アニメssリーディングパーク

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一夏「シャルも一緒に入るか?」 シャル「一夏のえっち....」【インフィニット・ストラトスss/アニメss】

 

-IS学園寮・個室トイレ-


シャル(陽性・・・・・・)

シャル(・・・・・・・・・・)

シャル(あれから・・・)

シャル(もう三ヶ月・・・)

シャル(・・・・・・・・・・)


-回想-
シャル「これからは、シャルロットって呼んで?」

一夏「・・・えっ?」

一夏(はあ・・・はあ・・・。 せ、背中にち、乳首が・・・!) ギンギン!

シャル「うん・・・。 ボクのお母さんが付けてくれた、本当の名前・・・」

一夏「・・・わかった」 ギンギン!

一夏「シャルロット・・・」 ギンギン!

一夏(・・・ああもう・・・、我慢が・・・!) ギンギン!

ガバアッ! バシャバシャ!

シャル「!? い、一夏!?」 ///

一夏「くっ・・・!!はあ・・・はあ・・・!」 ギンギン!!

シャル「!! 一夏!? ちょっとまっ・・・!」

ああああっ・・・!

            


----------


シャル(IS学園に来る際に持たされた、妊娠検査具・・・)

シャル(・・・使う事に、なるなんて)

シャル(おまけに・・・)

シャル(・・・・・・・・・・・)

シャル(・・・・・・一夏) ジワ・・・

シャル(会いたい・・・!) ポロッ・・・



-放課後・IS学園・中庭付近のベンチ-

シャル(事が済んだ後、一夏は「ごめん」とだけ言った・・・)

シャル(・・・・・・あの翌日に、ボクは自分が女の子である事を明かしたけど)

シャル(一夏は・・・ボクを避ける様になった)

シャル(結局・・・理由は聞けずじまい・・・)

シャル(・・・・・・・・・・・・・でも)

シャル(もう、そんな事を言ってられない・・・!)

シャル(もう・・・)

 


-夜・IS学園寮・ロビー付近-

鈴「あ、シャルロット」

シャル「・・・ん? 鈴・・・、何か用かな?」

鈴「山田先生が探してたわよ?」

鈴「昨日提出予定の課題は、まだかな?って・・・」

シャル「・・・あ! ・・・忘れてた」

鈴「珍しいわね、シャルロットが課題を忘れるなんて」

シャル「そ、そう? ボクだってそんな時くらいあるよ」 クスッ

鈴「まあ、いいわ。 じゃ、確かに伝えたからね?」

シャル「うん、ありがとう」


シャル(・・・・・・・・・)

シャル(・・・しょうがない。 もう遅い時間だし、明日にしよう・・・)

シャル(・・・・・・・・・)

シャル(・・・でも)

シャル(早くしないと・・・)



-翌日・休み時間・1組教室-

セシリア「一夏さん、お昼はいかがなさいます?」

一夏「おう、そうだな・・・。久しぶりに屋上で食うか?」

セシリア「はい、わかりました」

箒「そうか、ではそうしよう」

セシリア「箒さん・・・。 どこから沸いてきましたの」

箒「・・・さっきから隣にいるが?」

ラウラ「私も居るぞ。 皆で食事をした方が美味いだろう?」

一夏「そうだよな、みんなで食おうぜ!」

セシリア「そ、そうですわね・・・」

セシリア(・・・もう)


シャル(・・・・・・みんな、何を話しているのかな)

シャル(・・・・・・・・・・・・)

シャル(一ヶ月前まであの輪の中に)

シャル(ボクもいた)

シャル(・・・・・・・・・・・・)

シャル(・・・・・・・・・・・・)

シャル(・・・止めよう、こんな事考えるの)



-放課後・第二アリーナ男子更衣室前-

ガチャ・・・

一夏「ふう・・・」

一夏「・・・!!」

シャル「・・・・・・・・・一夏」

一夏「・・・シャル」

シャル「一夏・・・話があるの」

一夏「・・・・・・・・おう」

シャル「でも・・・ここじゃ話せない」

シャル「だから、今夜・・・八時くらいに、一夏の部屋に行くから」

シャル「・・・じゃ」 ダッ・・・

一夏「・・・・・・・・・・」

 


タッ タッ タッ タッ  タッ・・・

シャル「・・・はあ・・・はあ・・・」

シャル「・・・・・・・・・・・・」

シャル(一夏・・・相変わらず)

シャル(ボクを見ようとしないね・・・) クスッ・・・

シャル(・・・・・・・・・・ううん)

シャル(それでもいいんだよ・・・)

シャル(一夏が、ボクを嫌いなら それでいい)

シャル(ただ・・・・・・・・)

シャル(それを・・・ボクにハッキリ言って)

シャル(・・・・・・お願いだから) ホロリ・・・



-夜・IS学園寮・一夏の部屋付近-

シャル「・・・・・・・・・・」

 コン  コン・・・

シャル「一夏・・・・・・」

シャル「・・・・・・・・・・」

シャル「・・・・・・・・?」

シャル「・・・一夏?」

コン   コン・・・

シャル「・・・・・・・・・・・」

シャル(・・・・・・・・・うそ)

シャル(居ないの?・・・それとも居留守?)


シャル「・・・リヴァイヴ、頭部、一極限定モードで起動」 スウウウウウンッ!

シャル「赤外線センサー、オンライン・・・」 ピピピ・・・ピ・・・

シャル(・・・・・・・・・・・)

シャル()

シャル(・・・・・・・居ない)

シャル(・・・・・・・・・・・・・)

シャル(・・・・・・・・・・・どうして)

シャル(どうして・・・どうして!・・・・どうして!!) ダッ

 


-同・IS学園・中庭付近-

シャル「・・・はあ・・・はあ・・・はあ」

シャル「・・・リヴァイブ、起動!」 スウウウウウンッ!

