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かぐや「会長を悩殺してみせます!」【かぐや様は告らせたいss/アニメss】

 

石上「あっ、会長。四宮先輩と藤原先輩はまだ来てないんすか?」 

 

白銀「ああ。生徒会室には来てないな。藤原書記はまだしも四宮まで遅れるとは珍しい」 

 

石上「そうですか。それより、聞いてくださいよ、会長」 

 

白銀「どうした?そんな顔して」 

 

石上「いやー、今日が何の日かわかりますか?」 

 

白銀「10月31日。つまり、ハロウィーンだろ」 

 

ハロウィーン。それは古代ケルトの文化に端を発する宗教的儀式。古代の人々は10月31日を秋の終わり、そして冬の始まりの日と定め、秋の収穫を祝うと同時に悪霊を追い払うために火を灯した。そして、家に訪ねてくる祖先の霊をもてなしていた。 

 

それが、アメリカに伝わり現在のようなただの民間行事となり『トリックオアトリート』というあらゆる国で子供が仮装しお菓子を求める日になったのである。 

 

石上「そうです!ハロウィーン。つまり、それは若者が身元がバレないようにしてトラックをひっくり返す日です」 

 

白銀「いや、言い過ぎじゃないか……。流石にそれは一部の話で……」

 

石上「いーや。違いますよ会長。日本はハロウィーンに侵食されておかしくなってるんです。渋谷の映像を見てみてくださいよ」 

 

白銀「ああ。まあ、あれは確かにな」 

 

石上「でしょう!好き放題暴れて、ろくに片付けもしない奴が雁首並べて行進してるんですよ。もう毎年何人も逮捕されてますし。そして、一番気に食わないのは……」 

 

白銀「気に食わないのは?」 

 

石上「イベントにかこつけてただイチャイチャしたいだけのカップルですよ!!」 

 

白銀(ああー。やっぱり) 

 

石上「今日の朝も、そこらじゅうでカップルがコスプレして歩いてましたよ!これ見よがしに!そういう浮かれた奴らが、法を犯すんですよ!どうせいつもと違ったコスプレセッ〇スがしたいだけっすよ」 

 

白銀「石上。ブレーキ、ブレーキ」 

 

石上「でも、ほんとのことですよ。だいたいっすね……」

 

石上の青春ヘイトは留まることを知らない!話しているうちにさらに熱を帯びてくる!彼の不服、不満は一朝一夕に溜まったものではない!一旦蓋を開ければそれこそ、無限に放出される。 

 

白銀も熱弁を振るう石上に集中しており、気づくことはなかった。 

 

生徒会室の扉が開いたことを。 

 

石上「ハロウィーンに仮装する奴なんて、頭が空っぽなんすよ。特に女子。ただ男に媚びようとする尻軽っすよ」 

 

白銀「そんなことはないと思…………!!!」 

 

石上の背後で膨れ上がる二つの殺気!!白銀はそれを感じ、パッと顔を上げる。そこには二つの怒りの炎がゆらめていた! 

 

白銀(石上ーーー!!後ろ!後ろ!) 

 

石上「だからですね、生徒会でも取り締まるべきっすよ。ただ男に媚びようとするビッチ達を。どう思いますか?会長」 

 

白銀(どうしてこういつもタイミングが悪いんだろうな、石上は)

 

白銀「……え? ま、ま、まあ、最早文化の一つになっているからな。節度を守れば楽しめる行事だと思うぞ。取り締まりは必要ないだろ」 

 

石上「もう、甘いっすよ会長。仮装してる尻軽たちにガツンと言ってくださいよ」 

 

藤原「だれが」 

 

かぐや「尻軽ですって?」 

 

石上「…………ひっ!!」 

 

ばっと振り返る石上。そこには、フランケンシュタインの仮装をした藤原とドラキュラの仮装をした四宮が、恐ろしいほどにこやかな笑みを浮かべていた。 

 

藤原は笑みを貼り付けたまま机の中をごそごそと探すと、大きなハリセンを取り出した。にまーっと笑みを深くする。 

 

藤原「やっぱり、まだ必要でしたねー」 

 

硬直した石上の前に戻ると、風切り音を立てながら石上の頭に振り落とした! 

 

藤原「とりゃ!とりゃ!とりゃ!とりゃ!」 

 

慈悲のない藤原の連撃!石上には成すすべはない!石上は机に頭をめり込ませんばかりになっていた! 

