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美琴「……しないの?」 上条「い、いいのか?」【とあるss/アニメss】

 

上条「という事でとうとう我が家にもコタツを導入しました」

 

御坂「お金ないのに……」

 

上条「ぐ……必要な投資だ!」

 

御坂「エアコンにすればいいのに」

 

上条「不幸にもご臨終なされて……」

 

御坂「いつもいつも大変ねえ、その体質……」

 

上条「うおーぬくといー……幸せだー……」

 

御坂「……」

 

上条「どうした? 入らないのか?」

 

御坂「…………えいっ!」

 

上条「うおっ、どうしたいきなり!? ちょっ、押すな押すなー!?」

 

御坂「お、お邪魔しまーす……!」

 

上条「…………」

 

御坂「……何よ」

 

上条「……いえ……なんでもないです」

 

御坂「……あったかいわね」

 

上条「そうだな……」

 

御坂「……えへへ」

 

上条「いい買い物をした……」

 

 

御坂「あー、こうしてると日本人でよかったーって思うわね」

 

上条「コタツ最高です……!」

 

御坂「これでみかんかお煎餅があれば言う事ないんだけど」

 

上条「あるぜ?」

 

御坂「ほんとっ!?」

 

上条「親父が送ってきてくれてなー。ちょっと待ってろ」

 

御坂「わーい」

 

上条「……、……」

 

御坂「どしたの?」

 

上条「出たくない……」

 

御坂「………………」

 

上条「だって! オマエも分かるだろこのコタツの魔翌力!」

 

御坂「うー、分かるけどさぁ……」

 

上条「じゃあこうしよう。ジャンケンして負けた方が取ってくる」

 

御坂「なんでそうなるのよ」

 

上条「みかんって言い出したのオマエだし。はい、出っさなっきゃ負っけよー、じゃん、けん」

 

御坂「うわ卑怯!?」

 

上条「ぽん」

 

御坂「うわ負けたー!?」

 

上条「ふははは! とっさに出すのは簡単なグーかパーと相場は決まってるのだ!」

 

御坂「くっ……これで勝ったと思わない事ね……!」

 

上条「負け犬の遠吠えが聞こえるわ。ふははは!」

 

御坂「なんでコイツこれだけの事でここまで勝ち誇れるの……」

 

 

上条「そこのダンボールの中ー」

 

御坂「すぐ近くじゃないの……ほら」

 

上条「この万物を照らす太陽如きの輝き……ほんまゴールデンコンビやー」

 

御坂「…………よいしょっと」

 

上条「あれ、御坂さん……?」

 

御坂「何よ」

 

上条「なんでそっち行くですか?」

 

御坂「いいじゃない、どこ座ったって」

 

上条「え、だってさっきは」

 

御坂「つーん」

 

上条「……」

 

御坂「みっかんっ、みっかんっ」

 

上条「み、御坂さん……」

 

御坂「テレビなんか面白い番組やってないかなー」(ポチポチ

 

上条「…………」

 

御坂「あ、今日のゲスト一一一じゃん。佐天さんが好きなのよねー」

 

上条「…………」(ゴソゴソ

 

御坂「おー、新曲出すんだ。メールしとこ」

 

上条「あ、あの。御坂さん……」

 

御坂「……なーに、正座しちゃって。コタツから出たくないんじゃなかったの」

 

上条「その……」

 

御坂「何よ」

 

上条「すみませんでした」

 

御坂「…………ほら、寒いでしょ。入んなさいよ」

 

上条「いいの?」

 

御坂「嫌なの」

 

上条「とんでもございませんっ」

 

御坂「はぁ…………ばーか」

 

上条「お邪魔します……」

 

御坂「ほら、早く入んなさいよ」

 

上条「せ、狭くないっすか」

 

御坂「別に」

 

上条「そうでありますか……」

 

御坂「……」

 

上条「……あ、あの」

 

御坂「あのね」

 

上条「はひっ」

 

御坂「コタツ、あったかいけどさ。座ってると上半身寒いのよ」

 

上条「そ、そうですね」

 

御坂「だからいいの」

 

上条「……」

 

御坂「いや?」

 

上条「……コタツさいこーです」

 

御坂「ね」

 

上条「なんでしょうっ」

 

御坂「みかん。剥いて」

 

上条「は、はい」

 

御坂「スジも取ってね」

 

上条「ら、らじゃー」

 

御坂「……」

 

上条「むきむき……」

 

御坂「じー」

 

上条「黙々……」

 

御坂「……ばーか」

 

上条「できました姫」

 

御坂「うむ。大儀であったぞよ」

 

上条「ささ、どうぞお召し上がりください」

 

御坂「……手」

 

上条「へ?」

 

御坂「コタツから出すと寒い」

 

上条「オマエ、さすがにそれはどうかと……」

 

