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雪乃「比企谷君……キス、したいのだけれど」【俺ガイルss/アニメss】

 

雪乃「どうしたの比企谷君、眠そうな目をしているわね」

 

八幡「……目のことはほっとけ」

 

雪乃「今日も依頼人は来なさそうだし、眠たいのなら寝てもいいわ」

 

雪乃「なんならそのまま永眠してもらっても構わないのだけれど」

 

八幡「ねぇストレートに俺の死を願うのやめてくれない?」

 

八幡「……ま、眠いのは本当なんだけどな」

 

雪乃「あなたのことだから、どうせベッドの中で良からぬことを考えて……」

 

雪乃「不潔だわ比企谷君、もっと離れてくれないかしら」

 

八幡「ひっでぇ、うわひっでぇ」

 

八幡「勝手に決め付けんなよ、アニメ見てたんだ」

 

雪乃「それで寝不足? ヒキオタ君」

 

八幡「かなりムカつくがその通りだから言い返せねぇ」

 

八幡「ん……ふあぁぁ」ノビー

 

雪乃「やめてくれないかしら比企谷君、あなたの欠伸を聞かされる私の身にもなりなさい」

 

八幡「はいはい悪うござんした」

 

八幡「………」

 

雪乃「……………」

 

八幡「」ウツラウツラ

 

雪乃「比企谷君」

 

八幡「ふぁ? あんだよ」

 

雪乃「あなたまさか、ここで寝る気じゃないでしょうね」

 

八幡「さっき寝ていいって言わなかったかお前」

 

雪乃「永眠するならここで構わないわ、まだ生きるつもりなら別のところにしてちょうだい」

 

八幡「だからそういうのやめろっつったろ……」

 

八幡「……別にいいだろ、寝たって。依頼人も来ないし、下校時刻までまだけっこうある」

 

八幡「それに、自転車漕いでる間にふっと意識が消えて気づいたらはねられてましたー、なんてこともあるかもしれんだろ」

 

雪乃「…………」ピクッ

 

八幡「事故るのはもう御免なんだよ、だから寝かせてくれ」

 

雪乃「……仕方ないわね、特別よ」

 

八幡「……おう、すまんな雪ノ下」

 

雪乃「次はないわ、睡眠は夜にしっかりとりなさい。部長命令よ」

 

八幡「へいへい、サンキューな」グテッ

 

八幡「」スー

 

雪乃「…………」ペラッ

 

八幡「」スー

 

雪乃「」チラッ

 

雪乃「」ジーッ

 

雪乃「……!」プイ

 

雪乃「…………………」

 

雪乃「」チラッ

 

八幡「」スー

 

雪乃「はぁ……」

 

雪乃「……顔は悪くないって言っていたけど、こう見ると確かにそう思えるわ。目を閉じているのだし」

 

雪乃「目が腐っていなければ……ね」

 

雪乃「…………」ナデナデ

 

雪乃「っ!?」

 

雪乃(わ、私は今、いったい何をっ)

 

雪乃(こんな目と根性と性格が腐った男を……なでた?)

 

雪乃(……どうかしていたようね、私は。読書中もずっと比企谷君の方をチラチラ見てて)

 

雪乃(それで比企谷君の顔がどうとか……)チラッ

 

雪乃(き、気になる)チラッチラッ

 

雪乃「ひ、比企谷君……起きてはいない、のよね」

 

八幡「」スー

 

雪乃「…………比企谷君」

 

雪乃「私はいつも、あなたにひどい言葉を浴びせているわね」

 

雪乃「今日も遠回しに『死ね』と言ってしまっていたし……反省するわ」

 

雪乃「さんざん罵っておいて、何様のつもりだと思うかもしれないけれど」

 

雪乃「……比企谷君にも、いいところはあるのよ」

 

雪乃「さっきも言ったけれど目を除いた顔のつくりとか……、ごめんなさい目はさすがに擁護できないわ」

 

雪乃「他には、自分に正直なところとか……そうね、文系科目の成績は優秀よね」

 

雪乃「……でも、嫌いなところだってあるわ」

 

雪乃「自分を犠牲にすれば何でも解決出来ると思っているみたいだけれど、はっきり言ってそれは大間違いよ」

 

雪乃「あなたが傷ついても問題が解決出来なかったらどうするつもりなのかしら」

 

雪乃「それに、あなたのトラウマはどんどん増えていくのよ」

 

雪乃「比企谷君の心を完全に押し潰すまで、ずっと」

 

雪乃「……だからもうやめなさい」

 

雪乃「私は、もう比企谷君に傷ついてほしくないのよ」

 

雪乃「何を言ってるのかしら、私は……比企谷君は眠っているのに 」

 

雪乃「臆病ね、私は……こんな時にしか、あなたに素直な気持ちを言えないの」

 

雪乃「……好き」

 

雪乃「比企谷君、好きよ」

 

雪乃「好き……好き」

 

 

ちゅっ

 

 

雪乃「……比企谷君、起きているかしら」

 

雪乃「寝ているのなら、もう少しそのままでいなさい」

 

八幡「」スー

 

雪乃「…………。好き」

 

ちゅっ、ちゅっ

 

雪乃(もっと、したい)

 

ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ

 

雪乃(あたまが、くらくらする)

 

雪乃「キスって、こんなに気持ちいいのね……」

 

雪乃「……こほん」

 

雪乃(私としたことが……)

 

八幡「」スー

 

雪乃(この辺りにしておきましょう……起きてしまうかもしれないし、歯止めが効かなくなりそうだもの)

 

八幡「」スー

 

雪乃「…………」モンモン

 

雪乃(本の内容がほとんど頭に入らなかったわ……)

 

雪乃「比企谷君、起きなさい」ユサユサ

 

八幡「……ん、雪ノ下」

 

八幡「すまん、これからは気をつける」

 

雪乃「そうしてちょうだい。鍵は返しておくから、先に帰っていていいわ」

 

八幡「んじゃ、またな」

 

雪乃「……ええ、さようなら」

 

雪乃(比企谷君の唇……意外と湿っていて……)

 

雪乃「っ、考えてはダメ」ブンブン

 

雪乃「……………」

 

雪乃「キス……どうにかしてまた出来ないかしら」

 

雪乃「部室で寝るなと言ったのは私だものね」

 

雪乃「……はぁ」

 

雪乃「比企谷君……キス、したいのだけれど」

 

雪乃「…………」

 

雪乃「ダメね、これじゃ怪しまれてしまうし、恐らく拒否されてしまうわね」

 

雪乃「やっぱり寝ている時に、よね」

 

雪乃「……寝かせる……、眠らせる?」

 

雪乃「…………!」ピコーン

 

雪乃「そうね、その手があったわ」

 

 

(翌日、部室)

 

八幡「うす」ガララ

 

雪乃「こんにちは、比企谷君」ニコッ

 

八幡「……!?」

 

雪乃「どうしたのかしら、そんなに驚いて」

 

八幡「あ、ああいやなんでもない。気にするな」

 

八幡(なんすか今の)

 

八幡(一瞬だが戸塚にも引けを取らない天使が降臨した気がするんだが)

 

八幡(……雪ノ下の笑顔ってのも、悪くはないな)

 

八幡(戸塚と違ってこいつの笑顔は守らなくても大丈夫そうだが)

 

雪乃「……」ペラッ

 

雪乃「比企谷君」

 

八幡「どした」

 

雪乃「昨日はよく眠れたかしら」

 

八幡「あ、ああ」

 

八幡(え、こいつどうしたの? いつもみたいに暴言を浴びせて来ないし)

 

八幡(さっきの天使の微笑みといい、まるで意味がわからんぞ!)

 

八幡「なぁ、雪ノ下」

 

雪乃「何かしら」

 

八幡「……昨日は何食べた」

 

雪乃「『何かあったのか』とは聞いてくれないのね」

 

八幡「はい?」

 

雪乃「さっきからのあなたを見ていればわかるわ」

 

雪乃「戸惑っているのではないかしら、今日の私に」

 

八幡「うそん、当たってる……」

 

雪乃「せっかくだから質問してもいいわよ? 好きにしなさい」

 

八幡(質問、質問ね)

 

八幡(とりあえず『さっきの微笑みはなんだ』と『いつもの暴言はどうした』……だな)

 

八幡(雪ノ下のあんな……戸塚みたいな純粋な笑顔を気にしないなんて無理だ)

 

八幡(そして暴言。雪ノ下が俺を罵倒しないなんてどう考えてもおかしい)

 

八幡「よしわかった、2つ質問する」

 

八幡「一つ目。さっき見せたあの微笑みについてなんだが」

 

雪乃「どうだったかしら、あんまり自信がないのだけれど」

 

八幡「え、あぁ、……可愛かった、ぞ」

 

雪乃「っ……///」

 

雪乃「そ、そう……」ニコッ

 

八幡(…………)プイ

 

八幡「……二つ目、いつも俺に投げかけている暴言はどうしたんだ」

 

雪乃「そのことなのだけれど」

 

雪乃「金輪際、比企谷君を必要以上に罵倒するのはやめることにしたわ」

 

八幡「……マジで?」

 

雪乃「昨日少し考えてみたの。私の言葉をあなたがどう感じているのか」

 

八幡「お、おう」

 

八幡(嘘だろ……? 雪ノ下がそんなことを考えるはずがないだろおい)

 

八幡(だがちょっと待ってほしい、今日の雪ノ下はどこかおかしい)

 

八幡(『今の雪ノ下』なら有り得るかもしれないが……一体何が起こったんだ……)

 

雪乃「正直なところ、よくわからなかったわ。今のところは平気のようだし」

 

八幡「おい」

 

雪乃「でも、このまま暴言を言い続けていても誰も得しないのではないかしら」

 

八幡「お前得してなかったの?」

 

八幡「俺を口撃して日頃の鬱憤を晴らしてるとかじゃないのか?」

 

雪乃「そんなことはないわ」

 

雪乃「あなたとコミュニケーションするのに適していると思っていたのよ」

 

雪乃「ごめんなさい。もっと早くやめておくべきだったのに」

 

雪乃「どんなに酷いことを言っても受け入れてくれる、優しいあなたに甘えていたのかもしれないわ」

 

八幡(なに? これほんとに雪ノ下? 俺が知ってる雪ノ下ってこんなんじゃないよ?)

