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黒子「私がルールです。早急に服を脱ぎ、手ブラを恥ずかしがるように赤面しながら発言してください」美琴 「アンタ何言って…」【とある科学の超電磁砲ss/アニメss】

 

「では、これより御坂美琴に対するジャッジメントを行います」

 

「は?」 

 

「本日のジャッジメントジャッジメント長はこの私、白井黒子です」 

 

「…いや、何言ってんのアンタ…」 

 

「私がこのジャッジメントのルールです。言いたいことがある場合は早急に服を脱ぎ、手ブラを恥ずかしがるように赤面しながら発言してください」 

 

「いや、だからアンタ何言って…」 

 

「そこ、被告人は勝手に喋らないでくださいまし。今のルール違反による罰則は下着ワンセット分ですの」 

 

「え、いやだから…って……いいいっ!?ちょ、ちょっとぉ!返しなさい黒子!!」 

 

 

 

ジャッジメント長:白井黒子 

○検察官:御坂妹(検体番号10032号) 

ジャッジメント員:シスターズ 

○被害者:上条当麻 

○見物人:ndex-Librorum-Prohibitorum 

○被告人:御坂美琴 

 

罪状:上条当麻(被害者)を利用し、偽りの恋人関係を広めようとした疑い

 

「それでは大罪を犯した罪深きお姉さまの妹さま。事件の説明をお願いします」 

 

「大罪って…私が何したって言うのよ!」 

 

「そこ、被告人。2度目の勝手な発言はカーディガン1枚分です」 

 

「え…?あっ、黒子!!っていうかさっき取った下着返…何匂い嗅いでんのよあんたはー!!」 

 

「3度目。ソックス片方ですの」 

 

「っ…ああ、もう!!わかったわよ!!静かにしてればいいんでしょう!!ってだから匂い嗅ぐのやめ」 

 

「4」 

 

「ぐっ…」 

 

「…えー、コホン。では引き続き、妹様、よろしくお願いします」

 

「…はい。事件は簡単です。そこにいる薄着の被告人が、目の敵であるはずの上条当麻に対し卑劣にも恋人関係を偽り接近」 

 

「その後も間接キス等など、性的行為の既成事実を作り上げることによって意図的に親密な関係を築こうした」 

 

「という事件だとミサカは少々呆れながら説明します」 

 

「んなっ……!」 

 

上条当麻さん、検察の話に間違いはありませんわね?」 

 

「……え?何?」 

 

「古文の宿題をするのはあとにしてくださいまし」 

 

「いや、これ今日中にやらないとやべーんだよ。誰か手伝ってくれねーかな…」 

 

「このジャッジメントが終わったら私が手伝いましょうか、とミサカは心躍らせながら提案します」 

 

「お、頼むよ!えっと…」

 

「…」ピラ 

 

「御坂…妹か。ありがとな」 

 

「いえ、構いません。むしろ嬉しいです、とミサカは率直な気持ちを言ってみます」 

 

「はぁ!?」 

 

「ちょっと何なのよこれ、黒子!!」 

 

ジャッジメント長ですの」 

 

「…っ…ジャッジメント長!」 

 

「なんですの、御坂被告人」 

 

「え……あ、えっと…アイツの宿題は私が手伝ってあげてもいいかな…なんて」 

 

「前にも手伝ってやったことあるし、私もこのあと暇だし…」 

 

「…だそうですが、上条当麻さん、どういたしますの?」 

 

「いや、宿題手伝ってもらうのに二人もいらないだろ」 

 

「なっ…!」 

 

「ふふ…」 

 

「やれやれですの」

 

「…とりあえず問題となるのは、被告人の行動が計画的だったかどうかになりそうですわね」 

 

「それでは証人の偽海原さん、お願いします」 

 

「はい。僕は御坂さんが好きなのですが、」 

 

「ちょっ…何よいきなり…!」 

 

「どうしました、御坂被告人」 

 

「……いえ…なんでもありません…」 

 

「そうですか。では偽海原証人、続けてください」 

 

「…はい。えー、僕は御坂さんが好きなのですが、あの日の御坂さんは少し変でした」 

 

「事件当日、僕は御坂さんとデパートの下着売り場までご一緒させてもらうところだったのですが」 

 

「御坂さんが、偶然通りかかった上条当麻に突然抱きつきました」 

 

「や…その、あれは…」 

 

「被告人は静かに」 

 

「…」

 

「…いいですか?それで、抱きついてから手を繋いで二人でどこかへ走っていってしまったんですね」 

 

「偶然やってきた知り合いに突然抱きつくなんてことを御坂さんがするはずがないので」 

 

「僕はこれを計画的犯行だと推察します。あと、有罪だった場合は御坂さんを僕にください」 

 

「却下します。お姉さまは誰にも渡しませんの」 

 

「それに有罪だった場合はもちろん罰がありますから、その罰の執行は私が行います」 

 

「偽海原証人はお下がりなさい」 

 

「はい…」 

 

「次、土御門証人」 

 

「出番だにゃー!」

 

「あなたは上条当麻サイドの目撃者ですね」 

 

「はい。当日、俺とカミやんは好きな女の子のタイプについて話しながら歩いてたんですが――」 

 

 

<<待った!>> 

 

 

ばんっ 

 

「……」 

 

「どうしました、御坂被告人」 

 

「えっ……その……詳しく!」 

 

「お、何?俺?俺の好きな女の子は――」 

 

「違う!!あんたじゃなくて……」 

 

「あー、カミやん?なんだよカミやんかよ。カミやんばっかずりーにゃー」 

 

「いいから、さっさと言いなさいよ!」

 

「はー、これだ。まあいいや。えーとだ、カミやんのタイプの女の子は…」 

 

「……!」ゴクリ 

 

「ですから…ここが未然形接続なので、この助動詞は…」 

 

「んー?ちょっとまって、未然形だから…」 

 

「はい…ここにはこれがはいるわけです、とミサカは懇切丁寧に説明します」 

 

「あー、なるほどね。わかりやすい!」 

 

「ってそこでなにやってんだあんたらはあああああああああああああ!!!!」バリバリバリバリ 

 

「きゃっ」 

 

「うおっ」バシュウ 

 

「…おい、大丈夫か御坂妹」 

 

「大丈夫ですが…ちょっと目眩がするので肩に寄り添ってもいいですか、とミサカは顔を赤らめながら聞いてみます」 

 

「それくらいいいけど…ったくビリビリは何でこう俺の邪魔をするのかね」 

 

「……泣いてもいいですか」 

 

「誰ですの!!お姉さまを泣かせる不届き者は!!」 

 

「お前もだああああああああああ!!!!」

 

「…さて、当日の証言だけでは判断がつきませんでしたので」 

 

「当日の犯行の動機を探ってみましょう」 

 

「もう帰りたい……」 

 

「ずばり聞きますの。お姉さまは、上条当麻のことを恋人対象として見ているのですか?」 

 

「え…?…いや、そんな…ことは……」 

 

「そんなことは?」ジー 

 

「あ…いや……その…だから…」アセアセ 

 

「…」ジー 

 

「…」ダラダラ

 

「…その……私は…アイツのことが…」 

 

「というわけでここは③です、とミサカは確実な根拠と共に解答を選びます」 

 

「なるほどね。帝が大納言に対して淡い恋心を抱いていたわけだ」 

 

「はい。ですからこの場面で大納言はこのように帝の手を握り…」ギュ… 

 

「お、おい…」 

 

「いいじゃない、減るもんじゃないし、とミサカは躊躇なくテンプレートを使用します」 

 

「…まあ、お前がいいならいいけど」 

 

「ふふ、では遠慮なく♪」ギュッ 

 

「…幸福だ」 

 

 

「………帰ってもいいですか」 

 

ジャッジメント終了前の帰宅による罰則は着ている服全部です」 

 

「……」

 

「…では、ジャッジメントを続けます」 

 

「御坂被告人の上条当麻に対する恋心の件ですが」 

 

「私自身が証言させていただきますわ」 

 

「は…?あんたはさいば…ジャッジメント長でしょうが」 

 

「夜の1時を過ぎる時間帯の御坂被告のベッドでの行為についてなんですが――」 

 

 

<<待った!!>> 

 

 

ばんっ! 

 

「く、黒子…ジャッジメント長…一体何を喋るおつもりですか…?」 

 

「1時をすぎると静かだったお姉さまのベッドが少しだけ揺れ――」 

 

 

<<待った!!>> 

 

 

ばんっ! 

 

「黒…ジャッジメント長、個人的に少しお話が…」 

 

「あとにしてくださいまし」

 

美琴「(な、なんで…!?黒子が完全に寝たのを確認してから…のに…!)」 

 

黒子「あー、被告人も所詮は中学生」 

 

黒子「本当に寝ているときと狸寝入りしているときの寝息の違いで判断しているのでしょうが」 

 

黒子「裏を返せば狸寝入りしているときに本当に寝ているときの寝息を立ててやれば」 

 

黒子「あっさり騙せるというものですわ」 

 

美琴「なっ…!?」 

 

黒子「お姉さまの艶かしい何かを耐えるような小さな声を聞きながら寝たふりをするのは大変難しいですが」 

 

黒子「そこにこそやり遂げる価値があるというものですの」 

 

美琴「な…ななな…!」 

 

黒子「さて、私事が過ぎてしまいましたわ」 

 

黒子「えー、1時をすぎるとですね、お姉さまのベッドから…」

 

黒子「……っ……おにぃ…ちゃ……!」 

 

黒子「といった声が聞こえてくるわけです」 

 

 

<<異議あり!!>> 

 

 

美琴「……ッ!」 

 

黒子「落ち着いてくださいまし。そんな顔をしていては超能力者(レベル5)台無しですわよ」 

 

美琴「いっ、意味わかんないわよ!!」 

 

(ここは大納言が大胆に…) 

 

(お、おい、ちょっと…) 

 

(帝も一緒に…とミサカは少し興奮しながら尋ねます) 

 

(い、いや、さすがにそこまでは…) 

 

(ですが、問題を解くには登場人物の立場にならないと…) 

 

(そういうものなのか…っておい、ここじゃまわりに人が…) 

 

美琴「ああああああああああああ!!!!検察!!あの検察をどうにかしろおおおおおおおおお!!!」

 

黒子「つまりお姉さまは、兄と妹でドロドロになるプレイを想像しながら夜な夜なベッドの中で」 

 

美琴「あーー!!あーー!!聞こえないーー!!聞こえなーーい!!」 

 

黒子「…上条当麻が兄」 

 

美琴「ッ!」ビクッ 

 

黒子「…ですの?」 

 

美琴「さ、さあ…?」ダラダラ 

 

黒子「……とうま……おにぃ…ちゃ…」 

 

美琴「!?」 

 

黒子「…当麻お兄ちゃん、ですね?」 

 

美琴「……ッ」ダラダラダラ

 

黒子「……はぁ。残念です、お姉さま…」 

 

美琴「……」 

 

黒子「自らの夜の情事を暴露されて喜ぶ性癖をお持ちでないことは知っております」 

 

美琴「……」 

 

黒子「つらいのですね…わかります……ですが!私もつらいのです!」 

 

黒子「あんなわけのわからぬ男にお姉さまを奪われるのは…つらいのです…!」 

 

美琴「……」 

 

黒子「このままでは有罪は確実…」 

 

黒子「ですがお姉さま…お姉さまが再び黒子の手を取ってくだされば…」 

 

美琴「……」 

 

黒子「さあ…お姉さま…」 

 

美琴「…………わよ」 

 

黒子「…はい?」 

 

美琴「ええ、認めてやるわよ!!認めてやりますとも!!」 

 

美琴「私、ビリビリこと御坂美琴は!!」 

 

黒子「!?いけませんお姉さま!!それ以上言っては!!」 

 

美琴「上条当麻のことが!!」 

 

黒子「お姉さま!!」 

 

美琴「好きだーーーーーーーー!!!!」 

 

 

 

 

…………シーン………… 

 

 

 

 

美琴「はぁっ…!はぁっ…!」 

 

美琴「どうよ……!言ってやったわよ…!!」 

 

(ああ、帝…いいです…とても…とミサカは…んっ…!) 

 

(御坂妹……) 

 

美琴「人が告白してんでしょうが空気読めやコラぁああああああああああああああああ!!!!!!」バリバリバリバリバリ

 

黒子「では、判決を下します。ジャッジメントですの!」 

 

美琴「……」 

 

黒子「ここまでの話をまとめると、お姉さまと上条当麻は、恋人ではない」 

 

黒子「お姉さまが上条当麻お兄ちゃんの妄想で熱い欲情を吐き出す毎日を送っているうちに」 

 

黒子「本物の上条当麻はお姉さまの妹と帝ごっこで濡れ濡れグショグショになっているという実に嘆かわしい現実が明らかになりました」 

 

美琴「……もう……一思いに殺して…」 

 

黒子「そんな人生の崖っぷちに立たされたお姉さまを支えてあげられるのは、もはや黒子だけ…」 

 

黒子「これ以上お姉さまを苦しめることなんて、黒子にはできません…」 

 

美琴「…」 

 

黒子「よって!!このジャッジメント、判定は……」 

 

 

    無    罪 

 

判決理由:これ以上やると一方通行に挑みかねないから 

 

 

美琴「議題何にも関係ないじゃんッッ!!!!!」 

 

黒子「以上、お疲れ様でした」

 

美琴「待ちなさいよ!!結局なんだったのよ!!全然裁判になってないっていうか何これ罰ゲーム?」 

 

黒子「ジャッジメントですの!」 

 

美琴「うっさい」 

 

黒子「無罪、おめでとうございますわお姉さま」 

 

美琴「……」チラ 

 

美琴「……」 

 

上条「…ん?」 

 

美琴「…ねえ、あいつは?」 

 

上条「ああ、なんか全然宿題進まないから、一人でやることにした」 

 

美琴「ふーん。…それじゃ次、私が見てあげよっか?」 

 

上条「え、マジ?いいの?」 

 

美琴「え?いいの?」 

 

黒子「え?」

 

……… 

 

…… 

 

… 

 

美琴「…で、ここはこうなるわけ」 

 

上条「はー、なるほどねー。っておお、ついに終わったー!!」 

 

美琴「…」 

 

上条「サンキュー、ビリビリ」 

 

美琴「ビリビリじゃ……ううん、どういたしまして」 

 

上条「こと御坂美琴」 

 

美琴「えっ…?」 

 

上条「…そうだ、何か礼させてくれよ」 

 

美琴「…当然ね。手伝ってあげたんだから。礼は、そうね…さっきの恥ずかしい叫びの返事」 

 

上条「…ああ」 

 

美琴「じゃなくって」 

 

上条「あれ?」

 

美琴「今度、また恋人ごっこしてよ」 

 

上条「……は?」 

 

美琴「何よ、断るって言うの?」 

 

上条「あ、いや、いいけど…」 

 

美琴「じゃ、決まりね!」 

 

上条「…ああ」 

 

 

 

美琴「それじゃ、約束の日忘れないでよ!」 

 

上条「お前こそ、次はいきなり飛びついてきたりすんなよ」 

 

美琴「さぁーねー♪それじゃ、バイバーイ!」 

 

上条「ああ、じゃあな」

 

黒子「なんなんですの…これは……」 

 

御坂妹「……積極的なアタックが常に最良というわけではない…とミサカは潔く負けを認めます」 

 

黒子「私は…私はまだ認めませんの!」 

 

黒子「ジャッジメント……次のジャッジメントで…」 

 

黒子「待っていてください、お姉さま!!」 

 

黒子「必ずや黒子はお姉さまとあのツンツン頭を引き離してみせます!!」 

 

黒子「次こそ必ず…」 

 

黒子「ジャッジメントですの!」

 

 

 

 

 

 

元スレ

http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1260631414/

美琴「わ、私の好み……??え、ええーと…」【とある科学の超電磁砲ss/アニメss】

 

ある日

 

とある喫茶店

 

 

佐天「…………やっぱ土御間君だよね、かっこいいもん」

 

 

初春「えー、そうですかあ、私はやっぱり海山君が……」

 

 

佐天「ええ~、海山君なんて……まったく、趣味悪いなあ初春は」

 

 

初春「んな……そ、そんなことありませんよ!!

春上さんも、私と一緒でかっこいい、っていってましたもんっ!!」

 

 

黒子「はあ……全く……そんなくだらない話、どーーでもよろしいですわ………

 

………って、あら、ようやくお姉さまもいらっしゃったみたいですの」

 

 

美琴「………ごめんごめん3人ともー、ちょっと補習で遅れちゃって……」

 

 

佐天「御坂さん!!御坂さんもいいと思いますよね、土御間君のこと!?」

 

 

初春「いや、海山君の方がいいですよね、御坂さんっ!!??」

 

 

美琴「え?え?…何…??なんの話???」

 

 

佐天「なにって……学園神起48のことですよっ!?

……ほら、あの48人組の男性アイドルグループの……」

 

 

美琴「あ……アイドルグループ???」

 

 

初春「い、今めちゃくちゃ話題になってるのに…

 

…御坂さん、ひょっとして知らないんですか!!??」

 

 

美琴「あ、……ああ、そういえばなんか、最近、テレビで見たことあるような気がするけど…

…はっきりいって、よくは知らないわね……メンバーが誰とかなんとかはもう全然……」

 

 

佐天「ええ~、今あんなに話題になってるのにですかあ!!??

 

……そ、そりゃ、48人全員の名前は私だって知らないけど、

その中でもいっつも真ん中で歌ってる土御間君くらいは……」

 

 

初春「う、海山君だって、有名ですよ、御坂さん!!?

いっつも前列で踊ってますしっ!!」

 

 

美琴「う、うーーん、ごめん……私、本当に、そういうのあんまり興味なくてさあ…」

 

 

佐天「えええ、ほ、ほんとですか!?そんな…今、すっごいブームなのに……」

 

 

初春「白井さんも興味ないっていうし…

…常盤台中学の人って、全然そういうの知らないんですかね?」

 

 

黒子「いやまあ、そんなことはないとは思いますけど…

…ワタクシも、今、そのアイドルグループが大人気なことくらい知ってますし…

そのメンバーの中でも、最近よくテレビにでてる殿方の名前くらいは知ってますわ」

 

 

美琴「え、うそ、黒子も知ってるの!??な、なんでアンタがそんなこと知ってるのよ!」

 

 

黒子「なんでって……お姉さまが知らなすぎなんですの…

…お姉さま、興味がないにしても、少しは世の情勢くらい知っておくべきですのよ?」

 

 

美琴「んな……、ひ、人を世間知らずみたいに言わないでよ!!!

私だって普段、ニュースくらい観てるわよ!!」

 

 

黒子「……あら、ですけど、昨日だってテレビに食い入るように観ていると思ったら、

ニュースなんかじゃなく、

 

『子供向けアニメ☆誕生2周年記念!それいけゲコ太の冒険』の特集を

あんなに真剣なまなざしで…」

 

 

美琴「わ、わーーーわーーー!!う、う、うるっさいわね、アンタはぁ!!

わ、私がなんのテレビ観ようが関係ないでしょうがあ!!」

 

 

初春・佐天「…………」

 

 

初春「…ってことは、やっぱり御坂さんが特別なんですかねぇ…

けどまあ、確かに御坂さん、男のアイドルのファンになって、

キャーキャーいう感じじゃないですもんね…

…普段、どんな男の人がタイプとか、そんな話もしないですし」

 

 

佐天「うーーん、けど、気になるなあ……御坂さんの好きな男性のタイプとかさあ…」

 

 

佐天「……あ!そうだ、御坂さん!?

この雑誌に、学園神起48全員の顔写真付きのプロフィールが載ってるんですけど…

…御坂さん、この中で誰がタイプとかありますか!?」

 

 

美琴「え、えええ!??そ、そんなこと突然いわれても…」

 

 

佐天「ほら、この一番最初に乗ってる土御間君なんか、かっこよくないですか!?

なんかすごいワイルドな感じで…

…大切なものが妹ってあたり、少しシスコンっぽくて嫌ですけど!」

 

 

美琴「う、うーーん、なんかちょっと、チャラチャラして、

調子のってる感じが嫌かも……髪も金髪だし…」

 

 

佐天「え、えええ?そ、そうですかあ??わ、私は良いと思うんですけど…

え、ていうか、アイドルなんだから、髪くらい染めててもいいじゃないですか!??」

 

 

初春「う、海山君は!?海山君はどうですか、御坂さんっ!!土御間君とくらべて、

すっごくさわやかで優しそうな顔してますよね!?髪も染めてないし!!

 

趣味がアステカ文明を学ぶこと、っていうのがちょっとおかしい感じですけど!」

 

 

美琴「うーーん、なんだかなあ……確かにさわやかな感じで

悪い人じゃなさそうだけど…

 

…魅力を感じるかっていわれると……あんまり…」

 

 

初春「えええ……、そ、そんなぁ…」

 

 

黒子「無駄ですのよお二人とも。お姉さまが、

そんなどこの馬とも知れない男のことなんか、

おいそれと好きになったりするわけないんですの」

 

 

佐天「そういう白井さんはどうですか?この中でタイプの人っていますか?」

 

 

黒子「はん!!ワタクシはそんな顔だけが取り柄のガキどもなんかに興味はありませんの…

 

ワタクシが興味があるのは、なにを隠そうこの世でただ一人!!お姉さま一人なんですのよぉぉーー、おねえさぐはあ!!!」バキィ!!!

 

 

美琴「あーーーもう!!うっとおしいわねアンタはいっつもいっつも!!!」

 

 

初春・佐天「……………」

 

 

佐天「ま、まあ確かに、白井さんには聞くだけ無駄だったかもしれないけど……」

 

 

初春「そ、そうですね……」

 

 

初春「そ、それじゃ、御坂さん、こ、この

青髪飛明日君なんかどうですか!?関西弁の…」

 

 

美琴「ええ~、な、なんか胡散臭そうで嫌かなあ……」

 

 

佐天「この捨入君なんかは…!?赤髪でワイルドな感じで良くなくないですか!?」

 

 

美琴「うーん、けど、趣味が火遊び、って書いてあるわよ…?

危ないんじゃないかしら…?」

 

 

初春「それじゃこの垣根山帝都君なんかは………あ、いや……この人は私も嫌いかも……

一見さわやかそうで、裏じゃ怖い人そう…」

 

 

佐天「え、そうかなあ…垣根山君、かっこいいと私は思うんだけど……」

 

 

美琴「いや、良く見てよ佐天さん、ほら、

なんか口癖が『常識は通用しねーぜ』ですって!!

何よ、かっこつけて、馬鹿よ馬鹿!!」

 

 

わいわい………

 

 

 

黒子「(やれやれ……)」

 

 

初春「この砂浜面って人は…」

 

 

美琴「なんかその辺のどこにでもいる不良みたい…」

 

 

佐天「削板倉って人は…」

 

 

美琴「格好が馬鹿みたい」

 

 

初春「この亜鈴巣他亜って人は……あ、いや…これは私もないですかね…」

 

 

美琴「うん……だって、趣味が逆立ちって、なんか変よ…格好も病人だし……」

 

 

佐天「じゃあこの一方向通行人って人は…」

 

 

美琴「こいつは無理!!!絶対に無理無理無理!!!

なんかよくわかんないけど生理的に無理だわ!!!」

 

 

佐天「え、そ、そんなにですか……?」

 

 

初春「け、けどまあ……確かにグループ一の強面ですけど……

けど、他のメンバーの話だと、案外優しい一面もあるらしくて……」

 

 

美琴「無理!!!!!こいつだけはなんか無理!!」

 

 

初春「そ、そうですか……」

 

 

………

数十分後……

 

佐天「はあ……やっぱ、御坂さんの好みって難しいなあ……」

 

 

初春「これだけ時間かけて、一人も首を縦にふりませんでしたしね……」

 

 

美琴「う、うーん、ごめん…

…けど、なんか、別に全然、誰もかっこいいって思わないっていうか……」

 

 

黒子「ほらほら、だから言ったじゃありませんのお二人とも。

ワタクシのお姉さまが、こんなアイドルの男どもなんかの中に

好みの殿方なんかいるはずないんですの」

 

 

佐天「うーん……けど、それじゃ御坂さんのタイプの男性って、

一体どんな人なんですかあ??」

 

 

初春「確かに、学園神起48の中にも一人もいないとなると、

ますます興味がありますねえ」

 

 

美琴「わ、私の好み……??え、ええーと、そうねえ、どうなのかしら…

 

…………ん??」

 

 

初春「……?どうかしたんですか、御坂さん??」

 

 

美琴「いや、メンバーの中のこいつは……??紹介してもらったっけ……?」

 

 

 

初春「……え?誰のことですか??」

 

 

美琴「ほら、このツンツン頭の」

 

 

佐天「え、あ、ツンツンって、よ、横条君のことですか!??

