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いろは「もう!女の子にこんなこと何回も言わせないでください!」【俺ガイルss/アニメss】

 

夕暮れ時、昼と夜の境目であるその時間

放課後多くの生徒が学園から去ったころ、生徒会室には一人の男と女がいた。

女性の名は一色いろは。総武高の生徒会室の主である。

もう一人はプロのボッチである比企谷八幡。どうやらいろはに話があると言われて、この生徒会室に連れてこられたようだ。

顔が赤く、どこか落ち着きのないいろは。そんないろはを不審そうに見る八幡。

そんな二人を夕照りが照らしていた。

 

「私、せんぱいのことが大好きです!!」

 

意地や照れ、不安それらをムリヤリ押さえ込み、ついにいろはは自分の想いを想い人に伝えることができた。

そんなたった一言の好きという言葉をどれだけ伝えたかったか知ってほしかったのかいろはは素直じゃない自分自身との戦いに終止符を打つことができた。

 

「……一色…おまえ…」

ついにさっきほどまで沈黙を守っていた八幡の口が動く。

いろはの心に告白を今すぐ聞きたい期待と振られるかもしれない不安が渦巻く。

相反するその二つの気持ちはいろはを葛藤させる。

八幡が次の言葉を発するこの数秒間がとてつもなく長く感じられた。

まるで何年にも何十年の時を待っているかのように

いろははこの数秒間が長く感じたのは今まで初めてだった。

そしてついにいろはは告げられる

その返事とは

 

「エイプリールフールはとっくに過ぎているぞ」

「………えっ?」

 

真顔で語った八幡の返事はなんともまぬけなものだった。

いろははあまりの八幡の場違いな返事に思考が停止した。

 

「おまえがオレの事好きなわけねえだろ。だっておまえが好きなのは葉山でオレみたいな専業主婦希望のボッチが好きとかありえないだろ」

 

自信満々に言う八幡。ご存知のとおり、超疑い深くて、さらにひねくれている八幡はいろはが自分の事を好きだなんて夢にも思っていないのだ。

せいぜい猫かぶらず面倒事を押し付けられることができる都合のいい相手だと思っているくらいだ。

まあそう思うのは彼の過去の黒歴史やトラウマがあるからだ。

 

「ち、違います!先輩私は本当に先輩のことが…」

 

「さては罰ゲームか? どこかで隠れてオレの反応を見ようと楽しんでいる女生徒とかいるに違いないな」

 

どうやら次に八幡が浮かんだ推理はいろはが何らかの勝負に負けて、その罰ゲームで偽告白しているのだとものだった。

 

「違います!それにここは生徒会室ですよ!普通の生徒がいるわけないじゃないですか!」

無実を訴える被告人のようにムキになるいろは

それは当然だ。せっかく覚悟を決め、勇気を振り絞って告白したのにこのままなかったことにされるなんてたまったもんじゃない。

 

「はぁ? じゃあ、なんで?」

 

「だ、だから私は本当に比企谷先輩のことが好きなんですよ!もう!女の子にこんなこと何回も言わせないでください!」

 

いろはがヤケクソぎみに自分の気持ちを訴える。

 

「いや、それはないだろ。それに昔、告白されたと喜んで翌日学校行ったら笑い物にされたことあるしな…おまえもオレに「もしかして誘っているんですか? ごめんなさいムリです」とか言ってんだろ」

 

(もう!一体誰なんですか!昔、先輩にそんなバカなマネした性悪女は!おかげで先輩がこんな疑心暗鬼になってしまって私が困っているじゃないですか!)