 

八幡「……俺が優しい? ハハッワロス

 

雪乃「冗談ではないわ、あなたの場合はひねくれ過ぎていて優しさに気づかない人が多いだけよ」

 

雪乃「比企谷君の表面しか見ていなければ、絶対に気づかないわ」

 

八幡「…………」

 

雪乃「……比企谷君? 今、どうやって優しさを隠そうかとか考えているのでしょう?」

 

八幡「いぎっ!?」

 

八幡(アイエエエ!? バレタ!? バレタナンデ!?)

 

雪乃「そんなことを考えるより、自分を傷つけずに物事を解決する方法を考えなさい」

 

雪乃「……もう嫌よ。なにか問題が起こって、あなたが泥を被ってそれを解決する度に」

 

雪乃「何も知らない傍観者たちが功労者のあなたの陰口を言う」

 

雪乃「そうなってしまう度に、私は辛くなったわ。あなたの優しさが報われないのが空しくて」

 

八幡「そうでもしなきゃぼっちで居続けられねぇだろ。俺はずっとぼっちでいたいんでな」

 

八幡「今のこの状況を維持するにはこういうのが俺にとって最高の選択なんだよ」

 

八幡「……たとえお前にとって最低なものでもな」

 

雪乃「それでも私は……」

 

ガララ

 

結衣「やっはろー!」

 

雪乃「あら由比ヶ浜さん、こんにちは」

 

八幡「うす」

 

八幡(最高だ由比ヶ浜! この最悪な間の悪さが実に最高だ!)

 

八幡(ともかくこれで助かった、今日の雪ノ下と二人きりだと俺の寿命がマッハだ)

 

八幡(専業主夫になって勝ち組人生を謳歌するまでは死にたくないんだよ俺は)

 

八幡(由比ヶ浜が間に入ってくれればまだマシになる)

 

結衣「ごめんねゆきのん、今日は優美子たちにカラオケに誘われちゃって」

 

八幡(ファッ!?)

 

八幡(あの縦ロール……恨むぞ……」

 

八幡(ちょっと声に出てたな……バレては、いないか)

 

八幡「……リア充って疲れるんだな、ぼっちでよかったわ俺」

 

結衣「な! 楽しいもんカラオケ! ヒッキーの生活よりずーっと楽しいもんねー!」

 

八幡「はいはい」

 

結衣「それじゃあねー! 明日はちゃんと来るから!」ドタドタ

 

ピシャン

 

八幡「……行っちまったな」

 

八幡(気まずい空気に逆戻りか……)

 

雪乃「比企谷君、お茶を淹れようと思うのだけれど」

 

雪乃「紅茶でいいかしら?」

 

八幡「……ああ」

 

トポトポ

 

雪乃「どうぞ」コト

 

八幡「すまん」ズズッ

 

雪乃「どうかしら」

 

八幡「……ああ、美味いぞ」

 

雪乃「よかった」ニコッ

 

八幡(ああくっそまたこの顔しやがった)ドキドキ

 

八幡(なんなんだよ……調子が狂う)

 

 

雪乃「」ペラッ

 

八幡「……」

 

雪乃「」ペラッ

 

八幡「……」コクッ

 

雪乃「」チラッ

 

八幡「…………」コクッコクッ

 

雪乃「比企谷君?」

 

八幡(くそっ、寝んぞ……意地でも寝ないぞ俺は)

 

八幡(やべ、瞼が重い……)

 

 

ファサ

 

 

雪乃「……毛布よ。辛そうだったかから」

 

八幡「うぁ……」

 

八幡(……もうダメだ、グッバイ俺の意識)コテ

 

雪乃「……」ナデナデ

 

雪乃「初心なのね」

 

雪乃「ちょっと照れていたわね……可愛かった」

 

雪乃「ねぇ……は、は、……はちまん」

 

雪乃「い、言ってみただけよ」

 

雪乃「……はちまん、はちまん」

 

雪乃「ふふふふ……」テレテレ

 

雪乃「」クンクン

 

雪乃「ふぁ……」

 

雪乃「これが、ひき……八幡の匂い 」クンクン

 

雪乃「うなじって、どんな匂いなのかしら」クンクン

 

雪乃「……っ、これはなかなか……クセになりそうね」ホワホワ

 

雪乃「味もみておきましょう」ペロッ

 

八幡「」ピクッ

 

雪乃「ん……」ペロペロ

 

雪乃(おいしい……)ペロペロペロペロ

 

雪乃「……唾液がついてしまったわ」

 

雪乃「…………。す、吸い取ればいいのかしら///」

 

雪乃「ちゅううっ」

 

雪乃「……あ、赤くなってしまったわ」

 

雪乃(これって、キスマークよ……ね)

 

雪乃(大丈夫よ……後ろ髪で隠れるわ……大丈夫……)

 

雪乃「……今日も寝てしまうなんて、いけない部員ね」

 

雪乃「部長として素行の悪い部員には、罰を与えなければならないわ」

 

雪乃「だから、これは罰よ」

 

ちゅっ

 

雪乃「私の前でこんな無防備に眠りこけて」

 

ちゅっ

 

雪乃「全く反省してないのね」

 

ちゅっ

 

雪乃「……起きないのかしら」

 

ちゅっ

 

雪乃「起きないわよね」

 

ちゅっ

 

雪乃「…………すき」

 

ちゅっ

 

ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ

 

 

雪乃「比企谷君、もう下校時刻になるわ。起きなさい」ユサユサ

 

八幡「すまんかった」

 

雪乃「いいのよ、気にしてないわ」

 

八幡「……毛布」

 

雪乃「風邪を引くといけないでしょう? 聞き分けのないあなたが今日も寝るかと思って持ってきたのよ」

 

八幡「うぐ、自分の落ち度を責められると毒がしみる」

 

雪乃「実際にあなたは寝てしまったのだから、そう言われても仕方がないのよ」

 

八幡「返す言葉もありません……」

 

雪乃「今日はもう終わりにするわ」

 

雪乃「鍵はいつも通り私が返しておくわ」

 

八幡「……あいよ」

 

雪乃(……OK、最高よ、超クール)

 

雪乃(薬を盛るのは気が引けたけど案外あっけないものね)

 

雪乃(八幡が今気にしているのは唐突すぎる私の変化)

 

雪乃(相手が私だからというのもあるでしょうけれど、寝込みにいろいろやられたと思うわけがないわ)

 

雪乃(そして、私の態度の変化はただのカモフラージュじゃない)

 

雪乃(というより、カモフラージュにする気ではなかった)

 

雪乃(結果的にそうなってしまっただけで、八幡との接し方を変えたいと思ったからそうしただけ)

 

雪乃(さすがに面食らってたわね。可愛かったわ、八幡……)

 

雪乃(この調子でもっと八幡との距離を縮めましょう)

 

雪乃(……明日は由比ヶ浜さんが来るのよね)

 

雪乃(由比ヶ浜さんの前でおおっびらに事を運ぶのは気が引けるし……)

 

雪乃(…………あっ)ピコーン

 

(翌日、部室)

 

雪乃「下校時刻ね、今日はおしまいにしましょう」

 

結衣「今日も誰も来なかったねー」

 

八幡「誰も来ないのが一番平和な時なんだよ」

 

八幡「警察や消防だって仕事がないほうが本当はいいんだぞ」

 

結衣「ヒッキーは面倒臭いだけでしょ……」

 

八幡「決め付けんなよ……まあそうなんだが」

 

結衣「じゃあね、ゆきのん、ヒッキー! また明日ー!」タッタッタッ

 

雪乃「ええ、また明日」

 

八幡「おう」

 

雪乃「……比企谷君」

 

八幡「どうした」

 

雪乃「明日の昼休み、部室で待っているわ」

 

八幡「え、え?」

 

 

(翌日、昼休みの部室)

 

ガララ

 

雪乃「よかった、来てくれたのね比企谷君」

 

八幡「まあ、暇だし」

 

雪乃「さ、お昼ご飯を食べましょう」

 

八幡「……それはいいんだが、なんでお前二箱も持ってんの? そんなに食えるのか?」

 

雪乃「無理ね」

 

八幡「じゃあなんで持ってきたんだよ……」

 

雪乃「……にぶいのね。片方はあなたのぶんよ」

 

八幡「ウェ!?」

 

八幡(ウェイウェイウェイ、ちょ、待てよ)

 

八幡(なんでこんなラブコメ展開に遭遇しちゃってんの俺)

 

八幡(思い出せ比企谷八幡、こういうのは100パートラップだとトラウマとしてふかーく刻まれてるだろ)

 

八幡(……いやしかし今回は雪ノ下だぞ? こいつは暴言や失言はしても虚言は吐かないし人を騙しもしない)

 

八幡(ここ数日の雪ノ下は暴言も失言もしないけどな)

 

八幡(……どうしよう、ちょっと受け入れたがっている俺ガイル)

 

八幡(雪ノ下なら、まあ……いいかもな。料理美味いし)

 

八幡「……わーったよ」

 

雪乃「意外だわ……比企谷君が無意味にごねすに従うだなんて」

 

八幡「もし由比ヶ浜の誘いだったなら無理矢理にでも断ってたが」

 

雪乃「失礼よ比企谷君、ちゃんとしたレベルまで成長しているかもしれないじゃない」

 

八幡「そんなわけないだろ……。てかお前こそ失礼だぞ」

 

八幡「……しかし、あいつの才能の無さはどうにかならないの?」

 

雪乃「さあ……? でも私ですらどうにも出来なかったのよ、かなり厳しいのではないかしら」

 

八幡「いくら教えてもまるで成長しなかったもんな……ちゃんとレシピに従ってたはずなんだが」

 

八幡「……自分で話を振っておいてなんだが、やめにしないか」

 

雪乃「そうね……」

 

雪乃「では食べましょう、時間がなくなってしまうわ」パカ

 

(ものすごく豪華なゆきのん手作り弁当の図)

 

八幡「……すげぇな、これ弁当なの?」

 

雪乃「ええ……あなたに食べてもらうものだから、その、いつもより少し工夫を……」

 

八幡(この人今なんて言った? 少しって言ったよね?)

