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雪乃「逃がさないわ、比企谷君」【俺ガイルss/アニメss】

 

雪ノ下「ねえ、比企谷君」

 

八幡「なんだ?」

 

雪ノ下「由比ヶ浜さんは?」

 

八幡「教室の掃除だ。少し遅れるそうだ」

 

雪ノ下「そう……じゃあそれまで二人きりね」

 

八幡「んだよ。嫌なら帰るが……」

 

雪ノ下「いえ、そういう事じゃないわ。ただ、二人きりだと思い出すわね、最初の頃を」

 

八幡「そうだな。つっても直ぐに由比ヶ浜が入ってきたじゃねえか」

 

雪ノ下「ええ。彼女が直ぐに入ってきたわ」

 

雪ノ下「そう、彼女が入ってから……それまでは、あなたと二人きりだったのに。彼女が、入ったから……彼女が入らなければ」ブツブツ

 

八幡「……」

 

雪ノ下「ねえ、比企谷君」

 

八幡「な、なんだ」

 

雪ノ下「紅茶でも淹れようと、思うのだけれどあなたもどうかしら?」

 

八幡「い、いや、俺は……」

 

雪ノ下「あなたも、どうかしら?」

 

八幡「……い、いただく」

 

雪ノ下「ふふ、そう言うと思ったわ。少し待ってて」

 

八幡「ああ……」

 

八幡(雪ノ下の紅茶……前までなら喜んで飲んでいたが、最近は妙な味がする。それに、飲んだ後、体がやけに熱くなるし……)

 

八幡(律儀に全部飲まずに残せばいいんだが、そうするとあいつ、滅茶苦茶睨んでくるし……)

 

八幡(いつから、って思い返すとやっぱ、あの生徒会選挙の依頼あたりか……おかしくなったのは)

 

雪ノ下「おまたせ、はい」コト

 

八幡「んっ、悪いな」

 

雪ノ下「今日は少し味を変えてみたの。感想を聞かせてもらえるとありがたいわ」

 

八幡「そ、そうか……」

 

八幡(紅茶って、こんな色してたか……? 今日のは一段とヤバイ気がする)

 

雪ノ下「さあ、はやく」

 

八幡「急かすなよ。知ってるだろ俺は猫舌なんだよ」

 

雪ノ下「わかってるわ。でも、早くしないと……」

 

ガチャ

 

由比ヶ浜「やっはろー」

 

雪ノ下「………………こんにちは、由比ヶ浜さん」

 

八幡(た、助かった……、のか)

 

八幡「よう、由比ヶ浜。もう掃除は終わったのか?」

 

由比ヶ浜「うん。あっ、ヒッキーそれゆきのんが淹れた紅茶? いいな~」

 

雪ノ下「ごめんなさい、由比ヶ浜さん。あなたの分はまだ淹れてないの」

 

由比ヶ浜「ううん、気にしないで! あっ、でもヒッキー、これ一口もらってもいい? 外冷えてたから温かいの欲しくて」

 

八幡「えっ? いや、だがそれは……」

 

由比ヶ浜「それじゃ一口……あつっ」

 

パリン

 

由比ヶ浜「ああっ、ご、ごめん、ゆきのん、ヒッキー、カップが熱くて落としちゃった……」

 

雪ノ下「…………………………気にしないで、それよりも由比ヶ浜さん。怪我はない?」

 

由比ヶ浜「ううん、あたしは別に……でもヒッキーのズボンに紅茶少しかかっちゃった。ごめんね、ヒッキー」

 

八幡「これくらい洗濯すりゃすぐに落ちる。それより雑巾と、あと箒とちりとり、取ってくる。かたづけないといけねーし」

 

由比ヶ浜「あっ、それならあたしも付いていく」

 

雪ノ下「私も……」

 

由比ヶ浜「ゆきのんは、ここにいて」

 

雪ノ下「どうして、かしら?」

 

由比ヶ浜「三人で行ったら依頼が来たとき誰もいないと困るでしょ? だから『あたしとヒッキーは一緒に行く』からゆきのんはここに残ってて」

 

雪ノ下「……」

 

由比ヶ浜「ごめんね、ヒッキー、あたしのせいで」

 

八幡「だから気にするなって言っただろ」

 

由比ヶ浜「ううん、でもなんか悪いし……ナニかお詫びさせてよ」

 

八幡「お詫びって……別に」

 

由比ヶ浜「させてよ」

 

八幡「いや、だから……」

 

由比ヶ浜「ヒッキー、お詫び、させて」

 

八幡「……勝手にしろよ」

 

由比ヶ浜「えへへ、それじゃ、せっかくゆきのんがヒッキーに用意したマグカップ割っちゃったから、あたしが今度新しいのかってあげるね」

 

八幡「別にそこまでしてくれなくてもいいが……」

 

由比ヶ浜「あたしのマグカップじゃいやなの?」

 

八幡「は?」

 

由比ヶ浜「やっぱりゆきのんのマグカップがいいの?」

 

八幡「そうは言ってないだろ……」

 

由比ヶ浜「なら、あたしの買ったマグカップを使ってね! 今度からはゆきのんのじゃなくて、あたしの買ったマグカップを使ってね」

 

八幡「……」

 

 

奉仕部

 

ガチャ

 

雪ノ下「あら、遅かったわね」

 

八幡「あれ、割れたカップは? それに零れた紅茶も……」

 

雪ノ下「あなた達が遅いから私が先に片付けておいたわ」

 

由比ヶ浜「ご、ごめんね、ゆきのん。後片付けまでやらしちゃって……」

 

雪ノ下「いいわよ、これくらい。外は寒かったでしょ?お茶を淹れなおしたから、良かったら飲んで」

 

八幡「いや「飲んでって、片方は由比ヶ浜カップだが、これ、もう一つのってお前のカップじゃねえか」

 

雪ノ下「あなた、カップがないのでしょ? 私はさっき飲んだから気にしないで使いなさい」

 

