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白銀「四宮。二人で『素晴らしい時間』を作っていこう」 かぐや「……はい」【かぐや様は告らせたいss/アニメss】

 

藤原「アキネイターというアプリで遊びませんか?」 

 

白銀「アキネイター?」 

 

かぐや「!」 

 

 アキネイター! 

20個以内の「はい」「いいえ」の質問を答える事により、回答者がイメージしている人物を当てる事ができるアプリなのである。 

 

 

藤原「というわけなんです」 

 

白銀「ほう」 

 

かぐや「面白そうですね。では、せっかくなので会長をイメージして答えてみませんか?」 

 

白銀「一般人を当てる事もできるのか?」 

 

藤原「普通の一般人なら無理ですが会長は特別ですよ」 

 

白銀「ん? どう特別なんだ?」 

 

かぐや「世間から見ると『秀知院学園の生徒会長』は一般人ではありませんよ。会長は素晴らしいお人です」 

 

白銀「そ、そうか……」 

 

かぐや(照れてる会長可愛い) 

 

 

藤原「では、さっそくやってみましょう♪」

 

 

アキナネイター「男性?」 

 

藤原「イエス!」 

 

 

アキナネイター「YOUTUBE関係者?」 

 

藤原「ノー」 

 

白銀「なるほど、20の質問みたいなものか」 

 

かぐや「そうですね」 

 

 

アキナネイター「学校に通っている?」 

 

藤原「イエス!」 

 

 

アキナネイター「兄弟か姉妹がいる?」 

 

藤原「イエス!」 

 

 

アキナネイター「闘う?」 

 

藤原「ノー」 

 

 

アキナネイター「成績優秀?」 

 

藤原「イエス!」 

 

 

アキナネイター「生徒会役員である?」 

 

藤原「イエス!」 

 

白銀「す、すごいな。かなり近づいてきているぞ」 

 

 

かぐや(ふふっ、ついに来ましたね! この時が!)

 

 毎度の事であるが今回も彼女の仕込み! 

今回の『アキネイター』アプリは早坂が藤原に紹介したのである。 

 

かぐや(次の問いはもちろん知っています!) 

 

 次の問いの内容はかぐやが『アキネイター』の会社を買収し、特別に藤原のアプリにのみ登場するように仕込んだのである。 

 

 

 

アキナネイター「四宮かぐやの事が好き?」 

 

白銀「っ!!???!」 

 

かぐや(来ましたね! さあ会長なんと答えますか!?) 

 

藤原「イエス!」 

 

白銀・かぐや「なっ!!?」

 

アキナネイター「身長は高い?」 

 

藤原「えーと、そうですね。私は普通なので『ノー』で!」 

 

かぐや(って、いつの間にあなたの事になってるの!!?) 

 

 

アキナネイター「あなたが思い浮かべているのは『白銀御行』ですね」 

 

 

藤原「わーいやったー。すごーい」ピョンピョン 

 

白銀「そ、そうだな」 

 

かぐや(はぁー……まったく……。今回の為に私がどれだけ手間暇かけたか……) 

 

 

 本日の勝敗 

 かぐやの負け

 

 

■夕方の生徒会室 

 

白銀「ふぅー。なんとか終わったな」 

 

かぐや「お疲れ様です」 

 

白銀「この仕事が今日終わるとは思わなかったぞ。ありがとう。四宮が手伝ってくれたおかげだ」 

 

かぐや「いえ、今日は特に予定もなく暇でしたし」 

 

 嘘である! 

 

この女、今日こそは告白して貰えると思い、帰りの車を用意していなかったのだった! 