た、確かに紹介するの忘れてたけど……」

 

 

初春「御坂さん横条君がタイプなんですか…?」

 

 

美琴「え?…いや、別にタイプとかそんなんじゃないと思うけど…

なんとなく、目に入ってきたから…」

 

 

美琴「(あれ……なんかこの顔…誰かに似てるような…)」

 

 

佐天「そ、そっかあ、横条君を選ぶなんて、御坂さんもなかなか、

渋いところをつくというか、マニアックというか…」

 

 

美琴「え?え?なにそれ、どーいうこと??」

 

 

初春「え、えっとその……言いにくいんですけど御坂さん…

…横条君って全く人気ないんですよ…学園神起48の中で」

 

 

佐天「ちょ、ちょっと初春!?」

 

 

美琴「え、そ、そーなの!?」

 

 

佐天「あ、い、いや、実はそうなんですよ…

…い、いや別にとりわけ顔がかっこ悪いとかじゃないんですけど…

…なんか、地味、っていうか…

 

ほら、趣味もスーパーの特売に行くこと、ってなんか主婦っぽくて地味だし…」

 

 

初春「口癖も『不幸せだあ』、っていうのもなんか…

…夢を売る仕事なのに、ネガティブな感じでアイドルらしくないですしね……」

 

 

美琴「ふ、ふーーん、そ、そうなんだ……」

 

 

佐天「あ、けど、いるんですよ!!すごく少数派なんだけど、横条君のファンって!!

決して、ファンがいないわけじゃあ……」

 

 

初春「そ、そうそう!!そうなんですよ!なんか横条ファンって

固定層が多いらしくて…」

 

 

美琴「い、いや、私は別にコイツのファンになったわけじゃないし…」

 

 

美琴「(…………)」

 

 

美琴「(ああ、そっか……なーんかどっかで見たことあると思ったら…

 

…名前から何まであの馬鹿に似てるんだわ…この横条ってのは)」

 

 

美琴「……………」

 

 

…………

 

佐天「……あ、そーだ二人とも!!実は私たち、今週の日曜日に

学園神起48のライブに行くつもりなんですけど…

…良かったらお二人も一緒にいきませんか!?」

 

 

初春「ええ、ちょうどチケットが2枚余ってますし…

…一緒に行きましょうよ白井さん、御坂さん!」

 

 

黒子「…ワタクシは結構ですわ……さっきも申しあげたとおり、

そんなガキどものライブなんかに興味はありませんから」

 

 

佐天「えーー白井さん、そんなこと言わずに一緒に行きましょうよぉ」

 

 

初春「……御坂さんはどうですか??一緒に行きませんか??

ほら、横条君も来ますし……」

 

 

黒子「お姉さまも黒子と一緒で行きませんわよね、そんなライブなんか

横条なんて男、どーでもいいですわよねえ??」

 

 

美琴「……うーーん、そうねえ、私は………」

 

 

そして日曜日…

 

学園神起48のライブ会場前

 

 

ざわざわ……

 

 

美琴「……うわあ、すごい人の数……これ皆、ライブを見るために来てるの??」

 

 

佐天「そりゃ当然そうですよ御坂さん!学園神起48のライブっていったら、

毎回、観客動員数が4万人はくだらないんですからっ!!」

 

 

初春「若い子だけじゃなく、子供やお年寄りにも人気がありますからね、学園神起48は」

 

 

美琴「へ、へえー、そうなんだ……そこまで人気だっただなんて……」

 

 

黒子「……全く、お姉さまったら……せっかく貴重な日曜日ですのに…

…こんな人ごみが多いとこで来てなにが楽しいんですの……?」ぶつぶつ…

 

 

佐天「もう、まだぶーたれてたんですか、白井さん?

だったら、白井さんは着いて来なきゃよかったのに……」

 

 

黒子「はん!何言ってますの佐天さん!ワタクシは、お姉さまが向かうところであれば、

例え火の中水の中……どんなところでも着いて行きますわよ!」

 

 

佐天「そ、そうですか…」

 

 

黒子「(……それに……ありえないとは思いますけど…

 

…お姉さまがこんなくだらないアイドルなんかにうつつ抜かすようにならないように、

しっかり見張っておかなければ…!)」

 

 

初春「それはそうと、ちょっと早く会場に着きすぎてしまいましたねえ」

 

 

美琴「そうね、ライブの開始時間まで、あと1時間くらいあるみたいだし」

 

 

佐天「ええ~、まだそんなにあるんですか、弱ったなあ……

…あ、そうだ、それなら!!ライブが始まる前に、

好きなメンバーのグッズを買いに行きましょうよ!!」

 

 

初春「あ!そうですね、行きましょうみなさん!!」

 

 

美琴「え……グッズって??ライブにそんなの売ってるの??」

 

 

佐天「なに言ってるんですか御坂さん!!そんなの当たり前じゃないですか!!

ほら、あそこにメンバーの顔がプリントされたTシャツやら、

タオルやら売ってるところがありますよね!!あれのことですよ!!」

 

 

初春「やっぱりライブを盛り上げるために、たいてい皆、自分のファンのウチワなんかを

買ってから、会場に入るモンなんですよ、御坂さん!!」

 

 

美琴「ふ、ふーん、ウチワねえ……良く分かんないけど、そういうモンなのね…」

 

 

佐天「ああ!!こ、こーしちゃいられないわ!!

早く行かないと土御間君のウチワ、売り切れちゃうかも!!」

 

 

初春「わ、私も海山君のウチワ買わないと……!!

早く行きましょう、ほら、御坂さん、白井さんも!!」

 

 

美琴「え、ええ……」

 

 

黒子「はあ……まったく、どーでもよろしいのに……」

 

 

アイドルグッズ販売店

 

ざわざわ……

 

店員「ほらほら、押さないでください!!ま、まだそんな売り切れたりしませんから!!」

 

 

ファン1「土御間君のウチワとTシャツくださいっ!!」

 

 

ファン2「私は海山君のタオルとキーホルダーを…!!」

 

 

ファン3「私は、一方向通行人君の……」

 

 

わいわい……がやがや……

 

 

佐天「う、うわ、すごい人だかりになってる……そ、それにや、やばい……

土御間君のグッズを買って行ってる人、めちゃくちゃいるじゃん!!?」

 

 

初春「あ、海山君のグッズも飛ぶように売れてますよ!」

 

 

佐天「初春!!わ、私急いで、土御間君のグッズコーナーがあるとこの列に

並んでくるね!!」

 

 

初春「ええ!わ、私も海山君のグッズコーナーに行ってきます!」

 

 

美琴「ちょ、ちょっと二人とも…」

 

 

初春「すいません、御坂さん、白井さん!ちょっと行ってきますね!!」

 

 

佐天「また後でここで落ちあいましょう!!」

 

 

タッタッタッタッ……(人ごみへと消えていく初春と佐天)

 

 

……………

 

 

……………

 

美琴「………行っちゃった………どーしとこうか黒子?私たちも買いに行く、ウチワ?」

 

 

黒子「……はあ…もう、ここで素直に待っとけばいいんじゃないですのお姉さま…?

 

……黒子はもう、この場内の暑さのせいで完全に疲れ果ててしまいましたの…

…あんまりその辺をうろつくということはしたくないですわ…」

 

 

美琴「……なんか黒子、アンタすごいしんどそうね…

 

…まあ、確かにそういえば、ここって、異常に蒸し暑いわよねえ…

…やっぱこれだけ人がいるから………んん?」

 

 

黒子「………どうしたんですの、お姉さま??」

 

 

美琴「……なんか、あそこの一帯だけ、全然人が集まっていないけど…

…一体、どうして……って、ええええ!!!???」

 

 

黒子「な、なんですの……一体どうしたんですのお姉さま…?」

 

 

美琴「……な、な、ななんで横条コーナーだけ全然、列ができてないのよ!!??

なんで誰もいないの!!?なんで全然売れてないのよ!!??」

 

 

黒子「ええ……?…あら、そういえばそうですわね…

…けど、お姉さま、初春と佐天さんが言ってたじゃありませんの…

…横条はメンバーの中でも人気がないって…」

 

 

美琴「人気がないって言っても、土御間君とかと差がありまくりじゃないのよっ!!!

な、な、何考えてんのよあの馬鹿!!!信じられない!!

 

あーーーもう!……行くわよ黒子!!!」

 

 

黒子「え…………行くってどこに………?」

 

 

横条グッズコーナー

 

販売員「いらっしゃいませー」

 

 

美琴「横条のウチワくださいウチワ!!10枚!!!」

 

 

販売員「じゅ、じゅ、10枚!???」

 

 

黒子「じゅ、10枚ってお姉さま!!

会場に持ち込むウチワは1枚で十分なんじゃないんですの!!??

な、なんでそんなに……??」

 

 

美琴「あ、あーーーもう、そりゃ、そうだけどっ!!けど、別にいいでしょ?

 

こんだけ暑いんだから、10枚くらい買ったって!!!

私とアンタで5枚づつ使えばいいじゃない!!」

 

 

黒子「い、いや、お姉さま…ウチワってそういうモンじゃない気がするのですけど……」

 

 

美琴「あ!!そ、それに、他の商品も…タオルなんかも売ってるのに、

全然売れてないじゃない!!く……ほんとに人気ないのね、あの馬鹿は……!!!

 

……………黒子ォォォォォ――――――――――――!!!」

 

 

黒子「は、はい!??な、なんですのお姉さま!!???」

 

 

美琴「アンタ今、暑くて汗かいてるからタオルあったほうがいいわよね!!!

私も買うから、アンタも買いなさいよタオル!!5枚!!!」

 

 

黒子「い、いやいやいやだからああああーーーーー!!!

なんでそんなにタオルがいるんですのお姉さま!!!!

 

っていうか、そんな横条の顔がプリントされたタオルなんて

5枚もいらないですわっ!!!」

 

 

美琴「だ、大丈夫よ、この暑さなんだから!!

タオル5枚くらいすぐ消費するでしょっ!!?」

 

 

黒子「お、お姉さまあ!!!!しょ、消費ってなんですの!!!

い、いつからお姉さまの中でタオルは消耗品になったんですのーーーっ!!!」

 

 

……………

 

……………

 

そして……ライブ会場

 

ざわざわ……

 

佐天「……さて、無事、土御間君のウチワも買えたし…!!

後はライブ開始を待つだけね!!」

 

初春「はい!私なんかウチワだけじゃなく、タオルも買っちゃいましたよ!!

 

……って、ああ!あと本番開始5分前……!!私、なんか胸がドキドキしてきました…!」

 

 

佐天「……それはそうと、御坂さん……ずいぶん沢山、ウチワ買いましたね……」

 

 

美琴「え、ええ?そ、そうかしら…

…け、けどほら、こうやってまとめて仰ぐと一枚より涼しいかなって…

……ね?」ゴアアアッ!!ゴアアアッ!!

 

 

佐天「そ、そうですか……??た、確かにただならぬ音はしてますけど、

すっごく腕が疲れそう……」

 

 

初春「白井さんも、横条君のタオル、そんな何枚も首かけてどうしたんですか……??

なんか隣にいるだけで、すっごく暑苦しいですけど……」

 

 

黒子「う、ううううるさいですの初春!!!

好きでこんなことになったんじゃないんですのよぉぉぉ!!!」

 

 

………

 

…………

ビーーーーー!!(ブザーが鳴る音)

 

 

初春「あ!!とうとう本番が始まりますよ!!」

 

 

佐天「あ、見て初春!!次々と舞台に学園神起48のメンバーが…

…ってあああ!!!初春みてみて!!

 

土御間君!!!土御間君が出てきたよ!!!キャーー!!!土御間くーーん!!」

 

 

初春「う、海山君も出てきましたよ!!!

……う、海山くーーん!!!!がんばってくださーーい!!」

 

 

きゃーーーー!きゃーーーー!(次々と会場に巻き起こる歓声)

 

………

 

歓声1「捨入君、愛してるーーーーー!!!!!」

 

 

歓声2「海山君、かっこいいーーーーー!!!」

 

 

歓声3「きゃーーー一方向くーーーん!!!」

 

 

……………

 

……………

 

美琴「わ……す、すごい歓声ね、黒子…

…ど、どうしよう、私たち、なんかちょっと浮いてないかしら……?」

 

 

黒子「……い、いやそんなことよりお姉さま……黒子は…、…か、横条の…

…横条のタオルのせいで……暑くてたまらないんですけどお姉さま……」ぜいぜい……

 

 

美琴「あ、そういえば、アイツは……??横条はもう舞台に出てきてるかしら……??」

 

 

美琴「(ええっと横条横条……あ、出てきた出てきた!!!)」

 

…………

 

美琴「(………って何アイツ、自信なさそうに舞台にでてきてんのよ!!

…そんでなんで、舞台の後ろ端の目立たないところにいっちゃうわけ!??

もっと前の方行きなさいよ!!土御間の隣とか行きなさいって!!)」

 

 

美琴「(…あ!そ、そういえばあの馬鹿、他の連中みたいに

全然歓声も上がってないじゃない……!!

固定層はどーなったのよ固定層は!!!)」

 

 

佐天「うわあ、私、土御間君を生で見るなんて初めてだよ、初春!!

やっぱかっこいいなーー!!」

 

 

初春「私も海山君を生で見れて感激ですっ!!ホント、来てよかったです!!!」

 

……………

 

 

美琴「(な、なんかイライラするわねアイツ……!!)」

 

 

黒子「ぜいぜい……(は、早く帰りたいですの……)」

 

 

土御間『今日は俺達もライブに来てくれてありがとうだにゃー!!

それじゃあ、さっそく行くぜ一曲目!!!『とあるIKEMEN☆の禁止事項』!!』

 

きゃーーーーー!!!!!!

 

 

初春「さ、さっそく定番の曲ですね、佐天さん!!!」

 

 

佐天「う、うん!!!なんたって、学園神起48のデビュー曲だもんね!!!

これは盛り上がるわよぉぉ!!」

 

 

美琴「(なんでさっきから、あの土御間って奴ばっかり目立ってんのよ……!!)」

イライラ……

 

 

…とあるIKEMEN☆はparallel world 幾千もの時間に

同じものなどないIKEMEN☆で織り成す 時空へ…♪

 

 

きゃーーーーーーーー!!きゃーーーーーーーーーー!!

 

 

佐天「う、うわああ、すごい、やっぱ生ライブは違うわあ…!!歌って踊ってる

学園神起のメンバーがこんなにかっこいいだなんて……!!!」

 

初春「ええ!!!みなさんとってもかっこいいです!!!」

 

佐天「……けど、やっぱ一番は土御間君だな!!ほら、メンバーの中で一番

、踊りも歌も上手だと思わない!??絶対、あの中で一番上手いよ!」

 

 

初春「な……!!そ、そんなことないです!!海山君だって、

歌も踊りもとっても上手ですよ!!なんたって、どの曲でも前列にいますし……!!」

 

 

美琴「…………」

 

 

美琴「(なによあの馬鹿……自信なさげにしてるから、歌も踊りも下手なのかと思ったら…

 

普通に上手いじゃないのよ……!!!

っていうか、土御間とかよりもよっぽど上手いじゃない!!!

……それなのに、なんであんな隅っこで縮こまって踊ってんのよっ!!!!

 

 

ああああーーーー!!!見ててイライラするーーーーー!!!!!!)」

 

 

…………

 

なんか蚊帳の外の黒子

 

黒子「……ぜいぜい…あ、あつ…すぎ…です…の……

 

ひっ…ひっ…ふーー……ひっ…ひっ…ふーー………」

 

…………

 

 

【イケメン】駆け抜けて【トオクマデ】

【ミクダス】ブサメンを蹴って【ブサメンケッテ】♪

 

 

佐天「ああ!!つ、ついに曲のサビに入るよ、初春!!」

 

 

初春「そ、そうですね!!ここは盛り上がりますよね、佐天さん!!!」

 

 

美琴「」イライライライライライラ………!!!!!!!!!!!

 

 

佐天「や、やっぱここは声援を送らなきゃ……!!!!!

 

 

土御門くんがんばって…」

 

 

 

美琴「こらあぁぁぁーーーーー横条おおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉーーーー!!!!!!!!

なーーーにやってんのよぉぉぉーーーー!!!!!!

 

ちゃんと堂々と歌って踊りなさいよ

この馬鹿あああぁぁーーーーーー!!!!!!!!!!!」

 

 

佐天・初春「え…………」

 

 

初春「み、御坂さん……?」

 

 

美琴「歌も踊りも他のヤツより上手いんだからぁぁーーー!!

もっとしゃきってしなさいよっっ!!!!もっと頑張んなさいよぉぉーーーー!!!!!」

 

 

佐天「あ、あの御坂さん……」

 

 

美琴「あ!!!もしかして、自分は歌も踊りも下手だと思って

馬鹿を見てる感じになってんじゃないでしょうねえええーーー!!!

アンタもっと自信もって…」

 

 

初春・佐天「御坂さん!!!!!」

 

 

美琴「……え?」

 

 

初春「あ、あの御坂さん…

…じ、自分のファンに声援を送るのはいいと思うんですけど、その……?」

 

 

佐天「え、ええ……そのもっとライブらしく『キャーーー』とか『かっこいいー』とかなら自然なんですけど……その御坂さんのは……」

 

 

初春「その……むしろ叱咤?とか、激励に近いっていうかその……」

 

 

美琴「え?…あ、ああ、そ、そうね…そうよね……そう、ライブだもんね!!

 

ご、ごめんごめん分かった分かった…

…そう、『キャーーー』とか『かっこいいー』とかよね……うんうん……

 

 

…………

 

 

美琴「キャーーーー横条かっこいいーー!!!

 

……って、いい加減にしなさいよアンタはあ!!!もっと真剣にやんなさいよっっ!!!!

だいたいアンタはいつもいつも……!!!!」

 

 

佐天「御坂さーーーーん!!!!!」

 

 

初春「佐天さんが言ったことを付け足しただけで何にも変わってないですう!!!!」

 

 

その後も美琴の横条に対する声援は会場に鳴り響いた…

 

3曲目

 

 

美琴「だっからああーーーー!!!!

もう、なんでアンタはそんな目立たないように踊るのよ!!!

もうアンタはバク転とかしなさいバク転!!!他のヤツと違うことしなさいよ!!!」

 

 

佐天「い、いや御坂さん…それぞれの曲によって踊り方が決まってて……」

 

 

5曲目

 

美琴「もっと大きな声で歌いなさいよアンタはああ!!!!!何?全然聞えないわよっ!!もしかしてマイク切られてるのアンタだけ!!??」

 

 

初春「ちょ、み、御坂さん、そ、そんなことないですから……」

 

 

7曲目

 

 

美琴「あーーーーもう!!イライラするわねええ!!!!!

もう、アンタは前列に出なさい前列に!!!そんで土御間のポジションぶんどって…!!」

 

 

佐天・初春「御坂さーーん!!!!」

 

ぎゃーーー、ぎゃーーー……

 

…………

 

横条「(……なんだあの子……さっきからなんで俺に対して

あんなに怒ってんだ……??

 

はあ……なんかよくわかんないけど……

俺っていっつも貧乏くじばっか引いてる気がする……

 

…………………不幸せだ………)」

 

 

その後…

 

ライブ会場前

 

初春「……いやあ、盛り上がりましたねえライブ!」

 

 

佐天「うん、生の土御間やっぱかっこよかったなあ!!……また絶対来ようね、初春!!」

 

 

初春「そうですね、また御坂さんと白井さんも誘って……って、あれ…??2人は??」

 

 

佐天「あ、あそこだ……また横条君のグッズコーナーにいる…」

 

 

初春「ら、ライブがはじまる前、あんなにたくさんウチワとか買ってたのに…

…まだなにか買うつもりなんですかね……?」

 

 

横条グッズコーナー

 

美琴「……な、な、な、なんでまだこんなにグッズが余ってんのよ!!!!

ライブももう終わったっていうのにっ!!!

 

……あの馬鹿!!どんだけ人気ないのよっっ!!!!」

 

 

黒子「…も、もも、もうよろしいではありませんのお姉さま…

…グッズなら、ライブが始まる前、あんなに……」

 

 

美琴「すいませーん!!!この横条のカレンダーを7枚ください!!!!」

 

 

黒子「はあ………また……」

 

 

美琴「……それにしても、人気ないくせに種類だけは多いのねえ、

あの馬鹿のグッズは……!!!ああもう……!!!!!

 

……黒子ォォォォォ――――――――――――!!!」

 

 

黒子「…………………………なんですのお姉さま……?」

 

 

美琴「アンタ!!汗で服がビショビショじゃない!!!

そのままじゃ風邪ひいちゃうわよ!!!!仕方ないから、この横条Tシャツを12枚……」

 

 

黒子「着るわけないですのよオオオオオーーーーー!!!!!!!!!!!!!

だ、だだだだれが、そ、そんな横条の顔がプリントされたTシャツなんて!!!

 

っていうかなんで12枚!!??なんでいちいち大人買いするんですのっっ!!!!?」

 

 

……………

 

美琴「…ごめんごめん、2人とも遅れちゃって」

 

 

佐天「うわ……み、御坂さん、これはまた沢山買ってきましたね……

そ、そのカレンダー、そんなに買ってどうするんですか……?

ぜ、全部同じ年のやつなのに……」

 

 

美琴「え、ええ?……け、けどほら、7枚買っとけば、

同じ日に7つ分の予定が書ける

じゃない?だ、だ、だから、お得なのよ……うん、うん」

 

 

佐天「ぜ、前回より言いわけが苦しくなりましたね御坂さん……」

 

 

初春「うわっ……し、白井さん、そんな横条Tシャツ何枚も重ね着してどうしたんですか…?そんな格好で寮まで帰るつもりですか……??

それに、なんかさっき以上に暑苦しいんですけど……」

 

 

黒子「て、てめ……初春うぅぅぅぅーーーーー!!!!

絶対、あなたわざと言ってるでしょうがああああーーーーーーー!!!!!

好きでこんな格好してるわけじゃないですのよおおおーーーーーーー!!!!!!!!!!」

 

 

……………

 

美琴「あれ……?そういえば、ライブが終わったっていうのに、

なんで会場の入り口の方、めちゃくちゃ人が集まってるのかしら……」

 

 

佐天「ああ!そ、そーだった忘れてました御坂さん!!どうも今から、入口から

メンバー全員が出てくるみたいなんですよ!!帰りのバスに乗り込むためにっ!!」

 

 

初春「えええ~~!!!って、ことは、ライブ会場より間近で海山君が見れるかも!!

そ、それじゃは、はやく行きましょうみなさんっ!!!」

 

 

佐天「うん!!ほら、御坂さんと白井さんも早く!!!!」

 

 

美琴「え、ええ……!」

 

 

黒子「ええ~~~、ま、またあんな人ごみの多いところに行くんですのお姉さま…

 

…はあ……」

 

 

…………

 

ライブ会場入り口前

 

わいわい……がやがや………

 

鉄装「お、押さないでください!!こ、これ以上入らないで!!」

 

 

黄泉川「ほらほら、このラインより前に入ってくるなよお前ら!!

いまからメンバーが出てくるんだから!!入り口をふさぐんじゃねーじゃん!!」

 

…………

 

黒子「こ、こんなライブのためにアンチスキルまで警備にかりだされているだなんて…

信じられないですの……」

 

 

美琴「う、うわあ、や、やっぱすごい人だかりね……」

 

 

初春「けど、なんとかこの位置ならメンバーの顔も見れそうですよ御坂さん……!!」

 

 

佐天「……って、ああ!!!見てみて初春、御坂さん!!!

入り口からメンバーが出てきたみたいですよ!!」

 

 

(入口から次々の出てくるメンバー)

 

きゃーーーーーーーーーーーー!!!!!

