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おすすめSSを当ブログで再編集して読みやすく紹介! 引用・リンクフリーです

戸塚「川崎さんてさぁ 八幡の事が気になってるでしょ。」 川崎「 バレてたのぉ・・・恥ずかしい。///」【俺ガイルss/アニメss】

 

夏休みも明けて 最初の登校日 ここ総武高校2年F組では席替えが行われていた

 

比企谷(席替えか・・・担任が言うには生徒間の交流範囲を広げる為らしいが、最強のボッチである自分には全く関係無いイベントだ。)

 

三浦「はぁ?先生―― 今更席替えなんかしても人付き合いが変わるとは思えないんですけどー」

 

担任「これは私の一存で決めた事ではなく、学年全クラスで行われる事になったから このクラスだけやらない訳にはいかない まぁ新しい雰囲気で新学期を迎えるのも悪くないだろう。」

 

比企谷(炎獄の女王こと三浦が席替えに反対して食い下がったが、クラスの雰囲気としては賛成反対が半々といったところで、大きな騒動にはならなかった それに終わって

みれば窓側に居た三浦は、廊下側に移動しただけで、なんと前の席には葉山が来た

もんだから、文句は無くなっていた・・・と言うか明らかに上機嫌になっていた 全く現金な奴だ。)

 

比企谷(俺は、自分の存在感を消す事が容易な、廊下側の真ん中あたりの座席が気に入っていたが、窓側から2列目の前から5番目と言う教室内では日当たり良好な物件に移動する事になった、なおそのさい俺の後ろを引き当てていた戸塚が申し立てた《前に俺が居ると黒板が見難い》との意見が通り、俺と戸塚の席が前後入れ替わる事になった。)

比企谷(なん・・・だと!! すると俺はこれから毎日至近距離から戸塚を愛でながら過ごせるのか! さすがは大天使戸塚!ナイスだ戸塚!俺もう今日から神様信じちゃう!。)

 

戸塚「本当は隣りの席になりたかったけど1学期より近くの席だから前後でも良いよね八幡2学期も宜しくね」ニコニコ

 

比企谷(ぐはぁッ!凄まじい破壊力だ!なんだこの可愛い生き物。)

戸塚(本当は黒板が見え難い訳じゃなくて別の理由が有るんだけどね。)

 

比企谷「あぁ 任せろ!戸塚は、この俺が全力で守る!。」

 

戸塚「もう八幡てば何言ってるのぉ~。」キラキラ

 

比企谷(くぅ・・窓側に近い席だからだろうか 戸塚から後光が射している・・・眩しいぜ。)

 

比企谷(こうして俺の前には大天使が降臨する事になったが、それ以外はどうなったか

ヒッキーソナーを駆使して探索してみる。)

 

川崎「予備校の件じゃ世話になったね、あんたの左隣りだから宜しく。」

 

比企谷「お、おぅ・・・。」

 

比企谷(えぇっと誰だっけ こいつは確か小町にたかる害虫こと大師の姉だったなぁ・・・西新井大師?いや・・川崎大師だ!その姉だから川崎だな、ライブラリー照合!・・・声紋一致!。)

 

比企谷「・・・・・・・確か川崎・・?だったな スカラシップの事なら気にするな、たまたま同じ予備校で俺も取得してただけだ。」

 

川崎「ずいぶん間が開いたけど、アタシの名前覚えてないの?。」

 

比企谷「すまん、人付き合いが希薄過ぎて名前が記憶に残り難いんだ、まぁ気にするな。」

 

川崎「はぁ・・アンタねぇ・・・。」

 

比企谷(俺の前と左側の人物は解ったが、それ以外が全く解らない・・ライブラリーと照合してもデータに無い機体ばかりで全くヒットしない・・つまりモブキャラと言う事だろう・・右斜め後方よりキマシタワーと聞こえたが、ここでソナー探索をやめた。)

 

比企谷(別に気にしてはいないが、葉山グループがとうなったか見てみると 葉山は俺が居た位置に移動し、その後ろが三浦で、由比ヶ浜は三浦の左後ろか・・・戸部や大岡と言った連中は教室の中央から廊下側にかけてバラバラに散らばった格好だ。)

 

比企谷(アレ?これじゃ席替えの意味あまりなくね?トップカーストの連中は多少バラけたとは言え、大まかに窓側から廊下側に移動しただけじゃん。)

 

比企谷(まぁ廊下側の最後列を占拠されなかったから、ステルスモードで教室を出るには問題無さそうだ。)

 

――SHR終了後――

 

比企谷(今日は始業式なので授業も無く、式が終われば帰れると思っていたのに 厄介な奴に声を掛けられた。」

 

由比ヶ浜「ヒッキー酷い!厄介てなんだし!。」

 

比企谷「え?もしかして声に出てた?。」

 

由比ヶ浜「もう 彩ちゃんの後ろの席になったからって気が緩み過ぎ!ヒッキーキモイ!!。」

 

比企谷「あれは厳正なくじ引きの結果であって俺は何も不正はしてないぞ。」

 

由比ヶ浜「それは・・・そうだけど、ヒッキーこれで自分の顔見て! つ『鏡』 。」

 

比企谷(やばい・・・いろんな所が緩み過ぎてる・・・これが大天使の癒し効果か!。)

 

比企谷「それより何か用が有ったんじゃねえのか?。」

 

由比ヶ浜「あっ!そうそうゆきのんから連絡が有って《初日だけどちょっとだけ集まりましょう》だって。」

      

比企谷「そうか・・まぁ慌てて帰る理由も無いから部室に行くか。」

 

 

――奉仕部部室――

 

比企谷「うぃっす!。」ガラガラ

 

由比ヶ浜「ゆきのん やっはろー!!。」

 

雪ノ下「あらこんにちは由比ヶ浜さん、千葉村以来ね それともう一人は・・・誰だったかしら?。」

 

比企谷「俺だよ・・・。」(そんな戦場ヶ原さんみたく首を傾げても可愛くないからね。)

 

雪ノ下「由比ヶ浜さん、一緒に部室に入って来たと言う事は顔見知り・・・と言う事なのでしょうけれど、その男は一体誰なのかしら?。」

 

由比ヶ浜「誰ってヒッキーじゃん!忘れちゃったのぉ。」

 

雪ノ下「そんな・・・・っ。」ガタッ

 

雪ノ下「私の知ってる比企谷君は、そんな緩みきった顔をしてはいないわ!いつも腐った目をして将来に希望も無く、世の中を舐め切ったような顔をした男よ、そんな幸福に満ち足りたような顔はしていないわ。」

 

比企谷「随分な言われ様だな、まるで俺が幸福を感じちゃいけないような言い方じゃねーか。」

 

由比ヶ浜「あぁ・・ヒッキーのこの顔ねー 実はクラスで席替えが有ったんだけど ヒッキーの前の席が彩ちゃんになったんだよね。」

 

雪ノ下「なるほどね、それでその男の目に光が戻って来ているのね。」

 

比企谷「この幸せを皆で分かち合いたいぜ!まさに大天使降臨だ!今日俺は奇跡体験をした。」

 

雪ノ下「その下卑た男の臨死体験は置いといて由比ヶ浜さんの方は、うかない顔ね。」

 

比企谷「ちょっと待て!臨死体験じゃねー それじゃ死にかけてるじゃねーか!奇跡体験だ。」

 

由比ヶ浜「そうなの聞いてよゆきのーん!席替えで優美子たちの傍になれたのは良いんだけど私の左前は相模んなんだよぉぉぉ。」エェーン

 

雪ノ下「あら・・それは大変ね、なんとかしてあげたいのだけれど御免なさい何も打つ手が無いわ。」

 

比企谷「俺の話は華麗にスルーですか。 由比ヶ浜は相模の傍なのか!プークククク 最悪な座席配置だ。」

 

由比ヶ浜「ヒッキー酷い!他人事だと思って笑い過ぎだからッ!ヒッキー本当マジキモイ!。」

 

比企谷「俺に八つ当たりをするな! お前の最大の特技は空気を読む事だ、荒事にならないように上手に立ち回れば良いだろ!。」

 

由比ヶ浜「あの2人の間で上手に立ち回れるような上級スキルは持ってないよぉぉ。」シクシク

 

 

――放課後の教室――

 

川崎「あの・・戸塚!ちょっと話たいんだけど時間有る?。」

 

戸塚「何かな川崎さん。」

 

川崎「さっきの席替えの時なんだけどさ、何で比企谷と席を入れ替わったの? 窓側に近い位置から黒板を見ようとすれば斜め右前方を見る訳だから、背の高い比企谷が前に居てもそんなに邪魔にならないよね?。」

 

戸塚「さすが川崎さん察しがいいね、そうだよ黒板が見難いと言うのは嘘!理由は別に有るんだでもまだ他の人が残ってるからここでは話せないかな 場所を変えようか。」

 

川崎「う~ん…それなら屋上はどう?。」

 

戸塚「いいけど先生に鍵を借りられるかなぁ?。」

 

川崎「それなら大丈夫!中央階段から屋上に出る方法が有るのさ。」

 

 

――屋上――

 

戸塚「へぇ~ こんな方法で屋上に出られるなんて知らなかったよ 川崎さんは物知りだね。」ニコ

 

川崎(くぅ・・可愛い・・・女のあたしが見ても可愛い・・だが男だ!。)

 

川崎「それでさっきの話の続きなんだけど、何か他に理由が有るような言い回しだったね、何?。」

 

戸塚「川崎さんてさぁ 八幡の事が気になってるでしょ。」

 

川崎「なっ!いきなり何!。///」

 

戸塚「他の人はどうかは解らないけど、僕も授業中に時々八幡の事を見てるんだけど…あっ!友達としてだよ その時気が付いたんだけど 川崎さんも時々八幡の方を見てるよね。」

 

川崎「・・・ ///」カァ

 

川崎「えぇ~ バレてたのぉ・・・超恥ずかしい。///」

 

戸塚「それはバレてないと思うよ、たぶん気が付いてるのは僕だけ、僕は八幡の友達だからね安心して川崎さん、誰にも言触らしたりはしないから それに八幡はそう言う噂を立てられるのを凄く嫌うから。」

 

戸塚「でも席が隣同士なれれば会話も自然にできるでしょ だから僕は八幡と場所を入れ替わった方が良いなって思ったんだぁ。」ニコニコ

 

川崎「と・・戸塚・・有難う・・その・・気を使ってもらって。///」(戸塚GJ!)

 

戸塚「どういたしまして!僕は八幡の事が大好きだからね、八幡には幸せになって欲しいんだよ川崎さん・・応援するから僕の友達を・・八幡を宜しくね。」

川崎「応援って/// でもライバルが居るから道のりは厳しいかな・・。」ドヨ‐ン

 

戸塚「ライバルって?。」

 

川崎「奉仕部の2人さ。」

 

戸塚「それなら心配無いと思うよ。」

 

川崎「なんでそう思うのさ?。」

 

戸塚「確かにあの2人と八幡は同じ部活で、3人で過ごした時間も長いし 由比ヶ浜さんなんかあんな解り易いアピールをしてるのに、八幡はどちらとも特別な関係にはなってないよね。」

 

川崎「確かにそうだね。」

 

戸塚「それって八幡にとって2人をそう言う対象として見てないって事なんじゃないかな?それに2人共、八幡に禁止ワードをズバズバ言ってるし。」

 

川崎「禁止ワード?。」

 

戸塚「僕も詳しく知ってる訳じゃないけど、テニス部の件で依頼した時も、八幡は随分暴言を言われてたし、毎日毎日キモイなんて言われたら僕だって嫌な気持ちになるよ、それが普通なんじゃないかな。」

 

川崎「なるほど 間柄が進展しない訳だ。」

 

戸塚「そう!だから奉仕部の2人は心配無いと思うよ!頑張ってね川崎さん。」

 

川崎「ん、有難う戸塚!頑張ってみるよ。」

 

 

――再び奉仕部部室――

 

雪ノ下「由比ヶ浜さんが大変な席になったのは解ったわ、比企谷君は前に戸塚さんが来た以外はどんな感じなのかしら?。」

 

比企谷「俺は廊下側だったのが、窓側から2列目の前から5番目と言う なかなかの好条件の席へ移動だ、周りは戸塚と誰だったかな…?とにかく名前も知らない連中ばかりだ!右後方から腐のオーラを感じたが特に確認はしなかった。」

 

雪ノ下「貴方、廊下側からいきなり窓側だなんて大丈夫なの?日光に当たって灰になったり成仏したり、浄化されたりしたらどうする気なの?。」

 

比企谷「心配してる体でさらりと酷い事言うの止めてくんない、俺は吸血鬼でも幽霊でもないからね。」(でも戸塚の大天使パワーで浄化されちゃうかも。)

 

雪ノ下「そうだったわね 私が間違っていたわ 貴方は紛れも無くゾン・・・。」

 

比企谷「おい!言い掛けて止めるな!今ゾンビて言おうとしただろ。」

 

雪ノ下「由比ヶ浜さんちょっといいかしら、ちょっとこっちに来ていただけないかしら。」

 

由比ヶ浜「えっ何?ゆきのん。」

 

雪ノ下「比企谷君の顔よ・・・その・・・目の様子が普段と違い過ぎるわ。」ヒソヒソ

 

由比ヶ浜「あぁ・・あれねぇ・・ 確かに朝に比べて目が変わってるよね。」ヒソヒソ

 

雪ノ下「これが彼の言う戸塚君の癒しパワーなのかしら?あのドン底まで腐りきっていた目がここまで変わるなんて、まるで神がかっているわ。」ガクブル

 

由比ヶ浜「う~ん 実際 彩ちゃんにはそんな力は無いと思うけど・・。」ヒソヒソ

 

雪ノ下「ではアレは本人が思い込む事によって発動すると言うプラシーボ効果的な物なのかしら?。」

 

由比ヶ浜プラッシー?。」ヒソヒソ

 

雪ノ下「プラシーボ効果よ、病気の人に《これは特別に良く効く薬》と言って偽薬を飲ませると有るはずの無い効果が出て元気になってしまうような効果よ。」ヒソヒソ

 

比企谷(2人で内緒話しをしているつもりだろうけど全部聞こえてるからね、八幡イヤーは地獄耳だからね。)

 

雪ノ下「比企谷君の目のせいで今日は調子が上がらないわ・・・取り敢えず今日はこの辺で解散にしましょう、明日からは何時も通り部活動を始めたいと思うのだけれど、2人ともそれでいいかしら?。」

 

比企谷「あぁ‥それで構わねーぞ。」

 

雪ノ下「それじゃ部室の戸締りは私がしておくから、二人とも今日は解散でいいわ。」

 

比企谷「うす、そんじゃーな。」

 

由比ヶ浜「あっ 待ってよゆきのーん 一緒に鍵返しに行こーよ~。」

 

 

――ヒッキーの居ない部室――

 

雪ノ下(席替えについての情報がもう少し欲しいところね・・。)

 

雪ノ下「由比ヶ浜さん、比企谷君の席なのだけれど周りはどんな感じなのかしら?。///」

 

由比ヶ浜「ゆきのん気になるの?。」

 

雪ノ下「一応部長として部員の座席配置を把握しようとしただけよ・・・。///」

 

由比ヶ浜「ヒッキーの後ろがモブはる君、右側がモブきち君、その後ろが姫菜で・・・」

 

雪ノ下(なるほど周りはNPC腐女子と・・・。)

 

由比ヶ浜「ヒッキーの左側はサキサキで、その前がモブ子で・・・。」

 

雪ノ下「なんですって!」ガタッ

 

由比ヶ浜「わわっ どうしたの ゆきのん?。」

 

雪ノ下「今の話なのだけれど、私の聞き違いでなければ比企谷君の左隣りは川崎さんなの?。」アセアセ

 

由比ヶ浜「そうだけどサキサキがどうしたの?。」

 

雪ノ下「貴方何故それをもっと早く言ってくれないの!。」ゴゴゴゴ

 

由比ヶ浜「ちょっ!ちょっと待って、ゆきのん落ち着いて!。」

 

雪ノ下「これはマズいわ・・・非常事態よ!由比ヶ浜さん もっと危機感を持ってちょうだい。」

 

由比ヶ浜「ちょっ ゆきのん危機感をって何?。」

 

雪ノ下「由比ヶ浜さん、冷静に考えてくれるかしら 相手はあの平塚先生をも泣かし、三浦さんの恫喝にも一歩も動じない川崎さんなのよ!もし川崎さんに本気で掛かって来られたら私達なんてひとたまりもないわ!。」ガクブル

 

由比ヶ浜「本気で掛かって来るって・・別にケンカする訳じゃないし、ちょっと落ち着いてよ。」

 

雪ノ下「由比ヶ浜さん、ちょっと想像してみてもらえるかしら、もし川崎さんが比企谷君の魅力に気が付いて本気で彼を落としに掛かったら、私達では太刀打ち出来ないのよッ。」

 

由比ヶ浜「いやだってサキサキって家族が大事で部活もしないで直帰の帰宅部だよ、男女交際と

かには興味無さそうだけど。」

 

雪ノ下「今まではね・・互いの席の遠さも手伝って、言わば眠れる獅子の状態だったかもしれないのよ、だからこそ大事に至る事も無かったのかもしれないのだけれど、これが隣同士の至近距離になったら あの男の放つ毒香に惑わされないとは言い切れないのよ。」

 

由比ヶ浜「いやいや、ヒッキーの毒香て・・・毒牙じゃなくて?。」

 

雪ノ下「貴方は気が付いてないみたいね、あの男には、まるで磁石のように女性を引き寄せるか弾き返してしまう不思議な能力が有るのよ 席が近くなった事によって、いつ川崎さんがこの毒香にかかるか解らないわ。」

 

由比ヶ浜「あわわわわ・・・ ちょっとヤバいかも?。」

 

雪ノ下「そう!もし川崎さんがその家事スキルで由比ヶ浜さんに挑んで来たらどうする気なの?。」

 

由比ヶ浜「ひぃぃぃぃぃ 絶対勝てないよぉぉ。」ガクブル

 

雪ノ下「どう?解ってもらえたかしら・・・かく言う私だって あの妖艶とも言える我儘ボディを武器に勝負を挑まれたら瞬殺される自信が有るわ。」ブルブル

 

由比ヶ浜「瞬殺決定――!? てか負けるの決まってるんだ。」

 

雪ノ下「由比ヶ浜さん、取り敢えずここは眠れる獅子は眠らせたままでいる作戦で行きましょう。」

 

由比ヶ浜「でも具体的にはどうするの?。」

 

雪ノ下「具体策は浮かばないのだけれど、獅子の起きる前に私達が先に行動を起こすのが最善だと思うわ。」

 

雪ノ下「何故だか解らないのだけれど、私の中の記憶?と言うか別の世界の私がこう言うのよ《敵を見誤ってはだめ!危機感を持ちなさい…》とね・・・その別の私は敵を過小評価

した為に大惨敗したらしいの・・・。」

 

由比ヶ浜「ごめん ゆきのんの言ってる事が中二病っぽ過ぎて全然解んない。」

 

雪ノ下「あら・・御免なさい訳の分からない事を口走ってしまったわね、今日はもう帰りましょう。」

 

材木座「ヘェーックショィ ズズ・・。」(さっき我を呼ぶ波動を感じたが誰だ?。)

 

 

――比企谷宅――

 

比企谷「たでーま。」

 

小町「あっ お兄ちゃんおかえり~。」ダダダ

 

比企谷(先に帰宅していた我が家の天使こと小町が玄関に走り出てきた。)

 

小町「あの・・すいませんどちら様でしょうか?。」

 

比企谷「だぁ――!お前もかよォ。」

 

比企谷「俺だよ、俺、俺! 俺はお前の兄ちゃんだ!。」

 

小町「嘘だッ 私のお兄ちゃんは、小町のお兄ちゃんはこんなイケメンじゃない!。」

 

小町「解った!あなた、お兄ちゃんの偽物ですね!《俺だよ、俺、俺、》て直接家に訪ねて来る新手の詐欺ですね!!早くその仮面を外して素顔を見せろ よりにもよって小町の前でお兄ちゃんの名を騙るとは絶対に許しませんよ貝木!。」

 

比企谷「落ち着け!お前の中学でコックリさんを流行らそうとはしてない!てかメタ発言は止めろ。」

 

比企谷「てかこのやりとり何回目だよ、小町にまで疑われるなんてお兄ちゃん泣いちゃうよ。」

 

小町「う―― 小町とのやりとりにテンポ良く着いて来れるところを見ると、お兄ちゃんで間違いなさそうなんだけど、あまりに目が違い過ぎる・・・何か有ったのお兄ちゃん?。」

 

比企谷「まぁ後で話すから、今は家に入れてくれ小町。」

 

 

――比企谷家リビング――

 

比企谷「・・・・・と言う訳でクラスで席替えが行われたんだが、なんと戸塚が俺の前の席になって

なぁ、もうお兄ちゃん今日から神様信じちゃう!早く学校に行きたいぜ、あれだけ憂鬱

だった月曜日が大好きになりそうだ!。」

 

小町「はぁ・・・だめだこの兄…早くなんとかしないと。」ハァ‥

 

比企谷「ところで小町、急で悪いが昼食の後で買い物に付き合ってくれないか?。」

 

小町「内容次第だけど、何を買いに行くつもりなのお兄ちゃん。」

 

比企谷「今日の、この良き日を記念して、部屋の中に大天使トツカエルを祀る為の祭壇を

買いに行こうと思うのだが。」

 

小町「・・バカなの?。」

 

比企谷「やめろ お前の声でそのセリフを言われると、なまじ声色が似過ぎてるせいも有って朝食のシーンを思い出してマジ泣きしちゃうだろうが!。」ウルウル

 

小町「訳の解らない事言ってると、昼食はカップ麺1個から食パン1枚か現金200円にしちゃうよ。」

 

比企谷(我が家の天使は今日も俺には厳しいようだ・・・。)

 

小町「ところでさぁ席替えの話しなんだけど お兄ちゃん以外はどうなったの?。」

 

比企谷「さぁなぁ…?周りは名前も知らん奴らばっかりだからなぁ・・。」

 

小町「知らないって言っても結衣さんは同じクラスでしょーが。」

 

比企谷「あぁあいつは仲の良い奴の傍になれたは良いが同時に仲の悪い奴の傍でもあるらしく板ばさみ状態で《これからどうしよ~》て悩んでる感じだったな。」

 

小町「うわぁ・・・結衣さん可哀想~~ 後でメールでもしとこ。」

 

比企谷「おう、元気付けてやってくれ。」

 

小町「何言ってんの、このゴミいちゃんは!本来はお兄ちゃんの役目でしょーが。」

 

比企谷「何で俺の役目なんだよ。」

 

小町「はぁ・・・もういいよ・・・それで、結衣さん以外はどうなの?。」

 

比企谷「あぁ・・俺の左側が川・・・・・?川崎だったな。」

 

小町「マジで!」パァ

 

比企谷「あぁ あいつ今までも遠くの席から俺を睨んでる事が何度か有ってちょっと怖いんだよ。」

 

小町「あぁ― それたぶん睨んでたんじゃないと思うよ。」

 

小町(キマシタワー・・じゃない これは千載一遇のチャンス沙希さんを全力支援せねば。)ゴゴゴメラメラ

 

比企谷(うおwwあちちッ 何だか解らんが小町が燃えている!炎獄の女王三浦をも凌ぐアツさだ!何コレ?紅蓮の皇女ステラ・ヴァーミリオンなの?デバイスにレーヴァテインでも出しちゃうの?て・・それじゃ俺は消し炭じゃん。)

 

 

――小町の部屋――

 

小町「さーてそれじゃ結衣さんに連絡で《プルルルルル》 うわww!ビックリした― 着信?大師君?。」

 

小町「はいはーい、もしもーし小町ですよー。」

 

大師「あっ比企谷さん?大師っす、今大丈夫っすか?。」

 

小町「小町は今、部屋の中だから大丈夫だよぉ~何か有ったの?。」

 

大師「実は姉ちゃんの事なんだけど、学校から帰って来てから様子が変なんすよ、もしかしたら比企谷さん何か心当たり無いっすか?。」

 

小町「様子が変て、具体的にはどんな感じなの?。」

 

大師「それがっすね、家の自転車置き場で華麗にテールスライドを決めたかと思ったら、靴も揃えないで部屋に駆け込んで《やったァ~ キャッホー》とか奇声を上げてたんす、それから夕方には鼻歌どころじゃないっす、台所でバンザイ~好きでよかった~を熱唱しながら夕食作ってて、晩御飯には赤飯が出て来たんすよ。」

 

小町「うわぁぁぁ」ドンビキ・・・

 

小町「えぇぇー沙希さん テンションメーターがMAX振り切れ状態じゃないですか!」ワカリヤスー

 

大師「そうなんすよ!学校で何か良い事が有ったのは解るんすけど一体何が有ったのか・・・ここまでテンション高い姉ちゃん見た事無いっすよ。」

 

小町「あぁー大師君、それたぶん原因と思われる事に心当たりが有るよ。」

 

大師「えぇ!有るんすか?とにかくここまで上がった姉ちゃんのテンションが切れた時の反動が怖いから教えて欲しいっす!。」

 

小町「今日ね、お兄ちゃんが目つきがまるで別人のように変わって帰宅したから、何が有ったか聞いたんだけど、どうやらお兄ちゃんのクラスで席替えをやったらしいの。」

 

大師「あぁ席替えっすか。」

 

小町「それでね、お兄ちゃんの隣の席が沙希さんになったんだって。」

 

大師「うわマジっすかそれ!それじゃ姉ちゃんが、ああなるのも納得っすけど、それでお兄さんの目つきも変わっちゃうて事は、もしかして2人は・・。」

 

小町「あ――それがそうじゃないんだなぁ・・・。」

 

大師「えぇ?違うんすか?。」

 

小町「う~ん残念ながらね、お兄ちゃんのクラスにはさぁ 一見すると女の子なんじゃないの?と思えるような超可愛い男子が居て、お兄ちゃんとは仲が良いんですよ。」

 

大師「えっ?えっ?えぇ?可愛い男子?えぇ?。」

 

小町「うんまぁ/// お兄ちゃんはその人の事を《大天使だ》なんて言ってて、その人がお兄ちゃんの前の席になったらしいんです。」

 

大師「はぁ・・でもまぁ間違い無く男子なんすよね?お兄さんの趣味が解らないっす。」

 

小町「あははww まぁ目つきの話しは、その大天使様の癒しのパワーを至近距離で浴びたせいだとか・・・。」

 

大師「何すかその至近距離で浴びただけで目つきが変わっちゃうような癒しパワーて?ゲッター線すか?。」

 

小町「まぁ要約すると、お兄ちゃんの目つきが変わった事と沙希さんが隣の席になった事とは直接の関係は無い・・て事なんだよね。」

 

大師「解ったっす!要は姉ちゃんが1人でうかれてるって事っすね。」

 

 

――通話終了後――

 

小町(これは沙希さん脈有りどころじゃないですなぁ 思わぬ所からお嫁さん候補が出て来ました!お兄ちゃんめ、ボッチだとか言っておきながらモテまくりじゃん。)

 

小町(結衣さんに連絡しようかと思ったけど、下手に沙希さんの話題が出たら困るから取り敢えず静観する事にしましょう。)

 

小町(う~ん・・結衣さんに雪乃さん、うかうかしてると鳶に油揚げをかっ浚われますよー 強敵の

   出現なのです。)

 

小町(しかし問題は本人がその事に全く気付いてない事・・・草食系男子なんて枠じゃなく絶食系男子ですからね うちの兄は。)

 

小町(まぁ小町としては兄を幸せにしてくれる人なら誰でもいいのです、あっ今のって小町的にポイント高い・・・・まぁ誰でも良いとは言いましたが、平塚先生はダメです!千葉村で私の事は将来の義姉ちゃんと呼んでくれていいぞぉ》と脅し半分に言われましたが恐怖感が先に走りました・・ダメです、あの人はポイント低過ぎです。)

 

平塚「ヘェーックショィ ズズ・・。」(誰か噂してるな、あぁ~早く結婚したいッ。)

 

 

――数日後 雨天の月曜日――

 

小町「おはよーお兄ちゃん 2学期になってから早起きするようになったね。」

 

比企谷「おう、今日も小町は超絶可愛いぞ!可愛いは正義だ、朝から妹を褒める俺ってポイント高い!。」

 

小町「あ――高い高―い…。」ボウヨミ

 

小町「でも本当にどうしたの?お兄ちゃん、前なら、こんな雨の月曜日なんかだと学校休む!とか言ってたのに。」

 

比企谷「少しでも早く戸塚に会いたいからな!目覚ましが鳴るより早く眼が醒めちゃうぜ。」

 

小町「1人で早起き出来るようになったのは良いんだけど、理由がコレなのはポイント低いよお兄ちゃん。」

 

小町「まぁそれは置いといて、小町はバスで学校に行くから今朝は送ってくれなくてもいいよ!。」

 

比企谷「お、おう・・そうだな雨の日の二人乗りは危ないからな。」(毎朝の楽しみが奪われてしまった・・。)

 

小町「それじゃ小町は先に行くから、戸締り宜しくねお兄ちゃん!お皿は帰ったら洗うから、流しに出しといてね~。」

 

比企谷(部活もやってないのに何で小町はこんなに早く学校に行くんだか?。)

 

 

――朝の通学――

 

比企谷(カッパを着れば雨でも自転車で行けるが、靴が濡れるしブレーキの効きが甘くなって危ないから雨の日は無理せず俺もバス通学だ!また入院騒ぎは起こしたくない。)

 

比企谷(ちょうどバスが来たので整理券を取って乗り込むと、他校の生徒達に混じって2人掛けの席に、青みがかった長い髪を後ろで一つに纏めた見知った顔の女子が座っていた。)

 

他校女生徒1『ねえねえ、今乗ってきた人 なんかちょっと格好良くなーい!。』ヒソヒソ

他校女生徒2『どれどれ~ うわぁ~確かにイケメンだぁ~~。』キャイキャイ

他校女生徒3『あの制服は総武高だよね?誰か総武に知り合い居ないの?。』ヒソヒソ

 

川崎「お・・おはよう・・・比企谷。」

 

比企谷「お、おう・・・えぇっと川・・川崎・・・お前も雨の日はバス通学なんだな。」(さすがに隣りの席なんで名前は覚えてきたぞ。)

 

川崎「比企谷って家はこの辺なんだ? まぁ私の隣りの席が空いてるから座って。」

 

比企谷「あ・・あ・・いや、いいよ・・。」

 

川崎「床が濡れてて滑って転んだら危ないから座りな!。」

 

比企谷(うっ怖い・・睨まないでもらえます、石化しちゃうから。)

 

比企谷「あぁ・・でもこの席で俺まで座っちゃったらその・・・狭くなっちゃうよ・・・。」

 

川崎「ああもう・・そういうのいいからこっち来な!。」

 

比企谷(そう言うと川崎は、俺の腕を掴んで引き込んできた ちょうどバスが発車した揺れも手伝って転がるように席に座りこんでしまった バスの2人掛け座席て何でこんな微妙に狭い幅に出来てるの~これじゃ必然的に密着せざるを得ないじゃん!何これ?罰ゲームなの。)

 

比企谷(それにしても近い!近い!柔らかい!いい匂い さっきからガッシリ抑え込んでる俺の右腕が凄い所に当たってるから~~ ヤバいヤバい!このままじゃ俺のデバイスが!陰鉄が召喚されちゃうから~~。)

 

比企谷「あの・・・川崎さん・・その・・そろそろ、その羽交い絞めにしてる右腕を離してもらえませんでしょうか。///」

 

川崎「あぁ・・悪かったね。///」

 

比企谷(・・・ほっ・・・やっと離してくれた・・危うく俺の陰鉄が夜の一刀修羅になるところだったぜ…それじゃ陰鉄じゃなくて淫鉄じゃん。)

 

川崎「アンタが早く座らないからだよ、バスの中じゃ他にも立ってる人も居るんだからもっと気を遣いな。」

 

比企谷「いやいやだったら他に立ってる人を座らせればいいだろう・・。」

 

川崎「他人からすれば座りたくても、いきなり女子高生の隣りには座れないでしょ、それにアタシだって見ず知らずの他人に密着されるのはヤダよ。」

 

