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雪乃「私は貴方以外の男に興味なんてないから大丈夫よ」 八幡「そ…そうか」【俺ガイルss/アニメss】

 

高校、大学を卒業してから俺は雪ノ下雪乃と結婚した。

 

雪乃は俺の希望通り、専業主夫と言う立場を受け入れてくれた

 

夫婦生活も円満だと思われた

 

しかし何時からだろう、こんなにも夫婦との間に距離を感じてしまったのは

 

八幡「なあ雪乃、休みの日なんだけどさ」

 

雪乃「何かしら?」

 

八幡「どこか出かけないか?」

 

雪乃「ごめんなさい、日曜日は実家に用事があるの」

 

八幡「そうか…」

 

雪乃「なにか不満がありそうな目ね」

 

八幡「そんな事は…」

 

雪乃「不満なんて無い筈でしょう?貴方は働かずにご飯が食べていけてる訳なのだし、これ以上の幸福なんてあるのかしらね?」

 

八幡「っ…」

 

雪乃「そう言う表情するのやめてくれないかしら…イライラしてしまうわ」

 

雪乃「明日も早いから、お風呂入って寝るわ」

 

八幡「お、おうわかった…」

 

最近あいつの笑顔を見てない気がする…

俺が働いていない事の不満か…

それとも別な何かか…

はじめから俺は雪乃とつりあうような男じゃないと言うのは解っていた

 

雪乃に告白されて付き合う事になった際は正直驚きを隠せなかった

でも俺は幸せだった。

毎日雪乃を仕事へ送り出し家事も極めた

 

だが…

 

八幡「さて、掃除と洗濯終わりっと…さてさて…」

 

パソコンを起動させインターネットのアイコンをクリックする。

 

八幡「俺も何時までも専業主夫に甘んじてる訳にもいかないわな…」

 

高校生時代の俺を全否定する言葉

しかし構わなかった。またあの時の様に雪乃が笑ってくれるのなら…

 

八幡「公務員試験、受けてみるか…」

 

 

雪乃「ただいま」

 

八幡「お帰り、ご飯できてるぞ」

 

雪乃「そう、ならいただこうかしら」

 

台所

 

八幡「なあ…雪乃」

 

雪乃「何…?」

 

八幡「俺さ、専業主夫やめて働こうと思うんだ」

 

雪乃の箸が止まった

思いがけぬ俺の発言に声を無くしたのだろう

しかし、雪乃の口からは激励の言葉など出てこなかった

 

雪乃「それは、なんの嫌味かしら?」

 

八幡「え…嫌味って、俺は…」

 

雪乃「私は貴方一人を養うくらい造作も無い収入を得ているつもりなのだけれど…」

 

八幡「違うって、最後まで聞いてくれ。仮にも旦那である俺が何時までも専業主夫だと、お前の周りの影響もよくないだろ。だから」

 

雪乃「そんな下らない事を考えてる余裕があるのならもっと家の事しっかりとして頂戴、第一貴方みたいな腐った専業男に社会復帰なんて出来るわけが無いわ」

 

グサっと来る…学生時代のどこかソフトな罵倒ではなく

鋭利な刃物で指されたような鋭い感覚

言葉も返せなかった

 

雪乃「はぁ、気分が悪くなったわ、ごめんなさい、部屋に戻るわね」

 

夕食を早々済ませ自室に戻る雪乃

 

八幡「そう言えば部屋にも入れてくれなくなったっけ…」

 

チュンチュン

 

朝、既に雪乃は居なかった。

おそらく早めに会社に向かったのだろう

 

八幡「俺が働いてない事に不満はないみたいだ…家事をもっとしっかりしろって言ってたな」

 

何時も以上に頑張るか

本当俺らしくないですねいやマジで

 

スーパーマーケット

 

八幡「さーて、今日はすき焼きでも作るかな…」

 

チラシをみてセールの野菜と肉を次々とかごに入れていく

 

八幡「しいたけは…1個だけあった!」

 

ラスト1個、セールのしいたけを無事に確保しようとしたその時

 

同時に俺の手と誰かの手がしいたけに触れた

 