 

 

歓声1「きゃーー!!土御間君、こっち向いてーーーー!!!!!!」

 

 

歓声2「海山くーーーん、愛してるーーーー!!!!」

 

 

歓声3「きゃーー!!捨入くーーーん!!!」

 

……………

 

佐天「あ、ああ!う、初春!!土御間君、こっちに近づいてくるよ…!!

 

……って、あ、きたきた……!!!…きゃーー!!土御間くーーん!!!」

 

 

初春「あ…海山君もこっちに来た……!!

う、海山くーーん!!!こっち向いてくださーーい!!!」

 

……

 

美琴「(ええっと……あの馬鹿は………あ!!出てきた出てきた)」

 

 

(他のメンバーと一緒に、入り口から出てくる横条)

 

 

美琴「………ってあの馬鹿あああ!!!!

何ほかのメンバーの影に隠れるようにして出てきてんのよ!!!

なんでアイドルのくせして、いちいち目立とうとしないわけえええ!!!???」

 

 

美琴「……ほらああ、アンタ!!もっと、しゃきっとしなさいよしゃきっとお!!

これだけ言って、まだ分かんないのアンタはああーーーー!!!」

 

 

佐天「み、御坂さんまた……」

 

 

初春「も、もう何を言っても無駄みたいですね……御坂さんには……」

 

………

 

 

……………

 

ぎゃーーーー……ぎゃーーーー……

 

 

 

 

横条「(ん……?な、なんかまた俺に対する罵声が聞えるような…

 

…って、またあの子か……はあ…

 

…あの子一体、俺になんの恨みがあるんだろ…

 

…はあ……不幸せだ………)…

 

……って、んん??」

 

 

横条「(なんだぁ……お客の中にいるあのマスク姿の男は……?

あんな周りをきょろきょろ見渡して…

 

ライブに来た人にしては、ちょっとスタイルが怪しいような……)」

 

…………

 

 

……………

 

美琴「………そんなんだから、アンタはいつまでたっても

人気があがんないのよぉぉーーっ!!!

 

わかったら、ちったあしゃきっとしなさいよおおー!!!」

 

 

初春「……これはもう、御坂さん独特の応援として、

あきらめるしかないですね佐天さん……」

 

 

佐天「そーだね……けどまあ、この方が御坂さんらしいっちゃあ、らしいかも…

 

……っていたあ!!!」ドンッ

 

 

(突然佐天の肩にぶつかって走り去るマスク姿の男)

 

 

佐天「あいたたたた……」

 

 

初春「だ、大丈夫ですか、佐天さんっ!!?」

 

 

佐天「い、痛ったあ……な、なんなのよアイツ………ってああああ!!!!

 

 

初春「ど、どーしたんですか佐天さん!!??」

 

 

佐天「ない!!ないよ初春!??ポケットに入れてた私の財布が

 

……なくなってる!??」

 

 

初春「え、ええ!!!!??」

 

 

美琴「なんですって!!!」

 

 

佐天「き、きっとさっきぶつかってヤツが盗っていったんだ!!……

 

だ、誰かーーー!!あの男を止めてください!!泥棒です!!その人!!」

 

 

美琴「黒子!!!」

 

 

黒子「ええ!!分かっていますわお姉さま!!すぐにテレポートで追いかけますの!!

初春はすぐに、警備のアンチスキルに連絡を………!!!」

 

 

初春「は、はい!!分かりまし」

 

 

横条「おおおおおおおーーーーーーーーーー!!!!!!!!!」

 

 

黒子「………え?」

 

 

美琴「よ、横条……??」

 

(突然、全速力で犯人を追いかける横条)

 

 

……………

 

 

………

 

 

 

そのころ、犯人は……

 

男「はあ、はあ…、こ、ここまで来ればもう大丈夫だろ…」

 

 

男「それにしても、ライブ終了後の会場前ってのは絶好のスリ場所だぜ…!!

 

人ごみに紛れやすいし、ライブに来る馬鹿女どもってのは大概、

グッズなんかを買うために、たんまり金を持ってきてやがるしな……!!!」

 

 

男「それにしても…くくく…警備してたアンチスキルは何やってんだろうなあ……!

まったく、張り合いがねえ、っていうか………んん?」

 

 

横条「どおおりゃあああーーーー!!!!!待ちやがれテメエ!!!」

 

 

男「な、なんだアイツは……!!???アイツ確か、学園神起48のメンバー

の奴じゃ……!??…………ってどあああああ!!!!」

 

(犯人に飛びかかる横条)

 

 

横条「はあはあ…やっと、捕まえたぜ犯人!!!さあ、はやく、

女の子から盗った財布を返しやがれ!!!!」

 

 

男「な、な、なんでアイドルが俺のことを邪魔しやがるんだっ!!!

テメエには関係ねーじゃねーか!!!とっとと離しやがれ!!!!」

 

 

横条「関係…………ねえだと……!!??」

 

 

 

…………

一方そのころ…

 

 

美琴「はあ、はあ……ど、どこまで追っていったのよアイツ!!」

 

 

黒子「あ…!!いましたわお姉さま!!あそこですのよっ!!!」

 

 

佐天「ほ、ほんとだ!!横条君、犯人捕まえてる!!」

 

 

初春「け、けど、一体なんで横条君が……!??」

 

 

美琴「と、とにかく行ってみましょう!!!」

 

 

………

 

 

…………

 

男「そーだろ、関係ねーだろうがテメエにはあ!!テメエみたいな

糞アイドルごときがこの俺の仕事の邪魔してんじゃ」

 

 

横条「ばっかやろおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!」

 

 

男「!!!!!!??」

 

 

横条「何が関係ねー、だ!!大アリなんだよっ!!あの女の子はなあ……!!

ライブを見に来てくれた、俺達の大切なファンの一人なんだよっ!!

 

俺達の仕事は、そんなファンの子たちに夢と希望を与えるのが仕事なんだ!!!

 

大切なファンの子が、テメエみたいなヤツに財布を盗まれて、

黙って見てるわけにはいかねえんだよぉぉ!!!!!」

 

 

男「は、はん!!な、なにが大切なファン、だよ、ばかばかしい!!!

し、知ってんだぞ俺は!!テメエ、

メンバーの中でも全然、人気ない横条ってやつだろ!??

 

ファンなんかほとんどいねーらしいじゃねーか!!!

て、てめえみてえなヤツが、なに人気アイドルぶってえらそーに!!!!」

 

 

横条「ああそうさ!!確かに俺は人気ねーよ!!メンバー1の無人気者さ!!だがな……

そんな俺でも学園神起48の一員なんだ!!!

例えあの子が誰のファンだろうとそんなの関係ねえ!!

 

メンバーのことを応援してくれてるファンの子を悲しませるヤツはこの俺が許さねえ!!

そんな幻想、俺がぶっ壊してやる!!!」

 

 

佐天「横条さん………」

 

 

初春「け、結構熱い人だったんですね横条さん……」

 

 

美琴「(アイツ……)

 

 

男「く、くそこの野郎!!!いい加減に……!!」

 

 

(横条に殴りかかろうとする犯人)

 

 

横条「って、う、うわっ、やばい!!!!!」

 

 

黒子「そこまでですわ!!!ジャッジメントですの!!!

窃盗罪で貴方を拘束いたしますわ!!!」

 

 

男「………く、…………ち、畜生、ここまでか………!!

 

こ、こんなアイドルごときに俺が…………!!!」

 

 

横条「……はあ、助かったぁ~………」

 

…………

 

美琴「(……………ふーん……)」

 

 

美琴「(なかなかやるじゃない、アイツ……)」

 

……………

 

 

その後………

 

………

 

黄泉川「ほらっ!!とっとと車に乗るじゃん!!!」

 

 

男「く、くそ……」

 

 

…………

 

 

横条「…………」

 

 

横条「(窃盗犯を追うなんて……我ながらトンデモナイことしてしまったけど……

まあ、犯人も無事捕まったことだし……一件落着か……)」

 

 

黒子「………お手柄でしたわね、横条方麻さん?」

 

 

横条「…ん……?君たちはさっきの…」

 

 

佐天「財布を取り返してくれてありがとうございました!!!

なんか私、横条さんのこと見なおしました!!」

 

 

初春「ええ!!とってもかっこよかったですよ、横条さん!!!」

 

 

横条「え、そ、そうかな……はは……いや別に俺は」

 

 

美琴「何よ、褒めてるんだから素直に喜びなさいよ、

犯人を捕まえたのはアンタなんだから、もっと胸を張ればいいでしょうが」

 

 

横条「う………君は確か……罵声女……」

 

 

美琴「はあ?なんだって??」

 

 

横条「い、いや別に………」

 

 

黒子「けどまあ、ホントにお手柄だったですのよ横条さん…

…お友達の財布を取り返してくれたお礼といってはなんですけど…

…あなたの勇気をたたえて、ジャッジメントであなたを表彰したいと思うのですの」

 

 

横条「ええ……表彰……!??お、俺が!!!??」

 

 

佐天「ああ、確かに、よく事件解決に貢献した一般の人に感謝状

送ったりしますもんね!!」

 

 

初春「うわあ、それはいいアイデアですね白井さん!!!」

 

 

横条「い、い、いやいい、いいよ俺はそんなの!!」

 

 

初春「え、ええ?なんでですか?別に断らなくても……」

 

 

佐天「そーですよ!もしかしたら、表彰されることでファンが増えるかも

しれないですよ?」

 

 

美琴「そーよ、何言ってんのよ、表彰するっていってんだから、

素直に応じたらいいじゃないのよ、なんで断ってんのよアンタは、まったく」

 

 

横条「……(ま、また罵声女が間からごちゃごちゃと……)

い、いや別に俺はそんなつもりで犯人を捕まえたわけじゃないし……

 

………それに、無事、財布も戻ってきたんでしょ?」

 

 

佐天「え、ええ、そりゃまあ…」

 

 

横条「だったら、何の問題もないからいいよ、

…君がこれからも学園神起48のファンで

いてくれれば、それでいいっていうか……」

 

 

美琴「……………」

 

 

美琴「……へえー」

 

 

黒子「……お姉さま?」

 

 

初春「どうしたんですか、御坂さん?」

 

 

横条「な、なんだよ……何かまだ文句でもあんのかよ…」

 

 

美琴「こりゃ驚いたわ……そんなセリフしれっと言っちゃう人間なんて、

あの馬鹿ぐらいのモンだと思ってたけど……

 

やっぱアンタ、なかなか見込みあるじゃない」

 

 

横条「え……あ、あの一体……??」

 

 

美琴「それじゃあ、アンタ……犯人を捕まえてくれたお礼に、

この御坂美琴様が気が向いたときに、ファンの一人として、

アンタのこと応援してやってもいいわよ……!?」

 

 

横条「……………え?」

 

 

佐天「……………」

 

 

初春「……………」

 

 

黒子「……………」

 

 

一同「(な、なぜにこんなに高圧的……?)」

 

 

…………

 

 

初春「あ、あのー御坂さん……??」

 

 

佐天「あ、アイドルのファンの人って、普通、

アイドルにそんな上から目線な態度、とらないと思うんですけど……」

 

 

初春「ファンになってあげてもいい、っていうセリフはちょっとおかしいような……」

 

 

美琴「さあ!どーなのよっ!!ファンになって欲しいの欲しくないのっ!!!」

 

 

横条「え、え、えっとその………欲しくないです!!!」

 

 

美琴「な、な、なんですってええええええーーーーーーーー!!!!!!

ふ、ふざけてんじゃないわよおおおおおおーーー!!!!!!!」

 

 

佐天「み、御坂さーーん!!!!ちょ、ちょっとぉ!!!」

 

 

初春「お、おさえてくださいーーー!!!!」

 

 

黒子「お、おおお姉さま!!そんな!特定の殿方のファンになるだなんて……!!

馬鹿なことを言うのはおやめになってくださいまし……」

 

 

横条「……あれ、そういえばツインテールの君、俺のグッズTシャツ来てるけど…

…もしかして俺の数少ないファンなの?

 

……けど、そんなにTシャツを重ね着するのはおかしいような…」

 

 

黒子「だから好きでやってんじゃないんですのよぉぉぉーーーー!!!!!!!!!

だれが、あなたのファンなんかにぃぃぃ!!!!!

ふざけてんじゃないですのぉぉぉぉーーー!!!!!!!!」

 

 

横条「ひいいいいいい!!!」

 

 

美琴「待ちなさいアンタはああ!!!!何処行くのよぉぉぉ!!!!」

 

 

黒子「ふざけんなですのおおおお!!!!!!!!!!!!」

 

 

横条「どわあああああ、だ、誰か、誰か助けてえええええーーーー!!!」

 

 

…………

 

初春「御坂さん……白井さん……」

 

 

佐天「仮にも一人の国民的アイドルに対してこの仕打ち……ひどすぎる」

 

 

 

横条「ふ、不幸せだあああーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!」

 

…………

 

 

その後……

 

 

とあるアイドル事務所

 

横条「はあ……やっと帰ってこられた……ほんと今日はさんざんな一日だった…」

 

 

土御間「おつかれだにゃー横ヤン、犯人を捕まえるなんて、ホントお手柄だったにゃー」

 

 

青髪飛明日「ああ、やっぱ横ヤンはすごいわあ、感心するでホンマ!」

 

 

横条「おまえら……」

 

 

海山「一人のファンの為にあそこまで体を張れるなんて、

自分たちには到底できないことですからね」

 

 

一方向通行人「けっ!!正義のヒーロー気取りやがって……!!!

だがなァ、確かにあンなこと、てめえにしかできねえ…!!尊敬するぜ、横条」

 

 

横条「な、なんだよお前ら……そんなに褒めたって何にも出ねーぞ?

……だいたい俺はメンバー1の無人気者なんだから…

…俺よりお前らの方がよっぽどすげーじゃねーか」

 

 

土御間「確かに横ヤンの人気は俺達の中でも最下位……ファンの数も一番少ないにゃー。

 

……けど、それはきっと、横ヤンの魅力が俺達と違って、表面的なモンじゃなくて、

ちょっと分かりにくいってだけなんだにゃー」

 

 

青髪飛明日「うんうん、横ヤンの魅力は顔とか、そういう外見じゃなくて

内面にあるからな!きっと、テレビや雑誌を見ただけじゃなかなか伝わらないんやで」

 

 

海山「けど、そのかわり、横条さんの魅力に気づいたファンの人は

熱狂的な人が多いですよね…固定層が多いし……」

 

一方向通行人「けっ!!くっだらねえ……だが、やっぱテメエには

俺達にはない魅力があるとしか思えねえな」

 

 

横条「お、おまえら……」

 

 

青髪飛明日「ファンといえば、今日のライブでも来とったなあ…

…横ヤンの熱狂的ファンが」

 

 

土御間「ああ、そういえばそうだにぁー!!

ライブの間、ずっと声を張り上げて応援してた女の子がいたにゃー」

 

 

海山「自分はあの子、すごく好みだったんで、正直、嫉妬しましたけど……」

 

 

横条「ね、熱狂的ファンって……も、もしかして、あの罵声女のことか!?

ち、違うだろアイツは!!!ファンっていうか、むしろ俺の敵っていうか…」

 

 

土御間「いやあ、やっぱ横ヤンはわかってないにゃー、

あれほどのファン、俺達にはなかなかいないんだにゃー」

 

 

青髪飛明日「うんうん、間違いなくあの子は横ヤンの魅力を分かってたと思うで!」

 

 

横条「い、いやだから……」

 

 

土御間「いやあ、やっぱ横ヤンファンは違うにゃー…

…なんというか……その…

 

……男を見る目があるんだにゃー」

 

 

…………

 

 

それから数日後……

 

常盤台中学 寮

 

(とあるトークバラエティ番組を見ている美琴)

 

美琴「……あ、あーーーもう、あの馬鹿!!ぜんっぜんトークに混じれてないじゃない!!

何やってんのよホントに!!!」

 

 

美琴「あ、もうほら……!!あの馬鹿が全然、しゃべらないから、司会者のサンマーさんも土御間ばっかに話をふってるじゃないのよっ!!!やる気あるのかしら、あの馬鹿!!!」

 

 

美琴「あ!!アイツ、今、ぼそっ、って『不幸せだ』って言ったわねえ!!!

なに本番中にそんなこと口走ってんのよ!!気づかれてないとでも思ってんのかしらっ!!そんなにテレビに自分が出演するのが嫌なの!!?

 

だったら、そんな職業もうやめちまいなさいよあの馬鹿!!!」

 

…………

 

 

初春「す、すっかり横条のファンになってしまいましたね御坂さん……」

 

 

佐天「い、いや、あれは、ファンなのかなあ…?ファンっていうのとは

ちょっと違うような……」

 

 

黒子「はあ……全くお姉さま……ワタクシには全く理解できませんわ……なぜそこまで

横条さんに肩入れするのかが……

 

…ん、………まてよ、横条……??……

 

……はうわあああ!!!」

 

 

初春「きゅ、急にどうしたんですか、白井さん!!??」

 

 

佐天「ま、まあ突然奇声を発するのはいつものことですけど、一体どうしたんですか!?」

 

 

黒子「」ぶるぶる…

 

黒子「(そ、そ、そういえば……横条という名前といい……あの容姿……!!!あのアイドル……よくよく考えたら………あの腐れ類人猿にそっくりですの………!!!!!)」

 

 

黒子「(お姉さま……!!!ま、まままままさか……横条とあの類人猿を重ねて応援を……?

そ、そんなまさか……!!!!)」がくがくがくがく……

 

 

佐天「ちょ……!!し、ししし白井さん!!なんかめちゃくちゃ体が痙攣しはじめてますけど、大丈夫ですか!!!???」

 

 

初春「(ままままままさか、ワタクシのお姉さまに限ってそんな……!!)

ビクンビクンッ!!

 

 

初春「け、痙攣がますますひどくなっていってます!!!!

し、白井さん!!!!」

 

 

美琴「だーーーーー!!もう、また、せっかくサンマ―さんが話をふってくれたのに

そんなつまんない返しをする!!全然、番組に集中できてないわねあの馬鹿は!!!

 

どーせあの馬鹿、あの馬鹿と一緒で今夜の夕食何作ろっかな、

とかくだらないこと考えてたんだわ!!!」

 

 

美琴「…ちょ……あ、あ、あーーーもう!!!!!!

ほんっとイライラするわねあの馬鹿あああああーーーーー!!!!!!!!!!!!

 

ほんっとあの馬鹿はあの馬鹿に似てむかつくんだからああーーーーーーーーーー!!!!!」

 

 

黒子「おおおおねえさまあ!!!!!

さっきから、会話の中に2人の馬鹿が出てきてますけど!!!

一体それは、誰と誰のことを言ってるんですのオオオ!!!!!」

びくびくびくびくびくびくびく……!!!!

 

 

初春「きゃあああーーーーー!!!!!し、し、白井さんの体の痙攣が信じられないくらいひどくなっていってますよおお!!!」

 

 

佐天「白井さあああああーーーん!!!お、おおおお気を確かにいぃぃぃぃぃ!!!!!!

は、はやく!!きゅ、きゅ、救急車、救急車をおおおおおおーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

元スレ

https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1272986043/

八幡「うめぇ!やっぱ雪ノ下の料理うめぇ!」【俺ガイルss/アニメss】

 

目覚ましのピピピの音に目が覚めた 

 

小町「おにーちゃーん、ご飯出来てるよー早くおーきーてー」 

 

下の階から小町の声が聞こえる 

 

未練たらしくベッドの中でウネウネ動いて、ベッドから発生する重力に逆らいながら起き上がった 

 

下の階には既に朝食の支度をしてテーブルの椅子に座っている小町の姿しかなかった 

 

そういえば両親はまだ帰ってきていないかったな...... 

 

俺も眠たそうにしながら椅子に座った 

 

小町「いっただっきまーす!」 

 

なんで朝からコイツはこんなに元気なんだよ 

 

八幡「いただきまーす」 

 

八幡「ん?.....なぁ小町、俺ってトマト嫌いなんだけど」 

 

小町「お兄ちゃんは好き嫌いが多いから友達ができないんだよ。ほら、ちゃんと食べて!」 

 

八幡「俺がぼっちなのとトマト嫌いなのは関係ないだろ」 

 

文句を言いつつも仕方なく食べる。味は勿論嫌いだが、この気持ち悪い断面も嫌いだ 

 

はぁ、最悪の朝だぜ 

 

ちゃっちゃか飯を食って支度をして家を出た。小町が何やら日直らしく、俺よりも家を出たので俺は今日一人寂しく登校だ 

 

八幡「あぢぃ.....もう10月になるってのに」 

 

なんて独り言を何度も繰り返しながらフラフラと学校についた。教室を開けると一番に葉山のグループが喋ってるのが目についた 

 

楽しそうd....いやいや、忌々しいリア充共の会話なんて全然羨ましくねぇ。絶対だ 

 

今日は特に授業もなく、午前中で終わるハズだったのだが、こんな日にも部活はあるんだぜ 

 

奉仕部......こんな日に依頼に来る人間なんていないだろうに 

 

雪ノ下雪乃は生真面目なのだ 

 

とかなんとか心の中で愚痴りながら部室に着いた 

 

八幡「うーっす」 

 

雪乃「あら、こんにちわ。相変わらず死んだゾンビみたいな目をしているのね。何時にも増して酷いぐらいかしら」ニコッ 

 

出たよ、雪ノ下の嫌味。笑顔なのに冷たい。慣れたから別に傷ついてなんてないぜ。死にたいぜ 

 

八幡「うっせ。つーかゾンビは最初から死んでるっつの」 

 

八幡「それにしても、今日は何時にも増して暑いよな」パタパタ 

 

文化祭以降、嫌味はあれどもマトモな会話は出来るようになっていた 

 

雪乃「そうね。でも来週からは涼しくなるそうよ」 

 

そう言った雪乃の顔は涼しげだった 

 

八幡「なんでお前汗ひとつかいてないの?氷の女王だから?」 

 

嫌味ったらしく言ってやったつもりだった 

 

雪乃「あなたが暑さに弱いだけよ。ゾンビは暑さに弱いでしょう?」 

 

不敵な笑みだった。くそったれが 

 

八幡「そういや由比ヶ浜は?」 

 

雪乃「今日は友達の付き合いで来られないらしいわよ。メール、届いてないのかしら?」 

 

八幡「あ?....あー」 

 

そういえばメールが一件届いてたな。それのことか 

 

ちょっと言い方がワザトらしかったかな? 

 

雪乃「はぁ......全くあなたは」 

 

八幡「AHAHAHAHAHA」 

 

雪乃「いいわ。ヒキガエル君が干からびてしまう前にお茶にしましょう」 

 

八幡「だからそのあだ名やめろよ」涙 

 

雪乃「あら?ヒキニート君のほうが良かったのかしら?」 

 

茶を淹れている雪乃は何故か少し楽しそうだった 

 

八幡「はぁ、嫌味なんて言わずに普段からそうやって笑ってりゃ可愛いものを.....」 

 

そんならしくないことを言ってしまう 

 

雪乃「!?....」 

 

黙っていた雪ノ下だったが、よく見たら耳が真っ赤だ 

 

照れてるのか?自称美少女のクセに....いや他称もか 

 

雪乃「その....あなたから見て、私は、か、可愛いのかしら?」 

 

八幡「え、まぁ、そりゃ、か、可愛いと思う」 

 

何で動揺しちゃってんの俺。なんでお前も照れてんの。可愛いなんて言われ慣れてそうなのに 

 

雪乃「そ、そう....」 

 

顔を真っ赤にしたまま振り返って雪ノ下がお茶を持ってこっちに来た 

 

なんか俯きながら。大丈夫かよ。コケるぞ 

 

雪乃「は.....きゃっ」グラッ 

 

突然雪ノ下が自分の座っていた机に脚を引っかけた 

 

あ、言った傍から....!いや、言ってないけど 

 

立ち上がって支えようとしたが、時すでに遅し 

 

雪ノ下は盛大にコケた。お茶の入ったカップを床にブチまけて、頭から床に落ちた 

 

雪乃「はぅ.....」ガクッ 

 

八幡「お、おい!雪ノ下!大丈夫か!?おい!」 

 

駆け寄って抱えて呼びかけても返事がない。ただの屍のようだ。いやいや、それは困る! 