 

告白→手を繋ぎながら帰宅するを期待していた。だから帰りの車など不要と考えたのだ。 

 

かぐや(はぁ……。帰りの車、もう少し時間かかりそうね) 

 

白銀「疲れた。本当に疲れたよ」 

 

かぐや「まったく会長は頑張りすぎなんです。もうちょっと手を抜ける仕事はあるはずですよ?」 

 

白銀「そうだな。確かにそうなんだが」 

 

 

白銀「その……なんだ……」 

 

白銀「生徒の皆にとっては一生に一度の高校生活だ。皆に少しでも楽しい高校生活を送って欲しい。だからつい力も入ってしまうものだ」 

 

かぐや「会長……」

 

 

白銀「それに」 

 

かぐや「?」 

 

白銀「こうやって四宮と藤原、石上、伊井野。みんなと生徒会をやるのが楽しくてな。ふとこういう時間がずっと続けばいいのに……とよく思う」 

 

白銀「いや、我ながら我がままだよな」 

 

かぐや(そうやってニッと笑う会長を凄く魅力的に……愛おしく……) 

 

かぐや「そうですね。私も今は楽しい……そうまるで夢物語のようです」 

 

白銀「ああ、夢の時間のようだ」 

 

かぐや「でも、現実はそうはいきません」 

 

白銀「……そうだな」

 

かぐや「私と会長はもう少ししたら卒業です。みんなも卒業したらそれぞれの道を歩みます」 

 

白銀「ああ」 

 

かぐや「大学……就職……。みんなそれぞれ新しい出会いがあり、きっと今のメンバーで会うのは難しくなってしまう事でしょう」 

 

白銀「そうだな。絶対とは言わないがきっと難しくなることだろう」 

 

かぐや「だから私は決めたんです」 

 

かぐや「この夢のような時間をもっと楽しもうと」 

 

かぐや「今のメンバーをもっと好きになろうと」 

 

かぐや「未来の私が『高校生活でもっとこうしたかった』と後悔しないようにしようと」 

 

白銀「四宮……」 

 

かぐや「私は今の高校生活がとても好きです。親友の藤原さんがいて、可愛らしく弟のような石上くんがいて、素直で一生懸命の伊井野さんがいて----」 

 

 

かぐや「そして会長がいる」 

 

かぐや「こんな奇跡があると思いますか?」 

 

白銀「いや、違うな」 

 

かぐや「え?」 

 

白銀「これは、奇跡じゃない! 今の生徒会があるのは四宮、お前のおかげだ」 

 

かぐや「……え?」

 

白銀「俺はお前に俺がここにいると知って欲しくて勉学で勝った。認めてもらいたくて生徒会長になった」 

 

白銀「藤原はお前と一緒にいたいと思ったからここにいる」 

 

白銀「石上はお前が最初に気に掛けてくれたからここにいる」 

 

白銀「伊井野だって、お前が俺に次も生徒会長になって欲しいとお願いしたから。俺がまた生徒会長になったから伊井野はここにいる」 

 

 

白銀「全部お前が……四宮がいるから……四宮がいたからこそ今の生徒会があるんだ」 

 

白銀「これは奇跡じゃない。お前の魅力だ四宮」 

 

かぐや「ち、違います! それを言うなら、会長の……白銀御行という人間の魅力があったこそなんです!」 

 

白銀「ふむ……」 

 

かぐや「か、会長?」 

 

白銀「そうか。四宮は俺の魅力があるから今の時間……『素晴らしい時間』があると思うんだな?」 

 

かぐや「そうです。これは会長の魅力で……」 

 

白銀「しかし、俺は四宮かぐやの魅力があったから『素晴らしい時間』があると思っている」 

 

かぐや「だからそれは違うと----」 

 

白銀「ではこれでどうだろう。俺達二人揃えば『素晴らしい時間』が作れる!」 

 

かぐや「へ?」

 

白銀「四宮。これからもずっと一緒だ。二人で『素晴らしい時間』を作っていこう」 

 

かぐや「……」 

 

白銀「と言っても、同じ大学に行くから……。まぁ、一緒なんだがな」 

 

かぐや「……」 

 

白銀「な、なんか言ってくれないか? だんだん恥ずかしく……」 

 

かぐや「ふふっ」 

 

