アニメssリーディングパーク

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キリト「あんたも、SAOサバイバーか?」 ?「SAO?巷で噂のデスゲームのことか?」【SAO ss/アニメss】

 

キリト「ここはどこだ?」

 

キリトが目を開けると、そこは霧の深い森の中だった。

辺りには虹色に光るキノコや、赤い目を持ったユニコーンのような生き物が見られる。

  

目の前にそびえる針葉樹を見上げるが、てっぺんは見えない。

まるで高層ビルだ。

 

どうやら現実世界ではないらしい。

 

キリト「この感じは…VR だ」

 

ー結局俺はSAO から出られなかったのか?

 

キリトはアスナの顔を思い浮かべる。

 

アスナ。。。

 

ー俺がもっと強ければアスナは死ななかった。

 

ー俺のせいだ。

 

ーゲームは唯一の取り柄だった

こんな才能に何の意味があるのか長い間考えていた。

 

キリトは第76層で茅場と剣を交えた時を思い浮かべる。

 

ーあの時ようやく分かったんだ。

俺にゲームの才が宿る理由は、大切な人を守るためだったと。

 

ーしかし

 

ー俺は持てる力を尽くした結果、茅場に敗北した。

 

ー俺は…非力だ。

 

キリトは深い絶望の中にいた。

 

キリト「飛び降りて死のう」 ボソ

 

アスナの魂が眠るこのアインクラッドで。

 

キリトはどこかに登れる高い場所がないか、キョロキョロと探していた。

 

?「ちょいと待たれよ兄さん」

 

キリト「誰だ?」

 

突然の声、振り向くと目の前には一人の男がたっていた。

 

白いエプロンと頭には和帽子を被っている。

顔は菅原文太に似ていて渋かっこよく、50歳ほどの年齢が妥当。

 

顎には控えめに髭を蓄えており、それもまた男らしさを出している。

 

 

?「どうせ死ぬならよ、一杯すすってかねえか?

 

 

「ラーメン」

 

明らかにファンタジー世界と噛み合わない男の風貌にあっけをとられていたキリトだったが、黒の剣士らしく落ち着きを取り戻す。

 

キリト「あんたも、saoサバイバーか?」

 

?「ああん、Sao?巷で噂のデスゲームのことか?」

 

キリト「巷???ここはsao内だろ?」

 

?「ここは「ラーメンオンライン」だ」

 

キリト「ラーメン…?」

 

脈絡のなさすぎるワードをキリトはつぶやくように反唱した。

その顔といったらおそらく今日のvr内で最も間の抜けた顔だっただろう。

 

キリト「なんだそのゲーム聞いたことないぞ」

 

ジロー「俺の名前はジロー、お前は?」

 

キリト「キ、キリトだ」

 

二人は握手をする。

 

キリト「う…」

 

ジローの握手は想定していたより強かった。

握手された手を見ると鼻くそのような固形物がついていた。

しかし今のキリトにそれを気にする余裕はなかった。

 

ーいやいや、なんで別のゲーム内にいるんだ

記憶をたどろう、アスナと離ればなれになった俺は…

 

 

ー思い出せない

 

ー俺はさっきまでsao内にいたはずだ

何が起こってるんだ…

 

キリトは状況を整理しようと試みた。

しかし思案材料が足りない。答えは出なかった。

 

ーなぜ、なぜだ…

 

ジロー「とりあえずラーメン、食えよ」

 

キリト「ラーメン?」

 

ジロー「知らねえのか、ここラーメンオンラインはプレイヤーがラーメン屋の店主になれるゲーム」

 

ジロー「各プレイヤーは独自の味を開発して月に一度のラーメン大会で優勝を夢見る」

 

ジロー「それがこのゲームの醍醐味だろーが」

 

キリト「そ、そうなのか」

 

ジロー「それも今日までだがな」

 

キリト「…」

 

ジロー「…」

 

突如、場が沈黙する。

ジローはひしゃげた梅干しのように悲しげな顔をして、うつむいている。

キリトはその顔を10秒くらいボーッと眺めていた。

 

ジロー「理由を知りたいか?」

 

キリト「え!?………あ、なんで?」

 

ー聞いてほしかったのか…

 

ジロー「今日で運営がサーバーを停止するからだ」

 

ジロー「このゲームはvrゲーム黎明期からあったパイオニア的存在、5年続いたがユーザー数も徐々に減っていった」

 

ジロー「当たり前だよな、ユーザーがいなければお金は集まらねえし、運営はサーバーを維持するお金がなくなる」

 

ジロー「で、とうとう今日終了ってわけだ」

 

キリト「へえ」

 

ー5年なら円満じゃないか

聞いたかんじ、誰に需要があるんだこのゲーム

 