由比ヶ浜「……」

 

八幡(っつてもな……まあ、紅茶はさっきのと違って、色は普通だが)

 

雪ノ下「どうしたの? 飲まないのかしら」

 

由比ヶ浜「ね、ねえゆきのん! 別にゆきのんのカップ使わなくても前みたいに紙コップとかで……」

 

雪ノ下「残念ながら今は切らしているのよ」

 

由比ヶ浜「でも……」

 

八幡「……んじゃ、お言葉に甘えていただく」ゴク

 

由比ヶ浜「!?」

 

八幡(あれ……? 味は、普通だ。というか美味しい)

 

八幡「んっ、やっぱお前の紅茶、美味いな」

 

雪ノ下「ふふっ、よかったわ」

 

由比ヶ浜「……」ギリ

 

―――

――

 

雪ノ下「今日はこれくらいにしておきましょうか」

 

由比ヶ浜「依頼、来なかったね」

 

八幡「んじゃ、さき帰るわ」

 

雪ノ下「私は部室の鍵を返す必要があるから」

 

由比ヶ浜「おれじゃ、あたしはゆきのんと一緒に帰るから」

 

八幡「そうか、またな」

 

雪ノ下「ええ、さようなら」

 

由比ヶ浜「またね、ヒッキー」

 

バタン

 

雪ノ下「……」

 

由比ヶ浜「……」

 

雪ノ下「    」

 

由比ヶ浜「    !    !?」

 

八幡「……」

 

八幡(扉越しに、あいつらが何かを言い合っている声が聞こえる)

 

八幡(詳しくは聞き取れないが、仲のいいガールズトーク()ではなさそうだ)

 

雪ノ下「彼は―――私の―――よ!」

 

由比ヶ浜「ちが―――ッキーは―たしの――!!」

 

八幡(最近、奉仕部にいると疲れる……)

 

八幡(……帰って、小町に癒されるか)

 

 

自宅

 

八幡「ただいま」

 

小町「あっ、おかえりお兄ちゃん。あれ? 何かあった?」

 

八幡「まあ、ちょっとな」

 

小町「やっぱり、だっていつも以上に目が腐ってたよ?」

 

八幡「マジかよ。あの腐り方からさらに腐るとか、もはや目が腐り落ちるぞ」

 

小町「またなにか、あったの?」

 

八幡(小町になら、相談してもいいか……)

 

八幡「……実はな」

 

小町「なるほど~雪乃さんと結衣さんのい様子がおかしいと」

 

八幡「前と違って依頼どうこうじゃないから余計に達が悪い」

 

小町「う~ん、原因はたぶん、お兄ちゃん、だよね?」

 

八幡「んな訳あるあるか。なんで俺みたいなぼっちが原因で人間関係悪化すんだよ」

 

小町「……本当はわかってるんでしょ?」

 

八幡「……仮に俺が原因だといして、どうすりゃいいんだよ」

 

小町「一度、二人と距離を取ってみたら? しばらくは奉仕部に行かない、とか」

 

八幡「はっ、そりゃいいな。そしたら家に直帰してゲームできるわ」

 

小町「それに小町にも早く会える! いまの小町的にポイント高いよ!」

 

八幡「はいはい、高い高い」ナデナデ

 

小町「え、えへへ……本当にポイント高いよ。」

 

八幡「まあ、実際、一度距離を置く必要はあるな」

 

八幡(距離を取る、か……前の俺なら、そのままこの関係をリセットしてそこで終わりにしてたな)

 

小町「それじゃあ……」

 

八幡「ああ、明日からは早く帰る」

 

小町「えへへ、ポイント高いよ、お兄ちゃん!…………これで、79856ポイント」

 

八幡「なにか言ったか?」

 

小町「ううん、それより、ご飯の準備するからお兄ちゃんも手伝って!」

 

 

翌日

 

八幡(さて、もう放課後か……このまま直帰できるなんて、ああなんて素晴らしきかなぼっちライフ)

 

由比ヶ浜「ヒッキー、いまから奉仕部行くの?」

 

八幡「いや、今日はこのまま帰る」

 

由比ヶ浜「えっ? なんで?」

 

八幡「ちょっと用があってな」

 

由比ヶ浜「うそ! ヒッキーに予定とかある訳」ないじゃん!」

 

八幡「ひでえなオイ。ぼっちにだって予定はあんだよ。じゃあな、雪ノ下には休むって伝えておいてくれ。おれ、あいつの連絡先しらねえし」

 

由比ヶ浜「あっ、待って、あたしも……」

 

三浦「結衣~なにしてんの?」

 

由比ヶ浜「っち……じゃ、じゃあね、ヒッキー」

 

八幡「ああ」

 

八幡(帰って、どうすっかな……とりあえず録画してるアニメみながら厳選でもして)

 

いろは「あっ、先輩」

 

八幡「お前は……なんか用か」

 

いろは「いや、別に大した用じゃないんですけどね~先輩は今から暇ですか?」

 

八幡「忙しいすっげえ忙しい。ってことで、またな」

 

いろは「待ってくださいよ」ギュ

 

八幡「ちょ、いきなり腕掴むなよ……んだよ」

 

いろは「いや~実はいま少し男手が必要でして」

 

八幡「なら他を当たれ。戸部とか、葉山とかいんだろ」

 

いろは「二人とも部活ですし~」

 

八幡「俺だって一応部活に入ってるんだが」

 

いろは「でも今日は行かないんでしょう? 下駄箱の前にいるってことは」

 

八幡「そうだとして、何で俺がお前の、生徒会なんかの手伝いを……」

 

いろは「私が会長になるよう扇動したの、先輩ですよね?」

 

八幡「……少しだけ時間割いてやる」

 

いろは「えへへ、ありがとうございます」

 

八幡(……やっぱこいつ苦手だわ)

 

いろは「いあ~助かります先輩」

 