白銀「え?」 

 

かぐや「いえ、すみません。顔真っ赤にして……でも真剣なお顔で『素晴らしい時間』を作ろうとか言われるので」 

 

白銀「わ、笑うなよ。俺はまじめにだな」 

 

かぐや「まったく……えーと何でしたっけ? すみませんがもう一度言ってくれませんか?」 

 

白銀「なっ……。おい! それはさすがに」 

 

かぐや「聞きたいんです。もう一回。真剣な会長からもう一回だけ」 

 

白銀「はぁ……仕方ないな……」 

 

白銀「ずっと一緒にいてくれ。俺の切実で重大な願いだ」 

 

かぐや「はい」 

 

 

 私は笑顔で答えた。

 

 

「……//」 

 

「会長? 顔がすごい真っ赤ですよ? まるでりんごさんみたいに」 

 

「夕日だ。今日は夕日が凄いからな。そういう四宮だっていちごのように真っ赤だぞ」 

 

「私も夕日です。ええ、夕日以外ありえません」 

 

 

 その後、二人で笑いあった。 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 

 

かぐや「……」 

 

 そこで私は目を覚ました。 

 

 ……。 

 …………。 

 ………………。 

 

 あぁ……。覚めないでほしかった。 

 

 せっかくいい夢を見ていたのに。 

 

 本当に夢のような時間だったのに。 

 

 

早坂「かぐや様。おはようございます」 

 

かぐや「……」 

 

早坂「あと2時間ほどで旦那様が見えられる予定です。準備いたしましょう」 

 

かぐや「会わない。どうせ明日の結婚式で会うんです。わざわざ今日会わなくてもいいでしょう」 

 

早坂「いいのですか? かぐや様はまだ一度も会われていないですが」 

 

かぐや「会いません。この結婚はお父様が決められた事ですから、今さら会った所で何も変更はありません。だったら会わない方が相手の手を煩わせなくてすみます」 

 

早坂「わかりました。先方に断りをいれておきます」

 

かぐや「……」 

 

 さっきまでの夢のぬくもりがどんどん覚めていく。 

 

 なぜ私はこのタイミングであんな夢を……夢物語みたいな夢を見てしまったの。 

 

 

 会長。 

 

 

 会長、私、もういい年した大人になっちゃいました。 

 

 

 会長。 

 

 

 会長、知ってました? 

 

 会長、私結婚します。 

 

 会長、私結婚しちゃうんですよ? 

 

 

 ああ……。なぜこんな事になってしまったの。

 

 

 私はスタンフォード大学に行くと決めた。あの時に人生が大きく動いてしまった。 

 

 もちろんお父様が許すはずもなく、私は家を捨てる決意をした。 

 

 もちろんそれすらもお父様が許すはずがなく、私はお人形のように丁寧に丁寧に絶対服従させられ----。 

 

 

 そして私は四宮家の為に結婚する事に。 

 

 相手はなんでも企業家で、経営の神様と呼ばれるくらい色んな会社を急速に大きくし、お父様が是非にでも手に入れたいと事で…………私が選ばれた。 

 

早坂「……」 

 

かぐや「……」 

 

早坂「かぐや様、もう一度だけ逃げてみませんか?」 

 

かぐや「……」 

 

早坂「準備は出来ています。今度こそは絶対に逃げられます」 

 

かぐや「無理よ。結婚式前だからいつも以上に警備が厳重。ふふっ当り前よね。これで貢物がなくなったら相手に失礼でしょうし」 

 

早坂「それでもかぐや様が願われるなら、私は」 

 

かぐや「必要ないわ」 

 

早坂「かぐや様……」

 

 高校生の時に四宮家から逃げようとした時は早坂の母の奈央さんにかなり迷惑をかけてしまった。 

 

 私が逃げようとした原因が白銀家にある。それをお父様に気付かれないように奈央さんが全責任を----。 

 

