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暦「僕と別れてくれないか」 ひたぎ「そう、わかったは、チェンソーでいいかしら」【化物語ss/アニメss】

 

戦場ヶ原「あら阿良々木君、何をふざけたことを言ってやがるのかしら」

 

阿良々木「すまない戦場ヶ原」

 

戦場ヶ原「謝らないで。ところで何を言ったの」

 

阿良々木「僕と別れてくれないか」

 

戦場ヶ原「そう、細胞分裂したいのね。わかったは、チェンソーでいいかしら」

 

阿良々木「それは僕が真っ二つに分かれるってことだろうが!というかチェンソーがあるのか!?」

 

戦場ヶ原「コンビニに売っているわよ、知らないの」

 

阿良々木「少なくとも僕が行くようなコンビニにはない!」

 

阿良々木「戦場ヶ原、僕はお前のそういうところにもう付いていけないんだ」

 

戦場ヶ原「どういうところかはっきりと言いなさい。そういうところ、阿良々木君の悪いところよ」

 

阿良々木「ツン過ぎてデレが少ないところだよ!」

 

戦場ヶ原「大好きよ阿良々木君」

 

阿良々木「いきなりデレた!?」

 

戦場ヶ原「てへり、どう?」

 

阿良々木「かわいくないっ!いきなり頭をこつんとしてベロを出したところで無表情なお前ではかわいくないっ!」

 

戦場ヶ原「あら失礼ね。こんなに尽くす彼女は他にいないわ、そうこの宇宙のどこにも」

 

阿良々木「規模がでかい!!」

 

戦場ヶ原「私のどこが悪いのかしら」

 

阿良々木「さっき言っただろ。僕はそう、もっと普通な恋人が欲しいんだ」

 

戦場ヶ原「普通とは何かしら。阿良々木君、あなたはもしかして自分の思う、考える全てが普通だとでも思っているの」

 

阿良々木「別にそうじゃない。でもな、眼球に鉛筆の先を突き立てられる彼氏の身にもなってみろ」

 

戦場ヶ原「不満かしら」

 

阿良々木「不満しかねぇよ」

 

戦場ヶ原「もっとハードなプレイがいいのね」

 

阿良々木「そうじゃない!!もっとソフトにしろ、むしろ優しくしろっ!!」

 

戦場ヶ原「それよりも阿良々木君、わたしはうまいぼぉが食べたい気分」

 

阿良々木「露骨に話題を変えてきた!」

 

戦場ヶ原「私が好きなのは、お好み焼き味よ。知ってたかしら」

 

阿良々木「知らない!というかうまいぼぉの話題なんてした覚えがないんだが」

 

戦場ヶ原「そんな、うそ、知らないなんて……」

 

阿良々木「そこまでショックを受けることか?」

 

戦場ヶ原「いいえ、別にどうでもいいわ……でも、一番好きなのは阿良々木君よ」

 

阿良々木「キュンとこない!!無理やり過ぎる言葉運びで胸にキュンとこない!!」

 

戦場ヶ原「ねぇ、そんなことより」

 

阿良々木「そんなこともどんなこともない。戦場ヶ原、俺はお前とはいっしょに居られないんだ」

 

戦場ヶ原「どうして、なぜ。本当に私には理解できないの」

 

阿良々木「なぁ戦場ヶ原。お前は本当に心当たりがないのか」

 

戦場ヶ原「ないわ」

 

阿良々木「即答かよっ!!」

 

戦場ヶ原「強いて言うなら……大丈夫よ阿良々木君。確かにあなたと比較すると、釣り合いが取れないのかもしれないけれど」

 

阿良々木「僕の容姿のことを言ってるんだな!?そうなんだな!?」

 

戦場ヶ原「体重の話しよ」

 

阿良々木「体重で釣り合う恋人ってどうなんだ!?」

 

戦場ヶ原「……阿良々木君」

 

阿良々木「なんだよ」

 

戦場ヶ原「今夜は帰さないわよ」

 

阿良々木「かっこいいこと言った!?」

 

戦場ヶ原「ふふん」

 