八幡「ったたく散々コキ使いやがって……これで用すんだろ」

 

八幡結構時間くったな……部活サボって生徒会の手伝いとかどこのハセガワさんだよ)

 

いろは「はい、ありがとうございます」

 

八幡「んじゃ、俺はそろそろ……」

 

いろは「あっ、待ってください」

 

八幡「んだよ……まだあんのか?」

 

いろは「いえ、せっかく手伝ってくだっさたんだし、ジュースくらい奢りますよ」

 

 

生徒会室

 

八幡「なんでジュース飲むのにわざわざこんな所にこなきゃなんねえんだよ」

 

いろは「いいじゃないですか、ここなら先輩と二人でいろとこ見られて変な噂されることもないですし」

 

八幡「……なら、ここに連れ込んだとこ見られてもアウトだろ」

 

いろは「もう~冗談ですって」

 

八幡(……かわいくない小町とか言ったが、これじゃ小町に失礼だな)

 

八幡「これ飲んだら直ぐ帰るからな」

 

いろは「わかってますって。そういえば先輩、少しお聞きしたいんですが」

 

八幡「なんだ?」

 

いろは「奉仕部のお二人のどちらかとは付き合っているんですか?」

 

八幡「は? んなわけねえだろ。アホか」

 

いろは「ですよねえ」

 

八幡「んじゃ、飲んだしかえr…………えっ」フラッ

 

バタン

 

八幡「あ、あれ、おい、なんだ、これ……なんで、体が」

 

いろは「おっ、やっと聞いてきましたか。結構高かったんですよそれ」

 

八幡「お、おまえ、飲み物に、何を……」

 

いろは「安心してください。ちょっと動けなくなるだけです」

 

八幡「な、なん……で」

 

いろは「私も最初は葉山先輩いいな~って思ってたんですけど、三浦先輩には敵いませんし……」

 

いろは「そんでもって、先輩って顔は悪くないし頭も良さげで悪くないかな

 

八幡(えっ、なんなの葉山の代わりに妥協したのか? 俺妥協召喚されたの?攻撃力3000を妥協して1900で出されたの?)

 

いろは「あっ、でも勘違いしないでくださいね。別に妥協した訳じゃないですよ?」

 

いろは「先輩、言いましたよね? 私じゃ雪ノ下先輩や結衣先輩に敵わないって」

 

いろは「あの時は言われて納得はしましたけど、やっぱり負けっぱなしといのは悔しいですからねえ」

 

いろは「でも勝つ方法みつけちゃったんですよ」

 

いろは「簡単なことです。二人が手に入れれなかった先輩を私が手に入れる。そうすることによって、私は二人に勝つ」

 

いろは「だから、先輩。そういう面では葉山先輩と差別化できてるんで安心してください」

 

八幡(あ、安心って、できる訳ねえだろ……つーかそんな事、聞かされて安心できる訳がねえ)

 

いろは「んじゃ、さくっとヤッてそれ撮ってあの二人に見せて勝利しますか。あっ、先輩は動かなくてもいいですよ? まあ動けないと思いますけど」シュル

 

いろは「喜んでください。なんと私の初めてですよ? まあ、こういう無理矢理な形なのは悪いと思っているので、これで許してください」

 

八幡「「、悪いと、思ってんなら、……最初からすんじゃねーよ!」ドン

 

バタ!

 

いろは「きゃ! そ、そんな、まだ動けない筈なのに……待って、先輩!」

 

八幡「だ、だれが待つかよ……」ダッダダダ

 

いろは「くっ……逃げられた」

 

八幡「はあ、はあ……なんとか、逃げれたか」

 

八幡(体、、あだ痺れは残るが動けるな……思えば、あのジュース。以前から雪ノ下が淹れる紅茶と同じような妙な味がした)

 

八幡(紅茶を何度か飲む内に薬に耐性ができたのか? いや、単に一色が薬の量を間違えただけか……)

 

八幡「無我夢中で走ってきたが……あまり見ない場所だな」

 

八幡「まあ、なんにせよ、ここまでくれば、一安心、だな……」

 

「あれ……もしかして八幡?」

 

八幡「えっ?」

 

留美「やっぱり……八幡だ」

 

八幡(鶴見留美、だったか……たしか林間学校の時の)

 

留美「なんでこんなところにいるの?」

 

八幡「……色々とあったんだよ」

 

留美「……?」

 

八幡「そういうお前はなんでここにいんだよ」

 

留美「ここ、私の学校の校区内だから、いてもいいでしょ」

 

八幡(相変わらず、生意気なガキだな……)

 

八幡(つーか、校区内ってことはこの辺に住んでるのか意外と近いんだな)

 

八幡(まあ、今はそんなことはいい。とりあえず家に戻って休もう。だが、戻るにしても、少し骨が折れるな。自転車も学校に置いたままだし……)

 

留美「ねえ、八幡。すごい汗掻いてる……大丈夫?」

 

八幡「んっ、ちょっと走ったからな」

 

留美「……ねえ」

 

八幡「なんだ?」

 

留美「これ……」

 

八幡「あん? ハンカチ?」

 

留美「よかったら、使って」

 

八幡「えっ?」

 

留美「使って」

 

八幡「……悪い。ありがとな、ルミルミ」

 

留美「ルミルミ言うな」

 

八幡(ハンカチ……良い匂いがするな)

 

八幡「……はっ」

 

八幡(いかんいかん。何を考えているんだ……俺は決してロリコンではない)

 

留美「……八幡の汗」ボソ

 

八幡「ハンカチ、とりあえず洗って返すわ」

 

留美「いいよ、別に洗わなくても」

 

八幡「流石にそういう訳にはいかねえだろ」

 

留美「洗わなくていい」

 

八幡「……まあ、お前がそう言うなら、ほら返す」

 

留美「んっ……あっ、八幡の匂いがする」クンクン

 

