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三浦「つまんなさすぎない?あんた」 八幡「俺は昔からこんなもんだ」【俺ガイルss/アニメss】

 

3年 7月

 

八幡(暑くなってきたな…)

 

三浦「…あ~ヒキオ、あんたさ…なんか面白い話題とかないん?」

 

八幡「…ない」

 

三浦「つまんなさすぎない?あんた」

 

八幡「俺は昔からこんなもんだ、面白いの要求すんならどっか行け」

 

三浦「あ、それはもっと勘弁」

 

八幡(こいつ…最近話すようになったかと思えば…休み時間の度に俺の席の隣の席を陣取る)

 

八幡(おかげでその席の、A君がなんとも微妙に向こうから見てるぞ)

 

八幡(しかし、女王様には逆らえないようで…)

  

三浦「…」ピ ピッ

 

八幡「ま~た、音ゲーやってんのか?」

 

三浦「ま~ね、これ結構面白いし。あんたもやる?」

 

八幡「いや、俺もそのアプリ、もう買ってある…途中までしかやってないけどな」

 

三浦「へ~あんた、やってたっけ?どれよ?」

 

八幡「見せんの?」

 

三浦「そんな嫌そうな顔せず、見せな」

 

八幡「へいへい」

 

八幡(3年になってから、運悪く戸塚とも離れちまって…)

 

八幡(ていうか、俺の知り合い、こいつしかいなかった…ま、気楽でよかったんだけどな…)

 

八幡(それは、三浦も同じだったようで…周囲は全員知ってるんだけどね)

 

八幡(最初は『あ、ヒキオじゃん、あんたもこのクラス?』ってなってその後は話すことはなかったんだが…)

 

三浦「あんた全然進んでないし…まだ90万点が4つくらいとか…Sランクとってる曲もないし…」

 

八幡「いや、中途半端だって言っただろ?ていうか、意外だな。お前がゲームに嵌るとか」

 

三浦「これ、ゲームとして見なくてと曲がいいし。あと点数競うの楽しいし」

 

八幡「さいですか」

 

八幡「……」

 

八幡(で…いつだっけ…1か月くらい前か?)

 

八幡(こいつが、俺の隣に突然座りだしたんだよな…隣のA君の席に…)

 

八幡「まあ、この音ゲーの曲がいいのは俺も同意だけどよ…」

 

三浦「でしょ~?これに嵌る理由もわかるっしょ」

 

八幡「嵌る理由とは関係ないだろ…」

 

三浦「理屈っぽいあんた。うざい」

 

八幡「うわ~ひで~」

 

三浦「いやいや、戸部の方がよっぽどあんたのことネタにしてたし」

 

八幡「まあ、あれは…俺の自業自得だしな」

 

三浦「あ~去年の文化祭とかは、あんた悪いんだっけ?」

 

八幡「ま、俺はあん時校内一の悪者になったからな…」

 

三浦「あれ、相模のせいっしょ」

 

八幡「どうでもいいっての」

 

三浦「最近、あいつまた、あんたのこと悪く言ってるらしいよ」

 

八幡「はあ?よくわからん…なんでだよ?」

 

三浦「さあね」

 

八幡(今、こいつ俺に教えてくれたか…?)

 

八幡(ようわからん…まあ、三浦は姉御肌気質があるからな)

 

三浦「…」ピッ ピッ

 

八幡「なにやってんの?」

 

三浦「あんたの携帯番号、登録してんの」

 

八幡「はあ~?」

 

三浦「ま、かけないと思うけどさ。念のため」

 

八幡「意味わからん…」

 

三浦「……」

 

八幡(はあ…こいつは、6月に…)

 

三浦「あんたさ…電話帳…結衣とかいんのね」

 

八幡「いや、まあ…」

 

三浦「雪ノ下さんがいないのが、意外っつーか」

 

八幡「そうか?」

 

三浦「ていうか、いろはもいんの?」

 

八幡「まあな…」

 

八幡(あれ?こいつもいろはって呼ぶようになったの?いや、前から呼んでたっけ?忘れた)

 

三浦「ふ~ん」

 

三浦「はいこれ。返す」

 

八幡「ん」

 

八幡(あ、興味なさそうにゲーム始めた)

 

 

八幡(はあ~~~)

 

八幡(こいつ、6月に葉山に告白したんだよな…)

 

八幡(で、俺の席の隣にいきなり来て…)

 

 

三浦『隼人に……振られた』

 

八幡『なんで俺に言うの?』

 

 

八幡(あの時、なんで俺に言ったのかわからなかったが…)

 

八幡(今にして思えば…なんとなくわかるな…)

 

三浦「ヒキオ、ほら見てよ」

 

八幡「ん?て、99万5千点とか……凄過ぎだろお前…」

 

三浦「そんなこともないし、100万点取る人も意外といるらしいからね」

 

八幡「95万点以上でSランクだっけ?」

 

三浦「そう、100万点でパーフェクト」

 

八幡(そういえば、ものすごいスピードで指が動いてた気がする…)

 

八幡(ていうか、休み時間のこんなところで、よくそんな点数出せるな)

 

八幡(まあ、女王様のせいで周りに誰もいないんですけどね?)

 

三浦「あ、もう休み時間終わるし。じゃあ、昼にも来るから」

 

八幡「え~」

 

三浦「はあ?」

 

八幡「はい」

 

八幡(振られたって言った時の三浦の顔は…)

 

八幡(顔面蒼白で……俺でも驚いたな…)

 

八幡(泣いてはいなかったが、いや枯れてたのかね、もう)

 

八幡(自殺でもするんじゃねぇかってくらい、すごい顔になってたな)

 

八幡(あんな姿、海老名とか由比ヶ浜にはさすがに見せられないだろうしな…)

 

八幡(それで、戸部達よりも俺の方が信頼されてたってことなのかね?)

 

八幡(さすがに驚いて、葉山に会いに行ったんだよな…)

 

八幡(言われたことは、一色…じゃなかった、いろはの告白失敗の時と大体同じ…)

 

八幡(ちょっとカチンときて…言い合いになったが…少しだけね)

 

八幡(その夜は悶えたよ?だってまるで俺が、三浦の為に動いたみたいじゃん?)

 

八幡(いやいや、そんな面倒なことしませんし)

 

 

八幡(で、それから…どういう風に三浦に伝わったのかわかんねぇけど…いや、そもそも伝わってないかもしれんけど)

 

八幡(休み時間は大概A君の席に座るようになった…)

 

 

八幡(人生一寸先は闇だが…一寸先は三浦だった)

 

 

昼休み

 

八幡「さて、飯食うか」ゴソゴソ

 

ドスン

 

三浦「あんた、勝手に食べようとしてたし」

 

八幡「いや、決めつけですかね?」

 

三浦「いや、今日も来るっしょ?」

 

八幡「あ…」

 

ガラ

 

いろは「あ、せんぱ~い!」

 

八幡(今日も来たよ…はあ…)

 

いろは「先輩、ご飯食べに来ましたよ!」

 

八幡「大体来るよね、最近は」

 

いろは「そうですね」

 

八幡「勝手にしろよ…」

 

いろは「勝手にしますね」ガタ

 

三浦「…」

 

いろは「あ、三浦先輩もこんにちはです」

 

三浦「ん」

 

八幡(んって挨拶じゃなくね?俺が言えたことでもないけど…)

 

三浦「いろは、あんたお弁当だよねいつも」

 

いろは「ですね、お菓子作り趣味にしてますしこれくらいは…」

 

三浦「ふーん」パク

 

いろは「あ…」

 

三浦「なに?駄目だったん?」

 

いろは「いえ、別にいいんですけど…」

 

三浦「んじゃ、このパン少し食べな」

 

いろは「はい、いただきます」

 

八幡(なんかよくわからん関係だよな…この二人)

 

八幡(あ、葉山に振られた二人って意味では近いんだけど…)

 

いろは「先輩、何見てるんですか?ちょっと引くんですけど」

 

三浦「うわ、キモ…」

 

八幡「なんなんすか二人して…」

 

いろは「先輩も私のお弁当ほしいですか?」

 

八幡「いや、別に…自分のパンあるしな」

 

いろは「いろはって呼んでくれたら、あげますよ」

 

三浦「……」

 

八幡「いや、あの…それ何?罰ゲーム?」

 

いろは「いえ、そろそろ呼んでくれてもいいんじゃないですか~~?」

 

八幡(なんでだろうか…)

 

八幡(一色…じゃない、いろはは4月に俺がこのクラスになったと知ってから時々来るようになってた)

 

八幡(なんか、奉仕部に来る流れで来てたよな…)

 

八幡(で、その辺りから名前で呼ぶように言われてたか)

 

八幡(その時の周囲の目がね、もうね?)

 

八幡(「生徒会長じゃないか」とか…「付き合ってるの?」とか聞こえてきた気がする…)

 

 

八幡(そりゃ、2年の女子が訪ねてきて話してるだけでもあれなのによ…)

 

八幡(「いろはって呼んでください、先輩!」みたいな会話があったら誤解もされるわな…)

 

八幡(正確には5月位から奇異な目で見られてたな、絶対…)

 

八幡(で、6月になって三浦がA君の席に座るようになってから、いろは呼びを一層強化してきた気がする…なんかやけにしつこかったな)

 

八幡「何度か呼んでるだろ?もうそれで勘弁してくれ」

 

いろは「先輩、最近私のこと苗字でも呼ばなくなりましたよね?」

 

八幡「だってお前怒るし…」

 

いろは「いろはって呼んでくれたら怒りません」

 

八幡「凄い理論ですね、それ…」

 

三浦「…」

 

八幡(また、好奇な目で見られてるよ…頼むから周囲を気にしてくださいね?)

 

八幡(それは女王様にも言えることですけど?)

 

三浦「ま、さっさと呼べば?いろはって」

 

八幡「三浦はいろはの味方なのかよ…」

 

 

三浦「…違うし」

 

八幡「へ?」

 

いろは「あ、今呼びましたね?普通に」

 

 

八幡「あ、まあ…よし、もうこれでいいだろ?」

 

いろは「しょうがないですね、今はそれでいいです」

 

いろは「あ~んしてください」

 

八幡「いやいや、そんなことしないからね?卵焼きいただき」サッ

 

いろは「あ!」

 

 

八幡「もぐもぐ」

 

三浦「…」

 

いろは「ずるいです!あと一個しかないのわかってて~!」

 

 

八幡「いや…あざといからな、いろはす…。もう俺、ときめかないから」

 

いろは「わかってます~」

 

八幡「メモリアルだから」

 

いろは「はい?なんです?」

 

八幡(やっぱり通じないか…世代って言っても1歳しか違わないんだけどね)

 

三浦「…あんたらってさ」

 

いろは「え?なんですか?」

 

三浦「仲良いっていうか、なんつーか」

 

八幡「意外って言いたそうだな…」

 

三浦「まあそうっしょ」

 

八幡「悪かったな、生徒会長とぼっち君最底辺の俺が一緒にいて」

 

三浦「いや、そこまで言ってないし」

 

 

いろは「先輩…」

 

八幡「ん?なんだ?」

 

いろは「さっきの先輩の『意外って言いたそうだな』って言葉は、私と仲良い事は認めちゃってるんですがそうなんですか口説いてるんですか。ごめんなさいもうそろそろOKしようかなってライン超えてると思いますけど無理です!」

 

 

八幡(久しぶりに聞いたな、この台詞)

 

八幡(ていうか、OKのライン超えてるの?それで無理って矛盾してね?)

 

三浦「……」

 

 

放課後

 

キーンコーンカーンコーン

 

八幡「じゃ、行くかね…」

 

三浦「ヒキオ」

 

八幡「なんですか?放課後まで、なんか用なんすか?」

 

三浦「あんたさ、今日も奉仕部?」

 

八幡「ああ、一応な」

 

三浦「ふ~ん、依頼なんて来んの?」

 

八幡「あんま来ないな…ま、今はそっちの方がありがたいかもな」

 

八幡「勉強できるし」

 

 

三浦「ヒキオ、理数系弱いっしょ?致命的に」

 

八幡「うっせ、これでも最近は持ち直してんだ」

 

八幡「それなりの大学めざしてるからな」

 

三浦「ふ~ん」

 

八幡「で、あーしさんはお帰りっすか?」

 

三浦「あ?今なんつった?」

 

八幡(ひい!…この眼怖すぎですよ…あーしさん…)

 

八幡(2年の時もこの眼に何回刺されたことか…)

 

八幡「すまん…なんと呼べばいいですか?」

 

三浦「なんで敬語なわけ?」

 

八幡「なんとなくだ」

 

三浦「なんて呼べって……」

 

三浦「…」

 

八幡「…?」

 

三浦「い、いつもの呼び方意外ないし…何キモイこと言ってんの?」

 

八幡「三浦さんのキモイ発言は、俺の内心抉りますからね?」

 

三浦「いや、知らないし。ヒキオなんてどうでもいいし」

 

八幡「さいですか」

 

三浦「じゃ、あーし帰るから」

 

八幡「おう」

 

スタスタスタ

 

 

八幡「三浦と挨拶して、奉仕部へ行くなんてな、ちょっと前じゃ考えられないことだな」

 

八幡「…」

 

八幡「これも変化かね」

 

 

八幡(3年になってから、平塚先生が忙しくなったみたいで…)

 

八幡(奉仕部の活動が実質休止になってる)

 

八幡(まあ、最近は生徒会の顧問?というか責任者というか…)

 

八幡(さらに生活指導に現3年の受験対策とか…その他諸々)

 

八幡(奉仕部の影は薄くなるのは仕方ないな…)

 

八幡(ていうか、俺たちも3年だし7月に入ってるってことで引退って言葉もしっくりくるし)

 

八幡(つまり、ここに来る必要も特にないはずなんだけどな…)

 

八幡(習慣ってやっぱ恐ろしいよな)

 

八幡(自然と足を向けてというか…)

 

 

ガラガラ

 

雪ノ下「あら、比企谷君。こんにちは」

 

八幡「おう」

 

 

結衣「やっはろ~ヒッキー!」

 

八幡「おう」

 

 

八幡(と、まあいつもの二人が居て挨拶を軽く交わしたりするんだよな)

 

 

奉仕部

 

雪ノ下「比企谷君、紅茶はいるかしら?」

 

八幡「そうだな、もらえるか?」

 

結衣「あ、ゆきのん!あたしもほしいな」

 

雪ノ下「ええ、もちろんよ」

 

 

結衣「それにしても、勉強は眠くなるよね」

 

雪ノ下「そんなこと言ってられないわ。あと半年しかないのだし」

 

結衣「うん…そうだよね…」

 

結衣「でもさ、ヒッキーや優美子や隼人くんともばらばらになっちゃったよね」

 

八幡「…嫌だったのか?」

 

結衣「だってさ、せっかく去年はみんな同じクラスだったし、いろんなことしたのに」

 

八幡「いろんなことね」

 

八幡「俺も戸塚と離れて寂しいな」

 

結衣「うわ、ヒッキーきもい!」

 

雪ノ下「比企谷君、その発言はセクハラととっていいのかしら?」

 

八幡「なんでだよ…戸塚のこといってるのに、セクハラって…」

 

結衣「ていうか、あたしと離れたのはそんなでもないんだ…」

 

八幡「なんか言ったか?」

 

結衣「え、ううん何も言ってないよ?」

 

雪ノ下「比企谷君、少し自重してほしいわね」

 

八幡「なにを?」

 

 

結衣「ところでさ、いろはちゃん来ないかな~?」

 

八幡「ああ…いろはなら、生徒会で今日は来れないとか…」

 

結衣「…」

 

雪ノ下「…比企谷君…?」

 

八幡「あ…」パッ

 

八幡(しまった…つい……聞かれたよね~?)

 

結衣「ヒッキー今、いろはちゃんのこと、いろはって呼んだ…」

 

八幡「え、そうだっけ…」

 

雪ノ下「ええ、間違いなく呼んだわ」

 

八幡(聞かれてたよ…なに?この状況…)

 

結衣「どうしたの、今まで呼んでたっけ?」

 

八幡「いや…最近な」

 

雪ノ下「そういえば、彼女が来る回数も減ってきたわね」

 

結衣「うんそうだね」

 

八幡「生徒会忙しそうだしな。来ないのが普通だし、私物化されても困るだろ」

 

雪ノ下「それはそうだけれど」

 

八幡「なら、いいじゃねぇか」

 

結衣「でもさ~」

 

八幡「なんだよ?」

 

結衣「3月まではそれが普通だったもん…少し寂しいよやっぱり」

 

八幡「……」(寂しい…か)

 

雪ノ下「…」

 

 

雪ノ下「仕方がないわ…変わらないものなんてないのだし」

 

八幡「そうだな」

 

結衣「うん…」

 

八幡(一色いろはね…あいつ、奉仕部でもないのによく来てたしな)

 

八幡(なんだかんだで、ムードメーカーだったか)

 

八幡(今ではここは図書館に近いな。勉強する静かな場所)

 

八幡(紅茶も出てくるし、それはそれで有りなんだが)

 

結衣「ねえ、この後さ~どっか寄って帰ろうよ!」

 

雪ノ下「構わないけれど」

 

八幡「いきなりだな…ていうか、まだ部活中だしな」

 

雪ノ下「あなたがそれを言うと違和感しかないわ」

 

八幡「どこに行くんだよ?」

 

結衣「えっとね、晩御飯食べてカラオケとか?」

 

八幡「そういうのは、三浦とかと行くんじゃねぇのか?由比ヶ浜の場合」

 

結衣「え~そんなことないよ。彩ちゃんとこの前も行ったし?」

 

八幡「なに!?戸塚と行ったのかよ?うらやましいな!」

 

結衣「ヒッキーマジきもい!…あと、怒る対象違うし…普通はさ」

 

八幡「ん?」

 

結衣「まあ、彩ちゃんとは同じクラスになれたし?だからその関係でさ」

 

八幡「それがまず、うらやましい」

 

雪ノ下「本当に気持ち悪いわ、比企谷君。もう警察を呼ぶ準備をするレベルね」

 

八幡「さいですか…てか、何気にすげぇひどいこと言ってますよね」

 

結衣「でも、なんかこのやりとり微笑ましいな」

 

雪ノ下「そうかしら?」

 

結衣「そうだよ!」

 

八幡「ま、そっちはいいんだが…同じクラスって言えばだな」

 

結衣「あ、ヒッキーて優美子と同じクラスになってるよね?」

 

八幡「まあ…」(しまった、ちょっと嫌な予感するよ?)

 

雪ノ下「そうなの?知らなかったわ」

 

八幡「お前はあいつと犬猿の仲だしな」

 

雪ノ下「そうでもないのだけれど…少なくとも私は」

 

八幡「無自覚かよ…口げんかで泣かしてたくせによ…」

 

雪ノ下「あのことについては悪いと思っているわ」

 

結衣「……」

 

結衣「ヒッキー、優美子なんだけどさ。クラスではどんな様子なのかな?」

 

八幡「どんなって…聞いてないのかよ?あいつから」

 

結衣「えっと最近はあんまりクラスのことは…噂では、あれなんだけど…」

 

雪ノ下「噂?」

 

結衣「あ、あはは」

 

八幡「お前、俺のクラスにもあんま来ないもんな」

 

結衣「うん…ちょっとね…みんな離れ離れになったし」

 

雪ノ下「それは葉山君グループのことかしら?」

 

結衣「うん……クラス的にも、グループ的にも?」

 

八幡(三浦の奴、葉山から振られて俺のところに居座るようになったこととか、あんま話してないな…)

 

八幡(いや、話されててもそれはそれで?困りますけどね?)

 

八幡(なにが困るん?八幡わかんない)

 

八幡「ま、去年の依頼とかでもあったが、あいつらの関係はそういうものだったしな」

 

雪ノ下「あなたも言っていたわね、葉山君のグループと」

 

八幡「まあ、男連中はね」

 

八幡(三浦が振られて俺のところに来たことから、それは伺えるな)

 

八幡(だって俺だよ?万年ぼっち様で、三浦からすれば毛嫌いされてるはずなのによ?)

