水希「よし、準備もOK。あとは想いを乗せた私の唇を…たっぷりと受け取って。お兄ちゃん…」【ぼく勉ss/アニメss】
--朝・唯我家、玄関前
花枝「それじゃあ先に行くから。成幸のこと頼むわね」
双子「水希姉ちゃん行ってきまーす」
水希「うん、行ってらっしゃい。心配しないでお母さん。お兄ちゃんのことは全て私に任せてくれれば。ふふ、ふふふ…」
花枝「一番心配なのはあんたの将来なんだけどね……まあいいわ。じゃあよろしく」ガラガラ- ピシャン
水希(ええお母さん。私の将来のためにも、必ずやお兄ちゃんを救ってみせるわ!)スタスタ…
--居間
成幸「zzzz…」
水希(また今日も机で寝ちゃってる…成績が伸びなかった中学時代もこういうことはあったけど…)チラッ
水希(ノートの束に多くの参考書…今のお兄ちゃんならここまでする必要はない。理由はわからないけど、それもこれもあの人【古橋さん緒方さん】たちに勉強を教えているから…)プルプル…
水希(やっぱり顔なの!? それともあの極悪なサイズのアレなの!? お兄ちゃんが巨乳派なのは何となくわかってるけど、それなら私にだってまだまだ十分な余地が--)ハッ!?
水希(……危ない危ない。今の私はSAKUSHI。そんな事を考えている場合じゃなかったわ。ここは素数を数えて落ち着かないと)2,3,5,7,11,13…
水希「…よし落ち着いた。というわけで、かねてからの計画をいよいよ実行するときが来たわね」サッ
水希「こっそり拝借したお母さんのリップ。これを唇に塗って…」ヌリヌリ…
水希(そう--私は気付いたの。古橋さんも緒方さんも、決して押しの強い性格じゃない。そしてそれが私との決定的な差!)キュピーン!
水希(リップを塗った唇でお兄ちゃんにキスマークを付ける。首裏辺りなら鈍感なお兄ちゃんは気付かないだろうから、それをあの二人が目撃すれば…?)
文乃『うぺえっ!? な、成幸くん…それって…まさか…?』プルプル…
理珠『な、なな成幸さん…』プルプル…
成幸『…? どうした? 二人とも』
文乃『な、何でもないの! あーっといっけない! 私そろそろアレがアレする時間だからっ!!』ダダッ-!
理珠『酷いです。成幸さん不潔ですっ!!!』ダダッー!
成幸『ふ、古橋! 緒方ーー!!!(風呂ならちゃんと毎日入ってるんですけどーー!?)』ガーン!
水希「ふ、ふふ…完璧。完璧だわ」
水希「よし、リップの準備もOK。あとは想いを乗せた私の唇を…たっぷりと受け取って。お兄ちゃん…」ググ…
水希「………」プルプル…
水希「…ッはあ! はあ…だ、だめ。いざとなると緊張しちゃう。仕方ないわ。こうなったら直接お兄ちゃんの首裏に!」スッ
ヌリヌリ…
水希(うん、それらしくなった。これならお兄ちゃんが鏡を見てもバレないうえに、他の人からは目立ちやすい)
水希「これで準備は万端。あとはお兄ちゃんを起こすだけね」ニコッ
成幸「んん…」
水希「おはようお兄ちゃん。早く起きないと遅れちゃうよ」ニコッ
成幸「悪い。寝坊しちまったんだな…母さんたちは?」
水希「今日は早く家を出ないといけなかったから、もう出発しちゃったよ。じゃあ私もそろそろ学校に行くから、お兄ちゃんも遅れないようにね」
成幸「ああ、ありがとう。水希」
水希(計画通り)ニヤッ
--洗面所
ジャー…バシャバシャ…
キュッ
成幸「ふう。さっぱりした…けど、今日は寝癖がしつこいな(机で寝てたせいか?)」
成幸(仕方ない。一度全部頭を流してしまうか。水道代がかさんでしまうけど)ジャー…
成幸「うん。今度は大丈夫だな。そういや洗ってる途中で赤い塗料みたいなものが流れていったけど…?」
--ねーねー兄ちゃん、ここでお絵かきしてていい?
