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千尋「私達....どこかで会ったことある....?」 ?「....どうだろうね...」【ジブリss/アニメss】

 

千尋「ひさしぶりだね!」

 

カオナシ「....」 モジモジ

 

千尋「元気にしてた?」

 

カオナシ「..........」モジモジ

 

千尋「おばあちゃんは元気?」

 

カオナシ「.....」コク....

 

千尋「くしゅんっ うぅ...寒い....」

 

カオナシ「.........」スッ.....

 

千尋「あったかい...!このマフラー あなたが作ったの?」

 

カオナシ「.........」コク.....

 

千尋「すごい!!上手だね!!」

 

カオナシ「.........」モジモジ

 

千尋「私は今...大学受験を控えてるんだけど....進路に迷ってるの...」

 

カオナシ「......」

 

千尋「自分がどうすればいいのか分からないし....」

 

カオナシ「......」

 

千尋「みんなみたいにこれと言ってやりたいこともないの....」

 

カオナシ「.......」スッ....

 

千尋「?!」

 

千尋「どこへ行くの?」

 

カオナシ「.......」

 

千尋「ついていけばいいの?」

 

カオナシ「.......」

 

千尋「ねぇ、一体どこまで歩くの?」

 

カオナシ「......」

 

千尋「まだ歩くの?」

 

カオナシ「......」

 

カオナシ「..........」スッ....

 

千尋「わぁ.....綺麗な夕日......」

 

カオナシ「..........」

 

千尋「これを私に見せたかったの?」

 

カオナシ「..........」モジ......

 

千尋「ありがとう......嬉しい......」

 

カオナシ「..........」モジモジ......

 

千尋「最近悩んでばかりで....空一つ見上げてなかった」

 

カオナシ「......」

 

千尋「夕日って....こんなにキレイなんだね....」

 

カオナシ「......」コクリ.....

 

千尋「トンネルを抜けた後、油屋で過ごしたことはまるで夢みたいに思ってて...」

 

カオナシ「.....」

 

千尋「次の日から新しい学校生活も始まったし、それどころじゃなかったの」 

 

カオナシ「.....」

 

千尋「でも進路を決めなきゃって時に...昔のことをいろいろ思いだしたりしててね」

 

カオナシ「.....」

 

千尋「あなたのことを....一番最初に思い出したの」

 

カオナシ「......」ドキン....

 

千尋「それからお父さんにトンネルまでの道を聞いて何度も何度も足を運んだの」

 

カオナシ「.....」

 

千尋「それでも油屋には行けなくてね」

 

カオナシ「.....」

 

千尋「やっぱり夢だったのかも....って何度も自分を疑ったんだ」

 

千尋「お母さんにはトンネルばっかりに行ってないで進路を決めなさい!って怒られちゃうし」

 

カオナシ「.....」

 

千尋「このまま....大人になって油屋で過ごしたことを忘れちゃうんじゃないかって思うと怖かった」

 

千尋「誰にも相談できないから....余計に不安で....」

 

カオナシ「.....」スッ...

 

千尋「慰めてくれるの.....?」

 

カオナシ「.....」サッ

 

千尋「あ、いやだったわけじゃないよ ありがとう」

 

カオナシ「......」モジモジ.....

 

千尋「前までは鮮明に思い出せた油屋での記憶も今ではとぎれとぎれにしか思い出せない」

 

カオナシ「.....」

 

千尋「でも不思議だね、あなたのことは覚えてた」

 

カオナシ「.....」

 

千尋「おなかすいてない?お昼に食べ損ねたおにぎりがあるの」

 

カオナシ「.....」

 

千尋「おいしい?」

 

カオナシ「.....」コク...コク....