御坂「あーん」

 

上条「……」

 

御坂「あーん!」

 

上条「は、はい……」

 

御坂「あむっ」

 

上条「お、お味はいかがでしょう」

 

御坂「うん。……甘い」

 

上条「あーん」

 

御坂「はむっ。あーひあわへー」

 

上条「なんか雛鳥にエサをやってる親鳥の気分だ……」

 

御坂「ぴぃっ!」

 

上条「怒ってるにしては可愛いぞ」

 

御坂「がうっ! どうせ負け犬ですよー」

 

上条「だから悪かったって……どっちかって言うと猫だよな。コタツで丸くなる」

 

御坂「寒いお外なんて走り回りたくないわよ」

 

上条「よしよし、ごろごろー」

 

御坂「……ふにゃー」

 

御坂「って何やらせるのよっ!」(バンッ

 

上条「うわああすみませんすみません!」

 

御坂「失礼しちゃうわね、まったく……」

 

上条「まさかそこまで嫌がられるとは……」

 

御坂「い、嫌じゃないけど」

 

上条「……ごろごろー」

 

御坂「にゃうっ!」

 

上条「嫌じゃないんじゃねえのかよ!?」

 

御坂「喉掻くなっ! くすぐったいのよ!」

 

上条「あ、はい」

 

御坂「……あ、頭ならいいわよ」

 

上条「……」

 

御坂「……やらないの?」

 

上条「い、いいのか?」

 

御坂「したくないならいいけど」

 

上条「え、っと」

 

御坂「む……ぷいっ」

 

上条「……なでなで」

 

御坂「……えへへ」

 

上条「あのさ。すっげー言いにくいんだけど」

 

御坂「何?」

 

上条「……時計」

 

御坂「へ?」

 

上条「そろそろヤバイんじゃね」

 

御坂「うわああああああっ!?」

 

上条「ぎゃー耳元で大声出さないでー!?」

 

御坂「なんでもっと早く教えてくれなかったのよ!」

 

上条「俺だって今気付いたんだよ!」

 

御坂「……嘘でしょ」

 

上条「……」

 

御坂「ねー。なんで目を逸らすのかにゃー」

 

上条「黙秘権を行使させていただきます」

 

御坂「人と話すときは目を見ましょう」

 

上条「一一さんトークも上手いっすね」

 

御坂「箱の中のアイドル歌手じゃなくてこっち見なさいよ」(ゴギッ

 

上条「おごっ!? 首が! 首が今なんか変な音立てた!」

 

御坂「で、なんでなのかしら?」

 

上条「う……」

 

御坂「……」

 

上条「……」

 

御坂「な、なんでなのよ」

 

上条「……」

 

御坂「早く言いなさいよ」

 

上条「……」

 

御坂「な、なんか言いなさいよ!」

 

上条「察してくれよ!」

 

御坂「分かってるわよ!」

 

上条「へ?」

 

御坂「あ」

 

上条「おいオマエ、だったらなんで聞いてんだよ」

 

御坂「たいへんーもうこんなじかんーそろそろかえらないとー」(バタバタ

 

上条「あ、ズルっ」

 

御坂「準備完了!」

 

上条「早いっ!? 台詞一つしか挟んでないぞ!?」

 

御坂「んじゃ帰るわねー」

 

上条「ちょ、おい待てコラ」

 

御坂「何よ」

 

上条「……えっとぉ」

 

御坂「……私だってコタツから出たくなんかないわよ」

 

上条「っ、」

 

御坂「これで満足?」

 

上条「……はい」

 

御坂「ん。それじゃ、帰るわね」

 

上条「お、おう。……あ、送る」

 

御坂「いいってば。外、寒いもの」

 

上条「だけど」

 

御坂「そんな事言って、そうじゃないとアンタ寮までついてきちゃうじゃない」

 

上条「い、いいじゃねえか」

 

御坂「悪いわよ。寮の子に見られたら恥ずかしいじゃない」

 

上条「そうか……」

 

御坂「お風呂入ってあったかくして寝るのよ? 風邪なんて引かないでよね」

 

上条「わ、分かってるよ」

 

御坂「それじゃ」

 

上条「あ、ああ」

 

御坂「……」

 

上条「……」

 

御坂「……おやすみ、当麻」

 

上条「……おやすみ、美琴」

 

 

 

上条「ただいまーっと」(ガチャ

 

上条「……お帰りと言ってくれる相手もいない」

 

上条「って、おんや?」

 

上条「靴……」

 

上条「美琴ー? 来てんのかー?」

 

上条「……靴はあれど返事がない」

 

上条「美琴ー?」

 

 

御坂「すやすや……」

 

 

上条「……」

 

上条「やっぱりコタツ最高です……っ!」

 

上条「……御坂さーん?」

 