八幡「……やっぱ洗ってかえした方がいいだろ。つーかなんで俺の匂い知ってんだよ嗅いだことあんのかよ」

 

留美「うん」

 

八幡「えっ?」

 

八幡「か、嗅いだこと、あんの……?」

 

留美「あるって言ってるじゃん」

 

八幡「おいおい、冗談は止せよ。お前に匂いなんて嗅がれた記憶ねえぞ」

 

留美「毎日嗅いでるよ」

 

八幡「は?」

 

留美「八幡の飲んだペットボトル、八幡の上履き、八幡の体操服、八幡の自転車のサドル……全部、嗅いでるよ」

 

八幡「」

 

八幡「わ、笑えないな……もう少しマシなウソを吐いけよ。なんで小学生がうちの高校に……」

 

留美「私のお母さん、八幡の高校で働いてるから」

 

八幡「えっ……お母さん? 鶴見……まさか、鶴見先生の」

 

留美「うん」

 

八幡(えっ……先生なにやってんの? 娘の為に生徒の私物パクって匂い嗅がせるとか……)

 

留美「八幡」ギュッ

 

八幡「!?」

 

留美「んっ……やっぱり、直接、嗅ぐと、ぜんぜん、んっ、ちが、あっ……んっ」スーハー

 

八幡「おま、なにやってんの!?」

 

留美「じっとして。じゃないと叫ぶよ」

 

八幡「くっ……」

 

八幡(叫ばれてこんな所、誰かに見られたらそく通報もんだよな……ここはひとまず大人しく従うしか……)

 

留美「八幡……八幡……んっ」スリスリ

 

八幡「お、おい、ヤバイ、それはヤバイって……」

 

八幡(えっ、なんでこの子、いつの間に俺の手を取って自分の股間に擦らせてんの?)

 

留美「んっ、あっ……」スリスリ

 

八幡「……」

 

―――

――

 

留美「ふぅ……気持ち良かったよ、八幡」

 

八幡(結局、抵抗する事もなく、されるがまま身を任せた。もう無心になるしかない……考えたら負けだ)

 

八幡「ああ、そうか……良かったな」

 

留美「あっ、もうこんな時間……そろそろ帰らなきゃ」

 

八幡(やっと、解放される……)

 

留美「八幡、その……ありがと」

 

留美「今日の事と、あと林間学校の事」ヌギヌギ

 

八幡「別に、俺はお前に礼を言われるような事はしていない……えっ、おま、なにしてんの? おい、止めろ!」

 

留美「……だから、これ。あげる」つパンツ

 

グチョ

 

八幡「」

 

留美「それじゃ、またね……愛してる八幡」

 

 

自宅

 

八幡「……ただいま」

 

小町「もう!お兄ちゃん遅いよ!小町、早く帰ってくるってお兄ちゃんが言ったから御飯作って待ってたのに!ポイント低いよ!」

 

八幡「色々とあったんだよ……」

 

小町「……またあの部活関係?」

 

八幡「いや、奉仕部関係ではないんだが……とにかく色々とあったんだよ」

 

小町「良かったら、話聞くけど……」

 

八幡「大した事じゃねえよ。大丈夫だ」

 

八幡(流石に、今日あった事を小町に話すのは気が引けるしな……)

 

小町「そっか……何かあったら小町がいつでも聞いてあげるよ? あっ、今の小町的にポイント高い」

 

八幡「ああ……ありがとな、小町。あと、早く帰れなくて悪かった」ナデナデ

 

八幡(はあ……今日唯一の癒しだ。もうほんと小町が妹じゃなかったら求婚してたまであるな)

 

小町「えへへ、もう仕方ないな~じゃあ今日は特別に遅かった事、許してあげるよ!……79943ポイント」

 

八幡「えっ?」

 

小町「……? どうかしたの?」

 

八幡「いや、ただの聞き間違いか……疲れてるのかもな」

 

小町「それじゃ、御飯温め直すね」

 

 

翌日

 

八幡(昨日は小町に悪い事したな……まあ、まさかあんな事に巻き込まれるとは思っていなかったが)

 

八幡(今日は直ぐに帰ろう。この学校に長居するのは危険すぎる……)

 

平塚「比企谷、ちょっといいか?」

 

八幡「げっ」

 

平塚「なんだ、その嫌そうな顔は……少し顔を貸せ。君に話がある」

 

八幡「えっと、今日は早く帰らなきゃなんないので……」

 

平塚「昨日もそう言って部活を欠席したそうだな。話というのは奉仕部について、というよりあの二人について、だな」

 

八幡「……」

 

八幡「……手短にお願いします」

 

 

待合室

 

平塚「単刀直入に聞くが、最近あの二人の様子がおかしいと思わないか?」

 

八幡「ちょうど、前の依頼終わった辺りからですかね」

 

八幡(まあ、おかしいのはあの二人だけじゃないんだが……)

 

平塚「やはりそうか……原因は分かるか?」

 

八幡「……断言できるほどの判断材料がないですね」

 

平塚「私は、君が原因だと思うよ」

 

八幡「……」

 

平塚「まあ、女二人に男一人のコミュニティだ。そういう可能性も想定していなかった訳ではないが……まさか、あの雪ノ下がな」

 

平塚「彼女と君は互いに良い刺激になると思っていたが、どうやら刺激が強すぎたみたいだな」

 

八幡「……仮に、仮に先生の言うように、原因が俺だとした場合、解決策が浮かばないですね」

 

平塚「だから君は彼女達と距離を置くようにした、か。だが、それでは何の解決にもならないよ」

 

平塚「だからと言って、どちらか片方を選ぶのは論外だ。その方法を取るには今からではあまりにも遅すぎた」

 

平塚「いつものように、君の最低なやり方をすれば、解決できなくはないだろうか……今の君があの二人に対してそんな事をできるとは思わない」

 

八幡「……なら、どうすれば」

 

平塚「なに、簡単だよ。二択から選べないのなら、三つ目を選べばいい」

 