かぐや「早坂。そんな悲しい顔をしないで。知らない人と結婚するなんて生まれる前からわかっていた事よ」 

 

早坂「でも……」 

 

かぐや「どうせみんな心から祝福なんてしてくれないわ。そういう結婚式」 

 

早坂「……」 

 

かぐや「だから、あなただけは……早坂だけは心から祝福してくれないかしら?」 

 

早坂「……」 

 

 できるわけないでしょうと言わんばかりの苦しい表情で早坂は一言「はい」と言い、未来の旦那様に断りをいれるために部屋をあとにした。 

 

 ごめんなさい早坂。私はこれ以上あなたに迷惑をかけたくないの。 

 

 『会長と一緒になる願い』は叶わなかった。 

 

 だからせめて『あなたに迷惑をかけたくない願い』だけは叶えさせて。

 

 それにしてもさっきの夢は良かった。 

 

 ああ、夢って夢のような夢だから夢なんだ。 

 

 私は妙に納得してしまい、そのまま吸い込まれるようにベッドに横たわった。 

 

 

 彼は確かこう言った。 

 

白銀「四宮。これからもずっと一緒だ。二人で『素晴らしい時間』を作っていこう」 

 

 ふふっ。二人で『素晴らしい時間』ね。 

 

 若い私達は二人で何でもできる気になれてしまった----だが、現実は違う。 

 

 二人だろうが何人だろうがお父様には決して敵わない。 

 

 これが現実。 

 

 

 私はしみ一つない天井を見つめながら誰かに問いかける。 

 

かぐや「会長。あなたは今何をしてるんですか?」 

 

かぐや「ふふっ、もしかしたら素敵な恋人とかいるのかしら? ううん、会長の事だからきっとおモテになるから……」 

 

 もしかしたら既に結婚して----。

 

 結婚して野球チームが作れるくらいの子供を作って……。 

 

 男の子は会長そっくりで。 

 

 女の子は…………。 

 

 

 ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!! 

 

 考えたくない。 

 

 考えたくない。考えたくない。 

 

 考えたくない。考えたくない。考えたくない。考えたくない。 

 

 そんなの考えたくない! 

 

 

 ……考えたくないのならいっそ忘れればいいのでは? 

 

 そうだ。私は彼の事を忘れた方がいい。 

 

 ----だって、それが彼にとっての幸せなのだから。 

 

 私が干渉しない方が彼は幸せなんだ----だったら私が忘れれば彼は幸せになれる。 

 

 もし私が干渉したら白銀家は終わってしまう----じゃあ、忘れてしまおう。 

 

 もしも私と会長が結婚したら会長は四宮家の為に馬車馬のように働いて壊れてしまう----なんだ、やっぱり忘れた方がいいじゃない。 

 

 結論。会長の幸せを考えるなら忘れた方がいい----忘れろ。 

 

 そうだ。忘れるのは会長の幸せなんだ。 

 

 決して私が壊れないようにするために忘れるわけじゃない。 

 

 

 「さようなら会長。私結婚します」 

 

 

 私は彼を忘れる事を決意し----。 

 

 頬を濡らしながら誰もいない部屋で呟いた。

 

 

■エピローグ 

 

 俺は考えた。 

 

 どうすればいいか考えた。 

 

 一つの決定的な答えは出ていた。 

 

 ----今の俺では四宮の隣を歩けない。対等になれない。 

 

 じゃあ、どうすれば対等になれる? 

 

 周りから対等だと思われるようになる? 

 

 違う。もっと違う。こうじゃない!!! 

 

 どうすれば。どうすれば俺は----。 

 

 どうすれば俺は四宮にもとめられる?

 

 そうだ。もとめられるんだ。 

 

 もとめられる俺になればいいんだ。 

 

 俺の理想のスペック。いつか本物になる為の理想。 

 

 

 理想? 違う! それじゃたりない! 

 

 もっとだ! もっともっともっともっと! 