シャル「・・・どこなの、一夏!」

シャル「センサー範囲拡大、特定ターゲット指定・・・」 ピピピ・・・

シャル「目標・・・白式・・・!」 ピピピ・・・

シャル「・・・・・・・・・・・・」 ピピピ・・・

シャル「・・・・・・・・・・・・!」 ピ・・・・

シャル「・・・ここって」

 


シャル「セシリアの・・・部屋」

 ボクは・・・無意識の内に、アサルトライフルを起動して、スコープをのぞいた。
よせばいいのに・・・、それを止める事が出来なかった・・・。

シャル「・・・・・・・・・・・」


 寮の窓から、わずかに見えるセシリアと一夏の二人。
二人は、何かを話していた。・・・笑顔で。



ピピピ・・・『最終安全装置 解除』


ボクの、頭の中に、体中に、ドス黒い何かが駆け巡る・・・・・・。


ピピピ・・・『ターゲット・ロック  榴弾 装填』


 そうだよ・・・、このままほんの少し、指に力を加えるだけで終わる・・・。
何も考える事なんて、無い。



シャル「一夏・・・ボクは、そんなに嫌な娘だったのかな?」

シャル「確かにね? 軽率な事をしたと思うよ?」 ポロッ・・・

シャル「でも・・・、話をするくらいの約束も守りたく無かった?」 ポロ ポロ

シャル「ボクには・・・話をするだけの価値も無いって言うの?」 ポロポロ・・・

シャル「・・・だったら、どうしてボクに優しくしたの?」 ポロポロ・・・

シャル「・・・・・・どうして」 ポロポロ・・・

シャル「ボクに優しくしたのぉぉぉっ!!」 ポロポロ・・・

ボクは・・・・・・ボクは・・・・・・!

ググッ・・・!


-翌日・昼休み・食堂-

鈴「そのから揚げ、もーらいっ!」 ヒョイパク!

一夏「あっ! なにすんだよ! 鈴!」

鈴「にひひ~、いいじゃん。 ほら、あたしの卵焼きあげるから!」

一夏「ったく・・・、最初から交換しようって言えよ」

鈴「・・・・・・・・・」

鈴「・・・ところで一夏」

一夏「ん?」

鈴「最近、シャルロットを見ないわね?」

一夏「・・・・・・」


鈴「ま・・・あんたも何か避けている様だったし、深くはツッコミ入れないけど」

鈴「嫌いになったのなら、ハッキリ伝えてあげるのも『優しさ』なんだからね?」

一夏「・・・別にそう言うわけじゃ。 自然にそうなっただけさ」

鈴「ふ~ん・・・。 そう」

鈴(ライバルは減ったけど・・・。 なんかスッキリしないわね)

鈴(・・・今日のシャルロット、明らかに泣き腫らしてたし)

鈴「それじゃ、あたし 午後の授業の準備があるから。 これで失礼するわね?」

一夏「ああ、またな、鈴」

 


-同・屋上-

シャル「・・・・・・・・・」

シャル「・・・綺麗な空」

シャル「こういうのを日本で、なんて言うんだっけ・・・?」

シャル「・・・日差しも心地いいや」

シャル「・・・・・・・・・」

シャル「ああ、思い出した・・・」

シャル「『抜けるような青空』・・・だったね、一夏」 クスッ・・・

 


-放課後・IS学園寮・談話室-

箒「・・・そうか、同室のラウラにも話していないのか」

ラウラ「ああ。 私も昨日たずねたのだが・・・」

ラウラ「昨夜、八時前くらいに出かけて帰ってきてから・・・様子がおかしい」

箒「・・・そんな時間にどこへ?」

ラウラ「わからん・・・『ちょっと』としか言わなかった」

ラウラ「・・・でも、出かける前も深刻そうだった」

箒「・・・何があったのかな」


ラウラ「・・・・・・・・」

ラウラ「箒」

箒「ん?」

ラウラ「お前も気づいているのだろう?」

ラウラ「一夏が、明らかにシャルロットを避けているのを」

箒「・・・まあ、な」

ラウラ「私も・・・あえて見ぬフリをしていたが・・・」

ラウラ「なにか、関係があるのかもしれない」

箒「・・・・・・どうする?」

ラウラ「・・・・・・私も、それが知りたい」

 


         -夜・IS学園寮・ラウラとシャルの部屋-

ラウラ「・・・シャルロット」

シャル「・・・ん?」

ラウラ「言いにくいのだろうが・・・」

ラウラ「私で良ければ相談に乗るが?」

シャル「ラウラ・・・」

シャル「・・・・・・・・・・」


シャル「・・・ありがとう」

シャル「でも」

シャル「これは・・・とてもプライベートな問題だから」

シャル「・・・ごめん」

ラウラ「・・・いや、いいんだ」

ラウラ「・・・・・・・」

 


         -数日後・朝・職員室-

千冬「・・・・・・・・・・・」

山田「・・・どうかしました? 織斑先生?」

千冬「!・・・・・・山田先生」

千冬「いや・・・たいした事ではない」

千冬「このところ、デュノアの成績が芳しくないのでな・・・」

山田「ああ・・・確かにそうですね」

山田「そういえば、ぼんやりしている事も多いですし・・・」

 

千冬「・・・思春期の不安定さが出ているだけかもしれんが」

山田「気になるのでしたら、私が話をしましょうか?」

千冬「・・・・・・・・・いや」

千冬「しばらく様子を見よう」

千冬「デリケートな時期でもあるし・・・」

山田「そうですね・・・。 わかりました」

 


         -休み時間・1組教室-

セシリア「一夏さん、明日のお休みは、何かご予定はありますか?」

一夏「んー? いや、特には無いけど?」

セシリア「でしたら、わたくしと植物園に行きませんこと?」

セシリア「秋口の花が、見ごろだそうですわ」

一夏「植物園か。 ま・・・面白いかもな」

一夏「いいぜ、セシリア」

セシリア「はい! 一夏さん!」


一夏「箒とラウラも一緒にどうだ?」

セシリア(ああああ! い、一夏さん! 余計な事を!)