御坂「すやすや……」

 

上条「上条さん帰ってきましたよー?」

 

御坂「くうくう……」

 

上条「……美琴ちゃーん」

 

御坂「すぴー……」

 

上条「ぐっすり寝てる……」

 

御坂「……」

 

上条「こうしてると本当にタダの女の子だよなぁ。オマエ、本当にレベル5第三位なのか?」

 

御坂「……」

 

上条「……」

 

御坂「……」

 

上条「……お、男の部屋でそんな無防備にしてたら襲われちゃいますよー?」

 

御坂「」(ビクッ

 

上条「」

 

上条「おおおオマエ起きて……!」

 

御坂「……」

 

上条「……もしかして本当に寝てる……?」

 

御坂「……」

 

上条「いやいや騙されませんよー!? 起きてるでしょ! 絶対起きてるでしょー!?」

 

御坂「……ぐぅ」

 

上条「あまりにもわざとらしい寝息っ!? いくらなんでもそれはどうかと思いますよー!?」

 

御坂「……」

 

上条「……」

 

御坂「……」

 

上条「御坂さんー……?」

 

御坂「……」

 

上条「本当に寝てる……?」

 

御坂「……」

 

上条「ち、ちゅーとかしちゃうぞー?」

 

御坂「……、……」

 

上条「……」

 

御坂「……」

 

上条「……しちゃうぞ」

 

御坂「……」

 

上条「す、するからな……」

 

御坂「……」

 

上条「……」

 

御坂「……」

 

上条「……み、美琴……」

 

御坂「……」

 

上条「……」

 

御坂「……」

 

上条「……だ、駄目っ! やっぱり無理っ! 寝てる女の子の唇を奪うなんて紳士たる上条さんにはとてもー!」

 

御坂「」

 

御坂「ふっざけんなあああっ!!」

 

上条「うわぁっ!? オマエやっぱり起きて……!」

 

御坂「うっさいこのヘタレ! 鈍感! 甲斐性なし!」

 

上条「……」

 

御坂「アンタそれでも本当に……、……何よ」

 

上条「……してほしかった?」

 

御坂「~~~っ」

 

上条「いやすまんすまん、はっはっは。俺が悪かったよ。よし……さあ!」

 

御坂「……」

 

上条「……さあ!」

 

御坂「両手広げて何期待してんの」

 

上条「御坂さんが胸の中に飛び込んできてくれるのを期待しています」

 

御坂「おっけー。ちぇりおー!」

 

上条「ごぶるふぁっ!?」

 

上条「み、みぞおち……」

 

御坂「ご要望通り飛び込んであげたわよ」

 

上条「もう少しお手柔らかにお願いできますかっ!」

 

御坂「何よ。文句多いわね」

 

上条「え? 俺が悪いの?」

 

御坂「じゃあ私が悪いって言うの」

 

上条「どっちかっていうとそうじゃないかとか思っちゃったりするんですがいかがでしょうか」

 

御坂「ところで私アイス買ってきたんだけど」

 

上条「この寒いのに?」

 

御坂「コタツでアイスって素敵じゃない?」

 

上条「俺が全面的に悪かったです」

 

御坂「うむ」

 

御坂「冷凍庫入れてるからー」

 

上条「おおお……ダッツだ……」

 

御坂「それでよかった?」

 

上条「最高ですっ!」

 

御坂「ならよかったー」

 

上条「コーヒー? インスタントだけど」

 

御坂「飲む飲むー」

 

上条「りょーかいー。……ほい、お待たせ」

 

御坂「冬にアイスっていうのもオツなもんよねぇ……雪見だいふく食べたくなってきた」

 

上条「じゃあそっち買ってくればよかったじゃねえか」

 

御坂「でもさぁ、どうせこっちの方がアンタが喜ぶかなー、とかって思っちゃったりして」

 

上条「っ」

 

御坂「? どしたの」

 

上条「いや……なんていうか……」

 

御坂「うん?」

 

上条「そういう風に思って買ってきてくれたのが凄い嬉しいというか……」

 

御坂「……」

 

上条「……」

 

御坂「た、食べよっか!」

 

上条「そうだな! 溶けちゃうしな!」

 

御坂「きゃー冷たいー! でも甘いー!」

 

上条「そりゃアイスだから冷たくて甘いに決まってんだろー! うめー!」

 

御坂「きゃー!」

 

上条「わー!」

 

 

土御門(春)「最近隣が五月蝿いぜぃ……バカップルめ。死ねばいいのに」

 

土御門(夏)「何か言ったかー?」

 

土御門(春)「いやー。冬なのに熱いなーと思ってにゃー」

 

土御門(夏)「頭大丈夫か? 暑さでおかしくなるっていうのは聞いた事あるが寒さでってのは初耳だなー」

 