 

八幡(少し頑張るだけでこんなの作れるっておかしくね?)モグモグ

 

八幡「……うめぇ」

 

雪乃「そう、よかった」ニコッ

 

八幡(ぐ……この笑顔、苦手だ。直視できない)モグモグ

 

雪乃「……ふふ」ニコニコ

 

雪乃(最近は八幡と一緒にいられるだけで幸せだわ……)

 

雪乃(昼休みの時間を考慮して睡眠薬は入れなかったけれど、正解だったわね)

 

 

八幡(……こんな調子で昼食は終わった。雪ノ下がずっとニコニコしていたが、どういうことなのだろうか)

 

八幡(食事のあと、雪ノ下は好みの味付けや好物をしきりに聞いてきた)

 

八幡(気が向いたらまた作ってくれるらしい。俺の胃袋を掌握してどうするつもりなのか)

 

八幡(『どういうことだ』? 『どうするつもりだ』? 何を言ってる、薄々気づいてるんじゃないのか)

 

八幡(…………もしかして、こうして俺を引き込んで何かに利用するとか)ズキッ

 

八幡(っち、ねーよ! そんなわけあるか……。信じろよ、雪ノ下を……)

 

 

(放課後、部室)

 

結衣「ねぇねぇゆきのん、最近のゆきのんってヒッキーに優しくない?」

 

雪乃「そうかしら?」

 

結衣「そうだよ! ヒッキーの目のこととか全然言わなくなったし」

 

雪乃「目のことをとやかく言っても濁りがどうこうなるわけではないでしょう」

 

雪乃「そうね、言っても無駄だって気づいたのよ」

 

結衣「確かにヒッキーの目は手遅れって感じがするよね」

 

八幡「……おい」

 

雪乃「まぁ、人の嗜好はそれぞれ異なるから……もしかしたら比企谷君の目が好みの女性がいるかもしれないわ」

 

結衣「あはは、やっぱりゆきのんヒッキーに優しいじゃん」

 

結衣「ちょっと前までのゆきのんならそんなこと絶対に言わないと思うよ」

 

八幡「確かにな」

 

雪乃「……お茶淹れるわね」ガタッ

 

八幡(逃げたな)

 

八幡(……と、こんな感じで少しだけ俺に優しくなった奉仕部の時間は過ぎて――)

 

 

「たのもーーーーう!!」

 

八幡(うげぇっ、この声は)

 

八幡(やめてくれよ……モノローグ入ったんだから空気読まずに来るなよ)

 

八幡「……なんの用だよ、材木座

 

材木座「なんの用だ、だと? とぼけるな八幡よ! どうせ勘付いているのだろう!」

 

材木座「創りあげてきたのだァ! 我が魂を込めた新たなヒストリィィィィ!!」

 

八幡(うるせぇ……)

 

結衣「あたし帰るね」

 

材木座「ちょっちょっちょっちょぉーーーー! なぜ帰ろうとするのだぁ!?」

 

八幡「まぁ待て由比ヶ浜、もう少しだけでいいからここにいてくれ」

 

材木座「は、はちまぁん……! お前というやつは!」ウルウル

 

雪乃「はい、お茶よ」コト

 

結衣「あーそっか! すっかり忘れてたよ」

 

八幡「……と、言うわけだ」

 

材木座「お……おのれぇ八幡! 我を愚弄するなぁーー!」

 

八幡「うるせぇよ材木座、俺達は今物静かにお茶を楽しみたいんだ」

 

八幡「なんのパクリかは知らんが一応ちゃんと見ておくからそこに置いて今日は帰れ。お前をボコボコにするのは明日にとっておく」

 

材木座「う゛う゛……覚悟しておけ八幡! これは必ずやお前の心を震わせるだろうッ!!」バサッ

 

八幡「はよ帰れ」ゲシッ

 

ガラガラ

ピシャン

ガチャ

 

 

<オオーイハチマン! アケロー!

 

 

雪乃「……由比ヶ浜さん、明日は無理してくる必要はないから」

 

結衣「そ、そうなの……じゃあお言葉に甘えて明日は休むよ」

 

八幡「意外だな……由比ヶ浜が『お言葉に甘えて』なんて言葉を使っていやがる」

 

結衣「な! ヒッキーキモい! それくらいあたしにもわかるし!」

 

雪乃「……ごめんなさい由比ヶ浜さん。私も比企谷君と同意見なのよ」

 

結衣「ゆ、ゆきのんまでーー!」

 

 

(夜、八幡の部屋)

 

八幡「…………」ペラッ

 

八幡(さすがに文章が全部倒置法になってたりとかはしてないな)ペラッ

 

八幡(今回はバトルものじゃないから無茶苦茶なルビもない)ペラッ

 

八幡「……」ピタッ

 

八幡(……主人公の目が腐っている)

 

八幡(この時点でぶっちゃけ権利侵害で訴えていいと思う)

 

八幡(だが他の部分も俺そっくりだ)

 

八幡(孤高のぼっちである)

 

八幡(リア充爆発しろと作文に書く)

 

八幡(やたらと担任に殴られる)

 

八幡(そして、奉仕部みたいな部活に強制入部させられる……)

 

八幡(なんだっけ、『心を震わせる』だったか? 今震えてるよ、最悪な意味でな)

 

八幡(……読む気無くした。が、本人に読むと言った以上ドロップアウトは出来ん)

 

八幡(しかしページ多いなこれ……徹夜なんてごめんだぞ)ペラッ

 

 

(翌朝)

 

八幡(徹夜してしまった……ねみぃ……)

 

八幡(こんなに長かったのに展開がワンパターンとか、材木座はよくこんなものを書けたな)

 

八幡(俺そっくりの主人公が、雪ノ下そっくりの毒舌女とぐだぐだしながらたまにいちゃつく。それだけ)

 

八幡(わざわざ奉仕部をパクるなら由比ヶ浜くらい出せよ……)

 

八幡(……ともかく、こいつを読んでしまったせいで俺の眠気がヤバい)

 

八幡(今日はしょうがない、とか言って雪ノ下が寝かせてくれたり……あるあ、ありそうで怖い)

 

八幡「……ふぁあ」

 

八幡「そういや雪ノ下も読んだんだよな……」

 

八幡「……材木座が無事に帰れるといいが」

 

八幡(部室にたどり着くと、すでに虫の息の材木座がうずくまっていた。こっぴどくやられたみたいだ)

 

八幡(雪ノ下の表情は心なしか苛ついているように見える。そりゃそうだ、あんなもの読まされたんだからな)

 

八幡(あれを読まずにすんだ由比ヶ浜は本当に幸運だ)ガララ

 

八幡「よう材木座、やたらと俺の目の描写がしっかりしてたじゃあないか」

 

材木座「はぐぅ!」

 

雪乃「評価点は一応完結させてから出してきたことと、主人公の目の描写だけね」

 

雪乃「それら以外は壊滅的よ。無駄に長ったらしいし、睡眠時間を削ってまで読んだのが馬鹿らしくなるわ」

 

雪乃「最後に、奉仕部をモデルにするのはこれで最後にしなさい」

 

雪乃「……ふぁ、あ」

 

八幡(うわー眠そー)

 

八幡「……次はもう少し読み易いもんを持ってこい。俺寝てねぇぞ」

 

材木座「」ズーン

 

八幡「まぁ、前よりマシになってるとは思うぞ」

 

八幡「今回は今回でオリジナリティの欠片もなかったが……それ以外はちょっとは成長してるんじゃないか」

 

材木座「は、八幡……!」キラキラ

 

八幡「なんてことを言うと思ったか? お前はまだまだだ」

 

材木座「」チーン

 

八幡「これにめけずにまたギタギタにされに来て……来なくてもいいや」

 

八幡(オーバーキルされて意識を失った材木座を放り出して、以来は完了したが)

 

八幡(徹夜と材木座の巨体を放り出した疲れで、あっという間に睡魔に襲われた)

 

八幡(雪ノ下も目をこすったりしていて、眠気を感じているようだ)

 

八幡「……ねむ」

 

雪乃「今回は仕方ないわね」ファサ

 

八幡(毛布……仕方ないとか言っておきながらわりとノリノリで寝かしつけに来てない?)

 

八幡「すまん」

 

雪乃「気にしないでちょうだい」ガタ

 

八幡(ふぇ? なんで俺のそばに椅子を寄せるんだ?)

