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カズマ「貧乏神かお前は!」 アクア「わあああああーっ、カズマが貧乏神って言った!」 【このすばss/アニメss】

 

ある晴れた日のこと。 

 

俺とめぐみんが爆裂散歩から帰ってくると、屋敷の中からなにやら騒がしい声が聞こえてきた。 

 

「ただまー。おいどうした、屋敷の外にまで声が聞こえてたぞ、一体なにをしでかしたんだお前ら」 

 

俺がダクネスに向かってそう問うと、ダクネスはものすごく焦った表情で、 

 

「あぁっ、カズマどうしよう!アクアが、アクアがやらかした!頼む、私のことはどうしてもいいからアクアを殺さないでくれ!」 

 

「ちょっ、ダクネス!流石に折檻の上にスティールかけられるくらいは覚悟してるけど、流石にそれは......し、しないわよねカズマさん......」 

 

俺が殺意を抱くとしたら、それはサキュバスのお姉さん達を浄化された時だと思う。 

 

「いや、何があった。ていうかまたお前か!毎度毎度俺が目を離した隙にどうやったらそんなに厄介ごとを持ってこれるんだ、貧乏神かお前は!キングボンビーなのか!?」 

 

「わあああああーっ、カズマが貧乏神って言った!私女神様なのに!清く美しく、慈愛溢れる水の女神様なのに!」 

 

「アクアがおかしいのはいつものことですが、一体どうしたというのですか。ダクネスの顔色がとても悪いようですが...」 

 

めぐみんが呆れたようにそう言うと、ダクネスは俺たちが帰って来ていたことにようやく気づいたようで、 

 

「......カズマ、大変なことになった。いや、今回に関してはアクアが原因でも、ウィズが少し関わっているというか...」 

 

ウィズ。 

 

あの優しいおねーさんがアクアに唆されてやらかしたと。 

 

まぁウィズには色々借りもあるし、ちょっとやそっとのことで怒り狂ったりはしないが...。 

 

「その、だな。どうやらお前名義で投資をやってしまい......『1円でも増えた時点で売りさばけば、その分まるまる私のものって寸法よ!』とかなんとか言って、お前の貯蓄全てを投資したらしくて......」 

 

おい。

 

「違うの!あのねカズマさん、投資のプロって言ってたおじさんに言われたの!『このカモネギ養殖場に投資すれば、必ず2倍になって帰って来ますよ!』って!そしたら20億エリスも持ってるカズマさんのお金を倍にして、その後私たち全員で豪遊できると思って......」 

 

「このバカ!投資で20億エリスが倍になるわけないだろうが!お前、前も言ったよな、うまい話には必ず裏があるって言ったよな!?」 

 

このバカ......またダンジョンの奥深くにに置いて来てやろうか。 

 

「しょ、しょうがないじゃない!私だって2倍はなくてもちょっとでも価値が高騰すれば一億くらいならちょちょいと増えると思ったんだもの!まさかあそこまで暴落するとは思わなかったの!」 

 

「そんなうまい話あるわけねーだろ......おい待て、今なんて言った?」 

 

あっ、とアクアが声を漏らす。 

 

「おい駄女神、俺は言ったよな、『精々俺を楽させてくれよ』って言ったよな。なぁ、お前楽って意味わかってるか?俺の金に勝手に手をつけた挙句、のこのこと帰ってくるのは楽とは言わないんだぞ?」 

 

「だ、だってだって!おじさんが儲かるって言ったんだもの!私だって、まぁ3人のまとめ役がうまくやれてないのはわかってるの!だからたまには役に立つところを......」 

 

まとめ役。 

 

「お前ふっざけんな、なーにがまとめ役だ!迷惑かけられてる順番でいうとお前、ダクネスめぐみんの順番だぞ最近は!」 

 

「待ってくれカズマ!私はそこまで迷惑はかけていないと思うのだが......!」 

 

「うるせーララティーナ!お前だって色々やらかしてんじゃねーか、貴族のめんどくせー案件を一般市民の俺に持ってくやがって!この胸だけが自慢の固~い腹筋をお持ちの脳筋クルセイダーめ!」 

 

脳筋クルセイダー!」 

 

