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火憐「んっ?兄ちゃんの友達か?」 暦「….幼馴染だ」【物語シリーズss/アニメss】

 

私はこれまで人になにかを与えることはできたのだろうか?

 

今まではそんな状況になくって、いっぱいいっぱいだから仕方なかったと言える

 

不幸ならたくさんあげられるのだけれど

 

いらないし

 

果たして、私に人を幸せにする力はあるだろうかと思う

 

この家嫌いだなあ、阿良々木の家を前に思う

 

 

僕の家に老倉がくる

 

そう言うとなにかすごいものがくるとか

 

怖いものがくるように思えるが

 

そんなことは無い

 

複雑な顔をして僕の家を見上げる彼女は

 

いつもと同じに見える

 

僕達がここにいる理由は

 

 

私は勉強をやりにきた

 

私は勉強をする

 

私は数学をする

 

数学をするぞ

 

私は数学だ

 

ここにいる理由はそれだけだ

 

何度も唱えないと、不安定になる

 

 

僕らは久しぶりに会って

 

昔のように勉強をして

 

もっと昔のように僕の家に来た

 

その老倉はなにかぶつぶつ唱えている

 

暦「どうした老倉?」

 

育「この家いくらぐらいかなあ」

 

老倉さん?

 

 

私にとってこの家は幸せの見本になっている

 

嫌いだけれども

 

これ以上の幸せは知らない

 

想像ができない

 

もし、私が家を買うようなことが(無いと思う)

 

あったらこんな家が欲しいからって

 

気持ち悪いことを言った

 

暦「えっと僕には」

 

育「早く」

 

人を不快にさせないようになりたいな

 

 

暦「ただいま」

 

声は返ってこないけれど

 

育「・・・」

 

暦「どうした?」

 

育「家に誰もいないの?」

 

暦「妹達はいるみたいだな」

 

育「何で?」

 

何でって僕の妹達が存在してはいけないみたいじゃないか

 

育「分かる?」

 

暦「あー・・・気配かな」

 

僕は玄関にある靴で判断したのだけれど

 

 

気配ってすごいな

 

私はわからない。どんな風に暮らせばそうなるのか

 

暦「会っていくか?知らないわけじゃないだろ」

 

育「はぁ!?」

 

どんな顔をして会ったらいいんだ。嫌だよ

 

それにお前は知らない

 

人付き合いが苦手な奴が特に苦手なことは

 

少し年下の相手をすることだ

 

見栄を張らなければならない、張らなくてもいいのに

 

 

火憐「兄ちゃん、お帰り」

 

うわっでかい

 

暦「火憐ちゃん、ただいま。よく僕が帰ったってわかったな」

 

火憐「そりゃーもー兄ちゃんの事なら気配でわかるぞ」

 

火憐「それこそ三千里離れてても、三千世界離れててもな」

 

バカ兄妹

 

火憐「んっ?その人は兄ちゃんの友達か?」

 

友達だとか死んでも言いたくない

 

言われたくない

 

 

老倉が僕を見てくる

 

恨みを持った目で

 

暦「幼馴染だ」

 

その目は変わらず僕を見る

 

火憐「へーそうなのかー」

 

暦「この家にも来て、昔会っているんだけどな」

 

失言だった

 

暦「なあ老倉?」

 

火憐「老倉さん」

 

僕から目を離してくれないか

 

 

火憐「老倉さん、本当にすみません」

 

なにが?

 

火憐「私、あなたのことをあんまり覚えていないんです」

 

はっきりと言う

 

私は覚えている。この家のことを

 

どこに何があるのかも今でも分かる

 

私は記憶力が良いのだと、優れているのだと思っていた

 

昔、阿良々木などと話していたことも良く憶えているから

 

その細かい動作や言動も明確だ

 

人より頭が良いとか思うんだ

 

でも何か違うって

 

単純に体験が少ないだけのこと

 

思い出すような価値のある過去が少ない

 

 

僕の妹がはっきりと言う

 

このときに僕は何も言う権利は無く

 

ただ、老倉を見ていた

 

今僕が、どんなにあの夏を思い出せるか

 

言ったら信じてくれるのだろうか

 

 

なんで見てくる阿良々木

 