阿良々木「……戦場ヶ原、どうすれば僕の話を聞いてくれるんだ?」

 

戦場ヶ原「そうね。キス、しましょう阿良々木君」

 

阿良々木「お、おい戦場ヶ原……いきなりそんな寄ってくるな……」

 

戦場ヶ原「どうしてかしら。私たちは恋人よ、キスくらいなら私にだってできるわ」

 

阿良々木「とりあえず落ち着け!」

 

戦場ヶ原「……」

 

戦場ヶ原「仕方ないわ。今だけは言うことを聞いてあげる、感謝なさい阿良々木君」

 

阿良々木「あーありがとう戦場ヶ原っ!」

 

戦場ヶ原「なによその態度。割と本気で傷つくのだけれども」

 

阿良々木「すまん。確かに少し悪かった」

 

戦場ヶ原「じゃあもっと私を大切にしなさい」

 

阿良々木「はい、そうしま……じゃない!!」

 

戦場ヶ原「……ちっ」

 

阿良々木「いま舌打ちしたのか!?戦場ヶ原、恐ろしい子!!」

 

阿良々木「とにかく、別れないか僕ら」

 

戦場ヶ原「いやよ」

 

阿良々木「どうしてなんだ。自分で言うのもなんだが、僕みたいなさえない男は他にたくさん――」

 

戦場ヶ原「あなたはばかだったわね。阿良々木君ほどの男の子なんてそう居ないわ」

 

阿良々木「吸血鬼属性のことを言っているのか」

 

戦場ヶ原「鈍感もここまでくると凶器かしら。鈍器で殺害できるレベルね」

 

阿良々木「僕の鈍感さで人を殺してしまうのか!?」

 

戦場ヶ原「少なくとも」

 

阿良々木「否定しろよ!!」

 

阿良々木「そう、そこなんだ戦場ヶ原」

 

戦場ヶ原「そことはどこを指して言っているの。もしかして、いやだわ、厭らしい……」

 

阿良々木「やめて、そんなゴミを見るような目で机の上から見下さないで!!」

 

戦場ヶ原「もっと見下してあげる」

 

阿良々木「天井の柱にまで登るくらいか!?というか落ちたら危ない!!」

 

戦場ヶ原「心配してくれているのね、嬉しいわ」

 

阿良々木「誰だって心配する、降りてくるんだ戦場ヶ原」

 

戦場ヶ原「優しく受けてとめて」

 

阿良々木「飛び降りる予告をするな!」

 

阿良々木「とにかくだ戦場ヶ原。その僕を罵倒する数々の暴言が耐えられなくなってきたんだ」

 

戦場ヶ原「…………」

 

阿良々木「だから、別れよう。きっと僕らは上手くいかない」

 

戦場ヶ原「あら、目にゴミが入ったかしら。目薬を差してくるわ」

 

阿良々木「ああ、それくらいなら」

 

戦場ヶ原「いやよ、別れたくないわ」ウルウル

 

阿良々木「だから露骨すぎるぞ戦場ヶ原!?」

 

戦場ヶ原「女の涙は武器なのよ、知らなかったのね」

 

阿良々木「偽者の武器なんて通用するか」

 

戦場ヶ原「…ええ、偽者よ。でも阿良々木君にならもしかするとと思って」

 

阿良々木「その自信はどこから来るんだ!?」

 

阿良々木「別れよう、戦場ヶ原」

 

戦場ヶ原「これで5度目の別れ話です」

 

阿良々木「どこかの帰国子弟がボーカルのバンドグループの数字ばかりのタイトルの歌詞の一部を引用したような言い方をするな」

 

戦場ヶ原「私の答えは、いやよ」

 

阿良々木「……どうすれば別れてくれるんだ」

 

戦場ヶ原「阿良々木君と今別れてしまうと、きっと他の女の子達が黙っていないと思うの」

 

阿良々木「まさか。僕はモテない非実在的青少年だぞ」

 

戦場ヶ原「その鈍感さ、何度も言うけれど人を殺すわよ。少なくとも私が死にそう」

 