八幡「三つ目?」

 

平塚「比企谷、私と結婚しよう」

 

 

自宅

 

八幡「はあ、はあ……もうダメだ、おしまいだ……」

 

八幡(……な、なんとか、逃げ切れたが……出されたお茶飲まなくて良かった)

 

小町「あっ、お兄ちゃんおかえり! 今日は早く帰ってきたんだね、偉い!ポイント高い!」

 

八幡「小町……」

 

小町「あれ、お兄ちゃん、どうしたの……?」

 

八幡「……もう、俺にはお前しかいないな」

 

小町「えっ!?」

 

八幡「いや、なんでもない……晩飯の準備するか。時間あるし俺も手伝う」

 

小町「え、えへへ、どうしたの、お兄ちゃん。今日のお兄ちゃんポイント高過ぎだよ。これじゃあポイント貯まっちゃうよ」

 

八幡「貯まったらどうなるんだ?」

 

小町「いずれ分かるよ!いずれね」

 

―――

――

 

八幡「ふぅ……ごちそうさま。うまかった」

 

小町「ねえ、お兄ちゃん。実はお兄ちゃんに小町から重大発表があるんだよ!」

 

八幡「重大発表?」

 

八幡(これで彼氏が出来たとかなら自殺も考えるレベル)

 

小町「なんと!お兄ちゃんのポイントが貯まってしまいました!」

 

八幡「……ああ、そんな事か」

 

小町「もう、お兄ちゃんテンション低いよ~」

 

八幡「お前が高過ぎんだよ。んで、貯まったらどうなるんだ? さっきは教えてくれなかったが」

 

小町「もちろん! 小町と結婚だよ!」

 

八幡「そっか~結婚か~うれしいなー」

 

八幡(小町からこんな事言い出すなんて、いつ以来だ? あの時も可愛かったな……)

 

小町「もうお兄ちゃん本気で信じてないでしょ」

 

八幡「信じてるって」

 

小町「本当に?」

 

八幡「はいはい、信じてる信じて……あれ、体が、うご、か」

 

小町「よかった。なら、別に薬はいらなかったね。でももう盛っちゃったから仕方ないよね」

 

八幡「こ、こまち……?」

 

八幡「お、おま……な、ん、で……」

 

小町「本当はね、ずっと我慢してきたんだよ?」

 

小町「小町は小さい時からずっと、ずうっとこうしたかったの」ギュ

 

小町「でもね、やっぱり兄妹でこういう事はよくないとも思ってるし……」

 

小町「だから、ポイント制にしてみました!」

 

八幡「は……?」

 

小町「八万ポイント貯まったら即求婚! でもそれまでは我慢!」

 

小町「お兄ちゃんが何かする度に1ポイント、お兄ちゃんが小町に話しかける度に1ポイントってしていったら……」

 

小町「あれまびっくり! 貯まっちゃったんだよ八万ポイントが!」

 

小町「いや~ほんと最近はポイントが貯まるのが早くてびっくりしたよ」

 

八幡「か、考えなお、せ、小町……」

 

小町「なんで?」

 

八幡「俺達は……」

 

小町「大丈夫だって! 他の件なら許されないけど千葉なら許されるんだよ! 高坂さん家が許されて比企谷家が許されない道理なんてないんだよ!」

 

小町「それにさ、お兄ちゃん」

 

小町「小町だけだよ? お兄ちゃんを本当に理解してあげられるの」

 

八幡「……」

 

小町「お兄ちゃんの痛みも苦しみも悲しさも喜びも怒りも、小町には全部分かる」

 

小町「雪乃さんや結衣さんには決して分からない、お兄ちゃんのこと、全部、小町には分かるんだよ?」

 

小町「だからさ、お兄ちゃん。これが一番の幸せな選択なんだよ」

 

小町「お兄ちゃんは小町だけのことを考えて、小町はお兄ちゃんだけの事を考える」

 

小町「それって、とっても嬉しい事かなって、小町は思うよ」

 

八幡「俺と、お前は、兄妹という関係だから、……信頼しあえた」

 

八幡「お前の、望む、それは、兄妹じゃな、ない……」

 

小町「うん。だって夫婦だもん」

 

八幡「夫婦、か……そうか、なら、仕方ねえな」

 

小町「うん、仕方ないよ。だから……」バッ

 

八幡「なら、俺は、御免だ……!」バッ

 

小町「きゃっ!」

 

八幡「今日は……外泊だ。はあ、はあ、そ、それまで頭冷やしてろ」

 

バタン

 

ダッダダダダダ

 

小町「あっ、お兄ちゃん! なんで!? 薬まだ効いてる筈なのに……!!」

 

 

 

八幡「はあ……はあ……体の痺れも、取れてきたな。まじで耐性できてんじゃねえか? これ」

 

八幡(……まさか、小町まであんな事に)

 

八幡「……どうして、こうなった」

 

八幡(何が、間違っていたんだ? 俺は間違ってなかった……筈なのに)

 

八幡「これから、どうすっかな」

 

八幡(家にも戻れないし、サイフもない。それに、この辺り歩いてたらもう直ぐ補導される時間だ)

 

八幡(とりあえず、公園で野宿? 冬にか? 死ねるな……)

 

「あんた……こんなとこで何してんの?」

 

八幡「えっ……?」

 

八幡「お前は……」

 

川崎「こんなところで突っ立って。家から追い出された?」

 

八幡「……あながち間違いじゃねえな」

 

川崎「えっ……」

 

八幡「お前は……予備校の帰りか?」

 

川崎「う、うん……」

 

八幡「……」

 

川崎「……」

 

八幡(気まずい……)

 

八幡「……んじゃな」

 

川崎「待って」

 

八幡「……なんだよ、なんか用か?」

 

川崎「あんた……本当に家、追い出されたの?」

 

八幡「追い出されたっつーか……まあ、正確には逃げてきた」

 

川崎「はあ?」

 