土御門(春)「義妹が冷たい……」

 

 

上条「今日も補習でしたのー。他にパターンないのかよー。そして目当てのタイムセールはとっくに終わってるー。不幸だー」

 

御坂「やっと来たー!!」

 

上条「あっれー? オマエこんな所で何やってんだ?」

 

御坂「アンタを待ってたのよ。まったく、遅いっての。凍え死ぬかと……」

 

上条「このおバカー!?」

 

御坂「な、なんで私がバカって言われなきゃならないのよ! バカはアンタでしょこの補習レギュラー!」

 

上条「なんで俺のあだ名知ってんだよ! じゃねえ、オマエいつから待ってたんだよ! 風邪引くだろ、せめてどっか店入ってろよ!」

 

御坂「え、マジでそう呼ばれてるの……?」

 

上条「そんな哀れみで溢れた視線を向けないで下さいー!?」

 

御坂「なんか……その……ごめん」

 

上条「やーめーてー! なんか背中がむず痒いー!」

 

御坂「寒っ! 風強っ!」

 

上条「だからなんでこの寒空の下突っ立ってたんだよ。風邪引くだろ」

 

御坂「……だって、その」

 

上条「なんだよ」

 

御坂「……寒空の下で彼女が待っててくれてるのって、きゅんとこない?」

 

上条「……御坂」

 

御坂「な、何よ!」

 

上条「……嘘?」

 

御坂「っっっ――! ダメなの!? 私にはそういうの似合わないって言うの!?」

 

上条「いやそういう訳じゃ……」

 

御坂「じゃあなんなのよ!」

 

上条「……いやいい。やっぱ止めとく」

 

御坂「言いなさいよ気になるじゃない!」

 

上条「……笑うなよ?」

 

御坂「いいから言いなさいよ!」

 

上条「……その……俺に少しでも早く会いたくて、とか……そんなんだったらいいなーとか……」

 

上条「なんちゃってー、ははは……」

 

御坂「……」

 

上条「えと、御坂さん?」

 

御坂「……ば」

 

上条「はい?」

 

御坂「ばっ――――――かじゃないの!?」

 

上条「」

 

御坂「何自惚れてんの? 私がそんな真似する訳……」

 

上条「いや、でも客観的に見たらそんな感じじゃ」

 

御坂「うっさい黙れっ! そもそも! アンタが好きだって言うからお情けで付き合ってあげて……」

 

上条「告られたの俺の方なんですけど」

 

御坂「うるさいうるさいうるさいーっ!!」

 

上条「ひぃっ!? 御坂さんそれ作品違いますよーっ!?」

 

御坂「出版社もアニメ制作会社も一緒だからいいのよ! DVDでもコラボしてたじゃない!」

 

上条「うわあああ今のとこカットでー!」

 

御坂「へくちっ」

 

上条「ほら、だから言わんこっちゃない」

 

御坂「うるさいっ! なんでアンタはそんなに偉そうなのよ!」

 

上条「一応年上だからな。少しは年長者の話も聞きなさい」

 

御坂「なんで都合のいい時ばっかりそれ持ち出すの!? 伊能忠敬も知らなかったくせに!」

 

上条「ど、ど忘れしてただけですー!?」

 

 

 

吹寄「……おい貴様。校門の前でいちゃつくなバカップル特に上条当麻

 

上条「ひいっ吹寄サンっ」

 

御坂「誰?」

 

上条「うちのクラスの学級委員以上に委員長っぽい吹寄さん」

 

吹寄「ブチ殺すぞ貴様。常盤台のお嬢様なんか誑かして。職員会議で取り上げてもらうようにはかってやろうか」

 

上条「それ図るじゃなくて謀るですよね字義的に!」

 

吹寄「あーもう、いいから早く帰れ馬鹿。先生に見つかったら本当に公開処刑されるわよ」

 

上条「失礼しましたぁー!!」ズザザザザザ

 

御坂「あ、え、ちょっと当麻ー!? 待ちなさいこのやろー!!」

 

 

吹寄「……あれじゃほっといても職員会議は時間の問題か」

 

御坂「待ちなさいっつってんだろごるぁー!!」

 

上条「ごふぅっ!?」

 

御坂「待ってた! 私を! 置いてくなんて! どういう了見よバカ!」

 

上条「往来で大声出すなー!? くそ、ちょっとこっち来い!」

 

御坂「アンタも大声出してんじゃない……!」

 

上条「話は後だ!」

 

 

上条「こ、この辺なら誰もいないか」

 

御坂「ほら毎度おなじみいつもの公園のいつもの自販機横のいつものベンチよ! 寒いから人影も皆無よ!」

 

上条「優しさに溢れる説明ありがとう! メタ発言もほどほどにしろよー!?」

 