箒「・・・せっかくだが、部活があるのでな。 遠慮する」

ラウラ「私も私用で・・・明日は予定がある」

セシリア(な、なんですってー!!)


一夏「そっか・・・残念だな」

一夏「じゃあ、俺と二人で行くか、セシリア」

セシリア「は、はい!」 ///

セシリア(一夏さんと、二人っきりでお出かけですわ!) ///


箒「・・・・・・」

ラウラ「・・・・・・」

      


-昼休み・屋上-

鈴「なによそれ! あたしには誘いすら無いっての!?」

ラウラ「なら今から食堂に行って、参加したい、と言って来ればいい」

箒「一夏なら二つ返事で了解するな。 きっと」

鈴「・・・・・・・・」

鈴「やっぱ、いい・・・」

鈴「なんか、そんな気分になれないしね」

 


ラウラ「・・・お前は、シャルロットの事に気がついているか?」

鈴「つかない方がおかしいわよ・・・」

箒「ま・・・そうだろうな」

鈴「いつぐらいかしら・・・ね」

鈴「一夏が、シャルロットを露骨に避ける様になったの?」

箒「夏休み明けぐらいからだと思う」

ラウラ「そんなところだな・・・」

鈴「原因はなんなの?」

ラウラ「わからん・・・」

箒「私もだ・・・」


ラウラ「私はシャルロットと同室なので、それとなく たずねてみたが・・・」

ラウラ「・・・余程言いにくい事みたいだ」

鈴「そっか・・・」

鈴「すっきりしないわね」

箒「ああ・・・さすがに、シャルロットを まるで居ないかのように扱う一夏には・・・」

箒「好感が持てない」

鈴「セシリアは、お構いなしって感じみたいだけど」

ラウラ「・・・・・・このままで」

ラウラ「いいのだろうか?」

箒「・・・・・・・・・」

鈴「・・・・・・・・・」



-放課後・IS学園寮・ラウラとシャルの部屋-

シャル(・・・・・・・・・・・・)

シャル(・・・・・・もう一夏は)

シャル(ボクの事なんて、どうでもいいんだね・・・)

シャル(じゃあ)

シャル(自分で・・・何とかしないと・・・)

シャル(・・・・・・・・・)

シャル(答えは、簡単だよ・・・。 二つしかない)

シャル(・・・・・・・・・・・)

シャル(おろすか・・・おろさないか・・・)



-数週間後-

-1組実習授業-

千冬「それでは、恒例の模擬戦をしてもらう」

千冬「織斑、デュノア、前に」

一夏「・・・!」

シャル「・・・はい」

箒・ラウラ「・・・!」

千冬「・・・織斑、呼ばれたらちゃんと返事をしろ」

一夏「す、すみません」


一夏「・・・白式」 スウウウウウンッ!

シャル「リヴァイブ」 スウウウウウンッ!

一夏「・・・・・・・」

シャル「・・・じゃあ、行くよ? 一夏」

一夏「・・・・・・・」

シャル「・・・・・・たああっ!」

タタタタタタタッ!

 


千冬「・・・・・・・・・」

箒「・・・・・・・・」

ラウラ「・・・・・・・・・」

セシリア(一夏さん、いつも通り、かっこいいですわ)♪

千冬「・・・・・・・・・・」



箒(・・・なんだ、これは)

ラウラ(二人とも・・・動きが鈍いな)

箒(一夏の剣には、迷いが・・・いや、戸惑い、か?)

ラウラ(シャルロットは・・・なぜか動きがもっさりしているな・・・)

セシリア(んっふっふっ、一夏さ~ん)♪

 


千冬「・・・二人とも、そこまでだ」

一夏「・・・はあ・・・はあ」

シャル「・・・ふう」

千冬「・・・・・・・・」

千冬「デュノア」

シャル「・・・はい?」

千冬「放課後、職員室に来い」

シャル「・・・わかりました」



箒(・・・シャルロット)

ラウラ(・・・・・・・・・・・・・)



-昼休み・食堂-

一夏「さあ、メシメシ!」

セシリア「今日は何になさいますの?」

一夏「そうだな・・・、久しぶりにカレーにするかな」

セシリア「ふふ、では、わたくしも!」

一夏「うん! 美味い!」

セシリア「そうですわね!」

一夏「あはは・・・」

セシリア「うふふ・・・」

一夏「・・・・・・・・・・」

セシリア「・・・・・・・・・・・」


一夏「・・・最近、箒達、こないな」

セシリア「そ、そうですわね・・・」

一夏「ま、まあ、都合の悪い時が、重なる事だってあるよな」

セシリア「ええ、あまり気になされない方がいいですわ」

一夏「だよな・・・」 ハハ・・・

一夏「・・・・・・・・・」

セシリア「・・・・・・・・・・」

 

-同・屋上-

鈴「風が冷たいわね・・・」

ラウラ「そろそろ屋上で食事をするのも難しくなって来たな」

シャル「そうだね・・・」

箒「・・・大丈夫か? シャルロット?」

シャル「うん・・・」

ラウラ「そ、そういえば昨日、テレビでな・・・」

シャル「あはは! おもしろいね、それ?」

鈴「・・・いくらなんでも冗談でしょ?」

鈴「センサーが過敏すぎて、戦車砲を打つたびに自動消火装置が働くとか」

鈴「マンホールに撃墜される戦闘機とか・・・」

鈴「ありえないでしょ?」

ラウラ「私も信じられなかったが、公式に記録が残されている事実だそうだ」

箒「世界は広いな・・・。 そんな軍隊が存在するなんて」


シャル「・・・みんな、気を使ってくれるのは嬉しいけど」

シャル「ボクの事は、自分で何とかするから・・・」

シャル「でも・・・ありがとう」

箒「・・・いや、いいんだ」

箒「それに、最近は一夏のそばにいても楽しくないし・・・」

シャル「えっ?」

 


ラウラ「シャルロットに対する態度が目に余る」

ラウラ「・・・あんな奴では、なかったのに」

シャル「・・・・・・・・・」

鈴「あたしは、セシリアが気に入らないかなー」

鈴「彼女気取りだし・・・。 もう一夏とくっつけば?って思ってる」

シャル「・・・そう」


シャル(・・・・・・・・・・・・)

シャル(・・・・・・みんな)

シャル(ボクが、妊娠してるって知ったら・・・)

シャル(・・・・・・・・・・・)

シャル(どう、思うかな・・・?)

