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五月「本当に鈍い人ですね……」 風太郎「……何か言ったか?」【五等分の花嫁ss/アニメss】

 

風太郎「らいは、帰ったぞー」 

 

風太郎「って、えっ」 

 

五月「……お帰りなさい」 

 

風太郎「……どうしてここにいる」 

 

らいは「わたしが呼んだんだよ」 

 

風太郎「らいは、どうして?」 

 

らいは「今日五月さんとお泊り会するの」 

 

風太郎「は?」 

 

らいは「今日お父さんいないし、お兄ちゃんと二人だけだと寂しかったの」 

 

らいは「……ダメ?」 

 

風太郎「………………いや、しかし」 

 

風太郎「おい五月。お前はいいのかよ」 

 

風太郎「というか断れよ」 

 

五月「断れるわけないじゃないですかっ」 

 

らいは『五月さんとまたお泊りしたいの…………ダメ?』 

 

五月「なんて言われたらっ」 

 

五月「可愛すぎて断れませんっ」 

 

風太郎「わかる。いやわかるけどな」

 

五月「あなたがいるのは不本意ですが、以前も泊まったことありますしね」 

 

五月「上杉くん、言っていたじゃないですか。『らいはの望みは全て叶えてやりたい』って」 

 

風太郎「くっ……」 

 

五月「まぁ、それが嫌ならあなたが出ていくべきでは」 

 

風太郎「ここは俺の家だぞ。野宿しろと?」 

 

五月「上杉くんなら大丈夫です。眠れますよ」 

 

風太郎「ふざけるな」 

 

五月「じゃあ、諦めてください」 

 

風太郎「…………わかった」 

 

風太郎「まぁ、前も泊めたことあるしな。今更か」 

 

らいは「わーい、やったぁ」 

 

五月「よかったですね、らいはちゃん」 

 

風太郎「ところでさっきから聞きたかったんだが」 

 

五月「はい? どうかしましたか」 

 

風太郎「お前のその持ってる皿は何だ?」 

 

五月「……これは」 

 

風太郎「いや言わなくていい。どうせおかわりだろう」 

 

風太郎「……ちなみにおかわり何回目だ?」 

 

五月「………………五回目です」 

 

風太郎「量は?」 

 

五月「………………全て山盛りです……」 

 

風太郎「お前はうちを破産させる気か」 

 

五月「仕方ないんです。らいはちゃんの料理が美味しいのが悪いんです」 

 

風太郎「責任転嫁するな。気持ちはよくわかるが」 

 

風太郎「というか、俺の分は残ってるのか? まさかとは思うが……」 

 

五月「だ、大丈夫です。ちゃんと残ってます」 

 

五月「の、残ってますよね? らいはちゃん」 

 

風太郎「声が震えるぐらいなら、おかわりするなよ……」 

 

らいは「大丈夫だよお兄ちゃん。ちゃんとお兄ちゃんの分もとってあるから」 

 

らいは「はい、お兄ちゃんの分」 

 

風太郎「おお、ありがとう。らいは」 

 

風太郎「そういえば、五月」 

 

五月「はい上杉くん、どうかしましたか?」 

 

風太郎「あいつらには言ったのか? うちに泊まるって」 

 

五月「友達の家に泊まると伝えておきました」 

 

風太郎「うちに泊まるとは言ってない?」 

 

五月「う、嘘は言ってませんっ」 

 

五月「らいはちゃんは友達ですから」 

 

五月「もちろん上杉くんも」 

 

風太郎「とってつけたように言わんでいい」 

 

風太郎「しかし……」 

 

五月「どうかしましたか」 

 

風太郎「いや、バレたら大変だな、と思ってな」 

 

風太郎「バレたら四葉辺りは絶対にうちに来たがる」 

 

風太郎「それどころか……」 

 

四葉『お泊り会っ。いいですね、楽しそうです。またやりましょうっ。是非やりましょうっ』 

 

風太郎「とか言い出しかねん」 

 