御坂「はあ、はあ……それで? なんだって私を置いてったの。きちんとした理由はあるんでしょうね理由は」

 

上条「……」

 

御坂「目を逸らすなっ!」

 

上条「いやそのですね……なんというか……」

 

御坂「な、何よいきなり口ごもっちゃって」

 

上条「さすがの上条さんもちょっとテンパってたというか」

 

御坂「? なんで?」

 

上条「……クラスの奴に見られたから」

 

御坂「は?」

 

上条「ああそうだよ! こっ恥ずかしくて逃げたんだよチクショウ! これで満足か!」

 

御坂「……ほんとに?」

 

上条「嘘でこんな事言えるかっ!」

 

御坂「……」

 

上条「くそ、文句あるなら好きにしろよ。はぁ……」

 

御坂「……ねえ」

 

上条「あー? なんだよ」

 

御坂「アンタそこ、座ったまま動くんじゃないわよ」

 

上条「はい?」

 

御坂「よっ、いしょ」

 

上条「はいぃー!? 御坂さん何俺の膝の上座っちゃってんですか!?」

 

御坂「……寒い」

 

上条「へ?」

 

御坂「置いてった罰よ。言う事聞きなさい」

 

上条「……」

 

御坂「あっためて。ぎゅって」

 

上条「……これでよろしいでせうか」

 

御坂「ん♪」

 

 

青髪「なあ、あれカミやんちゃう? 死ねばいいのに」

 

土御門「そろそろ俺もマジで式神打っちゃおっかにゃー……」

 

青髪「なんやて?」

 

土御門「リア充は死ねって言ったんだぜぃ」

 

青髪「クリスマスとかバレンタインとか、どうして十字教は僕らにこんな仕打ちするん?」

 

土御門「……なんかすまん」

 

青髪「はい?」

 

 

上条「ただいまー」

 

御坂「おふぁへひー」

 

上条「……」

 

御坂「ふぁに?」

 

上条「コタツで寝転がって煎餅齧ってる姿なんか……後輩には見せられないよなあ……」

 

御坂「?」

 

上条「オマエさー、毎日こっち来てていいのか?」モゾモゾ

 

御坂「いや?」

 

上条「そうじゃねえけどさ……主に白井とか。特に白井とか。あと白井とか」

 

御坂「あー……」

 

上条「別件逮捕とかされそうで怖いんだけど」

 

御坂「一応クギは刺してるから大丈夫なんじゃない?」

 

御坂『黒子。さすがのアンタでも人の恋路にまで口出ししないわよね』

 

白井『ご無体なお姉様ああああ!? 黒子はー! 黒子はこんなにもお姉様をお慕い申し上げておりますのにー!!』

 

御坂『アンタがアイツをどう思おうが勝手だけど、アイツはその、私のこここっこここ……恋人! だからっ!』

 

白井『ぬぐぉおおっ!! お姉様の口から何やら不吉な言葉が聞こえた気がしますけれど気のせいですのよね!?』

 

御坂『付き合ってるから! 彼氏だから!』

 

白井『ぎゃぼー!?』

 

御坂『アイツになんか妙な真似したら分かってるでしょうね、黒子!』

 

白井『おっおっううぇああぁああぅぅおぉぉおお』

 

御坂『く、悔しかったらアンタも私にべったりしてんじゃなくて恋の一つや二つしてみなさいよ!』

 

白井『そ、その台詞はあんまりですのぉぉおぉおおお!』

 

 

御坂「って感じで」

 

上条「不憫な……」

 

御坂「だから当分は大丈夫じゃない? いい加減したらあの子も諦めるだろうし」

 

上条「俺の修羅場誘発体質を甘く見るな」

 

御坂「うっ……それ言われると不安じゃない……」

 

上条「あ"あ"ー、コタツぬくいー」

 

御坂「……よっと」ゴソゴソ

 

上条「あれ、美琴? どこ行ったん……」

 

御坂「ばぁっ!」バサァッ

 

上条「うおおーっ!?」

 

御坂「びっくりした?」

 

上条「心臓止まるかと思いましたよ! なんてトコから現れるんですか!」

 

御坂「コタツの中?」

 

上条「そうじゃなくってですね!? なんでコタツの中抜けて来るんですかっ」

 

御坂「だって外出ると寒いんだもん」

 

上条「……その場から動かないって選択肢はないんですね」

 

御坂「だってほらー」

 

上条「?」

 

御坂「アンタの傍の方があったかいし」

 

上条「デレすぎだろコイツ……前のビリビリ娘はどこ行った……」

 

御坂「なーに? どうしたの?」

 

上条「オマエ最近ビリビリしないなーって」

 

御坂「いや?」

 

上条「身の安全って大事だと思うんだ」

 

御坂「私は猛獣か何かかっ!」

 

