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食蜂「上条さん…. 来年も、よろしくねぇ」【とあるss/アニメss】

 

首筋に垂れた一筋の汗が、蜂蜜色の匂いをふわりと巻き上げ、上条の鼻腔を通り過ぎた。彼は恥ずかしそうに彼女から目を背ける。 

 

上条の視線の先には、点々と立ち並ぶ屋台の灯り。わたあめを作る機械の音。イカ焼きの煙、並んだお面、浴衣を着た人々。騒がしさと煙と熱が流れては、めまぐるしく入れ替わっていく。 

 

彼はもう一度彼女の方を見た。蜂蜜色の長い髪を後ろでくくり、赤い花が施された簪でまとめた彼女。白い菊の絵が施された黒い浴衣を、白の帯で包んでいる彼女。そんな彼女は、頭を抱えてその場で固まっていた。 

 

「おいおい。そんなベタなリアクションとりますかね?」 

 

「う、うるさい! 思った以上に冷却力が高かったのよぉ!」 

 

涙目で彼女は上条に訴える。彼女の左手に握られた、半分ほど残ったレモン味のかき氷が、少しずつ液状になっていっている。 

 

やれやれといった顔をしていると、不意に彼女の視線が少し上に上がったことに気づいた。上条は後ろを振り向く。 

 

同時に、上空に大きな花火が咲き乱れた。ドォンという音が、いくつもの光の線を連れて地上に降り注ぐ。 

 

「おー。始まったか」 

 

ぶっきらぼうに上条はいった。先ほど上がった一発につられ、次々と夜空に色取り取りの花火が上がっていく。 

 

「ねぇ」 

 

彼女の声に彼は振り向いた。彼女は少し顔を赤らめ、胸に秘めた想いを発する。 

 

「来年も、また一緒に来てくれない?」 

 

彼女の問いに、上条は笑い、彼女の顔に近づく。縮まる距離に連れて、彼女の胸に湧き出た予感が顔の紅潮を増していく。 

 

「へ、ちょ、あの」 

 

彼女は覚悟し、思いっきり目を瞑った。だが彼が触れたのは髪だった。軽く触れた指の感触につられ、彼女は目を開ける。 

 

「てんとう虫。お前の頭についてたぞ」 

 

上条の右手の人差し指の先に、てんとう虫が張り付いている。彼女はため息を吐いた。すると、てんとう虫は羽を広げ、花火に吸い込まれるように夜空へ飛び立っていった。 

 

それを見届けけて、彼は言う。 

 

「当たり前だろ。また、来年もよろしくな」 

 

不意に吹いた夜風が、彼女の後ろにあった屋台の風車たちをカラカラと回した。彼はまた花火を見始める。 

 

上条さん」 

 

彼はまた振り向いた。すると目の前に、ストロースプーンに乗ったかき氷が添えられていた。思わず口を開けると、彼女は素早くそれを口の中に押し込み、するっとストローを抜く。 

 

「……お前」 

 

上条は呆れ顔と恥ずかしさの混じった表情を浮かべる。対する彼女は、華やかな笑顔でこう言った。 

 

「来年も、よろしくねぇ」 

 

 

この数日後、上条は瀕死の重傷を負い、彼女を記憶出来なくなる。 

 

これは、そんな悲劇とは無縁のポートレート。 

 

甘く愛しい、花火のような淡い一瞬。 

 

 

 

オレンジ色の光が窓から差し込む、常盤台中学の寮の一室。御坂美琴は後輩の白井黒子に見守られ、浴衣の着付けをしていた。 

 

「よいしょ」 

 

蝶のように広げた浴衣の、右側の浴衣の端を腰に持っていき、余った左側をグイッと引っ張る。整えた左右の軸のバランスを崩さないように浴衣を巻いて行くと、彼女の腰のラインがくっきり浮かび上がってきた。 

 

「よっしゃ。後は……」 

 

着崩れ防止の紐を腰に巻き、おはしょりを作り、襟を整える。整えた上半身を支える紐を巻いた後、その上から帯を蝶結びで巻いていく。 

 

「出来たっ。黒子どうかな?」 

 

前側で整えた蝶結びを後ろに移動させ、美琴は黒子の方を向いた。白地の浴衣にあしらわれた紫の藤と帯が、彼女に少し大人びた印象を植え付けさせる。 

 

「ええ。それでいいと思いますの。しかし、お姉さま張り切ってますわね」 

 

少し低めのトーンで黒子は呟いた。彼女も既に緑の浴衣に身を包んでいる。 

 

「ん? ま、まあね。アイツも、誰かを祭りに誘うなんて始めてだって言ってたから」 

 

黒子から目を背け、薄く頬を染めながら美琴は唇にグロスを塗る。不意に視線を黒子に移すと、その瞳に涙が溢れ帰っていた。 

 

「え? く、黒子?」 

 

「うう……お姉さまのその麗しい姿をこれからあの類人猿に独り占めされると思うと、悔しくてなりませんの~~!!! お姉さまぁ~~!!!」 

 

黒子は泣きながら美琴に抱きついた。美琴は困惑しながらも、彼女の頭を撫でる。 

 

「そんなに言わなくても……大丈夫よ。花火の時はみんなで見るつもりだし。だから、そ、それまでアイツとってことだし」 

 

「いいえお姉さま! 今の類人猿は油断できませんの! この1年で着実にお姉さまと距離を詰めてきた今、お姉さまと2人きりになんてしたら……アァァァッーーー!!!」 

 

「ちょ、うるさい! 寮監に気づかれちゃうでしょ! ほら、早くテレポートして。行くわよ」 

 

頭を抱え奇声を発する黒子を宥めながら、美琴は彼女と共に寮を抜け出した。 

 

 

 

息を吸うと、鼻に流入したぬるま湯につけたような空気が、全身を汗ばませる。上条はその感覚を打ち消すように、手にした いちご味のかき氷を頬張った。 

 

「うおっ! ァアーッ! きたきたきたきた来ましたよー」 

 

「やかましい。かき氷くらい黙って食えんのかお前は」 

 

隣から15センチサイズの元魔神、オティヌスのツッコミが入る。彼女は上条家の飼い猫、スフィンクスの背に乗っている。2人は祭りの屋台が並んだ場所から少し離れた、河原のほとりのベンチに座り、先ほど購入したかき氷とペットボトルに入ったお茶を側に置き、美琴が来るのを待っているところだ。 

 

「そんなに言うんなら食べてみなさんな。ほれ」 

 

上条はペットボトルのキャップを開け、そこに掬ったかき氷を乗せオティヌスに渡した。どこで買ったのか、彼女用の小さなスプーンまで付けてきている。 

 

「しかし、このペットボトルのキャップは、さっきまでお前が飲んでいたやつのそれだよな? つまりこれは間接キ」 

 

「オイオイ! そんな細かいとこまで意識してねぇよ! いらないなら別にいいよ」 

 

「誰がそんなこと言った! 食うに決まってるだろ!」 

 

オティヌスはキャップに乗ったかき氷を食べ始める。悪くないな。などと呟く彼女を横目で見ながら、上条は自分のシャツを引っ張る。 

 

白地に緑のラインを敷いたTシャツに、ベージュの短パンと履き慣れたスニーカー。いかにも金欠の学生らしい、色気のないファッションに思わず苦笑した。インデックスもイギリスに帰り、金銭的にも余裕が出たので今度いい服を買おう、なんて思った。 

 

「なあ」 

 

かき氷を頬張るオティヌスが彼に問いかける。 

 

「お前、本当に決めたんだよな?」 

 

冷静な声で発されたその質問に、彼もまた落ち着いて返す。 

 

「ああ。何だ? 妬いてんのか?」 

 

「だな。正直悔しいよ。だが、お前が悩み、想いやった末に決めた相手だというのなら、私は是非応援したい」 

 

それに、とオティヌスは付け足す。 

 

「お前の中に、私の存在はちゃんと根付いている。それが分かるだけでも私は幸せだよ。デート、楽しんでこいよ」 

 

そう言ってオティヌスは微笑んだ。上条もそれに釣られて微笑み返す。 

 

「ありがとなオティヌス。やっぱりお前は、俺の最高の理解者だよ」 

 

「何を今更」 

 

そう言って次の一口を口の中入れたオティヌスだったが、そこで異変が起こった。 

 

「うおっ?! 何だこれは。あ、頭が痛い! 理解者っ! 何とかしてくれ!」 

 

うめき声を上げだしたオティヌスを見て笑い、上条は彼女の頭を人差し指で撫でた。彼女の下のスフィンクスが欠伸をする。 

 

「少しは俺の気持ち分かってくれたか? これが夏の風物詩だよ」 

 

「な、なるほど……。まさかデンマークでマイナス15度を体感した私がこんなものにやられる日が来るとはな」 

 

未だ頭を抱えて項垂れるオティヌスを、上条は指先で撫で続ける。すると、背後に気配を察知した。 

 

「何イチャついてんのよアンタら」 

 

上条は顔を青ざめさせ振り向く。浴衣姿の御坂美琴が、鋭い瞳でこちらを睨んでいた。その隣には憎悪に滾った目で同じくこちらを睨む黒子がいる。 

 

「み、御坂さん? これはですね、いわゆる応急処置的な奴でして、決してそんな思惑があったわけでは」 

 

「それが今から女の子と2人で遊ぼうとする男のやること? ほんっとデリカシーないわねアンタって」 

 

美琴はフンと鼻息を鳴らし、そっぽを向く。 

 

「美琴! すまん! この通りだ! 今日は何でも奢ってやるから堪忍してくれ!」 

 

上条は彼女の前に立ち、両手を合わせ頭を下げる。彼女はそんな彼を横目で見ながら、少し笑った。 

 

「か・み・じ・ょ・う・さ・ん?」 

 

2人の間に、眉間に皺を寄せた黒子が割って入る。上条は慄き半歩後ずさった。 

 

「今日はくれぐれも、節度を持ってお姉さまと遊んでくださいまし。もし妙なことや邪な感情が垣間見えた時は、いつでもこの黒子が成敗してやりますの。風紀委員の腕章にかけて」 

 

「随分と私情で使うんだなオイ! そ、そんなに睨まなくても変なことなんて考えてねぇよ。なあ?」 

 

「へ? え、ええ。そうね、アハハハハ」 

 

彼の質問に、美琴は頬を染めて目を背けながら笑った。そして、行くか。と言った彼は彼女を連れ、屋台の灯りの方へと歩いていった。 

 

2人の背中を黒子は目で追う。その瞳はどこか取り返しのつかない状態のものを眺めているような悲壮感を漂わせていた。 

 

「お前、あの女の後輩のようだな」 

 

黒子は左横を向いた。スフィンクスに乗ったオティヌスが、かき氷を食べながら自分に問いかけてきていた。 

 

「心配せずとも、あの男はお前が思っている以上にずっと強いし、一本筋のある奴だよ。相手の気持ちを無視して妙なことなど起こすことなどあり得ない。私が保証する」 

 

「は、はぁ……」 

 

黒子は反応に困った声でそう返す。 

 

「さて、花火が上がるまで適当に彷徨くとしよう。行くぞスフィンクス」 

 

ニャーと返事をしたスフィンクスは彼女を乗せて屋台の方へと歩き出した。 

 

(上条さんの側によくいるあの方、あれは結局生きた人間なんですの……?) 

