アニメssリーディングパーク

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雪乃「私と付き合う事で貴方のその救いようのない後ろ向きな考えを改めさせてあげるわ 」【俺ガイルss/アニメss】

 

八幡「先生俺だけ他の生徒と扱いちがいませんか」

 

八幡「俺の将来が専業主夫でも大学にも進学して一時的とは言え働くから何も先生には迷惑かかりませんよね?」

 

平塚「それはだな・・・君が将来を思ってだな」

 

八幡「だいたい、俺と先生が将来付き合って結婚するわけじゃないのに」

 

平塚「はい」

 

八幡「は?」

 

平塚「だから、君と結婚したいと」

 

八幡「え?」

 

平塚「私は君と結婚したいんだ!」

 

八幡「え、……え!?」

 

平塚「比企谷は私と結婚するのは…嫌か?」

 

八幡「ちょっ、俺はまだ学生ですし、この先大学にも進学予定ですよっ?」

 

八幡「それまで先生を待たせる責任を、俺は取れませんよ」

 

平塚「ふむ。それはつまり、待てば結婚する、という事だな?」

 

八幡「」

 

平塚「ふふふっ、比企谷が旦那さんか……だ、ダーリンと呼んでもいいだろうか? こ、子供は何人欲しいっ? 沢山欲しいのなら、学生結婚という手もあるぞっ!」

 

八幡「」シロメ

 

平塚「大丈夫、学生結婚といっても大学生になるまでは待つさ。 大人としての常識くらい持ち合わせているよ。 そうすると、後一年と半年か……ふふふ、まだ慌てる時間じゃない、子供は沢山作れるぞ、喜べ、だ、だだだ、ダーリンっ!」

 

八幡「ちょっ、お、落ち着いてください! 学校の職員室ですよっ! 他の先生も見てますしっ!」

 

平塚「」ハッ

 

平塚「ゴホンッ。あー、比企谷。この話はまた後でだ。……逃がさないぞ?」ガシッ

 

八幡「し、しつれいしますっ!」ガラガラバタン

 

八幡(ヤベーよ……。先生、目がマジだったぞ……。 ほんと、誰か貰ってやれよ)

 

雪乃「……比企谷、何をやらかしたの? 教師相手に迫るなんて、 これは教育が必要かしら」

 

八幡「っ! き、聞いてたのかよっ? いや、俺は何もしてないぞ。 進路希望に専業主夫って書いたら、どうしてかああなっただけだ。 なんならどうしてこうなったか、俺が知りたいまである」

 

雪乃「……そうね。比企谷君お得意の、問題の解決ではなくて問題を解消する方法ならあるのだけど。聞きたい?」

 

八幡「…………激しく嫌な予感がするんだが……」

 

雪乃「嫌な予感? 目だけでなく、とうとう脳まで腐ったのかしら? この私がヒキガエル君の為に、わざわざ知恵を絞ってあげているのに、感謝の一つもないなんて、貴方正気なの?」

 

八幡「なんで、お前はそんなにデフォルトで毒舌&高飛車なんだよ……。 しかも、俺の小学生時代のトラウマを的確についてくるし。 何、お前俺のストーカーなの?」

 

 

雪乃「ッ! 自惚れないで頂戴。どうして私が取るに足らない汚物のように腐敗した貴方なんかをストーカーしなきゃならないの? 訴えるわよ、ヒキガエル君」

 

八幡「ちょっ、落ち着けっ! 近い、近いっ! わかった、俺がわるかったですごめんなさいっ! だから、離れろっ!」

 

雪乃「……こほん。ごめんなさい、あまりに気持ち悪い勘違いに動揺してしまったみたいだわ。ほんと、貴方の気持ち悪さって人間公害レベルね」

 

八幡「……だから、誰にも迷惑かけないように引き篭ってんだろ。 ぼっちは引き篭るだけで、世間の役に立ってんだよ。 周りにも迷惑かけねえし、周りも俺みたいになりたくないから奮起する。なんて見事な反面教師。あれ、俺って表彰されてもよくね?」

 

雪乃「……………………」

 

八幡「……おい、ちょっとした冗談だ。そこまでどん引くな。 流石の俺でも傷つくぞ。物理的な距離をあけんな」

 

雪乃「…………身体が勝手に後ずさったわ。本能レベルで気持ち悪いわね」

 

八幡「あー、何かもう俺が悪かったよ。それで雪ノ下、お前の言う問題解消の方法ってなんだ?」

 

雪乃「簡単よ。貴方がすでに誰かと付き合っていればいいのよ。 これなら平塚先生も何も言えないでしょう?」

 

八幡「待て、雪ノ下。それは前提からもう間違っている。 俺に付き合っている彼女はいない」

 

雪乃「ええ、そうね。そうでしょうね。 比企谷君が誰かと付き合ってるなんて有り得ないわ。 今この瞬間に世界が滅ぶ確率の方がまだ現実的だわ」

 

八幡「…………いい加減、泣くぞ。 はぁ、もういいわ。じゃあどうするんだよ? どっちみち、手詰まりじゃねえか」

 

雪乃「手詰まりじゃないわ。要は、平塚先生にそう信じ込ませればいいのよ。 信じ込めば、事実は嘘でも平塚先生の中では真実になる」

 

八幡「もっと具体的に言ってくれ」

 

雪乃「あら、ここまで言っても解らないの? やっぱり脳が腐っているようね」

 

八幡「じゃあ、俺の脳が腐ってるに考えが及ばず、説明不足になってるお前は何なんだよ」

 

雪乃「…………ッ! 貴方は時々、奇跡的に人並みに頭が回るようね。 もういいわ。わかりやすいように、単刀直入に言ってあげる」

 

雪乃「――――比企谷君、私と付き合いなさい」

 

八幡「はぁっ!? 雪ノ下、おまっ、何言ってんのっ??」

 

雪乃「バカね、本当に付き合うわけではないわ。ただの振りよ。 ただ、そう、もし貴方と平塚先生が付き合っているなんて噂が流れたら平塚先生は教師職を辞さなくてはならなくなるわ。 そうなったら奉仕部の顧問もいなくなるのだし、そう、これは平塚先生の為なのよ。 私だって、嫌で嫌で仕方ないわ、でも仕方ないじゃない。 奉仕部として平塚先生が腐った死体の毒牙に掛かるなんて見過ごせないし、そう、これは奉仕部の活動なのよ。だから勘違いしないで比企谷君、私は――」

 

八幡「ちょっ、待った待った!」

 

雪乃「……何かしら、比企谷君? 疑問も苦情も受け付けないわよ?」

 

八幡「申し出はありがたいが、そんなの受けるわけにいかねーだろが。 それ、お前が俺なんかと付き合ってるって噂が学校中に流れるって事だぞ? そんな羞恥プレイに耐えれるとか、何、お前マゾなの?」

 

雪乃「マゾじゃな――」

 

八幡「知ってるよ、お前は俺を罵倒する時、心底楽しそうだもんな。 保証してやる、お前は真性のドSだ。じゃあ、俺は逃げなきゃならんから今日は帰るわ。家でじっくり対策たててーし。 悪いが、由比ヶ浜には適当に言っといてくれ。じゃっ」

 

雪乃「待ちなさい。勢いで誤魔化せるとでも思ったのかしら。 生憎、私の頭は貴方と違って昆虫サイズじゃないの」

 

八幡「おい、どんな罵倒だそれは、いい加減に――うぷっ!??」

 

雪乃「――これでもう手遅れね」

 

八幡「おい、ばか離れろっ! おまっ、何考えてんのマジでっ?」

 

雪乃「あら、こんな可愛い美少女に抱き締められて何が不満なのかしら、比企谷君?」

 

ザワザワ アレ、ユキノシタサンジャナイ? ダキツイテルアイテッテ、ヒキタニジャナイ?

ホラ、ブンカサイノトキサガミサンヲイジメタッテイウ――

 

八幡「わかったか、雪ノ下。お前が自己犠牲に目覚めたとしても、周りがそれを認めねえんだよ。 人間なんて、自分の都合のいいようにしか物事を見ない。んな事、お前だってよく知ってるだろーが。 学校一嫌われ者のボッチと、学校一の才媛の雪ノ下、はなから釣り合いなんて取れちゃいない。 大方、俺がお前を脅してるって風にしか話は広まわねーよ。間違っても付き合ってるなんて広まらねえ。元々、付き合ってもないんだしな」

 

雪乃「私がその程度のことを考えてないとでも思ったのかしら、比企谷君はいいから黙って見てなさい」

 

八幡(コイツ、どうする気だ……?)

 

男A「ヒキタ二、てめえマジで最低だな。相模さんといい、雪ノ下さんといい、何人を泣かせれば気が済むんだよ、このゲス野郎っ!」ムナモトグイッ!

 

八幡(まっ、そりゃそーなるわな)

 

男B「ゆ、雪ノ下さんっ。コイツに何か脅されてるなら、僕達が助けるから、早く離れて」

 

雪乃「助けるというのなら、さっさと消えてくれないかしら? 私たちはこれからデートするから忙しいの」

 

男B「雪ノ下さん――?」

 

雪乃「それと貴方、いつまで私の彼氏を締め上げてるの? 不愉快だわ」ヒキハナス

 

雪乃「私があんな男に脅される? 冗談もそこまで行くと笑えないわね。そこの比企谷君は、この学校で誰よりも弱い存在よ。そんな男に脅されるなんて、論理的に有り得ないわ。 それに――もし仮にだれかが私を脅したのだとしたら、その脅しごと脅した相手を叩き潰すのが私のやり方よ。 そんなのは、小、中学生の頃にさんざんやってきた事だし手慣れているわ」

 

男A「じゃっ、じゃあ何でこんなやつと抱き合ってたんだよっ?」

 

雪乃「不愉快ね。ほんとう、耳障りで不愉快だわ。比企谷君の上辺だけしか知らない、貴方達が彼を貶めるのは不愉快でしかないわね」

 

八幡「お前が一番、俺を罵倒してる気がするんだが? 自殺するレベルの暴言を常日頃か   ら弾幕のように浴び続けてるんだが、そこんとこどうなのよ……?」

 

雪乃「あら、私はいいのよ。 だって私は――貴方をしっているもの」

 

八幡「……ああそうかい」

 

八幡(知っててそのレベルなのか……。いや、これマジでボッチで鍛えた俺じゃなきゃ自殺するレベルじゃね?)

 

男A「わかんねーよっ! 雪ノ下さんはそいつの何を知ってるって言うんだよっ!?」

 

雪乃「知ってるわ。彼が誰より優しいことを。 自分を傷つけてまで人を救う事のできる、本当の意味で優しい人だって事をね」

 

男A「っんっだよそれっ! 意味分かんねーよっ!」ウデヲフリカブル

 

八幡「――ッ! 雪ノ下っ!」ユキノシタヲカバウヨウニワリコム

 

平塚「そこまでだ、男A」

 

八幡「ひっ、平塚先生っ?」

 

男A「先生、これはコイツが、そのっ――」

 

平塚「雪ノ下に暴力を振るおうとして、比企谷がそれを庇った。 私にはそうとしか見えなかったのだが、他の解釈があるのかね?」

 

男A「うっ――」

 

雪乃「これで解ったでしょう? 彼は、誰かの為に自分を犠牲にしてまで助けてくれる優しい人なのよ。 貴方のように、上辺だけを取り繕う屑に語らないで頂戴。本当に、不愉快だわ。 それと、先生」

 

平塚「……何かね?」

 

雪乃「先程の職員室での会話を聞きました。ですが、彼は私と付き合っています。 ですから平塚先生とは付き合えません」

 

平塚「ほう、それにしてはずっと苗字で呼び合っていて名前ですらよびあっていないみたいだが?」

 

雪乃「それは付き合いだてで、学校では隠すつもりだったからです。 ですから、苗字で呼ぶ習慣がついていたんです」

 

平塚「……では、プライベートなら名前で読んでいると?」

 

雪乃「もちろんです」

 

平塚「なら、それを証明してもらおうか」

 

雪乃「えっ、そっ、それって……――」カァァ

 

平塚「どうした、できないのかね? どうせもう明日中、いや今日中かなこれは……今日中には広まってしまうのだから隠す意味もないだろう? ほら、どうした」

 

雪乃「……は、はちっ、まんっ」カオマッカ

 

平塚「んんっ~? どうした雪ノ下、聞こえないぞ。いつも毅然とした態度のお前らしくもない。 ふふんっ、やっぱり嘘なのだろう。うんうん、嘘に決まっている。 ダーリn……比企谷は専業主夫希望だし、その不甲斐なさは雪ノ下の志向から大きく外れているだろうしなぁ」ドヤァ

 

雪乃「はっ、はちまんっ!」カオマッカデハチマントウデヲクム

 

八幡「んなっ――」

 

八幡(おいおい、さっきは後ろから抱きついても平気な顔してたのに、俺の名前を呼ぶだけで熱でもでんの? なに、俺の名前って天然のヒーター?

 俺の名前で冬はポカポカ暖房いらずなの? やだ、今の八幡的にポイント高い。

 いや、今の話をしたら雪ノ下あたりからは

「あらついに比企谷菌はインフルエンザを超えたのね、防衛省に隔離要請をしないと」

 とか言われそう。

 八幡的にポイント低いわ~~~、だださがりだわ~~、

 ついでにテンションもダダ下がりだわ~~~、えっ? お前のテンションは初から低いって?

 むしろ高かったことあんのかって? ごめんなさい、小学生の時ハメを外してクラス中ならキモタニって言われてからないです。なんかもう、生まれてきてごめんなさい)

 

八幡「おい、雪ノ――」

 

雪乃「だ、黙りなさい」

 

八幡(あれっ? これって、一応俺の問題だよな? なんでこいつに主導権持ってかれてんの? そもそも、こいつにかりなんて作りたくねーし。ボッチは養われても施しは受けねえ、それが俺のジャスティス

 

八幡「先生、あのですね……正直に言うと俺は誰かを好きとかよく解んないんですよ。 誰かを信用しなければ、裏切られることもねーし。こんな卑屈な考えの人間が恋なんてありえないでしょ?」

 

平塚「だが、君の進路希望は専業主夫じゃないのかね? だったら相手がいるはずだが?」

 

八幡「だから、俺はもっと打算的に相手を選びたいんですよ。お互いの利害が一致した、信頼関係はなくても結婚という信用のできる契約を結ぶ、みたいな。 つまり、愛はなくてもお互いがお互いを打算的に利用できる関係というか…… 手作りの食べ物を食べたい、家事をこなして欲しい、代わりにお金を入れてくれる……それって、愛がなくても出来るでしょ?」

 

平塚「比企谷、それは……」

 

八幡「だから、先生じゃ駄目なんです。俺と先生はそれなりに深い知り合いになっちまいましたから。だったら、そんな先生と愛のない結婚なんてできないでしょ? どうしても、私情が入っちまう」

 

もう二度と期待しないと誓ったのに。

また同じ過ちを犯してしまう。

期待――してしまう。

 

八幡「だから、先生とは付き合えないんです。勿論、雪ノ下と付き合ってたってのも、嘘です」

 

平塚「……雪ノ下、どう思うね?」

 

雪乃「空いた口が塞がらない、とはこういう気持ちなのだと体感しました」

 

平塚「だろうね。私も同意見だよ。比企谷」

 

八幡「……なんすか?」

 

平塚「私が君を奉仕部へ入れた理由を覚えているかね?」

 

八幡「真人間への矯正、でしたっけ?」

 

雪乃「そう。そして、私がその依頼を受けたわ」

 

八幡「だから何だって――」

 

雪乃「わからないのかしら? あなたのその考えなんて織り込み済みで、私と平塚先生は好きだといったのよ。 だから何の問題もないわ。 むしろ、私と付き合う事で貴方のその救いようのない後ろ向きな考えを、完膚無きまでに調教してあげるわ」

 

平塚「――まっ、待てっ! 雪ノ下、抜けがけは許さんぞっ! ダーリn……比企谷、私と結婚すれば君を必ず幸せにするぞっ! 人生はバラ色だって、その身に刻んでやるっ! 約束するっ!」

 

八幡(付き合うを通り越して結婚とか、怖ぇえよ。いや怖い。ほんと、怖いです)

 

八幡「なんだ、雪ノ下。そもそもこれは演技なんだからさ、平塚先生にバレた以上、お前が無理して付き合う必要もないんだぞ?」

 

雪乃「比企谷君、いえっ、はっ、はちっ、まん。わ、私は嘘は言わないわ。 自分の言葉にはちゃんと責任を持つわ。つ、つまり……さっきの言葉は本心よ。 本心から貴方と付き合って、そして貴方をもっと知りたいって思ってるわ」

 

平塚「当然、わたしだって本気だぞっ! ほ、本気だもんっ!」ナミダメ

 

八幡(先生……キャラ崩れてます。本当、誰か貰ってやってくれよ……このままじゃ俺がもら――いかん)

 

八幡「先生、雪ノ下、俺は前に言ったな? 自分を変えるのは逃げだって。辛い時こそ、変わらずにそこで踏ん張るって。 自慢じゃないが、その意思は堅いぞ。ダイヤモンド並みの硬度だ」

 

雪乃「あら、ダイヤモンドは硬いだけで脆いのよ。貴方の矯正は思ったより簡単そうね?」

 

八幡「……茶化すな。そんな俺を受け入れてくれて、その、嬉しいと思ってる。 でもやっぱり、俺には愛とか恋とかそういうのはちょっとまだよく解らないし、信じられない。

だから、待たせる事になると思う。 どれだけ待たせるかも解らない、でも俺なりに誠実に二人には向き合いたい。 だから、二人が信じた俺を俺も少しは信じてみたいと思った。 ……今は、それじゃダメか?」

 

雪乃「ふふっ。ようやく一歩を踏み出せたようね。 全く、亀の歩みより遅いのだから私でなければ愛想を尽かしてるところよ、感謝なさい。 でも、そうね。由比ヶ浜さんと平塚先生というライバルもいるのだし、 すぐに私に振り向かせてみせるわ。覚悟しなさい、はっ、はちまんっ!」カオマッカ

 

END

 

平塚「おい、私もいるぞっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

元スレ

http://viper.5ch.net/test/read.cgi/news4vip/1372521132/

水希「よし、準備もOK。あとは想いを乗せた私の唇を…たっぷりと受け取って。お兄ちゃん…」【ぼく勉ss/アニメss】

 

--朝・唯我家、玄関前

 

花枝「それじゃあ先に行くから。成幸のこと頼むわね」

 

双子「水希姉ちゃん行ってきまーす」

 

水希「うん、行ってらっしゃい。心配しないでお母さん。お兄ちゃんのことは全て私に任せてくれれば。ふふ、ふふふ…」

 

花枝「一番心配なのはあんたの将来なんだけどね……まあいいわ。じゃあよろしく」ガラガラ- ピシャン

 

水希(ええお母さん。私の将来のためにも、必ずやお兄ちゃんを救ってみせるわ!)スタスタ…

 

--居間

 

成幸「zzzz…」

 

水希(また今日も机で寝ちゃってる…成績が伸びなかった中学時代もこういうことはあったけど…)チラッ

 

水希(ノートの束に多くの参考書…今のお兄ちゃんならここまでする必要はない。理由はわからないけど、それもこれもあの人【古橋さん緒方さん】たちに勉強を教えているから…)プルプル…

 

水希(やっぱり顔なの!? それともあの極悪なサイズのアレなの!? お兄ちゃんが巨乳派なのは何となくわかってるけど、それなら私にだってまだまだ十分な余地が--)ハッ!?

 

水希(……危ない危ない。今の私はSAKUSHI。そんな事を考えている場合じゃなかったわ。ここは素数を数えて落ち着かないと)2,3,5,7,11,13…

 

水希「…よし落ち着いた。というわけで、かねてからの計画をいよいよ実行するときが来たわね」サッ

 

水希「こっそり拝借したお母さんのリップ。これを唇に塗って…」ヌリヌリ…

 

水希(そう--私は気付いたの。古橋さんも緒方さんも、決して押しの強い性格じゃない。そしてそれが私との決定的な差!)キュピーン!

 

水希(リップを塗った唇でお兄ちゃんにキスマークを付ける。首裏辺りなら鈍感なお兄ちゃんは気付かないだろうから、それをあの二人が目撃すれば…?)

 

文乃『うぺえっ!? な、成幸くん…それって…まさか…?』プルプル…

 

理珠『な、なな成幸さん…』プルプル…

 

成幸『…? どうした? 二人とも』

 

文乃『な、何でもないの! あーっといっけない! 私そろそろアレがアレする時間だからっ!!』ダダッ-!

 

理珠『酷いです。成幸さん不潔ですっ!!!』ダダッー!

 

成幸『ふ、古橋! 緒方ーー!!!(風呂ならちゃんと毎日入ってるんですけどーー!?)』ガーン!

 

水希「ふ、ふふ…完璧。完璧だわ」

 

水希「よし、リップの準備もOK。あとは想いを乗せた私の唇を…たっぷりと受け取って。お兄ちゃん…」ググ…

 

水希「………」プルプル…

 

水希「…ッはあ! はあ…だ、だめ。いざとなると緊張しちゃう。仕方ないわ。こうなったら直接お兄ちゃんの首裏に!」スッ

 

ヌリヌリ…

 

水希(うん、それらしくなった。これならお兄ちゃんが鏡を見てもバレないうえに、他の人からは目立ちやすい)

 

水希「これで準備は万端。あとはお兄ちゃんを起こすだけね」ニコッ

 

成幸「んん…」

 

水希「おはようお兄ちゃん。早く起きないと遅れちゃうよ」ニコッ

 

成幸「悪い。寝坊しちまったんだな…母さんたちは?」

 

水希「今日は早く家を出ないといけなかったから、もう出発しちゃったよ。じゃあ私もそろそろ学校に行くから、お兄ちゃんも遅れないようにね」

 

成幸「ああ、ありがとう。水希」

 

水希(計画通り)ニヤッ

 

 

--洗面所

 

ジャー…バシャバシャ…

 

キュッ

 

成幸「ふう。さっぱりした…けど、今日は寝癖がしつこいな(机で寝てたせいか?)」

 

成幸(仕方ない。一度全部頭を流してしまうか。水道代がかさんでしまうけど)ジャー…

 

成幸「うん。今度は大丈夫だな。そういや洗ってる途中で赤い塗料みたいなものが流れていったけど…?」

 

--ねーねー兄ちゃん、ここでお絵かきしてていい?

 

成幸「……大方寝ている時にあいつらに落書きでもされたんだな。危ない危ない」ホッ…

 

成幸「さて、無事に準備も済んだし、そろそろ出掛けるか」クルッ

 

成幸「それじゃ、今日も頑張ってくるよ。親父…行ってきます」ニッ

 

 

--昼休み・一ノ瀬学園・3-B教室

 

大森「あー暑い。秋なのに今日はえらく気温が高くねぇ?」パタパタ

 

小林「大気の影響で今日は夏日に戻るらしいからね。だから今日は夏服」ニコッ

 

成幸「小林が正解だよなあ。さすがにこんな暑さじゃブレザーなんざ着てられん……ん?」パタパタ

 

--ワイワイガヤガヤ

 

「これとかどう?」

 

「いいけど、ちょっと派手過ぎない?」

 

「大丈夫っしょ。お祭りなんだし」

 

大森「隅っこの方でなんか盛り上がってんなあ。おーい! そこで何やってんの?」

 

うるか「おーっす大森っち。成幸にこばやんも」タタッ

 

成幸「なんだ。うるか達だったのか。何やってんだ?」

 

うるか「今度水泳部の皆で街のハロウィンパーティーに行くことになってさあ。そのときに付けていくタトゥーを選んでるんだ」

 

成幸「タトゥーって…入れ墨のことだろ? そんなことして大丈夫なのか?」

うるか「あはは、違うって。あたし達の選んでるのはシールだよ。シール」

 

成幸「シール?」

 

うるか「そうそう。例えばこんなのとかさ」サッ

 

成幸「うん? キスマークか? それ」

 

うるか「そうそう。ものは試しにやってみよーか。ちょっと腕借りるね。成幸」ヒョイッ

 

成幸「お、おい!」///

 

うるか「ん。こうやって…と。はい完成。どうかな?」

 

成幸「うわすげえな。本物そっくりだ」

 

うるか「でしょー♪ 種類も色々あるからねー。どれを選ぼうか絶賛悩み中ってわけ」

 

成幸「なるほどな。で、これを消すにはどうしたらいいんだ?」

 

うるか「え? あ……」タラーッ

 

成幸「……おい」

 

うるか「えーっと、その……結構強力なやつだから、すぐには消えないかも」テヘペロ

 

成幸「お、ま、え、は~!」

 

うるか「いだだだだ! 成幸ギブギブギブ!」ヒャーッ♪

 

小林「本当に仲いいよねえ。あの二人は」ニッ

 

大森「ちくしょー! 俺も武元さんとあんなスキンシップしてみたいぞーーー!」シクシク

 

 

--放課後・図書室

 

成幸「--てなことがあってな…」

 

理珠「成程。いかにもうるかさんらしい適当さですね」

 

文乃「あはは。でもそれ、本当によくできてるよね。誰かに付けられたみたい」

 

成幸「そうやって既に散々いじられたから勘弁してくれ。おまけに当の本人は部活だし……」ズーン

 

理珠「まあ、うるかさんのやることなので、事故にでも遭ったと思うしかないですね。そろそろ切り替えて勉強を始めませんか?」ガサゴソ

 

成幸「そうだな…って、何やってんだ? 緒方」

 

理珠「ええ。赤マーカーのインクが切れてしまいましたので、ここで交換をと」

 

成幸「へえ。マーカーなんてインクが切れたら使い捨てだと思ってたな。ちょっと見てみてもいいか?」ヒョイッ

 

理珠「あ、成幸さん! そこを握っては!」

 

成幸「え? うわっ」ピュッ パシャッ

 

理珠「…インクが飛び出てしまうので気をつけて下さいと」

 

成幸「すまん…一歩遅かった」ズーン…

 

文乃「シャツに掛かっちゃったね…しかもこれ…」

 

成幸「キスマークだな…どこから見ても…」

 

文乃「……」

 

成幸「……」

 

文乃「も、モテモテだね。成幸くん」アハハッ…

 

成幸「過程が全然嬉しくないんだが…」ズーン

 

理珠「とりあえず水洗いをした方が良いのでは?」

 

成幸「いや、水洗いだとかえってシミになるしな。このまま家に帰って水希に頼んでみるよ」

 

--30分後

 

カリカリカリカリ

 

カリカリカリ

 

カリカリ…カリ…

 

文乃「……はっ!?」

 

成幸「どうしたんだ? 古橋」

 

文乃「え? あ、ううん。何でもないよ」アハハ…

 

文乃(ううっ…昨日は夜遅くまで頑張ったから、数式が私を眠りにいざなってきちゃう。でもここで寝るわけにはいかない………いかな……いか…)

 

--キラキラキラキラ

 

文乃「ん? ここ…は?」

 

「ようこそいらっしゃいました。古橋文乃さん」

 

文乃「あ、あなたは!?」

 

「私は神です。主に食と乳を司っています」

 

文乃「食と…父?」ホエ?

 

「そのちちではありません。胸です胸。バスト、二つの双丘」

 

文乃「なるほど、平原は対象外と?」ピキッ

 

「いえ、神は常に平等です。平原はおろか水平線でもクレーターでも。とにかく突起さえ付いていればそれは乳なのです」

 

文乃「突起って…(///)いやそうかもしれませんけど(ていうかクレーター? 一体どんな…)」ゴクリ

 

「まあ意義について語り合うのはまた今度にいたしましょうか。さて、古橋文乃さん」

 

文乃「は、はい」

 

「あなたの飽くなき食への追求と巨乳への渇望に、私はいたく感心しました。よって、あなたの望みを叶えるべくこの地に連れてきたのです」

 

文乃「ほ、本当ですか?」

 

「ええもちろん。これまで本当によく耐えてきましたね。まな板、つるぺた、胸部装甲、大陸棚、ニューホライズン、永遠のゼロ、Dr.ストーン、地球の重力に逆らいし者。数々の蔑称はさぞやあなたの心を苦しめたことでしょう」ヨヨヨ…

 

文乃「ほとんどが今はじめて浴びせられた言葉なんですが…」

 

「それも今日で終わりを告げるのです!」バッ!

 

文乃「スルーしやがった。だよ」

 

「さあ古橋文乃さん。そこにBからJまでのアルファベットを付けたお饅頭を用意しました」

 

文乃「わ、いつの間に」

 

「想像の通り、食べたお饅頭がそのままあなたのバストサイズへと変わるのですが…果たしてどれを選びますか?」

 

文乃「じゃ、じゃあG…いえ、Jです! Jを選ばずして何を選べと!?」キリッ!