比企谷「俺ならいいのかよ!。」

 

川崎「アンタは見ず知らずの他人じゃないでしょ。」

 

比企谷「うぅ・・・確かに。」

 

川崎「さっきも聞いたけどアンタんちって、この辺りなんだ?。」

 

比企谷「お・・おぅ まぁ・・・。」

 

川崎「アタシは3つ手前のバス停の近く。」

 

比企谷「おぉ・・そうか、近くても大通りの向こう側だから中学の学区が違うんだな。」

 

川崎「アタシは普段は自転車で通ってるんだけど、こんな雨じゃね・・・。」

 

比企谷「ああ俺もそうだぞ、寝坊しない限り毎朝小町を送ってから学校に行ってる。」

 

川崎(他愛もない話を続けているうちに時間は過ぎて、降りる予定の停留所が近づいてきた。)

 

川崎「比企谷!ここだから降りるよ。」

 

比企谷「お、おう。」(前方の扉に向かって歩こうとしたところで後ろから川崎に呼ばれた!?。)

 

川崎「比企谷、アンタ傘忘れてるよ バス停から下駄箱まで雨に濡れるつもりかい!。」

 

比企谷「おっと うっかりしてたぜ!サンキュー川崎!愛・・・・・。」

 

川崎「あい・・・何だってぇ?。」

 

比企谷(うっかりに、うっかりが重なって、つい小町に話す感じで愛してるぜ・・・とか言いそうになった・・お―――危ない危ない。)

 

比企谷「愛・・あい・・あいやすまねぇ助かった。」(うわww 咄嗟の回避!。)

 

川崎「何だいそりゃ? まぁ・・・他に忘れ物無ければ早く降りるよ。」

 

比企谷(バスを降りてから下駄箱に向かう間は特に会話も無く、かと言って他人と言う感じでもなく絶妙な距離感を保って俺の傍を歩いて来る川崎、こいつも俺に似てボッチな為かボッチの間合いが解るみたいだ、この数日間川崎の隣りの席で気が付いたのだが、クラスでも話し掛けてくる同性の友人は海老名さん位しか居なかったな・・・ そんな事を考えながら靴を履き替えていたら、簀子の段差を踏み外して川崎が転びかけた。)

 

川崎「きゃぁ!」

 

比企谷「おい大丈夫か!。」(咄嗟に川崎を支える。)

 

比企谷(いくら細身の女子とは言っても川崎は背丈が俺とかわらないし、戦場ヶ原さんのように軽い訳ではないから、俺もかなり強めに抱きしめるような感じで支える事になった。)

 

比企谷(直後は驚いている様子の川崎だったが、やがて耳まで真っ赤にして俺を見つめていた・・・。)

 

川崎「もう・・・だ だ 大丈夫だから離して・・もらえる・・。///」カァ プシューー

 

比企谷(えっ!何・・今のスゲー可愛いな・・。)

 

比企谷「お、おう・・・足挫いたりしてねーか?。///」ドキドキ  (今まで睨んでるような表情の川崎しか印象に無かったら新鮮な驚きだった。)

 

川崎「た・・たぶん大丈夫/// その・・・有難ね。///」

 

比企谷「そっ・・そうか・・・何事もなくて良かった・・その・・じゃあ・・教室に行こうか。///」

 

比企谷(階段を昇り、長い廊下を進んでいると遠くの教室の付近に2人の女子生徒が居るのが見えた、誰か確認すべくヒッキーソナーを発動させる・・・・。)

 

比企谷(ソナーに反応!金髪です!!縦ロールです!!赤淵メガネです!! 目標、金髪縦ロール1 腐女子1、ライブラリー照合!データ一致!トップカーストです。)

比企谷(川崎と一緒の所を見られたくないなぁ・・て川崎さんッ何で並んで歩いてんの!さっきまでの絶妙な距離感はどうしたの!。)

 

三浦「ヒキオー アンタら席が隣同士になってから仲いいねぇ~。」ニヤニヤ

 

海老名「おはよーサキサキ 何々~ヒキタニ君と一緒に登校とは隅に置けませんなぁ~。」

 

川崎「ふんッ!、たまたま下駄箱で一緒になっただけだよ。」カァ///

 

比企谷「偶然だ、偶然!。」(川崎・・言ってる事と表情が違い過ぎるぞ。)

 

比企谷(面倒事に巻き込まれないように、そそくさと教室入るが、そこに戸塚の姿は無くガッカリした・・早く来過ぎたようだ・・。)

 

川崎「比企谷・・・さっきの三浦達の事だけど、別に気にする必要無いから、言いたい奴には好きなだけ言わせとけばいいし、放っときゃ飽きるでしょ。」

 

比企谷「あぁ解ってる・・・某ガハマさん曰く《人の噂も49日》らしいから(笑)。」

 

川崎「ぶはぁッ  あはははははwwww 75日でしょ!。」

 

比企谷「だよな!それを素で言ってるから面白過ぎる。」

 

戸塚「聞こえちゃったー、面白い間違えだね―あははwwww  あっ八幡おはよ―。」

 

比企谷(俺と川崎が他愛も無い笑い話をしているところに大天使が降臨した。)

 

戸塚「2学期になってから朝来るのが早くなったね八幡 前は僕が朝練終わって教室に入る位のタイミングで来てたのに。」

 

比企谷「朝練て、こんな雨の日でもやってるのか?。」

 

戸塚「うん、そうだよ!勿論コートでは出来ないから体育館に向かう渡り廊下で素振りの練習だけどね。」ニコ!

 

比企谷(戸塚と会話を楽しんでいたが朝のSHRの時間になったので一端中断する。)

 

 

――お昼休み――

 

比企谷(晴れていればベストプレイスで戸塚の練習姿を愛でながら昼食なのだが、明け方から降り続いてる雨は一向に止む気配が無く、行き場を失った俺は購買で買ったパンを教室で食べていた。)

 

川崎「比企谷・・・アンタって何時も、そんなんで昼食済ませてるの?。」

 

比企谷「あぁ何時もこんな感じだぞ。」

 

川崎「如何にもバランスの悪い食事だね、体の事を考えると良くないよ。」

 

比企谷「別に俺は運動系の部活もやってないから、これで充分なんだよ。」

 

川崎「それと・・さぁ 朝の事なんだけど・・支えてくれて有難う・・・その助かったし嬉しかった。」

 

比企谷「お、おう・・悪かったな、いきなり抱き着くみたいな事して・・。」

 

川崎「何で謝るのさ、助かったって言ってんじゃん。」

 

比企谷「いや、それでも俺みたいなのに触られると嫌だろ。」

 

川崎「だから何で嫌がるのさ!アンタに支えて貰えなかったら私は泥だらけの濡れた床に尻もち着いて、1日中汚れた制服のままで過ごす破目になってた それを考えれば触られる事なんて問題無いし、支えてもらえて嬉しかったて言ってるでしょ。///」

 

比企谷「お、おう・・そうか、それじゃそう言う事にしておく。」

 

川崎「そう言う事に・・じゃなくて、それでいいんだよ!良い事をしたんだから胸張りな!。」

 

川崎「話は変わるんだけど、アタシさぁ古文で解らない所が有るんだけど、今度暇な時にでも教えてくれないかなぁ?。」

 

比企谷「古文なら得意な科目だからな、何時か暇な時が有ったらでいいか?。」

 

川崎「じゃあ約束ね。」ヤッタァ

 

 

――奉仕部部室――

 

比企谷「うぃーす。」ガラガラ

 

雪ノ下「あら来たのね・・・コマシ谷君。」

 

比企谷「おぃ 謂れのない仇名で呼ぶな!自慢させてもらうが俺は校内一の嫌われ者だぞ。」

 

由比ヶ浜「そこ自慢しちゃうんだ!。」

 

雪ノ下「あら間違えたわ、ジゴロ谷君だったわね、それともモテヶ谷君だったかしら。」

 

比企谷「事実無根だ!しかも普段の貶める方向とは逆に持ち上げて来やがって・・・はは~ん アレだな!上げて落とすやり方だな 止めろ!それは俺に効く。」

 

由比ヶ浜「そんな事よりー ヒッキー説明してもらえる。」ゴゴゴゴ

 

比企谷「落ち着けアホの子!話しの内容がスッポリ欠落した状態で説明だけ求められても何が聞きたいのかサッパリ解らん!。」

 

由比ヶ浜「アホって言うなし!優美子と姫菜から聞いたんだけど、ヒッキー今朝サキサキと一緒に登校して来たって!どーゆー事?。」ガルルル

 

比企谷「はぁ・・・そんな事かぁぁぁ??? 下駄箱の所で偶然出くわして、そのまま教室まで来ただけだぞぉ その時廊下で三浦と海老名さんに会っただけなんだが・・。」

 

由比ヶ浜「だったら何でサキサキと並んで歩いてたの――!!。」プンプン

 

比企谷「あのなぁ・・・同じクラスなんだから下駄箱から教室に向かうタイミングが合っちゃう事だって有るだろ!横並びで歩いてた訳でもないし。」(嘘です横並びでした。)

 

由比ヶ浜「それじゃ他の娘から聞いたけど、下駄箱の所でサキサキと抱き合ってたってのは本当なの!!。」ウキィー!!

 

雪ノ下「それは本当なの!!!。」ガタ

比企谷(くそ!アレを誰かに見られていたのか・・・・。)

 

雪ノ下「何故黙っているのかしら、場合によっては謝罪と賠償を請求するわ。」ゴゴゴゴ

 

比企谷「お前はどこぞの半島の人擬きか!てか何でお前に謝罪と賠償をせにゃならんのだ!。」

 

由比ヶ浜「それよりちゃんと応えて!何で抱き合ってたの!!。」

 

比企谷「あれは転びそうになった川崎を支えただけで他意は無いぞ。」

 

由比ヶ浜「本当にそれだけなの!!。」プンスカ

 

雪ノ下「まぁ それが本当なら情状酌量の余地有りと言う事で、今回に限り見逃してあげるわ。」

 

比企谷「ちょっと待て!情状酌量の余地って何だよ!勝手に人を罪人に仕立て上げるんじゃねぇ。」

 

雪ノ下「最近イケメンにクラスチェンジしたからと言って、いきなり女性の体に触れるのは痴漢行為と変わらないのではなくって。」

 

比企谷「俺はそんな邪な心で行動せんわ、それとも何か!俺は転倒しそうになっている川崎に気が付いていながら、助けもしない方が良かったのか?。」

 

雪ノ下・由比ヶ浜「・・・・・・そうじゃないけど・・・・・・。」

 

比企谷「それに《イケメンにクラスチェンジ》てどう言う事だ?。」(小町も似たような事を言うが・・・そもそも俺だぞ、イケメンとか有り得無いだろ。)

 

雪ノ下「・・・・・それは・・・・・・。」

 

由比ヶ浜「・・・・・・そのぉぉ・・・・・。」

 

比企谷(言葉に詰まる2人のにズイーっとアップで寄ってみる。)

 

由比ヶ浜「はう~ん。///」

 

雪ノ下「比企谷君 ち、近過ぎるわ。///」

 

由比ヶ浜「・・な・・なら話すけど、最近ヒッキーの人気が上がってるんだよ。」

 

雪ノ下「私も周りの人から貴方の事を聞かれる機会が増えたわ。」

 

比企谷「は?人気だと?。」(2人とも俺の目を見て話してくる。)

 

比企谷(でもハチマン慌てないし知ってるもん、女と言う生き物は相手の目を見ながら嘘が言える生き物だと・・・だからこいつらのイケメン云々は紛れも無く嘘だな、伊達に嘘告白を受けた経験者って訳じゃないぜ。)

 

比企谷「それはアレだ、人気とかじゃない、俺の悪評を聞きつけた連中が興味を持っただけだ。」

 

由比ヶ浜「そうじゃないし、他のクラスの娘から《紹介して》て頼まれる事が増えて来てるし。」

 

比企谷「だからそれも、罰ゲームのターゲットの情報を仕入れようとしているだけだ。」

 

雪ノ下「そんな感じで聞いている訳ではないと思うのだけれど・・・。」

 

比企谷「何でそう言えるんだよ。」

 

雪ノ下「聞き方に悪意を感じないからよ。」

 

比企谷「まぁいい、聞かれても俺の事は詳しく知らないと、とぼけてくれると助かる、面倒事には巻き込まれたくない。」

 

 

――その夜、小町の部屋――

 

プルルルルルル 小町の携帯が鳴った

 

小町「誰かなぁ・・・  おっ大師君だ。」

 

小町「はいはーい 小町ですよー 大師君どうしたの~   ・・・・あれ無音??。」

 

川崎「もっ!も も もしもし 比企谷小町さんの携帯で宜しいでしょうか?。」

 

小町(あれ?大師君の番号だけど女の人の声だ?。)

 

小町「はい、小町の携帯で合ってますが、どちら様でしょうか?。」

 

川崎「あの・・・ワタクシ・・・・川崎大師の姉で沙希と申しますが・・・。」

 

小町「あぁ~~沙希さ~~ん 御久し振りでーす、いつも兄がお世話になっているみたいで申し訳ありませーん。」

 

川崎「そ!そんな事・・・・無いよ むしろコッチの方が・・・。」コエウワズリ

 

 

小町「沙希さん、そんなに緊張しないで下さい、小町はそろそろ沙希さんから連絡が来る頃じゃないかなぁ~~と思ってましたから!。」

 

川崎「なっ!。」(えぇ~予想されてた?。)

 

小町「はいー お兄ちゃんの事が聞きたいんですよね?心配しないでいいですよ小町は沙希さんの味方なのです。」

 

川崎(えぇ~ 完全に先を読まれてた?小町・・・恐ろしい子!。)

 

小町「だからお兄ちゃんの事なら、食の好みから行動パターンまで何でも教えちゃいますよ~。」

 

川崎「それは話が早くて助かるね、それじゃ好きな食べ物とかから教えてくれるかな?。」

 

            ☆       ☆       ☆

 

小町「・・・・・・・・・と言う訳でお兄ちゃんに対しては恋の駆け引きみたいな事はアウトです!押してダメなら引いてみな!とか言うけど、押してる間は良いですが引いたら、あの兄のことです、即座にからかわれたと判断されてそれで終わりになっちゃいますよ、押してダメでも押し続けて下さい沙希さん!最初は何だかんだと抵抗すると思いますが、そこからグイグイ押しまくれば大丈夫だと思いますよ。」

 

川崎「解ったよ小町ちゃん、長時間話しちゃって悪かったね。」

小町「いえいえ、こちらこそどういたしまして!まだまだ全てを伝えきれてないですが、まだ聞きたい事が有ったら何でも聞いて下さいね! それから後で空メールを小町宛てに送ってくれれば、兄の番号とアドを送りますから。」

 

川崎「ん、解った、有難うね。」

 

小町「沙希さん ファイトです!。」

 

小町(沙希さんはお兄ちゃん争奪レースに遅れて参加しましたからねぇ~~この位の情報支援はしないと、2人とハンデが有り過ぎて不利なのです。)

 

 

――翌日、四時間目の終わり頃――

 

隣りからメモ紙が送られれて来た・・・

 

比企谷(川崎からか・・・何か書いてあるな・・何々 《お弁当作って来たから食べてくれると嬉しい》は?突然なんだ?・・・まぁ食べてくれと言うのも無碍に断る理由も無いが・・と思いつつ川崎の方を向くと真っ赤な顔をしながらこっちを見ている。)

 

比企谷(《嫌じゃないがどうした?》 俺も同様にメモ紙を川崎に送る。)

 

比企谷(返事はすぐに戻ってきた、分量を間違えて作り過ぎたらしい・・・有難く頂かせてもらうと書いたメモ紙を送り返した。)

 

比企谷(それにしても川崎もボッチなだけあって、目立つ事を嫌うボッチの気質を解ってるしかも席の周りは、俺達なんかには興味を持たないであろうモブキャラばかりだからメモ紙送り作戦は有効ですよ川崎さん。)

 

比企谷(まぁお弁当は頂かせてもらうとして教室で食べる訳にはいかない、なにより川崎に悪い噂が立ったら申し訳無いからな、ベストプレイスに行くにしても一緒に教室を出るのも良くないので昼休みになったら、階段下に先に行って待っていてもらえるようにメモ紙を送った。)

 

 

――昼休み――

 

比企谷(事前のやりとりのおかげで、誰にも怪しまれずに川崎をベストプレイスに案内出来た。)

 

川崎「比企谷って何時もココで食べてるんだ?静かで良い場所だね。」

 

比企谷「ああそうだぞ、雨だったり寒過ぎたりしない限りはココが一番人気が無くて安心して食えるからな、それにココは戸塚の練習姿が見れるからな。」

 

川崎「あぁ・・そ、そうなんだ。」

 

川崎「その戸塚て、お昼はどうしてるの?。」

 

比企谷「食べるのを後回しにして、先に練習をしているそうだ。」

 

川崎「へ、へぇ~そうなんだ あっそうそう はいこれ。」(つ弁当)

 

比企谷「あぁ なんかすまないな俺なんかじゃなくて大師に持たせてやれば良かったんじゃないのか?。」

 

川崎「大師の分も、けーちゃん・・・京華の分も持たせてあるから大丈夫。」

 

比企谷「そうか・・・三人分も弁当を作ってるなんて凄いな、俺には真似できねーよ どれどれ早速いただかせてもらうとするか。」

 

川崎「ん、召し上がれ。」

 

比企谷(パカッ  なッ・・なん・・・だと!! 作り過ぎちゃったレベルの内容じゃないぞ!。)

 

比企谷「か・・・川崎・・これ・・・。」

 

川崎「どうかした? 何か嫌いな物でも入ってた?。」

 

比企谷「そ・・そうじゃない  これ・・俺の好物ばっかりじゃないかッ!。」

 

川崎「そ、そう・・それじゃ遠慮無く食べてね。」

 

比企谷「おぅ いただきます。」

 

比企谷(おかずに目が行きがちだが、まずは御飯だな、お米は冷や飯になった時に真価が問われるからな・・・パクッ てぇ、、、~ピキィィィン  うっ!う―ま―いーぞ―ぉ~~ くそ!何で普通の御飯がこんなに旨いんだ!。)

 

比企谷(くっ・・まだだ・・まだ終わらんよ・・次は小さ目ながらも2個も入ってるチーハンを・・・パク~ピキィィィン  なっ!何事だこれは!一見市販品に見えて手こねハンバーグなのか!冷えているのに口の中に広がる香ばしさ!これじゃ食戟じゃないか!。)

 

川崎「ど、どうかな・・味の方は?。」

 

比企谷「お、おう 凄く旨いぞ、もっと上手に表現したいが、旨い物は旨いとしか表現出来ない!これ全部お前が作ってるんだよな?。」ガツガツ

 

川崎「うんまぁ アタシが作ってるけど・・・て誰も取り上げやしないから落ち着いて食べなって。」

 

比企谷「そうか、それにしても凄いな!コレもはや金の取れるレベルの弁当だぞ!としまや弁当も、Hotもっともブッ飛ぶレベルだ。」ガツガツ

 

川崎「そ、そう。///」

 

川崎(私の作ったお弁当を褒めてくれて、夢中で食べてくれる比企谷の姿が、何だかとても嬉しい。)

 

比企谷「いや~~食った!食った!ごっつぉーさん。」

 

川崎「はい、お粗末様でした。」

 

比企谷「お弁当箱なんだけど、洗って明日返すから、このまま預かっていいか?。」

 

川崎「そんなの気にしないでいいよ、1つ洗うのも2つ洗うのも大差無いから返しな。」

 

比企谷「お、おう・・なんか悪いな。」

 

川崎「ところでさ・・・・・その・・良かったら携帯の連絡先教えてくれないかな?。」(本当はとっくに知ってるんだけどね、何故知ってるか疑われないようにしとかなきゃ。)

 

比企谷「え?別に嫌じゃないけど何で?俺の携番知りたがる女なんて普通居ねーぞ。」

 

川崎「いや、だって今日みたいに急に連絡取りたい時に、メモ紙回すってのもね・・・。」

 

比企谷「ま・・まぁそうだな、メモ紙も悪くはないけど、他人に見られるリスクがゼロではないからな。」

 

川崎(そう言うと比企谷は放り投げるようにスマホを渡してきた。)

 

川崎「いきなり他人に携帯渡せるってのも凄いね・・・。」ヒキギミ

 

比企谷「別に他人に見られて困るような物は入ってないからな。」

 

川崎(既に知ってる内容を登録する必要はないので、比企谷のスマホに自分の連絡先を登録した。)

 

川崎「アンタの携帯にアタシの連絡先も登録しといたからね、間違って消去しないでよ。」

 

比企谷「おう・・解ったよ。」

 

比企谷(思いがけなく川崎の連絡先が入手出来たんだが、こちらから連絡する日なんてくるんだろうか?・・・まぁあれだ、これも社交辞令てやつだな。)

 

 

――数日後の登校時――

 

いつも通り駐輪場に自転車を停め玄関に向かって歩いていると、少し離れたテニスコートに朝練中の戸塚の姿を見つけた

 

比企谷(おぉ!登校するなり戸塚の姿が見られるなんて今日はなんてツイてるんだ!それにしても何故戸塚は男なんだ、もし女だったら俺は戸塚√一直線だぜ。)

 

???「・・・・・・・んぱい・・・・・・・・・・」

 

比企谷(奉仕部に相談に来て以来テニス部は少しづつ強くなり、今では初戦で敗退するような事は無くなったらしい・・・戸塚も喜んでいた、戸塚の喜びは俺の喜びでもある。)

 

???「あの・・・・・・・・んぱい・・・・・・・・・まって・・・・・・・・・」

 

比企谷(今度、戸塚の練習に付き合ってやろう。)

 

川崎(駐輪場から歩いていると、離れた場所に比企谷の姿を見つけた・・・気怠そうな特徴的な歩き方で比企谷だと解るが、傍に見慣れぬ女子の姿も有る・・誰? しかも比企谷はそんな女子の姿は目に入る様子もない感じでテニスコートの方だけを見てるし。)

 

比企谷(やっぱり人を相手にするのは壁とは違うからなぁ・・・・さて上履きに履き替えて教室に行きますかね~。)

 

???「先輩! 比企谷せ・ん・ぱ・い!。」

 

比企谷「ん?は・・え?俺???。」

 

川崎(相手が誰なのか気になったアタシは良くないと思いつつ下駄箱の影から様子を見る事にするが・・。)

 

比企谷「君・・・・誰?。」

 

???「私は1年のモブ菜と言います あの・・・コレを・・・。」

 

比企谷(1年だと名乗った見ず知らずの女子が封筒を差し出してきた はは~んこれはアレだな。)ハチマンケイケンホウフ

 

川崎(えぇ~~~何これ告白―!!! 目の前でこんな事やられても困るけど、かと言って邪魔しに入るのも不粋過ぎるし~~どうしたらいいのぉぉぉぉ。)

 

比企谷「あぁ君、気持ちは解らなくはないが、こう言うのは直接本人に渡した方がいいと思うぞ。」

 

モブ菜「へぁ・・・え?・・・いえ、ですからこうして直・・・・。」

 

比企谷「解ってる、葉山に渡して欲しいんだろ 一応預かっておくが あいつは受け取らないと思うぞ。」

 

川崎(予想の斜め下を行く比企谷の反応に脱力した・・・・はぁ・・・・鈍感とかのレベルじゃない。)

 

モブ菜「いえ、そうじゃなくてですね・・・・これは比・・・・。」

 

比企谷「一応預かるとは言ったが、間違い無くアイツは受け取らない!面と向かって告白してくる相手ですら断る奴だからな、こう言うのは自分で渡した方がいいぞ。」

 

川崎(これは鈍感とか勘違いとかじゃない、自分に向けられる好意なんて無いと比企谷は考えているんだ・・小町の言っていた意味が理解出来た、これじゃ奉仕部の2人が苦戦するのも納得のいく話だ・・・。)

 

川崎(こんな覗きみたいな行為は良くないけど、アタシにとっては大収穫だった・・・・なんて事を考えていると、そこに朝練を抜けて来たのか練習着姿の葉山が現れた。)

 

葉山「やあヒキタニ 何か揉め事かい。」

 

比企谷「おう葉山か、良いタイミングで現れたな、ちょうど良かった!こっちの娘がお前に用が有るみたいなんだ、話を聞いてやれよ。」

 

モブ菜「ちょっ!えぇ・・違うんです そうじゃないんです・・・・・。」

 

比企谷「ちょうど葉山も来た事だしコレは直接お前から本人に渡してやれよ。」

 

川崎(そう言って封筒を返すと先に比企谷はスタスタと教室に行ってしまった。)

 

 

――昼休み――

 

川崎(あの日からアタシは比企谷に毎日お弁当を作って来ていて、それを比企谷のスマホ

    連絡している。)

川崎(比企谷に朝の事を聞いてみたいけど黙っていた方が良いのは間違い無い。)

 

比企谷「川崎、毎日有難うな 今日は家で沸かしたお茶を持って来たから口に合うか解らないけど飲んでみてくれないか。」

 

川崎「へぇ~お茶淹れて来てくれたんだ 口に合うかって、何か特別なお茶?。」

 

比企谷「ドクダミ茶だ。」

 

川崎「は?ドクダミ茶?。」

 

比企谷「あぁそうだ、ドクダミ茶だ、べつに名前に“ドク”と付いていても毒が入ってる訳でもタイムマシン作っちゃう博士が入ってる訳でもないぞ。」

 

川崎「その映画ならアタシも見たよ(笑)それに毒の心配もしてないさ!でも…その・・ドクダミてよく庭に生えていたりする切ると臭い奴だよね?。」

 

比企谷「そう、そのドクダミで合ってる、でも乾燥してお茶になった物は殆ど匂いがしないんだ。」

 

川崎(そう言って比企谷は水筒のコップに温かいお茶を注いで渡してくれた。)

 

比企谷「まぁちょっと飲んでみ、嫌いだったら無理に飲まなくてもいいから。」

 

川崎「解ったよ飲んでみる。」 (そう言って一口飲んでみる)

 

川崎「あっ これ美味しい!それに全然嫌な臭いなんかしないね。」

 

比企谷「だろ!いつもは冬場だけ飲んでるんだけど、今年は出回るのが早かったのか昨日スーパーで見つけてなぁ 思わず買っちゃったぜ。」

 

川崎「でもこれ何か知ってる味もするね。」

 

比企谷「解るのか?100%ドクダミのお茶は薬局なんかで売ってて高いんだ、でもこれはハトムギとか色々8~10種類の原料とブレンドされてるところに俺が更に、ほうじ茶も足してるからこんな味になってるんだよ。」

 

川崎「へぇ~ 比企谷てこんな事もするんだね。」

 

比企谷「普段はパンとマッ缶で昼食を済ましてるけど、最近は川崎の美味しいお弁当が有るからな、いくら好きな飲み物でも、お弁当とマッ缶は合わない。」

 

川崎「ん、そうだね御飯とコーヒーは合わないね、まぁせっかく美味しいお茶も有るんだしアタシの作ったお弁当も食べて。」

 

比企谷「おう、早速いただくとするか。」パカ

 

比企谷「いつもながら見事な出来だなぁ~ それに味付けが最高だ!。」

 

川崎「そんなに褒めても何も出ないよ。」

 

比企谷「いやもう充分な物をいただいているんですが。」

 

比企谷「川崎っていい女だよなぁ。」ボソッ

 

川崎「なっ!いきなり何言うのさ。///」カァ

 

比企谷「そんな大声を出すな、いや・・一般的な意見だぞ、毎日こんな美味しい御飯が食べられるんだぜ、川崎と将来一緒になれる奴は間違い無く幸せ者だよ。」

 

川崎「もう!からかわないでよ。///」プシュー

 

比企谷「それでなんだけど、毎日こんなに美味しいお弁当をタダで貰い続けるのも申し訳なくてな・・何か御礼がしいたいんだが、何か欲しい物とか無いか?。」

 

川崎「い・・いや・・アタシがしたくてしてる事だから、そんな御礼とかいいんだけど・・・。」(でもこれは比企谷との距離を縮めるチャンス。)

 

川崎「うん・・それじゃ物とかじゃなくて、何処かに一緒に出掛けるってのはどう?。」

 

比企谷「えぇ~ それってデートですかぁ?。」

 

川崎「比企谷がそう思ってくれるならデートて事でもいいよ。」ヤッタァ

 

比企谷「一緒に出掛けるのは構わないが、先に謝っておくけど経験値が無さ過ぎて俺は今時の高校生がどんな所でデートするのかなんてさっぱり解らないし、女の子を連れて行って喜んでもらえそうな小洒落た店なんかも一軒も知らんぞ。」

 

川崎「そんな仰々しい所じゃなくていいよ、アタシも・・その一般的な女子高生の好みとかから外れた感覚の持ち主だから、逆にそんなオサレな所に連れて行かれても困るから。///」

 

比企谷「そうか・・・でも本当に悪いな・・俺は休日と言えば殆ど家でゴロゴロしてるだけだし何処か出掛けると言っても小町の買い物で荷物持ちくらいだからな。」

 

川崎「あー・・比企谷て、なんかそんなイメージ有るね。」

 

比企谷「だろ・・でもまぁ考えてみるけど、あまり過度な期待はしないでくれな。」

 

川崎「ん、解ったよ、楽しみにしてる。」

 

 

――奉仕部部室――

 

比企谷「うぃ~っす。」ガラガラ

 

由比ヶ浜「あぁーヒッキー遅いー。」

 

雪ノ下「あら誰かと思えばイケイケ谷君だわ。」

 

比企谷「またそれか・・・何なのそれは・・俺は峠のスーパーダウンヒラーの助手席で失神しちゃう先輩なの!!。」

 

雪ノ下「あたなの場合、失神ではなくて湿疹ではないのかしらアトピ谷君。」

 

比企谷「はいはーい、来ましたね~上げて落とす!。」(ようやく雪ノ下さんが通常営業に戻ったみたいです。)

 

由比ヶ浜「それよりヒッキー酷い!隼人君から聞いたけど今朝、1年の娘泣かしたんだってぇ!。」

 

比企谷「は?1年?・・・泣かせた??? 何の話しだ???。」

 

雪ノ下「それは本当なの?由比ヶ浜さん。」ゴゴゴ

 

由比ヶ浜「ヒッキーとぼけないでッ。」

 

比企谷「ちょっと落ち着け!一体何の話だ?1年の娘・・・何時の話しだ?。」

 

由比ヶ浜「だから今朝方の下駄箱での話しだよ。」

 

比企谷「今朝方・・・下駄箱・・・何か有ったかなぁ・・・そう言えば俺、朝飯何食べたっけ?。」

 

雪ノ下「どうやら記憶喪失のふりをして逃げる魂胆みたいね、それならコレで思い出さてあげるわ。」

 

比企谷「お前も落ち着け雪ノ下!まずは手に持ってる花瓶を下せ!だいたいショック療法は迷信だから・・それにそれは所謂鈍器だ ♪ドンドン、ドンキー、ドンキー○―テー♪だから!そんな物で殴られたら俺がタダじゃ済まないし、そうなったらお前もヤバいぞ。」

 

雪ノ下「あらこれは後輩を泣かすような女の敵に下す正義の鉄槌よ!それにその程度の事姉さんに頼めば簡単に揉み消せるわ。」

 

由比ヶ浜「傷害事件を簡単に揉み消せるんだ!!。」

 

比企谷「怖えー お前の姉ちゃん怖えー 雪ノ下建設の証拠隠滅能力怖えー。」

 

雪ノ下「コンクリート詰めで永久に海中散歩したくなければ早く思い出しなさい!。」

 

由比ヶ浜「ちょッ ゆきのん落ち着いて!脅し方が完全にヤクザだから!。」

 

雪ノ下「はッ!!・・・私とした事がつい最近読んだ小説に感化されてしまったわ。」

 

由比ヶ浜「《姉さんに頼めば》あたりからリアル過ぎて冗談に聞こえなかったからッ!もう・・・何の小説?。」

 

雪ノ下( つ極道シリーズ )

 

由比ヶ浜「」

 

比企谷(まぁ建設業界てのは、そう言うアバレル産業の人達との関係も必要なんだろうな。)

 

雪ノ下「ゴホン・・・少し話しが脱線したみたいなので元に戻しましょう・・・えぇっと比企谷君が1年生を手籠めにして泣かせた話しでよかったかしら?。」

 

由比ヶ浜カゴメで泣かせた?。」

 

雪ノ下「由比ヶ浜さん カゴメじゃなくて手籠めよ。」

 

比企谷「おい!手籠めとか言うな!全く身に覚えが無いぞ、第一人通りの多い下駄箱でそんな事するか、この歳で性犯罪者にはなりたくない。」

 

雪ノ下「下手人は黙りなさい、打ち首獄門にするわよ。」

 

由比ヶ浜「何故、時代劇風?。」

 

比企谷「あぁもう話が進まん、由比ヶ浜!今朝方俺が何だって?。」

 

由比ヶ浜「隼人君から聞いたけど、下駄箱の所で1年の娘とヒッキーが何か話しててそこに隼人君が来たら、ヒッキー慌ててその場から居なくなっちゃって、残されたその娘が泣き出しちゃったんだって。」

 

雪ノ下「比企谷君 これだけ状況証拠が揃っていたら言い逃れは許されないわよ下級生に対してどんな如何わしい行為を行ったのか白状しなさい。」

 

由比ヶ浜「如何わしい・・・ヒッキーの痴漢!すけべ!変態!サイテー!。」

 

比企谷「話しが脚色され過ぎてて、有らぬ方向に展開してるぞ。」

 

雪ノ下「あえて、とぼけると言うなら通報するしか無さそうね。」

 

比企谷「お前らと話してても埒が明かん、その場に葉山が居たと言うなら葉山に事の顛末を聞いた方がいいだろう・・・どうせ俺の話は聞かないんだし・・・。」

 

雪ノ下「それもそうね・・その方が真実が明らかになりそうね。」

 

比企谷「由比ヶ浜・・葉山を呼んでくれないか。」

 

由比ヶ浜「えぇ~ 隼人君たぶん部活中だよ、簡単には抜けられないよ。」

 

雪ノ下「由比ヶ浜さん・・・取り敢えず連絡だけでもして戴けないかしら。」

 

由比ヶ浜「うん解ったぁ。」

 

・・・・・・・・葉山呼び出し中・・・・・・・・・

 

由比ヶ浜『あ!隼人君・・今話せる?。』

 

葉山『やぁ結衣!良いけど今は部活中だから手短に頼めるかな。』

 

結衣『今朝の件の事なんだけどね、もっと詳しく聞きたいんだけど。』

 

葉山『その話し、部活終わってからじゃ駄目かな。』

 

雪ノ下「由比ヶ浜さん電話を替わってもらえないかしら。」

 

由比ヶ浜『隼人君、ちょっとゆきのんと替わるから待ってて。』

 

雪ノ下『葉山君・・練習中申し訳ないのだけれど、今朝方の事件の目撃者としてすぐに証言をいただきたのだけれど御願い出来ないかしら。』

 

雪ノ下「すぐに来てくれるそうよ。」

 

葉山「やあみんな揃ってるね、お待たせしてすまない。」ガラガラ!!