成幸「……大方寝ている時にあいつらに落書きでもされたんだな。危ない危ない」ホッ…
成幸「さて、無事に準備も済んだし、そろそろ出掛けるか」クルッ
成幸「それじゃ、今日も頑張ってくるよ。親父…行ってきます」ニッ
--昼休み・一ノ瀬学園・3-B教室
大森「あー暑い。秋なのに今日はえらく気温が高くねぇ?」パタパタ
小林「大気の影響で今日は夏日に戻るらしいからね。だから今日は夏服」ニコッ
成幸「小林が正解だよなあ。さすがにこんな暑さじゃブレザーなんざ着てられん……ん?」パタパタ
--ワイワイガヤガヤ
「これとかどう?」
「いいけど、ちょっと派手過ぎない?」
「大丈夫っしょ。お祭りなんだし」
大森「隅っこの方でなんか盛り上がってんなあ。おーい! そこで何やってんの?」
うるか「おーっす大森っち。成幸にこばやんも」タタッ
成幸「なんだ。うるか達だったのか。何やってんだ?」
うるか「今度水泳部の皆で街のハロウィンパーティーに行くことになってさあ。そのときに付けていくタトゥーを選んでるんだ」
成幸「タトゥーって…入れ墨のことだろ? そんなことして大丈夫なのか?」
うるか「あはは、違うって。あたし達の選んでるのはシールだよ。シール」
成幸「シール?」
うるか「そうそう。例えばこんなのとかさ」サッ
成幸「うん? キスマークか? それ」
うるか「そうそう。ものは試しにやってみよーか。ちょっと腕借りるね。成幸」ヒョイッ
成幸「お、おい!」///
うるか「ん。こうやって…と。はい完成。どうかな?」
成幸「うわすげえな。本物そっくりだ」
うるか「でしょー♪ 種類も色々あるからねー。どれを選ぼうか絶賛悩み中ってわけ」
成幸「なるほどな。で、これを消すにはどうしたらいいんだ?」
うるか「え? あ……」タラーッ
成幸「……おい」
うるか「えーっと、その……結構強力なやつだから、すぐには消えないかも」テヘペロ
成幸「お、ま、え、は~!」
うるか「いだだだだ! 成幸ギブギブギブ!」ヒャーッ♪
小林「本当に仲いいよねえ。あの二人は」ニッ
大森「ちくしょー! 俺も武元さんとあんなスキンシップしてみたいぞーーー!」シクシク
--放課後・図書室
成幸「--てなことがあってな…」
理珠「成程。いかにもうるかさんらしい適当さですね」
文乃「あはは。でもそれ、本当によくできてるよね。誰かに付けられたみたい」
成幸「そうやって既に散々いじられたから勘弁してくれ。おまけに当の本人は部活だし……」ズーン
理珠「まあ、うるかさんのやることなので、事故にでも遭ったと思うしかないですね。そろそろ切り替えて勉強を始めませんか?」ガサゴソ
成幸「そうだな…って、何やってんだ? 緒方」
理珠「ええ。赤マーカーのインクが切れてしまいましたので、ここで交換をと」
成幸「へえ。マーカーなんてインクが切れたら使い捨てだと思ってたな。ちょっと見てみてもいいか?」ヒョイッ
理珠「あ、成幸さん! そこを握っては!」
成幸「え? うわっ」ピュッ パシャッ
理珠「…インクが飛び出てしまうので気をつけて下さいと」
成幸「すまん…一歩遅かった」ズーン…
文乃「シャツに掛かっちゃったね…しかもこれ…」
成幸「キスマークだな…どこから見ても…」
文乃「……」
成幸「……」
文乃「も、モテモテだね。成幸くん」アハハッ…
成幸「過程が全然嬉しくないんだが…」ズーン
理珠「とりあえず水洗いをした方が良いのでは?」
成幸「いや、水洗いだとかえってシミになるしな。このまま家に帰って水希に頼んでみるよ」
--30分後
カリカリカリカリ
カリカリカリ
カリカリ…カリ…
文乃「……はっ!?」
成幸「どうしたんだ? 古橋」
文乃「え? あ、ううん。何でもないよ」アハハ…
文乃(ううっ…昨日は夜遅くまで頑張ったから、数式が私を眠りにいざなってきちゃう。でもここで寝るわけにはいかない………いかな……いか…)
--キラキラキラキラ
文乃「ん? ここ…は?」
「ようこそいらっしゃいました。古橋文乃さん」
文乃「あ、あなたは!?」
「私は神です。主に食と乳を司っています」
文乃「食と…父?」ホエ?