 

「流石は古橋さん。まさに渇望の女王と呼ぶに相応しい選択です。しかしよろしいのですか? 副作用として酷い肩凝りや、イミテーション(パッド)疑惑があなたを待ち受けているのですよ。ここは現実的にC~E辺りで手を打ってみては?」

 

文乃「いえ…私の周りは既にGまでが日常の一部と化しています。それでは私は戦えません。JはジャンプのJ。今の私には、大いなる飛躍が必要なんです!」キリッ!

 

「そうですか…あなたの覚悟、しかと承りました。ではこれを授けましょう。あなたに希望の未来があらんことを」

 

文乃「ありがとうございます神さま、いえ…乳神さま! このご恩は一生忘れません!」ウルウル

 

乳神「ええ……それでは」ニコッ

 

スゥーッ…

 

文乃「……行っちゃった。あとはこれを食べるだけ。長い道のりだったけど、これでようやく一緒にブラを買いに行けるよ。りっちゃん、うるかちゃん!」

文乃「いただきまーす!」パクッ!

 

--痛あっ!

 

文乃「へっ?」パチッ

 

文乃「ほ、本当にごめんね成幸くん…」ハワワワ…

 

成幸「い、いや大丈夫だよ古橋。幸い耳たぶだし、噛まれたといっても一瞬だったからさ。それにもう痛みは引いてきてるし」ハハ…

 

理珠「とはいえ歯形がしっかり残ってますね。少し血も滲んでますし、絆創膏などで隠してみては?」

 

文乃「そ、そうだね…成幸くん、動かないでね」ピトッ-

 

成幸「あ、ああ…悪いな」///

 

理珠「それにしてもいきなり成幸さんに噛みついたのでびっくりしました。一体どんな夢を見たというのですか? 文乃」

 

文乃「………」

 

成幸「古橋?」

 

文乃「……うん。とっても良い夢だったよ。だけど…その分だけ起きたときの現実は辛くなるの。だからさあ、聞かないでくれると嬉しいなあ。りっちゃん…」ウルウル

 

成幸(一体どんな夢を見たんだ…)タラーッ

 

 

--数時間後、メイドカフェ・ハイステージ

 

あすみ「悪いな後輩。急に呼び出しちまって」

 

成幸「いえ、大丈夫です。それにしても今日はかなり混雑してますね」

 

あすみ「ああ。イベント期間中なうえにウェイターが一人病気でダウンしちまったからな。マジで助かったよ。悪いが予備の服も無いんでエプロンだけ付けたら早速入ってくれ」

 

成幸「わかりました。ならもうOKです。運ぶのはこのオムライスでいいですか?」ヒョイッ

 

あすみ「ああ、15番テーブルまで運んでくれ。ケチャップはアタシが向こうでかけるから」スタスタ…

 

成幸「わかりました」スタスタ…

 

あすみ「お待たせしました~。あなたのピクシーメイドあしゅみぃがお料理をお届けにあがりました~♪」キラキラ-

 

客1「待ってました。あしゅみーちゃん!」パチパチ

 

客2「んほぉ~今日もよろしく頼むね」

 

あすみ「はい! 精一杯ご奉仕させていただきましゅみ~♪ それでご主人様。本日はオムライスにどんなメッセージをご希望されましゅみ?」

 

客1「あ、じゃあ俺は名前で」

 

客2「僕はハートマークをお願い」

 

あすみ「了解でしゅみ♪ じゃあ早速……っ!?」ピタッ

 

客1「どうしたの? あしゅみーちゃん」

 

あすみ「ご、ご主人様…そ、そのTシャツは…?」

 

客1「あ、気付いてくれた? この間こいつと例のあのランドに行ってきたんだよねー。そこで買ったTシャツなんだけどほらほら、かわいいでしょ」

 

あすみ「ひっ!?(げっ歯類!)」バッ!!!

 

成幸「え? わっ!」ドンッ!!

 

ドガシャーン!

 

客2「う、うわ? だ、大丈夫? あしゅみーちゃん」

 

あすみ「……だ、大丈夫でしゅみー。ちょっと足を滑らせちゃって。こんな粗相をしてしまった私を叱ってもらえますか? ご主人様」ウルウル

 

客1「も、もう仕方ないなー、あしゅみいは…」

 

客2「こ、今度から気をつけるんだよ」

 

あすみ「はい! ありがとうございますご主人様。次はちゃんとできるよう頑張りましゅみ~♪」ニパッ

 

客1・2「んほぉ~! あしゅみいちゃん最高ぉぉッ!!」

 

成幸「……」ホッ…

 

 

--控え室

 

あすみ「すまん後輩! 大丈夫だったか?」

 

成幸「あ、はい。何ともないです。先輩の方こそ大丈夫でしたか?」

 

あすみ「ああ、後輩が受け止めてくれたおかげだよ…っておいおい!? 袖にケチャップ付いてんじゃねーか」

 

成幸「あ、本当だ。いやでもこれくらいなら家で染み抜きすれば大丈夫ですから。気にせんで下さい。今は時間も無いですし」

 

マチコ「あしゅみー! お呼びだよー!」

 

あすみ「ちっ、アタシが洗いたかったけど、そんな暇も無さそうだな。すまん後輩、もし取れなかった時はクリーニング代払うから。またアタシに言ってくれよな」

 

成幸「わかりました。ありがとうございます」

 

あすみ「しっかしそのケチャップ跡、まるでキスマークみたいな形してんのな」

 

成幸「あ、やっぱりそう見えますよね…」ズーン

 

あすみ「まあな。よく見たら服にも手首にも付いてるじゃねーか。もしかして耳たぶの絆創膏もソレ系か? 全くモテる男は辛いな後輩」ニヤニヤ

 

成幸「う、その…言っときますけど、決して先輩が思ってるような経緯で付いたものじゃないですからね」ジロッ

 

あすみ「どうだか。お前なら全部本物って言われてもおかしくないと思うけどな」

 

成幸「何言ってるんですか。そんなことあるわけないでしょう?」

 

あすみ「なんなら一つくらい本物作ってやろうか? アタシなら一向に構わないぞ?」クイクイッ

 

成幸「あーもう! 時間ないんですよね!? 仕事に戻りますよ先輩!」///

 

あすみ「ひっひっひ。やっぱカワイーな。後輩は」ニコッ

 

 

--数時間後・帰宅途中

 

成幸「ふう…疲れた」

 

成幸(結局あれから休む暇なく動いてたなあ。制服のシャツも洗わないといけないし、今日はさっさと--)スタスタ…

 

真冬「………」チョコン

 

成幸(……うん、何となく予想はしてた。予想はしてたけど)ハア…

 

成幸(先生…またトラブルに巻き込まれて…? いや、でもたまには先生自身の力で解決してもらわないと。ここは心を鬼にして)スタスタ

 

真冬「ぁ……」

 

成幸(見ないフリ、見ないフリ、見ない……)チラッ

 

真冬「………っ」グスッ…

 

成幸「~~~っ!」

 

成幸「…で、今日は何があったんですか? またゴキブリとか」ハア…

 

真冬「き、禁句。その忌まわしい言葉を口にしないで! …でもその通りよ唯我君。あの虫と地下で遭遇してしまったの」

 

成幸「ん? 地下」

 

--説明後

 

成幸「……つまり、明日はゴミの日だから今日中に地下のゴミ置き場に捨てに行ったんですよね。だけど途中にゴ…がいたから慌ててゴミを置いて逃げ帰ってしまったと」

 

真冬「その通りよ唯我君。結構な量だったから、そのまま放置していては近所の人に迷惑がかかってしまうわ」

 

成幸「それにしたってずっとマンションの前で待ち続けているとか…今日だってたまたま俺が通りかかったから良かったですけど」ハア…

 

真冬「ほ、他に方法が思いつかなかったのよ。それに…あそこに座っていれば唯我君に会えるような気がしたから…」ボソッ…

 

成幸「え…?」ドキッ

 

真冬「っ!」ハッ!?

 

真冬「も、勿論! できれば助けてもらえたらと思っていただけよ。他意は無いわッ!」///

 

成幸「そ、そうですよねッ! 勿論心得ておりますっ!!」///

 

真冬「コホン…そういうわけで、一緒に地下へ来てほしいのだけれど…お願いできるかしら? 唯我君」

 

成幸「ええ、わかりました」

 

 

--下り階段・踊り場

 

成幸「(そういやこの時間に来るのは初めてだな…)結構暗いんですね」

 

真冬「電灯。階段を降りた先の通路に明かりのスイッチがあるわ」

 

成幸「じゃあまずはそれですね。それと先生、そんなに袖を引っ張られると歩きにくいんですが…」チラッ

 

真冬「ご、ごめんなさい。アレがどこから出て来るのかわからないから、つい…」ギュッ

 

成幸「(参ったな…)わかりました。じゃあせめて袖じゃなくて俺の手を握っててもらえますか?」

 

真冬「え?」

 

成幸「こっちの方がまだ動きやすいですから。退治するなら片手で事足りますし」ヒラヒラ

 

真冬「唯我君…」

 

成幸「そういうわけなんで。さっさと行って終わらせてしまいましょう」スッ…

 

真冬「え、ええ…」スッ…

 

ギュッ-

 

 

--地下

 

…カチッ

 

パッ、パッ、パッ-

 

真冬「完了。電気がついたわ」

 

成幸「見たところ異常は無さそうですね。先生が持ち込んだゴミはどこですか?」

 

真冬「もう少し奥の方ね。確かそこの角を曲がった辺りだったと思うけど…」

 

成幸「わかりました。じゃ行きましょうか」キュッ-

 

真冬「ええ」

 

成幸「……」スタスタ…

 

真冬「……」スタスタ…

 

真冬(…………唯我君の手、大きくて暖かい。普段はあんな様子でも、やっぱり男の子なのね…)

 

真冬(……不思議。さっきはあれだけ震えていたのに、今は心が落ち着いている。そういえば…以前銭湯に行った時も--)

 

--何かしら…この包まれるようなほっとする感覚…心地いい……

 

真冬「……」トクン…

 

成幸-「…先生?」

 

真冬「ひゃっ!? な、何かしら? 唯我君」ビクッ!

 

成幸「着きましたよ。このゴミ袋の束ですよね?」

 

真冬「え、ええ。間違いないわ…」ドキドキ…

 

成幸「結構ゴミ置き場に近かったんですね。これなら早く終わりそ--」ヒョイッ

 

ゴキブリ「……」コンニチハー

 

成幸「あ」

 

真冬「~~~~っ!?」ギュウウッ!!!

 

成幸「いだだだ先生強い強い! 背骨! 背骨折れちゃうって、あっ!?」グラッ

 

真冬「きゃっ!」

 

ドガシャーン!! --CHUッ

 

成幸「!?(いま首の裏に柔らかい感触が!?)」

 

真冬「ご、ごめんなさい…怪我はない? 唯我君っ」ムクッ

 

成幸「え? は、はいっ…! そ、それよりゴキブリは?」キョロキョロ

 

ゴキブリ「……」ココダヨー

 

真冬「ひっ!」ゾワワッ!!

 

成幸「(まずいっ! 雑誌を手放したうえに下敷きになったこの体勢じゃ!)手! 手を離して逃げて下さい! 先生!」

 

真冬「手…?」ハッ!?

 

ゴキブリ「--♪」カサカサカサー

 

真冬「…っ!」ギュッ…

 

真冬「拒否…そのまま握っていて。唯我君っ」ヒョイッ

 

成幸「(それ、俺の持ってた雑誌!?)先生ッ!?」

 

真冬「え、えいっ!!!」ブンッ!

 

ゴキブリ「グフゥッ!!」キュウ…

 

シーン……

 

成幸「……あ」

 

真冬「……や」

 

ギュッ!

 

真冬「や、やったわ唯我君! 初めてあの虫を退治できたわ!」パアアア

 

成幸「す、すごいです! やりましたね、先生!」パアアア

 

成幸・真冬「…っ!?」ハッ!?

 

真冬「ま、まあ…あまり浮かれるようなことでも無いのだけれど…」パッ!

 

成幸「(お、思わず両手で握り合ってしまってた)そ、そうですね!」パッ!

 

真冬「………」ドキドキ… ///

 

成幸「………」ドキドキ… ///

 

真冬「……か、解決。元凶も退治したことだし、そろそろ作業を再開しましょう」プイッ

 

成幸「は、はい…」

 

ゴソゴソ…

 

成幸「よいしょっと……ゴミ袋集め終わりましたよ、先生」

 

真冬「ええ、いまゴミ置き場の扉を開くわ。……あとその、唯我君」

 

成幸「はい」

 

真冬「謝辞。こんなこと頼めるの君しかいなかったから、その…いつもありがとう」///

 

成幸「いえ、いつも先生にはお世話になってますから」ニッ

 

真冬「ええ。それじゃ開けるわね」ガチャ

 

ゴキブリ「……」カサカサカサカサ

 

成幸「………」タラーッ

 

真冬「………っ」グラッ

 

バターン!

 

成幸「し、失神!? しっかりして下さい先生! 桐須先生ーーー!!!」ガビーン!!

 

--数十分後・唯我家

 

成幸「ただいまー」ガラガラー ピシャッ

 

葉月「あ、兄ちゃん帰ってきた」

 

和樹「兄ちゃんおかえりー」

 

成幸「おー、ただいま」

 

水希「お帰りなさいお兄ちゃん♪ 今日は学校どうだった?」ニコニコ

 

成幸「ああ、まあいつも通りだったかな。とはいえ今日はやけにトラブル続きだったけど」ハア…

 

水希「そっかあ。大変だったねお兄ちゃん(よし!)」キュピーン

 

成幸「ああ…で、そのことで水希に頼みがあるんだが」

 

水希「何なに? 何でも言ってお兄ちゃん! そ、その…お、お兄ちゃんが望むのだったら私の方はいつでも--」

 

成幸「サンキュー。いや実はさっき言ったトラブルで制服のシャツがあちこち汚れちゃってな。悪いけど染み抜きしてほしいんだ」

 

水希「(なーんだ…)うんわかった。早速洗ってくるから、まずはブレザーを脱がないと」

 

成幸「お、おい…自分でやるって」

 

水希「いーのいーの。お兄ちゃん疲れてるんだから私に任せ……て…?」

 

成幸「……水希?」

 

水希「おおおおお兄ちゃん……そ、そのシャツに付いてるのって……もしかしてキ、キキキキスマーク?」

 

成幸「へ…? あ! いやこれは違うぞ! 近くでよく見てみろって」グイッ

 

水希「て、手首にまで!? そ、それに…その耳たぶに張られた絆創膏も…もしや…?」

 

成幸「あ、いやこれはその…」

 

水希「(ま、まさか消えてたの? 私の付けたマークが!)お、お兄ちゃん、ちょっとだけ後ろ向いてみて!」

 

成幸「ん? あ、ああ…」クルッ

 

水希「ブッフォ!!!」バターン

 

葉月・和樹「うわああっ? 水希姉ちゃんが倒れたー!?」

 

成幸「ど、どうしたんだ水希!? しっかりしろー!!!」

 

水希(ふ、ふふ…。私の付けたキスマークを消すどころか上書きするなんて…やるわね。緒方さん、古橋さん、そして…まだ見ぬ嫁候補たち。だけど、次こそ…は……)ガクッ

 

成幸「み、水希ーー!!!」ガーン!

 

 

幕間

 

--水希が倒れた同時刻・真冬の部屋

 

真冬「ふう…久々に部屋がすっきりしたわね。けど…」

 

真冬(疑惑。あの虫に驚いていたからよく覚えていないけど…唯我君の上に倒れこんだ時に、唇に触れたのって…)スッ…

 

真冬「………」トクン…

 

真冬「……っ!」ブンブンッ

 

真冬「さ、些事! こんなこと気にしていてもしょうが無いわね」///

 

 

幕間2

 

--深夜

 

--キラキラキラ

 

乳神「またお会いしましたね。古橋さん」ニコッ

 

文乃「おととい来やがれ! だよ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

元スレ

http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1544096645/

真涼「ま、まさか、私の唇だけじゃ足りないというの!?早くやりましょう鋭太!」【俺修羅ss/アニメss】

 

真涼「勝負!今日は徹底的に勝負よ!鋭太!」

 

鋭太「いいぜ!かかってきな!」

 

真涼「鋭太…あなたは原作最新刊で私の『強敵』になったわ」 

 

鋭太「ああ、そうだ」 

 

真涼「そう!私たちはライバル!強敵同士!戦わないといけないわ!」 

 

鋭太「ああ、いいぜ。俺は負けねーからな」 

 

真涼「今日は徹底的に勝負よ!」 

 

鋭太「ああ、いいぜ!かかってきな!真涼!」 

 

 

真涼「まずは『ポッキーゲーム』で勝負よ!鋭太!」 

 

鋭太「ああ、いいぜ!望むとこ………って、なんでだよ!?」

 

 

■昨日 3月31日 

 

真涼『前々回のエイプリルフールでは、鋭太に敗北…』 

 

真涼『前回のエイプリルフールは…幸せなひと時…いえ、鋭太の策略でエイプリルフールが無茶苦茶に』 

 

真涼『今年こそは覚悟しなさい!季堂鋭太!!』 

 

 

真涼「というわけで覚悟しなさい!鋭太!」 

 

鋭太「いきなり現実に戻るな!」 

 

真涼「では、ポッキーゲームを…」 

 

鋭太「いや、どういう勝負だよ…それ」 

 

真涼「鋭太がポッキーの先にある私の唇を奪えば、鋭太の勝ちになるゲームです」 

 

鋭太「あ?」 

 

真涼「ばか丸出しの顔…ハッ!ま、まさか、私の唇だけじゃ足りないというの!?早くやりましょう鋭太!」 

 

鋭太「そんな勝負ねーよって顔だよ!ばか丸出しってなんだよ!」 

 

真涼「あっ…ポッキーを買い忘れてました…」 

 

鋭太「言い出しっぺのくせに、ぐだぐだだな…」 

 

真涼「…」 

 

鋭太「…」 

 

真涼「な、なんで、私を見つめているのかしら//」 

 

鋭太「次の勝負を待ってるんですよ!真涼さん!!」 

 

真涼「え?次の勝負なんてないわよ?」 

 

鋭太「おい!『今日は徹底的に勝負よ!』って言ってたじゃねーか!」 

 

真涼「ふふっ。それこそが嘘!ついに騙されたわね!鋭太!」 

 

鋭太「てめーはそれで満足なのかよ!?」 

 

真涼「そもそも私に勝つなんて無理よ。鋭太」 

 

鋭太「え?」 

 

真涼「あなたの波紋では、この女の子にさえ勝てやしないわ」 

 

鋭太「へへっ。だったらてめーは、このハトにさえ勝てやしねえぜ!」 

 

真涼「…」 

 

鋭太「…」 

 

鋭太「なんで目を閉じてるんですか?真涼さん」 

 

真涼「え?ここはジョジョ第二部シーザーが女性にキスをするシーンでしょ?」 

 

鋭太「ん?」 

 

真涼「だから、キスを待っていたというのに…それぐらいもわからないなんて」 

 

鋭太「いやいやいや、今『シーザー』を演じてたのは『真涼』じゃねーか!テメーがキスしろよ!」 

 

真涼「し、仕方ないわね。鋭太がそこまで言うなら、き、き、キスしてあげるわ」 

 

鋭太(顔真っ赤にして何言ってるんだ?こいつは…) 

 

……… 

 

真涼「鋭太がキスをしてくれなかったわ」 

 

真涼「何かがおかしいわね…」 

 

真涼「…」 

 

真涼「いえ、おかしいのは私ね」 

 

真涼「キスしてくれたら幸せ。鋭太と話せてすごくうれしいとか」 

 

真涼「まるで私が鋭太のことが好きみたいじゃない」 

 

真涼「はぁ…好きではないわ。だってさっきまでの私は嘘」 

 

真涼「そう、エイプリルフールはもう終わりですから」 

 

真涼「…明日からの私が本来の私。そうこれからが、私の生きる道!」 

 

真涼「覚悟してね。『強敵』」 

 

 

■次の日 4月2日 

 

鋭太「あれ?」 

 

カオル「どうかしたの?鋭太?」 

 

鋭太「いや、俺のハンカチが新品に…いや、気のせいか?」 

 

カオル「へぇ~」 

 

真涼「…」 

 

真涼(ま、まぁ、もう一日くらい、エイプリルフールが続いてもいいわよね) 

 

真涼「それにしても…。ふふっふふふふふ」 

 

真涼(鋭太のハンカチ。使いたてのはんかちゅゅゅゅゅゅゅゅー♪) 

 

 

真涼(もにょぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉん♪) 

 

 

 

 

 

 

 

 

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http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1427898756/

雪乃「あなたたち部室でナニしてるの!?馬鹿なの?死ぬの?」いろは「なにってフェ八幡「言わせねえよ!?」

 

ある火曜日

 

八幡「うぃーす」ガラララ

 

いろは「こんにちは!」ガラララ ドン

 

雪乃「こ、こんにちは(めちゃくちゃ自然に比企ヶ谷君が開けたドアを一色さんが閉めたわね・・・)」

 

八幡「雪ノ下、昨日休んでたみたいだけど大丈夫か?」

 

雪乃「ええ、もう大丈夫よ。それと由比ヶ浜さんは少し遅れるみたい」

 

八幡「そうか」

 

雪乃「それと一色さん?依頼かしら?」

 

いろは「いえいえ。生徒会が暇だったので遊びに来ちゃいました!」キャピ

 

八幡「いやサッカー部いけよ」

 

いろは「先輩が・・・」

 

八幡「わかってんだよ」

 

いろは「むぅ・・・」

 

八幡「やだよ面倒臭い」

 

いろは「もう!」

 

八幡「だぁー!わかってるよ・・・」

 

いろは「なんですか!」

 

八幡「そうゆうことだろ?」

 

いろは「・・・意地悪」ウルウル

 

八幡「あざといなおい!あいよ・・・」

 

いろは「・・・」フフフ

 

八幡「・・・」プッ

 

八幡「ばっか笑かすなよ」ヒヒ

 

いろは「先輩・・・」ジト

 

八幡「うるせえ」

 

いろは「あっ・・・」つ箱

 

八幡「さんきゅ。あと・・・」

 

いろは「むっ、先輩!」

 

八幡「・・・戸部のやつ」

 

いろは「・・・」フフッ

 

八幡「・・・」ヒヒ

 

雪乃「・・・」

 

 

雪乃「なんなのかしらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

八幡・いろは「!?」ビクッ

 

雪乃「なぜお互いに主語を挟まず会話が成立しているの??なんなの?どこぞの熟年夫婦なの!?土日を挟んだ3日間に一体何があったと言うのぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」ハァハァハァハァ

 

八幡「だ、大丈夫か?雪ノ下」オソルオソル

 

いろは「ゆ、雪ノ下先輩?」オロオロ

 

いろは「ちょっと・・・」ヒソヒソ

 

八幡「さぁ・・・」ヒソヒソ

 

いろは「でも・・・」ヒソヒソ

 

八幡「って言われても・・・」ヒソヒソ

 

雪乃「そこぉ!!!!」ビシ!

 

八幡・いろは「!?」ビクゥ!

 

結衣「やっはろー」ガラララ バァァァン!!!

 

雪乃・八幡・いろは「!?」ビックゥ!!!

 

雪乃「ゆ、由比ヶ浜さん?」

 

結衣「あははは。ゆきのんやっはろー。ヒッキーにいろはちゃんもやっはろー。今日も仲良いねー」ゴゴゴゴ

 

八幡「お、おう」ビクビク

 

いろは「べ、別に仲良くなんて・・・」

 

雪乃「(今日も?つまり私の休んでいた昨日の時点で既に熟年夫婦の域に達していた、と。つまり、犯行時刻は土日のどちらか、と言うことね)」キリッ

 

八幡「な、なぁ。お前らどうしたんだ?ちょっとおかしいぞ?」

 

いろは「そ、そうですよ!ちょっと怖いですぅ」

 

雪乃「比企ヶ谷君と一色さん、座ったら?」

 

八幡「あ、ああ」ガララ

 

いろは「はい・・・」ガララ ガララ ストッ

 

雪乃「・・・あなた達、先週の土日で随分と距離が縮まったそうね?」

 

八幡・いろは「!」ビクッ

 

結衣「・・・ヒッキーといろはちゃん昨日もベタベタ引っ付いてたよね!」ゴゴゴゴ

 

結衣「回想どうぞ!」

 

雪乃「(展開がいきなりな事については触れないわよ・・・)」

 

モワワワワ-ン

 

結衣「やっはろー!」ガラララ バン

 

八幡・いろは「!?」ビックゥゥゥゥ!!!

 

結衣「・・・?なにしてたの?」

 

八幡「は、はぁ!?な、ナニだって!?これだからビッチは!」ベルトシメル

 

結衣「ビッチ言うなし!てか今関係ないよね!」

 

いろは「ちょっとうるさいですよ結衣先輩」クチモトフキフキ

 

結衣「理不尽だ?!」

 

雪乃「アウトォォォォォォォォォォ!!」つレッドカード

 

結衣「ゆ、ゆきのん!まだ話はこれから・・・

 

雪乃「あなたたち部室でナニしてるの!?馬鹿なの?死ぬの?」

 

いろは「なにってフェ

八幡「言わせねえよ!?」

 

結衣「・・・?」

 

八幡「あと雪ノ下、女の子がナニとか言うんじゃありません」

 

雪乃「話をそらさないでちょうだい」

 

八幡「・・・」ッチ

 

雪乃「何舌打ちしとんねんワレコラ」

 

結衣「ゆきのんキャラ変わってるよ!?」

 

雪乃「・・・おうちかえりゅ」

 

八幡「は?」

 

雪乃「・・・おうちかえりゅ」ガラララ バン

 

こうして、雪ノ下は奉仕部を辞めた。その後、由比ヶ浜は体育館のシンナーの匂いにハマり、その後シンナーの使用及び薬物乱用の容疑で検挙された。こうして奉仕部の部長となった俺はと言うと・・・

 

雪乃「さすがに何も話を聞かずに出て行っちゃったのはまずかったわね。比企ヶ谷にちゃんと理由を聞いてから・・・」ガララ

 

八幡 on the いろは「」

 

雪乃「・・・」バァァァンン!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

元スレ

http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1522144451/

真涼「ねえ?久々のキスだったけど…どうだった?」【俺修羅ss/アニメss】

 

真涼「最近の鋭太は色々とおかしいわ」 

 

鋭太「そうか?」 

 

真涼「手を繋いでくれないし、抱きしめようとすると避けるし、キスをしようと目を閉じると逃げるわよね?」 

 

真涼「私はあなたの偽彼女(フェイク)なのよ!彼女の演技が必要なのよ!?」 

 

鋭太「いや、過剰な演技だろう」 

 

真涼「これではとても本物に見えないわ!」 

 

鋭太「わかったよ。『抱きつく』と『キス』は置いておいて、手ぐらい握ってやるよ」 

 

真涼「…本当に?」 

 

鋭太「ああ。最近付き合いが悪かったし、そのくらいは…」 

 

真涼「も、もう!こんな人が多い所で『手を繋ごう』だなんて…キャッ♪鋭太ったら大胆なのね」 

 

鋭太「おい!!!」 

 

真涼「で、でも、鋭太がそこまで言うなら…」 

 

鋭太「やっぱりいいよ。お前がそこまで言うなら繋がない」 

 

真涼「………………………………………………………え?」 

 

鋭太「だって、人が多い所は嫌なんだろう?」 

 

真涼「いえ、そういうわけじゃ。それに人前で繋いだ方が盛り上がって…」 

 

ギュウ 

 

真涼「え?」 

 

鋭太「繋いで欲しいなら繋げって、はっきり言わないとわからないんだよ」 

 

鋭太「何せお前が初めての彼女だからな」 

 

真涼「…」 

 

鋭太「真涼?」 

 

真涼「ふふっ。そうよね。私って鋭太の初めてだものね」 

 

真涼「あの子より出会ったのは遅くても私が初めてなのよね」 

 

鋭太「…ん?」 

 

真涼「まったく鋭太ったら偽彼氏(フェイク)のくせに、本物以上に手がかかるのね?」 

 

鋭太「何言ってんだか。本物の彼氏を知らない癖に」 

 

真涼「ええそうよ。だって私にとってもあなたが初めてなんだもの」 

 

鋭太「そうかよ」 

 

真涼「…嬉しい?」 

 

鋭太「べ、べっつにー」 

 

真涼「ふふふふ」 

 

鋭太「なんだよ」 

 

真涼「ねえ、鋭太?」 

 

鋭太「ん?」 

 

真涼「私はもっともっと本物より本物らしくなるように頑張るわ。だから鋭太も頑張りなさいよ?」 

 

鋭太「ああ。俺も今の関係を壊したくないからな…頑張るよ」 

 

真涼「ええ。ずっと一緒に頑張るのよ?」 

 

鋭太「ずっとじゃなくて、三年間な」 

 

真涼「約束よ?」 

 

鋭太「ああ。絶対な約束だ」 

 