 

千尋「良かった。」

 

カオナシ「.....」

 

千尋「ねぇ、ひとつきいていい?」

 

カオナシ「.....」

 

千尋「今、楽しく暮らしてる?」

 

カオナシ「......あ....」コクリ

 

千尋「そう......良かった.......」

 

千尋「油屋で優しくしてくれた女の人の名前がね、なかなか思いだせないの」

カオナシ「....」

 

千尋「初仕事の時、あなたが札をくれて…」

 

カオナシ「....」

 

千尋「その時手伝ってくれた女の人がいたんだけど…やだなぁ、忘れちゃうなんて」

 

カオナシ「....」

 

千尋「あ、大きい赤ちゃんは覚えてるよ!坊ってお腹に書いてあったもん!」 

 

カオナシ「.....」

 

千尋「ほんとは・・・」

 

千尋「ほんとはもっと大切なことを思い出さなきゃいけないのに、思いだせないんだ」

 

カオナシ「....」

 

千尋「でもここであなたと会えたことはすごい奇跡だと思うの」

 

カオナシ「....」

 

千尋「夢だと思ったまま終わりにしようとしなくてよかった」

 

カオナシ「.....」

 

千尋「私の前に現れてくれて....ありがとう」

 

カオナシ「.....」コクリ.......

 

千尋「暗くなってきたね....」

 

カオナシ「.....」

 

千尋「ねぇ、またどこかで会える?」

 

カオナシ「.....」

 

千尋「なんだか...もう会えなくなりそうで....こわい....」

 

カオナシ「あ...あ....」フリフリ

 

千尋「本当のことを言って!お願い!」

 

カオナシ「.....」

 

千尋「前にも....前にも同じようなことがあった気がするの...」

 

カオナシ「......」

 

千尋「どこかで会えるって....そう言って会えなくなりそうで....怖いの....」

 

カオナシ「......」

 

千尋「油屋で過ごしたこと...忘れたくないのに忘れていってしまうの...」

 

カオナシ「あ....あ....」

 

千尋「え、なに?」

 

カオナシ「あ....」

 

千尋「え?...あ、この髪どめ....?」

 

カオナシ「.....」コク コク

 

千尋「これ、キラキラしていて可愛いでしょ。お気に入りなんだ」

 

カオナシ「.....」

 

千尋「お母さんに聞いたら買った覚えないって。お別れ会でもらったプレゼントなんじゃないかって言ってた」

 

カオナシ「.....」

 

千尋「もうずっと長く使ってるのにいつまでもキラキラしてて...綺麗でしょ?」

 

カオナシ「....」コク

 

千尋「おばあちゃんにもまた会いたいな」

 

カオナシ「....」コク 

 

千尋「私のこと....覚えてくれてるかな」

 

カオナシ「あ....あ....」コク コク

 

千尋「....もう暗い....帰らなきゃ....」

 

カオナシ「....」

 

千尋「帰りたくない。...連れて行って....」

 

カオナシ「.....」フリフリ

 

千尋「...なんて、うそだよ」

 

カオナシ「....」

 

千尋「ごめんね、困らせて」

 

カオナシ「....」フリフリ

 

千尋「さよなら」タッ

 

カオナシ「....」

 

 

- 家 -

 

千尋「ただいまー」

 

お母さん「ちひろ!何時だと思ってるの!わざわざ夕食作ったんだから!遅くなるなら連絡してよ!」

 

千尋「ごめんなさい」

 

千尋「ねぇ、お母さん?」

 

お母さん「なあに」

 

千尋「神様っているのかな」

 

お母さん「またそんなことばっかり言って...神様なら近くの神社にでもいるでしょ」

 

千尋「そうじゃなくって...っ」

 

お母さん「いつまでも子供みたいなこと言ってないで、早く食べちゃいなさい」

 

千尋「はーい....」

 

(わたし...家に帰ってくるまで...ひとりだったっけ....?)

 

 

- 次の日 -

 

お母さん「千尋ーお弁当持ったー?」

 

千尋「大丈夫!いってきまーす」

 

(やっぱり....昨日は寝ぼけてたのかな....)

 

千尋 (神様とか...そういうの信じてるって...周りの友達には言えないし....)