 

 俺はなる! 四宮にもとめられる為の最強最高のスペックの俺に----!

 

  *  *  * 

 

 はぁ、挙式の為のお化粧なんて面倒くさいわね。 

 

 どうせ相手は四宮家の長女の婿という肩書が欲しいだけで、綺麗に着飾った私が欲しいわけじゃないのに。 

 

 

 などとどうでもいい事を考えていると、バンッと勢いよく扉が開いた。 

 

「かぐや様!」 

 

「騒々しいわよ早坂。そんなに騒々しくしていたら四宮の人間がどう思われるか」 

 

「そんな事よりお伝えすることが!」 

 

「え?」

 

  *  *  * 

 

 なんで? 

 

 

 なんでなんで? 

 なんでなんでなんでなんで? 

 なんでなんでなんでなんでなんでなんで? 

 

 

 なんで!!? 

 

 なぜ、目の前に----。 

 

 会長! あなたがいるの!? 

 

 

「よ、よお」 

 

 

 久々会うのが照れ臭いのか視線を泳がせながら挨拶をするこの男を見て、私は瞬時に理解する。 

 

 なぜこの男。白銀御行がここにいるのかを。

 

 

 バカ! あなたは本当にバカ!! 

 

 きっとあなたの事だ。 

 

 きっと、ずっと、すっごく、無理をしてそこに立っているはずだ。 

 

 だからこそ思う。 

 

 なぜあなたは、こんな私の為にそこまでして----そこにいてくれるの? 

 

「すまん、挨拶には行こうと思ったんだが……。タイミングが悪かったみたいでな」 

 

 

 ああ……ああ……! 

 

 あなただと知っていれば私は----。 

 

 私は----私は四宮家からあなたを引き離す為に動けたのに。 

 

 バカ! バカ! バカ! 

 

 四宮家の人間になるのがどれだけ大変で人間味が無いか。

 

「って、泣かないでくれよ。悪かったよ。名前を名乗れば良かったんだろうけど、できれば会ってびっくりさせたくてさ」 

 

 震える。 

 

 嬉しいはず、いやすっごく嬉しい。 

 

 でも、それ以上に会長が……白銀御行という人間が四宮に汚染されるのが怖い。 

 

 だめっ! 考えがまとまらない! わけが分からない! 

 

 私の中で私達が討論をする。白銀御行とキスしろ! 結婚は破棄して結婚前提のお付き合いという名の甘々な恋人期間からやり直そう! 会長嬉しい! ヤバい気絶しそう! 誘拐してほしい! 抱いて! 

 

 

 ……なんて酷い考え。 

 

 いいえ、私はなんだかんだ漫画みたいな展開を望んでいたのだろう。 

 

 それが叶ったから私はきっと本当は喜んでいるだけ。 

 

 でも、いざこういう展開になったら怖い。 

 

 会長が会長じゃなくなるのが怖い。 

 

 会長のあの笑顔が四宮家のせいで、徐々にどうなっていくのかが怖い。 

 

 

「四宮。俺と結婚は嫌か?」 

 

 私は会長に出会って初めて口を開く。 

 

 それはか細く……でも怒ったように。 

 

「あなたはバカなんですか?」 

 

「え?」 

 

「会長は本当にバカ! 四宮家がどんな所か知らないんです! ここに入ったら最後。骨の髄まで貪られるだけ! あなたは何もわかってない!」 

 

 今までずっと我慢していた私は感情をそのままぶつける。 

 

「結婚!? バカなんですか!? 嬉しいに決まってます! ずっと夢見てました! でも、会長には……会長だからこそ! 会長には幸せになって貰いたくて! 私は!!」 

 

 

「くっ、あはははははは」 

 

「何を笑ってるんですか!?」 

 

「そうかそうか。四宮は俺の幸せを願ってくれるのか?」 

 

「そうです! さっきからそう言ってるじゃないですか!」

 

「俺は四宮の隣にいる事が幸せだ。ああ、これ以上の幸せはないな」 

 

 時が止まる----。 

 

 え? この人は今何を言ったの? 私の隣が幸せ? この醜い私の隣が? 