 

雪乃「う、うぅん?」 

 

八幡「気が付いたか!?大丈夫か?」 

 

雪乃「う.....」 

 

雪ノ下は文字通り目が回っていた。でも死んではいなかったらしい。良かったよかった 

 

八幡「良かった、生きてはいるみたい、だな」 

 

安堵したのも束の間、雪ノ下はこんなことを言った 

 

雪乃「誰....ですか....?」 

 

雪ノ下はキョトンをしていた。頭の上に?マークがありそうなぐらいキョトンとしていた 

 

八幡「は....?」 

 

雪乃「それに此処は.....どこなんでしょうか?」 

 

俺に抱きかかえられた状態でキョロキョロして、驚愕している俺の顔を見上げて 

 

雪ノ下は不安そうな、悲しそうな表情になった 

 

雪乃「あ、あの、なんで私、こんな、」 

 

自分が抱きかかえられているのを理解したのか、急に顔を真っ赤にして俯いた 

 

八幡「あ、す、すまん!」 

 

とは言っても行き成り離してやる訳にもいかない 

 

八幡「頭、痛くないか?」 

 

雪乃「だ、大丈夫、です....」 

 

八幡「立てるか?」 

 

雪乃「は、はい」スッ 

 

雪ノ下は俺に支えられながら立ち上がった 

 

雪乃「あの....ところで、あなたは....此処は....」 

 

八幡「.....俺だよ。八幡だよ。覚えてないか?雪ノ下.....」 

 

雪乃「はち、まん?....ごめんなさい......」 

 

やっぱり記憶喪失か..... 

 

マジかよ.....雪ノ下が記憶喪失.....どうすれば 

 

雪乃「どうして、そんな悲しい顔、してるんですか.....?」 

 

唐突に雪ノ下がそんなことを言いながら、俺の頬に手を触れてきた 

 

雪乃「とても....悲しそうな目....」 

 

そんなことを言う雪ノ下の表情も、悲しそうで、心がズキズキと傷んだ 

 

そんな悲しそうな顔...すんなよ.... 

 

その後、俺は雪ノ下に事の顛末と奉仕部、俺に知っている限りの今までの雪ノ下について説明した 

 

雪乃「そうだったんですね.....ごめんなさい、何も思い出せなくて」 

 

雪ノ下は申し訳なさそうに、弱弱しそうに言った 

 

だから、そんな悲しそうな顔すんなって.....調子狂うだろ 

 

雪乃「それで、あなたは、その、わ、私とどんな関係だったんですか?」 

 

なぜか顔を赤らめながら聞いてくる。そんな雪ノ下を見たら俺もドキドキしてきた 

 

八幡「とm....いや、ただの部員だ」 

 

友達と言いかけて、すこしげんなりした。前の雪ノ下に、俺たち友達、だなんて言ったら気持ち悪いとか言われそうだな 

 

雪乃「そう、なんですか....」 

 

何故か残念そうにする雪ノ下 

 

八幡「その....お前、これからどうするんだ?」 

 

雪乃「え、あ、その....」 

 

こんなこと聞いても戸惑うよな 

 

八幡「とりあえず、雪ノ下の家、行くか。何か思い出せるかも」 

 

雪乃「は、はい」 

 

雪ノ下の家の前...... 

 

八幡「そうだ、お前、家の鍵持ってるか?」 

 

雪乃「鍵....?」 

 

八幡「お前の家の鍵。カバンかどこかに入ってないか?」 

 

雪乃「あ、はっ、はい」 

 

そうして雪ノ下はカバンを弄る 

 

なんていうか、記憶失ってから、性格変わった?なんかオドオドしてて、コミュ障?俺が言えたことじゃないか 

 

しおらしいというか、可愛いというか....何考えてんだ俺。思い出せ、こいつは氷の女王だ、騙されるな俺 

 

雪乃「あ、ありましたよ!八幡さん!」 

 

八幡「あ、あぁ、そうか。開けて貰えるか?」 

 

下の名前にさん付け....いろいろと違和感が 

 

なんか家の玄関を開ける雪ノ下が初々しい。可愛い。ん? 

 

雪乃「あの...お邪魔します」 

 

八幡「ここ、お前の部屋なんだけどな」 

 

雪乃「ひゃ、ひゃい!?」 

 

八幡「プッ」 

 

雪乃「うっ....」 

 

思わず笑っちまった。雪ノ下、顔真っ赤だぞ? 可愛い。ん? 

 

八幡「お邪魔します」 

 

雪乃「此処が、私の住んでいた....」 

 

八幡「何か思い出せそうか?」 

 

首を横に振る雪ノ下。どうやら全く思い出せないらしい 

 

八幡「ここ、お前のうちなんだから、そんな畏まるな」 

 

雪乃「は、はい」 

 

そういうと、安心したように、自分の部屋を見て回っていた 

 

時計を見たら、太い針は6時を指していた。もう夕方か 

 

八幡「あー、俺さ」 

 

雪乃「は、はい」 

 

いちいち怯えたような返事をされると地味に傷つく。多分本人はそんなつもりないだろうが 

 

八幡「俺、そろそろ帰るから。明日は休日だから、また明日も来る。由比ヶ浜も連れてな」 

 

雪乃「え.....」 

 

だから、そんな悲しい顔、すんなって 

 

八幡「はぁ、分かった。今日はお前んちに泊まる。文句はないな?」 

 

流石に、何も分からない少女を一人にするのも、気が引けるもんな 

 

それに、相手は記憶喪失の女の子なんだ。一晩ぐらい大丈夫、なハズ.... 

 

あ、でも着替えないな.... ま、なんとかなるか 

 

雪乃「は、はい!ありがとうございます!」パァ 

 

なんかすげぇ嬉しそう。やめろよその笑顔、ちょーかわいいから 

 

八幡「と、とりあえず腹減ったろ?なんか作るから、ちょっと待ってろよ」 

 

雪乃「え、そ、そんな、悪いです。私が作ります」 

 

記憶喪失状態でもメシって作れるのかな?うーん 

 

八幡「お前、疲れてるだろ。休んでろよ。全部俺に任せて、休め」 

 

雪乃「分かりました....」 

 

最後まで申し訳そうだった 

 

八幡「冷蔵庫の中にあるもので勝手に作っていいか?」 

 

雪乃「あ、はい」 

 

記憶の無い人間に許可を取るってのも不思議だよな 

 

八幡「~♪」 

 

ふむ、いい感じだ。さすが専業主夫。ん?ということは俺は雪ノ下の.... 

 

いやいやいや、余計なことは考えるな 

 

雪ノ下と言えば、自分の家のソファーに申し訳なさそうに座って、テレビを見ていた 

 

普段からも、あれぐらいとは言わんが遠慮を持って俺に接してくれればいいのに 

 

見ている番組、あれはパンさんか?記憶を失っても好きなのか? 

 

八幡「面白いか?それ」 

 

雪乃「あ、え、えと、」 

 

なんでいちいちそんなにキョドるんだよ。ちょー傷つく 

 

雪乃「その、なんだか見ていると、安心するというか....」 

 

八幡「記憶を失う前のお前、それが大好きだったんだよ。マニアレベルで」 

 

雪乃「そうなんですか」 

 

雪ノ下は嬉しそうにテレビを見ていた 

 

八幡「出来たぞー」 

 

雪乃「えと、ありがとうございます」 

 

八幡「いいって。それより食うぞ。腹減ったー。あ、あと味には文句言うなよ?酷評されたら死ぬぞ俺」 

 

雪乃「そ、そんなっ」 

 

八幡「あーウソウソ。死なないから俺。真に受けるな」 

 

八幡「いただきまーす」 

 

雪乃「いただきます」 

 

恐る恐る俺の作ったハンバーグに手を付ける雪ノ下 

 

雪乃「おいしい...」パァ 

 

だからそんな可愛い顔で笑うなって。ちょーかわいいから 

 

八幡「お、おう。作った甲斐があったぜ」 

 

喜んでもらえたのなら、俺は嬉しかった 

 

食事を終え、片付いた頃には八時過ぎになっていた 

 

八幡「その、雪ノ下。風呂湧いたから入れよ。疲れたろ」 

 

雪乃「はい。その、お風呂まで湧かせて貰って、本当にすみません」 

 

申し訳なさそうに言う雪ノ下 

 

八幡「いいって。自分の家でも、勝手がよく分からないだろ?俺手馴れてるから。全然大丈夫」 

 

あ。自分で言ってマズいと思った 

 

雪乃「え、その、それって....」 

 

あー。これじゃまるで俺が雪ノ下の家に通い詰めているみたいになってるじゃん 

 

八幡「え、あー。とりあえず、風呂入ってい来い」 

 

誤魔化しながら、顔を真っ赤にして俯く雪ノ下を催促した 

 

雪ノ下が風呂に入ったのを見計らって、俺は携帯を取り出した 

 

八幡「もしもし、小町?今日友達の家に泊まってくから」 

 

小町『はぁ?おにいちゃんにそんな友達いる訳ないじゃん。』 

 

八幡「うっせ。と・に・か・く、友達の家に泊まるから。そゆことで」 

 

小町『はーん?ほーん?そっかそっかぁ。分かったよ!頑張ってねおにいちゃん!』 

 

そう言って電話は切れた 

 

なんかウザかった。つかなんだよ、頑張るって 

 

本当の事情、説明するわけにもな....混乱するだけだ 

 

直ぐに、雪ノ下の記憶が戻ればいいのだけれど 

 

最悪、雪ノ下は一生記憶が戻らないままなのだろうか..... 

 

なんだか、あのとき咄嗟に雪ノ下を助けてやれなくて、後悔してきた 

 

別に俺が悪いとか、そんなでもないのに。すげぇ罪悪感と後悔 

 

雪乃「また、悲しい顔をしていますよ.....?」 

 

八幡「!?」 

 

どうやら、雪ノ下は既に風呂から上がっていたらしい 

 

気づかないなんて、俺も疲れてるのかな 

 

八幡「......」 

 

お前だって、悲しそうな顔、してんじゃんか 

 

ん?何か違和感が..... 

 

八幡「お、お前、その恰好!?」 

 

そう、雪ノ下は所謂、裸ワイシャツな恰好だった。さすがに下着は着けてるハズだが.....着けてるよな? 

 

雪乃「その、パジャマ、どこにあるのか、分からなくて.....」 

 

なんかすごいしどろもどろなんですけど。顔も赤いじゃん 

 

それにしても、生足エロい 

 

八幡「それにしてもなぁ、他にマシな恰好あるだろ」 

 

やべぇ、目が引き寄せられる 

 

雪乃「その、ご迷惑、でしたか......?」 

 

いや、そんな申し訳なさそうに言われても..... 

 

涙目で訴えかけてくんな、頬染めんな。ちょーかわいから 

 

八幡「そんなことねぇけどよ.....その、まずいだろ。男の前でそういう恰好」 

 

雪乃「その、八幡さんの前でなら別に構わないというか、そのっ」 

 

え?なになに?何なのこのラブコメ展開。ラブコメっつーか完全にエロゲじゃん 

 

やべぇ。ちょーかわいい。めっちゃ襲いたい。 

 

何考えてんだ俺!?落ち着け俺。理性を保て。息子よ沈まれ。これじゃ立ち上がったらバレる 

 

八幡「いや、だからってダメだろ。一緒にパジャマ探すから」 

 

雪乃「は、はい。ごめんなさい」 

 

 

パジャマは直ぐに見つかった。タンスの一番下段にあったじゃん 

 

つーか、裸ワイシャツの女の子と一緒にパジャマ探すってどういう状況だよ 

 

ちなみに見つかったパジャマはパンさんのキャラ物だった。こんなの持ってるなんて、カワイイヤツめ 

 

それから風呂入って、リビングで雪ノ下と寛いでいた 

 

八幡「....」 

 

雪乃「....」ソワソワ 

 

何この空気。つーか雪ノ下がすげぇ挙動不審。やっぱまだ不安なのだろうか 

 

こんな時、俺じゃなくて由比ヶ浜が傍にいてやったら、雪ノ下も安心できていたのだろうか 

 

八幡「な、なぁ雪ノ下」 

 

雪乃「ひゃ、は、はい....何でしょうか.....」 

 

なにその反応。微妙に顔紅いし。やめろよ。ちょーかわいいから 

 

八幡「その、不安か?俺に出来ることあったら、言ってくれ」 

 

雪乃「八幡さん、優しいですね」 

 

冷静になったらしい雪ノ下がそう言った 

 

八幡「そんなことねぇよ....」 

 

雪乃「だって八幡さん、ずっと私に気を使って....」 

 

雪乃「私、とっても嬉しかったんです。訳も分からず、何も思い出せない私の傍に、あなたがいてくれて」 

 

八幡「そんな、買い被りすぎだって」 

 

雪乃「そんなことないです。あなたがあの場にいなかったら、私は.....」 

 

雪乃「あなたは優しい。でも、いつも悲しそうな目をしています」 

 

八幡「俺は、そんなこと....」 

 

不意に立ち上がった雪ノ下が、ソファーに座っている俺を立ったまま抱きしめた 

 

八幡「お、おい、」 

 

ドキドキしていた。でも何も考えられなくなった 

 

まるで、母に抱きしめられた子供みたいだった 

 

雪乃「辛いこと、あったんですよね。目を見ていれば、分かります」 

 

雪乃「だから、悲しいこと、ここで全部吐き出しちゃいましょう」 

 

八幡「ッ...!?」 

 

俺は子供のように泣いた。今まで味わった苦しみ、悲しみ、全部吐き出した 

 

我ながらカッコわりぃ。こんな姿、他人には絶対見せたくなかった..... 

 

雪乃「よしよし....」 

 

八幡「す、すまん。こんなんに付き合わせて。立ってるの、辛かっただろ?」 

 

雪乃「そんなことないですよ。それより、スッキリしましたか?」ニコッ 

 

雪ノ下は、優しく笑っていた。なんというぐう聖。また泣きたくなってきた 

 

八幡「記憶が戻る前のお前、こんなことするやつじゃなかったんだぜ」 

 

雪乃「記憶を失う前の私って、どんな人だったんですか?」 

 

八幡「まず、氷の女王って名前が似合うぐらい冷たいヤツだった」 

 

雪乃「そ、そうだったんですか?」 

 

八幡「そうそう。俺に会えば必ず嫌味を言うし、俺の心読んでくるし、俺の人権を全否定してくるし」 

 

雪乃「え、え!?」 

 

八幡「助けを求めてる人は絶対見捨てなくて、いつも正しいことを言っていて、素直じゃなくて、どこか優しい」 

 

八幡「そして、俺の憧れだった」 

 

雪乃「......」 

 

雪乃「なんだか、自分のこと言われてるのに、全然実感がないですね。ふふっ」 

 

だからその笑顔、かわいいからやめろって 

 

雪乃「きっと前の私は、八幡さんのこと、嫌いじゃなかったはずですよ」 

 

八幡「そうか?信じられねぇ」 

 

なんだか、会話が弾む。以前の雪ノ下とはまた別の、居心地の良さだった 

 

そろそろ11時。いろいろ喋っていたらこんな時間だ 

 

明日は休みとはいえ、お互い疲れているだろうし 

 

八幡「そろそろ、寝るか」 

 

雪乃「そうですね」 

 

八幡「じゃあ俺はリビングで寝るから」 

 

雪乃「そんな、ダメですよ、風邪ひいちゃいます」 

 

八幡「大丈夫、俺の中には風邪菌なんて目じゃないヒキガヤ菌が住み着いてるから」 

 

雪乃「めっ、です」 

 

なにこの子可愛い 

 

八幡「じゃぁどこで寝りゃいいんだよ」 

 

雪乃「その、わた、私のベッド、大きいから、その....」 

 

八幡「え?何?」 

 

雪乃「私のベッド!大きいので!二人で一緒に!寝ましょう!」 

 

ビックリした。いきなり大声出すなよ 

 

八幡「え?......」 

 

雪乃「.....」 

 

雪ノ下の顔が真っ赤だ。恥ずかしいなら言わなきゃいいものを..... 

 

可愛いやつめ 

 

八幡「えっと、その....」 

 

雪乃「......あの、私、えっと.....」グスッ 

 

え、なんで泣き出すの!? 

 

雪乃「私と寝るの、嫌、ですか....?」ウルッ 

 

頬染めんな。あとその上目遣いやめろ。ちょーかわいいから 

 

八幡「分かったよ.....」 

 

雪乃「!」パァッ 

 

すげぇ嬉しそう 

 

眠れん。そりゃ当たり前だ 

 

隣で寝てる雪ノ下が無防備にも俺にしがみ付いたまま俺の耳元で寝息を立てているのだ 

 

理性が..... 

 

なんでこいつこんなに俺に懐いてるの 

 

あれか?生まれた雛鳥は一番最初に見た生き物を親と思い込むのと同じ原理か? 

 

でも、一時の情に流されてはいけない。今の雪ノ下は、雪ノ下ではないのだから.... 

 

八幡「結局眠れなかった....」 

 

朝の七時。いつもの俺ならまだ寝ている。休日だからだ 

 

雪乃「んぅ.....」 

 

八幡「起きたか?」 

 

雪乃「んぁ、ふぁぁ、おはよう、ございます」 

 

欠伸をして、眠そうだ 

 

八幡「まだ寝てるか?」 

 

正直、まだ雪ノ下の寝顔を見ていたいという下心があった。だってかわいんだもん 

 

雪乃「いえ、、、」 

 

雪乃「そ、それよりも、顔色悪そうですけど、だ、大丈夫ですか?」 

 

雪乃「私がずっとしがみ付いてたせいで、その、寝づらかったですよね?」 

 

ずっとしがみ付いていたことに気付いたようで、微妙に顔を赤くしている 

 

雪乃「.....」 

 

こんな見え透いた嘘、そりゃバレるよな 

 

八幡「ずっと、考え事してたんだ。お前のこれからのこと」 

 

これは事実だ 

 

雪乃「ごめんなさい、私、危機感ないですよね.....自分のことなのに」 

 

悲しそうな顔すんなって 

 

八幡「そう焦るなよ。今日一日、ゆっくり過ごせば何か思い出せるかも。今日はお前の友達にも逢わせてやる」 

 

雪乃「....友達」 

 

八幡「そうだ、お前には友達がいたんだ」 

 

ちゃっちゃか朝食の支度をしようとしたら、雪乃がやると言い出した。記憶は失っても料理の腕はそのままだった 

 

性格と記憶以外は以前のままなんだな 

 

八幡「うめぇ!やっぱ雪ノ下の料理うめぇ!」 

 

何故か俺もハイテンションだった。いつもの雪ノ下なら何かしら罵倒されそうだったな 

 

雪乃「そんなこと....えへへ」 

 

照れてる。可愛いやつめ 

 

飯食って一通り片付けると、俺は由比ヶ浜に電話した 

 

由比ヶ浜『もしもし?どうしたの?ヒッキーからかけてくるなんて』 

 

八幡「お前に話したいことがあるんだ。雪ノ下のことだ。雪ノ下の家まで来てもらえないか?」 

 

由比ヶ浜『えっ....?それって一体....』 

 

八幡「とりあえず、頼む」 

 

由比ヶ浜『うん!分かったよ!」 

 

由比ヶ浜「ヒッキーおはよー!」 

 

八幡「うっす。とりあえず中に来てくれ」 

 

由比ヶ浜「う、うん」 

 

 

 

雪乃「....」 

 

八幡「連れてきたぞ。お前の友達、由比ヶ浜結衣だ」 

 

由比ヶ浜「え?」 

 

雪乃「初め、まして....」オドオド 

 

由比ヶ浜「え?」 

 

 

八幡「というわけなんだ」 

 

由比ヶ浜「そんなことが......」 

 

由比ヶ浜「ゆきのん、私のこと覚えてないの?」 

 

雪乃「ご、ごめんなさい.....」 

 

由比ヶ浜「そんなぁー!?」ガシッ 

 

雪乃「ひっ!?」 

 

由比ヶ浜「そんな!?思い出せないの?私だよ!?」グラグラ 

 

雪乃「あわわわわわ」>< 

 

雪ノ下が由比ヶ浜もみくちゃにされとる.....ゴクリ 

 

八幡「お、おいって」 

 

由比ヶ浜「え?あ、ご、ごめん....」 

 

八幡「雪ノ下、全然何も思い出せないらしい」 

 

由比ヶ浜「じゃあ、どうすれば....」 

 

八幡「それが分からないから、困ってるんだよ」 

 

由比ヶ浜「とりあえず、遊びに行こうよ!」 

 

八幡「え?」 

 

雪乃「え?」 

 

由比ヶ浜「遊びまわってるうちに、何か思い出せるかもしれないよ!」 

 

由比ヶ浜「その、ゆきのんともう一度友達になりたいの」 

 

八幡「由比ヶ浜、お前.....」 

 

雪乃「.....ありがとうございます、なんとかガハマさん」 

 

由比ヶ浜由比ヶ浜だよ!?」 

 

雪乃「...ふふ、ふふ」 

 

由比ヶ浜ナイス。多分故意じゃないだろうけど。雪乃の不安も和らいだみたいだ 

 

由比ヶ浜「じゃ、行こう!」 

 

八幡「じゃ、いってらっさい」 

 

由比ヶ浜「何言ってんの?ヒッキーも行くんだよ!」 

 

八幡「え、いや....」 

 

雪乃「嫌、ですか....?」ウルッ 

 

上目遣いやめろって。抵抗できん。この生物兵器め 

 

八幡「分かったよ!行くから....」 

 

雪乃「!」パァ 

 

この笑顔には、勝てないな 

 

八幡「で、何処に行くんだ?」 

 

由比ヶ浜「ディ○ニーランド!」 

 

ディ○ニーランド。ちなみに雪乃が大好きなパンさんもディ○ニーのキャラクターだ 

 

雪乃「わぁ.....!」 

 

雪ノ下は幸せそうだった。目をキラキラさせて、女子高生みたいにはしゃいで 

 

雪ノ下も、あの過去がなければ、こんな風に..... 

 

由比ヶ浜「ゆきのん、楽しそうだね」 

 

八幡「そうだな、眩しすぎるぜ」 

 

由比ヶ浜「その、ありがとね。ゆきのんに力になってくれて」 

 

八幡「目の前で倒れてる女の子がいたら、そりゃ助けないとダメだろ」 

 

由比ヶ浜「お?ヒッキーそういうこと言うようになったんだ?ちょっとかっこいいよー?」 

 

八幡「らしくなくて悪かったな」 

 

八幡「その、あいつの記憶が戻らなくても、仲良くしてやってくれ」 

 

由比ヶ浜「....当たり前だよ。どんなに変わっても、ゆきのんは私の友達だから」 

 

どんなに変わっても、か...... 