 

 (もしかしたら全部....私の妄想だったりして.......?)

 

---キーンコーンカーンコーン

 

友人A「千尋ー!帰り図書館寄っっていかなーい?」

 

千尋「ごめん!私用事があるから先に帰るね!」

 

(やっぱりどうしても気になる....もう一回トンネルまで行ってみよう...)

 

千尋「あれ~?おかしいな....この道で合ってるはずなんだけど....ギャッ!」

 

千尋「なんだ...たぬきか....びっくりした....」

 

千尋「んー,,,,道に迷ったみたいだし....もう帰ろうかな....」

 

千尋「こっから来たんだっけ?山ばっかりだから本当分からない....」

 

千尋「...あれ?なにここ.....」

 

千尋「こんな道あったっけ」 ザクザク

 

千尋「わぁ....長い階段....どこまで続いてるんだろう...」

 

千尋「ちょっとのぼってみようかな....」トントン

 

千尋「ハァ,,,,ハァ....疲れた....本当に長いなぁ...」

 

千尋「あと少し....」

 

千尋「一体どこまでのってきたんだろう....あっ」

 

千尋「すごーい!ここから夕日がすごく綺麗に見える!」

 

千尋(昨日も同じくらい綺麗な夕日を見たけど....)

 

千尋「やっぱりあれは....夢じゃなかったんだ....」

 

千尋「あと少しだし、頑張ってのぼろう!」

 

千尋「あと一段....あと二段....あと、三段、っと」

 

千尋「ヤッター!全部のぼれた!」

 

千尋「あ、ここって....お母さんが昨日言ってた神社かな......?」

 

千尋「もっと小さいのかと思ってたけど....結構大きいんだ....」

 

千尋(なんていう神社なのかな....)キョロ キョロ

 

 

?「ここへきてはいけない」

 

千尋「........え?」

 

?「ここは関係者以外立ち入り禁止とされている」

 

千尋「す、すみません!」

 

?「参拝者の入り口は東側だ」

 

千尋「ごめんなさい....気がつかなくて.....」

 

?「それにしても....よく頑張ったね」

 

千尋「....へ?」

 

?「長い階段だったろ」

 

千尋「あ…はい…」

 

?「一休みしていきなさい。暗くなる前に帰るんだよ」

 

千尋「ありがとうございます....」

 

(すごい....この人すごくきれい.....)

 

 

-家-

 

千尋「ただいまー」

 

お母さん「千尋、担任の先生から電話あったわよ。進路先の紙、提出してくださいって」

 

千尋「あ・・・っ」

 

お母さん「もう・・・自分のことなんだからしっかりしなさい!」

 

千尋「ごめんなさい・・・」

 

お母さん「私だっていつまでも千尋に構ってる程ヒマじゃないんだからね!」 

 

千尋「はい・・・」

(結局あそこの神社の居心地が良かったから長居しちゃった....)

 

(それにしてもあの人....お坊さんなのかな....?でも坊主じゃなかったし...なんなんだろう....)

 

 

-次の日-

 

千尋「先生、進路先なんですけど....あと一週間待ってもらえませんか」

 

担任「んー...就職するのか進学するのか、せめてどちらか決めてもらいたいんだが...」

 

千尋「すみません....あと一週間経ったら決めます。一週間だけ、時間をください」

 

担任「...一週間だけだぞ?」

 

千尋「ありがとうございます!」タッ

 

担任「やれやれ....」

 

友人A「千尋ー進路まだ決めてないんだって?」

 

千尋「うん....一応...考えてはいるんだけど...」

 

友人A「大学に進む気はないの?」

 

千尋「うん...ちょっとね、今気になることがあって....」

 

友人A「気になること?」

 

千尋「坂の上をのぼったってところがあるでしょ、グリーンヒルとちの木」

 

友人A「あの入り込んだ山奥?」

 

千尋「うん、そこに神社があるよね?」

 

