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一花「とりあえず……する?」 風太郎「ナニをするつもりだ!?」【五等分の花嫁ss/アニメss】

 

一花「ビーマイベイベー♪ビーマイベイベー♪アッフゥフン!」 

 

風太郎「なにやってるんだ、お前」 

 

一花「うわっ、びっくりした!? もう、おどかさないでよ! いるならいるって言ってくれればいいのに」 

 

風太郎「別におどかすつもりはなかったんだが……」 

 

一花「うわーメチャクチャ恥ずかしい。他の人、いたりしないよね?」 

 

風太郎「幸いにも俺一人だから心配するな。つうか、ホントにどうした? まさかとは思うが、仕事と勉強からくる疲れが蓄積してついに心が壊れてしまったのか?」 

 

一花「あはは、違う違う。今度出演するCMの練習してただけだよ」 

 

風太郎「CM? へえ、どんなCMなんだ?」 

 

一花「結構がっつり聞いてくるね、フータロー君……一応まだ公には出せないやつだから、絶対秘密にしてくれるって言うなら、特別に教えてあげてもいいよ」 

 

風太郎「そうか。じゃあ無理に聞く必要もないな」 

 

一花「ちょっ! そこは押してでも聞くところじゃない!?」 

 

風太郎「いや、そこまで興味ない」 

 

一花「相変わらずデリカシーがないっていうか、乙女心のなんたるかがわかってませんなー」 

 

風太郎「悪かったな、デリカシーのない男で。そんなことより、さっさと勉強始めるぞ。今は少しでも時間が惜しい」 

 

一花「ああもう、わかったってば! 教えるから! タダで教えるからもうちょっと食いついてよ! コミュニケーションとろうよ!」 

 

風太郎「しょうがねえな。そこまで言うなら聞いてやらないでもない」 

 

一花「いいようにもてあそばれてる気がするなー。ま、いいか…実は今度、シャンプーの新作が出るんだけど、そのCMに出演することが決まってさ。結構大きな仕事だからきちんと練習しておこうかと思って、歌いながらステップしてたわけ」 

 

風太郎「シャンプーのCMで歌とステップ? イロモノ系…とかじゃないよな」 

 

一花「変なのではないよ。最近では珍しいタイプだとは思うけど。『いち髪』って名前のシャンプーだから、私の名前とかけてるのかも」 

 

風太郎「ああ、一花だけに……」 

 

一花「ちょっとオヤジギャグっぽいよね」 

 

風太郎「まあな。で、CMの内容は?」 

 

一花「ふふっ、気になってきた?」 

 

 

風太郎「……少し」 

 

一花「素直なフータロー君に免じて、教えてあげましょう。BE MY BABYの曲に合わせて私がノリノリでステップ踏んで踊ります! それだけ!」 

 

風太郎「それだけ!?」 

 

一花「うん。それだけ」 

 

風太郎「はあ…期待した分、なんかすげえ損した気分だ」 

 

一花「ひど!? セリフが少ない分、演技力もかなり試されるんだよ!」 

 

風太郎「……まあ、言われてみればそうだな。ものの数十秒にかかってる金額だってバカにできないだろうし、適当なものを企業側が許すはずもないか」 

 

一花「そうそう! こういう演技力が試される仕事って、結構燃えてくるんだよね」 

 

風太郎「お前にはうってつけの仕事ってわけだな」 

 

一花「それ、褒めてるのか貶してるのかビミョーにわかりにくいんだけど」 

 

風太郎「まさか。褒めてるさ、それも掛け値なしで」 

 

一花「っ!? えっ、ホント!?」 

 

風太郎「ああ。俺には演技のなんたるかなんてこれぽっちもわからないが、どういう女優が人から求められるのかぐらいは想像がつく」 

 

一花「ほうほう」 

 

風太郎「容姿やキャラクターは当然重要だろうが、なによりもまず──上手な嘘がつける女優は食いっぱぐれることはない……違うか?」 

 

一花「間違ってはない、と思う。もちろん例外はあるだろうけど……それにしても…へえ、フータロー君も演技に関して思うところがあるんだ。それって、私が演技の世界に入ったから?」 

 

風太郎「……まあ、多少は影響あるだろ」 

 

一花「あらー、照れてる? 顔真っ赤だよ、フータロー君」 

 

風太郎「うるせえ。人をおちょくってる暇があるなら、練習の一つでもしろよ」 

 

一花「はーい! じゃあ、まずは先生のお手本を見せてほしいでーす!」 

 

風太郎「誰が先生だ! いつ俺がお前の教師になった──いや、教師ではあるか」 

 

一花「ふふふふふっ。照れ屋さんな先生もかわいいですなあ」 

 

風太郎「くそっ…! ほらっ、台本寄こせ! 一回だけ付き合ってやるから、それが終わったら勉強に移るからな」 

 

カチッ(ボイスレコーダーのスイッチを入れる音) 

 

一花「わかってるよ。もしかすると、フータロー君の演技を見るのはこれが初めてかも……最初の演技だからとか気にしないで、自分の気持ちを嘘偽りなく真っ直ぐぶつけて」 

 

風太郎「ああ。本気のやつ見せてやるから覚悟しとけ」 

 

 