ダクネスが憤慨しているが、事実を言ったまでなので怒られる筋合いはない。 

 

 

「まぁまぁ、落ち着いてください。最近はカズマに迷惑などかけていない私がこの場を纏めてあげますよ!」 

 

そんなことを言って、めぐみんは大人の表情で──。 

 

「お前、迷惑かけてないと思ってたの?」 

 

「あれっ!?わ、私は何もしていないはずですよね、そんな、迷惑だなんてそんな......」 

 

「真夜中に俺の部屋に来て悶々とさせるだけさせといて帰ったり、クエストを受けたら受けたで意味のわからんところで爆裂魔法を撃ったり、たまにアクアと一緒にバカなことをやらかそうとしたり、アイリスまで巻き込んで変な盗賊団みたいなのを作った上に貴族となんかかんかいざこざ起こしてるだろ」 

 

「ああっ、否定できない!......というか夜に行くのは迷惑でしたか......?すいません......」 

 

「いえ一向に構いませんよ?......まぁそれはそれとして、だ」 

 

俺は話の流れに乗って逃げようとしていたアクアの襟を引っ掴むと、 

 

「ところで、いくらくらい暴落したんだ?まさか全額とか言わないよな?」 

 

「......えっと」 

 

アクアが言い淀んで......。......なんだこの感じ。何か取り返しのつかない事を聞いてしまった気がする。 

 

俺の直感は正しかったようで、ダクネスが言いにくそうな顔で、 

 

「その、だな......。......アクアが投資した金額は20億と言ったが、色々なところに投資してしまってな...」 

 

「や、やめろぉー!それ以上は聞きたくない!俺はもう寝る!絶対にもう屋敷から出ないぞ、俺は銀行からの金利だけで生きて行くんだ!」 

 

「話を聞けカズマ!もう金利なんて微々たるものになってしまったんだ、もうどうしようも......!」 

 

......えっ。 

 

「......今なんて?」 

 

「うっ、そ、その......アクアが投資したところが狙ったかのように暴落してだな......。投資したのは100を優に超える投資先で、その全てがほぼ壊滅的な打撃を受けて、約九割の価格暴落、私が気付いた時にはもう遅く、今のお前の貯金残高はおよそ200万エリスだ...」 

 

は? 

 

20億が、200万になったってのか? 

 

えっとつまりそれ損害的にいうと......? 

 

「およそ19億9800万エリスの損失......だ......な......」 

 

「ア、アクア......流石の私もこれは庇いきれませんよ......というか本当に20億近くも溶かしたのですか......?」 

 

めぐみんが俺をチラチラと見ながら、真っ青な顔でアクアに問いかける。 

 

 

「ううっ、事実よ、事実を言われると何も言えないわ......か、カズマさん、このお金は私が芸人になってでも必ず返済するから!だからお願い、許してください!さっきまで調子に乗っててすいませんでした!許して!カズマさん、カズマさぁぁん!!」 

 

「か、カズマ!私からもお願いします!私の賞金も足して返済しますので、アクアを許してあげてください!その、どうしてもダメなら私をどうしてもいいです!」 

 

「私からも頼む、カズマ!アクアはやればできる子なんだ!ただその方向性と後先考えない間抜けさと底抜けの悪運が邪魔をしているだけなんだ!......そうだ、ダスティネス家の権力を悪用しない程度に使ってくれてもいい!」 

 

何だかんだ仲のいい3人が、俺に許しを乞うてくる。 

 

俺は、そんなこいつらを見やりながら。 

 

転生特典ってなんだよ、こんなのただのデメリットしかない不要物だろふざけんな、とやり直しを要求したいと考えながら。 

 

そういえばアクアを特典としてもらったのは俺でしたと思い出して。 

 

これからどうやって生きていこうかと未来に思いを馳せ、どうあがいてもこいつらが呼び込む騒動に巻き込まれてひどい目にあう未来しか見えなかったので。 

 

俺は意識を手放した。 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~ 

 

「......あの、心中はお察ししますが......」 

 

「お構いなく」 

 

「えぇと、カズマさん?その、そろそろ離れていただいても...」 

 