 

雪乃「」ナデナデ

 

八幡「!?」

 

八幡「ゆ、ゆゆ、ゆ雪ノ下……おまっ」

 

雪乃「……寝つきやすいかと思ったの。迷惑だったかしら」

 

八幡「いや、そんなことは……驚いただけだ」

 

八幡「撫でたいなら、……勝手にしろ」グデー

 

雪乃「」ナデナデ

 

八幡(悪くないな……なんか落ち着く)

 

八幡(………………)スピー

 

雪乃「……さて」

 

雪乃(散々に貶した直後で気が引けるのだけれど)

 

雪乃(ちょっとだけ、試してみようかしら……材木座君のインスピレーションを)

 

雪乃(……耳を)

 

ぺろっ

 

八幡「」ビクッ

 

雪乃(びくっとした……敏感なのかしら)ペロペロ

 

八幡「ん……ふぁ……」

 

雪乃(舌先を、耳の穴に……)ジュル

 

八幡「っ、う……」

 

雪乃「ふーっ」

 

八幡「は、ぁ……」ビクッ

 

雪乃「…………」

 

雪乃(やめましょう、これ以上すると起きてしまうわ)

 

雪乃(次は……八幡の顔を横にして)

 

八幡「」スー

 

雪乃(キスをして)チュッ

 

八幡「ん……」スー

 

雪乃(唇を割って、舌を口の中に……入れて)

 

雪乃(八幡の舌と絡ませる)ンチュ

 

八幡「んぅ……」

 

雪乃「ちゅぱっ、れろ……っ」

 

八幡「む、ぅ……」

 

雪乃「ん、はぁ……くちゅ」

 

八幡「く、ぅん」

 

雪乃「ぷはっ」

 

雪乃(唇から唾液の糸が引いて……まだ、八幡と繋がってる……)

 

雪乃「はぁ、はぁ///」ペタン

 

雪乃(腰が抜けてしまったわ……気持ちよかった……)

 

雪乃(次で、最後)

 

雪乃(八幡の肩に、身体を預けて……一緒に眠る)

 

雪乃「あ、毛布……二人で使いましょう、八幡」モゾモゾ

 

雪乃「ふふふ……温かいのね」

 

雪乃「……眠たくなってきたわ、私も眠るから」

 

雪乃「おやすみなさい……八幡。時間が来たら起こしてちょうだい」

 

 

 

平塚(……奉仕部の鍵が帰ってきていないな)

 

平塚(いつもは雪ノ下が返しに来るから、今日は用事で先に帰ったか)

 

平塚(あいつが鍵を忘れて帰るなんてことは有り得んし、由比ヶ浜か比企谷に任せたのか)

 

平塚(……まぁ、見に行けばすぐにわかるな)

 

八幡「」スー

 

雪乃「」スヤスヤ

 

平塚「」ポカーン

 

 

平塚「あ、……ありのまま 起こっていることを話すぞ」

 

平塚「『奉仕部の鍵が返されていないので様子を見に行ったら比企谷と雪ノ下が寄り添い合って寝ていた』」

 

平塚「何を言っているのかわからないと思うが 私も何が起きているのかわからなかった」

 

平塚「見間違いだとか 日頃の疲れが原因で幻想を見ているだとか、そんなチャチなもんじゃあ断じてない」

 

平塚「もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぞ……」

 

平塚「…………」

 

平塚「ドラァッ!!」ドゴーン

 

八幡「っうお!?」ビクッ

 

雪乃「!? ひ、平塚先生ノックを」

 

平塚「ああ、ノックか? したぞ? ちと強く叩き過ぎただけさ」

 

八幡「というか、ドアが……」

 

平塚「問題ない、直して戻せる」

 

八幡「そ、そっすか……」

 

平塚「ところでお前たち、これはどういうことだ?」

 

八幡「いやその、(部活として)やることやったら疲れちゃいまして」

 

雪乃「つい時間を忘れて(眠ってしまって)……すみません」

 

平塚「な………」

 

 

(行き遅れフィルター)

 

八幡「いやその、(雪ノ下と) ヤることヤったら(イキ)疲れちゃいまして」

 

雪乃「つい時間を忘れて(抜かずの三発ほどしてしまって)……(平塚先生より早く処女を捨ててしまって)すみません」

 

 

平塚「このクソカスどもがァ――――ッ!!!」

 

八幡「」ビクッ

 

雪乃「平塚先生、お、落ち着いてください」

 

平塚「うるさい!! 神聖な学び舎でこんな不埒な行為に及ぶなど言語道断だマセガキども!!」

 

八幡「あああの、添い寝ってそんなに大変なことなんですかね」

 

平塚「それ以上のこともしただろう! 誤魔化すんじゃあない!」

 

雪乃(した、といえばしたけれど……)ビクッ

 

平塚「お、おい雪ノ下……? まさか、お前から……?」

 

雪乃「私から、とは」

 

平塚「とぼけるな―――ッ! お前から誘ったのだろうと言っているんだ!」

 

平塚「吐いてもらおう……全て吐け! どうやってこの腐れヘタレをその気にさせたんだ!? 言えぇ!!」

 

八幡「平塚先生落ち着いてくださいって! 話を聞いてくださいよ!」

 

平塚「お前の話なんて聞くか! その年で童貞卒業したお前なんぞのうおおおおおおお!!!」

 

 

八幡「はい?」

 

雪乃「え……え?」

 

平塚「……ん? なんだその目は」

 

雪乃「平塚先生……まさか、私達がここでせ、性交したと……思っていたんですか?」

 

平塚「ち、違う……のか?」

 

八幡「してませんし、するとしてもこんな所じゃしませんよ……」

 

平塚「」

 

平塚「」ポカーン

 

平塚「」アワアワ

 

平塚「」チーン

 

平塚「な、なぁ……私はどうすればいい」

 

平塚「いい男を捕まえるには……どうすればいいんだ! 答えろ比企谷!」

 

八幡「それが先生の心の闇ですか」

 

平塚「いいから答えろぉ! 比企谷アアアアアアアアアアアアア!!!」

 

八幡「自分のことしか考えない先生は嫌いだ……」

 

八幡「……ということがあってな」

 

小町「大変だねぇ、平塚先生」

 

八幡「俺じゃねぇのかよ」

 

小町「だって今回はお兄ちゃん完全に得してるじゃん。雪乃さんと一緒に寝たんでしょ?」

 

八幡「気付いたらそうなってただけで、添い寝しようと提案してもいないし認識してもいなかったぞ」

 

小町「でもでもー、雪乃さん結構大胆だよねー」

 

小町「お兄ちゃんの話からすると、雪乃さんから添い寝してきたんでしょ?」

 

小町「うう……やっとお兄ちゃんの貰い手が出てきてくれてよかった……あ、今の小町的にポイント高い」

 

八幡「はぁ……雪ノ下が俺を貰う? ねーよ」

 

小町「はぁーあ……これだからごみいちゃんは」

 

小町「どうせ雪乃さんの好意にはとっくに気づいてるんでしょ? 何でまっすぐ見られないのかなー」

 

小町「……そりゃ、お兄ちゃんの昔のことは知ってるよ? 辛かったもんね、こうなっちゃうのも無理はないかなーって思うよ」

 

小町「でもさでもさ、雪乃さんはお兄ちゃんの気持ちを利用したり、騙したりなんて絶対しないよ」

 

八幡「それは分かってる」

 

小町「だったらなんで――」

 

八幡「それでもだ」

 

八幡「……あるだろ、どんなに信じたくても信じられないものが」

 

八幡「もう寝る。……小町も早く寝ろよ」

 

小町「お兄ちゃん……」

 

八幡(……どうして)

 

八幡「雪ノ下は俺を裏切ったり、無意味に傷つけたりする奴じゃない」

 

八幡「そんなこと、わかってるだろうが」

 

八幡「くそっ、くそっ!」

 

八幡「……なんで、俺は」

 

八幡(雪ノ下の好意を信じられないんだよ……ッ!)

 

八幡「ははっ、はははははは」

 

八幡「…………」ズキッ

 

八幡「………………………」ズキズキ

 

八幡(俺の、馬鹿野郎……!)

 

八幡(嫌いだ、……俺は……俺が嫌いだ――死にたくなるほどに)

 

八幡「……もう、雪ノ下の顔……見れないな」

 

プルルルル

 

ガチャ

 

小町「あ、もしもし小町です」

 

雪乃『小町さん? どうかしたのかしら』

 

小町「実は……お兄ちゃんの地雷原に突っ込んでしまいまして……」

 

小町「それで、その……今こそお兄ちゃんのトラウマをどうにかするチャンスだと思うんです」

 

小町「結構危ない賭け……ですけどね」

 

 

(翌日、教室)

 

戸塚「おはよう、八幡!」トテテ

 

八幡「おう、おはよう戸塚」

 

戸塚「……? どうかした八幡? 元気ないみたいだけど」

 

八幡「そう見えるだけだろ、俺はいつも通りだ」

 

戸塚「そう、かな」

 

八幡「俺自身が言ってるんだ、間違いない」

 

戸塚「そっか……じゃあね、また後で」

 

八幡「おう」

 

 

戸塚(……いつも通りなんて、絶対ウソだ)

 

八幡「……はぁ」

 

戸塚(いつも通りなら、そんな辛そうになんかしないよ)

 

 

(放課後、部室)

 

結衣「やっはろー!」

 

雪乃「由比ヶ浜さん、こんにちは」

 

結衣「あれ? ヒッキーは?」

 

雪乃「比企谷君はまだ来ていないわ」

 

結衣「おっかしいなー……ヒッキーは今日もすぐに教室出ちゃったし、掃除当番でもないのに」

 

雪乃「…………」

 

 

小町『……またうちのごみいちゃんが下らないことをし始めそうなんですよ』

 

雪乃「それって……」

 

小町『多分、明日からお兄ちゃんは部活に来なくなります』

 