一花「……うん。どんなの見せてくれるか楽しみだよ」(愉悦) 

 

 

 

 

風太郎「もう離さない~、君が~全てさ~、ビーマイベイベー、ビーマイベイベー」 

 

 

(デッデッデッデッデッ) 

 

 

カチッ(テープを止める音) 

 

風太郎「ん? 今なんか変な音がしなかったか?」 

 

一花「君がそこまで言うなら仕方ないよね。私はもちろんオッケーだから…それじゃ、これから末永くよろしくお願いします」 

 

風太郎「……はあ? お前一体なに言って──」 

 

一花「はい。これなーんだ?」 

 

風太郎「ボイスレコーダー」 

 

一花「今、フータロー君はなんて言ってたっけ?」 

 

風太郎「ビーマイベイベー」 

 

一花「だよね。だから、私はオッケーしたんだよ」 

 

風太郎「すまん。ちょっと意味がわからない」 

 

一花「ええー、フータロー君って頭良いんじゃなかったっけ? これぐらいの英語はすぐ理解してくれないと困るよ」 

 

風太郎「違う! 俺が言いたいのはそういうことでは──」 

 

一花「違わないよ」 

 

風太郎「……っ!!??」 

 

一花「フータロー君は『俺の彼女になってくれ』って言ったでしょ。だから私はイエスと答えた。そこにおかしなところはないよ」 

 

風太郎「いや、今のは演技指導の一環として言っただけであって、本気で告白したわけじゃない!」 

 

一花「はい」カチッ 

 

 

『自分の気持ちを嘘偽りなく真っ直ぐぶつけて』 

 

『ああ。本気のやつ見せてやるから覚悟しとけ』 

 

『……うん。どんなの見せてくれるか楽しみだよ』 

 

『もう離さない~、君が~全てさ~、ビーマイベイベー、ビーマイベイベー』 

 

 

風太郎「」 

 

一花「最高の、告白だったよ」(うっとり顔) 

 

風太郎「いやそれはおかしい」 

 

一花「おかしい? 証拠はここ。言質はとったし、あとは実際にカップルらしいことするだけなんだけど……とりあえず──する?」 

 

風太郎「ナニをするつもりなのかは知らないが、俺は絶対認めないぞ!」 

 

一花「ナニってそれは──女の子にそういうこと言わせようとするのは、お姉さんちょっと大人げないと思うな……もしかしてそういうプレイ好き?」 

 

風太郎「黙れ。いいからレコーダーをこっちに寄こせ」 

 

一花「うわお、こわーい。でもダメだぞ。フータロー君は今まで思わせぶりなこと言って、私のことずっと困らせてきたんだから。これはその仕返し…みんなに優しくする癖に、誰かの一番になることもなくフラフラしてたら、恨まれたりもするでしょ。私はね、フータロー君のそういうとこがずっと大好きで、ずっと憎かった。どうしてこの人は私のモノにならないんだろう──これだけアピールしてるのに、なんで振り向いてくれないんだろう。そんなことを四六時中考えてた。仕事のときも、学校のときも、勉強のときも、姉妹みんなで過ごしているときも、ずっとずっとずっとずっと、君のことを考えてた」 

 

 

風太郎「」 

 

 

一花「君の特別になりたい。君の一番になりたい。どうすれば君の心を掴めるんだろうって考えて…考えて考えて考えた末の結論が、これ。君が異性との色恋に関して受け身だって気がついてからは、早かったよ。いわゆる既成事実ってやつだけど、引っ付いてしまえば君はきっと離れない。離れられない。責任感が人一倍強いから、誰かと結ばれてしまえば最後、籠の中の鳥みたいに静かで大人しくしてくれる。君を求める女はいっぱいいるだろうし、そちらに目移りしちゃうときもあると思う。でも、罪悪感が枷になって行動には移せない。誰かを裏切る悪い自分を、君はきっと許すことができない」 

 

 

風太郎「お、お前……」(驚愕) 

 

一花「だから、無理やりにでも引っ付いた方が早いって気づいたんだ。これからは君の髪も、肌も、瞳も、爪も、唇も、全部全部全部全部、私のモノ。もう離さない。誰にも渡さない。絶対に五等分になんかしない」 

 

風太郎「ヒッ…ヒィィェェァァ…」 

 

一花「ある人がね、私にこう言ってくれたんだ。『我慢せずにしたいことしてほしい』ってさ。あのとき、自分を縛る鎖から解放された気がした──私は私のままでいいんだって、そう思えた」 

 

風太郎「あ、開かない──なんで、入るときは鍵開けたままにしていたのに──誰か! 誰か助けてくれ! 誰かー!!」ガンガンッ!! 

 

 

 

一花「これからはずっと一緒だよ、フータロー君」 

 

 

風太郎「ぎゃあああああああぁぁぁぁ!!!!」 

 

 

 

 

〈数年後〉 

 

 

一花「そうやって、ママはパパと結ばれたんだよ」 

 

??「へえ、すごーい。じゃあ私もパパに同じことするー」 

 

一花「ダーメ。パパはママのものだから、するなら他の人にしなさい」 

 

??「ええー!? けちー」 

 

 

風太郎「血は争えないな…」ブルブルブルッ 

 

 

 

 

 

 

元スレ

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