 

由比ヶ浜・比企谷 「「はや!!」」

 

雪ノ下「練習中のところ急に呼び立てて悪いわね。」

 

葉山「いやぁ~他ならぬ君の頼みだからね、飛んで来たよ。」

 

由比ヶ浜・比企谷((通話終了から40秒で現れたww。))

 

葉山「それで話しって何だい?。」

 

雪ノ下「奉仕部部長として部員の起こした不始末の責任は取らないといけないから今朝方の下駄箱での不祥事の顛末を聞かせて欲しいのだけれど。」

 

葉山「不祥事だなんて大げさだなぁ。」

 

雪ノ下「大げさな事は無いわ、聞くところによれば当部員である、この下男が下級生の女子に対して極悪非道な行いをやったらしいじゃないの。」

 

比企谷「おい!下男て誰だ!?極悪非道な事などしとらん。」

 

葉山「なんだその話しか、でも本当の事をここで話していいのかヒキタニ?。」

 

比企谷「構わねーぞ、有らぬ疑いを掛けられるよりマシだ。」

 

葉山「まぁ・・話せば君への疑いは晴れるだろうが、別の意味でヤバくなるけど、それでもいいか?。」

 

比企谷「構わん、もったいぶらずに話せ。」

 

葉山「それじゃ話すけど、その下級生の娘・・・モブ菜ちゃんだったかな?・・・その娘がヒキタニに告白をしようと決心してラブレターを書いてきたそうなんだ。」

 

雪ノ下・由比ヶ浜 ((告白!! ラブレター!!!))

 

比企谷「」

 

葉山「あれみんな固まっちゃったね・・・まぁ続けるけど そのモブ菜ちゃんがヒキタニにいくら声を掛けても、完全に無視されるし、やっと気が付いてもらえたと思って手紙を渡そうとしたら、何を思ったのかヒキタニは それを俺に渡して欲しい手紙だと勘違いして《直接本人に渡した方がいい》と受け取らなかったそうなんだ。」

 

由比ヶ浜「・・・・・ヒッキー・・・・・」

雪ノ下「・・・・・・この男は・・・・・」

 

葉山「そんなやりとりを2人がしてる所に偶然俺が通り掛かったもんだから、ヒキタニは《ちょうど本人が来たぞ》と、ろくに話も聞かず教室に行ってしまったんだよこれが今朝方起きた事の顛末さ。」

 

雪ノ下「比企谷君・・・葉山君の説明で・・・その・・合っているのかしら・・・。」

 

比企谷「マジかぁぁ・・て、大筋では合っているが、俺宛てのラブレターて所は嘘だな。」

 

葉山「全くヒキタニも隅に置けないなぁ~ モブ菜もそうとう勇気を出して告白したらしいんだがヒキタニに全く相手にされなかったと泣いてたよ 落ち着かせて教室まで送るの大変だったんだから。」

 

比企谷「葉山・・冗談にしては出来が悪過ぎるぞ、俺宛てにラブレターて所で嘘がバレバレだ。」

 

由比ヶ浜「そこは否定するんだ!!。」

 

比企谷「あたりまえだろ!俺宛てにラブレターだぞ・・有り得ない話だ、100歩譲って俺宛てだったとしてもそれは罰ゲームの類だ、誰か物陰から見ていたに違いない。」キリィ

 

川崎「ヘェーックショィ ズズ・・。」(誰か噂してる?。)

 

葉山「ヒキタニ・・・・・。」

 

雪ノ下(マズいわ・・・心配していた通り、この男の毒香に掛かった下級生が出て来てしまったわ・・・。)

 

比企谷「2人とも葉山に騙されるな、第一に俺はそのモブ菜なる下級生に全く面識が無いし名前すら知らん 誰なのか俺が聞きたいくらいだ。」

 

由比ヶ浜「じゃぁヒッキーは本当に知らないの?。」

 

比企谷「全く知らんし、今日初めて見た顔だ、そんなのがいきなりラブレターなんか渡してきても俺宛てだと思うか?。」

 

比企谷「葉山!お前の説明が本当だとして、その下級生は何故俺の事を知っていたんだ?。」

 

葉山「さぁ・・そこまでは聞かなかったし聞ける状態じゃなかったからな・・・。」

 

比企谷「思い返してみると、その下級生は俺の事を間違えずに比企谷と呼んでたぞ!この葉山ですら未だに正しく読めてないのに。」

 

葉山「それはすまなかった、でも間違っていたならその場で正してくれよ。」

 

比企谷「もう面倒だから、どちらも可て事にしてんだよ。」

 

雪ノ下「これ以上は本人に直接確認するしかなさそうね、葉山君も練習中に呼び出して悪かったわね、もう戻っていただいて構わないわ。」

 

葉山「それじゃ僕は失礼させてもらうよ。」

 

由比ヶ浜「隼人君ばいばーい!どうもね~~。」フリフリ

 

比企谷「まぁ平たく言えば俺の勘違いなのかな?真実を知ろうにも相手を知らんし興味も無い興味があるなら、2人でその下級生とやらに尋ねてくれ、俺は知らん。」

 

比企谷「由比ヶ浜・・今回も俺の痴漢行為や変態行動が有った訳じゃ無かっただろ、いい加減その短絡思考をなんとかしろ!。」

 

 

――小町と夕食――

 

小町「お兄ちゃん、席替えしてからだいぶ経ったけど、その後どうなの?。」

 

比企谷「その後どう?てどう言う意味だ?。」

 

小町「言葉のまんまだよ、お兄ちゃん通学時間も変わっちゃったし、学校でも色々変化が起きてるんじゃないの?。」

 

比企谷「う~ん変化かぁ・・・ 朝が早くなったおかげでな戸塚の練習してる姿が昼だけじゃなく朝も見れるようになったぞ!アイツも頑張ってるよなぁ 何か差し入れでもしてやるか!。」

 

小町「あ――はいはい、それで、それ以外は?結衣さんとかどうなの?。」

 

比企谷「アホの子全開だ。」

 

小町「いや、そーじゃなくて席が板挟みで・・て言ってたじゃん。」

 

比企谷「心配したようなトラブルは無さそうだ、お互い線引きが出来てるみたいでな。」

 

小町「それじゃ沙希さんは?沙希さんとはどうなの。」

 

比企谷(小町が超食い付き気味に聞いて来る・・・正直ウザい。)

 

比企谷「あぁ・・アイツには今週一週間食わせてもらってる・・・。」

 

小町「食わせて・・・て?もしかしてお弁当ですか?お弁当ですね!お弁当なんですね?。」

 

小町(キマシタワー  ヨーシ!!沙希さん一歩リード!小町のアドバイスが効いてますなぁ~。)

 

比企谷「お、おう・・・アイツの弁当はとにかく凄い旨いんだ、米の味が別次元だし、おかずにしても1つとして適当な味付けの物が無いんだ!もはや金を取っていいレベル。」

 

小町「別次元て・・マジで!そんなに凄いの? 小町も一度食べてみたい。」

 

比企谷「おぉ 本当に一度小町にも食わせてやりたいぜ。」

 

小町(お兄ちゃんがここまでベタ褒めするとは・・・想像以上の腕前ですな~。)

 

比企谷「それでな、あんな超絶旨い弁当を毎日タダで貰い続けるのも悪いから御礼をする事にしたんだが・・・・・これが何も思い付かん・・。」

 

小町(おぉ~そこまで進みましたか・・・お兄ちゃんを捕まえるなら胃袋から作戦が上手くいってるみたいですな。)

 

小町「何か欲しがってる物で御礼するのは?。」

 

比企谷「それが特に欲しい物は無いけど、何処かに連れて行って・・と言われた。」

 

小町(デート展開 キタ━━゜+.ヽ(≧▽≦)ノ.+゜━━ ッ!! )

 

小町「で、それで、それで、何処に行くの?。」キャッキャ

 

比企谷「それが全く思い付かなくて困ってる・・自分の引き出しの無さが恨めしい。」

 

小町「それじゃあ この小町がお兄ちゃんの為に一肌も二肌も脱いでみせましょう。」

 

比企谷「あ・・先に言っておくけど、オサレな所とか小洒落た店とかは駄目だぞ。本人にNG出されてる、それにアイツはどこか俺と似てる所が有るから人の多い所も間違い無くNGだ。」

 

小町「」

 

比企谷「どうだ?いきなり手詰まりになっただろう・・・。」

 

小町「そうか・・・沙希さんも意外と面倒な人なんだなぁ・・・でもさ お兄ちゃんは自称千葉観光大使なんでしょ!その線で選んでみれば?。」

 

比企谷「そう・・そうだな!サンキュー小町!愛してるぜ。」(そう言って天使小町の頭を撫でてやる。)

 

小町(小町のアドバイスがヒントになったのか、俄然やる気が出てきたみたい、今のお兄ちゃんはポイント高過ぎです。)

 

 

――ヒッキーの部屋――

 

比企谷(川崎に御礼をする事に対して小町からヒントを貰った・・後は計画を立てるだけだ確か川崎が俺のスマホに連絡先を登録してくれてあったな・・・。)

 

比企谷(何だろう・・・以前は女の子に電話するなんてなったら緊張で手も声も震えていたのに川崎になら全然大丈夫だ・・・むしろリラックスしてるまである。)

 

比企谷『もしもし、比企谷ですが川崎沙希さんの携帯で宜しいでしょうか?。』

 

川崎『はい、アタシだよ、どうしたの?』パァ

 

比企谷『昼間の話しなんだけど、何処かに行くにしても既に行った事が有る場所だったりしたら嫌だろ、それで色々聞いておこうと思ってな。』

 

川崎『ふふ、アタシは比企谷と一緒なら何処でもいいよ。』

 

比企谷(えぇ~何?この反応!!もしかして俺の事好きなの?。///)

 

比企谷『何処でもと言っても、やっぱり人が多い所は嫌だったりしないか?俺もダメだし。』

 

川崎『う~ん確かに苦手かなぁ・・・。』

 

比企谷『だろ、川崎に嫌な思いをさせたら御礼じゃなくなるからな。』

 

川崎『やっぱり比企谷は優しいね。』

 

比企谷『うっ・・///  そ、それでな・・今まで家族や知り合いと県内の観光名所みたいな所に出掛けた事は有るか?。』

 

川崎『う~ん、うちは大所帯で小さい子が居るうえに車も無いし両親も忙しいからそう言った日帰り旅行みたいな事はした事が無いのさ。』

 

比企谷『そうか、それじゃそんな観光名所に行ってみるのはどうだ?。』

 

川崎『いいねぇ~それ!アタシって千葉県に住んでても千葉の良い所をあまり知らないんだ、だから名所巡りとか楽しめるかも。』

 

比企谷『おぉ~それなら任せろ!アイラブチバTシャツを愛用する自称千葉観光大使の俺が千葉県の魅力を見せつけてやるぜ。』

 

            ☆       ☆       ☆

 

比企谷(川崎と小一時間話し込んで行先は鋸山に決まった、県内なら得意分野だ、俺の千葉観光ホルダーが火を吹くぜ!詳しいルートや時間については明日の昼食時に決める事にした。)

 

 

――翌日の朝食――

 

小町「だんな~昨夜はお楽しみでしたなぁ~~。」

 

比企谷「小町ちゃ~~ん 何処でそんなやりとり覚えたの・・。」

 

小町「それで、何処に行く事にしたの?。」

 

比企谷「鋸山」

 

小町「ほぉぉ 鋸山ですか・・こりゃまた渋い選択で・・。」

 

比企谷「それでな、小町に頼みたい事が有るんだが・・。」

 

小町「いいよ~何でも言って~。」

 

比企谷「一応今回は川崎に対する御礼が目的だが、この件は隠密に願いたい、特にあの2人には注意しないと、勘違いで面倒な事になる、だから誰かに聞かれても知らぬ存ぜぬで通してくれないか。」

 

小町「うん、解った 任せてお兄ちゃん。」

 

 

――昼休み――

 

比企谷「本当にいつも美味しい弁当、サンキューな、はい、これドクダミ茶。」

 

川崎「前にも言ったけど、お弁当はアタシがしたくてしてる事だから気にしなくていいよ・・・それとお茶どうもね 昼休みまで冷めずに保温出来てるのが凄いね。」

 

比企谷「それなぁ 家で試したんだけど、最初は保温性を謳ってるステンレスボトルの水筒に沸かしたてのお茶を入れてみたんだが、外側が触れないくらいに熱くてダメだった。」

 

川崎「そんなすぐ外側まで熱くなるんじゃ、冷めるのも早そうだね。」

 

比企谷「そうなんだ、それくらい文系な自分でもすぐ解って、こりゃダメだと思ったよ、それでな昔使っていた中がガラスで出来た水筒を探して見つけたんだ。」

 

川崎「探したって…今時売ってる?。」

 

比企谷「家の中を探したんだよ、以前親父が無災害表彰か何かで会社から贈られたけど使ってないのが有ったはずだったからな。」

 

川崎「置いておける場所が有るなら何でも無暗に捨てるもんじゃないね。」

 

比企谷「そうだな!こんな事もあろうかと捨て・・・・はっ!!!。」

「こんな事も・・・〔こんな事もあろうかと〕だよ! カァ~何時かは言ってみたいセリフNo1がこんなところで言える日が来るとは~~。」ウルウル

 

川崎「ちょっと、ちょっと何それ? てぇぇ えぇ 泣いてる??。」

 

比企谷「真田さん!見ていてくれましたか 俺・・俺・・・ついに言えましたよ!くぅぅぅ感動だぁ。」

 

川崎「」

 

川崎「ごめん比企谷・・・今初めて付いていけなかった。」ドンビキ

 

比企谷「あっ あぁ取り乱して悪かった・・・今のは某国民的アニメの中で、ある人物がここぞと言う場面で使う名ゼリフだ・・“ドリル”や“合体”に並ぶ男のロマンだよ。」

 

川崎「へ・・・へ・・へぇ・そう・・なんだ・・ね・・・良く解らないけど。」オロオロ

 

材木座「ヘェーックショィ ズズ・・。」(またしても我を呼ぶ波動を感じたが誰だ?。)

 

川崎「まっ・・まぁその話は置いといて 昨夜の件なんだけど詳細を決めない?。」

 

比企谷「お、おぅ・・そうだったな、目的地は鋸山で良いとして、行き方だ!」

 

川崎「電車でしょ?。」

 

比企谷「そう、普通に目的地に向かうだけなら内房線利用だな、でも俺はそこに一捻り加えたい。」

 

川崎「一捻り?。」

 

比企谷「電話じゃ聞き忘れたけど、お前・・船に乗った事は有るか?。」

 

川崎「ん~無い・・かな・・・でも何で山に行くのに船なのさ?。」

 

比企谷「このスマホの画面を見てくれ、鋸山の下には金谷港が有って、そこから久里浜までフェリーが出てるんだ、このフェリー航路を一つの道として見ると、電車と船で東京湾をグルっと一周出来るんだ だから今回乗ってみないか。」

 

川崎「へぇ~面白そうだね。」

 

比企谷「それにな、いくら観光地と言っても鋸山が高校生にウケる山かと聞かれれば、そうとは言い切れない部分も有るからな、そんな時は目的地までの往復の道中を楽しめるようにしておいた方が良いだろ。」

 

川崎「あっ・・この鋸山ってロープウェイも有るね!アタシこれも乗った事無いなぁ。」

 

比企谷「おぅ!最近ゴンドラを新車に変えたそうだから綺麗になってるぞ。」

 

川崎「比企谷、何も思い付かないなんて言ってたけど企画力有るじゃん!アタシ楽しみだよ。」

 

比企谷「それでな、楽しみが増したところに申し訳無いんだが事前に御願いが有る・・。」

 

川崎「何さ、お願いって?。」

 

比企谷「山頂まではロープウェイで上がるにしても現地は足場が悪いから踵の高くない靴と動き易い服装が必要な事と、昼食は目的地の近くの大型レストランを考えてるから、腕を揮いたいところだろうけど、当日は弁当とかは不要で頼む。」

 

川崎「ん、解ったよ それで当日の集合場所は何処にする?。」

 

比企谷「今回は旅費削減の目的で、行きの大半を私鉄にしようと思う、だから品川での乗り換えがし易い総武・横須賀線が来る稲毛駅にしよう。」

 

川崎「稲毛駅ね、時間は?。」

 

比企谷「時間的な余裕を持たす為なら早目の方が良いが、あまり早いと休日でも休めない社畜達の通勤ラッシュに巻き込まれる可能性があるからな。」

 

川崎「あ~ それはちょっと嫌かも。」

 

比企谷「それでだ、通勤ラッシュも終わる頃に、大船行き8:30発の快速が有る、これに間に合うように集合でどうだ?。」

 

川崎「ん、それが良いね、それじゃアタシは20分に西口のNEWDAY‘Sの所で待ってる。」

 

比企谷「じゃあ明日はそんな感じで! それと弁当ごっつぉーさん、いやぁ~今日も旨かった~。」

 

川崎「お粗末!!」

 

比企谷「え?それ知ってんのかよ!。」

 

川崎「このあいだ大志に教えてもらったのさ。」フフ

 

 

――比企谷宅――

 

比企谷「たでーま。」

 

小町「あっ お兄ちゃんおかえり~。」ダダダ

 

比企谷(普段同様、我が家の天使こと小町が玄関に走り出て来るが、目が爛々としていてウザさ20%増しに感じる。)

 

小町「お兄ちゃん お兄ちゃーん 沙希さんとは何時出掛ける事にしたの――。」

 

比企谷「小町ちゃ~ん 何か変な期待をしてるみたいだけど、これはあくまで御礼であって他意は無いからね。」

 

小町(うわぁ・・駄目だこの鈍感兄貴、早く何とかしないと。)「うんうん御礼だよね~ それでそれで~何時行くの?。」

 

比企谷「ウザ・・・ まぁ予報が良いから明日にした。」

 

小町(おぉ・・予定が決まれば即実行に移す電撃作戦が使えるまでに成長しましたか、お兄ちゃん。)

 

小町「ほほ~う それじゃ稲毛海岸駅から内房線直通の電車ですな!。」

比企谷「いや、そうじゃないぞ俺達は久里浜に向かう。」

 

小町「え?何で神奈川に行くの?鋸山じゃなかっ・・・・はッ!!そーかフェリーか!!あれに乗れば金谷に行ける・・・なるほどぉぉ お兄ちゃんにしては考えましたね~~。」

 

比企谷「別に深い考えはないぞ、アイツに聞いたら乗った事が無いって言うから今回のルートに組み入れただけだ。」

 

小町「とか何とか言って、さり気無く船旅を組み込んでロマンチックな雰囲気を盛り上げるとは!お兄ちゃんにしてはポイント高過ぎだよ。」

 

比企谷「はいはい、高い高――い。」ボウヨミ

 

小町(それにしても2学期が始まって以来、お兄ちゃんのイケメン度が上がりっ放しだよ。これも戸塚さん効果だとしたら、戸塚さんて本当に大天使なのかも?。)

 

小町「でもさぁ お兄ちゃん 今回は目的地も遠いのに、敢えて遠回りなルートも選んでるじゃない・・・その旅費の面とか大丈夫なの?。」

 

比企谷「う~ん確かに痛いところだなぁ・・・。」

 

小町「それに御礼のつもりだって言うけど、沙希さんの分の旅費を本人に負担させたら御礼の意味が無くなっちゃわない?。」

 

比企谷「そうだなぁ・・・考えが足りなかった・・・でもまぁ今月分の小遣いもまだ減ってないからアイツの分も含めて今有る小遣いでなんとかする。」

 

小町「いいよ お兄ちゃん、ここは小町に任せて。」

 

比企谷「任せて・・・て 何か策でも有るのか?。」

 

小町「《ここは一肌も二肌も脱ぎましょう》て言ったでしょ! お金が無いならどうするか?無ければ、有る人に出して貰えばいいんだよ。」

 

比企谷「いや小町・・・こんな事で毎日遅くまで働いてくれてる親父達に迷惑を掛ける訳にはいかない、今回は自分で何とかする。」

 

小町「お兄ちゃん、とにかく小町に任せて!ここで兄を助けるのは小町の役目だから。」

 

 

――小町の部屋――

 

小町(さっきはお兄ちゃんに任せて・・・なんて言ったけど、小町だって何の根拠も無くそんな事は言わないのです、お金の有る人・・この場合は両親ですね、娘に縋られて助け船を出せない親なんて、この世に居ないのです。)

 

小町(助け船・・・今回はフェリー利用だけに言い得て妙ですけど。)

 

小町(そうだ、大志君に沙希さんの様子を聞いてみよう。)ケータイポチポチ

 

小町『もしもし、川崎大志君の携帯で宜しいでしょうか?。』

 

大志『もしもし、大志っす!比企谷さんこんばんわっす!』

 

小町『大志君、今、通話大丈夫?。』

 

大志『うー・・うん、大丈夫そうっす。』シュウヘンカクニン

 

小町『実はね、明日なんだけど、うちの兄と沙希さんが一緒に出掛けるらしいの。』

 

大志『えッ!マジっすかそれ?。』ヤッタナネーチャン

 

小町『それでね、沙希さん今はどうしてるかなぁ~て思って。』

 

大志『姉ちゃんの様子っすか?、夕食の片付けが終わるなり、昔録画した映画のVHSビデオ引っ張り出して部屋で見てるみたいっすけど。」

 

小町『昔録画した?・・VHS? 映画? 因みにタイトルは何?。』

 

大志『タイタニックっす。』

 

小町『』

 

大志『あのーもしもし比企谷さん?どうかしたっすか?。』

 

小町『え、あ、う、ううん いま足元に虫が出ただけ・・・あっ あのね大志君ごめんね携帯の電池が切れそうだから一端切るね、それじゃどうも~~。』ブチッ

 

小町(えぇぇぇぇぇ~ 沙希さんwwww! 明日兄とフェリーに乗るからって事前にタイタニック見るってwwww 片道30分余りのフェリーにどんな期待してるんですかwwww。)

 

小町(結衣さんも雪乃さんも、この位可愛らしい所が有ればお兄ちゃんを任せられるんですが、現状では小町的に沙希さんが第一候補なのです。)

 

小町(おっ!そうこうしてる間に父さんが帰宅したみたいですので、愛想良くしながら頃合いを見て金銭交渉開始なのです。)

 

 

――比企谷家リビング――

 

小町です、先程は金銭交渉などと言いましたが、特に策が有る訳じゃ有りません、お金を

工面してもらう相談で、騙すような事をしては例え親子でも信用を失います、ですので

小町は沙希さんの事、お弁当の件、それに対して兄が御礼をしようとしている件、その御礼には費用が掛かる事、それでも兄は両親に迷惑を掛けたくないと、自らは支援を求めたなかった事など洗い浚い話した。

 

話してる途中で母も帰宅したが、母も真剣に話を聞いてくれた、この話しは両親の心を揺さぶるには充分だったみたいで、初めは疑っていた両親も次第に小町の話しを信じてくれ、最後には父は黙って俯き、母は泣いていた。

 

特に母と出会うまで時間が掛かった父は世に言う晩婚で、学生時代に良い相手を見つけておく事がどれだけ重要かを母に説き、沙希さんを我が家に招待する事を交換条件に充分過ぎる金銭支援を行うと約束してくれた。

        

    ☆       ☆       ☆

 

比企谷父「あぁ小町・・話しは早い方が良いだろう・・八幡を呼んで来てくれないか。」

 

小町「うん解った、すぐ呼んで来るね。」パァ

 

比企谷母「お父さん、小町の話しじゃ、まだ正式に交際する仲じゃないらしいけど、まさか八幡に一週間お弁当を作って来てくれるような娘が現れるなんて夢にも思ってなかったわ。」

 

比企谷父「あぁ八幡は人付き合いその物を嫌がる傾向が有ったからな、それに俺達に迷惑を掛けたくないとは・・・泣かせるじゃないか、知らぬ間に子供に気を使わせてる様じゃ俺達は親失格だな。」

 

比企谷母「本当にそうですね、それに私からも是非とも相手の方に御礼がしたいわ。」

 

比企谷父「その相手だが小町の話しじゃ、そのお手製弁当の出来たるや、そこいらの弁当屋が尻尾巻いて逃げ出すレベルらしいじゃないか、しかも下の兄弟達の分まで毎日作ってるんだそうだ。」

 

比企谷母「まぁ・・・今時の高校生には珍しい見上げた娘さんだこと。」

 

比企谷父「あぁそうだな、俺としても八幡には勿体無い程の相手で、もし交際するなら反対する理由は何も無い。」

 

小町「お父さん・お母さーん お兄ちゃん連れて来たよ。」

 

比企谷父「八幡・・・話しは小町から聞いた、お前は明日大事な御礼の為に出掛ける予定なんだよな、その件についてだが、これをお前に渡そう。」

 

比企谷(そう言って親父が渡して来た封筒の中を見ると)「えッ!! 親父・・コレって・・・確かに明日は少し遠い所に出掛ける予定だけど、だからってコレは多過ぎるぞ。」

 

比企谷父「確かに2人分の往復の交通費に昼食代を足しても余る金額かもしれない、だがな大事な場面で懐具合が寂しいと、相手に対して余裕の無い対応をしてしまう事が無いとは言い切れないんだ!これはその為の保険みたいな物だ。」

 

比企谷「俺は働いた経験は無いけど、これだけの金額を得るのがどれだけ大変かは解ってるつもりだ、だから・・この半額でいい。」

 

比企谷父「いいんだ八幡!ここは俺達に花を持たせろ・・お金の余裕は心の余裕にもなる!大事な相手なんだろう・・・・これには相手に失礼が無いようにと俺達の願いも籠っているんだ。どうしてもお前が気に病むんだったら、余った分で小町に何か買ってやってくれないか、ある意味小町は今回の立役者だらな、それといつか、その相手の方をうちに招待してくれないか?俺達からも礼を言いたい。」

 

比企谷(そう言って親父は俺の肩をポンポンと叩いた)「有難う親父・・・恩に着る・・・。」

 

比企谷(まいったなぁ・・感動で涙が出そうだ・・俺は一生両親にも小町にも頭が上がらないな。そんな事を思いながら前を見上げると、お袋と小町が涙ぐみながら俺の様子を見ていた、その顔を見ると同時に俺の涙腺は崩壊した。)

 

 

――稲毛駅西口――

 

比企谷(あの後の話しだが、昨夜は涙腺崩壊した恥ずかしさから、逃げるように部屋に戻ったちょっと気まずくて下に降りる事が出来ず、風呂に入れなかったので、早起きして

朝風呂に入った、おかげで20分も前に待ち合わせ場所に着いてしまった・・・決して川崎に会うのが楽しみだった訳じゃないよ・・・本当だよ。)

 

比企谷(それにしても小町・・どこまで両親に話したのか解らないが、恐るべき交渉能力だ・・・ややケチなイメージが有った両親からこれ程の額の金銭支援を引き出すとは・・・。)

 

比企谷(そんな事を思いながらロータリーの方を見ていると、停車したバスから川崎の降りて来る姿が見えた。)

 

比企谷(ポニーテールの制服姿しか知らない俺には、川崎の私服姿はそれだけで新鮮だった髪も何時もの高い位置で留めたポニーではなく左側の低い位置で留めたスタイルだ。)

 

比企谷(下半身は膝までのズボンだが上半身は、お腹の位置で結んで絞り込んだTシャツ・・

絞り込む事で胸が強調されている。)

 

比企谷「か・・川崎ッ!。」タッタッタ (無意識に川崎の元に駆け寄っていた。)

 

川崎「おはよう比企谷!予報通りいい天気で良かったね。」

 

比企谷「そうだな、気温も上がらず涼しいらしいぞ。」(そう答えながら何故か川崎の前から動けずに居た・・。)

 

川崎「比企谷どうしたの?取り敢えず切符を買いに行こう。」

 

比企谷「あ、あぁそうだな・・・。」(川崎に見惚れていた・・・改めて見るとスゲー美人だ・・・。)

 

比企谷(川崎が券売機に向かおうとするので、こう伝えた。)「切符なら先に2人分買っておいたから。」

 

川崎「えッ!本当に?。いくらだったの?いま私の分出すよ・・・ぴったり有るかなぁ・・・。」

 

比企谷「いや・・いい  今日は俺からの御礼なんだから、俺に出させてくれないか。」

 

川崎「そうはいかないよ!交通費だってバカにならないんだ、自分の分は自分が出すよ。」

 

比企谷「まぁその件は後で話すから、今は中に入ろう!もう電車が来ちゃうから。」

 

比企谷(そう言って川崎にキップを差し出して、自動改札へ向かった。)

 

比企谷(そう言って川崎にキップを差し出して、自動改札へ向かった。)

 

比企谷(ホームで電車を待っている間、川崎が乗り換え先からは自分で出すと言い出したので昨夜の小町の事を川崎に話した。)

 

川崎「そうなんだ・・昨夜そんな事が・・・・・・。」

 

比企谷「あぁだから今日1日は俺に持たせてくれ。」

 

川崎「ん、解ったよ・・いい妹さんが居て比企谷は幸せだね・・でも私のせいで妹さんに大きな貸しを作らせちゃったみたいで悪かったね・・その・・家での立場が悪くなっちゃわない?。」

