」

 

由比ヶ浜「ありがとう! ゆきのん!」ダキッ

 

由比ヶ浜「あーでも、そうなってくれる人から探さなきゃ駄目だね」

 

雪乃「……それは違うわ、由比ヶ浜さん……それは嘘をついてる」

 

由比ヶ浜「えっ……?」

 

由比ヶ浜「いやいや、何言ってるのゆきのん? あたしは嘘なんかついてないよ!」

 

由比ヶ浜「今のヒッキーと優美子はベストカップルだと思ってるし」

 

雪乃「そうね」

 

由比ヶ浜「いつかああなりたいと思ってるし」

 

雪乃「そう」

 

由比ヶ浜「だから……そんな人を見つけなきゃって……」

 

雪乃「……由比ヶ浜さん、それが嘘なのよ」

 

雪乃「あなたがそうなりたいと思っている人、それは……」

 

雪乃「比企谷くん……そうなのでしょう?」

 

由比ヶ浜「い、いやいや、だ、だってヒッキーは今優美子とベストカップルじゃん!」

 

由比ヶ浜「だ、だから、ヒッキーは……その……そういう関係になれないっていうか……」

 

雪乃「由比ヶ浜さん、私はいま、比企谷くんと三浦さんのことは聞いていないの」

 

雪乃「あなたは……誰と、ベストカップルになりたいのかしら……」

 

由比ヶ浜「……」ピクッ

 

由比ヶ浜「わ、わたしは……」

 

雪乃「……私はね、疑問に思っていたの」

 

雪乃「あなたが、二人の関係を必要以上の応援をしていることに」

 

由比ヶ浜「ゆ、ゆきのん……」

 

雪乃「由比ヶ浜さん、正直に話して頂戴」

 

雪乃「あなたがなぜ、必要以上の応援をしているか」

 

由比ヶ浜「い、いや……あたし……は」

 

雪乃「由比ヶ浜さん」

 

由比ヶ浜「う、うん……」

 

雪乃「ここは奉仕部で……」

 

雪乃「私はあなたの友達なのよ」

 

雪乃「あなたが、救いの手求めていて」

 

雪乃「そして、私が、あなたの友達である資格があるのなら」

 

雪乃「私にあなたの手をとらせて頂戴、そうすれば」

 

雪乃「――――私の全力を持って、あなたを救うわ」

 

由比ヶ浜「……ゆきのん」グスッ

 

雪乃「お願い、あなたの傷つく姿をこれ以上見たくはないの」

 

由比ヶ浜「ゆきのん……実はね」ギュッ

 

由比ヶ浜「優美子が泣いて走っていったあの日」

 

由比ヶ浜「その前に優美子が私に言ったんだ」

 

由比ヶ浜「優美子が、ヒッキーと幼稚園のころ一緒だったって……」

 

由比ヶ浜「その頃の、お嫁さんになるって約束した」

 

由比ヶ浜「だから、今から、その約束を果たしたい、だから応援してって」

 

由比ヶ浜「私は、そう言われて、言っちゃったんだ」

 

由比ヶ浜「応援するって……」

 

雪乃「そんなことがあったのね……」

 

由比ヶ浜「……だから、あたし、頑張って応援した」

 

由比ヶ浜「だって……優美子はずっと、ヒッキーを想ってたんだもん」

 

由比ヶ浜「だから、だから……」

 

雪乃「自分の想いを抑えてでも……応援した、と」

 

由比ヶ浜「うん……」

 

雪乃「そう、辛かったでしょう……」

 

由比ヶ浜「ねぇ、ゆきのん、愚痴っちゃっても、いいかな?」

 

雪乃「言ったでしょう、全力を尽くすと」

 

雪乃「受け止めてみせるわ、あなたを」

 

由比ヶ浜「卑怯だよ、優美子は!」

 

由比ヶ浜「そんなこと言われたら私は引くしかないじゃん!」

 

由比ヶ浜「ヒ、ヒッキーもヒッキーだよ、デレデレしちゃって!」

 

由比ヶ浜「たしかに、優美子は美人で、家事は万能だし!」

 

由比ヶ浜「クラスの中心で、誰からも頼りにされて、性格も良いし!」

 

由比ヶ浜「あ、挙句に、幼馴染だし!」

 

由比ヶ浜「でも、あたしだってあたしだって!」

 

由比ヶ浜「あたしだって……優美子より……」ハッ

 

由比ヶ浜「……ねぇ、ゆきのん……あたし……」

 

由比ヶ浜「――――あたし、優美子に勝ってるとこがひとつもない」

 

由比ヶ浜「……あ、あたし……あたし……」

 

雪乃「……」ギュッ

 

由比ヶ浜「ふ、くっ、あぁ、ああ、あああ、あああああッ!」ぼろぼろ

 

由比ヶ浜「嫌、嫌だよ、ヒッキー……ヒッキー!」

 

由比ヶ浜「優美子にとられちゃったら、もう、あたしなんか見てくれない!」

 

由比ヶ浜「優美子、とらないで! ヒッキーをとらないでよぉ!」

 

由比ヶ浜「あ、あ、ヒッキー! ヒッキー! あああ、あああああッ!!」

 

雪乃「……」ギュッ

 

 

~~1時間後~~

 

由比ヶ浜「……ありがとう、ゆきのん」

 

雪乃「……」

 

由比ヶ浜「もう……日も暮れちゃったし、帰ろう……?」

 

雪乃「……ええ」

 

由比ヶ浜「あたしはもう大丈夫だから」パッ

 

雪乃「由比ヶ浜さん」

 

由比ヶ浜「なに? ゆきのん?」

 

雪乃「比企谷くんの幼馴染の話、あなた以外は誰が知ってるの?」

 

由比ヶ浜「多分、誰も知らないと思うけど……」

 

雪乃「そう、やっぱり……」

 

雪乃「やっぱり、三浦さんもあなたのお友達なのね」

 

由比ヶ浜「?」

 

雪乃「さっきの私と一緒ということよ」

 

雪乃「さっきの私と同じように、本音をぶつけて欲しい、多分、だから、あなただけに教えた」

 

由比ヶ浜「!」

 

雪乃「今日はもう帰りましょう、そして自分の気持ちに整理をつけて」

 

雪乃「明日、直接話せばいい、違うかしら?」

 

由比ヶ浜「う、うんっ!」

 

雪乃「大丈夫よ、あなたなら……」ニコッ

 

 

八幡「……」テクテク

 

三浦「……」テクテク

 

三浦「ねぇ……いつから、気づいてた?」

 

八幡「なんの話だ?」

 

三浦「とぼけなくてもいいし」

 

三浦「覚えてるんでしょ、幼稚園の頃のこと」

 

八幡「……昔のことだからな、覚えてない」

 

三浦「AとB子……あれ、つまり、昔の話っしょ……」

 

八幡(小町の奴……余計なことを)チッ

 

八幡「あれは、材木座の小説だ……それ以上でもそれ以下でもない」

 

三浦「……いじわる」グスッ

 

八幡「泣くなよ……泣き虫」

 

 『あーし、ヒキガヤくんのこと大好きだよ!』

 

 毎日そう言うことが、あの頃の日課だった。それだけが、本当にわかっていることだったから、言い続けた。

 

 本当は彼の名前の方で呼びたかったのだが、彼の漢字は幼稚園児の自分には難しく読むことが出来なかった。

 

 今思えば照れ隠しのだったのだろう。彼も彼で、自分の名前を教えようとはしなかった。

 

 だから、仕方なく先生が呼んだ、ヒキガヤという苗字で呼ぶことにしていた。

 

 『はいはい、俺もミウラのこと大好きだよ』

 

 彼はいつも決まってそっぽを向き、淡々とそのセリフを返す。

 

 セリフ自体は言って欲しい言葉そのものなのだが、全くと言っていいほど感情も情緒も感じられない。

 

 『うー、ヒキガヤくん、なんかテキトー』

 

 頬をふくらませ、抗議の言葉を漏らす。

 

 彼はいつもこうだ、こうやって相手をしてくれない。いつもこちらを見てくれない。

 

 自分の方を見てくれない彼がもどかしかった。だから、振り向いての意味も込め、もう一度大声で叫んだ。

 

 『あーしはヒキガヤくんのことが大好きです!!』

 

 『2回も言わなくていい』

 

 まだ、彼は、そっぽを向いたままで話しを続けている。その態度が腹ただしい。

 

 なぜ、という言葉が頭の中で反芻する。なぜ、見てくれない。なぜ、向き合ってくれない。なぜ――――

 

 顔が熱くなるのを感じた。見なくても真っ赤なのだろうと思うほど。

 

『だって大事なことなんだし!!』

 

『はいはい』

 

 のれんに腕押しである。これだけ言っても全く取り合ってくれない。

 

 『……いじわる、ヒキガヤくんのいじわるぅ!』

 

 自分のことなど、どうでもいいのか、そんな感情が胸に渦巻き、遂には涙が目から溢れ始める。

 

 そんな自分を見かねてか、彼は疲れたようにため息を付きこちらを振り向く。

 

 『泣くなよ……弱虫』

 

 ――――初めて彼が振り向いてくれた。そのことが嬉しかった。顔が笑みを描くのを止められなかった。

 

 『弱虫じゃないもん! ミウラ ユミコっていう名前があるんだもん! ばかばかばか!』

 

 照れ隠しに、彼が怪我しないように力を抑えて拳で殴打した。

 

 右、左、それぞれ交互に、痛くないよう、心を込めて殴打した。

 

  『やめろって……』

 

 彼はちょっと頬を染め、困ったように言葉を漏らした。

 

 その顔がたまらなく好きだった。彼が自分を意識している。そう思えたからだ。

 

 胸に暖かい感情が溢れ、そのまま上へと昇っていくような気がした。

 

 その感情は、思考より先に行動へと繋がる。そう、彼を抱きしめていたのだった。

 

 『えへへー、ヒキガヤくん、だーいすきー』

 

 『やめろって、暑苦しい』

 

 うっとおしそうにする彼など気にせず、ギュッと抱きしめる力を強める。

 

 うっとしそうにしていても彼は拒否はしたりしなかった。

 

 それが彼なりの、自分への肯定であるかに思え、自然と頬が緩んだ。

 

 だから、一番の感情を込めて、一番の愛を込めて、声高らかに断言した。

 

 『ヒキガヤくん、だーーーーいすき!!』

 

 

 ある日――――その時が訪れた。

 

 『あの、えーと、あのキモい奴のこと好きなの?』

 

 囲まれていた。人だけでない、子供の残酷な悪意が自分を囲んでいた。

 

 『う、うん、ヒキガヤくんのこと、あーし、大好きだよ』

 

 キモッという呟きが聞こえた。周りの目が、周りの感情が、侮蔑へと向かっていく。

 

 その時、理解した。子供は純粋であっても、清純ではないのだと。

 

 子供の自分は、それを跳ね除ける力もなく、ただ、我慢するしかなった。

 

 涙が溢れはじめる。喉から嗚咽が止まらない――――けれど、負けないよう拳を握った。

 

 『なにやってんの、おまえら』

 

 彼の声が聞こえた。

 

 振り向くと彼は、震えながらそこに立っていた。

 

 怒りか恐怖か、どちらでかはわからなかったが、すごく震えていた。

 

 『いやさー、この子、アンタらがラブラブだって言ってただけー』

 

 『熱々だねー、キャハハ!』

 

 『キモっ』

 

 その言葉は自分にだけ聞こえるように、かすかにつぶやかれていた。

 

 『……はぁ? オレはそんなこといってねーし』

 

 彼は大げさに肩をすくめ、そう言い放った。

 

 『はぁ、あんた何言ってんの?』

 

 『勝手にそいつが言ってるだけだろ、そんなこと』

 

 わかっている、その言葉が嘘だと。

 

 『っていうかさ、オレ、そんなブスのこと好きなわけねーじゃん』

 

 彼の体が震えているのもわかっていた。

 

 『俺とそいつは、なんもねぇよ』

 

 けれど、その刃は自分の心に突き刺さっていた。

 

 『ばーか!』

 

 大声で泣いた。

 

 ただただ、悲しかった。ただただ悔しかった。

 

 なにも、できない自分に、なにもしてあげられない自分が。

 

 その後、彼の話は他の女子もブスだという皮切りから周辺を巻き込み、男女問わず敵に回したことで決着した。

 

 結果として彼は孤立し、いじめを受けた。

 

 そう、この幼稚園に彼の居場所はなくなっていたのだった。周りが、世界が彼を敵として

 

 そして――――自分は見てしまったのだ、彼が泣く姿を

 