五月「その光景が目に浮びます……」 

 

風太郎「ウチに泊まったこと。あいつらには絶対に言うなよ。いいな?」 

 

五月「言われなくても、言いませんよ」 

 

五月「……変な勘繰りされそうですし」 

 

風太郎「なにか言ったか?」 

 

五月「いえ何も」 

 

五月「それよりも早く食べましょう。冷めてしまいますよ」 

 

らいは「五月さんの言う通りだよ。早く食べちゃって」 

 

らいは「はい、これ五月さんのおかわりの分」 

 

五月「ありがとうございます」 

 

五月「……うん、美味しいですね」 

 

風太郎「そうだろう、そうだろう」 

 

風太郎「でも、お前はもう食うな。おかわり禁止」 

 

五月「ええっ!? そんなぁ……」 

 

らいは「意地悪しちゃダメだよ、お兄ちゃん」 

 

風太郎「意地悪じゃない。こいつは明らかに食べすぎだ」 

 

風太郎「そんなに食べてると太るぞ」 

 

五月「……上杉くん」 

 

らいは「お兄ちゃん……」 

 

風太郎「なんだよ二人とも、その顔は」 

 

五月「いえ、別に。上杉くんがこういう人だってことはわかってました」 

 

らいは「ゴメンね、五月さん。お兄ちゃんデリカシーがなくて」 

 

五月「大丈夫ですよ。いつもこんな感じですからもう慣れました」 

 

らいは「お兄ちゃん……」 

 

風太郎「……勘弁してくれ」 

 

五月「寝るにはまだ早いですね……。何をしましょうか」 

 

風太郎「もちろん、勉……」 

 

らいは「トランプ!」 

 

らいは「五月さん、トランプやりましょう! トランプ!」 

 

風太郎「おい、らいは。そんなことよりも」 

 

五月「まぁまぁ、上杉くん。いいじゃないですか」 

 

らいは「そうだよ。せっかく五月さんが来てるんだもん。勉強よりも遊びたいよ」 

 

風太郎「そうか。じゃあ、お二人で……」 

 

五月「上杉くんもやるんですよ」 

 

風太郎「えっ、俺も?」 

 

五月「当然です。それにらいはちゃんの顔見てもそんなことが言えますか」 

 

らいは「お兄ちゃんも一緒にやろうよ……ダメ?」 

 

風太郎「仕方がないな」 

 

らいは「わーい、やったー」 

 

五月「よかったですね」 

 

風太郎「ただし」 

 

風太郎「やるからには手加減しないからな」 

 

五月「望むところです」 

 

らいは「五月さん、一緒にお兄ちゃんをボコボコにしましょうね」 

 

五月「ええ、らいはちゃん」 

 

風太郎「目の前で結託するなよ、お前ら……」 

 

 

風太郎「これでまた俺の勝ちだな」 

 

五月「ま、また負けた……」 

 

らいは「うわぁ……」 

 

風太郎「……何か言いたげだな」 

 

らいは「お兄ちゃん……大人げない」 

 

風太郎「元はと言えば、お前ら二人が結託したからだろうがっ」 

 

五月「ちょっとは手加減してくれてもいいと思うんですが」 

 

風太郎「睨むな、睨むな」 

 

風太郎「あと近い」 

 

五月「あっ……す、すみません」 

 

風太郎「ふぅ……わかった。ちょっとは手加減する」 

 

五月「面と向かって手加減すると言われると、それはそれでムカつきますね」 

 

風太郎「俺にどうしろと?」 

 

五月「私たちが気づかない程度に手を抜いて負けてください」 

 

風太郎「無茶苦茶だ」 

 

五月「今度は負けませんから」 

 

風太郎「お前ムキになりすぎだろ……」 

 

 

風太郎「おい、五月」 

 

五月「なんですか、上杉くん」 

 

風太郎「もういい加減やめないか」 

 

五月「まだ勝ってません」 

 