雪乃(小町さんの言うとおりになった……)

 

雪乃(やっぱり、八幡は)

 

結衣「ゆきのん、ヒッキーのこと心配なの?」

 

雪乃「いいえ、比企谷君は放っておけばいつの間にか来るようになるわ」

 

結衣「嘘ついちゃダメだよゆきのん、さっきから全然本のページめくってないよ」

 

結衣「本も読めなくなるくらいヒッキーのことが心配なんだよね」

 

雪乃「…………」

 

 

コンコン

 

「失礼します……」

 

結衣「さいちゃん」

 

雪乃「……言わずとも分かるわ。比企谷君の事でしょう」

 

戸塚「うん……」

 

戸塚「今朝から元気がなくて、大丈夫って聞いても受け合ってくれないし」

 

戸塚「それで気になって奉仕部に来てみたんだけど……」

 

雪乃(…………)

 

 

小町『きっと無理矢理、奉仕部と距離を取ろうとします』

 

小町『……でも、それはお兄ちゃんにとっても辛いことなんです』

 

小町『本人は必死で、何事もないかのように取り繕うんじゃないでしょうか……』

 

 

結衣「……絶対、理由はあるよね」

 

雪乃「……」

 

戸塚「それが分かれば、八幡を元気に出来るかもしれないんだけど……」

 

雪乃「………………」

 

 

雪乃「知って……いるわ」

 

戸塚「えっ!?」

 

結衣「ほんと!?」

 

雪乃「ええ……比企谷君が奉仕部と距離を置きはじめた理由は――」

 

雪乃「理由は、私よ」

 

戸塚「どういうこと、雪ノ下さん」

 

結衣「ゆきのん……もしかして」

 

雪乃「この際だから、言ってしまいましょう」

 

 

雪乃「私は、比企谷君のことが好き」

 

雪乃「比企谷君が奉仕部から離れようとしているのは……私からの好意に気づいたからよ」

 

戸塚「……へ?」

 

結衣「さいちゃん、覚えてる? 職業体験が終わった直後のヒッキーのこと」

 

戸塚「確か……元気がなかったよ。今の八幡みたい、に……あっ」

 

雪乃「その時は由比ヶ浜さんから無理矢理離れようとしたのよ。いろいろあって元の鞘に収まったけれど」

 

雪乃「比企谷君は、他人から寄せられる好意を受け止めることが出来ないのよ……過去に背負った大きすぎるトラウマのせいで」

 

雪乃「誰かを信じたせいで、裏切られるのはもうごめんだ……と、そう思っているのでしょう」

 

 

小町『昔のお兄ちゃんは、誰かからの好意を人一倍欲しがっていました』

 

小町『ぼっちだからこそ、好きっていう気持ちを向けてくれる人……肯定してくれる人が欲しかったんじゃないかと思います』

 

小町『……でも、お兄ちゃんに本当の好意を示してくれる人は誰もいなかったんです』

 

小町『偽物の好意を信じたお兄ちゃんは……裏切られて、傷つけられて、それでも別の偽物を信じて』

 

小町『壊れる寸前になったお兄ちゃんは、そうなってからようやく逃げました』

 

小町『誰からも好かれないくせに、誰かを好きになろうだなんて馬鹿げてた……って』

 

小町『いっそ自分を好きになるのは自分だけでいい、って……自分を守ってきたんです』

 

小町『本当は、誰かに好かれたい……そういう気持ちを必死に隠して』

 

 

結衣「……ねぇ、ゆきのんはどうしたいの?」

 

雪乃「わ、私……?」

 

戸塚「そうだよ、八幡が雪ノ下さんを避けてるってことは」

 

戸塚「雪ノ下さんの気持ちは八幡に伝わってるよ。今の八幡を助けてあげられるのは」

 

戸塚「『好き』っていう気持ちを受け取れるように出来るのは、雪ノ下さんだけだと思う」

 

結衣「ゆきのん言ったよね、ヒッキーのことが好きだって」

 

結衣「このままヒッキーを放っておいたら、ヒッキーのトラウマを治してあげる事も出来ないし」

 

結衣「ゆきのんの思いもヒッキーに伝わらないままだよ?」

 

雪乃「……!」

 

雪乃「それは、……嫌」

 

結衣「だよね! だからちゃんと伝えようよ!」

 

結衣「ヒッキーのことが好きだって、絶対に裏切ったりしないって!」

 

戸塚「雪ノ下さん……元気のない八幡はもう見たくないんだ」

 

戸塚「八幡はもう、不幸になる必要なんてないよね……? だから、八幡を幸せにしてあげて……」

 

雪乃「由比ヶ浜さん……戸塚君……」

 

 

「話は聞かせてもらった」コンコンガララ

 

平塚「……ノックもしたぞ?」

 

結衣「平塚先生!」

 

平塚「いやぁ、比企谷がいつにもまして腐った目をしているものだから話を聞きにきたつもりだったんだが」

 

平塚「なるほど比企谷らしい卑怯な一手だな……敢えて退いて相手から来るのを待つか」

 

雪乃「平塚先生、今はふざけている場合ではないと思います」

 

平塚「悪い悪い、だが卑怯なのは真実だろう? 添い寝までした女を置いてどこかへ行ってしまうんだから」

 

結衣「ええっ!? ゆきのんそんなことしたの!?」

 

戸塚「雪ノ下さん……大胆なんだね」

 

雪乃「平塚先生……なぜそれをここで言うんですか? そもそも比企谷君は認知していませんでした。私が勝手にしたことです」

 

戸塚「ふ、ふぅん」

 

結衣「へぇー」

 

平塚「ほぉーん?」

 

雪乃「―――ッ!///」

 

雪乃「そ、そういう先生だって昨日は――」

 

 

平塚「や、やめろもう言うな! 言わないでくれぇええええええ!!!」

 

結衣「平塚先生……昨日そんなことしてたんですね」

 

戸塚「道理でドアの立て付けが悪いと思ったよ……」

 

雪乃「」ムスッ

 

平塚「いやほんとに悪いと思ってるから! すみませんでした!」

 

雪乃「……次はありませんよ」

 

平塚「肝に銘じておく……」

 

平塚「で、でだ。明日、私は比企谷をここに連行してくるから……それ以降は全て雪ノ下にかかっている」

 

平塚「比企谷がトラウマを克服することはすなわち、君への依頼の解決が近づくということだ」

 

平塚「覚えているだろう? 比企谷との勝負に勝てばなんでも一つ命令でき――」

 

ドゴォン!

 

雪乃「言いましたよね? 次はありませんよと」ニコニコ

 

平塚「いや! 今のは違うだろう! 誤審! 判断ミス! ノーカウント!!」

 

平塚「ともかく比企谷の更生は私にとっても喜ばしいことだから頑張ってくれ以上だ私はこれで失礼する」ダダダ

 

戸塚「雪ノ下さん、八幡をよろしくお願いしますっ」ペコッ

 

雪乃「……ええ」

 

結衣「ゆきのん」

 

雪乃「由比ヶ浜さん……」

 

結衣「がんばって、ね」ニコッ

 

タタタッ

 

雪乃「……ありがとう、由比ヶ浜さん」

 

雪乃「あなたの分まで、八幡を幸せにしてみせる」

 

 

(翌日)

 

平塚「以上でホームルームを終わるが、比企谷には少し用事がある。残ってくれ」

 

平塚「では解散だ。部活や下校中に怪我などないようにな」

 

 

八幡「……なんすか」

 

平塚「ちょっとな、合わせたい奴が居るんだ」

 

八幡「雪ノ下ですか」

 

平塚「……カンがいいんだな」

 

八幡「お断りします」

 

平塚「何故だ? 雪ノ下の思いには気づいているのだろう、なぜ逃げる」

 

平塚「そうだ、帰ってもいいぞ? ただし帰ったら私は君を今後無期限で卑怯ヶ谷と呼ぶ」

 

八幡「ゴロが悪いっすね、雪ノ下の真似にしちゃ下手くそですよ」

 

平塚「私もこんな呼びにくい名前で人を呼びたくないのでね、ついてきたまえ」

 

八幡「結局強制じゃないっすか」

 

平塚「つべこべ言うな、言いたいことがあるなら雪ノ下に言え」

 

 

(部室前)

 

平塚「では、私は君が途中で逃げ出さないようにここで見張っておくから」

 

平塚「存分に話してくるといい」

 

八幡「なんすかそれ……」

 

ガララ

 

八幡「……よう」

 

雪乃「待っていたわ、比企谷君」

 

八幡「わざわざ平塚先生まで使ってなんの用だよ」

 

雪乃「比企谷君」

 

ぎゅっ

 

雪乃「……好き」

 

八幡「……離せよ」

 

雪乃「嫌よ、死んでも離さないわ」

 

ちゅっ

 

八幡「っ! 離せ、このっ!」

 

雪乃「きゃっ」ペタン

 

雪乃「……何を恐れているのかしら」

 

雪乃「私はあなたが好き。その気持ちに偽りもないし、あなたを裏切るつもりもないわ」

 

八幡「……小町か」

 

雪乃「察しがいいのね、その通りよ」

 

雪乃「本当に、いい妹さんよ? あなたのことをちゃんと見ていたのだそうだけれど」

 

八幡「…………」

 

八幡「やめてくれ」

 

八幡「俺のことなんか、好きになるな」

 

雪乃「……もう遅いわ、今更嫌いになんてなれないのよ、私は」

 

雪乃「それにあなたは心の奥で、誰かに好かれることを望んで――」

 

八幡「黙れぇッ!!」

 

雪乃「!」

 

八幡「やめ、ろ……」

 

雪乃「比企谷君……」

 

八幡「もう、俺に関わるな」クルッ

 

雪乃「ま、待って! 比企谷君!」

 

八幡「うるせぇよ……お前と同じ空間にいるだけでもう死にたくなってくる」

 

雪乃(死にたくなるって……そんなに私のこと……)

 

雪乃(――待って)

 

 

 

小町『実は……お兄ちゃん、一度だけ自殺未遂をしたことがありましてですね……』

 

雪乃「じ、自殺、未遂……!?」

 

小町『誰からも好かれない自分が嫌いだー、とか言って包丁を喉に突き立てようとしてて』

 

小町『小町はお兄ちゃんのこと好きだよ、って慰めても全然聞いてくれなかったんです』

 

小町『なんとかお兄ちゃんを止めないといけないと思った小町は、お兄ちゃんの言葉を思い出したんです』

 

小町『自分が嫌いだ、……って』

 

小町『最終的に、お兄ちゃんは自分を好きになることで自殺を思いとどまったんですけどね……』

 

 

雪乃(八幡は……自分のことを好きになることで、自分自身を守っていた……?)