戦場ヶ原「逆に問いかけるわ。どうすれば別れないで済むのかしら」

 

阿良々木「残念ながらその選択枝はどこにもない」

 

戦場ヶ原「待っていればバッドエンドを回避できるっていう」

 

阿良々木「そんな都合のいい展開はない」

 

戦場ヶ原「ご都合主義って知っているかしら阿良々木君」

 

阿良々木「真に残念だがこれは現実だ。ジャプの週刊誌の主人公のような展開は用意されていない」

 

戦場ヶ原「なら私は私なりの方法で阿良々木君を引き止めるしかないのね」

 

阿良々木「お前はどうしてそこまで意固地になっているんだ」

 

戦場ヶ原「あなたが好きだから」

 

阿良々木「……」

 

戦場ヶ原「キュンとしたかしら」

 

阿良々木「認めたくないが、認めるしかない……」

 

戦場ヶ原「そう」

 

阿良々木「しかしだ、これはあくまでも数字にすると1キュンだ。今までの数え切れないツンに比べると些細なものでしかない」

 

戦場ヶ原「でも阿良々木君、考えてもみて欲しいの。私と別れるということはこのキュンを味わうことができなくなってしまうのよ」

 

阿良々木「キュンを頂く前にお前の暴言に僕が潰されてしまいそうだ」

 

戦場ヶ原「大丈夫、工作なら得意よ」

 

阿良々木「そういう問題じゃねぇ!というか僕の心はもっと繊細だ!」

 

戦場ヶ原「何を言っているのかしら、あなたの肉体の話をしているのよ」

 

阿良々木「暴言だけで潰れる僕の肉体!工作程度で治されてしまう僕の肉体ってなんなんだ!!」

 

戦場ヶ原「……えと」

 

阿良々木「そろそろ僕は帰りたいのだが」

 

戦場ヶ原「何を言っているの阿良々木君。まだ話しは終わっていないのよ」

 

阿良々木「二人の関係はもう終わりそうだけどな」

 

戦場ヶ原「お願い、待って、もう少しだけでも話しをしましょう」

 

阿良々木「……」

 

戦場ヶ原「お願い……します、阿良々木君」

 

阿良々木「お前のそんな顔、初めて見た」

 

戦場ヶ原「それもそうよ。なんだか、今行かせてしまうと、もう元の関係には戻れない気がするのよ」

 

阿良々木「……わかったよ戦場ヶ原。でも、家に電話くらいはさせてくれ。もう夜中に差し掛かる時間帯だ」

 

戦場ヶ原「わかったわ」

 

阿良々木「電話をしてきた。火憐ちゃんがすごく怒ってた」

 

戦場ヶ原「……どうかしら」

 

阿良々木「っておい戦場ヶ原!なんでお前下着姿になってんだ!」

 

戦場ヶ原「腹を割って話しましょう阿良々木君」

 

阿良々木「だからって腹を見せる必要はない!風邪を引かれたら困るから、早く服を着てくれ!」

 

戦場ヶ原「本当にそれでいいのかしら。女の子の下着姿なんてそう易々と見られるものでもないと思うのだけど」

 

阿良々木「……服を着るんだ戦場ヶ原。それだとマジメな話しができないだろ」

 

戦場ヶ原「わかったわ阿良々木君。だからそう怒らないで欲しいの」

 

阿良々木「ああ。ってどうしてパジャマなんだ!?」

 

戦場ヶ原「もう布団も敷いてあるわ」

 

阿良々木「既成事実を作ろうとしている!」

 

戦場ヶ原「ねぇ阿良々木君、今日はどんな日だったかしら」

 

阿良々木「お昼過ぎに待ち合わせして、買い物行って」

 

戦場ヶ原「あまり面白くなかった映画を見て、晩御飯をいっしょに食べたわ」

 

阿良々木「普通のデートだな、客観的には」

 

戦場ヶ原「阿良々木君とのデート、すごく楽しかったわ」

 

阿良々木「その間、遅刻もしていないのに遅刻扱いにされ、買い物では我侭を言われ、ポップコーンは思わせぶりなあーんだけだった」

 