「エリス様はあんなことがあった俺にそんな残酷な事をする人じゃないですよね?だって俺にデレデレの時のめぐみんと同じくらいと言っていい癒し担当ですもんね?」 

 

俺は今、エリス様に膝枕してもらっていた。 

 

人生2回目のショック死をした俺は、いつものセリフを言ったエリス様の元へ直行し、戸惑うエリス様の膝にすがりついて泣いた。 

 

やはりそこは女神、優しく頭を撫でてくれた上に俺が泣き止むまでこの体勢を続けてくれていた。 

 

だがこの幸せにずっと浸っていたい俺は、アクアにリザレクションをかけられた後もずっとこのままの体勢でいる。 

 

「えっと、カズマさん。今回のことは上から見ても流石にどうか、ということで、生き返る許可は頂いてます。......まぁいつもの私の苦労が一つ減った程度で、あなたが生き返るのはいつものことなんですけどね」 

 

そう言ってくれるエリス様だが、 

 

「俺、もうあの世界が嫌いだ」 

 

「そんなことを言われましても......というかアクア先輩から毎月お金がもらえるじゃないんですか?」 

 

貯蓄を全て使い込まれた俺は今なんて? 

 

 

「で、ですから、アクア先輩にお金を返してもらうのは別に一括じゃなくてもいいんでしょう?なら、月にいくら返してもらうかを決めれば......」 

 

さすがエリス様。 

 

「そーだよ、あいつは俺に借金ができたんだ!小遣いは今後一切やらなくてもいいし、なんなら借金に利息をつけちまえばいい!一月に五割でいいかな?20億の五割と言ったら10億エリスだ、よっしゃあ雪だるま式に俺は儲かっていくぞ!」 

 

「ええっ!?い、いくらなんでも五割は辛くないですか!?」 

 

「いやいや、よく考えてくださいよエリス様。俺なら残ってる200万エリスを元手にエルロードのカジノで20億くらいなら余裕で稼げるんですよ?最弱職の運だけのいい俺でそれくらい稼げるんです、上級職の自称女神のアークプリーストにできないはずがないですよフハハハハハハ!」 

 

おっとエリス様がどんよりとした雰囲気を纏ってますね。 

 

「はぁ......まぁ今回のことに関してはアクア先輩が全部やらかしてしまったことですし、私はもうなにも言いません。あとカズマさん、私からもお願いします。ダクネスが言う通り、アクア先輩はやればできる子なんです」 

 

「後輩女神にそんなこと言われてるやつができる子なわけないでしょうが。......怒髪天をつきすぎて怒りが湧いてないだけで、俺は人生で一番怒りにまみれてますよ、そんな簡単に許しはしません」 

 

俺はそう言い残すと、エリス様が開いてくれた門に吸い込まれて──。 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 

 

「あっ、カズマ、起きましたか。......あまり心配させないでください、そのままぽっくり行ったりしたら許しませんからね」 

 

俺が目を開けると、めぐみんがこちらを心配そうに見つめていた。うっすらと涙の跡があるのは気づかないことにしておこう。 

 

「ぽっくり逝きたい気分なんだけどな。......まぁエリス様が月にいくら返すかを決めておけば、俺に定期的な収入が入るって教えてくれたんだ。そしたら俺、別に働かなくても収入あるし、ならそれもいいかなって」 

 

「ですがアクアのことですし、さらに借金を背負って来る可能性も......」 

 

あっ、そうか。 

 

「ダメじゃん!そしたらアレだろ、保護者だからーとか言われて俺も借金背負うことになるんだろ!?そんなことになったらそれこそ俺はアクアを捨てるぞ!?」 

 

「今でさえアクアは捨てられても、なんなら殺されてもおかしくないことをしでかしてしまったんですが。......そんなアクアも見捨てずにチャンスをあげるなんて、やっぱりカズマは優しいですね」 

 

めぐみんが微笑みながらそんなことを言って...... 