 

15センチサイズの存在が意識を持ち、喋りかけて来ることに慣れていない彼女は、1人取り残された状態でそう思った。 

 

 

 

「……で、最初に欲しかったのは、結局それなわけなんですね」 

 

「な、何よ。私がこれ好きなことくらいもう分かるでしょ?」 

 

脈打つように光る屋台の群れの間を歩きながら、熱の立ち込める周囲に気後れしないよう、大きめの声で2人は喋る。美琴の手には、お面屋で購入したゲコ太のお面が握られている。 

 

「はいはい。ゲコ太ストラップ手に入れるために俺とペア契約したぐらいだもんな。あの時は互いに恥ずかしい真似したぜ」 

 

横目でチラと彼を見て、彼女は言う。 

 

「覚えたんだ。あの時のこと」 

 

「そりゃあだって、あれが初めて2人で出かけた時だろ?」 

 

美琴は頬を赤らめ、小さな声でうんと頷いた。 

 

「それに」 

 

上条は続ける。 

 

「1度記憶を失って、お前との思い出も随分と消えちまった。だから今この時、お前と居れる時間は、できるだけ忘れたくねぇんだ」 

 

それを聞いた美琴の心は、羽毛のように軽くなった。彼の横顔を見つめ、彼女は幸せの染み渡った顔をする。 

 

(このバカは……そう言うことを臆面もなく言うんだから) 

 

美琴はゲコ太のお面を後頭部にぶら下げた後、彼の左手を握り、引き寄せた。 

 

「お、おい。美琴?」 

 

「次、あれ買って。言ったでしょ? 何でも奢るって」 

 

美琴が指差したのはわたあめの屋台だった。上条は苦笑し、彼女に連れられ屋台に向かう。 

 

それから、互いにわたあめを頬張りながら、色んな屋台を回った。射的、金魚すくいスーパーボウルすくい、焼き鳥、りんご飴。弾ける火花のような鮮やかな瞬間が、2人の顔を幸せに彩り、その一瞬一瞬を記憶に焼き付けていく。 

 

ふと上条は携帯を取り出した。花火が上がるまで、後1時間を切った所だった。彼は携帯をポケットにしまい、三分の一ほど残ったりんご飴を丸かじりし、咀嚼する。 

 

「そういや、アンタ結局留年したんでしょ?」 

 

飲み込んだりんご飴のベクトルが反射される感触が喉元に走った。 

 

「ははは。笑えよ美琴。仮にも何度も世界を救ったヒーローと呼ばれし男は、出席日数という絶対的な壁の前に手も足も出ませんでしたよ。1つ下の学年と学ぶ居心地の悪さと吐き気を催す疎外感。お前には分かるまい」 

 

彼の顔から楽しさが小麦粉に息を吹きかけたように霧散した。 

 

「まあ、落ち込まずに今度こそ頑張れば卒業できるわよ。私も勉強手伝ってあげるからさ」 

 

「敗者に情けをかけないでくれ! 苦しい! それに、お前だって高校受験の勉強あるんだし、気安く頼る訳には行かねぇだろ」 

 

「大丈夫よ。だって、アンタの高校でしょ? アンタ手伝いながら合格するくらい余裕よ」 

 

「は? お前何言って」 

 

「私」 

 

美琴はそこで立ち止まった。

 

「アンタの高校行くから」 

 

上条は言葉を失い、その場に立ち尽くす。 

 

「……え、ええっ?! おいおいおいおい! 待て美琴。早まるな。お前ならもっと上狙えるだろ。何だってわざわざあんな普通の」 

 

「もう決めたのよ」 

 

そう言う美琴の目に迷いはない。上条は何故そうも頑なな信念を持つようになったのか、純粋な疑念を抱いた。 

 

「何でまたそんな……まさか俺が留年してまだ高校にいるからとかじゃないだろうな?」 

 

その瞬間、美琴の顔は彼女が手にしたりんご飴の色彩と近くなった。 

 

「……え?」 

 

「え? あ、いや、あの、だからその……」 

 

美琴はキョロキョロとさせた視線を、最終的に上目遣いの位置に落ち着かせ、彼に言った。 

 

「来年も、よろしくね」 

 

上条は息を飲む。艶やかに光沢を放つ彼女の唇に目を奪われ、心臓の脈が次第に早くなる。 

 

「美琴」 

 

彼はじっと美琴を見つめる。 

 

「今日さ、大事な話が」 

 

その時だった。 

 

「理解者ー!!!」 

 

聞き覚えのある声に、2人ははっとし周囲を見渡す。すると、上条の踵に手で叩かれた感触が走った。彼は振り返りしゃがみこむ。 

 

「オティヌス? どうしたんだよ?」 

 

「ス、スフィンクスを見なかったか?」 

 

彼女は手を膝に着き、息を荒げながら彼に問いかける。 

 

「え?」 

 

「あのバカ猫! 私が目を離した瞬間何処かへ逃げやがったんだ! お前見てないのか?!」 

 

「ええ?! マジかよ。ちょっと……美琴すまねぇ。探してくるわ。その辺で待っててくれ」 

 

上条は手をかざし、オティヌスを肩に乗せて走り去った。取り残された美琴はため息を吐く。 

 

(大事な話って……まさか、告白とか?) 

 

その言葉を振り払うように、美琴は勢いよく首を振った後、残ったりんご飴を全部頬張った。 

 

(い、イヤ! あの朴念大魔王に限ってそう簡単に期待しちゃダメよ! いくら下の名前で呼んでくれるようになったからって、そこからそう簡単にそっちに行かないのがアイツじゃない!) 

 

丁寧に自分に言い聞かしながら、美琴はりんご飴を飲み込み、近くのポリバケツに棒を捨て周りを見渡す。そこで風車を売っている屋台の隣に円柱形の石椅子を見つけた。彼女はそこに向かうとする。 

 

 

「御坂さーん☆」 

 

引き止めるような背後からの猫撫で声に、美琴は眉をひそめた。彼女は振り返る。 

 

「あらぁ? 随分と気合力のある浴衣着てるじゃない? その割にはお相手の姿が見えないけどぉ。ひょっとしてハブられちゃった?」 

 

「ちょっと用事でどっか行っただけよ。大体、アンタも見るからにボッチそうなんですけど? 今日はお忍びですか女王様?」 

 

「ヤァだ。その言い方すっごい腹立つ」 

 

簪でまとめられた蜂蜜色の長い髪。白い菊が施された黒地の浴衣に白の帯。そして強調された豊満な胸元。常盤台中学の女王にして犬猿の仲、今最も会いたくなかった人物、食蜂操祈がそこにいた。 

 

「ハァ……どうせアンタのことだし、私の邪魔しに来たんでしょ?」 

 

その問いに、食蜂は意味深な笑みで応える。 

 

「アンタが過去にアイツと何があったなんて知らないし、詮索する気もないけど、今日は本当に大事な日なのよ。お願いだから邪魔しないで」 

 

美琴は頭を掻き、やれやれと言った顔で彼女に言った。 

 

「邪魔、ねぇ」 

 

食蜂は笑みを崩さずそう言う。 

 

「まあ私は別に何もする気はないけどぉ、後ろの人たちはどうなのかしらぁ?」 

 

彼女は美琴の後ろを指差す。振り返ると、そこには見知った3人がいた。 

 

「御坂さん? 何で1人でいるんですか? 上条さんと遊んでたはずじゃ?」 

 

水色の浴衣を着、後ろ髪を一括りにした佐天涙子が水ヨーヨーを片手に美琴に問いかけた。右手には黒子が、左手にはオレンジの浴衣を身にまとった初春飾利がズルズルと焼きそばを食べている。 

 

「あ、ああ……それがさ、アイツの連れのペットがどっか行っちゃってさ、探しに行ったのよ」 

 

「ええー! タイミング悪いなあ。って、そんな時にうっかり遭遇しちゃった私たちも間が悪いか」 

 

佐天はヨーヨーを叩きながら笑う。美琴は彼女の放った『うっかり』という言葉に何かを察し、食蜂の方を見た。 

 

「アンタまさか」 

 

食蜂は悪戯げなウインクを彼女に見せた。 

 

「ッ! アンタねぇ!」 

 

美琴は彼女に迫ろうとした。だがそこで、後ろから浴衣の衿を引っ張れた。 

 

「お姉さま! どうせ今1人なら、私たちと一緒に周りましょう!」 

 

「いいですねー。御坂さん一緒に行きましょ」 

 

衿を引っ張る黒子に同調するように、初春が右手の裾を引っ張る。まさかと思い彼女らの目を覗き込むと、虹彩が星型のマークになっている。 

 

「ちょっと! どういうつもりよ食蜂!」 

 

怒鳴る美琴に対して軽く手を振る食蜂。すると背中から佐天に押されて次第にこの場から移動し始める。 

 

「御ー坂さん! 少しだけですよぉ。一緒に遊びましょ?」 

 

「佐天さん? 食蜂! 邪魔すんなって言ってんでしょ! ちょっと!」 

 

やがて美琴は人混みの中に消えていった。食蜂はふうと息を吐き、夜空を見上げる。地上の屋台の灯りにさざめくような薄い星明かりが目に侵入してくる。 

 

食蜂は視線を前に移した。すると、人混みを掻き分け、見覚えのある影がこちらに近づいてくる。彼女の口角が自然に上に上がってきた。 

 

足を少しだけ前に運び、近づく彼を向かい入れる。突如目の前に現れた笑顔の彼女に、彼は素っ頓狂な顔をして、こう言った。 

 

「えっと……誰?」 

 

「初めまして。私は食蜂操祈。御坂さんの友達よぉ☆」 

 

そう言って食蜂は上条にウインクした。もう何十回も彼とやったこのやり取り。彼女は笑顔で、いつものようにこなした。 

 

「あー美琴の……なあ、アイツどこ行ったか知らねぇか?」 

 

「さあ? 全然分かんないわぁ」 

 

「マジか。どうしようかこれ……」 

 

困り顔で頭を掻く彼を見て、食蜂は彼の背後にいた、水玉模様の浴衣の少女に気づいた。艶めく黒髪をツインテールでまとめた彼女は、目じりに涙を溜めて俯いている。 

 

「どうしたのぉその子?」 

 

「そうなんだよ。さっき知り合いの猫見つけた後に、今度は泣いてるこの子と遭遇しちまってさ。何でも一緒にきた男の子と逸れたようで。ほっとくわけにもいかないだろ?」 

 

上条はしゃがみ、少女に話を伺う。逸れる前に彼が何を言っていたのか。心辺りのある場所はないか。逐一丁寧に聞いていく。食蜂は柔らかな微笑みを浮かべた。 

 

(あなたって本当に、いつまで経っても真っ直ぐな人ね) 

 

途端に少女の虹彩が星型に変わった。上条はえ、と驚き立ち上がる。 

 

「ふむふむ。なるほどねぇ。となると……」 

 

彼女の目を覗き込み、ブツブツと言った後に食蜂は周りを詮索した。そして見つけた黒い浴衣の男に迫り、肩に下げたバックから取り出したリモコンを彼に向ける。すると男の虹彩は少女と同じよう星型になった。 

 

「あれ? 私何を」 

 

「あ、大丈夫なのか? おいアンタ一体何したんだ?」 

 

正気を取り戻した少女に上条は懸念の声をかけ、その後食蜂の側に向かう。食蜂の目の前の男の虹彩はいつの間にか元に戻っており、男は首を傾げながらその場を去る。 

 

「あの子とあの男の人の記憶を覗いたのよぉ。私の能力は『心理掌握(メンタルアウト)』。精神に関することなら洗脳でも読心でも何でもござれの学園都市第5位の能力なんだぞ☆」 

 

「ご、5位って、お前超能力者なのか?! マジかよ……まあ美琴の友達だしありえなくはないか」 

 

「この説明も、もう何度目だったかしら?」 

 

「へ?」 

 

「何でもないわぁ。ホラ、行きましょ。その子の元に連れてってあげる」 

 

食蜂は上条の手を握り、勢いよく駆け出した。少女も後を追うように走り出す。 

 

「おい、ちょっと!」 

 

彼の声には耳を寄せず、食蜂は笑っていた。それはどこか、痛みを感じさせるような切迫した笑いだった。 

 

 

 

3人は屋台から離れた所に位置する鉄橋の、高架下に辿りついた。夜の鉄骨とコンクリートの硬質な暗さと、川面に浮かぶ白い月が風に煽られては元に戻っていく様が、動のエネルギーを放つ向こうとは対照的な、静の印象を与えている。 

 

「ほら、あそこ」 

 

食蜂が指差した先には、コンクリートの斜面に腰掛け、近くの石を適当に掴んでは水面に投げる、灰色の浴衣を着た少年がいた。暗がりでよく見えないが、髪は茶色がかったような色彩だ。 

 

「おーい!」 

 

少女の声に、少年は立ち上がりこちらに向かってくる。 

 

「どこ行ってたの! 心配したんだよ!」 

 

大声で怒鳴りながらも、今にも降り落ちそうな瞳でそういう少女に、少年は気まずく視線を逸らしながら弁明する。 

 

「悪かったよ。ちょっと人に酔っちゃってさ。勝手に居なくなったのは本当ゴメンな」 

 

「もう! ほら、一緒に行こ。もう離さないからね!」 

 

「おいやめろバカ! 恥ずかしいよ」 

 

少女は少年の手を強く握り締め、2人に深々と頭を下げ、手を振った後に彼と一緒に屋台の方に向かっていった。 

 

「いやぁ~。青春ですなぁ」 

 

腕を組み、しみじみとした顔で上条は呟く。 

 

「上条さぁん」 

 

振り返ると、食蜂は先ほど少年が座っていた斜面に腰掛け、こちらに手招きをしていた。 

 

「ちょっとだけ、お話しない? ほんの10分ほど」 

 

その問いに、上条は戸惑いつつもポケットの中から携帯を取り出す。花火が上がるまで後37分。美琴を探す時間を加味しても、まだ大丈夫かと思った彼は彼女の側に腰掛けた。 

 

そんな彼らの様子を、鉄橋の陰に隠れて見ている人物がいた。 

 

(ちょっと?! 何簡単に誘われちゃってんのよ! アンタ今私とデート中なのわかってんの?!) 