「そのちちではありません。胸です胸。バスト、二つの双丘」
文乃「なるほど、平原は対象外と?」ピキッ
「いえ、神は常に平等です。平原はおろか水平線でもクレーターでも。とにかく突起さえ付いていればそれは乳なのです」
文乃「突起って…(///)いやそうかもしれませんけど(ていうかクレーター? 一体どんな…)」ゴクリ
「まあ意義について語り合うのはまた今度にいたしましょうか。さて、古橋文乃さん」
文乃「は、はい」
「あなたの飽くなき食への追求と巨乳への渇望に、私はいたく感心しました。よって、あなたの望みを叶えるべくこの地に連れてきたのです」
文乃「ほ、本当ですか?」
「ええもちろん。これまで本当によく耐えてきましたね。まな板、つるぺた、胸部装甲、大陸棚、ニューホライズン、永遠のゼロ、Dr.ストーン、地球の重力に逆らいし者。数々の蔑称はさぞやあなたの心を苦しめたことでしょう」ヨヨヨ…
文乃「ほとんどが今はじめて浴びせられた言葉なんですが…」
「それも今日で終わりを告げるのです!」バッ!
文乃「スルーしやがった。だよ」
「さあ古橋文乃さん。そこにBからJまでのアルファベットを付けたお饅頭を用意しました」
文乃「わ、いつの間に」
「想像の通り、食べたお饅頭がそのままあなたのバストサイズへと変わるのですが…果たしてどれを選びますか?」
文乃「じゃ、じゃあG…いえ、Jです! Jを選ばずして何を選べと!?」キリッ!
「流石は古橋さん。まさに渇望の女王と呼ぶに相応しい選択です。しかしよろしいのですか? 副作用として酷い肩凝りや、イミテーション(パッド)疑惑があなたを待ち受けているのですよ。ここは現実的にC~E辺りで手を打ってみては?」
文乃「いえ…私の周りは既にGまでが日常の一部と化しています。それでは私は戦えません。JはジャンプのJ。今の私には、大いなる飛躍が必要なんです!」キリッ!
「そうですか…あなたの覚悟、しかと承りました。ではこれを授けましょう。あなたに希望の未来があらんことを」
文乃「ありがとうございます神さま、いえ…乳神さま! このご恩は一生忘れません!」ウルウル
乳神「ええ……それでは」ニコッ
スゥーッ…
文乃「……行っちゃった。あとはこれを食べるだけ。長い道のりだったけど、これでようやく一緒にブラを買いに行けるよ。りっちゃん、うるかちゃん!」
文乃「いただきまーす!」パクッ!
--痛あっ!
文乃「へっ?」パチッ
文乃「ほ、本当にごめんね成幸くん…」ハワワワ…
成幸「い、いや大丈夫だよ古橋。幸い耳たぶだし、噛まれたといっても一瞬だったからさ。それにもう痛みは引いてきてるし」ハハ…
理珠「とはいえ歯形がしっかり残ってますね。少し血も滲んでますし、絆創膏などで隠してみては?」
文乃「そ、そうだね…成幸くん、動かないでね」ピトッ-
成幸「あ、ああ…悪いな」///
理珠「それにしてもいきなり成幸さんに噛みついたのでびっくりしました。一体どんな夢を見たというのですか? 文乃」
文乃「………」
成幸「古橋?」
文乃「……うん。とっても良い夢だったよ。だけど…その分だけ起きたときの現実は辛くなるの。だからさあ、聞かないでくれると嬉しいなあ。りっちゃん…」ウルウル
成幸(一体どんな夢を見たんだ…)タラーッ
--数時間後、メイドカフェ・ハイステージ
あすみ「悪いな後輩。急に呼び出しちまって」
成幸「いえ、大丈夫です。それにしても今日はかなり混雑してますね」
あすみ「ああ。イベント期間中なうえにウェイターが一人病気でダウンしちまったからな。マジで助かったよ。悪いが予備の服も無いんでエプロンだけ付けたら早速入ってくれ」
成幸「わかりました。ならもうOKです。運ぶのはこのオムライスでいいですか?」ヒョイッ
あすみ「ああ、15番テーブルまで運んでくれ。ケチャップはアタシが向こうでかけるから」スタスタ…
成幸「わかりました」スタスタ…
あすみ「お待たせしました~。あなたのピクシーメイドあしゅみぃがお料理をお届けにあがりました~♪」キラキラ-
客1「待ってました。あしゅみーちゃん!」パチパチ
客2「んほぉ~今日もよろしく頼むね」
あすみ「はい! 精一杯ご奉仕させていただきましゅみ~♪ それでご主人様。本日はオムライスにどんなメッセージをご希望されましゅみ?」
客1「あ、じゃあ俺は名前で」
客2「僕はハートマークをお願い」
あすみ「了解でしゅみ♪ じゃあ早速……っ!?」ピタッ
客1「どうしたの? あしゅみーちゃん」
あすみ「ご、ご主人様…そ、そのTシャツは…?」
客1「あ、気付いてくれた? この間こいつと例のあのランドに行ってきたんだよねー。そこで買ったTシャツなんだけどほらほら、かわいいでしょ」
あすみ「ひっ!?(げっ歯類!)」バッ!!!