 

比企谷「あぁ本当に良く出来た妹だ、前から天使だとは思ってたが今回の件で戸塚クラスの大天使に昇格だ。」

 

川崎「ふふ、何それ。」

 

比企谷「それにな、俺の立場を心配してくれるのなら、それは無用だぞ、元々家庭内のカースト順位は、お袋>小町>親父>カマクラ>俺・・となっているからな。」

 

川崎「」

 

比企谷「元々、最底辺だから これ以上落ち様が無い!だから俺の立場なんて気にするな。」

 

川崎「・・・そうなんだ・・・で・・カマクラって?。」

 

比企谷「猫だよ。」

 

川崎「なっ! アンタの扱いって猫より下なの!?。」

 

比企谷「おう!カマクラは小町に溺愛されてるからな、自然とカースト順位は俺より上だ。」ドヤァ

 

川崎「そこドヤ顔するところじゃないし・・・そう言えば以前、校門の所に連れて来てたね・・耳と尻尾の先が黒い白猫・・・あれがカマクラでしょ!。」

 

比企谷「いや・・・お腹側は白いけど、背中側は黒トラの猫だが・・・。」

 

川崎「えぇ?それじゃ前の子は死んじゃったの?。」

 

比企谷「いや・・死んでもいないぞ どちらもカマクラだ。」

 

川崎「それじゃ私の記憶違い??。」

 

比企谷「そこは所謂 大人の事情てやつだ!気にしないでくれ。」

 

川崎「うう・・・何だか良く解んないね・・。」

 

比企谷「それより電車が入って来たから乗ろうぜ。」

 

比企谷(やっぱり予想通り、寿司詰めと言う程ではないが、それなりに混んでいて座席に座るなんて不可能な状態だった、将来働く事になっても電車通勤だけはしたくないもんだ、やっぱり専業主夫が最良だと再認識したぜ。)

 

比企谷(俺は川崎を守る意味で壁側に立たせたが、川崎さん・・何故こちら向きに立つんですか? これじゃ壁ドン状態じゃないですか!近い近い、今日の川崎スゲー可愛い、胸デカイ! いい匂い~~ヤバい俺のHPがゴリゴリ削られるぅぅぅ。)

 

比企谷(しかしそんな車内も船橋で、どっと客が降りてガランとしてきた。)「川崎、あそこ空いたから座ろう。」ハァハァ

 

川崎「ん、比企谷も守ってくれて有難う!嬉しかった。///」

 

比企谷「///」

 

比企谷(川崎さーん そんな不意撃ち止めてぇ~好きになっちゃうから。)

 

川崎「はぁ~~それにしても通勤ラッシュて凄いね~ 働くなら電車通勤しないで済む事が必須条件になったよ。」

 

比企谷「偶然だな、俺も同じ感想だwwww。」

 

車内アナウンス***本日もJR東日本を御利用頂きまして誠に有難う御座います***

***この電車は快速の大船行きです、次は市川に停車します***

***市川を出ますと新小岩・・錦糸町・・馬喰町・・・・・・・・・・・・***

***・・・・・・・・保土ヶ谷・・東戸塚・・戸塚、終点大船の順で・・***

 

 

比企谷「東戸塚~~~ 戸塚~~~」ポワ~ン

 

川崎「ねぇ・・ちょっとちょっと比企谷ッ!比企谷ッ!・・大丈夫?。」

 

比企谷「お、おう・・すまない一瞬意識を持って行かれた。」

 

比企谷(なん・・・だと!東戸塚に戸塚だと!きっと大天使が大勢居るエデンに違いない!その東だから東戸塚エデンの東か・・。)

 

川崎「ねぇ比企谷?ちょっとぉ ちょっとー帰って来てぇ~。」

 

比企谷「お、おう大丈夫だぞ・・・ちょっと妄想が暴走しただけだ。」

 

比企谷(マズい・・ここでちょっと唐突でも無理矢理話題を変えねば・・。)

 

比企谷「そうだ・・川崎にはつまらん話しかもしれないけどな、今俺達が乗ってる列車は15両編成で凄く長いんだ。」

 

川崎「入って来た時見たらグリーン車も挟まってて長かったね、でもそれが何?」

 

比企谷「ニュースでも取り上げられたんだけど、東京駅で、その列車が故障で立ち往生した事が有ったんだ、その時どうしたと思う?。」

 

川崎「さ、さぁ・・・? 駅で直した?」

 

比企谷「それがな、もう1本別の15両の車両を川崎側から入れて、中で連結して合計30両で出て行ったんだよ。」

 

川崎「30両!。」

 

比企谷「そう!15両でも長いのに、それを2つ繋げて30両だ!その様子が動画サイトにUPされてたけど、もう笑うしかない長さだったなwwwwww。」

 

川崎「へ・・へぇ~ それは凄いね でも比企谷が電車に詳しいとは知らなかった。」

 

比企谷「いや、たまたまニュースになっていたから知ってるだけだぞ、決して鉄オタじゃないからな、そこは安心してくれ。」

 

材木座「ヘェーックショィ ズズ・・。」(まただ・・また我を呼ぶ波動を感じた?。)

 

川崎「あっ 次、品川だって、ここで乗り換えだね バスの時みたいに忘れ物しないでよ。」

 

比企谷「おう、今日は傘を持って来てないから大丈夫だ。」

 

 

――京急品川駅――

 

川崎「簡単に乗り換えられるかと思ってたけど、まさかこんなに歩く必要が有ったとはね。」

 

比企谷「そうか川崎はこっち方面に来た事無かったんだな。」

 

比企谷(それに良く考えれば京成で来れば良かったんじゃね?失敗したぜ。)

 

駅アナウンス***まもなく快特三崎口行きがまいります、危ないですので黄色い線の内側まで下がってお待ち下さい。***

 

比企谷「はッ!! このアナウンスの声?。」

 

川崎「比企谷・・急にどうしたのさ?。」

 

比企谷「い・・いや・・何でも無い・・・。」

 

川崎「何でも無いって、逆に気になるじゃない。」

 

比企谷「いや・・この駅のアナウンスの声がさぁ・・由比ヶ浜のかぁちゃんの声にそっくりなんだよ、まぁ他人の空似だろうけど・・・。」

 

川崎「へぇ~ 由比ヶ浜の母親の声って? えっ何で母親に会ってるのさ?。」アセアセ

 

比企谷「いや、普通に街を歩いていたら偶然、親子連れで居る所に出くわしただけだぞ。」

 

川崎「ふ~ん、どんな感じの人だった?。」

 

比企谷「う~ん由比ヶ浜をちょっとしっかりさせた感じで・・・・その・・俺より年上の人にこんな言い方するもの失礼だが・・・・可愛い・・。」ボソッ

 

川崎「ま、まぁ・・大人になっても可愛い人っているよね・・。」イラッ

 

比企谷「おう・・川崎!電車が来たぞ」(話してる間にホームの端まで歩いてた・・。)

 

川崎「ひっ!比企谷・・何か凄い・・・赤い電車!。」カッコイイ

 

2100(よう!俺だよ、俺がハマの赤いあんちくしょうこと、暴走特急2100だ!。)ドヤァ

川崎「こ、この電車・・・出来る!・・・眉唾もんじゃない!。」ボソ

 

比企谷「何か感じるのか?。」

 

川崎「あぁ・・ビンビン感じるよ、風で運休しちゃうような京葉線とは格が違うオーラが出てる。」

 

比企谷「あ、あの・・川崎はん・・・。」

 

川崎「じゃあ・・乗るよ、比企谷。」キリ

 

比企谷「お、おう・・。」(なんか川崎キャラ違くない?・・・それにホームの端まで来て気が付いたが、高そうなカメラ抱えた奴らがいっぱい居るぞ。)

 

川崎「へぇ~車内はロングシートじゃないんだね、ちょっと嬉しいかも。」カナリウレシイ

比企谷「おぉ~綺麗な車内だ・・じゃあ川崎、ここの窓側をどうぞ!。」

 

川崎「ん、有難う。」

 

2100(今日も俺の全開走りを見せつけてやるぜ! ♪ファーソ・ラ・シ・ドーレーミー♪)キィィィィン

 

川崎「ひっ!比企谷ッ! 何、何なの?今の聞き慣れない音は?。」

 

2100(まだまだぁー 1オクターブUP!!キィィィィィーン)

 

比企谷「わっ・・・解らん・・床下の方から聞こえたが・・てぇ・・・くぅぅ凄い加速だ!。」

 

川崎「くぅぅ は、速い・・怖いくらいに速い・・。」

 

比企谷「それにこの音!モーターの音だろうが、まるでジェットエンジンの音だ。」

 

2100(更に1オクターブUP!キィィィィィーン)

 

川崎「この電車そのうち離陸すんじゃないの?。」ハァハァ

 

比企谷「まるでジェットコースターだな・・ま・・まさかこんな電車が存在するとは。」ハァハァ

 

川崎「今度は大志やけーちゃんも連れて乗りに来よう!遊園地より絶対面白いよコレ。」

 

比企谷(しかし京急の本気を知るのは京急川崎を過ぎてからだった・・・。)

 

川崎「比企谷、前の方なんだけど子供が集まりだしてきたね、さっきから齧り付きで見てるよ。」

 

子供集団「 \KO☆RO☆SE!/  \KO☆RO☆SE!/  \KO☆RO☆SE!/。」

 

比企谷「それに何か不穏な事言ってるぞ・・・怖い。」

 

2100(こっからはライバル登場だ、やってやるぜ おらおらおらおら―キィィィィィーン。)

 

川崎「比企谷!窓の外見て!京浜東北線が走ってるけど、もう速度で相手にならないよ。」

 

比企谷「げッ!何だこりゃブッちぎりじゃねーか!。」

 

川崎「ねぇ次はアレ!! あれって特急でしょ?成田エクスプレス!!。」

 

2100(NEXだと!、そんなペプシみたいな奴になんかぜってー負けねーからな! ターボon!。)

 

比企谷「こっちは快特だよな? そんな・・・特急より速いのかよ・・・。」

 

川崎「前の子供達も黙っちゃったね。アタシも途中から目が回りそうだったけど。」

 

比企谷「この電車凄過ぎるだろ!、今度、戸塚と材木座にも教えてやろう。」

 

川崎「アタシも家族に教えよ。」

 

 

――京急久里浜駅――

 

川崎「なんか凄い速い電車だったね、駅を通過する時も全然スピード下げないし、最初は怖かったけど最後は面白くなったよ。」(ヤバい・・・京急面白過ぎるでしょ!。)

 

比企谷「あぁ俺もだ、最初はドンビキだったけどな、でもおかげで、あっと言う間に久里浜に着いた気がする。」(凄い・・・京急の車両は化け物か!。)

 

川崎「次はフェリーだけど港まではどうするのさ?。」

 

比企谷「港まではとても歩く気にならない距離だからバスで行く。」

 

比企谷(そう言ってバス停に向かおうとした時だった、ヒッキーソナーが反応した!!2時の方向敵です!!・・・嫌な物を見てしまった。)

 

比企谷(げッ!あれは陽乃さんじゃないか・・・何故ここに居る?本当にあの人は何処にでも現れるなぁ・・そんなに大学生は暇なのか?全く――!神出鬼没なんてもんじゃないぞ・・・まぁとにかく今この状態で一番会いたくない人だ・・・どうする?。)

 

比企谷「川崎・・バスに乗る前にコンビニに寄っておかないか?。」

 

川崎「えぇ 特に用事は無いけど・・・何?どうしたの?。」

 

比企谷「ま、まぁ・・とにかく付いて来てくれ。」

 

比企谷(半ば強引に川崎をコンビニに連れ込んだ。)

 

比企谷「川崎・・実は表に厄介な人が居てな、見つからないようにしたい、協力してくれ。」

 

川崎「何?厄介な人って?。」

 

比企谷「陽乃さんと言ってな、雪ノ下の姉だ。」

 

川崎「えぇ!!姉?雪ノ下の姉さん・・・? で、何でその人が厄介なの?。」

 

比企谷「あの人は何を考えてるのか読めないところが有ってな、何がしたいのか全く解らないとにかく苦手なんだ、でも今あの人の居る前を通らなければ港行きのバスに乗れなくなる・・そこでだ、レジの横に並んでるサングラスから何か好きな物を選んでくれ俺は恰好よりもレンズの大きな物を選ぶから。」

 

川崎「ふふ、なるほど!変装ね。」

 

比企谷「俺は追加でマスクも付けるから。」

 

川崎「あは、サングラスにマスクじゃ、ただの怪しい人だよ。」アハハ

 

比企谷「このさい見てくれは二の次だ、俺だとバレない事が重要だからな。」

 

川崎「それじゃアタシはこれに決めた。」

 

比企谷「おぉ~~川崎は元が美人だから何を選んでもキマるな!。」

 

川崎「もう!そんな不意撃ち止めて。///」

 

比企谷「お、おう・・じゃ、それでいいな、面倒事に巻き込んだお詫びに俺に買わせてくれその・・・プ、プレゼントて事で・・。///」

 

比企谷(サングラス2つとマスク1つの会計を済ませると、俺達は早速サングラスを装着した。)

 

比企谷「川崎・・・その・・1つお願い出来ないか?。」

 

川崎「今度は何?。」

 

比企谷「そのサングラスのフレームの端を片手で掴んで、少し下げて見上げる感じで俺を見てくれないか?。」

川崎「は?何?その注文?・・・・・・・ま、それくらい、いいけど こうかな?。」チラッ

 

比企谷「うっ///。」カワイイ (ヤベー 川崎可愛い!サキサキ最高!。)

 

川崎「ど、どう?  やらされてる方はよく解んないけど。」

 

比企谷「はい、もう感無量であります!。」

 

川崎「もう・・・バカな事やってないで行くよ!バスが来ちゃうでしょ。」

 

比企谷「もう1つお願いなんだが・・・バス停まで移動する間、俺を隠すように右側に並んでくれないか?。」

 

川崎「はぁ・・もういいよ、とことん付き合うよ。」

 

比企谷(そう言って俺たちはバス停に歩き出した、途中で陽乃さんの前を通過したが、声こそ掛けられなかったが、こちらをガン見していて超ヤバかった・・・ヤバかったと言えば俺は確かに《右側を歩いてくれ》とは言ったが腕まで組んでくれとは頼んでないですよ~川崎さん。)ドキドキ

 

川崎「どうやらバレなかったみたいだね。」

 

比企谷「もし乗ってきたら、どうしようかと思ったぜ。」ドキドキ

 

比企谷(こんなダブルドキドキ ハチマン心臓がもちませ~ん。)

 

川崎「ところでさぁ港までは近いの?」

 

比企谷「約10分みたいだ・・・おっ・・もうすぐ着くぞ。」

 

 

――久里浜港――

 

川崎「へぇ~ これが東京湾フェリーかぁ~ 結構大きいね!。」

 

比企谷「すまん川崎!乗船前に一応念の為に小町に連絡取らせてくれ。」

 

川崎「えぇ~~いちいち妹に報告する必要あるの?。」

 

比企谷「そーじゃない!さっきの陽乃さんとの遭遇についてだ。」

 

川崎「バレてなかったでしょ?。」

 

比企谷「あの人は妙に勘が鋭いところが有ってな、念の為にこちらも先手を打つ必要が有る。」

 

川崎(そこまで警戒する相手なんだ・・・。)

 

比企谷『もしもし小町か?。』スマホチョンチョン

小町『はいはーい小町ですよー お兄ちゃんどうしたの?。』

 

比企谷『非常事態発生だ!小町に協力を求む!。』

 

小町『えぇッ!何が有ったのお兄ちゃん?。』

 

比企谷『陽乃さんだ!陽乃が出た!。』

 

小町『えぇ―――ッ! 何ですって!それは何処でなの?。』

 

比企谷『久里浜だ!駅前に立ってたんだ!!。』

 

小町『えぇぇぇ!何でそんな所に?・・それで、お兄ちゃん達2人で居るのがバレちゃったの?。』

 

比企谷『一応変装して、その場は切り抜けた、でもガン見されてた!バレてる可能性も有る。』

 

小町『変装?。』

 

比企谷『そばのコンビニで買ったサングラスとマスクで顔を隠した。』

 

小町『』 

 

比企谷『一応、今日の俺の行動について小町は知らない事にしてるが、内容を変更する』

 

小町『で、どうするの?。』

 

比企谷『俺は今日、母方の従妹を案内してる事にしてくれ!行先は不明と言う事で!!。』

 

小町『解ったよお兄ちゃん、そんな従妹居ないけど、そう言う事にしとくよ。』

 

比企谷『おう、頼むぞ小町!。』 ポチ

 

川崎「話は終わった? それにしても雪ノ下姉妹って面倒な相手だね。」

 

比企谷「あぁ・・陽乃さんに関しては機会が有ったら話すよ。」

 

川崎「いや、比企谷がそこまで厳重な警戒をする相手なんだ、アタシも知っておいた方がいい。」

 

比企谷「それじゃ後で話すけど、あまり面白い話じゃないからな。」

 

川崎「いいよ、知らないよりいい。」

 

比企谷「まぁそんな話は置いといて、乗船券を買いに行こうぜ。」

 

川崎「ん、そうだね。」スチャ!

 

比企谷「そのサングラス気に入っちゃったの?。」

 

川崎「だってぇ~比企谷に初めて買って貰った物だから。///」

 

比企谷「変装目的で・・てのがアレだけどな。///」

 

 

――東京湾フェリー船内――

 

川崎「うわー なんか豪華な感じの船内だね それにコーヒーの良い香りがする。」

 

比企谷「おう、本当に良い香りがするなぁ~ よし飲もうか。」

 

川崎「うん、いいね ねぇねぇ比企谷!売店にも色々売ってるよ。」

 

比企谷「食べてもいいけど、この時間にあまり食べちゃうと、お昼ご飯が美味しくなくなるから程々にな。」

 

川崎「じゃあアタシはイワシバーグとコーヒー。」

 

比企谷「俺も同じ物にする。」

 

比企谷(食べてる間に出航したので、川崎を連れてデッキに出てみる。)

 

川崎「あ~潮風が気持ちいね!ねぇ比企谷、この船さぁ・・前の方には出られないの?。」

 

比企谷「一般者が出られるのは後方デッキだけみたいだなぁ・・。」

 

川崎「え―― 残念」プクー (チッ、せっかく映画で見たアレやりたかったのに・・。)プンスカ

 

比企谷(あれ?なんか川崎さんが、お怒りの御様子・・・。)

 

比企谷「そ、そうだ、せっかくだから写真でも撮ってやるよ、そのスマホ貸してくれるか?。」

 

(そう言ってデッキの上でポーズを取ってもらった、つい先程の不機嫌な雰囲気は何処へやらノリノリでポーズを取る川崎さんだった。)

 

(ヤベー 秋の日差しを浴びて潮風に髪をなびかせる川崎・・・スマホの画面越しでも解る・・・とても綺麗だ・・。)

 

川崎「ほらッ 比企谷も撮るよ。」

 

比企谷「いや・・俺はいいよ。」

 

川崎「いいからそこに立ってこっち向いて。」(そう言うと私は近く居た女性客にスマホを渡し嫌がっている比企谷の横に駆け寄った。)

 

女性客「いきますよー チーズ。」カシャカシャ

 

川崎(私が駆け寄ったところで比企谷が困惑した表情をしていたけど、私は構わず隣りに立った、そして撮影者に声を出さず、もう1枚のサインを送った。)

 

女性客「それじゃもう1枚ね!。」カシャカシャ

 

川崎(さっきは普通に隣りに立ったけど、2枚目は隙を突いて比企谷の腕にしがみ付いちゃった!シャッターを切る直前に動くつもりでいたので、ブレる事を想定して連写モードにしておいてよかったぁ~。)

 

女性客「かっこいい彼氏さんね、いい感じに撮れてるわよ、はいどうぞ。」

 

川崎「有難う御座います。///」

 

比企谷(はぁ・・完全に隙を突かれた・・・何なの?まさか俺の事好きなの??。)

 

比企谷「お、おい・・川崎・・突然そんな・・・不意撃ち過ぎるぞ。///」

 

川崎(比企谷が文句を言ってるが構わずアタシは撮れた写真を確認した、さっきの女性・・・慣れてるのかなぁ・・頼んでないのに、ちゃんと全身写真の他に表情のズームまで撮影してくれてた。)キャァ~ウレシスギル~

 

川崎「まぁまぁ 比企谷、写真は1人で写るより、誰かと一緒の方が思い出に残るよ。」

 

比企谷(そう言って川崎が見せてくれた写真の中には、突然腕を掴んで頬を寄せた川崎の横でやや引き攣りながらも、笑っている俺が写っていた・・・ヤダ恥ずかしい!撮り直しを要求したい。)

 

比企谷「か、・・川崎! すまんが恥ずかし過ぎるから、その写真は消してくれ!。」

 

川崎「嫌だよ、これは宝物なんだから!何が有っても絶対消さないよ。」

 

比企谷「解った・・なら・・せめて大志や小町には見せないでくれよ。」

 

川崎「アタシだって大志には見せられないよ まぁ・・ほらほら比企谷のスマホも出して!。」

 

比企谷「いや、いいよ俺の分は要らないよ。」(口で拒みながらも何故かスマホを取り出す男子高校生の姿がそこに有った・・・て言うか俺だった。)

 

比企谷(俺のスマホを受け取ると、2人で寄り添いながら自撮りを始めた・・はぁ・・・もう1枚撮るのも2枚撮るのも一緒だ!!下手な言い訳を自分にしたが本心は川崎との写真が欲しかったのかもしれない。)

 

比企谷「川崎・・・その何て言うか今の俺達ってリア充みたいだな・・・。///」

 

川崎「そっ・・そうだね・・そう言う事になるのかなぁ?。///」

 

比企谷(俺があれ程、忌み嫌い憎しみの対象でしかなかったはずのリア充に、気付かぬうちに自分がなっていた・・・。)

 

川崎「確かに、さっきのはバカップルだったね、・・でもね比企谷となら・・その・・いいかな・・なんて・・・。///」ボソ

 

比企谷「お、おう、俺・・・。///」(口に出掛けたが最後までは言わなかった。)

 

比企谷「ところで川崎・・これから向かう鋸山の近くには、映画のロケ地になった所も有るんだが “ふしぎな岬の物語”て知らないか?。」

 

川崎「えぇっと確か吉永小百合主演の映画だよね・・・見には行かなかったけど、それくらいは知ってる・・・・・えぇ!!あの映画ってこの近くで撮影されたの?。」

 

比企谷「なんだ、そのあたりは知らなかったのか、あの映画は殆どの場面を南房総地域で撮影して、物語のモデルになった喫茶店も実在してるんだ。」

 

川崎「へぇ~ そうなんだ、DVDになったら見てみようかな。」

 

川崎「あっほら、もう入港みたいだよ、なんかあっと言う間だったね、下船の準備しようか。」

 

比企谷「そうだな う~ん帰って来たぜ千葉県、千葉県よ!私は帰ってきた!!。」(目の前の金谷港と鋸山を見ると俺の愛する千葉県に戻って来た実感が込み上げて来るぜ。)

 

川崎「やたら速かった京急も超楽しかったけど、船もいいねぇ~アタシ初めてだったからいい思い出になったよ。」

 

比企谷「それは良かった、船酔いは大丈夫だったか?。」

 

川崎「ん、アタシ船に乗るのは初めてだったけど、全然酔わなかった。」

 

川崎「双胴船て何?。」

 

比企谷「簡単に言うなら2隻の船を左右に繋げた形の船だな、左右方向への揺れが少ないのが特徴だ。」

 

川崎「へぇ~ 比企谷は何でも知ってるね。」

 

比企谷「何でもは知らないよ、知ってる事だけぇ~・・・て言わすなよ!!。」

 

川崎「別に何か言わすつもじゃないけど。」

 

比企谷(素だったのか・・・まさかあの作品見てたのかと期待しちゃったぜ。)

 

比企谷「着岸も終わったみたいだから下船しようぜ。」

 

 

――金谷港――

 

川崎「ねぇ比企谷・・別に気持ち悪かったり酔ってる感じじゃないんだけど、船から降りても何かまだ体が揺れてる感じがする。」

 

比企谷「・・俺もだ!それじゃ目的地は目の前だし、ちょっと土産物屋でも覗きがてら休憩にするか。」

 

川崎「ん、いいよ!そこのThe Fishて所に入ってみない?。」

 

比企谷「お、いいな、でもこれから歩き回る事になるから、何か買いたい物が有っても、重かったり嵩張る物は止めた方がいいぞ。」

 

川崎「ん、解ったよ。」

 

比企谷(手前は海産物だな、特に干物系が充実してる・・・川崎は干物類を真剣に吟味しているさすがの主婦力。)

 

川崎「奥の方に面白そうな物が並んでるから行ってみない?。」

 

比企谷「川崎!ちょっと待ってくれ・・何だこれは・・一体何なのだ・・。」(川崎が呼ぶ方に行こうとしたが、酒類が並んでいるコーナーで俺は立ち止まってしまった。)

 

川崎(比企谷が黒い焼酎ボトルを持って固まっている、お父さん好みのお酒でも有ったのかな?。)

 

比企谷「川崎!これを見てくれ、“ぼっち” て、凄いネーミングだぞ!。」

 

川崎「・・・・・・・・・・・・・・」

 

比企谷「これはきっと20歳を過ぎた時の俺の為に作られた、俺専用の焼酎に間違い無い、1人酒用の仕様だぞ!。」スバラシイ

 

川崎「あぁ――・・・比企谷・・その“ぼっち”は、そう言う意味の“ぼっち”じゃないと思う。」

 

比企谷「なん・・だと・・違うのか?。」

 

川崎「落ち着いてラベル見な!そんな意味なら何で落花生の絵が描かれてるのさ。」

 

比企谷「いやぁそれは、落花生と言えば千葉の象徴だし・・千葉と言えば俺だし・・。」

 

川崎「そもそもまだ未成年の比企谷の為に、専用の焼酎が市販されてる訳ないでしょ!。」

 

比企谷「そだな。」

 

川崎「もう・・アタシも詳しい訳じゃないけど、収穫した落花生を乾燥目的で畑で丸く積み上げるんだけど、それを“ぼっち” て言うんだって聞いた事が有るよ。」

 

比企谷「俺専用ではなかったのか・・・orz」ナンテコトダ

 

川崎「もう・・バカな事言ってないで、あっち行くよ!。」

 

比企谷(川崎に引かれるように入った奥には 雑貨やオリジナル商品が並べられていた。)

 

比企谷「おッ!こッ これはぁ~~1番人気!・・だっぺよ、房総族Tシャツ・・だと!。」

 

川崎(また比企谷が、棚の前で固まってる・・。)

 

比企谷「川崎!これを見てくれ!。」

 

川崎「房総族ってそんな・・・駄洒落? 欲しいの?。」

 

比企谷「お、おう!勿論だ、この俺の心に熱くファイヤーする、押さえ切れない千葉魂が、これを買えと叫んでるぜ!。」

 

川崎「そのまんまの千葉魂Tシャツってのも有るけど。」

 

比企谷「いやアレはいい、昭和のヤンキーみたいだし・・・。」

 

川崎「で、そっちは買うの?。」チョイヒキギミ

 

比企谷「そりゃ俺はアイラブチバTシャツを愛用する男だよ、買っちゃうでしょ。」

 

川崎「あー はぃはぃ・・・ ねぇ比企谷!更に奥が有るよ!バームクーヘン工房になってるのこぎり山バームクーヘンだって!美味しそう・・・けーちゃんは甘い物好きだしなぁ~うちは大家族だし買うなら 6山になるんだけど、今買っちゃうと荷物になるから、諦めないと駄目だなぁ・・。」ショボン

 

比企谷「川崎、諦めるのは早いかもしれないぞ、調べるからちょっと待て。」スマホチョンチョン

 

川崎「待てって?。」

 

比企谷「うんやっぱりだ、川崎これ見てくれ、これから乗る予定のロープウェイの発着所にはコインロッカーが有るみたいだ。」

 

川崎「あっ本当だね、帰りまでここにしまっておけば!。」

 

比企谷「そう言う事だな、俺も小町への手土産は買わないとならないからな、6山買うぜ。」

 

川崎「そんなに買うの、多過ぎない?。」

 

比企谷「俺は1切れでも構わないが、小町には多く食べさせたいからな。」

 

川崎「ふふ、小町ちゃん太っちゃうよ。」

 

比企谷「一気に食べないように注意しとこう・・・ところで川崎、まだ揺れてるような感じは残ってるか?。」

 

川崎「ん、大丈夫 もう消えたみたい。」

 

比企谷「それじゃ行こうか、ロープウェイの発着所までは歩きになるけど10分くらいだ。」

 

川崎「近いから助かるね。」

 

比企谷「まだ見たかったかもしれないけど、昼食を予定してる所にも土産物屋は有るみたいだからな。」

 

川崎「ん、解ったよ。」

 

比企谷(そんな話をしながら歩いてるうちに、ロープウェイの発着所に着いた、以前から気が付いていたが、川崎と歩いていると、本当に変な緊張感が無い・・安心していられると言うか、ほっとすると言うか、壁のような物を感じない・・俺とは波長が合う感じだ。)

 

 

――鋸山ロープウェイ――

 

川崎「比企谷、ここにもアンタの好きそうな物が有るよ。」

 

比企谷(川崎が指差す方を見ると、胸に“鋸山”と縦に書かれ、背中側には唄のような物がプリントされたオリジナルTシャツが売られていた。)

 

川崎「どう?ストライクでしょ?アタシもだんだん比企谷の好みが解ってきたよ。」

 

比企谷「川崎さん!正解です!こんなのはここに来なければ購入不能だ!よし買おう。」

 

川崎「ふふ、やっぱりね。」

 

比企谷(取り敢えず購入した物をコインロッカーに預けてロープウェイに乗る事にした。)

 

比企谷「ロープウェイは未経験て話してたけど、小中の修学旅行で箱根方面には行かなかったのか?。」

 

川崎「アタシの学校は日光だったの。」

 

比企谷「あぁなるほど、廻るコースによっては乗らないケースも有るのか。」

 

川崎「ねぇこのロープウェイて意外と速く動くんだね、下には東京湾が見えるよ。」

 

比企谷「あぁ 頂上まで行けば、もっと良く見えるだろうな。」

 

川崎「ここの山肌ってさぁ 測ったようにほぼ垂直だね。」

 

比企谷「おっ!さすが川崎!良い所に気が付いたな。」

 

川崎「そりゃ、こうしてロープウェイで空中から見れば、山肌が人工的なのは解るよ。」

 

比企谷「その通り人工的なんだ、この山からは房州石と呼ばれる石としては加工が容易で良質な石が取れた事から、江戸時代の末期から昭和の末期まで石の切り出しが行われていたんだ。」

 

川崎「今は何で切り出してないの?。」

 

比企谷「さっき加工が容易・・と言ったけど、それって裏を返すと柔らかくてモロいって事で大谷石と入れ替わるように衰退したらしい。」

 

川崎「へ、へぇぇ~・・。」(比企谷の千葉愛が重い・・・。)

 

川崎「でも、切り出しされてたと言われれば、角が直角だったり、不自然に抉れた面になってるのも納得だね。」

 

比企谷「さっき下に居る時に話せばよかったけど、その切り出しをやっていたせいで、この山の頂上付近の見た目はギザギザなんだ、それが鋸の刃の様に見える事が、この山が鋸山と呼ばれる由来になったらしい。」

 

川崎「へぇ~比企谷は何でも知ってるね。」

 

比企谷「何でもは知らないよ、知ってる事だ・・・・・て!だから言わせるなよwwww。」

 

川崎「ふふ。」

 

比企谷「お!、もう山頂駅だな。」

 

 

――山頂駅――

 

川崎「ねぇ比企谷~ こっち来て―!。」

 

比企谷(海とは逆方向の見晴し台の手すりの所から下を見ながら川崎が呼んだ。)

 

川崎「この真下を見てみて!。」

 

比企谷「何か有るのか?草むらくらいしか見えないが?。」

 

川崎「もっとよく見て!猫がたくさん居る。」

 

比企谷「あ、本当だ・・・1・・2・・3・・・・・・11・・・ぱっと数えただけで11匹も居るな。」

 