 

 

「四宮。俺が初めて生徒会長になった時の事を覚えているか?」 

 

 もちろん、忘れるわけがない。 

 

 

「そうだ。俺には四宮、お前しか味方がいなかった」 

 

 ……生徒総会の大立ち回りのせいで上級生の生徒会メンバーと仲違いしてしまい、いつも私と会長だけが生徒会室に。 

 

「その後、藤原書記、石上会計。2回目の生徒会長では伊井野監査が生徒会に入ってくれたな」 

 

 ……。 

 

 

「俺はどんな過酷な地だろうと、お前がいれば乗り越えられる。お前と一緒にいれば『素晴らしい時間』が作れる」 

 

「っ!」 

 

 

 この人は……この人は……なんてバカな勘違いをしている人なんだろう。 

 

 この人が凄いから……この人が魅力的だから素晴らしい時間になるだけなのに。 

 

 

 私は……私なんて----。 

 

 

「違います。私は違います。あなたがいればあなただけがいれば、『素晴らしい時間』が作れる。私なんて必要ありません」

 

 彼はくくっと笑い。 

 

「そうかそうか。四宮は俺一人で『素晴らしい時間』を作れると思うんだな?」 

 

「そうです。私なんて必要ありません」 

 

 

「しかし、俺は四宮かぐやがいれば『素晴らしい時間』が作れると思っている」 

 

「だからそれは違うと----」 

 

 そこまで答えて私は気づいた。 

 

 ああこれは……このやり取りは高校生時代の----。 

 

 

「ではこれでどうだろう。俺達二人揃えば『素晴らしい時間』が作れる!」 

 

「二人で『素晴らしい未来』を作っていこうではないか」 

 

 

 ああ----。 

 

 なんて酷いお方だろう。 

 

 こんな事を言われたら、私は……当時の私と同じで否定できない。 

 

 ああ、なんて酷いお方。 

 

 本当に凄い人。

 

 

「おい、あまり泣きすぎるなよ。せっかくの衣装が台無しだぞ」 

 

 

 私は最後にもう一回だけ、もう一回だけ。 

 

「私なんかが一緒にいてもいいんですか?」 

 

 呟くように、泣いて枯れた声のように、悲鳴のように、子供が親に謝るように、願いを叶えて欲しいように、好きな人に救ってほしいヒロインのような声で私は彼に問いかけた。 

 

 

 会長は手を差し伸べ。 

 

「さっきから言っている。お前がいいんだ。四宮かぐやじゃないとダメなんだ」 

 

 彼はニッと笑いながら。 

 

「だから俺とずっとずっと一緒にいてくれ」 

 

 

 その言葉を聞いた私は涙を拭った。

 

 

 そして、私は少し乱れたウェディングドレスを整えた。 

 

 そして、私は乱れた髪を少し整え直した。 

 

 そして、私は彼の方を向いた。 

 

 そして、私は彼が差し伸べた手を握った。 

 

 

 そして、私は----。 

 

 

「はい。喜んで」 

 

 彼に最高の笑顔で答えた。

 

 彼は少し照れたようにそっぽを向いて。 

 

「ふぅ、これでようやく四宮の隣に立つことができたな」 

 

「まったく本当に会長というお人は……」 

 

「いや俺は『会長』じゃないぞ。四宮」 

 

「それを言うなら会長も今日から『四宮御行』なんですよ? 私を四宮と呼ばれても困ります」 

 

 

「くくっ」 

 

「ふふっ」 

 

 

 私達は二人で笑いながら、これからの二人で歩んでいくであろう素晴らしい未来を祝福した----! 

 

 

 

 

 

 

 

元スレ

白銀「ずっとずっと一緒にいてくれ」かぐや「はい。喜んで」

https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1553606435/l50