 

八幡(ていうか考えようによっては、あまり嫌われてなかったともとれるが…)

 

八幡(戸部達や振られた葉山にはともかく、由比ヶ浜にもあんま言ってなかったのか?三浦は)

 

結衣「4月くらいはクラスのことも普通に話してたよ?ヒッキーしかいなかった~とか」

 

八幡「すげぇ想像できる光景だな…滅茶苦茶嫌がってる光景が」

 

結衣「…そうでもなかったけどね」

 

八幡「そうなの?」

 

結衣「うん、それで…6月?とかになってあんまりクラスのこととかは話さなくなったかな」

 

八幡(うわ…時期重なってますよ、あーしさん…)

 

結衣「共通の知り合いがヒッキーしかいないっていうのもあるけど」

 

八幡「まあ、話す話題もなくなっていくだろうからな…はは」

 

 

雪ノ下「それで?さっき言っていた噂というのは?」

 

結衣「うんその頃からちょっとね…」

 

八幡(掘り返すなよ…雪ノ下…)

 

 

雪ノ下「どういう噂なのかしら?」

 

八幡「いや…噂なんだし、そんな掘り下げんでもいいじゃねぇか?」

 

結衣「ヒッキー、後ろめたいことがあるんだ?」

 

八幡「いやないよ?ありませんよ?」

 

結衣「じゃあいいよね」

 

八幡「…」

 

雪ノ下「それで?」

 

結衣「実は…優美子がヒッキーと教室で良く話してるって噂なんだけど」

 

雪ノ下「そう」

 

結衣「…」ジ~

 

雪ノ下「…」

 

八幡(なんか二人からのプレッシャーがすごい…)

 

八幡(両サイドからアメフト選手に押されてるみたい)

 

八幡「やっぱりそんな噂になってたのか…」

 

結衣「ホントなんだね?」

 

八幡「ま、まあな…三浦からも聞いてないんだよな?」

 

結衣「うん、全然」ニコニコ

 

八幡(由比ヶ浜さんすげぇ怖い…なんか)

 

雪ノ下「比企谷君のクラスで見たことはないの?」

 

結衣「運が悪いのか、放課後とかじゃ見たことなくて」

 

八幡「話してるのは、休み時間だからな。しかも最近だぞ」

 

結衣「いつから?」

 

八幡「ここ1か月経ってないくらい」

 

結衣「ちょうど、優美子が話さなくなった時期だよね」

 

結衣「そっか、優美子話したくなかったんだ」

 

八幡「おいおい…変な誤解生む発言すんなよ」

 

雪ノ下「あら、誤解なの?ただならぬ関係ではなくて?」

 

八幡「違うっての、たった1か月でそんな関係になるか。それまで他人同然だったのに」

 

雪ノ下「といっても、もう1年以上の付き合いになるでしょう」

 

結衣「優美子、ヒッキーが思ってる以上に、ヒッキーのこと認めてるよ」

 

八幡「……そうなの?」

 

結衣「うん。興味ないとか、キモイとか言うけど、本当にヒッキーを悪く言う発言はしないもん」

 

八幡「キモイは悪い発言ですけどね」

 

結衣「あ、それで思い出したけど…さがみんがね」

 

八幡「相模が?」

 

結衣「元文化祭実行委員の子に、色々言われたんだって。ほら、去年の…」

 

八幡「失態についてか?」

 

結衣「うん…」

 

結衣「それで、思いだし怒りっていうのかな?去年のヒッキーにされたことをまた、言いふらしたとか」

 

雪ノ下「相変わらずね…」

 

八幡(あーしさんの言ってたのはこれか)

 

雪ノ下「でも無駄なことだわ。そもそも次の文化祭が控えてる状況で、今更という気がするし」

 

結衣「うん、さがみんもイライラして言っちゃっただけだと思うし…」

 

雪ノ下「彼女の場合は完全に自業自得なのだけれどね」

 

八幡「……」

 

雪ノ下「でも…もしも、彼女が度を越すようなら…こちらにも考えがあるわ」

 

結衣「ゆきのん…?」

 

八幡「…雪ノ下、それ俺が去年したこと台無しになるからね?」

 

雪ノ下「まあ、それはいいわ。ところで話を戻すけれど…」

 

八幡「なんだよ?」

 

雪ノ下「三浦さんとは…なぜ話すようになったの?」

 

八幡「はあ?いきなりだな」

 

雪ノ下「特に興味があるわけではないけれど…一応聞いておこうと思って」コホン

 

結衣「ゆきのん…」

 

八幡「いや、それはだな…」

 

八幡(え…?これ言うの?しかし三浦も話してないしな…)

 

八幡「由比ヶ浜…三浦から、何も重要なこと聞いてないのか?」

 

結衣「え?重要なことって?」

 

八幡(あいつ、やっぱり葉山に振られたこととかも言ってないな)

 

八幡「まあ、とりあえず、俺の隣のA君の席にあいつが座ってゲームの話で盛り上がった」

 

八幡「そんな感じだ」

 

結衣「ゲームの話で盛り上がったの?え?A君って…」

 

八幡「哀れにも、女王様の餌食になった草食獣だ」

 

結衣「へーでもゲームって…」

 

八幡「これだな」

 

結衣「これって…有名な音ゲーじゃん!」

 

雪ノ下「有名なの?」

 

結衣「うん!すっごく音楽がいいって評判の!」

 

結衣「世界でも何百万人もプレイしてるとか」

 

雪ノ下「すごいのかはわからないけど」

 

八幡「とにかく、これが共通の話題になったんだよ」

 

結衣「へ~優美子、これに嵌ってたんだ」

 

八幡「ま、そういうことだ。わかったか?」

 

雪ノ下「色々言いたいことはあるけれど、とりあえずは納得したわ」

 

結衣「でも、いろはちゃんとも親しくなってない?ヒッキー?」

 

八幡「それは勘弁してくれよ…なんで全部説明するんだよ…」

 

結衣「やっぱり、隠し事あるんだ!」

 

雪ノ下「比企谷君?話しておいた方が身のためよ?」

 

八幡「俺は尋問受けてるんですか?」

 

 

--------------------------

 

結衣「じゃ、ご飯だけでも食べに行こうよ!」

 

雪ノ下「そうね、そうしましょう」

 

八幡「へいへい」

 

結衣「ね、ヒッキーさ」

 

八幡「ん?」

 

結衣「いろはちゃんのこと、これから名前で呼ぶの?」

 

雪ノ下「…」

 

八幡「あいつがしつこいからな…名前呼びを習慣づけようとしてるんじゃないか…?」

 

結衣「いろは!」

 

八幡「恥ずかしいからやめてくれ…」

 

結衣「ヒッキー顔真っ赤~~!」

 

八幡「く…」

 

雪ノ下「6月ごろから、名前呼びをしつこく強要だなんて…」

 

八幡「犯罪臭のする言い方やめてくれませんかね?」

 

雪ノ下「だって事実でしょう?」

 

八幡「いろはの方からだからな?」

 

結衣「むっ…」

 

雪ノ下「今日は比企谷君に奢ってもらおうかしら」

 

八幡「は?なんでだよ?」

 

結衣「だって色々隠してたし」

 

八幡「別に隠してねぇし…」

 

雪ノ下「美人の二人の女子に奢るというのはステータスになると思うのだけれど?」

 

八幡「自分で言うなよ…」

 

結衣「奢る話はいいとしてさ、サイゼでいいよね?お手ごろだし」

 

八幡「そうだな」

 

雪ノ下「構わないわ」

 

結衣「じゃあ、しゅっぱ~~~つ!」

 

八幡(他愛もない会話しつつ、飯とかにもたまに行くようになった)

 

八幡(4月に入って以降、平塚先生の都合で奉仕部では受験対策してることが多いが)

 

八幡(これが奉仕部の現状だな…)

 

八幡(1年かけて、いくつかのイベント行事で成功と失敗重ねて…年末は身悶えする名文句言って…)

 

八幡(今年に入っても、バレンタインとか行事あったな…)

 

八幡(で、今があると…)

 

八幡(なんでもないことだが、俺にはひょっとしたらかけがえのないものなのかもしれん…)

 

 

八幡(それで…6月に三浦関連で悶えてしまいました…いや、熱くなっちゃいましたねほんと…らしくない…)

 

 

八幡「ていうか、今日俺が奢るの?え?戸塚いないけど?」

 

 

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次の日 昼休み

 

 

いろは「それじゃあ、食べましょう!」

 

八幡「当たり前のようにいるし」

 

いろは「先輩、照れ隠しなんてかわいいですね~」

 

八幡「いや、違うし」

 

三浦「あーしのこのパンさ、最近できた店のやつなんだけど…いい感じなんだよね」

 

八幡「まあ、クリーム系っていうのか?旨そうだな」

 

三浦「あんたも食べる?はい」

 

八幡「い、いいのか…?悪い」

 

パク

 

八幡「すげぇうまいな…」

 

三浦「でしょ?」

 

いろは「あ~先輩!わたしのも食べてください!」ズボ

 

八幡「げほっ!げほ…突っ込むなよ…!」

 

三浦「いろは、あんたそれマジでやめな。あぶないし」

 

いろは「あ…ごめんなさい…」

 

 

八幡「まあ、いろはの弁当、相変わらずうまいとは思うぞ…」

 

いろは「え、ええ。ですよね!えへへ~~!」

 

三浦「……」

 

----------

 

いろは「それじゃ、お昼も終わりますし帰りますね」

 

八幡「おう」

 

三浦「また来ればいいし」

 

いろは「はい!」

 

 

三浦「んじゃ、あーしも自分の席戻るから」

 

八幡「おう…て、そうだ。ひとついいか?」

 

三浦「なに?」

 

八幡「お前さ、由比ヶ浜に葉山に振られたこと言ってないのか?」

 

三浦「…それが?」

 

八幡「やっぱ言ってないのかよ」

 

三浦「あんた、結衣に言ったの?」

 

八幡「言ってない、安心しろよ」

 

三浦「…」

 

八幡「でも、なんで言ってないんだ?」

 

三浦「それは…心配かけるだけだし」

 

八幡「それだけかよ?」

 

三浦「あんたも知ってるっしょ、あーし達のグループは薄い関係だってこと」

 

八幡「薄いのとは少し違った気もするけどな」

 

三浦「そこはいいしどうでも。あーしが隼人に振られて、関係悪くなって…」

 

三浦「結衣にも話してさらに悪くなるのも怖いし…」

 

八幡「それは、海老名や戸部も同じってことか?」

 

三浦「そう」

 

八幡「俺のところに来たのは、俺がメンバーとは関係ないからか」

 

 

三浦「違うし」

 

八幡「え?」

 

三浦「ヒキオのところに来たのは…」

 

八幡「…?」

 

三浦「今までのあんた見てきて…信頼できる人間だって…知ってたから……かも」

 

 

八幡(え?いまなんて?これ、三浦だよね?)

 

八幡「かもってなんだよ?」

 

三浦「あーしも、あの時は気が動転しててまともに考えられなかったし…」

 

八幡「まあ、そうだろうな…てか、時間も丁度昼休みだったよな」

 

三浦「うん」

 

三浦「…」

 

八幡「…」

 

三浦「あのさ、ヒキオ」

 

八幡「なんだよ…?」

 

三浦「ホントはあんたにずっと言おうとしてたことあんだけどさ…」

 

八幡「はあ…?」

 

三浦「その話題出たし、ちょうどいいかもしれないし…」

 

八幡「なんだよ…?」(なんだ?やけに気になる…)

 

 

キーンコーンカーンコーン

 

三浦「…」

 

八幡「……」

 

八幡「チャイムかよ…」

 

三浦「ま、また今度言うし…」

 

八幡「え…お、おい気になるだろ…!」

 

三浦「んじゃ」スタスタ

 

八幡「なんなんだよ…」

 

 

放課後

 

三浦「ヒキオ~」

 

八幡「なんだよ、三浦?」

 

三浦「あんたは奉仕部っしょ?」

 

八幡「まあな」

 

三浦「わかった、じゃまた明日」

 

八幡「ああ」

 

八幡(最近、三浦と挨拶していくの普通になったな…)

 

八幡(本当に信じられん)

 

八幡「便所行くか」

 

スタスタスタ

 

八幡「…?」

 

 

ヒソヒソ ヒソヒソ

 

八幡(なんか聞こえてくるな…ていうか、こっち見てないか?)

 

B君「あいつだろ?相模の言ってた」

 

C子「去年の文化祭で問題起こしたって噂の…」

 

D子「なんか、問題起こしそうな眼してるし~~」

 

八幡(あ~~悪口だね…こりゃ)

 

八幡(去年ならともかく、今更になって広まるとは…)

 

八幡(下級生とかもいるからか?)

 

八幡(はあ…)

 

ドカッ

 

八幡「いてっ!」

 

サッカー部員1「あ、ごめ…」

 

サッカー部員2「えっと…ん?」

 

八幡「……いてぇ」

 

サッカー部員1「あれ、こいつって」

 

サッカー部員2「マジだ、噂のあいつじゃん!」

 

八幡「はあ?」(なに言ってんの、こいつ?下級生だよな?)

 

八幡「まず謝れよ」

 

サッカー部員1「うっわ謝れだってよ、すげぇ」

 

サッカー部員2「いろはす誑かした上に、去年のあれだろ?なめてるよな」

 

八幡「ん?」(どういうことだ?)

 

サッカー部員1「つーか、こんなとこでぶつかるとか最悪だな」

 

サッカー部員2「お前が謝れよ」

 

 

八幡「…」(こういうのに無駄な体力使うのは嫌だけどな、なにしようかな…)

 

八幡(やっぱりあれか?被害届パターンか?)

 

戸部「あれ?ヒキタニくんじゃね?」

 

葉山「比企谷…」

 

部員1「あ、戸部先輩、葉山さんも…」

 

戸部「なんああったん?」

 

八幡「ぶつかられただけだよ」

 

部員1「こんな奴に謝るとか…ぶつかったのはこっちですけど…」

 

戸部「それなら、謝れって。な?」

 

部員2「でも、こいつ噂の…!」

 

葉山「……」

 

部員1「う…すんませんでした」

 

部員2「…すみません」

 

八幡「いや、別にいいけど」

 

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戸部「いや~ヒキタニくん、ごめんね!うちの部員がさ~!」

 

葉山「彼らは決して悪い部員じゃないんだが、すまなかった」

 

八幡(最初、謝ろうとしてたしな)

 

葉山「なにかトラブルがあったのかい?」

 

八幡「噂の上級生って言われてたな、あと一色…いろはを誑かしたとかなんとか…」

 

八幡「意味わからんぞ…」

 

戸部「あ~あれか~」

 

葉山「いろははファンが多いからな…君は去年から今年にかけて、下級生の教室にいろはを呼び出しにいったりしていただろ?その名残りかな」

 

戸部「噂に関してはあれっしょ?去年の文化祭の名残っしょ?やばいわ~ヒキタニくんマジ中心にいるわ~!」

 

八幡「そんな中心いらねぇよ…」

 

葉山「あんな根も葉もない噂をたてられて…君も大変だな」

 

八幡「どうでもいいっての」

 

八幡「そうか、さっきはすまなかった」

 

八幡「おう」

 

八幡「あ、あとな葉山…」

 

葉山「ん?なんだい?」

 

八幡「あの時は、つい感情的になったな…」

 

葉山「いや…悪いのは俺だしね」

 

葉山「君とはあの日以来話してなかったか、そういえば」

 

 

八幡「そうだな」

 

葉山「優美子は?」

 

八幡「ま、大丈夫だな」

 

葉山「そうか、そっちの噂は聞いているが」

 

八幡「仲直りとかしねぇの?」

 

葉山「また、行くよ」

 

戸部「ん?なんの話?」

 

葉山「なんでもない。行こうか戸部」

 

スタスタ

 

 

それから数日経過

 

八幡「……」

 

ヒソヒソ ヒソヒソ

 

八幡(なんか、噂に尾ひれついてるような…)

 

八幡(しかも、毎日耳障りな声が届くし…)

 

八幡(最近は神経過敏になってないか?俺…)

 

 

三浦「ヒキオさ」

 

八幡「ん?なんだよ?」

 

三浦「なんか、疲れてない?」

 

八幡「別に……」

 

三浦「あそ、ならいいんだけど」

 

八幡(最近、勉強の方がはかどらない気はするが…)

 

八幡(まあ、あーしさんに言ってもな)

 

三浦「…」

 

 

奉仕部にて…

 

八幡「……」

 

結衣「…」

 

雪ノ下「…」

 

 

結衣「ね、ねえ…」

 

八幡「ん?なんだ?」

 

結衣「あのさ…噂の件なんだけどさ…」

 

八幡「ん…ああ…」

 

結衣「悪い方向で広まってる気がするんだけど…」

 

雪ノ下「そうなの?」

 

結衣「うん、なんか隼人くんからいろはちゃんとったのがヒッキーとか…」

 

結衣「そもそもいろはちゃん誑かして、他の女にいってるとか…」

 

八幡「…なんだ、それ…」

 

雪ノ下「まずいことしてくれたわね、相模さんは」

 

雪ノ下「そろそろ対策を練ろうかしら?」

 

八幡「変なこと考えるなよ、どうせ去年と一緒で静まるっての」

 

結衣「そうかな…?」

 

八幡「ん?」

 

結衣「今のヒッキーて意外と有名だし…加速していかないかな…」

 

雪ノ下「比企谷くん。疲れた顔をしてるわよ?いくら奉仕部の備品でも部員なのだから、しっかりしてもらわないと」

 

八幡「お前な…ま、大丈夫だっての」

 

結衣「ヒッキーがそう言うなら…」

 

雪ノ下「もう少し様子をみましょうか…」

 

 

それから、しばらく経過

 

小町「ねえ…噂のことなんだけどさ…」

 

八幡「お前の、クラスにも言ってんのか?」

 

小町「うん…ちょっとね」

 

八幡「迷惑かけるな」

 

小町「大丈夫だよ、そんなの」

 

八幡「いや…小町には絶対被害及ばないようにするからな?心配すんな」

 

小町「うわ~今の小町的にすっごいポイント高いよ!」

 

八幡「だろ?」

 

八幡(さすがに、1年の小町に被害が及ぶなんて考えてなかったけど…)

 

八幡(あ~くそ…どうするかな…)

 

 

昼休み

 

八幡(さすがに対策、練った方がいいか…妹に被害がいったら、八幡的に死んでしまう…)

 

三浦「ヒキオってヒキオ!」

 

八幡「え…な、なんだよ…?」

 

三浦「なんだよじゃないし…さっきから全然食べてないし」

 

いろは「そうですよ~わたしと食べるのが嫌なんですか~~?」

 

八幡「そんなこと言ってねぇだろ…」

 

三浦「…」

 

三浦「なんかあったん?」

 

八幡「い、いや…」

 

三浦「相模のことっしょ?」

 

八幡「なんでわかんの?」

 

三浦「あんたの顔最近明らかにやつれてるし、噂もひどくなってるみたいだし」

 

いろは「噂って去年の文化祭のやつですよね?あんなのまだ流れるなんて凄いですね」

 

三浦「ま、こいつそんだけのことしでかしたしね」

 

八幡「…ま、そっちはいいんだが…」

 

三浦「よくないっしょ」

 

八幡「いいんだよ、それよりも」

 

いろは「あれですか?いろはすを誑かした比企谷八幡~!てやつですか?」

 

三浦「は?そんなの流れてんの?」

 

いろは「そうなんですよ~~!」

 

三浦「なんで嬉しそうだし…」

 

八幡「それでもなくてだな…」

 

いろは「な~んだ違うんですね」

 

八幡「妹の小町にまで被害がな…」

 

三浦「…どういうことだし」

 

いろは「…」

 

八幡「1年の教室でも噂があるってことだよ?お前の兄ちゃんなんだろ?的な」

 

三浦「ふ~ん。なるほどね」

 

八幡(奉仕部で相談してみるか…)

 

 

奉仕部

 

雪ノ下「そうなの、それは早急に対策を練った方がいいわね」

 

結衣「うん!だよね、だよね!」

 

八幡「悪いな…その、俺の為に…」

 

雪ノ下「気にしなくていいわ」

 

結衣「そうだよ!去年からヒッキーにはお世話になったもん!」

 

八幡「そ、そうか?」

 

結衣「そうだよ!」

 

雪ノ下「まあ、ならなかったといえば嘘になるかしら?」

 

八幡「雪ノ下…」

 

雪ノ下「えっと…明日とりあえず、相模さんに会う必要があるわね」

 

結衣「そだね、そうしよ」

 

八幡「尋問というか…詰問?すんのか…」

 

雪ノ下「いえ…話を聞くのが第一だから…大丈夫よ」

 

 

次の日 学校

 

八幡「なあ、小町」

 

小町「なに?」

 

八幡「やっぱり、あいつの妹なのかとか聞かれたりしてんの?」

 

小町「う~ん、ちょっと…かな…」

 

八幡「そっか…」

 

小町「気にしないでって言ってるのに…大丈夫だよ?じゃあ、小町こっちだから」

 

八幡「おう…」

 

 

教室前廊下

 

八幡「…ん?なんか騒がしくね?」

 

ザワザワザワ

 

結衣「ヒッキー!」

 

八幡「由比ヶ浜?どうしたんだよ?」

 

結衣「そ、それがさ…えっと…」

 

八幡「なんだよ?」

 

結衣「優美子が…」

 

八幡「三浦がなんだよ?」

 

 

結衣「優美子がさがみんを泣かせたんだ!」

 

八幡「……」

 

八幡「……はい?」

 

 

結衣「だから、優美子がさがみんを…」

 

八幡「それはわかったからな?どういう経緯なんだ?」

 

結衣「えっとね、廊下歩いてるさがみんに後ろから優美子が声かけて…」

 

結衣「さがみんに詰め寄ったんだ。『ヒキオの噂今さら流して何してくれてんの?』とか『あんたのせいで凄い迷惑してんだけど?』とか」

 

八幡「ま、まじか……?」

 

結衣「うん…それで、さがみん終始怯えちゃって…最後に『ヒキオにこれ以上迷惑かけんな!!』ってさ…」

 

八幡「それで、泣かしたのか」

 

結衣「うん…もう周り凍り付いてたよ?登校中の人とか」

 

八幡「だろうな…」

 

結衣「すごい剣幕だったよ?あんな優美子久しぶりに見たよ…」

 

八幡「三浦の奴…」

 

ザワザワザワザワ

 

 

三浦「あ」

 

八幡「あ…」

 

三浦「…」

 

結衣「あ、あはは…」

 

八幡「なあ、三浦」

 

三浦「後にしてくんない?結衣と話してたし」

 

八幡「お、おう。わかった」

 

 

休み時間

 

三浦「ヒキオ…」

 

八幡「三浦か」

 

三浦「場所変えない?」

 

八幡「ああ…」

 

 

廊下

 

三浦「で、なんか聞きたいことあんの?」

 

八幡「いや…別にないな」

 

三浦「…?」

 

八幡「聞きたいとは思ったけど…別に昼休みとかでもいいし、ネタとして話してくれた方が楽に聞けそうだ」

 

三浦「なにそれ?」

 

八幡「さあな、ただ…」

 

三浦「ん?」

 

八幡「似たようなこと、雪ノ下たちとするつもりだったんだけどな」

 

三浦「へ~」

 

八幡「先越されたってのはあるな。そんだけだ、戻るか」

 

三浦「待って」

 

八幡「?」

 

三浦「あんたに話しておきたいことあんだけど…」

 

八幡「なんだよ?」

 

三浦「話すっていうか、言っときたいことっていうか」

 

八幡「この前聞きそびれたやつか…?」

 

三浦「うん」

 

八幡「それで?なんだ?」

 

三浦「あーしがこんなこと言うのは…なんていうか変っていうか…」

 

三浦「本当はもっと早く言わないといけなかったんだけど…」

 

八幡「お、おう…」

 

 

三浦「その…ありがと…」

 

八幡「ん?」

 

三浦「…」

 

八幡「何に対して…?」

 

三浦「6月の隼人に振られた時に、怒ってくれたことに対して…」

 

八幡「それ、誰から聞いたんだ?」

 

三浦「誰からって…一部始終見てたし」

 

八幡「……へ?」

 

三浦「だから…見てたし…」

 

八幡「…」

 

三浦「悪いとは思うけど、あの時何も考えられなくてさ。気づいたらヒキオを追ってた」

 

 

八幡(うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!)

 

八幡(見られてたの!?うそ?しかもよりによって、三浦本人に!?ぎゃあああああ!)