 

雪乃(そんな八幡が一番恐れるものは、疑いようもない……!)

 

雪乃「比企谷君!」

 

八幡「んだよ」

 

雪乃「あなた、自分のことは好きかしら」

 

雪乃「今の『比企谷八幡』という人間のことをどう思っているの?」

 

八幡「…………!」

 

八幡「好きだよ、そうでなきゃぼっちなんてやってられん」

 

雪乃「嘘つき」

 

雪乃「今のあなたは、今の『比企谷八幡』のことを嫌っている」

 

雪乃「さっき『死にたくなる』なんて言ったのはどこのどなただったかしら」

 

雪乃「本当に自分のことが好きなら死にたいなんて思わないわ」

 

八幡「くどいぞ雪ノ下、お前に何がわかるんだ」

 

雪乃「わからないわ。あなたが自分のどこを嫌いかだなんて」

 

雪乃「そんなことあなたしか知らないじゃない、卑怯よ」

 

八幡「そうだ、卑怯だろう? 俺はそういう人間なんだよ」

 

八幡「お前はそういうのが嫌いだったろ? 嫌いになったろ、俺のことを」

 

雪乃「……私があなたを嫌いになれば、あなたは自分を好きになるのね」

 

八幡「そういうことだよ、俺に死んでほしくないならさっさと」

 

雪乃「お断りよ」

 

雪乃「あなたがあなた自身をどんなに嫌おうと、あなたは私をどれほど忌もうと」

 

雪乃「私はあなたを愛し続けるわ。そんな自分が好きだもの」

 

ぎゅっ

 

雪乃「――今度こそ、死んでも離さない」

 

八幡「雪ノ下……離せ」

 

雪乃「嫌よ。私、頑固だもの」

 

雪乃「比企谷君、知っているはずよね、私は奉仕部の一員」

 

雪乃「依頼人の要望に対して出来る限りのことを尽くすのが仕事なの」

 

雪乃「今、奉仕部は戸塚君と由比ヶ浜さんから依頼を受けているのよ」

 

雪乃「『比企谷八幡を幸せにしてほしい』とね」

 

八幡「…………!!」

 

雪乃「そしてあなたも奉仕部の一員よ」

 

雪乃「依頼人の要望で、あなたは幸せにならなければならないのだけれど」

 

雪乃「今のあなたの状況……『自分のことが嫌い』、これは到底幸せな状態とは言えないわ」

 

雪乃「あなたは奉仕部員として、自分の嫌いなところを受け入れるなり取り除くなりして、自分を好きになる義務があるのよ」

 

雪乃「あなたは『誰からも好かれない人間』じゃないわ。由比ヶ浜さん、戸塚君、材木座君」

 

雪乃「平塚先生、小町さん、……そして私。もっといるかもしれないけれど、あなたを好いている人間はちゃんといるのよ」

 

雪乃「……あなたはだれからも好かれていないなんてことはないし、自分を嫌いになる必要もないわ」

 

八幡「……違う」

 

八幡「違うん、だ」

 

雪乃「では、何かしら? ……ずっと聞いていてあげるから、気の済むまで吐き出しなさい」

 

八幡「……昔はそうだった、皆が俺を騙して、貶して、傷つけて」

 

八幡「味方が小町しかいなくてさ、そんな自分が無価値なものに思えて、嫌いになったんだ」

 

八幡「……今は違う」

 

八幡「敵はいるが味方もいる。強制入部とはいえ、結果的に味方が出来たんだから奉仕部には……まぁ感謝してる」

 

八幡「由比ヶ浜も、戸塚も、材木座も、平塚先生も」

 

八幡「俺を騙したりも傷つけたりも貶したりもしない……平塚先生は物理的にアレだがノーカンだ」

 

八幡「ぶっちゃけさ、最近までは自分のことが好きでいられたんだよ。俺にも味方ができた、それだけの理由だけどな」

 

八幡「それで、好きな奴も出来たんだよ。俺とは比べ物にならないくらい強い奴をさ」

 

八幡「雪ノ下の生き方とか、強さに憧れて、そのうち好きになった」

 

八幡「……だが、俺への好意を素直に伝えたお前に、彼女を好いているはずの俺は素直になれなかった」

 

八幡「トラウマが……ふと思い出されて、雪ノ下の好意を信じたいのに信じることが出来なくて」

 

八幡「情けない、そう思ったよ。だから自分が嫌になって……逃げたんだ」

 

八幡「雪ノ下が呆れて、俺を好きじゃなくなれば……また自分のことを好きになれると思ったんだ」

 

八幡「……俺は……こんな自分が嫌いだ」

 

八幡「過去に振り回されて、雪ノ下の思いを信じられない俺が……大嫌いだ」

 

八幡「小町から聞いたんだろ? 俺は自分自身を好きになることで自殺を思いとどまった」

 

八幡「だが、あの頃の記憶はトラウマとして俺の脳に刻まれている」

 

八幡「俺が再び自分を嫌いになった瞬間、脳裏に蘇ったよ……死のうとした時の気持ちが」

 

八幡「案外なんにも考えてねぇの、死にたいって気持ちと自己嫌悪しかなかった」

 

八幡「笑えよ……無様だろ? こんなに卑屈で、卑怯で、卑劣で――」

 

ぎゅうっ

 

雪乃「……黙りなさい」

 

八幡「雪ノ下……」

 

雪乃「それ以上は許さないわ、口をふさがれたいのかしら」

 

雪乃「あなたさっきから自分のことをやたらと責めているけれど」

 

雪乃「どんなにあなたが駄目人間でも、私があなたを嫌いになるなんて有り得ないわ」

 

八幡「…………」

 

雪乃「……ねぇ、今のあなたは私の好意を信じられるかしら」

 

雪乃「この期に及んで未だに私が裏切るとでも思っているの?」

 

八幡「そんなこと、最初から……」

 

八幡「……思ってるわけ、ないだろ」

 

雪乃「そう、なら後はもう簡単よ」

 

雪乃「……あなたが、トラウマを乗り越えるだけ」

 

雪乃「私を信じられるなら、抱きしめ返してほしいのだけれど」

 

八幡「雪ノ、下……」

 

ぎゅっ

 

雪乃「ふふ……ありがとう、八幡」

 

八幡「すまん雪ノ下……ありがとう、俺を好きになってくれて」

 

雪乃「……雪乃」

 

八幡「へ?」

 

雪乃「私はあなたのことを八幡って呼んだのよ? あなたも私のことを名前で呼びなさい」

 

八幡「お、おう……雪乃?」

 

雪乃「なんで疑問符がつくのかしら……やりなおし」

 

八幡「………。ゆ、雪乃」

 

雪乃「よろしい」

 

雪乃「それで、私たちは……その、相思相愛なのよね」

 

八幡「あぁー……そういえば」

 

雪乃「…………」

 

八幡「…………」

 

雪乃「好きです、私と付き合ってください」

 

八幡「……喜んで」

 

雪乃「……ふふ」

 

八幡「ははっ……」

 

雪乃「八幡、好きよ。だいすき」

 

八幡「俺も、……大好きだ。雪乃 」

 

雪乃「…………」

 

八幡「…………」

 

 

ちゅっ

 

材木座「えんだあああああああああああああ!!!」ガララ

 

雪乃「」

 

八幡「」

 

平塚「」

 

戸塚「」

 

結衣「」

 

材木座「……い、いやーー……」

 

八幡「せ、先生だけじゃなかったのかよ……」

 

雪乃「」ポカーン

 

結衣「いやぁー、あはは…… 」

 

戸塚「そのね、悪いとは思ったんだけど……二人が心配で」

 

材木座「」ビクビク

 

八幡「……材木座が全部悪い」

 

材木座「なっ! 八幡! たまには庇ってくれてもよいではないかぁ!!」

 

雪乃「……あなたのせいでムードが台無しなのだけれど」

 

材木座「ひぐぅ!」

 

結衣「……」ジトー

 

戸塚「ま、まぁ、ね、気持ちはわかるけどね、その……」

 

平塚「……材木座

 

材木座「はひぃ!」

 

平塚「たっぷり絞ってやる……こっちに来い」ズルズル

 

材木座「ぎゃひいいいい! やめひぇえええええ殺されるうううううう!!!」

 

平塚「さすがに殺しはしないさ、半殺しにはなるかもしれんがな」ズルズル

 

結衣「お、おじゃましました……ごゆっくり」トタタタ

 

戸塚「……よかったね、八幡。僕もすっごく嬉しいよ」

 

 

バタン

 

 

八幡「……台無しだな 」

 

雪乃「まぁ……こういうのもいいのではないかしら」

 