 

洗脳が解けた佐天らを振り払い、ゲコ太のお面を預けた後、必死の尾行の末ようやくここに辿りいた美琴は、ひとまず食蜂の企みを知ろうとするため、こうして物陰から2人の会話に耳を傾けていた。 

 

「それで、話って?」 

 

「御坂さんのことだけどぉ、最近上条さんと仲良くしてるそうじゃない? 私心配になっちゃて。御坂さんって結構野蛮力高めだし、ヒドい目にあってないかなぁって」 

 

(大きなお世話よ!) 

 

美琴は心の中でツッコむ。 

 

「ははは。まあ、あいつのビリビリにはいつも苦労させられてるよ。この前だって、一緒にプール行った時うっかりあいつの胸に頭当てちゃってさ。水辺でビリビリは危ないっつっても聞かなくて」 

 

「えぇ? 御坂さんの胸に? それ頭大丈夫だったのぉ? ほとんどクッションなしよ。骨と骨がぶつかったも同然よぉ?」 

 

「おいおい。そんなこと言うなって。どんな荒地にもやがて花は咲くんだよ」 

 

(ぶち殺すぞ! 何のフォローにもなってないわよ!) 

 

掌にバチバチ紫電を鳴らしながら、鬼の形相で美琴は2人を睨む。 

 

「んー、その希望は儚い運命を辿りそうねぇ。だってもう中3よ? それなのに去年と全く変わってないわぁ。大陸プレートの方がまだ動いてるんじゃない? 同い年として悲しくなっちゃうわぁ」 

 

「お、同い年?! お前中3かよ! それでその胸……」 

 

「あぁら? ドキドキしちゃった? しっかし暑いわねぇ~」 

 

食蜂は胸元の衿を掴み、何度もはだけさせ風を送り込む。その度に、豊満な肌色が上条の視線に紛れ込む。 

 

「うおおおおおおっ?! ちょ、やめなさい! 年上のお兄さんの獣性を刺激するな!」 

 

(とりあえず、あんたら死体確定よクソッタレ!) 

 

赤らめた顔を両手で隠す彼を背後から睨み、拳を握りしめた美琴は歯をくいしばり心の中で宣言した。 

 

「うふふ。まあ私のこれも1年の努力の末なんだけどねぇ。昔はあんまり豊満力が足りなくて馬鹿にされたもんだから、見返してやりたくてねぇ」 

 

食蜂は胸元に視線を落とす。 

 

「あ? 馬鹿にされたって、酷い野郎だな。誰なんだそいつ?」 

 

「私の大切な人」 

 

目を瞑り、慈しむように食蜂は語り出す。 

 

「私を自殺から救ってくれた人。生きる希望を与えてくれて、何度も私の憂鬱を笑い飛ばしてくれた、世界で一番、大好きな人よぉ」 

 

「へえ……そいつ今何してんだ?」 

 

「内緒っ☆」 

 

人差し指で口を防ぎ、食蜂は言った。美琴はこのやり取りに推測を張り巡らす。 

 

(ひょっとして、その大切な人ってのがアイツのこと? でもアイツはそんなこと覚えてないって。てことは、記憶を失う前の出来事ってわけか) 

 

「でもいいじゃねぇか。そんな風に思える誰かがいるってのは」 

 

「そうねぇ」 

 

何でもないような口調で食蜂は返す。そして上条の目をじっと見つめ、言葉を発した。 

 

「ねぇ。上条さんは、御坂さんのことが好きなの?」 

 

美琴は息を止め、それに呼応するように周囲の音も掻き消えた。水面の静けさが川岸の2人を包み込む。 

 

(え、ええええええ?! はぁ?! アイツ急に何聞いてんのよ! 私がここにいるってのにそんな質問、いや、でも、ていうかアイツは……) 

 

美琴は軽くパニックになりながらも、息を吸い、質問の行く末を受け止めようとした。 

 

「ああ。もちろん好きだぜ」 

 

上条はサラッとそう返す。その物言いからして、それは人間的な意味としての好きだということが容易に察せた美琴は、表情を暗くさせた。 

 

「ああそう。でも、それって恋愛としてではないわよねぇ?」 

 

「いや」 

 

最後の疑問系に微かな熱を帯びた食蜂の言い分を遮り、彼は言った。 

 

「言ったろ? 好きだって。俺はアイツが好きなんだよ」 

 

それを聞いた美琴の顔はさっと固まり、食蜂は、温度を失った陶器のような笑顔で、そうと答えた。 

 

「いつでも安らげるような居場所でも、誰よりも分かり合える仲でもない。喧嘩もするし、何考えてんのか分かんねえ時もある。それでもアイツは、そんな溝を何度も飛び越えて俺の横に居ようとしてくれた」 

 

上条は微笑み、頬を掻く。 

 

「凸凹とした関係だけどよ、だからこそなのかな。いつの間にか、そんなアイツのひた向きな姿に惹かれちまってたんだよ。他の誰にも抱かなかった感情が、今俺の中にあるんだ」 

 

食蜂は川面を見つめながら、口角を上に上げ続けた。 

 

「俺の人生は、数え切れないほど大切な人との出会いに支えられている。でも、違うんだよ。美琴はただ大切ってだけじゃない。上手く言えないけど、離したくないんだ。ずっと近くにいてほしいし、時には我儘もぶつけたい。エゴだなんだって言われても、無条件で思いっきり愛したい」 

 

彼は照れた笑顔で、食蜂の方を向いた。 

 

「まとめると、恋しちゃったってわけですよ。上条さんは」 

 

その瞬間、美琴の心臓は跳ね上がり、皮膚を突き破りそうな高揚感と共に全身が真っ赤になっていく熱さを感じた。彼女は両手で顔を覆い、鉄橋のコンクリートを背にしゃがみ込む。 

 

(嘘、嘘嘘嘘嘘! 嘘でしょ?! あ、アイツが? 私のこと……) 

 

心が遥か天空に舞い上がったかのように、体がフワフワして落ち着かない。そんな彼女の耳に、彼の言葉が飛び込んできた。 

 

心が遥か天空に舞い上がったかのように、体がフワフワして落ち着かない。そんな彼女の耳に、彼の言葉が飛び込んできた。 

 

「って、初対面の人にここまで言うのも何かアレだな。惚気てるみたいで恥ずかしいぜ。美琴には内緒にしててくれ。俺から伝えたいんだ」 

 

美琴の心が、急速に落ち着きを取り戻し彼の言葉を吟味し始める。 

 

(……え? 何言ってんの?) 

 

彼は今確かに『初対面』と言った。 

 

そんなはずはない。 

 

彼と食蜂は何度も会っている。現にこの目でちゃんと確認している。 

 

大覇星祭の時やエレメントの襲撃の時にだって顔を合わせていたはずだ。 

 

それならば、何故そんな言葉が口から出る? 

 

「……じゃないわよ」 

 

「へ?」 

 

俯いた食蜂がボソリと何かを呟いた。彼は耳を傾けようと、彼女の顔に近づく。 

 

 

その時だった。彼女は勢いよく顔を上げ、上条の唇にキスをした。 

 

 

上条も、傍で覗いていた美琴も、世界が漂白されたような無音に支配され、何も言えずにその現実を目に焼き付ける。 

 

3秒後、食蜂は顔を下げ、呆然としている彼を真正面に捉える。 

 

「初めてじゃ、ないわよ」 

 

右目から、細い涙が垂れ落ち頬を伝った。 

 

「初めてじゃないわよ! 何回も何十回も会ってる! その度にあなたは私のことを忘れちゃうのよぉッ!」 

 

それが合図だと言わんばかりに、彼女の口から感情の激流が溢れ出す。 

 

「忘れ、る?」 

 

「そうよ! いい? あなたは過去、私の命を救うために瀕死の重傷を負ったのよ。その時に私の能力の影響で脳の記憶の経路が破損。私のことを認識できない体になっちゃったのよ! 私の大切な人っていうのはあなた。世界で一番大好きな人っていうのは、あなたのことなのよぉッ!」 

 

ボロボロと涙を零す彼女を見て、美琴の記憶にとある言葉が蘇ってきた。 

 

ー私が説明しても彼忘れちゃうんだからしっかりしてよねえー 

 

エレメントの襲撃。学園都市を摂取50℃超えの大熱波が襲ったあの日、常盤台中学の食堂に集まった自分と上条に対して、彼女が言っていたこの言葉。 

 

その時は引っかかりを覚えつつも、深く意識せず聞き逃したこの台詞に、そこまでの悲劇が込められていたことなど美琴は想像できなかった。 

 

「ふざけないでよ! さっきから人の心を無視したことばっかり言って! 初対面の人? そんな風に思える誰かが居て幸せ? その大切な人に覚えられない悔しさがあなたに分かるの?! この1年と、今日だって、あなたと御坂さんがどんどん仲良くなっていくの見て、私がどんな気持ちだったと思う? あなたの大切な人の中に、私がいないのがどれだけ辛いのか分からないでしょぉッ!」 

 

止まらない涙と、迸る思いの礫を叩きつけられるがままの上条は、口を開き、何も発せないままただ為すがままに彼女の激昂の的になる。 

 

「私だって! 私だってあなたの幸せを願いたいわよぉッ! おめでとうって、言いたいのよ。それなのに、あなたはそれすら私にさせてくれない。私が何を言ってもあなたの中には残らない! もう少ししたら、さっきのキスどころか私の顔すら思い出せなくなるのよぉ! 何でよ! 何であなたの中に私はいないのよぉ! こんなに好きなのに、こんなに想ってるのに、何で……」 

 

食蜂は水滴を散らし、立ち上がり、走り去った。上条は微動だにせずその場で固まり、美琴は物陰の自分に目もくれず走り去る彼女の背中を眺める。 

 

(何やってんだろう。私) 

 

石階段を上がり、アスファルトの土手を走る彼女の脳内に、理性が語りかける。 

 

(あんなこと言ってもあの人は覚えられないのに。あんなこと聞かなくても、十分分かってたはずなのに) 

 

彼の心が美琴に傾いていることなど、とっくに知っていた。 

 

それなのに、してしまった愚かな質問。その結果得られたものは、空っぽのキスと行き場のないこの悲しみ。 

 

(ああ。そうか。結局) 

 

彼の幸せだけを願っていたはずだった。心からの笑顔で迎えたいと思っていたはずだった。彼のように、まっすぐになりたいと誓ったはずだった。 

 

(期待してただけなのね。いつか、自分の元に帰ってくることを) 

 

信じたくなかった。 

 

彼が自分を思い出さないまま、誰かのものになるなんて。 

 

自分の力を持ってしても、捻じ曲げられなかったそれを、受け入れるなんてとても無理だった。 

 

いつか必ず自分を思い出し、そして、ずっと側にいてくれる。 

 

その願いは。 

 

その幻想は。 

 

今日、完全に砕かれた。 

 

 

「何よ……何なのよぉ……」 

 

大きく息を荒げながら彼女は立ち止まり、膝をつく。そして、アスファルトに落ちた雫の染みを見て、その場にしゃがみ込んだ。 

 

彼にとって完全な過去となった辛さ。 

 

自分の誓いを裏切った弱さ。その悔しさ。 

 

 

ー当たり前だろ。また、来年もよろしくなー 

 

 

記憶の中で、そう言って笑う彼の幻影。その背後で咲き誇る花火。 

 

その全てが、胸を焦がす黒い炎に変わり、粘つく吐き気を引き起こす。 

 

「嘘ばっかり……」 

 

拭う袖がふやけてもまだ、絶望と自己嫌悪に溺れた自分の救いにはならなかった。ただ垂れ落ちる水滴が、浴衣の黒地に吸い込まれては消えていった。 

 