 

「あっ、そうかこれはドッキリだな!ここでオレが喜んだ瞬間ドッキリ成功という看板を持った戸部が出てくるんだろ」

 

八幡は辺りを見回しながら言った。

 

「そんなのいませんよ!」

「あれ変だな? 人の気配が感じられないプロのボッチのオレの聞き耳スキルはMAXのはずだが…」

 

「だから、そんな人いませんてば!」

 

少し涙目になりながらいろはは言った。

 

「ということは…玄関で待ちかまえているな。そしてここの様子を望遠鏡か隠しカメラで見ているんだろ!ふーん、そうはいかないZE☆」

 

「………」

 

妙にカッコつけた語尾をつけた八幡にいろはは「先輩なにかっこつけているんですか? 超キモーイです!」と言いそうになったが、それだといつもの流れで会話が終わってしまうのでこらえた。

 

「まさか盗聴器や隠しカメラがこの生徒会室に仕掛けられているのか?」

 

「そんなのありません!ここは生徒会室なんですよ!そんなことできるはずないじゃありませんか!」

 

涙目で体を小刻みに震えながら怒鳴るいろは

そんないろはを見て八幡は

 

(な、なんだ一色のやつ? いつもとなんかちがう…いや勘違いするな一色が…オレの後輩が、こんなにかわいいはずがない!)

 

必死に勘違いしてはダメだと自分に言い聞かせ、ある結論にたどりついた。

 

「だったら偽物だな!おまえ!一色をどこへやった!目的はなんだ!逆恨みした相模の差し金か!」

警戒態勢に入った。普段気だるそうな八幡の腐った目に力がこもる。

 

「違うって言っているじゃないですか!」

 

いろはは悲しかった。

八幡が本気で自分のことを心配して怒っているのはわかる。

だが、偽物と疑われるほど自分が八幡のことを好きだということを八幡はありえないと思っていることにもなるからだ。

あいにく今、目の前にいるのはいろは本人であって告白も嘘じゃない。

せっかく一世一代の告白をこのままうやむやされそうになるいろははたまったもんじゃなかった。

 

「しかしどうみても本物の一色に見えるな…プロのボッチであるオレの観察眼を欺くとはなんて変装技術だ」

「いいかげんに…」

 

「まさかおまえメタモンか!いやモシャス使って化けているのか!それともFF5のメタモルファかなんかで」

 

「………」プルプル

 

「そもそも現実でそんなことが可能なのか? いやあの人が関与していたらあるいは…」ブツブツ

 

バン!

 

「っ!?」ビクッ

 

思考の渦に入っていた八幡が見たものは拳を机に叩きつけて怒った表情をしている一色いろはだった。

そのいろはから、ぼそりと言葉が発せられる

 

「…本物が欲しいんだ」

 

「!?」

 

「あの日の放課後、雪ノ下先輩と由比ヶ浜先輩に先輩が言った言葉です。そのことを知っているのは先輩と雪ノ下先輩と由比ヶ浜先輩…そしと、私だけです」

 

「ま、まさか…本当に一色なのか?」

 

「当たり前じゃないですか!!」

 

「いや、おまえ…葉山のこと好きだっただろう? その葉山の次がオレって あまりにもギャップがありすぎて…考えられねえだろ?」

 

「たしかに以前の私なら見向きもしませんでしたね…けど、それはあくまで以前の私、先輩の他の人にはない良さを知ってから、なんか葉山先輩の事が薄ペラく感じられて…」

(そうか…一色も気づいたのか)

 

(仮に一色と葉山が付き合ったとする。当然ハヤマスキーの女子達や一色にいい印象持ってなかった女子達は一色に対して嫌がらせをするだろう。

すると葉山は昔、雪ノ下の時やったようにみんな仲良くなど甘チョロいことを口にするだけで一色を守りきれないで雪ノ下の時、同様失敗に終わるだろう。

ほんとに大事な存在を守るためなら、多少のリスクを侵してでも向かうべきだろう。

だが奴にはその覚悟がない)

 

「それに私の本音を知っていても自然に接してくれるのは比企谷先輩だけです。他の男の人だったら絶対態度変わります。」

 

「初見で見抜けるのはこの学校じゃオレくらいだろうな…」

 

「それに先輩はなんだかんだで優しいじゃないですか。目は腐っているけど高スペックだし、顔も整っているし」

「目が腐っているは余計だ」

 

どうやら本物とわかってもらえたようでホッとする一色。だが油断すればうやむやにされて終わってしまう。

そう確信したいろははすかさず追撃する

 

「先輩、私は先輩の事が大好きです。もし先輩に出会わなければ私は生涯偽物を求め続けて、仮面のつけたまま欺瞞と偽りの人生を送っていたことでしょう。

そんな価値のないものに執着していた私を救ってくれた先輩の事が大好きです。」

 