風太郎「勝ったじゃないか、らいはとそれぞれ一回ずつ」 

 

五月「一回だけじゃないですか」 

 

風太郎「一回勝てば十分だろ」 

 

五月「あなたはその10倍以上勝ってますよね」 

 

風太郎「お前が俺より勝つまでやるのか」 

 

五月「当然です」 

 

風太郎「いや、そろそろ本当にやめよう」 

 

風太郎「らいはも眠そうにしてるしな」 

 

らいは「ま、まだ……やれるよぉ、おにぃちゃん……むにゃむにゃ」 

 

五月「あっ」 

 

風太郎「な?」 

 

五月「わかりました。次の機会にしましょう」 

 

風太郎「次があるのかよ……」 

 

風太郎「らいは、もう寝よう」 

 

らいは「やだぁ……せっかく五月さんとお泊りなんだもん……」 

 

らいは「……もっと……遊んだりおしゃべりしたいよ……むにゃむにゃ」 

 

風太郎「また今度すればいい」 

 

らいは「……こんどじゃなくて……いまが、いい……」 

 

五月「らいはちゃん、また今度遊んだりお喋りしたりできますから」 

 

五月「それに、まだ明日もありますよ」 

 

五月「明日遊ぶために今日は寝ましょう」 

 

らいは「……うん………………すぅ……すぅすぅ」 

 

風太郎「さて布団敷いて、俺たちも寝るか」 

 

五月「そうですね。…………はっ」 

 

風太郎「何故俺から離れる」 

 

五月「いえ、またあなたと同じ部屋で寝ると思うと身の危険を」 

 

風太郎「もう何回か一緒の部屋で寝てるだろ。その時も何もしなかっただろ」 

 

五月「それはそうですけど……」 

 

風太郎「安心しろ。変なことは絶対にしない」 

 

五月「……まぁ信じてますけど」 

 

風太郎「それじゃ電気消すぞ」 

 

五月「はい、どうぞ」 

 

風太郎「おやすみ」 

 

五月「おやすみなさい」 

 

………… 

 

 

「…………起きてますか、上杉くん……」 

 

「……起きてるなら目を開けてください」 

 

「反応がないですね……頬っぺた抓ってみましょうか」 

 

「……どうやら狸寝入りではないようです」 

 

「……朝ですよ。起きてください」 

 

「起きないですね……」 

 

「上杉くんの寝顔……」 

 

「……意外と可愛らしいですね」 

 

「……というかいつもこのくらいなら」 

 

「いえ、それはないですね」 

 

「………………少し悪戯してみましょうか」 

 

「……やっぱりやめましょう。バレたら酷いことになりそうです」 

 

「上杉くん、起きてください」 

 

「……全然起きませんね」 

 

「……やはり悪戯を」 

 

「仕方ないです。なかなか起きない上杉くんが悪いんですから」 

 

 

風太郎「おい」 

 

五月「うひゃあぁぁぁっ!?」 

 

五月「び、びっくりしましたぁ……。いきなりなんですか。起きてるなら起きてると」 

 

風太郎「それはこっちの台詞だ」 

 

風太郎「お前何してた?」 

 

五月「え、えっと……」 

 

風太郎「顔を逸らすな。こっち向け」 

 

風太郎「で、何やってた」 

 

五月「………………寝ている上杉くんに悪戯をしてました」 

 

五月「……その……すみませんでした」 

 

風太郎「悪戯って具体的なんなんだよ」 

 

風太郎「目が覚めたらお前の顔がどアップで飛び込んできたから驚いたわ」 

 

五月「本当にすみません……」 

 

風太郎「というか起こすにしても早すぎないか。まだ4時じゃないか」 

 

五月「その……目が覚めちゃって」 

 

風太郎「じゃあ、二度寝しろよ」 

 

五月「寝ようとしましたよ。だけど眠れなかったんです」 

 

五月「そんな中、気持ちよさそうに眠ってる上杉くんを見て……」 

 

五月「ちょっとムカついて」 

 