八幡「とにかく、今は家に帰れねえんだよ」

 

川崎「そう……なら、さ」

 

八幡「……?」

 

川崎「あたしの家、くる?」

 

 

川崎家

 

八幡「お、お邪魔、します……」

 

川崎「別に気使わなくていいよ。今日はあたししかいないし」

 

八幡「大志やご両親は?」

 

川崎「大志は友達の家に泊まる。両親は仕事で戻れないってさ」

 

八幡「そ、そうか」

 

八幡(……まさか、こいつの家に泊まる時が来るとはな)

 

八幡「川崎」

 

川崎「なに?」

 

八幡「その……泊めてくれて助かった」

 

川崎「別に……」プイ

 

八幡(そういえば、異性のどころか、他人の家泊まったの初めてな気がする)

 

八幡「でも、なんで泊めてくれたんだ?」

 

川崎「……あんた、言ったじゃない。あたしに、俺にはお前が必要だって。だから……」

 

八幡(選挙の依頼の時か……そういや、そんな事いったゆな気がする。まあ泊めてくれるなら、それに越したことはない、か)

 

川崎「外、寒かったでしょ? その格好じゃ」

 

八幡「あ? まあ、確かにな……」

 

八幡(あの時は薬のせいであまり感覚がなかったが、よく考えれば制服のままなんだよな。しかもブレザーなしの)

 

川崎「何か飲む? コーヒーかとミルクくらいしかだせないけど」

 

八幡「……」ビク

 

川崎「……? どうかした?」

 

八幡「い、いや……ちょっとな」

 

八幡(いかんな、飲み物に対して軽くトラウマが……)

 

川崎「それで、いるのいらないの?」

 

八幡「いや、やっぱ遠慮しとく……なんか、悪いし」

 

川崎「別に気使わなくていいって言ったでしょ……まあ、いいけど。あとになって欲しいとか言っても知らないからね」

 

八幡「……」

 

八幡(あの様子だと、素直に善意として言ってくれたようだが……いかん、油断はするな)

 

八幡「……」ブル

 

八幡(くっ、今頃になって体が冷えてきた……麻痺していた感覚が戻ったか。薬が抜けたのか? さむっ……)

 

川崎「……やっぱ寒そうじゃん。一応暖房は付けたけど、うちの古いから温まるのに時間かかるのよ」

 

八幡「ばっか、お前。これは寒くて震えてんじゃねえよ、ただの貧乏ゆすりだ」

 

川崎「体全体ゆするの? あんたの場合」

 

八幡「……」ブルブル

 

川崎「……ほら」

 

八幡「えっ?」

 

川崎「……飲みかけでいいなら飲みなよ。まだ温かいし」

 

八幡「い、いいのか……?」

 

川崎「いいから、ほら。冷めるよ」

 

八幡(飲みかけ、なら薬がはいってることもない……それに、これ以上こいつの善意を無駄にするなんて、できない)

 

八幡「……ありがとう川崎」ゴクゴク

 

川崎「……っ、べ、別に、気にするほどの事でもないでしょ」

 

八幡「ふう……温まる。本当に、なにから、なにまで、悪いな」

 

川崎「だ、だからいいって、そんな」

 

八幡(……本当に、疑っていたのが馬鹿みたいだ)

 

八幡「んっ……」ウトウト

 

八幡(色々、ありすぎて疲れたのか。眠くなってきた……)

 

川崎「眠いの?」

 

八幡「ちょっとな……今日は、というか最近色々ありすぎて疲れていたのかもしれん……」

 

川崎「なら、大志のベッド使いなよ。ここで寝たら風邪引くよ」

 

八幡「ああ……ほんと、ありがと、な……」

 

川崎「はら、せめてベッドまで自分で歩きな。あたしじゃ運べないし」

 

八幡「ああ……」ウトウト

 

川崎「ほら、着いたよ」

 

八幡「んっ、悪い……んじゃ、ベッド、借りるぞ」ドサ

 

川崎「うん……気にせず使っていいから」

 

八幡(大志のベッドか……あいつ随分と可愛らしいぬいぐるみとか飾ってるんだな。枕も……なんか良い匂い、するし……まるで女子の……)

 

八幡(ったく、少々女々しいんじゃねーのか? こいつにはやっぱ、小町は渡せねえな……ああ、もうだめだ。眠気が……)

 

川崎「おやすみ」

 

八幡「ああ……おやすみ、川崎」

 

八幡「……Zzzzz]

 

川崎「……」

 

―――

――

 

八幡「んっ……あれ、ここは……」

 

八幡(そうか、昨日は確か川崎のい家に泊まって……)

 

八幡(にしても……歯磨かずに寝たせいか? 口の中が気持ち悪い……それに口周りもなんかべとべとだし)

 

八幡「それに気のせいか……なんか妙な匂いがする」スンスン

 

八幡(なんか、嗅いだことがあるような……ないような……)

 

八幡「うわっ、なんだこれ、寝汗か? ベッドになんかシミ付いてるし……最悪だな」

 

八幡(後で川崎に謝っておかねえとな)

 

川崎「あっ、起きたんだ。おはよう」

 

八幡「ああ、おはよう。あの、さ、。川崎。ベッド、ちょっと汚しちまったみたいなんだが……」

 

川崎「……」ビク

 

八幡「ひっ……」

 

川崎「ったく、言ったでしょ。気使うなって。ちょうどそろそろ洗濯しようと思ってた頃だから、構わないよ」

 

八幡「……すまん、洗濯なら、俺も手伝う」

 

川崎「そ、そう。まあ、あんたがしたいなら、好きにしなよ」

 

八幡「ああ、そうする……ところでお前、なんか歩きづらそうにしてるが、なんかあったのか?」

 

川崎「!?」

 

川崎「ちょ、ちょっと、昨日、色々とあってね」

 

――

 

八幡(ほんと、川崎には世話になったな……)

 

八幡(さて、これからどうするか……学校に行けば平塚先生、由比ヶ浜、雪ノ下、一色がいるし、家には小町がいる)

 

八幡(あれ? 詰みじゃね?)