成幸「え? わっ!」ドンッ!!
ドガシャーン!
客2「う、うわ? だ、大丈夫? あしゅみーちゃん」
あすみ「……だ、大丈夫でしゅみー。ちょっと足を滑らせちゃって。こんな粗相をしてしまった私を叱ってもらえますか? ご主人様」ウルウル
客1「も、もう仕方ないなー、あしゅみいは…」
客2「こ、今度から気をつけるんだよ」
あすみ「はい! ありがとうございますご主人様。次はちゃんとできるよう頑張りましゅみ~♪」ニパッ
客1・2「んほぉ~! あしゅみいちゃん最高ぉぉッ!!」
成幸「……」ホッ…
--控え室
あすみ「すまん後輩! 大丈夫だったか?」
成幸「あ、はい。何ともないです。先輩の方こそ大丈夫でしたか?」
あすみ「ああ、後輩が受け止めてくれたおかげだよ…っておいおい!? 袖にケチャップ付いてんじゃねーか」
成幸「あ、本当だ。いやでもこれくらいなら家で染み抜きすれば大丈夫ですから。気にせんで下さい。今は時間も無いですし」
マチコ「あしゅみー! お呼びだよー!」
あすみ「ちっ、アタシが洗いたかったけど、そんな暇も無さそうだな。すまん後輩、もし取れなかった時はクリーニング代払うから。またアタシに言ってくれよな」
成幸「わかりました。ありがとうございます」
あすみ「しっかしそのケチャップ跡、まるでキスマークみたいな形してんのな」
成幸「あ、やっぱりそう見えますよね…」ズーン
あすみ「まあな。よく見たら服にも手首にも付いてるじゃねーか。もしかして耳たぶの絆創膏もソレ系か? 全くモテる男は辛いな後輩」ニヤニヤ
成幸「う、その…言っときますけど、決して先輩が思ってるような経緯で付いたものじゃないですからね」ジロッ
あすみ「どうだか。お前なら全部本物って言われてもおかしくないと思うけどな」
成幸「何言ってるんですか。そんなことあるわけないでしょう?」
あすみ「なんなら一つくらい本物作ってやろうか? アタシなら一向に構わないぞ?」クイクイッ
成幸「あーもう! 時間ないんですよね!? 仕事に戻りますよ先輩!」///
あすみ「ひっひっひ。やっぱカワイーな。後輩は」ニコッ
--数時間後・帰宅途中
成幸「ふう…疲れた」
成幸(結局あれから休む暇なく動いてたなあ。制服のシャツも洗わないといけないし、今日はさっさと--)スタスタ…
真冬「………」チョコン
成幸(……うん、何となく予想はしてた。予想はしてたけど)ハア…
成幸(先生…またトラブルに巻き込まれて…? いや、でもたまには先生自身の力で解決してもらわないと。ここは心を鬼にして)スタスタ
真冬「ぁ……」
成幸(見ないフリ、見ないフリ、見ない……)チラッ
真冬「………っ」グスッ…
成幸「~~~っ!」
成幸「…で、今日は何があったんですか? またゴキブリとか」ハア…
真冬「き、禁句。その忌まわしい言葉を口にしないで! …でもその通りよ唯我君。あの虫と地下で遭遇してしまったの」
成幸「ん? 地下」
--説明後
成幸「……つまり、明日はゴミの日だから今日中に地下のゴミ置き場に捨てに行ったんですよね。だけど途中にゴ…がいたから慌ててゴミを置いて逃げ帰ってしまったと」
真冬「その通りよ唯我君。結構な量だったから、そのまま放置していては近所の人に迷惑がかかってしまうわ」
成幸「それにしたってずっとマンションの前で待ち続けているとか…今日だってたまたま俺が通りかかったから良かったですけど」ハア…
真冬「ほ、他に方法が思いつかなかったのよ。それに…あそこに座っていれば唯我君に会えるような気がしたから…」ボソッ…
成幸「え…?」ドキッ
真冬「っ!」ハッ!?