真涼「うふふふ♪鋭太と約束しちゃったわ」スリスリ 

 

鋭太(最近のこいつはおかしいが…) 

 

鋭太(悪い気分じゃないし、三年間は一緒にいてやるよ) 

 

真涼「えーいたっ♪えーいたっ♪」スリスリ 

 

鋭太「ぐぅっ」 

 

真涼「あら?顔真っ赤になったわよ?…ははん。いやらしい、妊娠させるつもりね?」 

 

鋭太「ちげーよ!」 

 

鋭太(まったく、可愛い彼女を持つと大変だぜ!) 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

真涼「問題です」鋭太「おう」 

 

真涼「さあ。今から部活を開始します!」 

 

 

真涼「…って、あら?今日は鋭太一人?」 

 

鋭太「ああ。みんな用事だとよ。俺はここで勉強をしていたんだ」 

 

真涼「どう?テスト勉強は進んでいるのかしら?」 

 

鋭太「ああ。お陰さまでな」 

 

真涼「では、親切な彼女が問題を出してあげます」 

 

鋭太「おう。何でもいいぜ!」 

 

………………………………………………… 

 

真涼「これで10問目が終了ね。どう勉強になってるかしら?」 

 

鋭太「ああ。お前、ひっかけ問題を出すのが上手いよな。すっごく勉強になるよ」 

 

真涼「ええ。私、性格がひねくれてるので」 

 

鋭太「おい!俺はそこまで言ってないよな!?」 

 

真涼「では、最後の問題行きます」 

 

鋭太「…おう」 

 

真涼「季堂鋭太くんがキスをしたそうに、夏川真涼さんをジッと見ていました」 

 

鋭太「おい」 

 

真涼「さて問題です。キスを反対から読むと?」 

 

鋭太「…………………………………………………………………………はぁ?」 

 

真涼「き、『きす』って単語を反対から言って」 

 

鋭太「リピートすんな!ちゃんと聞こえているから!」 

 

真涼「ほら早く答えなさいよ。最後の問題くらいバーンと答えなさい」 

 

鋭太「頬を真っ赤っかにして、何を言ってるんだか」 

 

真涼「は、はあ?なんで私が『キスの反対』ごときに…あんなのただの言葉じゃない」 

 

鋭太「じゃあ、別に言わなくてもいいな」 

 

真涼「な、なんでそうなるのかしら?意味がわからないわ」 

 

鋭太「やだ。帰る。じゃあな」 

 

ギュウウウ 

 

真涼「ほ、ほら、早く言わないと後悔することになるわよ!」 

 

鋭太「って、腕にしがみつくな!」 

 

真涼「何を言ってるの?帰るんでしょ?私も帰るわ」 

 

鋭太「そうかよ…」 

 

真涼「ええそうよ」 

 

鋭太「…」 

 

真涼「…」 

 

スタスタ 

 

鋭太「…不機嫌だな?」 

 

真涼「ええ。鋭太がヘタレだったと再認識させられたせいで」 

 

鋭太「はぁ~」 

 

真涼「あら?文句でもあるのかしら?ヘタレ太くん?」 

 

鋭太「それは無理矢理すぎるぞ!」 

 

真涼「ああそれとも鈍太くんの方がよかったかしら?」 

 

鋭太「良いわけないだろ!バーカバーカ!」 

 

真涼「じゃあ、C太くんで。あら?ラピュタに登場しそうね」 

 

鋭太「そんな訳のわからない所もひっくるめて、全部が好きだよバーカバーカ!」 

 

真涼「っ//」 

 

ガクッ 

 

鋭太「真涼!?」 

 

真涼「あっ…その…腰が抜けちゃって…」 

 

鋭太「大丈夫か!?」 

 

真涼「その…あの…もう一回言って?」 

 

鋭太「へ?」 

 

真涼「だから、その…『キス』の反対を」 

 

鋭太「……2回は言わん」 

 

真涼「言わないと動けません」 

 

鋭太「いや…動けるだろう」 

 

真涼「言わないと動きません」 

 

鋭太「はいはい。好きですよ。真涼さんのフェイクじゃなくて本物の笑顔とかさ」 

 

カチッ 

 

鋭太「…ん?」 

 

真涼「ふふふ。携帯って便利ね…録音できるんだから」 

 

鋭太「なっ!?」 

 

真涼「さあ。帰りましょう。恋人らしく手を繋いでね」 

 

鋭太「おい!何に使うつもりだよ!?」 

 

真涼「いえ、憎っくき幼なじみさんや恋愛脳さんにちょっと…」 

 

鋭太「なに!?」 

 

真涼「冗談よ。本当は寂しい時にこれを聞こうと思って」 

 

鋭太「な、なんだと!?」 

 

真涼「あら?顔真っ赤っかよ?いやらしい事を考えたわね?思わず妊娠しそうになったわ」 

 

鋭太「するわけねーだろバーカバーカ!」 

 

鋭太(その日の夜、真涼から『好きよ鋭太』って、一言だけの音声が写メに添付されて送られてきた) 

 

鋭太(大切に保存なんかしてないぞ!本当なんだからなっ!) 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

姫香「エイタ相談がある」 

 

鋭太「ん?何かあったのか?」 

 

姫香「うん。実は昨日、マナに告白された」 

 

鋭太「なんだと!?」 

 

鋭太「あいつ、いつも男に囲まれてるくせに彼氏いないし」 

 

鋭太「しかも、地味にお姉ちゃん大好きだし、ヒメといると本当に楽しそうだし」 

 

鋭太「色々とおかしいと思っていたら、やっぱりそっちの気があったのか!」 

 

姫香「エ、エイタ?」 

 

鋭太「いや、待てよ…でも、夏休みの時にBL本を顔真っ赤にして読んでたよな…」 

 

鋭太「あれはどういう事なんだろう…?」 

 

鋭太「そうか!あれを女同士に置き換えて妄想していたのか!やるなあいつ!」 

 

バシッ 

 

鋭太「痛ってな!誰だコラァ!」 

 

真涼「まったく、人の妹で何を考えてるんだか」 

 

鋭太「真涼!?」 

 

姫香「さすが会長。エイタの暴走を止められるのは、悔しいけど現世の恋人だけ」 

 

真涼「それで、どうかしたんですか?」 

 

姫香「マナに『自転車に乗れない』と告白された」 

 

鋭太「…へ?」 

 

真涼「なるほど」 

 

鋭太「ああ、はい…」 

 

姫香「それで練習に付き合って欲しいと頼まれ…」 

 

姫香「しまった。これは誰にも話してはいけないとマナに頼まれたんだった」 

 

真涼「真那は無駄にプライドが高いですからね。無駄に」 

 

鋭太(いや、お前も高いよな。無駄に) 

 

真涼「鋭太くん?後で体育館の裏で少しお話がありますので」 

 

鋭太「お願いだから、心を読まないでよ!真涼さん!」 

 

真涼「鋭太くんの事は置いておいて。秋篠さん大丈夫よ。私と鋭太くんは口が堅いですから」 

 

姫香「ありがとう。わたしのミスで二人に迷惑をかけてしまって」 

 

鋭太「このくらい迷惑でも何でもないぞ」 

 

真涼「せっかくですので、練習方法を秋篠さんに伝授しましょう。鋭太くんが」 

 

姫香「エイタが?嬉しい。どうやったらのれるようになる?」 

 

鋭太「え?俺が?というか、お前たちが乗る練習をやった時の話をすればいいんじゃないか?」 

 

真涼「何を言ってるのかしら?」 

 

鋭太「ん?」 

 

真涼「私にはタクシーという文明の機器がありますので、自転車は必要ありません」 

 

姫香「わたしはBUSがあるから自転車はいらない」 

 

鋭太「おい!お前ら乗れないのか!?」 

 

真涼「違います。乗れないんじゃなくて、乗る必要がないんです」 

 

姫香「同意」 

 

鋭太「…はぁ…」 

 

………………………………………… 

 

鋭太「うちの自転車を持ってきたぞ」 

 

姫香「エイタ。さっそく運転席にのって?」 

 

鋭太「ん?…ああ。手本を見せてやるよ」 

 

鋭太「って、何でヒメが後ろに乗ってるんだ!?」 

 

姫香「行こう鋭太。早く風を感じたい」 

 

鋭太(そうか、乗ったことがないから…まぁ、いいか) 

 

チャリンチャリン 

 

姫香「気持ちいい」 

 

鋭太「しっかり捕まってろよ!スピード出すからな!」 

 

姫香「っ」 

 

ギュウウウウウ 

 

鋭太「ひ、ヒメ!?」 

 

姫香「お、落ちそう。怖い」 

 

キキッー 

 

鋭太「だ、大丈夫か?」 

 

姫香「もっと走って…もっとエイタをギュっとしたい」 

 

鋭太「おい、離せ!」 

 

真涼「うふふふふふふ。二人で何を楽しんでいるのかしらね?しかも彼女の目の前で?」 

 

鋭太「いや違う!これはヒメが勝手に!」 

 

真涼「でも、顔はちょっぴり嬉しそうよ?」 

 

鋭太「そりゃそうだろ!とても柔らかいものが背中に…って、何を言ってるんだ俺は!?」 

 

真涼「うふふふふふふふふふふふふ」 

 

鋭太「す、すいません!!!」 

 

真涼「鋭太くんはあとでお仕置きするとして…」 

 

真涼「秋篠さん?いつまで捕まってるんですか?」ゴゴゴゴゴゴゴ 

 

姫香「たくさんギュっとできた…気持いい…もっとしていい?」 

 

真涼「いいわけないでしょう!?ほら早く離れなさい!」 

 

姫香「…残念」 

 

真涼「それで、自転車に乗れた感想はどうでした?」 

 

姫香「怖かったけど、気持ちよかった」 

 

真涼「では、それを真那に伝えてみてください」 

 

姫香「え?気持ちよかったを?」 

 

真涼「ええ。特に『二人で乗る』のは気持ち良かったを」 

 

姫香「わかった」 

 

真涼「善は急げと言いますし。今からメールしてみては?」 

 

姫香「ううん。今からマナとアルドラを一緒に読む予定だから」 

 

真涼「では、その時に二人で乗る自転車は楽しいを伝えてください」 

 

姫香「肯定」 

 

鋭太「…」 

 

姫香「マナとの約束の時が近い…エイタ、会長。今日はありがとう」 

 

真涼「ええ。また学校で」 

 

鋭太「おう。自転車頑張れよ」 

 

真涼「行ったわね…」 

 

鋭太「ところでさ」 

 

真涼「どうしたのかしら?」 

 

鋭太「あいつって自転車に乗るために、かなり努力してたぞ?それで乗れないなら中々難しいんじゃないか?」 

 

真涼「あら?『あいつ』って真那の事かしら?いつの間にそんな仲良しになったのかしら?」 

 

鋭太「うっせえ」 

 

真涼「もともと真那は努力型よ。天才じゃないわ」 

 

鋭太「へぇ~」 

 

真涼「でも、まだまだ努力が足りないんでしょうね」 

 

真涼「だから、初めての一番の親友の秋篠さんと、一緒に乗るって目標ができれば…」 

 

真涼「きっと…」 

 

鋭太「ふーん。お前、真那と仲悪そうだけど、なんだかんだ言ってお姉ちゃんなんだな」 

 

真涼「うるさいわよ。ほらもう帰るわよ」 

 

鋭太「はいはい」 

 

真涼「何をしてるの?」 

 

鋭太「え?自転車を押して帰ろうとしてるんだけど?」 

 

真涼「自転車は乗って帰るもんでしょう?」 

 

鋭太「でも、一つしかないし。お前を一人で帰すのもな」 

 

真涼「そういう事を言ってるんじゃないわよ」 

 

鋭太「ん?じゃあ何だ?」 

 

真涼「ほ、ほら…あれよ…あれ…あなたと秋篠さんがやった」 

 

鋭太「ん?」 

 

ボスッ 

 

鋭太「え?なんで後ろに乗ってんの? 

 

真涼「もうっ鈍感ね!ほら前に乗って運転しなさい」 

 

鋭太「あ、ああ」 

 

チャリンチャリン 

 

ギュウウ 

 

真涼「うふふふ♪」 

 

鋭太「おい!あまり抱きつくなよ!運転しにくいだろ!」 

 

真涼「ふふふふふ♪」スリスリ 

 

鋭太(気持ちいいな…って、違う!気持ちいいけど!) 

 

鋭太(そうだ!俺はなんでこんな恋愛脳みたいな事を!) 

 

真涼「鋭太?」 

 

鋭太「なんだよ?」 

 

真涼「さあ、このまま遠くまで行くわよ!」 

 

鋭太「はあ?いやに決まってるだろ」 

 

真涼「たまには遠くの公園に行って、恋愛脳狩りをするわよ!」 

 

鋭太「はぁ~…わかったよ。行けばいいんだろう。行けば」 

 

真涼「もにょもにょ~♪」スリスリ 

 

鋭太「っ!?」 

 

鋭太(この後、公園に行ったら子供しかいなくて、子供たちにバカップル扱いされて) 

 

鋭太(真涼が怒りのあまり顔を真っ赤にして、二人で帰ったのは別の話だ) 

 

鋭太(ところで真那は、すぐに自転車に乗れるようになって) 

 

鋭太(毎週末は姫香と自転車に二人乗りで、買い物に行くようになったらしい) 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

愛衣「いい作戦を思いついたわ!」

 

鋭太「そうか」 

 

愛衣「みんなに嫌われちゃえばいいのよ!」 

 

鋭太「え?なんで?」 

 

愛衣「卒業式の時に、みんなに結婚したのを発表するでしょう?」 

 

鋭太「しねーけどな」 

 

愛衣「でも、いきなりだと、千和やヒメちゃんを傷つけることになると思うの」 

 

鋭太「ああ。でも失敗してるんだよな。嫌われる作戦は」 

 

愛衣「タッくんは甘いのよ!愛衣ちゃんがとっておきの技を伝授してあげる!将来のお嫁さんの私が!」 

 

鋭太「おい!最後に何を付け加えてるんだよ!」 

 

愛衣「それでね」 

 

愛衣「雑誌やネットでどんな男がモテルか調べたの」 

 

鋭太「へぇ~」 

 

愛衣「それで、モテル男の共通点として!『好きな女性』にだけ優しくする!」 

 

鋭太「ん?」 

 

愛衣「みんなに優しい男はモテにくいんだって」 

 

鋭太「なんで?優しい方がいいじゃん」 

 

愛衣「まったくタッくんは女がわかってないわね」 

 

愛衣「女は独占欲が高いのよ!私にだけ優しくしてほしいの!『私だけ特別』にして欲しいの!」 

 

鋭太「そ、そうなの?」 

 

愛衣「うん。みんなに優しい男は『あの人は私には興味ないんだ』って、評価が落ちやすいのよ」 

 

鋭太「へぇ~…ん?で、俺は何をするんだ?」 

 

愛衣「千和やヒメちゃんに優しくするのよ!」 

 

鋭太「なるほど、それで『私は特別じゃないんだ』を演出するわけか!」 

 

愛衣「さすがタッくん!のみ込みが早いわね!」 

 

鋭太「あれ?真涼は?」 

 

愛衣「ああ。夏川さんはどうせ高校三年間の彼女でしょ?別にどうでもいいわ」 

 

鋭太「…え?」 

 

愛衣「さあ、まずは千和の所に行くわよ!」 

 

鋭太「あ、ああ」 

 

千和「う~ん…最近慣れない事してて肩が…」 

 

鋭太「揉んでやろうか?」 

 

千和「えーくん!?」 

 

鋭太「最近、勉強に、中学の剣道部の面倒を見てて。後、料理を頑張ってるんだろう?」 

 

千和「え?え?何で知ってるの?」 

 

鋭太「これでも付き合いが一番長いしな」 

 

千和「え、えへへ。そっかー。えーくん、あたしの事ちゃんと見ててくれてるんだ…」 

 

鋭太「当たり前さ。ほら肩こってるんだろ?揉んでやるよ」 

 

千和「べ、別にいいよ」 

 

鋭太「大丈夫。最近、肩の揉み方の勉強もしててさ…本当は腰を揉んでやりたいけど。それはもっと勉強してからな」 

 

千和「う、うん。そういうのは大人になってからがいいよね!」 

 

鋭太「え?ん?…何か別の事を考えてないか?」 

 

千和「いいから!ほら、揉んでくれるんでしょっ!?早く早くぅ!」 

 

鋭太「おう!」 

 

 

 

鋭太「よし!終わりだ!」 

 

千和「軽くなった気がするっ♪ありがと。えーくん」 

 

鋭太(よし!いい雰囲気だ。ここで冬海に伝授されたあの言葉を!) 

 

鋭太「ああ。俺は誰にでも優しいからな」 

 

千和「うん。知ってるよ。でもえーくんが肩を揉んだのは、あたしが最初だよね?」 

 

鋭太「ああ。あたりまえだ」 

 

ダキッ 

 

千和「ありがと!えーくん、愛してる愛してるっ!」 

 

鋭太「お、おい」 

 

愛衣(ぐぬぬぬぬぬぬ) 

 

 

 

姫香「エイタ、ギュッとして」 

 

鋭太「ああ。どれだけでもギュッとしてやるよ」 

 

 

ギュウウウウウウウウウウウウ 

 

姫香「エイタ…今日は激しい//」 

 

鋭太(よし!いい雰囲気だ。ここで冬海に伝授されたあの言葉を!) 

 

鋭太「ああ。俺は誰にでも優しいからな」 

 

姫香「嬉しい。みんなに優しくて、みんなのヒーローのエイタ大好き」 

 

ギュウウウウウウウウウウウウ 

 

鋭太「え?あれ?」 

 

姫香「エイタ♪エイタ♪」くんかくんか 

 

愛衣(あああああああああ!?) 

 

愛衣(愛衣ちゃんミステイク?ミステイク!?) 

 

 

 

愛衣「…」ブスー 

 

鋭太「え、えーと…大失敗だな」 

 

愛衣「…やさしくして」 

 

鋭太「え?」 

 

愛衣「愛衣ちゃんにもやさしくして!」 

 

鋭太「別にあーちゃんには優しくする必要ないだろ?」 

 

愛衣「え?」 

 

鋭太「別に嫌われる必要ないしさ」 

 

愛衣「え?え?え!?」 

 

鋭太「あーちゃんとは一緒に勉強したりしたいしさ。苦手な科目とか教えて…」 

 

愛衣「私は特別って事!?みんなには優しくて『私だけ』は優しくしないって事!?」 

 

鋭太「え?違う!違うぞ!あーちゃん!」 

 

愛衣「あああん♪もうっ!愛衣ちゃん大勝利ぃぃぃぃっ♪」 

 

鋭太「おい!!」 

 

愛衣「そうよね!私は特別だもんね!優しくしてくれなくても愛衣ちゃんはタッくん一筋だしっ!」 

 

鋭太「優しくしてくれないって、それでいいのか!?」 

 

愛衣「それじゃあ愛衣ちゃん、おそとはしってくるね♪」 

 

鋭太「あーちゃん!俺の話を聞いてくれえええええぇぇぇ!」 

 

ダダダダダダダダダダダダダダダ 

 

鋭太「…」 

 

鋭太「今度からもうちょっと優しくしてやるか」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

真涼「トモダチコレクションというゲームを買ってきたわ」

 

鋭太「へぇ~」 

 

真涼「このゲームで、乙女の会の皆のキャラを作成して、シミュレーションを楽しみましょう」 

 

真涼「そうね。作るのは…私、鋭太、春咲さん、秋篠さん、冬海さん」 

 

真涼「…」 

 

真涼「5人は少ないわね…そうね。ついでに男の遊井くん、ついでに妹の真那を作成しましょう」 

 

…………… 

 

真涼「へぇ~、変なキャラが作れるのね…」 

 

真涼「ププッ。さすがに冬海さんのようなピンク髪は作れないのね」 

 

真涼「性格は質問形式ね…大雑把な質問のようだけど、結構マトを得たものが作れるわね」 

 

真涼「鋭太はドライ系バッサリ型…我が道を突っ走るタイプ。他人の言うことを気にせず、すばやく行動する。デキるヤツ」 

 

真涼「ははあ。ちょっと鋭太にしては良い評価ね」 

 

真涼「…」 

 

真涼「私のキャラもまったく同じ性格になるように作成しましょう」 

 

真涼「性格はこんな感じになったわ」 

 

ちわ『元気のかたまりタイプ。思いつきで何でもやる。何かやりだしたら誰にも止められない』 

 

ヒメ『人に気を使うタイプ。みんなで仲良くすることが第一。人を疑わないので騙されないように』 

 

あい『強気にがんばるタイプ。目標が高ければ高いほど燃える。少しおっちょこちょいな面も…』 

 

カオル『我慢強い。自分より他人を大切にし、争い事は避ける。でも、我慢しすぎて爆発することも…』 

 

マナ『厳しいリーダータイプ。これだ!と思うことに全力で取り組む』 

 

真涼「こんな感じね。さあ。始めるわよ」 

 

………… 

 

真涼「リアルの時間に合わせて、キャラ達が生活するのね」 

 

真涼「みんなを作成するのに時間がかかって…もう深夜だから、みんな寝ているわ」 

 

真涼「あら?冬海さんが元気だわ…」 

 

真涼「…」 

 

真涼「部屋の中を走ってるわね…また鋭太が何かをしたのかしら…」 

 

 

■3日後 

鋭太「へぇ~、真涼がゲームって珍しいな」 

 

真涼「ええ。乙女の会のメンバーを登録しているの」 

 

鋭太「で、どんな感じなんだ?」 

 

真涼「そうね。春咲さんは元気よくジャンプしているわ。ハムスターの着ぐるみを着ていて、かわいらしいわね」 

 

鋭太「千和らしいな」 

 

真涼「秋篠さんは…遊井くんと恋人になったわ」 

 

鋭太「…そういわれると、あの二人は意外と似合うかもな」 

 

真涼「ええ。ちなみに冬海さんが紹介したの」 

 

鋭太「…」 

 

真涼「鋭太を手に入れるための策略ね」 

 

鋭太「はぁ?そんなわけないだろ?」 

 

真涼「ちなみに相性チェックは鋭太と秋篠さんが一番高かったわ」 

 

鋭太「で、でも、ゲームだろ?」 

 

真涼「ええ、ゲームよ」 

 

鋭太「ところで冬海はどんな感じなんだ?」 

 

真涼「冬海さんは鋭太の…一番の親友になってるわ…二人でよく勉強しているし」 

 

鋭太「おっ!さすが俺だな!勉強頑張ってるのか!」 

 

真涼「あと、冬海さんは毎日一回以上、外を走ってるわね」 

 

真涼「公園が出来た時はさっそく走ってたし。朝になるとよく浜辺を走ってるわ」 

 

鋭太「どういうキャラだよ!」 

 

真涼「以上ね」 

 

鋭太「あれ?真涼は?」 

 

真涼「私は…ひとりで…いえ、よくみんなが遊びに来てくれているわ」 

 

鋭太「そ、そうか」 

 

真涼「ん?ゲームに動きが来たわ!」 

 

マナ『真涼と鋭太をくっつけようと思うのですが、どうでしょうか?』 

 

鋭太「は、はぁ!?何を言ってるんだ?こいつ」 

 

真涼「さすが、私の妹ね!もちろんYESよ!YES!」 

 

鋭太「おい。なんでゲームに必死になってるんだよ?」 

 

真涼「何を言っているの!?ゲームだろうが何だろうが偽彼女(フェイク)を演じる必要があるのよ!」 

 

……………… 

 

真涼「マナが計画した、私と鋭太のデートは終了したわね」 

 

鋭太「うまくいっているみたいだな」 

 

真涼「いきなり恋人になったりは…しないわね。意識し始めたって感じかしら?」 

 

 

■数分後 

 

鋭太「あっ、真涼のキャラの頭の上にハートがでてるぞ」 

 

真涼「こ、これは!好きな人が出来たのね!」 

 

ますず『鋭太に告白しようと思います』 

 

真涼「YES!YES!YES!YES!どっかの幼なじみと恋愛脳が狙っているわ!早く告白するのよ!」 

 

鋭太「おい」 

 

真涼「告白は真面目に…そうね。浜辺がいいわね」 

 

鋭太「へぇ~そんな設定もできるのか」 

 

ますず『好きです』 

 

えいた『ごめんなさい』 

 

真涼「…」 

 

鋭太「あっ、ふられたな…まぁ、さっき相性診断したら、俺達20%で最低だったしな」 

 

真涼「エイタメ」 

 

鋭太「へ?」 

 

真涼「ユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイ」 

 

鋭太「おい!たかがゲームで何熱くなってんだよ!」 

 

ますず『やはり諦められません。今度はプレゼントを用意して、もう一度告白したいと思います』 

 

鋭太「おぉ!さすが真涼の分身だな!プレゼントも用意してとか。これならいけるぞ!」 

 

真涼「……………………………ふふふ」 

 

鋭太「ま、真涼?」 

 

真涼「ええ。私はすべて予想してましたとも!」 

 

真涼「プレイヤーの気持ちを下げて上げる作戦とは、中々よく出来ているゲームですね」 

 

真涼「そして、最後は現実でも彼女である私と恋人同士に…」 

 

真涼「ええ。これは世の中の心理ですから…ふふふ」 

 

鋭太「なんか怖いぞお前」 

 

鋭太「ん?なにか様子が…」 

 

ますず『夜まで待ちましたが、鋭太は待ち合わせ場所に来てくれませんでした』 

 

真涼「なっ、な!?」 

 

鋭太「おい!俺の分身は何をしてるんだよ!」 

 

真涼「エイタエイタエイタエイタエイタエイタエイタエイタエイタ」 

 

鋭太「俺の分身は…マンションの自室にいやがる!おい、さっさと行け!」 

 

えいた『実は好きな人ができました』 

 

真涼「!?」 

 

鋭太「おぉ!これはいけるぞ!」 

 

鋭太「告白されてから、意識し始めたパターンだな!」 

 

えいた『マナと愛衣の二人が好きになりました。どちらを選べばいいのでしょうか?』 

 

鋭太「おいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!」 

真涼「ああああああああああああああああああああああああああああ!」 

 

鋭太「真涼!?」 

 

真涼「うふふふふふふ。ふふふふふふ。ふふふふふふふ」 

 

鋭太「おい!!」 

 

真涼「鋭太が裏切った鋭太が裏切った」 

 

鋭太「ゲームにどんだけ感情移入してるんだよ!」 

 

真涼「許さない許さない許さない許さない許さない」 

 

鋭太「俺の彼女とゲームが修羅場すぎる!!」 

 

 

終わり 

 

 

真涼「終わらせません!」 

 

鋭太「なんでだよ!終われよ!頼むから終わってくれよ」 

 

真涼「最近、キスしてくれない!!!」 

 

鋭太「はぁ!?何でキスなんだよ!」 

 

真涼「ええ、実は一週間に一度キスをしないと体の調子が悪くなるの」 

 

鋭太「もにょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」 

 

真涼「あら?鋭太も、もにょが欲しいのかしら?」 

 

鋭太「ちげえええええええぇぇぇぇ!」 

 

鋭太「『もにょ』をしないと調子が悪くなるんじゃなかったのかよ!!!」 

 

真涼「さ、最近…ご、ご無沙汰だから…そ、その、ちゅーすれば私が救われるの…」 

 

鋭太「顔真っ赤っかで意味わからん事を言うな!」 

 

真涼「酷い!ゲームの中の私を傷つけたくせに!」 

 

鋭太「ゲームの中のお前だろ」 

 

真涼「現実の私もよ!だから…その…」 

 

鋭太「やだ。帰る」 

 

真涼「ちょ、ちょっと待って」 

 

鋭太「知るか」 

 

真涼「じゃ、じゃあ。手を繋いで帰りましょう。これくらいはいいでしょう?」 

 

鋭太「…」 

 

鋭太「まぁ、手ぐらいなら…」 

 

ギュウウ 

 

鋭太「おい、引っ張りすぎだって」 

 

真涼「うふふふふ」 

 

鋭太「なんだよ。急に機嫌よくなりやがって」 

 

グイッ 

 

鋭太「おい!急に引っ張るな…っ」 

 

チュー 

 

真涼「んっ//」 

 

鋭太「っ//」 

 

鋭太「って、何をしやがる!?」 

 

真涼「手を繋いだからと言って油断したわね?」 

 

真涼「そんな事だから、あの子にキスをされてしまうのよ?」 

 

鋭太「知るかっ!一人で帰るからな!」 

 

真涼「待って鋭太!」 

 

鋭太「なんだよ」 

 

真涼「ねえ?久々のキスだったけど…どうだった?」 

 

鋭太「なっ!」 

 

真涼「うふふふ。トマトみたいに真っ赤…嬉しいわ」 

 

鋭太「ちげーよ!そんな恥ずかしい質問するな!」 

 

真涼「私は嬉しかったわ」 

 

鋭太「そうかよ」 

 

真涼「ふふふ♪」 

 

 

鋭太(真涼とのキスは…) 

 

鋭太(フェイクという関係にずっと溺れていたくなりそうだから嫌いだ…たぶん…) 

 

 

 

 

 

 

 

元スレ

https://hayabusa.5ch.net/test/read.cgi/news4vip/1366546085/

文乃 「わたし、わがままだ……助けてもらうだけじゃ、満足できないみたい」【ぼく勉ss/アニメss】

 

………………問36後 夜 ラーメンうめえん

 

ズルズルズル……

 

うるか 「んーっ! やっぱりこの時間のラーメンは最高だね、文乃っち」

文乃 「ほんとだねぇ……」 ズルズルズル……

 

文乃 (うぅ……また太っちゃう……)

 

文乃 (でも美味しいよぅ……)

 

文乃 「あ、すみません。替え玉お願いします」

 

店員 「かしこまりましたー!」

 

文乃 (ああもう、太っちゃうなぁ……困るなぁ……)

 

うるか 「でも、リズりんほんとにダイジョーブだったの?」

 

文乃 「えっ……あ、う、うん。大丈夫。問題なかったよ」

 

うるか 「ふーん、そっか。“タスケテ” なんてメール送ってきたから心配しちゃったね」

 

文乃 「あはは……」

 

 

―――― [えっと唯我君…… これは一体全体どういうことなのか 説明してくれるかなこの野郎]

 

―――― [ち 違う! これはかくかくしかじかで……]

 

―――― [ホラー映画? ああ…… たしかにりっちゃん苦手だもんねぇ……]

 

―――― [………… ドサクサに紛れて変なこと……してないよね……?]