上条「手懐けられているって自覚はあるのか」

 

御坂「そ、そりゃあ……だってアンタが……」

 

上条「俺?」

 

御坂「素直にしてた方がアンタが嬉しそうな顔してくれるんだもん……」

 

上条「っっっ――!」

 

御坂「そ、それでさ。アンタももう少し素直になってくれたらなー、とか、なんちゃって……」

 

上条「……努力します、はい」

 

御坂「ぎゅー」

 

上条「あのー。御坂さーん」

 

御坂「ぎゅー」

 

上条「……美琴ー」

 

御坂「なーに?」

 

上条「動けん。あと普通、膝枕って逆じゃね? そしてオマエがそうしてると寒い」

 

御坂「私はあったかいし、幸せー」

 

上条「これは素直っつーかワガママっつーか……」

 

御坂「いいじゃない。ほら、頭撫で放題よ?」

 

上条「……なでなで」

 

御坂「ふにゃあー」

 

上条「確かにこれはこれで……! ってもしかして手懐けられてるの俺の方なのか……?」

 

上条「なでなで……、ってあれ?」

 

上条「……オマエ、人の膝の上で寝るなよ」

 

上条「いや、可愛いから許されるとかそういう卑怯な手は通じませんの事よ?」

 

上条「……」

 

上条「あーやっぱだめだ。顔が緩んでくるー」

 

上条「だがしかし、もう結構いい時間なのでそろそろ夕飯の支度をしないと……」

 

上条「……起きる気配がねえ」

 

上条「いや、ここは心を鬼にしてだな」

 

上条「おーい、御坂さーん」

 

上条「起きてー。起きてくれないと上条さんのお腹と背中がですねー」

 

上条「もしもーし。美琴ちゃーん」

 

上条「……爆☆睡」

 

上条「お、起きないとちゅーしちゃいま……できねえ! この体勢は無理がある!」

 

上条「はぁ……おーい、本当に起きてー」

 

御坂「ん……うゆ……?」

 

上条「どいてくれー。そろそろ飯作らないと」

 

御坂「……やー☆」

 

上条「は?」

 

御坂「だーめ♪」

 

上条「御坂さん?」

 

御坂「もー。みことってよんでくれなきゃやー」

 

上条「……美琴?」

 

御坂「とーま♪」

 

上条「はい」

 

御坂「すき。だいすきー」

 

上条「……」

 

御坂「ぎゅー」

 

上条「……はい。はっきり申しまして、俺の彼女がこんなに可愛いわけがない」

 

上条「寝惚けてんじゃねーよ、ほら起きてー」

 

御坂「んんんー♪」ギュー

 

上条「おーいー」

 

御坂「……」

 

上条「美琴ちゃーん」

 

御坂「……はぇ? 当麻?」

 

上条「おはよ? 起きた?」

 

御坂「アンタ何してるの?」

 

上条「それはこっちの台詞だ。ったく」

 

御坂「へ? あれ? なんで私抱きついて……」

 

上条「はい終了ー。俺飯作るから。食べてくだろ?」

 

御坂「あ、うん」

 

上条「今日は酢豚だぜー」

 

御坂「きゃっほー♪」

 

 

上条「よく頑張った俺の理性……!」

 

 

御坂「この手、使えるわね……!」

 

 

上条「メリークリスマス。学園都市は時差の関係でまだイブです」

 

上条「今、俺の目の前には、張り切ったアイツが注文したツリーが堂々と鎮座しています」

 

上条「ええ、それはもうでかくて太くて立派な奴です。映像でお見せできないのが残念です」

 

上条「もちろんうちに直行便。しかしそれから一度も彼女は我が家に来ていないのです」

 

上条「そしてまだ飾りつけはしていません。この意味が皆さんお分かりでしょうか?」

 

 

『私が買ったんだから! 私もやるから! 一人でやったら承知しないからね!』

 

 

上条「……」

 

上条「もう暗くなるぞ!? 何やってんだよアイツ!」

 

上条「ぐおお、まだかー……ストレスで胃に穴が開きそうだぞ……」

 

上条「まさかアイツに何かあったんじゃ……!」

 

――こんこん

 

上条「ん? 今何か変な物音が」

 

こんこん

 

上条「どこだ? 玄関の戸をノックする音じゃ……」

 

がんがん!