 

雪乃「あの、二人とも、そんなところで何してるんですか?」 

 

さっきまで遊んでいた雪乃が戻ってきた。なんでそんな頬膨らませてんの。かわいいけど 

 

由比ヶ浜「い、いやぁ!?ちょっと疲れたかなーって」 

 

八幡「そういや昼か。腹減ったな」 

 

由比ヶ浜「あぁそうそう!お腹すいたからどこかで食事にしようよ!」 

 

なんでコイツはこんな慌ててんの 

 

雪乃「そうですね、私もおなかすいちゃいました」 

 

八幡「そういえば雪ノ下、最初に比べて全然喋れるようになったな」 

 

雪乃「え?」 

 

八幡「お前最初、借りてきた猫みたいで、話しかけてもオドオドしてただろ」 

 

雪乃「その、私も混乱してて....」 

 

八幡「由比ヶ浜連れてきたときもそんな感じだったろ」 

 

由比ヶ浜「そなの?」 

 

雪乃「それは.....」 

 

顔が赤い。可愛いやつめ 

 

八幡「人見知り、激しすぎだろ」 

 

雪乃「そ、そんなことないですよ!」 

 

顔真っ赤で反論する雪乃。ちょーかわいい 

 

由比ヶ浜「ゆきのん、なんていうか、丸くなったよねー。前はもっとツンツンしてたもん」 

 

雪乃「やっぱりそうなんでしょうか.....」 

 

雪乃「そのせいで迷惑を掛けていたのなら、ごめんなさい」ペコリ 

 

由比ヶ浜「え?そんなことないよ!素直じゃなかっただけで、優しかったよ」 

 

雪乃「それでも....」 

 

八幡「気に病むな」ポン 

 

俺は雪ノ下の頭に手をポンと置いて撫でてやった。なんか全然らしくないな俺 

 

由比ヶ浜「むー」 

 

八幡「今日はありがとな、由比ヶ浜」 

 

雪乃「私からも、ありがとうございます」 

 

由比ヶ浜「そそそんなことないよ!私も遊びたかっただけだし!」 

 

八幡「そか」 

 

由比ヶ浜「それじゃ、二人ともじゃぁね!」 

 

由比ヶ浜は今日は何やら用事があるらしく、3時頃には帰って行った 

 

そして俺たちも。ちなみに俺と雪乃が一晩を過ごしたことを由比ヶ浜は知っている。ちょー怒ってた 

 

そりゃそうか。女の子と一つ屋根の下なんて、その友達が許さないだろう 

 

八幡「俺たちも帰るか」 

 

雪乃「はい....」 

 

帰った時には夕時、食事の時間だ 

 

最初は雪ノ下を家まで送ってから俺も帰ろうとしたのだが、無理だった 

 

あの悲しそうな顔見ると、どうしてもなぁ 

 

飯を作ろうとしたら、やっぱり雪ノ下が割って入って、自分で全部やってしまった 

 

雪乃「私のワガママに付き合ってもらっている以上、そこまでしてもらっては.....」 

 

だとさ。生真面目なとこは変わってない 

 

飯も食って片付けた 

 

雪乃「お風呂入ってきてください。私、しないといけないことがあるので」 

 

八幡「え、いいのか?俺が入った後とか嫌じゃないのか?」 

 

雪乃「いえ、そんなことは....と、とくかく、入ってきてください」 

 

必至に催促してくる。可愛いやつめ 

 

ていうか、しなければいけないことってなんだ? 

 

 

 

 

八幡「ふぅ~~~~~。生き返る」 

 

雪ノ下んちの浴槽は広い。二人入ってもくつろげるかな?というくらい 

 

二人......俺と雪ノ下.....二人っきり.....ぐふふふ 

 

うわ、俺ってばなんて妄想を..... 

 

これじゃただの変態だ 

 

ん?扉の向こうに人がいる....? 

 

八幡「雪ノ下ー?いるのか?」 

 

雪乃「ひゃ、え、ひゃい!?......」 

 

八幡「す、すまん。驚かせちまって」 

 

雪乃「いえ、その.....ちょっと待ってて下さい」 

 

え?待つ? 

 

すると浴室の扉が開かれた 

 

八幡「は!?え?はぁ!?」 

 

ちょー混乱した。だってタオルだけ巻いた雪ノ下が入ってきたんだもん 

 

雪乃「あの....そんなに、見ないで、ください....」 

 

いや、見るなって言われても、目が勝手に 

 

そして雪ノ下は、顔は真っ赤だったが、こちらを見つめていた 

 

八幡「な、なんで?」 

 

雪乃「その、感謝の気持ちとして....」 

 

え、なに?俺に大サービスしちゃうの?出血しちゃうよ。主に鼻から 

 

八幡「いやいやいや、感謝の仕方ぶっ飛びすぎでしょ!」 

 

雪乃「その、お背中、お流ししましょうか.....?」 

 

八幡「いや、もう体洗っちゃったし」 

 

ムッといった様子の雪ノ下 

 

雪乃「じゃ、じゃ、っいしょ、いっしょに、おふ、おふ、ろ」>< 

 

おいおい、恥ずかしいなら無理すんなって。俺の股間もヤバいから 

 

雪乃「」スッ 

 

無言になった。言うのを諦めたらしい 

 

でも無言で浴槽に入ってきた 

 

八幡「お、おい、お、おま」 

 

雪乃「」 

 

八幡「わ、分かったって。分かったから悲しそうな顔するな」 

 

赤面しながら悲しい表情ってなんか複雑 

 

雪乃「私、そんな悲しそうな顔、してましたか....?」 

 

互いに背中を合わせて入っている。さすがに正面向くのは向こうも恥ずかしいらしい。だって既にタオル取れてるし 

 

俺だって今の息子を見られたくはない 

 

八幡「あぁ。お前の悲しい顔見ると、何も言えなくなっちまうよ」 

 

少し不貞腐れて言った 

 

雪乃「その、ごめんなさい....」 

 

八幡「いや」 

 

八幡「前のお前は、苦しいのに苦しいと言えない人間だった。だからなんでもしょい込んで....」 

 

八幡「今のお前ぐらいが、ちょうどいい、のかもな」 

 

雪乃「そう、ですか....」 

 

雪乃「昨日言ったこと、覚えていますか?」 

 

八幡「....」 

 

雪乃「きっと、前の私はあなたのこと、嫌いじゃなかったって」 

 

八幡「なんで、そんなこと分かるんだよ」 

 

雪乃「だって私は、あなたのこと、嫌いじゃないから」 

 

雪乃「私は、あなたのこと、好き、だから.....」 

 

表情は分からなかったのだが、多分すごい赤面しているんだろうな.... 

 

雪乃「あなたは....私のこと、どう思っているのですか?」 

 

八幡「.....」 

 

雪乃「前の私じゃない、今の私です」 

 

ダメだ。一時の情に流されてはいけない 

 

でも....もし、このまま雪ノ下の記憶が戻らなければ、俺は.... 

 

八幡「雪ノ下ッ.....俺は....」 

 

雪乃「......」 

 

雪乃「彼女は素直になれなかった.....だから」 

 

雪乃「だから、記憶が戻っても、彼女のことを大切にしてあげてください。私じゃなくて彼女を」 

 

雪乃「だから、だから今だけはっ....私のことも....」 

 

泣きそうな、か細い声だった 

 

俺は振り向いた。彼女はこっちを見ていた 

 

雪ノ下雪乃は、悲しい顔をしていた 

 

記憶が、戻っても戻らなくても、彼女は..... 

 

八幡「俺は....」 

 

雪乃「ちゅっ」 

 

八幡「んっ!?」 

 

迷っていた俺に、雪ノ下はキスをした 

 

長いキス。まるで別れを惜しむような、悲しいキス 

 

彼女は俺から顔を離した 

 

八幡「ゆき、の....」 

 

雪乃「......」 

 

雪乃「思い出しました。何もかも....」 

 

八幡「!?....ウソだろ」 

 

雪乃「何、驚いた顔してるんですか?ヒキニート君」ニコッ 

 

八幡「おまっ、それは!」 

 

俺のあだ名シリーズ 

 

あれ?でも口調がそのままじゃん 

 

え?やっぱり実は取りつかれているとか? 

 

敬語で罵られるのってなんか新鮮。俺はMじゃないぞ。多分 

 

雪乃「その、敬語が板についてしまって....」 

 

雪乃「その、私っ、記憶がない間にこんな、恥ずかしい....」 

 

記憶を取り戻しても、記憶がない期間の記憶を持ったままなのか。なんかややこしい 

 

今頃気づいたらしい。俺たちは裸のままだ。浴槽の中で 

 

雪乃「ッ......」 

 

なんか俯いちゃったんですけど。顔真っ赤で 

 

八幡「その、雪ノ下....出るか?」 

 

このままじゃのぼせる 

 

立ち上がろうとする俺を、雪ノ下が制止した 

 

雪乃「んっ....」 

 

八幡「ん!?」 

 

キスされた。二回も僕にキスしたね!?親父にもキスされたことないのに。普通ねぇよ 

 

でも今度のはディープ 

 

雪乃「んむ.....ぷはっ......」 

 

八幡「....」 

 

訳が分からん 

 

雪乃「改めて言います。私、八幡さんのこと大好きです」 

 

はにかみながら、笑顔で、雪ノ下は言った 

 

それから一週間は雪乃は敬語のままだった。でもキツい性格は戻ってきたので 

 

一週間どこぞのラブリーマイエンジェル状態だった 

 

今でも軽蔑はされる。笑顔でな 

 

でも、二人きりのときは、甘えてくる。すげー可愛い 

 

今ならわかる。あの時の雪ノ下雪乃は、俺と雪乃をくっつけるために、ラブコメの神様が遣わせたんだろうな 

 

 

 

 

 

元スレ

https://viper.5ch.net/test/read.cgi/news4vip/1396515584/

アスカ「ホントは私の体に興奮してるんでしょ!」 シンジ「……」 【エヴァンゲリオンss/アニメss】

 

シンジ「マリが現れて、ぶっちゃけアスカって用済みだよね」

 

アスカ「はぁ!?喧嘩売ってんの!?」 

 

シンジ「僕は事実を言っているだけだよ」 

 

アスカ「私が何で用済みなのよ!?このエリートのわ・た・し・が!」 

 

シンジ「だってアスカよりマリの方が優秀そうじゃん」 

 

アスカ「どこがよ!?」 

 

シンジ「弐号機に乗れるのは勿論の事、ビーストモードになっても平気だったし」 

 

シンジ「ちょっと使徒に侵入されたからって暴走して味方を攻撃したアスカなんかより、よっぽど優秀だよ」 

 

アスカ「そ、それは……」 

 

シンジ「あの時のアスカださかったね」 

 

シンジ「何なの?『そうか……私笑えるんだ(笑)』って」 

 

アスカ「……」 

 

シンジ「格好良いと思って言ったの?アスカ?」 

 

アスカ「……」プルプル

 

アスカ「なによぉ……怒ってるわけ!?」 

 

シンジ「何が?」 

 

アスカ「私があんたを攻撃した事を怒ってんのかって聞いてんのよ!」ダンッ! 

 

シンジ「いや別に、むしろ有り難かったよ」 

 

アスカ「え?」 

 

シンジ「全力でアスカをぼこぼこにして良い理由ができてさ」 

 

シンジ「ほらアスカも一応は女の子でしょ?オスのゴリラみたいな臭いするけど」 

 

シンジ「男が女を殴ったら世間から怒られちゃうからね、アスカごときでも、殴ったら」 

 

アスカ「……あんたいい加減にしなさいよ!!」ダンッ! 

 

アスカ「私の事舐めてんの!?調子に乗るのも良い加減にしなさいよ!!」ダンッ! 

 

シンジ「テーブルが壊れるからやめてくれる?」 

 

シンジ「アスカってすぐ物に当たるよね、ホントにゴリラみたいだ」 

 

アスカ「……」プルプル

 

アスカ「このぉ!!」ブンッ! 

 

シンジ「おっと」サッ 

 

アスカ「な……」 

 

シンジ「こうやってすぐ暴力に訴える、ゴリラでもこんな簡単に殴ってこないよ」 

 

アスカ「いい加減に……」ブンッ! 

 

シンジ「……」サッ 

 

アスカ「……!」ブンッ!ブンッ!ブンッ! 

 

シンジ「……」サッサッサッ 

 

アスカ「……」ゼエゼエ 

 

シンジ「満足した?」 

 

アスカ「避けんじゃないわよおおおお!」ゼエゼエ

 

シンジ「アスカごときのパンチなんて簡単に避けられるよ」 

 

シンジ「軍隊で格闘技やって自分が強いと思ってるかもしれないけど、弱いよアスカ」 

 

シンジ「軍の人も弱い女の子だと思って気を使っていてくれたんだね」 

 

シンジ「それをアスカは自分の実力だと勘違いして……きっと軍でも影で笑われていたんだね、可哀相なアスカ」 

 

アスカ「うがああああああああ!!」ダダダ 

 

どしーん! 

 

シンジ「……」 

 

アスカ「私のどこが弱いっていうのよ!!こうしてあんたをマウントポジションに……!」 

 

シンジ「よっと」グイッ 

 

くるり 

 

アスカ「え……」ドサッ 

 

シンジ「簡単にマウントポジション逆転させられちゃったね、アスカ」 

 

アスカ「ぐっ……」

 

シンジ「今のタックルだってホントはかわす事ができたんだよ?」 

 

シンジ「でも余りにもアスカが哀れでさ……良かったねアスカ、一度は僕を倒す事ができて」 

 

アスカ「どきな……さい……よおおお!!」ジタバタ 

 

シンジ「無理無理、アスカのチワワレベルの力じゃ僕を跳ね退けられないよ」 

 

アスカ「ぐ……そ……」ジタバタ 

 

シンジ「……」ジー 

 

アスカ「……!?」ハッ 

 

アスカ「な、何する気なのよ!?このエッチバカへんた……」 

 

シンジ「は?何勘違いしてんの?」 

 

シンジ「アスカに突っ込むぐらいならその辺にいる薄汚い野良犬と交尾した方がマシだよ」 

 

アスカ「……」プルプル

 

アスカ「そんな事言っといて……ホントは私の体に興奮してるんでしょ!」 

 

シンジ「……ふー」 

 

アスカ「このむっつりスケベ!」 

 

シンジ「……はぁ、もういっていいよアスカ」パッ 

 

アスカ「……ふん、ビビっちゃって」 

 

シンジ「アスカさぁ……その根拠のない自信はどこからくるわけ?」 

 

アスカ「何よ、あんたホントは私を抱きたくて抱きたくて仕方ないんでしょ!」 

 

シンジ「地球上に僕とアスカの二人だけになったら抱くしかないかな、アスカも一応女だしね、形だけは」 

 

シンジ「でも今は生理的に無理、綾波ミサトさんがいるし」 

 

アスカ「ふざけんじゃ……え?今なんて……」 

 

シンジ「アスカの息で肺が腐りそうだよ」 

 

アスカ「その後!……って、え!?」 

 

シンジ「ああ、綾波ミサトさんと毎日のようにセックスしてる事?」 

 

アスカ「?!!!」

 

アスカ「あ、あんた……ファーストのみならず……ミサトとも!?」 

 

シンジ「うん、まいったよ、ミサトさんったら毎朝僕のをしゃぶってくるんだもん」 

 

シンジ「その後はネルフ綾波ともしなきゃ駄目だし、僕が動かなきゃ駄目だから疲れるんだよね、綾波マグロだし」 

 

アスカ「な……そんな……」プルプル 

 

シンジ「気付いてなかったの?ま、仕方ないねアスカだし」 

 

シンジ「家ではアスカに睡眠薬飲ませた間にミサトさんとヤるし」 

 

シンジ「ネルフではアスカが一人寂しく帰った後に綾波と女子更衣室でヤるしね、アスカのお気に入りのロッカーの前で」 

 

アスカ「……」プルプル 

 

アスカ「あによぉ……何なのよぉ……」ポロポロ 

 

シンジ「……」 

 

アスカ「何でそんなひどい事言うのよぉ……わた……私があんたに何したのよぉ……」ゴシゴシ 

 

シンジ「何って……吐き気が込み上げてくるんだよね、アスカが目に映るだけで」 

 

アスカ「……ひ……うう……」ポロポロ 

 

シンジ「……」 

 

アスカ「いやぁ……シンジにそんな事言われるのいやぁ……」ポロポロ 

 

シンジ(……この辺かな) 

 

シンジ「……」ダキッ! 

 

アスカ「!?」ドキッ 

 

シンジ「……」ギュウウ 

 

アスカ「な、なにすんのよぉ……離れなさいよぉ……」ポロポロ 

 

シンジ「……ごめんよ、アスカ」 

 

アスカ「い、今さら謝ったって……絶対に許さないんだから……」グスン

 

 

 

シンジ「アスカの事が好き過ぎて、ついいじわるしたくなっちゃったんだ」 

 

アスカ「な……なによ……それ……ガキみたい……」エッグエッグ 

 

シンジ「でももうそんな事しないからさ……許してよ……アスカ……」ナデナデ 

 

アスカ「バ、バカシンジ////」 

 

シンジ(凄いや!父さんの言った通りにしたら本当にアスカを落とせた!) 

 

シンジ(ホントは綾波ミサトさんとは何もないんだけど、アスカとこうしたくて嘘ついちゃった……) 

 

シンジ(ごめんねアスカ……でも大切にするから許してね……)

 

 

 

 

 

元スレ

https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1341487121

結衣「ヒッキーに可愛いって言ってほしかったんだもん……」八幡「う……そ、そうか……」 【俺ガイルss/アニメss】

 

結衣「ゆきのーん。ここの問題教えてー?」 

 

雪乃「ここはこうで……」 

 

いろは「雪ノ下せんぱーい。生徒会の仕事で相談なんですけどー」 

 

雪乃「これはこうで……」 

 

八幡「……」 

 

八幡(雪ノ下は、二人に甘い。初めての友達と慕ってくれる後輩だ。多少舞い上がるのもやむなし、いやそもそも元からこういう面倒見のいい性格だったのだろう) 

 

八幡(今まで孤独だった雪ノ下の交友関係が広がっていくのは、本来望ましいことだ……) 

 

八幡(だがしかし、その輪に入れて貰えないばかりか罵倒されてばかりいる俺としては、奴らがのほほん仲良ししているのは面白くない) 

 

八幡(だから俺は、ほんの少し意地悪をしてやることにした) 

 

八幡「雪ノ下。お前、由比ヶ浜と一色どっちの方が可愛いと思う?」 

 

雪乃「え?」 

 

八幡(この質問によって雪ノ下は二人の間に明確な優劣を付けざるを得ない。どちらを選んでももう一方を傷つけてしまう、悪魔の質問だ) 

 

雪乃「そうね………………」ジッ 

 

八幡(顔に手を当て呟いた後、雪ノ下は押し黙ってしまった。……いや熟考し過ぎだろ。かなり高レベルな次元で競り合ってるのがはたから見て取れる。それを察した二人も嬉し恥ずかしはにかんでいた) 

 

雪乃「……ごめんなさい、選べないわ。どちらも可愛い、では駄目かしら?」 

 

結衣「ゆきのーん!」ガバッ 

 

いろは「雪ノ下せんぱーい!」ガバッ 

 

雪乃「?な、何?」 

 

八幡(雪ノ下は最高のたらし発言をした後二人に抱きつかれる。策士八幡の思惑叶わず、三人の絆はより深まったのでした。めでたしめでたし。……どこかでこうなると分かっていた俺が居る) 

 

雪乃「比企谷君は、由比ヶ浜さんと一色さん。どちらが可愛いと思う?」 

 

八幡(そそくさと読書に戻ろうとした俺に、天罰のごとく雪ノ下から同じ質問が返ってきた) 

 

結衣「……!」 

 

八幡(どちらを選んでも角が立つ……どうにか差し障りなくやり過ごしたいが、俺に『どちらも可愛い』などと浮ついた台詞を吐けようはずもない。ならばここは……) 

 

八幡「そうだな。由比ヶ浜が100点だとしたら……」 

 

結衣「!」ドキッ 

 

八幡「一色は168点だ」 

 

結衣(負けたー!)

 

結衣「ちょ、ちょっとお手洗い行ってくるね……」ガチャ 

 

 

いろは「ちょっと先輩。ダメじゃないですかあんなに点差付けちゃあ!いくら私が先輩の好みどストライクだからって、せめて10点差ぐらいじゃないと……」 

 

八幡「はぁ?何を言ってんだお前は。あんなの、本気で言ってないってすぐ分かるだろうが」 

 

いろは「え?」 

 

雪乃「一色さんの下の名前はいろは……だから168点。そういう駄洒落でしょう?」 

 

八幡「おう。これで冗談っぽく済ませるつもりだったんだが……」 

 

いろは「……先輩は本当にコミュ力ゼロですね。可哀想に由比ヶ浜先輩。今頃お手洗いで泣いてますよ」 

 

八幡「いや泣きはせんだろ……」 

 

雪乃「そうね。泣いてはないと思うわ」スッ 

 

八幡(雪ノ下が俺にスマホの画面を見せる。同時に、俺と一色のスマホにも同文のメールが) 

 

 

結衣『皆でスキーに行こう!』

 

 

八幡(あれから数日、俺達はスキー場に来た……のだが) 

 

雪乃「遅いわね……由比ヶ浜さん」 

 

いろは「なんか準備があるって言ってましたけど……あ、来ましたよ」 

 

結衣「お待たせー!」 

 

八幡(手を振りながら現れた由比ヶ浜はバスローブを身にまとい、体から湯気を出していた。風呂上がりの様相だ) 

 

雪乃「……由比ヶ浜さん?何でそのような格好を……」 

 

結衣「ふっふっふ……ゲレンデの女の子は三割増しで可愛い……そして風呂上がりの女の子も三割増しで可愛い!」 

 

結衣「二つの条件を同時に満たした今の私の可愛さは100×1.3×1.3=169!いろはちゃんの168点を1点だけ上回るってこと!」(169) 

 

いろは「私も今ゲレンデに居ますけど」(218.4) 

 

結衣「しまった!!!!」 

 

八幡「あざといぞ一色」 

 

雪乃「あざといわよ一色さん」 

 

いろは「これ私が悪いんですか?」 

 

 

 

おまけ 

 

 

八幡(俺達は風邪をひいた由比ヶ浜のお見舞いに来ていた) 

 

結衣「けほんけほん」 

 

雪乃「由比ヶ浜さん、これに懲りたらもうゲレンデにあんな格好で出ちゃ駄目よ」 

 

八幡「ったく、なんであんな馬鹿なことしたんだよ」 

 

結衣「ヒッキーに可愛いって言ってほしかったんだもん……」シュン 

 

八幡「う……そ、そうか……」 

 

いろは(この人本当ストレートに弱いですよね)コショコショ 

 

雪乃(今までずっと変化球だけで生きて来たからね、きっと)コショコショ 

 

八幡(好き勝手言いやがって……) 

 

 

八幡「ありゃ冗談だよ。一色いろはだから168点。本気で付けた点じゃねぇ」 

 

結衣「はぁ……?何それ。じゃあ結局、どっちの方が可愛いと思ってんの?」 

 

八幡(悪魔の質問再び……はぐらかすには……) 

 

八幡「今は風邪ひいてるから、お前の方かな」 

 

結衣「風邪?風邪ひいてる女の子は可愛いの?」 

 

八幡「風呂上がりの女の子が可愛いのは、お湯によって血行が良くなるからだ。発熱状態においても同様の効果が期待できるだろう」 

 

結衣「じゃあ……ずっと風邪ひく」バサ 

 

八幡「あっこら、掛け布団を元に戻せ」 

 

いろは「この人由比ヶ浜先輩の扱い下手ですね」 

 

雪乃「比企谷君。もっと彼女の気持ちを慮りなさい」 

 

八幡「これ俺が悪いのか?」 

 

 

 

 

 

 

元スレ

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藤原「な、なんでもいいじゃないですかっ!乙女の秘密ってやつですっ!」 白銀「ふーん」 【かぐや様は告らせたいss/アニメss】

 

~街中~ 

 

白銀会長(シャープペンシルが壊れてしまった……買い足さねば) 

 

女の子の声「え~~?なんですか~?今急いでるんですけど~」 

 

チンピラ1「ちょっとくらいいいじゃ~んwwwwwww」 

 

チンピラ2「じゃあさ、それが終わったら遊べる?付き合うよ」 

 

白銀会長(女の子がチンピラに絡まれて困ってるな……なんとベタな絡まれ方) 

 

白銀会長(とにかく困ってるならば助けねばなるまい) 

 

藤原書記「いや~そういうのはお断りしてまして~」 

 

白銀会長(あれ?絡まれてるのは藤原書記?) 