 

「お、おいやめろよ。お前が俺に好意を持ってくれてるのはわかってるんだけど、そういうこと言われると本当に我慢できなくなっちゃうんだけど」 

 

「前も言いましたが、責任さえ取ってくれるのなら別に構わないのですよ?今回の騒動が終わったらどうです?」 

 

ニヤニヤしながら、俺を煽るようにめぐみんが耳元でそう言ってきたので、 

 

「わかった。じゃあ責任取ってやるよ、お前言ったからな?いざとなって怖気付いてやっぱりやめるとか言っても聞かんからな?」 

 

「私をなんだと思っているのですか!あっちへフラフラこっちへフラフラと節操のない男にここまで一途でいる乙女ですよ!?心配しなくてもそんなことはしませんよ!」 

 

どーだかな。 

 

それはともかくとして、いつの間にか俺とめぐみんが結婚する流れっぽくなってるんだが。 

 

いや別に一向に構わないんだけど、そうなるとこのパーティが今のままで要られる保証がないというか。 

 

......いや、杞憂か。 

 

「それはともかくカズマ。その、今更なのですが......」 

 

「......嫌な予感がするんだけど」 

 

「うっ、いえ、その......カズマが死んでいる間、リザレクションをかけたアクアは、本当に反省しているのか『私、今からクエストに行ってくるわ!ダクネスがいればアンデッドの群れからも守ってもらえるし!』とか言ってダクネスを連れて行ってしまいまして......」 

 

「うん、メンツがメンツだし、不安でしょうがないね」 

 

アクアとダクネスだぞ? 

 

宴会の女神様とへっぽこクルセイダーだぞ? 

 

なんだか面倒ごとに巻き込まれそうな気が──。 

 

そう俺が思った瞬間だった。 

 

「サトウさん!サトウカズマさん!あなたのお連れのアークプリーストとクルセイダーの方が、街中にアンデッドを呼び込んでしまいまして......!!」 

 

バン、と屋敷の扉が開かれ、ギルドの職員が俺にそんな厄介ごとを── 

 

「あーもう、やっぱこうなんのかー!!」 

 

俺は装備一式を引っ掴んで、屋敷を飛び出した! 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~ 

 

「わあああああーっ!ねぇダクネス、来てるんですけど!ダクネスを通り過ぎてアンデッドがこっち来てるんですけど!」 

 

「しょ、しょうがないだろう!私一人でこの量のアンデッドを引き止められるわけが......!というかなんなんだこいつらは、ありえない量のアンデッドだぞ!?」 

 

駆け出しの俺たちがカエルを狩っていた頃、よく通っていた門の入り口あたり。 

 

ダクネスが体を張って門の中にアンデッドを入れまいとするも、ついに侵入を許してしまい、たかられたアクアがアンデッドから大急ぎで逃げているようだ。 

 

ダクネスー!お願い、デコイで引きつけて!このままだと私汚されちゃう!カズマさんに借金返せなくなっちゃう!」 

 

いい心がけじゃないか。ちょっと感心した。 

 

アクアがちゃんと借金を返そうとしていることを知った俺は、甘いと知りながらもアクアを助けるべく、 

 

「このままだとカズマさんに私の信者たちが酷い目に遭わされそうな気がするの!だってカズマさんよ、アルカンレティアの浄化されちゃった温泉にところてんスライムを大量に入れるくらいはするわ!」 

 

やっぱり助けるのはやめよう。 

 

「何を馬鹿なことを!カズマがそんなことをやるなんて、そんなことは......!......そんなこと......うぅ、なんかやりそうな気がしてきた」 

 

あの変態、この騒動が終わったらバインドで縛って外に放置しといてやる。 

 

「カ、カズマ、早いですよ!もうちょっと待ってくれてもいいじゃないですか!」 

 

装備一式を引っ掴んで来た俺とは違い、ちゃんと装備をつけてから走って来たらしいめぐみんがそんなことを── 

 

「言ってる場合か!街中にアンデッドが入るとか、キワモノが多くて騒動が起きやすいこの街でもだいぶやばいぞ!」 

 

最悪アクアがターンアンデッドで浄化できるが、あいつはポンコツなので期待できそうにない。 

 

「うぅ、せっかく来たのに、流石に街中で爆裂魔法を撃つとカズマに多大な迷惑がかかりますし......」 

 

めぐみんが勉強してる!うわぁ、なんだこの感動、俺の中でめぐみんの株が急上昇したよ!」 

 