 それは誰もいない部屋で、ただ一人、彼は汚された自分の机をぬぐい、すすり泣いていた。

 

 『なんで、オレなんだよ……どうしてオレなんだよ……』

 

 呟くように、吐き出すように彼はその言葉を紡ぎ、それは自分の耳へと届いていた。

 

 それは初めて聞いた、彼の弱音だった。

 

 その姿は痛々しく見ていられなかった、そして、たまらず自分は彼に走り寄った。

 

 『……なんだよ……』

 

 『ヒキガヤくん……』

 

 『こっちくんなよブス……』

 

 『大好きだよ、ヒキガヤくんッ!!』

 

 理屈も思考もなかった。ただただ、感情だけで彼を抱きしめていた。

 

 彼は、拒否することもなく、歯を食いしばり、拳を握っていた。

 

 『やめろよ……お前までいじめられるぞ……』

 

 『あーし、それでいいよ! ヒキガヤくんとなら!』

 

 『……無理すんな、弱虫……』

 

 そう呟くと、彼は自分を引き離した――――それが、彼の初めての拒否だった。

 

 『ヒキガヤくんッ!!』

 

 彼の手を取る、それしか出来ない自分を嫌悪しながら、ただ、彼を引き止めるために。

 

 『ゆびきり……』

 

 『はぁ……?』

 

 『ゆびきり……して』

 

 『あーし、ミウラ ユミコはヒキガヤくんのお嫁さんになります』

 

 『……』

 

 『ゆびきり、げんまん、うそついたら、はりせんぼんのます』

 

 『ゆびきった』

 

 『ヒキガヤくん……あーし』

 

 『なに、勝手に約束してんだよ……ばーか』

 

 そう言うと彼は、指を振りはらい、呆然とする自分を放置し、部屋を出て行った。

 

 その寂しげで、なにかをこらえているような、後ろ姿が自分には忘れられなかった。

 

 そして、彼は、もう自分を見てくれることは無かった。

 

 そして、あのテニス対決の後、彼の後ろ姿がちらりと見えてしまったのだ。

 

 あの寂しげで、なにかこらえているかのような後ろ姿が、はっきりと。

 

 その時は思ってしまった。ラブコメの神様がいるのなら、これが、これこそが。

 

 ――――二人の青春ラブコメなのだと。

 

 

 リア充とは恐ろしい。過去の黒歴史ですら、自分の輝かしい思い出に変えてしまうのだから

 

 この出来事は端的に言ってしまえば、こうである。

 

 『ある男の子のせいでいじめられそうになった。男がヒーロー気取りで助けてくれたけど、結局、疎遠になりました』

 

 結論からいってしまえば、こんな物は黒歴史で、夜中、枕に顔をうずめて悶えるような恥ずかしい思い出なのだ。

 

 ヒーローなどそうそういないし、まして俺がなれるわけがない。だいたい、そのヒーローたちもヒロインとは疎遠になる奴が多い。

 

 そういう事実がわかっていない子供の暴走、これがこの話の趣旨である。うん、正直言うと、今すぐお布団に入って悶えたい。

 

 だが、こいつの反応は違う、まるで俺がヒーローであり、かつ自分がヒロインなのだ。

 

 『好きな男の子が助けてくれて、自分はいじめられずに済んだ、だからお嫁さんになります』

 

 これが三浦の思考なのである。

 

 なに、この乙女回路とか乙女プラグインとかが入ってそうな思考回路。

 

 正直、『お父さんのお嫁さんになる』と変わらない思考で、普通は時間が立てば風化してしまうような想いだろう。普通。

 

 しかしながら、そんな想いを風化させずに、それどころか芳醇なワインのように熟成までしてしまったのが、一連の三浦の行動はそれが根底というわけだ。

 

 俺は、すこしばかりの空気を肺に取り込み、小さな溜息を吐き出した。

 

 「覚えてねぇよ、そんなこと」

 

 こいつにとって輝かしい思い出であっても、俺にとっては黒歴史、忘却の彼方へと葬ることが最善だ。

 

 っていうか、広めないでください、お願いします、なんでもしますから。

 

 「……ふーん」

 

 三浦は小悪魔的な笑みを浮かべ、腰をかがめるようにして、こちらを見上げていた。正直、可愛いです。

 

 しかし、その可愛い口の端をさらに上げ、言い放ったのだ。

 

 「AとB子の話は、小説の話じゃなかったけ?」 

 

 痛いところにクリティカルである。そう、今の今まで俺は小説の話として誤魔化し、話を進めてきた。そうとすると、先ほどの返答は不適切である。

 

 まさに俺の理論はダウン寸前だ。立て立つんだ、と心に呟きながら、俺は顔をしかめ、なんとか体勢を立て直そうを言い訳を思案する。

 

 「いやいや、小説の内容を忘れただけだ、別に、お前のことじゃねーし」

 

 苦しい、正直ばればれだとわかるが、このくらいしか思いつかない。

 

 「……まぁ、いいっしょ、正直小説の話なんてどうでもいいし」

 

 そう言うと、三浦は俺の手をとり、ぐいぐいと引っ張った。

 

 「痛い痛い痛い! なにすんだよ!」

 

 「今夜は晩御飯作るし、買いだし!」

 

 「はぁ!?」

 

 「ほらほら、ちゃんと、おいしい料理作るし、手伝いなさいって!」 

 

 そういうと、今度は腕を絡められ、引っ張られた。

 

 かなりのボリュームとほどよい弾力を持つ柔らかな双丘が腕にあたり、力が抜ける。おっぱいって卑怯だよね、おっぱいってすごいよね。

 

 俺はカートを押しながら、この場所について少しの考察を行う。 

 

 スーパーとはなんとも、不思議な雰囲気を持つ場所である。

 

 まず、男にとって、好んでくるような場所でない。来るとすれば、サービス精神旺盛な夫、もしくは子供が大多数である。

 

 そんな中で、だ。俺の存在とはどのような、存在なのだろうか。答えは簡単である、部外者、もしくは邪魔者、いや迫害対象とも言ってもいい。

 

 ほら、あそこの弁当売り場を見てみろ。こいつは何をしにきてるんだ、ここは戦場、狼の狩場、豚が来てんじゃねーよって顔してる。

 

 「……なに、被害妄想なこと考えてるし」

 

 「なぜ、わかる」

 

 「あんたの目、さらに濁ったっしょ、簡単にわかるし」

 

 「どんだけ俺のこと見てんの、お前もしかして俺のこと好きなわけ?」

 

 「いや……大好き……だし」

 

 顔を急速に紅潮させながら、しかしながら、目をそらすことなく、こちらをしっかりと見据え、三浦はそう呟いた。

 

 正直に正直なこと言われるとこちらもその……反応に困る。なんか、こっちまで顔が赤くなるだろうが。

 

 お前が赤くなったら可愛いで済むが、俺が赤くなってもなんの可愛さのかの字もねーんだよ。ちくしょーめ。

 

 「ほ、ほら、前みろよ、他の人にぶつかるだろうが」

 

 「う、うん……」

 

 その後、少しの間、無言で歩いた。

 

 き、気まずい。もう、なんていうか、気まずい。時々見ると、その度に毎回目が合うし、顔真っ赤だし、なんなのこれ。

 

 っていうか、熱くね。このスーパー、ちゃんと空調効いてるのかよ。文句の一つでも店員に言ってやろうか。

 

 その店員もなんか、こっち見ながら笑ってるし、ここの教育はどうなってんの、糞が。

 

 「あ、あのさ……」

 

 沈黙を破ったのは、三浦のほうからだった。

 

 三浦はこちらを覗き込むように見つめていた。その瞳は少しばかり潤み、頬は赤みが差していた。

 

 「あーし……大好き……だし」

 

 「……2回も言わなくていい」

 

 「だって、大事なことだし」

 

 心の臓の脈動が激しくなる、脈動により顔へと血が昇り、結果、顔がさらに熱くなるのを感じる。

 

 糞、なんだよ。あの店員、笑いやがって、そんなに人の顔が赤いのが面白いのかよ。後で投書してやるから覚えとけ。

 

 その後、俺たちはレジにて会計を済まし、食材の袋詰めを行っている。会計の際にレジのおばちゃんにまで微笑まれたのはもう気にしない。

 

 買った食材を袋に詰めて行く。こうしているとジェンガを思い出す。ひとつ、またひとつと、ただ黙々と積んで、最後には崩す。

 

 努力して積んだのジェンガが、少しの労力で崩れる無常。自分の努力などちぽっけであるという、矮小さを認識するには、この以上とない遊戯だ。

 

 ぶっちゃけ、自分に子供が出来たら、このお遊戯を教えよう。俺の子ならば、すぐにこの世の摂理に気づいてくれるだろう、うんうん将来は有望だ。

 

 そんなことを思いながら、俺はこの素晴らしい作品の有終の美を彩るべく、最後の人参を積むために、手を伸ばした。

 

 しかし、俺の手は目的の人参を掴むことができなかったのだ。掴んだのは、もっと柔らかく暖かい物。そう、三浦の手だ。

 

 「す、すまん」

 

 「い、いーよ、別にいーって」

 

 そういえば、家族以外の手には初めて触れてしまった。柔らかい感触と、ほのかなぬくもり、女の子のというものをさらに認識してしまう。

 

 三浦の手は、華奢で小さく、すらっと伸びた指が白磁のように美しく、手という美術品を彩っていた。

 

 触れた感触はハリのある弾力と、きめ細かく滑らかさを持ち、かつ人間らしい、安らぎを感じさせる暖かさを持っていた。

 

 意識して見ていなかったので、気づかなかったが三浦は料理のためにいつもしているネイルアートを外し、自然そのままの美しい手を晒している。

 

 俺は唾を飲み込む。なにこれ、俺変態みたいじゃねーか、俺は静かに暮らしたいんだよ。

 

 その三浦が、そそくさと人参を自分が詰めていた袋へと運ぶ。

 

 「おい、ちょっとまてよ、お前の袋、もういっぱいじゃねーか、こっちによこせ」

 

 俺は人参を渡すように、三浦に手を差し伸べた。

 

 「い、いーじゃん、このくらいなら入るし」

 

 「詰めすぎで袋が破けるほうが大変なんだから、こっちでいいじゃねーか」

 

 「で、でも……」

 

 三浦はしどろもどろになって反論する。

 

 「こ、この人参だけは、あーしが持ってくし、だ、だから気にしなくていいって!」

 

 どうやら、三浦は意地でも人参を渡したくないようだ。なに、お前、どんだけ人参好きなんだよ、兎か? 寂しくて死んじゃうの?

 

 訝しんだ目で三浦を見ると、何かを思いついたように袋をあさり、ある物を俺の方へ差し出した。

 

 「そ、そんなにいうなら、このレモンをもらってよ!」

 

 黄色く、見ただけで酸っぱさを連想するそれを俺の方へさらに突き出した。

 

 三浦の美しい手と合わさって、それは絵画にしたらいい絵になるんだろうと、意味のないことを考えてしまう。

 

 「なんで、わざわざ詰めたレモンのほうなんだよ、人参のほうでいいだろ」

 

 「これでいいじゃん……これ、もらってよ」

 

 三浦はそのパッチリとした目に涙を湛え、こちらを見据えた。何がなんでも人参を渡さず、なぜかレモンを押し付けることに執心しているようだ。

 

 「ああ、もう、わかったよ……ほら」

 

 「あ……」

 

 俺は三浦からレモンを奪い取ると、自分の袋へと詰め込む。うん、想像とは違ったがこれで八幡ジェンガの完成だ。

 

 「そんな強引に奪っちゃうんだ……」

 

 奪い取られた三浦はなぜか、その白磁の肌を紅潮させ、はにかんでいた。

 

 「なに、お前奪い取られて喜んでの? どMなの?」

 

 「そーかもね、っていうかそっちが好み? な・ん・な・ら……合わせるけど?」

 

 「ちょ、ちょ、ななななな、なにいってんの!」

 

 「ごめんごめん、半分冗談だから」

 

 半分ってなに!? 半分は本気なの!? どどど童貞をからかうんじゃねーよ、童貞はいつも全部本気なんだぞ! 手はだせないけどな!