川崎「みんな同じ姿で丸くなって寝てるね、可愛い。///」

 

比企谷「何でこんな山の上に猫がたくさん居るんだ?? ここは猫捨て山だったのか?。」

 

川崎「下だけじゃないよ、ここのフロア、良く見たらそこかしろに猫が居る~しかも人懐っこい!。」

 

比企谷(気づけば足元にも数匹寄ってきて愛想を振り撒いている・・ヨシ!数枚写真に撮っておこう。)

 

川崎「何か餌になる物でも持って来ればよかったね、この子なんて触れるよ」ヒョィ

 

比企谷(おぉ~川崎&猫・・滅多に見れない組み合わせだ!カシャカシャ   川崎は猫好きだったのか・・・雪ノ下も猫狂いだが、川崎はそこまでではなさそうだ。)

 

雪ノ下「ヘェーックショィ ズズ・・。」(きっと比企谷君ね。)

 

比企谷「川崎、お昼まであまり時間もないから先に進もうか。」

 

川崎「ごめんごめん、この子達可愛いから、つい夢中になっちゃった。」

 

比企谷「取り敢えず、頂上に向かうコースを進もうか、そこからの眺めを楽しんで、最終目的地は日本寺の大仏にするか。」

 

川崎「ん、アタシはそれでいいよ。」

 

 

――鋸山頂上――

 

比企谷「やっと着いた・・・けっこうキツいな。」ハァハァ

 

川崎「近いと思ったけど30分は歩いたよ。」ハァハァ

 

川崎「でもちゃんと看板が立ってるから、ここが頂上だって解るね。」

 

比企谷「川崎、いい眺めだぞ、俺達が船に乗った久里浜もはっきり見える。」

 

川崎「それに南に見えるのは大島でしょ?。」

 

比企谷「そうだな、遠い印象が有るけど、こんな見える所に有るんだ。」

 

比企谷(少し不安だったけど川崎も楽しそうで良かった・・・。)

 

川崎「ねぇ!こっちには地獄覗きって所が有るみたいだよ。」

 

比企谷「お、おう・・行ってみるか・・・足元に注意して・・・「きゃあ!」。」

 

比企谷(言わぬ端から、転倒しそうになり叫び声を上げた川崎の手を咄嗟に掴んだ・・・自分より小さな柔らかい手だった。)

 

川崎「あっ・・有難う・・/// また転びそうになったところを助けられちゃったね・・。」カァ

 

比企谷(礼を言う川崎を見ながら何故か掴んだ手を離せずに居た、この手で毎日弁当を作ってくれたのかと思うと、素直に感謝の気持ちが込み上げて来る。)

 

川崎「どうしたの比企谷?。」

 

比企谷「この道は雨に削られてでこぼこだから・・・その・・・また転ばないように、このままで

     行かないか。///」

川崎「そ、そうだね・・転んで怪我とかしたくないから・・・ね。///」

 

比企谷(川崎の体温を感じる気恥ずかしさからか、地獄覗きに着くまで互いに無言で歩いたが嫌な雰囲気と言う訳ではなかった。)

 

川崎「着いたね地獄覗き。」

 

比企谷「頑丈な手摺りが付いてるから落ちはしないだろうが、高い所は大丈夫か?。」

 

川崎「あまり得意じゃないけど、ここに来たなら覗かなきゃね。」

 

比企谷「地獄覗きか・・・自慢じゃないが俺は何度も地獄を見て来たから、これくらいは何ともないぜ。」ガクブル

 

川崎「ふッ、震えながら言うんじゃな・い・よ(笑)。」

 

比企谷「川崎は高い所大丈夫なんだ?。」

 

川崎「ま、まぁ・・・幽霊に比べればこの程度は・・・。」ガクブル

 

川崎「じゃあ・・・2人で一緒に覗こうか・・・。」

 

川崎(2人で覗く事にして前に進み下を覗いた・・・。)

 

比企谷「いいか川崎・・・押すなよ!  絶対に押すなよ!!。」

 

川崎「こんな所で、そんな小ネタやらなくていいから!。」(比企谷のおかげで緊張が解ける。)

 

比企谷「それより川崎・・横を見て・・ここと同じような地獄覗きが、もう1つ有るぞ。」

 

川崎「本当だね、2ヵ所有るんだ・・・。」

 

比企谷(2人で恐怖感を感じた後、川崎の手を取り日本寺へ向かった。)

 

川崎(普段は人を避けるところが有る比企谷だが、今はこうしてアタシの手を取って歩いてくれる事が嬉しい・・・ずっとこのまま歩いていたい。)

 

 

――日本寺 大仏広場――

 

比企谷「はぁ・・・けっこうキツい・・けどやっと着いたな。」ハァハァ

 

川崎「はぁ やっと着いたね・・入口に書いてあったけど、この大仏は日本一の大きさ?みたいだね。」

 

比企谷「大仏の材質とかで分けると色々な日本一が有るんだろうけど、この大仏は石の切り出し・・・て意味だろうな・・・。」

 

比企谷「取り敢えず、自販機も有るから何か飲みながらベンチで休憩しないか。」ゼェゼェ

 

川崎「アタシ達ってバリバリ若いはずなのに、ここの道は下りでもキツいね。」ハァハァ

 

比企谷「飲物は何がいい?。」

 

川崎「あっ いいよアタシも行くよ・・・と言いたいところだけど、もうダメ・・御願いしていい?。」

 

比企谷「あぁいいぞ何が良い?。」

 

川崎「なんか炭酸系のがいいな、ドクペ有るかな?。」

 

比企谷「おぉ!川崎はドクペがイケる口か!。」

 

川崎「いや、久し振りにそれがいいかな?て思っただけ。」

 

比企谷「俺も同じにしよう、マッ缶が入ってないからな、それにドクペは選ばれし者の知的飲料だしな!。」

 

川崎「ふふ、何それ。」

 

比企谷「はいよ!。」カシュッ

 

川崎「ん、ありがと カシュッ・・・・ん~~カラカラの喉に強めの炭酸が効くぅぅ~。」

 

川崎「ねぇ比企谷!ここの向かい側に、お願い地蔵てのが有るね。」

 

比企谷「おぉ もう一休みしたら見てみよう はぁ・・それにしてもけっこうキツかったな。」

 

川崎「アタシは部活も何もやってないから体力落ちてるのかも?。」

 

比企谷「俺は奉仕部だが、行っても基本的に本読んでるだけだから運動とは無縁だ。」

 

川崎「アタシ達って普段の生活の中で運動らしい運動と言ったら通学の自転車だけかもね。」

 

比企谷「かと言って始められるスポーツなんか思いつかんがな。」

 

川崎「だね、アタシも思い付いても3日坊主に終わりそうだしね・・・ねぇそろそろ動かない?。」

 

比企谷「おぅ、時間もせまってるしな・・まずはお願い地蔵見るか。」

 

川崎(ベンチから立ち上がり、お地蔵さまの所に向かうが、その両脇に小さな物が無数に置かれているのに気が付いた。)

 

川崎「比企谷、何かいっぱい置かれてるよ?。」

 

比企谷「そうだな、何だろうな?。」

川崎「あっ!これ お願い事が書かれた小さいお地蔵様だ。」

 

比企谷「おぉ!これ小さいのにけっこう重いぞ。」

 

川崎「勝手に触っちゃマズいんじゃない?。」

 

比企谷「おっ おぅそうだな、迂闊だった・・・何かお願い事を書き込んでここに収めるみたいだ。」

 

川崎「比企谷も何かお願いしたら?。」

 

比企谷「いや、止めとく・・。」

 

川崎「何で?。」

 

比企谷「笑われるかもしれんが、2学期に入ってから幸せの頂点に居るような感じなんだ、だからこれ以上望んだら、ばちが当たりそうだからな、でも川崎は家族の健康を願ったりしたらいいんじゃないか。」

 

川崎「じゃあさ こうしない アタシがアンタんちの家族の健康と無事をお願いするから、比企谷はアタシの家族の健康と無事を御願いしてよ!自分じゃなく他の人のためなら、ばちも当たらないでしょ。」

 

比企谷「なるほど・・互いの家族の為になら、自分の為だけじゃなくなるな」(俺は川崎の提案を受け入れ、ずっしり重いミニチュアのお地蔵様を2個購入し、借りたマジックで互いの家族の健康と無事を祈願を書き込んで収めた・・・こんなお願いの仕方も有るのか・・1人で来てたら絶対に思いつかなかったろうなぁ・・・。)

 

川崎(それから2人で大仏の前で記念撮影をして、来た時とは別ルートで山頂駅に戻った。)

 

 

――山頂駅――

 

川崎「いやぁ・・・恥ずかしいけど、けっこう疲れたね、でも嫌な疲れ方じゃないよ。」

 

比企谷「これから、ちょっと遅い昼食になるけど、店までは送迎車を頼むから、ちょっと電話させてくれ。」

 

川崎「ん、解った。」

 

川崎(来た時あれほど居た猫達は何処に行ったんだろう?周りには居ないけど?。)

 

比企谷「お待たせ!連絡が付いたから下に降りようぜ。」

 

川崎「そうだね、いっぱい歩き回ってお腹ペコペコだよ。」

 

比企谷(ロープウェイを降りて発着所の傍で待っていると、すぐに送迎車が来た。)

 

川崎(送迎車の運転手から丁寧な挨拶をもらい、海岸沿いの〝かなや“?と言う店に案内された、。)

 

――かなや――

 

比企谷「ここが昼食予定地だ、今日は天気が穏やかだからテラス席は最高だぞ。」

 

川崎(比企谷に案内されて店に入る、入口の両脇に生簀と水槽を構えた大きな店で2Fは食べ放題コース専用になっていた。)

 

比企谷「もしかして食べ放題の方が良かったか?今からでも変えられるけど、どうする?。」

 

川崎「食べ放題は元が取れないから普通のでいいよ。」

 

比企谷「通常メニューの他にも、本日のお奨め料理がそこに出てるから見に行かないか?。」

 

川崎「ん、やっぱりお奨めが良いかもね!。」

 

比企谷「注文を決め、テラス席に出た・・ここは季節限定で開放してるそうだ。」

 

川崎「そりゃ、いくら見晴らしが良くても冬場は遠慮したいね でもこの下はちょっとした磯場になってて面白そう、大志やけーちゃんなら大喜びで遊ぶだろうな。」

 

比企谷「でも小さい子にはちょっと危ないかもな。」

 

川崎「大丈夫さ、アタシが目を離したりしないから、 ところでさぁ・・アンタさっき

《今が幸せの頂点》て話してたけど何か良い事でも続いてるの?。」

 

比企谷「それを話すのは恥ずかしいんだが・・・。」

 

川崎「良い事なら別に話しても構わないでしょ、アタシは笑ったりしないよ。」

 

比企谷「なら話すけど・・席替えが有っただろ・・それで戸塚の後ろになれたし・・・それに・・毎日美味しい弁当を川崎から貰ってる・・・今まで女子からそんな事をしてもらった事が無かったしな・・・今の俺は凄く幸せ者だと・・思う。」

 

比企谷「本当に感謝してる・・・有難う・・。」

 

川崎「お弁当はね、アタシがしたくてしてるってのも有るけど、一番の理由はアタシが作った物を誰かが喜んで食べてくれる姿が見れるのが嬉しいの。」(それが比企谷なら尚更ね。)

 

比企谷「いや・・それなら家族の反応を毎日見てるだろ。」

 

川崎「家族とは違う、別の人が喜んでくれるのがアタシは嬉しいの。」

 

比企谷「そうか・・家族以外の人が・・か・・。」(だとしても何で俺なんだ・・・川崎に聞いてみるか、迷っている間に注文した料理が運ばれて来た。)

 

川崎「わぁ~ 凄い量だね、全部食べ切れるかなぁ~。」

 

比企谷「ここも俺の奢りだから遠慮無く全部食べ切ってくれ! この辺りは漁師町だからな海産物の鮮度はいいぞ!。」

 

川崎「遠慮無く・・・て言われても、太っちゃうよ。」

 

比企谷「今日は食べる前に充分運動したから大丈夫だろ・・それに太ったとしても、ぽっちゃり

     の川崎も可愛いかもしれないぞ。」

川崎「黙りな!その時は比企谷に責任取ってもらうからね。」(本気だからネ)

 

比企谷「まぁ冗談だ、さぁ食べようぜ!。」

 

川崎「一品料理で頼んだ物も届いたね、ホラ貝の刺身なんてアタシ食べた事無いよ。」

 

比企谷「俺もサザエの刺身は食べた事は有るが、ホラ貝は初めてだ!まぁ似たようなもんだろ。」

 

川崎「ん、本当だ!美味しい・・アレだ!アレに似た触感だよ・・・えぇっと・・アワビ?。」

 

比企谷「まぁ同じ貝類だしな、食感が似てるかもしれないな。」

 

比企谷(昼食には若干遅い時間だったし、散々歩き回って疲れていたせいもあって2人とも残さず全部食べ切ってしまった。)

 

川崎「あ~美味しかった、御馳走様でした。」

 

比企谷「おぅ、俺の方の鯵フライは絶品だったぞ!生簀に鯵がいっぱい居ただろ。さっきまで泳いでた魚を調理してるから臭みが全く無くてジューシーだった。」

 

川崎「ん、比企谷の食の好みも解ってアタシには収穫だったよ。」

 

比企谷(食事を終えて会計を済ますが、土産物売り場を通らないと外に出れないような店内レイアウトになっていた。)

川崎「いや・・・なんて言うか商売上手過ぎない?。」

 

比企谷「食事で金を使わせた後に、更に土産物で金を使わせるとは・・・。」

 

川崎・比企谷(しかし、まんまと術中にハマっていた 所狭しと並ぶ土産物やオリジナル商品を夢中で選んでしまった・・・・。)

 

川崎「なんかいっぱい買っちゃったね。」

 

比企谷「俺の場合は、いざと言う時に話題を逸らす道具としての一面も有るからな。」

 

川崎「話題を逸らす?。」

 

比企谷「言葉通りの意味だぞ、何事も無ければ無かったで、ちゃんと御土産を用意していた・・とポイントも稼げる。」

 

川崎「ポイントね・・・この後はどうするの?。」(比企谷家はポイント制なの?。)

 

比企谷「近くの駅から内房線で帰る予定だ、駅までは送迎車を出してもらえる・・連絡して来るから、ここで少し待っててもらえないか?。」

 

川崎「ん、解ったよ。」

 

比企谷(そう言って、受付けに向かうふりをしながら、表に有った海産物の直売所に向かった獲れたて新鮮な魚介類の中からサザエ6個入りを2籠を選んで宅配で届けてもらう手続きをした、勿論川崎宅宛てである 以前スマホに連絡先を登録しくれた時に、何故か川崎は住所まで登録してくれてあったから、あえて届け先を聞く必要は無かった。)

 

比企谷(いくら御礼でも、重い物を持たせるのは良くないしな、それにこれなら川崎が家族に自慢の腕を振る舞ってくれるだろう・・・今日の夜には配達されるそうだから鮮度が落ちる心配も無い。)

 

比企谷(店の入り口に戻ると、ちょうど送迎車がやってきた。)「竹岡駅までお願いします。」

 

 

――竹岡駅――

 

比企谷(本当は浜金谷駅までしか送迎してくれないらしかったが、どちらも距離的に変わらないとの事で特別に竹岡駅に送ってくれた・・・川崎と2人で運転手さんに御礼を言って車を降りた。)

 

川崎「ん?比企谷・・・駅見て固まってるけど、どうしたの?。」

 

比企谷「そ・・そんな・・・まさかここだったのか・・。」

 

川崎「ここだった・・て何が?。」

 

比企谷「いや・・・シカダ駄菓子の最寄駅・・・間違い無いそっくりだ!。」

 

川崎「は?シカダ?・・・駄菓子??・・その駄菓子屋?て有名なの?。」

 

比企谷「まぁ俺と趣味を同じくする大きなお友達の間では有名だ。」

 

川崎「つまり、あまり知られてないと言う事ね。」

 

比企谷「まぁそうなるな、自在しない架空の店だしな。」

 

川崎「へ、へぇ~そうなんだ・・・。」(つまり2次元の話しな訳ね・・・て比企谷が写真撮ってるし・・。)

 

比企谷「よし、材木座に自慢してやろう・・・思いがけず聖地巡礼が出来たぜ。」

 

川崎「聖地巡礼?。」(時々比企谷の言う事が解らない・・?。)

 

川崎「・・・ところでさぁ・・この駅には肝心な物が見当たらないんだけど・・。」

 

比企谷「肝心な物って何だ?。」

 

川崎「きっぷ!! 切符はどうやって買うの?券売機が見当たらないし駅員さんも居ないんだけど・・・。」

 

比企谷「あっ・・・・本当だ!どうすんだこれ?裏にでも有るのかな?。」

 

川崎(比企谷と2人、駅の周囲を探して回るが、それらしい物は見つからなかった・・・Suica用の簡易改札なる物は有ったが日頃電車を利用しないアタシはSuicaは持ってない・・。)

 

川崎「ねぇ比企谷・・ここに乗車駅証明書発行機て物なら有るけど・・・?。」

 

比企谷「えぇ!そんな・・・これが・・・・ こんな色してるから違う物だと思い込んでたッ。」

 

川崎「違う物?・・て何だと思ったの?。」

 

比企谷「・・・・・おみくじでも売ってるのかと・・・・。」

 

川崎「」

 

比企谷「や・・・止めて! そんな虫けらを見るような目で見ないで・・・・。」

 

川崎「はぁ・・・普通に考えて駅で、おみくじ売る訳無いでしょ・・・ これはたぶんバスで言えば整理券みたいな物の発券機で、この券で何処から乗ったか証明して、降りる駅で精算する方式なんでしょ。」

 

比企谷「う・・・・ん・・・ハチマンカルチャーショック・・・orz 。」

 

川崎「まぁアタシも知らなかったから、強くは責める気は無いけど。」

 

比企谷(川崎が優しい娘で良かった・・・これが奉仕部の2人なら、どんな罵詈雑言をぶつけられていたか解らない。)

 

川崎「まぁアタシも言い過ぎた・・・誰にだって知らない事の幾つかは有るもんだよ・・・ね。」

 

比企谷「お、おう・・ところで次の電車は何時来るんだろうな?。」

 

川崎「そこに時刻表が有ったけど。」

 

比企谷「・・・・・・・・・・・・・・・・これマジかッ!!。」

 

川崎「なっ!1時間に1本しか無い・・・。」

 

比企谷「でもタイミングは良かったな・・あと10分もしないで千葉行が来る。」

 

比企谷「なんかアセったせいか、喉が渇いたから飲み物でも買ってくる・・。」(マッ缶が有る。)

 

川崎「あぁ・・アタシも行くよ。」(普通にお茶にしよ。)

 

 

―― 千葉行車内――

 

川崎(駅に4両編成の上り列車が到着した・・先頭と最後尾の車両はロングシートではないのが解った。)

 

川崎「ねぇ比企谷・・隣りの車両に移動しない?。」

 

比企谷「おう、そうだな座るなら進行方向左側がいいぞ、海が見えるからな。」

 

川崎「車内はガラガラだね・・あっ!そこのBOX席が空いてるよ。」

 

比企谷「じゃぁ川崎はそこの窓側にどうぞ。」

 

川崎「ん、有難う・・でもそんなに気を遣わなくてもいいから・・。」

 

比企谷「いや・・遣わせてくれ 今日の俺の立場は川崎に御礼をする側だし、自称千葉観光大使としては、ゲストに千葉県の良い所を余す所無く見てもらいたいからな。」

 

川崎「解ったよ、ここは好意に甘える事にしとくよ。」

 

比企谷「ところで川崎、ここ竹岡って場所は一部では有名な場所なんだけど知ってるか?。」

川崎「さっき駅の周辺を歩き回ったけど、特に何も無かったねぇ・・・何が有名なの?。」

 

比企谷「う~んやっぱり女子の間では知られてないか・・・ 竹岡と言えば“竹岡式ラーメン”だ。」

 

川崎「あっ!聞いた事有る、TVでも何回か取り上げられてたよ。」

 

比企谷「そう!2度も隣家の火災に巻き込まれながらも、その度に雄々しく立ち直る、行列が出来る不死鳥のラーメン屋だ、その竹岡式で有名な梅乃屋が有るのがここ竹岡なんだ・・本当は今日行ってみたかったけど、駅から離れ過ぎてるし、これ以上歩かせる訳にもいかなったからな、平塚先生なら絶対行くだろうけど。」

 

平塚「ヘェーックショィ ズズ・・。」(誰か噂してるな、あぁ~早く結婚したいッ)

 

川崎「う~ん、今日はもうこれ以上歩きたくないかな・・・それにお腹いっぱいだしね。」

 

比企谷「店の場所が、ちょうど駅と駅との中間あたりに位置してるからな、どちらから歩いても30~40分は歩く羽目になる・・・本当に食べてみたかったら平塚先生に頼るのがいいだろうな。」

 

川崎「あの先生そんなにラーメン好きなの?。」

 

比企谷「あぁ それはもう、そうとうなもんだ・・・上手に誘えば車を出してくれるかもしれない。」

 

川崎「あぁ・・そう言えば、なんか高そうな車に乗ってたね・・。」

 

比企谷「アストンマーチンだ、値段は想像も付かん・・しかもあれはボンドカーじゃないか?と材木座が話してたぞ。」

 

川崎「そんな車に乗ってたら、男が寄り付かなくなるんじゃない?。」(先生何してんの!!)

 

比企谷「だよな、俺なら引いちゃうかもな。」

 

川崎「ところでさぁ・・・話は変わっちゃうけど、さっき話してた雪ノ下のお姉さん?その人ってそんなにヤバい人なの?。」

 

比企谷「あぁ・・その話しか・・あの人は陽乃さんと言うんだが、本当に神出鬼没な上に何を考えているのか解らない・・・おまけにどうも俺と雪ノ下をくっつけようとしてるふしが有る・・・とにかく苦手なんだ。」

 

川崎「へ、へぇ~それで比企谷はどうなの?。」

 

比企谷「どうって?。」

 

川崎「雪ノ下と、くっつこうとか無いの?。」

 

比企谷「俺と?雪ノ下とがかぁ~~ 無い無い!有る訳無い。」

 

川崎「でも、もし仮に向こうから交際を申し込んで来たら?。」

 

比企谷「その展開も全く考えられないし、仮にそうなったとしても雪ノ下の親父さんは建設会社の社長であり県議会議員でも有るんだぞ、御互いの家柄が違い過ぎる。」

 

川崎「でもそんなの当人同士には関係無いでしょ。」

 

比企谷「確かに関係無いかもしれんが、だとしても あの姉の存在だけでも地雷過ぎるのにその背後には人の話を全く聞かない鬼母も控えてる、まるで核爆弾だ・・全く雪ノ下家は火薬庫か何かかよ!。」

 

川崎「それじゃ比企谷は雪ノ下を、そう言った対象として見た事は全く無い訳?。」

 

比企谷「全く無いか?と問われれば無かったとは言わないが、そもそも俺は雪ノ下と出会った頃に《まずは友人から・・・》と申し込んで即答で断られてるしな。」

 

川崎「でもそれって出会ったばかりの頃の話でしょ、今は違うんじゃないの?。」

 

比企谷「変わってないと思うぞ!それが証拠に俺は未だにアイツの連絡先を知らん。」

 

川崎「えぇ?知らないって本当なの?。」(雪ノ下・・・何考えてんの・・・親展する訳無いじゃない。)

 

比企谷「あぁ知らんぞ!。」

 

川崎「それじゃ部活関係の連絡はどうしてるの?。」

 

比企谷「由比ヶ浜が連絡してくる。」

 

川崎「はぁ・・・。」

 

比企谷「まぁ 俺も俺で聞こうとしないしな・・・知らなくても不便は無い。」

 

川崎「解ったよ・・・雪ノ下の事は何とも思ってないんだね。」

 

比企谷「まぁ憧れの対象では有るがな。」

 

川崎「憧れ?。」

 

比企谷「そりゃそうだろ、常に清廉潔白で落ち着きを払い、自分を高めて行く事への努力を惜しまない・・・俺には出来ない事が出来る人間に対しての憧れだよ。でもな、それなら川崎に対しても持ってるぞ。」

 

川崎「えッ!! あ・・アタシに?。」

 

比企谷「なんだ、自分では気付いてないのか? 川崎は家族の為に自分の時間を使う事を厭わない、むしろ自ら進んでやっている、忙しい両親に替わって兄弟達の弁当を作ったり・・それも毎日。  だ小さいけーちゃんにとって川崎は母親同然だ。 俺にも妹が居るから解るが、俺にはそこまでは出来ない!! スカラシップの事だってそうだ。 川崎は両親に学費の事で負担を掛けたくない一心で、無理なバイトを始めた・・ただ小遣いを誤魔化したかった邪な俺とは訳が違う。」

 

 

川崎「あ・・あの時は何とかしたい一心で周りが見えてなかった・・・結果的に家族に心配を掛けてしまってたけど・・・。」

 

比企谷「それでも、行動のきっかけは家族に対する愛情が根底に有る、そんな川崎は俺にとっての憧れだ。」

 

川崎「あ・・有難う・・。///」カァ

 

川崎「でもね比企谷・・アンタだって全然出来てない訳じゃ無い事をアタシは知ってるよ・・小町ちゃんから聞いたけど、帰宅しても家に誰も居ない寂しさから小町ちゃんが家出をした時に、それを聞いた比企谷は妹の為に毎日早く帰って来てくれてたって・・。」

   

比企谷「あれはそんな大層なもんじゃねーよ、小町を泣かすと俺が両親に怒られるからな、ただそれだけだ。」

 

川崎「ふーん まぁそう言う事にしとくよ。」

 

川崎「ところでさぁ 比企谷は駅まで何で来たの?。」

 

比企谷「自転車だ、駅に止めてある。」

 

川崎「それじゃ帰りも稲毛駅だね。」

 

比企谷「何か有るのか?。」

 

川崎「何か・・て程じゃないけど、この電車って千葉行でしょ、途中で後から来る快速に乗り換えれば、そのまま稲毛駅まで行けるんじゃない?。」

 

比企谷「それがなぁ・・・あまり意味の無い快速なんだよ。」

 

川崎「意味が無い・・てどう言う事?。」

 

比企谷「快速は途中の駅を幾つか飛ばして早く目的地に着く事に意味が有るんだが、内房線の快速は始発の君津から千葉までの間で、飛ばす駅はたったの1つなんだ!。」

 

川崎「えぇ!!本当に? それじゃ各駅停車と変わらないじゃない!。」

 

比企谷「だろ! 快速だからって乗り換えるメリットは無い・・・有るとすれば始発駅で乗り換えた場合のみ、稲毛まで座りっ放しで行ける事くらいだ。」

 

川崎「そんな快速に何の意味が有るの、少しは京急快特を見習えっての!この電車だって走りが遅いし・・・本気で走ってるの!全く!。」

 

比企谷「まぁまぁ JRと京急を比較してさしあげるな。」(川崎は意外とスピード狂なのか?。)

 

川崎「それじゃ終点までこれで行って、総武線乗り換えだね。」

 

比企谷「まぁそう言う事だ、それより今は車窓に広がる海の景色を楽しんでくれ。」

 

川崎「ん、そうだね せっかく来たんだしね。」

 

比企谷「そうそう・・・これから通るけど、湊川に掛かる鉄橋なんかは電車の写真を撮るには絶好の撮影ポイントみたいだぞ。」

 

川崎「比企谷、詳しいね・・そっち方面の趣味が有るんじゃないの。」

 

比企谷「いや!違うぞ、自称千葉観光大使の俺としては、県内の情報には常に目を光らせている! 前に内房線でSLが走った事を覚えてるか?。」

 

川崎「覚えてるよ!千葉みなと駅まで大志と見に行ったよ!。」

 

比企谷「そう、何回か来てくれてた中で、館山駅まで走った事も何度か有るんだ、その時の画像や動画を検索すると、さっきの湊川の鉄橋で撮影された物も多く有ったからな。」

 

川崎「でもねぇ比企谷、アレは動画で見るのと直接見るのじゃ迫力が全然ダンチだよ。

なんかこう・・音がお腹の底に響く感じでさぁ~ 大志なんか必死に手を振ってね・・運転士の人が手を振り返してくれて大喜びしてた。」

 

比企谷「そうか、次に機会が有ったら俺も行ってみるかな・・・で・・その鉄橋なんだが、そこを過ぎると後はもう海は見えなくなるから、そしたら反対側の席に移動しないか?。」

川崎「へ?何で?。」

 

比企谷「日も傾いてきて、こちら側は西日が強くなってくるからな。」

 

川崎「あぁなるほどね、確かにそれは嫌かもね、 ん、空いてるから移ろうか。」

 

比企谷「はぁ~正直疲れたなぁ~~川崎はどうだった?。」

 

川崎「アタシも疲れたけど楽しかったよ、船にも初めて乗ったし。」

 

比企谷「そう言えば、あのとき一瞬不機嫌になってた気がしたが・・・?。」

 

川崎「あ、あぁあれねぇ・・・あれはね・・船首に行けたら そこでI’m the king of the world!て、やってみたかったの。///」

 

比企谷「タイタニックかよ!!。」

 

川崎「いいでしょ別に!事前にビデオも見といたのに・・・。」

 

比企谷「それで御機嫌斜めだったと・・。」(何?すると俺に船に乗ると聞かされてからビデオ見てあの船首でのシーンの予習してたっての?ヤベえ・・川崎可愛過ぎる。///)

 

比企谷「あっ・・・その・・なんて言うか、期待に添えなくて悪かった・・・。」

 

川崎「べ、別に比企谷が悪い訳じゃないよ、下調べをやらずにアタシが勝手に出来ると思い込んじゃっただけだから・・・その比企谷は悪くないから。」

 

比企谷「お、おう・・。」

 

その後は2人共沈黙してしまったが、不思議と嫌な雰囲気の沈黙ではなかった・・・

1日歩き回った疲れが出たのか、心地良い電車の揺れも手伝って、やがて2人共眠りに

落ちていった。

 

            ☆       ☆       ☆

 

比企谷(どの辺りから眠ってしまっていたのか・・・・俺は肩に掛かる重さで目が覚めた。

ずいぶん長く寝ていたらしく、電車は千葉駅まであと数駅の所まで来ていた。まだ肩で眠っている川崎を見つめながら、色々と考えていた。)

 

比企谷(今まで俺に対する女子の行動と言えば無関心か、嫌悪し敵対して来るだけの存在でしかなかった、間違っても俺に好意を寄せる女子など居なかった。)

 

比企谷(俺に優しい女子は皆に優しいのであって俺だけ特別と言う訳ではない、勘違いはもうしない・・何時の頃からか、関わりを持とうとも思わなくなっていた。)

 

比企谷(勘違いさえしなければ何も始まる事は無い・・・傷つく事も無い・・・そう俺は学習した。だから俺はあらゆる気持ちを否定し続けて来た・・・でも今は俺の傍に川崎が居る。)

 

比企谷(今まで川崎が示してくれた好意に偽りは無いだろう・・・川崎の交友範囲は狭いだからその優しさも家族か俺限定だ・・・俺は勘違いしてもいいのか・・・?。)

 

比企谷(俺は川崎とどうなりたいんだ・・・ この先への1歩が踏み出せない・・・。)

 

比企谷「川崎・・川崎・・・そろそろ起きて・・。」(そっと川崎の手を揺すった。)

 

川崎「う・・ん・・・ あ・・比企谷・・アタシ・・ずいぶん寝てたみたい・・今どの辺りなの・・?。」

 

比企谷「まだ浜野の過ぎた辺りだが、ちょっと早目に起こした方が良いかなと思ってな。」

 

川崎「あ・・有難う・・  終点に到着してから起こされたら寝ぼけて忘れ物しちゃうかもしれなかったら助かったよ。」(比企谷に優しく起こしてもらえた・・それに細かい気配りも出来るし・・増々好きになっちゃう。///)

 

比企谷「今日は色々歩き回って疲れたけど、帰りに休めたから助かったな。」

 

川崎「アタシもね、あの状態で帰ったら、けーちゃん達の夕飯の支度が出来るか不安だったんだけど、いっぱい寝ちゃったから回復出来たよ。」

 