戦場ヶ原「え」

 

阿良々木「晩御飯なんて、僕が作ったのに美味しいとも言ってくれなかった」

 

戦場ヶ原「それは全部照れていたのよ、理解して」

 

阿良々木「いま素直になられても信用できないぞ戦場ヶ原」

 

戦場ヶ原「いま素直にならないと、阿良々木君を手放してしまいそうだからよ」

 

阿良々木「もう僕はお前がわからないんだ。だから僕はお前といっしょに居ても」

 

戦場ヶ原「それ以上言うと、ホッチキスで口内を刺すことになるのだけど」

 

阿良々木「はは、そういえば最初もそんな出会いだった気がする」

 

戦場ヶ原「ふふふ、ええ、そうだったわ」

 

阿良々木「……」

 

戦場ヶ原「……」

 

阿良々木「なぁ」

 

戦場ヶ原「いや、別れるなんて絶対にいや。もしそうなると、私はあなたを殺すしかない」

 

阿良々木「神原でも殺し切れない僕をどうやって殺すんだ」

 

戦場ヶ原「一生かけてでも殺してみせるわ」

 

阿良々木「まるでストーカーみたいだな」

 

戦場ヶ原「いいえ、スナイパーよ」

 

阿良々木「命の危機がより高まった!」

 

阿良々木「……」

 

戦場ヶ原「ココアでも入れましょうか」

 

阿良々木「いいや結構だ」

 

戦場ヶ原「そう……」

 

阿良々木「……せんじょう」

 

戦場ヶ原「じゃあトランプをしましょう阿良々木君」

 

阿良々木「そんな空気じゃないと僕は思う」

 

戦場ヶ原「……そう」

 

阿良々木「いつまで話題を反らすつもりなんだ戦場ヶ原」

 

戦場ヶ原「いつになく強気ね」

 

阿良々木「お前を相手にしているんだからな。これくらい強気にならないと話しができない」

 

戦場ヶ原「買い被られたものね。私だったその辺りにいる普通の女の子なのよ」

 

戦場ヶ原「今だって必死にあなたを引き止める術を考えているの」

 

阿良々木「……」

 

戦場ヶ原「素直じゃない、ひねくれた私がだめかしら。それとも、ツンばかりで暴言が多い私がだめなのかしら」

 

阿良々木「それは」

 

戦場ヶ原「両方とも、よね。いいえ、もしかすると、もっと何かがあるのかもしれない」

 

阿良々木「……」

 

戦場ヶ原「我侭なところ? めんどくさいメンヘラ女なところ? ねぇ、お願い、教えて……下さい……」

 

阿良々木「いろいろと理由はあるんだが、最大の理由はお前がもう信じられないんだ」

 

戦場ヶ原「阿良々木君に嘘を言ったことなんてないわ」

 

阿良々木「そうかもしれない。いや実際にはお前の言う通りだ。僕はお前に嘘をつかれたことがない。でも、だからこそ、罵倒や暴言も事実と受け止めたとき、お前の愛が信じられない」

 

戦場ヶ原「そんな」

 

阿良々木「何でも言おう、改めて言わせてもらう。別れよう、戦場ヶ原」

 

戦場ヶ原「……目薬を差してきます」

 

阿良々木「また目にゴミが入ったのか」

 

戦場ヶ原「……」

 

阿良々木「おい、少し目薬やりすぎじゃないのか」

 

戦場ヶ原「黙りなさい。あまりに大きなゴミが入ってしまったせいで」

 

阿良々木「……戦場ヶ原?」

 

戦場ヶ原「だめ、ゴミが取れないの。目薬が足りないなんて初めての経験ね」

 

阿良々木「もう止めろ。逆に目に悪いっ!」

 

戦場ヶ原「なっ!? 離しなさい阿良々木君っ!」

 

阿良々木「もしかして、泣いているのか?」

 

戦場ヶ原「……目にゴミが入っただけ、何度も言わせないで」

 

阿良々木「だが」

 

戦場ヶ原「離しなさいっ! もう、これ以上惨めな思いをさせないで、私を見ないで」

 