??「あ…ごめんなさい…って、もしかしてヒッキー?」

 

八幡「え…まさか…」

 

久々に顔を見た、久々に声を聞いた

 

結衣「やっぱりヒッキーだ!ひさしぶりー!」

 

八幡「由比ヶ浜か!お、おうひさしぶりだな…」

 

由比ヶ浜は以前と何も変わっていないな、

変わったといえば…後ろに小さい男の子を背負っていた

そしてお腹も大きくなっていた、二人目だろうか

 

由比ヶ浜は就職した先で知り合った男性と結婚した

当然結婚式にも参加した、俺と雪乃の結婚式には到底及ばないものの

多くの人々に祝福され一人の女としての幸せを掴んだのだ…

 

公園のベンチにて

 

子供「きゃっきゃ」

 

八幡「可愛いなおい///」

 

結衣「でしょー?私似なんだよー?」

 

八幡「はは、お前は幸せそうだな」

 

 

八幡「なあ由比ヶ浜…お前は今、幸せか…?」

 

結衣「え?ヒッキーどうしたの急に、たしかに子育てや家事は大変だけど、私は凄く幸せだよ」

 

愚問だわな、常に笑っている由比ヶ浜の顔をみればそんな事は一目瞭然だった

 

結衣「ヒッキーは?ゆきのんとヒッキーは…幸せ?」

 

八幡「ん…まあ…その…な?」

 

結衣「ヒッキーは、前とちょっと変わったかな。なんか雰囲気と言うか、色々と疲れ果ててると言うか」

 

八幡「ばっか、専業主夫な俺が疲れてる訳ねーだろ、雪乃には感謝してるよ」

 

結衣「そっか…ねえ、ヒッキー」

 

八幡「なんだ?」

 

結衣「自分も幸せになろうとしなきゃ、だめだよ?」

 

八幡「…!」

 

難しいな、だって俺の幸せはあいつが幸せになることだ

最近の笑ってな雪乃を見るのが辛い

どうすればあいつをまた笑顔に出来るのか…

 

八幡「そろそろ帰るわ、お前の旦那に見られて浮気疑われたら嫌だしなっ」

 

結衣「なにそれヒッキー相変わらずきもっ」

 

八幡「はは、お前も相変わらずだな…」

 

結衣「ヒッキー…頑張ってね!」

 

八幡「おう、またな」

 

由比ヶ浜の子供も手を振って見送ってくれた

 

子供か…雪乃といつか欲しいな

 

 

自宅

 

八幡「仕込みはOKだ、何時も以上に家事には抜かりなし」

 

洗濯物も完璧だ

 

俺のシャツOK 俺のズボンOK 雪乃のパンツOK 雪乃のスカートOK

 

そして鍋の準備もOKだ

 

ヴィーヴィー(携帯着信)

 

八幡「あれ、雪乃からだ…」

 

 

件名:ごめんなさい

 

今日も会社の人と会議も兼ねて夕食済ませてくるわ。

先に寝てて頂戴

 

八幡「はは、またか…しゃーないわな」

 

八幡「我ながら美味い…」

 

けどさみしいっ!孤独のグルメとはまさにこのことだ…

 

八幡「もったいないし出来るだけ食べよう…」

 

もぐもぐ

 

うおぉん俺はまるで人間火力発電所だ…

うん寂しい…

 

八幡「半分は子鍋に移して冷蔵庫にしまおう…」

 

余ったご飯はおにぎりにしてと…

 

八幡「雪乃さんはどんな美味しいもの食べてるんですかねぇ…」

 

寝るか…

 

 

そして朝、ロビーにて

 

雪乃「おはよう」

 

八幡「おはよーさん、ご飯できてるから」

 

雪乃「ごめんなさい、二日酔いで喉が通らないからいらないわ…」

 

八幡「…胃薬飲むか?」

 

雪乃「ええ、お願い」

 

八幡「最近無理してねーか?適度に体をやすめないと駄目だぞ?」

 

雪乃「あら?休みたくても休めないのよ?どこぞのニート主夫を雇わないといけないのだから」

 