シャル(・・・・・・きっと)

シャル(・・・・・・・・・・・)

シャル(軽蔑するよね・・・)

 



-放課後・職員室-

千冬「・・・来たか、デュノア」

シャル「・・・はい」

千冬「では、場所を変える。 ついて来い」

シャル「えっ?」

千冬「いいから、来るんだ」

シャル「・・・はあ」



-同・どこかの個室-

千冬「・・・よし、鍵を閉めろ、デュノア」

シャル「・・・? は、はい」 ガチャ

千冬「次に・・・お前のISを限定モードで起動し・・・」

千冬「ここが盗聴されてないか調べろ」

シャル「!?」

千冬「さっさとしろ・・・デュノア」

 


----------


シャル「・・・・・・確認終了。 この部屋を中心に半径10メートル以内に」

シャル「盗聴器はありません」

千冬「・・・そうか。 よし、そこの椅子に座れ」

シャル「・・・リヴァイブ、待機モードに」 スウウウウウンッ・・・

シャル(・・・・・・・・) 着席

千冬「・・・この部屋は完全防音で窓もない。 だから、集音機の心配もない」

千冬「出来うる限りの配慮はした」

シャル「・・・・・・・・・・」

千冬「単刀直入に聞く。 デュノア・・・」



千冬「お前、身ごもっているな?」

シャル「!!!!!」 ビクッ

千冬「・・・・・・・・・・・」

シャル「・・・・・・・・・・・な」

シャル「・・・・・・何を言って・・・いるんですか」

千冬「・・・・・・・・・・・・」


シャル「そんなわけ・・・ないですよ・・・、や、やだな、先生」

千冬「・・・・・・・・・・」

千冬「・・・最初におかしいと思ったのは、」

千冬「匂いだ」


シャル「・・・・・・・・・・・・」

千冬「最初は・・・何がおかしいのか分からなかったが」

千冬「似た匂いを、どこで嗅いだのかを思い出して 気がついた」

千冬「産婦人科で嗅いだ・・・妊婦の匂いに近い、と・・・」

シャル「・・・・・・・・・・・・」

千冬「核心に変わったのは、今日の模擬戦を見て、だ」

千冬「お前の動きは、明らかに腹に負担がかからない様に行動していた」

シャル「・・・・・・・・・・・・」


千冬「・・・・・・経緯を話してくれるか?」

シャル「・・・ボクが・・・軽率だったんです」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

千冬「・・・・・・・・・・・・」

シャル「・・・ほんの冗談のつもりでした」

シャル「一夏の事だから、きっとドギマギして何もしないって」

シャル「思っていました・・・」

 

千冬「・・・・・・まだ目立ってはいないが、もうどれくらいだ?」

シャル「・・・そろそろ、目立ち出す頃です」

シャル「4~5ヶ月くらいかと・・・」

千冬「・・・・・・そうか」


千冬「・・・・・・・・・・・・・」

シャル「・・・・・・・・・・・・・」

千冬「一夏には話したのか?」

シャル「・・・いいえ」

シャル「一夏は・・・あの後、少しづつ距離を置くようになって・・・」

シャル「ボクが妊娠に気づいた時には、もう・・・ほとんど話をしなくなっていました」

シャル「・・・言わなきゃならないって、思っていたんですけど・・・結局」

千冬「・・・・・・・・・・・」


千冬「・・・それで、デュノア」

千冬「どうするつもりだ?」

シャル「・・・・・・・・・・・・・」

千冬「酷な言い方だがな・・・決断は早くしないといけない」

千冬「日本では、妊娠五ヶ月以降の胎児は『人間』とみなされて」


千冬「それ以降の堕胎は・・・『殺人罪』が適用される・・・」

シャル「・・・!!」


千冬「デュノア・・・」

千冬「お前の・・・複雑な家庭事情は知っている」

千冬「その上で言うが・・・、一度実家に連絡をとってみてはどうだ?」

シャル「・・・・・・・・・・・・」


千冬「どう決断するにしても、お前一人の力では もうどうにも出来まい」

千冬「一夏には、私から話しておく」

シャル「!?」


シャル「ま、待ってください!」

千冬「駄目だ。 もう一刻の猶予も無い」

千冬「その子は一夏の子供でもある。 あいつには知る義務と責任がある」

シャル「でも・・・!」


千冬「デュノア、落ち着け」

シャル「・・・・・・・・」

千冬「お前は・・・少しも一夏を責めなかった」

千冬「経緯は褒められたモノでは無いが・・・」

千冬「一夏を・・・私の弟を、想って拒まなかった事は分かっている」

シャル「・・・・・・・・・・・」

 

千冬「こんな形でなければ・・・」

千冬「私に甥っ子が出来たと・・・喜んでやれるのにな・・・」

シャル「・・・!!」

千冬「お前の意見や意思を 無視してしまうのは、正直心苦しい」

千冬「だが・・・もう時間が無い」

千冬「どうか、許してくれ」

シャル「織斑先生・・・」

 

シャル「・・・・・・・・・・」

シャル「・・・ボクの・・・方こそ・・・」

シャル「すみません・・・・・・!」 ポロッ

千冬「・・・・・・・・・」

シャル「ボクは・・・ボクは・・・」 ポロポロ

シャル「うえっ・・・・ひっく・・・・・・・・・うっ・・・」 ポロポロ

シャル「うああああああああっ・・・・・・・」 ポロポロ

千冬「・・・・・・・・・・」




-夜・屋上-

シャル「・・・・・・・・・・・・・」

シャル(風が冷たいな・・・)