阿良々木「……」

 

戦場ヶ原「お願い阿良々木君、本当にお願い。私と別れるなんて言わないで」

 

阿良々木「……無理だ。お前の涙を見ても、それが本当なのかどうかさえ解らない」

 

戦場ヶ原「私が解らないというなら、それなら少しづつ私を教えてあげるから」

 

阿良々木「……」

 

戦場ヶ原「私の好きな食べ物も、ブランドも、本も、趣味も、なにもかも教えるから。好みが合わないというならあなたに合わせる。あなたが好むものがあるなら、願うものがあるなら精一杯叶えてみせる手に入れてみせる」

 

阿良々木「……僕が欲しいのはそういうものじゃない」

 

戦場ヶ原「……初めて、今までで初めて阿良々木君が解らなくなってきた」

 

戦場ヶ原「……阿良々木君」

 

阿良々木「どうした戦場ヶ原、僕の手を掴んでどうするつもりなんだ」

 

戦場ヶ原「……」

 

阿良々木「戦場ヶ原! どうして胸に持っていく必要がある!」

 

戦場ヶ原「……ねぇ阿良々木君、私の胸、鼓動が激しいのわかるかしら」

 

阿良々木「……」

 

戦場ヶ原「今日は、最初のうちは大好きな阿良々木君とのデートで胸が高鳴っていたわ。でも今は…、あなたと別れるのが怖くてこんな風になってしまったの」

 

阿良々木「戦場ヶ原……」

 

戦場ヶ原「お願い阿良々木君、もう一度だけチャンスを下さい。あなたが望むものを与えられるように努力する……」

 

阿良々木「……」

 

戦場ヶ原「……阿良々木君」

 

阿良々木「別れよう」

 

戦場ヶ原「……」

 

阿良々木「もう、戦場ヶ原も解っているだろ。もとには戻れない」

 

戦場ヶ原「……」

 

阿良々木「今までありがとうな、こんな冴えない奴を好きになってくれて」

 

戦場ヶ原「……」

 

阿良々木「……離してくれないだろうか」

 

戦場ヶ原「……や、よ」

 

阿良々木「……戦場ヶ原?」

 

戦場ヶ原「いや、いやに決まってるわ……うぅっ……」

 

阿良々木「で、でもだな」

 

戦場ヶ原「だってこんなの……私が一方的に悪いみたいで……ひっく……でも、じ、実際には……私が……」

 

阿良々木「ごめんな」

 

戦場ヶ原「謝らないで……うぅ、ひっく……阿良々木君は悪くない……から……」

 

阿良々木「……もう、お互い辛いだけだと思うんだよ」

 

戦場ヶ原「いやぁっ……おねがいです、おねがいします……おねがいだからぁ……ひっ、うぅぅ……あぁ」」

 

阿良々木「……」

 

戦場ヶ原「好きなの、あなたが好きで、あなたに会えるだけで毎日幸せで、それだけでいいの……」

 

阿良々木「……もうやめよう戦場ヶ原」

 

戦場ヶ原「―――っ!!!」

 

阿良々木「さよならだよ」

 

戦場ヶ原「いやっ、おねがい、行かないで!」

 

阿良々木「でも安心しろ、当分は誰かと付き合ったりはしないからさ」

 

戦場ヶ原「そうじゃないっ!! わたしが、わたしが阿良々木君の隣にいられないなら、それなら……」

 

阿良々木「……ああ、そうだよな」

 

戦場ヶ原「……あなたを殺すわ」

 

阿良々木「はは、まさかカッターナイフで……元カノに腹を……引き裂かれるなんてな…………」

 

戦場ヶ原「……」

 

阿良々木「……」

 

戦場ヶ原「……うぅ、あああ……ぁぁ、ひっく……うぅうぅう」

 

阿良々木「ごめんな、この程度じゃ死なないんだよ僕は」

 

戦場ヶ原「……いいえ、死んだわ……わたしが好きだった阿良々木暦は死んだ、死んでしまったから……」

 

阿良々木「……そうか」

 

戦場ヶ原「もう帰って……ゾンビは怖いわ……」

 