「ねえ」 

 

背後からの声に彼女は顔を上げ振り向く。 

 

「御坂、さん?」 

 

憐憫の目でこちらを見る美琴がそこに立っていた。食蜂は頬のわだちを拭き取って立ち上がる。 

 

「さっきの話、本当なの? アイツがアンタを記憶できないって」 

 

食蜂は息を呑んだ。そして顔に、簡易工事の笑顔を組み立てる。 

 

「ヤァだ。覗き聞きしてたのぉ? 御坂さん趣味力悪いわよ? ひょっとして全部見てた? ならごめんなさいねぇ。あの人の唇私が先に奪っちゃった☆ でも、どうせすぐ忘れるから心配しないでぇ」 

 

いつもの様なお惚けた素ぶりも、全てを知った今では空疎しか感じられなかった。美琴は無言で彼女を見る。 

 

「アラァ? 顔が怖いわよぉ? 別にいいじゃなぁい。両思いなんだし、これからキスなんて腐るほどできるわよ。あんなことやそんなことだってねぇ。気が済まないんなら好きにすればいいわ。殴って気が晴れるんならやって見なさいよぉ。ホラ」 

 

此の期に及んでこんな最低な台詞が口から出る自分に、心底見下げ果てながらも笑顔は崩さなかった。美琴は足を前に出す。今ならどんな痛みでも受け入れる覚悟ができていた彼女は、眉1つ動かさなかった。 

 

だが美琴は食蜂に人差し指を指し、下から睨むような体制で彼女に告げた。 

 

「殴りはしない。その代わり、これから1つ言うことを聞いてもらうわ。拒否権なんかないのは分かってるでしょ?」 

 

冷たい怒りと、奥底に憂いを秘めた瞳に睨まれた食蜂は、何も返せずにそのまま彼女の言うことに耳を傾けた。 

 

 

 

何かが、掌をすり抜けていった気がした。 

 

上条はただ自分の右の掌を見つめ、そう感じた。 

 

「おっと、今何時だ?」 

 

不意にポケットから携帯を取り出す。花火が上がるまであと30分を切っている。 

 

「ヤベッ。行かないと」 

 

これから逸れた美琴を探していたら、一緒に花火を見るのに間に合わないかもしれない。焦りを覚えた彼は素早く立ち上がった。 

 

「何やってんのよ」 

 

左手から、今から探そうとした声が現れた。彼は視線を移す。手を腰に当てた美琴が呆れ顔でそこに立ってちた。 

 

「全く。また余計なトラブルに巻き込まれたわね」 

 

「わ、ワリィワリィ。迷子になった女の子とその連れ探しててよ」 

 

「ふーん。アンタ1人で?」 

 

「ああ……いや、途中で誰かに助けてもらったけど、誰だったっけ? 思い出せねぇや」 

 

「……そう」 

 

美琴は息を吐き、彼の隣に座った。また吹き出した夜風が、川面を震えさせ月の破片を広げていく。 

 

「もうすぐ花火だな」 

 

「そうね」 

 

何でもない会話で間をつなごうとするが、すぐにそれは途絶えた。それでも尚、2人の間の沈黙は心地よく、甘い匂いを秘めている。 

 

「なあ」 

 

上条は用意された言葉の中から、迷わずそれを取り出した。 

 

「俺お前が好きなんだよ」 

 

夜風と静謐が、2人の間を埋めていく。余りにも自然な選択の後に、歯止めの効かない想いの流出をコントロールしながら、拙い言葉で続きを言っていく。 

 

「す、好きつっても、あれだぞ? 先輩後輩とか、そう言うんじゃねぇからな? だから、その」 

 

「分かってるわよ」 

 

美琴も落ち着いた様子で、躊躇いのない想いを告げた。 

 

「私も、ずっとアンタのこと好きだったから」 

 

彼女は眩しく笑った。上条の顔が、急激に血の気を帯びる。 

 

「え、えええええええええッ?! え、嘘?! い、いつからでせうか?」 

 

「本当に気づいてなかったんだ。もう1年も前から、ずっと好きだったんから」 

 

「い、1年。あ、てことはつまり」 

 

「今日から新しい関係、よろしくね」 

 

美琴は膝を折り曲げ、その上に頭を乗せながらそう言った。 

 

「あ、ああ。任せろ。何があっても絶対不幸にはさせねぇよ」 

 

「アンタが言うと説得力なさ過ぎるわ」 

 

「オイ! 本当だよ! 幸せにするから!」 

 

美琴は笑い、それにつられて上条も笑い出す。何者にも邪魔できない幸せが、誰にも絶つことのできない繋がりが、2人の間に満たされていった。 

 

「それじゃあ」 

 

彼女は彼に詰め寄り、人差し指を指した。 

 

「彼女として最初のお願いよ。ちゃんと聞いてくれる?」 

 

 

 

「……えっと、さっき美琴と別れたのがあの辺、か?」 

 

上条は人混みを中を潜るように走っていく。花火が上がるまでもう20分もない。人々の熱気も上がっていき、屋台の混雑も極めて行く中、彼は携帯のメモ帳に記した事柄を随時確認していく。 

 

(これからみんなで花火を見る約束をしてるんだけど、そこに誘ってやりたい奴がいるの。名前は食蜂操祈。ちゃんとメモっときなさい) 

 

「ったく、メモなんかしなくてもそれくらい大丈夫だよ」 

 

姿の見えない彼女に対して愚痴る彼は、立ち並ぶ屋台を見渡し特徴を掴もうとする。こうして見るとどれもこれも似通った光を放っており、分かりづらいなどと思った。 

 

(さっきアンタと別れた場所の近くにあった、風車を売ってる屋台の側で待たせているわ。黒地に白い菊こしらえた浴衣を着てる、無駄な胸の脂肪が特徴的な女よ。そいつをちゃんと、私たちの待ってる土手に連れてきて) 

 

「おいおい。どれだよ風車売ってる屋台って」 

 

湧き出る汗が焦りも引き連れて肌を伝う。背後で焼いているケバブの匂いと煙を振り払い、彼はまた進み出す。 

 

(ああ。良いけど、友達なのかそいつ?) 

 

(……冗談。この世で1番反りの合わないクソッタレよ。今日でより確信したわ) 

 

「あ、あった! あそこか!」 

 

上条は人混みの向こう、左斜め前方に目的の屋台を見つけ、そこへ走り出す。 

 

(ええ、じゃあなんで?) 

 

(別に。ただ) 

 

ようやくたどり着いた屋台の手前で、膝をつき息を整えた。顔を上げると、屋台の隣の石椅子に座っていた見知らぬ少女が、こちらを驚いた目で見て、立ち上がっていた。 

 

(アンタが誰かを悲しませている姿なんか、見たくないのよ) 

 

上条はその少女に目を凝らし、携帯のメモ帳を再度確認する。 

 

その少女、食蜂操祈は、顔を俯かせて彼と目を合わさないようにした。 

 

(何をやりたいのか分からないけど、無駄よ。彼はもう私を忘れている。帰ってくるのはいつも通り、誰だっけーーー) 

 

上条は、彼女に語りかけた。 

 

 

「……食蜂、操祈。だよな?」 

 

 

不意に吹いた夜風が、彼女の背後にあった風車たちをカラカラと回した。それから数秒の間、空白の世界が2人を包んだ。 

 

「あの、えっと……え?」 

 

上条は息を止めた。目の前の彼女の瞳から、大粒の涙が溢れていた。取り乱すでも顔を歪めるでもなく、ただ自然に身を任せて流れ出したそれは、静かに頬を垂れていく。 

 

「おい大丈夫か?! なんかあったのか? あのさ、美琴が向こうで花火を一緒に観たいって言ってんだけど、食蜂さん? アンタで間違いないよな?」 

 

彼女は涙を拭い、華やかに笑う。 

 

「ええ。そうよ。私が食蜂操祈。よろしくねぇ」 

 

余りにも眩いその笑顔に彼はたじろぎながらも、すぐに美琴の顔を思い出し気を引き締めた。 

 

「オッケー。そしたら、一緒に」 

 

言い終わる前に、食蜂は彼の手を握り、引き寄せる。 

 

「行きましょう。一緒に☆」 

 

そう言って食蜂は彼を連れて走り出した。彼は戸惑いながらも手をしっかり握り、彼女についていく。その確かな彼の温もりが、彼女の顔を消えない笑顔で埋め尽くしていく。 

 

自分を思い出しわけじゃない。 

 

この瞬間は幻想に過ぎない。 

 

それでも、人の心は、たったこれだけのことで軽くなれる。 

 

愚かで、甘く、何よりも愛しい。 

 

人混みを駆け抜ける2人の姿に、時折過去の瞬間が織り混ざっていく。 

 

風車のように、くるくると巡り回っていく。 

 

もう戻らないその時を、噛みしめるよう彼女は前に進む足に、力を込めていった。 

 

 

「ねえねえ上条さん! どうなんですか?! 遂に御坂さんと……」 

 

美琴たちと合流し、川辺の土手で花火が上がるのを待っている上条は、目を輝かせる佐天に詰問を受けていた。彼の背後にはスフィンクスに乗ったオティヌスが、憂いと歓迎を織り交ぜた笑みでその様子を見ている。 

 

「その、まあ、この度彼氏になることになりました」 

 

「うわあ~! おめでとうございます! 長かった! ほんっとうにおめでとうございます!」 

 

「ふえぇぇ。い、いよいよ御坂さんも……」 

 

上条の右手としっかり握手しながら賛辞を述べる佐天と、その横でトマトのように紅潮させた顔を両手で包む初春。だが彼はそれよりもその後ろで冷ややかな目をしている黒子が気になって仕方なかった。 

 

「あのさ、白井。これは決して邪な感情とかなわけでは」 

 

苦し紛れな弁明をしようとする上条に向け、黒子は微笑んだ。 

 

「おめでとうございます上条さん。お姉様のこと、よろしくお願いしますわね」 

 

想像より遥かに柔らかい対応に彼は安心と肩透かしを覚え、ああ、と少し間抜けた口調で言った。 

 

「ねえねえ。聞かせてくださいよ~。上条さんいつから御坂さんのこと好きだったんですか~?」 

 

「え? いやあそれは」 

 

「まあ今年の春くらいからは既にお花畑になってたんじゃないか? 私に言ってきたもんな。御坂を見てると胸が苦しいって」 

 

「オティヌスさああああああん?! そういうプライベートは謹んでいただけませんか? その辺を汲んでこそ理解者だよね?!」 

 

「きゃあああっ! 青春ですなぁ。オティヌスさんでしたっけ? 詳しく聞かせてくださいよぉ」 

 

そうして会話を続ける上条と佐天とオティヌスを横目で流し、初春は黒子の元に向かった。 

 

「いや~白井さんも大人な対応ができるように」 

 

初春はそこで言葉を噤んだ。黒子は唇を噛みしめ、瞳に涙を溢れさせていた。 

 

「うわあああああああああん!!! お姉ざま~!!! あああああああああ!!!」 

 

自分の胸元に飛び込んできた黒子を、初春は何も言わずに抱き返した。 

 

そこから少し離れた所で、土手に腰掛ける食蜂は、そのやりとりを見ながら笑みを浮かべている。目元をよく見ると、微かに赤く腫れていた。 

 

「目ぇ腫らしちゃって。ちゃんとアイツに名前、呼んでもらえた?」 

 

振り返ると、腰に手を当てている美琴がそこに立っていた。彼女は何も言わず食蜂の右隣に座る。 

 

「ええ。でも、どういうつもりなの?」 

 

食蜂の質問に、しばしの沈黙を挟んで美琴は答える。 

 

「アイツがアンタを記憶できなくても、さっきみたいに人伝の情報として、ちゃんと記録すれば大丈夫ってことが分かったじゃない。こうやって私みたいな人を増やして、アンタを覚えるようにしていけば、いつか、アイツの脳にも変化が起こるかもしれないわ」 

 

彼女は溌剌とした声でそう言う。食蜂の目が大きく見開いた。 

 

「1人で抱え込んでんじゃないわよ」 

 

美琴は薄く笑う。 

 

「私も手伝ってあげるわ。アイツがアンタを覚えてくれるようになるのを」 

 

抑えられない戸惑いが顔を伝っていく。食蜂は堪らずか細い声で彼女に聞く。 

 

「何で、あなたがそこまで」 

 