 

白銀会長(知り合いとなればなおさら助けねば)

 

白銀会長(しかしどうする?自慢じゃないが俺は腕っぷしが弱い……なにか策はないか) 

 

チンピラ1「ねぇねぇ、どこに行くの?」肩ポンッ 

 

藤原書記「えーと、気安く触らないでもらえます?」ニコッ 

 

白銀会長(策を練ってる暇はなさそうだ……ハッタリで行くか) 

 

白銀会長「よう、藤原書記、こんなところで会うなんて偶然だな」ギロッ 

 

藤原書記「会長!?」 

 

白銀会長「何だこいつらは?知り合いか?見ない顔だな」ギロッ 

 

チンピラ1「はぁ~ん?そうそう、知り合い。今知り合ったの」 

 

チンピラ2「つーかお前がなんなんだよ」 

 

白銀会長(くっ……ハッタリも通じないか……失敗したな)

 

白銀会長「いいからお前はこの娘の肩に乗せてる手を離せ」グィッ 

 

チンピラ1「はぁ~ん?馴れ馴れしく触んじゃねぇよ!」ボカッ 

 

白銀会長「ウボアッ!!!」 

 

チンピラ2「なんだこいつ!?強そうな見た目していてクソ弱え!」 

 

藤原書記「会長っ!!あなた達、なんてことするんですかっ!!暴力なんて最低ですっ!」 

 

白銀会長「グ……逃げろ……」 

 

チンピラ1「ごめんごめん、でもこんなやつほっといてさぁ~」 

 

藤原書記「…………………………………あっいいところに警察が!!」 

 

藤原書記「おまわりさーん!助けてくださーい!悪漢に絡まれて困ってるんですー!暴行も受けましたー!」 

 

チンピラ1「っ!?」バッ 

 

チンピラ2「チッ!タイミングが悪ぃ……」バッ 

 

チンピラ1&チンピラ2「………………………………………」キョロキョロ 

 

チンピラ1「…………ポリなんていないじゃねぇか」 

 

チンピラ2「あっ女が居ねぇ!男も!」

 

 

~公園~ 

 

藤原書記「ハァ……ハァ……ここまでくれば大丈夫ですかね……フゥゥ~~……」 

 

藤原書記「ハァ……ハァ……そ、そこにベンチがあります……一休みしましょう……」 

 

白銀会長「ハァ……ハァ……すまないな、藤原書記……助けに入ったつもりが全く役に立たなかった」 

 

藤原書記「本当ですよ……私は街で知らない男の子に声をかけられるなんかよくある事ですし」 

 

藤原書記「そういう殿方をかわす方法も熟知しているのに……会長は殴られ損です」 

 

白銀会長「さっきの様子を見るとそのようだな……あたたたた」 

 

藤原書記「うわ、腫れてるじゃないですか!ちょっと待っててください、タオルを水で冷やしてきます」タタタタ 

 

白銀会長「悪いな」

 

藤原書記「はい、冷やしたハンカチ持ってきました……使ってください」 

 

白銀会長「恩に着る」ピタッ 

 

白銀会長「ところで話は戻るが、さっきみたいのはしょっちゅうあることなのか?」 

 

藤原書記「んー、まぁ……街を一人で歩いてるときに殿方に声をかけられることはしょっちゅうです」 

 

藤原書記「さすがにあそこまで悪質な方は珍しいですどね……ハハハ」 

 

藤原書記「会長こそなんで割って入ってきたんですか?勝てる自信あったんですか?」 

 

白銀会長「そりゃ困ってる人がいたら助けるのは当然のことだろう……知り合いとなればなおさらだ」

 

白銀会長「ちなみに腕っぷしには全く自信はない。争い事自体が好きではないのもあるんだが」 

 

白銀会長「誰かを殴ろうして腕を振ったらいつの間にか自分の後頭部を殴ってるくらい弱い」 

 

藤原書記「ハハハ、普通の人ならここで『会長が冗談を言うなんて珍しい』と言うんでしょうけど」 

 

藤原書記「私はかつてのバレーボールの惨状を知ってるんでそれが冗談ではないんだとわかります」 

 

白銀会長「そう、まさにあんな感じだな」」 

 

白銀会長「人を殴ったつもりが自分の後頭部を殴り、その後いつの間にか死にかけのアルパカみたいになってる」 

 

藤原書記「ハハハ、容易に想像できてしまうのが悲しいですね」

 

白銀会長「やはり護身術としてなにか身につけといたほうがいいのだろうか……女の子一人を守れないというのはいかんせん頼りない」 

 

白銀会長「そうと決まれば藤原書記」 

 

藤原書記「嫌ですッッッッッ!!!!!!!!!」 

 

白銀会長「…………………………………………。」 

 

白銀会長「いやいや、まだ何も言ってないだろう」 

 

藤原書記「格闘技の特訓に付き合えというんでしょうつ!?嫌ですよ!いちいち会長の特訓に付き合っていたら命がいくらあっても足りませんっ!」 

 

白銀会長「ははは、おもしろい冗談だな」 

 

藤原書記「それが冗談じゃないんですよっ!そもそも私自身格闘技なんか出来ませんしっ!」 

 

藤原書記「それに……………………」 

 

藤原書記「それに、優しい会長に暴力なんて似合いませんよ……今のままでいてください」 

 

白銀会長「む……そうか?」 

 

藤原書記「はい」

 

藤原書記「……それにしても腕っぷしに自信がないならなにか策を練れば良かったじゃないですか」 

 

藤原書記「頭の良くない私ですら『警察がいるように振る舞う』っていう策を思いついたんですから」 

 

藤原書記「頭のいい会長ならばちょっと考えればもっと色々な妙策が思いついたでしょう?」 

 

白銀会長「いや、あのときは急いで助けることばかり考えててあまり策を練る時間がなかったからな」」 

 

白銀会長「一応睨みを利かせるというハッタリはやったつもりだったんだが」 

 

藤原書記「あはは、あまり通じてませんでしたね」 

 

藤原書記「校内ならばあの鋭い眼光に恐れおののく人が大勢いるというのに」 

 

白銀会長「コラ、目つきのことは気にしてるんだから触れてくれるな」

 

白銀会長「ん……ようやく殴られた腫れが引いてきたな」 

 

白銀会長「そういや藤原書記はなんで街を一人でぶらついていたんだ?」 

 

藤原書記「え?いや、私はラーメ……いや、何でもいいじゃないですか、そんなことっ!」 

 

白銀会長「え?なんだよそれ、気になる言い方するな」 

 

藤原書記「な、なんでもいいじゃないですかっ!乙女の秘密ってやつですっ!」 

 

白銀会長「ふーん」 

 

藤原書記「そ、そういう会長はなんで町中を一人でぶらついていたんですかっ!? 

 

白銀会長「あぁ、シャープペンシルのストックを補充しようと思ってな」 

 

藤原書記「えっ?シャーペンのストック?シャーペンの芯のストックじゃないんですか?」 

 

白銀会長「あぁ、使いまくってるからか俺のシャープペンシルはすぐ壊れるんだ。」 

 

白銀会長「シャープペンシルの芯はすでに大量に買い込んであるしな」 

 

藤原書記「ふーん…………」グウウウゥゥゥゥゥゥゥ

 

藤原書記「……………ッッッ」カァー 

 

白銀会長「……また盛大に鳴ったな。(腹が)」 

 

藤原書記「たはは、なんか走ったらおなかすいちゃいましたね!」 

 

藤原書記「どっか食べに行きませんか?」 

 

白銀会長「えっ?いや遠慮するよ、外食金かかるし……」 

 

白銀会長「今日と明日は珍しくバイト休みだから時間はあるんだがな、勉強もしたいし」 

 

藤原書記「えーっ!偶然あったのにそれはないでしょーっ!」 

 

藤原書記「こんなこと2度とないかもしれませんよ!」 

 

白銀会長「まぁ確かに珍しいっちゃ珍しいな」 

 

藤原書記「そうだ!じゃあ、今日は1日私がお金を出すから付き合ってください!」 

 

藤原書記「お礼をしたいんです!借りは返さねばなりません!」

 

白銀会長「とか言って自分が遊びたいだけだろ」 

 

藤原書記「えへへー、まぁ良いじゃないですかっ!」 

 

白銀会長「やれやれ……」 

 

白銀会長「しかしタダか……よし、いいだろう」←ドケチ 

 

白銀会長「じゃあどこ行くんだ?」 

 

藤原書記「うーん、そうですね……そこのところを全く考えていませんでした」 

 

藤原書記「よしっ!あそこにあるファミレスに入りましょう!」 

 

白銀会長「いいな」

 

 

~ファミレス~ 

 

藤原書記「何食べますか?」 

 

白銀会長「そうだな、このチキングリルのスープバー、ライスバー、カレーバー付きのセットにしよう」 

 

藤原書記「うっ!?一番安いセット……今日は奢りなんですから、もっと豪勢なもの食べてもいいんですよ」 

 

白銀会長「いや、俺は安い鶏肉の歯ごたえある食感が好きなんだ」 

 

藤原書記「そ、そうですか………じゃあ私は、チーズハンバーグのセットとタピオカミルクティーといちごパフェと~」 

 

白銀会長「いや食いすぎだろ」

 

 

~しばらく後・外~ 

 

藤原書記「いやぁ~、美味しかったですね~っ」 

 

白銀会長「あぁ美味かった、ごちそうさま」 

 

白銀会長(おかしい!なんでコイツはあんなにカロリーを摂取して太らないんだ!?) 

 

白銀会長(乳か!?乳にすべてのカロリーが行き届いているのか!?) 

 

藤原書記「ん?会長どうかしました?」 

 

白銀会長「いや、なんでもない」

 

白銀会長「んじゃ俺はもう帰るよ、ごちそうさま」 

 

藤原書記「ちょっと待って下さいーっ!今日一日は付き合ってくれるって約束でしょ~っ!」グイーッ 

 

白銀会長「えぇ、あれ冗談じゃなかったのか」 

 

藤原書記「私帰っても暇なんですーっ!あ、そうだっ!会長の行きたいところ!」 

 

藤原書記「会長の行きたいところはありませんかっ!?付き合いますよっ!?」 

 

白銀会長「行きたいところ……って言っても俺も基本的に勉強かバイトしかしてないからあまり知らないんだよな」 

 

白銀会長「そうだ、カラオケ!カラオケなんかどうだ?前に行ったことあるが楽しかった」 

 

白銀会長(ラップ歌ってたらハーサカに逃げられたトラウマがあるけど)グサッ

 

藤原書記「え……カラオケ……ですか?」サァーーーーーーー 

 

藤原書記「他のところにしません?例えばゲームセンターとか……」 

 

白銀会長「いや、俺はカラオケに行きたい。大丈夫、俺は音痴を克服したんだ」 

 

藤原書記「…………そ、そうですよね、確かにおっしゃるとおりです」 

 

藤原書記「もう会長の歌声はなまこの内臓じゃないんですよね?」 

 

白銀会長「ハハハ」 

 

藤原書記「いや冗談じゃないんですよ!?笑って流さないでください!」

 

 

~カラオケ~ 

 

白銀会長「よし、まずは俺から歌うか」 

 

藤原書記「あ、私ちょっとトイレ行ってきます」 

 

白銀会長「いや待て」ガシッ 

 

藤原書記「やめて!離してください!ケダモノ!」 

 

白銀会長「誤解を招く言い方をするんじゃない!」 

 

白銀会長「あと俺の歌をトイレでやり過ごそうとするな」 

 

白銀会長「俺はもう歌もラップも克服したんだ」 

 

藤原書記「そ、そうでしたよね……ついトラウマが……」

 

藤原書記「ちょっとまってください……深呼吸して心の準備をします」 

 

藤原書記「スウウゥゥゥ~~~~~~~~~~~~~」 

 

藤原書記「………………………………………………。」 

 

藤原書記「ハアアァァァァ~~~~~~~~~~~~」 

 

藤原書記「………………………………………………。」 

 

藤原書記「よし来いっ!」バァン 

 

白銀会長「心の準備で尺を取すぎだろ」

 

白銀会長「よし、曲入れるぞ」」ピッ 

 

藤原書記「ハァ……ハァ……ッ!」」 

 

白銀会長「~~~~~~~~~~~♪」←歌唱中 

 

白銀会長「……………………………ふぅ」 

 

白銀会長「どうだ?」チラッ 

 

藤原書記「……………………………(泣)」パチパチパチパチパチ 

 

白銀会長「うわっ!泣きながらスタンディングオベーションしてる!」

 

白銀会長「どうしたんだ?大丈夫か?」 

 

藤原書記「うぅ……確かに歌もラップも普通に上手いだけです……ですが……!」グスッ 

 

藤原書記「なまこの内蔵からここまで成長したかと思うと……!その苦労を思うと……ッ!」 

 

藤原書記「うわああぁぁあん!よくここまで成長しましたねっ!よくぞここまでっ!ママは嬉しいですっ!」ガシッ 

 

白銀会長「うわ、ひっつくな!あと誰がママだ!」 

 

藤原書記「でも……!でも……っ!!」グスッ 

 

白銀会長「ふん、カラオケなら俺が歌うだけじゃないだろう……」 

 

白銀会長「次は藤原書記の番だ、俺にお手本を見せてくれ」 

 

藤原書記「はぁ……お手本になるどうかわかりませんが落ち着いたら歌いますね」グスッ

 

藤原書記「………………………………………………。」 

 

藤原書記「よし、落ち着きました。曲を入れます」ピッ 

 

藤原書記「~~~~~~~~~~~♪」←歌唱中 

 

藤原書記「……………………………ふぅ」 

 

藤原書記「どうですか?」チラッ 

 

白銀会長「……………………………(泣)」パチパチパチパチパチ 

 

藤原書記「うわっ!泣きながらスタンディングオベーションしてます!」

 

藤原書記「どうしたんですか、会長!」 

 

白銀会長「うぅ……素晴らしい歌だ……演奏のメロディと藤原書記の歌声が絶妙に噛み合っていて……!」グスッ 

 

白銀会長「歌声が演奏を、演奏が歌声を相互に引き立てあってるようなハーモニー……ッ!」 

 

白銀会長「目を閉じればコンサートホールが見えるようだ!素晴らしい歌声!無料で独占してることが贅沢でならない」パチパチパチパチパチ 

 

藤原書記「えぇっ!?……そ、そこまでべた褒めされると照れますね……アハハ」ポリポリ 

 

白銀会長「いや、前々から上手いとは思っていたが本当にうまいな……。藤原書記なら余裕でプロになれるんじゃないか?」グスッ

 

藤原書記「いや、プロの道はそんなに簡単じゃあないですよ……。それに……。」 

 

藤原書記「それに、私と音楽との距離感は今の感じが丁度いいんです……。」 

 

藤原書記「プロになるとなれば、毎日何時間も練習に打ち込まねばなりません。」 

 

藤原書記「それよりも今は、テーブルゲーム部や生徒会の皆さんと遊んでたほうが楽しいですからね」 

 

白銀会長「そうか、なんかもったいないな」 

 

藤原書記「あはは、つまらない話しちゃいましたね」 

 

藤原書記「さぁ、会長のなまこの心配も消えましたし、今日はいっぱい歌っちゃいましょー!」

 

 

~数時間後・外~ 

 

藤原書記「はぁー、いっぱい歌いました。喉カラカラです」 

 

白銀会長「いやーなんかスッキリしたな」 

 

藤原書記「じゃーこの後はゲームセンターにでも行きます?男の子ってゲームセンター好きでしょ?」 

 

藤原書記「私もゲーム好きですし」 

 

白銀会長「ゲームセンターか……あまり行ったことないな、金かかるし」 

 

藤原書記「今日は私がお金を出すって言ったでしょー!いい経験だから、行ってみましょう!」グイグイ 

 

白銀会長「コラコラ、引っ張るんじゃない」

 

 

~ゲームセンター~ 

 

藤原書記「じゃあまずは、太鼓の達人とかやってみますか!」 

 

白銀会長「………………………………」←太鼓の達人中 

 

藤原書記「イヤアアアアアアアアアッッッッッッッ!」 

 

藤原書記「つ、次はポップンミュージック」 

 

白銀会長「………………………………」←ポップンミュージック中 

 

藤原書記「キャアアアアアアアアアッッッッッッッ!」 

 

藤原書記「だ、ダンスダンスレボリューション……」 

 

白銀会長「………………………………」←ダンスダンスレボリューション中 

 

藤原書記「もうやめてええええええッッッッッッッ!」

 

 

~しばらく後~ 

 

藤原書記「ハァ…ハァ…カラオケが無事終わったから油断してました」 

 

藤原書記「会長は音楽で体を動かすと浄化されてるアンデットになるんでしたね 

 

白銀会長「お前が勧めてきたんだからな」 

 

藤原書記「うーん、体を動かさないゲームとなると格ゲーとかですがあれ全くやって無い人は面白くないですからね」 

 

藤原書記「あとはプリクラとか……あれも会長と撮ってもしょうがないですし……」

 

藤原書記「そうです!ウチにあるボードゲームをやりませんか!?」 

 

藤原書記「オセロ、将棋、囲碁バックギャモン!チェスやチェッカー、シャンチー、ハルマなど、2人で遊べるものが色々ありますよー!」 

 

白銀会長「ふむ、ボードゲームか。そういう知的ゲームならルールさえ覚えれば俺でもなんとか遊べるかもな」 

 

白銀会長(それに、お金がかからないで遊べるのもいい) 

 

白銀会長(普通女子の家となると気構えるものだが……まぁどうせ藤原書記だしな……どうでもいいだろう)

 

 

~藤原家~ 

 

白銀会長(改めて見るとこいつらナチュラルに家が広いな金持ちが)チッ 

 

藤原書記「ただいま~」 

 

白銀会長「お邪魔します」 

 

藤原書記「ペシュ~~♡ただいま~~♡」グリグリ 

 

ペス(犬)「ハッハッハッハッ」ペロペロペロペロ 

 

白銀会長「………………………」 

 

白銀会長「やけに静かだな……ご家族は?」

 

藤原書記「親は今日はお仕事でいませんよー」 

 

藤原書記「お姉ちゃんは大学の友だちと遊びに行ってて、萠葉(妹)も出かけてます」 

 

藤原書記「だから今日は本当に暇だったんですよ」 

 

白銀会長「……ふーん………………」 

 

白銀会長(ん?これは結構アウトじゃないか?) 

 

白銀会長(いくら気が無い同士とはいえ流石に男女二人きりで女の子の家ってのはまずいだろ)チラッ 

 

藤原書記「ペシュ~~♡ペシュ~~♡」グリグリグリグリ 

 

ペス(犬)「ハッハッハッハッ」 

 

白銀会長(まぁいいか、どうせ藤原書記だし。ペスもいるしな。)

 

 

~藤原書記の部屋~ 

 

藤原書記「さて、じゃあボードゲーム何からやります?有名どころのバックギャモンあたりからやりましょうか!」 

 

白銀会長「ふむ、ルールは……」 

 

~数時間後~ 

 

藤原書記「いやー、遊びましたね、時間を忘れてしまいました」 

 

藤原書記「ルールを覚えたばかりとは思えないほど強かったですよ」 

 

白銀会長「初見殺しの引掛け技で引っ掛けまくってきたやつがよく言うよ……」

 

藤原書記「ふふ、そこは勝負ですからね……過程がどうあろうとも、勝てばよかろうなのです」 

 

藤原書記「でもすぐに対応されちゃいましたけどね」 

 

白銀会長「ルールを知って一度引掛けを食らった時点で藤原書記がやりそうな狡い手はなんとなく予測できたからな」 

 

藤原書記「狡い手ってのは心外ですね……トリッキーと」グウウウゥゥゥゥゥゥゥ 

 

藤原書記「……………ッッッ」カァー 

 

白銀会長「……今日は伊井野並に腹が鳴るな」 

 

藤原書記「あれー?おかしいですねー?普段こんなじゃないんですけどねー?」

 

藤原書記「ははは、頭を使ったからおなかが減ったようです」 

 

藤原書記「そういや夕飯どうしましょう?今日家に誰もいないんですよね」 

 

白銀会長「おぉ、丁度いい、俺に飯を振る舞わせてくれ。前にも言ったかもしれんが料理には自信があるんだ」 

 

藤原書記「え?やったー!それはありがたいです!」 

 

白銀会長「じゃあキッチンと食材を借りていいか?」 

 

藤原書記「はい!どうぞ好きなだけお使いください!」

 

 

~しばらく後~ 

 

白銀会長「ほら、出来たぞ」 

 

藤原書記「うわーー!すごーーい!」 

 

藤原書記「ご飯、味噌汁、ハンバーグ、付け合せ、肉じゃが、サラダ!」 

 

藤原書記「この和洋折衷なところがザ・庶民の夕飯って感じがしていいですよね!」 

 

白銀会長「それは褒めてるのかけなしているのか?」 

 

藤原書記「やだなー、褒めてるんですよー!」 

 

藤原書記「いただきまーす!」 

 

白銀会長「いただきます」

 

藤原書記「んー!このハンバーグ美味しーい!噛むたびに肉汁が出てきてとても美味しいですー!」 

 

藤原書記「この肉じゃがも、ホクホクしてて美味しい!」 

 

藤原書記「味噌汁も、これ出汁からとってるんですか?とても美味しいです!」 

 

白銀会長「そうか、口に合ったようで何よりだ」 

 

藤原書記「圭ちゃんは毎日こんなご飯が食べられて幸せですねー」 

 

白銀会長「どうなんだろうな……毎日美味いのか不味いのかわからないような顔で黙々と食べてるけど……」 

 

藤原書記「きっと毎日『美味しい』と思いながら食べてますよ」

 

 

~しばらく後~ 

 

藤原書記「ごちそうさまでした!」 

 

白銀会長「お粗末さまでした」 

 

白銀会長「どうだ?腹は落ち着いたか?」 

 

藤原書記「はい!お腹いっぱいです!」 

 

白銀会長「そうか、そりゃよかった」

 

藤原書記「………………………………」 

 

藤原書記「……会長、今日はありがとうございました」 

 

白銀会長「ん?一緒に遊んだことか?なんだいきなり、水臭いな」 

 

白銀会長「そのことならお互い様だし、むしろお金全部出してもらった俺がお礼を言うところだ」 

 

藤原書記「いや、そっちはそっちでありがたかったですけど!そっちではなく……」 

 

藤原書記「乱暴な人たちに絡まれてたときに助けてくれたことです」 

 

白銀会長「ん?あぁ、そんなんあったな……」 

 

白銀会長「あんなんなんの役にも立たなかっただろう……結局なんの助けにもならんかったしな」 

 

白銀会長「むしろ俺が藤原書記に助けられたといったほうが正しい」 

 

白銀会長「藤原書記の言ったとおり殴られ損だったな……格好悪い」 

 

藤原書記「そんな事ありません!」

 

藤原書記「確かに、昼には公園でついあんな口を利いてしまいました」 

 

藤原書記「しかし、かわし慣れているといっても実際に声を掛けられると毎回怖いです」 

 

藤原書記「そんなときに会長が現れて、大変勇気をもらいました」 

 

藤原書記「だからこそ、私はあの局面でも堂々とハッタリが出来たんです」 

 

藤原書記「ですので、会長はかっこ悪くも無駄でもありません!」 

 

白銀会長「……はは、慰めてくれるのか」 

 

藤原書記「本心ですけどね」 

 

藤原書記「それに、勝てないとわかってても勇気を振り絞って出てくる男の子ってむしろ……」 

 

藤原書記「いや、何でもありませんっ!」 

 

白銀会長「?」

 

白銀会長「いや、でもせめてもの救いは、あの格好悪い場面を見られたのが藤原書記で良かったよ」 

 

藤原書記「ん?どういうことですか?」 

 

白銀会長「俺は、学園ではある種の虚勢を張って生きているからな……四宮や石上、その他の藤原以外の秀知院学園の生徒に見られたら幻滅されちまう」 

 

藤原書記「なるほど、たしかに会長って最初と今じゃ全然キャラ違いますよね」 

 

白銀会長「そりゃお前の前だけではな、意地や虚勢はっても今更だし」 

 

白銀会長「一応他の生徒の前では以前と同じように見えてる……と思う……」」 

 

藤原書記「ハハハ、たしかに他の人には会長の特訓前の歌やダンスは刺激が強すぎるかもしれませんね」 

 

藤原書記「というか私も別にあの刺激に慣れたわけではありませんし」 

 

白銀会長「笑うなよ、酷いやつだな」

 

藤原書記「でもいいじゃないですか、結局は特訓で克服しているわけですから」 

 

藤原書記「むしろ、苦手なものを一生懸命克服しようとする男の子って私的にはアリですよ?」 

 

藤原書記「もっと会長は、『素の自分』に自信を持っていいと思います」 

 

藤原書記「別に完璧じゃなくても不器用でも、一生懸命にやればみんな尊敬してくれると思いますよ?」 

 

白銀会長「うぐっ……だがそれじゃだめなんだ……完璧じゃなければ……天才と並ばねば……」 

 

藤原書記「ハハハ、相変わらず頑固ですね~、もはや病的です」 

 

白銀会長「なんとでも言え……才能を持ち合わせていないやつができることなんか、ひたすら時間と労力をかけることだけだからな」 

 

藤原書記「はい、もう何も言いません……会長が才能がないとは思いませんけどね」 

 

藤原書記「結果だけ見ればすべて、克服してるわけですし」

 

白銀会長「………………………………」 

 

白銀会長「おっとこんな時間か、そろそろ帰るとしよう」 

 

白銀会長「今日は1日楽しかったぞ、いい気休めになった」 

 

藤原書記「はい……私も楽しかったです……」 

 

白銀会長「あぁ」 

 

藤原書記「………………………………」 

 

藤原書記「………………………会長!」 

 

白銀会長「ん?」 

 

藤原書記「また、よかったら遊びましょうね!」 

 

白銀会長「あぁ、またバイトが無いときでも遊ぶか」 

 

藤原書記「はい!」

 

 

~次の日・街中~ 

 

白銀会長(はぁ~、結局昨日はシャープペンシルを買い足すのを忘れていたな……) 

 

かぐや様「あら会長、偶然ですね」バッタリ 

 

白銀会長「し、四宮!?」ドキッ 

 

白銀会長(昨日の藤原といい、よく知り合いに会う週末だな) 

 

かぐや様「さて会長、偶然会ってこのまま別れるのもなんですし……」ニコッ 

 

かぐや様「公園でも行きます?それともカラオケでも行きます?それとも……」ニコニコ 

 

白銀会長(なんだ……………………?)ドキドキ 

 

白銀会長(今日の四宮はやけにグイグイ来るな!)ドキドキ 

 

 

 

 

 

 

元スレ

http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1564135211/

風太郎「い、いつも自分でしてるのか? 」三玖「……してるよ///」2/2【五等分の花嫁ss/アニメss】

 

四葉の柔らかい手が俺の手をぎゅっと握った。しっとりと汗ばんで、生暖かい。 

 

家には俺と四葉しかいなかった。止められるのは、俺の理性だけだ。 

 

風太郎(この解は微分方程式を用いて) 

 

風太郎(Xの場合分けは) 

 

四葉「ねぇ上杉さん……難しいこと考えていないで、楽になっちゃいましょうよ」 

 

風太郎「勉強だ、勉強に集中しろ。四葉も勉強に集中するんだ」ブツブツ 

 

風太郎(この上杉風太郎が性欲にまけて勉学を疎かにするなどあってはならないっ!) 