 

 

回想

 

葉山「話っていうのは…」

 

八幡「なんで、三浦まで振ったんだよ…」

 

葉山「なぜそれを…ああ、そういうことか」

 

八幡「そんなことはどうでもいいんだよ」

 

葉山「すまない…けど俺は付き合えないんだ。優美子とは」

 

葉山「もちろん、彼女の気持ちはうれしいよ」

 

八幡「それは、一色のときにも聞いたよ」

 

葉山「そうだな…」

 

葉山「彼女には悪いと思っているんだ、本当に」

 

八幡「本当に思ってんのか?」

 

葉山「?」

 

八幡「お前が振ってる相手は一人や二人じゃないだろ?みんなああいう風に振ってるんだろ」

 

葉山「…」

 

八幡「悪いって思ってるなら…なんで三浦は…」

 

八幡「なんで三浦は俺のところに来たんだよ!」

 

葉山「……」

 

八幡「しかも死にそうな顔で…!」

 

葉山「感情的になったな、君らしくもない」

 

八幡「あ……」

 

葉山「矛盾してることを言ってるのも気づいてるだろ、君なら」

 

八幡「……」

 

葉山「振る側の気持ちも少し考えてほしいかな…」

 

葉山「あれは、かなり辛いものだよ」

 

八幡「俺はそんなことしたことないしわかんねぇな」

 

葉山「そうかな?これから必ずすることになると思うが」

 

葉山「誰かを選択しないといけないんだから…」

 

八幡「はあ?」

 

葉山「しかも君の場合は…親しい分、悲しみも大きいと思うよ…お互いにね」

 

八幡「…」

 

------------------

 

三浦「ま、そういうことだから…最初はあんたに礼言うために近づいたんだけど…」

 

八幡「おう…」(ああ…いますぐ布団に顔うずめて叫びたいよ…)

 

三浦「思いのほか、居心地良くてさ。居座ったって感じ」

 

八幡「居心地よかったのか?」

 

三浦「まあ…ほら、あんた変な見栄とか嘘とかつかないし…だから楽だったし」

 

八幡「罵倒し放題ですしね」

 

三浦「は?」

 

八幡「いえ…」

 

三浦「ま…そんだけ…」

 

八幡「そうか、わかったよ。礼言われること何もしてないけどな」

 

三浦「それでいいよ。あーしの自己満足だし」

 

八幡(ああ、そうか…)

 

八幡(三浦の相模への罵倒は…借りを返したっていう形にもなるわけか)

 

八幡(三浦がそれを自覚してるかはわからんけど…)

 

八幡「あ…じゃあ、一応俺からも…」

 

三浦「ん?なに?」

 

八幡「ありがとな、三浦」

 

三浦「…何に対して?」

 

八幡「そりゃ…わかるだろ?」

 

三浦「……あーし戻る」

 

八幡「お、おい、無視すんなよ…」

 

三浦「うっさい、ヒキオのくせに…」

 

 

奉仕部

 

雪ノ下「まさか、三浦さんがそんなことするなんてね」

 

結衣「あははは、もうビックリだよ~~!」

 

八幡「ま、結果的にいい方向に行くかはこれからだけどな…」

 

雪ノ下「あれだけインパクトの強いイベントが起きたんだもの。収束はしていくと思うわ」

 

八幡「だといいけどな」

 

結衣「さがみんも、そこまで悪気があったわけじゃないんだけどね…」

 

雪ノ下「仕方ないわ。根本を叩いて他への戒めにするというのは常識だから…」

 

八幡「なんか生贄みたいだな」

 

雪ノ下「今度こそ反省するでしょう、彼女も」

 

結衣「でもさがみんのパッシング増えるんじゃないかな?」

 

雪ノ下「その時はまた考えましょう」

 

八幡(女王様の恐怖で強制的に事態を収拾したみたいな流れになったな)

 

八幡(まあ、いいんだが…)

 

ガラ

 

いろは「お久しぶりで~す。来ちゃいました~~!」

 

結衣「やっはろ~~!いろはちゃん!」

 

雪ノ下「お久しぶりね」

 

八幡「よう…一色…」

 

いろは「…」ジロ

 

八幡「いろは…」

 

いろは「せんぱいもこんにちはです!」

 

八幡「お、おう…」

 

 

結衣「…」

 

雪ノ下「…」

 

八幡(久しぶりに4人が揃ったな…)

 

八幡(なんか懐かしいな)

 

 

八幡(そういや、葉山グループは揃う時がくるのかね…)

 

葉山『君にも選択の時が必ず来るよ』

 

八幡(選択か…)

 

 

いろは「今回お手伝いできませんでしたけど、噂収まりそうなんですか?」

 

結衣「うんうん、優美子がね~」

 

 

八幡(色々変化はあるけど、特に変わらない日常…選択の時がくるとするなら…)

 

八幡(今のところ、おそらく一番に思い浮かぶ相手は……)

 

 

三浦「ヒキオ」

 

八幡(こいつかな…ほんと一寸先は三浦)

 

 

--------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

 

教室 昼休み

 

八幡(なんで、あーしさんはそんなこと聞いてくんのかね?)

 

八幡(ほら、A君も向こうで困った顔してるよ?)

 

八幡(いや、今はA君関係ないけどね?)

 

三浦「ヒキオ、聞いてる?」

 

 

八幡「えっと…なんだっけ?」

 

三浦「だから、あんた付き合ってる子いないの?」

 

八幡(うわ、直ですよ…回り道もなにもない…)

 

いろは「……」

 

八幡(つーか、いろはすもさっきから、顔がマジで怖いんですけど?)

 

八幡「いねぇよ…そんなのわかりきってるだろうが」

 

八幡「なに?俺を落ち込ませてそんなに嬉しい?」

 

三浦「そうなんだ、へえ~」

 

いろは「…」ジロ

 

八幡(あれ~?いろはすがさらに怖い顔になってる気がするぞ?俺、なんて答えればいいの?)

 

 

三浦「雪ノ下さんと付き合ってないんだ」

 

八幡「ああ、当たり前だろ」

 

三浦「そういえば、番号登録されてなかったし」

 

八幡「ああ」

 

三浦「結衣とも?」

 

八幡「だからなんで、奉仕部メンバーが出て来るんだよ?」

 

三浦「だって…」

 

いろは「そうですよ、三浦先輩。先輩があの二人と付き合うわけないですよ~」

 

いろは「全然釣り合ってないです」

 

三浦「そう?前、サイゼから3人で出てくる所見たんだけど」

 

いろは「先輩…ほんとですか?」

 

八幡「部活帰りに飯食いに行っただけだっての…」

 

三浦「あんたら、仲良くやってんだ」

 

いろは「ですよね~最近行けてませんから、そんなことあるなんて知らなかったです」

 

八幡「あの…いろはさん?言葉がとげとげしいんですが…」

 

いろは「そうですか~?」

 

八幡(うわ…久しぶりに見たよ…笑顔でトーン下がるあれ)

 

三浦「…」

 

三浦「じゃさ、今日はあーしに付き合うし」

 

八幡「はあ?そういうのは友達としろよな…」

 

三浦「は?」

 

八幡(こいつの『は?』てなんでこんなに威力高いんですかね?削られる削られる…)

 

三浦「あーしらもう友達っしょ?」

 

八幡「え?そうなの?」

 

三浦「はあ?友達なんて、連絡先交換したらそうだし…ていうかそうじゃなくてもそうだし」

 

八幡「雪ノ下さんに聞かせたい言葉ですね」

 

八幡(なんかやけに簡単に友達になれましたとさ…あーしさん、マジいい人)

 

八幡(俺じゃなかったらきっと惚れてしまってるな)

 

いろは「…」

 

八幡「さっきから、どうしたんだ?いろはす?」

 

いろは「先輩、若干照れててキモイです」

 

八幡「鬱病って発生するとキツイらしいよな~」

 

いろは「あと、なんで『いろはす』なんですか?」

 

八幡「へ?」

 

いろは「名前で呼びづらいいからって、いろはすって呼んで、とりあえず呼んだことにしないでください」

 

八幡(ですよね~バレてますよね~?)

 

八幡(でも本当に、恥ずかしいんですけどね…いろはって呼び続けるん…)

 

三浦「そういうわけだから、今日はあーしと帰りな」

 

八幡「…」

 

三浦「返事は?」

 

八幡「選択肢ないですよね」

 

三浦「奉仕部のあとでいいし」

 

八幡「いや、それだと待たせるしな…しょうがね」

 

三浦「え?」

 

八幡「今日は部活休む。ていうか、元々引退扱いだしな」

 

三浦「大丈夫なん?」

 

八幡「図書館で勉強してるみたいなもんだしな、あっち行っても」

 

三浦「そういう意味じゃないけど、まいいや。そういうことで」

 

八幡「…わかった」

 

いろは「先輩、三浦先輩と遊びに行くとか…受験生の発言じゃないです」

 

いろは「あと全然釣り合ってないです~!」

 

三浦「最近近くで見ること多いからわかったけど…」

 

三浦「こいつ意外とイケメンだったりすんだよね」

 

八幡「あーしさん、ホントどうしたんすか…超怖いっすよ」

 

三浦「あーしさんやめろ」

 

いろは「むむむむ…!」

 

三浦「そういや、いろはも来る?って言いたかったけど、さすがに生徒会の仕事さぼるわけにもね」

 

いろは「うう~~そうなんですよ~~」

 

三浦「ま、もうすぐ夏休みだし?遊ぶ機会はあるっしょ」

 

いろは「じゃあ、海とか行きましょうよ~」

 

三浦「あ、いいじゃん。この面子で行くの新鮮だし」

 

八幡「え、俺も行くの?」

 

三浦「あたりまえだし」

 

いろは「先輩来ないと意味ないじゃないですか」

 

八幡「へ?そうか…?しかし、男一人ってのは…」

 

いろは「じゃあ、葉山先輩でも…」

 

三浦「駄目」

 

八幡(うっわ…声低いな…ほんきのあーしさん)

 

いろは「え…喧嘩でもしたんですか?」

 

三浦「…」

 

八幡「いや、いろはも振られてるだろ…いいのかよ?」

 

いろは「もうさすがに大丈夫ですよ~惹かれてる人別にいますし」

 

八幡「へ?」

 

いろは「いえいえ、なんでもないです~~」

 

八幡「あざといあざとい」

 

三浦「とにかく、隼人は駄目」

 

いろは「じゃ、戸部先輩にしましょう」

 

三浦「じゃ、戸部で」

 

八幡(え…なに?この戸部の備品的扱い…)

 

八幡(というか、戸部と三浦といろはすと俺で海行くの?)

 

八幡(なんてメンバーだよ…断れないだろうし…)

 

 

放課後

 

プルルルルル カチャ

 

 

結衣『あ、ヒッキー?』

 

 

八幡「ああ俺。すまんけど、今日は部活やめとくわ」

 

 

結衣『え、そうなんだ。用事でもあるの?』

 

 

八幡「まあな」

 

結衣『わかった。ゆきのんにも言っておくね』

 

八幡「よろしく」ピ

 

三浦「結衣に電話してたん?」

 

八幡「ああ、休むってこと伝えとくってよ」

 

三浦「んじゃ、行こ」

 

 

スタスタ

 

 

八幡「そういや、どこに行くんだ?」

 

三浦「ご飯でも食べよ、まずは」

 

八幡「サイゼか?」

 

三浦「あんたの選択肢それだけ?」

 

八幡「じゃあ…」

 

八幡「牛丼屋…」

 

三浦「しね」

 

八幡「じゃあ…雪ノ下らと行ってた所でもいいのか?」

 

三浦「結衣達とサイゼ以外も行ってんの?」

 

八幡「そりゃ、サイゼばっかりじゃねぇよ…」

 

三浦「何処よ?」

 

八幡「帝国屋だな」

 

三浦「あんたにしては洒落てんじゃん。そこでいいよ」

 

八幡(サイゼはあーしさん的にはないのかね、折本も笑ってたしなぁ昔…)

 

 

帝国屋

 

三浦「ああここね」

 

八幡「なんだよ…?」

 

三浦「雪ノ下さんの趣味っぽいって思っただけ。こういう落ち着いた雰囲気好きそう」

 

 

八幡「ま、読書とかしやすいし、一人で時間潰せるしな。コーヒーもうまいし」

 

三浦「あんたスタバ派じゃないん?」

 

八幡「さあな」

 

三浦「ていうか、シロップ入れ過ぎでしょ…なにそれ…」

 

八幡「これはまだブラックだろ」

 

三浦「色がまだ黒いだけだし、もうカフェオレだし」

 

八幡「そうなるか」

 

三浦「女とここに来てそんなことするかぁ?普通…」

 

八幡「いや…ここ見栄張ってもな…」

 

三浦「あんたそういう奴だったね」

 

八幡「最近はさらに甘党になってる気がする」

 

三浦「は?なんで?」

 

八幡「人生がさらに苦くなってるからだな…」

 

三浦「キモイ、死ね」

 

八幡「ほんとひどいっすね、あーしさん」

 

三浦「こんな馬鹿に、救われたとか思うと情けないしホント…」

 

八幡(心なしか笑ってる気がしますねあーしさん)

 

八幡「救ったってのは…」

 

三浦「そこ掘り返す?あんたの感情的発言も全部言うけど?」

 

八幡「やめときましょうか」

 

ズズー

 

三浦「あ、ちょっと高いやつだと味が違うね」

 

八幡「ここサンドイッチもうまいよな。スタバのも好きだが、個人的には」

 

三浦「いいよね、スタバのも」

 

八幡「三浦はもっと味に対して厳しいイメージだけどな」

 

三浦「は?高校生の味覚なんてそんなもんっしょ」

 

八幡「そんなもんか」

 

三浦「店に行き慣れてるって言っても、高い店には行けないし」

 

八幡「まあ、寿司って言ったら回転ずしだしな、俺なんて」

 

三浦「いやいや、そんなの大抵はそうだし」

 

三浦「あ、それとさヒキオ」

 

八幡「なんだよ?」

 

三浦「音ゲーだけど…」

 

八幡「それがどうしたんだよ」

 

三浦「ほら、点数」

 

八幡「ん?て…うおっ!満点じゃねぇか…!うそだろ?」

 

三浦「すごいっしょ?まあ、曲がまだ簡単なやつだけどね」

 

八幡「いや…満点なんて、動画とかでもあんま見ないぞ」

 

三浦「でも、動画の人で片手で満点とった人とかいるし」

 

八幡「それはもはや人間じゃねぇな…」

 

 

三浦「…」

 

三浦「ヒキオさ」

 

八幡「ん?」

 

三浦「さっき救われたって言ったけど…」

 

八幡「あれ?その話蒸し返すんですか?」

 

三浦「本当は去年から、度々あんたには救われてるんだよね」

 

八幡「…」

 

三浦「この前のお礼なんかじゃ効かないくらいにさ」

 

八幡「気にすんなっていうか…別に礼言われることしてないしな」

 

八幡「部活の依頼だったこともあるし」

 

三浦「ヒキオだったら、そう言うと思ったけど」

 

三浦「修学旅行の件はやっぱりありがたかったよ」

 

八幡「そうか?」

 

三浦「うん」

 

三浦「ま、あーしら今は離れてるからどうってのもあんだけど」

 

八幡「由比ヶ浜とも疎遠なのかよ?」

 

三浦「結衣か~そんなことないけど、ちょっとね…」

 

八幡「?」

 

-------------------

 

三浦「やっぱ、ここのサンドうまいね」

 

八幡「そうだな」

 

三浦「つーか、そのカフェオレとは絶対相性悪いっしょ」

 

八幡「ほっとけ、これは俺のプライドだ」

 

三浦「うわ…」

 

八幡「本気で引くのやめてね、あーしさん」

 

 

カラン

 

 

雪ノ下「本当にここでよかったの?由比ヶ浜さん」

 

結衣「うん、いいよ」

 

雪ノ下「でもなんだか、私の趣味を押し付けてるみたいで」

 

結衣「大丈夫だよ!あたしもここ好きだし!」

 

雪ノ下「そう?なら、いいのだけど」

 

結衣「ヒッキーも連れてくればよかったね…て」

 

 

三浦「結衣…?」

 

結衣「あれ?優美子?」

 

結衣「そっちにいるのってヒッキー?」

 

八幡「……」(あああ…!なんか凄い嫌な予感があああああ!)

 

八幡「…」ウツムキ

 

雪ノ下「比企谷くん?もうバレてるわよ?あなたの後ろ姿間違えるとでも思ってるの?」

 

結衣「ヒッキー…」

 

八幡「…はい」(どうすりゃいいの?これ)

 

三浦「あんたって運ないよね」

 

八幡「言うな…」

 

雪ノ下「それで、あなたはここで何をしているの?」

 

三浦「そんなの、見りゃわかんじゃん。晩ご飯食べてんだけど?」

 

雪ノ下「あなたには聞いていないわ」

 

三浦「はあ?」

 

結衣「ま、まあまあ落ち着いてよ。二人共…ね?」

 

八幡(か、帰りたい…)

 

結衣「でも、ヒッキー。電話では言ってくれなかったよね?」

 

八幡「あ、ああ…あれはだな…」

 

 

結衣「優美子と約束があるから、部活来なかったんでしょ?」

 

八幡「まあ、そうだな…」

 

 

結衣「一言欲しかったかな」

 

八幡「悪い」

 

結衣「ううん、いいけどさ」

 

雪ノ下「そうね、そういうことは一言欲しいものよ」

 

八幡「そういうもんか?」

 

雪ノ下「ええ、特に由比ヶ浜さんは、ね?」

 

結衣「ちょ、ちょっとゆきのん!も、もう…」

 

 

雪ノ下「くすくす」

 

三浦「……」

 

八幡(なんか、あーしさんが俺を睨んでるような)

 

 

三浦「…」

 

八幡(はい、間違いなく睨んでますね!)

 

結衣「あの…優美子、ごめんね?なんか急に割って入ったみたいで」

 

三浦「まあ、偶然みたいだし?それはいいんだけど…」

 

結衣「どうしたの?」

 

三浦「ヒキオ、あんたさ」

 

八幡「ん…なんだ?」

 

三浦「なんだじゃないし」

 

雪ノ下「…?」

 

三浦「ヒキオあんた、あーしが昼休みに聞いたこと覚えてる?」

 

八幡「昼休み?」

 

三浦「うん」

 

八幡(雪ノ下や由比ヶ浜と付き合ってる云々だよな)

 

八幡「まあ…覚えてるけど」

 

三浦「あれって本当なんだよね?」

 

八幡「当たり前だろ…!なんだよ、急に」

 

三浦「この状況とか?やりとりとか?見てたら、とても信じられないんだけど」

 

八幡「違うっての…!あれはマジだ!」

 

三浦「へぇ~ふぅ~ん」

 

八幡「お前…全然信じてないだろ…」

 

三浦「この状況で信じろって方が無理なんだけど?」

 

 

結衣「え?…なんの話?」

 

雪ノ下「二人で会話しないでほしいのだけれど」

 

結衣「これって、俗にいう『カーケー』だっけ?」

 

雪ノ下「それは『ツーカー』のことを言ってるのかしら?」

 

八幡「元々奉仕部で活動してたから当たり前というか…このくらいは普通であってだな」

 

三浦「へ~あんた雪ノ下さんの番号知らないって言ってなかった?」

 

八幡「いや知らないっての、お前も見ただろ?」

 

三浦「番号交換もしてなくてこれなんだ?へぇ~すご~い」

 

八幡(なんかやけに三浦食いついてくるな…う~む)

 

雪ノ下「そういえば私たちまだ番号交換してなかったわね」

 

雪ノ下「しましょうか」

 

結衣「え~~!」

 

雪ノ下「そんなに驚くこと?これから奉仕部の連絡取りやすくなるし」

 

 

雪ノ下「それに、プライベートでの連絡ももしかしたらあるかもしれないし…」

 

八幡(雪ノ下さん、そういう表情でいうのやめてくれませんかね…)

 

三浦「仲のよろしいことで…」

 

雪ノ下「あら?三浦さんも比企谷くんと仲良く見えるわよ」

 

三浦「は?ヒキオと?」

 

雪ノ下「不本意でしょうけど」

 

三浦「…」

 

八幡(雪ノ下~!火に油を注ぐな~~!)

 

三浦「あーしなんて…ヒキオと雪ノ下さんに比べたら…なんか違う」

 

雪ノ下「…?」

 

結衣「優美子…」

 

-----------------

 

カチャカチャ

 

結衣「…」

 

雪ノ下「…気まずいわね」

 

結衣「ゆきのんがヒッキーと番号交換するからだよ~~」

 

雪ノ下「そんなこと言われても」

 

結衣「きっと拗ねちゃったんだよ…優美子」

 

 

 

三浦「…」

 

八幡「…」(気まずいよ~)

 

三浦「ヒキオ」

 

八幡「なんだよ…」

 

三浦「この後、遊び行くし。カラオケでもなんでもいいから」

 

八幡「マジかよ…まあ、元々その手筈だったけどさ…」

 

 

 

 

 

 

カラン アリガトウゴザイマシタ~

 

 

八幡(う~ん、味がわからなかった)

 

三浦「…ったく」

 

八幡「恐い…」

 

 

雪ノ下「それで、二人はこれからどうするの?」

 

三浦「雪ノ下さんに関係ないし」

 

八幡「おいおい…そんな喧嘩腰になんなよ」

 

結衣「遊び行くんだよね?だよね?」

 

八幡「そ、そうだよ」

 

三浦「わかったらさっさと行くし」

 

八幡「おう…」

 

三浦「じゃ、またね結衣」スタスタ

 

八幡(雪ノ下は無視か~)

 

雪ノ下「…」

 

結衣「…」

 

雪ノ下「怒っていたわね…」

 

結衣「うん、今のコミュニティがヒッキーなんだよ優美子は…」

 

雪ノ下「一色さんも、そのコミュニティに入ってるようね」

 

結衣「あはは、確認しに行ったら、お昼3人で食べてたよ」

 

雪ノ下「すごいメンバーね…」

 

結衣「周りも驚いてるみたいだけど…楽しそうだったよ」

 

雪ノ下「まったく、比企谷くんは…」

 

結衣「もう絶対ぼっちじゃないよね?そういう発言したらとっちめてやろうよ!」

 

雪ノ下「そうね、ふふ」

 

 

三浦「あ~なんか疲れた」

 

八幡「俺もだ…なに?あの雰囲気…いじめですか?」

 

三浦「ヒキオは自業自得。付き合ってる云々を口に出さなかっただけありがたく思いな」

 

八幡「冷や冷やもんでした。勘弁してください」

 

三浦「ていうか、なにする?」

 

 

八幡「卓球とかどうだ?」

 

三浦「雪ノ下さんと行ったわけ?」

 

八幡「あ、いや…雪ノ下じゃなくて…だな…」

 

三浦「ん?」

 

八幡「いろはだな…」

 

三浦「なんでそこで言葉濁すん?」

 

八幡「さっきのがあったからだよ…」

 

三浦「つか、あんたいろはとも行ってんだね。」

 

八幡「どうだ?」

 

三浦「いいよ、そういえば駅前にボールマイトできたじゃん」

 

八幡「先月だっけか?」

 

三浦「忘れたけど、あそこならカラオケとかも全部できるしね」

 

八幡「そこでいくか」

 

 

ボールマイト

 

三浦「まさかヒキオと卓球する日がくるとは思わなかった」パコン

 

八幡「俺もだ」ペコン

 

三浦「あんたちょっとうまいし」ポコン

 

八幡「あーしさん、うますぎじゃないっすかね」ピコン

 

三浦「あーし言うなっての!」バコン

 

八幡(うおっ!今のスマッシュ…強すぎ)

 

三浦「ま、あーしテニス得意だからね」

 

八幡「いや、それと卓球関係ないでしょ」

 

 

八幡「次なにするんだ?」

 

三浦「向こうにテニスあったし、そっちもしよっか」

 

八幡「テニス…お手柔らかにお願いしますね…」

 

三浦「あんた、去年あーしに勝ってるし」

 

八幡「あれは魔球で勝っただけだっての」

 

三浦「なにそれ」

 

八幡「俺もよくわからん…」

 

 

テニス~

 

八幡「とりゃ!」パコ

 

三浦「やるじゃん!」パコン

 

八幡「逆サイド!?」

 

三浦「ま、あーしの勝ち~!」

 

八幡「ぬうう…大人げないぞ三浦…素人に本気だしやがって」

 

三浦「あんた意外と運動神経いいね、驚いた」

 

八幡「ふん…そんな言葉だしても何もでねぇよ…」

 

三浦「拗ねんなって、さっきの仕返し」

 

八幡「さっきて?」

 

三浦「ほら帝国屋で、色々あったでしょ」

 

三浦「もやもやさせられた仕返し」

 

八幡「もやもやしてたのかよ…」

 

三浦「…うっさい」

 

----------------------

 

カラオケ

 

三浦「ほら、あんたも唄いなっての」

 

八幡「いや…デュエットとか勘弁してくれ…!」

 

三浦「あんたさっきから唄ってないっしょ」

 

八幡「うぐぐぐ」(これは拷問ですかね?あーしさん。俺がカラオケバンバンに唄う人に見えるんか?)