 

 「い、いいから、行くぞ、このバカ!」

 

 俺は三浦の袋を持とうと、手を伸ばす。

 

 しかし、三浦はその伸ばした手を軽々と掴み、袋を渡そうとしない。

 

 「な、なにすんだよ」

 

 「あんたはいつもそう、持ってばっか……あんたばっかに持たせるのは不公平だし、だからさ……」

 

 そういうと三浦はその細い指を俺の指の間に絡ませてくる。いわゆる恋人つなぎというやつだ。

 

 先ほど少ししか味わえなかった、典雅な感触が、俺の手を包みこんでいく。

 

 そして、三浦は俺の手を自分の頬に頬ずりしながら、嬉しそうに微笑み、こう宣言したのである。

 

 「……一緒に半分ずつ、持って行こう?」

 

 俺は抵抗を諦めた。

 

 

 「ただいま」

 

 「お邪魔します」

 

 「おっかえりー、おにいちゃん」

 

 元気な声を響かせ、階段を軽快なリズムで足音を鳴らしながら下りてくる小町。

 

 「あっ、直接会うのははじめてでしたよね、どーも、私は小町、お兄ちゃんの妹でーす」

 

 おい、なんだ、その紹介は、お兄ちゃんの妹とか、お前はどこぞのプレゼントな妹かよ。はずかしいから止めなさい。

 

 「はじめまして、三浦優美子です」

 

 はっきりとした口調でそう言うと、ペコリと頭を下げる三浦。

 

 その動作はメリハリがキチンとしており、恐らく角度も測れば30°近似値が導かれるのだろう。いつもの三浦とは違った一面を垣間見た気がする。

 

 以外とOLのような職業も、持ち前のコミュニケーション能力と合わせて、うまくやっていくのかもしれんな、リア充恐るべし。

 

 「優美子さん! ふつつかな兄ですが、よろしくお願いします!」

 

 「おい、なに勝手に売り出してんだ」

 

 「いえいえ、こちらこそ、不束者ですが、よろしくお願いします」

 

 「お前も、乗ってんじゃねーよ」

 

 俺は、三浦の手を引っ張り、上がるように促した。

 

 「あ、ちょ、ちょっと待って、今、靴脱ぐから」

 

 「あ、ああ、すまんすまん」

 

 そう言うと、三浦は、立ったまま、バックベルト方式の可愛らしいミュールを脱ぎ始める。

 

 ちょっと焦っているらしく、脱ごうとして、中々抜けず、少々もたついている。

 

 焦らせてしまったな。何か手伝えることはないだろうか? 手伝おうと、手を伸ばすが、手伝えることが見つからない。手が右往左往する。

 

 「おにいちゃん、心配なのはわかるけどさ邪魔だから、上がったら?」

 

 小町は、にやにやとした笑みを満面に浮かべ、俺と三浦を交互に見ていた。

 

 なんだ、小町、お前まで俺を笑うのか? 笑え…笑えよ…

 

 小気味の良い音ともに、食欲をそそる、良い匂いが台所から流れてくる。

 

 台所で調理をしているのは、もちろん三浦だった。

 

 振り向けば、長い髪を結い上げ、綺麗なうなじを惜しみもなくさらす三浦が見えた。

 

 料理を開始する前に手伝おうかと助力を申し出たのだが

 

 『今日はあーしに作らせてよ』

 

 と言って拒まれてしまった。

 

 「おにぃちゃん、ジロジロ見すぎ。そんなに心配なの?」

 

 「そんなんじゃねぇよ、このままじゃ俺の主夫としてのプライドがな……」

 

 「どーみても料理スキルじゃ負けてるんですけど」

 

 そうなのだ、事実、三浦の料理スキルは高い。手際よく材料を切っていき、複数の品を同時進行で調理を行っていた。

 

 聞いた話によると幼いころから、親の手伝いで料理を手伝っていたらしい。その時の家族の話から、家族仲も良好のようだ。

 

 「料理もうそろそろできるから、運んでくれるー」

 

 「あっ、小町、手伝いますー」

 

 配膳をするために台所へと向かう。

 

 「「おおー」」

 

 弁当でわかっていたことだが、三浦は盛り付けにもこだわるタイプのようだ。

 

 レモン、アボカド、トマト、レタスを使ったサラダは、高くふわりと盛られ、レタスを大枠とし、それぞれの材料を規則正しく円形に飾り付けることで、色彩を鮮やかに演出している。

 

 デザートでは、レモンシャーベットに輪切りのレモンを添え、はちみつを掛けて縞模様の彩りを作っている。

 

 主菜であるカレーも、御飯は中心に山型に盛られ、その周りはルーの海が広がり、浮かぶ輪切りのレモンも中々洒落ている。

 

 「おにいちゃん! おにいちゃん! 逃しちゃ駄目だよ、こんな人」

 

 耳元で小さな声で呟く小町。お前、うまいもの食いたいだけだろ、よだれ拭け、よだれ。

 

 「デザートは冷やしとくから、それ以外を運んどいて」

 

 「ほら、よだれ拭け、運ぶぞ」

 

 「がってん!」

 

 配膳を終えた後、食卓へと全員が座る。

 

 三浦が周りをくるりと見回し、鶴の一声を上げる。

 

 「はい、それじゃ」

 

 「「「いただきまーす」」」

 

 おお、このカレーほのかなレモンの香りと酸味がたまらんな、サラダも野菜が好きなわけじゃないが、すごくうまい。サラダも切り方で違うって言うが本当なんだな。

 

 「おいしいですよ! 優美子さん!」

 

 「ありがとう、お世辞でもうれしいし」

 

 「今度、小町にも料理を教えてください!」

 

 「オッケー、今度教えて上げるし」

 

 女の子同士できゃぴきゃぴとした会話が繰り広げられる。

 

 女三人寄れば姦しいと言うが、こうみると二人で十分だろう。

 

 てか、うぜぇ、モノを食べるときはね、誰にも邪魔されず自由で、なんというか救われてなきゃあダメなんだよ。

 

 「ところでー、優美子さん?」

 

 「なに?」

 

 「今日の料理、レモン尽くしですよね、どうしてですか?」

 

 小町はいたずらな笑みを浮かべて、その質問を三浦へと問いかけた。

 

 三浦はその質問を受け、飲んでいた水を吹き出した。その水が俺の顔へとぶっかかる。

 

 「ご、ごめん、ヒキオ、今拭くから……」

 

 顔真っ赤にしながら、俺の顔を拭いてくれる三浦。何考えてんだ、こいつ、なんか隠してるようだが。

 

 小町はその様子を見てさらに、いたずらな笑顔を輝かせた。うん? なんだ、なにかあんのか。

 

 「あー、そういえば面白い番組の録画があるんですよー、テレビつけていいですか?」

 

 「あ、うん、あーしは別に構わないけど……」

 

 「それじゃあ、ポチッとな!」

 

 リモコンを操作し、録画を再生した小町は、ニヤッとこちらの方を振り向く小町。こっちみんな。

 

 その再生された番組はどうやら雑学系のクイズ番組であり、今回は花の特集のようだった。

 

 「花言葉って素敵ですよねー、色々あるし、さりげないアピールも出来ますし! あ、今の小町的にポイント高いですから!」

 

 「なんだよ、それ、さりげなくても伝わんなかったら意味ないだろ」

 

 そう俺が呟くと、まるで養豚場のブタでもみるかのように冷たい目をこちらに向けてきた。

 

 「……これだから、ゴミぃちゃんは」

 

 おい、今なんてった。おにいちゃんのことそんな風に言うなんて、そんな風に育てた覚えはないぞ。

 

 ちらりと流し目で三浦の方を見ると、膝の上で手をいじりながら、顔真っ赤にしてなにかをブツブツと何かを呟いている。

 

 『はい、ここで問題です、レモンの花の花言葉とはなんでしょう』

 

 そのナレーターの問いに三浦の体がビクっと震える。顔も羞恥と驚愕で硬直している。

 

 『あー、あたし知ってますー』

 

 巨乳で馬鹿が売り芸能人が手を上げる。なんか知らんがこいつみると由比ヶ浜を思い出すんだよな。すまんな、由比ヶ浜、でも大体あってる。

 

 『誠実な愛ですよねー、すごくロマンチックでしょー』

 

 ビクッと俺の体が震えた。思考が2回、3回とその言葉を反芻したあと、その意味を理解するのにしばらくの時間を必要とした。

 

 つまり、今日のレモン尽くしの料理って、『私の愛を食べてください』?

 

 頭に血が昇り、ごまかそうと飲もうとした水を盛大に三浦のほうへぶっかける。

 

 「ご、ごめん……」

 

 「い、いいよ、お互い様だって、あーし、自分で拭くし」

 

 「いやいや、拭くからじっとしてろ」

 

 『食物の花にも、花言葉ってあるんですねー』

 

 『他の花言葉を例にあげると、人参の花言葉、幼い夢、なんてものもあります』

 

 へぇーという声がテレビから流れる。え、なんだって?

 

 こいつの幼い夢ってゆーと、お嫁さん? こいつ、袋詰めてるときのやり取りってもしかして

 

 私の人参(幼い夢=お嫁さん)は譲れないけど、レモン(誠実な愛)は差し上げますってこと。

 

 なにそれ、いじらしい。

 

 拭いていた三浦の顔がさらに真っ赤に染まる。伏目がちになりながら、時折こちらをチラチラと見ている。

 

 「あー、三浦?」

 

 「ひゃ、ひゃい!」

 

 俺は照れ隠しに頬をポリポリとかき、思い切ってその言葉を言った。

 

 「デザートのレモン、持ってきてくれよ、お前のレモンを……さ」

 

 パァっと顔を輝かせて微笑む三浦、笑ったこいつはやっぱり可愛いな。

 

 「う、うんっ! ちょっとまってて、今持ってくるし!」

 

 三浦は席を立つと、嬉しそうにパタパタとスリッパを鳴らしながら、台所へと向かって行った。

 

 「おにいちゃん」

 

 「なんだよ」

 

 「ゴミぃちゃん、撤回してあげる、今のは小町的にポイント高いよ!」

 

 小町はシシシといたずらっ子のように笑いながら、肩を叩いてくる。

 

 「うぜぇ」

 

 今、顔がすごく熱いので、はやくシャーベットが欲しいなと思いながら、台所を見ると、嬉しそうな三浦の顔が見えた。

 

 うん、わるくない。この感じ。

 

 

 「ハラァ…いっぱいだ」

 

 俺はどこかの妖怪のように、満足の声をあげる。 

 

 あれから三浦は俺を見つめるのに夢中で、自分のシャーベットを溶かし、小町は早食いでアイスクリーム頭痛に悶えていた。

 

 それを見ながら食うレモンシャーベットは甘酸っぱく、そしてなによりその冷たさが心地よかった。

 

 楽しい時間は早く過ぎるものだ。俺は空になった食器を片付けるため、腰をあげる。

 

 「いや、あーしが片付けるけど」

 

 「ふざけんな、お前ばっかにさせるのは、俺が嫌なんだよ」

 

 俺は有無を言わせず、三浦の手から食器を取り上げる。

 

 「……これくらいは俺にさせてくれよ」

 

 「そーですよ、優美子さん、こんなことはおにいちゃんに任せればいいんです」

 

 「そういうお前は何すんだよ」

 

 「優美子さんと遊びます!」

 

 「ふざけんな」

 

 小町は大声をあげ笑い、三浦はクスクスと静かに微笑み、俺は含み笑いをこぼす。

 

 三者三様の笑いが食卓を包む。

 

 そして、三浦は笑いすぎで出た涙をその美しい人差し指で拭い、言葉を紡いだ。

 

 「それじゃあ、あーしはお風呂入れとくから」

 

 「ああ、頼むわ……えっ?」

 

 俺は首を傾げる。風呂ってどういうこと。まさか泊まっていくとか言いませんよね。

 

 「ああ、あーし、今日は泊まってくから」

 

 「え?」

 

 俺の気持ちを知ってか知らずか、この子はその言葉を発した。それも、ものすごく嬉しそうな顔で。

 

 どういうことだ、最近の若い者の性の乱れはここまで来ていたか、ご両親は黙っていませんよ!