シャル「・・・・・・・・・・・・・」 カチャ・・・ 携帯オープン

トゥルルルルルル・・・トゥルルルルルル・・・トゥルルルルルル・・・

ガチャッ

 

シャル「・・・もしもし」

シャル「シャルロットです・・・」

シャル「・・・実は、一度フランスに戻ろうかと」

シャル「えっ?・・・・・・い、いえ、それとは別件で・・・」

シャル「・・・・・・はい、わかっています、でも・・・」

シャル「どうしても・・・相談したい事が・・・」

シャル「・・・・・・・・・・・・・・」

 

シャル「・・・・・・はい・・・・・・はい」

シャル「それは、そうですか・・・」

シャル「・・・・・・・・・・・・・」

シャル「わかっています・・・」

シャル「いずれにしても、そちらに一度戻ってから・・・」

 

シャル「・・・!!」

シャル「・・・・・・・・・・・・」

シャル「・・・・・・・・・・わかりました」

シャル「では、データを入手しだい、また連絡します・・・」

ピッ・・・・・・

シャル「・・・・・・・・・・・」


シャル「・・・・・・・・・・・」

千冬「こんな形でなければ・・・」

千冬「私に甥っ子が出来たと・・・喜んでやれるのにな・・・」



シャル(織斑先生のあの言葉・・・)

シャル(嬉しかったな・・・)

シャル(・・・・・・・・・・・・・・)

 


シャル(お母さん)

シャル(お母さんは、どうしてボクを産もうと思ったの?)

シャル(ボクも・・・お母さんと同じ立場になっちゃった・・・)

シャル(お母さん・・・) ポロッ

シャル(ボクは・・・お母さんみたいに・・・なれないよ・・・) ポロポロ・・・

 


-同・どこかの個室-

一夏「・・・・・・・・・・」

千冬「・・・あまり驚かないんだな?」

一夏「・・・・・・・・・・」

千冬「まあ、今日の模擬戦の動き・・・どことなく ぎこちない感じだった」

千冬「うすうすは、わかっていた・・・という所か」


一夏「・・・・・・・・・・」

千冬「・・・・・・・・・・」

千冬「何か言ったらどうだ?」

一夏「・・・・・・・・・・」

 

千冬「・・・・・・・・・・」

千冬「・・・ふん」

千冬「もういい・・・。 話はそれだけだ、行ってよし」

一夏「・・・え!?」

千冬「どうした? 何を驚いている?」

 

一夏「い、いや・・・その・・・」

一夏「怒られると・・・殴られると、思っていたから」

千冬「・・・そうだな、確かに怒ってはいる」

一夏「・・・・・・・・・・・」

千冬「だが、それ以上に一夏・・・」


千冬「お前には、大きく失望した」



一夏「・・・!」

 

千冬「一夏、お前は 自分が何をしたのか、わかっているのか?」

一夏「・・・そりゃあ、まあ」

千冬「・・・・・・そうか」


千冬「では聞くが、何をしたか わかっていながら」

千冬「お前は何かをしたのか?」

一夏「・・・!?」

 


千冬「お前はいい。 体に何の支障もないからな」

千冬「だが、デュノアは違う。 どんなに嫌がっても、拒もうとも、」

千冬「逃げる事はできない」

一夏「・・・・・・・」


千冬「彼女は、ああなりながら 自分は責めても、一夏の事は責めなかった」

千冬「誰にも相談できず、たった一人で問題を抱え」

千冬「今まで、どんな気持ちで いたのだろうな?」

 

一夏「・・・・・・・・・・・・」

一夏「・・・俺は・・・・・」

一夏「どうしたら・・・いいんだ・・・」

千冬「知るか。 自分で考えろ」

千冬「これ以上 私を失望させるな」

一夏「・・・・・・・・・・・・っ」

千冬「私からは以上だ。 もう行け」

一夏「・・・・・・・・・・はい」




-数日後-

-朝・IS学園寮・ラウラとシャルの部屋-

シャル「・・・ラウラ、おはよう」

ラウラ「うむ、おはよう、シャルロット」

ラウラ「・・・? どうした? 眠れなかったのか?」

シャル「うん・・・」

シャル「今日、ちょっと休もうと思う・・・」

ラウラ「そうか・・・。 それがいい」

ラウラ「先生には、私が伝えておこう」

ラウラ「ゆっくり休むといい」

シャル「うん・・・ありがとう、ラウラ」

 

シャル(・・・さあ)

シャル(準備しないと・・・)

シャル(昨日の内に飛行機のチケットは取ったし)

シャル(・・・・・・・・・・・・・・)

シャル(もう・・・ここには)

シャル(帰ってこれない・・・)

 


-午前中・IS学園・中庭付近-

テク テク テク・・・

シャル(・・・・・・・・・・・・)

シャル(みんなは今頃授業中・・・か)

シャル(・・・挨拶くらいは、したかったかな) クスッ・・・

シャル(できないけど・・・)

シャル(・・・・・・・・・・・)

シャル(いろいろ・・・)

シャル(あったよね・・・)

 


-同・IS学園・校門付近-

守衛「・・・はい、連絡は受けています」

守衛「どうぞ」

シャル「・・・どうも」



シャル(・・・・・・・・・・・)

シャル(これでもう・・・・・・)

シャル(みんな・・・さよなら)

テク テク テク・・・

 

 

-同・並木道-

シャル(・・・・・・・・・・・・) テク テク・・・

シャル(・・・・・・・・・・・!) ピタッ


一夏「・・・・・・シャル」



シャル(・・・・・・・・・・・・・)

シャル(一夏・・・・・・?)

 

シャル(顔の右側が腫れてる・・・織斑先生かな?)