比企谷「でも注意はしてくれな・・・その意外と膝に来てるかもしれないからな。」

 

川崎「ちょっとぉ~ 人を年寄扱いしないで!。」

 

比企谷「いや・・そんなつもりじゃない、俺がまだそんな状態だからだ  夕飯と言えばだがその頃、川崎の家に宅配便が届く予定だから受け取ってくれ。」

 

川崎「へ?宅配便?? 何で???。」

 

比企谷「本当はサプライズにしようと思ってたんだが、生ものだし新鮮な方が良いだろうと思って話しておく事にした。」

 

川崎「は?夕飯時・・生もの・・新鮮??。」

 

比企谷「昼食を食べた“かなや”で川崎への御土産のつもりで、ある物を買ったんだが持たせるには重くてな・・・川崎の家に送る手筈を取っといたんだ。」

 

川崎「えぇ?アタシに御土産・・・?重いから宅配?  なんとなくしか解らないけど何か生の食べ物を送ってくれたんだ。」

 

比企谷「そう・・食べ物なんだ・・夕飯の時に食べて欲しかったからな・・心配するな、手の掛かる食材じゃないから。」

 

川崎「そんなに気を使わなくても良かったのに・・・でも有難う・・いただいとくね。」

 

比企谷「おう、家族の皆さんにも宜しく伝えといてくれ。」

 

川崎「でも何時の間に?何を送ったの?。」

 

比企谷「帰りの送迎車を頼んだ時にな、中身についてはサプライズにさせてくれ。」

 

川崎「ん、解ったよ楽しみにしとく。」(この機会に家族に比企谷を売り込まなきゃ!。)

 

比企谷「そろそろ終点だな、降りる準備をしよう。」

 

 

――千葉駅総武線ホーム――

 

川崎「ん~~~ 長い事座ったままだったから少し体を伸ばさないと。」

 

比企谷「おう、俺はこっちのベンチで荷物を見張っといてやるよ。」

 

川崎「ん~ じゃあお願いね。」

 

比企谷(ベンチに座りながら川崎が伸びをする姿を眺めていた・・・日も落ち始め夕暮れの薄明りに浮かぶ、川崎のシルエットは息を飲む美しさだった、普段の教室では感じる事が少ない、川崎の魅力を垣間見た気がした。)

 

川崎「ちょっと伸びをしたら、体が解れた感じ・・比企谷もやってみたら?。」

 

比企谷「いや・・俺は大丈夫だぞ。」(そう答えてると隣りに川崎が座ってきた。)

 

川崎「リュックサックを持ってきて良かったよ、行きはほぼ空だったのに、帰りには御土産物でパンパンになっちゃった。」

 

比企谷「あぁ俺もだ、行きはせいぜいタオルくらいしか入ってなかったのにな。」

折本「あれ―― 比企谷じゃん、珍し―― レアキャラじゃ~ん。」

 

比企谷(折本かおり・・・言うまでも無く俺に一生癒えないであろうトラウマを植え付けた相手だ。もうこいつの事など忘れたはずだったのに、声を掛けられた瞬間フルネームで思い出してしまった。)

 

折本「ねぇねぇこんな所で何してるのぉ、そっちの人は彼女さん?比企谷に彼女とか超ウケるんだけど。」ケラケラ

 

川崎(せっかくの楽しいデートの最後だったのに、いきなり不躾極まりない女が現れて比企谷をバカにし始めた。)

 

折本「何々?もしかして本当にデート中だった訳?ウケるッ アッハハ比企谷がデートだって!。」

 

比企谷(隣の川崎を見ると、足の上に置かれた拳がワナワナと震えていた。)

 

比企谷「川崎・・いいから気にするな。」(俺は川崎の握られた拳にそっと自分の手を重ねて落ち着かせようとした。)

 

折本「マジで!アッハハウケる!今日1だわ!そいつはねぇ昔私にコクって来た奴だよ。ろくに話した事もなかったのにね~ 速攻フッてやったのさ・・超ウケる!。」

 

比企谷「止めろ川崎・・・落ち着け!相手にするな!。」(川崎が怒りに震えているのが解る。)

 

折本「ついでに面白そうだからクラス中に広めたんだ~次の日の比企谷ったら最高だったね!。」

 

川崎「何だって!何て・・・何て酷い事を・・・何故そんな事が平然と出来る・・・。」ワナワナ

 

比企谷「折本!お前少し黙れ!。」

 

折本「何~怒ったぁぁ~昔の事じゃん、過ぎた事だよ!そっちの人もさぁ~マジでコイツと付き合ってんの?比企谷と付き合うとか、ひょっとしてボランティア~?。」ケラケラ

比企谷(俺をバカにするだけなら我慢も出来るが、川崎までバカにされては黙っていられない・・川崎を抑えていた手の力が一瞬緩んだ時だった・・・それまで黙っていた川崎が手を振り払って立ち上がった・・・・・マズい止めなくては!!。)

 

 

川崎「黙れぇぇぇぇぇ!アタシの大好きな比企谷をバカにするなぁぁぁ―――!!。」

(ほざけぇ!いまぶっ倒してやるからな――!)ハァァァァァ‼

 

比企谷(ホームに怒声が響き、俺と気圧されて言葉の出ない折本との間に川崎が入るなり空手の構えを取った!・・・川崎は以前空手をやっていたと聞いた事が有る。)

 

川崎「アンタぁ!何処の誰か知らないが、いきなり現れるなり、よくもアタシの前で比企谷をバカにしてくれたね!!  絶対に許さないよ!!!。」

 

折本「ゆ・・・許さなかったらどうするっての・・そんなポーズで脅しのつもりぃ。」ブルブル

 

川崎「アンタが比企谷にした事ぉ!それがどんなに酷い残酷な事か、アンタ解ってないね!告白した事を言触らしてクラス中で笑い者にだってぇ―!それが人間のやる事か!!。」

 

折本「好きでもない奴にコクられても迷惑なだけだし・・・ウケないし。」

 

川崎「比企谷が一体アンタに何をしたっての!!好きって気持ちを伝えただけでしょ!!それが迷惑なら!・・受ける気持ちが無いのなら! 普通に断ればいいだけじゃない!人に好意を伝えるってのはねぇ・・それは・・それは凄い勇気の要る事なんだよ!一大決心してやるんだよ! それが・・・それが・・・その結果がが何で・・・!何で!クラス中で笑い者にされなきゃならない!!。」

 

折本「バカみたい何アツくなってんの?。」

 

川崎「アンタ・・・大勢の前で笑い者にされた側の気持ちを考えた事は有るのかい?。」

 

折本「はぁ?そんなの有る訳無いじゃんウケる!。」

 

川崎「もうアンタにゃ何を言っても届かないみたいだね、これで終わりにしてやるから覚悟を決めな!。」(塵1つ残さず消滅させてやる!!。)

 

比企谷(そう告げるなり川崎は折本の胸倉に掴みかかった マズい!川崎の目が怒りで真っ赤だ!右手は固く拳を握り今にも殴り掛からんと震えている。)

 

比企谷「川崎止めろ!止めるんグはァぁ・・。」(慌てて川崎の前に立ちはだかったが、顔を狙うと思われたパンチは俺のボディに命中した 一瞬呼吸が出来なくなりホームに倒れ込んだ。)

川崎「あぁ!そんな!何で・・比企谷!! 何でこんな奴なんかを守る為にぃぃぃ。」ウワァーン

 

くっ!ちょっと遅かった・・・八幡!八幡!大丈夫?・・八幡しっかり―!

比企谷先輩!  比企谷先輩しっかりしてぇ!

 

比企谷「がはァ・・ちょっと大丈夫じゃない・・みたいだ・・・天使が・・お迎えに来てる・・・。」

 

戸塚「何言ってるの!僕だよ彩加だよ!戸塚彩加だよ!八幡しっかりして!。」

 

比企谷(倒れた俺を抱き上げる川崎の横に戸塚とテニス部女子数人の姿が有った。)

 

比企谷「と・・・戸塚だったのか・・・一瞬ネロの最期のように天使がお迎えに・・・・来た・・のかと思った・・・ぜ・・何故ここに・・・。」

 

戸塚「冗談を言える余裕が有るなら大丈夫だね、今は部活のみんなと買い物をした帰りなんだ! 川崎さん・・今日は八幡と、お出掛けだったの?良かったね。」ニコ

 

戸塚「そこの君!誰かは知らないけど・・悪いけど話しは全部聞かせてもらったよ。僕らはすぐそこの階段の所に居たんだ!昔の事とは言え僕の大切な友人に、よくもそんな酷い事をしてくれたね・・ちょっと許す訳にはいかないかな。」ゴゴゴ

 

テニ女1「戸塚先輩!私、同じ女としてコイツのした事許せないです!。」ゴゴゴ

テニ女2「私も同感です、やっていい事の限度を超えてます。」メラメラ

テニ女3「比企谷先輩は戸塚先輩の友人で恩人です、先輩の恩人は私達の恩人も同じです。」

テニ女4「私達の恩人を傷つけた人は例え誰でも絶対に許せません!。」ゴゴゴ

 

戸塚「うん、僕も君達と同じ気持ちだよ、でもみんな早まらないで、さっきの八幡の行動を思い出してくれるかな。」

 

川崎(その場に集まった全ての人の憎悪が、折本とか言う1人の女に向いていた。)

 

テニ女1「解ってます。」

テニ女2「こんな人の多い所で。」

テニ女3「迂闊な行動は。」

テニ女4「出来ないって事ですよね。」

 

戸塚「そう、みんな解ってくれて僕も嬉しいよ、それじゃ後の対処は君達に任せていいかな?。」ニコ

 

全テニ女「はい、任せて下さい!女子のネットワークを最大限使いますから、それじゃお先にです戸塚先輩!比企谷先輩!川崎先輩!。」

 

川崎(戸塚と部員達のやり取りを聞いて、比企谷が本当は誰を守ろうとしてくれたのか解ってきた・・折本とか言う女は女子部員に連れられて何処かに消えた。)

 

戸塚「八幡大丈夫?そろそろ立てそうかな・・・川崎さん悪いんだけど肩を貸してもらえない?八幡をベンチまで運びたいんだ。」

 

比企谷「あぁすまない・・・。」(2人の肩を借りてベンチに座った。)

 

戸塚「八幡!さっきは立派だったよ!僕感激しちゃったよ。」

 

比企谷「はは・・そんな格好良いもんじゃないさ・・・この通り1人じゃ立てなかったしな。」

 

川崎「御免なさい比企谷!アタシの・・・アタシのせいでこんな・・・。」グスグス

 

比企谷「川崎・・・俺な・・あの場面で怒ってくれて嬉しかったんだ・・・だからもう泣き止んで・・。」

 

戸塚(そう言いながら八幡が川崎さんの頭を撫で始めると、次第に川崎さんは泣き止んできた・・・2人とも上手く行ってるみたいだね、川崎さん、あともう一息だよ。)

 

川崎「比企谷・・・その・・・まだ痛い?。」

 

比企谷「はは、痛くない!・・・と言えば嘘になるかな・・。」

 

川崎「御免ね・・アタシ怒りに我を忘れて渾身の力で打ち込んじゃったから・・・。」

 

比企谷「気にするな・・顔に来ると思ってたのがボディに来たから上手く急所を外せなかっただけだ。」

 

戸塚「そうだ八幡!休んでるついでにさ、さっき何故2人の間に入ってまで止めたのか、川崎さんに話してあげたら!電車は何本も有るから時間は大丈夫でしょ。」

 

比企谷「話してもいいけど・・・恥ずかしい・・な。///」

 

戸塚「じゃあ僕は席を外してよっか?。」

 

比企谷「いや!いい、戸塚・・・まだ居てくれ。」

 

戸塚「八幡がそう言うなら、もう少しだけ居るよ。」ニコ

 

比企谷「川崎・・・あの時・・俺が守りたかったのは折本じゃない、川崎だ!あのまま川崎が折本を殴っていたら、それは他校生徒への暴力事件て事になる、そうなればうちは進学校だ、最悪の場合退学だって有り得るし、折本の出方次第では傷害事件として訴えられる可能性だってゼロじゃない。」

 

川崎「比企谷・・あの喧嘩を売られてる最中に、アタシの事をそこまで考えてくれてたの!!。」

 

比企谷「まぁな・・もしそんな事になったら川崎は大切な家族を悲しませる事になるし、俺も川崎の家族に対して会わせる顔が無い・・・それに川崎が退学になったら俺も悲しいし学校で会えないのはもっと寂しいからな。」

 

戸塚(やるね八幡!聞いてて僕も感動しちゃうよ、川崎さんがまた泣きそうだよ。)

 

川崎「あぁ比企谷ッ!大好きッ!。」(アタシは比企谷の胸にしがみ付いて、また泣いた・・・でもそれは、さっきの申し訳無さからではなく、比企谷の思いやりに胸打たれてだ。)

 

比企谷「川崎・・・ちょっと想像してくれないか・・・。」

 

川崎「うん・・。」

 

比企谷「友人と呼べる人が多くない俺に・・話せる友人・・・いやそれ以上の人が出来た・・その隣の席に居た人が、ある日突然居なくなって、俺の隣には空になった机だけがポツンと置かれ続けるんだ・・・話し掛けても誰も居ない・・こんな寂しい事は無い・・。」

 

川崎「うん・・・うん・・・御免なさい・・アタシ・・・アタシもう少しで・・・。」グスグス

 

比企谷「川崎・・・怒ってる訳じゃないから・・・なっ・・。」

 

戸塚「川崎さん・・どう?八幡はとても優しいし、格好いいでしょ!格好いいてのは外見じゃなくて中身がさ!・・・だから僕は八幡の事が好きだし友達なんだよ!。」

 

川崎「うん・・うん・・解ってる!そんなのアタシも前から解ってるよ・・・。」

 

戸塚「うん!じゃあ2人共もう心配無さそうだね、僕は御邪魔にならないように、そろそろ帰るねバイバ―イ!また月曜日にね!気を付けて帰ってね!。」フリフリ

比企谷「おぉ、今日の土産話も有るから聞いてくれ!。」フリフリ

 

川崎「戸塚!有難う!。」フリフリ

 

比企谷「じゃあ俺も、もう歩けそうだし・・川崎 そこの水道まで行こうか!美人な顔が台無しだぞ!顔を洗ってまた笑った顔を見せてくれ。」

 

川崎「なっ! もう・・比企谷は不意撃ちばっかり・・・。///」

 

比企谷(突然の折本乱入が有ったせいか?大天使の救済が有ったせいか?俺はずいぶん恥ずかしいセリフを連発してた気がする・・・・アレ?俺のキャラ違くね?。)

 

川崎(アタシ・・場の雰囲気に飲まれて比企谷に大好き!とか言っちゃった。)キャァ―

 

 

――総武線車内――

 

川崎「でもあの場面で戸塚が来てくれて本当に助かったね。」(比企谷が戸塚の事を大天使だと呼ぶ意味が解った気がした。)

 

比企谷「あぁ 折本の事は女子テニス部員達の方で上手く対処してくれるみたいだ・・・女子のネットワーク・・・とか言ってたが・・・。」

 

川崎「女子のネットワークか・・・あの女きっとタダじゃ済まない事になるね。」

 

比企谷「それってそんなに凄いのか!おー怖い!怖いよ!あと怖い!。」

 

比企谷「ところで、前に古文を教えて欲しいと言ってたが、明日ならいいぞ・・・うちに来れるか?。」

川崎「あっ!覚えてくれてたの! う~んそれなんだけど明日はちょっとね・・・。」

 

比企谷「都合悪いのか?。」

 

川崎「その・・金曜日の帰りに自転車がパンクしちゃって・・・まだ直してないから・・。」

 

比企谷「なんだそんな事か!俺が直してやるよ。」

 

川崎「本当に!直せるの?。」パァ

 

比企谷「あぁ任せろ!親から貰ったパンク修理代をちょろまかす為に、修理技術を身に付けたんだ!。」ドヤァ

 

川崎「そこドヤ顔するとこじゃないよ!。」

 

比企谷「ばっかお前!昨今のパンク修理代がいくらするのか知ってるのか?。」

 

川崎「うんまぁ・・安くない事くらいは知ってるけど・・・。」

 

比企谷「だろ!修理代が新品のチューブ代より高いって有り得ないだろ!。」

 

川崎「アタシに怒らないでよ。」

 

比企谷「いやこれは世の中に怒ってるんだ、俺は悪くない世間が悪い!・・それと事前に確認しておきたいが、パンクしたのは前か?後ろか?・・それと空気入れは持ってるか?。」

 

川崎「へ?前のタイヤで空気入れも有るけど?。」

 

比企谷「OK!OK! それじゃもう直せたも同然だ。」

 

川崎「そんなに簡単なの?。」

 

比企谷「おう!楽勝だ! それじゃ何時に行けばいい? 出来れば遅い方が助かるんだが。」

 

川崎「う・・うん・・何時でもいいけど・・。」

 

比企谷「それじゃ家を出る時に連絡する。」

 

川崎「ん、助かるよ!。」(比企谷は意外な特技も持っていた・・・きっかけはまぁ何だけど・・。)

 

 

――稲毛駅――

 

比企谷(川崎の提案を飲んで、快速に乗り換えていれば、千葉駅でトラブルに巻き込まれる事は無かったなぁ・・・しくじったぜ。)

 

川崎「比企谷・・・その体の方は大丈夫・・・?本当に御免ね・・。」

 

比企谷「おう、何とかな!  お前のパンチ・・効いたぜ!。」

 

川崎「もう・・・だから御免って言ってるじゃん・・・。」

 

比企谷「本気にするなよ 別に怒ってる訳じゃないから  そこはむしろ自転車で走り去る俺の背中に向かって《死ぬなよ―ミャウダー~》と叫んでくれれば満点だ。」

 

川崎「は?何それ?ミャウダーって何?。」(時々比企谷が解らない事を言う。)

 

比企谷「う~ん・・・ネタが古過ぎて川崎には通じなかったかぁ~。」

 

比企谷「ま、まぁ もうちょっと夕飯時にも遅めの時間だから、これ以上川崎を引き留める。訳にはいかないな・・今日は有難う!じゃあ明日な!。」(ちょうどやって来たバスに川崎が乗り込むのを確認して、発車するバスを見えなくなるまで手を振って見送った。)

 

川崎(アタシは今日1日の事を思い出しながら、窓の奥に小さくなっていく比企谷に手を振ったもう見えなくなるまで、手を振り続けてくれた比企谷の事が、どうにも嬉しくて仕方ない。比企谷は口に出さないけど愛されてる実感が湧く そして今日1日比企谷と過ごして解った事が有る・・アタシはもう、どうしようもなく比企谷の事を愛してしまっていると・・。)

 

 

――比企谷家――

 

比企谷「たでーま。」

 

小町「あっ おかえり~お兄ちゃん!どうだった どうだった?。」ダダダ

 

比企谷(いつも通り我が家の天使こと小町が玄関に走り出て来る。)

 

比企谷「あぁ・・後で話してやるから、その前に湿布を用意してくれないか?。」

 

小町「へ!!湿布? 何処か打ったの?。」

 

比企谷「まぁ そんなもんだ・・。」

 

小町「そりゃ大変、早く手当しなきゃ! とにかく上がって!。」

 

            ☆       ☆       ☆

 

小町「あぁ~お兄ちゃん・・・どーしたのコレ?けっこう青馴染みになってるけど・・。」

 

比企谷「おう!川崎から渾身の一撃を受けたww。」

 

小町「待ってお兄ちゃん・・・・沙希さんに何か失礼な事したんじゃないでしょうね?。」ゴゴゴ

 

比企谷「いや、そんなんじゃないから安心してくれ。」

 

小町「そんなんじゃない・・て、何もなくて沙希さんが、こんな一撃入れる訳無いでしょーに!。」

 

比企谷「まぁ話せば長くなるが、喧嘩した訳じゃないからな・・それが証拠に明日は川崎の家に呼ばれてるしな。」

 

小町「それが本当なら喧嘩したって線は薄そうだけど・・小町心配だよ・・ちゃんと話してね。」

 

比企谷「それより早く貼ってくれ!。」

 

小町「あっあぁ・・御免ねお兄ちゃん・・・この辺でいいかな・・ペタ・・・パチ~ン!。」

 

比企谷「グぁッはァ~~ 痛って~~・・・・小町・・・貼るだけでいいんだ・・・何故叩く・・・orz 。」

 

小町「御免ごめ~ん!なんか湿布てさぁ 貼った後に叩きたくなるじゃん。」

 

比企谷「ならねーよ!  おー痛い・・・。」シクシク (小町にトドメを刺された気がした。)

 

小町「あぁ・・・お兄ちゃん御免って・・・泣くほど痛かった?。」(やっちゃった・・・。)

 

小町「で・・何が有ったの?。」

 

比企谷「千葉駅で乗り換えで待ってる時に・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

 

           ☆       ☆       ☆

 

小町「要約すると、こうだった 2人の前に現れた不躾な女に喧嘩を売られ、反撃しそうになった沙希さんを止めに入った時に1発貰ったらしい・・・もし本当なら身を挺して沙希さんを止めるなんて、お兄ちゃんポイント高過ぎです。」

 

小町(土曜日だった事も有り、両親も早く帰宅し、家族そろっての夕食です、お兄ちゃんは両親から根掘り葉掘り聞かれて困った顔をしてました、そりゃ聞かれたくないよねお兄ちゃん!。)

 

比企谷「今日は御土産が有るんだが・・・。」

小町(そう言って、お兄ちゃんが取り出したのは大きなバームクーヘンでした、なんでも金谷港に作ってる店が有ったので買って来たんだとか・・・小町の分はお兄ちゃんの3倍だとか!もう小町ポイント高過ぎでカンストです!。)

 

比企谷「いいか小町!いっぱい有るからって一気に食べちゃ駄目だからな。」

 

小町「いくら甘い物が好きでも、これ全部は一気に食べないよぉ~ 有難みが無くなるじゃん。」

 

小町(バームクーヘン以外にも、ゆるキャラの書かれた靴下やハンカチを御土産に貰いました、こういうのは現地じゃないと手に入り難いのでポイント高いです。)

 

♪コレガ―コイダトシタナーラー♪

 

比企谷「あぁ俺のスマホが鳴ってる!・・・。」

 

小町(どうやら沙希さんからみたいです・・お兄ちゃんは自分の部屋に戻ってしまいました。)

――八幡の部屋――

 

川崎『さっき宅配便が届いたけど、ビーックリしたよ― 比企谷がサプライズだって言ってたけど、まさか2籠分も入ってるなんてぇ~本当に有難うね!。』

 

比企谷『おう、喜んでもらえて俺も嬉しいぞ。』

 

川崎『さっそく壺焼きにしたから~  うちの両親からもちゃんと御礼を言ってくれって!。』

 

比企谷『そうか・・でもそれはそもそも、今までお弁当を作ってくれた御礼だからな。』

 

川崎『これじゃ等価交換になってないよ!。』

 

比企谷『いいんだ気にしないでくれ。』

 

川崎『気にするっての!!。』

 

比企谷『じゃあさ・・・その・・・来週からのお弁当も御願いしていいか?。』

 

川崎『そんなの作るよ!いくらでも作るよ!頼まれなくても作るよぉぉ~。』

 

比企谷『お、おう・・それじゃ楽しみにしてる。』

 

川崎『任せてぇぇぇぇ 腕に縒りを掛けて作るからね。』

 

比企谷『そりゃ凄い弁当になりそうだ!それじゃ明日な!』

 

川崎『ん、明日ね!それじゃお休みなさい chu!』

 

比企谷『おう、お休み~。』

 

川崎(キャー!! ノリで大胆な事しちゃったぁぁぁ。///)

 

比企谷(おいおい!さっきの最後の“chu”て何だ!“chu”って!アイツ俺の事好き過ぎるだろ・・・。)

 

《アタシの大好きな比企谷をバカにするな・・・・》

 

比企谷(駅での川崎の叫びが思い出された・・・。)

スマホの写真を見つめる・・・・・川崎沙希・・・・・俺は何を迷っているんだ・・もう迷うな!。)

 

 

――小町の部屋――

 

小町(一応沙希さんからお兄ちゃんに連絡が入ったみたいですが、あの怪我については確認しておくべきですね! お兄ちゃんの部屋から話し声が聞こえないので通話は終わってる様子! それじゃ沙希さんに突撃生電話しちゃいましょー。)

 

小町『もしもし!川崎沙希さんの携帯で宜しいでしょうか?。』ケータイポチポチ

 

川崎『はいアタシだよ!・・・あっ小町ちゃん・・どうしたの?。』

 

小町(沙希さんの声は至って明るく普段と変わらないみたいです。)

 

小町『今日はお兄ちゃんと1日どうでしたかぁ~。』

 

川崎『どうって聞かれてもぉぉぉ・・テレテレ 良かったよ、比企谷凄い気遣い出来るし。///』

 

小町『それなら良かったです・・・あの・・・ちょっと聞き難い事なんですが・・その・・お兄ちゃんが怪我して帰ってきたんですよ・・・それでですね、もしや沙希さんに対して失礼な態度を取ったんじゃないかと心配になりまして・・・。』

 

川崎『御免なさ――い! 小町ちゃん御免なさ――い!!アレはねアタシが悪いの!アタシが怒りに任せて相手に暴力を振いそうになったのを、比企谷が止めてくれたの!お兄さんに怪我させちゃって本当に御免なさい!!。』オロオロ

 

小町『あぁ~~沙希さん!沙希さん、責めてる訳じゃありませんから、そんなに謝らないでぇぇ、怪我って言っても湿布でなんとかなりそうな感じですから!とにかく兄が失礼を働いた訳でなければ、それでいいですので!。』

 

川崎『勿論だよ!比企谷に失礼な所なんて微塵も無かったよ!むしろ凄い紳士だった!。』

 

小町(まぁ沙希さんはお兄ちゃんに対して恋愛補正が働いてますから、良く見えるんでしょうけど・・・。)

 

小町『いやいや紳士なんてそんな~。』

 

川崎『本当だって!さっきもアタシの知らないうちに買った御土産をさり気なく夕飯時に宅配で送ってくれたりして。』

 

小町『えぇ――!うちの兄がそんな粋な事したんですか!。』(これはポイント高い!。)

 

川崎『それもさぁ~大きなサザエをどっさり!』

 

小町『何ですって~~ お兄ちゃんめ!小町にはバームクーヘンだったのに!。』

 

川崎『いやいや小町ちゃん あのバームクーヘンは作ってる所の直売品で良い物だよ。小町に食べさせるんだって1番大きいの選んでたんだから!。』

 

小町『確かに小町の分だけ3倍有りましたけど・・・。』

 

川崎『ふふッ・・食べ過ぎないようにね!  太っちゃうよ。』

 

小町『はぁ・・お兄ちゃんにも《一気に食べるなよ》て言われました・・・ところで、ところで― 鋸山はどうしでした?。』

 

川崎『ロープウェイで上がった上に猫がたくさん居たよ。』

 

小町『へ?・・ね・・猫ですか?。』

 

川崎『比企谷も不思議がってたけど、何であんな所に猫がいっぱい居るんだろうね?。』

 

小町『何でしょうねぇ・・・小町にも解りません。』

 

川崎『それからそれからねぇ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

           ☆       ☆       ☆

 

川崎・・・・・・・・・・・・・・・・・・御願い地蔵の所で比企谷が、うちの家族の健康と無事を祈願してくれたの!。』(提案したのアタシなんだけどね。)

 

小町(ほうほう・・・お兄ちゃんめポイント稼ぎ捲りましたなぁ・・・。)

 

川崎『後は電車で帰って来る時に、さっき話したトラブルが有っただけ。』

小町『解りました沙希さん!総じて兄に落ち度のような所は無かったって事ですね!。』

 

川崎『無い無い!そんなの全く無いよ。』

 

小町『良かった!それじゃこれからも兄を宜しく御願いしますね、お休みなさいです。』

 

川崎『ん、任されたよ!お休みなさーい小町ちゃん!。』

 

小町(沙希さんの話しを纏めると、兄は気配りの人だったみたいです・・・もう小町ポイントがごっそり持ってかれました・・・お兄ちゃんめ・・何時の間にイケメン度が上がったのでしょうか?。)

 

 

――翌朝――

 

小町(お兄ちゃん 昨日は《疲れてるから》と早く寝てしまいましたが、今日は沙希さんの所へ行く予定が有るそうです、まぁ理由がパンク修理ってのも色気が有りませんが、そろそろ10時なんで起こしますかね・・・。)

 

小町「お兄ちゃ~ん お兄ちゃ~ん」ドンドン 「お兄ちゃ~ん 予定が有るんでしょ!起きないと入るよ~。」

 

小町「起きた気配が無いですね~ 入るよ~。」コソコソ

 

小町(やはりまだ寝てますねぇ~ ですが効果的に起こす方法が有るのです・・・。)

 

小町「えい!沙希さんにやられた所を!湿布の上から!。」チョンチョン

 

比企谷「うぉぐぁっはぁ~~・・・・・。」ウヅクマリ・・

 

小町「お兄ちゃん起きた?。」

 

比企谷「小町か・・・起こすならもっと優しく起こしてくれよ。」

 

小町「これ以上無い程優しく起こしましたよ~~。」

 

比企谷「どこがだよ!!。」

 

小町「えぇ~ 指でちょんちょんと、突っついただけだよ~~。」

 

比企谷「傷跡を狙うんじゃねーよ!。」

 

小町「そんな事より沙希さんの所に行くんでしょ!湿布を貼り直してあげるから準備して!。」

 

比企谷(今朝の小町は悪魔の様な天使だった。)

 

小町「それとお兄ちゃん、沙希さんの所に行くのなら、せめて髪をくらいはとかして行ってね。」

 

比企谷「これが何時ものデフォルトだ、気にするな。」

 

小町「気にするよ!向こうの御両親に会う事になったりしたら、沙希さんが困るでしょーが!。」

 

比企谷「お、おう、そうだな・・・身だしなみは整えないとな。」

 

小町「そうそう、素直なお兄ちゃんはポイント高いよ!。」

 

比企谷「はいはい、高い高―い。」ボウヨミ

 

小町「朝食・・・お兄ちゃんの分はトーストしかないけど、食べて行ってね。」

 

比企谷「親父と御袋はどうしたんだ?。」

 

小町「お母さんは近所の寄合に参加、お父さんは叔父さんが近くまで出て来てるとかで、会いに行ったよ。」

 

比企谷「叔父さんが・・? 珍しいな。」

 

 

――玄関――

 

比企谷(工具セットにパンク修理キットの準備もOK,!忘れ物は無いな。)「それじゃ小町行ってくるな。」

 

小町「はいはーい 行ってらっしゃ~い 沙希さんに宜しく~。」フリフリ

 

比企谷(そうだ川崎に連絡しないとな・・。)スマホチョンチョン

 

比企谷『もしもし・・川崎か?。』

 

川崎『ん、アタシだよ、比企谷おはよう!。』

 

比企谷『これから出発するけど、そっちは大丈夫か?。』

 

川崎『ん、うちは大丈夫だから何時でも来て。』

 

比企谷『じゃあ行くわ。』(話を終わらせて自転車を走らせた・・・川崎家はうちからそう離れてないが、完全に俺の行動半径の外だ、スマホのナビ機能を使いながら向かう事にする。)

 

 

――川崎家前――

 

比企谷(ここでまた連絡するか。)『おう川崎か?今お前の家の前に着いたんだが、居たら顔を見せてくれ。』

 

川崎『意外と早かったね、すぐ出るから待っててね。』ポチ

 

川崎「あッ・・比企谷おはよー。」

 

比企谷(普段から綺麗だとは思っていたが、会う度に美しさに磨きが掛かってる。///)

 

川崎「どうしたの?。」

 

比企谷「い・・いや・・なんて言うか・・その・・ちょっと見惚れてた。///」

 

川崎「もう、会うなり不意撃ちぃ~。///」

 

比企谷「そんなんじゃねーよ。///」

 

川崎「とにかくそこじゃ何だから、取り敢えず庭に入って。」

 

比企谷「おう、まずは川崎の自転車を見せてくれるか?。」

 

川崎「ん、・・・コレなんだけど・・。」ボロ

 

比企谷「これは・・・想像以上に痛んでるな・・・。」

 

川崎「けっこう長いこと乗ってるから・・。」

 

比企谷「パンク修理だけで済むかと思ったけど総点検が必要だぞ・・ちょっとまたがっていいか?。」

 

川崎(そう言うと比企谷はスタンドを立てたままの自転車にまたがって漕ぎ始めた。)

 

比企谷「あー 川崎・・ここまで痛んでるとパンク以外にも手を入れないと駄目そうだ・・すると少し費用が掛かってしまうんだが・・・どうする?。」

 

川崎「パンクを直すだけじゃ駄目なの?。」

 

比企谷「それでも一応走れるけど、最低限ブレーキ周りだけでも直したい。」

 

川崎「ん、解った お父さん呼んで来るね!。」

 

比企谷「えぇ!ちょッ ちょっと待った!川崎!!。」(えぇ~~いきなり父親登場なの!