友人A「あぁ、あるね。すごい昔からあるってうちのお母さんがいってた。」 

 

千尋「そこの神社に....なんか....噂とかない?」

 

友人A「噂ァ?!」

 

千尋「たとえば....す、すごく綺麗なお坊さんがいるとか...」

 

友人A「んー…聞いたことないなぁ。この町人口少ないし。神無月とかなんとかで毎年神事が行われてるぐらいしか...」

 

千尋「神無月?!神様と関係があるの?!」

 

友人A「うん。でも田舎だから年寄りしか利用してないよね。存在も薄い神社だし。」

 

千尋「そうなんだ.....」

 

 

男子 A 「おい女子!掃除サボってんじゃねーよ!」

 

友人 A 「なによ!アンタ先週掃除忘れて帰ったくせに!大体.....」 ガヤガヤ

 

千尋 (今日もう一度神社に行ってみよう....あの綺麗なお坊さんに会えるかもしれない....)

 

千尋(東側ってどっちなんだろう...ん?この階段だったっけ?)

 

千尋(なんか昨日とちょっと似てる気がする....こっち側行ってみようかな...)

 

千尋(ん?!また道に迷った....どっちだったっけ?階段ないけどこの坂みたいなところのぼってみようかな...)

 

 

千尋「ハァ...ハァ....なんとか辿りついたけど...ここって....」

 

 

?「西口から来るのが好きなんだね」

 

千尋「あっ....!」

(昨日の人だ....!)

 

?「いけない子だね。参拝者は東からと昨日も言ったはずだ」

 

千尋「ご、ごめんなさい....東と西が分からなくて....」

 

?「....」

 

千尋(どうしよう....怒らせちゃった....)

 

?「橋の所へおいで」

 

千尋「え...?」

 

?「東入口まで案内してあげる」

 

千尋「は、はい」

(今...なにかが..........?)

 

千尋(花がいっぱい....)

 

?「次はここからくるんだよ」

 

千尋「はい....」

 

?「...」

 

千尋「あ、あの...!」

 

千尋「すみません、あの、お坊さんは....」

 

?「...」フッ...

 

千尋「?」 (笑われた.....?)

 

?「私はお坊さんではないよ。ここは神社だからね。」

 

千尋「えっ!」

 (神社とお寺って何が違うの....?)

 

?「神社とお寺の違いを調べておいで」

 

千尋「あ・・・っ」

 

?「分からないことがあれば教えてあげる」

 

千尋「は、はい....」

 

(ほんとうに綺麗な人だなぁ....)

 

 

後日

 

ドサドサッ

 

友人A「ち、千尋?!なにその本の数!」

 

千尋「神社とお寺の違いについて調べてるの!」

 

友人A「へぇ....進学先の大学がそういう系なの?」

 

千尋「そういうわけじゃないけど....宿題なの」

 

友人A「宿題?」

 

千尋「うん!」

 

千尋(東ってこっちだったよね...)トントン

 

千尋(あ....)

 

千尋(東の入り口から見た夕日とあの人が見せてくれた夕日って...同じ場所だったんだ...)

 

千尋(どうして気がつかなかったんだろう....)

 

ビュウウウウ

 

千尋(わ....風が........っ) バサバサ.......

 

?「風が強くなってきたね」

 

千尋「あ....!こ、こんにちは!」

 

?「ちゃんと東口から入ってきたね」

 

千尋「前回教えてもらったので....」

 

?「はい、落とし物」

 

千尋「す、すみません!全部拾ってもらっちゃって....」

 

?「構わないよ」

 

千尋「.....」(優しい....)