真冬「も、勿論! できれば助けてもらえたらと思っていただけよ。他意は無いわッ!」///
成幸「そ、そうですよねッ! 勿論心得ておりますっ!!」///
真冬「コホン…そういうわけで、一緒に地下へ来てほしいのだけれど…お願いできるかしら? 唯我君」
成幸「ええ、わかりました」
--下り階段・踊り場
成幸「(そういやこの時間に来るのは初めてだな…)結構暗いんですね」
真冬「電灯。階段を降りた先の通路に明かりのスイッチがあるわ」
成幸「じゃあまずはそれですね。それと先生、そんなに袖を引っ張られると歩きにくいんですが…」チラッ
真冬「ご、ごめんなさい。アレがどこから出て来るのかわからないから、つい…」ギュッ
成幸「(参ったな…)わかりました。じゃあせめて袖じゃなくて俺の手を握っててもらえますか?」
真冬「え?」
成幸「こっちの方がまだ動きやすいですから。退治するなら片手で事足りますし」ヒラヒラ
真冬「唯我君…」
成幸「そういうわけなんで。さっさと行って終わらせてしまいましょう」スッ…
真冬「え、ええ…」スッ…
ギュッ-
--地下
…カチッ
パッ、パッ、パッ-
真冬「完了。電気がついたわ」
成幸「見たところ異常は無さそうですね。先生が持ち込んだゴミはどこですか?」
真冬「もう少し奥の方ね。確かそこの角を曲がった辺りだったと思うけど…」
成幸「わかりました。じゃ行きましょうか」キュッ-
真冬「ええ」
成幸「……」スタスタ…
真冬「……」スタスタ…
真冬(…………唯我君の手、大きくて暖かい。普段はあんな様子でも、やっぱり男の子なのね…)
真冬(……不思議。さっきはあれだけ震えていたのに、今は心が落ち着いている。そういえば…以前銭湯に行った時も--)
--何かしら…この包まれるようなほっとする感覚…心地いい……
真冬「……」トクン…
成幸-「…先生?」
真冬「ひゃっ!? な、何かしら? 唯我君」ビクッ!
成幸「着きましたよ。このゴミ袋の束ですよね?」
真冬「え、ええ。間違いないわ…」ドキドキ…
成幸「結構ゴミ置き場に近かったんですね。これなら早く終わりそ--」ヒョイッ
ゴキブリ「……」コンニチハー
成幸「あ」
真冬「~~~~っ!?」ギュウウッ!!!
成幸「いだだだ先生強い強い! 背骨! 背骨折れちゃうって、あっ!?」グラッ
真冬「きゃっ!」
ドガシャーン!! --CHUッ
成幸「!?(いま首の裏に柔らかい感触が!?)」
真冬「ご、ごめんなさい…怪我はない? 唯我君っ」ムクッ
成幸「え? は、はいっ…! そ、それよりゴキブリは?」キョロキョロ
ゴキブリ「……」ココダヨー
真冬「ひっ!」ゾワワッ!!
成幸「(まずいっ! 雑誌を手放したうえに下敷きになったこの体勢じゃ!)手! 手を離して逃げて下さい! 先生!」
真冬「手…?」ハッ!?
ゴキブリ「--♪」カサカサカサー
真冬「…っ!」ギュッ…
真冬「拒否…そのまま握っていて。唯我君っ」ヒョイッ
成幸「(それ、俺の持ってた雑誌!?)先生ッ!?」
真冬「え、えいっ!!!」ブンッ!