雪乃「……八幡、もう一つ言わなければならないことがあるの」

 

八幡「なんだ?」

 

雪乃「あなた最近、よく部室で眠っていたわよね」

 

八幡「……ああ、そうだけど」

 

雪乃「その……眠っているあなたに、色々いたずらを」

 

八幡「へ?」

 

雪乃「キスしたり、頭をなでたり、匂いをかいだり、うなじを舐めたり」

 

八幡「……は? はぁ!?」

 

雪乃「うなじにキスマークをつけたり、耳を舐めたり、ディープキスしたり」

 

八幡「」

 

雪乃「例の添い寝もその一環だったのだけれど」

 

八幡「」

 

雪乃「あと、眠らせるために紅茶に薬を盛ったことも」

 

八幡「もういいやめろ! 気にしてない、気にしてないから!」

 

雪乃「あらそう、ならいいのよ。今後ともよろしくね」

 

八幡「丸かじりしてやろうかこの野郎……」

 

雪乃「あら、私をもう食べてしまうの? せっかちなのね八幡は。卒業までお預けよ」

 

八幡「どうしてそうなるんだよ!」

 

 

雪乃「……くすくす」

 

八幡「はははっ……」

 

 

小町「おめでとーお兄ちゃん! よかったね、雪乃さんと付き合えて」

 

八幡「ああ、本当にな」

 

小町「……うわ、お兄ちゃんが素直だ……なんか気持ち悪い」

 

八幡「ひっでえなお前……」

 

八幡「ま、逃げられないように努力するよ。……こんな俺を好きになってくれたんだから」

 

小町「どうしたのお兄ちゃん、こんなのお兄ちゃんじゃないよ?」

 

小町「どうしてそんなに前向きになっちゃったの? 捻デレなお兄ちゃんはどうしたの?」

 

八幡「いいじゃねぇか、俺も雪乃のこと好きなんだから」

 

小町「ふぇーーん! お兄ちゃんがお兄ちゃんじゃなぁーーい!!」

 

八幡「なんだそりゃ……」

 

八幡「あ、そうだ小町」

 

小町「なーに、きれいなお兄ちゃん」

 

八幡「……お前のおかげだよ、ありがとな」

 

小町「にひひー……お気持ちだけで胸いっぱいですよぉ? あ、今の小町的にポイント高い」

 

小町「あーでも、せっかくだからなにかご飯でも奢ってもらおっかなぁ」

 

八幡「雪乃も一緒でいいか?」

 

小町「えぇー……いいけど」

 

八幡「将来雪乃の義妹になるんだからな、今のうちに交友を……」

 

小町「もー! 浮かれすぎだよお兄ちゃん! 雪乃さんのことばっかりなんだからぁ!」

 

小町「こんなに可愛くて有能な妹なんだからもう少しかまってよー!」

 

八幡「はいはい、世界で2番目に可愛いよ」

 

小町「お兄ちゃんのバカ――――!!」

 

 

 

八幡「……やっぱりですね、大学行ってから専業主夫になるっていう人生設計は変わりませんよ」

 

平塚「だがなぁ、やはり仕事のことも考えたほうがいいぞ?」

 

八幡「問題ないっすよ、雪乃と結婚します」

 

平塚「し、しかし万に一つでもうまく行かなくなることもあるじゃないか」

 

八幡「心配いりませんよ、もう婚約したんで」

 

平塚「こ!? こ、ここここっ、婚約ぅ!?」

 

八幡「雪乃ときちんと話をして、そういうことに決めたんすよ。二人で」

 

平塚「わ、私は……まだ相手すらいないというのに……」

 

平塚「お前というやつは……比企谷ぁ……ッ!!」ビキビキ

 

八幡「ちょっ、落ち着いてくださいよ……俺達が結婚するのは大学を出てからですし、それまでに先生が結婚すれば……」

 

八幡「……………………」フイ

 

八幡「ま、まぁ……頑張ってください……いますよ、きっと」

 

平塚「比企谷……貴様ぁ!」ブオン

 

八幡「暴力はいけまどぶぉおっ!?」

 

平塚「あまり舐めた口を利くなよ……比企谷」ゴゴゴゴ

 

八幡「いってててて……、ですが笑えますねぇ」

 

八幡「俺を殴っても先生に結婚相手が出来る訳ではありませぇん。悔しいでしょうごぱぁッ!!」

 

平塚「比企谷……お前、死にたいらしいな」ボキボキ

 

ガララ

 

雪乃「お待ちください、平塚先生」

 

平塚「ゆ、雪ノ下……君はこいつをちゃんと教育しているのか? 口の利き方がまるでなってないが」

 

雪乃「すみません、私にはおかしな口の利き方なんてしませんので把握していませんでした」

 

平塚「おいなんだその言い方は」

 

雪乃「……大丈夫? 八幡。痛かったわね」ナデナデ

 

八幡「ゆ、雪乃……先生が見てる」

 

平塚「そうだ! 私が見ているんだから自重しろ!」

 

雪乃「気にすることはないわ、八幡……あら」

 

雪乃「唇から血が出ているわね、拭ってあげる」ペロペロ

 

平塚「!!?」

 

雪乃「ふふ、綺麗になったわ」

 

八幡「……雪乃っ!」ガバッ

 

雪乃「きゃっ」

 

ちゅー

 

平塚「ムカつくぞお前ら! 私の前で盛大にいちゃつきやがって!!」

 

八幡「ぷはっ」

 

雪乃「八幡、顔真っ赤よ?」

 

八幡「……雪乃だってそうだろ」

 

八幡「んだよ、……し足りないのか?」

 

雪乃「ええ、だから早くしなさい」

 

平塚「いい加減やめろよ! やめろぉ!」

 

八幡「……ま、先生に見せつけながらやるのもいいかもしれんしな」

 

八幡「目を離しちゃあ駄目ですよ先生……たっぷり味わってくださいねぇ、俺達のファンサービスを」

 

八幡「それじゃ……いくぞ」

 

雪乃「きて、八幡」

 

 

平塚「うおおあああああああああああああああああ!!!!!」

 

平塚「出てけ出てけ出てけぇぇぇえ!! ふええええええぇぇぇん!!」

 

 

八幡「……追い出されちまったな」

 

雪乃「平塚先生にも困ったものね」

 

八幡「……マジで早く誰かもらってやれよ」

 

――――――――――――――――――――――――――

 

「……八幡、上がったわ」

 

「お、おう」

 

純白のバスローブに身を包んだ雪乃は、天使のように清らかで美しかった。

顔は上気していて、仄かに赤くなっている。

高そうなでかいベッドに腰掛けていた俺の隣に、静かに腰を下ろす。

きしり、とベッドのスプリングが軋んだ。

 

雪乃が俺の肩にそっと頭を預けた。雪乃の肩を抱き寄せると、吐息のかかる距離まで二人の顔が近づく。

俺から雪乃の唇を奪った。小さな破裂音が部屋に響く。

 

「不意打ちは卑怯よ……」

 

「すまんな、もう一回だ」

 

言い終わらないうちに、雪乃の口を塞いだ。

両腕を背に回し、密着すると雪乃の鼓動を肌の神経で感じた。

覆い被さるようにして彼女をベッドに押し倒し、より深く唇を押し付ける。

 

「ん、んー」

 

苦しそうに身じろぎをする雪乃の姿を見た俺は、意地の悪いことに

さらに彼女を虐めたくなってしまった。

押し潰されそうになっている雪乃の唇を、自分の舌で強引に割り、ねじ込む。

じたばたしてなんとか逃れようとする雪乃の体を力で押さえつけた。

雪乃の口腔に侵入した俺の舌で、そばにあったもう一つの舌をつついた。

 

「ん、んぁ、っ」

 

絞り出すように出た雪乃の声に、愉悦が混じっているのを聞き逃すはずがなかった。

抵抗を試みる雪乃の舌を舌で絡め取り、めちゃくちゃにねぶる。

 

「んんんっ! ん、―――っ!」

 

びくん、びくんと雪乃の体が痙攣した。

力を抜いて、雪乃の身体を自由にしてやる。

唇を離すと、銀色の糸が二人の唇を結びつけていた。

 

「……イッたか」

 

「酷いわよ……あんなに抵抗したのに力で押さえつけて」

 

「怖かった?」

 

「……少し」

 

雪乃が呼吸を整えるのを待ってから、バスローブをそっと脱がせる。

雪のように真っ白な、彼女の生まれたままの姿が俺の濁った目に映った。

すらりとした肢体を眺めていると、股間に血が通っているのを感じた。

……綺麗だ。それしか言う言葉が見つからない。

 

「あ、あまり見ないで……」

 

見るなというのも無理な相談だ。こんな芸術から目を背けられるはずがない。

ゆっくりと手を伸ばすと、ふにふにとした柔らかな感触。

 

――雪乃の胸だった。

 

結局、雪乃の胸は成長する様子を見せなかった。

姉妹だというのに陽乃さんのそれとは比較にならない。

そういうことも含めて、コンプレックスになっているのだろう。

 

「ね、ねぇ八幡……そこは」

 

「雪乃、まだ諦めるには早いんじゃないのか?」

 

「こういう話は聞いたことあるだろ? 揉めば大きくなる――」

 

「そんなの都市伝説よ……ひあっ!」

 

手のひらに収まるサイズの雪乃のおっぱい。

愛する雪乃のために頑張って揉んでやろう。おおきくなあれ、おおきくなあれ。もみもみ。

……キスだけじゃなくて胸も弱いのか。いいじゃあないか、敏感って。

愛撫のいちいちに反応してくれるから、俺は敏感な方が好きだ。

 