ジロー「あと数時間で終わるって言うのに誰も俺のラーメンを食べに来ねえ…」

 

ジロー「お前を除いてな」

 

キリト「いや、俺も間違って来たようなものだし、すぐログアウト(でる)よ」

ジロー「待ってくれ!せめて一杯でも食っていってくれないか?」

 

キリト「俺忙しいんだ、解かないといけない謎もあるし」

 

ジロー「ラーメンを食べながらでも解けるだろ!なあ、頼むよ」

 

キリト「嫌だよ、なんで俺が…」

 

ー見ず知らずのおっさんユーザーの趣味に付き合う義理はない。

 

キリトは空中に操作パネルを出す。

 

キリト「えっと…ログアウトはこれか」

 

ポチッ

 

vrゲームにおいてログアウトの実行を意味する光がキリトを包む。

 

キリト「突然邪魔してすまなかったな、おっさん」

 

ジローはまたうつむいてる、いやうなだれているといった方が正しい。

中年のおっさんにしては見るにたえがたい姿である。

 

そんなことは気にも止めず、キリトは光の中想いに浸っていた。

 

ー久々の現実世界……

 

ーおれはアスナのいない世界のスピードに

ついていけるだろうか

 

光に包まれて30秒ほど経過。

キリトは依然vr内にいた。

 

ーん?

 

キリト「なかなかログアウトされないな、何でだ…?」

 

ジロー「あ、RRO (ラーメンロードオンライン)な」

 

うなだれていたはずのジローが突然顔をあげ、語りだす。

 

ジロー「ログアウトの処理に3時間かかるから」

 

キリト「…」

 

キリトは一瞬言葉の意味を理解できなかったが、すぐに驚きの表情に変貌した。

 

ーは!?いまなんつったこいつ? 3時間? 

 

ーログアウトに3時間?

 

ーはああああああああああああ!?

 

 

キリト「どういうことだ…」

 

ジロー「運営が全く改善しないから初期からずっとこうだ」

 

キリト「クソゲー過ぎるだろ!」

 

ーどうりで誰も入ってこないわけだよ

 

ジロー「まあ、そーゆーわけでちょうどラーメン一杯分だ、食ってけよ」

 

キリト「一杯3時間もかかるか!!おれは拒食症患者か!」

 

キリトはジローのとんちんかんな発言に思わず慣れない例えツッコミをした。

ーくそ、なんなんだこの仕打ちは……

 

 

ジローは操作パネルを触り、場に屋台を出現させる。

のれんには大きく「次郎」の文字が書いてある。

 

森の中に屋台、いびつな光景だった。

 

ジロー「お客さん、混ぜそばでいいよな?」

 

ジローはキリトに速攻で作ったものを差し出す。

 

キリト「いや、お前が決めるのかよ!せめてラーメン出すだろ」

 

ジロー「混ぜそばもラーメンの一種だろーが、馬鹿が!」

 

ーえぇ……なんかキレられたし

 

今すぐにでもこの場を去りたかったキリトだったが、一応丼の中を見た。

 

丼の中にはネギ、肉そぼろ、ノリ、卵の黄身などが贅沢に麺の上に敷き詰められてた。さながら宝石箱。

それらはひとつの芳醇な香りとなってキリトの食欲を刺激した。

 

キリト「こ、こんなもの……」

 

ジロー「おやおや、美味しそうなものを前にして体は素直じゃねーか」ニヤニヤ

 

なにやら意味のわからない言い回しをするジロー。

しかし、キリトは自分の手を見てその意味を理解した。

手にはいつの間にか箸が握られていたのだ。

 

キリト「!?」

 

ジロー「くっくっく」

 

長いVR 生活、一度として食べることのかなわなかった物を前にして、キリトの手は無意識に食す準備をしていた。

 

キリトの手「ねえ、一口でいいから」

 

キリトの手「生き伸びるために剣を握ぎるのは……疲れたよ」

 

手はそう語りかけてくるようだった。

 

ーまあ、これもなにかの巡り合わせかもな

 

ー俺とアスナが第一層の作戦会議で会ったように。

 

ーこの世には無駄なことなんてない、すべては運命によってしかるべき時に起きている。

 

キリト「やれやれ……」

 

キリトはすべての具が均等に麺につくように、混ぜそばをかき混ぜる。

そして麺をおもむろに目の高さまで持ち上げ、最初の一口を楽しもうとしていた

 

その直後だった。

 

ジロー「ばか野郎!」

 

ガッ

 

ジローがいきなり湯切りでキリトの頭を殴打してきた。

 

キリト「痛って!?なにすんだよ!」

 

ジロー「基本中の基本だろーが!!