 

 「あ、もうお互いの親は承諾済みでーす。プロデュースバイ小町!」

 

 え、なにそれ。私、聞いてない。

 

 三浦はニコニコ微笑んでるし、小町はニヤニヤ笑ってるし、小町の発言から親の援軍は期待できない。

 

 俺は脳内で、外堀も埋められ、家臣そして小町にすら囲まれた一人の武将のイメージが浮かぶ。家臣と妹にすら裏切られるとか俺マジ不憫。

 

 ここまでの布陣とは、四面楚歌とはこのことである。リア充、恐るべし。

 

 なみなみと溜められた浴槽をじっと見つめる。黄色い皮が浮かび、レモンの甘酸っぱい香りが鼻孔をくすぐった。

 

 もはや隠すことすらしないのだろう、皮にハートマークが刻まれている。どんだけアピールする気だよ。

 

 温度確認のため腕を突っ込むと、幾重にも波紋が広がり、水面とレモンの皮をざわめかせ、そして波紋が消える。

 

 温度は良好、しかしながら、それとは別に俺の体温と動悸は異常であった。息苦しい、体が震える、あと思考もぐるぐる。

 

 落ち着け、比企谷八幡ラッキースケベ回避のため、一番風呂を所望したのではないか、恐れることはない。

 

 さっさと体を洗い、速やかにこの危険地帯から脱出するのだ。八幡鴉の行水を見せてやるのだ。

 

 ――――ガラっと音を立てる背後の扉。脳内で希望が打ち砕け、不気味な音が鳴り響いた。

 

 本当に俺は負けてしまうのか? 現況を念のため確認したい。

 

 「背中、流したげる……」

 

 三浦の声が聞こえた。もはやどうしようもないことを悟り、俺は深く息を吸い、肺へと空気を送り込む。

 

 意を決し、後ろを振り向く。

 

 

 三浦は――――バスタオルすら巻かず、そう、一糸纏わぬ姿でそこに立っていた。

 

 顔は羞恥の色を示し、伏目がちな瞳は潤みを宿し、頬はほんのりと染まった朱により白磁の肌を彩っている。

 

 視線を落としていく。くっきりと綺麗な線を描く鎖骨、そこからつながる肩のラインは女性というものを意識させるに十分な色香を孕んでいた。

 

 左腕は脱力でそのまま垂らし、右腕でその肘を掴んでいた。その上の二つの山は、その豊満な大きさを誇らしげに、さらに綺麗なお椀型の形を見せつけ、また頂点には桜色の――――

 

 絹を裂いたような悲鳴が風呂場にこだまする。

 

 『おにいちゃん、うるさいー、近所迷惑だよー』

 

 小町のその言葉で、この声が俺の出した声だと理解する。マジか、俺こんな声出せたのか。

 

 俺は急いで三浦に背を向ける。

 

 「なななな、なにしてるんですか、ババババ、バスタオルは?!」

 

 「それはマナー違反っしょ、あーしはそんなことしないし」

 

 な、なに言ってんのこの子、普通はバスタオルぐらいは巻いて、場合によっては水着でがっかりするシュチュエーションでしょ、ここは。

 

 「いいから、背中、流して上げるし」

 

 「え、え、なにそれ、これおいくら万円ですか?」

 

 「タダよ、無償、0円、OK?」

 

 知ってるんだからな、タダより怖いもんはないんだからな、そんな言葉は信じないんだからな。

 

 「いいから座れし」

 

 「は、はいぃ!」

 

 その言葉に押されてしまい、つい座ってしまった。

 

 なにこのエロゲ、どこのメーカーですか? もしくはどっかのお店?

 

 まず、下準備として、背後から丁度いい温度のお湯をゆっくりとかけられる。その後、ポンプノズルをシュコシュコと鳴らし、ボディソープを出す音が聞こえた。

 

 ボディソープを染み込ませたタオルを当てられ、その冷たさに息を呑む。その冷たさとは真逆に熱くなる体を感じた。

 

 「痛くない?」

 

 「あ、ああ」

 

 「そっか」と安心したような声を出したあと、続けて三浦は背中を優しく洗ってくれた。

 

 不意に、肩に三浦の両手が置かれ、柔らかい二つの物体が背を圧迫する。

 

 「ひゃ、ひゃい?! み、三浦さんっ!?」

 

 「ああ、これ? あーしが持ってる『特別』だから、気にしなくていいし」

 

 『特別』のなんですか?! だいだい、特別だからって気にしなくて良い理由になりませんよね!?

 

 そのまま続行されるその行為。二つの物体が移動するたびに少し固い何かが背を這いずり回り、さらには明らかに近くなった三浦の口から出た熱い吐息が耳へと掛かる。

 

 「も、もう、いいだろっ! 前は俺がやるからっ!」

 

 「……ふーん、わかったし」

 

 体を離してくれた隙に、急ぎ体の全面と頭を洗い、さらに急いでそそぐ。シャンプーが目に入るが、そんなものは気にしない。

 

 一刻も早く、この場所から立ち去らねばという思考が、今、この体を動かしている。そして泡が全部流れると。

 

 「はい、じゃあ、次はあーしね」

 

 「へっ?」

 

 ボディソープが染み込んだタオルを放り投げると、三浦は背を向けた。

 

 長い髪を前方へ追いやり、背中をさらけ出した。白く、透き通った肌と綺麗な肩甲骨が浮かんだ背中、前と変わらぬ色香を匂わしていた。

 

 唾を飲み込む。焦るな、さっきしていたことに比べればこんなの屁でもない。

 

 そう、自分に言い聞かせ、三浦の背中をタオルで優しく擦る。触れた瞬間、少し体が震えたが、その後は問題なさそうだった。

 

 「い、痛くないか?」

 

 「あ、大丈夫、そのまま、そのままでいいし」

 

 そう言うと、三浦は慣れた手つきでその長い髪を洗い始める。

 

 「あ、あのさ?」

 

 「な、なんだよ?」

 

 「あーしの今ってさ、た、例えばよ」

 

 「た、例えば?」

 

 「あんたが、のしかかってきたら、あーしなんも出来ないよね?」

 

 そう言った三浦の顔は見えない。ただ、耳が真っ赤なのは、後ろからでも確認できた。

 

 俺は、背中を洗い続ける。ただ、無心で。そして三浦はボソッと、その言葉を呟いていた。

 

 「いくじなし」

 

 俺はその言葉を無視し、黙ってお湯をかけ、前の泡も流してやった。

 

 風呂を上がったあと、小町、三浦、俺の三人でトランプで遊んでいた。

 

 ポーカー、大貧民、7ならべのあと、最後のババぬきを行っている。

 

 既に三浦は、勝ちを確定しており、俺と小町の一騎打ちを演じていた。

 

 「もうそろそろ、寝るか」

 

 俺は、小町から最後のペアを抜き取り、勝利をもぎ取った所でその提言を進言した。

 

 「ええー、もういっかい、おにいちゃんの勝ち逃げなんてずるいー」

 

 「また今度してやるから、今日はもう寝ろ、あした起きられなくても知らんぞ」

 

 「ぶーぶー」

 

 頬を膨らませて、抗議している小町を無視し、俺は三浦のほうへ向き直る。

 

 「三浦……」

 

 「あーしは……」

 

 「「一緒に寝る」」

 

 「んだろ」

 

 三浦は驚き表情をみせる、俺が拒絶してくるのだと思っていたのだろう。

 

 「いいの……?」

 

 「お前、どーせ聞かねーだろ」

 

 三浦は嬉しさを顔全体で表し「うんっ、うんっ!」と首を縦に振りながら、満面の笑みを浮かべた。

 

 「あー、うん、やっぱ小町寝るわ、おやすみなさい、二人とも」

 

 そういうと、小町は照れくさそうにポリポリと頬を掻き、そそくさと退出していった。

 

 「俺らも寝るか」

 

 そう言うと俺は三浦の手を取り、俺の部屋へと向かった。

 

 その時、少しだけ、三浦の顔が曇ったのを俺は見逃さなかった。

 

 その後、三浦を連れ、自分の部屋へと案内をする。正直、女の子を連れ込む、というか赤の他人を連れ込む事自体初めてだ。

 

 俺は部屋に入ると、ドキドキする鼓動に収まれと念じながら、すぐに自分のベットへと寝転んだ。

 

 「ほら、お前も寝ろ」

 

 「う、うん……」

 

 そう言うと、電気を消し、周囲が真っ暗になる。色々疲れたな今日は。

 

 しかし、その暗闇の中から衣擦れの音が聞こえた。あ、あのー三浦さん?

 

 「あ、あのさ、三浦、もしかして、お前、寝るときは……」

 

 「裸だし」

 

 そうですよねー、だいたい想像できました。

 

 そして三浦はベットに潜り込み、俺にしっかりと抱きついた。

 

 服の上からでもわかる女性特有の柔らかさと、甘い香りが俺を包みこむ。

 

 「あのさ……」

 

 「なんだよ……」

 

 「あーしさ、正直に言うよ」

 

 「お、おう」

 

 三浦は真剣な眼差しで、こちらを見据えていた。今からいうことは、本音である。それを証明するように、それは本当に真っ直ぐだった。

 

 「あーし、さっきはあんたに襲われてもいいと思ってた、ううん、誘ってた、そして、今も」

 

 「お、おい、お前、それじゃまるでビッ……」

 

 「そーね、ビッチ。でもね、あーしがビッチなのは……あんたの前だけだけだし」

 

 三浦はそう言うと、耳元で囁くため、もしくは表情を見せぬために、体を引きよせギュッと抱きしめる力を強めた。

 

 「あーしがあんたとそんなことしたいのはさ、あんたに恋をしているから。知ってる? 恋っていう字はさ、下に心がついてるんだよ」

 

 「……知ってるよ、そんなこと」

 

 「じゃあ、あんたはしたくないの? それともあーしの体に魅力がないの?」

 

 少しだけ、しかし確実に三浦の体が震えだしたのを感じた。不安、それが今の震えの原因なのだろう。

 

 俺は大きく息を吸い、呼吸を整えてから、言葉を紡ぎだす。

 

 「ばっかじゃねの?」

 

 「は?」

 

 「お前の体は十二分にエロいから、お前の綺麗な肌とか手を触ってるだけでドキドキするし」

 

 「お前の、その鎖骨とか肩甲骨とかもスゲー興奮する、む、胸なんか大きくて形も良くて、俺好みだし」

 

 「だから、だからさ、気にすんなよ……」

 

 今度は俺の方から、三浦の体を強く抱きしめてやる。

 

 「手を出さないのは、お前のせいじゃなく、俺がヘタレなだけだから……」

 

 三浦の震えが止まった。どうやら、不安はなくなったようだ。しかし、次の瞬間――――俺はキレのいいチョップを受けていた。

 

 「い、いてぇよ」

 

 「ばーか、あーしの体がエロいって本当のことでも、そんな真面目に言われると照れるし」

 

 「あと、ヘタレだと思ってんなら直せし」

 

 「ご、ごめん」

 

 「あやまんなし……ばーか」

 

 三浦は、少し、抱きつく力を弱め、俺に向き合うとこう言い放った。

 

 「だーいすき!」

 

 「はいはい」

 

 「まーた、適当に返して、ふざけんなし」

 

 またチョップが飛んできた。だが今度は、それほど痛くなく、おかしな話だが、それからは心遣いが感じられた。

 

 しかし、そんなふざけ合いをしていた俺らだが、俺の方が急な眠気に襲われる。大きなあくびをし、そしてまぶたが重くなっていく。

 

 「疲れた?」

 

 「疲れた」

 

 「そっか」

 

 三浦はそういうと、すこし優しげに抱きつき、眠りを誘うように、背中をポンポンと軽く叩いてくれた。

 

 「見ててあげるし、ゆっくり眠りなよ」

 

 「すまん……」

 

 「あやまんなし」

 

 その言葉を聞いたあと、本格的な睡魔が訪れる。まぶたが鉛のように重くなり、思考が闇に落ちていく。

 

 「おやすみ……」

 

 「おやすみなさい」

 

 最後に見たのは、三浦の優しい微笑みだった。

 

 わるくない、本当に……わるくない。

 

 朝日が窓から差し込み、その眩しい光に当てられ、俺は目覚めた。

 

 目を開ければ、既に三浦の姿はなく、ベットで寝ていたのは俺一人だけであった。

 

 手でベットの中をまさぐる。そこにあったぬくもりだけが、今までのことが夢でないことを証明していた。

 

 夢であったほうが良かったのか、それともこれで良かったのか、いまだにそれを断ずることは俺にはできない。

 

 それは、これから決めていけばいい。なぁに、十数年前からの話だ、あせる必要はない。ゆっくり、歩くようなスピードでいいさ。

 

 目を擦り、大きなあくび、そして体を伸ばす。朝の一連の動作を終えた俺はゆっくりと、彼女の優しいぬくもりが残るベットから這い出ていった。

 

 階段をゆっくりと下りていくと、食欲を掻き立てる良い匂いが鼻孔をくすぐった。卑しい腹の虫が大きく鳴った。

 

 小町が作ってくれるわけがない、あいつはねぼすけだからな、順当に考えて三浦が作ってくれているのだろう。

 

 日本人なら誰でも知っている、味噌汁の匂いに誘われて、俺は少し階段を下りるスピードを速めた。

 

 リビングの扉を開けると、そこには台所で調理している三浦が見えた。

 

 「あ、おはよう」

 

 三浦は俺に気づくと、優しげに微笑み、小さく挨拶した。そして、できた味噌汁をよそうと、お盆にのせて、食卓へ運ぶ準備を開始する。

 