 

上条「うおおっ!? ベランダかっ!?」

 

上条「なんだよまた空から降ってくる系のヒロインか!?」

 

 

がらがらっ

 

 

上条「……何やってんすかそんなとこで」

 

御坂「……驚かせようと思って」

 

上条「もしかして壁登ってきたのか」

 

御坂「う、上から……」

 

上条「……」

 

御坂「……さむいぃ」

 

上条「ミニスカサンタじゃあなあ……ほら、早く入れよ」

 

上条「で、なんすかその格好は」

 

御坂「よ、喜ぶかなーって思って」

 

上条「いや、嬉しいけど。でもオマエ、もしかしてお外で生着替え……」

 

御坂「常盤台で! パーティやってて! 掴まっちゃって!」

 

上条「ああ……それでこんな時間になったのか」

 

御坂「こういう時に限って……もうレベル5とかってちやほやされなくていい……」

 

上条「レベル高いのは高いので大変なんだなあ……アイドルみたいなもんか」

 

御坂「黒子が隙を突いて逃がしてくれたからよかったけど。ごめんね。遅くなって」

 

上条「すまん白井……ん? じゃあアイツは?」

 

御坂「まだあっちにいると思うわよ。私だけテレポートで外に」

 

上条「……なあ。正直に答えてくれ」

 

御坂「な、なに」

 

上条「オマエまさかその格好で外を……」

 

御坂「…………あははー」

 

御坂「仕方ないじゃない時間なかったのよ!」

 

上条「着替えてこいよ! うちで着替えろよ!」

 

御坂「パーティ会場が寮なんだから戻れる訳ないでしょ!」

 

上条「だからって他に何か方法があっただろ!」

 

御坂「っていうかなんでアンタがそこまで言うのよ! 恥ずかしかったのは私なんだからいいでしょ!」

 

上条「よくねえよ! 俺以外のヤツがオマエのこんな格好見たかと思……」

 

御坂「え?」

 

上条「あ」

 

御坂「……へー、もしかして妬いてんの?」

 

上条「べべべつにそんな事は……」

 

御坂「妬いてくれないの?」

 

上条「……まあなんにせよオマエに何かあった訳じゃなくてよかった」

 

御坂「あ、逃げたー」

 

 

上条「ほら、ツリーの飾りつけしようぜ。オマエが来るの待ってたんだから」

 

御坂「アンタも律儀ねー。って遅くなった私が言えることじゃないけど」

 

上条「オマエがやるって言ったんだろ!」

 

御坂「あはは。そうだっけ」

 

上条「ったく……」

 

御坂「おー、付属の飾りも豪華ねー」

 

上条「なんだこれ……こういうのってもう少しなんか単品で見るとしょぼかったりするもんじゃ……」

 

御坂「さすがに値段の事だけはあるわね! よーし、張り切っちゃうぞー」

 

上条「……なあ」

 

御坂「んー?」

 

上条「ちなみにコレおいくらしたの?」

 

御坂「[ピーーー]」

 

上条「」

 

上条「すげえ……もうこれとか単品で飾っておきたいくらいじゃねえか……」

 

御坂「なんか元からそういうつもりのみたいよ」

 

上条「ぱねえ……」

 

御坂「うぃーうぃっしゅーあめりくりすます、うぃーうぃっしゅーあめりくりすます♪」

 

上条「雪はこんな感じでいいか?」

 

御坂「アンタって見かけによらず結構器用よね」

 

上条「見かけには余計だ」

 

御坂「こんなもんかしら。よし、それじゃ最後にとっておいた……」

 

上条「星付けるか」

 

ぴとっ

 

御坂「あ」

 

上条「う」

 

御坂「……私がやる」

 

上条「い、いいけど……」

 

御坂「いいけど、な、何よ」

 

上条「……」

 

御坂「……何よ!」

 

上条「……せ、せっかくだしさ……その」

 

御坂「その……?」

 

上条「……一緒にやらね?」

 

御坂「……」

 

上条「やっぱいい! 嘘! ほらやっちゃってくださいよ御坂さん!」

 

御坂「あ……」

 

上条「っ」

 

御坂「……ねえ」

 

上条「な、なんでせうか御坂さん」

 

御坂「……いい加減に美琴って呼ぶの、慣れてほしいんだけど」

 

上条「……」

 

御坂「ね?」

 

上条「……みこ、と」

 

御坂「……うん」

 

上条「えっと、その、みさ……美琴」

 

御坂「何?」

 

上条「星はそっちで、確かにちょっと形似てるかもしれないけどこれは」

 

御坂「分かってて言ってるなら殴るわよ」

 

上条「はひ」

 

御坂「それで? 私はいつまでアンタの手を握ってればいいのかしら」

 

上条「……」

 

御坂「あといつまで目を瞑ってればいいのかしら、……当麻」

 

上条「……美琴」

 

御坂「ん、」

 

 

御坂「完成ー!」

 

上条「……」

 

御坂「ちょっと、なんか言いなさいよ」

 

上条「わ、わーい。ばんざーい」

 

御坂「あんまり意識しないでよ、こっちが恥ずかしくなるじゃない!」

 

上条「無理言うなよ!」

 

御坂「……む……無理なんだ」

 

上条「うっ……!」

 