 

ジロー「最初に香り、そのあとスープ、具材混ぜて、麺すする

その4ステップは!!!!」

 

キリト「し、知らねーよ!そもそも混ぜそばにスープないだろ!!」

 

ジロー「そこにあるだろ!!」

 

ジローはキリトの手元にあるコップを指す。

 

キリト「これスープなのかよ、お冷やじゃないのか」

 

ジロー「麺を口に踏んだあとにそのスープを少量飲む、それがキングラーメンの一番美味しい食べ方だ!」

 

キリト「なんだその食べ方、味噌汁とご飯みたいになってんじゃねえか!」

 

キリト「はあ、気持ち悪……店主もウザいし」

 

ーさっさと食べてこいつから離れよう

 

ー俺がここに飛ばされた不可解な現象も早く解かないといけないし

 

ー考えれば考えるほど謎だ、saoから別のゲームに飛ばされるなんて

 

ー誰かがsaoサーバーにハッキングしたのか?それなら可能性はあるが

 

ーいや、しかし誰が??

 

これは後に「レクト」の須郷伸之の仕業だと判明する。アスナ含む一部のSAO サバイバーたちの精神をALO へ強制移行したハッキングの反動で、キリトはこの場所に流れ着いた。という設定にしておく。

 

ぶつぶつと考えを巡らせながらキリトは混ぜそばをすする。

しかしまたしてもジローの湯切りがキリトの頭部を襲う。

 

ジロー「ラーメンに集中しろ!!!!」 

ドカッ

 

キリト「痛ってー……なあ!!!!」

 

キリト「そっちが考え事しながら食っていいって言ったんだろ!!!!」

 

ジロー「黙れ!店内では俺が王だ」

 

キリト「今だかつて聞いたことがないとんでも理論だな!」

 

キリト「じゃあ、いらねーよこんなもん」

 

キリトは食いかけの混ぜそばをジローのもとへ押し寄せる。

 

ジロー「おい、俺のラーメンになんか文句あんのか!」

 

キリト「おめえにあるんだよ!!!てかなんだよこの食べ方、毒にも薬のもならねーし」

 

キリト「最初からいれとけやスープ、馬鹿か」

 

ジロー「てめえ…」

 

ジローは怒りで顔を紅潮させている。

キリトの襟をつかみ、にらみ付ける。

 

キリト「な、なんだよ?やるのか?」

 

黒の剣士も負けじとにらみ返す。

険悪なムードに包まれる二人。

 

ーもうめんどくせー、斬るか

 

ーそうだ、SAO でもそうだった、襲いかかる敵はすべてこの背中の剣で一刀両断してきた。

 

ー幸いなことにsao内の武器がここでも使える。

 

なぜかSAO とRRO はシステム的に互換性があった。

 

ーSAO サバイバーをなめるなよ

 

キリト「ぉらああああああ」

 

キリトは剣をジローの顔面へ振りかざす。

 

ガキン

 

しかし、剣を振るった対価はジローの首ではなく、むなしく響く金属音とわずかな火花だけであった。

 

キリト「なん…………だと!?」

 

目に前には湯切りで剣を受け止めるラーメン屋、ジローの姿があった。

 

ーなに!?受け止めただと

 

ー俺のエデュシータを?

 

ーSao内でも最上位クラスの武器に俺のレベルが加わってるんだぞ

 

ー偶然攻撃を弾いたんだ、絶対そうだ

 

直後、キリトの目に飛び込んできたのは衝撃の光景だった。

 

キリト「バカな!?」

 

ジローの湯切りにある文字が表示されていた。

キリトが見覚えのある文字だった。

 

『破壊不能オブジェクト』

 

キリト「ありえない……」

 

ジロー「ありえない、なんてことはありえない」

 

 

ジロー「この湯切りはオリハルコン製、ラーメン大会で優勝した名誉あるラーメンマスターだけが手にすることができる」

 

ーいや、なんだそれ

 

ジロー「ラーメン屋の魂なめんなよ、ひよっこが」

 

 

ーこうなったらあれだ

 

キリトの剣が光る。

 

キリト「スターバーストストリーーーーーーーム!!!」

 

藍色に光る凄まじい剣撃がジローに襲いかかる。

しかし赤子でもあやすように、ジローはキリトの攻撃をいなす。

 

キン!キン!

 

ガッキン!

 

ジローの反撃で吹っ飛ぶキリト。

うずくまりながら思考を巡らす。

 

ーレベルは1なのにあの湯切りが奴へ攻撃を通さない……

 

ーんなん……

 

ーそんなん……

 

ーそんなん!