風太郎「おい」 

 

五月「……あの」 

 

風太郎「ん?」 

 

五月「外、出ませんか?」 

 

五月「このままここで話してるとらいはちゃんまで起こしちゃいそうですし」 

 

風太郎「俺ならいいんかい」 

 

五月「上杉くんなら別に」 

 

五月「だって、あなたなら早起きしたらしてで喜びそうですし」 

 

五月「『よし勉強ができる』みたいな感じで」 

 

五月「でしょう?」 

 

風太郎「……あながち否定できない」 

 

五月「……まだ暗いですね」 

 

風太郎「当たり前だろう。4時だぞ」 

 

風太郎「それで外に出たのはいいが、どうするんだ」 

 

五月「少し歩きましょうか」 

 

五月「まだ少し寒いですね」 

 

風太郎「歩いていればそのうち暖かくなる」 

 

五月「……こういう時は女の子に上着を貸すところでは」 

 

風太郎「それだと俺が寒くなる」 

 

五月「……そういえば林間学校で一花に貸してませんでしたっけ?」 

 

風太郎「ははは……よく覚えてらっしゃる……」 

 

五月「一花には貸して、私には貸してくれないんですか?」 

 

風太郎「……わかった、貸すから。貸すから睨むな。あとこっちに迫って来るな」 

 

五月「わかればいいんです」 

 

五月「…………上杉くんの匂いがします」 

 

風太郎「嗅ぐなよ。あと嫌なら脱いで返してくれ」 

 

五月「嫌とは言ってません。ちゃんと着ますよ」 

 

風太郎「そうしてくれ。お陰様で俺は寒くなったが」 

 

五月「歩いていれば温まりますよ」 

 

風太郎「鬼か」 

 

五月「さきほどあなたが言っていた言葉なのですが」 

 

風太郎「……そんなこと言ったか。覚えがないぞ」 

 

五月「とぼけないでください」 

 

風太郎「悪い」 

 

風太郎「お前……顔赤くないか?」 

 

五月「はい?」 

 

風太郎「熱でもあるのか?」 

 

五月「……ないですよ。大丈夫です」 

 

風太郎「本当か?」 

 

五月「ひゃっ!?」 

 

五月「なんですかっ!? い、いきなり額に手を当てて」 

 

風太郎「熱は……ないみたいだな」 

 

五月「だ、だから、大丈夫だと……」 

 

五月「あといきなりはやめてください。びっくりします」 

 

風太郎「悪い。しかし、本当に大丈夫か」 

 

五月「……少し歩いて身体が温まっただけですよ」 

 

風太郎「そんなに大した距離歩いていないと思うんだが……」 

 

五月「とにかく大丈夫ですっ」 

 

風太郎「お前が大丈夫って言うならいいが、無理するなよ」 

 

五月「本当に鈍い人ですね……」 

 

風太郎「……何か言ったか?」 

 

五月「いえ、何も」 

 

五月「それにしても上杉くんらしくないですね」 

 

風太郎「何が?」 

 

五月「私の体調を心配してくれるところですよ」 

 

風太郎「俺はそんなに人でなしじゃないぞ。まったく」 

 

五月「ふふふっ、失礼しました」 

 

風太郎「……まあ、体調が悪いと集中して勉強ができないからな。それだけだ」 

 

五月「上杉くんらしいですね」 

 

風太郎「なんで笑ってる」 

 

五月「上杉くんには教えません。自分で考えてください」 

 

五月「あ、コンビニがありますよ。入りましょう」 

 

風太郎「誤魔化したな」 

 

風太郎「あ、おい……待て」 

 

五月「さて、どれにしましょうか」 

 

風太郎「どうして弁当を見てるんだ……」 

 

五月「冗談ですよ」 

 

風太郎「お前がやると洒落にならん」 

 

五月「酷いです。私のこと食いしん坊キャラだと思ってませんか」 

 

風太郎「事実だろうが」 

 

五月「確かに少々人より食べる量が多いですけど」 

 