 

四葉「その計算間違ってませんか」 

 

風太郎「ぐっ……四葉に指摘できるレベルの間違いを……俺が…… 

 

四葉「だから一旦休みましょうって」 

 

風太郎「駄目だ。勉強に集中だ」 

 

四葉「上杉さんのケチー……あー、部屋暑いですね」ヌギッ 

 

風太郎「バカッ!脱ぐな!/// 

 

四葉「キャミソール姿になっただけじゃないですか。動揺しすぎですよ」 

 

風太郎(やばい。四葉を直視出来ない。というか、こんなに部屋広いのになんで隣にぴったり座って来るんだよ) 

 

風太郎(なんとか打開せねば) 

 

風太郎「勉強、勉強、勉強に集中だ」カリカリカリ 

 

四葉「もーっ、どうしてそんなにお固いんですか」 

 

風太郎「四葉、頼むから服着てくれ。その……目のやり場に困る」 

 

四葉「いいんですよ?じっくり見てくれても」 

 

風太郎「……悪いが、俺はお前の善意を踏みにじって欲望を解消したくはない」 

 

風太郎「こういうのは、好きな人同士でするべきだ」 

 

風太郎「悪いが、俺は…… 

 

四葉…… 

 

四葉「好きな人、いるんですね、上杉さん」 

 

風太郎「……」カリカリカリ 

 

四葉は今どんな顔をしているんだ?怖くて見れなかった。 

 

俺に出来ること。それは、無心に問題を解くだけだ。 

 

……

 

ノート2ページ分をひたすら無心に解き、硬くなっていた俺の股間もクールダウンしてきた。 

 

やはり勉強はいい。勉強は心を癒やしてくれる。 

 

ふと隣を見た。 

 

四葉はリボンを外していた。リボンを外した四葉と、あの子が被った。 

 

風太郎「……」ゴクッ 

 

四葉……上杉さん、私実は」 

 

ガチャッ 

 

二乃「ただいまー」 

 

三玖「フータロー?来てるの?」 

 

五月「まさか家の前でみんなとばったり会うとは」 

 

一花「あー、今日も疲れたー」

 

風太郎「お、おじゃましてます」 

 

四葉……/// 

 

三玖「ちょっと。なんか距離が近い」 

 

二乃「四葉、大丈夫?この獣に襲われなかったでしょうね?」 

 

四葉「だ、大丈夫だよー」 

 

風太郎(襲われそうになっていたのは俺がな!) 

 

一花「うーん、怪しい」 

 

五月「それじゃあ今日の夜から日曜日まで泊まり込みで勉強合宿ですね」 

 

三玖「早速、この問題教えて。フータロー」 

 

二乃「ちょっと、何当たり前のように隣座ってるのよ、三玖!」 

 

三玖「早いもの勝ち」 

 

ぎゃーぎゃー 

 

 

風太郎(騒がしくなったが、なんとか勉強出来る環境になりそうだ) 

 

風太郎(しかし、どういうつもりだ……四葉は) 

 

四葉「上杉さん。どうしても困ったら教えてくださいね。私、最後まであなたの味方ですから」 

 

四葉は耳元でそう囁いた。 

 

 

テスト当日。 

 

寝不足だ。最後まで、四葉の数字を透明にすることが出来ず、俺は悶々とした夜を過ごしていた。 

 

加えて、五つ子達への勉強の指導の負担。 

 

ここまで自分の勉強に十分に集中することが出来ずに迎えるテストは初めてだ。 

 

だが、俺には過去の積み重ねがある。この程度で泣き言を言っているようじゃ始まらない。 

 

ふいに襲ってくる勃起の波と戦いながら、俺はテストに挑んだ。 

 

 

結果発表。 

 

教師から渡された答案と点数を見て、俺は卒倒しそうになった。 

 

401点! 

 

1科目あたり平均80点!? 

 

嘘だと言ってくれ。これじゃあ学年トップどころか、学年10位以内も怪しいレベルじゃないか? 

 

というか、401点だと学年何位くらいだ?それすらイメージできないほどの点数だ。 

 

俺に、彼女たちの家庭教師を続ける資格はあるのか…… 

 

 

五月「上杉君?目の隈がすごいけど大丈夫ですか?」 

 

風太郎「五月か…… 

 

五月「そういえば、今日は結果発表でしたが、どうでした?」 

 

風太郎「ああ実は」 

 

五月「はっ!その手にはもう騙されませんよ!どうせ満点なのでしょう?危うく自慢されるところでした」 

 

風太郎(流石にこの点数だと自慢は出来ねーよ…… 

 

五月「そうそう、私の合計点数ですが」 

 

風太郎(直前の問題集の出来をみると赤点は大丈夫だとは思うが 

 

風太郎(もし、五月が俺の点数を超えてくるようなことがあれば) 

 

風太郎(その時、俺は……屈辱で死ぬかもしれん) 

 

風太郎(くそっ!素直に教え子の高得点を願えない、俺自信の弱さが悔しいっ……!) 

 

五月「150点でした」 

 

風太郎「ん?」 

 

五月「150点でした」 

 

風太郎「赤点」 

 

五月「赤点じゃない」 

 

風太郎「いやいや、赤点」 

 

五月「オール30点。赤点じゃない。ドゥー・ユー・アンダスタン?」 

 

風太郎「逆にすごいなお前!」 

 

五月「よく言われます」エヘヘ 

 

風太郎「馬鹿野郎!限りなく赤点に近い点数じゃないか!」 

 

五月「ですが、赤点は回避しましたよ?」ドヤッ 

 

風太郎「そんなんでいいのか、お前は」 

 

五月「いいわけないじゃないですか。でも、今回のテストは普段の実力を出せなかったというか」 

 

五月「心当たりは……我慢しすぎたと言うか」 

 

五月「言われた通り、あの日からずっと我慢していたんですが」 

 

五月「テスト中、全然集中できなくって」 

 

五月「今も……責任とってください!責任!」

 

風太郎(もし俺が普段どおりの点数だったら自己責任と一蹴出来たのだが) 

 

風太郎(俺の点数も過去最低点だったことを鑑みると、彼女に禁欲を強要したことが正しかったか自信が持てなくて) 

 

風太郎「…… 

 

五月「?」 

 

風太郎(まだわからない。他の姉妹の点数を……特に、禁欲しなかった、四葉の点数が知りたい) 

 

風太郎(こいつが赤点なら、禁欲の有用性が証明されるはずだ!禁欲した五月より点数が低いのだからなぁ!(錯乱)) 

 

風太郎(だがもし……こいつの点数が普段より高かったら…… 

 

風太郎(男・上杉風太郎、責任を取る覚悟だ) 

 

四葉「あれれー?五月に上杉さーん!テストどうでしたかー?」 

 

風太郎「四葉!お前の点数を教えろ!」 

 

風太郎(俺の指導が正しかったか、それがここではっきりする) 

 

四葉「190点でした。平均38点です」 

 

風太郎「フハハハ!いつも通りの四葉だ!」 

 

四葉「これでも少しは点数伸びたんですよ!褒めてください!」 

 

五月「私が……四葉に負けた……?」 

 

四葉「どれどれ、五月は……150点!?オール30点!これは逆にすごい!」 

 

五月「これやっぱりあなたの責任じゃないですか!普段どおりだった四葉が普段どおりの点数で、アレを禁止された私が、赤点スレスレで四葉以下ですよ!」 

 

五月「責任!責任!責任!」 

 

風太郎「まだだ、まだわからんよ!単純にお前の努力が足りなかっただけの可能性もある!」 

 

風太郎「他の姉妹の点数も見てからだな。責任を取るのは!」 

 

風太郎(俺が禁欲を強要したのはあとは一花と二乃だが…… 

 

風太郎(三玖の点数も気になる。三玖には、1番だったら何でも願いをかなえるみたいな約束をしたからな) 

 

四葉「三玖ー!テストどうだった?」 

 

三玖「……」チラッ 

 

風太郎「教えてくれ。三玖。お前の点数を」 

 

三玖「500点だった」 

 

五月「ファッ!?」 

 

四葉「すごすぎる!凄すぎるよ!どんな魔法を使ったの!?三玖!」 

 

三玖「……愛、かな?」 

 

三玖「これで、フータローに並んだ。フータローの教えを一言一句忘れずに……テストに挑めた」 

 

三玖「私も……報われた気がする」 

 

五月「姉妹でトップどころか学年トップじゃないですか!中野家の誇りですよ!これは!」 

 

四葉「私達も頑張れば、学年トップを取れるポテンシャルがある……?」 

 

三玖「フータロー……約束。私、約束、守ったよ」 

 

三玖「……ごめん、フータロー……嬉しくって、涙が止まらない」ポロポロ 

 

風太郎「…… 

 

風太郎(三玖は頑張った。自慰もせず、クソパン屋で働きながら、勉強も集中していた) 

 

風太郎(落ち着け。落ち着くんだ、俺。素直に三玖を褒めろ) 

 

風太郎(だが……俺は……俺の点数は) 

 

三玖「フータローと一緒に、学年トップ。嬉しい…… 

 

風太郎(俺はさも当然のように満点ということになっているが……!) 

 

風太郎(まずい。教え子の三玖より圧倒的に点数が低い!) 

 

風太郎「三玖、答案見せてくれ」 

 

風太郎(俺と三玖、名前間違えているんじゃないだろうな!)ジロジロ 

 

風太郎(が……紛れもなくこれは三玖の字だ……三玖の奴、本当にやりやがった!) 

 

風太郎(過去に500点をとった俺にはわかる) 

 

風太郎(200点を300点にあげるのは簡単だ。だが、499点から500点に点数をあげるのは至難の技だ) 

 

風太郎(全科目に及ぶ深い知識と一問のケアレスミスも許されない集中力) 

 

風太郎(そしてすべてが良問という訳じゃない。教師の悪問も、その意図を読み取り適切な解答を導き出すテクニック) 

 

風太郎(500点という点数は、偶然で取れる点数じゃない) 

 

風太郎(こいつ、本当に努力していたんだ……見えないところで、一人、ずっと勉強していたんだ……!) 

 

風太郎(昔の俺のように…… 

 

最初は認めたくなかった。自分を超えられたことを。だが、このテストの答案を見て、俺は三玖の努力が本物だと確信できた。 

 

姉妹に祝福され、照れながら涙を浮かべる三玖を見て 

 

俺の心が動く音がした。 

 

 

一花「…… 

 

四葉「あ、一花!」 

 

五月「聞いてくださいよ!三玖がやりました!」 

 

一花「…… 

 

三玖「一花はどうだったの?今回の点数」 

 

一花「225……平均45点だった」 

 

四葉「点数下がった?」 

 

一花「うん 

 

五月「原因はズバリなんですか」 

 

一花「うーん……我慢しすぎちゃったかなぁ」 

 

五月「ほら!原因は禁欲なのは明白です!」 

 

風太郎「ふーっ……お前ら、三玖の点数を見ろ。禁欲が最強だと証明されたんだぜ」 

 

三玖「今回は500点だったよ、一花」 

 

一花「ぐっ……」プルプル 

 

三玖「私が1番。やった」 

 

風太郎(なんか俺の知らないところで壮絶な戦いが繰り広げられているらしいけど、触れないでおこう) 

 

風太郎「これであとは二乃だけだな」 

 

三玖(二乃が何点であろうと……私の優位は揺るがない) 

 

三玖(フータローの1番になれたら……言うと決めている事がある) 

 

 

四葉「あっ!二乃がいましたよ!」 

 

風太郎「二乃!お前は何点だったんだ!」 

 

二乃「合計 350点。過去最高点だわ」 

 

四葉「おおっ!すごい!」 

 

風太郎「頑張ったな、二乃」 

 

二乃「ま、私が本気を出せばこんなものね。今回の指導はセクハラ紛いだったけど、あんたの功績は認めてあげてもいいわ」 

 

五月「私は認めていませんよ!」 

 

一花「まあまあ。それにしても凄いのは三玖だよね」 

 

四葉「上杉さんと並んで学年トップですよ!」 

 

風太郎「あの、四葉……実は」 

 

一花「もう三玖は卒業してもいいんじゃない?満点とったらもう家庭教師いらないよね?」 

 

三玖「私はまだフータローに教わっていない事がある!今回のだって……まだフータローを超えた訳じゃない」 

 

五月「でも三玖も今後は私達を教える側に回ってくれるのであれば力強いことこの上ないですね」 

 

四葉「学年トップの二人に教われば、百人力だよ!私達の将来も安泰だ~!」 

 

二乃「フータロー、顔青いけど大丈夫?寝不足じゃないの?」 

 

風太郎(……どうする) 

 

風太郎(問題は2つ。俺の点数が三玖より低いこと、そして禁欲を強制して五月と一花の点数を下げてしまったこと) 

 

風太郎(1つ目を打ち明ければ、上杉風太郎不要論が台頭して俺は家庭教師をクビになってしまうかもしれない……!) 

 

風太郎(2つ目にしてもそうだ。今回、三玖が最高の点数をとって、二乃もそこそこの高得点をとったが) 

 

風太郎(結局、俺のエゴで一花と五月の点数を下げてしまったのだ) 

 

風太郎(責任は……とらねばならないのか…… 

 

風太郎「わかった。俺も男だ。責任を取る」 

 

二乃「責任って何に対してよ?」 

 

風太郎「一花と五月の点数を伸ばせなかった責任だ」 

 

二乃「それは自己責任でしょ?あんたの指導で三玖は満点をとったんだから、家庭教師の有用性は証明されているわ」 

 

風太郎「三玖に対して俺は今回何も指導していないんだ。三玖が勝手に成長した。それだけのこと」 

 

三玖「そんなことはない!フータローが寝る時間も削って私達に解き方を教えてくれたり、直前予想問題まで作ってくれたおかげ」 

 

四葉「そうですよっ!三玖が頑張ったのは事実ですが、上杉さんの指導のおかげで私も二乃も点数を伸ばせたんです!」 

 

風太郎「違うんだ。一花と五月が点数を下げたのは……アレを禁止してしまったからなんだよっ!」

 

三玖「アレって?」 

 

風太郎「アレはアレだ。とてもここで口に出せるような事じゃない」 

 

二乃「あんた、まさか二人にも禁止させたの?」 

 

四葉「なになに?なんですか?」 

 

一花「うわぁ……フータロー君、私だけじゃなくて姉妹全員に……?」 

 

五月「変態ですね」 

 

三玖「説明求む!私は特に何も禁止されなかった」 

 

四葉「私も特に禁止は」 

 

風太郎「とにかく、週8回もしている二人のアレを禁止したのは俺だ!逆にストレスを貯めてしまったせいで、本番で力を出しきれなかったのだろう」 

 

五月「では、責任を取るんですね?」 

 

風太郎「ああ。責任を取る」 

 

一花「どうやって責任とってくれるのかな~?我慢させた分、しっかり私に埋め合わせして欲しいよ」 

 

五月「わ、私も……!我慢した分、気持ちよくして欲しい……です」 

 

二乃「はぁ?何いってんの?フー君もこんなの相手にしちゃ駄目よっ!」 

 

一花「二乃だって我慢してたんでしょ?期待してるくせにぃ」 

 

二乃「そりゃ……フー君だって我慢してたんだろうから……成績あげてくれたご褒美に、気持ちよくしてやらないこともないと、思っていたところだけど…… 

 

風太郎「責任は……俺が家庭教師をやめることで取ろうと思う。もうおまえたちに会うこともないだろう」 

 

場は水を打ったように静まり返った。 

 

俺は自分のエゴのために、彼女たちに禁欲を強要した。 

 

彼女たちの顔を見るたびに浮かんでくる数字が、俺の性欲を苛ませ、そのために成績が落ちることを恐れ、彼女たちのためだと言い聞かせて禁欲を強いたのだ。 

 

そんな俺は彼女たちの家庭教師でいる資格はない。 

 

風太郎「さよならだ。もうお前らなら俺がいなくても立派にやっていける」 

 

風太郎「ここには満点の三玖もいる。俺はお役御免だ。わからないことがあれば三玖に聞けばいい」 

 

風太郎「それに俺がいるせいで、お前たち姉妹の仲がギスギスしていくのを見ているのも辛かったんだ」 

 

風太郎「みんな、血を別けた姉妹を大事にしろよ。それじゃあな」 

 

卒業まで彼女たちの面倒を見れないのは残念だ。だが、もう十分だ。 

 

 

三玖「待って!」 

 

立ち去ろうとする俺の腕を彼女はぎゅっと掴んだ。 

 

三玖「フータローがいなくなることは許さない。責任を取るなら私達が卒業するまで面倒みて」 

 

五月「ご、ごめんなさい!私が安易に責任なんて言ったから!冗談ですっ……やめないでくださいっ」 

 

一花「私も色々悪ノリが過ぎたかな……ごめんっ」 

 

二乃「辞めれば責任取れる程この仕事は甘くないわよ!責任感じてるなら最後まで指導しなさいよ!」 

 

四葉「上杉さんに辞められて赤点とったら末代まで祟りますからね!祟りますよ!」 

 

赤点を回避したというのに、みな泣きそうだ。 

 

二乃や五月なんぞ、最初は俺を目の敵にして追い出そうとしていたじゃあないか。 

 

邪魔者がいなくなって少しは喜べ。 

 

三玖だって。 

 

……何事も惜しまれている内が華だ。それにここでやっぱり辞めるのを辞めまーすと言ったら男が下がるってもんだ。 

 

俺の決意は固い。涙だけはこぼさぬよう、下唇を強く噛んで俺は引き止める三玖の腕を振り払おうとした。  

 

三玖「フータロー、約束したよね。私がトップだったら。何でも言うこと1つ聞くって」 

 

風太郎「ああ」 

 

そういえばそんな約束したっけ。まさか三玖が姉妹トップどころか、学年トップまで取るとは夢にも思わなかったが。 

 

三玖「その権利をここで行使する。辞めないで、フータロー」 

 

その時の三玖の目はかつてないほど真っ直ぐ俺を見ていた。 

 

自分のためだけじゃなく、姉妹みんなのために、三玖は俺を強く求めてくれた。 

 

何でも願いを叶えろというから、一体どんな無理難題を押し付けられるのか、内心ヒヤヒヤしていたがなんてことはない。 

 

ただ、元の職場に戻れってだけ。 

 

給料は相場の5倍、アットホームで楽しい職場。 

 

やれやれ、そこまで言われたら俺の返事は決まっている。 

 

どうやら俺の家庭教師生活はまだ終わらないらしい。 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

三玖「はぁ……はぁ……んっ」 

 

三玖「はぁ……もうっ……限界っ…… 

 

三玖「フータローっ……もうこれ以上無理だからっ……んっ」 

 

風太郎「まだイケるだろ?」 

 

三玖「もう4回もイッたからぁ……5回目はむりぃ……あっ」ピクピク 

 

風太郎「ふー、情けないなぁ。ほら、手伝ってやるから」 

 

三玖「んんっー!んっ!」 

 

風太郎「ほら、もっと腰使って!」 

 

三玖「はぁぁー!んっ!」 

 

ガチャンッ 

 

風太郎「よく頑張ったな」 

 

三玖「もう腕が限界……ベンチプレスは私には向いていない」 

 

風太郎「重りつけずに鉄の棒だけでこれは……もう少し筋力つけた方がいいと思うぞ」 

 

三玖「次、フータローの番。男の人ならあの大きい丸い重りつけるべきだよ」 

 

風太郎「持ち上がらなかったらさっき俺がしたみたいに助けてくれよ、三玖」 

 

三玖「善処する」 

 

幸い、重りが重すぎて俺たちには取り付ける事が出来なかったので事故には至らなかった。 

 

テストが終わって、俺と三玖は二人で体力をつけるためにスポーツジムに来ていた。 

 

今回のテストで痛感したのは俺の体力のなさだ。23日眠らなかったからといって点数を大幅に落としてしまうとは情けない。 

 

そこで俺は同じく体力不足の三玖とジムに来たって訳だ。

 

一通りスポーツジムのマシンに触れていい汗を流した。 

 

勉強ばかりしていたせいで、体中の筋肉が悲鳴をあげている。 

 

三玖も歩き方がぎこちない。 

 

風太郎「たまには運動も悪くないが、会員になるには金がないな」 

 

三玖「安心して。ここお父さんの病院の系列のジムだから。プール・スパ・レストラン付きで病院の職員は福利厚生ばっちり」 

 

風太郎「俺は病院の関係者ではないんだが」 

 

三玖「満点のことを話したら、珍しく喜んでいた……と思う。フータローのことを話したら、会員カードを作ってくれた。一応、家庭教師も福利厚生に手厚くと。」 

 

風太郎「いいのか、これ。家族会員カードって書いているが」 

 

三玖「費用は全部お父さん持ちでこの施設使い放題カードだよ」 

 

風太郎「なんだか悪いな」 

 

三玖「お風呂で汗流したら、レストランで食事にしよ?」 

 

三玖を高得点に導いた功績はあの堅物の中野父にも認められたということか。 

 

これまた高級料理で腹を満たしながら、俺は考える。 

 

あの場で俺が責任をとらないことにしていたら、三玖は俺に何を願ったのだろうか。 

 

振り返れば、あんなくだらない事に、その願いを使わせた事に関して俺はフェアじゃないと感じていた。 

 

かといって俺が三玖にしてやれることは実はもう何もない。 

 

成績は俺よりいいし、家だって金持ちで、こうして何不自由なく高級な料理を食べたり、ブルジョア的なスポーツジムで汗を流すことだって出来る。 

 

そんな三玖は俺に何を求めていたのだろう。 

 

風太郎「そういえば、お前、好きな人いるって言ってたけど今もそいつの事好きなの?」 

 

三玖「うん。好きだよ」 

 

風太郎「そうか」 

 

三玖の顔は晴れ晴れしていた。きっと、この前のテストで1番の成績をとって、自信を取り戻したのだろう。 

 