 

三浦「そうそう、あはは~~なにその唄い回し~」

 

八幡「くっ…うっせぇよ…!」

 

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ガタン

 

三浦「はいヒキオ。飲み物」

 

八幡「サンキュ」

 

三浦「適当に買ったけど、いいよね」

 

八幡「この際なんでもいい」(疲れたな…)

 

三浦「あんた体力ないっしょ?鍛えれば?なんか普通にスポーツできるようになんじゃない?」

 

八幡「俺がそんなことするように見えるか?」

 

三浦「見えない」

 

八幡「ですよね~」

 

 

戸部「あって~?優美子じゃね?あとヒキタニくんも~」

 

三浦「え…戸部?」

 

八幡「お前、なにやってんの?」

 

戸部「いやいやこっちの台詞だって~な、いろはす?」

 

いろは「先輩たち、ここで遊んでたんですか?奇遇ですね!」

 

三浦「戸部もいるってことは、二人で遊んでんの?」

 

いろは「違いますよ~戸部先輩は荷物持ち~」

 

戸部「いろはす、それひどくね?遊んでたじゃん俺ら…」

 

八幡(戸部…)

 

いろは「冗談は置いといてですね、今度の海に行く計画について話してまして」

 

三浦「それね、戸部も行けるっしょ?」

 

戸部「行けるけど、俺ら4人で行くの?ヒキタニくんも入ってるとかすげぇわ~!」

 

八幡「何がだよ…」

 

戸部「いや~~半端ないわ、うん」

 

八幡「聞いてないな」

 

三浦「ま、戸部はいいんだって、とりあえずヒキオ。ドタキャンしたら死なすから」

 

八幡「…しませんよ」

 

三浦「よろしい」

 

いろは「あと、雪ノ下先輩と結衣先輩に言うのも駄目ですよ!」

 

八幡「ん、まずいか?」

 

いろは「私達3人…じゃなかった、4人で行くのに意味あるんじゃないですか~~!」

 

三浦「あんた、まさか言った言ったりしてないよね?」

 

八幡「今日決まったことで言うも何もないだろ」

 

三浦「ならオッケ」

 

戸部「でも、ヒキタニくんいつの間に優美子と仲良くなったん?」

 

八幡(これは、葉山もこいつに言ってないな)

 

八幡「同じクラスだから…か?」

 

三浦「あーしに振るな」

 

戸部「そっか~ほら、例のいろはす誑かし疑惑もあるしさ。ヒキタニくん半端ねぇ」

 

三浦「誑かし」

 

八幡「誑かしって言葉に反応するのはどうかと思いますよ」

 

三浦「黙れ」

 

 

戸部「でもさ~あっちの噂は収束したん?」

 

八幡「相模のやつか?」

 

戸部「そうそれ」

 

八幡「一応は…どうなんだろうな」

 

戸部「優美子がキレて収束させたんっしょ?いや~見たかったわ~」

 

三浦「うっさいし、あれはもういいでしょ」

 

八幡(あーしさん恥ずかしいんですね、わかりますよその気持ち…)

 

いろは「う~ん、あのことは三浦先輩もあれですし…今はこれくらいで終わりにしましょうよ」

 

八幡「おお、お前にしては空気呼んでるな」

 

いろは「お前にしてはってなんですか~!」

 

八幡「あざといあざとい」

 

三浦「あんたら馬鹿にしてるっしょ…」

 

八幡「なんのことだか…いやだなー」

 

三浦「ヒキオあとで覚えときな」

 

八幡「ひいっ!?」

 

 

戸部「そっちはわかったけど…優美子、隼人くんはいいん?」

 

三浦「え?隼人?」

 

戸部「ほら、海に呼ばなくてさ」

 

いろは「……」

 

三浦「いらない、隼人は」

 

戸部「あ~喧嘩でもしたん?ま、なんとなく思ってたけど」

 

八幡「葉山は何も言ってないんだろ?」

 

戸部「何も言ってないな~」

 

いろは「湿っぽくなっちゃいましたね?みんなで遊びましょうよ!」

 

戸部「いいじゃん、海に行く4人だし?やっぱりコミュニケーションっしょ!」

 

 

八幡「…大丈夫か、三浦」

 

三浦「いや平気だし、もう終わったことだし」

 

八幡「そっか」

 

------------------

 

 

いろは「すっかり遊んじゃいましたね~」

 

八幡「もうこんな時間かよ…」

 

戸部「うっわ、夏休み前にハメ外し過ぎたわ~」

 

三浦「んじゃ、そろそろ帰るでしょ」

 

 

いろは「じゃ先輩!海楽しみにしてますからね?」

 

八幡「へいへい何で俺に言うの?」

 

いろは「海に慣れてないのって先輩だけですし」

 

いろは「戸部先輩はなんだかんだで慣れてますし」

 

いろは「だから、楽しませてくださいねってことです」

 

八幡「ハードル高いな…おい」

 

 

三浦「ま、あーしも楽しみにしてるし」

 

八幡「三浦もハードル上げんでくれません?お願いだから…」

 

戸部「いや~ヒキタニくん!俺らハードル上がってるよ?美少女二人もてなすとか…いや~むずいわ~」

 

八幡「ま、まあ俺なりにがんばる…」

 

いろは「あ、戸部先輩はいつも通りでいいんで」

 

三浦「戸部はがんばるな、つーか姫菜いるっしょ?」

 

戸部「な、なんでそれを…?」

 

三浦「いや普通に聞いてるし、付き合ってるって?」

 

いろは「え~~~!?ほんとですか戸部先輩!」

 

戸部「いや…付き合ってるのかな~~?姫菜、俺に興味あるのかどうか…」

 

八幡(ん?名前で親しそうに呼んでるな?あれ、前もそうだったか?)

 

三浦「一応OK出したとか?3年入ってから告白もう一回したんでしょ?」

 

いろは「おお~戸部先輩意外とやりますね!」

 

戸部「いや~~マジ照れるからその話はまた今度で…」

 

八幡(戸部に春が舞い降りたのか)

 

八幡(いや、よく考えたら普通に彼女いそうだけどね?)

 

八幡(しかし海老名さんか~色々難しそうだな)

 

-----------------------------------

 

それから夏休み

 

 

ジーコロジーコロ

 

 

八幡「暑い…暑すぎる…」

 

八幡「15分間待ってるし、そろそろ帰るか」

 

八幡「て、まあ冗談ですけどね?」

 

三浦「おはよ」

 

八幡「お、おう三浦…おはよう」(聞かれてないよね?)

 

三浦「他の二人は?まだ来てないみたいだな」

 

三浦「あんた、今帰ろうとしてなかった?」

 

八幡(見られてたよ…)

 

八幡「なわけあるか…」

 

三浦「ふ~ん」

 

 

いろは「せんぱ~い!おはようございます!」

 

三浦「いろは、おはよ」

 

八幡「う~っす」

 

いろは「気のない挨拶ですね、先輩」

 

八幡「だってお前………」

 

いろは「えへへ…どうしました~?」

 

八幡(ミススカートは反則ですね、いろはすさん)

 

八幡「いや…どうって言われてもな…」

 

三浦「…」

 

八幡(いろはを直視してはいけないと、俺の第六感がいっている)

 

いろは「あ、大丈夫ですよ~?下ホットパンツ履いてますし」

 

八幡「そういう問題じゃねぇよ…」

 

いろは「やっぱり、わたしのスカート見てましたね?先輩、気持ち悪いです~☆」

 

三浦「…」

 

八幡(ああ…あーしさんから罵倒くるな、構えとこう)

 

三浦「…あーしも、スカートにすればよかったかな…」

 

八幡「ん?」(罵倒がこない…?)

 

いろは「えっと、人数揃いましたし行きましょうか!」

 

八幡「ナチュラルに戸部忘れるのやめてやろうね?」

 

いろは「あ、忘れてました~~!」

 

八幡(いろはす、いっけな~~っい!じゃねぇよ…)

 

 

戸部「もうみんな集まってるし!ごめん、遅れた~」

 

八幡「おっす戸部」

 

三浦「戸部、遅いし」

 

戸部「いや~ごめんごめん。ていうか、まだ待ち合わせ時刻なってなくね?」

 

いろは「女の子待たせたら遅刻です~」

 

三浦「姫菜待たせたりしたら承知しないし」

 

戸部「うわ、きついわ~やらかしたわマジで!」

 

八幡「ま、揃ったし、行かねぇの?」

 

三浦「そうね、行こっか」

 

いろは「出発ですね~」

 

戸部「いや~楽しみだわ。浮き輪とか?ビーチボールとかも持参しとるべ」

 

スタスタスタ

 

電車 ガタンゴトンガタン

 

いろは「ふんふんふ~~ん♪」

 

八幡(いろはすはなんだかご機嫌なようで)

 

八幡「その荷物なんだ?」

 

いろは「これですか?まあ、日焼け止めとか~色々ですね」

 

八幡「そうか…」スッ

 

いろは「あ…す、すみません」テワタシ

 

八幡「いや」

 

三浦「……」

 

戸部「なんか、すげぇ自然な受け渡しだし…」

 

八幡「はあ…?なにが?」

 

戸部「いや、今の流れだけどさ。良い感じに渡さなかった?」

 

いろは「あ~これはですね~」

 

八幡「小町と良くやってたしな…」

 

いろは「いや、その説明じゃわかりませんって」

 

三浦「どゆこと?」

 

いろは「去年のクリスマスからの習慣なんですよ☆先輩が何も言わなくてもわたしの荷物持ちっていう」

 

八幡「いや、荷物持ちじゃねぇし弊害ありまくりだし」

 

戸部「去年のクリスマスって言ったら、あれじゃんね。いろはす…あ、ごめん」

 

いろは「大丈夫ですよ、葉山先輩に振られたのは気にしてませんし」

 

戸部「そう?じゃあ…あの時から、もうヒキタニ君と?」

 

いろは「そうですね~ラブラブでしたね~!」

 

三浦「なっ…」

 

八幡「お前な…悪ノリすんなよ…」

 

いろは「いいじゃないですか~先輩には『責任』とってもらわないと駄目ですからね」

 

三浦「責任…?」

 

八幡(なんか蛇に睨まれるヒキガエルですね…いろは、これ以上はやめようか?)

 

戸部「うっわ~!意味深げだわこれ…!後でゆっくり聞かないと眠れないわ~」

 

八幡「えっ?話さないと駄目なん……?」

 

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海 

 

いろは「きましたね~!」

 

戸部「やばい、テンション上がるわ~!」

 

八幡「とりあえずどうする?」

 

三浦「まず、貴重品預けてからビーチって感じかな」

 

いろは「ですね~」

 

 

戸部「パラソル持ってきてないんよ」

 

八幡「確かあれってレンタルもあるだろ?」

 

戸部「レンタルの方が確か頑丈だから安心感あるしね」

 

 

ザクッ

 

 

八幡「ビーチパラソル刺すのは…こんな感じでいいか?」

 

戸部「そうそう、そんな感じ。あとはレジャーシート敷いてと…」

 

八幡「こんな感じか?」

 

戸部「いいねぇ~ここなら海からもすぐ戻れるし」

 

八幡「あとは…浮き輪とかの空気入れとくか」

 

シュコ~

 

 

いろは「お待たせしました~!」

 

三浦「つーか暑いし…日差しきつ過ぎだし…!」

 

八幡「…」

 

戸部「…」

 

三浦「なんか言うことないん?男共」

 

いろは「ほらほら~正直に言ってくれていいんですよ~?」

 

戸部「おお~いいじゃん、めっちゃ可愛いわ~いろはすも優美子もいいわ~」

 

八幡(かわいい…が、言葉が出てこない…)

 

戸部「やっばいわ~、ビーチの他の男子にナンパされないか不安で仕方ないわ~」

 

いろは「あ、今の戸部先輩の発言浮気ですね」

 

三浦「ん、姫菜に報告っと…」

 

戸部「いやいやいや!ちょ、勘弁してよマジで~~!」

 

三浦「冗談だっての…あはは」

 

いろは「戸部先輩必死過ぎです、ちょっとキモイです~」

 

八幡「…」

 

三浦「で、ヒキオさ。あんたも言うことあるっしょ?」

 

いろは「そうです、感想を言ってください」

 

八幡(答え間違えると大変そうなんだけど…気のせいじゃないよね…)

 

戸部「ヒキタニ君…なんか同情するわ…」

 

八幡(戸部も気づいてる…)

 

八幡「えっとだな…いろはすは…」

 

いろは「いろはすって誰ですか~?」

 

八幡「いや…いいだろ」

 

いろは「駄目です!ちゃんと呼んでください!」

 

八幡「いろはは…」

 

いろは「は、はい」

 

八幡「可愛いいと思うぞ?幼い水着が体系と合ってるというか…」

 

いろは「幼い体型とか失礼な言葉が混じってますけど…」

 

八幡「慣れてないんだよ…言葉が出てこない…」

 

いろは「でもそれで許してあげます」

 

八幡「こういうのって許してもらうもんなのか?」

 

戸部「多分違うかな~」

 

三浦「で?あーしは?」

 

八幡「三浦か…三浦は…」

 

八幡「いろはと違って綺麗と言えばいいのか?細いし…気品があるっていうか…」

 

三浦「ふ、ふ~ん…で?」

 

八幡「パレオが…えろい?」

 

三浦「…どこ見てんの?」

 

いろは「先輩、今の発言ムッツリスケベみたいです…」

 

八幡「と、とりあえず…これでいいだろ…!」

 

三浦「ぷっ、あんたの照れた表情が面白いから今のでいいや」

 

八幡「笑うなっての…」

 

 

戸部「いや~ちょいヒヤヒヤしたわ…」

 

いろは「三浦先輩の方が褒められてるみたいでした~」

 

---------------------------

 

戸部「ほらほら、いろはすも早く早く」

 

いろは「戸部先輩なにしてるんですか?」

 

戸部「とりあえず、砂の城作るのが定石っしょ?」

 

いろは「定石ですか~子供っぽくないですか~?」

 

戸部「そう言わずに、やってみたら楽しいって~」

 

いろは「う~ん」

 

 

三浦「ヒキオ」ブン

 

パシ

 

八幡「どした?浮き輪なんか渡して」

 

三浦「海入ろ、海」

 

八幡「戸部のところいかねぇの?」

 

三浦「なんか、城建設に尽力してるし?邪魔したら悪いし?」

 

八幡「どこまで行くんだ?」

 

三浦「適当でいいじゃん」バシャバシャ

 

八幡(一つの浮き輪で二人して海行くって…どうなんすか?)

 

ザバーン

 

三浦「ひゃ~冷たいし~」

 

八幡「今日が暑くてよかったな…曇りとかだと寒いだろ…」

 

三浦「確かにね、海日和ってやつ?」

 

八幡(あーしさんが浮き輪の中に入って、俺は外からついて行く。地味にきついっすね)

 

三浦「つってもヒキオさ~やっぱあんた細いね」

 

八幡「まあ、部活なんて奉仕部だけだしな…鍛えてないし」

 

三浦「スタイルはよく見えるけど…」

 

八幡「多分細いだけだろ」

 

三浦「そうなるね、あんたの場合」

 

八幡「ああして見ると、戸部は良い身体してるな」

 

三浦「ま、そりゃサッカー部で鍛えてるしね」

 

八幡「羨ましいこって」

 

三浦「姫菜がいたら、色々妄想しそうな発言だね、ヒキオ」

 

八幡「やめろよ…戸部とか…戸塚なら大歓迎だが」

 

三浦「ちょ、本気できもいんだけど…」

 

八幡「俺のメンタルバーストですわ~」

 

三浦「たく…ていうか、もうそれネタとして放り込んでるでしょ?」

 

八幡「そうだな…三浦が返してくれないと逆に恥ずかしくなる」

 

三浦「なにそれ…!ヒキオ、あんたやっぱ変だわ」

 

八幡「失礼な奴だな…」

 

ザバザバ

 

八幡「足つかないところに来たな…地味に今の体勢がきついぞ…」

 

三浦「平気?もっとこっち寄れば?」

 

八幡「いや、それすると…」

 

八幡(近いから、顔近いからねあーしさん)

 

三浦「…」

 

三浦「ヒキオ、場所変わって」

 

八幡「へ?」

 

三浦「あんたが中入んの」

 

八幡「浮き輪の中か?」

 

三浦「そう」

 

八幡「三浦は?」

 

三浦「とにかく入って」

 

八幡「はいはい、場所変わればいいんだな」

 

ザバ~

 

 

八幡「で、どうすんだよ?浮き輪の端持ってるだけじゃしんどくね?」

 

三浦「だからこうすんの」

 

ダキ 

 

八幡「……はい?」

 

ギュー

 

八幡「…」

 

八幡(あれ~?あーしさん、俺に抱き着いて首に手を回してませんか?)

 

八幡「なにしてんの?」

 

三浦「見りゃわかんでしょ、抱きついてんのよ」

 

八幡(あ、やっぱり勘違いじゃなかったね)

 

八幡「な、ななななんのつもりだよ…!」

 

三浦「ヒキオ動揺し過ぎ…これだったら楽じゃん?あんたも浮き輪あるし重くないっしょ?」

 

八幡「いや…そりゃ重くはないけど…」(三浦元々軽そうだし)

 

三浦「じゃ、問題ないね」

 

八幡(俺の精神面で問題ありまくりですけどね?)

 

---------------

 

八幡(くそ…何分くらい経ったか…意識が引っ付いてる三浦に行ってしまう)

 

三浦「ヒキオさ~ジムでも通ったら?」

 

八幡「…なんで?」

 

三浦「鍛えてちょっとは男らしい身体になればって言ってんの」

 

八幡「ジムかよ……高いだろ」

 

三浦「安いコースもあるって、バイトでなんとでもなるし」

 

八幡「受験生でバイトかよ…」

 

三浦「いや、別に大学入ってからでもいいから」

 

八幡「大学か…」

 

バシャバシャ

 

八幡「受かってから考える」

 

三浦「なにその適当な答え」

 

三浦「つーか、あーしも一緒にやったげるからさ」

 

八幡「え?なに言ってんの?」

 

三浦「あーしもちょっとウエストやばいかな?とか思ったり」

 

八幡「女を敵にまわしそうな言い方ですねあーしさん…その腹で…」

 

八幡「というか、同じ大学行かないだろ俺たち」

 

三浦「だとしても、別に会うの簡単だし」

 

八幡「え?会うつもりなの?」

 

三浦「…」

 

八幡(あれ?黙ったぞ?)

 

三浦「ヒキオはさ…いや?こういうの」

 

八幡「こういうのというのは…今のこのグループってことか?」

 

三浦「ま、それでいいや」

 

八幡「そんなことねぇけど…」

 

三浦「あーしはさ…来年もこうやって馬鹿なことしたりとか飲み会行けたりしたらいいかなって思うんだよね」

 

八幡「……」

 

八幡「まあ…いいかもな」

 

三浦「ヒキオ…」

 

八幡「あの…とりあえず、離れませんかね?さすがに恥ずかしい…」

 

三浦「……」

 

三浦「今、あーしら周囲からどう見られてるかな?」

 

八幡(もうカップルがじゃれあってるだけにしか見えてないと思いますよ!)