御坂「……あ、そうだ! プレゼント持ってきたの!」

 

上条「え、マジで! やったー!」

 

御坂「うっ……!」

 

上条「どうした?」

 

御坂「……そ、その」

 

上条「?」

 

上条「……」

 

御坂「が、頑張ったんだけど、私どうにもこういうのダメみたいで……」

 

上条「……」

 

御坂「いらないわよねこんなぐちゃぐちゃのマフラー! ごめんね! また何か別のを……」

 

上条「やだ」

 

御坂「え?」

 

上条「これがいい」

 

御坂「……」

 

上条「よっ……うおーぬくとい」

 

御坂「そんな、無理しなくても」

 

上条「編んでくれたんだろ?」

 

御坂「っ」

 

上条「ありがとうな、美琴。すっげー嬉しい」

 

御坂「……ばか……っ」

 

 

上条「んじゃ、これは俺から」

 

御坂「ビンボーのくせに……無理しなくてもいいのに」

 

上条「いやいや、ちょっと飯抜けば大丈夫ですよ?」

 

御坂「本当に無理しないでね!?」

 

上条「大丈夫大丈夫、前々からちょこちょこと小分けにしてたから」

 

御坂「それ無理って言うのよ! ちゃんと食べてよね!?」

 

上条「少しくらい見栄張らせてくれよ」

 

御坂「……ばか。開けていい?」

 

上条「どうぞどうぞ。気に入ってもらえるかは分からないけど」

 

御坂「やっぱり馬鹿よね、アンタ。どんなものだって嬉しくない訳ないじゃない」

 

上条「ぐ……くそ、言い返そうにも言い返せない……」

 

御坂「わ……ネックレス」

 

上条「それでよかったか?」

 

御坂「いいに決まってるでしょ!」

 

上条「なら頑張って恥ずかしい思いした甲斐があった」

 

御坂「え?」

 

上条「あのなぁ、男一人でそういう店に入るのって結構勇気いるんだぞ?」

 

御坂「あー……でも入ったんだ」

 

上条「おー。わざわざ選ぶのを店員に手伝ってもらったり、すげー恥ずかしかったんだからな」

 

御坂「へえ……」

 

上条「しかも親切なのはいいんだけどさ、やたらと指輪勧めてくるから……」

 

御坂「え」

 

上条「あ」

 

御坂「……そっちの選択肢もあったんだ」

 

上条「い、いや! さすがに重過ぎるかなーと思いましてですね!」

 

御坂「だから! ……アンタが選んでくれたなら、なんでも嬉しいわよ」

 

上条「う」

 

御坂「……でも。そのうち、プレゼントしてくれるんでしょ?」

 

上条「えっと……」

 

御坂「……ま、いいわ。気長に待っとくから」

 

上条「っ」

 

御坂「ね、当麻」

 

上条「な、なんすか」

 

御坂「これつけて?」

 

上条「っっっ! ちょ、おま、何言って……!」

 

御坂「ダメ?」

 

上条「……はい」

 

御坂「じゃ、お願い」

 

上条「う……」

 

御坂「……」

 

上条「……」

 

御坂「……んっ」

 

上条「そういう声出すのやめてくれませんかねぇ!?」

 

御坂「だってくすぐったいんだもんー」

 

上条「絶対分かっててやってるだろ……」

 

御坂「なんの事かしら」

 

上条「くそっ……」

 

御坂「……」

 

上条「……」

 

御坂「……」

 

上条「……ほら、できたぞ」

 

御坂「うん。……どう、かな。似合う?」

 

上条「あ、ああ……」

 

御坂「……」

 

 

ぎゅ

 

 

上条「……」

 

御坂「……」

 

上条「あの、御坂さん」

 

御坂「ほら、またぁ」

 

上条「……美琴」

 

御坂「……ん」

 

 

ぐうううぅぅ

 

上条「」

 

上条「……えっと、その」

 

御坂「……」

 

上条「さすがに生理現象はですね」

 

御坂「バカ! さいてー! ムード台無しっ!!」

 

上条「いて、いてて!」

 

御坂「はぁ……アンタに期待した私が馬鹿だったわ」

 

上条「すみません! すみません!」

 

御坂「もういいわよ……ったく、私までお腹空いてきちゃったじゃない」

 

上条「へ?」

 

御坂「ごーはーんー。作ってくれるんでしょ?」

 

上条「え、あ、はい」

 

御坂「じゃあほら早く! 美味しいのじゃなきゃ許さないんだからね!」

 

上条「は、はいただいまーっ!」

 

 

……ちなみにその頃

 

寮監「御坂はどこだああああっ!!」

 

白井(これを、これをネタにお姉様にあれやこれやお願いできると思えばーっっ)

 

 

 

 

 

 

 

 

御坂「最近寒いわねぇ……」

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