阿良々木「ああ、帰るよ。戦場ヶ原」

 

戦場ヶ原「……さようなら」

 

阿良々木「……さようなら」

 

 

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阿良々木「……もうやめよう戦場ヶ原」

 

戦場ヶ原「―――っ!!!」

 

阿良々木「さよならだよ」

 

戦場ヶ原「いやっ、おねがい、行かないで!」

 

阿良々木「でも安心しろ、当分は誰かと付き合ったりはしないからさ」

 

戦場ヶ原「そうじゃないっ!! わたしが、わたしが阿良々木君の隣にいられないなら、それなら……」

 

阿良々木「……ああ、そうだよな」

 

戦場ヶ原「……あなたを殺すわ」

 

阿良々木「…………」

 

戦場ヶ原「……」

 

阿良々木「……」

 

戦場ヶ原「……」

 

阿良々木「……なぁ、僕はてっきり刺されるかと思っていたんだが」

 

戦場ヶ原「ふふ、そんなこと……できるはずないわ……ばか」

 

阿良々木「どうしてなんだ戦場ヶ原」

 

戦場ヶ原「いい加減に理解しなさい。私は阿良々木君が好き、愛しているの、傷付けたくなんてないの」

 

阿良々木「戦場ヶ原?」

 

戦場ヶ原「きっとこのカッターナイフで刺してしまうと、阿良々木君の心まで傷つけてしまいそうだと思ったのよ」

 

阿良々木「……」

 

戦場ヶ原「阿良々木君はお人よしで優しいから、きっと私の全部を受け入れてくれるから。このカッターナイフだってきっと真っ直ぐ受け入れてしまうわ」

 

阿良々木「……戦場ヶ原」

 

戦場ヶ原「そうして私の失恋をまっすぐ受け入れてしまって、自分ばっかり背負い込んで……」

 

阿良々木「それこそ僕を買いかぶり過ぎだ」

 

戦場ヶ原「……ねぇ阿良々木君、どうして私と別れたいって思ったのかしら」

 

阿良々木「だからそれは何度も言っているだろう。お前の暴言とか」

 

戦場ヶ原「嘘はよくないわ阿良々木君」

 

戦場ヶ原「あなたはわたしを甘く見ているのね。私は、阿良々木ストーカーなのよ、あなたの知らないことなんて何一つないわ」

 

阿良々木「それは違うな戦場ヶ原。僕は素直な気持ちでお前と別れようと思ったんだ」

 

戦場ヶ原「……いいえ違うわ。そんなの、阿良々木君が言うような言葉ではないもの」

 

阿良々木「……」

 

戦場ヶ原「何が怖いのかしら。本音を言う事?それとも、自分のこと?」

 

阿良々木「だからっ!」

 

戦場ヶ原「正直に話してちょうだい」

 

阿良々木「それは命令なのか?」

 

戦場ヶ原「お願いよ。私の命を懸けてもいい」

 

阿良々木「……」

 

阿良々木「どうしてそんなことに命を懸けられるんだお前は」

 

戦場ヶ原「それはね、あなたを誰よりも、何よりも信じているからよ」

 

阿良々木「……」

 

戦場ヶ原「別に阿良々木君は気にしなくていいわ。遺書には彼氏にふられて自殺しましたって書くもの」

 

阿良々木「はは。それだと僕に対する世間の目が厳しくなってしまうな」

 

戦場ヶ原「そうなりたくなかったら、正直に理由を話しなさい」

 

阿良々木「……わかったよ、言うよ」

 

阿良々木「実は僕はすごく怖がりだ」

 

戦場ヶ原「そうなの」

 

阿良々木「そして自分のことばかり考えている最低な奴だ」

 

戦場ヶ原「私ほどではないけど?」

 

阿良々木「あはは。あとさ、僕って吸血鬼属性だろ」

 

戦場ヶ原「ええそうね」

 

阿良々木「……きっと、あと数百年以上は生きるだろう」

 

戦場ヶ原「……」

 

阿良々木「そうするとさ、きっと将来、周りには誰もいないんだよ」

 