「この男!そうですか、生まれつき知能が高い紅魔族を馬鹿にするとはなんたる屈辱!いいでしょう、撃ってやろうじゃありませんか!『エクスプロー......」 

 

俺は暴走しためぐみんを地面に組み伏せ、魔法を発動させないように抱きしめる。 

 

「このバカ、なんてことしようとしてんだよ!お前が街中に爆裂魔法を撃ち込んだら俺に請求が来るんだぞ!」 

 

「あっ、でもこの体勢も割といいかもしれません、離したらすぐに爆裂魔法を撃つので、その体勢のままでいてくださいね」 

 

「甘えてんのか脅してんのかわかんねーぞ!ていうか、この体勢のままだと俺らがあいつらを助けに来た意味が......」 

 

何やら脱力して、俺に抱きつかれるままになっためぐみんが変なことを言って、俺がそれにツッコミを入れた瞬間、 

 

「わあああああーっ、カズマさーん!カズマさーん!ごめんなさい、借金は返すから!でも今は助けてください!」 

 

「カズマ!?頼む、狙撃スキルでこいつらの動きを止めてくれ、動きさえ止まればアクアの魔法で浄化できる!」 

 

アクアとダクネスが俺に気づき、そう声をかけて来るが、 

 

「でも俺がめぐみんを離したらこいつ爆裂魔法撃つとか言ってるんだけどー!」 

 

俺がそう返すと、ダクネスめぐみんを見て、 

 

「め、めぐみん!?流石にそんなことはしないだろう!?」 

 

 

「します」 

 

 

「ダメだカズマ、めぐみんの目が本気だ、そのまま押さえておけー!」 

 

あーもう、本当に手のかかる! 

 

俺はめぐみんを抱っこしながらアクアの方へ走り出した! 

 

「うっ、うっ、ありがとうございますカズマさん......。私が借金したのが悪いのに助けてくれてありがとうございます......」 

 

「お、おう。別に今すぐ20億返さなくてもいいんだぞ、一応計算はしといたんだが、週に50万エリスちょっとを返してくれれば80年で全額返済できるんだ。俺も一応クエストには行くだろうし、その金で生活すれば安泰だ」 

 

俺は優しくアクアへ告げた。 

 

別にこの間アクアが買っておいていた高めの酒を勝手に拝借して、他の冒険者にあげたわけだからではない。 

 

というかめぐみん、一体いつまで抱っこしてればいいんだ。 

 

「な、なんかカズマさんが神々しく見えるんですけど......めぐみんを抱っこしてるのはなんでか気になるけど、聞かないことにしておくわ」 

 

しょーがねーだろこいつがひっついて来るんだからさ。 

 

「......でも週50万エリス......いえ、カズマさんが80年っていう死ぬか死なないかの期間を返済期間にしてくれたのよ、なんとかするしかないわ......」 

 

「アクア、私も少しは工面してやる。......そもそも、この男にはアルダープの屋敷の弁償代や街の壁の修繕費も帰って来るのだぞ?それを考えれば少しくらい......」 

 

おっと。 

 

「おいダクネス、俺は十分に甘い条件を出してやったんだ。これ以上は譲歩しないぞ」 

 

何を勘違いしているのか、アクアの返済の減額をなんともなしにしようとしてくるダクネスにそうキッパリと告げ、俺はめぐみんを抱っこするのをやめようとして── 

 

「......なぁめぐみん、そろそろ降りてくれないか?」 

 

「仕方ないですね」 

 

そう言って俺から離れためぐみんは杖を振り上げ、 

 

「魔翌力を練ってしまったのだから仕方ありません!えぇ、仕方ありませんもの、『エクスプロージョン』!!」 

 

「馬鹿野郎ォォォォ!?」 

 

俺が叫んだ時にはもう遅い。 

 

すでに魔法はアクセルの街の上空に放たれ、その場にいた俺たちは全員爆風で吹っ飛んだ。 

 

これだから紅魔族は! 