なんかやわらかさがない…グサグサと心に突き刺さって何も言い返せなくなる

 

八幡「だから言ったろ…俺、働いてもいいって…」

 

雪乃「無理よ、貴方には、それに私に対してのあてつけに聞こえるからそう言うの止めてくれない?」

 

八幡「なあ雪乃…このままじゃよくない気がするんだ俺達」

 

雪乃「よくない?何度も言うけど働かずに食べるご飯は美味しいのでしょう?貴方にとっての天職ではないの?」

 

八幡「もちろん雪乃には感謝してる…毎日な…」

 

雪乃「だったら…」

 

八幡「昨日由比ヶ浜に会ったんだ」

 

雪乃「そう」

 

八幡「子供が居たよ」

 

雪乃「そうね、年賀状に写っていたもの」

 

八幡「俺達もそろそろ」

 

雪乃「駄目よ、そんな事したら私の仕事に支障がでるわ…そんな暇ないのよ」

 

八幡「支障って…お前な…」

 

雪乃「あら、珍しく反抗的ね、最近の貴方ってそんな顔ばかりするから家に居ても不快な気分よ」

 

八幡「わかった…もういい…

 

雪乃「ごめんなさい、話している時間がもったいないわ…もう出るわね」

 

八幡「…」

 

バタン

 

八幡「話し合いの土台にすら立ててないな…」

 

………

……

 

八幡「俺の何がいけないんだろう、なんで雪乃に嫌な思いさせてるんだろう…どうすれば…」

 

いかんいかん

なんか最近ネガティブな思考が更なる輪を掛けてネガティブになってしまってる

 

八幡「何かしてよう…じゃないと嫌な事ばかりが浮かんで自分が駄目になりそうだ…」

 

買出しに行こう…

 

八幡「今日の晩飯は…揚げ出し豆腐でも作るか…それに秋刀魚と…」

 

プルルル

 

八幡「ん…電話だ…誰からだろう…って小町か」

 

八幡「もしもし、小町か、どうした?」

 

小町『お兄ちゃん…かまくらが…死んじゃった…』

 

八幡「え…マジか…?」

 

小町『うん…前から病気だったんだけど…これからお墓作って供養するから来れないかな…?』

 

八幡「わかった、すぐ行く」

 

ペットも付き合いが長くなればなるほど愛着が沸き家族同然となる。

正直雪乃の事で弱ってるってのに今度はかまくらの死

正直悲しみでやり場が無い…

 

泣いてる小町の頭を撫で宥め、ペットの葬儀屋に手厚く供養してもらった

 

小町「ごめんね、いい歳しておお泣きしちゃって…」

 

八幡「気にすんな、家族のために泣けるなんて立派なことだろうが」

 

小町「うん…ねえお兄ちゃん」

 

八幡「なんだ?」

 

小町「雪乃さんと上手くいってる…?」

 

八幡「え、ああ、まあ…その」

 

小町「もし何か辛い事があったりしたらいつでも帰ってきて良いんだよ?ごみぃちゃんの唯一癒しどころだからねここは」

 

八幡「何歳になってもそうやって俺をディするんですね小町さんは」

 

八幡「ってやべぇ!今日は雪乃が早帰りの日だ!急いで帰らねーと!」

 

小町「あ、うん、お兄ちゃん、今日はありがと!」

 

八幡「だから礼なんて必要なことじゃねーだろ!それじゃあまたな!」

 

タッタッタッ

 

 

自宅にて

 

やっべぇ…雪乃の靴が既にある…夕食も何も準備が出来てない

急いでほか弁で惣菜やら購入したが…

 

 

雪乃「呆れた…どこで遊び呆けてたのよ」

 

八幡「悪い…ちょっと色々あってな」

 

雪乃「別に言い訳なんてしなくてもいいわ、それに専業の癖してお弁当屋さんで誤魔化すなんて…それじゃあ家に居る意味無いじゃない…」

 

八幡「いや、本当に悪い…明日からこんな事無いようにするから…」

 

雪乃「もういいわ、怒るのも疲れるし、そのお弁当頂きましょう」

 