 「おう、おはよう」

 

 俺は挨拶を返し、食卓へと腰掛ける。朝のメニューは定番の半熟ハムエッグ、昨日のサラダ、そして今しがた運ばれてきた味噌汁のシンプルな朝食だ。

 

 俺はまず、味噌汁で箸を濡らし、そして味噌汁を少し啜る。この瞬間は本当に日本人に生まれてよかったと思える一瞬だ。

 

 三浦はそんな俺を見つめ、こう呟いた。

 

 「おいしい?」

 

 「ああ、うまいよ」

 

 俺は少し照れくささを感じ、視線をそらしながら、そう答えた。

 

 「そっか」

 

 三浦はそう返すと、自身も朝食に手をつけ、静かに食べ始める。

 

 そこからは、ちょっとの沈黙が続いた。しかし、三浦はこちらを時々見ているのは、言うまでもない。

 

 あのー、三浦さん、そんなに見つめられると、少し、いやすごく恥ずかしいんですが。

 

 俺はそんな恥ずかしさを誤魔化すため、ちょっとの冗談を言おうと口を開く。

 

 「三浦」

 

 「なぁに?」

 

 「裸エプロンだったら、俺がんばれたのに」

 

 「……今からしようか?」

 

 「ごめんなさい、冗談です」

 

 「いくじなし」

 

 そう言う三浦の顔は、なぜかすごく嬉しそうだった。

 

 俺は、いつもの通学路を歩いていた。いつもと変わらない時間を、いつもと変わらない道順で、変わらず、ただ、三浦が隣にいるという変化を除いて。

 

 「お前、噂になったらどうするつもりなんだよ」

 

 「なんか不都合なことでもあんの?」

 

 いや、そういう俺もないけどさ。

 

 しかし、周りの視線が痛い。それもそうだろう、獄炎の女王とまで言われる三浦と、よくわからん変な男と手をつないで歩いているんだから。

 

 周りには、俺がしめらているようにしか見えんだろう……あれ、普通こういうときは違うよね、なぜあいつがとかになるよね、あれ?

 

 「なに、変な顔してんの?」

 

 「いや、なんでも」

 

 俺は不可解な謎を胸の奥へとしまいこみながら、俺は相槌を打った。これを三浦に聞かれたら、恐らく最大級のチョップがくるからだ。

 

 それに……だ。

 

 「うん? あーしの顔になんかついてる?」

 

 朝からこいつの怒り顔を見るのは、なーんか違う気がする。

 

 「なんにもねぇよ」

 

 「へーんなヒキオ」

 

 屈託のない笑顔を見せる三浦。ああ、朝から見るならこっちのほうが良いなと、俺はガラにもなく思ってしまったのだった。

 

 「ヒ、ヒッキー、優美子!」

 

 いつも聞いている、可愛らしい声に呼び止められる。

 

 「由比ヶ浜か……おはよう」

 

 「やっはろー、ユイ!」

 

 「やっはろー! ってそうじゃないし!」

 

 何ノリ突っ込みしてんのこの子。ちょっと頭の痛い子とは思っていたが、ここまでとは、やはり天才か。

 

 「そ、そうじゃなくて、あ、あたし、優美子に話があるんだ……」

 

 しどろもどろになり、その豊満な胸の前で手をもじもじさせる由比ヶ浜

 

 手より胸に目がいってしまうのは、悲しき男の性である。しょうがないし、しょうもない。

 

 「なぁに、ユイ?」

 

 前屈みになり、由比ヶ浜の顔をのぞく三浦。その顔にはすごく嬉しそうな笑みが浮かんでいた。

 

 あー、こいつ、由比ヶ浜の言いたい事わかって、なんか弄んでるわ。三浦さん、マジ悪女。

 

 「い、いや、ここじゃあ、言いづらいから、放課後にでも」

 

 「あー、ごっめーん、あーし、放課後は用事があるから、昼休みにしてくんない?」

 

 「え、え、で、でも、昼休みは……」

 

 え、なんでこちらの方をちらちらと見られるのですか、三浦さん? 由比ヶ浜さん? こっちみんな。

 

 「あーしは構わないからさ、逆にさ昼休み、なんかダメなの?」

 

 「いや、そんなことは……ない……けど」

 

 「じゃあ、けってーい!」

 

 三浦は強引に約束事を取り付けると、これまた強引に俺の腕を取り引っ張った。

 

 「じゃあさ、あーし達は先に学校に行ってるからー」

 

 「お、おい、引っ張んなって」

 

 「う、うん」

 

 最後に見た由比ヶ浜の顔が、なにかをこらえているように見えて、俺は少しだけ胸騒ぎがしていた。

 

 昼休み、自分は約束通り、ユイと二人きりになり、二人で話す機会を設けた。

 

 ユイが何を言いたいのかは、だいたいわかっていた。自分はそのために、あの時、ユイのみにヒキオとの関係を打ち明けたのだから。

 

 「ユイ、そろそろ聞かせてくれない」

 

 「う、うん」

 

 ユイは、内股になり、もじもじとし、何かを言おうとし、それを止める。それを何度も繰り返している。

 

 何をしているのだろうか、言いたいことなど決まっているだろう。いらつきが募る。

 

 もういい、埒があかない、自分から言ってしまおう、それで終わりにしよう。そう思った時だった。

 

 ユイの顔が、瞳が、真っ直ぐと自分を見据え、そして、力強くその言葉を放ったのだ。

 

 「あたしも、ヒッキーのこと好きなんだ」

 

 そう、その言葉が聞きたかった。その本音が知りたかった。

 

 ユイが本音を自分にぶつけてくれたのが嬉しくて、つい口の端が上がる。

 

 しかし、ここでそれを悟られるわけにはいかない。その笑みを、意地の悪い笑みとわざと変化させる。

 

 「ふーん、じゃあ、あーしの応援をしてくれるってのは、ウソだったってわけ?」

 

 わざと高圧的な物言いで返し、ユイを睨む。自分でも意地が悪いと思う、けれどこうでもしないと、ユイは本音をぶつけてくれない。

 

 ユイは、それでもなお、自分を見据えるのをやめない、怒りでも、恨みでもない、ただ真っ直ぐな瞳で。

 

 「違う、あたしは優美子のこと大好きだから、応援する」

 

 「じゃあ、ヒキオの事、諦めてくれるんだ」

 

 「それも違う、ヒッキーのことは……大好きだから」

 

 普通の人が聞けば矛盾しているその言葉、けれどそれが彼女の本音なのだ。

 

 「あ、あたし、ヒッキーも、優美子も好きだし、どっちも諦めたくない……」

 

 ユイは拳を爪が食い込むまで握り、体は次第に震え始め、遂には大粒の涙まで流し始める。

 

 けれど、瞳だけが、しっかりと自分を見つめていた。

 

 「諦めたくない……諦めたくないよぉ……!」

 

 そう、それがあなたの本音。不器用で、要領が悪い、可愛い可愛いユイ。

 

 本音を、全力でぶつけてくれて、本当にありがとう。大切な……本当に大切なユイ。

 

 今度は、自分が全力を見せたあげる。

 

 俺は今眼前に広がるこの光景にどのようなコメントを残せばいいのだろうか。

 

 「た、助けて、ヒッキー!」

 

 「いいじゃん、減るもんじゃないしー、よいではないか、よいではないかー」

 

 今、三浦は由比ヶ浜の背後を取り、その豊満な双丘を揉みしだいていた。

 

 由比ヶ浜の、三浦のそれよりでかい二つの風船が、華麗に舞い、柔軟にたわむ。そう、これは、まさに、カー乳バルである。

 

 「なに、やってんの?」

 

 俺は三浦にすぐに話が終わるからと、少し時間を置いて来て欲しいといわれたのだが。

 

 建造時間10分でなんでそんな立派なチ……もとい、どうしてキマシタワーが立っているのでしょうか。

 

 「ああ、これ?」

 

 「うん」

 

 「どーよ、この愛人候補? すごいでしょ、あーしもでかい方だと思うけど、これには負けるわー」

 

 いきなり出てきたそのワードに、吹き出す。え、いきなり何言ってんの、このビッチ。

 

 「なななな、なに言ってんの?! 優美子!?」

 

 由比ヶ浜は、口をパクパクしながら抗議の声をあげる。ですよねー、いきなり愛人扱いですからね。

 

 「だって、しょうがないじゃん、あーしはお嫁さんは譲る気ないし」

 

 「だだだだ、だからって……その、愛人とか……」

 

 「そ、そうだぞ、いきなり何言ってんだお前」

 

 そう言うと三浦は勝ち誇った笑みを浮かべ、宣言する。由比ヶ浜の乳を揉みしだきながら。羨ましい。

 

 「おばあちゃんが言ってたし、愛人の一人や二人、許してやって初めて良いお嫁さんだって」

 

 「むしろー、探してきてあげるあーしってチョー良いお嫁さんだっしょ?」

 

 「いや、その理屈はおかしくね」

 

 「むー、いいから受け取れし」

 

 そう言うと、三浦は俺を抱きしめた。そう、由比ヶ浜をサンドイッチにする形で。

 

 「ちょ、ちょっと、優美子?!」

 

 由比ヶ浜と目が合う、顔は紅潮し、瞳は驚きで見開かれていた。

 

 「……う、うぅぅ、うううぅぅ!」

 

 由比ヶ浜は、両手で髪の毛をぐちゃぐちゃにかき回し、変なうめき声をあげている。

 

 しかし、次の瞬間、ピタッとその動作をやめ、何かを決意したように、こちらを真っ直ぐに見据える。

 

 「ヒッキー!!」

 

 「は、はい!」

 

 「大好き!」

 

 え、いきなり何言ってんのこのビッチ。

 

 俺が、なんの反応してやらないと、由比ヶ浜はすねたように頬を膨らませ、もう一度叫んだ。

 

 「大好き!!」

 

 「わ、わかったから、わかったから叫ぶな、他の奴に聞こえるぞ」

 

 由比ヶ浜はその言葉にハッとし、顔を真っ赤にしながら周りを見渡し、誰もいないことを確認し安堵のため息をつく。

 

 三浦さん、なにニヤニヤしてんですか、早くこの子の暴走を止めてください。いや、暴走させたのこいつか。

 

 「よっし、よく言ったし!」

 

 そう言うと、三浦は由比ヶ浜を離し、持っていたサイドポーチから、可愛らしい弁当箱を二つ取り出す。

 

 あれ、俺には一個、もう渡してもらってるから、これって。

 

 「ほら、ご褒美!」

 

 三浦は弁当箱の一つを由比ヶ浜につき出す。

 

 「ほら、三人一緒に食べよう!」

 

 三浦は何かを成し遂げた、清々しい喜びを満面の笑みを浮かべていた。

 

 「おまえ、どういうつもりだよ」

 

 俺は帰り道、三浦に尋ねた。もはやこいつは何をしているのかわからない。

 

 あの後、一緒に弁当を食べ、何もなかったように談笑し、そして、三浦と由比ヶ浜はいつも通りの二人へと戻っていた。

 

 どんだけだよ、某学園の日々だったら修羅場超えて悲しみの向こうだよ。こいつらの精神構造はどうなってんの?

 

 「なにって、あの通りだけど」

 

 三浦はキョトンとした顔でそう返答した。当たり前だと言わんばかりに。

 

 「愛人とか……お前意味わかってんのか?」

 

 「愛する人でしょ、そんなのわかるし」

 

 「そういう意味じゃねぇよ、どうすんだよ……この関係」

 

 俺は頭を抱える。これじゃあ俺が二股している最低野郎じゃねぇか。由比ヶ浜由比ヶ浜で愛人でも良いとか言う始末。

 

 大体、俺、三浦と付き合うとも言ってないし、どうすんのこれ。

 

 「だーかーらー、今はユイはあーしを応援して、その後、あーしがユイを応援してやるって話っしょ」

 

 「お前、俺の気持ちは完全無視かよ……」

 

 「じゃあ、あんたの気持ちってなによ」

 

 確かに、今の俺には三浦、もしくは由比ヶ浜、さらには二人を振る、そして二人共選ぶという選択肢すらもあるのだが。

 

 ではここで、今、俺の気持ちに正直に答えを選択してみよう。

 

 「……三浦を選ぶ、由比ヶ浜には悪いが、愛人という関係が良いとは俺には思えない。周りの目とかで、いつか破綻する」

 

 そう、愛人という関係は、どう見ても周りが許容しない。気に入らないと思われれば、それを噂に流し、迫害される。子がいるならいじめの対象になってしまうだろう。

 

 これは言えないが、ぶっちゃけ今の俺の気持ちは由比ヶ浜より、三浦の方へと傾いている。

 

 だから選べと言われれば三浦を選ぶ、由比ヶ浜には申し訳ないが、これが本音である。

 

 しかし、その返答を聞いた三浦の顔が強張り、眼光鋭く俺を睨んでくる。ど、どうしてだよ、何も間違ったこと言ってねーじゃねーか!