シャル(・・・・・・・・・・・・・)

シャル(・・・なんなの・・・今頃)

シャル(もう、どうでもいいよ・・・) テク テク

 


一夏「シャル、待ってくれ」

シャル「・・・・・・・・・・・」

一夏「話を聞いてくれ!」

シャル「・・・・・・・・・・・」 イラッ

一夏「頼む! シャル!」

シャル「いい加減にして!! もう一夏の顔なんて見たくもない!!」

一夏「俺の子供を生んでくれ!!」


シャル「ボクが、どんな思いで・・・」

シャル「・・・・・・・えっ?」

一夏「俺の子供、生んでくれ・・・」

シャル「!!」


一夏「シャル・・・ごめん。 本当にごめん」 ペコリ

一夏「ずっと・・・向き合うのが怖かった」

一夏「俺は逃げてた・・・」

シャル「・・・・・・・・・・・」

一夏「今さら、こんな事言っても、言い訳にしかならないけど・・・」

一夏「俺はずっと・・・あの時の俺が嫌でしょうがなかった・・・!」

一夏「俺は・・・最低だ!」

シャル「・・・・・・」


一夏「・・・覚えているか? シャルが女の子だって、俺にばれた時の事」

一夏「俺と千冬姉は捨て子だった。 子供は親を選べないとも俺は言った・・・」

一夏「・・・何のことはない」

一夏「おれ自身が・・・そんな親になろうとしてた・・・」

シャル「・・・・・・・・」

 

一夏「千冬姉に相談もした。 シャルの身柄とか 医療費とか、何とかならないかって」

一夏「金は、俺が稼げるようになったら、働いて返すと約束した」

シャル「・・・・・・・・」

一夏「・・・迷惑掛けてごめんって言ったら」

千冬「どんな人間であろうとも、誰にも迷惑をかけなかった奴などいない」

千冬「ガキは、大人に迷惑を掛けながら学び、そして、成長して」

千冬「大人になって行くものだ」

一夏「・・・だってさ」

シャル「・・・織斑先生」


一夏「・・・もちろん、これから先も大変だと思う」

一夏「きっと、いろんな人に迷惑をかけると思う・・・」

一夏「・・・でも」

シャル「・・・・・・・・・」

一夏「それでも俺は・・・覚悟を決めた」

一夏「だから、シャル」

 


一夏「俺の子供を 生んでくれ!」

シャル「・・・・・・・・・・・・・」

シャル「・・・・・・・・バカ」


一夏「・・・・・・・・・・」

シャル「どうして」

シャル「どうして・・・」

シャル「もっと早く言ってくれなかったの!?」 ポロポロ・・・

一夏「・・・・・・・・」

シャル「ボクが・・・・・・どんな・・・・気持ちでいたか・・・」 ポロポロ・・・

シャル「わかっているの!?」 ポロポロ・・・

ダッ・・・ ギュ・・・

 


シャル「寂しかったよ・・・辛かったよ・・・」

シャル「ボクだって・・・逃げたかったよ・・・!」

一夏「・・・・・・・」

シャル「一夏と・・・ずっと話したかった・・・!」

シャル「ううっ・・・・・・」

シャル「・・・ああああああああああああっ・・・・・」 ボロボロ・・・

シャル「いち、か・・・・いちかぁ・・・・ああああああああっ・・・!」 ボロボロ・・・

一夏「シャル・・・」

一夏「本当に・・・ごめんな?」

一夏「もう、一人じゃないから・・・。 一人にしないから」 ギュ・・・

 

 


-----------



一夏「・・・落ち着いた?」

シャル「・・・うん」

一夏「じゃ・・・帰るか」 ニコ

シャル「うん!」 ニコ

 

シャル「ところで・・・その顔は、織斑先生に?」

一夏「いや、違う・・・」

一夏「セシリアにグーで殴られた」

シャル「えっ?」

 


一夏「昨日、告白されて・・・、俺はシャルと付き合う事にしたって言うと」

一夏「納得のいく説明を求められたんだ・・・」

シャル「・・・・・・・・・・・・・・・・・」

シャル「・・・・・・・・・・・・まさか」

一夏「・・・どうして俺はこういう時、バカ正直に言ってしまうんだろうな・・・」

シャル「・・・ホントだね」

 


-放課後・どこかの個室-

セシリア「というわけで」 ニコニコ

セシリア「皆さんにも来ていただきましたわ」 ニコニコ

箒「・・・・・・・・・・・・」

鈴「・・・・・・・・・・・・」

ラウラ「・・・・・・・・・・・・・」

一夏「」

シャル「」


箒(・・・私達は、完璧にとばっちりだな)

ラウラ(・・・・・・・・・)

鈴(・・・ハッ、お笑いね。 こんな奴を心配してた、なんて)

 

セシリア「・・・さあ、言いたい事があるのなら、どうぞおっしゃって下さいな?」 ニコニコ

セシリア「さぞ、滑稽でしたでしょう? わたくしは?」

セシリア「どんなに尽くしても 所詮悪あがきなのに・・・と」

セシリア「せせら笑っていたんでしょう? シャルロットさん?」

シャル「・・・・・・」


セシリア「ふん・・・だんまりですか? シャルロットさん?」

セシリア「聞きましたわよ・・・? あなた、本妻の子供ではないんだそうですね?」

シャル「・・・!」

セシリア「結局」

セシリア「妾の子は、妾ですか・・・」 クスクス・・・

シャル「・・・!!」

一夏「おい、セシ」

ラウラ「セシリア、ちょっといいか?」


セシリア「・・・・・・なんですの? ラウラさん?」

ラウラ「私もシャルロットに言いたい事がある」

ラウラ「・・・かまわないか?」

セシリア「ええ、どうぞ・・・」

ラウラ「シャルロット・・・」

シャル「・・・うん」

ラウラ「お前の・・・お腹を触ってもいいか?」

シャル「・・・えっ?」


ラウラ「・・・私は試験管から生まれ、「親」というものを知らない」

ラウラ「だから、知りたいのだ」

ラウラ「本来の、あるべき姿の、「親子」という存在を」

セシリア「・・・・・・・・・・・・」

箒「・・・・・・・・・・・」

鈴「・・・・・・・・・・・」

一夏「・・・・・・・・・・・・」

シャル「・・・・・・・・・・・・・」

シャル「うん・・・いいよ」

ラウラ「ありがとう」

 