八幡「お、おう…」

 

雪乃「あと私のスーツ後でアイロン掛けておいて、明日からまた忙しくなりそうだから」

 

 

雪乃「なかなか美味しいお弁当ね、貴方が作るものより美味しいんじゃないかしら?」

 

八幡「すまん…」

 

雪乃「さっきから謝ってばかりじゃない、ずいぶんと卑屈になったものね貴方」

 

八幡「…アイロン掛けてくる」

 

雪乃「そう、私はお風呂いくわ…って沸いてなかったわね、誰かさんが遊び呆けてたせいで」

 

やべぇ、本気で泣きそうだった…

 

雪乃は無言で風呂場へ行った。

もう今日は俺に声も掛けずに寝てしまうのだろう。

 

八幡「…俺のせいなんだろうな…」

 

アイロンを掛けてる際になぜか目からボロボロと大粒の涙がこぼれた

女々しくて気持ち悪いな俺

自分で選んだこの道なのになんと言うザマだろう…

 

そう言えば…明日って雪乃の誕生日だったな…

 

俺と雪乃の関係を修復するチャンスでもあるかもしれん

頑張ってみよう

 

八幡「誕生日プレゼントはと…」

 

あいつ、確か今でもデスティニーランドのパンさん好きだったよな…

たしか最近創立30周記念日だかなんかでパンさんのデザインのアクセサリが発売したんだよな…

買っておこう…

 

朝起きたら雪乃は既に仕事に行っていた

 

今日は特に書置きもないしいつも通り帰ってくるだろう

ケーキやシャンパン買ってお祝いでもするか

プレゼントもこれから買いに行くし

なんか気分が乗ってきたぞ…

 

そして…

 

八幡「7万…かなりの出費だ」

 

キャラ物のアクセサリは高いのはわかるがよもやここまでとは…

自分の口座から金を引き出す羽目になってしまった。

 

八幡「でも安いもんか…少しでもあいつとの関係を修復できれば」

 

さっそく雪乃にメールを送ろう

 

誕生日おめでとさん

お祝いの用意できてるからまってる

 

八幡「送信っと」

 

 

自宅にて

 

八幡「さて、準備も整ったしそろそろ雪乃からメールがきてもいい筈」

 

ヴィーヴィー(着信音)

 

お、さっそく着たか

 

件名:ごめんなさい

せっかくなのだけれど、今日また帰りが遅くなりそうなの

会社の上司さん達と大事なお話があって、そっちで食べてくるから大丈夫よ

 

八幡「そっか…」

 

必要なかったんだな…何もかも…

 

何もかもが嫌になって

夜の町に飛び出してきてしまった…

 

八幡「…日本酒おかわり…」

 

オヤジ「あいよ、良い飲みっぷりだね兄ちゃん」

 

普段行きもしないようなおでんの屋台で酒を煽ってしまった

気分を紛らわせたくて、何も考えたくなくて…

 

八幡「もう色々と駄目っすね俺」

 

オヤジ「何行ってるんだよまだまだ若いし兄ちゃんの人生これからだろーが、俺のおごりだ、どんどん飲めや!」

 

八幡「はは、すいませんなんか…」

 

他人にまで同情されるほどに酷い顔をしているのだろうか今俺は

いや元から酷いとかいわないでね

 

八幡「久々に沢山飲んだな…」

 

少しは気がまぎれた…

 

八幡「さて、家に帰って片付けなきゃな…おじゃんになっちゃったけど…」

 

八幡「あれ…あそこに居るのって…」

 

高級そうな料亭の外に一人の男が居た

 

八幡「あれって葉山じゃねーか」

 

そして俺は目を疑った

 

八幡「隣に居るのって…雪乃、だよな…」

 

なんでだ?

 

雪乃が見せなくなった笑顔だ…

 

なんでだ?

 

あんなに楽しそうに葉山と雑談してる…

 

なんでだ?

 

なんでだ?