 

八幡「いや…そりゃあれだ…見えるだけなら…あれだ」

 

三浦「ん?なんなん?指示語多すぎて全く伝わってこないんだけど?」

 

八幡「お前…絶対わかってるだろ…!」

 

三浦「ていうかヒキオっ!顔真っ赤じゃんっ!」

 

八幡「うぐぐぐぐ…っ!」

 

戸部「おしっ!いろはす~城完成したでっ。早速ビー玉でも転がして」

 

いろは「あれ…先輩たち…何やってるんですかね…」

 

戸部「ん?いろはす~声が低いよ…あ、なんか楽しげに泳いでるな~」

 

いろは「なんかくっついてるように見えるんですけど…」

 

戸部「…ヒキタニくん…」

 

 

三浦「いろは、こっち見てるっしょあれ」

 

八幡「へ?」

 

三浦「なんかすっごい凝視してない?」

 

八幡(うわ~戻りたくねぇ…)

 

八幡「どうしましょうかね、あーしさん」

 

三浦「あーし言うなって何回言わせんのよ」

 

八幡「とりあえず、俺から離れてくれません?」

 

三浦「却下」

 

八幡「なんで…?」

 

三浦「このままもっと沖の方まで行ってみる?」

 

八幡「それ、何もならないしな…結局戻らないとなんねぇし」

 

三浦「まあ、お腹も減ったしねぇ。戻ろうか」

 

八幡「あんま戻りたくないんですが…ほんとに」

 

三浦「言い訳考えてね。定番の焼きそば食べよ」

 

 

三浦「それじゃあ、飲もっか」

 

戸部「でもでも~、未成年だけど大丈夫なん…?俺達…」

 

三浦「見つかっている様子はないし、大丈夫っしょ」

 

いろは「一応、タイトスカートで大学生くらいには見えるようにはしてるんですが」

 

三浦「そうね…あーしは…どう?」

 

八幡「まあ、俺らも来年は大学だしな」

 

三浦「ヒキ夫は、疲れた顔してるから平気そう」

 

八幡(みなさんのプレッシャーのせいですけどね…)

 

戸部「いろはすいろはす、俺は俺は?」

 

いろは「戸部先輩はヤンチャに見えますね」

 

結衣「ええ~いろはすそれ酷いっしょー」

 

八幡「ま、大丈夫だろ…大学生ですってことで通せるだろうし」

 

三浦「世の中には20歳に見える30歳の人や、30歳に見える20歳の人もいるらしいから大丈夫っしょ」

 

いろは「えっと、じゃあですね…大学の飲み会ってことで…」

 

戸部「あ、それいいわ!…俺らももうすぐ経験するんだよな!」

 

三浦「来年の今頃じゃね、順調にいけば」

 

八幡「そうだな」

 

 

海の家

 

 

戸部「いや~最近は焼きそばも出さない所、増えてきたよね~」

 

八幡「そ、そうなのか…」

 

戸部「そそ、カフェスタイルとかで、焼きそばとかは減ってきてんだって」

 

八幡「ここは普通にあったな」

 

戸部「昔ながらの店だしね~俺は焼きそば派かな~」

 

いろは「せ・ん・ぱ・い」

 

八幡「な、なんだ…い、いろは…」

 

いろは「わたしの目を盗んで消えたかと思ったら~」

 

いろは「三浦先輩と海にしけ込んだりして~何してたんですか~?」

 

八幡「あの…痛いからね?膝蹴らないでね?」

 

三浦「ま、ちょっと普段は言いにくい会話とかね」

 

いろは「三浦先輩、思いっきり抱き着いてましたよね~?」

 

三浦「そりゃ、ヒキオがどうしてもって言うし~?」

 

八幡「はい?」

 

いろは「せ、先輩!三浦先輩に強要したんですか!?脅迫ですか?犯罪ですよ!」

 

八幡「いや、強要してねぇし…騙されんなよ」

 

 

三浦「ヒキオのくせに冷静とかムカツク」

 

 

八幡「言ってることおかしいって、あーしさん…」

 

戸部「いや~ヒキタニ君やべぇわ~優美子手玉に取るとかないわ~」

 

八幡「取られてるの俺だからね?むしろ」

 

いろは「三浦先輩とだけ泳ぐとかなくないですか?わたし共泳いでくださいよ~」

 

八幡「なんか、お前と泳ぐの色々恐いんだけど…」

 

いろは「どういう意味ですか~?」

 

八幡「だって、なんかちょっかいかけてきそうだし…」

 

いろは「こんな可愛い後輩にちょっかいかけれられるとか、役得じゃないですか」

 

八幡「自分で言うなよ、ほんと…」

 

 

三浦「つーか、二人だけみたいな会話しないでほしいんだけど?」

 

 

いろは「あれ~三浦先輩、ご機嫌斜めなんですか~?」

 

三浦「な…違うし…!」

 

戸部「いや~両手に花だけども…ちょっと怖いわ、一触即発だわ~」

 

いろは「それはそうと、先輩」

 

八幡「ん?て…」

 

いろは「はい、あ~ん」

 

八幡「いや、自分の焼きそばあるし…あと、麺類であ~んとか…」

 

いろは「ケチですねぇ先輩って…そんなんじゃモテませんよ」

 

八幡「ほっとけ…」

 

いろは「じゃあ、ちゃんとした食べ物ならOKってことですね!お弁当とか」

 

八幡「それ、前からしてるし…あと絶対9月以降にするつもりだよね」

 

三浦「あんたって、あ~んとかに憧れてんの?」

 

八幡「そんなわけあるか…あんなもん恥ずかしくて身悶えするレベルじゃねぇか」

 

戸部「ところで、この後どうするべ?」

 

八幡「なんか、城みたいなの作ってなかったか?」

 

戸部「おお、ヒキタニ君興味ある?なかなかうまく作れてさ~」

 

三浦「城なんてどうでもいいし、ビーチボールで遊ぶとか色々あんじゃん」

 

いろは「あ、いいですね~そうしましょうか」

 

八幡「ま、適当にやるか」

 

戸部「俺の作品も一回くらい見て行ってな~」

 

 

三浦「ほら、誰かとってっ!」ポ~ン

 

戸部「よっしゃ、任せろって!」

 

いろは「行きますよ、先輩っ!」

 

八幡「…はい?」

 

バン

 

八幡「ぐわっ!」

 

いろは「やった~!仕返しです~~!」

 

八幡「何の仕返しだよ…ビーチボールとはいえ、そんな勢いで返してくんな」

 

三浦「大丈夫?ヒキオ」

 

八幡「別にどうってことは…」

 

戸部「よ~し、次行くべっ!」

 

-----------------

 

いろは「先輩、先輩!こっちです~!」ザバザバ

 

八幡「なんだよっ?」

 

いろは「泳ぎましょうよ」

 

八幡「それは別にいいけど…て、うわっ!?」

 

いろは「へへ…どうですか?先輩」

 

八幡「どうって言われてもな…」

 

いろは「三浦先輩とあんなに引っ付いてたのに嫌なんて言いませんよね?」

 

八幡「い、言わないけどだな…なんかまずい気が…」

 

三浦「ヒキオ…」

 

八幡(ほら、あーしさんが睨んでますよ!?)

 

八幡「とりあえず離れようぜ、いろは。話はそれからだ」

 

いろは「駄目です、話はこのままで聞きます」

 

八幡「いや、マジでやばい気がするんだけどな…」

 

三浦「…」

 

戸部「さ~て、ビー玉転がしちゃうかな~」

 

八幡(戸部…!去って行くなよ…)

 

 

レジャーシートの上

 

 

いろは「あ~疲れましたね」

 

三浦「結構遊んだしね、ていうか海入ったからオイル意味ないし」

 

いろは「日焼けとかきついかもですね」

 

八幡(俺も焼けるな…)

 

戸部「いや~でもこういういいよね~やっぱ勉強ばっかじゃ捗らないし」

 

三浦「息抜きって意味?戸部はいつも抜いてるように見えんだけど」

 

いろは「そうですね~」

 

戸部「ひどくない?あと、いろはす声低い…」

 

 

いろは「あ、ところで…花火大会とかも行きません?」

 

八幡「この面子でか?」(去年は由比ヶ浜と二人で行ったか)

 

三浦「別にいいけど」

 

戸部「あ~俺、多分その日は予定あるわ~」

 

三浦「ん?あ~なるほど」

 

いろは「そりゃありますよね、戸部先輩は」

 

戸部「え、なに?」

 

三浦「姫菜誘って行くんでしょ?」

 

戸部「う…!なんでわかんの?」

 

いろは「そんなのわかりますよ!で、そのあとはお楽しみですよね」

 

戸部「…いろはす…」

 

八幡(戸部、かわいそうにな…)

 

 

三浦「一応言っとくけど、見られたら退学ものだから、注意しなよ」

 

戸部「え?それ前提?待って別に考えてないからね?」

 

いろは「え~戸部先輩へたれです~」

 

三浦「あれ?戸部って童貞だっけ」

 

戸部「…」

 

八幡「…」

 

いろは「先輩はそうなんですかね」

 

八幡「うるせーよ…」

 

いろは「戸部先輩が無理なら~わたし達3人で行きましょうか」

 

三浦「いいじゃんそれで」

 

八幡「あ、決定なんすね…なら…」

 

三浦「なに?」

 

八幡「戸塚呼んでもいいか?来れればだけど」

 

いろは「戸塚先輩ですか、いいですよ!」

 

三浦「いいよ、別に」

 

八幡(戸塚と花火大会か…おいおい、いいんじゃないか?)

 

電車

 

デデコーンデデコーン

 

 

八幡「あ~疲れた…」

 

三浦「ヒキオ、疲れすぎ」

 

八幡「マラソン大会でも葉山にやられたしな…」

 

三浦「それ比べる相手悪いし」

 

 

いろは「ちょっと早いですけど、今日はもう解散します?」

 

戸部「それがいいべ。明日に疲れ残っても困るし」

 

八幡「明日はデートか」

 

戸部「ちょ、ヒキタニ君何言うの~?」

 

八幡「図星か」

 

いろは「図星ですね~」

 

戸部「それじゃ、またね~」

 

いろは「花火大会楽しみにしてますね、先輩、三浦先輩も!」

 

タタタ

 

三浦「あーしらも帰る?」

 

八幡「そりゃな」

 

三浦「んじゃ、帰ろ」

 

八幡「……!」

 

ギュウ

 

八幡「なんで手をつなぐんですかね…?」

 

三浦「いいから歩けって」

 

スタスタ

 

三浦「ヒキオさ…」

 

八幡「…なんだ?」

 

三浦「今日、どうだった?」

 

八幡「…楽しかったな…」

 

三浦「そう、あーしも」

 

八幡「俺の場合は、普段あんな風に遊ばないからだけどな…」

 

三浦「あーしがよくやってるみたいな言い方だし」

 

八幡「行ってたろ?由比ヶ浜とか葉山達と」

 

三浦「まあ行ってたけどさ」

 

三浦「結衣や姫菜と行くのはいいんだけど…隼人の場合は少しね」

 

八幡「少し?」

 

三浦「あんまり地を見せられないっていうか…繕うっていうか…」

 

八幡「変なところ見せられないってことか?」

 

三浦「そういうこと…だからさ、純粋に楽しめたのかわかんなくてさ」

 

八幡「今日のお前、自然に笑ってたな」

 

三浦「見てたの?」

 

八幡「海で抱きついてた時とか…」

 

三浦「しっかり見てるじゃん」

 

八幡「2年の時、あんな顔見たことなかったしな、葉山の前でも」

 

三浦「あんた、意外と見てんのね」

 

八幡「当時のお前ら目立ってたしな」

 

三浦「ふ~ん」

 

八幡「去年の修学旅行では、お前は変わるのは困るみたいなことコンビニで言ってたけど」

 

三浦「そんなこともあったね」

 

八幡「まだ1年経ってないけど、かなり変わったな」

 

三浦「うん、でも悪くないかな…変わるのもさ」

 

八幡「いい方向ならいいけどな」

 

三浦「まあ、そうだけど」

 

 

雪ノ下「…」

 

結衣「ヒッキー?」

 

優美子「あれ?結衣じゃん」

 

八幡「あ…」

 

葉山「比企谷…」

 

 

結衣「あれ…手つないで…」

 

 

八幡「あ、いや…」パッ

 

 

三浦「ちょっと…!」ギュウ

 

八幡「お、おい……!」

 

三浦「なに?」

 

八幡(あーしさん…この状況で手を離さないんですか…?)

 

八幡(精神的にまた削られそうだ…)

 

雪ノ下「どこかへ行ってたみたいだけど」

 

三浦「だから、別に言う必要なくない?奉仕部関係ないことだし」

 

結衣「で、でも…手つないでるし…」

 

三浦「……」

 

 

葉山「格好からして、海かプールの帰りかい?」

 

八幡「海だな。別に二人で行ったわけじゃないぞ?戸部といろはと4人で」

 

葉山「めずらしい組み合わせだな」

 

八幡「俺もそう思う」

 

三浦「ヒキオ、わざわざ4人で行ったこと強調する必要なくない?」

 

八幡「いや、事実だし一応な」

 

三浦「あんたさ~」

 

 

八幡「というより、そっちもめずらしい組み合わせだな…」

 

葉山「ああ、これは…」

 

雪ノ下「葉山くんと遊んでいたのよ」

 

葉山「…」

 

八幡「へ?あ…そ、そうか?」

 

雪ノ下「ええ」

 

八幡(マジか?由比ヶ浜はともかく、雪ノ下が…)

 

雪ノ下「ね、由比ヶ浜さん?」

 

結衣「え?」

 

結衣「…う、うんまあ…そうかな」

 

 

八幡「そうか…」

 

三浦「…」ギュウ

 

八幡「なんか痛いんですけど、手が」

 

三浦「気のせいじゃん」

 

八幡(違うと思いますけどね)

 

葉山「時間があるなら、そこの帝国屋で話さないかい?」

 

 

帝国屋

 

結衣「えっと…飲み物くらいでいいよね~?」

 

八幡「そうだな」

 

三浦「あーしも、そんくらいでいい」

 

雪ノ下「私も構わないわ」

 

葉山「じゃあ、とりあえず注文を済ませようか」

 

………

 

 

八幡「で、話とかなんかあんの?」

 

三浦「隼人さ」

 

葉山「なんだい優美子?」

 

三浦「雪ノ下さんと仲良くなってたの?」

 

葉山「それを言うなら、結衣もじゃないか?」

 

三浦「結衣は前からあーしらと一緒にいたし」

 

三浦「でも雪ノ下さんと行動とかめずらしいと思って」

 

葉山「…」

 

八幡「マジか、葉山?」

 

葉山「そんなことないさ。君が心配してるようなことはないよ」

 

八幡「別に、心配とかしてねぇよ…」

 

三浦「本当に?」

 

八幡「あーしさん、怖いからね…睨まないでね」

 

 

結衣「まあ、隼人くんと遊んでたっていうのも違うかな?」

 

八幡「そうなのか?」

 

葉山「そうだよ、さっき偶然会って晩御飯を一緒にしただけさ。雪ノ下さんが意味ありげに言っただけだよ」

 

雪ノ下「……」

 

八幡「紛らわしい言い方すんなよ…」

 

雪ノ下「だって…」

 

葉山「それで?そっちはどうなんだい?」

 

八幡「なにがだよ?さっきも言ったが、戸部とかもいたしな」

 

結衣「手ずっと握ってたしっ!」

 

雪ノ下「そうね、とても仲がよさそうに見えたわ」

 

八幡「三浦もなんか否定してくれよ…」

 

三浦「なに?海であったこととか、懇切丁寧に説明しろって?」

 

八幡「それはやめてください」

 

 

葉山「まあ、これ以上聞くのも野暮かな」

 

八幡「そうだな…なんか精神が持ちそうにない」

 

八幡(葉山の奴笑ってるな…選択肢云々のことで笑ってんのか?)

 

 

葉山「優美子」

 

三浦「なに?隼人」

 

葉山「今…楽しいかい?」

 

三浦「まあね、隼人は?」

 

葉山「俺はそうだな…色々考えさせられる時期かな」

 

三浦「それはきっと罰かもね、今までの行動の」

 

葉山「確かに…俺はそんなにいい奴じゃないしね」

 

三浦「言えてる」

 

八幡「…」

 

三浦「なに見てんのヒキオ?キモいんだけど」

 

八幡「なんか吹っ切れたって感じか?」

 

三浦「さあ?なんのことかよくわからないけど」

 

三浦「あんたがそう思うんなら、多分正しいんじゃない?」

 

 

八幡「そうかよ」

 

葉山「6月のことは…すまなかった」

 

三浦「ここで謝られても困るし、第一謝るようなことでもないでしょ」

 

葉山「優美子…」

 

 

結衣「また、『ツーカー』会話してるよ」

 

雪ノ下「ええ『ツーカー』会話ね」

 

 

------------------------

 

カラン

 

葉山「疲れていたのに、時間とらせてしまったね」

 

八幡「俺は別にいいけどよ…」

 

三浦「…あーしも別に」

 

葉山「そうか、ありがとう」

 

葉山「それじゃあ、帰るかい?」

 

雪ノ下「比企谷くん」

 

八幡「なんだ?」

 

雪ノ下「変わって行くわね…コミュニティというのも」

 

八幡「そりゃそうだろ…奉仕部もな」

 

 

結衣「ちょっと寂しいかな…」

 

八幡「葉山の受売りで、『そういうのが変わったくらいで、人のつながりは変わらないよ』っていう名文句がなかったか?」

 

三浦「ぶふっ…!あはははは…!」

 

葉山「比企谷…それは今言うようなことかな?」

 

雪ノ下「葉山くんの名文句なことは置いておいて、そうかもしれないわね」

 

八幡「実際、奉仕部はないも同然だしな」

 

結衣「それでも勉強会してるしねっ!」

 

八幡「そういうこと」

 

 

三浦「…人のつながりか」

 

葉山「優美子」

 

三浦「なに?」

 

葉山「俺たちも以前の友人関係に戻れないかな?」

 

三浦「戻るもなにも…隼人、別に悪いことはしてないし」

 

葉山「そう言ってくれるのはありがたいけど、やはりきっかけがね」

 

三浦「じゃあ…別に戻ってもいいよ」

 

葉山「そうか、ありがとう」

 

三浦「でも…会う機会とか減りそうだけどね…」

 

葉山「それは仕方ないな、昔のグループも重要だけど、今のグループを大切にしないとね」

 

三浦「うん」

 

葉山「君の場合はそれだけじゃないと思うけど」

 

三浦「…隼人、それ以上言ったら怒るし」

 

葉山「わかってるよ………優美子、こんなに素を見せてたかな?」

 

結衣「それじゃ、またね!」

 

雪ノ下「さようなら」

 

葉山「それじゃ」

 

 

三浦「…あーしも、ここで帰るね」

 

八幡「ああ」

 

八幡「葉山と仲直りしたのか?」

 

三浦「少しね」

 

八幡「そっか、よかったな」

 

三浦「あーしとしても、いつまでも仲違いしてたんじゃ気持ち悪いし」

 

三浦「あとさ、ヒキオ」

 

八幡「なんだよ?」

 

三浦「雪ノ下さんや結衣に誤解されたかもね」

 

八幡「誤解って…」

 

三浦「ほら、手つないでるとことか見られたし?」

 

八幡「べ、別に誤解受ける関係じゃねぇだろ…」

 

三浦「そっぽ向いて言うなっての」

 

八幡「う、うるせ…」

 

 

三浦「あんたはさ…そういう関係とか興味ないの?」

 

八幡「へ?」

 

三浦「あーしとさ、付き合ったりとか…」

 

八幡「…」(すげぇドキドキさせてきますね、今日のあーしさん…)

 

八幡(ホント、破壊力ヤバいですからね?)

 

 

三浦「な~んて、冗談だし」

 

八幡「冗談かよ…やめてくれよ…心臓に悪い」

 

三浦「ドキドキしたっしょ?」

 

八幡「しらねぇよ…」

 

三浦「その反応だけで十分だし」

 

八幡「くそ…もう帰る」

 

三浦「拗ねなくてもいいじゃん」

 

 

スタスタスタスタ

 

 

それから日が経ち 花火大会にて

 

 

いろは「けっこう賑わってますね~」

 

八幡「正直暑苦しい…」

 

戸塚「僕も参加してよかったの?」

 

八幡「当たり前だろ、何言ってんだ」

 

三浦「ヒキオ、必死過ぎ」

 

いろは「キモイですよ、先輩☆」

 

八幡「そんな眩しい笑顔で言わないでね」

 

戸塚「賑やかで楽しそうだね」

 

 

三浦「つーかヒキオさ、あーしの浴衣姿見て、なんか言うことないん?」

 

いろは「わたしも言われてないですよ~?」

 

八幡「似合ってるとは思うが…なんて言えばいいんだ?」

 

三浦「うわ…そんだけ?」

 

いろは「先輩…それは駄目ですよ…」

 

八幡「本気で引かれたよね…?」

 

戸塚「今のは八幡が悪いよ」

 

八幡「戸塚まで…」

 

いろは「あ、たこ焼き売ってますよ~買いましょうか」

 

八幡「関西じゃないのに、たこ焼きか」

 

三浦「最近はやたらタコが大きなたこ焼きが、関東圏にあんだって」

 

八幡「マジか?」

 

戸塚「タコ一匹、丸ごと入ってるっていう店もあったらしいよ」

 

八幡「どうやって入れるんだよ…サイズが凄いことになるだろ」

 

戸塚「タコそのもののサイズが小さいっていうオチなんだ。一匹丸ごとの形はしてるっていう」

 

八幡「コントかよ」

 

戸塚「本当にあったのかは知らないよ」

 

 

いろは「買いました~」

 

いろは「はい、先輩。あ~ん」

 

八幡「お前ね…」

 

いろは「これだったら、普通じゃないですか~?ほらほら~」

 

八幡(くっ…いろはす、もう目の前に持ってきてるし…周りの目も痛いし…)

 

戸塚「羨ましいね、八幡」

 

いろは「ほら~早くしてくださいよ、わたしも恥ずかしいんですから」

 

八幡「恥ずかしいならすんなよ」

 

三浦「ヒキオ…あんた、まさか食べる気じゃないよね?」

 

八幡「いや…この状況が長引くのは色々恥ずかしいだろ…?」

 

三浦「そうやって、都合良く理由つけてんだ」

 

八幡「ち、違う…」

 

いろは「ほら、先輩!」

 

八幡「く、仕方ないっ」パク

 

 

モグモグ

 

 

いろは「どうですか?おいしいですか?」

 

八幡「熱いな…」

 

いろは「あ、すいません。ふ~ってした方が良かったですね!」

 

八幡「いや…そんな問題じゃないから…うっ」

 

三浦「……」

 

八幡(もう、後ろ向けませんよこれは……)

 

戸塚「あはは、八幡も災難だね…楽しそうだけど」

 

戸塚「でも、こういう雰囲気いいよね」

 

八幡(俺はこうやって、戸塚と歩けるのならどこでもいいけどな。あれちょっとキモイか?)

 

八幡「4人くらいならいいけどな、去年は2人だったし、緊張したし…」

 

戸塚「え、それって…」

 

八幡「ああ、由比ヶ浜と…」

 

戸塚「あ、八幡…」

 

八幡「え…」

 

三浦「ふ~ん、結衣とね…」

 

八幡「いや、去年の話だし」

 

三浦「二人で行ったんだ~へぇ~」

 

八幡(さっきのこともあるし…不機嫌さが増してるような)

 

いろは「そうなんですね~楽しかったんですね~!」

 

八幡「あのな…その時は陽乃さんにも会うし、あんまいいことなかったぞ?」

 

八幡(それと相模にも会ったんだったか?)

 

 

いろは「あ…先輩、あれって…」

 

八幡「ん?」

 

 

三浦「あれ…相模じゃん」

 

相模「え…?み、三浦…さん?……比企谷も…」

 

八幡(相模と…取り巻き女二人か…すげぇタイミングだな)

 

八幡「おう」

 

相模「あ……三浦さん達と来てたんだ…去年も会ったっけ?」

 

八幡「まあな」

 

三浦「…」

 

いろは「あ~!この人ですよねっ!先輩の悪口、校内にばらまいた人って…!」

 

相模「っ…!」

 

八幡(うわ…!いろは、容赦ねぇな…)

 

三浦「あんたらも来てたんだ、奇遇だね」

 

相模「う、うん…うちも驚いちゃった…」

 

八幡(相模さん、泣きそうな顔になってますな…)

 

いろは「…」

 

相模「あ、ごめん、うちもう行くね…!」タタタ

 

 

八幡「行っちまったな」

 

三浦「ま、どうでもいいし」

 

八幡(なんか去年とは立場逆というか…むしろ逆になってマイナスまで行ってたな…)

 

-------------------

 

ドーンドーン

 

戸塚「あっ!花火始まったみたいだよっ!」

 

いろは「人が本当に多いですよね…」

 

三浦「ま、屋台で楽しめたし、花火は遠くからでもいいじゃん」

 

八幡「お前、射的とか上手いよな」

 

三浦「まあね、商品としてこのマスク貰ったしね」

 

八幡「それ、スクレームの殺人鬼のマスクじゃねぇか…ちょっと古いし」

 

三浦「この前、借りて見たんだけどさ、このマスクけっこう好きなんだよね」

 

いろは「能面みたいなマスクですよね…ちょっと怖いです…」

 

戸塚「普通、そんなのないよね」

 

八幡「店主の趣味かなんかか?」

 

 

八幡(ん…あれは…A君か?)