どんな罰ゲームなんだよ!無理ゲー過ぎるだろ!心の準備が出来てね~~。)

 

川崎「お待たせ~連れて来たよ、お父さん!この人がアタシのクラスメイトの比企谷八幡。」

 

川崎父「おぉ~君が八幡君か、初めまして沙希の父です、いつも沙希がお世話になってるみたいで・・・。」

 

川崎「昨日うちにサザエを送ってくれたのも、この人なの。」

 

川崎父「そうか!君が昨日の・・・これはこれは結構な御土産も送ってもらって有難う!

さっそくいただかせてもらったよ、今日は沙希の自転車の修理に来てくれたとか・・・休みの所申し訳なかったねぇ。」

 

比企谷「いえ・・初めまして、比企谷八幡です、娘さんには日頃から色々助けていただいてましてとても感謝しています。 今日は休日のところ突然伺いまして申し訳ありません。」

 

川崎父「うんうん、若いのにしっかりしているし、修理にも来てくれるとは頼れるじゃないか。」

 

比企谷「はい、有難う御座います。」

 

川崎父「それで沙希!俺に何の用なんだ?。」

 

川崎「比企谷がね、修理前に一通り点検してくれたんだけど、パンク以外にもブレーキとか良くないんだって。」

 

川崎父「そうなのかね八幡君? 私はこう言った機械的な事にはどうも疎くてね。」

 

比企谷「はい、特にブレーキは整備が必要な状態です、娘さんに何か有ってからでは良くありませんので。」

 

川崎父「どの位費用が掛かりそうかね?。」

 

比企谷「は!正確には申せませんがブレーキを含めて全て直しても1万有ればオツリが来る範囲かと・・。」

 

川崎父「解った新車を買うよりは安く済むんだな、お金は用意するから2人で買って来なさい。」

 

比企谷(そういうと川崎のお父さんは、川崎にお金を預けて部屋に戻って行った。)

 

川崎「良かったね~~比企谷!お父さんには好印象だったみたいだよ。」

 

比企谷(それから2人で必要な部品を買い揃えてから修理に着手した。)

 

           ☆       ☆       ☆

 

川崎(比企谷は慣れた手付きで、あれよあれよと言う間に修理と調整を終わらせた。)

 

川崎父「凄いじゃないか八幡君!あそこまでバラバラにして直せるか不安で見てたが、あっと言う間に直したなぁ。」

 

大志「お兄さん凄っす!これなら姉ちゃんも大喜びっす!。」

 

比企谷(くそ!・・・親父さんの手前《俺をお兄さんと呼ぶな》とは言えない。)グヌヌ

 

比企谷「あぁ・・川崎・・パンク修理は勿論だが、ブレーキには大幅に手を入れてある・・・特に前のブレーキは本体ごとそっくり交換した・・以前のは錆びでワイヤーが切れる寸前だった上にキャリパーも歪んでたからな・・・。」

 

川崎「ん、有難う比企谷!凄いね・・何処でこんな事覚えたの?。」

 

比企谷「KANZAKIサイクルだ!。」

 

大志「え?それ実在しないっすよね?。」

 

川崎「どう言う事?。」

 

大志「漫画の中に出て来る店の名前だよ姉ちゃん。」

 

川崎「」

 

比企谷「川崎、修理前とは、だいぶ感じが変わってるはずだから試乗してみてくれないか?。」

 

川崎「ん、解った!早く乗りたくてウズウズしてたからね、じゃあ大志・お父さん!ちょっと走って来るよ。」

 

比企谷(そう言って走り出した川崎の後を俺も自転車で追い掛けた。)

 

川崎「わぁ!わぁ!凄い凄~い 走りが軽い~ 新しいサドルもふかふか~ もう最高!。」

 

比企谷「ブレーキの効き具合も変わってるはずだから試してくれ!。」

 

川崎「う~わッ! 何これ~ 凄い効くぅ~ それにギアも全部変わるよ!。」

 

比企谷「おう、それも修理と調整しといた。」

 

川崎「なんか別の自転車に乗ってるみたい!何処までも走れそうだよ!。」

 

比企谷「取り敢えず先の公園の所で止まってくれ。」

 

川崎「ん、解ったぁ。」

 

 

――公園にて――

 

川崎「凄い!凄いよ比企谷!これがアタシが今まで乗ってた自転車なの?て感じ!。」

 

比企谷「喜んでもらえて良かった。」

 

川崎「それに握る所も新しくしてくれたから、手が汚れないよ!もう完璧!。」

 

比企谷「あのグリップ溶けかかってたな。」(そう言うと川崎はぴょんぴょん跳ねるように俺に抱き着いて来た・・近い!近い!なんてもんじゃない!もう密着!胸がぁ~巨乳エアバックがぁ~。)

 

比企谷「川崎!川崎!どうどう!離れて!離れて!・・まだ説明が有るから!。」

 

川崎「ん?説明・・。」

 

比企谷「それはな、サドルの高さについてだ・・俺と川崎は背丈が同じ位だ・・そこから考えても今の位置は低いと思うぞ。」

 

川崎「でも両足が付かないと危なくない?。」

 

比企谷「それは初心者向けの設定だ、だから今より高くしてみよう 5cmUPだ。」キコキコ

 

川崎「これでもまだ両足のつま先が付くから大丈夫かな。」

 

比企谷「最初は違和感が有ると思うが、そのまま乗り続けてみてくれ。」

 

川崎「じゃあこの先の海岸まで走ろうか。」

 

比企谷「おう、いいぞ。」

 

川崎「凄く視界が高くなったし、さっきより更に軽く走れるよ!。」

 

比企谷「そうか!その高さに慣れてきたら自分でも更に上げてみてくれ!その方がパンチラ防止にもなるからな。」

 

川崎「えぇ!パンチラ防止?。」

 

比企谷「そりゃそうだろう、サドルが低い位置のまま漕げば、必然的に膝が高い位置に上がるんだ、スカートも捲れ易くなる・・・。」(パンツ見せ放題だぞ!。)

 

川崎「確かに膝が高く上がれば・・・。///」

 

比企谷「解ったみたいだな。」

 

川崎「もう・・・比企谷のエッチ・・・。」

 

比企谷「待て待て!俺は防止方法を教えたんだ。」

 

川崎「そうだけどさぁ・・。」

 

比企谷(そんな話しをしているうちに海岸に到着した。)

 

 

――秋風の稲毛海岸――

 

比企谷(海岸の入り口に自転車を停め少し浜辺を歩く事にした・・・。)

 

川崎「でも比企谷は凄いね自転車がまるっきり別物に変わったよ。」

 

比企谷「ペダルも替えたし、籠も大きい物にしたから買い物の荷物もいっぱい入るぞ。」

 

川崎「それ助かるよ・・・それにしてもこの時期になると海岸には誰も居ないね・・。」

 

比企谷「川崎・・・あまり波打ち際に近づくと足を浚われるぞ。」

 

川崎「波打ち際の方が地面が固くて歩き易いから、つい寄ってっちゃうね、ほら走る事も出来るくらいさ。」タタタ

 

比企谷「あっ 待てよ川崎!まだ説明したい事が・・・。」

 

川崎「なにー? 聞こえなーい!。」アハハ

(そう!比企谷・・・・アタシを追いかけて!アタシを捕まえて!。)

 

比企谷「待ってくれ川崎~!。」ハハハ

(走り出した川崎に追い付きそうになった時、それまでより大きな波が寄せて来た。)

 

比企谷「川崎危ない!。」(川崎の腕を引いて波から逃げる。)

 

川崎「あぁ~危ない所だった・・・。」ハァハァ

 

比企谷「おう・・足が濡れちゃうところだったな。」(掴んだ川崎の腕を離せずにいた・・いや・・離したくなかった・・ボッチで嫌われ者だった俺の前に現れた女神のような人を・・・・・。)

 

川崎(比企谷がアタシの腕を掴んだまま見つめている・・・何か言いたそうだけど言い出せずに居る・・・今しか無い!そうよアタシから行かなきゃ!。)

 

川崎「比企谷・・聞いて!アタシ・・アタシね・・前から・・・。」

 

比企谷「いや!俺から先に言わせてくれ・・・・。」

 

比企谷「俺は最初の頃、川崎に嫌われてると思ってた・・・。」

 

川崎「へ、何故?。」

 

比企谷「俺は周りの視線とか会話とかには敏感なんだ・・・それで時々遠くの席から睨むような川崎の視線を感じて、何か悪い事をしたかなぁ・・と思ってた。」

 

川崎「えぇ~・・・あッ あれは・・・そんなつもりじゃなくて・・比企谷の事を・・・。」

 

比企谷「解ってる・・・後からそれは俺の誤解だって解ったから・・。」

 

川崎「あ・・アタシ・・目が・・こんなだから普通に見てるだけでも、睨んでるようになっちゃうんだよ・・ごめん・・。」

 

比企谷「謝る必要はねーよ・・・それから席替えが有って、川崎と過ごす事が増えて・・・

俺も少しづつ川崎の事を知った。」

 

川崎「うん・・・。」

 

比企谷「知れば知るほど・・川崎に魅かれていく自分に気が付いた・・・。」

 

川崎「うん・・・。」

 

比企谷「でも過去の経験が邪魔して、次の一歩が踏み出せなかった・・・。」

 

川崎「うん。」

 

比企谷「そこに昨日の千葉駅での一件が有った・・あの時川崎は俺の為に本気で怒ってくれた!それが俺には、たまらなく嬉しかった・・・迷いも消えた!。」ツー

 

川崎「比企谷?。」(・・泣いている・・・。)

 

比企谷「昨日1日、一緒の時間を過ごして、トラブルが有って、夜に川崎との電話を終えた時・・

     解ったんだ・・何時までも傍に居て欲しいのは川崎だって!。」

川崎「それって!。」

 

比企谷「川崎・・・ いや・・沙希! 川崎沙希さん!!俺は貴方の事が好きです!俺と・・俺と付き合って下さい。」

(それは今まで何度も口にした言葉・・・だけど、ただの1度も叶う事が無かったセリフ・・・。)

 

川崎「あぁ!嬉しい!比企谷ッ!。」(アタシは半泣きで俯く比企谷を正面から抱き締めた。)

 

川崎「比企谷が~ 比企谷から好きって言ってくれたぁ!沙希って下の名前で呼んでくれた。」

 

比企谷「え・・・・それじゃ・・・?。」グスグス

 

川崎「アタシも・・比企谷八幡!貴方の事が大好きです!アタシを八幡の恋人にして下さい!。」

 

比企谷「お・・う・・・有難う・・・さ・・沙希・・すまん・・・こんな格好悪い告白で・・。」グスグス

 

川崎「ううん格好悪くなんかない!アタシは何時までも八幡の傍に居る・・・。」(八幡にとって告白がどんなに勇気が要る事か容易に想像がつく・・・今ここに居る八幡はその勇気を振り絞って告白してくれた・・アタシも誠意を持ってそれに応えた・・・思いの丈を出し切り、緊張から解放された八幡はアタシの胸で泣いていた。)

 

           ☆       ☆       ☆

 

川崎「八幡・・もう大丈夫・・?。」

 

比企谷「あぁ・・すまん・・醜態を見せてしまって・・OKの返事が返って来る事がどうしても想像出来なかったんでな・・・まさかの展開に心が対応出来なかった・・・それにしても 下の名前で呼ばれるのって、その・・こそばゆいな。」

 

川崎「恋人同士になったんだから苗字で呼び合うのは変でしょ!今日からは下の名前で 呼び合うの!。」

 

比企谷「えぇ~それって学校でもですかぁ~。」

 

川崎「いきなりはハードル高いけど徐々にね!2人の時は苗字呼び禁止ね!。」

 

比企谷「へい・・・努力します・・・・。///」

 

川崎「それじゃ 今ここで練習ね!誰も居ないから呼んでみて!。」

 

比企谷「えぇ~~  さ・・沙希・・。」

 

川崎「もう1回!。」

 

比企谷「沙希!。」

 

川崎「じゃあ3回連続で!。」

 

比企谷「沙希・・沙希・・・・沙希!。」

 

川崎「じゃあアタシも・・八幡・八幡・・八幡!。」

 

川崎(アタシは最後に名前を呼び終えると目を閉じた・・・。)

 

比企谷「沙希・・。」(川崎の背中に腕を回し、そっと唇を重ねた・・川崎も俺を強く抱きしめてきた・・・。 何だ・・・何だこの暖かさは・・・安らぎは・・・トラウマが・・・黒歴史が・・・・・消えてゆく・・・・・さらば・・過去の・・俺・・・。)

 

川崎(八幡とのファーストキス・・・嬉しいはずなのに自然と涙が溢れていく・・・。)

 

比企谷(どれくらい唇を重ねていたのだろう・・・沙希のすすり泣きを聞いて唇を離し顔を見ないように、肩と頭に腕を回して抱き締めた・・・沙希も今は顔を見られたくないだろう・・。)

 

比企谷「あぁ俺の沙希・・綺麗な沙希・・可愛い沙希・・優しい沙希・・沙希、大好きだ。ずっと傍に居てくれ・・。」

 

川崎「ん・・アタシも・・もう離さない・・・。」グスグス

 

比企谷「沙希・・・俺、今が幸せの頂点なんじゃないかなぁ・・・。」

 

川崎「それは違うよ八幡! 今はまだ入り口!これから幸せになるの。」グス

 

比企谷「2人でな。」

 

川崎「そう2人で! アタシが幸せにしてみせる、アタシと幸せの頂点に行くのよ!誰もが羨むようなね。」

 

比企谷「あぁ・・ 一緒にな。」

 

 

――再び川崎家――

 

川崎「ただいま~。」

 

大志「おぉ~姉ちゃん調子はどうだった?。」

 

川崎「比企谷の整備は凄いよ大志!まるで別物さ!あっと言う間に海岸まで走っちゃったよ。アンタ試しに、その辺走って来な!。」

 

大志「いいのか姉ちゃん、それじゃちょっと乗ってみるっす。」

 

比企谷(ナイスだ川崎!ナチュラルに御邪魔虫を追い出した!。)

 

比企谷「あの・・沙希・・この後どうする?元々は俺の家で勉強する約束なんだが。」

 

川崎「あっ!・・そうだった。」

 

比企谷(さては完全に忘れてたな・・・。)

 

川崎「すぐ準備する~、その間に大志も戻るはずだから~ ちょっとだけ待っててぇ。」

 

比企谷「あいよ。」

 

川崎「八幡・・家の方は誰か居る?。」

 

比企谷「いやぁ~ 小町しかおらんが・・・何故そんな事を?。」

 

川崎「いやだって、手ぶらで伺う訳にはいかないでしょ!着替えて来るから待ってて。」

 

比企谷「えぇ~。」

 

川崎「何よ!着替え見たいの?。」

 

比企谷「そうじゃねーよ!。」

 

川崎「別に八幡なら見てもいいのに。」

 

比企谷「なんでだよ!   ・・・じゃぁ待ってるから。」

 

川崎(着替えるついでに小町ちゃんに連絡しとこう・・。)

 

 

――沙希の部屋――

 

川崎『もしもし 小町ちゃん?』スマホチョイチョイ

 

小町『はいはーい小町ですよ~ あ~沙希さんこんにちは~』

 

川崎『これから、そちらに伺わせていただく予定なんだけど大丈夫?。』

 

小町『それがですね~午前中は誰も居なかったんですが、今は両親共に帰って来てて叔父さんも来てるんですよ。』

 

川崎『そうなの?。』

 

小町『日を改めた方が良いかもしれないです・・・。』

 

川崎『いや、むしろ御両親に挨拶出来るチャンスだから伺わせてもらうよ!。』

 

小町『解りました!沙希さん待ってまーす。』

 

小町(おぉ~さすが沙希さん・・全く物怖じしませんねぇ~凄い積極姿勢です!。)

 

川崎「比企谷お待たせ~。」

 

比企谷「おう、ちょうど大志も帰って来たぞ・・・・て勉強するのに随分粧し込んだな。」

 

大志「姉ちゃん凄-よ!走りが別次元・・・・・て、どうした姉ちゃん粧し込んで?。」

 

川崎「お姉ちゃんこの後、比企谷の所に勉強しに行くから留守番宜しくね。」

 

 

――比企谷宅――

 

取り敢えず勉強の為に我が家に向かったが、途中で沙希がスーパーに寄りたい

と言い出し、食材を買い込んだのが気になった・・帰りに買えば良くね??。

 

比企谷「たでーま!。」(あれ?ふだんより靴が多いな?。)

 

川崎「こんにちは、御邪魔しまーす。」

 

小町「お兄ちゃんおかえり~ 沙希さんいらっしゃーい! お母さ~ん お客さんだよ~。」

 

比企谷母「あらあら今日は来客が多い日ね・・スタスタ・・・えッ!八幡・・そちらの方は?。」

 

川崎「初めましてお母様・・私、比企谷さんのクラスメイトで川崎沙希と申します。」

 

比企谷母「あら貴方が川崎さんなのね・・・・・川・・えぇ!!八幡!その娘が例の娘?。」

 

比企谷「そうだけど・・。」(えぇ~何で両親が居るんだよ大騒動になっちゃうよ・・。)

 

比企谷母「あなた―! あなた大変よ!~~~八幡がッ 八幡がぁぁぁぁ女の子を連れて来たの!。」ダイパニックジョウタイ

 

比企谷父「何だと!それは誠か? 例の相手なのか?。」

 

比企谷母「そうみたいですよ。」

 

比企谷父「何をしておるか!早く中にお通しせんか!失礼の無いようにな!。」

 

小町「あはは、大パニックだww、・・・すいません騒々しい両親で!ささ上がって下さい。」

 

比企谷(小町がそう言うと、お袋と一緒に沙希を親父達の居るリビングに案内した。)

 

川崎「皆様、初めまして比企谷さんのクラスメイトで川崎沙希と申します。」

 

比企谷父・叔父さん「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!!!。」

 

比企谷父「八幡!・・八幡!・・貴様ッ・・これはッ!これはどう言う事だぁぁぁぁぁ。」ドドド

 

叔父さん「八っちゃん!叔父さんに解るように説明してくれぇぇぇぇぇ。」

 

比企谷「いや・・どう言うって・・・説明って・・・えぇ~~。」

 

比企谷父「相手の話しは聞いてたが、こんな超美人だとは聞いてないぞ!。」ユサユサ

 

叔父さん「兄貴!落ち着いて・・そんなに強く八っちゃんの肩掴んで揺さぶってたら八ちゃんも答えられない!。」

 

小町「すいません沙希さん、ちょ~っとお酒も入ってますので・・・。///」

 

川崎「あはは・・・なんか大変な事になっちゃったね。」アセアセ

 

小町「お恥ずかしい所を・・・。///」

 

川崎「ねぇ小町ちゃん、良かったら お台所を使わせてもらえないかな?。」

 

小町「今、母が居ますけど良いですよ。」

 

比企谷父「八幡・・・つい取り乱してしまった・・・すまん・・・で・・あの娘が例の相手でいいんだな?。」

 

比企谷「う・・ん・・・そうなんだけど・・。///」

 

叔父さん「兄貴!俺にはさっぱり事態が飲み込めん!あの娘が一体何なんだ?。」

 

比企谷父「おぉ!聞いて驚け・・あの娘はな八幡に毎日弁当を作って来てくれた娘なんだそうだ。」

 

叔父さん「えぇ――――!!!何だってぇぇぇぇぇ八っちゃんにぃぃぃ。」

 

比企谷父「まだ正式に交際する程の深い間柄では無いらしいんだが・・・。」

 

比企谷「それが・・・・。」

 

比企谷父「それが・・・何だ?。」

 

比企谷「その・・今日・・・申し込んで・・・OK・・・貰った・・・。」

 

比企谷父・叔父さん「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!!!。」

 

比企谷父「何――!!! それは誠かぁぁぁ!。」ガバッ

 

比企谷「お、おう・・・ついさっき・・・。///」

 

比企谷父「でかした!でかしたぞ八幡! それでこそ我が息子だ!。」ユサユサ(信じて送り出した八幡が・・・彼女連れで帰って来た・・・。)

 

叔父さん「兄貴!こいつはめでたい!久し振りに遊びに来たと思ったら、こんないい話しが

聞けるとは思わなかったぞ八っちゃん!!。」

 

比企谷父「俺も予想外だった・・・八幡に・・・あんな超美人な相手が・・・・

くそぉ!!・・なんか悔しくなってきたぞ!!。」フンガァ~

 

叔父さん「兄貴落ち着け!息子にヤキモチ焼くな!!」キモチハワカルケド・・

 

叔父さん「親なら祝ってやらないと!。」

 

比企谷父「おぉ・・・そ・・そうだな・・・八幡!父さんは交際に一切反対はしない!ただし節度は守れよ!。」

 

比企谷「あぁ・・解ってる・・親父・叔父さん・・有難う。」

 

 

――比企谷家台所――

 

小町「沙希さ~ん いっぱい食材買って来ましたね、何を作るつもりですか?。」

 

川崎「小町ちゃんが事前に情報をくれたからね、お父様達に、お酒のおつまみになりそうな物をね!。」

 

比企谷母「私も何かお手伝いしましょうか?。」

 

川崎「いえいえ~お母様・・・お気になされずに、お休みにならてて下さいませ~。」

 

小町「沙希さん、小町にも何か手伝えそうなところが有ったら手伝わさせて下さい。」

 

川崎「ん、小町ちゃん、その時は宜しくね!さぁ~それじゃ始めるぞー! シュ!どさっ!。」

 

小町「沙希さん、それは何ですか?。」

 

川崎「あぁコレはね、アタシ愛用の包丁セット。」

 

比企谷母「ちょっと見せていただけるかしら?。」

 

川崎「えぇ良いですよ!半分アタシの趣味みたいな物ですが・・・。」

 

比企谷母「小町・・・ちょっとコレ見てみなさい・・・どれも各地の名工と謳われる人の

逸品ばかりよ! コレなんか大納言の〝うず潮″だわ・・・本物は初めて見たわ・・・。」

 

川崎「有難う御座います、全部父から贈られた物なんです それじゃ御料理始めますね。」

トントントントン・・・・・ザクザク・・・・スタタタン・・・・ジュージュー・・・

パチパチパチパチ・・・・・カンカン・・・・・・ザリザリ・・・ぐつぐつ・・・シュボ!ゴォ~・・・ザァザァザァザァ・・・・ザクザク・・・・

 

川崎「よし!まずはアオリイカのお刺身完成! 次は川エビの唐翌揚げ完成と!そのまま油が使い回し出来るから、チカの唐翌揚げに行っちゃいましょう♪。」

 

川崎「小町ちゃ~ん・・・お刺身を、お父様方に出してもらえる?・・・コッチがまだ手が離せないから~。」

 

小町「はッ はぁ~い。」(凄過ぎる!思わず言葉を失う手捌き・・・。)

 

小町「叔父さん・お父さ~ん、コレ沙希さんから、お酒のおつまみにどうぞって!。」

 

叔父さん「おぉ~これは凄いな!さっきの娘が作ってるのか?。」

 

小町「そうですよ。」

 

比企谷父「盛り付けも綺麗だ、凄い腕前だな・・・高校生のレベルじゃないぞ・・・。」

 

川崎「里芋の煮っ転がしを作ってる間に特製壺焼きを作りましょう・・・。」

 

川崎「小町ちゃん有難うね、次はね、そこのレモンを切って、この唐翌揚げに添えて出してもらえないかな。」

 

小町「叔父さん・お父さ~ん 次の料理だよ~~まだまだ出るからねー。」

 

川崎「小町ちゃん助かるよ!はい、じゃぁ次これ!八幡と小町ちゃんにも喜んでもらえるようにフライドポテト!。」

 

川崎「はい、次はトロサーモン炙りだよ!。」

 

小町「沙希さ~ん 食べる方が追い付かないよ~~。」

 

川崎「ん!それじゃペースダウンするね・・・そろそろ特製壺焼きも焼ける頃だね。曲がりの部分は刺身にしちゃいましょう・・・食材は無駄なくね♪。」

 

比企谷母「あわわわ・・・。」ブルブル

比企谷「お袋!どうした?。」(台所からお袋が顔面蒼白で転がり出て来た・・・。)

 

比企谷母「どうした・・・なんてもんじゃないわよ・・・あの娘一体何者なの?。」

 

比企谷「何者て・・・最初に自己紹介したじゃないか・・・俺のクラスメイトだよ。」

 

比企谷母「それは解ってるわよ・・・とても高校生には見えないわ!動きに無駄が無くて自分専用の高級包丁まで揃えてて、まるでプロの料理人よ!。」

 

小町「小町も途中から手伝おうと思ったけど、手を出せる隙が全然無いの!。」

 

比企谷「自分専用・・・てマジで?。」

 

比企谷母「うちなんかじゃ縁が無いような名工による逸品の包丁セット・・・。」

 

比企谷母「八幡!! 命令よ、あの娘なんとしても物にしなさい!是非とも我が家に欲しいわ!。」

 

比企谷父「あぁ・・・母さんや・・それなんだが・・・今日から正式に交際する事になったらしい。」

 

小町「エェェェェェェェ―――!! マージーでぇぇぇぇ お兄ちゃん告白したの?。」

 

比企谷「お、おう・・・ついさっきな・・・OK貰ったばかりだ・・・。///」

 

小町「リア充展開 キタ━━゜+.ヽ(≧▽≦)ノ.+゜━━ ッ!! 」

 

小町「お母さん、お母さ~ん あのお兄ちゃんが・・・将来の夢は専業主夫だとか言って世の中舐め切ってたお兄ちゃんがぁぁぁ~~。」ウワァーン

 

比企谷母「小町・・・お母さんもこれで肩の荷が下りたわ・・・これで・・・これで・・・思い残す事はないわ。」ウワァーン

 

比企谷「あの・・・2人共・・・一応叔父さんの前だからね、そう言うの止めようね。」

 

川崎「皆さんお待たせしました~・・・・て、どうかされました?。」

 

小町「あぁ 沙希さん何でも無いんです!無いんですよぉぉぉ。」アハハハ

 

川崎「???」(まぁいいか・・・。)

 

川崎「こちらは特製壺焼きです、焼く前に貝の中身を取り出して、細かく刻んで薬味と混ぜてからもう1度殻に戻して焼き上げた物です、こちらはその時出た先の内臓の部分です。

見た目で抵抗が有るかもしれませんが、生のままお召上がり下さい、苦味も全く無くて美味しいですよ。」

 

一同「「「「「 ほほーう~これは珍味だ 」」」」」

 

川崎「すいません、そろそろ最後の一品が出来ますので、今お持ちしますね。」

 

小町「それにしても沙希さん料理万能だね、このフライドポテトなんかファーストフードのと大差無いよ!小町絶対家庭じゃ出せない味だと思ってたのに・・・。」

 

叔父さん「俺は釣りをやるから解るけど、イカをこんなふうに捌ける人は多くないぞ、切る幅が測ったよう等間隔なのも驚いたし、だいたい何処かに切れずに繋がってる所が出来ちゃうもんだが、それも無い!短時間でここまで丁寧に捌けるのは包丁せいだけじゃないぞ。」

 

川崎「お待たせしましたぁ~ お口に合うか解りませんが、里芋の煮っ転がしになります。」

 

比企谷父「んん~ こッこれはぁぁ うっ 旨い!・・・母さんや・・・この味真似出来るか?。」

 

比企谷母「無理に決まってるでしょ!お手上げよ。」

 

比企谷父「あの・・・沙希さんと言ったね・・・唐翌揚げの味付けについてだけど・・・。」

 

川崎「お酒が進むように、僅かに塩味を強めにしてますが、強過ぎましたでしょうか・・・?。」

 

叔父さん「やはりな・・・ビールにピッタリな塩加減だよ!細かい気配り有難うね、愛情を感じる料理ばかりで、叔父さん感激したよ。」

 

川崎「いえ・・・お粗末様です。」

 

比企谷父・比企谷母 「川崎さん・・・何でも以前から、うちの八幡にお弁当を作っていただいていたとかで・・・何と御礼を言ったら良いのやら・・・本当に有難う御座いました、八幡は、まだ至らない所ばかりですが、どうか今後とも仲良くしてやって下さい宜しくお願いします。」

 

比企谷(そう言うと両親は沙希に深々と頭を下げた。)

 

川崎「そんな!勿体無いです、どうか頭を御上げ下さい、こちらこそ宜しく御願い致します。」

 

叔父さん「八ちゃん・・・こんな良い人、鐘や太鼓で探しても見つからない!大事にするんだぞ。」

 

川崎・比企谷「有難う御座います。」

 

比企谷(俺と沙希は姿勢を正して、深々と頭を下げた。)

 

 

――八幡の部屋――

 

比企谷「悪いな沙希・・・突然親父や叔父さんに挨拶する事になっちまって。」

 

川崎「ううん、アタシは平気だよ!何れ挨拶するんだし、遅いより早い方がいいよ、隠れて付き合うのは嫌だし・・・それに八幡もアタシのお父さんに挨拶したじゃない。」

 

比企谷「アレで挨拶したうちに入るのか?。」

 

川崎「気になるなら、今度また遊びにきてよ。」

 

比企谷「解った、近いうちに改めて挨拶に行く。」(そう言って沙希の手を取った・・・。)

 

比企谷「本当なら今日は古文の勉強をする予定だったのに時間無くなっちまったな。」

 

川崎「気にしないで・・・今度予備校の自習室ででもやりましょう。」

 

比企谷「沙希・・・。」

 

川崎「八幡・・・。」(2人の顔が使づいていく・・・。)

 

小町「ウォッホーン!。」

 

川崎・比企谷( ビクゥ!! )

 

小町「あ――仲が良いのは大変結構ですが、小町の存在忘れてないでしょうね!。」ジトー

 

比企谷「あの~~小町さん?何時から居たんですか・・・?。」

 

小町「《悪いな沙希・・・》あたりから。」

 

比企谷「つまり全部聞いていたと・・・。///」

 

小町「リビングにお客さんが居るとカマクラがお兄ちゃんの部屋に逃げ込む癖が有るから

御飯あげに来てたの!。」

 

川崎「あ・・・じゃあ八幡・・・アタシは、お台所の片付けに行くから。」ピュ~ン

 

小町「でもまだ信じられないよ、あのお兄ちゃんが自分から告白したなんて・・。」

 

比企谷「あぁ俺も信じられん・・・まだ夢なんじゃないかと思ってる。」

 

小町「でも夢じゃないんだよ・・・お兄ちゃん・・・お兄ちゃん気が付いてる?。」

 

比企谷「何がだ?。」

 

小町「お兄ちゃんさあ・・・初回デートの翌日に告白したんだよ!電光石火だよ。」

 

比企谷「そうだな・・・でもそれが出来たのも相手が沙希だったからだ。」

 

小町「ねぇ・・・沙希さんの何処が良かったの?。」

 

比企谷「良い所を数えたらキリがないが、中でもコレだ!てのは・・・一緒に居ても自然で居られるんだ・・・お互い波長が合うと言うか・・・黙ってても気不味くならない。」

 

小町「う~ん・・・確かにそんな相手は中々見つからないかもね。」

 

比企谷「あとな・・・これは笑わないで欲しいんだが・・・。」

 

小町「小町は笑わないから教えて。」

 