美琴は先ほどとは違う、悪戯げな笑みを口に貼り付けた。 

 

「弱みを握っとくことに越したことはないでしょ?」 

 

これ以上ない、最良の返事だった。澄み渡るような安心を次第に取り戻した食蜂は、同じく悪戯げに笑う。 

 

「あなたのそういうとこ、本当に嫌いだわぁ」 

 

周囲には人だかりが増え始め、間も無く夜空を彩る花火に心を弾ませる人々の声が耳を覆う。美琴は佐天たちに囲まれた上条の方を見た。 

 

「当麻ー!」 

 

彼女の声に、彼は佐天たちに一瞥しすぐ側まで近寄る。 

 

「へいへい。どうした?」 

 

「今日は何でも奢りだったわよね? 今度はかき氷お願い。私はいちご味ね。アンタは?」 

 

話を振られた食蜂は驚いた表情をする。 

 

「分かったよ。で、そちらの人は……」 

 

食蜂操祈。私の同級生」 

 

美琴の助力により、気を取り直したようにああと言った彼は食蜂を見る。 

 

「食蜂は何がいいんだ?」 

 

彼の呼びかけに、食蜂は無邪気な笑みで答える。 

 

「レモン味で、お願いするわぁ」 

 

了解、と言った彼はそのまま屋台の方に向かおうとする。そんな彼を背後から美琴が引き止めた。 

 

「あ? 何だよ」 

 

「アンタ、今のちゃんと携帯のメモに書いてなさいよ」 

 

「はあ? さっきから上条さんの記憶力をバカにしてるんですか? それくらい大丈夫だって」 

 

「当てになんないから言ってんのよ。いいから書きなさい」 

 

執拗な促しに渋々携帯を取り出す上条。そんな2人のやり取りを見て、食蜂は静かに笑う。 

 

(そう。あなたは私を思い出したわけじゃない。そうやってまた、何度も忘れちゃう。仮に私を思い出せたとしても、もうあなたは、私の側にはいられない) 

 

食蜂は夜空を見上げた。闇に浮かぶ点々とした星と、灰色にちぎれた雲の残像。後5分もすれば色鮮やかな火の花で埋め尽くされるそれを見ながら、胸に淡い思いを描いていく。 

 

(でも、やっぱり私は諦められない。何度でもあなたに会い続けて、いつか本当に私を思い出せる日が来るのを、待つことをやめられないの) 

 

彼女は手を伸ばし続ける。 

 

届かない光に焦がれても尚、奇跡を祈り続ける。 

 

何度もさよならを重ねた奇跡の先に、本当の未来が待っている。 

 

そこで、今度は自分の口から、ちゃんと別れを告げよう。 

 

 

だから、 

 

 

「さよならが迎えに来ること」 

 

 

最初から分かっていたとしたって。 

 

 

もう一回。もう一回。 

 

 

何度でも君に会いたいーーー 

 

 

 

 

 

 

 

 

元スレ

食蜂「さよならが迎えに来ること」

http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1501129483/

 

シンジ「アスカにもしものことがあったら」 アスカ「ぜんっぜんへーきよ」【エヴァss/アニメss】 

 

シンジ「アスカ、健康診断の結果、どうだった?」 


アスカ「今日はまだ答えが出ないって言われたわ。精密検査するんだって」 

シンジ「え? そうなの? 僕は問題ないって通知だったけど・・」 

アスカ「どーせ、あんたのことなんてどうでもいいから、テキトーにやったんじゃないの?」 

シンジ「えぇー? それじゃ、健康診断の意味ないじゃないか。平気だとおもうけどなぁ・・」 

アスカ「なにそれ。それじゃ、あたしになんか問題があるって言いたいわけ!? バカシンジ!」 

シンジ「ちっ、ちがうよ! そういう意味じゃなくて・・・」モゴモゴ 

アスカ「じゃあどういう意味よ!」 

シンジ「し、心配してるだけだよ! アスカにもしものことがあったら、僕は・・」ショボン 

アスカ「ちょ、ちょっと、なに、いきなり・・」オロオロ 

シンジ「アスカは、大切なとm 

ミサト「また夫婦喧嘩~? 仲がいいことでっ!」 

シンジ・アスカ「ミサト(さん)!」 

アスカ「だ、だれが夫婦よ!(つかアンタ今友達とかいうつもりだったんじゃないの!?)」 

シンジ「そうですよ! いきなり何言うんですか!(アスカ、その話はもういいじゃない)」 

ミサト「まぁまぁ。そうやって一緒に怒ってると、否定してる意味ないわよん? 

アスカ、えっと、ちょっちいいかしら?」 

アスカ「なによ?」 

ミサト「んー、まあ、その、ちょっち、話があるから、私の部屋まできてちょーだい」 

アスカ「はぁ? あたしこれから帰るつもりなんだけど。今じゃダメなの?」 

ミサト「んー、だから、ここじゃ話せないって言ってるじゃない。女の子同士の話なのよ」 

アスカ「はぁ? 女の子ぉ?」 

シンジ「ミサトさん、それはさすがに・・あ、でも最近はアラサーも女子っていうか・・」 

ミサト「シンジ君、その発言は全アラサー女子を敵に回すわよ。あなたはもう何もしないで」 

シンジ「は、はい・・っ・・(なんだろういきなり背筋がゾクゾクした!)」 

アスカ「わーったわよ、すぐに済むんでしょうね?」 

ミサト「すぐよ、すぐ。シンジ君、ちょーっちアスカ借りるから、寂しいと思うけどまっててネ♪」 

アスカ「それはあたしのセリフでしょ!」 

シンジ「え?」 

アスカ「あっ」 

ミサト「ニヤニヤ」 

アスカ「ち、ちが、シンジ、いいから、待ってなさいよね! ほらミサトすぐいく!」 

ミサト「ちょ、引っ張らないでよアスカぁ~」 

シンジ「・・なんだったんだろう・・?」 

ミサト「おまたしっ」 

リツコ「連れてきたわね」 

アスカ「なんなのよもう」プスー 

リツコ「いきなりお怒りじゃない。なにしたのよ?」 

ミサト「愛し合う男女を引き裂いちゃったもんだから、怒ってるのよ」 

リツコ「? ああ、シンジ君?」 

アスカ「いい加減にしないと、本気で怒るわよ」 

ミサト「じょ、じょーだんじゃないのぉ。ゴホン。まあ、こんな冗談を言ってないと、ちょっと言いづらいのよ」 

アスカ「いきなり真面目な顔してなに? 似合わないわよ」 

ミサト「ひっどいいいぐさねぇ! ま、詳しくは、リツコから話すわ」 

リツコ「医療部から、アスカに通常とは異なる所見が見られているという報告が上がっているわ。 重ね重ねになるけど、あなたが健康診断で話した内容をもう一度確認させてもらうわね」 

アスカ「どーぞ。手短にね」 

リツコ「わかってるわ。・・あなた、最近体調が芳しくないときがあると報告しているわね」 

アスカ「えぇ、そうよ。・・なんだか、ちょっと、前とは違う感じがするんだけど」 

リツコ「具体的には、胸に痛みがあるってことよね? 間違いない?」 

アスカ「そうね」 

リツコ「息苦しかったり、動悸がするときがたまにある」 

アスカ「・・まあ、そうよ」 

リツコ「どんな時に多いの?」 

アスカ「家にいるときが、多いかな」 

リツコ「詳しく教えてもらえるかしら?」 

アスカ「・・家に、一人でいるときよ。それがなに?」 

リツコ「・・なるほどね・・」 

アスカ「な、なんなのよ? はっきり言ってよ。不安になるでしょ」 

リツコ「・・これは真面目な質問だから、あなたをちゃかしていうわけじゃないの。それを踏まえて答えて」 

アスカ「なによ?」 

リツコ「シンジ君と一緒にいる時に、なったことはある?」 

アスカ「・・多分ないわよ」 

リツコ「やっぱり、ね」フム・・ 

リツコ「アスカ、あなた、最近EVAとのシンクロ、難儀する時がない?」 

アスカ「!!」 

ミサト「・・・図星、って顔ね」 

アスカ「な、なんのこと? あたしは別に・・」 

リツコ「・・・・・・・・」 

アスカ「黙ってないで、なんか言ってよ! ここまで聞かれて、結果はまた後日、ってのはやめてよね」 

リツコ「アスカに隠してもしょうがないからズバリ言うわ。あなた、A10神経系に異常が出ています」 

アスカ「・・・・え・・・・?」 

リツコ「A10神経は、人の喜びを司る神経。EVAのシンクロにも使われているのは知ってるわよね?」 

アスカ「うん・・」 

リツコ「その神経に、僅かな異常が見られるの。通常であれば、一人でいることで寂しいと感じても、体に不調は現れない。 けれど、今はA10神経に異常が発生している。それで、脳が不安を曲解して身体的異常が発生しているのよ」 

アスカ「・・そ・・んなこと・・」 

ミサト「つまり、どういうこと?」 

リツコ「A10神経は、喜びによって活性化する。今のアスカの場合、A10神経が活性化している状態では、なんら問題がないわ。 ただし、非活性化状態の時に限ってだけ、体に異常が出てしまうようになっているのよ」 

ミサト「シンジ君となんの関係があるのよ?」 

リツコ「・・察してあげなさいよ」 

ミサト「えぇっと・・? 要するに、シンジ君が一緒だとアスカは嬉しいから、元気ってこと?」 

リツコ「まぁ、そういうことなんじゃないかしら。これからは、なるべく一緒にいるようにして頂戴」 

アスカ「・・・ば、ばっかじゃないの!? そんなことあるわけ・・な・・い・・・」 

ミサト「アスカ! どうしたの? 苦しいの?」 

アスカ「は・・ぁっ・・・くっ・・なにこれ・・・今まで・・こんな・・・っ」 

リツコ「アスカ、この錠剤を飲んで。少しは気が楽になるわ」 

アスカ「ングッ・・・は。ぁ、つ・・・うう・・」 

ミサト「アスカ・・・」 

リツコ「麻薬に似た成分が入っていて、強制的に少しだけA10神経を活性化させる効果があるわ。 睡眠導入効果もあるから」 


アスカ「・・きゅ・・うに・・眠気・・が・・」 

ミサト「すごい即効性ね。・・・リツコ、アスカは・・・」 

リツコ「脳に物理的に何かが発生してるわけじゃないのは確かよ。 おそらく、心の問題。・・だから、しばらくは見守ってあげるしかないんじゃないかしら・・」 

ミサト「・・なるべく、アスカとシンジ君を一緒にしてあげれば、アスカはつらい目に会わないで済むのかしら」 

リツコ「そうね。本人は否定するでしょうけど・・事実、アスカがシンクロテストで好成績を出している時は、 必ずシンジ君と一緒に参加しているわ。 シンジ君と別々に参加したときは、A10神経接続すらスムーズにいかない時がある」 

ミサト「大丈夫なの?」 

リツコ「医療部からの報告では、ふとした拍子で治る可能性もあるし・・」 

ミサト「まったく治らない可能性もある、ってことか・・・」 

リツコ「・・・・」 

シンジ「扉が開いてたから、つい盗み聞きしちゃった・・・ ・・あんまりよく聞こえなかったけど・・・アスカが、僕といないとつらい思いをしちゃうってことなのかな・・? だったら、一緒にいてあげなくちゃ・・・!!」 