 

なんかよくわからなくなってきた…

 

そうか…

 

全部俺が悪いんだ…

 

そもそも俺なんかが雪乃とつりあう訳が無かった…

こんな生きてるだけで回りに迷惑がられるような俺なんかとつりあう訳が無い

一緒に生活して雪乃はそれを直に目の当たりにしたのだろう

外で葉山と雑談してるときの雪乃の笑顔でそれはわかった…

俺は雪乃に必要とされているのが嬉しかった

そして俺もそんな雪乃を必要としお互い相性が良いだなんて馬鹿な幻想を抱いていた

 

心が砕かれた

 

八幡「家に…帰りたくない…」

 

 

気づけば朝だった…

 

俺は公園のベンチで寝ていた

 

当然雪乃からメールなんて着ていない

 

八幡「でも、もういいや」

 

俺はゴミ箱に携帯を投げ入れた

 

八幡「これからどうしような…」

 

ヒソヒソ

 

 

八幡「なんだ…?」

 

 

ヒソヒソ ヒソヒソ

 

 

八幡「止めろよ…もう散々苦しんだろ俺…だから影でこそこそ言うのやめてくれよ…もう疲れたんだよ…」

 

 

キモイ メイワク ウットウシイ ヤクタタズ

 

 

八幡「誰だよ!?もう止めてくれ…止めてくれよ…うわあああああ!!!」

 

 

?????「お、おい、君は八幡君…どうしたんだ…急に大声出して」

 

 

八幡「来るなっ!もう俺が悪いから…だからもうやめてくれええ!」

 

意識が…遠のく…

 

パタン

 

?????「大変だ…救急車を…」

 

ここから第三者視点になります

 

病院にて

 

結衣「ヒッキー…」

 

八幡「…」

 

結衣の旦那「なんか様子が変で公園で声を掛けたら、急に八幡君が叫びだしてさ、急に倒れたから急いで救急車を呼んだんだ」

 

結衣「病状とかそう言うのは親族にしか説明できないみたいだし…そろそろゆきのんも来ると思うから…」

 

雪乃「二人ともごめんなさい…旦那が迷惑を掛けちゃって…」

 

深々と頭をさげる雪乃

 

結衣「ううん、いいの、ヒッキーも無事だったし…」

 

結衣の旦那「いきなり倒れてびっくりしたよ本当」

 

雪乃「貴方…どこまで人に迷惑掛ければ気がすむのよ…嫁として恥ずかしいわ…二人に謝りなさい…」

 

結衣「ゆきのん…ヒッキー病院なんだからあまりきつく言わないであげて」

 

八幡「…い」

 

雪乃「貴方は言葉も喋れなくなったと言うの?」

 

八幡「…に…たい…」

 

結衣の旦那「え…?」

 

八幡「死…にたい…」

 

うつろな目をして突如回りを見渡す八幡そして近くにあった果物用のナイフを突如握り締める

 

雪乃「え…」

 

八幡「しにたい…」

 

結衣の旦那「駄目だ八幡君…」

 

結衣の旦那が八幡を押さえつける

 

結衣の旦那「結衣、早く先生を呼んで!」

 

結衣「う…うん!」

 

雪乃「どうしたのよ…八幡…」

 

八幡「もうやだ…俺、死にたい…なあ死なせてくれ雪乃…」

 

雪乃「そんな…何を言ってるのよ…駄目よそんなの…」

 

ことの重大さに今更ながらに気づき雪乃の表情が青ざめていく

 

雪乃が八幡から強引にくだものナイフを取り上げる

 

雪乃「駄目…!死ぬなんていわないで…!」

 

気づけば大粒の涙を流している雪乃

そしてしばらくしてようやく八幡は大人しくなった

 

結衣と担当医も焦った表情で戻ってきて説明が始まった

 

………

……

 

雪乃「自律神経…失調症…?」

 

医者「そうです、しかも重度の…一緒に生活してるうえで彼はなにかストレスになるようなものがありましたか?