比企谷「俺自身がスキンシップに耐性が無かった・・・てのも有るかもな。」

 

小町「スキンシップ?。」

 

比企谷「今までの沙希との付き合いの中で、何度か抱き着かれたり、しがみ付かれたりしたが、あれは100の言葉より効果抜群だ。」 

 

小町「言葉より行動で・・・とも言うからね。」

 

比企谷「ちょっと違うけどな、あながち外れてもいない。」

 

小町「じゃあ・・・この後ちゃんと沙希さんを家まで送ってあげてね。」

 

比企谷「あぁ・・・勿論だ。」

 

小町(こうして沙希さんと、お兄ちゃんが付き合う事になったのですが、このまま明日学校に行って大丈夫でしょうか?あの2人とトラブルにならないか心配です。)

 

 

――川崎宅前――

 

比企谷「沙希・・・今日は有難う・・・突然の事で疲れただろ、すまんな。」

 

川崎「ううん、全然大丈夫!八幡の御家族に挨拶出来て良かったよ。」

 

比企谷「うちの家族は沙希の事を大歓迎だ、また来てくれると嬉しい。」

 

川崎「それじゃまた機会が有ったら伺わせてもらうね。」

 

比企谷「じゃあ明日学校でな。」(そう言って俺は川崎を抱き締める。)

 

川崎「ん、明日ね。」(アタシも八幡を抱き締め返す・・・。)

 

比企谷「沙希・・・俺・・・こうして抱き締めあうのが好きだ・・・沙希を近くに感じられる、安心出来る・・・嬉しい・・・好きだ・・・沙希・・・。」

 

川崎「アタシもだよ・・・アタシも八幡とこうしてるのが好き・・・八幡・・・アンタはもう独りじゃないんだよ・・・。」

 

比企谷「何時までもこうしてたいけど今日はもう、お休みなさいだ。」

 

川崎「じゃあ最後に・・・。」(お互いに別れを惜しむように熱烈なキスをした。)             

 

その様子を2階の窓から見ていた2人の影が有った

川崎父「母さんや・・・あれが沙希が今日連れて来た人だ・・・なかなかの好青年じゃないか俺は2人の間柄を認めてやっていいと思ってる。」

 

川崎母「嫌ですねぇ 私は元々沙希を信用してますから反対なんかしてませんよ。」

 

川崎父「じゃあ俺達は親として2人を見守ってやろう。」

 

川崎母「でも貴方、沙希に交際内容を聞くとか無粋な事をするんじゃありませんよ。」

 

川崎父「おうそうだな、肝に銘じとく。」

 

 

――翌日――

 

比企谷(俺は自転車置き場で沙希と待ち合わせをした、朝練中の戸塚に御礼をする為だ。)

 

川崎「おはよ~八幡!。」

 

比企谷「おはようー沙希。」(恥ずかしいので廻りを確認してから名前で呼んだ。)

 

比企谷「じゃあ・・・行くか。」(テニスコートに向かって歩き出す、何故か沙希が腕を組んで来た。」

 

比企谷「ちょっ!ちょっと沙希!学校内でコレはハードル高いって!。」

 

川崎「いいの!アタシがしたかったの! どうにも恥ずかしくなったら外していいから。」

 

比企谷(そんな会話をしているうちに、テニスコートに到着した・・・戸塚を呼ぼうとしたがその必要は無かった、俺達に女子部員達が気が付いたからである。)

 

テニ女達「キャー!比企谷先輩よー! 比企谷先輩こっち向いてぇ~ 比企谷先輩~~比企谷先輩格好いい~~。」

 

川崎「凄いね八幡!まるでスーパースターの登場じゃん。」イラッ

 

テニ女達「比企谷先輩が彼女連れよ~~ わぁ~凄い超美人! 美男美女だわ~!。」

 

川崎「ま・・・まぁ・・・いい人達ね。」パァ

 

戸塚「おはよう八幡!あの後大丈夫だった・・・て聞くまでもなさそうだね。」ニコニコ

 

比企谷「戸塚・・・あの時は助けてくれて有難う、・・・改めてこうして川・・・沙希と礼を言いに来たんだが、朝練の邪魔して悪いな。」

 

川崎「戸塚・・・有難う・・・あの場面で戸塚が来なければ、アタシは八幡のとった行動の意味も解らずに更に相手に反撃してたかもしれない・・・本当に有難う。」

 

比企谷(そう言って俺達は戸塚に深々と頭を下げた。)

 

戸塚「そんな御礼なんて止めてよ、僕は2人にそんな事をして欲しくて助けたんじゃないんだからさ、頭を上げてよ!。」

 

比企谷「それでもな・・・俺達はちゃんと礼が言いたい。」

 

戸塚「じゃあ・・・どういたしまして!でも僕は友達として当然の事をしただけだよ。」キラキラ

 

川崎・比企谷(うっ!戸塚に後光が・・・これが大天使の癒し!。)

 

戸塚「それとね、さっきの2人の様子見てて気になったんだけど、2人はその・・・。」

 

比企谷「あぁ・・・その・・・昨日・・・俺の方から・・・。///」カァ

 

川崎「アタシもその・・・2つ返事で・・・。///」カァ

 

戸塚「そーなんだぁ~~ 僕も嬉しいよ!2人とも、おめでとう!お幸せにね!。」(*・▽・)/*・’゜☆。.:*:・’☆’・:*:.。.:*:・’゜:*:・’゜☆

 

比企谷・川崎(大天使の祝福を受けると同時に歓声が沸き上がった。)

 

テニ女達「おめでとー!、先輩方おめでとうございます!おめでとうございます!。」

 

比企谷・川崎「それじゃ戸塚!あとで教室でね。」

 

戸塚「うん教室でね!・・・じゃあみんな、ちょっと早いけど今日はこれで朝練終了ね!また放課後がんばろうね。」

 

テニ女達「はい、御疲れ様でしたぁ~。」

 

比企谷(後で知ったが折本の悪評の後を追うように、俺達2人の事は美談として爆散していた・・・。)

 

 

――教室――

 

三浦「ヒキオー・・・アンタ達付き合い始めたんだってぇ~良かったじゃん。」(あ~ぁ こりゃもう結衣に勝ち目無いね・・・あれだけ注意したのに、あーしに付き合ってカラオケとかで遊んでたりするから・・・。)

 

海老名「サキサキ良かったね~前からヒキタニ君が好きだって言ってたもんね。」

 

川崎「姫菜・・・そのサキサキての止めて! それにヒキタニじゃなくて比企谷だから!。」

 

戸塚「おはよ~ みんなお待たせ~。」

 

比企谷「おっ 戸塚早いな。」

 

戸塚「ちょうど切りも良かったから朝練を早目に終わらせたんだ。」

 

川崎「もしかしてアタシ達のせいかな?御免ね。」

 

戸塚「ううん違うよ、川崎さん気にしないで・・・それより土曜日はどうだったの?。」

 

比企谷「それなんだがな、初めて京急に乗ったんだけどスゲー電車だったぞ!。」

 

川崎「走り出す度にさ、床下から♪ファソラシドレミファ~♪て音階が聞こえるの!。」

 

戸塚「ドレミファインバーターだね!。」

 

比企谷「ドレミファインバーター?。」

 

戸塚「そう意図的に作り出した音が出るドイツ・シーメンス社製のGTO素子によるVVVFインバーターを搭載してるんだ。」

 

比企谷「わざとやってるのかよ!」

 

戸塚「どうせ出ちゃう音なら音階にして楽しんじゃえって遊び心さ、だからね歌う電車とも呼ばれてるよ、でも急激に数を減らしてるみたいだから、それに乗れたなんて超ラッキーだよ。」

 

川崎「歌う電車ねぇ~。」

 

戸塚「京急には、京急ドレミたんて言う、マスコットキャラクターも居るよ。」

 

比企谷(何・・・ドレミたん・・・だと・・・カレーの妖精ロリエたんと共演させたいぞ・・・。)

 

戸塚「他にも京急は大人気の路線だから色々な渾名が有るよ、KQクォリティだとかハマの赤いあんちくしょう、とか路地裏の超特急とか、線路上のフェラーリとかね。」

 

比企谷「フェラーリねぇ・・・確かに物凄い加速だったな。」

 

川崎「赤くて速かったね、横を走ってるJRの特急を追い越しちゃったからね。」

 

比企谷「あんなロケット加速なのに誰も驚いて無かったなぁ・・・。」

 

戸塚「京急は客もプロだからね。」

 

川崎「数を減らしてる・・・て、あの音が出ない奴も有るの?それじゃつまんないじゃん!!。」

 

戸塚「うん残念だけどね・・・それについては某総統閣下も、お怒りみたいだよ。」

 

比企谷「」

 

川崎「それにしても戸塚は詳しいね?。」

 

戸塚「これ位普通だよ。」

 

比企谷「いや、普通じゃねーぞ。」

 

川崎(京急も戸塚も普通じゃないと思うけど・・・。)

 

比企谷「まぁ・・・話しはまだ有るけどSHRの時間だから、また次の機会にな。」

 

 

――ベストプレイス――

 

比企谷「ほい、御茶どうぞ!。」

 

川崎「ん、じゃあ今日のお弁当!。」

 

比企谷「おぉ今日は御飯とおかずが別の箱なのか。」

 

川崎「一緒に入れるとシケちゃうから分けてみた、ソースも入ってるからね。」

 

比企谷「おッ!鯵フライか、じゃあソースを掛けて・・・いただきます・・・お・・・美味しいよ沙希!。」

 

川崎「さすがに生きてる物は買えないけど、ピカピカ光ってる鮮度の良いのが有ったからね。」

 

比企谷「昨日の料理・・みんな美味しかった・・・沙希に御礼を言ってくれって・・・特に小町はまたフライドポテトが食べたいってさ。」

 

川崎「ふふ有難う・・・小町ちゃんには今度作り方から教えてあげるって伝えといて。」

 

比企谷「おぉー 今日も食った食った、ごっつぉーさん!。」

 

川崎「ん、お粗末様・・・八幡、顔に御飯が付いてるよ・・・えいっchu!。」

 

比企谷「おッ おい沙希!・・・もし誰かに見られたら・・・。///」

 

川崎「アタシは全然気にしないよ!。」

 

比企谷「俺が気にするんだよ!。」

 

川崎「ふふ・・・目立つのが嫌だって?。」

 

比企谷「そうだよ。」

 

川崎「それもう無駄だって気付いてないの?。」

 

比企谷「どう言う事だよ。」

 

川崎「アタシ達はとっくに皆の注目の的だって事!。」

 

比企谷「いまいち解らん話しだが・・・。」

 

川崎「思い出して!朝アタシ達が教室に入るなり三浦と姫菜が話し掛けて来たでしょ。」

 

比企谷「そう言えばあの2人、何で俺達が付き合い始めた事知ってるんだ???。」

 

川崎「これが女子のネットワークなの!。」

 

比企谷「えぇ~女子のネット怖え― 何て言う拡散速度だよ!一体何Mbps有るんだよ!。」

 

川崎「この速度で伝わるから、今頃あの折本ってのも社会的に成敗されてるかもね。」

 

比企谷「そりゃ怖い・・・。」

 

川崎「奉仕部の2人にも間違い無く伝わってるよ・・・部活出て大丈夫?。」

 

比企谷「大丈夫だろ!そもそも俺は、あの2人とそんな関係じゃないしな。」

 

川崎「じゃあさ、アタシは念の為に図書室に居るから、少しでも変な雰囲気になったら躊躇わずすぐに連絡してね、電話は無理だろうから空メールの送信で!。」

 

比企谷「考え過ぎだと思うがなぁ・・・まぁ用心しとくか・・・。」

 

川崎「何も無ければ無かったで一緒に帰ればいい話しだしね。」

 

川崎(そう言って教室に戻ろうとしたアタシを背中から八幡が抱きしめてきた・・。)

 

比企谷「すまん沙希・・・少しの間こうさせてくれ・・・。」

 

川崎「ん、いいよ。」(八幡の鼓動を背中に感じながらアタシは肩から回された八幡の腕に自分の手を重ねた・・・。)

 

 

――奉仕部部室――

 

比企谷「うぃ~っす。」ガラガラ

 

雪ノ下「あら、来たのねリア充谷君。」

 

比企谷「何だよそのリア充谷君って。」(アレ?・・・反論出来なくね?。)

 

雪ノ下「あら、シラを切るつもりかしら?それじゃ川崎君と呼べばいいかしら?。」

 

比企谷「・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

 

由比ヶ浜「・・・ヒッキー・・・サキサキと付き合ってるって本当なの?。」

 

比企谷「あぁ・・・本当だ・・・。」

 

雪ノ下「そう・・・嘘だとは・・・言ってくれないのね・・・。」

 

由比ヶ浜「そんな・・・そんな・・・何でだよヒッキー!!。」

 

比企谷「ちょ・・・ちょっと待ってくれ・・・どう言う事なんだ!俺には状況が掴みきれん・・・。」

 

由比ヶ浜「ヒッキー!私とゆきのんがどんな気持ちで部活を続けて来たか解らないの!!。」

 

比企谷(そうか、沙希はこうなるのが解ってたんだ・・・じゃあ遠慮無く頼らせてもらおう・・・沙希!SOSだ、助けてくれ。)ポチ

 

比企谷「2人共・・・先ずは何について怒っているのか、憤っているのか説明してくれ!それが無ければ、俺だって状況に対応出来ない!何が聞きたいのかも解らない。」

 

雪ノ下「今更説明が必要なのかしら、私達3人で部活をしていて、それは貴方も気が付いていたのではないかしら。」

 

由比ヶ浜「ヒッキー!私達の事何だと思ってたの・・・。」

 

比企谷「何だと・・・て・・・共に活動する部活の仲間だと思っていたが・・・。」

 

雪ノ下「私は・・・それだけとは思っていなかったわ、それは貴方も気付いてると思っていたのよ・・・なのにこの仕打ちは何なの?。」

 

「それは言い過ぎだし、虫が良過ぎないかな。!!!」ガラガラ―!!!

 

由比ヶ浜「サキサキ・・・優美子・・・彩ちゃんも・・・。」

 

雪ノ下「川崎さん・・・どうして・・・。」

 

川崎「八幡・・・大丈夫?・・・アタシはね、こうなる予感がしてたから、戸塚にもお願いして待機してたの。」

 

戸塚「僕もなんとなく、こうなるんじゃないかと思ってた。」

 

三浦「あーしはね、結衣の事が心配だったところに、2人が特別棟に走る姿が見えたから何か有ったと直感して後を追って来たんだよ。)

 

戸塚「八幡はこの場に居ない方が話し易いかな、少しの間席を外してもらえない?。」

 

比企谷「解った戸塚・・・図書室で待ってるから後で連絡をくれ。」ガラガラ

 

雪ノ下「待ちなさい!まだ話しは終わってないわ。」

 

川崎「雪ノ下・・・話しはアタシが聞くから冷静になりなよ、今八幡を責めるのはお門違いってもんだよ。」

 

雪ノ下「川崎さん・・・八幡だなんて・・・名前呼び!? いい御身分ね!この泥棒猫!。」

 

戸塚「雪ノ下さん冷静に!! それに泥棒猫だなんておかしいよ。」

 

雪ノ下「何がおかしいって言うの!!。」

 

由比ヶ浜「そーだよ!私達のヒッキーを取っておいて!!。」

 

戸塚「だからその取って行った・・・て前提がおかしいよ。」

 

川崎「聞くけど、貴方達のどちらか一方でも八幡に自分の気持ちを伝えた事が有る?。」

 

雪ノ下(痛い所を突かれた・・・。)

 

雪ノ下「そ、そんなの私達の間には無用だわ、そんな事伝えなくても比企谷君は解ってくれるはずよ。」

 

由比ヶ浜「そうだよ、ヒッキーなら・・・ヒッキーなら解って・・・察してくれるはずだもん。」

 

川崎「八幡は全然解ってなかったよ・・・。」

 

雪ノ下「川崎さんに彼の何が解るって言うのかしら。」

 

川崎「それじゃ雪ノ下は八幡の事を何でも解ってるって口振だね。」

 

雪ノ下「そうよ!私は彼の事なら何でも解るわ!。」

 

川崎「はぁ・・・まるで解っちゃいない・・・いいかい・・・ちょっと前の事だけど八幡が下級生からラブレターを渡された事が有ったの覚えてる?。」

 

由比ヶ浜「覚えてるよ・・・全く相手にしなかったって・・・。」

 

雪ノ下「忘れる訳無いわ・・・とても彼らしい行動だったわ。」

 

川崎「それじゃ八幡が何故そのラブレターが自分宛じゃなくて葉山宛だと勘違いしたのか考えてみた事は有るの?。」

 

雪ノ下(考えてなかった・・・私はただ・・・下級生の申し出を彼が断わった事に安心してその行動の理由を考えもしなかった。)

 

由比ヶ浜「だってヒッキーは・・・鈍感だから・・。」

 

川崎「鈍感ね・・・アタシはそうは思わなかったよ・・・ねえ戸塚?もし戸塚だったら自分に差し出されたラブレターを見て、他人宛てだと考える?。」

戸塚「僕なら自分宛だって思うよ、普通そうなんじゃないかな。」

 

川崎「でも八幡はそうは考えず、真っ先に他人宛ての物を預けられたと考えた・・・鈍感なだけじゃ普通こんな行動はしないし、そんな思考も働かないと思う。」

 

雪ノ下・由比ヶ浜「・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

 

川崎「アタシはね、八幡が《自分に向けられる好意なんて無い》て考えてると思ったよ・・・さすがにその原因までは、つい最近になるまで解らなかったけど・・・。」

 

三浦「その理由が、土曜日に広まったあの話しなん?。」

 

雪ノ下・由比ヶ浜「!!!」

 

川崎「理由の1つだと思うね・・・たぶんもっと酷い目にも遭って来たんだと思う・・・。」

 

三浦「あーしもさぁ その胸糞悪い話しが舞い込んで来た時、やられたのがヒキオだと解って頭に来たし・・・相手の奴ボコらねぇと気が済まねぇって言うかさぁ~。」

 

川崎「アタシはね、八幡は捨てられた野良の子猫みたいな状態なんだと思ったんだよ・・・

飢えているのに、人の優しさが怖い・・・人の施しが怖い・・・悪意の無い相手からも逃げるか、牙を向けるしか出来ない状態・・・恋愛が怖くて逃げている・・・。」

三浦「ヒキオ・・・可哀想・・・。」

 

川崎「雪ノ下、アンタさっき《彼の事なら何でも解る》て言ったよね・・・雪ノ下はここまで八幡の事を考えてあげたの?。」

 

雪ノ下(ぐうの音も出なかった・・・私より川崎さんの方が彼の心の深淵を考えていた。)

 

川崎「そんな恋愛に対して臆病になっている相手に、アンタらはどう接してきたの?自分からは何も伝えず・・・自分達の気持ちだけは察して欲しいなんて、虫が良過ぎない?。」

 

戸塚「それに2人共普段から八幡に酷い事ばかり言ってたよね、それは怯える子猫に石を投げているのと変わらないと思うな。」

 

三浦「結衣~ あーしはさぁ~結衣の味方だからさぁ、普段から好きな相手への言葉には注意しな!て言ってたじゃん。」

 

由比ヶ浜「あれは別に本気で言ってた訳じゃ・・・。」

 

三浦「結衣が本気じゃなくても、それを聞くのも判断するのもヒキオなんだよ。」

 

戸塚「そもそも僕達さぁ高校生なんだよ、好きな相手に悪口言って気を引こうなんて小学生じゃないんだから・・・。」

 

雪ノ下・由比ヶ浜「「 ガァ~ン il||li _| ̄|● il||li  」」

 

川崎「雪ノ下、八幡から聞いたけど、《友達から・・・》て交際を申し込まれた時に即答で断ってるよね、それってさ恋愛のスタート地点に立つどころか自分からスタート地点を消し去っちゃってるよね?自分の連絡先すら教えてないってらしいし。」

 

由比ヶ浜「ゆきのん、そんな事が有ったの?。」

 

雪ノ下「比企谷君が平塚先生に連れてこられた日の事よ・・・。」

 

川崎「それが有ったからか、もし仮に雪ノ下から告白されたら?と聞いたら《それは有り得ない》と完全否定してたし《家柄が違い過ぎる》とも言ってた、中でも決定的だったのが、アンタの姉の存在さ!八幡は異常なまでの警戒をしてたし《地雷過ぎる》とまで言ってた・・・好きなら何で姉を使ってまで嫌がらせをするの?。」

 

雪ノ下「あれは姉さんが勝手にやってる事で私が頼んだ訳ではないわ。」

 

川崎「知ってたなら止めるように言う事ぐらい出来るはずだよね?姉妹なんだから!。」

 

雪ノ下(ぐうの音も出なくなっているところに、姉の事まで持ち出されて止めを刺された・・・完全な敗北だった。)

 

戸塚「2人共、取り敢えず・・・この件はこれでいいかな?。」

 

由比ヶ浜「で、でも・・・。」

 

三浦「はいはい!結衣は〝キモイ“て言い過ぎ!・・・あーしだって最近は悪いから言わないようにしてるのに・・・。」ポッ///

 

由比ヶ浜「ふぇ?それって???。」

 

三浦「だってさ・・・最近ヒキオの奴、隼人より格好良い時有るし。///」

 

川崎「なっ! ア・・・アタシと八幡はね、もうお互いの親にも挨拶した仲なんだから取らないでよ!。」アセアセ

 

三浦「はっ!はぁ~~と・・・取らねーし!・・・てか・・・アンタらそこまで・・・!!!。」

 

川崎「しまった!!ヤバッ・・・。///」カァァァァァ プシュゥゥゥゥ~~

 

雪ノ下「由比ヶ浜さん・・・聞いたでしょ・・・もう私達の出る幕は過ぎたわ・・・と言うか立つ舞台さえも無かったみたいなのだけれど・・・。」

 

由比ヶ浜「自業自得かぁ・・・何で間違えちゃったのかなぁ・・・私・・・。」グスグス

 

雪ノ下「川崎さん・・・負けを認めるわ・・・私達が何を言ったところで、これは比企谷君自身が決めた事だものね・・・私達の好きだった比企谷君を、お願いします・・・。」ツー

 

川崎「ん、任されて!・・・アタシが八幡を幸せにしてみせるから。」

 

三浦(あーしを何度もやり込めた雪ノ下が敗北した瞬間を見た・・・怖いし・・・川崎怖いし恐ろしい戦闘能力だし・・・迂闊に敵に回せないし・・・。)

 

戸塚「心配したけど丸く収まったみたいだね、それじゃ僕は八幡を呼んで来るよ。」ガラガラ

 

三浦「結衣・・・今は辛いだろうけど結衣と付き合いたがってる男なら山程居るから元気出すし!。」

 

川崎「最後に2人に聞いて欲しいんだど・・・八幡はこの奉仕部が気に入ってるんだ、だから今後は悪口無しで一緒に続けてくれないかな・・・。」ガラガラ

 

三浦「じゃ、あーしも帰るから。」フリフリ

 

雪ノ下(先程までの騒ぎは何処へやら・・・今は由比ヶ浜さんと2人っきり・・・。)

 

由比ヶ浜「ゆきのん・・・静かになっちゃったね・・・ヒッキーが居ないと、こんな感じなんだね・・・。」

 

雪ノ下「そうね・・・彼の存在って大きかったのよね・・・。」

 

由比ヶ浜「ゆきのん・・・これからどうする?。」

 

雪ノ下「川崎さんにも御願いされてしまったし、これからも今まで通り続けて行くしかないのだけれど・・・。」

 

由比ヶ浜「そうだね・・・今は他に何も思い付かないもんね。」

 

雪ノ下「由比ヶ浜さん・・・あの2人は何時頃から、こんな急接近したのかしら・・・。」

 

由比ヶ浜「解らないよ・・・教室じゃそんな気配は無かったし・・・話してるところも見なかったから・・・安心してた・・・。」

 

雪ノ下「そう・・・でも結果的には私が恐れていた通りになってしまったわ・・・。」

 

由比ヶ浜「私も注意してたんだけど・・・元々ヒッキーとサキサキは気配を消すのが上手いし。」

 

雪ノ下「思えば川崎さんは、私達2人の良い所だけを合わせ持った人なのよね・・・。」

(何よそれ・・・チート過ぎるわ!・・・勝てないわよ・・・。)

 

由比ヶ浜「私がもっと御料理とか出来たら負ける事無かったのかなぁ・・・。」

雪ノ下「そうね・・・逆に川崎さんの方が恐れる存在になっていたかもしれないわね。」

 

由比ヶ浜「そっかぁ~ でも、なかなかそうはならいんだよねぇ・・・悔しいなぁ・・・。」

 

雪ノ下「でもそれは努力で補える事なのよ・・・。」(私には方法が無い・・・orz。)ズゥーン

 

由比ヶ浜「うん・・・少しづつでも頑張るよ!負けっ放しじゃ悔しいから。」

 

雪ノ下「お互い頑張りましょう・・・。」

 

由比ヶ浜「ゆきのーん、私頑張るよ!」ダキッ!

 

比企谷「話しは終わってるか?。」ガラガラ

 

雪ノ下「・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

 

比企谷「お前達の気持ちに気付けなくて悪かった。」(俺は2人に頭を下げた。)

 

由比ヶ浜「・・・・・・・・ヒッキー・・・・・・・・・。」

 

比企谷「お前達のどちらかでも、今後俺と会うのが気不味いと言うなら俺は退部するから・・・。」

 

雪ノ下「何を言っているのかしら・・・私達を見縊ってもらっては困るわ!。」

 

由比ヶ浜「そうだよ、こんな事になったけど私はヒッキーに居て欲しい!。」

 

雪ノ下「それにこんな理由で退部だなんて、部長の私が認める訳にはいかないもの。」

 

比企谷「そうか・・・その・・・本当に悪かった・・・。」

 

雪ノ下「取り敢えず気分を落ち着ける為に紅茶を淹れるわ・・2人とも飲むわよね?。」

比企谷「お、おう・・・悪いな・・・。」

 

比企谷「あ・・・あのな・・・なんかタイミングが悪くなったが、2人に御土産が・・・有るんだ・・・。」

 

雪ノ下・由比ヶ浜 「「  御土産?  」」

 

比企谷「まずは由比ヶ浜にコレ!チバ犬縫いぐるみストラップと靴下だ。」

 

由比ヶ浜「ッ !!  何これ可愛い~~!!! 。」

 

比企谷「由比ヶ浜・・・その縫いぐるみの尻尾を見てくれ!。」

 

由比ヶ浜「ふぇ?尻尾?。」

 

比企谷「落花生仕様だ!伊達にチバ犬と名乗ってないぞ!。」

 

比企谷「本当はお前んちの犬と同じ犬種のが有れば良かったんだけどなぁ・・・何だったっけ?フレンチブルドッグだったかな?。」

 

由比ヶ浜「違うし!。」

 

比企谷「あぁピットブルだったな!。」

 

由比ヶ浜「それも違うし!てかそんな怖い犬じゃないし!。」

 

比企谷「イングリッシュブルドッグだ!。」

 

由比ヶ浜「もうブルドッグから離れて―!。」

 

比企谷「あれ?違ったっけ?。」

 

由比ヶ浜ミニチュアダックスだってば!。」

 

比企谷「そうそう!確か名前はサブウェイ!。」

 

由比ヶ浜「そうそう、あそこのサンド美味しーんだよね・・・って違うし!。」

 

比企谷「絶天狼抜刀牙が使える・・・。」

 

由比ヶ浜「ちっが――う!熊と戦ったりしないから!!もっと甘い物の名前だよ。」

 

比企谷「ココア?。」

 

由比ヶ浜「それは、あの犬種に有りがちな名前だけど、うちのはサ・ブ・レ!。」

 

比企谷「おう・・・そうだったな。」

 

由比ヶ浜「もう・・・ちゃんと覚えてよね!でもコレ可愛いー!。」ニコニコ

 

比企谷(チョロい・・・。)

雪ノ下(チョロいわね・・・。)

 

比企谷「雪ノ下にはコレだ!ぴぃ~にゃっつ のカラビナ付きポシェットだ。」

 

雪ノ下「そんな物で私の機嫌を取ろうなんて・・・。」(そ・・・それは・・・ネコ・・・ ウズウズ。)

 

比企谷「なんだ・・・要らないのか? ぴぃ~にゃっつはなぁ~千葉の落花生畑をお散歩するのが好きなネコさんなんだぞ。」

 

雪ノ下「ね・・・ネコ・・・落花生畑・・・ま・・・まぁせっかく買って来てくれたんだし・・・いただくわ。」

 

比企谷「はいよ!。」

 

雪ノ下「 ♪~ 」カ…カワイイ!

 

比企谷(チョロいぜ。)

由比ヶ浜(ゆきのんチョロい。)

 

雪ノ下「それにしても、さすが千葉のゆるキャラね・・・どこまでも落花生押しだわ・・。」

 

比企谷「そうだ雪ノ下!猫と言えばこれを見ろ。」(スマホの画像を見せた。)

雪ノ下「っ!!!  ひ・・・比企谷君ここは何処なのかしら?。」(数匹の猫と一緒の比企谷君が写っていた。)

 

比企谷「鋸山ロープウェイの山頂駅だ・・・何故そこに、そんなに居るのか解らんがな・・・。」

 

雪ノ下「そう・・・鋸山の・・・。」(パ・・・パラダイスだわ。!)

 

雪ノ下「ちょ・・・ちょっと失礼するわね・・・。」スマホチョンチョン

 

『都築!突然だけど明日向かわなくてはならない所が出来たわ・・・車を都合して欲しいのだけれど・・・それと学校には欠席の連絡を・・・いいわね!。』

 

由比ヶ浜(そこまで・・・!。)

比企谷(えぇマジかよ!!。)

 

雪ノ下「あら、盗み聞きだなんて趣味が悪いのね。」

 

比企谷「いや、そんな傍で話したら普通聞こえるから。」

 

雪ノ下「それより写真は他に無いのかしら、見たいから貸してもらえるかしら。」

比企谷(そう言うと雪ノ下に奪うようにスマホを取られ、他の写真まで見られてしまい

     沙希との事を質問責めにされた・・・ヤダ・・・恥ずかしい・・・。)

 

――比企谷宅――

 

比企谷「たでーま。」

 

小町「お兄ちゃんお帰り~~大丈夫だった?。」ドドド

 

比企谷(普段同様、我が家の天使が走り出て来る。)「大丈夫って何がだ?。」

 

小町「何がって雪乃さんや結衣さんとだよ!。」

 

比企谷「おぉそれか・・・多少修羅場ったけど俺の居ない間に戸塚達が治めてくれたぞ。」

 

小町「じゃあもう大丈夫なんだね?でもさぁお兄ちゃん・・・本当にあの2人の気持ちに気付いて

   なかったの?・・・小町でも解ってたよ。」

比企谷「あぁ・・・それな・・・全然気が付かなかった・・・2人に告げられて驚いたし信じられなかった

     特に、あの雪ノ下が俺になぁ・・・。」

 

小町「お兄ちゃん惜しい事したと思ってる?。」

 

比企谷「惜し・・・く・・・はねーな、沙希が居るし。」

 

小町「はい、お兄ちゃんの惚気いただきました~。」(もうゾッコンですね。)

 

比企谷「ばっか小町!別に俺は惚気てなんか・・・。///」

 

 

――数週間後――

 

川崎「今日は雨なので八幡と2人 教室でお弁当を食べている。」

 

比企谷「雨だと行き場が無くて困るな・・・教室だと目立って嫌だし・・・。」

 

川崎「別に良いんじゃない・・・これからの季節、外での食事はキツいし。」

 

比企谷「そうだな・・・沙希が居てくれれば、そこが何処でもベストプレイスかもな。」

 

川崎「もう八幡ってば・・・。」

 

比企谷「沙希・・・俺・・・こんなに幸せでいいのかなぁ?。」

 

川崎「またそれ言うの・・・言ったでしょ・・・アタシが八幡を幸せにするって。」

 

比企谷「あぁ・・・2人でな。」

 

川崎「ん、2人で。」

 

 

 

 

 

 

川崎「席替え!」比企谷「関係無いイベントだ。」

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