 

千尋「あの、私、調べてきたんです。神社とお寺の違いについて....」

 

?「へぇ、偉いね」

 

千尋「お寺は仏様を祀っていて...神社は神様を祀っていて....」

 

千尋「神社は神様の住む場所でもあるってことを...わたし...知らなくて...」

 

?「...」

 

千尋「その....お坊さんとか言っちゃってすみませんでした!!」

 

?「いや、謝ることではないよ。」

 

千尋「でも...」

 

?「興味を持ってくれただけでも嬉しい」

 

千尋「....」

 

?「ここが好きならゆっくりしていくといい。私は仕事に戻るよ。」

 

千尋「あ、はい...」

(結局何をしている人なのか聞けなかった....)

 

千尋(こんな大きくて綺麗な神社なのに....どうして人が少ないんだろう...)

 

千尋(田舎だからなのかな....?巫女さんもいるかいないか...って感じがするし...)

 

千尋(神社ってどんな仕事をするんだろう....)

 

千尋(....)

 

千尋(....)zzz

 

千尋(....)zzz

 

千尋(zz....あったかい....)ハッ

 

千尋「わ、わたし....?!」

 

?「.....起きた?あんなところで寝ていては風邪をひいてしまうよ。」

 

千尋「す、すみません...毛布までかけてもらって....!」

 

?「...」

 

千尋「...?どうしたんですか...?」

 

?「いや、遅くならない内にお帰り。ご両親も心配しているよ」

 

千尋「はい」

 

?「...」

 

千尋「あの、」

 

千尋「また...明日も来ていいですか?」

 

?「...好きにするといい」

 

千尋「ありがとうございます」タッ

 

?「.......」

 

 

-帰宅-

 

お父さん「千尋は将来何に進むのか決めたのかい」

 

千尋「......ううん...まだ...考えている途中で...」

 

お父さん「そうか....」

 

千尋「....」

 

お父さん「母さんは口では厳しいが、千尋の選んだ道を進んでほしいと思っている」

 

千尋「...」

 

お父さん「それは父さんに同じだ。うちは元々放任主義だったが....千尋の人生だ。千尋の好きに進みなさい。」

 

千尋「お父さん....」

 

お父さん「ただ、選んだからにはしっかりとその道を進むんだぞ。いいな」

 

千尋「分かった....」

(道.......か........)

 

 

-学校-

 

担任「明日で一週間だぞ。」

 

千尋「あ、先生」

 

担任「決まったんだろうな?」

 

千尋「......はい」

 

担任「まあ肩の力を抜け。人生山あり谷あり、だ。何事も慎重になるのはいいが冒険も大事だぞ」

 

千尋「....はい....」

(冒険......)

 

千尋(遠い昔に大冒険をした気がする...)

 

千尋(暗闇の中ひとりぼっちで泣いていた私に誰かが手を差し伸べてくれて....) 

 

千尋(それが誰かは思いだせないけど....)

 

千尋(...)

 

 

-神社-

 

千尋(....)

 

千尋(今日もあの人いるかな....)

 

千尋(...)キョロ キョロ

 

千尋(あれ...今日はお休みなのかな....)キョロ キョロ

 

 

?「今日は早いね」

 

千尋「!!」

 

?「まだ午前中なのに...珍し...」

 

千尋「あ、あの!少しお話したいことがあるんですけど....」

 

?「....」

 

千尋「お時間もらってもいいですか....?」

 

?「......うん」

 

?「....おいで」

 

千尋「え?」

 

?「外にいては体が冷える。ついてきなさい」

 

千尋「は、はい!」

 

千尋「あ、ここは....」

 

?「そなたが一番最初に足を踏み入れた西側の庭園だ」

 

千尋「部外者でも中に入って大丈夫ですか...?」

 

?「今日だけ、特別だよ。」

 

千尋「......」

 

?「そこの長腰掛けに座りなさい」

 

千尋「は、はい」

 

?「...」

 

千尋「あの....」

 

?「....」

 

千尋「そ、その....」

 

?「....心静めて」

 

千尋「........はい....」

 

千尋「その...わたし....自分の進路に迷っていて,,,,」

 

?「....」

 

千尋「特にやりたいこともないのに、ただなんとなく大学へ行くって言う気にもなれなくて...」

 