風太郎「少々っていうレベルじゃねぇぞ」 

 

五月「……そういうこと言うんでしたら買ってあげませんよ」 

 

風太郎「俺は食べないぞ」 

 

風太郎「というか何を買うつもりなんだ。……まさか、弁当を」 

 

五月「違いますよっ」 

 

五月「朝食のデザートにデザートをらいはちゃんに買っていこうとしたんです」 

 

五月「まったく上杉くんは……」 

 

風太郎「すまん……」 

 

五月「失礼な上杉くんにはデザートはなしで、らいはちゃんと二人で食べます」 

 

五月「上杉くんは食べたかったら自分で買ってください」 

 

風太郎「別にデザートはなくていいな」 

 

五月「なっ」 

 

風太郎「なんだよ、その予想外だと言いたげな顔は」 

 

五月「本当に予想外ですよっ」 

 

五月「どうして欲しいって言わないんですかっ」 

 

風太郎「いや、いらないからだけど」 

 

五月「むぅ……」 

 

風太郎「何故膨れる」 

 

五月「……言いたくありません」 

 

風太郎「あ、わかったぞ。俺に懇願させようとしたな?」 

 

五月「…………お察しの通りです」 

 

風太郎「悪いがデザート如きで俺は懇願したりしないぞ」 

 

風太郎「らいはと二人で食べればいい」 

 

五月「ちゃんと上杉くんの分も買いますよ」 

 

風太郎「本当にいらないんだが」 

 

五月「あのですね、私とらいはちゃんの分はあるのにあなたの分がなかったら、らいはちゃんが勘繰るでしょう?」 

 

五月「『もしかして自分のいない間に喧嘩でもしたのか』と」 

 

五月「それに……上杉くんには日ごろお世話になっているので」 

 

五月「これぐらい奢らせてください」 

 

風太郎「まぁ、そういうことなら」 

 

風太郎「あー……ありがとな」 

 

五月「いえ……」 

 

五月「さて、お好きなのを選んでください。どれでも大丈夫ですよ」 

 

風太郎「…………迷うな」 

 

五月「ですね。悩ましいです」 

 

 

風太郎「さて、帰るか」 

 

五月「そうですね。デザートを選ぶのに時間かかってしまいました」 

 

風太郎「空も明るくなってきたな」 

 

五月「らいはちゃん、もう起きてるでしょうか」 

 

風太郎「どうだろうな。流石にまだ早いと思うが」 

 

五月「起きた時、家に誰もいないと驚いちゃいますよね……」 

 

五月「らいはちゃんが起きてしまう前に帰りましょう」 

 

風太郎「そうだな」 

 

風太郎「五月、袋こっちに寄こせ」 

 

五月「? ……どうぞ」 

 

五月「どういう風の吹き回しですか?」 

 

風太郎「なんだよ。俺がこういうことしちゃおかしいか?」 

 

五月「おかしいと思います」 

 

風太郎「躊躇わずに言ったな……」 

 

五月「でも、いい気遣いだと思いますよ」 

 

五月「いつか彼女が出来た時も是非そうして上げてください」 

 

風太郎「そんな予定は今のところない」 

 

風太郎「というか、何故俺はお前にアドバイスされている?」 

 

五月「だって、上杉くんは気遣いとか出来るタイプじゃないでしょう?」 

 

五月「私なりに少しは心配してるんですよ」 

 

風太郎「余計なお世話だ」 

 

風太郎「お前は自分の成績のことだけ心配してろ」 

 

五月「……それは……その通りですね」 

 

風太郎「それに、俺が袋を持ったのはお前が朝食までに食べてしまわないようにするためだ」 

 

五月「なっ」 

 

五月「失礼ですよっ。私はそんなことしませんっ」 

 

風太郎「信じられるかっ」 

 

 

らいは「お兄ちゃん、五月さん、二人でどこ行ってたの?」 

 

風太郎「らいは、起きてたのか」 

 