 

八幡(どうも隣の女子と来てるみたいだな…)

 

八幡(あ、こっちに気づいたか?なにか笑っているようにも見えるが…)

 

八幡(三浦に気づいて目を逸らしたな…かわいそうに…)

 

八幡(戦友に会った感じだ…)

 

 

三浦「どしたん、ヒキオ?」

 

八幡「いや…お前って罪な女だよな…」

 

三浦「意味わかんないし」

 

八幡「こっちの話だ…」

 

三浦「ま、いいけど、はいこれ」

 

八幡「イカ焼きかよ…」

 

三浦「あ~んしな」

 

八幡「……マジで?」

 

三浦「マジで」

 

パク

 

八幡「すげぇ恥ずかしいんですけど…」

 

三浦「それは、あーしも同じだし?」

 

八幡「じゃあ、しなきゃいいのに…」

 

三浦「そういうわけにもいかないっての、あ、これおいしいね」モグモグ

 

八幡「それ、俺が食ったイカ焼き…」

 

三浦「それが?」

 

八幡「いや、なんでも…」

 

三浦「間接キスくらいどうってことないでしょ」

 

八幡「お前がいいならいいけど…て、気づいてるし」

 

三浦「あんたの焦った顔、見るの楽しいし」

 

八幡「性質悪いな、あーしさん…」

 

戸塚「八幡~こっちだよ~」

 

八幡「戸塚が呼んでるなっ」

 

三浦「反応し過ぎだっての」

 

いろは「戸部先輩と海老名先輩を発見しました、からかいに行きましょうっ!」

 

三浦「うわ…いろはの奴…ひどいこと考えるし」

 

八幡「あいつ、なかなか怖いからな…」

 

三浦「とりあえず、行こ」

 

八幡「わかった」ギュ

 

三浦「あ…」

 

八幡「な、なんだよ……まずかったか?」

 

三浦「ううん、そんなことない」

 

スタスタ

 

 

八幡(3年最後の夏…今までとはずいぶん違う形で過ごしてるな)

 

八幡(俺と三浦といろはが固定で…あとは誰かが入る)

 

八幡(卒業までは、少なくともそんな感じでいきそうだな…)

 

八幡(卒業してからは…正直どうなるかわからん…)

 

八幡(三浦と来年や再来年の夏も何かやってるのか…)

 

八幡(でも、そういう未来も悪くないんじゃないかって思える俺がここにいるな…)

 

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6月 大学の図書室

 

 

八幡「先に一般教養さくっと終わられた方がいいよな」

 

三浦「ん?そうなん?ヒキオが言うならそうじゃない?」

 

八幡「人任せな奴だな」

 

三浦「そっち方面はあんたに任せるし」

 

八幡「役割分担ってやつか」

 

三浦「ま、そんなところ」

 

八幡「地理とか世界史なんかは1~2問しか出ないし、問題は数的推理と判断推理だな」

 

 

三浦「その2つは高校であんましないよね」

 

 

八幡「だから重点的にやれば点数も上がるし、そもそも出題数が多いな」

 

三浦「難しいの?やっぱ」

 

八幡「俺たちが受けるのは、国家Ⅱ種、地方上級クラスだしな…」

 

八幡「難易度的には、前見た感じセンター試験問題くらいかな」

 

三浦「「そんなくらいなんだ」

 

八幡「まあ、範囲広いし難問もあるけどな」

 

 

三浦「難問って基本間違えるの前提だしね」

 

三浦「あと専門科目が面倒なんだけど…」

 

八幡「分量だけでも一般教養より多いからな」

 

三浦「マクロ、ミクロ辺りがキツイし…」

 

八幡「だから、今のうちに始めて正解かもな」

 

三浦「うん」

 

 

三浦「でもさ…」

 

 

八幡「なんだよ?」

 

 

三浦「ヒキオと同じ大学通うようになっただけでも驚きなのにさ…まさか、二人で公務員試験目指すことになるなんて思わなかった」

 

八幡「…俺もだ」

 

三浦「つい、1年前なんてあーしが隼人に振られたときだよ」

 

八幡「あれ、まだ1年前なんだな…もっと前な気がするな」

 

三浦「でしょ?色々変化あったしね」

 

三浦「隼人、元気にしてるかな」

 

八幡「葉山ね…東京の大学行ったんだろ」

 

三浦「そうだけど…あんたね…」

 

八幡「ん?」

 

三浦「そこは俺といる時に、他の男の話すんなって嫉妬するとこでしょ」

 

八幡「いや…意味わからん。葉山の名前出しただけで嫉妬とか…どんだけだよ」

 

三浦「空気読めない奴…」

 

八幡「あれ?なんで蔑まれてるんですかね?」

 

 

八幡(俺達が大学に上がって、既に2か月以上が経過していた)

 

八幡(季節は6月…三浦と本当の意味で知り合いになって、ちょうど1年か)

 

八幡(いきなりA君の席に押しかけてきたときは驚いたが…)

 

八幡(俺はそこそこ学力の高い大学に進学した。ちなみに国公立)

 

八幡(5教科7科目だし苦労したよ?数学関係が…)

 

八幡(で…たまたま三浦も狙ってた大学が同じみたいで…二人共勉学の末、現役合格できましたとさ)

 

八幡(まあ…距離的に、自宅から通えなくもないが…一応、一人暮らしをさせてもらってる。というか追い出されたのか?)

 

八幡(仕送りはしてくれてるけどね…)

 

八幡(他の同級生もそれぞれ大学に通ってるみたいだが…)

 

三浦「雪ノ下さんも東京の大学行ったよね」

 

八幡「ん…まあな」

 

 

三浦「もしかして、隼人と付き合うとか?」

 

八幡「いや、そりゃないだろ」

 

三浦「なんで?」

 

八幡「雪ノ下、本格的に葉山のこと嫌ってるみたいだったしな…」

 

八幡「どう転んでも付き合うなんて選択肢は、出てこないだろ」

 

三浦「…あっそ」

 

 

八幡「どした?」

 

三浦「別に…」

 

 

三浦「あとさ…結衣からラインとか来るんだけど…」

 

三浦「ヒキオの様子聞いてくる内容が多いんだけど、どうなってんの?」

 

八幡「俺に聞かれても困るんだが…」

 

三浦「なんか腹立つんだけど?」

 

八幡「なんで…?」

 

三浦「なんとなく」

 

三浦「最近、結衣と会ったりしてないっしょ?」

 

八幡「そりゃ、大学違うしな…」

 

三浦「ならいいんだけど」

 

八幡「いいのかよ」

 

 

三浦「今日あんたバイトは?」

 

八幡「今日はない」

 

三浦「ふ~ん、じゃあ…」

 

八幡「じゃあ?」

 

三浦「今日は、これからヒキオの家行くし」

 

八幡「はい?なんですか急に」

 

三浦「だから、あんたの家行くし」

 

八幡「もう決定ですかね、それは…」

 

 

街中

 

スタスタ

 

八幡「晩飯をうなぎにしたのはちょっと豪勢だったな…」

 

三浦「ま、いいんじゃない?たまにはね、あーしら大学入っても勉強漬けだし?」

 

八幡「俺の奢りなんですけど…二人分で5000円飛んだし…」

 

三浦「バイト代出たんでしょ?だったらいいじゃん」

 

 

八幡「お前はバイトしないの?」

 

三浦「飲食店のバイトでも考えてるけど…あんたコンビニでしょ」

 

八幡「まあな」

 

三浦「ヒキオ、場所教えないよね」

 

八幡「言ったら、絶対来るだろお前ら…」

 

三浦「大体の場所はわかってるけどね…今度行くし」

 

八幡「やめてくださいね」

 

 

八幡「ところで…本当に来るのか…俺の部屋…」

 

三浦「前も行ってるじゃん」

 

八幡「あの時は、いろはも戸部も戸塚もいただろ」

 

三浦「あ~二人きりっていうのがまずいってわけ?」

 

八幡「う…だってよ…その…」

 

三浦「ま、大丈夫でしょ。あんたは嫌なん?」

 

八幡「そ、そんなことはねぇけど…」

 

三浦「じゃあ、いいでしょ。ところでビールあんの?」

 

八幡「以前に陽乃さんが大量にくれたからな…」

 

三浦「最近は色々うるさいしね、宅飲みで我慢って感じ?」

 

八幡「いやいやいや…」

 

 

八幡のアパート

 

ガチャ

 

八幡「ただいま~って言っても誰もいないけど」

 

三浦「お邪魔します…結構綺麗にしてるじゃん」

 

八幡「そりゃな、自炊とかもしなきゃならんし」

 

三浦「してんの?料理?」

 

八幡「いや…チャーハンとか」

 

三浦「それ料理じゃないでしょ」

 

八幡「さすがにそこまでする気力がないんだよ」

 

三浦「まあ、わかるけど」

 

三浦「講義受けて、図書室で勉強して帰るとか…大学生は暇ってのは都市伝説だし」

 

八幡「まあ、俺らの場合はな」

 

三浦「あとバイト始めたら、それもプラスか~」

 

八幡「国家Ⅱ種の1次試験で8割くらいの得点目指すなら余裕持ってやっといた方がいいだろ」

 

三浦「といってもあと3年後くらいでしょ?」

 

八幡「だから余裕持ってやってるんだろ」

 

三浦「はいはい、んじゃヒキオ、ビールビール」

 

八幡「へーいへい」

 

 

プシュ

 

三浦「じゃ、乾杯」

 

八幡「はい、お疲れ様でした」

 

ゴン

 

三浦「ジジ臭いってヒキオ」

 

八幡「お前に言われたくねぇよ」

 

 

三浦「あ~でもさ、あれだよね。あーしらが公務員とかさ」

 

八幡「似合わないよな」

 

三浦「ヒキオはまあ…わかるけど、あーしが公務員か…信じてもらえないっしょ」

 

八幡「お前、もっと派手な職についてそうだもん」

 

三浦「たとえば?」

 

八幡「美容院?」

 

三浦「なるほね」ゴクゴク

 

八幡「あとは…保母さんとか?」

 

三浦「はあ?あーしが」

 

八幡「面倒見がいい印象あったしな」

 

三浦「褒めても何もないよ」

 

八幡「わかってるっての」

 

 

八幡「でも、公務員でよかったのか?」

 

三浦「え…?まあ、たまたまヒキオも受けるとか言うし?いいかなとか」

 

八幡「はあ…」

 

三浦「ていうか、あんたは?専業主夫が夢とか言ってなかった?」

 

八幡「あれから平塚先生に現実教えられまして…」

 

三浦「だろうね」

 

八幡「少しでも楽な…じゃなかった、時間が取りやすい仕事と考えたわけだ」

 

三浦「発想が同じじゃん、公務員楽じゃないだろうし」

 

八幡「わかってる、その辺りは」

 

三浦「ん…あ、もう一本」

 

八幡「はやっ」

 

 

八幡「ところで、あんま飲むなよ?帰りきついぞ?」

 

三浦「あ、大丈夫だって」

 

八幡「なんで?」

 

三浦「明日休みじゃん?」

 

八幡「へ?お、おいまさか」

 

三浦「今日泊まるし」

 

八幡「は…お前何言ってんだ…?」

 

三浦「大丈夫でしょ?明日休みだし」

 

八幡「それは聞いたし、そういう問題じゃねぇだろ…」

 

三浦「いいじゃん泊めてくれたって、なんか問題あんの?」

 

八幡「あのな…付き合ってるわけでもないのに」

 

 

三浦「……」

 

 

八幡「だからな…ん?三浦?」

 

三浦「そんなハッキリ言わなくてもさ…そりゃ付き合ってないけど」

 

八幡「お、おう…ごめん」

 

八幡(すげぇ落ち込んでないか?あーしさん…)

 

三浦「……」

 

八幡「だから、その、間違いが起きるかもしれないし」

 

三浦「別にいいし」

 

八幡「ええっ?」

 

三浦「もしも、そういうこと起きてもさ、別にいいっていうか」

 

八幡「ま、マジかよ…?」

 

三浦「ヒキオのことは信用してるし、そういうのしないって思ってるし」

 

八幡「あ、ありがとう?」

 

八幡(信用してくれてんのね。いや、なにもしませんよ?多分…)

 

三浦「信用してるけど、それでも間違いが起こったら、それは仕方ないかなって…」

 

三浦「ヒキオだったらっていうか……ま、そんな感じ」

 

八幡(どんな感じなんですかね?ていうか、あーしさん誘ってませんか?これ)

 

八幡(え、なに?襲えってこと!?)

 

八幡「まあ、話はわかったけど…着替えとかは?」

 

三浦「も、持ってるし」

 

八幡「泊まる気だったな、お前…」

 

三浦「し、知らない…」

 

八幡「お、俺は自己保身とか自信あるし?その辺りは大丈夫かな…うん」

 

三浦「へたれだしね、あんた」

 

八幡(襲いたい、その笑顔)

 

八幡「泊まって行くの?マジで?」

 

三浦「あんたが嫌って言うなら、諦めるけど」

 

八幡「はあ、わかったよ」

 

三浦「ありがと」

 

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チッチッ

 

三浦「ねえ、あんたさ」

 

八幡「ん?って、勝手にスマホいじるなよ」

 

三浦「いいでしょ、電話帳の名前増えてるし」

 

八幡「いや、大学の友達とかだし、当たり前だろ」

 

三浦「4月の一泊移住の時?新入生の全員参加の」

 

八幡「あの時とか色々」

 

三浦「ぼっちのくせにやるじゃん」

 

八幡「誰がぼっちだ。この前それ言ったら、由比ヶ浜に怒られたし」

 

三浦「なんか想像できる」

 

三浦「『ヒッキー、もうぼっちじゃないよ!』とかそんな感じでしょ?」

 

八幡「まさしく」

 

三浦「あーしのおかげで、少しは見た目も改善されたしね」

 

八幡「へいへい、あーしさん様様ですよ」

 

三浦「ディスってる?」

 

八幡「感謝はしてます。服とか選んでくれたりとか」

 

三浦「よろしい」

 

三浦「でも、あーしの知らない女もいない?」

 

八幡「偶然…だな」

 

三浦「ふ~ん、偶然ね」

 

八幡「ていうか、三浦も友達できただろ?」

 

三浦「まあ、できたけど?」

 

八幡「男友達もいるだろ?同じじゃね?」

 

三浦「…」

 

三浦「あんたとあーしじゃ違う気がすんだけど」

 

八幡「どういうことだよ…」

 

三浦「ま、いいや」

 

八幡「自己完結すんなよ」

 

三浦「あと、あんたは…」

 

八幡「今度はなんだよ?」

 

三浦「いろはと仲良くし過ぎ」

 

八幡「あれは…あいつはスキンシップとか過剰なんだよ、知ってるだろ」

 

三浦「絶対それだけじゃないし、この前来た時もイチャイチャイチャイチャ……」

 

八幡(泊りに来たあーしさんが何言ってるんですかね)

 

三浦「いろはと付き合ってるとかないよね?」

 

八幡「ないない」

 

三浦「ならいいけど…」

 

八幡「安心したか?」

 

三浦「バ~カ」

 

 

八幡「そろそろ寝るか?」

 

三浦「ん…そうしよっか」

 

八幡「三浦けっこう飲んだと思うけど、素面だな」

 

三浦「ビールくらいならいけるし、でも少し酔ってるかも」

 

ガバ

 

八幡「な、なんだよ…抱きついてくんなよ…」

 

三浦「こういうのなんか良くない?」

 

八幡「こういうのって?」

 

三浦「一人暮らしの友達の家に泊まるとか」

 

八幡「はあ…」

 

三浦「馬鹿な会話したりさ、麻雀とかしたり、お酒飲んだり…」

 

三浦「大学生の特権みたいな?」

 

八幡「そういうのに憧れてたのか?意外だな」

 

三浦「そういうわけじゃないけど」

 

八幡「言おうとしてることはわかるが、俺達は友達同士というか…その」

 

三浦「やってること、恋人同士と同じだしね」

 

八幡「先に言われたよ」

 

三浦「あとはあんたの言葉一つだけなんだけど」

 

八幡「……」

 

 

三浦「否定しないってことは、脈はあるよね?」

 

八幡「も、もちろん…」

 

三浦「ていうかここまであーしに言わせて、他の子と付き合ったら多分立ち直れないけど…」

 

八幡「他の子っていうのが誰かわかりませんが…」

 

三浦「嘘つけ」

 

八幡「うぐ……」

 

 

ピンポーン

 

三浦「…」

 

八幡「…」

 

 

三浦「誰?こんな時間に…」

 

八幡「わかんね…」

 

三浦「雰囲気とかぶち壊しだし」

 

八幡「悪い…ちょっと出て来るな」

 

三浦「わかった」

 

 

八幡「はい?どちら様ですか?」

 

いろは「せんぱ~い、開けてください~」

 

八幡「…」

 

八幡「…へ?」

 

いろは「早く開けてください~」ガチャガチャ

 

八幡「へ…なんで?」

 

ガチャ

 

いろは「こんばんは~先輩!」

 

八幡「なんでいんの?」

 

いろは「今日来るって言ったじゃないですか~~!」

 

八幡「いや聞いてないし…そもそもこんな時間に来るなよ」

 

いろは「そうでした、ついさっきメールで言ったんです」

 

八幡「それ言ったことにならないからね…絶対」

 

いろは「ま、いいじゃないですか~入りますよ」

 

八幡「い、いや馬鹿…なに言ってんだ…!」

 

いろは「馬鹿って失礼です~!」

 

ズカズカ

 

八幡「あ、おい…!」

 

三浦「ヒキオ、どうしたん?…て、いろは?」

 

いろは「三浦先輩!?なんでここにいるんですか!?」

 

三浦「いやこっちの台詞だし…」

 

八幡(なんか嫌な予感が…)

 

三浦「どういうこと?」

 

八幡「あ、あのね…?」

 

いろは「わたし以外も呼んでたんですね…先輩」

 

三浦「は?どういうこと?ちょっとヒキオっ!」

 

八幡「いろは…その発言誤解生むからな…」

 

八幡(しまった…三浦にさっさと言っておけばよかったか…)

 

三浦「料理?」

 

八幡「ああ、いろはに教わり始めたというか…」

 

いろは「わたしが通い妻してたわけで~」

 

三浦「へ、へえ…!」

 

八幡(うわ、こわ…!一気に酔い醒めたよ…)

 

八幡「自炊の話しただろ?あれの関係だよ」

 

三浦「いろはが来てるとか行ってなかったよね?」

 

八幡「いや、忘れてたというか…そこはいいかなと」

 

三浦「それで言わなかったんだ」

 

いろは「つまり、わたしの方が先に先輩との二人きりの空間を確立してたことになりますね」

 

三浦「…」

 

八幡「いろはす、そういうこと言うのやめようね?俺の明日がなくなるから」

 

三浦「あんたは明日の心配よりも、今日の心配でしょ」

 

八幡「そ、そうですか…」

 

いろは「でもどういうことですか?酒盛りして…て、泊まるつもりだったんですか?三浦先輩」

 

三浦「そうだけど?」

 

八幡(あ…あーしさんのターンの予感)

 

いろは「ええ~~!ど、どういうことですか?先輩!」

 

八幡「いや…なんて言えばいいのか」

 

三浦「あーしとヒキオ付き合ってるし、別に不思議じゃないでしょ」

 

いろは「え……!」

 

八幡「……!」

 

八幡(あれ?そうだっけ?まあ…さっきの会話はそういうことかな?あれ~?)

 

いろは「うそ…」

 

三浦「ホントだし?ていうか、二人で公務員試験目指してる時点でわかるでしょ」

 

いろは「それは…思ってましたけど…まさか、今日言われるとは思いませんでした」

 

三浦「まあ、付き合ったのさっき?ていうか、気持ちがわかったっていうか」

 

八幡「……」

 

三浦「ヒキオ?付き合うってことでいいよね?あーしと」

 

八幡「そうだな…わかった」

 

三浦「元々、あんたが通い妻とか許してる時点で、いろはに希望見せてるし」

 

八幡「それは、悪かった…」

 

いろは「…」

 

三浦「なんか言うことないん?いろは?この大馬鹿に」

 

いろは「別にないですよ?先輩が三浦先輩のこと好きなのわかってましたし」

 

いろは「二人が付き合うのは自然の流れかなって…」

 

八幡「いろは…」

 

三浦「…」

 

いろは「わたし、このコミュニティ好きですもん。だから…別に先輩が…どうこうじゃなくて…」

 

三浦「無理しなくていいよ…」

 

いろは「だ、大丈夫ですよ……先輩とは…付き合えなくても…ひぐ…いい……」ポロポロ

 

三浦「あ~泣くなって、いろは」ダキ

 

いろは「だ、だって……別に…う、うぐ…」

 

いろは「だ、だって~~~!わ~~~~!」

 

三浦「ほんと…ごめんね」

 

 

いろは「……」

 

三浦「落ち着いた?」

 

いろは「…はい」

 

いろは「見苦しいところ見せちゃいましたね…」

 

八幡「いろは…ごめんな」

 

いろは「別に先輩が謝ることじゃないですよ」

 

ゴシゴシ

 

いろは「よしっ!」

 

三浦「?」

 

いろは「わたしも今日泊まりますからねっ!」

 

八幡「な…本気かよ…」

 

いろは「もちろんです~!」

 

三浦「着替えあんの?」

 

いろは「ないですよ?」

 

三浦「じゃ、あーしの使いな」

 

いろは「わかりました、ありがとうございます」

 

 

八幡「あれ?泊まるのは確定なの?」

 

 

 

 

 

 

三浦「ヒキオ、風呂借りるよ」

 

八幡「いいけどよ…」

 

いろは「じゃあ、一緒に入りましょうよ三浦先輩!」

 

三浦「いいよ」

 

三浦「はい、これパジャマ」

 

いろは「ありがとうございます、あれ…でもそれじゃあ…」

 

八幡「あれ?お前の服は?」

 

三浦「下着の替えは複数あるし平気」

 

八幡「服は?」

 

三浦「あんたの服なんか貸して」

 

八幡「そういうことか、てっきり下着姿で寝るのかと思った」

 

三浦「今付き合ったばっかで、そんなサービスするか」

 

八幡(あれ?じゃあ時間経てばいいの?)