何か言えって言うのか

 

そりゃあ今まで一言も話していないけど

 

無理だって無理

 

話せはしない

 

私をなめるな

 

育「じゃあ」

 

さよならの意味のじゃあだ

 

阿良々木の後ろに隠れていた私が前に出て離れようとする

 

火憐「じゃあそうですね。どうぞ私達の部屋に」

 

やっぱり最悪だ。この家は

 

助けて

 

育「阿良々木」

 

私は阿良々木の部屋に行きたかった

 

 

呼ばれて僕は手を差し出す

 

老倉の手を掴もうとするのだけれど

 

掴もうとしない

 

火憐ちゃんよりずっと小さい老倉が

 

見えなくなる

 

老倉は連れ去られた

 

 

私は今、苦境に立たされている

 

とっとと嫌だって言えばいいんだ

 

早くここからでたい。どこに

 

助けを呼びたい。誰に

 

答えがでないから黙っていると

 

とうとう、もう1人がでてきたようだ

 

そういえばいたなお前

 

悲しいことに私は今も助けを待っている

 

 

僕は自分の部屋で待っていたのだけれど

 

全然帰ってこない

 

もしかしたら帰ったのか

 

案外、仲良くなっていて時間が経つのも忘れているのなら嬉しい

 

それならずっと待っている

 

火憐「兄ちゃん、ちょっといいか」

 

暦「おっ火憐ちゃん。なんだ?」

 

火憐「老倉さんって今日泊まるのか?」

 

暦「家に?」

 

火憐「そうだ。もう遅いだろ」

 

暦「いや、そんな予定は全然なかったけど。かまわないが」

 

暦「老倉がそう言ったのか?」

 

火憐「いや?でもずっと月火ちゃんと話していて、帰る感じじゃなかったからさ」

 

暦「月火ちゃんと?」

 

大丈夫か?

 

 

月火「世界はこんなにも素晴らしいんだよ」

 

私は世界の素晴らしさを教えられている

 

なんだこいつは

 

あまりにも私が黙っていて、落ち込んでいると思っていたのだろうか

 

人の家だからね。大人しくしないと

 

大人だからね

 

月火「老倉さん、聞いていますか?」

 

育「えっええ」

 

月火「それでは復唱しましょう」

 

ええ?

 

 

火憐「ほらっ仲よさそうだろ」

 

僕は火憐ちゃんと部屋を覗いている

 

暦「老倉・・・あんな笑い方できるんだな」

 

火憐「人類にあんな笑い方ができるって話か、兄ちゃん?」

 

作り笑いが下手すぎる

 

とにかくも

 

暦「流石だな月火ちゃん」

 

火憐「流石だぜ」

 

 

月火「じゃあ、一緒に歌いましょう」

 

なんだこいつのテンションは

 

頭おかしいよこいつ

 

育「あはは・・・」

 

笑ってごまかそう

 

月火「老倉さん?笑って誤魔化そうとしてますか」

 

誤魔化す?私を誰だと思っているのか

 

そんなことを言われて負けてなるものか

 

でも嫌だ

 

 

老倉がもう限界に見える

 

月火「そういえば老倉さんってずっとその髪型なんですね」

 

育「そうだけど」

 

月火「同じ髪型っていうのは」

 

月火「誰かに気付いてほしかったからですか?」

 

育「あっ・・・」

 

何を話しているかは聞こえないけど

 

震えているのか?

 

駄目だ。やっぱりこれ以上放ってはおけない

 

暦「老倉!行こう」

 

育「うわ!なんだ阿良々木」

 

火憐「どこにいくんだよ兄ちゃん」

 

月火「お兄ちゃん、老倉さんをどうするの?もう遅いよ」

 

どうするもなにも

 

暦「僕は部屋に行く。老倉は僕と寝るんだ」

 

僕は焦って、変なことを口走ったかもしれない

 

2人が顔を合わせている

 

 

育「疲れた」

 

阿良々木が何か言っていたような

 

もう寝るんだとか

 

勉強はどうする?甘えるなよ

 

暦「何か妹達が悪かったな」

 

お前が悪いんだ

 

育「おかしいだろ」

 

育「なんなのあの2人は」

 