 

雪乃「私が…私が彼に甘えてばかり居て…それできっと…」

 

医者「おそらくですが彼はなんでも抱え込むタイプなんでしょう…きっとその器がストレスで満杯になって壊れてしまった…」

 

雪乃「八幡…ごめんなさい…私…私のせいで…」ポロポロ

 

医者「今からでも遅くはありませんよ、彼の傍にいて…支えてあげてください…きっと大丈夫ですから」

 

雪乃「は…い…」ポロポロ

 

………

……

 

結衣「ゆきのん、どうなの?ヒッキー…」

 

雪乃「ええ、大丈夫…少しお休みが必要だけど命に別状はないわ」

 

結衣の旦那「よかったよ…」

 

 

雪乃「八幡が…旦那が笑わなくなってどれくらい経ったのかしらね…」

 

結衣「え…?」

 

雪乃「私、あの人と一緒に生活する毎日が嬉しくて幸せだったわ」

 

雪乃「でもね、気づけば笑わなくなっていたのよ彼が…」

 

雪乃「私が仕事多忙と言うのはもちろんあったのだけれど、笑わなくなってしまった彼の顔を見るのが辛くなって…」

 

結衣「…」

 

雪乃「気づけば仕事に逃げてしまっていたわ」

 

雪乃「仕事を優先しようと私と八幡は繋がっていられる、わかってくれると私は勝手に思い込んで彼に甘えていた…」

 

雪乃「嫌われたって、冷められたって良い、私はほんの少しでも彼と一緒に居られる事が幸せだったのに…私は…とんでもない事を」ポロポロ

 

結衣の旦那「八幡君は、雪乃さんに笑っていて欲しかったんじゃないかな?」

 

雪乃「え…?」

 

結衣の旦那「僕だって嫁が笑わなくなったら物凄く辛いからね」

 

雪乃「…」

 

結衣の旦那「結婚しても互いを100%理解するなんて難しいわけだしすれ違いだってある、きっと仕事が忙しくなって笑う事が少なくなった雪乃さんを見て八幡君も頑張っていた、上手くいえないけどそうなんじゃないかな?」

 

結衣「きっとヒッキー、仕事で大変なゆきのんを見て辛かったんだと思う。それで少しでもゆきのんに笑ってて欲しいから今まで頑張ってたと思うの」

 

結衣の旦那「これ、八幡君が倒れた際に落としたものだけど…」

 

雪乃「これは…ネックレス…?」

 

結衣「昨日もメール送ったから解ると思うけどゆきのんの誕生日だったでしょ?」

 

雪乃「あ…」

 

 

件名:誕生日おめでとさん

 

お祝いの用意できてるからまってる

 

雪乃「…八…幡…」グス

 

雪乃「ひぐ…ぐす…うえええ」

 

結衣「今度はゆきのんがヒッキーを支えなきゃね」

 

結衣の旦那「八幡君のおかげで僕と結衣との出会いがあったんだ、彼が居なかったら僕は一生結婚できなかったと思う」

 

雪乃「ありがとう…彼を大事に思ってくれて」

 

結衣の旦那「小学校中学校とホモ扱いされてあだ名がゴキブリで、高校生活は男子校で女性とはまったく縁の無かった僕を大学で救ってくれたのが八幡君だからね」

 

結衣「うわっ病院できもいこといわないで!ヒッキーの病状が悪化したらどうするの!」

 

結衣の旦那「そこは庇ってよ!」

 

雪乃「ふふ、仲が良いのね二人は」

 

 

雪乃「昨日ね、上司達との飲みで久々に葉山君とあったのよ」

 

結衣「隼人君と?」

 

雪乃「ええ、その時に彼に言われたわ、『旦那の話題が出ると嬉しそうに笑うんだね』って」

 

雪乃「あの後家に帰って八幡に謝ろうとしたら居なくなっててね…我を忘れて探し回ったわ…」

 

結衣「なんだかんだでゆきのんはヒッキーが大好きなんだね」

 

雪乃「私、しばらく会社休むわ、彼の傍にいたいの…」

 

結衣「うん、それがいいよ、ヒッキーも喜ぶから…」

 

 

そして数日後

 

八幡「雪乃…すまない…俺のせいで…」

 

雪乃「いいのよ、貴方は何も考えないで、私が傍に居るから、少しずつ元気になりましょうね」

 