いろはは最初の告白の時よりさらに気持ちをこめた。この人には遠まわしの言い方や照れ隠しは一切通じない。それに厄介な観察眼を持っているため100%本気の気持ちをぶつけないと疑われる。

 

「一色…おまえが罰ゲームやからかうために告白したわけじゃないのはとりあえずわかった。だがな、おまえがオレを好きだというのは勘違いだ」

 

「えっ?」

 

ようやく気持ちが伝わったと思ったら帰ってきた返事はOKでも拒否でもまして保留でもなかった。

 

「おまえはオレに問題事を解消してもらったことで多少好感を持った。そして葉山のことで落ち込んでいたお前の近くにいたオレに少し優しくされ、普段から本音言っても距離とらず変わらぬ対応するオレは猫かぶらず接する相手だった。

つまりだおまえへのオレへの感情は恋ではなく楽だ」

「楽…?」

 

「ああ、大抵の人間は楽なのは好きだからな。例えば洗濯で手洗いと洗濯機どっちが洗うのが好きか、みんな楽できる洗濯機の方が好きだよな。

つまり本音で会話できて、ある程度接したことで知り合いになり、お互いある程度どんな人間なのか把握した上、問題事を手伝ってくれるオレはおまえにとって楽な存在なんだよ」

 

「………」

 

「というわけだ。おまえはオレに恋したわけではなく、ただ他の奴より気楽にできるってだけで好きなわけでは「好きですよ!!」はっ…」

 

「先輩のこと本当に好きですよ!!」

「だからそれはかん「勘違いなんかじゃありません!!」…」

 

「私が突発的に先輩を好きになったと思っているんですか!? それは違います。3ヶ月前、先輩が気になってきたころ自分でも勘違いかもと思ったことありましたが…それからさらに先輩と接しているうちに

ああ…この想いは本物なんだとわかったんです」

 

「………」

 

「ほんとはもっと交流を深めてから告白する計画だったんですが…もたもたしていると他の人にとられてしまいますからね。………特にあの二人に」ボソッ

 

「計画って…そもそもオレなんか好きな奴いるわけねえだろ」

 

(最後の方…一色の声が小さくて聞き取れなかった)

 

「はあ~もうそれでいいです…先輩のこと好きになるのはこの学校で戸塚先輩と私だけです。

………そう思ってくれた方が都合がいいですし」ボソッ

 

「戸塚がオレのこと///をおまえがそこまで真剣に考えてくれたことはうれしいが、もっとよく考えてみろ。おまえは生徒会長でオレは学校一の嫌われ者だ。もしそれで…」

 

「ふふ…やっぱり先輩はなんだかんだいって優しいですよ。他の男だったら気にせず、とりあえず付き合っておこうとか考えるものなのに」

「…買い被りすぎだ。ただ、そんな器用なコミュ力がオレにないだけだ」

 

「ここで当たり前だと言わないそんな先輩のひねくれたとこも私は好きですよ♪」

 

「………」

 

「今、先輩は私の評判とか気にして自分から遠ざけようと考えていますね。それで他のあたりざわりのない誰かと付き合う方がいいと言うつもりですね」

 

「っ!!」

 

「そんなの嫌ですよ!そんな妥協した結果は!周囲に気にして本当に欲しいものをあきらめて、適当なものでくぎりつけるなんて!私だって、私だって本物が欲しいです!」

 

「おまえの気持ちはすごくうれしい…こんなこと言ってくれたのはおまえが初めてだ。おまえの言っていることが本当だというのは頭では理解できているんだが

過去の黒歴史やトラウマのせいで感情がついてこれていないんだ…まだオレの中で疑う気持ちが消しきれずにいる…頭の中がこんがらがって思考が働かない。

だからすまんが考えさせてくれ…心の整理とかちゃんとできてから返事を返す」

「あっ、まってください!先輩どこにいくんですか!?」

 

「どこって、家に帰るんだよ。帰ってプリキュア見て、頭をリフレッシュして告白の返事を返す。時間はかかるかもしれんが…」

 

(まずいです!ここで先輩を帰してはいけません!ここで告白の返事をもらわないと他の人につけいるスキを与えてしまいます!