 

―――― [しっ してません!! 神に誓って!!]

 

―――― [……もう しょうがないなぁ…… これは貸しにしておくからね!]

 

 

文乃 (……まぁ、唯我くんのことだから全部本当のことだろうし、大丈夫だよね)

 

文乃 「そんなことより、夜はこれからだよ、うるかちゃん」 ズルズルズル……

 

うるか 「? 夜はこれから?」

 

文乃 「あ、すみません! チャーハン大盛り追加お願いします!」

 

店員 「かしこまりましたー!」

 

うるか 「ほへー、たくさん食べるねぇ、文乃っち。よーし、あたしも負けないよー!」

 

 

………………翌日 夏期講習 昼休み

 

文乃 「うぅ……」

 

ボロボロ

 

文乃 「今日の講習も散々だったよ。進むのが早いよぅ……」

 

成幸 「まぁ、しょうがない。寝なかっただけ偉いぞ、古橋」

 

成幸 「さて、じゃあ今日の範囲の復習からだな。お昼食べながらやるぞ」

文乃 「はーい……」

 

ジーーーッ

 

文乃 (……特に何も言ってこないから、わたしの方から聞くのもはばかられるけど)

 

文乃 (昨日は結局、あの後どうなったんだろう)

953 : 以下、名... - 2019/04/06 21:47:33 0O24lWYM 4/17

文乃 (りっちゃんのことだから一晩中怖かっただろうし、ヘタしたら唯我くんにずっとそばにいてもらったりして……)

 

クスッ

 

文乃 (……なんて、そんなわけないか。唯我くんは紳士だし、りっちゃんもその辺はわきまえてるもんね)

 

成幸 「あ、そういやさ、昨日の話だけど、」

 

文乃 「うん? あの後のこと?」

 

成幸 「うん。まったく、ひどい目にあったよ」

 

成幸 「結局あの後、緒方の家に泊まることになってさ」

 

文乃 「ちょっと待って」

 

成幸 「? どうかしたか?」

 

文乃 「いや、“どうかしたか?” じゃないよ!?」

 

文乃 「何 “コンビニ行ってきた” みたいな軽い感じでとんでもないこと言ってるの!?」

 

文乃 「泊まったの!? りっちゃん家に!?」

 

成幸 「いや、まぁ……泊まったって言っても一晩中起きてたし……」

 

成幸 「何も問題はないと思うけど」

 

文乃 「むしろ余計に問題が増えたんだけど!? ずっと起きてたの!?」

成幸 「なんで起きてたら問題なんだ?」

 

文乃 「むしろそれで問題ないと思っている方が疑問なんだけど!?」

 

成幸 「お、落ち着けよ。いきなりどうしたんだ、古橋」

 

成幸 「近いから。な? 少し離れようか」

 

文乃 「なんでわたしがなだめられてる感じを出すのかな!?」

 

文乃 (い、いけない。とんでもないことを言われたからつい取り乱してしまった)

 

文乃 (落ちつかないと。うん。落ち着いて……落ち着いて……)

 

成幸 「いや、それにしても、緒方って寝相悪いのな」

 

成幸 「抱きつかれたときはどうなるかと思ったよ。ははは」

 

文乃 「なんで笑ってられるのかなきみは!?」

 

文乃 「りっちゃんの部屋でりっちゃんに抱きつかれたの!?」

 

成幸 「あ、いや、ちょっと語弊があったか。抱きつかれたって言うと、あいつの名誉にかかわるもんな」

 

文乃 (ほっ……。言葉の綾だったみたいだ。よかったよかった……――)

 

成幸 「――正確に言うと、急に布団から飛び起きて腰に手を回されてのしかかられたって言うべきか?」

 

文乃 「わたしに聞かれても知らないし余計まずい感じになってることに気づかないのかなきみは!?」

 

文乃 (わたしとうるかちゃんが呑気にラーメン食べてる間にきみは一体何をやってたのかな!?)

 

文乃 「……ねぇ、唯我くん」

 

成幸 「?」

 

文乃 「聞いたよね、わたし。それに答えたよね、きみ」

 

 

―――― [………… ドサクサに紛れて変なこと……してないよね……?]

 

―――― [しっ してません!! 神に誓って!!]

 

 

成幸 「あ、ああ……。まぁ、言ったというか、アイコンタクトだったけど、まぁ……」

 

文乃 「あれはその後なら変なことしていいって意味じゃないからね?」

 

成幸 「当たり前だろ!? 変なことなんてしてねーよ!」

 

成幸 「ちょっと朝まで(親父さんと)激しい運動してただけだよ!」

 

文乃 「おいちょっと待てコラ唯我くん」

 

文乃 「はぁああああああああ!? ほんとに何やってたのきみたちは!?」

 

成幸 「うーん……いや、あれは運動というよりは戦いだったな……」

 

文乃 「やかましいよ! 余計生々しくしてどうするのかな!?」

 

 

………………帰り道

 

文乃 「りっちゃんを寝かしつけてたら驚異的な寝相の悪さでのしかかかられ、」

 

文乃 「折悪く帰宅したりっちゃんのお父さんに見つかって一晩中戦っていた、と……」

 

文乃 「……なんだ。そういうことだったのね」

 

成幸 「いや、だから最初からそう言ってただろ……」

 

文乃 (きみがまぎらわしい言い方をするから誤解が広がったんだけどね)

 

文乃 (……まぁいいや。早とちりして疑ってしまったわたしも悪いし)

 

ジトーーーッ

 

成幸 「な、なんだよ。その目は」

 

文乃 「……ほんとにりっちゃんに何もしてないんだよね?」

 

成幸 「してないよ!」

 

文乃 「ほんとに? 抱きつかれたときに唯我くんもこっそり腰に手を回したりしてない?」

 

成幸 「してないよ! するわけないだろそんなこと!」

 

文乃 「どさくさにまぎれてあの暴力的なおっぱいを揉んだりとかは?」

 

成幸 「お前は俺のことを何だと思ってるんだ!?」

 

文乃 「……ま、いいや。信じてあげる」

 

クスッ

 

文乃 「でも、寝相だったとしても、りっちゃんに抱きつかれて少しはドキッとしてたりして」

 

成幸 「そ、それは……」

 

プイッ

 

成幸 「仕方ないだろ。俺だって男だし、緒方は……ほら、客観的に言ってかわいいし……」

 

 

―――― *1

 

―――― *2

 

 

文乃 (おや……? おやおや?)

 

文乃 (これは意外と、りっちゃんのことをちゃんと意識してるのかな?)

 

文乃 「へー」 ニヤニヤ 「つまりきみは、寝ているりっちゃんに欲情した、と?」

 

成幸 「他にもっと言い方ないかな古橋さん!!」

 

文乃 「………………」

 

ホッ

 

文乃 (ま、いいや。何もなかったのは本当のことみたいだし)

 

文乃 (結果的に、唯我くんがりっちゃんのことを意識するきっかけになってくれれば悪くもないし)

 

文乃 (……ただひとつ、明確に言えること)

 

文乃 「……ねぇ、唯我くん」

 

成幸 「ん?」

 

文乃 「りっちゃん家で一夜を明かしたこと、絶対に他の人に喋っちゃだめだからね」

 

成幸 「? まぁ、男子たちに話したらどう思われるか分かったもんじゃないし話すつもりはないけど」

 

成幸 「武元は? あいつになら笑い話として話せるかなー、なんて――」 

文乃 「――バカなの?」

 

成幸 「辛辣すぎません!?」

 

文乃 (なんでそこでよりによって一番話しちゃいけない相手にならいいとか思っちゃうのかな!?)

 

文乃 (……まったくもう)

 

文乃 「いい? 誰にも話しちゃダメだからね? うるかちゃんにも!」

 

成幸 「そ、そういうもんか。俺にはまったくわからん……」

 

文乃 (……本当に、唯我くんは手がかかるなぁ)

 

文乃 (ま、念も押したし、大丈夫だよね。間違ってもうるかちゃんの耳にこのことが届くことはないだろう)

 

文乃 「………………」

 

 

―――― 『タスケテ』

 

 

文乃 (……あのメールを見て、唯我くんは誰より早くりっちゃんの家に駆けつけたんだよね)

 

文乃 (もしわたしが同じようなメールを出したら、唯我くんは……)

 

文乃 「……ねえ、唯我くん」

 

成幸 「ん?」

 

文乃 「もしわたしがりっちゃんと同じように困っていたら、わたしのことも助けてくれる?」

 

成幸 「えっ……?」

 

文乃 「………………」

 

ハッ

 

文乃 (わ、わたし一体何を聞いてるの!? なんでそんなこと、唯我くんに……) カァアアアア……

 

文乃 「ご、ごめん! 唯我くん! 変なこと聞いちゃったけど、忘れて――」

 

成幸 「――そんなの、当たり前だろ」

 

文乃 「へ……?」

 

成幸 「俺はお前たちの 『教育係』 だからな。当然、お前の家にも行くよ」

 

文乃 「そ、そっか……」 (唯我くん……)

 

文乃 (わたしのところにも、来てくれるんだ……)

 

成幸 「ま、夜に急に呼び出すのは、本当の緊急時に限ってほしいけどな」

 

文乃 「……だ、大丈夫だよ。わたしホラー映画怖くない人だし!」

 

成幸 「そういう問題かよ」 クスッ 「じゃ、俺こっちだから。また明日、古橋」

文乃 「……うん。また明日ね。唯我くん」

 

 

………………数ヶ月後 問89後 いつもの場所

 

文乃 「………………」

 

成幸 「………………」

 

カリカリカリ……

 

文乃 (……なつかしいこと思い出しちゃったな)

 

チラッ

 

文乃 (あのとき言ってくれた通りだね。成幸くん、君は、本当にわたしを助けてくれたんだ)

 

成幸 「ん……? どうかしたか、古橋?」

 

文乃 「へっ? う、ううん。なんでもない」

 

文乃 (……そう。なんでもない)

 

文乃 (なんでもないんだよ、成幸くん)

 

成幸 「……大丈夫か、古橋?」

 

成幸 「仲直りはしたみたいだけど、やっぱりまだお父さんと顔を合わせるのは怖いか?」

 

文乃 「……えっ?」

 

カァアアアア……

 

文乃 「あっ……そ、そうだね……」

 

成幸 「?」

 

文乃 (な、なんて不謹慎なのわたし!? 成幸くんはわたしのこと心配してくれてるのに……)

 

文乃 (わたし、全然べつのこと考えてた……)

 

文乃 「………………」 (そっか……)

 

文乃 (わたし、この人の隣にいると、辛かったこと全部、忘れちゃうんだ……)

 

成幸 「古橋……?」

 

文乃 「……ねえ、成幸くん。わたし、本当にきみがいてくれてよかった」 

成幸 「へ……?」

 

文乃 「ううん。違うな。君が変わらず君でいてくれてよかった、って言うべきかな」

 

成幸 「えっと……? それは、どういう意味だ?」

 

文乃 「……ううん。なんでもない」 クスッ 「ごめんね、ヘンなこと言って」

 

文乃 「勉強、もどろ?」

 

成幸 「ん……ああ……」

 

文乃 (……君は、りっちゃんだから家に駆けつけたわけじゃない)

 

文乃 (そして、わたしだから家に泊めてくれているわけでもない)

 

文乃 (わかってる。だから、これは君の優しさに甘えているだけのこと)

 

文乃 (……ねぇ、成幸くん)

 

文乃 (君は約束通り、わたしを助けてくれた)

 

文乃 (でもね、わたし、わがままだ)

 

文乃 (りっちゃんと同じように助けてもらうだけじゃ、満足できないみたい)

 

成幸 「………………」

 

 

―――― 『起きてる』

 

―――― 『だから…… あとほんのちょっとだけ…… このままでもいい……?』

 

 

文乃 (成幸くん、ねえ、気づいてる? わたし、もう “起きてる” んだよ?)

 

文乃 (だから、わたし……)

 

文乃 (君を……)

 

ギュッ……

 

文乃 (君を、好きになっても、いいのかな……)

 

 

 

 

 

 

 

 

元スレ

http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1541592657/

*1:普段は小動物みたいな奴だけど……

*2:こうして改めて見るとやっぱり すげぇ美少女だな……

三浦「今日、あんたの家、泊めてくんない?///」【俺ガイルss/アニメss】

 

八幡(土日、それは1週間という地獄に唯一のオアシスである。) 

 

八幡(しかし、そんな貴重なオアシスをどのように使ったらいいのか俺は知らない) 

 

八幡(もしも時間を切り取って他者に与える事が出来るなら俺は土日を切り取って売っている」 

 

八幡「何なら「夏休み」と「冬休み」を売っちゃうまである」 

 

優美子「ならその無駄な休日をあーしのために使えし」 

 

八幡「は?」 

 

八幡(あーしさんだった) 

 

優美子「なんかさっきから土日はいらない見たいな事言ってたじゃん」 

 

八幡(えー声に出しちゃってたよww) 

 

優美子「……なに?いやなん?」 

 

八幡「まぁ、嫌だな」 

 

優美子「は?嫌なの!?」イラッ 

 

八幡「だってカースト上位者が俺みたいなボッチに話しかけてんだぞ?怪しすぎるだろ」 

 

優美子「うっわ!ヒキオ面倒くさ」 

 

八幡「……じゃ他をあたるんだな」ソソクサ 

 

優美子「ちょっ!?ヒキオー?話くらい聞けぇ!」 

 

八幡「何だったんだ?」 

 

 

放課後部室 

 

八幡「」ペラッ 

 

雪乃「」ペラッ 

 

結衣「でさー」 

 

優美子「へー」 

 

八幡「………いや違うだろ」 

 

雪乃「何かしら間違い谷くん?」 

 

八幡「いや俺が間違いじゃないから」 

 

結衣「何が?」キョトン 

 

八幡「何がじゃないだろつーか由比ヶ浜何でそんなナチュラルに受け入れてんだよ?」 

 

優美子「だからなんだし?ヒキオ」 

 

八幡「何で部員じゃない三浦がいんだよ?依頼あんじゃねーのかよ」 

 

雪乃「あら?ホントだわ」 

 

結衣「なんか自然に打ち解けてたねー優美子」 

 

優美子「ふふん」エッヘン 

 

八幡(いばるとこなのか?それ遠回しで影が薄いって言われてるのと同じだぞ?) 

 

雪乃「確かに比企谷くんの言う通りね、三浦さんなにか依頼あるんじゃないかしら?」 

 

三浦「そうそうあーし依頼があって来たんだけど」 

 

結衣「え?なになんか困った事でも?」 

 

三浦「うん」チラッ 

 

八幡(まさか)ギクッ 

 

三浦「ヒキオとデートの練習に付き合って貰いたいんだけど」 

 

八幡「でぇとぉ?!」 

 

結衣「ゆゆゆゆ、優美子ヒッキーとデートしたいの……?」 

 

優美子「いや別に」 

 

雪乃「この男と交際をしても意味が無いわよ、きっと彼が挙動不審になって三浦さんが恥をかくだけよ大体この男は………」 

 

八幡(なんか棘があるのですが……) 

 

優美子「なんか前に隼人がヒキオは人の心を読むのに長けているって言ってたから」 

 

八幡(またアイツいらぬ事を) 

 

優美子「だからどうしたら隼人が喜ぶデートが出来るか意見を聞こうと」 

 

八幡「だったら実際に行く必要ないだろ」 

 

優美子「こういうのはリアリティが大事なんだし」 

 

八幡「はぁ?とにかく何を言おうとも俺は絶対行かん」 

 

雪乃「比企谷君は何故そこまで拒否してるのかしら?」 

 

八幡「これは友達の友達の話なんだが」 

 

ある日そいつはクラスの女子から映画に誘われた、そいつは夜も眠れない程に喜んでいたそうな、そしていざその日を迎えてそいつは今までで一番のおしゃれをしてクラスの女子の待つ待ち合わせ場所に向かった。だがその子は来なかった。1時間経っても2時間経っても3時間経っても、その子は来なかった。そして4時間経った頃そいつは諦めて帰ったのだ。そして次の日おれ…ゴホッゴホッそいつは見てしまったのだ黒板に貼られていた1枚ビラをそしてそれにプリントされたそいつの待ち姿の写真。しまいに大きな文字で書かれた「4時間待ってました」のテキスト 

 

じつはその子はグルでそいつを騙していたのだ。 

 

 

優美子「うわぁ」ヒキッ 

 

結衣「ヒッキー可哀想……」ウルッ 

 

雪乃「4時間も…」 

 

八幡「まて本気で俺を哀れむはやめろ、俺じゃないからな?!」アセアセ 

 

優美子「まさかそこまでとは……でもヒキオお願いデートして」 

 

雪乃「比企谷君の気持ちも分かるけど依頼じゃ仕方ないわ頑張って」 

 

結衣「ヒッキー優美子を任せたよ」 

 

八幡「お前ら俺の話を聞けよ……」 

 

優美子「ヒキオ土日のいつデート行けんの?」 

 

八幡「あ?俺は行くとは一言も」 

 

優美子「はっ?!」ギロッ 

 

八幡「ひっ!日曜でしゅ?!」ビクッ 

 

優美子「じゃ日曜10時ね言っておくけど別にヒキオを騙したりしないから」

 

 

待ち合わせ場所 

 

八幡「……一応来てみたものの」 

 

八幡「三浦おっせーな」 

 

八幡(やはり騙されたのか?) 

 

八幡「もう、こういう依頼は絶対受けねーからな……」 

 

八幡(と俺が帰ろうとした時) 

 

優美子「ヒキオごめん遅くなった」タタタ 

 

八幡「……」じー 

 

優美子「な、なんだし」 

 

八幡「えーとあれだ、今日のお前の服おしとやかでいいんじゃね?」 

 

優美子「は?何言ってんの」 

 

八幡「いや意見聞きたいって言ったのお前だろ?」 

 

八幡「でも、遅れてくるのはちょっとな~……」 

 

優美子「だからごめんって………ん?」 

 

八幡「行くぞ」 

 

優美子「ちょっと待ったー」パシ 

 

八幡「な、なんだよ」 

 

優美子「ヒキオもしかしてセンスない?」 

 

八幡「は?ばっかお前、あんだろこれ」 

 

優美子「なんか緑のチェックシャツがヒキオのオタクさを引きたててる気が」 

 

八幡「嘘だろ………」ガーン 

 

優美子「いいから来るし」グイグイ 

 

八幡「い、いずこえ?」 

 

 

メンズファッション「SEEDs」 

 

八幡「ここブランドショップじゃねーか」 

 

優美子「あーしのセンスでアンタをカッコよくしたげる」 

 

八幡(俺はあんまり服詳しくないんだけど) 

 

優美子「んーと、これ?ダメかー」カチャカチャ 

 

八幡「あのーあーしさん………」 

 

優美子「んー?」 

 

八幡「俺にも選ばせて頂けませんか?」 

 

優美子「えーヒキオセンス無さそうだし」 

 

八幡「さいで」 

 

優美子「これは?」 

 

八幡「ってワイシャツ?」 

 

優美子「あーやっぱりヒキオに合うね」 

 

八幡(そしてあーしさんが持ってきた紺色のジャケットをワイシャツが見せるように羽織る) 

 

優美子「ホイ♪帽子」 

 

八幡(ありゃりゃこれ系の服は俺苦手なんだけど)

 

ウィーンアリガトウゴザイマシタ 

 

八幡「……」ぐったり 

 

優美子「ヒキオよく2万なんてポンって出せたね」 

 

八幡「普段出歩いたりしないからな金が余ってんだ」 

 

優美子「へー…………んー?まだなんか足りないなー」 

 

八幡「え、え?」オロッ 

 

 

美容院 

 

八幡「」ジョキッシャッ 

 

優美子「♪」ペラッ 

 

八幡(あれーなんか違くね?デートだろ?これ?あーしさんなんて雑誌読んでて動かないし)

 

優美子「♪」ペラッ 

 

八幡(てか、俺は美容院に来るのは初めてなんだが?) 

 

店員「ねーねーお客さんもしかして美容院来るの初めて?」チョキチョキサッサッ 

 

八幡(うおっ!?いきなり話しかけて来んなよびっくりすんだろ) 

 

八幡「まぁそうっすね」 

 

店員「マジ?!じゃウチが初めての美容院?」チョキチョキ 

 

八幡「え、はい」 

 

店員「美容院デビューおめおめ」サッサッ 

 

八幡「え、はぁ」 

 

八幡(なんか戸部みたいでムカつくな) 

 

八幡「え、はぁ」 

 

八幡(なんか戸部みたいでムカつくな) 

 

店員「もしかしてあれ彼女?」ヒソヒソ 

 

八幡「え?いや違いますよ」 

 

店員「嘘だー、だって絶対そうにしか見えないし」 

 

八幡「みう……アイツはよく来るんですか?」 

 

店員「まぁね、そういえば前に金髪イケメンを連れてたかな?」チョキチョキ 

 

八幡(葉山か…) 

 

店員「あ、そっちがもしかして彼氏かな」チョキチョキサッサッ 

 

八幡「………」 

 

優美子「おーヒキオもこうすればイケメンだし、目は腐ったままだけど」 

 

perfect八幡「そ、そうか」キラキラ 

 

八幡(一言多くね?)キラキラ 

 

優美子「これであーしの近くに居ても釣り合うし」 

 

八幡「へいへい」 

 

優美子「じゃ次映画行くしー」

 

キミノゼンゼンゼセカラボクハキミヲサガシハジメタヨ~♪ 

 

八幡「好きなアニメだったのになんか疲れた」ぐったり 

 

優美子「そろそろ時間だあーし帰らきゃ」 

 

優美子「ヒキオ」 

 

八幡「なんだ?」 

 

優美子「今日楽しかった?」 

 

八幡「ああ、楽しかったぞ」 

 

優美子「そう、良かった」 

 

八幡(嘘だと思ったのに、本当に来てくれた) 

 

八幡(少し嬉しかった) 

 

八幡「……」 

 

 

次の日 

 

八幡(あー……どうすんだこれ?ボッチがこんな髪にしたら調子乗ってると思われるだろ) 

 

八幡「」ガララ 

 

戸塚「あ、八幡おはよってええ!八幡どうしたのその髪」 

 

八幡「お、おうちょっとイメチェンだ、変か?」 

 

戸塚「ううん、凄く似合ってるよ」ニコッ 

 

八幡「そうか、彩加ありがとうな」 

 

戸塚「!///もう八幡不意打ちに言うなんてズルいよー」 

 

八幡(何これヤバい可愛い…!) 

 

結衣「ヒッキーやっはろってごめん間違いました」 

 

八幡「いや俺だから…」キラキラ 

 

結衣「え?じゃ本当にヒッキーなの?あ、ホントだ目腐ってる」 

 

八幡(最近由比ヶ浜が雪ノ下に似てきているような気がするんだが) 

 

結衣「で、優美子の依頼上手く言ったの?」コソコソ 

 

八幡「ああ、とりあえずはな」 

 

結衣「とりあえず?」 

 

八幡「後は三浦次第だ、俺はあくまでも意見を言ったまでだからな」 

 

結衣「ふーんそーなんだ」 

 

戸部「あれ?もしかしてヒキタニくん?」 

 

八幡「お、おう」 

 

戸部「なになに?イメチェン結構ヒキタニくんイケメンなんだべ」 

 

優美子「だっしょーそれあーしが選んだんだー」 

 

優美子「ねー、ヒキオ」 

 

八幡「ああ、三浦の意外なセンスにびっくりしたぞ」

 

優美子「意外なセンスってなんだしッ」ズカッ 

 

八幡「いてっ!」 

 

戸部「え?これ優美子選んだん?じゃ2人だけで出かけたべ?」 

 

優美子「えーいや、そういうじゃないつーの」チラッ 

 

隼人「戸部あんまりそんな事聞くのは野暮だぞ?」 

 

戸部「さっすが隼人くぅん紳士過ぎるわー」 

 

隼人「そんな事ないさ」ハハハ 

 

優美子「て、てかさ、見てみ周り」 

 

八幡「ん?」 

 

「なんだあのイケメン」 

 

「カッコいい///」 

 

「転校生?」 

 

八幡「……もう皆俺のことなんか忘れて俺だってわかんなくなってんだろうな」 

 

優美子「かもねー」 

 

結衣「ヒッキーじゃ仕方ないよ」 

 

八幡(何気に傷付いたんだけど) 

 

戸部「まぁまぁこれからNEWヒキタニくんとして皆に覚えて貰えばいいっしょ?」 

 

優美子「そうそう」 

 

八幡「そうなのか?」 

 

戸部「ところでさ」 

 

隼人「どうした戸部?」 

 

戸部「俺ら3年の夏じゃん?これから受験で忙しくなるしさこの夏パーと海で遊ばない?」 

 

結衣「海?」 

 

戸部「そうそう海だよ海だよ、俺の叔父さんが夏場に海の家やってんのよ」 

 

海老名「へー」 

 

戸部「んで、手伝ってくれる人募集してるんだけど」 

 

戸部「皆が手伝ってくれるなら、叔父さんが経営してる旅館に泊めてもいいって言ってんだけど」 

 

戸部「来てくれるかな?」 

 

八幡(タモリか) 

 

結衣「えー旅館いいねー」 

 

優美子「行くっしょ」 

 

八幡(俺は誘われてないよな?) 

 

結衣「ヒッキーも来るでしょ?」 

 

八幡「え、俺はその」 

 

戸部「いいべヒキタニくん遊ぼうぜー」カタクミ 

 

八幡「わーたよ、行くよ」 

 

海老名「トベ×はち………ぶあっ!」ぶしゅうぅ 

 

優美子「海老名………自重しろし」 

 

優美子「かもねー」 

 

結衣「ヒッキーじゃ仕方ないよ」 

 

八幡(何気に傷付いたんだけど) 

 

戸部「まぁまぁこれからNEWヒキタニくんとして皆に覚えて貰えばいいっしょ?」 

 

優美子「そうそう」 

 

八幡「そうなのか?」 

 

戸部「ところでさ」 

 

隼人「どうした戸部?」 

 

戸部「俺ら3年の夏じゃん?これから受験で忙しくなるしさこの夏パーと海で遊ばない?」 

 

結衣「海?」 

 

戸部「そうそう海だよ海だよ、俺の叔父さんが夏場に海の家やってんのよ」 

 

海老名「へー」 

 

戸部「んで、手伝ってくれる人募集してるんだけど」 

 

戸部「皆が手伝ってくれるなら、叔父さんが経営してる旅館に泊めてもいいって言ってんだけど」 

 

戸部「来てくれるかな?」 

 

八幡(タモリか) 

 

結衣「えー旅館いいねー」 

 

優美子「行くっしょ」 

 

八幡(俺は誘われてないよな?) 