 ミサト家 アスカの部屋 

アスカ「・・ン・・・」 

シンジ「アスカ、だいじょうぶ?」 

アスカ「・・シン・・・ジ? まぶっ・・し・・」 

シンジ「よかった。起きたんだね」 

アスカ「えっと・・?」 

シンジ「アスカの部屋だよ。なんか、リツコさんとの問診の途中で寝ちゃったとかで、ミサトさんが一緒に送ってくれたんだ」 

アスカ「・・そう・・やっと、目が慣れてきたわ・・」 

シンジ「はい、お水」 

アスカ「・・・ん・・気が利くじゃない・・・・って?」 

シンジ「どうしたの?」 

アスカ「あんた、なんでここにいるわけ? ここ、あたしの部屋でしょーが!」 

シンジ「め、目覚まし時計は投げちゃダメだ! ミサトさんからアスカの体調がよくないからそばにいてくれっていわれたんだよ!」 

アスカ「ホントにぃ~!? あたしの寝こみを襲おうとか考えてたんじゃないでしょうね! ケガラワシイ!」 

シンジ「そんなことするわけないじゃないか・・ほら、水零しちゃうから、飲んで」 

アスカ「ちっ・・コクコク・・ふぅ・・」 

シンジ「元気そうでよかったよ」 

アスカ「全然へーきよ。・・ミサトは?」 

シンジ「なんか、また急に仕事が入ったとかで・・晩御飯を食べてすぐNERVに戻っちゃった」 

アスカ「・・そう。今、何時?」 

シンジ「夜の9時だよ」 

アスカ「だいぶ寝てたみたいね・・・」 

シンジ「うん。ちょっと、心配したよ」 

アスカ「ちょっとだけぇ!?」 

シンジ「と、とっても心配したよ!」 

アスカ「フフン、どーだか・・」 

シンジ「(嬉しそうだ・・)」 

アスカ「晩御飯、食べた?」 

シンジ「ううん。まだ」 

アスカ「ミサトと一緒に食べなかったの?」 

シンジ「アスカと一緒に食べようと思って、まだ食べてないんだ」 

アスカ「!? あ、アンタバカぁ? 別に、一緒に食べなくちゃいけない決まりなんてないでしょ!」 

シンジ「でも、一緒に食べたほうが嬉しいし、楽しいじゃないか」 

アスカ「それは・・その、ソウカモ・・って、別に、一食ぐらい一緒じゃなくても全然平気よ!」 

シンジ「そうだけどさ・・一度そうしようって思ったら、なんか途中で食べちゃうのもったいなくて。 せっかくだから、一緒に食べようよ」 


アスカ「あんたがそこまでいうなら、別にいいわよ・・」 

シンジ「(照れてるアスカってかわいいなあ・・)」 

アスカ「なに顔じろじろ見てんのよ? なんかついてる?」 

シンジ「う、ううん! 大丈夫だよ。それじゃ、ご飯温めてくるから!」 

アスカ「はいはい。着替えてから行くから、今度は勝手に入るんじゃないわよ」 

シンジ「わかってるよ、アスカ」 
 パタン 
アスカ「・・もう・・ばかしんじ・・・」ニコ 


 ミサト家 ダイニング 


シンジ・アスカ「ごちそうさまでした」 

シンジ「美味しかった?」 

アスカ「まぁまぁね(なんで、シンジのご飯ってこんなに美味しいの・・?)」 


シンジ「そっか。今度は、アスカの好きなもの作ってあげるね。なにがいい?」 

アスカ「・・アンタ、どっかに頭でもぶつけたの? 昨日と態度が違いすぎない?」 

シンジ「え? そ、そうかな・・?」 

アスカ「優しすぎるっていうか、なんか気を使ってるっていうか・・」 

シンジ「そ、その・・アスカ、体具合悪いのかなって・・思って・・ほら、健康診断の結果も・・」 

アスカ「なによ、病人扱いで優しくしたってわけ?」 

シンジ「ち、違うよ・・その、大丈夫だった? ミサトさんに連れてかれてたけど・・」 

アスカ「ぜんっぜんへーきよ。なんら問題ないわ」 

シンジ「そう・・(僕には隠すつもりなんだ・・)」 

アスカ「(シンジと一緒にいないとダメな病気だなんて、言えるわけないでしょうが・・!)」 

シンジ「お風呂、入れるよね?」 

アスカ「だから、病気とかじゃないってば」 

シンジ「そっか。すぐ、準備するから」 

アスカ「40秒で支度しなさいよ!」 

シンジ「む、無茶だ~!」 

アスカ「(ドタバタ駆けていったわね・・) ふぅ・・とりあえず・・シンジといれば症状が出ないみたいね。 しばらくは、なるべく一緒に行動するしかないか・・・ って、なんで、ちょっと嬉しがってるのよ、アタシ・・?」 

 朝 教室 

トウジ「お、お二人さーん、今日も仲良く夫婦でご出勤やな?」 

ケンスケ「おはよう、二人とも」 

ヒカリ「おはよう!」 

レイ「おはよう、碇君、2号機パイロット」 

シンジ・アスカ「おはよー、って、だれが夫婦(だ)よ!?」 

トウジ「めっちゃハモりながら言われても、全然説得力ないで」ニシシ 

ケンスケ「トウジ、それはわかっててもいっちゃだめだよ。生暖かく見守ってあげないと!」 

アスカ「あんたら、一回実力行使してやらないと、わからないのかしらね・・?」ボキボキ 

ヒカリ「ア、アスカ、落ち着いて!」 

レイ「2号機パイロット。あなた、そう言いながら、顔がとてもうれしそうだわ」 

アスカ「なっ!? あんた、何言ってんのよ! そんなわけないでしょ! だ、だれがこんなヤツと・・!」 

 キーンコーンカーンコン・・ 

シンジ「アスカ、もうすぐHR始まっちゃうよ。席に着かないと」 

アスカ「ちっ、命拾いしたわね・・・」 


 昼休み 屋上 

トウジ「ひゅー、今朝はホンマに危なかったわ・・シンジ、すまんな」 

シンジ「トウジ、ほどほどにしないと。そのうちホントにアスカに鉄拳制裁を食らっても知らないよ」 

トウジ「お前らがはっきりせんからやろ・・」 

ケンスケ「そうだぜシンジ~。実際のところ、どうなんだよ?」 

シンジ「どうって?」 

トウジ「女の子と共同生活!」 

ケンスケ「発生するラッキースケベ!」 

トウジ・ケンスケ「「芽生える二人の愛情!」」 

シンジ「????」 

トウジ「ホンマ、お前はニブチンやな。だから、好きなんか、って聞いとるんやなんか」 

シンジ「好き、って、僕が!? アスカを!?」 

ケンスケ「そりゃそうだろ。別に、嫌いなわけじゃないんだろ?」 

シンジ「そりゃあ、もちろん、嫌いなわけないよ」 

トウジ「その時点で凄いわ。あんな暴力暴言ワガママ女、どこがええんや? そこがようわからん」 

シンジ「あれは、ただテレてるだけだよ。アスカは他人に優しくするのに慣れてないだけなんだ」 

ケンスケ「おぉー・・まるで彼氏のような発言! 実はもう付き合ってるんじゃないのかぁー?」 

シンジ「違うって・・僕とアスカはそういうんじゃなくて・・なんていうかその・・家族? みたいな・・」 

トウジ「家族、やと・・」 

ケンスケ「付き合うを通り越して結婚したか。まさに夫婦じゃないか」 

シンジ「だーかーらー・・そういうんじゃないんだってば! トウジにだって妹さんがいるでしょ? 僕とアスカは、兄弟みたいな関係だってことだよ」 

トウジ「そうは見えへんけどなぁ・・」 

ケンスケ「まぁ、シンジがそう思ってるならそれでいいんだけどさ。 
向こうは学園の大人気美少女なんだぜ。シンジがはっきりしないと、他のやつにとられちゃうかもよ?」 

シンジ「えっ? それって・・」 

トウジ「シンジ、ごめんね・・アタシ、この人と付き合うことにしたの・・・ヨヨヨ」 

ケンスケ「悪いな、碇・・・お前がはっきりしなくて助かったぜ。アスカは俺が幸せにすr」 
シンジ「やめてよ!」 

トウジ「わわ、じょ、冗談やないか!」 

ケンスケ「そ、そうだぜシンジ。そんな大声あげなくても・・」 

シンジ「ご、ごめん。でも・・(アスカが誰かと一緒にいるのを想像したら、すっごいムカッとした・・なんだろう・・)」 

トウジ「まぁ、ワシはあまりオススメせんけど、後悔せんようにな」 

ケンスケ「おぉー、さすが、彼女がいる人は違うなぁ」 

トウジ「だ、だれが彼女や! ドアホ! いいんちょはそういうんとはちゃうわ!」 

ケンスケ「誰も委員長なんて言ってないだろ?」 

トウジ「うぐっ・・・ぐぬぬ・・・」 

シンジ「(・・アスカが、他の人と付き合ったり・・なんて・・そんな・・)」 


 昼休み 教室 

ヒカリ「アスカ、なんか最近具合わるそうね? だいじょうぶ?」 

アスカ「へ? あ、へ、平気よ!(シンジが教室にいないだけで、少し苦しく感じるわ・・)」 

ヒカリ「授業中は平気そうなのに・・お昼休みだけ、なんか辛そう。なにかあったの?」 

アスカ「だから、平気だってば。ヒカリは心配性ねぇ」 

ヒカリ「・・友達のことだもの。心配するよ。・・なにかあったなら、いつでも言ってね!」ニコ 

アスカ「ありがと、ヒカリ。相談したくなったら、連絡させてもらうわね」 

ヒカリ「うん。望むところよ!」 

アスカ「まーったく、彼氏できてから、ずいぶん余裕があるわねぇー?」 

ヒカリ「かっ、れし、って、なんのこと?」オロオロ 

アスカ「今更隠さなくたっていいでしょ。・・ね、ちょっと聞きたいんだけど」 

ヒカリ「な、なに?」 

アスカ「普段は二人でどういうことをしているの?」 

ヒカリ「ど、どういうことって?」 

アスカ「ほら、デートとか、どこいってるのかなって・・」 

ヒカリ「え、あ、そういうこと?」 

アスカ「どういうことだと思ってたのよ・・」 

ヒカリ「う、ううん! なんでもない! そ、そうね・・たまーに、学校帰りにお散歩したりとか・・」 

アスカ「ふーん・・」 

ヒカリ「お休みの日も、一緒にお買いものしたりとか・・」 

アスカ「買い物かぁ。あとは?」 

ヒカリ「え、映画みたり、とか?」 

アスカ「ふんふん」 

ヒカリ「あとは・・その・・なんていうか・・一緒にいれば、楽しいから・・別に、なんでも・・」 

アスカ「あぁー、はいはい、聞いた私がバカだったわ。オノロケごちそーさま」 

ヒカリ「アスカが言えって言ったんじゃない!」 


アスカ「ごめんごめん。・・ふーん。手、つないだり?」 

ヒカリ「」コクコク 

アスカ「キス、しちゃったり?」 

ヒカリ「えっ、その、それは」コク 

アスカ「あー、もう、なんか自分で聞いといてなんだけど、ちょっとイライラしてきたわ」 

ヒカリ「ひどぉ・・でも、アスカだって、碇君と・・」 

アスカ「なんでそこでシンジの話になるのよ!」 

ヒカリ「だって、凄く仲良さそうで、ちょっと羨ましいぐらいだよ。 
私たちなんて、まだ全然、なんか、何話していいのかわからなくて、無言だったり・・・ 無言じゃ悪いなと思って、お互い無理やり話をするんだけど、会話が続かなかったり・・ アスカと碇くんって、いつも楽しそうにお話してるから、うらやましいなって思ってるの」 