育「ほぼ初対面の人と何であんなふうに」

 

できるのってすごいな

 

育「あっねえ勉強」

 

 

ねえ勉強って

 

僕はもういいかなと思っているのだけど

 

というかもう遅いし、眠い

 

暦「疲れたって言っていたし、僕も同じだ。休もうぜ老倉」

 

育「休む?へー、なにして休むの」

 

暦「だから寝るってことだって。僕はリビングのソファで寝るからさ」

 

暦「嫌かもしれないけどこの部屋使ってかまわないからな」

 

育「嫌だ」

 

即答か

 

暦「でも老倉、他の部屋もだろ?」

 

育「そういう意味じゃない。阿良々木が私に気を使っているのが嫌だ」

 

育「お前の部屋なのだから、阿良々木が好きにすればいい」

 

 

暦「寝ないのか?」

 

育「起きてる」

 

暦「起きてるって、いつまで?」

 

育「いつまでも」

 

頑張るんだ。私は

 

人に迷惑をかけないようにしたい

 

私は嫌いなお前に対して気を配れる余裕があるのだということも

 

見せ付けてやらなければならない

 

お前は、ああ、あいつは成長したのだと思わずにはいられないはず

 

 

なにか確固とした決意を持っているみたいに言う

 

以前とまったく変わらないなと思う

 

暦「そっそうか」

 

僕に対する嫌がらせだとかそういう感じじゃない

 

上から目線になってしまうけど

 

老倉の強い姿勢や意思が見れるのは嬉しい

 

体育座りで部屋の隅にうずくまってこちらを睨んでいるだけだとしても

 

やっぱりそれ怖いよ老倉さん

 

暦「もっと楽にしてもいいんじゃないか?」

 

育「嫌だ」

 

 

暦「分かったよ」

 

阿良々木も諦めたようだ

 

暦「じゃあ飲み物とか取ってくるからさ」

 

暦「ちょっと待ってってくれ」

 

育「ちゃんと戻ってくるよね」

 

暦「そりゃあもちろんだ。何で?」

 

育「お前の部屋なのだからお前が戻ってこないとおかしいでしょう」

 

私は気が利く人になろうと思う

 

 

暦「すぐに戻ってくるよ、老倉」

 

育「すぐね」

 

老倉は僕が戻ってこないことを危惧しているのだろうか

 

そんなことはしない。だけど

 

僕は老倉が先に寝たら、リビングにでも行こうと思っている

 

飲み物を取ってくる時に、毛布とかも探そうかなと

 

ドアに手をかけて開けようとしたが

 

暦「あれっ?」

 

開かなかった

 

 

阿良々木がドアのところで突っ立っていた

 

育「阿良々木、ドアがどうしたの?」

 

暦「開かないんだ」

 

育「バカ」

 

暦「なぜ僕に罵声を?」

 

育「ちょっと私にも」

 

強く押せば、少し開くけどそれ以上は無理だ

 

育「私達って」

 

暦「何だ?老倉」

 

育「何だじゃない!閉じ込められたのだから」

 

暦「落ち着け老倉。朝までには開くようになるから」

 

朝までに?なんだこの家は

 

 

育「よくあることなの?」

 

暦「ああ」

 

開かないドアの前で釈然としていない老倉を

 

僕は諭して、座らせた

 

暦「ドアが開かないなんて、よくあることだからさ」

 

育「変わった家ね。私はそんな経験ない」

 

暦「・・・まあゆっくりしようぜ」

 

僕らは暫く待つしかないのだから

 

 

沈黙が続く。話が、会話が、続くわけないのだ

 

暦「なにかあるか?」

 

育「なにって?」

 

暦「その欲しい物とか」

 

なにが欲しいのだろう

 

私は普通でいたかっただけ

 

でも普通がわからないから何をやってもそう感じない。思えない

 

もうこんな年齢でどうするんだろう

 

みんな変わっていっていなくなってしまう

 

もう何を言っても言い訳になるのだからって

 

そこまで割り切れるものじゃない

 

でもお前に弱音なんて言いたくないし

 

育「なにもない」

 

人の迷惑になりたくない

 

 

暦「好きなことはないのかよ」

 

育「阿良々木を嫌いって言う事は好きだよ。うるさい」

 

そう言って、また黙ってしまった

 

暦「お菓子とかなら少しあるから、食べようぜ」

 

育「食べ物なら私もちょっと持っている」

 

育「阿良々木」

 

育「・・・私はバイトとかしようと思うんだ」

 

育「コンビニとかでね」

 

できるのか?