 

結衣「ヒッキーも来るでしょ?」 

 

八幡「え、俺はその」 

 

戸部「いいべヒキタニくん遊ぼうぜー」カタクミ 

 

八幡「わーたよ、行くよ」 

 

海老名「トベ×はち………ぶあっ!」ぶしゅうぅ 

 

優美子「海老名………自重しろし」 

 

 

奉仕部 

 

八幡「」ペラッ 

 

結衣「でさー戸部っちの叔父さん?叔母さん?ヒッキーどっちだっけ?」 

 

八幡「叔父さんな」 

 

結衣「そうそう叔父さんが海の家をやってるんだってー」 

 

雪乃「そうなの」 

 

結衣「ゆきのんも海どう行く?」 

 

雪乃「そうね、海なんてしばらく行ってなかったかしらせっかくなのだし行くわ由比ヶ浜さん」 

 

結衣「ありがとうゆきのん」ギュー 

 

雪乃「ふふ、由比ヶ浜さんくすぐったいわ」 

 

八幡「」ペラッ 

 

ガララ 

 

優美子「依頼があるし!」 

 

八幡「うおっ!びっくりしたぁ」

 

結衣「優美子?!依頼ってまた?」 

 

雪乃「三浦さんあまり人を頼るのは良くないわよ?」 

 

優美子「でも、頼らないで失敗するよりはマシでしょ」 

 

雪乃「……それも一理あるわね」 

 

八幡「で、依頼てのはなんだ」 

 

優美子「さっき言ってた海に行く話なんだけど」 

 

結衣「それがどうしたの?」 

 

優美子「もう明日夏休みじゃん?その今のうちに水着を選びたいからそのヒキオの意見が聞きたくて」 

 

八幡「行かんぞ絶対行かん!」 

 

結衣「即答だし?」 

 

雪乃「比企谷君どうしてかしら」 

 

八幡「だって水着を売ってるとこって男が居れば気まずくなっちゃうからだ」 

 

優美子「で、いつ行く?」 

 

八幡「ねぇ、聞いてた?行かないって?」 

 

結衣「あたしは明後日か土曜日かな」 

 

雪乃「明日か土曜日」 

 

優美子「土曜日か金曜」 

 

八幡「……」 

 

3人「じゃ土曜日に」 

 

八幡(俺の意見は?どこ行ったの) 

 

八幡(俺のステレスヒッキーがいらない所で発揮してる) 

 

 

土曜日 

 

小町「はーい皆さんこんにちは比企谷八幡の妹の比企谷小町です!」 

 

結衣「小町ちゃんやはろー」 

 

雪乃「こんにちは小町さん」 

 

優美子「へーヒキオにこんな可愛い妹がいたんだ」 

 

小町「えー可愛いなんて照れますよぉ」テレテレ 

 

八幡「で何でいんだよ?」 

 

結衣「うわぁ、ヒッキー妹に対してそんな事言うの」 

 

八幡「いやいやおかしいだろ俺小町に今日の事言ってなかったんだけど」 

 

小町「結衣さんから聞きました」ビシッ 

 

八幡「えー…(小町が来ると面倒くさくなるんだが)」 

 

優美子「まぁまぁヒキオ、小町ちゃんでいいかな?よろしくっ」 

 

小町「よろしくです(ふふふ……ゴミぃちゃんのお嫁さん候補がまた1人)」 

 

八幡(あー小町今絶対やらしい事考えてんだろうな)じー 

 

雪乃「それじゃ行きましょうか」 

 

 

八幡「ふぁーまだかよ」 

 

結衣「ねえねえヒッキー!」 

 

八幡「あんだよ」 

 

結衣「こっちとこっちどっちがいい?」 

 

八幡「ん」 

 

右ビキニ(黄緑)左フリフリ(薄さくら色) 

 

八幡「………お前本当にそのビキニ着れんの?」 

 

結衣「……そだねちょっと恥ずかしいかも///」 

 

小町「ねねお兄ちゃんこれとこれどっちがいい?」 

 

右マイクロ水着 左絆創膏 

 

八幡「っ///おまっ!そんな事どこで覚えたんだよ?」 

 

小町「お兄ちゃんのベッドの下」 

 

八幡「」ギクッ 

 

小町「」ニマニマ 

 

八幡「し、しまってきなさい」 

 

小町「はーい」ニヤニヤ 

 

八幡(本当に小町ちゃん怖い……)

 

優美子「ヒキオ」トントン 

 

八幡「なんだよ」 

 

優美子「私に似合う色って黒と白どっちがいい?」 

 

八幡「黒」 

 

優美子「……なんかその返答に悪意を感じるし」 

 

八幡「いやあくまでも客観的な意見だし」 

 

優美子「」じー… 

 

八幡「なんだよ」 

 

優美子「分かった黒探してくる」 

 

雪乃「比企谷君比企谷君私は?」 

 

八幡「お前は青じゃね?」 

 

 

小町「はあー買った買ったあ」 

 

結衣「ホントだねー」 

 

雪乃「久しぶりいい買い物をしたわ」 

 

優美子「ほんとそれ」 

 

八幡「お、重い……」ズシッ 

 

小町「せっかくだからここのゲーセンで遊んで行きません?」 

 

結衣「そうだねーそうだプリ撮ろ!プリ!」 

 

優美子「いいね私のプリテク見せてやるし」 

 

雪乃「プリ?何かしらそれ」 

 

優美子「えー、雪ノ下さんプリ撮った事ないの?」 

 

雪乃「ええ」 

 

結衣「じゃ私たちが教えてあげるよゆきのんこっちこっち~!」 

 

八幡「じゃ俺はここで待ってるよ」 

 

小町「お兄ちゃんも早く」 

 

八幡「えー俺もー」 

 

 

『それじゃまずは仲良しポーズから』 

 

『撮るよー321』 

 

3人「いえーい」 

 

パシャッ 

 

三浦「で、写真撮ったらこうやってデコレーションするの」ピッピッ 

 

雪乃「なるほど……あ」 

 

結衣「どうしたの?」 

 

雪乃「パンさんのスタンプが」 

 

八幡「流石だな見逃さないのな」 

 

雪乃「ちょっといいかしら三浦」 

 

優美子「え、うん」 

 

ピッピッピッピッ 

 

『完成しましたー』 

 

ウィーン 

 

八幡「ぜ、全部パンさん」 

 

優美子「逆に凄いかも」 

 

雪乃「ごめんなさい調子に乗りすぎてしまったわ」 

 

結衣「私は全然いいよ」 

 

八幡(パンさん恐るべし)

 

 

???「チョイチョイそこのおにぃさん」 

 

八幡「あん?」 

 

不良「君女の子引き連れてるんだね、俺らにも分けてよ」 

 

不良B「そうそう俺らおにぃさんみたいにイケメンじゃ無いからモテないのよ」 

 

小町「もしかしてナンパですか?」 

 

不良「そうそうナンパだよ君ぃ」 

 

八幡「へぇナンパねぇ」 

 

結衣「大丈夫なの?ヒッキー」ヒソヒソ 

 

雪乃「あなた強いって訳じゃないんでしょ?」ヒソヒソ 

 

八幡「任せろ」ヒソヒソ 

 

八幡「ねぇお前ら誰に口聞いてるのか分かって、それ言ってんの?」 

 

不良「ああ?てめぇ潰すぞ?」グイッ 

 

八幡「お前ら葉山隼人って知ってるか?」 

 

不良「ああ、あの葉山だろ」 

 

八幡「俺そいつのダチなんだけどそれ分かって言ってのか?」 

 

不良「お、お前ダチ頼んのかよ?」 

 

八幡「友達なんて頼むもんだろ?ちょっと待ってろ」ピッピッ 

 

prrrr 

 

八幡「あ、葉山か?今なんか不良に絡まれてるんだがちょっと助けてくれないか?」 

 

不良「ひっ!」 

 

不良B「おい、どうすんだよ葉山って強いんだろ?」 

 

八幡(え、そうなのか葉山さんパネェ) 

 

不良「わーたよ、手を引くよ」 

 

八幡「ならいい、とっとと帰れ」ピッ 

 

八幡(必殺虎の皮を被った狐) 

 

八幡(知り合いのコネは使えるだけ使った方がいい) 

 

優美子「ヒキオ………カッコ悪い」 

 

雪乃「ほんとね」 

 

結衣「なんか戦ってくれるかと思ったのに」 

 

八幡「ばっかお前戦う分けないだろ、痛いし」 

 

小町「ほんとにゴミぃちゃんだね」 

 

八幡「もう帰ろうぜ、心配だから皆送るぞ」 

 

結衣「そうだねお願いするよ」 

 

雪乃「私は護身術があるからいいわ」 

 

優美子「でも女子1人は危ないよこんな事あった後だし」 

 

雪乃「そう、ならお願いするわ」 

 

小町「皆を心配するお兄ちゃん小町的にポイント高いよ」 

 

八幡「うっせ」

 

 

そして来た夏休み。 

 

八幡「あーついに来ちゃったかー……嬉しくない訳じゃ無いがなぜか無駄に潰してしまう夏休みが」 

 

小町「何言ってんのお兄ちゃん」 

 

八幡「お前は夏休み予定あんのかよ」 

 

小町「そりゃ、小町は予定あるよ、今日は友達の家で宿題をやるんだよ」 

 

八幡「そうなのか」 

 

小町「じゃ小町友達の家で宿題やって来るよ」ガチャ 

 

八幡「うぃー」 

 

バタンッ 

 

八幡「……」 

 

『クチヅケダイヤモンドヲー』 

 

八幡「……やまじょおもしろ」 

 

『コンナニカボソクオレソウナー』 

 

八幡「………?」ウルウル 

 

『ソレデモオレハ………ホンモノガホシイ!』 

 

八幡「ぐあああああ////馬鹿じゃねぇの馬鹿じゃねぇの」ジタバタ 

 

<ピンポーン 

 

八幡「誰だよ」

44 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/11/25(金) 10:44:06.74 ID:/pkuOhE20

 

 

 

 

 

 

 

 

そして来た夏休み。 

 

 

八幡「あーついに来ちゃったかー……嬉しくない訳じゃ無いがなぜか無駄に潰してしまう夏休みが」 

 

 

小町「何言ってんのお兄ちゃん」 

 

 

八幡「お前は夏休み予定あんのかよ」 

 

 

小町「そりゃ、小町は予定あるよ、今日は友達の家で宿題をやるんだよ」 

 

 

八幡「そうなのか」 

 

 

小町「じゃ小町友達の家で宿題やって来るよ」ガチャ 

 

 

八幡「うぃー」 

 

バタンッ 

 

 

 

ピンポーン 

 

八幡「誰だよ」

 

ガチャ 

 

八幡「なんだ三浦かなんだこんな朝から」 

 

優美子「ヒキオ……ちょっといい?」 

 

八幡「おう……とりあえず中は入れよ」 

 

 

八幡「はぁ?!家出?」 

 

優美子「うん……」 

 

八幡「で理由は」 

 

優美子「ウチの親潔癖症でさ3日に1回掃除するくらい几帳面なんだけどさ」 

 

優美子「昨日掃除してる時、間違って私が一昨日買った水着を捨てちゃったみたいで」 

 

八幡「それでか」 

 

優美子「うん」 

 

八幡「でも三浦は親がそれをやった事は故意にじゃないって分かってんだろ?」 

 

優美子「うん」 

 

八幡「じゃお前の中では許容のできる範囲じゃないのか?」 

 

優美子「そうなんだけど」ワナワナ 

 

優美子「それがウチの親謝るどころか逆ギレしたんだし!」バンッ 

 

八幡「ひっ!」ビクッ 

 

優美子「しかも言い訳が『あんたがこまめに掃除しないからでしょ!』だって!誰もアンタみたいに潔癖症じゃないし」ウガー 

 

八幡「それはまた理不尽な…」 

 

優美子「でしょー?」 

 

優美子「ほんとムカつく」 

 

優美子「でも喧嘩した手前帰りづらいし」 

 

八幡「で、どうしろと?」 

 

優美子「その頼みづらいんだけど」 

 

八幡「なんだよ、出来ることなら力になるぞ」 

 

優美子「泊めてくんない?」 

 

八幡「ん、おういいぞ」 

 

優美子「えー、即答。ま、まさか変な気起こして言ってんの?」 

 

八幡「あ?そんな事する訳ないだろ?」 

 

八幡「俺は訓練されたボッチだからな、俺と関わりを持った人間全員をその対象外にしてんの」 

 

八幡「ただちょっと待ってろかーちゃんや小町に聞いてみるから」 

 

優美子「あ、あんがと」 

 

prrrrrr 

 

ア、コマチカ ジツハナ 

 

カーチャンタノミガアンダガ 

 

ピッ 

 

八幡「これでよしと」 

 

八幡「おい三浦」 

 

優美子「な、なんだし」 

 

八幡「お前着替えとかあるか?」 

 

優美子「あ、うん一応持ってきた」 

 

八幡「そうか、あのさ一つ聞きたいことがあるんだが」 

 

優美子「?」 

 

八幡「何で葉山に頼らなかったんだ?」 

 

八幡「あいつなら泊めそうだけど」 

 

優美子「なんて言うか流石に隼人の家で泊まるのは……信用出来ないっていうか」 

 

八幡「ほー、俺は信用出来るのか」ニヤニヤ 

 

優美子「っ、うっさいし!」カァ/////

 

八幡「まぁとりあえず今日は俺の部屋で寝てくれ」 

 

優美子「ひ、ひひひきおの部屋?!///」 

 

八幡「ああ、もちろん俺はこのリビングで寝るから安心しろ」 

 

優美子「分かった///(な、なんだびっくりしたし)」プシュー 

 

優美子(でもヒキオの部屋気になる) 

 

八幡「あ、そうそう漁ろうなんて考えるなよ」 

 

優美子「か、考えるわけないつーの」 

八幡(あ、考えてたんですね) 

 

八幡「まぁくつろいでくれよ、そこのPCでYouTube見ていいからさ」 

 

優美子「うん」 

 

 

優美子「ねぇヒキオ暇ー遊びに行こーよ」 

 

八幡「あー?暇だ?YouTubeは?」 

 

優美子「もう飽きたしねぇヒーキーオー」 

 

八幡「しゃーねーな、どこ行く? 」 

 

優美子「じゃゲーセン」 

 

八幡「おま、ゲーセンてこの間あんな事あった後によく行けるな」 

 

優美子「でも、守ってくれるんでしょ?」 

 

八幡「んまぁ、善処するが」 

 

優美子「ならいいじゃん、それにこの間と違う場所だし」 

 

八幡「分かったいくか」 

 

 

ゲーセン 

 

バババババッ 

 

乙坂「おぉ…おお、これは楽しぃ……」ニタニタ 

 

八幡「だ、大丈夫かアイツやばい目をしてたし」 

 

優美子「ち、近づかない方がいいっしょ」 

 

 

UFOキャッチャー 

 

優美子「あーアレ可愛い」 

 

八幡「あれか?」 

 

優美子「違うーほらそれの2つ隣」ピト 

 

八幡「!っ////」どきっ 

 

優美子「どした?ヒキオ」 

 

八幡「別に何でもないし///」 

 

優美子「何顔赤くなってんの可愛いねー」ニコニコ 

 

八幡「ふん…///」プイッ 

 

優美子「ねーねーヒキオアレ取ってー」 

 

八幡「…やだ」 

 

優美子「あ、拗ねた?」 

 

八幡「拗ねてない」 

 

優美子「じゃあ取ってよ」 

 

八幡「やだ」 

 

優美子「自信ないんでしょー」 

 

八幡「……わーたよ取ってやるよ」チャリン 

 

ウィーン…ウィーン…ガシッ 

 

ウィーン…ポロッ 

 

八幡「あ…」 

 

優美子「ウッソーヒキオ下手くそ役立たず」 

 

八幡「うるせぇ、ならお前やってみろよ」つ百円 

 

優美子「ん、見てなし」チャリン 

 

ウィーン…ウィーン…スカッ 

 

八幡「っぷ」 

 

優美子「~っこれ反応悪いんだけど」ムキー 

 

八幡「まぁまぁクス落ち着けクスクスって」プルプル 

 

八幡「次は俺だな」チャリン 

 

ウィーン…ウィーン… 

 

優美子「そこだしヒキオ!」 

 

八幡「おい、横から見るなよ恥ずかしいだろ」 

 

八幡(どんだけ必死なんだよ) 

 

ウィーン…ガシッウィーン…ウィーン…ヒョイ 

 

優美子「やった取れたし~」 

 

八幡「どうだ」ドヤァ 

 

優美子「ヒキオその顔やめて、キモイ」 

 

八幡「う、ひどい」 

 

<イツマデヤッテンダ、イイカゲンドケヨ! 

 

八幡「うわさっきのやつ喧嘩始めたよ」 

 

優美子「そんなのいいから次行こ」 グイグイ 

 

八幡「お、おう」 

 

優美子「アレやろーよ」 

 

 

レーシングゲーム 

 

八幡「レーシングゲームか」 

 

優美子「あーし強いんだよ?」 

 

八幡「自慢じゃ無いが俺もだ」 

 

優美子「ふーん……じゃ賭けしない?」 

 

八幡「何をだ」 

 

優美子「あーしが勝ったらお昼奢りね」 

 

八幡「なら俺が買ったら奢ってくれよ」 

 

優美子「いいし」 

 

321 

 

ブオオオン 

ブオオオン 

 

八幡(しまった、少し出遅れた) 

 

優美子「よっしゃ」 

 

八幡(だが三浦は気づいていない、実はこのコースは) 

 

優美子「きゃっ」ドンッ 

 

八幡(障害物が多いのだ)

 

優美子「なんなのこれ」ドンッ 

 

八幡「そら」ヒョイヒョイ 

 

優美子「あーもぉ!」 

 

Win八幡 

 

Lose優美子 

 

優美子「悔しいー!」 

 

八幡「まぁアレだ俺から言うことは一つだ」 

 

優美子「何よ」 

 

八幡「お昼ゴチになります」ドヤァ 

 

優美子「ムカつくムカつく!」ポカポカ 

 

八幡「痛っ、おいやめろよ」 

 

 

『こってりラーメンなるたけ』 

 

優美子「……やだ」 

 

八幡「えーここ美味いだぞ?」 

 

優美子「だってこんなの食べて太ったら嫌だし」 

 

八幡「でも俺ここ食べたいし」 

 

八幡「」ジー 

 

優美子「…分かったっていいわよここで」 

 

八幡「サンキュ」ニカッ 

 

優美子(その顔見たら断れないし……ってあーし何を?!カァ/////) 

 

八幡「……?何してんだよ入ろうぜ」 

 

優美子「うん」 

 

ウィーン 

ラッシャイ 

 

八幡「こってり豚骨ラーメン一つ」 

 

優美子「じゃあーしも同じヤツで」 

 

大将「へいっ!こってり豚骨ラーメン2つ入りました」 

 

八幡「大将相変わらず元気ですね」 

 

大将「まぁな!ん?そちらのお嬢さんは?」 

 

八幡「あー、コイツは」 

 

優美子「同じクラスの三浦です」 

 

大将「へーなるほどクラスメイトかい」 

 

大将「可愛い顔して、ヒッキーくんの彼女かなんか?」 

 

優美子「彼女!?」 

 

八幡「いや違うッスよ」 

 

大将「そうかい、残念だい」 

 

八幡「つか、大将前もこんな事言って無かった?」 

 

大将「そうか?」 

 

八幡「前、平塚先生と来た時も『彼女さん?』って聞いてきたじゃないスか」 

 

八幡「あの人教師すよ?俺と三浦の担任です」 

 

大将「それは悪かったな、ほら出来たぞ」 

 

コトッコトッ 

 

八幡「おお~」 

 

優美子(脂ですかマジですか?) 

 

八幡「いただきます」ズルズル 

 

優美子「…」チュルル 

 

優美子「!!」 

 

ズルズルズル 

ズルズル 

 

ズル… 

 

八幡「ご馳走さん」 

 

八幡「大将、会計」 

 

大将「はいよ1900円ね」 

 

八幡「ほい」 

 

ウィーンアリガトウゴザイマシター 

 

優美子「結局あんたが払っちゃったね」 

 

八幡「まぁそんなにかからなかったからな」 

 

優美子「ヒキオ帰ろ」 

 

八幡「そだな…ふぁ眠いし」 

 

優美子「今日は付き合ってくれてありがとね」 

 

八幡「おう」 

 

 

比企谷家 

 

八幡「たでーまー」 

 

優美子「ただいま」 

 

小町「あ、お兄ちゃんと優美子さんおかえりー」 

 

優美子「ただいま小町ちゃん」 

 

小町「ささ早く上がって下さい夕ご飯出来てますよ~」

 

優美子「もしかして小町ちゃんが作ってるの?」 

 

小町「そうですよ、兄は見ての通りニートなので小町が代わりに作ってるんです」 

 

八幡「ばかお前俺が小6までは俺が作ってたろうが」 

 

小町「そうだったけ?」 

 

小町「まぁでも現状ニートには変わらないでしょ」 

 

八幡「それは認める」 

 

優美子「ヒキオあんた………」 

 

八幡「おいそんな目で見んなよ…本当にニートって訳じゃないんだぞ?」 

 

優美子「」モグモグ 

 

優美子「美味しい!」 

 

小町「そうですか、よかったです」 

 

八幡「まぁ小町の作るご飯はどれも美味いから新鮮みがないがな」 

 

小町「あー、今の発言小町的にポイント低ーい」

 

優美子「ポイント?」 

 

八幡「いや気にするなこっちの話だ」 

 

優美子「何さヒキオ秘密にする気ー?」 

 

八幡「言ってもいいが聞くだけ無駄だぞ?」 

 

優美子「……やっぱりやめとく」 

 

八幡「いい判断だ」パクモグモグ 

 

小町「なんかお兄ちゃん冷たい…」ヨヨヨォ… 

 

八幡(うぜぇ…) 

 

小町「でも、よかったよ」 

 

八幡「?、何がだ」 

 

小町「お兄ちゃん中学の時たまにいじめられてたから、高校は大丈夫か心配でさ」 

 

三浦「……」 

 

小町「でも良かったよ、優美子さんのような素敵な人が友達になってくれて」 

 

八幡「まぁ友達では無いがな」 

 

小町「それでも、お兄ちゃんを見てくれる人がいるだけ」 

 

小町「小町にとっては嬉しい事なんだよ」 

 

小町「優美子さん」 

 

優美子「は、はい」 

 

小町「お兄ちゃんをお願いします 」 

 

優美子「こ、こちらこそ」 

 

「ごちそうさま」 

 

小町「ふんふふーん♪」カチャカチャ 

 

優美子「~♪」フキフキ 

 

八幡「ふぁーあ」ゴロゴロ 

 

優美子「……やっぱりヒキオニートかも」 

 

八幡「おい 」ガクッ 

 

 

八幡ルーム 

 

八幡「じゃ今日はここで寝てくれ」 

 

優美子「ありがとうヒキオ」 

 

八幡「……何が?」 

 

優美子「今日は楽しかったし、ゲーセン行ったりラーメン食べたり」 

 

八幡「そりゃよかった」 

 

優美子「……ヒキオ優しいな………」ボソッ 

 

八幡「ん?なんか言ったか?」 

 

優美子「別に」ツーン 

 

八幡「そうか」 

 

バタン 

 

優美子「……八幡」 

 

優美子「っ」カァ///// 

 

優美子「~っ」ゴロゴロバタバタ

 

優美子「あ、あーし何言ってんだろ///」ハッ 

 

優美子(もしかして……あーし) 

 

優美子「……」 

 

八幡「……小町ちょっと来い」 

 

小町「なーにお兄ちゃん」トテトテ 

 

八幡「何でさっきあんな事言ったんだ」 

 

小町「……何がかな」ハハ 

 

八幡「お前は分かっててあんな事言ったのかよ? 」 

 

小町「うん、知ってたよ」 

 

八幡「はぁ…アイツは海老名さんの件で少なからず罪悪感は抱いてる」 

 

小町「うん」 

 

八幡「ただ小町、その罪悪感を利用して媚を売るのはやめろ」 

 

八幡(確かに使えるコネは使った方がいい、だが悪意を持ってそのコネを使うのはそれは不正義だ) 

 

八幡「小町、お前は俺にとっての正義であって欲しい」 

 

小町「何それ」フフ… 

 

八幡「だからこんなのはやめろ」 

 

八幡「俺は寝る…」バサッ 

 

小町「おやすみ」パチ 

 

 

うーん ……何か息苦しい…………… 

 

そして温かくて柔らかい……なんだこれ 

 

ふにゅ 

 

八幡「あ、?」優美子「zzz」スースー 

 

八幡「/////!?」バッ 

 

八幡(何で三浦がここに?!) 

 

八幡(やばい眠れなくなる)ドキドキドキドキ 

 

八幡(ふぁ、いい匂い……)クンクン 

 

八幡(おっと危ない落ち着け俺理世の化け物なんだろ?)ブンブン 

 

優美子「ん……」モゾッハラリ……… 

 

八幡(あ、服がはだけて) 

 

八幡(ど、どうする)オロオロ 

 

八幡(三浦って結構、華奢だよな)ゴクリ 

 

スッ 

 

八幡「」ギュッ 

 

八幡「……なんか落ち着く 」うとうと…… 

 

八幡(眠い………)カクン 

 

 

2時間後 

 

戸塚『は、八幡こんなの所でなんて恥ずかしいよぉ///』 

 

八幡『にしてはヤル気満々じゃないのか?』ニヤリ 

 

八幡『ココとか』イジイジ 

 

戸塚『はう!気持ちいいよ八幡』ビクッ 

 

戸塚『もう、らめぇ//』 

 

戸塚『八幡肩もみ上手いね』 

 

優美子「んんーあれあ~し」パチッ 

 

八幡「」ぎゅー 

 

優美子「ヒキオ!?」 

 

優美子「……」ギュッ 

 

八幡「にへへ」ニヤニヤ 

 

優美子「ヒキオ嬉しそうどんな夢見てんだろ」 

 

八幡「とちゅかー」ニタァ 

 

優美子「うわっ気持ち悪」 

 

八幡「むにゃむにゃ………んあ戸塚どこ?」パチッ 

 

優美子「戸塚はここにいないよ」 

 

八幡「え、俺寝言言ってた?」 

 

優美子「うん、戸塚、戸塚~って」 

 

八幡「なっ!」カァ///// 

 

八幡「頼む、だ黙っててくれ」 

 

優美子「どうしよっかなー」 

 

八幡「何でもするから」 

 

優美子「・・・なんでも?」 

 

八幡「え?やっぱり・・・」 

 

優美子「言っちゃおうかなー」ニヤッ 

 

八幡「何でもします」 

 

八幡「・・・で、何すれば良いんだよ」 

 

優美子「じゃあさ・・・ヒキオってあーしのことを名前で呼んで」 

 

八幡「・・・何で名前呼びなんですか」 

 

優美子「イイじゃん」 

 

八幡(えー恥ずかしいだろ) 

 

八幡「ゆ、優美子・・・さん」 

 

優美子「ふーん・・・悪くはないし」///テレッ 

 

八幡「・・・そうか」///(危ない今のが並の男子高校生なら一発で惚れてるレベルだわ。) 

 

優美子「じゃあーしヒキオの事八幡って言うね八幡」 

 

八幡(なに?!八幡って言われてこんなにキュンと来るのは戸塚だけだと思っていたが、三浦だとこんなに威力があるんだなATK3000だよブルーアイズだよ) 

 

八幡「やっぱ恥ずかしいしやめようぜ」 

 

優美子「八幡」ニヤニヤ 

 

八幡「うぐっ」キュン 

 

優美子「はーちーまーん」上目遣い 

 

八幡「ぐあぅ」キュンキュン 

 

優美子「八幡・・・」オメメウルウル 

 

八幡「ぐはぁ」ズキューン ブシュー 

 

優美子「わわ、ヒキオ鼻血出てる!」 

 

 

数分後 

 

優美子「やっと止まったし」ナデナデ 

 

八幡「で、何で膝枕なんですかね」 

 

優美子「んー、それはその上向きに寝ると鼻血止まるらしいし」 

 

八幡「いや、だからって・・・」ムクッ 

 

優美子「そのままでいろし」ググッ 

 

八幡「いてぇ!頭抑えんな痛いから!」 

 

優美子「あ、ごめん」 

 

八幡「・・・三浦は」 

優美子「優美子!」 

 

八幡「ゆ、優美子は葉山の事好きなんだろ?良いのかこんな事してて」 

 

優美子「・・・いいよ、あーし隼人の答え想像つくしね」 

 

八幡(そう言われると一色の事を思い出す) 

 

八幡「俺は・・・葉山隼人の代用品か?」 

 

優美子「ふふ、そうかもね」クスッ 

 

八幡「なぁ三浦」 

 

優美子「んー」 

 

八幡「俺と付き合わないか?」

 

優美子「は、はぁ?何でそんな////」 

 

八幡「いや、冗談だよ」 

 

優美子「八幡!」プクー 

 

八幡「悪かったって」 

 

小町「ふぁー遅よう」ガチャッ 

 

あーしの膝にon the八幡 

 

2人「あ・・・」 

 

小町「え」 

 

小町「あ、ごめんなさいごゆっくり~」 

 

八幡「小町ぃ!」

 

 

 

八幡(あれから三浦は親と仲直りをしてとりあえず一件落着し、俺はいつもの生活を取り戻していた。) 

 

ピロリン 

 

八幡「あ?」 

 

 

mail 

From戸部 

titleごめん! 