千尋「周りは冒険したりするのも良い、とか、自分の好きなように進みなさい、って言ってくれるんだけど,,,」

 

千尋「何か胸にひっかかって前に進めないの」

 

?「.......うん」

 

千尋「何か大切なことを忘れているような気がして、でもそれが思いだせなくて....苦しいの」

 

?「......」

 

千尋「だけど、ここに来てからは....なんでか分からないけど....」

 

千尋「苦しい気持ちを忘れられることが多いんだ。」

 

千尋「安心するっていうか....現実逃避なのかもしれないけど心が穏やかになるの」

 

?「....うん」

 

千尋「それで....」

 

千尋「それでね....」

 

?「.....」

 

千尋「すごく、変なことを言うようなん、だ、けど....」

 

?「.....」

 

千尋「あなたとしゃべっていると、懐かしい気持ちになる」

 

?「...!」

 

千尋「似ているの。誰かと...。それが誰かって聞かれると....わからないんだけど....」

 

千尋「私のことを助けてくれた人と似ているの。」

 

?「....うん」

 

千尋「出会って間もない人にこんなことを言うのも....本当に変なことってわかっているんだけど...」

 

千尋「ごめんなさい」

 

?「ううん。私も....同じように感じている」

 

千尋「え.....」

 

?「放っておけないんだよ。」

 

千尋「わたしを....?」

 

?「うん」

 

千尋「......っ」

 

千尋「もっと変なこと聞いてもいい?」

 

?「なに?」

 

千尋「私達....どこかで会ったことある....?」

 

?「.....どうだろうね...」

 

千尋「....」

 

?「.....」

 

千尋「....」グゥ...

 

千尋「!」

 

?「ご飯を食べてないの?」

 

千尋「お昼食べずに早退しちゃったから...ご、ごめんなさい真剣な話をしているときに...」

 

?「ううん。すぐ戻るから、ここで待ってて」

 

千尋「はい」

 

千尋(真剣な話をしてるっていうのに...私ってば...恥ずかしい....)

 

千尋(だけど...すごく親身になって話を聞いてくれた....)

 

千尋(.....こんなに安心したのは何年ぶりだろう....)

 

 

千尋(なんか...すごく懐かしい気持ちが芽生えてくる....)

 

?「そんなに下を向いていては、地面と顔がくっついてしまうよ」

 

千尋「!」

 

?「待たせて悪かったね。お腹が空いたのだろう」

 

千尋「あ…」

 

?「お食べ」

 

千尋「で、でも....」

 

?「そなたの元気が出るように、と思って作ってきたんだ。お食べ」

 

千尋「じゃ、じゃあひとつだけ....」パクッ

 

千尋「!」

 

千尋「.......」

 

千尋「.........」ポロッ...

 

千尋「...........」ポロ...ポロ....

 

?「辛かったろう。さ、お食べ。」

 

千尋「う......うっ....うっ....」

 

...

 

千尋「ごめんなさい、迷惑ばっかりかけちゃって」

 

?「気が晴れた?」

 

千尋「うん。泣いたらスッキリした。ありがとう」

 

?「うん」

 

千尋「....」

 

?「....」

 

千尋「あのね」

 

?「....」

 

千尋「....わたし....ここで働きたい」

 

?「....!」

 

千尋「本当は...このことを今日言いに来たの」

 

?「.....」

 

千尋「わたし...少しでも役に立ちたい。ここで、働きたいの」

 

?「.....」

 

千尋「ダメって言われたら諦める。....今日は」

 

千尋「でも、明日も明後日も来る。ここで、働かせて下さい!」

 

?「..........千尋、」

 

千尋「はい!........って、え?」

 

千尋「どうして....私の名を..........」

 

?「そなたには可能性がたくさんある。今も、この先の未来にも。」

 

千尋「.....」

 

?「ここは古いが名のある神社だ。消えてなくなることはない。」

 

千尋「.....」

 