帰る途中、誰かに会って告白を件を知られでもしたら対抗して告白でもされかぬません!

もし、そうでなくても頭の冷えた先輩が逃げの一手を考えつくかもしれません)

 

「…どうしても信じられませんか?」

 

「まじですまん…オレも信じてやりたいがこればっかりは自分でもどうにもできん。告白したのがおまえ以外の誰かだったとしても間違いなくこうなったむしろここまでオレなんかに本気で気持ちをぶつけたおまえだから、ここまでこれたともいえる」

 

そういってドアに向かう八幡。

その後ろ姿をただ見つめるいろはではなかった。

 

「先輩」

 

いろはは八幡に接近し呼びかける。

その声に反応し、振り向く八幡だったが、その瞬間自分の固定概念が砕けることになる。

 

「い、いし…ん!?」

八幡の目が驚きで見開く。

振り向いた瞬間自分の唇が防がれたからだ。

 

いろはの唇によって

 

驚愕する八幡からいろはは静かに離れる。

 

「い、い、い………一色///」

 

壊れかけたマリオネットのようにぎこちない八幡にいろははズビッシと指を向けた。

 

強気なセリフとは裏腹にいろはの顔はトマトのように赤かった。

あまりの出来事に頭が働かない八幡はパクパクと金魚のように口を動かしていたが、やがて目を閉じ、フッと笑った。

そして目を開けいろはを見つめる。

その目はわずかに澄んでいた。

「…オレの負けだ一色。さすがのオレもそこまでされたら、おまえの気持ちが本物だと認めるしかない」

 

「じゃ、じゃあ…」

 

「ああ、オレみたいなボッチでいいならよろしく頼む」

 

「ほ、本当に私と恋人同士に…なってくれるんですか?」

 

「ああ///」

 

「うれしいです…先輩…」

 

感極まっていろはは八幡に抱きついた。

八幡もそれを拒まず躊躇しつつ、いろはを抱く。

恋人同士になった二人はしばらく抱き合っていた。

 

「オレ、今からできりだけがんばることにするわ」

「具体的にはどんなことを?」

 

「まずは苦手な数学を平均点とれるようにする」

 

「ええ~コミュ力アップとかじゃないんですか?」

 

「いきなりそれはものすごく難易度高すぎだろ!ヤムチャ魔人ブウ倒すくらいムチャだ!」

 

「そこまで…」

 

「とりあえずできるだけ彼女のおまえが恥かかないよう努力するつもりだ。小町にでも相談してみるわ」

 

「そうですね!小町ちゃんのセンスやコミュ力なら頼りになりますし♪」

 

「とりあえず帰るか」

 

「はい♪」ダキ

 

「おい、いきなり腕組むなよ///」

 

「エヘヘ///」

 

 

約二週間後

町「お兄ちゃんこれから一色さんとデート?」

 

「あ、ああ。できるだけカッコいい服装で来るようにいわれているが、よくわからなくてな…」

 

「今までだったらお兄ちゃん休みの日は家にいたからね~」

 

「ああ、せいぜい新しいラノベ買うときくらいしか家から出なかったからな」

 

「だったら、もっとハデにいけよ!腕にシルバー巻くとかさ!」

 

「小町おまえ遊戯王でも読んだか?」

 

さらにその後

「せんぱーい子作りしましょ~♪」

 

「と、突然何言ってんだ!?おまえ!!」

 

「あっ、大丈夫ですよ~まだ私たち学生なんでちゃんと避妊するので♪」

 

「そうじゃない!なぜ、いきなりそんなこといいだしたんだ///」

 

「だって~いまだ先輩のこと諦めきれない誰かが先輩眠らせて、その間に既成事実をつくろうとするかもしれないじゃないですか~。

でもそうなる前に先に既成事実作っておけば安心じゃないですか♪」

 

「おまえ…やっぱりあざといわ」

 

その後、二人は結婚いつまでも幸せに暮らしましたとさ

 

 

 

 

 

 

 

 

元スレ

一色いろはの告白攻撃!

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