 

 「嬉しいけどさ、で、それ、あんたは、ユイとしっかり向き合った上での言葉なの?」

 

 嬉しいのところになんの感情もこもってない。ああ、やべぇ、獄炎の女王様がお怒りだ。ウェルダンにされかねん、俺はレア派だぜ。

 

 「それだったら、あんたに文句言わない、かわりにあんたをボコボコにしてユイに侘びいれさせる」

 

 今すぐハイキックが飛んできそうなオーラが漂う、どうして俺はどうあがいても絶望なの?

 

 「……まぁ、いいわ、まだ決定事項ではないし、でもあーしの希望は二人共選んでくれること」

 

 三浦は怒りを抑えるために、大きく深呼吸、そしてため息をついて、そう言い放った。ちょっと怒りが収まったが、まだオーラ量がやばい。

 

 「あーしにはわかんないわー、二人選べば美少女二人をゲットできるのに」

 

 「いやいや、二股とかは男としてのプライドが……」

 

 「主夫したいとか言ってる奴がそんなこと言うとか、ちゃんちゃらおかしいし」

 

 主夫の何が悪い! 男女平等のこの社会ではちゃんとした職業だぞ……男女平等だったら、男のプライドって矛盾してますよね、今気づきました。

 

 三浦は、また大きく深呼吸した。かなり怒りのオーラは収まったようだが、それでもまだ余裕でハイキックが飛んできそうなくらいは怒っている。

 

 でも、ジト目は可愛いを思ってしまっている。時々、怒らせてこの顔みたいと思うくらいには。その後殺されそうだけど。

 

 「あんたさー、正味難しく考えすぎ、とりあえずはさー」

 

 俺の顔を両手で掴み、俺を直視する。やめてください三浦さん、俺の顔がアッチョンブリケなんですが。

 

 「あーしを見て、あーしの事を決めて、それからユイを見る。一つずつやってけ、一緒に解決しようとすんなし」

 

 そう言うと、三浦は俺の顔を離してから、静かに微笑み、こう呟いた。

 

 「ばーか」

 

 約束の日曜日、約束の場所へと、約束の30分前に到着した。『全然待ってない』を一回でいいのでのたまってみたかったのよ。

 

 「おー、ヒキオー、早いじゃん」

 

 そんな俺の希望を打ち砕くがごとく当たり前のようにいる三浦さん。一回くらい言わせてよ。

 

 「どんくらいから来てたんだ」

 

 「んー? 30分前くらいからかなー」

 

 マジですか、あんたどんだけ楽しみにしてたんですか、1時間とか、いや、暇じゃないんですか。

 

 「待たせちまったみたいだな、すまん」

 

 「いや、いいし、好きな人待ってる時間ってのも楽しいもんよ」

 

 なにそのセリフかっこいい。全然待ってないよりもかっこいんですけど。

 

 ちょっと俺は敗北感を噛み締めながら。改めて、三浦の様子を見る。嬉しそうに、はにかんでんのが卑怯です。

 

 服装はというと、上はシンプルな白色無地のワイシャツに、指輪でまとめた濃紺のスカーフを首に巻いて、全体のバランスをとっている。

 

 下は黒いデニムレギンスと革ベルト、履物は茶色の革のショートブーツ、全体的に、可愛い系ではなく、かっこいい系でまとめている印象だ。

 

 「そんじゃ、行こうか」

 

 「しかし、工場のお祭りねぇ、こんなとこで良かったのか?」

 

 「いやいや、出し物も色々あんだから、それに男の子だったら、こういう機械とか好きっしょ?」

 

 まぁ、一人の男の子としては大きな機械がガションガション動くのはロマンを感じるが、工場とか汚いイメージがあるから、あんまりデートに使うイメージがない。

 

 「まぁ、いいじゃん、ほら、バス来たし、乗ろ」

 

 俺は何か言い表せぬ違和感を感じながらも、三浦に手を引っ張られ、無料送迎バスに乗り込む。

 

 三浦が引っ張られる力の強さに、今日も一日疲れそうだなと予感し、俺は諦めと、嬉しさを込めてため息をついた。 

 

 「けっこう人がいるもんだな」

 

 俺は周りを見渡し、そう、呟いた。

 

 なんでも、この祭りは数十年前から続く、それなりに歴史がある祭りらしい。地域と企業との触れ合いを考え、色々な催しがされている。

 

 パンフレットを見ると祭りに定番の屋台はもちろんのこと、ヒーローショー、芸能人を招いてのイベント、フリーマーケット等、様々な出し物が計画されている。

 

 出し物の傾向を見ると、どうやら家族連れの客をターゲットにしているらしい。客の中には工場で働いている人間の家族も多いからだろう。

 

 「あ、見てみ、見てみー、あれ、あそこに神輿担いでる人いるし」

 

 三浦が指差すほうを見ると、確かに神輿を担いで騒ぐ暑苦しい連中が見えた。

 

 祭りの催し物としてあれだけは理解できん。重いし、疲れるし、なにより他人との関係がめんどい。

 

 「神輿好きなのか?」

 

 「派手な神輿とかは好きだけどね、あと可愛いやつもあるじゃん、ああいうのは見てるだけでも楽しいし」

 

 「ああ、確かにあるな」

 

 キ〇ィちゃんとか、お前日本の伝統文化を何だと思ってんのと思わざるえんのとかな。

 

 「子供のころはあれに乗ってみたいとか考えてたし、懐かしいなー」

 

 ふと、ハッピとハチマキを着こなした三浦が神輿の上に乗り、音頭をとる姿が脳裏によぎる。男前で以外と似合ってらっしゃる。

 

 「あ、今なんか失礼なこと考えたっしょ?」

 

 「そ、そんなことはありませんよ」

 

 しどろもどろになりながら返答すると、三浦はじーっとこちらを睨んできた。

 

 いやいや、本当に似合ってると思っただけだから、三浦さんのハッピ姿は本当に似合ってらっしゃるから。

 

 笑顔で音頭をとり、さわやかな汗をかき、そのせいでハッピの隙間から見えるさらしがピッチリと肌に吸い付き、女性のラインが露わになった三浦が見えたから。

 

 ……あれ、なんか知らんうちにエロい方向に妄想が捗ってるんですが。

 

 「……今度はエロいこと考えてるし」

 

 俺はとっさににやけている口を手で覆う。やべぇ、視線が自然と三浦の胸の方へと向かってしまう。

 

 「そ、そんなことないよ」

 

 「ふーん……ほいっと」

 

 三浦は、自身の胸に絡みつくように、俺と腕を組んだ。服の上からでもわかる、柔らかく、豊満な双丘が俺の腕で歪む。

 

 「み、三浦さん?!」

 

 「そんなにあーしの胸ばっか見て、ヒキオってば本当にエッチだし」

 

 三浦は、上目遣いに蠱惑的な笑みをこちらに向けると、腕全体にその双丘の感触をなすりつけるように体を上下させた。

 

 「そんなにしたかったんならあの時にすれば良かったのにぃ」

 

 三浦は少し頬を膨らませて、抗議の意をこちらに向けてくる。真に遺憾であると。

 

 「う、うるせー、俺はそしたら、大切なもん差し出さねばならんだろうが」

 

 「いーよ、喜んで貰ったげる、て、ゆーか、あーしも差し出すし、おあいこっしょ」

 

 なに、そのうれし……もとい、とんでもないカミングアウト、ありがとうございます!!

 

 「まぁ、いいや、あーしも、もうちょっと待ったほうが良かったし」

 

 「な、なんで?」

 

 「もうちょっとしたら……確実だし、初めてで出来たほうが、なんか素敵じゃん?」

 

 その情報はいらなかったです。ていうか、なにが素敵なんだよ、てんやわんやするじゃねーか。俺は、あらゆる所に土下座するしかない。

 

 「じょ、冗談ですよね」

 

 「うん、冗談」

 

 にこりと白い歯を見せ笑う三浦。

 

 そ、そうですかー、冗談ですか。俺はホッと胸を撫で下ろす……いや、これぽっちも残念だと思ってないよ!

 

 「どっちかって言うと、早くいっぱいしたいし……それに出来るなら初夜の時のほうが素敵だしねー」

 

 俺はその爆弾発言を聞き、ずっこけるほかなかった。もう、好きにしてください。

 

 俺はその後、工場を見学するために整理券を受け取っていた。この祭りでは、工場を外から遊覧するため、わざわざ船を借りているらしい。なんともバブリーなことである。

 

 それから、屋台で買ったモツ煮込みを掻き込みながら少しの時間を待ち、船へと搭乗する。港を出航するとと、さわやかな潮風が頬をなで、磯の香りが鼻をくすぐる。

 

 「おお、すげぇな」

 

 俺は、巨大な煙突から轟々と煙が巻き起こる姿を見ながら感嘆の声をあげる。環境問題とかほざいてる奴は今頃なにしてんだろうな。

 

 「お、優美子ちゃんじゃん、来てくれたんだ」

 

 後ろを振り向くと、作業着姿のお姉さんが、こちらに手を振ってくれていた。

 

 「だれ?」

 

 「ああ、うちの親の知り合いで、この工場に勤めてるみたい」

 

 へぇ、工場で女の人か、いないことはないんだろうけど、珍しいな。

 

 作業着姿のお姉さんは、こちらへ嬉しそうにこちらへ走りよると、俺の顔を何かを物色するような目つきで見てきた。

 

 「ど、どうも……」

 

 「こんにちは……へぇ、これが優美子ちゃんの」

 

 「ちょ、ちょっと、まだ、こいつとあーしは」

 

 「いいって、みなまでいうな、それより、無料配布のコーヒーが向こうにあるから彼氏の分もとってきなって」

 

 「も、もう!」

 

 三浦は、頬を膨らませながら、無料配布のコーヒーをとりに行った。

 

 「優美子ちゃんの彼氏さん、いやぁ、中々のイケメンくんだね」

 

 「お世辞ですか?」

 

 白々しい言葉に即答を返す。もしくは、イケメンの字が違うのかもしれないが。

 

 「あ、ばれちゃった?」

 

 「俺にお世辞言ったって何にもならないと思うんですが」

 

 「いやいや、将来の幹部候補生に媚を売るのは中々に有意義だよ」

 

 なん……だと……

 

 「うちの会社大きいからねー、幹部候補生なら左うちわだよー」

 

 俺はその言葉を聞いて、最初に感じていた違和感、つまりこのデートの目的は察知する。そう、これは、俺に就職させようとする三浦の罠だったんだよ!