 

八幡(例え今日一日サボったところで解決にはならねえしな……)

 

八幡「今日はとりあえず学校に行くか……」

 

八幡(……できれば、何も起こらないでほしいが)

 

 

放課後

 

八幡「……」

 

八幡(とりあえず、放課後か……)

 

八幡(平塚先生も由比ヶ浜も特にアクションは起こさなかったな)

 

八幡(この調子で帰ったら小町が元に戻ってたらいいのだが……)

 

八幡「はあ……」

 

「どうしたの? ため息なんて吐いて。元気ないね、八幡」

 

八幡(この声は……!!)

 

八幡「と、と、と、とつ」

 

戸塚「……?」

 

八幡「戸塚……」

 

八幡(危ないところだった……あともう少しで叫ぶとこだった)

 

戸塚「なにかあったの?」

 

八幡「ふっ、戸塚の顔みたらそんなのどうでも良くなったよ」

 

戸塚「ええ!? ど、どういう意味?」

 

戸塚「ねえ、八幡。今日は暇?」

 

八幡「たとえ用事があったとしても戸塚のためなら暇にするに決まってるだろ。もちろん暇だ」

 

戸塚「よかったぁ。雪ノ下さん、八幡、今日は暇だって」

 

八幡「えっ?」

 

雪ノ下「そう、ならいいわ。昨日も一昨日もよく分からない理由で欠席してたようだけど、今日は大丈夫みたいね」

 

八幡「な、なんで、お前が……」

 

雪ノ下「あなたの所属する部活の部長だからよ。部員の怠慢は私の責任よ。ありがとう戸塚くん」

 

戸塚「ううん、いいよそれくらい。もう、八幡。ダメだよ。ちゃんと部活には参加しなきゃ」

 

雪ノ下「さあ、行きましょうか」

 

八幡「ま、待てよ。じ、実はあったんだよ、用事! だから今日も……」

 

戸塚「八幡!」

 

八幡「くっ……わ、分かったよ、戸塚……雪ノ下、俺は先に行っておくからな」

 

雪ノ下「ええ……」

 

戸塚「……」

 

雪ノ下「……戸塚君、報酬の件だけど」ボソッ

 

戸塚「!?」

 

雪ノ下「約束通り、あなたの下駄箱に入れておいたわ。割れた彼の使っていたマグカップの飲み口の破片」ボソッ

 

戸塚「……う、うん」

 

雪ノ下「協力、感謝するわ……」

 

 

奉仕部

 

ガチャ

 

雪ノ下「待たせたわね」

 

八幡「……」

 

雪ノ下「こうして、あなたと会うのも久しぶりね」

 

八幡「……たった二日ぶりだろ」

 

雪ノ下「あら、あなた、私と会ってない日をわざわざ数えていたの? ふふ、そう……」

 

八幡「……」

 

八幡「依頼、どうせ今日もこないんだろ?」

 

雪ノ下「断言はできないわ。もし私達が帰ったら、だれが迷える子羊たちを導くの?」

 

八幡「……わかったよ」

 

雪ノ下「相変わらず捻くれているのね」

 

八幡「うっせ。ところで、由比ヶ浜は?」

 

雪ノ下「は?」

 

八幡「いや、だから由比ヶ浜はどうしたんだ? あいつは今日は来ないのか」

 

雪ノ下「……そう、私が目の前にいるのに、あなたは彼女の事ばかり気にするのね」

 

八幡「別に気にするとか、そういうんじゃねえよ。ただ気になっただけだ」

 

雪ノ下「……あなたは、変ってしまったのね」

 

八幡「……はあ?」

 

雪ノ下「最初、ここに来た頃のあなたは違った。私と全て正反対で、捻くれていて、腐っていて……それでいて、私を理解してくれた」

 

雪ノ下「初めてだったわ。そんな人に出会ったのなんて……全て正反対だから戸惑いもした。捻くれていて、腐っているから嫌悪もした。でも、理解をしてくれて嬉しかった」

 

雪ノ下「ねえ、比企谷君。あの頃のあなたはどこに行ってしまったの?」

 

雪ノ下「あなたとなら、築けると思ったのに」

 

雪ノ下「何も言わなくても通じて、何もしなくても理解されて、何があっても壊れない、本物の関係」

 

雪ノ下「それはあなたも私も望んでいたものの筈よ。あなたなら分かるわよね?」

 

八幡「お、お前、なに言ってんだよ……淡々と長台詞言うなよ、ちょっと怖かったぞ」

 

雪ノ下「比企谷君、残念なことにあなたは変わってしまった。だから、あの時と違って、いまの私を理解できないのね……可哀想に」

 

雪ノ下「だから、私が元に戻してあげるわ」

 

雪ノ下「あなたを変えた要因を全て取り除き、あの時と同じ環境に戻す」

 

雪ノ下「考えてみれば、一人ぼっちを自称するあなたの周りに、人が居るのは可笑しな話とは思わない?」

 

雪ノ下「だから、戻しましょう。全部。そうすれば、比企谷君は戻る。あの時のように、本当の一人ぼっちに……」

 

八幡「別に俺は変わってないし、変わってたとしても、なにもしないで理解なんてできるかよ」

 

雪ノ下「それが、できたのよ。私達なら、本当の関係を築けたのなら」

 

八幡「んだよそれ、ニュータイプイノベイター?それともXラウンダーか? そんなもん無理に決まってるだろ。俺なんてなれても精々スーパーパイロットが限界だ」

 

雪ノ下「……どうして、わかってくれないのかしらね」

 

八幡「どうしてそれで分かると思うんだよ……」

 

雪ノ下「あなたを大きく変えた要因……やはり、彼女はこの部に入れたのが全ての間違いね」

 