アスカ「はぁ~? あたしとシンジが楽しそうに話してる? まっさかぁ・・」 

ヒカリ「・・・・アスカ、聞いてみたいことがあったんだけど・・」 

アスカ「なによ?」 

ヒカリ「アスカって、碇君のこと、ホントのところはどう思ってるの? 誰にも言わないから、教えて?」 

アスカ「・・そーねぇ。まあ、便利な同居人、ってところかしらね。料理もそこそこうまいし・・ 暇なときは遊び相手になるし?」 

ヒカリ「好き、じゃないの?」 

アスカ「ば、バカ言わないでよ! そんなんじゃないわよ! シンジのことなんか・・っ・・」 

ヒカリ「アスカ?」 

アスカ「(なにこれ・・ちょっと・・苦しくなってきた・・・)」 

ヒカリ「アスカ、だいじょうぶ!?」 

シンジ「アスカ!」 

アスカ「っ」ビクッ 

シンジ「アスカ、大丈夫? 具合、悪くない?」 

アスカ「なんでアタシが具合悪くなるのよ!」 

ヒカリ「(あれ? 急に元気になった・・?)」 

シンジ「その・・なんか、アスカが具合悪くなったんじゃないかって、なんとなく、思って・・」 

アスカ「とんだ見当違いね。あたしのどこが具合悪そうに見えるわけ? ぜーんぜん、ピンピンしてるでしょ」 

シンジ「そっか・・よかった。僕の勘違いで」 

アスカ「・・アタシが具合悪くなってそうな気がしたからって、飛んできたわけ? 態々走って?」 

シンジ「う、うん。ごめんね。食事の邪魔しちゃったかも」 

アスカ「ホントよ。・・でもまぁ、せっかくだから、そこにいなさいよ」 

シンジ「うん、そうするね。委員長、邪魔じゃないかな?」 

ヒカリ「うん、私は、平気だけど・・・アスカ、さっきちょっと具合悪s」 

アスカ「シンジ! 今日のお弁当、ちょっと味付けがこすぎるんじゃない!?」 

シンジ「え、そうかなぁ? いつも通りだよ」 

アスカ「ちゃんと味見してんのぉー?」 

シンジ「してるよー」 

ヒカリ「(アスカ、何か隠してるのかしら・・?)」 

 放課後 教室 

レイ「碇君。今日は、NERVで定期連絡がある日よ」 

シンジ「あ、そうだったっけ? ありがとう、綾波。教えてくれて」 

レイ「いえ。忘れないように伝えてくれって、言われていたから。それじゃ」 

シンジ「綾波、せっかくだから一緒に・・」 

アスカ「シンジ、なにやってんのよ? 今日はNERVの日でしょ?」 

シンジ「うん。だから、綾波も一緒に行こうと思って、さそってたんだ」 

アスカ「ふーん・・」 

レイ「・・どうかしたの? 2号機パイロット」 

アスカ「別に! エコヒイキと一緒に行きたいなら、勝手にすれば!」 

シンジ「あ、アスカ? どういうこと?」 

アスカ「・・・っ・・・(また・・・なんで・・?)」 

シンジ「アスカ! どうしたの?」 

アスカ「なんっ、でも、ない!(シンジと一緒にいるのに苦しくなってるじゃないの・・!)」 

シンジ「なんでもなくないよ! 苦しそう・・大丈夫? どっか辛い?」 

アスカ「ほっ、とい、てよ! もう、先、いくから!(苦しい・・・胸が痛いよ・・・)」ダッ 

シンジ「アスカ! 綾波、ごめん、アスカ具合悪いみたいだから!」 

レイ「私は別にかまわないわ」 

 ガラッ 

シンジ「もういない・・・どこいっちゃったんだよ・・アスカ・・・!」 


 NERV本部 ミサトの部屋 

リツコ「シンジ君と一緒にいても、体調が悪くなった?」 

アスカ「・・そうよ・・一緒にいれば平気だっていうから、無理して一緒にいたっていうのに! 大損じゃないの! ・・っ・・・」 

リツコ「ほら、これ、睡眠導入効果がないものも作っておいたわ。何錠か渡しておくから、具合が悪くなったらすぐ飲むのよ」 

アスカ「・・ングッ・・ふぅ・・・もう・・・なんなのよ、この体・・・!」 

ミサト「リツコ、思い当たる節はある?」 

リツコ「・・まさか、ここまでとはね・・・」 

ミサト「どういうことよ?」 

リツコ「アスカがA10神経系に異常をきたしているのは事実よ。ただし、具合が悪い時にもう一つ欠乏しているものがあることがわかったわ」 

アスカ「・・なによそれ・・」 

リツコ「シンジルフィン」 

アスカ「はぁ?」 

ミサト「なにそれ・・? シンジルフィン?」 

リツコ「そうよ。シンジ君と一緒にいることで、アスカの脳内で分泌されている成分のこと。 A10神経に分泌されている神経伝達物質の一つよ」 

アスカ「・・あほらし・・・」 

リツコ「アスカ。私は大真面目で言っているわ」 

アスカ「・・はん、で、それがどうだっていうのよ?」 

リツコ「あなたの意志はともかくとして、あなたの体は、シンジ君からの愛情を受けていると感じれば活性化し、 シンジ君の愛情が他人に注がれていると感じたり、シンジ君から嫌われていると感じると痛みを感じるの」 

アスカ「はぁぁ!? それじゃまるで、あたしが・・・!」 

リツコ「だから、あなたの意志とは無関係に、と言っているでしょ。 シンジルフィンは言ってみればアスカが感じる、シンジ君からの愛情よ。 そばにいて安心すれば、消費量と供給量が一致し、体が不調をきたすことはない。 より愛情を注がれていると感じれば活性化し、あなたの体の調子はよくなるでしょう。 逆に、シンジ君が他人に好意を持っていると感じたり、自分のことを嫌いなんじゃないかと思えば・・」 


ミサト「体調が悪化する?」 

リツコ「その通り。今日も、なにかあったんじゃないの?」 

アスカ「あ、あるわけ、ないでしょ!」 

ミサト「アスカ。あなたのための思って聞いているの。アスカが苦しんでいるのを、助けたいのよ」 

アスカ「・・・ちょっと、考えさせてよ。・・ぜんっぜん、わかんない・・・」 

リツコ「・・そうね、確かに、あなたには考える時間が必要かもしれないわね・・。 

好きでもない相手から愛されないと普通に生きていけないなんて・・」 

アスカ「・・・・とない」 

リツコ「え?」 

アスカ「・・なんでもない・・」 

リツコ「調査によると、あなたのシンジルフィンの蓄積量は最大で1000。 
1時間一緒にいないと、10減るイメージよ。 睡眠時には変動がないから、大体1日シンジ君といないと160ずつ減るイメージね」 

アスカ「・・どうすると、増えるわけ?」 

リツコ「一緒にいれば基本的に変動はしないわ。 
あとは、あなたがどう感じるかという問題であって、愛されていると強く感じれば、 いきなり1000まで充填される場合もある。 もちろん、逆もまた然りよ。 
シンジ君から嫌われていると感じたり、シンジ君のことを嫌おうとすると、 急激な降下が発生するわ。 
あなたの場合、急激な降下が発生した場合に体に変調をきたしているようね」 

アスカ「冗談・・でしょ・・」 

リツコ「事実よ」 

ミサト「アスカ・・今日の定期連絡会は休んでいいわ」 

アスカ「この状態であたしが休んだら、よけいシンジが心配するでしょ! 普通に出るわよ」 

ミサト「無理しちゃだめよ?」 

アスカ「・・・・無理なんて、してないわ。なにか追加でわかったら、教えて。 
あと、このことは、絶対に、絶対の絶対に、シンジには言わないで」 

ミサト「約束するわ」 

リツコ「あなたがそう望むのであれば、仕方がないわね。 
ただ、もう、あなたはシンジ君の愛情なしでは生きていけないの。 それを、忘れないで」 

アスカ「うるっさいわね! そんなこと・・・いきなり言われても、わかんないわよ・・!」 


 NERV本部 作戦部 会議室 

ミサト「以上で定例報告は終わりです。何かある方はいますか? ・・・・では、解散」 

シンジ「・・・・・」 

ミサト「んーっ! 終わった終わったぁ・・っと」 

シンジ「・・・ミサトさん、ちょっと、いいですか」 

ミサト「シンジ君? どうしたの?」 

シンジ「・・その、二人だけで、相談があるんです」 

ミサト「なぁにぃ? 二人だけなんて、おねーさんドキドキしちゃうわぁー」 

シンジ「真面目な話なんです!」 

ミサト「! 茶化してごめんね。後で私の部屋に来てもらえる?」 

シンジ「はい・・・」 

アスカ「・・なにをコソコソやってんのよ、あの二人は・・・っ・・・・ング・・ぷはぁ・・ (こんなことでシンジルフィンが減るわけ・・・!? 
この調子じゃ、すぐになくなっちゃいそうね・・・)」 

 NERV本部 ミサトの部屋 

 コンコン 

ミサト「どうぞぉ~」 

シンジ「失礼します」 

ミサト「ちょっち汚れててごめんね」 

シンジ「・・ちょっち・・? い、いやまあ、それはいいんです。ミサトさん」 

ミサト「どしたのー? なんか飲む? ・・あれ、このウーロン茶いつのだっけ・・」 

シンジ「だ、大丈夫です。・・その、アスカの件で・・」 

ミサト「!・・・アスカが、どうかした?」 

シンジ「ごめんなさい。その・・聞いてしまったんです。アスカの体のこと」 

ミサト「・・・・・・」 

シンジ「アスカの具合が悪くて、その・・僕が一緒にいないと、体調が悪くなるってこと」 

ミサト「なら、一緒にいてあげて。 
ただ、私はあなた達に、無理してお互いを意識してほしいとは思ってないわ。 
無理に好きでもない相手から好かれようとすることも、無理に好きでもない相手に愛情を示すことも・・ 生きるためだとはいえ、そんなことは強要されたくないもんね」 

シンジ「ミサトさん・・」 

ミサト「シンジ君は優しいから、アスカのためを思って、無理にあの子に優しくしようとか考えているんじゃない? それって、とても優しくて、とても残酷なことだわ。 

アスカのプライドの高さはシンジ君だって知っているでしょう? あの子が、自分のためだとはいえ、嘘をついてまであなたに愛情を注がれていると知ったら、どう思うかしら?」 

シンジ「ミサトさん、僕は・・・僕は、無理なんて、していません!」 

ミサト「じゃあ、あなたは、アスカのことを・・異性として、好きなの?」 

シンジ「・・まだ、わかりません。 でも、今日、思ったんです。 アスカがほかの人と一緒にいるのはいやだって・・ もし、僕以外の人と、手をつないだり、楽しく過ごしていたら、僕はきっと・・哀しいって」 

ミサト「その言葉を聞いたら、アスカ、元気になるかもね?」 

シンジ「・・そうなのかな・・ 自信ないですよ。 アスカはかわいいし、頭もいいし、元気で、ちょっとイバってるけど本当はとっても優しくて・・」 

ミサト「ふふ」 

シンジ「え? な、なにか、変なこと言いました?」 

ミサト「ううん。かわいいな、って思っただけ」 

シンジ「は、はあ!?」 

ミサト「この調子なら、シンジ君がいつも通りアスカと接するだけで、アスカはどんどん元気になれそうね」 

シンジ「でも、今日、具合が悪そうでした・・・」 

ミサト「そうだったの・・なにか、あったの?」 

シンジ「綾波がNERVの連絡会があるって教えてくれたから、一緒にいこうって誘ったんです。 そしたらアスカが怒りだして・・・」 


ミサト「シンジ君」 

シンジ「はい?」 

ミサト「どうして、アスカが怒ったかわかる?」 

シンジ「・・綾波のことが、あまり好きじゃないから・・?」 

ミサト「ちっがうわよ。まあ、ある側面ではそれもあっているのかもしれないけど・・」 

シンジ「じゃあ・・その、やきもち・・やいた、とか。ま、まさか、そんなことないですよね。 
アスカが綾波にやきもちをやくなんて・・そんな・・・」 

ミサト「・・ホントにこの子達は・・・」ハァ 

シンジ「ミサトさん、僕は本気で悩んでいるんです!」 

ミサト「ごみんごみん。・・シンジ君。これは、私からのお願いなんだけど」 

シンジ「なんですか?」 

ミサト「もし、アスカがとっても苦しそうにしていたら・・助けてあげてほしいの」 

シンジ「あたりまえじゃないですか! 僕は、そのためにミサトさんに・・」 

ミサト「キスしてあげてほしいの」 

シンジ「・・・・へ?」 

ミサト「抱きしめて、キスしてあげて」 

シンジ「き、き、キス!? な、な、なんでですか!?」 

ミサト「リツコによると、身体の触れ合いや、キスのような愛情を感じやすい行為によって、アスカは元気を取り戻すそうよ」 

シンジ「そ。そうなん、ですか・・」 

ミサト「まぁ、アスカがよっぽど具合悪そうにしている時だけでいいけどね。 さすがの私も、普段からチュッチュイチャイチャされたら、うちに帰りづらいしね?」 

シンジ「で、できませんよ! そんなこと!」 

ミサト「いざって時は期待してるわよ、シンジ君♪」 

シンジ「・・・が、頑張ります・・・けど・・・そんな・・・」ブツブツ 


 NERV本部 女子トイレ 

アスカ「・・・・なんなのよもう・・・いたた・・ (変なこと色々考えたせいで・・・大分蓄積が減ってる気がする・・ ここまで症状が出るとなると、シンジルフィンの話、あながちただの冗談じゃないみたいね・・)」 