 

八幡「ジャージでいいか」

 

三浦「いいよ別に」

 

 

 

いろは「じゃあ、お風呂借りますね、先輩」

 

八幡「おう」

 

三浦「覗たらどうなるかわかるよね?」

 

八幡「覗かねぇよ…」

 

八幡「ちなみに…」

 

三浦「ん?」

 

八幡「三浦一人の時はいいのか?」

 

三浦「…」

 

 

三浦「勝手にすれば?」

 

八幡「いいのかよ…」

 

三浦「も、もう入るし」ピシャ

 

八幡「三浦さん、破壊力高すぎませんかね色々と」

 

 

三浦「やっぱ二人だと少し狭いね」

 

いろは「でもいい感じで身体くっついていい感じですよ」

 

三浦「なに恥ずかしいこと言ってんのあんた?」

 

いろは「三浦先輩、照れてるんですか~?」

 

三浦「いや、照れてないし」

 

いろは「でも~三浦先輩スレンダーですね~」

 

いろは「しかも、胸とか大きいですし」

 

三浦「そ、そう?あんがと。あんたもさ…綺麗じゃん」

 

いろは「わたし胸ないですもん」

 

三浦「あーしも結衣見てるとさ~」

 

いろは「わかります、それ…」

 

 

八幡「聞こえて来るな…なんて会話してるんだ…」

 

八幡「心臓に悪いっての」

 

 

いろは「えいっ!」サワサワ

 

三浦「ちょっ…どこ触って…!」

 

いろは「三浦先輩柔らかいですっ!」

 

三浦「わかったから、離れて…あっ…」

 

いろは「この身体も先輩の物になっちゃうんですね~」

 

三浦「いや、まだ身体許してないし…あん…ば、ばか…くすぐったい…」

 

いろは「でも時間の問題じゃないですか~えいえいっ」

 

三浦「い、いろは…!もう、許してって…ちょ…!」

 

 

八幡「…」

 

八幡「覗いても許してくれるかな?」

 

八幡「大丈夫だよな?」

 

八幡「これ、あの二人が悪いですよね?」

 

 

いろは「上がりました~」

 

三浦「あーしも」

 

八幡「…」

 

三浦「ヒキオ~」

 

八幡「なんだよ…?」

 

三浦「このジャージとか大きいんだけど」

 

八幡「当たり前だろ、俺のだし」

 

八幡(風呂上がりの三浦がなんとも…まずい…なんか色々まずい…)

 

三浦「あんたも入ってくれば?」

 

八幡「…そうする」

 

 

ザバーン

 

八幡「ふう…やばいぞ…持つよね?俺の理性…」

 

八幡(三浦は彼女?だし…まだいいとして…いろはにまで手を出したら…)

 

八幡(八幡的に大ピンチじゃねぇか…小町に愛想尽かされるってレベルじゃねぇ)

 

八幡「といっても、あの部屋広くないしな…寝る場所どうしよう?」

 

八幡「まあ、ベッドに二人寝てもらって、俺が床にタオルなり掛けて寝ればOKだな」

 

八幡「それならなんとか…なるよな、多分」

 

 

八幡「ふう…」

 

 

いろは「あ、せんぱ~い!」

 

八幡「ん…?」

 

八幡(あれ?机が端になってるのは分かるけど…)

 

八幡(なんで床にタオル2枚…?)

 

三浦「あんたさ~余分な毛布とかないん?」

 

八幡「買ってないからな…あれこれどういう寝方すんの?」

 

三浦「あーしとあんたは床で、いろはがベッド」

 

八幡「…へ?」

 

三浦「やっぱ後輩だし?あーしとしても迷惑かけちゃったし?いろはには」

 

いろは「三浦先輩、そう言っておいて先輩と寝たいだけなんですよ」

 

三浦「ち、違うし…!」

 

八幡「三浦…」

 

三浦「違うって!いろはが勝手に言ってるだけ!」

 

いろは「三浦先輩、顔凄いことになってますよ~」

 

三浦「も、もう寝るよっ!」

 

八幡「寝ようぜ」(早く寝て落ち着こう…)

 

 

チッチッチッ

 

 

いろは「すぴ~~~~~」

 

いろは「ふが~~~~」

 

八幡「…」

 

三浦「…」

 

八幡「三浦…起きてるか?」

 

三浦「うん…起きてる」

 

いろは「ふご~~~~」

 

 

八幡「いろは、イビキうるせぇ…」

 

三浦「意外…」

 

八幡「寝にくいな…」

 

三浦「うん…ねえ」

 

八幡「なに?」

 

三浦「あーしら、恋人になったんだね」

 

八幡「お、おう…」

 

三浦「なんか不思議」

 

八幡「あんまり、今までと変わらないだろ?」

 

三浦「変わることも多いって」

 

八幡「そうか?」

 

三浦「まず…」

 

八幡「言わなくてもいいって、なんとなくわかるから」

 

三浦「ならいいけど」

 

三浦「でもヒキオと恋人関係になるとか…1年前のあーしが知ったら驚くだろうね」

 

八幡「だろうな…」

 

 

三浦「そうでもないかも、あんたのことあの時から別に嫌いじゃなかったし」

 

八幡「そうなのか?」

 

三浦「うん、一目置いてたし…2年前のあーしなら卒倒してたかな」

 

八幡「うわ…想像できるな、それ」

 

三浦「たった1年とかでこんなに変わる時もあんだね」

 

八幡「そうだな…」

 

 

三浦「ねえ、ヒキオ」

 

八幡「なんだ?」

 

三浦「好き」

 

八幡「あ、ああ…俺も、その…」

 

三浦「そこははっきり言いな、へたれ」

 

八幡「うるせぇ…俺も、好きだぞ」

 

三浦「嬉しい」

 

八幡(これは…もうすぐにでも蒲団で悶えたい…うわあああああ!)

 

三浦「寝るね」

 

八幡「あ、ああ…お休み」

 

 

 

いろは「ん…ふあ…」

 

八幡「…」スヤスヤ

 

三浦「…ん…ヒキオ」スヤスヤ

 

いろは「…なんですかこれ、仲良さそうに」

 

いろは「いたずらしちゃおっかな~なんちゃって」

 

 

いろは「あ、そうだ」

 

------------------------------------

 

 

八幡「う~ん、朝か」

 

三浦「んん…ヒキオ~?」

 

八幡「なんかいい匂いが」

 

 

いろは「先輩、三浦先輩!おはようございますっ!」

 

 

八幡「よう…て、なにこれ?」

 

三浦「いろは何してんの?」

 

いろは「朝ごはん作ってるだけです」

 

 

八幡「なんか悪いな、そんなことしなくていいぞ」

 

いろは「いえ、わたしがしたいだけですから、まだ寝ててください」

 

八幡(あれ?これって)

 

三浦「なんか夫婦みたい?」

 

八幡「先に言われたよ」

 

三浦「にやけた顔して馬鹿じゃない?キモイっての」

 

八幡「いや……」

 

三浦「否定しないところが腹立つ」

 

八幡「なんか調子狂うなって思ってな」

 

三浦「言っとくけどあーし、嫉妬深いから注意した方がいいよ」

 

八幡「それ公言するんですね」

 

-------------------

 

いろは「できました~!」

 

 

八幡「ハムトーストか」

 

三浦「おいしそうじゃん、さすがいろは」

 

いろは「じゃあ、食べましょうか」

 

八幡「その、ありがとな」

 

いろは「いえいえ、あとサラダもあるんでどうぞっ!」

 

三浦「なんか凝ってるし」

 

いろは「昨日持ってきた食材とかですよ」

 

いろは「振られてそれどころじゃなかったですけど~」チラ

 

 

八幡「痛いところついてくるなよ…」

 

三浦「ま、しばらくは仕方ないよ」

 

いろは「いただきま~すっ!」

 

------------------------------

 

ガタン

 

いろは「じゃあ、先輩!今日はこれで失礼しますね」

 

八幡「おう、またな」

 

いろは「三浦先輩とエッチするときはリードしてあげてくださいね」

 

八幡「玄関でそういうこと言わないでね」

 

三浦「ば、ばか…スケベ…」

 

八幡「いろはが言っただけだからな?」

 

三浦「あーしも一旦帰るけど、デート忘れないでよ」

 

八幡「おう…わかった」

 

 

いろは「それでは~」

 

三浦「またね、ヒキオ」

 

 

 

その日の 正午近く

 

三浦「あ、ヒキオ~!こっちこっち!」

 

八幡「悪い、ちょっと遅れた…」

 

三浦「待ち合わせ時間に遅れるとか、ありえなくない?」

 

八幡「いや、ごめん。今朝決まったことだし慌てて用意したし…あと戸部がね」

 

三浦「ん?戸部がなに?」

 

八幡「いや、なんでもない」

 

八幡(なんかしらんが電話で風俗に誘ってくるし…なんだあれは)

 

八幡(そういえばこの間も誘ってきたな)

 

八幡(この前は、エロDVD置いて帰ったし…あいつは馬鹿だな)

 

八幡(まあ、思いのほか良かったけどそのDVD)

 

三浦「あんた、明日からバイト連勤でしょ?」

 

八幡「そうだな」

 

三浦「んじゃ、今日はとことん付き合ってもらうし」

 

八幡「わかったよ…どこに行くんだ?」

 

三浦「どこでもいいけど、適当にまわろ」

 

八幡「適当にね」

 

ガバ

 

八幡「…なんで腕組んでくるんですかね」

 

三浦「彼女だし?普通じゃん、ほらさっさと進む」

 

八幡「はいはい」

 

 

三浦「あーしのバッグ古くなってきててさ、新しいの欲しいんだよね」

 

八幡(これはあれですかね?買う流れですよね、う~む)

 

八幡「あ…あれだ、えっと」

 

三浦「なに?」

 

八幡「買ってやろうか?」

 

三浦「…いいの?」

 

八幡「あんまり高いやつじゃないなら…なんとか」

 

三浦「ありがと、じゃあお言葉に甘えようかな」

 

八幡「おう…」(しかしどうしよう…バイト代は出たが、このペースではすぐに底尽きるな)

 

三浦「あ、でも安心していいよ」

 

八幡「ん、なにが?」

 

三浦「あーしもバイト始めようと思うって言ったでしょ?ヒキオだけに負担かけるつもりないし」

 

八幡「三浦…」(まあ、あーしさんはこういう人でしたね。マジいい人)

 

三浦「やっぱり、目指す仕事も一緒だしさ…そこは持ちつ持たれつって感じ?」

 

三浦「だから、あーしがデートの代金したりもするし」

 

八幡「それは助かるな」

 

三浦「ヒキオ、正直過ぎ。そこは見栄張って、自分が出すって言うところ」

 

八幡「俺にそれを期待するか」

 

-----------------------

 

八幡「そのバッグでよかったのか?」

 

三浦「うん、十分。大切に使うね」

 

八幡「おう、頼むな」

 

三浦「あんまブランド物とかねだったら、ヒキオの財布とんで行くでしょ」

 

八幡「確かにな…ブランド品高かったしね…」

 

三浦「だからブランドなんだけどね、あ」

 

八幡「なんだ?」

 

三浦「ゲーセンあるから、プリクラ撮ろうよ」

 

八幡「プリクラか…恥ずかしいよな、あれ」

 

三浦「まあいいじゃん」ギュウ

 

八幡「だから腕組み過ぎ…あたってるっての…」

 

三浦「ん~設定とかはどれでもいいか~」

 

八幡「そうだな、こだわりとかないしな」

 

三浦「んじゃ、これで」ピッ

 

 

三浦「ほら、ヒキオ!」グイ

 

八幡「うおっ…顔近いっての、あーしさん!」

 

三浦「あーしさん言うな」

 

パシャ

 

 

三浦「お互い変な顔で撮ったけど、これでいいよね」

 

八幡「それ顔近すぎないか…?恋人同士にしか見えん…」

 

三浦「恋人同士だっての」

 

八幡「そうでしたね」

 

三浦「じゃ、早速」ペタ

 

八幡「え?」

 

三浦「あーしの携帯にプリクラ貼ったの。あんたもやりな」

 

八幡「え~?」

 

三浦「どうもあんた、恋人の自覚足りない感じだし?」

 

八幡「こうか?」ペタ

 

三浦「そうそう、あと待ち受けもあーしにしな」

 

八幡「マジかよ…」

 

 

結衣「あれ……?優美子?ヒッキーもじゃんっ!」

 

三浦「あ、結衣」

 

八幡「よう…久しぶり…」

 

結衣「あ、デート?」

 

三浦「まあね」

 

結衣「そっか…」

 

八幡(なんか普通になった、前に比べて…)

 

 

結衣「えと、邪魔しても悪いし行くね?あはは」

 

三浦「…待って」

 

結衣「え?」

 

三浦「ちょっとさ、話さない?」

 

八幡「…三浦」

 

三浦「ヒキオもさ、言っとくこととかあるじゃん?」

 

 

結衣「…あんまり聞きたくないかも…」

 

 

カフェ

 

三浦「もう昼だし、ちょうどいいじゃん」

 

八幡「昼時だしな」

 

結衣「あたしもお昼まだだしね」

 

三浦「じゃあ、適当に頼もっか」

 

八幡「えっと、由比ヶ浜はなにしてたんだ?」

 

結衣「あたし?ショッピングだよ、普通の」

 

八幡「そうか」

 

三浦「誰か彼氏とかと来てないん?」

 

結衣「い、いないしそんなの」

 

三浦「ふ~ん、まだ作ってないんだ」

 

結衣「…」

 

八幡「で、話すことだけどな…なんかあんの?」

 

三浦「あんたそれ本気で言ってないよね?」

 

結衣「無理に言わなくていいよ…二人が同じ大学行っただけでわかるし…」

 

八幡「いや、別にあの時はまだ…」

 

結衣「え?」

 

八幡「あの時はなんもなかったって」

 

三浦「そんなことないでしょ」

 

八幡「三浦、話ややこしくしないでね…」

 

結衣「じゃあさ、今は…」

 

三浦「付き合ってるよ、昨日からだけど」

 

結衣「昨日から…なんだ」

 

八幡「おう…まあな」

 

三浦「でもその前から、恋人と変わらなかったっしょ」

 

結衣「そうだね、去年からもう恋人に見えてたよ」

 

結衣「少なくともあたしは」

 

八幡「由比ヶ浜…?」

 

結衣「おめでとう、よかったねヒッキー!」

 

結衣「彼女できて楽しくなりそうじゃん!もうぼっち完全卒業だね」

 

八幡「まあ…卒業かな…」

 

三浦「ありがと、結衣」

 

 

結衣「…」

 

三浦「…」

 

三浦「ちょっと、外行かない?」

 

結衣「え?」

 

三浦「ごめんヒキオ、ちょっと出るね」

 

八幡「え、わかった」

 

 

カフェの外

 

 

三浦「ねえ、結衣さ」

 

結衣「うん」

 

三浦「やっぱり、あーしのこと許せない?」

 

結衣「ううん、あたしはヒッキーに選ばれなかったよ…優美子のこと許せないとか」

 

結衣「そんなのあるわけないよ」

 

三浦「結衣とさ…気まずくなるのは覚悟してた」

 

三浦「というより、ヒキオとあーしが仲良くなってからなんか気まずかったけど…」

 

 

結衣「あたしもさ、もっと優美子みたいに積極的になれば変わったのかな…」

 

三浦「積極的…」

 

結衣「だって、隼人くんに告白して…それからすぐ立ち直ったんでしょ?ヒッキーのおかげで」

 

三浦「うん…あれがきっかけだったかな」

 

結衣「それから優美子の環境変わって行ったもんね、隼人くんにも素を見せてたっていうか」

 

結衣「なんか隼人くんの悪い所とか普通に指摘するようになってたし」

 

三浦「それは、ヒキオだけじゃなくて、いろはとか戸部のおかげもあるかも…」

 

三浦「あの4人といたらさ、繕うのが変になってきたというか…肩の力抜けたっていうか」

 

結衣「あたしは逆に変わらないことに執着してたかも…3年になってからも」

 

結衣「だから、卒業するころには、ヒッキーが手の届かない所に行ってた…」

 

結衣「変わらないとね…どんな方向にでも」

 

三浦「結衣…」

 

結衣「あたしもさ、気持ち整理つけるよ」

 

結衣「ヒッキーと優美子のこと祝福する」

 

三浦「うん」

 

三浦「ていうか本当に彼氏いないの?」

 

結衣「やっぱりつくらないと駄目かな…」

 

三浦「あーしとしては作ってほしいというか…」

 

結衣「優美子、その理由すっごい微妙だよ…」

 

三浦「そういう意味じゃなくて。まあ、ヒキオ取られたくないってのもあるけど」

 

三浦「結衣も早く元気になってほしいからね…」

 

結衣「うん…」

 

三浦「あーしが言うなって話だけどさ」

 

 

結衣「ホントそれ。優美子が言うなって話だよ」

 

-----------------------------

 

 

八幡「話終わったのか?」

 

三浦「うん、おわった」

 

八幡「そうか」

 

結衣「食べ損なってたし、早く食べよっか」

 

カチャカチャ

 

結衣「でも二人が付き合ったのも意外だけど、公務員試験めざしてるのも意外だね」

 

八幡「言ってなかったか?」

 

結衣「聞いてたけどさ、ヒッキー専業主夫って言ってたし」

 

三浦「まあ、こいつも少しは前向きになったってことでしょ」

 

八幡「俺を後ろ向きで生きてたやつみたいに言うなよ…」

 

三浦「同じだったじゃん、前のあんたは」

 

八幡「…」

 

結衣「前向きだよね、やっぱり必要なのは」

 

三浦「結衣は将来の仕事とか決めてるん?」

 

結衣「まだかな、優美子も公務員なんだよね?それも驚きだし」

 

三浦「まあ、たまたまね…」

 

結衣「え、ほんとに?」

 

三浦「たまたまじゃないけど…ヒキオのこと追いかけてたけど…」

 

八幡「こんなところでカミングアウトすんなよ…」

 

三浦「いいっしょ別に…あーしの自由だし?」

 

 

結衣「そっか、二人で一緒に公務員目指してたんだもんね」

 

結衣「その時点でもう……」

 

三浦「結衣?」

 

結衣「まだもう少しだけかかるかな、立ち直るの…」ボソ

 

 

カフェの外

 

結衣「お昼も食べたし、あたし行くね」

 

三浦「うん、じゃね、結衣」

 

八幡「またな、由比ヶ浜

 

スタスタ

 

八幡「…」

 

三浦「ねえ、ヒキオ…」

 

八幡「なんだよ?」

 

三浦「あんたはさ、気づいてたの?」

 

八幡「なんのことかさっぱり」

 

三浦「じゃあいいや」

 

八幡(選択の時がくる…か)

 

八幡(高校時代とは環境違うけど…これもそうなのかね)

 

八幡(確かに、なんかこう…つらいな)

 

 

三浦「今日さ、あんたの部屋行くし」

 

八幡「ま、マジで…?」

 

三浦「うん…昨日も行ったしさ…普通でしょ?」

 

八幡「いいけどな」

 

三浦「あんた、明日からバイト連続であったりするでしょ?だから今日くらいさ」

 

三浦「ほら、準備とかもしてきたし…その、ゴムとか」

 

八幡「んな…!」

 

三浦「さすがにゴムなしですんのはさ…色々まずいし、あーしらまだ学生だし」

 

八幡「いやいやいや、話飛躍しすぎだからな?というか三浦、テンパってないか?」

 

三浦「そ、そんなことない……と思う」

 

八幡(絶対テンパってるな…)

 

 

テニス

 

三浦「ほら、行くよヒキオ!」バコ

 

八幡「手加減しろっての…!」バコッ

 

 

八幡(さっき、三浦があんなこと言うから集中できん)

 

八幡(というか、三浦の身体ばかり目が行くな…)

 

八幡「…あーしさん、こうして見ると綺麗なんだな」

 

三浦「ん、どうしたんヒキオ?…て、なにあーしのことジロジロ見てんのよっ!」

 

八幡「あ、いや…スマン…」

 

三浦「別に謝らなくていいけどさ」

 

八幡(駄目だ…色々妄想とかで、とてもデートどころじゃない…)

 

 

八幡「な、なあ三浦…」

 

三浦「なに?」

 

八幡「今から、俺の部屋行かないか?」

 

 

アパート

 

三浦「あ~あ、デート切り上げるの早過ぎだし」

 

八幡「悪い…」

 

三浦「いきなり部屋誘うとか…どんだけガッツいてんのよ、エロ男」

 

八幡「言うな…」

 

三浦「……シャワー浴びてくるね」

 

八幡「お、おう…」

 

 

八幡「いよいよか…はあ…」

 

シャーーー

 

八幡「まさか三浦とすることになるなんてな…信じられん」

 

----------------------

 

 

三浦「あがったよヒキオ…」

 

八幡「三浦…」(パジャマか…こういうのって裸にバスタオルじゃないの?違うか?)

 

三浦「あ、あんたも入ったら…」

 

八幡「っそ、そうだな……」

 

 

バタン シャーーー

 

 

三浦「ヒキオ、急ぎ過ぎ……ま、あーしも一緒か…」

 

三浦「ていうか、最初に誘ったのあーしだし…うわ、恥ずかしくなってきた…」

 

三浦「暑いし、うちわうちわ……ん?これって…」

 

三浦「DVD…?エロいやつじゃん…」

 

 

ガチャ

 

八幡「三浦~あがった…て」

 

 

『ああん…ああ…』

 

八幡(あれ~?テレビにアダルティな画像が流れてるぞ?どういうことだ?)

 

三浦「……」

 

八幡「三浦…なにしてんの…?」

 

三浦「こっちの台詞だっての…」

 

八幡「なんでそれ持ってるんですか…?」

 

三浦「さっき見つけた」

 

八幡「さいですか」

 

三浦「わかるよ?あんたも男だしさ、こういうので慰めるっていうのは」

 

八幡(おお、意外と理解があるな、さすがあーしさん)

 

三浦「でも…なんでこの女優、結衣に似てんの?」

 

八幡(あ…!そっちか~~~!)