八幡「……由比ヶ浜のことか?」

 

雪ノ下「あら、他に誰がいるのかしら……?」

 

八幡「……」

 

雪ノ下「彼女があなたと触れなければ……そうすれば……」

 

八幡「……少なくと、由比ヶ浜に会ってようがなかろうが、俺にはお前が理解できねえよ」

 

雪ノ下「……そう」

 

八幡「言いたいことはこれで全部か?」

 

雪ノ下「ええ……一応聞くけど、私の事を理解できたかしら?」

 

八幡「できるわけねえだろ」

 

雪ノ下「残念ね……」

 

雪ノ下「……一人でものに出来るのなら、よかったのだけど、そういう訳にはいかないようね」

 

雪ノ下「いいわ、入ってきて」

 

八幡「えっ?」

 

ガチャ

 

由比ヶ浜「もう、ゆきのん。あたしのこと容赦なく言いすぎだよ~」

 

雪ノ下「文句は言わない約束よ」

 

平塚「やはりこうなったか。やはり比企谷は手強いな」

 

いろは「ホントは協力なんかしてまで手に入れたいなんて思ってませんでしたけど、逃げられっぱなしは嫌ですしね」

 

留美「……八幡、会いにきたよ」

 

小町「もう、お兄ちゃん。勝手に外泊なんて酷いよ……あれは小町的にポイント低い」

 

八幡「えっ……えっ?」

 

八幡「おい、おい、なんだこれは……どういうことだ説明しろ雪ノ下!」

 

雪ノ下「組む事にしたのよ」

 

八幡「く、む……?」

 

雪ノ下「ええ、一人だけの力では限界がある」

 

由比ヶ浜「でもみんなの力を合わせれば!」

 

平塚「比企谷を手に入れられる」

 

いろは「先輩を落とせる」

 

留美「八幡○○○○できる」

 

小町「お兄ちゃんと結婚できる!」

 

雪ノ下「せっかく、同じ条件で、ということで平等にみんなに薬を配ったのに、まさかそれが原因で耐性ができるとはね。とんだ失敗だったわ」

 

いろは「そうですよ、雪ノ下先輩が毎日先輩に薬使ってたせいで、せっかくのチャンスが無駄になったじゃないですか~」

 

雪ノ下「文句を言わないでくれないかしら? 元々その薬を提供しうたのはこの私よ?」

 

小町「おしいな~ポイントがもう少し早く貯まっていたらお兄ちゃんは小町のものだったのに」

 

八幡(なんだ、これは……)

 

八幡(ヤバイ……とにかく危険だ。逃げなくては)

 

八幡(扉まで約6m程度、ドアは閉まっている。空けて脱出するのにだいたい3秒程度)

 

八幡(相手は6人だが全員女。俺を止めれるのは精々、先生か雪ノ下くらい……)

 

八幡(そして、今。奴らは仲間間での情報共有をしている最中……逃げるなら今!」

 

八幡「くっ!」ダッ

 

小町「あっ!お兄ちゃんがっ!!」

 

八幡(流石だな、小町。俺が動き出したと同時にすかさず声を上げ、退路をふさぐ)

 

八幡(だが甘い! お前が声を上げる前!、そのほんの数瞬前に俺はすでに脚を一歩踏み出していた!)

 

平塚「くっ、いい加減キミも諦めろ!」

 

ヒョイ

 

平塚「ちぃ、逃がした! 雪ノ下!」

 

雪ノ下「逃がさないわ、比企谷君」

 

八幡(無理だ雪ノ下。扉から一番離れていたお前じゃ、既に一歩踏み出ていた俺を捕らえることはできない!)

 

八幡(だれにも気付かれず、初動を済ます。これこそがぼっちだからこそできる芸当)

 

八幡「スーパーぼっちを舐めるなよ!」ガチャ

 

八幡(よし、扉は開いた! あとはここから逃げて……)

 

ガシ

 

八幡「なっ……?」

 

葉山「どこにいくつもりだい? ヒキタニ君」

 

八幡「は、葉山……な、なんでお前が……」

 

ガシ

 

八幡「ひっ」

 

雪ノ下「念のための保険として彼を呼んでおいたけど、正解だったようね」

 

葉山「これでよかったのかい? 雪ノ下さん」

 

雪ノ下「ええ、十分よ」

 

葉山「報酬の件は……」

 

雪ノ下「……私には理解し難いわね。私達と比企谷君の交わる様子を見せて欲しいだなんて」

 

葉山「俺には、彼が理解できなかった。だけど、もし彼がキミたちによって、愛を知るなら、俺は彼を理解できるのかもしれない。その瞬間を見てみたいだけさ」

 

雪ノ下「……やはり、理解できないわね」

 

ネーユキノサーン、ソロソロハジメチャッテモイイデスカー?

エエ、カマワナイワミンナモソロソロゲンカイデショウ?

ソレジャアタシガサイショニヒッキートキススルネー

エーユイセンパイズルイデスヨ

ハチマンペロペロ

ワ、ワタシハネンチョウシャダシナマズハワタシガミホンヲミセテ

 

―――

――

 

川崎(比企谷が学校を辞めて、随分経った)

 

川崎(比企谷だけじゃない。雪ノ下も、由比ヶ浜も、あの新しい生徒会長も……そして平塚先生も、みんな辞めた)

 

川崎(大志が言うには、比企谷の妹も最近学校に来なくなったらしい)

 

川崎(ねえ、比企谷。あんたいまどこで何してんの?)

 

川崎(雪ノ下や由比ヶ浜も、あんたのとこにいんの?)

 

川崎(……もう一度、あんたに会いたい)

 

川崎(あんたに、このお腹の子を見せてあげたいのに……)

 

川崎(あたしを、愛していると、必要だと言ったんだから、)

 

川崎(責任、とりなさいよ……)

 

 

 

 

 

 

 

 

八幡「俺の周りがこんなに病んでる訳がない」

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