 

キリト「ただのチーターじゃねーか!」

 

思わず飛び出たその言葉はかつての戦友、後に第一層を支配していたキバオウさんの言葉だった。

 

うなだれるキリト。

 

キリト「くそ……俺の敗けだ」

 

キリト「煮るなり焼くなり好きにしろ」

 

ジロー「じゃあ、ラーメンを完食しろ」

 

 

それからしばらくして、なんだかんだキリトは店主と打ち解けた。

 

自分がSAO サバイバーであること、恋人のアスナを亡くしたこと。

キリトは自分の境遇を洗いざらいジローに話した。

 

キリトの心にたまっていたモヤモヤをジローはすべて静かに聞いてくれた。

キリトが混ぜそばのスープを残した時は再び湯切りで殴打したが。

 

キリト「やっぱり……」

 

キリト「あのままvr内で、平穏に生きてればよかったんだ」

 

キリト「いつか肉体に限界がくるとしても」

 

キリト「余生を二人で過ごすことできれば、俺は満足だった」

 

 

ジロー「それは違うなキリト」

 

ジロー「理想と現実……」

 

ジロー「それらはしばしば対比されるが、理想の先に現実なぞ存在しない」

 

キリト「………………」

 

キリト「???」

 

ジロー「つまりだ、理想はどこまでも理想っちゅーことだ」

 

キリト「何をいっているんだ?ジロー」

 

ジロー「例えばこのラーメン、味はどうだった?」

 

キリト「まあ、vrにしては良くできてる、お腹はふくれないけどな」

 

ジロー「そーゆーことだ、誰もが言うんだ」

 

ジロー「vrにしては、と」

 

ジロー「そしてこう結論付ける、じゃあ現実で食べればいいよな、と」

 

キリト「……」

 

ジロー「俺もそう思う、どれだけ仮想技術が進歩しても本物のラーメンには勝てない」

 

ジロー「なぜなら理想は現実になり得ないから」

 

ジロー「誰もが唸るうまいラーメンを作りたいなら、結局現実で頑張るしかないのさ」

 

ジロー「人は現実でのみ本当の幸せを噛みしめれる」

 

キリト「現実……」

 

キリトはアスナも同じようなことを言っていたことを思い出した。

 

キリト「分かってるよ、でも俺……」

 

キリト「アスナがいない世界で何にすがって生きていけば……」

 

ジロー「うむ、キリトはsaoサーバーからここに来たんだろ?」

 

キリト「ああ……」

 

ジロー「仮説だが、他のプレイヤーもそういう境遇に置かれててもおかしくないんじゃないか?」

 

ジロー「ログアウト機能を船、ゲームを島に例えるなら、船が沈没したということでそのアスナという子も別のゲーム内に流れ着いてるかもしれない」

 

キリト「!!」

 

ジロー「希望を捨てるのはまだ早いんじゃねーか?」

 

ーそうか……確かに

 

あくまでも仮説。

しかし、それはキリトの心を照らすには十分な希望の光だった。

 

アスナ……

 

キリト「ありがとう次郎、力がみなぎってきたよ」

 

ジロー「おいおい、ニンニクは入れすぎ厳禁だぜ」

 

キリト「ハハハ」

 

キリト「あ、そろそろログアウトが完了する」

 

キリトの体にログアウトまであと数秒と言う表示が出ていた。

 

キリト「じゃあな次郎、今度は現実で会おーぜ」

 

キリト「てか現実でなにしてんだジロー、ラーメン屋?」

 

ジロー「あえていうなら、近所の子供たちに悪い手がかからないよう

監視する仕事だな」

 

ー………………

 

キリトはその意味を理解したので深く言及しなかった。

 

キリト「ラーメンうまかったぜ」

 

ジロー「おう、まいだりい」

 

 

光に包まれ現実に戻るキリト。

 

 

そこは病院ベットの上だった。

体に知らない機器がたくさんつけられている。

 

アスナが言ってた通りの大変な状況になってるな

 

アスナ……

 

キリトはベットから降り、歩行を試みようとする。

 

うまく立てない。

 

病室を出て廊下に出る。

 

気づいた看護師が驚きの声をあげる。

 

看護師「き、キリトさん!?お目覚めになったんですか?」

 

キリト「……」

 

看護師「安静にしとかないと!……キリトさん?」

 

キリト「……」

 

キリトはなお無言で、どこかに行こうとしている。

彼には現実に戻ったら最初にしようと心に決めていたことがある。

それは……

 

 

現実世界にいる家族、妹と再会すること。

 

 

 

愛する人アスナの安否を確かめること。

 

 

 

それはシンプルな思い、あくなき欲求であった。

 

 

それは……

 

 

ーラーメンを食べに行こう

 

彼はおぼつかない足取りで、病院の廊下を進んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

元スレ

キリト「ラーメンオンライン?」

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