八幡「雪乃…」

 

そして1ヵ月後

 

結衣「いいの…?だいぶお仕事休んでるけど」

 

雪乃「ねえ由比ヶ浜さん…私、今のお仕事止めようと思うの」

 

結衣「え…?」

 

雪乃「八幡が退院してから二人でじっくり話し合うつもりなのだけれど、もっと二人の時間に余裕をもてる仕事につきたいなって」

 

雪乃「収入はだいぶ減ってしまうけどそんな事どうでもいいわ」

 

結衣「ゆきのん…ヒッキーきっと喜ぶと思うよ?」

 

雪乃「ありがとう由比ヶ浜さん、それと、小町さんからもたっぷり絞られたわ…」

 

数週間前

 

小町「雪乃さん…もし次こんな事あったら兄を返してもらいますから…」

 

………

……

 

結衣「ヒッキーから昔聞いたけど怒った小町ちゃんて怖いらしいね…」

 

雪乃「ええ、本当に反省させられたわ…でも八幡と離婚なんて死んでもごめんよ」

 

八幡「どうでも良いけど、病室で、しかも俺の目の前でそんな会話するの止めてもらえませんかね」

 

結衣「ヒッキーは大丈夫なの?」

 

八幡「ああ、たまに悪寒や罪悪感が押し寄せてくるけどだいぶ回復したよ…」

 

雪乃「ごめんなさいね、寝てるのかと思って…」

 

八幡「んな会話してりゃ起きれるに起きれねーだろ」

 

八幡「仕事やめるって…本当か…」

 

雪乃「ええ、もう決意は揺らがないわ…」

 

八幡「そっか…」

 

雪乃「退院したら会社に伝えるわ」

 

八幡「なら俺も働k」

 

雪乃「大丈夫よ、と言いたい所なのだけれど…もし次の職場の収入が少なかったらお願いするかもしれないわ…」

 

八幡「お、おう」

 

結衣「なんだがヒッキーも大丈夫みたいだし邪魔すると悪いし、私は帰るよ」

 

 

雪乃「それと…かまくらが亡くなった際どうして素直に言ってくれなかったの…?」

 

八幡「あの時のお前、なんかピリピリしてたし、とてもじゃないけど言い訳できる状況じゃなかったろ」

 

雪乃「ごめんなさい…本当に…」

 

八幡「でもありがとうな…その…お前がこうやって傍に居てくれて、うれしいよ」

 

雪乃「もうこれからは絶対貴方にあんな思いはさせないから…」

 

 

そしてしばらくたち

 

 

結衣「あ、ヒッキー達の年賀状だ…」

 

結衣の旦那「後ろに家族の写真だね…お、お子さん、雪乃さん似じゃない?」

 

結衣「目元がヒッキーに似なくて良かったね!」

 

 

八幡宅

 

八幡「クシュン…」

 

雪乃「風邪?大丈夫?」

 

八幡「誰かが噂してたりしてな…」

 

雪乃「噂?子供が出来て誰かが羨ましがってるんでしょう。それより八幡…もう一人欲しいわ」

 

八幡「マジか…」

 

雪乃「大マジよ…」

 

 

おまけ

 

八幡「だいぶ前の話になるけどさ、料亭の入り口で葉山とお前が笑顔で会話してるのをみたんだが」

 

雪乃「ええ、たまたま同じ料亭でぱったり会ってね、貴方の話題になって盛り上がったのよ」

 

八幡「あいつ、独身なのか?」

 

雪乃「いいえ、三浦さんと結婚したそうよ」

 

八幡「そうか…」

 

雪乃「ごめんなさい、心配させちゃって…」

 

八幡「いやまあもういいんだけどさ…」

 

雪乃「安心して、興信所で調べたって白よ?」

 

八幡「そこまでしねーよ!」

 

雪乃「私は貴方以外の男に興味なんてないから大丈夫よ」

 

八幡「そ…そうか」

 

 

 

 

 

 

 

 

八幡「晩御飯できてるぞ」雪乃「ごめんなさい、会社の人と食べてきたから」

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