 

 「お待たせー、ほら、ヒキオの分!」

 

 背後から三浦の声が聞こえる。ちくしょー、俺の純粋な心を弄びやがって。

 

 「おい、三浦、どういうつもりだ?」

 

 「え、どうって……」

 

 「なんでここに就職させようとしてんの」

 

 三浦は目を見開き、驚愕の表情を浮かべる。

 

 「俺の夢は知ってるだろ、俺にその夢を捨てろって言うのか?」

 

 「ち、ちがうし、あーしはそんなつもりでここに連れてきたわけじゃないし!」

 

 ボロボロと大粒の涙を流し、信じて欲しいと懇願の表情を浮かべる三浦。

 

 「し……信じて、あ、あーし、ヒキオの夢のために、どんな苦労でもするつもりあるから!」

 

 三浦は嗚咽を上げながら泣き叫ぶ。

 

 ここまで言われると三浦の意思が違うとは思えない。とするとだな。

 

 背後で、笑いをこらえている音が聞こえる。うん、からかわれたか。

 

 「ご、ごめん、ごめん、そんだけ深刻な話になると思ってなくて」

 

 笑いすぎで出た涙を拭うお姉さん。この人怖いわー

 

 「いやいや、そんだけラブラブなら、二人の仲は安泰だね、うんうん」

 

 なに、ひとりで頷いて納得してるんだ、この人。

 

 俺が抗議の声をあげようとしたその瞬間。後ろからの猛烈な怒気を感じた。うん、ご愁傷様です。

 

 「尻……だせ……」

 

 「あ、あのぅ、優美子ちゃん、あ、あたし今仕事中だし、立場もあるから……えっと、その、あ、あやまるから……」

 

 「黙 っ て 尻 だ せ し ッ ! ! 」

 

 「は、はい……」

 

 三浦の剣幕に押され、お姉さんが振り向く。

 

 刹那、そういっていいほどの速さで、三浦の足はカミソリのような切れ味で、綺麗な半月弧を描き、お姉さんのヒップへと吸い込まれていった。

 

 痛々しい悲鳴が周りにこだまする。俺はその光景を見ながら心に誓った。あれだけは喰らわないようにしようと。 

 

 すっかり日も暮れ、夕暮れも近くなった頃、俺たちはそろそろ帰ろうと帰り支度をする。

 

 「楽しかった?」

 

 三浦は小首を傾げながら、俺にそう尋ねた。

 

 あの後も、ちゃちなヒーローショーを見たり、名前もわからんようなミュージシャンの演奏を聞いたりとしてたわけだが。

 

 まぁ、なかなかに楽しめたと思う。だいたい、綺麗な女の子とのデートだしな、楽しくないわけがない。俺は素直に返した。

 

 「ま、楽しかったぜ、意外とな」

 

 「そっか」

 

 そういうと三浦は、あのテニスでの時のように、顔を夕日のように染め、微笑んでいた。

 

 その時だった、すぐ近くで子供の泣き声が聞こえた。

 

 三浦はすぐにその声に反応し、行動を起こす。こいつのそういう所はすごいと思う。まさにオカンって感じだな。

 

 「どうしたの?」

 

 三浦はすぐさま駆け寄ると、転んで膝がすりむけた小さな女の子に手を差し伸べる。

 

 「お、お母さんがわからなくなっちゃった」

 

 どうやら、迷子になった挙句、転んで泣いてしまうという、べたにも程がある展開らしい。

 

 「そっか、じゃあ、あーしたちが探したげる」

 

 そう言うと三浦はサイドポーチから、みぞれ玉を取り出す。飴ちゃんを常備してるとか、お前はどっかの大阪のおばちゃんかよ。

 

 そのみぞれ玉を包装を破り、中身を幼女へと渡す。幼女はそれをほお張ると、少し泣き止み、こくんと頷いて返事をした。

 

 「ったくなんで俺が」

 

 「ぼやくな、ぼやくな」

 

 今、俺と三浦は、少女を間とし三人で手を繋いでいた。俺は三浦にもらったみぞれ玉を噛み砕きながら、この子の親を呼ぶ声を再開する。

 

 そうしていると少女は俺と三浦を交互に見つめ、なにか考え事をしていた。そして少女は気恥ずかしそうに、三浦の方へと振り向き、こう言ったのである。

 

 「お姉ちゃん? お母さん?」

 

 俺は、たまらずふき出す。

 

 お、お母さんって……たしかに三浦はオカンぽいけどさ、子供ってひでぇなおい。純粋ゆえの凶器とはこの事だ。

 

 「だ、だってさ、お母さん」

 

 そう言うと三浦は顔を真っ赤にし、無言で俺の耳を引っ張った。

 

 その様子を見ていた幼女は、少し心配そうに三浦を見る。

 

 「だめだよ、お父さんと仲良くしなきゃ」

 

 へ、つまり、この子のいってるお母さんってつまり……

 

 俺は、急に気恥ずかしくなり、顔に血液が流れ込む。

 

 「顔真っ赤だけど大丈夫、お父さん?」

 

 俺の顔を覗き込んで、心配そうに呟く少女。ごめんな、それ以上言わないで、頼むから。

 

 三浦もその言葉に顔を真っ赤にしていた。ふと互いに目が合う。

 

 「あーしはあなたが良いんだけど」

 

 「いや、そういうことじゃないから」

 

 互いを見つめ、そして笑い合う。それに釣られ、少女も笑い、笑い声の協奏曲が紡がれた。まったく、幼女は最高だぜ。

 

 少女の親を見つけ、少女と別れを告げたあと、俺たちは少し、周りをぶらついていた。

 

 「ねぇ、そろそろ、いいんじゃない」

 

 そう、切り出してきたのは三浦のほうからだった。

 

 三浦は恥ずかしそうに、もじもじとしながら、俺を見据えていた。

 

 「ヒキオ……あーしと……あーしとさ……」

 

 「まてよ……」

 

 俺はあえて、三浦の言葉を遮る。答えは決まっている、もう既に落とされてたしな。

 

 三浦の手をとり、三浦を真っ直ぐ、目をそらさないように、しっかりと見据える。顔が真っ赤になろうと最早気にしない。

 

 「い、今まで、お前ばっかに言わせてきたからな、今回位は俺に言わせてくれよ……」

 

 「う、うん……」

 

 「お、俺の……」

 

 俺はここで悩んでいた。そう悩んでいたのだ。彼女という言葉が適切ではないような気がして。

 

 『お嫁さん』

 

 俺の脳裏にそれが浮かんだ瞬間

 

 「お嫁さんになってくれ」

 

 俺は考えるより先に、確かに、はっきりとその言葉を発していた。

 

 「は、はい!!」

 

 「あ、あーし、お嫁さんになります! あなたのお嫁さんになります!!」

 

 「こ、子供は最低2人、親子でダブルスがしたいから、も、もっと欲しかったら、もっと作るから!!」

 

 「あ、あと、あーしのことは優美子って呼んで! あーしは八幡って呼びたい!!」

 

 「え、えーと……うん、八幡、好き、好き、大好き、愛してるっ!!」

 

 三浦はうれし涙を浮かべ、俺に抱きつき、マシンガンのように俺に言葉をぶつけてくる。

 

 「うるさいっつーの」

 

 俺はそう言うと、三浦の口を俺の唇で塞ぐ。三浦は目を一瞬見開いたあと、ぎゅっと閉じ、俺に身を任せるように脱力した。

 

 柔らかな唇の感触。さようなら、俺のファーストキス。こんにちは、新しいお嫁さん。俺は強く優美子を抱きしめていた。

 

 

 その後、次の日に学校があるということでそれぞれの帰路についた。といっても、互いに離そうとしなかったせいで、終電しかもぎりぎりでだったが。

 

 あの柔らかな唇の感触と、甘くとろけるような匂い、そして愛おしいぬくもり、それらが頭の中でぐるぐると回り、おかげさまで全く寝ることができなかった。

 

 俺は仕方なく簡単な朝食を摂り、いつもより早く家を出ていった。恥ずかしい話だが、早く優美子と会いたい、そればかりを考えていたのだ。

 

 そして、クラスへと入る。これから優美子との楽しい青春ラブコメが待っている。

 

 そう思っていた――――それを目の当たりにするまでは。

 

 

 「なんだ……これ」

 

 優美子の机から落ちた一枚の紙を拾いあげる。

 

 それは、ただ、文字が印刷された紙だった。そう、筆跡がわからないように、あえて印刷した『手紙』だった。

 

 内容は『ヒキガエルのお嫁さん』等、書いた本人の稚拙さがわかるような物だった。

 

 『ヒキガエルのお嫁さん』って――――また、なのか、また俺のせいで、優美子がこうなってしまうのか。

 

 俺は歯を食いしばり、今すぐにでも叫びたい衝動を抑える。怒りとやるせなさで周りがぐるぐる回るようにさえ感じられた。

 

 うかつだった。俺と優美子はこの学園内でもくっついて行動していた。それは、あまりにも他人を意識しなさすぎた。

 

 女にとって、男はアクセサリーと同じ意味を持つ。そう、では俺というアクセサリーはどういうものなのだろうか。決まっている、ださい土偶みたいなもんだ。

 

 それだけならまだ良い、だが、女のそれは宗教に似ている。本来ロザリオすべき場所で土偶なんてつけてたら迫害されるに決まっている。

 

 「うぃーっす、お、ヒキタニくん、はやいね、どしたの?」

 

 クラスに葉山達、リア充グループが入ってくる。リア充たちは朝も早いようだ――――しかし、好都合である。

 

 「すまん、話がある……」

 

 

 一時間目終業のチャイムが鳴り響く。俺は葉山達に合図を送る。そう、打ち合わせどうりに頼む……と。

 

 「優美子、あと結衣と姫菜にもちょっと話があるんだ」

 

 「なに、隼人?」

 

 「いや、なに大した話じゃないんだけど、ここじゃ話しづらいんだ、場所を変えよう」

 

 「ふーん、あーしは、まぁ、いいけど」

 

 そう言って葉山は、女子を連れて出て行ってくれた。

 

 「おい、ヒキタニ……話がある」

 

 戸部がドスの効いた声をあげる。本当に似合うな、お前。

 

 「な、なんだよ……」

 

 「こいつに見覚えはあるか」

 

 戸部は俺に一枚の紙をつき出す。そう、あの『手紙』だ。

 

 「し、知らねーよ」

 

 「しらばっくれてんじゃねーぞ、このクソ野郎がッ!! 俺は見てんだぞ、優美子の机にこれを入れるてめーがッ!!」

 

 声を張り上げると同時に俺の胸ぐらを掴む戸部。

 

 俺はひっと小さく悲鳴をあげる、演技じゃなく本当の意味で、こういう時はリアリティがあってオッケーだ、俺。っていうかお前怖すぎだろ、本当に演技か?

 

 

 俺は、戸部から目をそらすふりをしながら、周りを見渡す。

 

 そして俺は見つける、我関せずと視線をそらしてるくせに、不安な表情をしている奴を――――お前か、相模。

 

 確かに、こいつは優美子がいなければ、このクラスの頂点に立つ女子だろう、優美子を引きずり下ろそうとしていてもおかしくはない。

 

 俺は乾いた笑いを発したあと、あえて背後に相模が来るように、体を少しづつ移動させる。

 

 「ま、待てよ、お、俺じゃねーし、だいたい、内容だって、大したこと書いてねーじゃねーか、そんなに怒んなよ」

 

 「っざけんじゃねーぞ、このクソ野郎がッ!!」

 

 怒号を発し、戸部は思いっきり俺を殴りつける、そして俺はわざと相模の近くへと吹っ飛ばされる。

 

 吹っ飛ばされた先で、俺は相模と目が合った。それは怯えを含んだ瞳だった。もはや確定だな。

 

 「てめぇが大したことないと思っててもこっちはちげーんだよッ!!」

 

 マウントポジションを取りながら、俺を殴りつける。マジでいてぇ。

 

 「すまん……」

 

 戸部は申し訳なさそうな表情でそう呟いた。謝ってんじゃねーよ、バレるだろうが。

 

 「っていう気持ちが少しでもねーのかよ、てめぇにはッ!!」

 

 それでいいよ、お前結構いいやつだな。そして、すまんな、こんな役目負わせて。

 

 

 「や、やめてよっ!!」

 

 それを見かねて、戸塚が声を上げる。そして俺をかばうように、俺に覆いかぶさる。戸塚マジ天使。

 

 「は、八幡はそんなことする人間じゃないよ、な、なにかの間違いだよ」

 

 「じゃあ、誰なんだよッ!!」

 

 戸部が声を張り上げる。その声に相模がビクッと体を震わせて反応する。相模、お前、女優にはなれんタイプだな。

 

 「いいって、戸塚……」

 

 「は、八幡……」

 

 俺は戸塚を押しのけ、ゆっくりと立ち上がる。結構効いているらしく、膝が笑っている。

 

 「……俺、ちょっと保健室で休んでくるから、次の授業は休むって伝えといてくれ」

 

 「は、八幡、一緒についてくよ、ボクっ!」

 

 「大丈夫だから、一人で……歩いていけるって」

 

 俺は戸塚の誘いを丁重に断ると、よろよろと歩きながら保健室へと向かう。本当に痛ぇ。

 

 

 俺は保健室のベットに寝そべると、目をつぶる。

 

 これでいい、これで相模は次、同じことを行えば、自分がこうなってしまうと思い込んでくれているはず。

 

 実際は、女の子だからそんなことはありえないのだが、目の前であそこまでされると確実に恐怖が刻まれる。

 

 特に、あいつは今回、ここまでの大事になると考えていなかったはずだ。想定外の事象、それは人の心をゆさぶるには、とても大きな要素となる。

 

 あいつにこれ以上のことを行う勇気はないだろう。だから今は、安心して、ゆっくりと体を休めよう。

 

 極度の緊張がとけた俺はゆっくりと眠りに落ちていった。

 

 

 冷たい感触が顔に触れ、その心地良さを認識する。同時に顔が腫れている痛みも感じる。

 

 目を開けると、瞳を潤ませ、心配そうにこちらを見つめる優美子が見えた。

 

 「おはよう、優美子」

 

 そういうと、優美子は濡れたタオルで俺の腫れ上がった部分を優しく冷やしてくれた。

 

 「あーし、聞いたよ」

 