?「一時の感情で物事を決めてはいけない。私と違って、千尋には千尋の道が沢山あるんだよ」

 

千尋「私は....」

 

?「ここで働くことを悪いとは言わない。だけど、開かれた道は限りなくあるのだから何もこんな閉ざされた道を選ぶことは....」

 

千尋「閉ざされた道ってどういうこと?あなたは違うの?」

 

?「....深くは言わない。だけど千尋には未知なる可能性がたくさんあるんだよ。

今は目に見えないから信用できないかもしれないけど、ご両親の為にも、自分の為にも可能性を信じなきゃだめだ。」

 

千尋「....」

 

千尋「...一時なんかじゃない....」

 

?「....」

 

千尋「あなたが私の名前を知っているのは、偶然なんかじゃないんでしょ...?」

 

?「...!」

 

千尋「私、自分の可能性を信じてここで働きたいの。自暴自棄とかそんな理由じゃない」

 

?「....」

 

千尋「どうしても私を受け入れたくないって言うのなら諦める。でも...絶対後悔する。」

 

千尋「前に、一度後悔しているの。きっと会えるって言った人達、またねって言った人達」

 

千尋「結局は口約束で、永遠の別れをしてしまったから」

 

?「.......」

 

千尋「さっき....この神社は消えないって言ったけど.....」

 

?「.......私ならずっとここにいる」

 

千尋「本当に?」

 

?「本当さ」

 

千尋「.....」

 

?「疑り深いんだね」

 

千尋「.....」

 

?「空が繋がっている限りいつでも会えるよ。」

 

千尋「空が切れたらどうなるの?」

 

?「それは杞憂だ」

 

千尋「....きゆう?」

 

?「暗くなる前にお帰り。ご両親が心配するよ」

 

千尋「...」

 

千尋(.....)

 

 

-次の日-

 

千尋「先生、進路先の紙...書けました」

 

担任「おぉ、どれどれ.....」

 

千尋「....」

 

担任「ん?これは....ご両親とも話した結果なのか?」

 

千尋「はい」

 

担任「そうか....分かった」

 

千尋「....」

 

 

-卒業式-

 

千尋(....)

 

千尋「ハァ....ハァ.....」トントン 

 

?「ここへきてはいけない。参拝者は東口から.......!」

 

千尋「ごめんなさい。道を間違えました」

 

?「千尋..........」

 

千尋「......」

 

?「....もう、来ないかと思っていた」

 

千尋「......」

 

千尋「....気にかけていてくれたの?」

 

?「うん、心配していたよ」

 

千尋「ごめんなさい」

 

?「ううん。元気そうで安心した。」

 

千尋「......」

 

千尋「あのね....」

 

千尋「ここ数ヶ月間、ずっと考えてた。神社のことと....あなたのこと。」

 

?「.....」

 

千尋「私ね、どうしても思い出せないの」

 

?「....」

 

千尋「だけどあなたといるとすごく懐かしい気持になるし、安心することは確かなんだ」

 

?「.....」

 

千尋「名前すら思い出せなくて....自分の中の勝手な思い込みなのかなって何度も思った。」

 

千尋「でも....」

 

千尋「今日卒業式を終えて....心に決めたの」

 

千尋「わたし....あなたを思い出したい」

 

?「...!」

 

千尋「あなたがなんでこの神社にしか居場所がないのか、とか...全部知ってる気がするの」

 

千尋「だから.....改めてお願いに来ました。ここで働かせて下さい!」

 

?「.......うん」

 

千尋「.........え?」

 

?「そなたが決めたことなら、私はもう口出ししないよ」

 

千尋「それって.....ここで働いてもいいの....?」

 

?「........うん」

 

千尋「あ・・・ありがとうございます!!!」

 

?「明日からおいで。仕事を与えてあげる」

 

千尋「はい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

元スレ

千尋「ひさしぶりだね!」カオナシ「....」 モジモジ

http://hayabusa.open2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1417252229/