 

「見直したと思ったらこれだよ!お前俺に迷惑かけないようにしてるんじゃなかったのか!」 

 

「えぇ、迷惑はかけないようにしていますよ、迷惑は!我が爆裂魔法が迷惑だというのですか、それはつまり私の人生を否定しているに他なりませんよ!」 

 

爆裂魔法を打ち込んでぐったりとしているめぐみんを背負いながら文句を言うと、めぐみんが俺の髪を引っ掴んでグイグイと引っ張ってくる。 

 

「お前だって爆裂魔法を撃つタイミングくらいわかるはずだろ......ははーん、そうか、お前は紅魔族のフリをしてるアークウィザードなんだな!このなんちゃって紅魔族が!」 

 

「この男!言いたいことがあるならはっきり言ってください、紅魔族は生まれつき知力が高いのです!言いたいことはよーく分かりますがはっきりと言ってください!」 

 

「あぁ言ってやるよ!爆裂魔法を街中でぶっ放す筋金入りの頭のおかしいロリ枠め!お前頭悪すぎだろ、どこが紅魔族なんだよ!」 

 

あっ、こいつ!なにも言い返せないからって髪引っ張る力強くしやがっていたたたた! 

 

「カズマ、助けてくれたことは礼を言う......うん、最後にめぐみんを離したのはいただけなかったが」 

 

「えっ、あれ俺が悪いの?絶対街中で爆裂魔法を撃ったこいつが一番悪いと思うんだが」 

 

監督責任を俺に求めるとかそれひどすぎないか。 

 

「あぁ、そうだカズマ。お前がアイリス様の護衛でエルロードに行った時にがっつり稼いでいたカジノ行けばいいのではないか?そうすれば貯蓄も増えアクアの借金返済にも余裕が出ていいじゃないか」 

 

「お前が何を勘違いしてるのかは知らんが、俺はアクアが全額ちゃんと返済するまで許すつもりはないぞ」 

 

なんというか、俺はこいつらに甘く見られている気がする。 

 

いや確かにアクアのせいで借金したり、ダクネスをアルダープから救うために全財産を投げ打ったりしたけれども。 

 

「あの、カズマ。アクアがスカポンタンなのはいつものことですし、何だかんだ言いつつカズマもそういう日常が好きなのではないですか?」 

 

「じゃあそんなめぐみんに聞くけど、お前自分の持ち物が日に日になくなって行くっていう日常が好きなの?」 

 

「なんでもないです、そうですね、流石につらいですね」 

 

「わぁぁ、わかったわよ、わかったわよ!!いや、わかりました!じゃあ私は今からエルロードに行ってお金を稼いでくるわ!なに、このアクア様の手にかかればちょちょいのちょいよ!」

 

 

「お前それはやめろ!どうせアレだろ、また借金こさえてむしろ現状を悪化させるんだろ知ってる!」 

 

「だ、大丈夫よカズマさん!私を信じて、ほら、三度目の正直っていうじゃない!?だから私に任せて......」 

 

「待て、いや、確かにお前には何度も何度も嫌な目に遭わされてるけど、今のは違うよな」 

 

「ギク」 

 

こいつ......わかりやすいな......。 

 

「おい、一回目が20億エリスを溶かしたことだとすると、二回目は一体なんだ?何をしたんだ言ってみろ、ほら、怒らないから言ってみろ」 

 

「う、その、えぇと、実はね?さっきアンデッドをたくさん連れてきちゃったじゃない?その時にちょっと壊しちゃったものがあってですね?」 

 

「ほほう」 

 

「それが、どうやらお高いツボだったらしくてね?」 

 

「それで?」 

 

「その、弁償代として10万エリスが持ってかれることになっちゃって......」 

 

ふむ、10万エリスか。まぁ二億と比べれば微々たるもんだが、今の俺からすると割と痛手だ。それこそバニルになんかかんかアイデアを売ればいいくらいだが。 

 

「で、その壺が20個あってですね......?」 

 

「うんうん。......は?え、20個?」 

 

おい待てよ、それってもしかして、200万、エリ、ス? 

 

「その、弁償代としてなけなしの200万エリスも......ですね......」 

 

 

俺はショックのあまり気絶した。

 

 

終 

 

 

 

 

 

元スレ

カズマ「おかしい、色々とおかしい!」

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