 「そっか、だったら心配すんな、もういじめはなくなるはずだから」

 

 「そんで、戸部は俺とお前が恋人なのを知らず、単なる勘違いで俺を殴ってしまった」

 

 「そして犯人はわからず事件は迷宮入り、だれの関係も壊れず、円満解決って奴だ。だから泣くなって」

 

 俺は泣いている優美子の頭を優しく撫でてやる。

 

 「……違う」

 

 優美子はそういうと、強い意思を秘めた瞳をこちらに向けた。

 

 「あんたが傷ついて、それで終わりってのは違う」

 

 優美子はそう言うと、俺の腕を引っ張った。

 

 「お、おい」

 

 「あーしがちゃんと終わらせる、だから八幡、見てて」

 

 「変わったあーしを」

 

 俺は放課後、優美子に連れられて屋上へと来ていた。優美子は俺の手をしっかりと握り、離そうとしない。

 

 「逃げないから、心配すんな」

 

 「そうじゃないって」

 

 ドアが開かれる音が聞こえる。そして、そう、事件の当事者である相模が入ってきたのである。

 

 優美子はすかさず、ただ唯一の退路であるそのドアを占拠する。

 

 「え、えっと、う、うちに話ってなにかな」

 

 「八幡、ちょっとこっちに来て」

 

 俺は言われるとおりに優美子の隣へと移動する。

 

 すると優美子は問答無用で俺の唇を奪った。

 

 「ゆ、優美子?!」

 

 俺の唇を奪った優美子は、唇の感触を確かめるように舌なめずりをし、嬉しそうに微笑んだ。

 

 「見てのとうりさ、あーし、こいつと恋仲なわけ」

 

 「そ、そうなんだ、お、おめでとう」

 

 優美子の眼光が鋭くなり、その鋭さで相模を貫く。その刃に貫かれた相模はビクッと体を震わせる。

 

 

 「そんでさー、今日あーしとこいつの事を書いてくれた手紙があったんだけどさ」

 

 「う、うん」

 

 「そのお礼がしたくて……さ」

 

 最早、相模が犯人だと前提条件の元での話を進める優美子。おいおい、直接的すぎるだろ。

 

 相模も、推理ドラマとかでネタばらしされている犯人のごとく挙動不審だ。もう犯人は自分と自白しているに等しい。

 

 「ねぇ、知ってる、恋ってさ」

 

 「恋は祝福みたいなんだ。すごく熱くて、時々切なくて、そんでその人を見るだけですっごく幸せなんだ」

 

 胸の前で優しく両手を握り、憂い込めて目をつぶる三浦。その表情は、まるで祈りを捧げるかのようだった。

 

 「でもね、引き裂かれた恋は呪いなんだよ、心に楔が打ち込まれたみたいに残って、その人を見るのもすっごく辛い」

 

 今度は強い、意思を秘めた瞳で相模を見据える。

 

 相模はぼそぼそと「う、うちじゃない」「人違い」といった言い訳の言葉を呟いている。流石にかわいそうである。

 

 そんなことはお構いなしに、優美子は乱暴に、相模の胸ぐらを掴む。そして、トドメの一言を言い放った。

 

 「あーしの恋を呪いに変えようとした、あんたの罪は重い」

 

 その一言は、すごく重く、そして、静かに燃え上がるような熱さを孕んでいた。

 

 相模はその胆力に押され、遂には大声をあげ泣き始めた。それは相模の心が、完全に打ち砕かれた証拠だった。

 

 

 「お前、あれ、八つ当たりも入ってただろ」

 

 「それは、あーしも反省してるよ」

 

 俺は、優美子と二人きりになってから、今日の反省会を開いていた。

 

 今日のあれは、言ってみれば過去の事をごっちゃにした決着であり、相模に関係ないことまで押し付けたのである。

 

 俺は、この一件で優美子と別れる気は毛頭なかった。そう、呪いとは過去の、幼稚園のころの話なのである。

 

 話を聞けば、その時、自分が弱かったから、幼稚園の頃の間違いを犯してしまった。

 

 だから今度は変わった自分が、もう、二度とそんな間違いをしないと証明したかった。

 

 とのことである。なんとも身勝手な話だ、ぶつけられた相模はたまったものではない。

 

 「流石にかわいそうだったな、相模」

 

 「だからって、いつまでも、ああじゃダメだし」

 

 「あいつは、多分、罪の意識なんて無かった。誰かが、それをちゃんと認識させてやんないと、また同じことやるよ」

 

 「……じゃあ、俺のやったことは、なんだったんだよ」

 

 「無駄骨だし」

 

 きっぱりとそう言われ、俺は落胆のため息をつく。俺なりに考えたつもりだったんだが、こう完全否定されるとは思ってもみなかった。

 

 

 「まぁ、でもさ、八幡があーしを思ってやってくれたのは、嬉しかったし」

 

 俺を慰めるように肩を叩く優美子。マジで俺、殴られて、この結末はないわ。うん、ない。

 

 「でもさ、こういう大切なことはこれから、二人で決めて欲しいし」

 

 優美子は、いつものように手を差し出した。そう、指切りをするために。俺は嘆息する。

 

 この話は幼いころの指切りから始まった。そしてこれからも、この指切りで続いていくのだろう。

 

 俺は、これからも指切りを繰り返していかなければいけない事実に、うんざりとした気分になる。

 

 仕方なく、俺は優美子の指をとり、もう慣れた口上を述べる。

 

 「「ゆーびきりげんまん、うそついたらはりせんぼんのーます」」

 

 「「指切った!」」

 

 まぁ、悪くないんだけどな。俺は優美子の笑顔を見ながら、俺はこれからに想いを馳せる。

 

 うん、悪くない。俺はラブコメの神様に、ありがとう、と心の中でだけ呟いた。

 

 でも――――やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。そしてこれからも、まちがい続けるのだろう。

 

 

――――――――――

 

 恋人をすっとばし、晴れてお嫁さんになった優美子をちらりと流し目で見る。

 

 「八幡、またあーしをエッチは目で見てる」

 

 そういうとまた、俺の右腕に体を絡ませてくる三浦。

 

 なんというかだな、毎度毎度こう、俺ばっかりが押されているとなんか不公平な感じがする。というか、尻に引かれてばっかは後々まずい。

 

 だから俺は、今日一日、逆に優美子を引っかきまわしてやろうと決意する。今までのお返し、もといお礼だ。

 

 まずはちょっとのいたずらから始めよう、いたずらなら子供の頃は得意だった。そう思い、口の端をゆっくりと上げる。

 

 「優美子」

 

 「えっ……ひゃ、ひゃうっ!!」

 

 俺は宣言せずに、優美子の左耳を甘噛みする。その後、舌で耳の外縁を下から上へ、這うように舐め上げる。

 

 「ちょ、は、八幡っ?!」

 

 「悪かったな、エッチで」

 

 耳元でそうつぶやくと、俺は優美子が逃げられないように両肩をがっしり掴む。まぁ、逃げないだろうが念のためである。

 

 耳穴へ舌を侵入させる。できる限り、広い面積を舐めるように舌を這わせる。

 

 「や、やめて、そこ、き、汚いから」

 

 俺はその声を無視し、耳全体を口の中に入れ、今度は歯を立てず、ゆっくりと舐め回す。

 

 「はぁ、う……んっ!」

 

 色っぽい、くぐもった声が優美子の口から紡がれる。

 

 「優美子……少し目をつぶってくれないか?」

 

 耳を口から離し、そう呟くと。優美子は恥ずかしそうにこくんと頷くと、ギュッと目を瞑った。そして俺は優しく、優美子と唇を重ねた。

 

 

 「裏切ったな、比企谷八幡ッ!!」

 

 材木座が叫び、俺を罵倒してくる。

 

 「何がだよ」

 

 「お前は……お前だけはこちら側とばかり踏んでいたのに、それなのにッ!!」

 

 材木座は俺と腕を組んでいる優美子を指差し、鼻水をたらしながら男泣きした。うわぁ、みっともねぇ。

 

 「我との桃園の誓いを忘れたかッ!!」

 

 桃園の誓いってなんだよ。それなら後一人必要だろ。あと、海老名さん、俺とこいつで妄想すんのも止めてください。

 

 「あのな、その桃園の誓いがいつ成されたのかは知らんが、こいつはな」

 

 俺は、優美子の腰に手をやり、ぐいっと自分の方へと引き寄せる。

 

 「こいつとは幼稚園からの話なんだよ、年季が違うんだよ、年季が」

 

 「は、八幡、ちょ、いきなり……」

 

 「い、いやか?」

 

 「い、いや、いやとかじゃないけど、むしろ……嬉しいし」

 

 うつむき、もじもじしながらも俺に抱きついてくる優美子。俺も負けじと腕の力を強め、それに答える。

 

 俺たちは互いに顔を真っ赤にしながらも、それでも互いに見つめる合うのをやめはしない。

 

 「ちくしょおおぉぉッ!! リア充、爆発ううぅぅッ!!」

 

 材木座の負け犬の遠吠えが心地良い。その台詞を言われる日が来るとはな、夢にも思ってみなかったぞ。

 

 俺はこれ見よがしに優美子の頭を撫でてやる。すると優美子がはしそうな笑顔をこちらに向けてくれた。先ほどの何倍もの心地よさが俺の胸いっぱいに埋め尽くした。

 

 

 いつものように、優美子の手作りの弁当を、いつもの場所で、いつものように二人で食べる。

 

 そして俺は思い切って、いつもはしない、その頼みを口にする。

 

 「口うつしで……それ、食べさせてくれないか」

 

 俺は、卵焼きを指差した。その言葉に、優美子は顔を真っ赤にし、うつむく。

 

 「は、八幡、そ、それって」

 

 そう、口うつしをするということは、すなわちディープキス、違う言い方をすればフレンチキスである。

 

 「だ、ダメか……?」

 

 俺は恥ずかしさに頬をポリポリと掻く、流石にこれは受け入れてくれないか。

 

 そう、思っていた矢先、うーと唸りながらも優美子は決心した顔で卵焼きを口に放りこんだ。

 

 「ん!」

 

 優美子は、瞳を瞑り、俺に顔を突き出してくる。

 

 「じゃ、じゃあ、いただきます」

 

 俺はまず、優美子の唇と自らの唇を重ねる。次に、自身の舌を優美子の口内へと侵入させていく。

 

 粘液と粘液が触れ合い、小さな水音を立てる。俺は、そのまま卵焼きと一緒に、わざと舌と一緒に貪る。

 

 「あ……んっ……ふぅ……んんっ……」

 

 優美子はどうやら俺を気遣ってくれているらしい。喉に詰まらないよう少しづつ、噛み砕いた卵焼きを俺の方へと差し出していく。

 

 そして、遂には卵焼きが優美子の口から無くなった。俺はわざと気づかないような振りをして、優美子の口内を貪っていく。

 

 優美子もそれに応えるように、舌を絡め、互いに互いを貪りあう。求め合った結果である水音だけが、響いていた。

 

 そして、流石に息苦しくなったところで、俺は優美子を開放する。優美子は荒い吐息を吐きながら、こちらを見つめてきた。

 

 俺は、大きく息を吸ったあと、自身の弁当にあった卵焼きを口に放り込むと、また俺は優美子と唇を合わせた。

 

 

 そして、帰り道、俺は優美子と腕を組みながら歩いていた。

 

 今日一日攻めつづけたせいか優美子はすっかりしおらしくなっている。こういう優美子も可愛い。

 

 いやぁ、ここまで効果があるとは、俺も勇気だした甲斐があったというものである。俺は愛しさを込めて優美子の頭を優しく愛撫してやる。

 

 「……今日はなんだか、積極的だし」

 

 「今日は、そんな気分なんだよ」

 

 俺はそういうと、優美子と今日何度目かわからない、キスをする。

 

 「あんたってさ」

 

 「ん?」

 

 「やっぱ、どSだわ、それも一回したら歯止めが効かなくなるタイプの」

 

 「じゃあ、優美子には、どMになってもらおうか」

 

 優美子はさらに顔を真っ赤にし、何かを言いたそうにもじもじとしている。

 

 俺はそんな言葉は聞きたくないとばかりに、今日覚えたばかりのフレンチキスで優美子の口を塞ぐ。

 

 「んぁ……れろ……んんっ、ちゅぷ……」

 

 縦横無尽に口内を貪り、俺は、優美子の唾液の味を味わっていく。

 

 優美子は、そのまま、おれを受け入れてくれていた。

 

 

 終

 

 

 

 

 

 

元スレ

三浦「あーしってさ案外一途なんだよね」八幡「はぁ」

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