ゴキブリ「グフゥッ!!」キュウ…
シーン……
成幸「……あ」
真冬「……や」
ギュッ!
真冬「や、やったわ唯我君! 初めてあの虫を退治できたわ!」パアアア
成幸「す、すごいです! やりましたね、先生!」パアアア
成幸・真冬「…っ!?」ハッ!?
真冬「ま、まあ…あまり浮かれるようなことでも無いのだけれど…」パッ!
成幸「(お、思わず両手で握り合ってしまってた)そ、そうですね!」パッ!
真冬「………」ドキドキ… ///
成幸「………」ドキドキ… ///
真冬「……か、解決。元凶も退治したことだし、そろそろ作業を再開しましょう」プイッ
成幸「は、はい…」
ゴソゴソ…
成幸「よいしょっと……ゴミ袋集め終わりましたよ、先生」
真冬「ええ、いまゴミ置き場の扉を開くわ。……あとその、唯我君」
成幸「はい」
真冬「謝辞。こんなこと頼めるの君しかいなかったから、その…いつもありがとう」///
成幸「いえ、いつも先生にはお世話になってますから」ニッ
真冬「ええ。それじゃ開けるわね」ガチャ
ゴキブリ「……」カサカサカサカサ
成幸「………」タラーッ
真冬「………っ」グラッ
バターン!
成幸「し、失神!? しっかりして下さい先生! 桐須先生ーーー!!!」ガビーン!!
--数十分後・唯我家
成幸「ただいまー」ガラガラー ピシャッ
葉月「あ、兄ちゃん帰ってきた」
和樹「兄ちゃんおかえりー」
成幸「おー、ただいま」
水希「お帰りなさいお兄ちゃん♪ 今日は学校どうだった?」ニコニコ
成幸「ああ、まあいつも通りだったかな。とはいえ今日はやけにトラブル続きだったけど」ハア…
水希「そっかあ。大変だったねお兄ちゃん(よし!)」キュピーン
成幸「ああ…で、そのことで水希に頼みがあるんだが」
水希「何なに? 何でも言ってお兄ちゃん! そ、その…お、お兄ちゃんが望むのだったら私の方はいつでも--」
成幸「サンキュー。いや実はさっき言ったトラブルで制服のシャツがあちこち汚れちゃってな。悪いけど染み抜きしてほしいんだ」
水希「(なーんだ…)うんわかった。早速洗ってくるから、まずはブレザーを脱がないと」
成幸「お、おい…自分でやるって」
水希「いーのいーの。お兄ちゃん疲れてるんだから私に任せ……て…?」
成幸「……水希?」
水希「おおおおお兄ちゃん……そ、そのシャツに付いてるのって……もしかしてキ、キキキキスマーク?」
成幸「へ…? あ! いやこれは違うぞ! 近くでよく見てみろって」グイッ
水希「て、手首にまで!? そ、それに…その耳たぶに張られた絆創膏も…もしや…?」
成幸「あ、いやこれはその…」
水希「(ま、まさか消えてたの? 私の付けたマークが!)お、お兄ちゃん、ちょっとだけ後ろ向いてみて!」
成幸「ん? あ、ああ…」クルッ
水希「ブッフォ!!!」バターン
葉月・和樹「うわああっ? 水希姉ちゃんが倒れたー!?」
成幸「ど、どうしたんだ水希!? しっかりしろー!!!」
水希(ふ、ふふ…。私の付けたキスマークを消すどころか上書きするなんて…やるわね。緒方さん、古橋さん、そして…まだ見ぬ嫁候補たち。だけど、次こそ…は……)ガクッ
成幸「み、水希ーー!!!」ガーン!
幕間
--水希が倒れた同時刻・真冬の部屋
真冬「ふう…久々に部屋がすっきりしたわね。けど…」
真冬(疑惑。あの虫に驚いていたからよく覚えていないけど…唯我君の上に倒れこんだ時に、唇に触れたのって…)スッ…
真冬「………」トクン…
真冬「……っ!」ブンブンッ
真冬「さ、些事! こんなこと気にしていてもしょうが無いわね」///
幕間2
--深夜
--キラキラキラ
乳神「またお会いしましたね。古橋さん」ニコッ
文乃「おととい来やがれ! だよ!!!」
終
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