 

藤原「ふぅーー。今日はこれくらいにしといてあげます」 

 

石上「ど、どうもありがとうございます…」

 

かぐや「石上くん?」 

 

石上「ヒッ!!な、な、な、なんでしょう」 

 

かぐや「--お菓子くれないと讎しますよ?」 

 

石上(何言ってるかわからないけど、死ぬほどこわい) 

 

石上「会長。臓器売り飛ばしてそのお金で山ほどお菓子買ってきます」 

 

白銀「分かったけど、臓器は売っちゃダメだぞ」

 

かぐや「ふぅーー。随分とひどい言われようでしたが、会長はどう思いますか?この格好」 

 

白銀はかぐやたちに目を向けた。藤原は、ボロ雑巾のような服に、頭からネジが飛び出たような頭の装飾。?についた傷はシールだろうか。なかなか似合っている。 

 

そして、四宮。制服の上に纏っている真っ黒で大きなマント。尖った八重歯は何か嵌めているのだろう。お手軽だがしっかり仮装している。 

 

正直めちゃくちゃ似合っていた。可愛い。めっちゃかわいい。小悪魔的な魅力にノックアウトされそうになっている。そのことを悟らせないために握られた白銀の拳には爪が食い込み血が滴るほど。 

 

白銀(だが、勘付かれるわけにはいかない。もしも、この気持ちがバレれば……) 

 

あらあら会長。ちょっとマントを羽織って仮装しただけの私に興奮するなんて。顔が真っ赤で、息もお荒いですよ。お可愛いこと。 

 

白銀(駄目だ!ここは冷静に振る舞わねば!) 

 

白銀「ああ、似合ってるんじゃないか。……二人とも」 

 

白銀!一歩引いた回答!かぐやだけでなく藤原も同時に褒めることによって赤面を回避!

 

藤原「えへへー。わざわざ、遅れて着替えてきた甲斐がありましたね。かぐやさん」 

 

かぐや「……え、ええ、そうね」 

 

かぐや(むうぅぅ。どうして赤面しないんですか!こんなに可愛くしてあげてるのに!まあ、さすがは会長といったところですか。このかわいいドラキュラの仮装で悩殺することはできませんでしたか) 

 

動揺を見せない白銀への四宮の不満!しかし、それはすぐに収まる。 

 

かぐや(ええ、いいでしょう。今日はそれが目的ではありませんから) 

 

四宮が後ろ手に持っている紙袋がごそりと音を立てる。中には仮装の衣装が入っている。 

 

かぐや(ふふふふ。中には私と極めて似た衣装が入っています。そう……極めて似た。これを会長に着させることが出来れば、会長は勘違いするはずです。これはペアルックではないかと) 

 

勘違い。それは恋愛において後押しすることもあり、落とし穴になることもある、何が起こるかわからないブラックボックス。 

 

意中の相手と目があった時、優しくしてもらった時、自分に笑顔を見せた時。愚かな男どもは往々にして同じ感想を抱く。 

 

あれ、こいつ俺のこと好きなんじゃねと。 

 

その勘違いをしている間は全くの無防備!衛兵のいない裸の城!

 

白銀は勘違いするだろう。ペアルックのような衣装を渡されることで。隙のない白銀から油断を引き出させるための四宮かぐやの巧妙な策であるということにも気付かずに。 

 

かぐや(ここからが重要ですね…。どうやって、会長に着させるか……) 

 

四宮の作戦はこうである。 

 

まず、可愛く仮装した自分の姿を見せ白銀の判断力を鈍らせる。その後、仮装パーティーとかいうものに参加したいと匂わせる。どうやら、都内のいろいろな場所で行われているらしいからと。 

 

かぐや(うふふ。会長と藤原さんは必死になって止めるでしょうね。こんな感じに) 

 

白銀『莫迦なことはやめるんだ!四宮!』 

 

藤原『そうですよ、かぐやさん!かぐやさんみたいな女の子が、そんな野獣の群れに放り込まれたら一瞬で食べられちゃいますよ!』 

 

かぐや(私がそんな下賎な動物園に行くはずなんてないのに) 

 

勿論、四宮は仮装パーティーなどに行くつもりはさらさらない!わざと引き止めさせるのが狙いである。 

 

ここまでは、以前ラブレターを貰ったときと非常に似ている構造。結局は藤原の号泣によりおじゃんになった策略である。 

 

しかし、今回は違う! 

 

かぐや(今回は、私が藤原さんを利用します) 

 

そう!四宮は自ら藤原の手綱を握ることで、無軌道な藤原の動きを制限するつもりなのである!

 

かぐや(では、そろそろ仕掛けますか) 

 

かぐや「んっんっ!」 

 

白銀「ん?どうした四宮」 

 

かぐや「実は、私、仮装パーティーに興味がありまして、一度も経験したことないものですから今晩にでもいってみましょうかなと」 

 

いじらしくもじもじする四宮。カマトトである。 

 

白銀「っっ!なんだと!」 

 

予想外の四宮の発言。白銀の頭の中では、幾人もの男達に言い寄られる四宮の姿が映った。?を染め、見ず知らずの男の手をとる四宮。 

 

白銀(絶対に行かせない!) 