この間言ってた海に行く話だけど急遽予定変更。明日になった。 

 

明日10時に千葉に集合で。 

 

 

八幡「マジかよ」 

 

小町「なになにどうしたんお兄ちゃん」 

 

八幡「予定変更で海に行くのが明日になって、ちょっとダルくてな」 

 

小町「ええ!そうなの?!」 

 

八幡「ああ、て事で小町明日お兄ちゃん海に言ってくるから」 

 

小町「んー?お兄ちゃんもしかして私が行かないと思ってるの?」 

 

八幡「は?行かんだろ、お前」 

 

小町「残念ー、結衣さんからお誘いを受けています!」 

 

八幡「えー・・・・」 

 

小町「なに、そのえーって」 

 

八幡(だって絶対面倒になるじゃん) 

 

八幡「迷惑かけんなよ?」 

 

小町「えー、小町お兄ちゃんに迷惑かけた事ないよー」 

 

八幡(あるでしょうが) 

 

八幡「とりあえず準備してくるわ」スタスタ 

 

バタン 

 

八幡「クソッ戸部のヤツいきなりこんなメール送りやがって」ガサゴソ 

 

八幡「つか俺行くとか言ってないのに何でこんな事に・・・」 

 

 

八幡「変な事にならなきゃいいが」 

 

八幡「はぁ」 

 

ガラララ 

 

男「ただいまー」 

 

幼馴染み「どうだった?」 

 

男「」チラッ 

 

ショウマ「」コク 

 

男「ラジオは聴けたぞ、局は無事らしい」 

 

男「でもスカイツリーが倒壊して今TVが観れない状況だ」 

 

親友「は?!スカイツリーが??」 

 

リカ「そんな・・・ 」 

 

男「どうやらそれ程大きい規模の災害らしい」 

 

男「ヨウコの言ってた通り復興にはかなり時間がかかるかもしれない」 

 

 

当日 

 

八幡「・・・」 

 

雪乃「・・・」 

 

八幡「で、なんで俺たちしかいないの」 

 

雪乃「わ、私に聞かれても困るわ」 

 

八幡「お前由比ヶ浜の友達だろ?なんか聞いてるんじゃないの?」ヤレヤレ 

 

雪乃「そ、そうだけども///」 

 

八幡「ところでなんか様子が変なんだが、なんかあったのか?」 

 

雪乃「その、2人きりだから・・・恥ずかしいのよ///」 

 

八幡「お、おうそうか///(なんだよ可愛いとこあるじゃん、並の男子高校生なら惚れてるレベルだわ)」 

 

葉山「やぁ、遅くなったね」 

 

八幡「うお!?なんだ葉山かいきなり変な奴に話しかけられたかと思ったろ」 

 

雪乃「遅いわ13分の遅刻よ」ギロッ 

 

葉山「はは、あ、相変わらず厳しいな」 

 

結衣「あ、ゆきのんやはろー」 

 

雪乃「やは・・・こんにちは由比ヶ浜さん」 

 

八幡「(もういっその事言っちゃえばその挨拶)」 

 

戸塚「八幡おはよ!」 

 

八幡「なっ!戸塚?戸塚も来るのか?!」 

 

戸塚「うん!八幡と旅行が行けて嬉しいよ」ニコ 

 

八幡(神は本当に居たのか、生きてて良かったです)ウルウル 

 

戸塚「どうしたの八幡?なんで泣いてるの?!」 

 

八幡「いや、嬉しくてな」ゴシゴシ 

 

結衣「なんか感動してる!」 

 

優美子「八幡ホントキモイ」 

 

八幡「何でだよ」 

 

優美子「何でもないし!」イラッ 

 

八幡「?」 

 

戸部「ヒキタニくんマジで気づいてないっぽい?」ヒソヒソ 

 

隼人「みたいだな」ヒソヒソ

 

※※※※※※※※※※※※

海、それは生命の源である。どんな生物も皆元をたどれば海から産まれたらしい。つまり海とは神聖な場所なのだ、神聖な場所にわざわざ遊びに行くなんてリア充は怖いもの知らずである。 

 

そして、最も怖いのは。 

 

男「あれ、新しい水着?露出派手じゃん?」 

 

女「君に見せるために買ったんだよ?」 

 

八幡(と、周りではカップルがイチャつき、彼女居ない非リアは白い目で見られる。この環境である。) 

 

戸部「おーい、ヒキタニくん?この焼きそばそっちのテーブルに運んでくんねー?」 

 

八幡「お、おう、って…いや…どこのテーブルだよ」 

 

戸部「3番のとこ!」ジュ-ジュ- 

 

八幡「了解」スタスタ 

 

八幡「お待たせしました、ソース焼きそばと海鮮塩焼きそばの2つです」コト 

 

なぜ俺達がこんな所に来ているのかと言うと……

 

※※※※※※※※※ 

 

戸部「ところでさ」 

 

隼人「どうした戸部?」 

 

戸部「俺ら3年の夏じゃん?これから受験で忙しくなるしさこの夏パーと海で遊ばない?」 

 

結衣「海?」 

 

戸部「そうそう海だよ海だよ、俺の叔父さんが夏場に海の家やってんのよ」 

 

海老名「へー」 

 

戸部「んで、手伝ってくれる人募集してるんだけど」 

 

戸部「皆が手伝ってくれるなら、叔父さんが経営してる旅館に泊めてもいいって言ってんだけど」 

 

戸部「来てくれるかな?」 

 

八幡(タモリか) 

 

結衣「えー旅館いいねー」 

 

優美子「行くっしょ」 

 

八幡(俺は誘われてないよな?) 

 

結衣「ヒッキーも来るでしょ?」 

 

八幡「え、俺はその」 

 

戸部「いいべヒキタニくん遊ぼうぜー」カタクミ 

 

八幡「……わーたよ、行くよ」 

 

海老名「トベ×はち………ぶあっ!」ぶしゅうぅ 

 

優美子「海老名………自重しろし」 

 

回送終了 

 

※※※※※※※※※※ 

 

そしてそこへ、なぜか小町と天使…いや戸塚も加わることになった。従業員の確保も出来た事で戸部の叔父さんは喜んでいたが。 

 

八幡「少々、客が多すぎじゃ…」 

 

ガッシャ-ン 

 

八幡(何だ…?) 

 

優美子「ちょ…!なんだしいきなり腕を掴んで!」 

 

結衣「優美子!大丈夫?!」 

 

DQN「はぁ?こいつが俺の誘い断ったからだろ?」 

 

優美子「ハンッ…誰があんたみたいなキモイやつと……」 

 

DQN「んだと、こんのアマ!」ブン 

 

優美子「きゃ!」バキッ 

 

戸塚「三浦さん!大丈夫?!」アワワ 

 

海老名「何すんの!」グイッ 

 

戸部「おいコラ、てめぇ。何俺の友達に……」グッ 

 

八幡「おい戸部落ち着け」 

 

戸部「ヒキタニくん止めるなべ!」 

 

八幡「いや、だからちょっと待っ…」 

 

DQN「うぜぇんだよ!」ブン 

 

雪乃「フン!」ガシッ 

 

雪ノ下は合気道の有段者だ。その実力は前の「柔道部の先輩を追っ払う」という依頼の時見かけたが、中々のものだ。というかDQNさん痛そう……。 

 

DQN「あああああ!いでぇぇぇ!」ジタバタ 

 

雪乃「あら、こんな可愛らしい女の子に投げられたのよ?喜びなさい」 

 

DQN「ひぃぃぃぃ」ダッ 

 

お客さんA「おおお!すごい!」 

 

お客さんB「ホントスッキリした!」 

 

雪乃「今回はお騒がせしてしまって申し訳ございません」 

 

お客さんC「いーんだよ、どう見てもあっちが悪いんだから」ハハハ 

 

雪乃「私からのお詫びと言ってはなんですが皆様にドリンクをなんでも1杯サービスさせてもらいます」 

 

お客様A「ヒュー!気前がいいね!」

 

お客様D「やったぜ」 

 

雪乃「では引き続きお召し上がりくださいませ」ペコッ 

 

雪乃「と、いうことで店長これ、ドリンク代です」スッ 

 

叔父さん「あ、ああ。でもこんなには要らないよお釣りが来るくらいだ…」 

 

雪乃「では、それは私からの気持ちとしてお納めください」 

 

叔父さん「なんか悪いねぇ、本当は私がする事なんだが…」 

 

雪乃「お気になさらずとも結構ですよ、慣れてますから」ニコッ 

 

八幡(なんか無駄に場を収めるのが上手いな……さすが雪ノ下) 

 

戸部「なんとか一件落着っしょ、優美子が殴られたのはいただけなかったけど」 

 

海老名「アイツらでBL本作って泣かせてやるんだから!」 

 

戸塚「…BLって///」カァ 

 

八幡「大丈夫か…?」 

 

海老名「あ、口切ったみたいだね。血が出てる」 

 

優美子「大丈夫だし、このくらい」 

 

優美子「それより雪ノ下さん、ありがと助かった」 

 

雪乃「いいえ、さあ再開しましょ」 

 

雪乃「由比ヶ浜さんは三浦さんの手当してあげて」 

 

雪乃「三浦さんが来るまでは葉山くんに頑張ってもらうわ」 

 

隼人「あぁ、任せてくれ。結衣、優美子をよろしくな」 

 

結衣「うん、ほら優美子行こ」スタスタ 

 

優美子「うん」スタスタ 

 

八幡「おい戸部」 

 

戸部「なに?ヒキタニくん」 

 

八幡「焼きそば焦げてる」 

 

戸部「ちょまー!」ジュ-モクモク 

 

※※※※※※※※※ 

 

優美子が殴られた以外のトラブルとかは特になく。なんとかやり遂げることができた。ちなみにこの海の家のバイトは今日1日だけに限るもので残りの2日間は旅館で好きに過ごしていいらしい。なかなか気前がいいな、戸部の叔父さんにしては。 

 

旅館はなかなか趣がある。古い内装ではあるが掃除が行き届いており、清潔感がある。旅館自体ちょっとした高台にある為俺達がいる部屋から海が見える。 

 

 

男子部屋 

 

戸部「うぇーい、疲れたべ~!隼人くん風呂いこ、風呂」 

 

隼人「分かったから、引っ張るなよ」 

 

戸塚「八幡ぼくらも行こうか」 

 

八幡「と、戸塚とお風呂…」ドキッ 

 

戸部「ヒキタニくんも行こうぜ~」 

 

八幡「あいよ」 

 

八幡(いや待てよ、戸部と葉山に戸塚の裸を見せていいのか……) 

 

八幡(ダメだ!それだけは絶対にダメだ!) 

 

八幡「いや、俺と戸塚は後で入るから」

 

戸部「っべー、マジかーじゃあ俺もそうしようかなあ」 

 

隼人「まぁ少し落ち着いてからでもいいか」 

 

八幡「ダメだ、お前らと戸塚を一緒に風呂に行かせるわけには行かない」キリッ 

 

戸塚「八幡…」 

 

戸部・隼人「うわぁ…」 

 

八幡「………風呂行くか」スタスタ 

 

戸部「だべ」スタスタ 

 

隼人「そうだな」スタスタ 

 

戸塚「ぼく男の子なんだけどなぁ」スタスタ 

 

ガラガラ 

 

バタン 

 

 

女子部屋 

 

雪乃「ふぅ、やっと落ち着けるわね」 

 

結衣「この部屋すごく木の匂いする!」クンカクンカ 

 

小町「さすが旅館、綺麗にしてありますね」 

 

海老名「今日はこの部屋で腐教しないとねぇ、グ腐腐腐」 

 

雪乃「私温泉に入ってくるわ」スタスタ 

 

結衣「私もー!」スタスタ 

 

小町「小町もー!」スタスタ 

 

優美子「あーしも」 

 

海老名「…」ショボン 

 

 

風呂 

 

八幡「ほぉ、いろんな風呂があるんだな」 

 

戸部「そそ、あっちの方は薬草風呂つって、なんかいっぱい葉っぱ浮いてるべ、あの葉っぱが腰痛とかに効くらしいんよ」 

 

八幡「俺の筋肉痛にも効くのかな」 

 

戸部「効く効く!もう夜なんてギンギンよ~!」 

 

八幡「なんか変な成分も混ざってそう……」 

 

戸部「あとあっちの方にゆず風呂あるべ、いい匂いするっしょー」 

 

隼人「思ったよりココの風呂に詳しいんだな」 

 

戸部「もち!風呂ガイドしてあげようか?」 

 

隼人「いや、いい。ゆっくりと入りたい」 

 

八幡「確かにな、戸部がガイドとか普通にウザそう」 

 

戸部「酷くね!」 

 

戸塚「お待たせ皆」ガラガラ 

 

3人「!!」バッ 

 

俺と葉山と戸部、3人の揃って勢いよく振り向いた。こうして俺達が息ぴったり振り向いたのは戸塚の性別が気になってしまうという共通点があったからである。 

 

八幡「なん、……だと」 

 

タオル越しでも分かる股間部の膨らみ、……ああそうか、あんなに可愛らしく、天使のような戸塚は本当に男だったんだな。 

 

八幡「うぅ……戸塚ァ」シクシク 

 

戸塚「えぇ!八幡なに泣いてるの?」 

 

隼人「戸塚君もやはり男だったんだね…」 

 

戸塚「えっ」 

 

戸部「…」ポン 

 

戸塚「えっ」 

 

葉山は切なそうに戸塚を見る。 

戸部も無言で肩を叩く、何かを認めたのだろうか。 

みんな戸塚が女の子だったら良いと思ってたらしいな。 

 

戸塚「まさか、ぼくがホントに女の子だと思ったの?」 

 

3人「」コクコク 

 

戸塚「えぇ、…それじゃあ"ぼくの"見て確認する?///」カァ 

 

八幡「ダメだ、戸塚の身体を見ていいのは俺だけだ」 

 

戸塚「もお!八幡てば!///」 

 

八幡「戸塚、そのタオルは終始外すな。いいな?」 

 

戸塚「う、うん」 

 

隼人「でも、温泉の湯にタオルを浸けるのは…」 

 

八幡「くっ、戸塚の裸を見せなければならないのか……」 

 

戸部「ヒキタニくんマジ戸塚ファン過ぎでしょ…」 

 

 

女風呂 

 

小町「うぃぃぃ…いい湯だなぁ…」チャポン 

 

海老名「小町ちゃん、おじいさんみたいな声出すんだね」アハハ 

 

小町「小町は色々と気苦労が耐えませんからね、特に兄の事で」 

 

雪乃「確かに、あの捻くれ者の相手が出来るなんて凄い事よね」 

 

結衣「ヒッキーだから仕方ないよ~」 

 

優美子「正直今日のバイトでキョドらないか心配だったし」 

 

雪乃「そうね」 

 

結衣「でも、思ったより仕事出来てビックリだよ~、うぅ…私肩身が狭くって…」 

 

雪乃「あら?由比ヶ浜さんも仕事してくれたじゃない」 

 

結衣「ゆきのんやヒッキー、隼人くん程じゃないけどね…あはは」 

 

結衣「てか、私の仕事ってビキニ着て呼び込みするヤツだったから、すごく恥ずかしかったなぁ…」 

 

小町「あの時の結衣さんバインバインでしたよ…」ショボン 

 

雪乃「ところで、その…コホン…由比ヶ浜さん…失礼かもしれないけど…」 

 

結衣「ん?どうしたのゆきのん」 

 

雪乃「…由比ヶ浜さんの胸部は…どうやったらそんなに育ったの…かしら///」 

 

結衣「えぇ!?なんで急に!!」 

 

雪乃「前々から大きいとは思って居たのだけれど、実際に見ると、やはり破壊力が…」 

 

海老名「私も聞きたいなぁ、大きくなる秘訣とかさ」 

 

小町「小町もです!」 

 

結衣「うーん、秘訣とかはわからないけど、小学校のころ牛乳いっぱい飲んでたかな~」 

 

雪乃「牛乳は効果ありそうね」 

 

小町「じゃあお風呂上がりに皆で飲みましょう」 

 

結衣「私フルーツ牛乳!」 

 

優美子「あーしはコーヒー牛乳」 

 

雪乃「私は普通のを」 

 

小町「小町もフルーツ牛乳にしよっと♪」 

 

海老名「うーん…、普通の牛乳の方効果ありそうだから、私も普通の牛乳にしようかな」 

 

結衣「でもさ、大きいと色々と不便なんだよねー」 

 

優美子「ほんとそれ、結衣ほどじゃないけどあーしもそれなりにあるから体育の時とか周りの目を気にしないといけないし」 

 

優美子「何より肩こるし」 

 

結衣「へ、周りの目?」 

 

優美子「結衣あんま気にしてないみたいだから言うけどさ、体育の時の結衣の胸が男子にめっちゃ見られてるし」 

 

海老名「うんうん」 

 

結衣「はっ!///」カァ 

 

海老名「あと大きいと可愛い下着とか見つけにくいんでしょ?」 

 

雪乃「そうなのかしら?三浦さんも?」 

 

優美子「あーしはそこまでじゃないから…、結衣はどうなの?」 

 

結衣「まぁそうだね、見つからない事は無いけど数は少ないよ」 

 

小町「でもさっき脱衣所で見たブラ可愛かったですよね!」 

 

結衣「そうそう!私も中学の時はなかなかいい物が無くてさー」 

 

結衣「でも最近はネット販売のやつで大きくても可愛い下着があるんだー」 

 

雪乃「なるほど」 

 

小町「大きいと色々あるんですね…」 

 

海老名「ぐ腐腐腐、そんなに大きいとさぞかし揉み心地が良いんでしょうなぁ」ワキワキ 

 

結衣「ちょ、姫菜…なんで両手をワキワキさせてるのかな…」ゾク 

 

海老名「知れたことを~」モミモミモミ 

 

結衣「ひぁ!ちょ姫菜ぁ~///」 

 

海老名「良いでは無いか良いでは無いか」フンスフンス 

 

雪乃「海老名さん貴女おふざけが過ぎるわ、離れなさい」 

 

海老名「雪ノ下さんも…」ワキワキ 

 

雪乃「何を!きゃっ、んっ…///」ビクッ 

 

海老名「うひひひ、雪ノ下さん感度高い」 

 

優美子「海老名が暴走しちゃった。ど、どうしよう小町ちゃん」 

 

小町「ぐふふふ」ワキワキ 

 

優美子「ひっ!」 

 

小町・海老名「良いではないかー!」ワキワキ 

 

結衣・雪乃・優美子「きゃああああー!!!」ザブ-ン 

 

 

男子風呂 

 

八幡「…」 

戸部「…」  

隼人「…」 

戸塚「…」 

 

戸塚「…女子風呂の方騒がしいね///」 

 

八幡「聞いてないフリしろよ?聞いてたとわかったら酷いからな」 

 

戸部「だべ」 

 

隼人(今の女子の会話は脳内で保管しとこ…) 

 

八幡(それにしても) 

 

八幡・隼人・戸部(風呂から上がれなくなった…) 

 

 

八幡「あぁ~、いい湯だったな」 

 

戸塚「そうだね!気持ちよかった」 

 

戸部「あっちに卓球台あるけどやろーぜ!」 

 

八幡「お前は元気だなぁ、俺はパス」 

 

戸塚「ぼくもパスかな」 

 

隼人「じゃあ俺が付き合うよ」ニコッ 

 

戸部「おっしゃ!負けねーぞ」スタスタ 

 

隼人「ははは、それはどうかな」スタスタ 

 

八幡「行ったか…」 

 

戸塚「なんだか、八幡と二人っきりになるの久しぶりな気がするなぁ」 

 

八幡「そうか?」 

 

戸塚「ほら、最近は三浦さんとかと一緒に居たから、ぼくが入る隙がなかったんだ」 

 

八幡「そっか、なんかすまんな」 

 

戸塚「いやいや!そんなつもりで言ったわけじゃないんだ!」ブンブン 

 

戸塚「ただ、ちょっと寂しかったかな」クスッ 

 

八幡「そ、そうか」ドキッ 

 

戸塚「うん」 

 

八幡「戸塚は…」 

 

戸塚「ん?」 

 

八幡「戸塚って、可愛いよな」 

 

戸塚「え!?」 

 

八幡「いや!変な意味じゃないんだ」 

 

八幡「なんというか、優しいし人懐っこいし」 

 

戸塚「そうかな」 

 

八幡「おう」 

 

八幡「なんつーの?その、そんな戸塚が俺の癒しなんだよなー」 

 

八幡「だから今度からはもっと話そうぜ、気兼ねなく話しかけてくれていいぞ」 

 

戸塚「うん!」 

 

戸塚「じゃあさ八幡はどんな女の子が好みなの?」 

 

八幡「え?いきなりだな」 

 

戸塚「ほら、八幡って周りに女の子多いでしょ?誰が本命なんだろうな~って思って」 

 

八幡「あー、誰が本命とかは分からんが俺の事を養ってくれる奴だな」 

 

戸塚「えぇ、八幡は働く気ないの?」 

 

八幡「あぁ、俺は働かずに専業主夫になる」 

 

戸塚「じ、じゃあ雪ノ下さんとか?」 

 

八幡「ゆ、雪ノ下!?まぁ、確かに養ってくれる力量はあるが」 

 

八幡「…でも、俺が専業主夫になるのは絶対認めないと思うぞ」 

 

戸塚「そうかな、意外と養ってくれるかも 」 

 

八幡「あとは、優しくて家庭的な母性がある人かな…?」 

 

戸塚「じゃあ由比ヶ浜さんだ!」 

 

八幡「戸塚、お前はアニメのova由比ヶ浜のハンバーグ見てたろ」 

 

戸塚「あぁ…」 

 

八幡「あいつに家庭的な物を求めちゃダメだ」 

 

八幡「だが、優しいし母性があるのは認める、あと可愛いし」 

 

八幡「結局の所、二人とも魅力的だから俺には釣り合わんよ」 

 

戸塚「そっかー」 

 

戸塚「じゃあ」 

 

戸塚「三浦さ「ブフォ!!」」 

 

戸塚「え?」 

 

八幡「は、ははははぁ?なんでそそそこであいつがで、出てくるんだよ」ドキドキ 

 

戸塚「えっと、最近仲良さげだったから……八幡、大丈夫?」 

 

八幡「だ、大丈夫…」ドキドキ 

 

八幡(どうしちまったんだろ、俺は…) 

 

八幡「そもそも俺と人種が違うというか、カーストが違うというか」 

 

八幡「…優美子にとっては俺は雑用係としか思ってないんじゃないか?」 

 

戸塚「そうなのかな?でも雑用係なら名前で呼ばせないんじゃない」 

 

八幡「でも、それだと」 

 

八幡(それだと、優美子……否、三浦が俺に対して恋愛感情を抱いてると言うことに) 

 

八幡(恋愛感情は行き過ぎたか、友情か?………人とのコミュニケーションを取る事が少なかったから今の関係をなんと定義するのか分からんな) 

 

八幡「うーむ…」 

 

戸塚(八幡は、もしかして……) 

 

戸塚「ねぇ、八幡」 

 

八幡「ん?」 

 

 

 

結衣「んぐ…んぐ…、ぷはぁ!」 

 

雪乃「由比ヶ浜さん、はしたないわよ」 

 

小町「んっんっ…牛乳なんて久しぶりに飲みましたよ」ゴクゴク 

 

優美子「あーしも、小学生以来かな」 

 

海老名「私もだけど、私は小学生の頃1回飲んで具合悪くなったから。それ以来決まって牛乳残してたかな」 

 

結衣「姫菜好き嫌いあったんだ。なんか意外」 

 

海老名「えー、そんなことないよ~」ナハハ 

 

優美子「あーしちょっと単独行動させてもらうわ」 

 

結衣「なんか用でもあるの?」 

 

優美子「や、別に。でもさっき中庭があったから外の風に当たろうかなって思ってさ」 

 

結衣「そっか、じゃあまた後で」 

 

雪乃「晩御飯までには合流しましょ、食堂で待ってるわ」 

 

優美子「うん、またねー」スタスタ 

 

 

優美子「ふんふんふーん♪」テクテク 

 

優美子「八幡どこかな」テクテク 

 

優美子「あ、居た」 

 

優美子「おーい…ん、戸塚もいる」 

 

優美子「何話してんだろ」コソッ 

 

 

戸塚「ねぇ、八幡」 

 

八幡「ん?」 

 

戸塚「八幡は三浦さんのこと好きなんじゃないの?」 

 

八幡「いやいやいやいや、そんな訳……」 

 

優美子「えっ」 

 

戸塚「八幡って人が好きになったことあるの?経験が無いだけで今のその感覚が好きって事だと、ぼくは思う」 

 

八幡「ま、まぁ。」 

 

八幡(折本の時はその場の勢いだった気がするし、一理あるかもな) 

 

八幡「……仮に俺が優美子に惚れてたとして、俺には無理だ」 

 

八幡「俺はアイツほど見た目良くないし、ひねくれてるし。めんどくさい奴だぞ俺」 

 

戸塚「そうだね、でもそんな"面倒臭い八幡"をを許容することが出来るなら。きっと2人は本物になれるんじゃないかな」 

 

戸塚「八幡の欲しいものって何だっけ?」クスッ 

 

八幡「うっ…///…本物か…」 

 

戸塚「うん!ぼくは面倒臭い八幡もひねくれた八幡も優しい八幡も好きだよ!」 

 

戸塚「だからぼくらは本物の友達なんだよ…」 

 

八幡「…」 

 

戸塚「ぼくらは友達として、じゃあ三浦さんとは?」 

 

戸塚「友達で終われるのか、そうじゃないのか。決めるのは八幡だよ」ツンツン 

 

八幡「はぅ…頬をつつくなよ///」 

 

戸塚「あはっ、ついね」 

 

八幡「確かに俺は優美子の事が…」 

 

優美子(ちょ、…これあーしが聞いちゃダメな奴じゃ)ポロッ 

 

優美子「あっ、牛乳瓶が…」 

 

カラ---ン 

 

ゴロゴロ 

 

優美子・八幡「あ」 

 

戸塚「あ…」 

 

八幡「ゆ…み、三浦…」 

 

優美子「い、いやぁ、探したよ、八幡。こんな所で何してんのさ」 

 

八幡「…あ、あぁ…戸塚と世間話をな。お前こそ何してるんだ」 

 

優美子「あ、あーしは中庭に行こうとしてて…その…」 

 

3人「…」 

 

八幡(ちょっと、どうすんだこの空気) 

 

優美子(あれ。あーし、八幡に何話せば…) 

 

八幡(助けて~戸塚ァ…)チラッ 

 

戸塚「…」プルプル 

 

八幡(無言の優美子にビビってる…) 

 

優美子(あーし今まで八幡と何話したんだっけ) 

 

優美子「その…わ、私…じゃない。あーし中庭に行ってくるから。またね」スタスタ 

 

八幡「お、おう」 

 

八幡「…」 

 

戸塚「…」 

 

八幡・戸塚「…」 

 

戸塚「ご、ご飯って何時からだっけ」 

 

八幡「…何時だっけ」 

 

 

優美子「見ちゃいけないもの見ちゃった…」 

 

優美子(もしかして、八幡ってあーしのこと…) 

 

優美子「あーしも…」 

 

優美子「あーし…」 

 

優美子「あーしは八幡のことを…」 

 

結衣「おーい!優美子~」フリフリ 

 

優美子「ひゃあっ!?」ビクゥ 

 

海老名「おお?!」 

雪乃「わっ…!」 

結衣「わぁ!?びっくりした……どしたの?」 

 

優美子「な、なんでも」 

 

優美子「ところでどうして皆が」 

 

雪乃「時計を見なさい三浦さん、時間になっても来なかったから私達が迎えに来たのよ」 

 

優美子「あ、ほんとだ…」 

 

海老名「大丈夫?なんか調子悪いのかな」 

 

優美子「…ううん、あーしは大丈夫」 

 

雪乃「そう…」 

 

結衣「じゃあ行こっか!」

 

 

 

戸部「とりゃあ!」パシン 

 

隼人「隙ありだぞ!!」パシ-ン 

 

八幡「すげぇスマッシュだな」 

 

戸塚「うん、テニス部員に欲しいくらいだよ」 

 

戸部「お、ヒキタニ君と戸塚君じゃん?2人も卓球しにきたん?」 

 

八幡「あー、いや、そろそろ飯だと思うから食堂行こうぜ」 

 

隼人「確かにそろそろ時間………ってかなり遅れてるじゃないか」 

 

八幡「え?そうなのか?」 

 

隼人「思いのほか、時間を忘れるほど卓球にのめり込んでしまった。俺としたことが…」ショボン 

 

戸部「動いてお腹空かせた方がご飯美味しくなるし別にいいっしょー」 

 

八幡「とりあえず食堂に向かうか」 

 

戸塚「だね」 

 

※※※※※※※※※ 

 

食堂 

 