らいは「目が覚めた時、二人ともいなかったから心配したんだから」 

 

五月「すみません、らいはちゃん」 

 

らいは「デートならデートって書き置きを残してよっ」 

 

風太郎、五月「「デートじゃない(ですっ)」」 

 

らいは「え? 違うの?」 

 

風太郎「違う。だいたいどこにこんな朝早くからデートしてる奴らがいるんだ」 

 

らいは「だって二人ともいなかったからてっきり……」 

 

五月「らいはちゃん。そもそも私たちは付き合ってませんよ」 

 

五月「というか上杉くんとそういう関係になるとか……ありえませんね」 

 

風太郎「それはこっちの台詞だ。お金を払われてもお断りだね」 

 

五月「むっ……」 

 

風太郎「くっ……」 

 

らいは「まぁまぁ、お兄ちゃん、五月さん。落ち着いて」 

 

らいは「それで五月さん。どこに行ってきたんですか?」 

 

五月「あまりにも早く起きてしまったので、ちょっと散歩に」 

 

らいは「お兄ちゃんが持ってるその袋は?」 

 

風太郎「これか? 途中、コンビニに寄ったんだ」 

 

らいは「あっ、プリンだ」 

 

五月「朝食のデザートに、と思いまして買ってきてしまいました」 

 

五月「私の奢りです」 

 

らいは「わーい、やったっ」 

 

らいは「ありがとうっ、五月さん」 

 

五月「ふふっ、どういたしまして」 

 

 

らいは「んーー、プリン美味しいです」 

 

五月「喜んでもらえてよかったです」 

 

らいは「五月さん、本当にありがとうっ」 

 

五月「らいはちゃん、本当にいい子ですね……」 

 

風太郎「当たり前だ。俺の妹だからな」 

 

五月「あなたを見て、よく素直に育ちましたね。奇跡ですね」 

 

風太郎「おい、なんだそれは。まるで俺がひねくれてるようじゃないか」 

 

五月「自覚ないんですか。あなたは結構ひねくれてますよ」 

 

五月「じゃあ、逆に聞きますけど、自分のこと素直だと思いますか?」 

 

風太郎「………………」 

 

五月「ほら」 

 

 

五月「ではそろそろお暇しますね」 

 

らいは「五月さん、もう帰っちゃうの……」 

 

五月「うぅ……も、もうちょっとだけなら」 

 

風太郎「おいおい。このやり取り何回目だよ……」 

 

風太郎「らいは。五月にも都合がある。また遊びに来てもらえばいい」 

 

らいは「……五月さん、また来てくれる?」 

 

五月「もちろんです。お泊り会もまたしましょうね」 

 

らいは「やったっ」 

 

風太郎「またお泊り会やるのかよ……」 

 

五月「あなたはいなくてもいいんですよ」 

 

風太郎「お前な……」 

 

五月「ふふっ、冗談ですよ」 

 

風太郎「冗談に聞こえないぞ……」 

 

五月「……では、おじゃましました」 

 

らいは「またいつでも遊びに来てくださいね」 

 

風太郎「週明け、学校でな」 

 

風太郎「予習、復習はちゃんとやれよ」 

 

五月「言われなくてもわかってますよ」 

 

風太郎「あと宿題忘れるなよ」 

 

五月「………………」 

 

風太郎「おい」 

 

五月「……問題ありません。大丈夫です」 

 

風太郎「目を逸らしながら言っても説得力がないぞ」 

 

風太郎「すっかり忘れてたな?」 

 

五月「はいぃ……」 

 

風太郎「……五月、今日の用事は全部キャンセルしろ」 

 

風太郎「俺が特別にスパルタで教えてやる」 

 

五月「いえ、大丈夫です。宿題ぐらい一人でできます」 

 

風太郎「信用ならん。早く家に戻って勉強道具を取ってこい」 

 

五月「いぃやぁぁぁぁーーーーっ」 

 

 

 

 

 

 

元スレ

https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1558203253/