 

白銀「生徒会会長として、いかがわしい場所へ行くことは容認できんな」 

 

藤原「駄目ですよ!かぐやさん!絶対に行っちゃ駄目です!そんなとこにいったら何されるかわかったもんじゃありません!」 

 

かぐや(ここまでは予定通りですね……。計画に大きな変更はありません)

 

かぐや「そうですか……。それはとても残念です。一度くらいは仮装パーティーしてみたかったのですけれど……」 

 

白銀「ぐっ……」 

 

悲しそうに目を伏せる四宮。その悲哀に満ちた可憐さに胸を打たれる白銀。 

 

かぐや「どうすればいいでしょうか、藤原さん」 

 

その紅玉の瞳を潤ませながら藤原に尋ねる。 

 

藤原「うーーーーん。あっ!私達で仮装パーティーをすればいいんですよ!」 

 

白銀「俺たちでパーティーか……」 

 

かぐや(ふっ!きましたね!その言葉を待ってました!) 

 

思考の誘導である!うまく藤原を誘導することでこの場を掌握するという、前回の教訓から学んだ策略! 

 

そう!この生徒会室はすでに四宮の影響下に置かれていた!そのため、四宮の要求を呑ませることは容易!

 

かぐや(このままうまくいけば、会長に仮装させることは簡単です!私の持っている衣装を貸してあげますと言うだけ!会長は成すすべなく受け取ることでしょう) 

 

かぐや「やってくれるんですか?会長?」 

 

白銀「むっ。うーん。まあ、生徒の不純異性交遊を未然に防ぐのも生徒会長の役目だからな。しょうがかい。やってやろう」 

 

かぐや(ふっふっ!私の勝利ですよ会長。後は、おどおどと顔を赤らめる会長の様子を楽しむとしましょう) 

 

かぐや「ありがとうございます。実は、私に合わなかった衣装が……」

 

藤原「じゃあ、会長にはこれを着てもらいましょう!」 

 

バーンと机の上に置かれたのは、魔王のようなコスプレ衣装。 

 

藤原「実は、色々余ってたんで生徒会室に持ってきちゃいましたーーー!」 

 

白銀「うむ、そうか。まあ、気は進まないが、着るとするか」 

 

かぐや(えぇーーーーーーー!!またですか!また邪魔するんですか!藤原さん!!) 

 

藤原の手綱を握ることは四宮の頭脳を持ってしても不可能であった!ここまで慎重にそれでも堅実に進んできた計画は破綻である! 

 

かぐや(そうやって、ずっと私の計画を邪魔するのですね。胸にばかり栄養がいっているあばずれ。男に媚び売るばかりの尻軽。頭空っぽのメス。ああ、穢らわしい。もう二度と……

 

白銀「一応着てみたが、どうだ?似合ってるか?」 

 

藤原「おー、結構いいですよ!ねぇ、かぐやさん」 

 

かぐや「……………」 

 

藤原「かぐやさん?」 

 

かぐや(おかわわわわわわわわわわわわわわ) 

 

白銀「ん?大丈夫か?四宮」 

 

かぐや(似合いすぎですよ!その目つきの悪さと魔王のコスプレの相性のよさは反則です!どうにかして記憶に焼き付けなければ!) 

 

かぐや「っ!はっ!ええ、大丈夫です。よくお似合いですよ、会長」 

 

白銀「そうか、ならよかった」

 

かぐや(私の計画通りではありませんが、これはこれで素敵ですね……。会長の新たな姿を見ることができました。一応、礼を言っておくべきでしょうか) 

 

かぐや「藤原さん。ありがとうございますね」 

 

藤原「むふふー。当然のことをしたまでですよー」 

 

白銀「じゃあ、早く仕事を終わらせて軽くパーティーするか」

 

その後、ビビりながら両手に抱えるほどのお菓子を持ってきた石上が合流し、そのお菓子を食べながらなんやかんやあり楽しくパーティーをすることができた。四宮の予想とは大きく外れたがそれはそれで満足であった。 

 

かぐや(今日はこれくらいにしておいてあげましょう。ですが次はこうはいきませんよ) 

 

 

本日の勝敗 石上の負け 

 

敗因 財布が空になるほどの菓子の購入

 

 

パーティーの後、学校に一人残った四宮。 

 

かぐや(せっかく用意したこの衣装を使うことがなかったのは残念でしたね。まあ、また使う機会があるかもしれませんから生徒会の倉庫に入れておきましょうか) 

 

四宮は倉庫の段ボールに衣装を詰め、そのまま帰宅した。しかし、珍しいことに四宮はこの衣装の存在を失念してしまう。置いてかれた段ボールの中には、真っ黒いマントとシルクハット。 

 

この時は誰も知る由がなかった。このコスプレ衣装が二ヶ月後に再び日の目を浴びることになるということを!そして、一世一代のウルトラロマンティック計画に使われるということを……!!

 

 

 

 

 

 

 

 

元スレ

かぐや様は着させたい

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