敏感な雪乃の小ぶりな胸の中でも、やはり乳首は一際敏感だった。

一度くりっといじっただけで、雪乃の身体は大きく跳ねてしまう。

そんな彼女の姿を見るのが楽しくてしょうがないので、いつしか俺は乳首ばかり責めていた。

 

「あ、ふぁ、ひぃいん! やめ、ひぇえっ!あああっ!」

 

「声、でかいぞ……そんなにいいのか?」

 

俺に指摘されて初めて気づいたのか、雪乃は自分の手で口を塞いだ。

そうまでしてもまだ抑え切れない。漏れ出した声はくぐもっていて、俺は余計に劣情を催す。

乳首を摘んでくにくにと弄ぶと、雪乃の顔が淫らに歪んで白い肢体を弓なりに曲げた。

 

「……ん? 濡れて」

 

シーツのある一ヶ所に触れた俺の足が、湿り気を覚えた。

後ろを振り返ってみてみると、シーツに丸いシミがついていた。

 

「雪乃……もしかして」

 

「言わないでちょうだい……」

 

顔を両手で隠し、林檎のように真っ赤に紅潮した顔を必死に隠そうとする雪乃。

でももう見ちゃったもんね、隠しても無駄だよっと。

 

「潮吹いて――」

 

「言わないでって言ったのだけれど」

 

ぎろりと睨まれた。すみません。

さすがにやり過ぎた、どうフォローしようか……などと考えているうちに、

雪乃は俺の分身を手で掴んでいた。

ニギニギと刺激されると、吐息が熱を帯びて漏れ出してしまう。

 

「形勢逆転、ね」

 

「すみませんでした」

 

「謝って済むと思っているの? 人を無理やり絶頂させたくせに。二回も」

 

しゅっ、しゅっ、と雪乃の真っ白な手が俺の愚息を扱いている。

裏筋に親指が当たって、往復してなぞられる。

さっきまでの攻勢が嘘のようだ。肉棒をいいように扱われ、体に力が入らない。

 

「……本当は二回出させたいところだけれど、そんなに出したら本番が出来ないかもしれないから」

 

「特別に一回だけにしておいてあげるわ」

 

雪乃の手がスピードを上げた。激しく擦られ、限界が一気に近づいた。

ゆっくりするように懇願してみるが、まるで聞き入れてもらえなかった。

 

「く、うう……出るっ」

 

濁流をせき止めていた堤防が決壊した感覚を覚えた。

白い液体の形をした欲望が、雪乃の手を汚していく。

俺の分身は何度か脈打って、ようやく射精が終わった。

 

「ん、ちゅ……ぺろっ」

 

「な……っ」

 

雪乃は手についた俺の精液を舐めて、飲み込む。

喉につかえたのだろう、二度目に舐め取った時は咀嚼してから飲み込んでいた。

雪乃らしからぬいやらしく扇情的な姿に、俺の分身はその硬さを早くも取り戻している。

 

「ふふ……まだ出し足りないみたいね」

 

一物の先を撫でながら、雪乃がせせら笑う。

……今のでまた少し元気になってしまった。これ以上調子に乗らせると暴れん棒になってしまう。

 

「……いいか」

 

「ええ、もちろん。……私の初めて、貰ってちょうだい」

 

雪乃の秘所に暴れん棒をあてがう。僅かに中に触れている先っぽが、焼けるように熱い。

指で肉壺の入り口を広げ、ゆっくりと竿を挿入していく。

……熱い! 超熱いんですけど!?

女の子の膣内ってこんなにあっついのかよ……知らなかった。

 

「ど、どうかしら」

 

「ちょっと入ったぞ……しかし、熱いしキツい」

 

膣圧を押し退けつつ、さらに中へ進めて行くと、何かに突き当たった。

……これが、処女膜。雪ノ下雪乃の純血の証。

そういえば童貞の証ってないよね。入れた時点で卒業なのか、膣内で絶頂したら卒業なのか。どうなんだろう?

 

「……痛いかもしれないから、我慢しろよ」

 

「とっくに覚悟してるわ……ん、いつでもいいわ」

 

勢いをつけ、ずんっと膜を貫く。

そのまま奥まで辿り着いたようだ。

 

「あ、う……」

 

「雪乃、大丈夫か……?」

 

雪乃の表情は苦痛に歪み、呼吸は荒い。

彼女を優しく抱きしめ、そっと口づけをした。

雪乃を気遣う、優しいキス。

 

「ごめんなさい……しばらく、このままで」

 

「あいよ」

 

仕方がないことなのに、雪乃は申し訳なさそうな顔をした。

背中に雪乃の腕が回されている。弱々しく、抱き返される。

 

「……もう、大丈夫よ。動いて」

 

「痛かったら言えよ」

 

破瓜の痛みが引いたわけではないのだろう。雪乃の顔から苦痛は引いていない。

俺を気遣ってくれたのだろう。……健気さを感じて、彼女が愛しくなった。

雪乃の体を気遣いつつ、ゆっくりと抽挿を始めた。

蜜壺はうねうねと蠢いているようで、俺の精気を吸いつくそうとしているかのようだ。

 

「っく、う……」

 

「八幡……? 痛いの?」

 

「違う、気持ちいいんだよ」

 

雪乃の表情が柔らかくなった。

そんなに嬉しいか、可愛い奴め。

 

雪乃が感じている痛みもなくなってきたようで、次第に喘ぎ出すようになった。

ぱん、ぱん、ぱん。リズムを取って、腰を打ち付ける。

 

「うぁ、……もう無理そうだ」

 

「私もそろそろ、限界かもしれないわ……」

 

ラストスパートをかける。リズムを崩し、荒々しく思い切りピストンする。

雪乃の喘ぎがとたんに大きくなった。きっともう絶頂してしまうのだろう。

俺も、もうダメそうだ――

 

「八幡っ! い、いっちゃ、あああっ!」

 

「雪乃……っ、出すぞ! 受け止めろよっ!」

 

雪乃の膣内がきゅうっと締め付けてきて、俺の分身に激しく絡みついた。

もはや我慢など出来ようもなかった。なすすべなく、雪乃の体内に欲望を解き放った。

 

どぴゅ、びゅくくっ。二回目だというのに、先程より射精量が多い。

放精と同時に、力が抜ける。雪乃の身体へ倒れ込んだ。

一瞬驚いた顔をされたが、すぐに笑顔になって俺を抱きしめてくれた。

…………幸せだ。

 

「……よかったぞ」

 

「私も気持ちよかったわ……」

 

ちゅっ。お疲れ様、の気持ちを込めた軽いキスをした。

……こうして、甘々な初体験は終わった……のだが。

 

「……あっ」

 

「し、しまったわ」

 

避妊具をしていなかったことにようやく気がついた。

なんで今まで気づかなかったんだろう。

 

「だ、大丈夫かな」

 

「生理周期的には問題ないわ……ただ、出来た可能性はなくもないわね」

 

あっちゃー……初体験が中出しかよ……。

うわ、ドロドロした俺のアレがちょっと漏れてきてる。エロい。

 

「……まぁ、もし出来てしまっていてもちゃんと育てるけど」

 

「まぁな、いつかは欲しいって言ってたもんな」

 

 

「……ねぇ、八幡」

 

「愚かにも私たちは中出しセックスをしてしまったわけだけれど」

 

「もうしてしまったのだから、今日に限ってはあと何回しても結果は変わらない……のではないかしら」

 

「え、なに? まだすんの?」

 

「今日はもう終わりにしたいというならそうするけれど……私としては」

 

「……わかったよ、そういうことなら気の済むまでしてやるよ」

 

もう一度肉壺に肉棒を差し込もうとする。一度入れたばかりなので、今回はすぐに入った。

だが、入れやすさが変わっても膣内が与えてくれる快感は変わらない。

きゅうきゅうと締め付けられ、三度目の射精に導かれていく。

 

「思いっきり行くからな。……声、我慢しなくていいぞ」

 

「そんなに激しいの……?」

 

腰を思い切り前後させ、高速で雪乃の膣内に出し入れする。

理性の欠片もない、野獣の交わり。多分そんな感じになってるんだろう。

雪乃ははしたなく大声で喘ぎ、俺は息を荒げてひたすら抽挿を行う。

 

「はぁ、あああああぁ! はち、はちまんっ!」

 

「雪乃っ! ゆきのぉっ!」

 

程なくして、二人同時に絶頂する。

同時に達することが出来ると、ただそれだけなのにとても嬉しい。満足感に包まれる。

――だが、今回は終わらない。

 

「はあっ、はあっ! 好きだ雪乃っ!!」

 

「はちまん!? ちょ、やああ!」

 

間髪入れず、さらなる快感を求めてピストンを開始した。

ただひたすらに雪乃を犯す。それだけしか考えられなかった。

 

「イくぞ、雪乃ぉっ……!」

 

「いいわ、はちまんっ! いっぱい出してっ!」

 

――――――

――――

――

 

「もう、無理だわ……」

 

「私も……腰が抜けてしまったわ」

 

何回戦まで行ったかは覚えてない。ただ、すごく気持ちよかったのと

気付いたら雪乃の性器が真っ白に濁っていたことははっきり覚えている。

……罪悪感がひどい。

それと、疲労と倦怠感が凄い。

まぁ仕方ないだろう。数え切れないくらいイッたんだから。

 

「雪乃、寝ようぜ……眠すぎる」

 

「私も……そうしたかったわ」

 

俺達はぎゅっと抱きしめ合い、お互いに温め合いながら眠りについた。

翌朝起きたあと、遅すぎる後始末に追われたのは……また別の話だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

元スレ

雪乃「眠っている比企谷君にキスをしたら凄かった」

http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1384664640/