ラウラ「・・・・・・・・・・・・・」 サワサワ・・・

ラウラ「・・・あまり分からないな」

シャル「あ・・・もうちょっと下かな・・・」

ラウラ「む?・・・そうなのか?」 サワサワ・・・

ラウラ「・・・! これか・・・。 小さなふくらみがある・・・」

シャル「うん・・・それ」

 

ラウラ「・・・・・・そうか、これがそうなのか」

ラウラ「セシリアも、箒も、鈴も、一夏も、」

ラウラ「そして・・・シャルロットも、」

ラウラ「こんな・・・小さな存在を経て、生まれてきたのだな・・・」

シャル「・・・・・・・・・うん」

 


ラウラ「・・・シャルロット、聞かせて欲しい」

ラウラ「妊娠がわかった時・・・どんな気持ちだった?」

シャル「・・・!」

ラウラ「正直に話してくれ」

ラウラ「同室だった、私だから言える」


ラウラ「お前は・・・セシリアの言う様な、優越感など微塵もなかった」

セシリア「・・・!」

ラウラ「話してくれ、シャルロット」

シャル「・・・・・・・・・・・・」


シャル「・・・ボクが妊娠に気づいた時、最初に考えた事は」

シャル「『どうしよう』だった・・・」

ラウラ「・・・・・・・・・・」

シャル「・・・その後に考えたのは、一夏の事」

シャル「一夏に早く伝えたいって思った・・・」

シャル「・・・でも」

 

ラウラ「・・・でも?」

シャル「ISを使って探し出した一夏は」

シャル「セシリアの部屋で、楽しそうに二人で何か話してた・・・!」

セシリア「・・・!?」

一夏「・・・・・・・・・・」

 

ラウラ「・・・・・・それは・・・ショックだッたろうな」

シャル「・・・・・・・・うん」

シャル「実際・・・ライフルの引き金を引きそうになったよ・・・」

一夏「・・・!?」

セシリア「・・・!?」

 

      
箒(・・・・・・・・・)

鈴(・・・・・・・・・)

ラウラ「・・・・・・そうか」

ラウラ「どうして、思いとどまったのだ?」

シャル「・・・・・・・・・・」


シャル「・・・もし」

シャル「二人を殺してしまったら」

シャル「お腹の子供は『殺人者の子供』になってしまうから・・・」

シャル「出来なかった・・・!」 ポロッ

ラウラ「・・・!」


一夏「・・・シャル」

セシリア「・・・・・・・」

箒「・・・・・・・」

鈴「・・・・・・・」

シャル「でも・・・ボクは、絶望していた」

シャル「次に考えた事は・・・『死ぬ事』だった」

ラウラ「・・・・・・」


ラウラ「それも・・・お腹の子供の為に、思いとどまったのか?」

シャル「うん・・・」

シャル「次の日、飛び降りようと屋上に行ったらね・・・」

シャル「一夏に教えてもらった『抜けるような青空』だったの」

ラウラ「・・・・・・」

 

シャル「とても綺麗で・・・吸い込まれそうで、風も心地よくて・・・」

シャル「・・・だけど」

シャル「この子は、それも知らずに・・・生まれる事もなく死んでしまう」

シャル「ボクのせいで・・・!!」

ラウラ「・・・・・・シャルロット」

 

シャル「出来なかった・・・! この空だけじゃない、海だって、山だって」

シャル「この世界にある、綺麗な 何もかもを『知らない』まま」 ポロ・・・

シャル「ただ・・・死なせるなんて・・・! 絶対嫌だった・・・!」 ポロポロ・・・

ラウラ「・・・・・・・・・」

 

セシリア「・・・・・・・・・・・」

一夏「・・・・・・・・・・・」

箒「・・・・・・・・・・・」

鈴「・・・・・・・・・・・」

ラウラ「・・・・・・・・・・・・」

 

ラウラ「・・・シャルロット、もう一度触ってもいいか?」

シャル「・・・うん」 グスッ・・・

ラウラ「・・・・・・・」 サワサワ・・・

ラウラ「すごいな・・・お前は・・・」

シャル「・・・・・・?」

ラウラ「こんな小さな存在なのに・・・」

ラウラ「4人もの命を救った」 クスッ

シャル「・・・!」

 

箒「・・・4人?」

ラウラ「セシリアに一夏、シャルロットと、自分自身の命の4人だ」

鈴「・・・なるほどね」

鈴「・・・・・・・・・・」


鈴「・・・シャルロット、あたしも触っていい?」

シャル「!・・・う、うん」

鈴「・・・どれどれ」 サワサワ・・・

鈴「へえ・・・ホントだ、ふくらんでるね」

シャル「・・・・・・」

 

鈴「・・・・・・正直言えば、あたしは、許せないかな・・・二人の事」

鈴「でも・・・ここに居るこの子は、憎めない・・・」

鈴「今は無理でも・・・この小さな命の為になら、許して行けると思う」

鈴「ふふっ・・・元気に生まれなさいよ~」 ポロッ・・・

シャル「・・・・・・鈴」



セシリア「・・・不愉快ですわ」

セシリア「なんですの? 子供の為? そんなもので誤魔化されてたまる物ですか!!」

セシリア「わたくしは・・・わたくしは・・・!!」

          ガシッ!!

セシリア「!?」

箒「・・・・・・・」


セシリア「な、何をしますの!? 箒さん!?」

箒「・・・せっかくだ。 お前も触らせてもらえ」 グイッ!