小町「みんな遅いなぁ…」 

 

ゾロゾロゾロ 

 

小町「お、来た」 

 

小町「もぉ!ごみぃちゃん遅い~ご飯出来て待たせてるよ」 

 

八幡「あぁ、すまんすまん」 

 

隼人「ごめんね、小町ちゃん待たせちゃって」 

 

小町「いえいえ!大丈夫ですよ!」ニコッ 

 

八幡「俺と扱い違くないですか…」 

 

小町「だって、お兄ちゃんはごみぃちゃんだもん」 

 

八幡「なんだその理論、今のは八幡的にポイント低いぞ~」 

 

小町「えー、でも小町的にはポイント高いんだけどなぁ」 

 

戸部「仲良くて羨ましいべ~、俺も兄弟とか欲しくなってきたわ~」 

 

戸塚「小町ちゃんと八幡見てるとホッコリするね」 

 

葉山「なんか普段のヒキタニくんのキャラとギャップがあるな」 

 

八幡「小町、戸塚以外とは関わっちゃダメだぞ、男は皆けだものだ。」 

 

葉山「おいおい、ヒキタニ変な事を言うなよ」 


戸部「俺ケダモノか~、ライオンがいいなぁ」 


戸塚「僕男の子なんだけど」 

 

雪乃「小町さん、待たせたわね」スタスタ 

 

結衣「ごめんねー」スタスタ 

 

小町「おかえりなさいです!」 

 

小町「すみませーん、お膳の方お願いします~」 

 

結衣「それでね~」 

 

雪乃「そうなのね」ニコ 

 

海老名「攻め受けっていうのはね、男同士の…」 

 

小町「なるほどぉ、勉強になります…」 

 

戸塚「葉山君、テニス部に入らない?」 

 

隼人「テニスか~」 

 

戸部「いやいや!隼人くんサッカー部だべ!」 

 

ワイワイガヤガヤ 

 

八幡「…」モグモグ 

 

優美子「…」モグモグ 

 

八幡「…」チラッ 

 

優美子「…」チラッ 

 

八幡・優美子「っ」サッ 

 

結衣「ねー!優美子!」 

 

優美子「え?何が?」 

 

結衣「だから、優美子が授業中に出したちっさい加湿器の話だよー」 

 

結衣「もう、すんごいモクモクしてたんだから」 

 

雪乃「そ、その話は何十回も聞いたわ由比ヶ浜さん…」 

 

結衣「あれ?そうだっけ、ごめんごめん私忘れっぽいから」アハハ 

 

戸部「あんれー、優美子とヒキタニ君喋らなくね?」ヒソヒソ 

 

葉山「なんかあったのかな、ついさっきまでは普通だったんだけど」ヒソヒソ 

 

八幡「…」モグモグ 

 

小町「…」ジ- 

 

海老名「小町ちゃんにはあとで私の本貸してあげる♪」 

 

小町「あ、はい!ありがとうございます」 

 

海老名「愚腐腐、腐教完了…あ、鼻血が」 

 

雪乃「あっちの方からまがまがしい空気が漂って来てるわね…」ゾワッ 

 

優美子「ほ、ほら海老名擬態しろし」フキフキ 

 

海老名「うん、優美子ありがと」 

 

八幡「…」 

 

※※※※※※※※※※

 

結衣「お腹いっぱい~」 

 

八幡「由比ヶ浜、お前食いすぎだ。てかお前ってあんなに食っても太らんの?」 

 

結衣「ふぇ?ヒッキーのばか!いつもあんなに食べる訳ないじゃん!」 

 

八幡「しかしあの食いっぷりはスゴかったぞ。大食いでもやれば?」 

 

雪乃「早食いなんかもいいわね」 

 

結衣「2人して…もう怒ったよ!」 

 

結衣「それ!こちょこちょ~」コチョコチョ 

 

雪乃「ひゃ、由比ヶ浜さn、ちょっと…ふふふ、くすぐっ…たいわ」プルプル 

 

結衣「ヒッキィ…」ジィ 

 

八幡「ちょ、落ち着け由比ヶ浜!」 

 

結衣「こちょこちょ~」ムギュ 

 

八幡「わっ!ははははっ!くすぐてぇ…はは!…から」プルプル 

 

結衣「ふふん、参ったか」ドヤァ 

 

八幡・雪乃「まいりました「まいったわ」」 

 

海老名「おーい、結衣~雪ノ下さん~部屋戻るよー」 

 

結衣「あーん、待ってよー」 

 

雪乃「それじゃあ比企谷くんおやすみ」フリフリ 

 

結衣「おやすみ!」フリフリ 

 

八幡「おう、お疲れさん」フリフリ 

 

 

優美子「八幡…、ちょっと」トントン 

 

八幡「お、おう、優美子か」 

 

優美子「あんさ…、ちょっと出ない?」 

 

 

八幡「…いいぞ」 

 

 

ザザ-ン 

 

八幡「…」ザッザッ 

 

優美子「…」ザッザッ 

 

八幡「なんだよ、こんな所まで来て」ザッザッ 

 

優美子「うん」ザッザッ 

 

八幡「まさか告白でもする気か」ザッザッ 

 

優美子「…そうかも」ピタッ 

 

八幡「ふぇ!?」ビクッ 

 

優美子「…あーしの依頼覚えてる?」 

 

八幡「まぁ」 

 

優美子「隼人とのデートの練習……だったよね」 

 

優美子「その依頼もう終わりにするわ」 

 

八幡「でも、…俺は…」 

 

八幡「…いや」 

 

八幡(なにが"でも"だ。依頼主の優美子が決めたのなら従うべきだろ…) 

 

八幡(俺は名残惜しいのか、三浦優美子との関係が) 

 

八幡(仕方なくやってた依頼だったじゃないか) 

 

優美子「だから、隼人のことは諦める」 

 

八幡「え?」 

 

優美子「この間、海に行く前、冗談であーしと付き合うって言ったっしょ?」 

 

優美子「それに八幡、"俺は隼人の代用品か"って言ったじゃん」 

 

優美子「だから、八幡にあーし個人的な依頼だから聞いて欲しい」 

 

八幡「優美子…」 

 

優美子「あーしと付き合って」 

 

八幡「…」 

 

八幡「本当に俺なんかでいいのか?」 

 

優美子「八幡だからいいんだし」 

 

八幡「俺面倒臭いし、ひねくれてるし、目とか腐ってて葉山みたいにカッコよくないぞ?」 

 

優美子「今の八幡は充分イケメンじゃん、まぁそのなに?面倒臭い所とか含めて好きって事じゃん…」 

 

優美子「あーし、返事は待たないよ」 

 

優美子「今決めな」 

 

 

八幡「色々いきなりで戸惑っては居るんだが…」 

 

優美子「うん」 

 

八幡「よ、よろひくおねぎゃい…」 

 

八幡(噛んだ…) 

 

優美子「ふっ…ふふっ…」 

 

優美子「あはははははは!」 

 

八幡「おい笑うなよ、俺も緊張してるんだから」 

 

優美子「ここでキョドる?普通、あははは」プルプル 

 

八幡「やり直してもいい?」 

 

優美子「うん」フフッ 

 

八幡「まぁ、なんだ。よろしく頼む」 

 

優美子「うん、頼まれました!」 

 

優美子「てか、ごめん。さっきの戸塚との話聞いてたし」 

 

八幡「さいで、分かってたけど」 

 

優美子「戸塚の話聞いて先急いじゃったかも」 

 

八幡「先急ぐ事は悪いことじゃない、ほら学校の先生とか5分前集合しなさいって言ってただろ?」 

 

優美子「意味わかんないし」 

 

八幡「…さて、旅館の方戻ろうぜ」 

 

優美子「うん、あ、結衣達に話した方いいかな?」 

 

八幡「いや、まだ言わない方がいいんじゃないか?」 

 

優美子「そっか」 

 

八幡「それじゃあ」フリフリ 

 

優美子「うん」 

 

優美子「あ、八幡」 

 

八幡「ん?」 

 

優美子「おやすみ!」フリフリ 

 

八幡「あぁ、おやすみ」 

 

 

男子部屋 

 

八幡「うーす」ガラ 

 

戸塚「あ!八幡」 

 

戸部「ヒキタニくん遅いべ~枕投げの準備してたんだけど~」 

 

八幡「枕投げって、やらんぞ俺は寝る」 

 

戸部「ええー!早くね?夜はまだまだこれからだって!」 

 

隼人「バイトで疲れたんだろ?それじゃ、俺も寝かせてもらおうかな」

 

戸塚「だね、ふわぁ…おやすみ」スヤァ 

 

戸部「んもー、しゃーね俺も寝るべ」 

 

戸部「おやすみ」パチッ 

 

 

こうして俺、比企谷八幡は三浦優美子と付き合う事になった。 

なぜ付き合う事を選んだかというと、単純に三浦優美子がどんな人間なのか見てみたいと思ったからだ。この数日で俺は彼女に惹かれた。そしてこれからも惹かれてみたいと思う。 

これから比企谷八幡と三浦優美子の交際が始まる訳だ。いい加減プロローグはこの辺にしよう。 

 

※※※※※※※※※※※

 

八幡「おーい、戸塚起きろ」 

 

戸塚「むにゃむにゃ…」ゴロ-ン 

 

八幡「くっ…///」 

 

隼人「もう起こさない方がいいと思うな///」 

 

隼人(寝顔もっと見たいし) 

 

戸部「それ賛成だべ…///」 

 

戸部「戸塚くんマジで普通の女の子より可愛いし、もう付き合っちゃおうかな」 

 

隼人「いや、俺が…」 

 

戸部「隼人君が出てきたら勝ち目無いべ、ここは俺に譲ってくれよ~」 

 

隼人「ダメだ、これは絶対譲れない」 

 

八幡「馬鹿やってないで起こすぞ」 

 

隼人・戸部「え?」 

 

八幡「な、なんだよ」 

 

隼人「いや、いつもなら"俺が戸塚と付き合うべきだ"ってキメ顔で言うと思って…」 

 

戸部「どこか頭打ったんじゃ」 

 

八幡「いや、頭打ってないし。てかキメ顔なんてしないし」 

 

八幡「そうかいつもの俺はそんな感じだったか」 

 

戸塚「…うーん」 

 

戸塚「あ、おはよ…」カクンカクン 

 

八幡「随分眠そうだが」 

 

戸塚「大丈夫、ぼくいつもこんな感じだから」 

 

「おーい、ヒッキー?隼人くん、とべっち彩ちゃん?みんな起きてる?」トントン 

 

隼人「すぐ行くよ」 

 

八幡「先に行って待っててくれ」 

 

「わかったー!」 

 

八幡「着替えるか…」 

 

隼人「…」ジ- 

 

八幡「なんだよ、人の体ジロジロ見て」 

 

隼人「いや昨日の風呂でも思ったんだけど、ヒキタニくんって着痩せするタイプなんだなって」 

 

八幡「お前海老名さんの洗脳にあったんじゃ……」 

 

隼人「ちが…」 

 

戸塚「うわぁ」 

 

戸部「隼人君…」 

 

隼人「違うって!」アワアワ 

 

 

結衣「おっそいなぁ」 

 

隼人「ごめん、遅くなった」 

 

雪乃「まったく…」 

 

優美子「まぁいいし、いこ」 

 

海老名「だね、今日1日楽しも!」 

 

八幡「あ、海老名さん実はな…」 

 

海老名「ん~?」 

 

八幡「ゴニョゴニョ」 

 

海老名「え?!ほんと?!」ブシャアアアア 

 

隼人「…まさか」 

 

海老名「…隼人君を見る目変わっちゃうかも、愚腐腐」 

 

隼人「…何言ったんだ」 

 

八幡「くくく、さっきの事だよ」ニヤニヤ 

 

隼人「おいおいヒキタニ、 勘弁してくれよ」 

 

海老名「さあ、隼人君こっち来て語ろうよ!」 

 

隼人「はは、 遠慮するよ」 

 

 

ビーチ 

 

八幡「……今なんつった?」 

 

優美子「オイル塗れし」 

 

八幡「いやだ」 

 

優美子「はぁ!?なんでだし!」 

 

八幡「だって素肌に塗るんだろ?」 

 

優美子「そうだけど?」 

 

八幡「お前の肌触ったら、鼻血出る…多分」 

 

優美子「大丈夫だって、ほらこの間泊まりに行った時あーしのこと抱いてたじゃん?」 

 

八幡「ばか!」 

 

雪乃「え?」 

 

結衣「えええええ!!」 

 

八幡「いやその」 

 

優美子「いいから塗れし、戸部で妥協したくないし 」 

 

戸部「おっふ…」 

 

八幡「戸部?大丈夫か?」 

 

八幡「仕方ねぇな…、ってオイルの種類多くね、4つとかあるんだけど。どれ使うんだ?」 

 

優美子「その黒いフタのやつ」 

 

八幡「あいよ」カポッ 

 

八幡「…」ドロォ 

 

八幡「…」ヌチャア 

 

八幡「い、いくぞ?」 

 

優美子「う、うん」

 

優美子「ひぃ…///ちょ!変な触り方しないでよ!」 

 

八幡「いや、変な触り方って!どう触ればいいんだよ」 

 

優美子「いや、手とか指を広げて…」 

 

八幡「こうか?」ヌチャア 

 

優美子「ひゃう!だからそうじゃないっての///」 

 

八幡「わかんねぇよ」 

 

優美子「へんたい、セクハラだし」 

 

八幡「理不尽だろ…」 

 

優美子「そ、そういう事は二人っきりで……」ボソッ 

 

八幡「ん?」 

 

優美子「はぁはぁ…、なんか変な感じになっちゃった…結衣代わりに塗って…」 

 

結衣「はーい」ヌリヌリ 

 

優美子「そうそう、結衣上手いすぎ」 

 

結衣「あはは、ヒッキーにはハードルが高かったんだよ」 

 

優美子「そうかなぁ」 

 

 

結衣「優美子ってさ、ヒッキーの事好きなの?」ヒソヒソ 

 

優美子「うん」 

 

結衣「やっぱ、そうだよね」 

 

結衣「ゆきのんも優美子も可愛いから私の付け入る隙がないよ」ボソッ 

 

優美子「…」 

 

優美子「結衣の事はあーしが塗ってあげるよ」ムク 

 

結衣「やったー!ありがとー」 

 

優美子「ほら、結衣も可愛いじゃん」ナデナデ 

 

結衣「え?んふふ、ありがと…」 

 

 

戸部「ヒニタニ君!」 

 

八幡「なんだ」 

 

戸部「女子の、優美子の肌どうだった?」ヒソヒソ 

 

八幡「は、はぁ?何だよいきなり」ヒソヒソ 

 

隼人「戸部~、そんなこと聞くもんじゃないぞ」 

 

戸部「だってぇ、隼人君も気になるべ~?」 

 

隼人「そんなこと無い///」カァ 

 

戸部「隼人君むっつりだもんな~」 

 

隼人「うるさいっ」ベシッ 戸部「べっ」 

 

戸部「んで?どうだったんよ」 

 

八幡「緊張しすぎて覚えてない」 

 

戸部「えー?ホントかよー」 

 

八幡「ホントだっての…」 

 

隼人「覚えてないなら仕方ないな…」 

 

八幡「何ガッカリしてんだよ」 

 

隼人「が、ガッカリなんてしないぞ」 

 

優美子「んー、何話してるし?」 

 

隼人・戸部「いや!なんでもないよ!(べ!)」 

 

結衣「ゆきのーん!水着姿も可愛いよー!」ギュッ 

 

雪乃「…」ジー 

 

結衣「わっ、めっちゃ胸見てるし!?」 

 

雪乃「私、牛乳の効果…出てるかしら…」チラッ 

 

海老名「そんな早く効果が出るわけないけど…」 

 

小町「奇跡的な効果を期待してたんですね…小町もだけど…」 

 

戸塚「わー!皆の水着可愛いね!」 

 

雪乃「そうかしら…」チラッ 

 

八幡「ふぁ~…」 

 

雪乃「ひ、比企谷君どうかしら?」ドキドキ 

 

八幡「…いいんじゃないか?似合ってるぞ」 

 

八幡(一緒に買いに行った時も見たが、雪の下自身が着るとまた違って感じる) 

 

結衣「ヒッキー私も!」ドーン 

 

八幡「お、おおう」 

 

八幡(デカい大きい素晴らしい) 

 

優美子「…」ジー 

 

八幡「わ、わりぃ」 

 

優美子「あーしも…」 

 

八幡「へ?」 

 

優美子「あーしの水着も感想言えし」 

 

八幡「うーん」 

 

優美子「なにさー、あーしの水着にはなんも感じないわけ?」 

 

八幡「なんて言えばいいか」 

 

八幡「…照れ臭いな///」フイッ 

 

優美子「"似合ってる"とか"綺麗だね"とか、普通な感想言ったら殴るし」 

 

八幡「なんでだし?!」 

 

優美子「もっと凝った感想を言いな、仮にもあんたあーしの彼s…」 

 

八幡「おい」 

 

優美子「ごほんごほん…ほら、感想言えし」 

 

八幡「えーと、滑らかな曲線が美しい……出る所は出てて、その柔肌に少々、水着がくい込み…」 

 

優美子「やっぱ変態じゃん!」ペシッ 

 

八幡「いてっ、凝った感想なんて分かんねぇ…」 

 

 

DQN「ん?」 

 

DQN2「どうした?」 

 

DQN「あそこにいる女共、昨日俺を投げ飛ばした奴じゃねぇか」 

 

DQN2「あー昨日言ってたヤツか」 

 

DQN3「女に投げられるとは、お前も落ちたな」ケラケラ 

 

DQN「うっせー、油断したんだ。クソ呑気に遊びやがって」 

 

DQN3「どうする?やっちゃうか」 

 

DQN「あの女、黒髪ロングの貧乳。あいつには気をつけろ」 

 

DQN2「なんでだよ」 

 

DQN合気道使えるっぽい」 

 

DQN2「ふーん、それで投げられたのか」 

 

DQN3「おっけー、じゃあお前がナンパ失敗した女どいつだ?」 

 

DQN「ああ、それはあの金髪の」 

 

DQN3「あいつ1人の時に拉致るか」 

 

DQN「くくく、覚悟しろよ」ニヤ 

 

 

優美子「さ!泳ご~」 

 

結衣「ゆきのんもおいでよ~」グイ 

 

雪乃「わかったから引っ張らないで、痛いわ」 

 

結衣「じゃあ抱く」ギュ- 

 

雪乃「何がじゃあなのかしら」 

 

優美子「じゃあ、あーしも」ギュッ 

 

雪乃「ちょっと?三浦さん?」 

 

海老名「雪ノ下さん人気だなぁ…」 

 

海老名「じゃあ私も…」ワキワキ 

 

雪乃「なぜ手をワキワキさせてるのかしら」 

 

海老名「ぐふふふ…」ワキワキ 

 

結衣「ゆきのんは私が守る!」ガバッ 

 

海老名「きゃー!」 

 

八幡「百合だな」 

 

隼人「目の保養だ」 

 

戸部「ゆ、百合ってなんだべ」 

 

八幡「戸塚も行ってこい」 

 

隼人「確かに」 

 

戸塚「ぼく男だよ?セクハラになっちゃうよ」 

 

戸塚「それにぼくも見てる側がいい」 

 

八幡「昨日の風呂、あんな事になってたんだな」

 

戸塚「えーい」バシャッ 

 

隼人「やったなー」バシャッ 

 

戸部「よっと」 

 

隼人「なんだ!?戸部お前、俺を持ち上げて何を?」 

 

戸部「どりゃあ」ザブ-ン 

 

隼人「ぶはあ!この海深いっ…!」 

 

戸部「俺の鼻に海水がああ」 

 

優美子「なにそれバカじゃないの」アハハハ 

 

結衣「ぷっ…ふふふっ、戸部っちの髪がワカメみたいになってる…」

 

雪乃「というか、本当にワカメ付いてる…」 

 

戸部「ワカメが髪に絡まったんだけどぉー」 

 

隼人「自業自得だよ、お返しだ!」ザブン 

 

戸部「ちょま、隼人君ちょm…」ザブン 

 

隼人「ぷはっ、思い知ったか」 

 

戸部「ぷはっ、……え?」 

 

隼人「ど、どうした戸部…?」 

 

戸部「なんだこれ」ブラ-ン 

 

隼人「ん、パンツ、トランクスタイプの水着だな……」 

 

隼人「!?…///」バッ 

 

戸部「ん?」 

 

隼人「それ俺のだ!返せ!」 

 

海老名「キマシタワア」ブシャアアア 

 

結衣「ヒッキー」 

 

八幡「なんだ?」 

 

結衣「ヒッキーは泳がないの?さっきからずっとパラソルの下に居るし」 

 

八幡「誰かが荷物番してないと危ないだろ」 

 

結衣「私が代わろうか?」 

 

八幡「別にいい、あっち行けよ」 

 

結衣「あ、もしかしてヒッキー泳げないの?」 

 

八幡「そ、そんなわけ…」ドキッ 

 

結衣「せっかく海に来たのに勿体ないよ~」 

 

八幡「…」 

 

結衣「…やっぱり泳げないの?」 

 

八幡「泳げないわけじゃないけど、水泳は得意じゃないんだ」 

 

雪乃「貴方、海で泳いだ経験はあるかしら?」 

 

八幡「雪ノ下か…、無い」 

 

雪乃「海水は真水より浮きやすいのよ、知らないの?泳ぎやすいわよ」

 

八幡「そうなのか」 

 

雪乃「騙されたと思って行ってみたら?」 

 

八幡「でも荷物が」 

 

雪乃「荷物なら私が責任を持って番をするわ」 

 

結衣「ゆきのんがここに居るなら私も荷物番するね!」 

 

雪乃「そうね、由比ヶ浜さんと雑談でもしていようかしら」フフ 

 

八幡「じゃあ、頼むわ」ザッザッ 

 

八幡「…」スイ- 

 

八幡(本当に浮きやすいんだな…、水面から上、水が浸かってない部分には太陽の光が当たって暖かい) 

 

八幡「ふぁ…」プカプカ 

 

戸塚「八幡なにしてるの?」 

 

八幡「なにも、ただ浮いてるだけだ」 

 

戸塚「それ楽しいの?」 

 

八幡「やってみるか?」プカプカ 

 

戸塚「やってみる」 

 

戸塚・八幡「ふぁ…」プカプカ 

 

戸部「何してんのヒキタニ君に戸塚君」 

 

八幡「ん、浮いてるだけだ」プカプカ 

 

戸部「へぇ、それって楽しいん?」 

 

八幡「自然と一体化してる感じがして気持ちいいぞ」プカプカ 

 

戸塚「戸部君もどう?」プカプカ 

 

八幡・戸塚・戸部「ふぁ…」プカプカ 

 

隼人「俺がジュース買いに行ってる間に何があったんだ」 

 

八幡「何も無いぞ、浮いてるだけ…」プカプカ 

 

隼人「完全に脱力状態だな」 

 

戸部「隼人くんもやってみ、まじ心地いいから」プカプカ 

 

戸塚「大海原を漂う丸太の気分…」プカプカ 

 

隼人「ふむ…じゃあ俺も。力を抜いて」ダラ-ン 

 

4人「ふぁ…」プカプカ 

 

 

女「キャー!あそこに漂流死体が~!」 

 

キャ-キャ- 

ワ-ワ- 

 

※※※※※※※※※※※※ 

 

八幡「ただ浮いてただけなのに、なんで叱られるんだ…やはり俺の海水浴は間違っている」 

 

隼人「まさかあんな事になるなんてね」ハハハ 

 

戸部「めちゃくちゃ目立ってチョー恥ずかしかったべ~…」 

 

雪乃「恥ずかしかったのは私たちの方だわ…」 

 

優美子「ホントそれ、おかげで一緒に目立ったし」 

 

海老名「子連れのお母さんが子供に『見ちゃいけません!』って言っててショックだったなぁ………」 

 

男性陣「ウッ」 

 

結衣「ま、まぁ、悪気は無かったみたいだし!」 

 

小町「そうですね!気を取り直して昼ご飯でも行きましょう!」 

 

※※※※※※※※※※※※※ 

 

八幡「肝試し?」 

 

戸部「そーそー!森の方に戦時、アメリカ兵の爆弾を受けて日本兵がいっぱい死んだ所があるんだけど」 

 

そこは簡易的なお墓がいっぱい並んでてさ~、親父と叔父さんが子供の頃に近くに住んでた友達を連れて一緒に肝試しをしたんだって。お墓とお墓の間に1本の道があるんだ、その道を真っ直ぐ行くと"中岡さん"っていう人のお墓があってそこに御札を置いて戻ってくる。 

 

友達数人は無事に戻ってきて「やっぱりただの墓地だった、何でもなかったぜ」という。 

 

そして、親父と叔父さんの番が来て… 

 

 

戸部父「ね、ねぇ、本当になんにも無かったのかな…」 

 

叔父「わっ、大っきい水溜まりが…」 

 

戸部父「驚かすなよ~」 

 

フラフラと墓地の一本道を進む2人。そして、"中岡さん"のお墓に到着する。 

 

戸部父「御札もってきた?」 

 

叔父「うん」 

 

戸部父「これ置いて、帰るんだな…なんだ思ったより簡単じゃん!やっぱり幽霊なんて嘘…っ」 

 

叔父「うわああああ!!」ダッ 

 

戸部父「なん!なんだ!ちょっと待てよ!」ダッ 

 

※※※※※※※※※※※※ 

 

戸部父「ハァハァ…何でいきなり走るんだよ」 

 

叔父「誰かに足を握られたんだ」 

 

戸部父「そんなのある訳ないだろ」 

 

叔父「でも、ほら」 

 

戸部父「!」 

 

戸部「叔父さんの足には握った跡がくっきり残ってたそうだ…」 

 

 

結衣「ふぇぇぇ…」フルフル 

 

八幡「絶対行きたくない…」 

 

隼人「そうだね……夜に森に入るのも危険だし」 

 

雪乃「そ、そうね。危ないわ」 

 

優美子「ふーん、雪ノ下さん怖いんだ?」ニヤ 

 

雪乃「そんなわけないじゃない?貴女こそ震えてるわよ?」 

 

優美子「ちが、貧乏ゆすりだし!」 

 

雪乃「へぇ」 

 

優美子「なによ!」 

 

海老名「まぁまぁ優美子ムキにならいの」 

 

優美子「分かった……それじゃあ皆で肝試し行こ」 

 

雪乃「そうね、同感だわ」 

 

優美子「そこで決着をつけるし!」 

 

雪乃「受けて立つわ、かかって来なさい」 

 

小町「お兄ちゃーん小町怖い~」 

 

八幡「はいはい、お兄ちゃんが守ってあげますよ~」 

 

戸塚「うわぁ…肝試しかぁ……楽しみだねっ!ね!八幡」 

 

八幡「ああ!そうだな!」キリッ 

 

戸部「それじゃあ、けってーい!」 

 

戸部「ということで、皆これ引いて~」 

 

結衣「なにこの紐?」ムム 

 

戸部「くじ引きに決まってるっしょ!この紐の先端に色がついてて色分けでペア組んでもらうんよ~」 

 

雪乃「肝試しって、大体一人でやるのが定番ではなかったかしら?」 

 

隼人「そんな事もないと思うけど、でも、一人行った方怖いんだろうな」 

 

海老名「きっととべっち1人だと怖いんだよ」 

 

海老名「それより!、隼人くんかヒキタニくんのどちらかにとべっちペア当たるといいなー!」 

 

海老名「暗闇の中2人のナニがナニして…腐腐腐」 

 

八幡「まぁ、一人で行くのは危ないし丁度いいんじゃないか?」 

 

雪乃「それもそうね」 

 

小町「それじゃあ誰から引きますー?」 

 

優美子「まぁここは公平に、ジャンケンでいいんじゃない?」 

 

『ジャンケンポン!』 

 

八幡「俺からか、………青」 

 

雪乃「次は私ね、………緑ね」 

 

戸塚「僕の番だね!うーんと……赤だよ」 

 

結衣「よーし!次は私っ……緑!やったー、ゆきのんと一緒だー!」 

 

海老名「あ、赤、私戸塚くんと一緒だー」 

 

小町「小町は黄色です!」 

 

隼人「俺も黄色だな、よろしくね小町ちゃん」ニコッ 

 

八幡「小町、もしコイツに変な事されたら大声出すんだぞ。お兄ちゃんが駆けつけてやるから」 

 

小町「それは流石に、シスコン過ぎるよごみぃちゃん」 

 

優美子「あーしは………青か八幡とペアだし」 

 

戸部「よし!俺の番だべ!…ほい!……ってあれ、色ついてない」 

 

八幡「今いる人数9人だから1人だけハブになるな…」 

 

戸部「という事は……俺一人で行くの!?」 

 

隼人「そうだな」 

 

戸部「無理無理無理!まじっべーって!ホントにっべーて!隼人君マジ着いて来てくれよぉ~」 

 