 

 

八幡「似てるか…?」

 

三浦「そっくりにみえるんだけど?」

 

八幡「そ、そうかな~?」

 

三浦「……」

 

八幡「第一、これは戸部が置いて行ったもので」

 

三浦「戸部がね…でも、あんたこれ見たんでしょ?」

 

三浦「戸部もこれ進めたってことは…あんた、結衣みたいな子が好みなんだ?」

 

八幡「まて…そういう話じゃないだろ…」

 

三浦「そういう話だっての、奉仕部の時から一緒なわけだし?」

 

三浦「結衣可愛いし?好みだから、AVで満たすっていうのは自然の流れだし?」

 

八幡「別に好みだとしてもな…AVで満たすとかそんな考えじゃなくて…」

 

八幡「戸部が持ってきたのだってたまたまだろ」

 

三浦「戸部はきっと選んでたでしょ、時間かけて似た女優いないか」

 

八幡「戸部ならやりかねないな…」

 

三浦「でしょ?そっちは姫菜に報告するとして」

 

八幡「戸部…かわいそうに…」

 

三浦「そっちはいいけど、やっぱ結衣が好みなんじゃんヒキオは」

 

八幡「いや、可愛いとは思ってたが…それだけだぞ…」

 

三浦「ほんとに?全く?」

 

八幡(そういや昔、他の奴に声かけられてる時、嫌な気分にはなったか…あれは嫉妬かね)

 

八幡「…」

 

三浦「ヒキオ」グイ

 

八幡「三浦…?」

 

三浦「ん…ちゅ…ん」

 

八幡「む、むぐ……!」

 

 

八幡「な、なにすんだよ…キスとかいきなり…!」

 

三浦「大きくさせてるじゃん、しっかり」

 

八幡「おま、どこさわって…」

 

三浦「あんたが望むなら、髪切って結衣みたいな髪型にしようか?」

 

八幡「そういうこと言うなよ…せっかくのロング?なのに」

 

三浦「だってさ…結衣、あんたとのことはあんまり祝福できないとか言うし…」

 

三浦「もうわかってるでしょ?結衣の気持ちは…」

 

八幡「俺は三浦が好きだからな?」

 

三浦「じゃあ、証明してよ」

 

八幡(あーしさん、その誘いは反則ですわ…もう、我慢できん…な)

 

八幡「三浦…!」

 

三浦「きゃ…!」

 

ドサ

 

---------------------------------

 

八幡「……」

 

三浦「ん……ん」

 

八幡「こ、こんな感じ…か?」

 

三浦「聞くなっての…ヒキオの好きにして…」

 

八幡「あーしさん、言葉がいちいち煽情的っていうか」

 

三浦「あーし言うなっての…ひゃ、あんたどこ舐めて…馬鹿…!」

 

三浦「下とか早過ぎ…ば、ばか…」

 

八幡「あーしさん、濡れてるし……」

 

三浦「こ、これ…」

 

八幡「ゴムね…」

 

三浦「生でやろうとしてなかった…?」

 

八幡「まさか…ははは」

 

三浦「…」

 

八幡(三浦…かなり濡れてるな…変な気分になるぞこれは…)

 

三浦「ああ…!…いじりすぎ…」

 

八幡(そろそろか…?き、緊張が半端ないな…くそ)

 

 

三浦「ヒキオ…きて…」

 

八幡「行くぞ…」

 

 

------------------

 

 

八幡「な、なあ…起きてる…?」

 

三浦「ん…起きてるよ」

 

八幡「なんか…色々悪い…へたくそで…」

 

三浦「最初は…あんなもんじゃない…?」

 

八幡「俺も…勉強して行くからさ…色々」

 

三浦「ん…わかった。あーしを気持ちよくしてよね」

 

八幡「おう…」

 

三浦「へへ~、ヒキオ」ガバ

 

八幡「なんだよ…」

 

三浦「あーしらしちゃったし?」

 

三浦「もう取り消せないし」

 

八幡「取り消す気はないけどな…三浦としたってのは変な感じだ…」

 

八幡「高校の知り合いが知ったら驚くんじゃないか?」

 

三浦「かもね~、あーしと今は交流ない連中は驚くと思うよ」

 

八幡「川崎とかすげ~びっくりしそうだな」

 

三浦「…」ギュ

 

八幡「いてえ…なにすんですかね…」

 

三浦「他の女の名前出すとかデリカシーのかけらもない」

 

八幡「あ…ごめん」

 

三浦「ふん、ヒキオはその辺からまた勉強しな」

 

八幡「…はい」

 

 

翌朝

 

三浦「ヒキオ~だるい~~」

 

八幡「適当に飯でも作るわ」

 

三浦「お願い、あーしまだ寝とく」

 

八幡「へいへい」

 

 

八幡(あ~しちゃいましたよ…大人の階段ですよ)

 

八幡(なんか恥ずかしいな…)

 

八幡「三浦、チャーハンできたぞ」

 

三浦「あんがと…」

 

八幡「下着姿で食うなよ…せめて、服着ろ…」

 

三浦「なに見てるん?スケベ、変態」

 

八幡「いやいや、おかしいからね?」

 

 

三浦「あ、けっこうおいしい、これくらいあーしもできると思ったけど…」

 

八幡「これでも、練習したからな」

 

三浦「ねえ、ヒキオさ」

 

八幡「なんだよ?」

 

三浦「あーしらの呼び方なんだけどさ…」

 

八幡「呼び方…?」

 

三浦「「ヒキオと三浦ってなんか味気ないじゃん」

 

八幡「まあ…そうかな」

 

三浦「せっかく恋人になったんだしさ」

 

八幡「なんて呼ぶんだよ?」

 

三浦「そりゃ、あんたが優美子で…あーしが八幡って呼ぶのが普通じゃない?」

 

八幡「お前、俺の名前知ってたのか」

 

三浦「当たり前でしょ」

 

八幡「いやでもそれは…」

 

 

三浦「とにかく呼んでみるし、えっと…は、八幡…」

 

八幡「…優美子……」

 

 

三浦「……」

 

八幡「……」

 

三浦「ちょっと不自然過ぎるね…」

 

八幡「きついわ…これは」

 

三浦「まあ、まだ今まで通りの呼び方でいいか」

 

八幡「おう、そうだな…」

 

三浦「じゃさ、週末また泊りにくるね」

 

八幡「えっ?週末なのかよ?」

 

三浦「へっ?」

 

八幡「あ、いや……」

 

三浦「……変態、馬鹿」

 

八幡「し、しかたないだろ…」

 

三浦「そんなにしたいとか…変態じゃん」

 

八幡「初体験の後なんてこんなもんだろ…俺、へたくそだから練習も兼ねて…」

 

三浦「いや、そんな理由つけなくていいし」

 

八幡「う…」

 

三浦「ま、週末までまちなって、週末は…あんたの物になってやるし」

 

八幡(やばい…あーしさんの言葉はホントやばい…)

 

三浦「それよりヒキオ、そろそろ出ないと講義あるし」

 

八幡「そうだな、そろそろ行くか」

 

ガチャ バタン

 

 

八幡「…なにしてんの?」

 

三浦「腕組んでんの」

 

八幡「それはわかるけど…」

 

三浦「あんたこういうの苦手みたいだし?慣れないとね」

 

八幡「このまま歩いて行くのかよ…恋人に見られるぞ」

 

三浦「恋人でしょ」

 

八幡「そうだけどね」

 

 

三浦「今日、コンビニのバイトあるでしょ」

 

八幡「ああ」

 

三浦「わかった」

 

八幡「ん~?」

 

三浦「はい、しゅっぱ~つ」

 

八幡「おう…」

 

 

講義の後、図書室

 

八幡「…三浦」

 

三浦「なに?」

 

八幡「ちょっとペース早すぎたかもな」

 

三浦「やっぱり?このペースだと1か月以内に、数的と判断完全に終わるよね」

 

八幡「それ終わったら、一般教養暗記科目中心だしな…英語、国語とかもあるが」

 

三浦「英単語覚えていって、ひたすら長文読解して、数的は問題演習かな」

 

八幡「十分だな、歴史とか地理は後でも大丈夫だしな」

 

三浦「あんた、歴史はセンターで満点とらなかった?」

 

八幡「そういやそうだったな、あの辺りの科目はいけるんだよ」

 

三浦「理科の科目はどうする?」

 

八幡「俺達の知識なら問題ないと思うけどな、そもそも出題数が多くない」

 

三浦「後回しね」

 

八幡「ああ、それより英語をやった方がいいな」

 

三浦「ん~わかった、やっとく」

 

 

アルバイト先 某コンビニ

 

八幡「ありがとうございました~」

 

店長「比企谷くん、今日はいつもより元気よく見えるね」

 

店長「なにかいいことあったかい?」

 

八幡「いえ別に…あ、いやありましたかね」

 

店長「そうかそうか、いいことだ。君は大学生だっけ?」

 

八幡「はい」

 

店長「大学生なら、コンパとか色々楽しまないとね、社会人になる前のハメ外しだ」

 

八幡「店長は昔、公務員なんでしたっけ?」

 

店長「以前はね、刑務官をしていたよ」

 

八幡「刑務官…なんだか、凄そうな感じが」

 

店長「公務員といっても警察関係、楽ではなかったよ。君は何の公務員を目指してるんだい?」

 

八幡「まだわかりませんけど…一応、本命は地方上級、市役所ですかね」

 

店長「そうか、大学生だものな。まあ、がんばってくれよ応援しているよ」

 

八幡「ありがとうございます」

 

 

ガー

 

店長「いらっしゃいませ…これはまた、美人なお客さんだね」

 

八幡「えっ…て…」

 

 

三浦「あ、やっぱここだった」

 

八幡「なにかご用ですかね…あーしさん…」

 

三浦「なんなん、その態度?あーしお客さんなんだけど?」

 

八幡「失礼しました」

 

三浦「あんたが真面目に働いてるとか新鮮だし」

 

八幡「商品買われないお客様は…」

 

三浦「はい、これ買いま~す」

 

八幡「……」

 

 

三浦「ヒキオの仕事邪魔するつもりはないから、じゃ帰るね」

 

八幡「いや、もう十分ですけどね?」

 

 

店長「ほほう、これは青春を感じるね」

 

八幡「店長…」

 

店長「彼女さんかな?」

 

八幡「まあ、そうですね」

 

店長「ほほう、うらやましいね。ああ、あんな若くて綺麗な彼女と恋がしたい」

 

八幡「いや…店長、奥さんいるでしょ…」

 

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次の日

 

 

八幡(さて、今日もバイトで忙しいんだが…)

 

八幡(あーしさんが、本のコーナーで立ち読みしてるんですけど…)

 

八幡(ファッション雑誌でも見てるんかね…まあ、ここは立ち読み注意はしないけどね)

 

 

店長「おや、昨日も来てなかったかい?彼女は」

 

八幡「ええ…」

 

 

三浦「これください」

 

八幡「ありがとうございます」

 

三浦「んじゃね」

 

八幡「はいはい」

 

-------------------------------------

 

次の日

 

S子「比企谷さん、比企谷さん」

 

八幡「なに?」

 

S子「あの、立ち読みしてる女の人って彼女なんですか?」

 

八幡「そうだけど…店長に聞いたの?」

 

S子「ええ、でもすご~い。この前は彼女いないって言ってませんでした?」

 

八幡「最近だし、付き合ったの」

 

S子「へ~」

 

 

三浦「これ、お願い」

 

八幡「あ、ありがとうございます」

 

三浦「……」

 

八幡(なんか、あーしさん怖い)

 

三浦「じゃ」スタスタ

 

八幡「行ったし…なんかご機嫌斜めか」

 

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翌日 大学の図書室

 

 

三浦「ねえ、ヒキオさ」

 

八幡「なんだ~?」

 

三浦「バイト、うまくいってるみたいだね、安心した」

 

八幡「それ見に来てたのかよ…」

 

三浦「まあね、あんた人付き合いへたそうだし」

 

八幡「まあ、そうだな」

 

三浦「その割には、女の子とも仲良くなってたみたいだけど」

 

八幡「いやいや、別に仲は良くないっての」

 

三浦「冗談だけど」

 

三浦「そういや、あーしもバイト決めたから」

 

八幡「どこだ?」

 

三浦「ファミレス」

 

八幡「レストランか」

 

三浦「まーね、ほら料理とかも学べそうだし?」

 

八幡「料理ね」

 

三浦「まあ、他意はないけど」

 

八幡「ん?そうか。じゃあ、また行くわ」

 

三浦「いろはとか呼べば?」

 

八幡「じゃあ、戸部とかも呼んで行くな」

 

 

週末 とあるレストラン

 

 

戸部「ここが優美子のバイトしてるとこ?」

 

八幡「ああ、そうだな」

 

いろは「三浦先輩もバイト始めたんですね~」

 

戸塚「でも本当に驚いたよ、八幡と三浦さんが」

 

戸部「付き合うってのは意外だったわ~~!」

 

八幡「そうか?」

 

戸部「いや、同じ大学だし?まあ時間の問題とは思ったけどさ~」

 

八幡「とかなんとかいってお前、この前、由比ヶ浜似のAV置いていったじゃねぇか」

 

戸部「え…あれ、トラぶったの?」

 

八幡「まあな、確信犯だろ…」

 

戸部「ちょ、ヒキタニ君さ~そんなつもりじゃないんだって~」

 

いろは「うわ…結衣先輩で慰めてたんですか…ちょっと引きます先輩…」

 

八幡「あのな、いろは…違うってわかるよな?」

 

戸塚「八幡…そんなに欲求貯まってるんだね…」

 

八幡「戸塚も悪乗りやめてね…?」

 

戸塚「あはは、冗談だよ」

 

八幡(ああ、かわいい。持って帰りたい)

 

戸部「それで…優美子なんか言ってた?」

 

八幡「とりあえず、海老名には報告しとくって」

 

戸部「おう…そんな…だからあんなに怒ってたのか…」

 

八幡「怒ってたのか?あの海老名が?」

 

 

戸部「翔君さ~何か隠してることあるよね?」

 

戸部「え、と、とくにないべ?」

 

戸部「ホントに~?結衣関連でも~?」

 

戸部「え?え?」

 

戸部「へ~シラ切るんだ?じゃあ、もうし~らないっと」

 

 

戸部「てな感じで、今口聞いてもらえないんだ…」

 

八幡「お、おう…そうか…」

 

いろは「似てましたけど…戸部先輩、気持ち悪すぎですよ」

 

戸塚「あはは、今のはさすがにね…」

 

戸部「え、そこっ!俺の迫真の演技、全否定!?」

 

いろは「戸部先輩もですけど、先輩」

 

八幡「な、なんだよ…」

 

いろは「三浦先輩いるんですから、浮気とかしちゃ駄目ですよ」

 

八幡「わかってるっての…」

 

いろは「じゃないと、わたしが浮かばれませんよ」

 

八幡「…」

 

戸塚「三浦さんとは同棲してるの?」

 

八幡「いやそんなことはないな…」

 

戸部「週末だけってやつ?なんだよ~もうそんな関係なん?やばいわ~ほんとやばい!」

 

八幡「だからそれなにがやばいんだよ…好きだなお前…」

 

戸塚「すっかり仲良しになったよね、二人って」

 

八幡「え?そうか?」

 

戸部「ああ~確かに、ヒキタニ君との距離グッと縮まった気がするわ~」

 

いろは「意外ですよね~、あと微妙です~」

 

八幡「勝手に仲良し認定してんじゃねぇ、俺は戸塚がいい」

 

戸塚「は、八幡…そんな…」

 

いろは「先輩…うわ…」

 

 

三浦「何言ってんのそこの馬鹿は」

 

八幡「うわ、三浦…タイミング良すぎだろ…」

 

三浦「よく聞こえなかったから、もう一度言ってくんない?」

 

八幡「客に向かって言うセリフじゃないな、それ…」

 

三浦「浮気してる馬鹿は客って言わない」

 

八幡「いやいや、浮気じゃねぇし…戸塚だし」

 

三浦「男でも関係なしだし?」

 

八幡「戸塚は天使だ」

 

三浦「死ね、ホント死ね」

 

八幡「」

 

 

三浦「ったく…オマチドオサマ」

 

八幡「すげぇ棒読み…」

 

三浦「まだ慣れてないんだっての」

 

 

いろは「こんにちは、三浦先輩」

 

戸部「おいっす、優美子」

 

戸塚「あはは、こんにちは」

 

三浦「うん、ていうかこのメンバーか」

 

いろは「もうすっかり定期メンバーになりましたよねっ」

 

戸部「このメンバーで、去年みたいに遊ぶんかな~今年も」

 

八幡「去年は、海とか夏祭りに行ったな」

 

いろは「ありましたね、じゃあ今度は旅行でも行きましょうか」

 

戸塚「旅行か…楽しそうだしね」

 

いろは「ですよね~」

 

三浦「ま、いいじゃん?また日程とか決めないとね」

 

八幡「この5人で旅行か」

 

戸部「まあまあヒキタニ君、楽しいってきっと」

 

八幡「騒がしそうだ…」

 

三浦「んじゃ、あーし戻るね。ゆっくりして行って」

 

タタタ

 

いろは「それで?この後、三浦先輩は先輩の家ですよね?」

 

八幡「そ、その話題すんのかよ…」

 

戸部「え、そうなん?うわ~ヒキタニ君、やるわ~さすがだわ」

 

八幡「うぜぇ」

 

戸塚「もう八幡も大人なんだね」

 

八幡「戸塚、そんな目で俺を見ないでくれ…」

 

いろは「先輩のば~か」

 

 

バイト後

 

 

三浦「あれ、ヒキオ…待っててくれたの?」

 

八幡「当たり前だろ」

 

三浦「サンキュ、でもさもう少し時間かかりそうだから」

 

三浦「悪いけど、外で待っててくれる?」

 

八幡「わかった」

 

 

レストランの外

 

八幡「ったく、あいつら…散々からかった挙句に帰って行きやがって…」

 

八幡(友達とご飯食べたあとに、彼女待ってるとか…なに?このリア充ライフ)

 

八幡(俺こういうの夢見てたのか?よくわからんけど)

 

プルルルル

 

八幡「着信か……あれ、雪ノ下?」

 

八幡「マジか、かなり久し振りな気がするな」

 

八幡「もしもし」

 

雪ノ下『比企谷くん?お、お久しぶりね…』

 

八幡「久し振りだな…ていうか、3か月ぶりくらいか」

 

 

雪ノ下『ええ、そんなところかしら』

 

八幡「なんだ、どうした?」

 

雪ノ下『今千葉に戻って来てるのよ』

 

八幡「へえ、そうなんだな」

 

雪ノ下『由比ヶ浜さんに会ってね…ええと』

 

八幡「あ、そっか…」

 

雪ノ下『相変わらずみたいね、あなたも』

 

八幡「3か月とかでいきなり変わるか」

 

雪ノ下『冗談よ、公務員試験頑張ってるみたいね』

 

八幡「ああ、まあな…早すぎるかもしれんけど」

 

雪ノ下『今の時期に就職先決めてるのは凄いと思うわ』

 

八幡「…そうか?まあ、ありがとな」

 

雪ノ下『それと…おめでとう』

 

八幡「…」

 

雪ノ下『三浦さんと付き合ってるんでしょ?』

 

八幡「ああ」

 

雪ノ下『そう…まあ、同じ大学に行ったものね。そうなるとは思ってたけど』

 

八幡「お前、祝福してくれてんの?」

 

雪ノ下『もちろんよ、あの友達のいない目つきの腐った捻くれ者の比企谷くんに恋人だもの』

 

八幡「言いたい放題ですね…」

 

雪ノ下『私は心から応援させていただくわ』

 

八幡「ああ、お前にそう言ってもらえると、助かる」

 

雪ノ下『でもね、比企谷くん…』

 

 

雪ノ下『例えばの話だけど…私が1年前にもし…』

 

 

八幡「へ?」

 

 

雪ノ下『もし、あなたに告白していたとしたら……なにか変ってたかしら…?』

 

八幡「雪ノ下……」

 

八幡「……」

 

 

雪ノ下『……』

 

雪ノ下『ごめんなさい、こんなこと言っても意味ないわね…』

 

 

八幡「変わってない」

 

雪ノ下『え…?』

 

 

八幡「俺は、三浦優美子を好きになってたな」

 

雪ノ下『比企谷くんッ……あなた、少し変ったわ…』

 

八幡「そうか?」

 

 

雪ノ下『ええ、そんな歯の浮くような言葉を口にできるなんて』

 

八幡「く…!」

 

 

雪ノ下『でもなんだかすっきりしたわ、ありがとう』

 

 

八幡「礼言われることじゃねぇよ」

 

雪ノ下『そうかもしれないわね』

 

 

八幡「それで?葉山も同じ大学なんだろ?」

 

雪ノ下『そうよ、でも示し合わせたわけじゃないわよ。貴方たちと違って』

 

八幡「いちいち言葉に棘ありますね」

 

雪ノ下『由比ヶ浜さんからも、付き合ってないのかと聞かれたりしたから』

 

雪ノ下『東京の大学で学力で絞れば、同じようなところに集中するのは必然なのに』

 

八幡「やっぱり付き合ってないのか」

 

 

雪ノ下『ありえないわね』

 

八幡「葉山…」

 

雪ノ下『ただ、彼が嫌いと言うわけではないけれど』

 

八幡「フォローしてるつもりか?」

 

 

三浦「ヒキオ、お待たせ~」

 

八幡「お、来たか」

 

雪ノ下『あら?愛しの彼女さんかしら?』

 

八幡「おう、またな」

 

雪ノ下『ええ、それじゃあさようなら』

 

ピッ

 

 

三浦「電話してたの?誰から?」

 

八幡「雪ノ下」

 

三浦「え…」

 

八幡「こっち帰って来てるらしい」

 

三浦「へぇ~」

 

八幡「一応言っとくけど、何もやましくないからな?」

 

三浦「わかってるっての、あーしだって電話で雪ノ下さんと話したくらいで怒らないって」

 

八幡(会ってたら、怒ってたのかな…)

 

三浦「話終わったんでしょ?じゃ、あんたの部屋行こ」

 

八幡「ああ」

 

三浦「ねえ、ヒキオ」

 

八幡「ん?」

 

三浦「今年の夏もさ、あーしとヒキオといろは達で過ごすことになりそうだね」

 

八幡「確かに、なりそうだな。去年言った通りになりそうだ」

 

三浦「うん」

 

 

八幡(今年も騒がしい夏になりそうだな…)

 

八幡(雪ノ下に言った言葉…あれに間違いはないと思う)

 

八幡(俺は葉山の言う選択で三浦を選んだ…それは他の道に行っても変わってないはず)

 

八幡(いや、たらればの話はするだけ無駄か…)

 

 

八幡(とにかく…俺の彼女は三浦優美子なわけで)

 

 

 

三浦「ヒキオ、今年も思い出作って行こうね」

 

八幡「ああ、もちろんだ」

 

 

八幡(そんなこんなで、俺と三浦の物語はまだまだ始まったばかり)

 

 

 

八幡「三浦優美子と仲良くなった?」

八幡「三浦優美子と仲良くなった 続」

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