 

 

暦「そうしたら、行ってもいいか?」

 

育「カラーボールぶつけるけど?」

 

暦「強盗扱いか・・・」

 

育「強盗・・・阿良々木を強盗扱いできる。社会から抹殺できる」

 

育「なんて素晴らしい!」

 

暦「老倉さん?」

 

育「私と同じように引きこもればいい」

 

育「色々と教えてあげてもいい。それに関しては先輩だから」

 

暦「落ち着けって、老倉先輩」

 

育「せっ先輩?」

 

暦「先輩がどうかしたのか?」

 

育「人生で初めて先輩って呼ばれた・・・阿良々木に」

 

人生の中で嬉しかったことがどのくらいあったら幸せなのだろう

 

 

暦「とにかくカラーボールぶつけられるのはいやだな」

 

育「いいよ、じゃあ私にカラーボールをぶつけても」

 

暦「おかしいだろ老倉」

 

育「なにが?お前は次に来た人に強盗はどちらでしょう?って聞いてみてよ」

 

暦「聞かないし僕は、どちらも強盗じゃありませんって言うよ」

 

育「信じてくれるといいね。私は信じてあげるけど」

 

暦「なあ、どう答えればいいんだよ?」

 

育「だからバイトしてる時に知っている人が来たら嫌だ」

 

暦「どんな知り合いがきてもか?」

 

育「お前しかいないもの」

 

僕の幼馴染はこんなことを言う

 

 

違う。そんなことじゃなくて、阿良々木が後輩ていうのは嫌だ

 

そんな気分の悪い後輩がいてたまるか

 

育「同級生に先輩って留年したみたいじゃない」

 

育「そんなことになったら今と同じくどんな風に接したらいいか分からなくて」

 

暦「今と同じってそんなことしないからな」

 

なら優しくしてくれるって言うのか?

 

優しくなりたい

 

できないから

 

人の幸せを考えられるような人になりたい

 

 

暦「同級生でよかったな」

 

育「そう思っている?」

 

暦「本当だよ」

 

育「互いにそんなに優しくしないでいいからね」

 

暦「一緒に同じ勉強ができなかったからな」

 

中学時代の彼女はそのときの自分を嫌っていたのだけれど

 

暦「僕達会わなかったらどうだったと思う?」

 

ふと口に出た

 

育「知らないし、わからない」

 

暦「うん」

 

育「そんな答えでいい?だって思いつかないのだもの」

 

 

今より酷かったかもしれないし、それなりに酷かったかもしれない

 

それを比べることに意味はないから

 

阿良々木はどうだろう

 

暦「僕は駄目だったと思う」

 

暦「きっとそれは駄目だったんだよ老倉」

 

暦「僕ら駄目なままだったんだ」

 

暦「会わなかったら」

 

分かったよ

 

 

僕は昔に記憶した老倉の笑顔を思い出していた

 

僕はその笑顔が好きだったことを

 

暦「老倉、すごく嫌だろうけど。心配なんだ、僕は」

 

育「ああすごく嫌だよ阿良々木。助けてくれないもの」

 

老倉は微笑む

 

暦「そうだったな」

 

育「うんうん」

 

暦「いやそれで嬉しそうなのは分からない」

 

 

私はまたも阿良々木に嫌味を言ってしまった

 

無理なく笑えるようになりたい

 

普通に話せるようになりたい

 

諦めろって言ってもいいけどね

 

昔はどういうタイミングで終りにしていたのだっけ勉強会

 

眠くなってきているのだ。私の思考は固まらずになってきて

 

お前が寝るまで寝ないよ

 

寝顔を見せてたまるか

 

諦めるな。だから

 

もう少し、ずっと話してみたい

 

 

急に取り留めの無い話を老倉はした

 

育「自転車乗れない」

 

育「ささやかな日々があればそれでもいいけど」

 