戦場ヶ原「……ええ」

 

阿良々木「もちろんお前もだ。羽川も神原も千石も、八九寺だってどうなるかわからない」

 

戦場ヶ原「そうね」

 

阿良々木「妹たちや、僕の両親もいない」

 

戦場ヶ原「ええ」

 

阿良々木「そして何よりも苦痛なのは、お前がいなくなることなんだ」

 

戦場ヶ原「……」

 

阿良々木「これ以上さ、お前を好きなると……別れが怖いんだよ」

 

戦場ヶ原「……阿良々木君」

 

阿良々木「きっと、生きている限りはお前を忘れられない。記憶だって色あせさせない自信がある。今までだって、お前との思い出は大事にしてある」

 

戦場ヶ原「やばい、かっこよすぎ……」

 

阿良々木「だからって、僕は将来自殺をする訳にもいかない。僕一人の命じゃないから」

 

戦場ヶ原「……」

 

阿良々木「だから、これ以上お前を好きになる前に、別れてしまえばって……はは、本当に僕って最低な奴だ、臆病者だな」

 

戦場ヶ原「そうね、その通りだわ」

 

阿良々木「ああ、そうだ……」

 

阿良々木「これでわかっただろ。僕がお前と別れたい理由をさ」

 

戦場ヶ原「わかったわ」

 

阿良々木「じゃあ、これでさよならだ」

 

戦場ヶ原「あなたは何を言っているのかしら?」

 

阿良々木「……は?」

 

戦場ヶ原「そんなあなたの身勝手な理由で別れるとでも思っているのかしら。このど低脳は本当にどうしようもないわ。あなた本当に人間?」

 

阿良々木「いや、吸血鬼だ。というか突然元気になったな戦場ヶ原……」

 

戦場ヶ原「元気じゃないわ。というかこれは照れ隠し」

 

阿良々木「はぁ?」

 

戦場ヶ原「そんな、数百年先の未来まで続く愛の告白を受けて喜ばない女なんていないわ。少なくとも私は嬉しいと思うけれど」

 

阿良々木「……お前って本当に変わっているよな」

 

戦場ヶ原「それに、これで二度目よ。あなたの前で泣いてしまったの」

 

阿良々木「確かに」

 

戦場ヶ原「一度目はまぁいいとしましょう。でも、今回のは許せない。忘れなさい、私が泣いてしまったこと」

 

阿良々木「なんでだよ」

 

戦場ヶ原「……私は普通の人間だもの、あと70年くらいすれば死ぬかもしれない」

 

阿良々木「……」

 

戦場ヶ原「だから、私の残りの人生において、あなたの前だけでは笑顔であり続けるわ」

 

阿良々木「どうしてだよ」

 

戦場ヶ原「そうすれば、あなたは私と過ごした幸せな記憶を胸に抱いて生きていけるじゃない」

 

阿良々木「……戦場ヶ原」

 

戦場ヶ原「悔しいかしら。一度は泣かしたはずの女が、常に笑顔でしか思い出せなくなってしまうなんて」

 

阿良々木「……ああ、悔しいさ!」

 

戦場ヶ原「だから阿良々木君、わたしと今別れるなんて言わないで頂戴」

 

阿良々木「戦場ヶ原、お前」

 

戦場ヶ原「私が死んでしまった先でも、私を思い出す度に幸せな気持ちになれるように呪いをかける必要があるんだもの」

 

阿良々木「……そうか、俺は呪われる必要があるんだな」

 

戦場ヶ原「ええそうよ、その通りよ。だから、これからもずっと宜しくお願いするわ」

 

阿良々木「そこまで言われてしまったら、僕も言い返すことができなくなるな。ああ、よろしく。死が二人を分かつそのときまで」

 

 

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~~~数百年後~~~

 

 

忍「カカ、お前様、どうしたんじゃ? 空ばかり見上げてにやにやしおって」

 

暦「ああ、昔のことを思い出していたんだよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

元スレ

阿良々木「戦場ヶ原をフッてみる」

https://hayabusa.5ch.net/test/read.cgi/news4vip/1330092418