隼人「いや、でも俺ヒキタニ君の妹さんとペアだし」 

 

優美子「往生際が悪いよ戸部~、諦めなって」 

 

戸部「まじっべーわ!」 

 

雪乃「やれやれね…」 

 

八幡「ほう、ここか……結構雰囲気あるな」 

 

優美子「ガチで怖いんだけど…」 

 

隼人「いかにも、って感じだな」 

 

戸部「お、俺生きて帰れるかな」 

 

海老名「もー、とべっち考え過ぎだよ~?」バンバン 

 

結衣「ゆきのんは私が守ってあげるからね!」ギュッ 

 

雪乃「うわっぷ…ゆひがひゃまひゃん、くるひいわ」 

 

八幡(由比ヶ浜の胸に雪ノ下の顔が……百合だ) 

 

優美子「えい!」ゲジッ 

 

八幡「痛った!?優美子さん?蹴らないで?」 

 

優美子「うっさいし!ほら行くよ!」グイッ 

 

八幡「おっと、おい、くっつきすぎだ」 

 

八幡(色々と当たってるんですが)

 

 

DQN「おい、準備はいいか?」 

 

DQN3「おっけー」 

 

DQN2「こっちも問題ない」 

 

DQN「よし、行くぞ」 

 

DQN(今行くぞ金髪女、ククク…)

 

 

八幡「……」 

 

優美子「……」キョロキョロ 

 

八幡「結構歩いたな…」 

 

優美子「うん…」 

 

ガサガサ 

 

優美子「きゃっ!」グイッ 

 

八幡「うおっ!?」 

 

優美子「何今の……?」ギュッ 

 

ムニィ 

 

八幡(胸が当たってますよあーしさん?/////) 

 

八幡「わ、分からん。多分野生の動物だろ……?」 

 

優美子「得体の知れない奴が1番怖いし!」ウルウル 

 

八幡「大丈夫さ……多分…きっと…」 

 

優美子「頼りないし……」

 

優美子「早く御札を置いてすぐ帰ろう?」スタスタ 

 

八幡「おい、そんなに急ぐと危ないぞ」ガシッ 

 

優美子「!/////」 

 

八幡「危ねぇ、ほら、そこ。結構な段差になってるぞ」 

 

優美子「ありがと/////」 

 

八幡「全く…、幽霊なんて居ないから安心しろ」 

 

優美子「八幡それフラグっぽくない?」 

 

八幡「俺らはここから生きて帰るんだ」キメガオ 

 

優美子「だからフラグやめろし!」ベシ 

 

八幡「いてっ」 

 

ガサガサ… 

 

八幡・優美子「!?」 

 

優美子「ほら!やっぱフラグじゃん!」 

 

八幡「そんなはずは……」 

 

ガサガサガサ… 

 

八幡「そこに誰かいるのか?」 

 

ドスッ 

 

八幡「?!」ガクッ 

 

優美子「え?…ちょっ、八幡大丈夫?!」 

 

八幡「っ……なんだお前ら」 

 

DQN「なんだとはなんだ、もやし野郎」ニヤ 

 

八幡(こいつら、昨日の…さっきの物音はこいつらのだったのか) 

 

優美子「急に人を殴るなんて、……ってあんたは」 

 

DQN「忘れてたなんて感心しないねぇ…投げ飛ばされた俺はとんだ恥をかいたってのによぉ?」 

 

優美子「あれはアンタらが悪いからでしょ!」 

 

DQN「あぁん?知ったこっちゃないね、俺はただお前らが気に入らないだけだ」

 

優美子「なにそれ………あーし達を捕まえてをどうする気?」 

 

DQN「……ちょっとお仕置きをするだけだ。安心しろ。もやし野郎のそいつには手は出さない」 

 

DQN「そいつが何かしない限りな」 

 

DQN2「まぁ、俺達も何するかまだ決まってないんだが、こういう時はお約束ってのがあるだろ?」 

 

DQN「エロ展開ってやつか」クックックッ 

 

DQN3「俺からヤっていい?ほらこんなの持ってきたんだけど」 

 

DQN2「エッグ、お前そんなの入れるのかよ」 

 

DQN3「このバッグにまだ色々入ってるぜ?」 

 

DQN2「うっわ!何だよ、この怪しい白い粉」 

 

DQN3「知り合いから貰ったやつ、それキメるとどんな女もチョロいから」 

 

DQN「ばーか焦るなよ、まずはヤキを入れないとな」 

 

DQN「つーことで、おい、女」グイッ 

 

優美子「痛っ……、ちょっと髪引っ張んないで!」 

 

DQN「立場わきまえろって、このくらいで痛いとか言ってられないから」グイイ 

 

優美子「っ!痛いっつってんでしょ!」バシッ 

 

DQN「……」 

 

DQN「何すんだこの女!」ブン 

 

優美子「ひっ!」 

 

八幡「まずい…」バッ 

 

八幡「~っ!」バキッ 

 

優美子「八幡…あんたあーしを庇って…」 

 

八幡「だ、大丈夫だ。いいか、俺がコイツらを抑えてる間に一旦逃げろ、人呼んできてくれ」コソコソ 

 

優美子「でも、それじゃあ八幡…」コソコソ 

 

八幡「大丈夫、何も殺されるわけじゃないんだから」 

 

八幡(と、言っても森の中で未成年を犯そうとしてる連中だ。まともなのかもどうか分からん…、というか普通に怖い) 

 

DQN「この野郎、そこのクソアマ殴らせろよ!」バキッドカッ 

 

八幡「うっ!ぐふっ」 

 

DQN2「まぁまぁ、落ち着けってそんなにボコしたら気絶しちゃうよ」 

 

DQN2「すぐに気を失うなんてつまんねーだろ?」フフフ 

 

DQN3「じゃーんスタンガーン」バチバチッ 

 

DQN2「ほんと色々持ってきてんのな、お前の将来不安だわ。あ、電圧は下げとけよ?上げすぎたらそれこそ、気失うから」 

 

DQN3「はーい!」バチバチバチ 

 

八幡「ぐううう!」バチバチ 

 

八幡「この!」バッ 

 

DQN3「離されちゃった…」 

 

八幡(スタンガン痛え、電圧下げてもこんなに痛いのかよ…) 

 

八幡(だけど今は優美子が逃げれる隙を作らないと………) 

 

八幡「へっ……お前、こんなもやし野郎に力負けしたのかよ」 

 

DQN3「あん…?」ピク 

 

八幡「いやぁ、最初ビビったけど案外そうでも無いんだなぁ」 

 

八幡「お前ら3人まとめて相手してやるよ」 

 

DQN「チッ……ほざいてろ、おい2人でこいつ抑えるぞ!」ガシッ 

 

DQN2「大人しくしろ」ガシッ 

 

DQN3「電圧最大にしたぞ。さっき言ったこと後悔させてやるよ」バチバチ 

 

八幡(まず、俺が3人を相手にして喧嘩で勝つなんてまず不可能。だが、煽った事でこの3人を俺に注目させることが出来た。……後は) 

 

DQN3「おら!」バチバチバチ 

 

八幡「うううう!!」バチバチ 

 

八幡「くっ!!」ガシッ 

 

DQN3「なんだこいつ、いきなり俺の服を掴んで」バチチチ 

 

八幡「逃げろ!優美子!」バチチチチ 

 

優美子「!」ダッ 

 

DQN「はぁ?!おい!スタンガンなんかいいから追っかけろ!」 

 

DQN3「いや、でもこいつが離さないから、くっそ!」グイッグイッ 

 

八幡「ううう!」バチバチバチ 

 

八幡(まずい、気絶しそうだ。だけど今こいつの服を離したら優美子が危ない) 

 

八幡「まだだ…」グイッ? 

 

DQN3「もういいから、気絶しろよ!」バチバチバチ? 

 

DQN「チッ……俺が行く!」バッ? 

 

八幡「行かせるか…」ギュッ? 

 

DQN「離せ!この!」? 

 

DQN「くそ!くそ!もう追いつかねぇぞ!どうすんだよ!」? 

 

DQN2「ここは逃げよう、通報されたら厄介だ。」ダッ? 

 

DQN3「なんか後味悪いなぁ」ダッ? 

 

DQN「…顔覚えたからな」ダッ? 

 

八幡「……」? 

 

八幡(あいつら行ったのか……) 

 

八幡「……体が動かんし、痺れてる」 

 

八幡「……」 

 

 

優美子「はぁ…はぁ…」タッタッタッ 

 

雪乃「あら…?」 

 

結衣「優美子どうしたの?」 

 

戸部「もしかして幽霊見た?見たんしょー?」 

 

優美子「それ所じゃ……ゴホゴホッ…はぁはぁ…」 

 

雪乃「何があったの三浦さん」 

 

優美子「八幡が…はぁはぁ…昨日ナンパして来たやつに襲われて……」 

 

雪乃「!…それで比企谷君はどこにいるの?!」 

 

優美子「私を庇ってまだ森の中に…ひっぐ…」ポロポロ 

 

優美子「えっぐ……助けて雪ノ下さん」ポロポロ 

 

雪乃「行くわよ葉山くん戸部くん男手が必要だわ、あとの皆は危ないから先に帰ってて」 

 

雪乃「三浦さん、怖かったでしょ?あとは私に任せなさい」 

 

優美子「でも…ひっく…」ポロポロ 

 

雪乃「三浦さんは少し休みなさい」 

 

優美子「ううん、あーしも行く…」ウルウル 

 

雪乃「でも、危ないわ……昨日の彼の狙いはナンパを断った貴女なのでしょ?」 

 

優美子「確かにそう、あーしのせい」 

 

雪乃「別に貴女のせいじゃ……」 

 

優美子「なのにあーしは……」 

 

優美子「あーしは、八幡を置いていっちゃったんだ…」ポロポロ 

 

優美子「だから」グシグシ 

 

優美子「あーしが迎えに行かないとダメ」 

 

優美子「あーしも行く」 

 

雪乃「……………。仕方ないわね、行くわよ」

 

戸部「しかし、アイツ卑怯な事するべ!」タッタッタッ 

 

隼人「ああ、ヒキタニと優美子が二人きりになった所を狙ったんだろ」タッタッタッ 

 

雪乃「許せないわ、たとえ目が腐ってひねくれてるシスコンとは言え、私の部活の部員をいたぶるなんてね……」タッタッタッ 

 

雪乃「三浦さんまだ先なのかしら?」タッタッタッ 

 

優美子「もうすぐ………あ!」タッタッタッ 

 

八幡「……」 

 

優美子「八幡!?ちょっと!?」ダッ 

 

八幡「……」 

 

雪乃「比企谷君!!」 

 

隼人「ちょっとどいてくれ」 

 

隼人「…」スッ 

 

隼人「大丈夫、脈もあるし呼吸もしてる」 

 

雪乃「驚かせないで頂戴……比企谷君」 

 

優美子「よかった……あんな奴らに殺されちゃうかと思った……」ウル 

 

雪乃「とにかく早く帰りましょう?比企谷君の手当てをしないと」 

 

優美子「うん」 

 

戸部「おっし、じゃあ俺がヒキタニ君背負うから」 

 

戸部「よっしょ…と」 

 

八幡「……ぅぅ」 

 

 

八幡「………うーん」パチッ 

 

優美子「すぅ……すぅ……」 

 

雪乃「あら、起きたの?」 

 

八幡「あれ、俺なんでここに居るんだ?」 

 

雪乃「森で倒れてる貴方を戸部君が担いで来てくれたのよ」 

 

八幡「え?………そうか俺は」 

 

雪乃「話は三浦さんから聞いたわ、災難だったわね」 

 

八幡「まぁな」 

 

雪乃「……」コポコポ 

 

雪乃「はい、お茶よ」コト 

 

八幡「ん、サンキュー」 

 

八幡「ふー…ふー…」 

 

八幡「ずずっ…」 

 

 

八幡「なぁ、雪ノ下」 

 

雪乃「なにかしら?」 

 

八幡「優美子はずっと俺に付きっきりだったのか?」 

 

雪乃「えぇ、あなたの身を案じてね」 

 

八幡「そうか、………悪かった。せっかくの遠出でこんな事になっちまって」 

 

雪乃「いいえ、貴方は何も悪くないわ」 

 

雪乃「むしろ私が悪いわ、投げ飛ばしたりしなかったら。彼らもヤケになってこんな事をしなかったかも知れないもの」 

 

八幡「いや、でも投げ飛ばしてなかったら優美子は絡まれ続けてただろ、雪ノ下は間違ってない」 

 

雪乃「そう言ってもらえると助かるわ」 

 

優美子「う……ん?」 

 

八幡「おはよう」 

 

優美子「八幡…!」 

 

優美子「八幡ごめん!あーし置いて行っちゃって!」 

 

八幡「いや…俺こそすまん。無理させたみたいで」 

 

優美子「八幡ほんとにごめん!」ポロポロ 

 

八幡「大丈夫だ、優美子に目立った怪我は無いようだし………なにより無事でよかった」 

 

八幡「ところで、他の皆は?」 

 

優美子「今薬局に行ってる…八幡火傷してたから」 

 

八幡「火傷?」 

 

雪乃「貴方の身体に酷い火傷があったのよ、何か身に覚えはないかしら?」 

 

八幡「…そういえばスタンガンを押し付けられたな」 

 

雪乃「なるほど、その時の火傷かしら」 

 

隼人「おーい、ヒキタニ君の様子はどうだ?」ガラ 

 

八幡「うっす…」 

 

隼人「目が覚めてたのか、身体は大丈夫なのかい?」 

 

八幡「あぁ、大した事はない」 

 

隼人「でも無理するなよ、火傷に染みると思うけど…、ほらこれ塗り薬」スッ 

 

八幡「おう、さんきゅー」 

 

隼人「お前を襲った男はどうしたんだ?」 

 

八幡「あぁ、アイツらなら俺が優美子を逃がしてすぐに逃げて行ったよ、通報を恐れてたみたいだった」 

 

雪乃「自分から襲っておいて卑怯ね」 

 

雪乃「私が徹底的に叩きのめしてあげようかしら?」 

 

八幡「やめとけ、俺らは高校3年なんだ。ここでトラブルを起こしたら進学に支障をきたす」 

 

雪乃「トラブルならもう起きてるじゃない……」 

 

八幡「だが、これ以上悪化させる事もないだろ?」 

 

雪乃「……」 

 

優美子「でも、あーしは悔しいよ…八幡がダメって言うならあーし1人でも」

 

八幡「何言ってんだ、そんなこと許すわけねぇだろ」 

 

八幡「それに俺の事なら気にするなって言ってるだろ」 

 

隼人「……」 

 

隼人「悪いが俺も……許せない」 

 

八幡「ほら、葉山もこう言って…」 

 

隼人「俺が許せないのはアイツらのことだよ」 

 

八幡「なに言って、は?お前止めろよ?」 

 

隼人「なぁ比企谷…お前が傷ついてるところを見て痛ましく思う人間がいる、俺もその1人なんだ」 

 

八幡(なんだよ。俺の名前…ちゃんと知ってるじゃねぇか…) 

 

隼人「なんとも思わないわけないだろ」 

 

八幡「…」 

 

平塚『君が傷つくのを見て痛ましく思う人間も居ることにそろそろ気づくべきだ…』 

 

八幡「……すまん、俺が無神経だったかもしれんな」 

 

八幡「葉山お前は……いやお前に限らずか」 

 

八幡「ありえないかもしれないが、俺の勘違い、独り言だと思って聞いてくれ」 

 

八幡「お前らは俺の事を少なからず良く思ってくれてる、だから俺の事を気にかけてくれるのは分かった。」 

 

八幡「例えば俺の妹の小町が同じ目に遭ったら俺は恐らく怒りを沈めることは出来ないだろうな 」 

 

隼人「…ああ」 

優美子「うん」 

 

雪乃「そうね」 

 

八幡「だから、その気持ちは分かるかもしれん」 

 

八幡「だが、やっぱりこういうのは良くないだろ?」 

 

八幡「俺もお前達に迷惑を感じて負い目を感じてるんだ」 

 

八幡「それに、せっかくの旅の思い出を悪くする事をしたくない」 

 

八幡「分かってくれ」 

 

隼人「……」 

 

雪乃「ぷっ…ふふっ」 

 

優美子「雪ノ下…さん?」 

 

八幡「な、なんだよ」 

 

雪乃「いいえ…ふふっ、去年の貴方とはまるで別人みたいだから」クス 

 

雪乃「いいえ、つい最近の貴方かしら」 

 

雪乃「優美子さんと関わるようになって貴方の何かが変わったのかしらね……」フッ 

 

隼人「それもそうだな、お前本当に比企谷か?」ハハ 

 

八幡「あぁ、捻くれ者で目が腐ってる比企谷八幡だよ」 

 

雪乃「わかったわ、貴方の顔に免じて”今回は”何もしないわ」 

 

八幡「雪ノ下」

 

雪乃「何かしら」 

 

八幡「お前も大分変わったと思うぞ?」 

 

雪乃「ふっ、由比ヶ浜さんのおかげかしら?」 

 

隼人「よし、じゃあ昼ご飯にしようか」 

 

八幡「うん?もう昼か、どんだけ寝てたんだ俺は」 

 

雪乃「比企谷君は薬を塗ってから食堂に来なさい」 

 

雪乃「それとも美少女の私に塗ってほしいのかしら?」 

 

八幡「んなわけねぇよ、てか自分で美少女とか言うなよ」 

 

八幡「確かに事実だけど」 

 

雪乃「…分かってるじゃない」 

 

隼人「それじゃあ先に行ってるから」 

 

八幡「おう」 

 

ガラガラ…バタン 

 

八幡「で」 

 

八幡「なんで居るんですか」 

 

優美子「ふ、ふん。あーしが薬塗ってあげんのよ」 

 

八幡「なんでそうなるんだ」 

 

優美子「いいじゃん、優しくするし」 

 

八幡「多分鼻血出るけどいいか?」 

 

優美子「なんでだし!?」 

 

八幡「ボッチっていうのは女の子慣れしてないものからな」 

 

八幡「女の子に素肌に触れられて下手したら血圧上がって鼻血が出るんだよ」 

 

優美子「うっわ、きんも」 

 

八幡「へいへい、さいで」 

 

優美子「鼻血でもなんでも出せば?そんな事言ってもあーしは塗るから」

 

八幡「お願いします」 

 

優美子「そ、それじゃあ失礼して」 

 

優美子「上を脱がせるね……?/////」カァ 

 

八幡「お、おう/////」 

 

八幡(上目遣いでその台詞は色々やばいですよ?) 

 

八幡「…」スルスル 

 

優美子「へえ、八幡意外と筋肉あるじゃん」 

 

八幡「そ、そうか?」 

 

優美子「それじゃ、塗るね」 

 

八幡「はいよ」 

 

優美子「…」ヌリヌリ

 

優美子(ゴツゴツしてて、硬い…) 

 

優美子(この体があーしを守ってくれたんだなぁ……) 

 

優美子(ありがと、八幡) 

 

八幡「そういえば、優美子初日のバイトの時アイツに殴られただろ?そこは大丈夫なのか?」 

 

優美子「もう全然痛くない、てか八幡の方が重症だし」ヌリヌリ 

 

八幡「そうか」 

 

八幡「…」 

優美子「…」ヌリヌリ 

 

八幡「…?」 

優美子「…」ヌリヌリ 

 

八幡「…???」 

優美子「…」ヌリヌリ 

 

八幡「あの」 

優美子「んー?」ヌリヌリ 

 

八幡「いつまで塗ってんの」 

優美子「あっ!」ピタッ 

 

優美子「ごめん!つい夢中で腹筋を」 

 

八幡「別に謝らなくても」 

 

八幡「優美子は腹筋が好きなのか」 

 

優美子「っ///」テレ 

 

八幡「一緒にいる時なら触っていいぞ。大したものついてないけど」 

 

優美子「いいの?えへへ!やったし!」パァ 

 

戸部「ちょっちょっちょ!ヒキタニくん!!目覚めたってホント?」ガラガラバンッ 

 

 

八幡「あ…」(上半身裸) 

 

優美子「あ…」(腹筋を撫で回し中) 

 

戸部「あ、ごめっ!」バタン 

 

優美子「ちょっ……!戸部まてこらぁ!!!///」バタバタ 

 

ガラガラバタン 

 

八幡「……はは…」 

 

八幡「はぁ…」 

 

 

こうして、この旅行の最終日を迎えた 

 

 

夕方 

 

八幡「今度は夏祭りか…」 

 

優美子「でも、八幡を狙ったアイツも居るかも…」 

 

結衣「ヒッキーまた狙われたら……」 

 

雪乃「そうね、これは中止した方が」 

 

八幡「何も俺に気を遣うとはない、お前らだけで行けよ」 

 

戸部「いやいや、ヒキタニ君も連れて行くべ」 

 

八幡「いや、別に俺は」 

 

隼人「別に無理にとは言わないさ、でも戸部はヒキタニ君を楽しませたいんだろ?」 

 

戸部「そうそう!」 

 

隼人「それに、皆でまとまればあいつらも襲って来れないだろうし」 

 

八幡「そうか?うーん………そうだな行こうか」 

 

小町「まっ、お兄ちゃんが友達と夏祭り行くなんて、この先一生無いだろうし行った方が小町的にポイント高いよー」 

 

八幡「うぐっ」グサッ 

 

海老名「そういう事で女子の皆様~」 

 

女子一同「??」 

 

海老名「あっちに浴衣レンタルしてたから良かったら着てみない?」 

 

結衣「へー!いいじゃん!私着てみたいかも!」 

 

八幡(浴衣っ!?) 

 

八幡「と、とと戸塚お前もき着替えてこいよ」キョド 

 

戸塚「ええ?!また八幡は……しょうがないな…」テクテク 

 

隼人・戸部「グッジョブ」 

 

八幡「フッ…」 

 

 

数十分後 

 

旅館の玄関先 

 

戸部「でさー!まじやべぇのよ!先輩が卒業式の合唱の時にヘリウム吸ってさぁ」 

 

八幡「いや待て、それはほんとにやばい奴じゃねぇか……」 

 

隼人「お待たせヒキタニ君~」 

 

戸部「お、隼人くーん!どうだった?」 

 

隼人「海老名さんがそろそろ皆の準備が出来るってさ」 

 

海老名「おまたせー」 

 

隼人「噂をすれば」 

 

雪乃「ご、ごめんなさい着付けに時間がかかってしまって…」 

 

結衣「へへへ、ヒッキーどうかな?」 

 

八幡「えっ、俺?似合ってるじゃねーの?」 

 

優美子「ちょ、あーしは?」 

 

八幡「もちろん似合ってるよ」 

 

雪乃「比企谷君…?」チラッ 

 

八幡「お前はなんでも似合うぞ」 

 

優美子「なんか適当…」ジト- 

 

戸塚「はちまーん!」トテトテ 

 

八幡「お、戸つk……」 

 

戸塚「ど、どうかな?海老名さんに髪飾りも着けられちゃって……///」 

 

八幡「」ピシッ 

隼人「」ピシッ 

戸部「」ピシッ 

 

※※※※※※※※※※※※ 

 

祭会場 

 

ヘイラッシャ-イ 

 

優美子「何この会場!?広すぎでしょ?!」 

 

八幡「うわぁ……なんか疲れた」 

 

結衣「いや疲れるの早いし!来たばっかじゃん…」 

 

雪乃「人が沢山いるわね…」 

 

戸部「だべー、ここの名物がこの夏祭りなんよー」 

 

戸塚「あ!八幡!あっちにわたあめあるよー」 

 

小町「小町りんご飴食べたい~」 

 

結衣「あっ!私もりんご飴食べたい~」 

 

海老名「それじゃあ一つずつ回ろっか」 

 

八幡「おい、優美子お前はなんか食べたいものあるか?」 

 

優美子「そうね~、あーしはガッツリした奴がいいかな~」 

 

戸部「ガッツリしたものなら唐翌揚げ串とかどうよ?」ズイッ 

 

優美子「って、戸部それいつの間に買ってんのよ…」 

 

戸部「ちょこっとね~。ほらほら~、冷めないうちにぃ~!」 

 

優美子「ん、あんがと」 

 

戸部「ほら、ヒキタニ君の分もね~」 

 

八幡「おー…、ほっかほか…」 

 

八幡・優美子「いただきます」 

 

ザクッ! 

 

フワァ… 

 

ジュアアア… 

 

八幡「うめぇ…」 

 

優美子「衣のザクザク感は……まるで歯ごたえのあるスナック菓子みたい」 

 

八幡「それを香ばしくした様な……そして極めつけに肉汁だ……」 

 

優美子「なんていうか、肉に味を染み込ませてるのかな……」 

 

八幡「あぁ、肉汁に甘じょっぱい濃い味がついてる、しつこくない味」 

 

八幡「それでいて肉にテカテカとツヤ感が…肉の食感はプリップリだ」 

 

戸部「喜んで貰ってこっちも嬉しいっしょ」 

 

八幡「ほんとに美味い」モグモグ 

 

小町「あっお兄ちゃんずるい!小町にもちょーだい」 

 

八幡「食い意地を張るなよ、ほれ、あーん」 

 

小町「あーむっ」パクッ 

 

八幡「よちよち、美味しいか小町~」 

 

小町「その赤ちゃん扱いは普通に気持ち悪くて小町的にポイント低いよゴミぃちゃん」 

 

八幡「そうだな、甘やかしは良くないもんな」 

 

八幡「お兄ちゃん今度から小町を甘やかさないように厳しくするから」 

 

小町「いやだいやだー!甘やかしてー!」 

 

優美子「…」ジ- 

 

八幡「ん、なんだ?」 

 

優美子「ほら八幡」ア-ン 

 

八幡「えっ?えぇ?」 

 

八幡「あ、あーん」 

 

優美子「あー、なんちゃって」パクッ 

 

八幡「……」 

 

優美子「あはは、ごめんってー!はいあーん」 

 

八幡「別にいい…」 

 

優美子「ほれ、拗ねんな拗ねんな」グイッ 

 

八幡「く、首痛っ!」グリッ 

 

優美子「それ」 

 

八幡「痛いって優美…っんむ!」パク 

 

八幡「……」モグモグ 

 

八幡「お前無理やり押し込むなよ…喉詰まったらどうすんだ…」 

 

優美子「大丈夫だっての!」 

 

優美子「今度はあーしに、あーん」 

 

八幡「はいはい」ヒョイッ 

 

優美子「んむ」モグモグ 

 

※※※※※※※※※※※※ 

 

結衣「りんご飴うまー!」 

 

小町「ですねー!」 

 

隼人「お姉さん、たこ焼きください」キラキラ 

 

お姉さん「はっはいっ!おまけしておきますね///」 

 

八幡「イケメンってなんかずるい」 

 

優美子「ゆーて、アンタもイケメンの部類だけどね」 

 

戸部「ねぇねぇ俺は?」ニヤッ 

 

優美子「……」 

 

戸部「無言とかいちばん怖いわー、シャレになんねーわー」 

 

海老名「まぁまぁ、戸部っちには戸部っちの良さがあるって」 

 

戸部「海老名さぁん…!」 

 

海老名「戸部っちほどの総受け体質は中々居ないからね!!」ドバッ 

 

戸部「海老名さん?!ちょっ鼻血」 

 

海老名「キマシタワー」ブシャアアア 

 

戸部「ほら、これ!ハンカチ、洗ってあるから安心して使っていいぜ」 

 

海老名「あ、ありがと…」フキフキ 

 

八幡(おや、意外と脈アリか?) 

 

雪乃「……」 

 

戸塚「何見てるの?雪ノ下さん」 

 

雪乃「あぁ。あそこにパンさんのぬいぐるみが」 

 

戸塚「射的?ぼくやってみようかな……」 

 

雪乃「いいえ、やめた方いいわ」 

 

戸塚「なんで?………あ」 

 

八幡「あれはパチモンのパンさんだな」 

 

優美子「出店あるある」 

 

 

ヒュゥゥゥゥ… 

 

戸部「お…」 

 

ドォォォン 

 

戸塚「わぁ」 

 

ヒュゥゥゥゥ 

ヒュゥゥゥゥ 

 

小町「おー花火だよお兄ちゃん!」 

 

ドォンドン 

パラパラ 

 

海老名「すごいねー」 

 

ヒュゥゥゥゥ 

 

隼人「あぁ、そうだね」 

 

ドォォォォン 

 

結衣「見てみてゆきのん!あの花火ゆきのんぽいよ!」 

 

雪乃「あの由比ヶ浜さん?それはどういう事なの……」 

 

ヒュゥゥゥゥ 

 

八幡「…」 

 

優美子「…ねぇ八幡」 

 

ドォォォォォン! 

 

優美子「…昨日はかっこよかったよ」ボソッ 

 

八幡「!?///」 

 

優美子「好きが大好きになっちゃった///」カァ

 

 

 

 

 

 

 

 

元スレ

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