育「けどそれってつらいものだけどね」

 

育「なんでドアが開かないの?」

 

育「不思議だね」

 

育「まともな人だったら私の前にないでしょ」

 

育「私あんまり人と遊んだことないから」

 

育「ここにいたくないけど」

 

育「いくところはないし」

 

育「どうして続かないのだろう」

 

暦「老倉」

 

育「ごめん」

 

育「お前の妹達は元気だね。もう寝たのかな」

 

育「私は違う」

 

育「私も成れたりするのかな」

 

育「どうやったら」

 

暦「なあ老倉」

 

育「もういい」

 

育「もういいから勉強して」

 

暦「そうか」

 

僕は観念して勉強をしようかと思う

 

老倉と一緒に

 

頑張ろうぜ老倉

 

 

駄目だ

 

話している間にお前の顔がつらくなってしまうのがつらい

 

いまだに中学生みたいな会話しか話せない

 

私は成長できずに歳をとっていくだろう

 

昔みたいに取り繕った笑顔はもうできないけど

 

心配なんかするなって言ってやりたい

 

信じないかもしれないけど大丈夫だって

 

どうすれば証明できるだろう

 

私はお前の寂しくて、悲しい顔をどういうときに見た?

 

 

僕の顔を見る老倉の顔が

 

遠くを見るようになっていった

 

僕はお前のことを何もわからないままで

 

頑張っても駄目なのか?理解できないのか?

 

僕らは、こんなに話したのに

 

ペンを握って考えていても分からない

 

分からないことを互いに訊ければいいのだけれど

 

 

私達は昔から的外れなことばかりで

 

私達は答えがあったことがない

 

私は誰も幸せにできない

 

自分も幸せにできない

 

ここに見本があるのに

 

見本か・・・

 

 

老倉と僕はダブルノックアウトみたいに

 

同時に寝入ったようだ

 

ただ、僕のほうが起きるのが早かった

 

ゆっくりドアへ行き、確認をする

 

なんてことはない、ドアは単純に開いた

 

よくあるイタズラだった

 

僕の妹2人がドアを押さえていただけのことだ

 

大方、僕と老倉が何を話しているか盗み聞きをしにきたのだろう

 

ドアを開けられたらそれがばれてしまうから、押さえていたのだ

 

老倉はそんなことをする家族がいるだなんて思いもしなかったのだろうか

 

イタズラをするような無邪気さと

 

放っておけない家族がいることが

 

僕はそれを黙っていたかった。どれも褒められることじゃないさ

 

暦「それでも全然いいだろ?迷惑かけたって、駄目でもいいから」

 

育「なにそれ?バカにしてるの」

 

老倉は起きた

 

 

私はおはようの一言も言えない

 

育「・・・」

 

育「分かってるよ、ちゃんとする」

 

育「ちゃんとすれば怒られることなんてないし」

 

暦「そんなんじゃあ」

 

育「あー・・・ドア開いたんだ。簡単に?」

 

暦「ああ」

 

鍵もかけてないのだもの

 

暦「僕、朝ごはんを持ってくるよ」

 

 

育「ちょっと待って」

 

老倉は僕の前に立って

 

ドアの前に立って

 

僕を見据えた

 

見たことがあるような、ないような顔で

 

 

いま、全てがどうでもいい

 

やりたいことができなくて、なりたいものになれなくて

 

全然駄目でも、情けなくても、どうしようもなくても、救いがなくても、誰の助けもなくていいし

 

夢はもう見れない

 

だだひとつ気に食わないことは、私を見てるお前が悲しい顔になってしまうことだ

 

私は扉を開けて、すぐに扉を閉めて押さえた

 

阿良々木を閉じ込めた

 

暦「おいっ!老倉?」

 

育「すぐに出れるでしょう?」

 

私の力なんて全然弱いから

 

お前なんかすぐに開けられる

 

扉を開けられたら

 

まだここに居て

 

逃げることはなく

 

こんなイタズラを私がするとは思わなかった?って言う

 

だから扉を開けていい

 

そうしたら、答え合わせをしようかな

 

きっと合っているはずだから

 

 

 

 

 

 

 

 

元スレ

そだちサイン

http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1467293327/