その前のテストは一花に負けてすごい悔しそうにしていたからな。 

 

三玖「そういえば、1番だったら誰か教える約束していたよね。知りたい?」 

 

風太郎「知りたくないな」 

 

三玖の好きな人はクラスの名前もわからない男やパン屋のジャムおじさんみたいなおっさんだったりするのだろうか。 

 

確かにそうだとしたら恐ろしい。それを先に聞いてしまったら、俺はショックで死ぬかもしれない。 

 

風太郎「俺は三玖が好きだから」 

 

三玖「えっ…… 

 

彼女たちと出会う前までは、恋愛なんて馬鹿にしていた。 

 

若さと性欲にのみ突き動かされて、親の金で生活している甲斐性もないガキが、大人の真似事をしているお遊戯に見えていた。 

 

学生の本文は勉学であり、それを邪魔する恋愛なんて馬鹿げた行為にうつつを抜かす程俺は馬鹿じゃないと思っていた。 

 

だが、誰かを好きになるという真剣な気持ちを俺は馬鹿にできなくなっていた。 

 

そして俺は三玖に……その気持をいつの間にか抱いていた。 

 

三玖「それって生徒として、だよね?」 

 

確かに俺は昔、三玖を生徒として1番だと思っていたし、その気持は今も変わりない。 

 

だが、確実に三玖に対する気持ちに変わったことがある。 

 

風太郎「一人の人としてお前の事が好きだ」 

 

俺は三玖と対等なパートナーでありたい。 

 

三玖「人として好き……?」

 

誰かに気持ちを伝えるということ。途方もない勇気がいる。 

 

風太郎「他の誰よりも、三玖が好きだ」 

 

一花より、二乃より、四葉より、五月より。同じ顔と体をしているけれども、俺はお前が1番好きだ。 

 

風太郎「愛している、三玖。俺と付き合ってくれ」 

 

俺はこの時、三玖の顔を見るのが怖くて、深々と頭を下げて頼み込んだ。 

 

全身から冷たい汗が吹き出て、緊張で眼球がフラフラ揺れているのがわかる。 

 

三玖「フータロー……顔あげて」 

 

返事を聞くのが怖い。心臓が激しく鼓動している。これで三玖に振られたら俺は…… 

 

風太郎「二乃と一花は振ってきた!三玖!俺はお前じゃなきゃ駄目なんだ!」 

 

退路は断っている。四葉と五月にも、事前に三玖に告白することは通知している。 

 

四葉は応援すると言ってくれた。五月は三玖を泣かせたらグーで殴ると脅してきた。 

 

二乃と一花は……考えるな。今の俺には三玖しかいないんだ。

 

長い沈黙の後、ゆっくり顔を上げると目の前に涙を浮かべた三玖がいた。 

 

その姿が、あの旅行のとき。俺にキスした五月の姿と被って見えた。 

 

そして……あの時と同じように俺たちは唇を交わした。 

 

あの時とは違う。一瞬じゃなく、気持ちが通じ合ったことを確かめ合うように、長い時間だった。 

 

風太郎「三玖…… 

 

三玖「これが私の気持ち」 

 

そう言って三玖は、笑った。 

 

やっぱり三玖は笑顔が最高だ。 

 

 

 

三玖と付き合って3ヶ月。それからのことを少しだけ話そうと思う。 

 

付き合った直後の五つ子全員との勉強会ではかなりギクシャクしていたけど、今ではまた昔のように姉妹たちの間にも笑顔が見えはじめていた。 

 

一花「ねえねえ、フータロー君。三玖とどこまでいったの?ABCで言うと?」 

 

風太郎「一応Aまで…… 

 

一花「うそぉ!まだA!?もう付き合って3ヶ月だよね?」 

 

そのAも最初のキスだけ。勉強の合間を見て、休日は時々デートをしたり、恋人らしいことはしている。 

 

家では三玖がずいぶんと上達したパンを振る舞ってくれたり(五月評価は30点だったが、俺の中では120点だ)、一緒にジムでトレーニングしたり、一花が出ている映画を見に行ったり、服を買いに行ったり。 

 

だが、それ以上の進展はない。 

 

そうそう。あれから彼女たちの顔に数字が見えることはなくなった。やっぱり、勉強をしすぎた事による一種の精神病だったようだ。 

 

風太郎「実際、どうなんだ?高校生カップルってどれくらいで、そういう関係になるんだ」 

 

一花「んー、早い子だと付き合ったその日には。というか付き合う前から」 

 

風太郎「ファッ!?」

 

一花「まあ二人とも初めての男女交際って考えると、それは流石に早すぎるかなーと思うけど、だいたい45回もデートしたらそういう雰囲気になるんじゃないかな」 

 

だが、俺は三玖の0という無垢な数字が忘れられなかった。 

 

一花とはこういう今どきの高校生らしいちょっぴりエッチな話もするけれど、デート中、三玖と性的な話題はある種のタブーになっており、なかなか先に踏み切れない。 

 

一花「というか、男の子がそういう雰囲気作りしないと駄目だぞ!」 

 

風太郎「だが三玖はそんな素振りはないぞ。一緒にいるだけで幸せですって感じで、俺はそれを壊したくないというか」 

 

一花「うわぁ(ドン引き)……三玖かわいそう」 

 

風太郎「それに、場所は?俺の家はらいはがいるし、三玖の家も休日や夜はいつも誰かいるだろ」 

 

一花「そういう場合はホテルとかじゃないの?私の初めては海と星が見えるリッチなリゾートホテルがいいなー」 

 

風太郎「そんな金ないし、お前の希望は関係ない」 

 

一花「じゃあそこら辺のラブホで妥協しなよ」 

 

風太郎「もちろん事前に下見して調べた。だが、あそこは高校生の立ち入りが禁止されているんだ」 

 

一花「相変わらず堅いなぁ……そんなに心配なら私と一緒に下見してみる?私服着ていればバレないって」 

 

一花「ここはお姉さんが一肌ぬいでチキンなフータロー君の初めての相手に……!遺伝子レベルで同じだからいい練習相手になれると思う!」 

 

一花「っておーい!フータロー君!逃げないでー!」 

 

 

風太郎「というわけで、困っているんだ」 

 

五月「それで私に相談に来るとは……三玖もこんな男を好きになるとかどうかしていますね」 

 

風太郎「二乃とは気まずいし、四葉はこういう話は疎そうだから、頼りになるのはお前くらいなんだ。頼むっ!」 

 

五月「こういうのは同性の友人と話すべきじゃないのですか。男の友達はいないのですか?」 

 

風太郎「ぐっ」 

 

五月の攻撃が俺の精神にダイレクトアタック! 

 

五月「ずばり、三玖をどうやったら抱けるか、という問題ですね」 

 

風太郎「ああ。話が早くて助かるぜ」 

 

五月「まずは三玖をその気にさせることからですよ」 

 

風太郎「実際のところ、どうなんだ?姉妹でそういう話は……聞いてたりする?」 

 

五月「三玖はあなたの話、家では全くしてませんよ。一花や二乃に気を使っているのでしょう」 

 

風太郎「そうなのか」 

 

五月「あなたが誰を選んだとしても、こうなっていたと思いますから、これは私達姉妹が乗り越えるべき試練なのです」 

 

5人から1人を選ぶとはそういうことか。三玖はもしかしたら他の姉妹に気を使って、そういう関係を望んでいないのかもしれない。 

 

五月「それはそれ、これはこれです。三玖も待っていると思いますよ。あなたからの誘いを」

 

風太郎「それは本当か?」 

 

五月「ここ最近、多いですから」 

 

風太郎「何が?」 

 

五月「三玖のアノ回数。特にあなたとのデート前なんて……この前なんて、あまりにも露骨な声がするので二乃が怒って壁蹴っ飛ばしてましたよ」 

 

風太郎「え?三玖もそういうことするの?」 

 

五月「え?しないと思っていたんですか?」 

 

だが三玖の回数は週0回のはずじゃ。 

 

五月「三玖は私達の中で1番むっつりスケベで……あれ?上杉くん、聞こえていますか?」 

 

なんてこった。ひょっとして俺が見ていた数字は…… 

 

風太郎「五月。確認だ。お前、週何回自慰していた!特に、この前赤点スレスレだったあのテストの前の週!」 

 

五月「いきなり何聞いてくるんですか!……いいですよ、白状しましょう。毎日最低2回はしていました!朝と寝る前の日課で!あの赤点ギリギリ事件で反省して、今はもう少し控えていますが…… 

 

毎日2回以上……14回以上…… 

 

確か、五月の数は8回だったはずじゃ…… 

 

風太郎「ははは…… 

 

乾いた笑いしかでない。俺が見ていたのは、俺の心が生んだありもしない数字。当たり前だ。他人の自慰回数が見えるなんて非科学的だ。とても全国模試4位の秀才が信じることじゃない。 

 

最初から信じていなかったさ!最初からな! 

 

五月「あなたはまだ週1回しかしてないのですか?そんなので三玖を満足させられるのか心配ですよ」 

 

三玖「そろそろ願書の時期だけど……どこ受けるか決めた?」 

 

風太郎「一人暮らしは金がかかるから、家から通えるN大を考えているが……担任からはT大かK大を強く勧められていているんだ」 

 

三玖「お父さんは医学部を受けるなら生活費と学費全額払うって」 

 

風太郎「その話は丁重に断らせて頂いた。そんなの受け取ったら逃げられねぇ」 

 

三玖「逃げる気なの?」ジロー 

 

風太郎「あっ、そういう訳じゃなくてだな……俺、医者になりたい訳じゃないし…… 

 

三玖「でもお医者さんはお金持ち」 

 

風太郎「昔の俺なら金こそ全てと割り切ったんだが」 

 

今はもう割り切れない。 

 

風太郎「教師になろうと思うんだ、俺」 

 

三玖「フータローが……先生…… 

 

風太郎「お前たちの家庭教師をして、俺は変われた。そして、最初は勉強嫌いで、どうしようもない馬鹿だったお前たちが成長していく姿を見るのが何よりうれしかった」 

 

風太郎「学校の先生になれたら、きっとそういう喜びを味わえる人生を過ごせると思うんだ」 

 

三玖「今のフータローなら……きっといい先生になれると思う。でも、気をつけて」 

 

風太郎「何に」 

 

三玖「あなた、教え子に好かれやすいから。ロリコンとして逮捕されたら、私が介錯してあげる」 

 

風太郎「ヒェッ」 

 

風太郎「三玖は大学決めたか?」 

 

三玖「……まだ」 

 

風太郎「最近のお前の成績ならそこそこの学校行けるだろ」 

 

三玖「フータローが先に決めて欲しい。私、その近くの大学にするから」 

 

風太郎「はぁ?お前、まだ自分がやりたいこと、見つかってないのか!?」 

 

他の姉妹はそれぞれ夢を見つけて、その夢を叶えるために前を向いて歩きだしている。 

 

もう俺の家庭教師としての仕事は終わった。あとはそれぞれが頑張るだけだと思っていた。 

 

三玖「私はもう見つけているから…… 

 

そう言って三玖はぎゅっと俺の袖をつまんできた。 

 

三玖「お嫁さんが私の夢……逃げられないように近くにいたい」 

 

風太郎「お、おう……

 

ブーッブーッ…… 

 

三玖「携帯鳴ってるよ」 

 

風太郎「ああ。らいはからメールだ」 

 

らいは『五月さんと遊園地で遊んでるよ!いつかのカレーライスのお礼に、夕ご飯も連れて行ってくれるみたい!』 

 

らいは『帰るの20時ころになりそう』 

 

らいは『お兄ちゃんも頑張って!』 

 

三玖「今日はらいはちゃんいないんだね」 

 

風太郎「ああ。珍しく友達と遠くにでかけたからな」 

 

三玖「お父さんは?」 

 

風太郎「仕事で深夜まで帰ってこない」 

 

三玖「そっか。二人っきりだね」 

 

風太郎「ああ」

 

このボロ家に三玖を招待するのは正直嫌だったが、止むを得ない。 

 

勇気を出して、三玖を家に遊びに来るよう誘ったら、あっさり承諾された。 

 

しかし、誘ったはいいが、特に娯楽があるわけでもない。家にあるのはテレビ1台。暇つぶしに適当にチャンネルをいじったが、つまらない番組だけだ。 

 

三玖が来て、30分でお互い話すことも特になくなった。 

 

テレビはドラマの再放送をやっている。三玖の好きな戦国武将の話だが、正直俺は興味がない。三玖は真剣そうにテレビを見ていた。 

 

このまま、二人でドラマを鑑賞するためだけにクソ高い遊園地代を出してらいはを追い出した訳じゃない。 

 

「あっ、殿……およしになってっ」 

 

「いいではないか~いいではないか~ほれほれ~」 

 

「あぁ~~」 

 

ピッ。思わず俺はテレビのスイッチを切った。 

 

風太郎「ふー。家族で見ている家もあるのに、昼間っから流すもんじゃあないよな」 

 

三玖「…… 

 

家族不在の男の家にあがったということ、三玖もこれからする事を諒解しているはずだ。 

 

三玖「んっ……ちゅっ……ちゅっ」 

 

三玖とキスするのは、告白の時以来。あの時と同じく、無言のキスから始まった。 

 

三玖「……んっ……はぁ、はぁ…… 

 

だが、あの時より長く、あの時より、しっかりとお互いの形を確かめあうような、そんなキスだ。 

 

それから何度も、俺達は手を握り合いながらキスをした。 

 

三玖の口から唾液が溢れ、それを舐めるように、三玖の口の中に舌を入れた。三玖は驚いて俺の手を強く握り返してきたが、次第に三玖も舌を動かし始めた。 

 

三玖「んっ、ちゅっ、んちゅっ……んっ……あむっ……んっ……ぷはっ……んっ、ちゅっ」 

 

お互いぎこちなく口の中を探り合う。三玖の口の中は生暖かく、唾液が溢れ、いつまでもそれを舌で味わっていたくなる。 

 

三玖は俺が乱暴に押し入れた舌に時には抵抗するように、そして時にはそれに応えるように舌を絡めてくる。 

 

ここまではいい。問題は次だ。戦いの滑り出しは上々。だが、俺は次の一手を打てずにいた。 

 

次第に緊張で舌が乾いてくる。舌が攣りそうになって、俺は一旦、三玖から顔を離した。三玖の前髪が汗でピッタリ顔にはりついていた。 

 

風太郎「はぁ、はぁ…… 

 

三玖「……いいよ。触っても」 

 

そう言って三玖は俺から手を離した。 

 

三玖「んっ……あっ」 

 

前々から興味のあった、大きな三玖の胸を服の上から揉んだ。 

 

手が沈み込みそうになる感触だが、ブラジャーの感触が邪魔だ。 

 

風太郎「三玖……ここじゃああれだから……隣の部屋に行こう」 

 

三玖「うん…… 

 

立ち上がる時、足がしびれていた。夢中になって、それさえも気が付かないとは。 

 

三玖「準備はしている?」 

 

風太郎「一応、用意はしておいた」 

 

寝室に隠しておいたコンドームを取り出す。これを買ったのは、三玖と付き合い始めた最初のデートの前日だ。 

 

三玖「ほっ。用意していなかったら……どうしようかと思ってた」 

 

風太郎「不安にさせてすまない」 

 

三玖「大丈夫。私も初めてだから。一緒に頑張ろう」 

 

風太郎「とりあえず……汚しちゃいけないから、脱ぐぞ」ヌギヌギ 

 

三玖「うん……」ヌギヌギ 

 

脱ぎながらも三玖から目が離せない。結構気合の入った下着をつけていた。こういうのも姉妹で買いに行くのだろうか。 

 

三玖「……」ジーッ 

 

風太郎「な、なんだよ!」 

 

三玖「……フータロー、脱がせて」 

 

お互い下着姿になって、そこからどっちが先に脱ぐかの牽制になった時、三玖からそういった。 

 

両手でぎこちなくブラジャーの繋ぎ目を外す。 

 

三玖「んっ」 

 

一枚剥がすと、三玖の豊満な胸があらわになった。 

 

風太郎「すまん、触るぞ」モニュ……モニュ…… 

 

三玖「あっ……やっ…… 

 

服の上からだとわからなかったが、張りがあって適度に硬さはあるものの、押せば沈み込みそうになる柔らかさ、これは俺の人生初の感触だ。 

 

三玖は、布団に押し倒されなすがままに俺に胸を弄られていた。 

 

三玖「んっ……あんっ……やっ」ピクッ 

 

乳首をつまむと、三玖は悩ましい声を出した。いつも弄っているのだろか。 

 

三玖「はぁ・・・はぁ……んっ!?そっちはっ…… 

 

左手で三玖の胸をいじりながら、下に右手を這わせた。股を触ると、じっとり濡れているのがわかる。 

 

三玖「だめっ…… 

 

風太郎「顔、見せてくれ、三玖」 

 

乱れた髪を払い、真っ赤になった三玖の唇にキスをして、俺はまた、彼女の体を弄った。 

 

次はショーツを脱がせ、中に手を這わせた。 

 

毛の感触の奥に、柔らかくて熱くなっている場所があるのがわかる。 

 

三玖「んんっ!あっ……そこっ……んっ!」ビクッ 

 

指の腹で丁寧に三玖の秘所をいじった。軽く指を中に入れようとすると、腰を浮かしながら三玖は逃げようとする。 

 

まだ、他人に触られる恐怖が強いようだ。 

 

三玖「フータローも……見せて…… 

 

パンツを脱ぐと、俺のも十二分に硬くなって、反り返っていた。 

 

三玖「フータローが、興奮してくれている……んだよね」 

 

風太郎「ああ。三玖と……こういう事が出来て、正直、興奮している」 

 

三玖「私も、触っていい?」 

 

風太郎「頼む」 

 

三玖はおっかなびっくり、手で俺のを触った。最初は握り、それから形を確かめるように、手のひらで擦った。 

 

確かにこれは怖い。自分だけの領域を、血の繋がっていない言うなれば他人に踏み込まれてくる感触だ。 

 

だが、俺はあの真面目で、引っ込み思案で清楚な三玖が一生懸命、俺の汚い場所を、俺を悦ばせようと握ってくれるという、この状況に興奮していた。 

 

そして、その三玖の、誰も立ち入ったことのない、1番神聖な場所をこれから独占出来る事に。 

 

三玖「あっ……やっ……んっ…… 

 

三玖に触らせるのは程々にして、俺はまた三玖の秘所をいじった。 

 

三玖は仰向けになって、足を開いている。顔は手で隠していたが、指をゆっくり中に出し入れすると、喘ぎ声が漏れた。 

 

三玖「ヒッ…… 

 

穴の上の、小さな突起を指の腹でなぞると、三玖は小さな悲鳴をあげた。 

 

三玖「フータロー……そこ敏感だからっ……優しく」 

 

風太郎「結構自分でいじってるのか?」 

 

三玖「……」ムゥ 

 

答えない。少し力を入れるように摘んでやると、足をぎゅっと閉じてきた。 

 

三玖「はぁ、はぁ……そこっ……んんっ、ダメッ、やめてっ、あっあっ、んっ」ビクッ 

 

三玖「イッちゃうからやめてっ!」 

 

風太郎「凄い敏感だな、三玖。毎日いじってるのか?」 

 

三玖「はぁ……はぁ……意地悪なフータローには教えないっ」

 

風太郎「んっ……れろっ」 

 

三玖「ひゃっ!ああっ~~!なにこれっ!舐めないでっ、やっ、変!やっ、あっ、んっ!?」 

 

充血してきた三玖の陰核を舌で舐める。小さくてよくわからないし、毛が邪魔だが、三玖はまた鳴いた。 

 

三玖「舐めるなんて汚いよ……フータロー…… 

 

風太郎「いや、三玖に汚いところなんてないだろ」 

 

三玖「ううっ…… 

 

風太郎「で、結構してるの?家で、一人で」 

 

三玖「……誰にも言わない?」 

 

風太郎「ああ、内緒にするよ」 

 

三玖「……してるよ……オナニー…… 

 

三玖は消え入りそうな声で告白した。 

 

風太郎「テスト期間中も?」ジュプッ 

 

三玖「うんっ…… 

 

風太郎「悪い子だな、三玖は」ヌプヌプ 

 

三玖「ごめんなさいっ!あんんっ!」

 

人差し指を濡れた口はしっかり咥え込み、指を曲げるたびに三玖は嬌声をあげた。 

 

風太郎「いつも自分の指いれてるのか?」ヌップヌップ 

 

三玖「あっ、あんっ、んっ、そうっ……時々…… 

 

三玖「でもっ痛いからほどほどでっ」 

 

風太郎「コッチのほうが好きなの?」キュッ 

 

三玖「あっ!急につままないでぇ…… 

 

風太郎「……おっぱいもいじってるのか?」モミュモミュ 

 

三玖「あっ、やっ……そうっ……おっぱいも弄りながらしているっ……んっ」 

 

風太郎「週何回くらい?道具は使うの?1回何分くらいかけてる?やっぱり好きな人とか想像するのか?」 

 

三玖「ずいぶん気にするんだね」 

 

風太郎「すまない」 

 

三玖「……そろそろ、いいよ」 

 

三玖はすっかりほぐれた様子だ。俺も、さっきからすでに限界近くまで血流が集中している。 

 

毛を巻き込まないよう注意しながら装備を装着して、三玖の上に跨った。 

 

三玖「はぁ……はぁ……」ブルッ 

 

三玖は身震いした。 

 

三玖「んっ…… 

 

俺はゆっくり腰を前にすすめ、先端をさっきまで十分にいじった三玖の穴にあてがった。 

 

風太郎「ふーぅ…… 

 

まるで相撲の立会いのようだ。俺は三玖と呼吸が合うのをじっくり待った。 

 

焦るな。いよいよ、あの中野三玖を俺のものに出来る。 

 

風太郎「……いくぞ、三玖」 

 

三玖「うん……きて」 

 

ゆっくり、狭い三玖の中を押し広げるように腰を前に進めた。 

 

三玖は腰を浮かせてそれを受け入れたが、次第に、痛みのためか、俺の背中に回した腕の締め付けがつよくなる。 

 

三玖「んっ……まだ……?」 

 

風太郎「もう少し」 

 

1番奥まで進めたあと、俺は動きを止めて、三玖の痛みが和らぐのを待った。 

 

それに、いま動けばすぐに達してしまいそうだ。 

 

三玖の狭い穴はきゅうきゅうに俺のを締め付けてきた。 

 

風太郎「大丈夫か?」 

 

三玖「うん……うっ」 

 

三玖は痛みのためか涙を流していた。 

 

風太郎「動くぞ、三玖」ヌププ 

 

三玖「あっ……やっ」 

 

風太郎「はぁ、はぁ……」ヌポヌポ 

 

三玖「あんっ、あっ、やっ……んっ」 

 

動くたびに三玖はせつなそうな声をあげた。

 

そこから先の時間は一瞬だったかもしれないが、永久のように長く感じた。 

 

俺は余計なことを考えず、三玖の上で腰を振った。 

 

あるのは真っ直ぐな本能だけだ。 

 

家庭教師だとか、勉強だとか、将来の夢だとかそういう余計なものはもう一切合切忘れて、ただ、男としての喜びに打ち震えながら、動いた。 

 

風太郎「三玖!三玖!三玖!愛しているぞ!」 

 

三玖「私もっ……フータロー!キテっ!ああっ!」 

 

風太郎「イクぞ!三玖!」 

 

三玖「あっ」 

 

1番奥で動きを止めて、俺は三玖の中に挿れたまま達した。 

 

一人でする時では出せないくらい、金玉を根こそぎもっていかれるのではないかという長い放精だった。 

 

しばらく三玖と抱き合った。 

 

お互い体力不足で息が上がっている。 

 

風太郎「ハァ、ハァ、ハァ……ハァ…… 

 

三玖「はぁ、はぁ……プッ……あはは」 

 

風太郎「ハァ、どうした、ハァ、三玖、ハァ」 

 

三玖「一緒に走ったあのときの事、思い出しちゃった」 

 

三玖「ありがとう。フータロー。あなたのおかげで、私、自信を持てたんだよ」 

 

三玖「愛しているよ、フータロー」 

 

 

 

 

 

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