セシリア「!!? なっ!? い、嫌ですわ!!」 ズズズ・・・

箒「・・・・・・・・」

         フワッ・・・

 

セシリア「・・・!!」

箒「・・・どうだ? 感じるか?」

セシリア「・・・・・・・・」

箒「ここに居るのは」

箒「お前の命の恩人だぞ?」

セシリア「・・・・・・・・!」

 

セシリア「・・・・・・っ」

セシリア「・・・あんまりですわ・・・箒さん」 ポロッ・・・

セシリア「これでは・・・」 ポロポロ・・・

セシリア「わたくしだけが、悪者みたいではありませんか・・・!」 ポロポロ・・・

箒「・・・そうだ、泣け」

箒「今、ここで、・・・すべての憎しみを涙に変えるんだ」

箒「この、新しい命の為に・・・」 ポロッ

箒「私も・・・付き合うから・・・」 ポロポロ・・・


シャル「・・・セシリア」

シャル「ごめ、ん・・・ひっく・・・ごめん、ね・・・!」 ポロッ

シャル「みんなも・・・・本当に・・・・・・ごめんなさいっ・・・!」 ポロポロ・・・

 


一夏(・・・・・・・・・・・・)

一夏(今、わかったよ・・・千冬姉)

一夏(俺が『何をした』のかが・・・)

一夏(ここで泣いている、みんなに・・・)

一夏(とんでもない事を していたんだ)

一夏(・・・忘れない)

一夏(俺は、この・・・みんなの涙を一生忘れない!)

一夏(過ちを繰り返さない・・・) ポロッ・・・

一夏(そんな、大人に成るために・・・!) ポロポロ・・・

 


-数ヵ月後-

-朝・織斑家・リビング-


シャル「おはようございます、お義姉さん」

千冬「ああ、おはよう。 シャルロット」

千冬「調子は良さそうだな」 クスッ

シャル「はい。 なによりも一夏が帰ってきますしね」 ニコ

千冬「そうか、今日は一夏が帰ってくるんだったな」

シャル「ふふ、腕によりをかけた料理を作って待ってます」

千冬「検診の結果も良好なようだし・・・、なにより、だな」

 


シャル「朝食をどうぞ」

千冬「うむ、すまない」 モグモグ

千冬「・・・美味いな。 和食もすっかり上達した」

シャル「ありがとうございます」 クスッ

千冬「そろそろ臨月・・・だったか?」

シャル「はい、来週から入院です」

千冬「そうか・・・いよいよだな」 ニコ

シャル「はい」


千冬「では、行くとするかな」 ガタッ

シャル「あ、はい」

シャル「行ってらっしゃい、お義姉さん!」

          カチャ・・・キイッ・・・パタン

シャル「・・・さあ! お掃除しないと!」 ルンルン

 



 ・・・あれから、ボクは、織斑先生の家に住むことになった。
学園には『休学』あつかいで在籍している。


 篠ノ之博士が、ボクのISリヴァイブを調べたい、と言って来た。
何でも、女性にしか使えないのに、妊婦が操縦するケースを考えていなかったとかで、
ボク自身も貴重なテストパイロット、らしい・・・。


 そんなわけで、デュノア社と協議した結果、白式のデータと交換で調べてもいい
と言う事に落ち着いた。

 



 篠ノ之博士が言うには、『たいした事無い』データなので問題ないと言う。

 デュノア社は、ボクには興味ないようだった・・・。


 ボクは、篠ノ之博士の下で 妊婦にも対応できる第四世代型ISのテストパイロットとして
仕事をする事になり、給料もいただける という事でお世話になっている。

 ・・・正直言うと、破格の給料なので、ちょっと気が引けているんだけど・・・、
ありがたく もらう事にした。

 




 ある日、ラウラが訪ねてきた。


 彼女は、ボクとお腹の子供が気になって仕方ないらしい。
連休には、泊り込みに来るほど。 

 日々、大きくなってゆくお腹を触っては話しかけている。 とても微笑ましい。



 最近は、鈴と箒も訪ねてくれた。

 学園の事や、学園での一夏の事をつぶさに教えてもらった。
一夏が、「どうしてそんな事を知っているんだ?」と驚いていた。 ふふっ。



 ・・・セシリアとは、あれ以来会っていない。
でも、箒がセシリアの言ってた事を、話してくれた・・・。



セシリア「・・・初めから、そんな気がしていました」

セシリア「わたくしが、どんなに話をしても、どんなに傍にいても」

セシリア「一夏さんは・・・遠くにしか居ませんでした」


 ・・・胸が痛む。



          -同日・夜・織斑家・リビング-

          (※注 この一夏は、学生です)

一夏「ただいまー、シャル」

シャル「おかえり、一夏!」 ニコ

一夏「おー・・・いい匂い。 から揚げだな?」

シャル「ふふ、当たり!」

シャル「後、ポテトサラダとコンソメスープ、グラタンなんかも付けてみました」 エヘヘ

一夏「おー・・・ってバランスとしては微妙だな」

シャル「大丈夫だよ、ポテトサラダは野菜たっぷりだから」

一夏「そっか、んじゃ、食うか!」

シャル「うん!」


一夏「ふーっ・・・美味かった」

シャル「おそまつさまでした」

シャル「どうする? お風呂、沸いてるけど?」

一夏「いたれりつくせり、だな」

一夏「・・・そうだな、入るかな」

一夏「シャルも一緒に入るか?」

シャル「一夏のえっち・・・」 

一夏「いくら俺でも妊婦にムラムラしないよ・・・」

 



-同・織斑家・寝室-

        
一夏「さて、寝るか」

シャル「うん!」

パチッ・・・(消灯)

 


一夏「シャル・・・って、やっぱお腹がちょっとつかえちゃうな・・・」

シャル「もう・・・、妊婦には ムラムラしないんじゃないの?」

一夏「今、萎えたよ・・・」

シャル「ふふ、ごめん」

シャル「・・・・・・・・・」

シャル「ねえ、一夏」

一夏「うん?」

シャル「この子が生まれてきたら、なんて言ってあげる?」


一夏「ふふ・・・そうだな」

一夏「生まれてきてくれて、ありがとう・・・かな?」

シャル「いいね・・・それ」 クスッ

一夏「シャルは?」

シャル「ボクはね・・・」



シャル「一緒に、幸せになろうね・・・かな」 ニコ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

元スレ

シャル「・・・・・・どうしよう」

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