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陽乃「ん……はぁはあ……比企谷くん……」八幡「……」【俺ガイルss/アニメss】

 

奉仕部部室

 

八幡「うーす」

 

八幡(あれ、誰もいない)

 

八幡(バッグがあるのを見ると……飲み物でも買いに行ったか?この前紅茶の茶葉なくなったとか言ってたし)

 

八幡(……ナチュラルに俺は置いてかれるのか……)

 

八幡(別に寂しくないし。一人ぼっちは慣れてるし)

 

八幡(……………………)

 

八幡「はあ……」

 

テクテク

 

八幡(帰ってきたのか……?)

 

八幡(足音が一つだけ?二人で出かけたんじゃなくて、一人ずつ出かけたのか)

 

陽乃「ふんふーん♪」

 

八幡「陽乃さん……か?」

 

八幡(なんであの人が学校に……いやそんなの考えたところで分かるわけもない)

 

八幡(それよりあの人と二人きりなんて絶対に嫌だ、どっかに隠れないと……)

 

八幡(お!あの掃除ロッカーならなんとか入りそうだ!)

 

ガチャ……バタン

 

八幡(ふう……ちょっとキツいな……)

 

八幡(これであの人が帰るまで乗り切らなきゃいけないのか、辛いな)

 

ガラガラ

 

陽乃「ひゃっはろー!……って、あれ?」

 

八幡(それでもあの人の相手するよりはマシか……)

 

陽乃「うーん……皆のバッグがあるってことは仲良くおでかけかな?」

八幡(違います、一人だけ置いていかれました)

 

陽乃「ふーん……」スタスタキョロキョロ

 

八幡(窓の外とか廊下見たりしてどうしたんだ?まるで誰かに見られたり誰かが来るのを警戒してるような……)

 

陽乃「……ふへへ」

 

八幡「…………」ゾクッ

 

八幡(なんだ今の寒気……)

 

八幡(まあでもこの調子ならすぐにでも飽きてくれ──)

 

陽乃「比企谷くんのバッグだー!」クンカクンカ!

 

八幡(………………は?)

 

陽乃「はあはあ……比企谷くんの匂いが残ってる……ふへへへへへへ」ペロペロ

 

八幡(あの人なにしてんの!?なに人のバッグ楽しんじゃってるの!?)

 

陽乃「まさかこんなレア物があるとは……来て良かったー!」

 

八幡(良くねえよ!!!)

 

陽乃「はあ……はあ……」

八幡(なんか呼吸荒くなってないか……?)

 

陽乃「いけないいけない、ちょっと興奮しちゃった」

 

八幡(ちょっと?ちょっとって言ったこの人?)

 

陽乃「……少しくらいならいいよね」

 

八幡(なにする気か知らないけどよくないと思うよ)

 

陽乃「比企谷くん……」

 

陽乃「ん……はぁはあ……比企谷くん……」

八幡「…………」

 

陽乃「気持ち……いい……あんっ」

 

八幡「…………」

 

八幡(ねえ俺明日からもそれ使わなきゃいけないんだけど。卒業までそれ使わなきゃいけないんだけど)

 

陽乃「私のが染み込んだバッグを比企谷くんが……えへへ」

 

八幡(よーし、買い換えてもらおう)

 

陽乃「…………」

 

八幡(急に無言になられると怖いな……)

 

陽乃「このイス、比企谷くんの温度が残ってる……」

 

八幡(なんで分かるんだよ、俺今日一分も座ってないのに)

 

陽乃「よいしょっと」

 

八幡「!?」

 

陽乃「比企谷くん……もっと……」

八幡(もっとなんだよ!もっと気配を消せっていうのか!消してるよ!)

 

陽乃「…………」

 

八幡(静かになった……まさかバレた!?)

 

陽乃「…………」ガサゴソ

 

八幡(堂々と人のバッグ漁らないでくれません?別にやましい物は入れてないけども)

 

陽乃「筆箱……」

八幡(そんな感慨深く呟くほど変ですかね。百均で買った布地のやつなんですが)

 

陽乃「これだとふにゃふにゃだから……」ガサゴソ

 

八幡(人の物躊躇なく開けてくなあの人……)

 

陽乃「シャーペン……これなら……」

 

八幡(これならなんだ。シャーペンなら一体……おい待て)

 

陽乃「……よし」

 

八幡(よしじゃねえ!あんた何するつもりなんだ!)

 

陽乃「こ、これ……しゅごい……!」

 

八幡(…………)

 

八幡(ダメだこの人……なんとかしないと)

 

カタッ

 

八幡「あっ……」

 

八幡(焦りすぎて掃除用具にぶつかっちまった!)

 

八幡(き、気づかれてないよな……?)

陽乃「……誰かいるの?」

 

八幡(ですよね!そりゃ気づかれますよね!)

 

八幡(一歩、また一歩と足音が近づいてくる)

八幡(自分の心臓の音が聞こえる。それは足音が近くなるたびに大きくなっていく)

 

八幡(ついに彼女がロッカーの前に来てしまった)

 

八幡(中をのぞき込む彼女の視線と俺の視線は交差しない。きっと中が暗くて俺が見えていないのだろう)

 

八幡(ガチャ、とロッカーが少しだけ開けられる)

 

八幡(また閉めてくれないか、ちょうど誰か来てくれないか)

 

八幡(そんなご都合主義が起こるはずもなく)

 

八幡(彼女はロッカーを開け放ち──)

 

八幡「ここからのことは俺と陽乃さんのために言うことはできない。想像で補完して欲しい」

 

八幡「ただ一つ言えるのは」

 

八幡「陽乃さんも女の子だった、ということだけだ」

 

 

 

 

元スレ

http://ss.vip2ch.com/jmp/1408175946