レイ「どうしたの、2号機パイロット」 

アスカ「・・アタシ今、機嫌悪いわよ」 

レイ「碇君が心配していたわ」 

アスカ「バカシンジに心配されるようじゃ、終わりね」 

レイ「具合が、悪いの? 医療室へ行った方がいいわ」 

アスカ「シンジのせいよ」 

レイ「碇君の・・・せい?」 

アスカ「笑っちゃうでしょ。アタシ、シンジがいないと生きていけないんだって。 シンジが、いないと、生きて・・いけないんだって・・」 

レイ「・・・2号機パイロット・・・?」 

アスカ「・・アタシ・・どうしたらいいの・・・」 

レイ「・・・」ナデナデ 

アスカ「そんなこと言われたって・・わかんないわよぉ・・・」 

レイ「大丈夫。あなたは碇君にとっても大切なひと。 それは、私にとっても大切ということと一緒。 私にできることなら何でもするわ」 

アスカ「・・エコヒイキ・・・」 

レイ「今は、泣いていいわ」 

アスカ「な、泣くわけないでしょ! あんたなんかの前で!」 

レイ「じゃあ、話だけでも聞かせて」 

アスカ「ど、どうしても、聞きたいわけ?」 

レイ「そうね」 

アスカ「じゃ、じゃぁ・・・話すけど・・場所、変えましょ」 

レイ「わかったわ」 


 NERV本部 パイロット休憩室 

レイ「そういうことだったの」 

アスカ「・・もう、わけわかんなくて・・・」 

レイ「あなたは、碇君のことをどう思っているの?」 

アスカ「・・あたしは、よく、わからなくて・・でも、シンジを失うのは嫌なの・・ そばにいてほしいし・・・ほかの人と仲良くしてほしくない・・・」 

レイ「そう・・つらかったわね」 

アスカ「・・うん・・・って、アタシ、なんでアンタなんかにこんなこと話してんだろね・・ もともと、どっちかっていえば、好きじゃなかったのに・・」 

レイ「誰にだって、誰かに話を聞いてほしいときはあるわ」 

アスカ「・・・あんた、意外と、優しいのね・・」 

レイ「あなたが碇君にとって大切な人だから」 

アスカ「あ、っそ。・・でも、嬉しい。ありがとう・・って、え?」 

レイ「なに」 

アスカ「アタシが、シンジにとって大切って、どういう意味?」 

レイ「そのままの意味よ」 

アスカ「す、好きってこと?」 

レイ「わからないわ」 

アスカ「あ、そ・・」ガックシ 

レイ「ただ、あなたのことを気にかけて、今の碇君は行動している。 あなたが心配だから、あなたを元気づけるために・・・」 

アスカ「そんなこと、なんでわかるのよ?」 

レイ「碇君に聞かれたの。あなたを元気づけるためにどうしたらいいかって。結構前だけれど他の人にも相談してるって言ってたわ。あなたのためになんでもしてあげたいんだって」 

アスカ「・・あの、バカ・・・」 

レイ「あなたは、碇君のことが好きなの?」 

アスカ「・・どう思う?」 

レイ「私に聞かれても困るわ。ただ、私は、碇君といるとぽかぽかする。あなたは、どうなの」 

アスカ「アタシは・・シンジと一緒にいると・・・嬉しい・・かも」 

レイ「なら・・」 

マリ「それって、好きってことだにゃ」 

アスカ「あ。あああ、あんた! いつからそこにいたのよ!」 

マリ「最初からいたよー。お二人さんが後から入ってきてこそこそ始めたから、出るに出られなくなったんじゃん!」 

アスカ「き・・聞いてたの・・?」 

マリ「もちろん。バッチリと! 姫のわんこ君に対するあつぅーい思いの丈を、ぎっしり聞かせてもらったにゃー」 

アスカ「だ、だれかに言ったりしたら・・・許さないからね・・!」 

レイ「落ち着いて。平気よ。この人は、そういうことはしないわ」 

マリ「ありゃ? なんか、私ってば結構信頼されちゃってる?」 

レイ「この人は、あなたのためを思ってくれている。そんな気がするわ」 

マリ「ありゃー、私のほとばしる母性愛が、にじみ出ちゃったのかにゃー?」 

アスカ「・・・で、どうなのよ・・」 

マリ「うん? いうわけないでっしょ! この私が、姫の幸せを願ってやまないこの私が、わんこ君と姫の仲を応援してばかりのこの私が!」 

アスカ「あんた、言葉を並べるたびにどんどんうさんくさくなっていってるわよ」 

マリ「えぇー? 残念・・本気なのに・・・しっあわっせはぁ~♪」 

アスカ「突然歌い始めるし・・・なんなのよ、こいつ・・」 

アスカ「・・なんか、ほっとしたわ。ありがとう。エコヒイキ・・・ううん、レイ」 

レイ「! ・・いえ・・」 

マリ「ありゃりゃー? お友達、増えたのかな?」 

アスカ「うっさい!」 

マリ「ふふふ。・・姫は、今の素直な気持ちをわんこ君に伝えたらいいと思うよー」 

アスカ「・・そんなこと、できるわけないでしょ・・どう思ってるかも、ちゃんとわかってないのに・・」 

マリ「失うのが怖いからって、いつまでたっても手を伸ばさないままでいたら、最後につらいのは自分なんだよー」 

アスカ「・・・・・」 

マリ「失う怖さを乗り越えて一歩踏み出すこと!人はそれを、勇気と呼ぶのだ! 勇気の鈴が、リンリンリーン♪」 

アスカ「勇気・・か・・」 

マリ「不思議な冒険ルンルンルーン♪」 


 NERV本部 通路 
シンジ「(・・ミサトさんはああいっていたけれど・・ 結局僕は、自分でもよくわかってないんだよな・・ アスカは、生意気で、いじっぱりで、いつも僕のやることなすことケチつけて・・・ でも・・・)」 

  ドンッ 

マリ「うにゃっ」 シンジ「わっ」 

マリ「ててて、ありゃー、わんこ君かぁ」 

シンジ「マリさん? すみません、ちょっとぼーっとしていて・・」 

マリ「姫のことでも考えてたのかにゃー?」 

シンジ「え!? な、なんでわかるんですか?」 

マリ「ありゃ、図星かぁ。姫もわんこ君も、ほんっとにじれったいなぁ・・」 

シンジ「え?」 

マリ「こっちの話! ってか、マリさん、じゃなくてマリちゃん、って呼んでっていってるでしょぉー?」 

シンジ「い、いや、だって・・・」 

マリ「わんこ君のいけず!」 

シンジ「い、いけず?」 

マリ「あちゃー・・ジェネレーションギャップ・・ 
   まぁ、いいや。わんこ君、姫が探してたけど、連絡、なかった?」 

シンジ「いえ・・特に連絡はありませんでしたけど・・」 

マリ「ふむぅん・・ まったくぅ。 ・・・・・・」 

シンジ「マリ・・ち・・さん?」 

マリ「よし。 お姉さんがひと肌脱いじゃうかにゃ・・」 

シンジ「え?」 

マリ「・・わんこ君もさ、大変だよね」 

シンジ「なんですか? 突然・・」 

マリ「姫もさー、あー見えてお子様だからさ、ワガママはひどいし、気分屋だし・・ 正直、一緒にいると疲れるよね?」 

シンジ「い、いや、僕は・・」 

マリ「いいっていいって。姫には内緒にしとくから! ぜーんぶゲロっちゃっていいんだよ。 ゲコゲコ」 

シンジ「アスカは・・・」 

マリ「いっつもわんこ君の悪口ばっかりいってさ。 ばかしんじ~、とかさ。 
あんた、なにやってんのよ!とかさ。 毎日言われる身になってほしいよねぇ。 
さすがのわんこ君もかわいそうだにゃーって、皆思ってたんだよ」 

シンジ「ぼ、僕は・・」 

マリ「いっそのこと、姫とは別居して、私と一緒にくらそっか? こーみえて私、歌うまいよ!」 

シンジ「いえ・・その・・」 

マリ「(スルーされた・・) わんこ君には、もっといい人がいると思うんだよにゃー。 あんなのじゃなくて。もっと年上でオトナの・・」 

シンジ「マリさん!」 

マリ「おぉっと、なにかにゃ?」 

シンジ「突然、どうしたんですか? アスカのこと、悪くいうのはやめてください!」 

マリ「悪口なんて言ってないよー。 全部事実でしょー? わんこ君だって、そう思ってる」 

シンジ「確かに・・・アスカは、わがままだし、気分屋だし、毎日バカにされるけど・・ でも、本当は優しくて・・ その・・なんていうか・・・」 

マリ「ありゃりゃー? まるで、自分のカノジョの悪口を言われたみたいな怒り方だにゃー?」 

シンジ「ち、違いますよ! そんな・・・」 

マリ「ふふっ。冗談冗談! さっきのも含めてじょーだん!」 

シンジ「ええっ? も、もう・・なんなんですか?」 

マリ「ただ、私は二人ともだーいすきなだけだにゃー♪ 
・・あのね、シンジ君。 アスカはね、とっても辛い病気なんだ。 
救ってあげられるのは、キミだけなの。 もちろん、救うのも救わないのも、キミ次第だよ。 
でもね、私はキミに、救ってあげて欲しいと思うんだ~。 これは、私のわがまま」 

シンジ「え・・? え?」 

マリ「えへへ。じゃあね、わんこ君! きーみは誰のわんこ君~ ネールフそれとも、あ~の子ぉ~♪」 

シンジ「・・マリ・・さん・・??」



  数日後 
 ミサト家 リビング 

シンジ「・・ミサトさん、遅いね」 

アスカ「そ、そうね」 

シンジ・アスカ「・・・・」 

アスカ「(・・やばい・・)」 

シンジ「(・・やばい・・)」 

アスカ・シンジ「(何を話していいのかわからない!!!)」 

アスカ「・・え、っと」シンジ「あの」 

アスカ「な、なに?」 

シンジ「ア、アスカこそ。どうしたの?」 

アスカ「な、なんでも、ない・・」 

シンジ「そ、そう」 

アスカ「(な、なんでこんなに緊張してるの!?!?)」 

シンジ「(い、いつも何話してたっけ!? ええと・・ええと・・・!)」 

アスカ「あっ、お、おふろ!」 

シンジ「あ、うん! そ、そうだね! いれないと!」 

アスカ「た、たまには、私がやるわよ?」 

シンジ「いや、そんなの、悪いよ!」 

アスカ「いっつも、シンジには、色々・・やってもらってるし・・」 

シンジ「あ、あたり・・まえだよ。だって・・」 

アスカ「・・だって・・?」 

シンジ「あ、アスカが・・よろこんd」 

ミサト「とわっだいまぁ~」 

アスカ・シンジ「!!!!!」 

ミサト「いやぁ~。今日も疲れちゃったわぁ~・・って、アレ? 二人とも、ひきつった笑顔なんて浮かべてどうしたの? 
まさか、ケンカ~? やめなさいよ、痴話げんかなんて」 

アスカ「ち、ちがうわよ! ね、シンジ!」 

シンジ「う、うん! そうですよ、ミサトさん! 僕たち喧嘩なんてしないですよ!」 

ミサト「んん~?? ナニナニ、どうしたの? 二人とも様子が変よ?」 

アスカ「・・・べ、別に、変じゃないし!」 

シンジ「そ、そうですよ! いつも通りですよ! ね、アスカ!?」 

アスカ「そ、そーよ! いつも、仲いいし・・」ジッ 

シンジ「そ、そうですよ・・」ジッ 

アスカ・シンジ「(じーっ)」 

ミサト「えーっと、なに見詰め合ってるの?」 

アスカ・シンジ「うわぁっ!」 

アスカ「ななな、なによシンジ! なにか用ならとっとと言いなさいよね!」 

シンジ「あああ、アスカこそ、なんか言いたいことがあるなら早くいいなよ!」 

ミサト「・・はぁ。まぁ、仲がいいのがわかったわ。着替えてくるから、シンちゃん晩御飯とビールよろしくね♪」 

シンジ「は、はい・・・」 

アスカ「そ、それじゃあたし、お風呂洗ってくるから・・」 

シンジ「え? ホントに、いいの?」 

アスカ「た、たまにはね! あたしだって、お風呂洗ったり、ご飯作ったり、できるんだから・・」 

シンジ「そ、そうだよね。アスカは、なんでも上手くできそうだよね」 

アスカ「そう、かな・・」カァッ 

シンジ「う、うん・・・」 

アスカ・シンジ「・・・・」 

アスカ「い、いってくるね」 

シンジ「うん。ありがとう、アスカ」 

アスカ「ま、まっかせなさいよ!  ~♪」 

シンジ「(か、かわいい・・・)」 


 その夜 ミサトの部屋 

 コンコン 
ミサト「ふぁーい。あいてるわよん♪」ゲプー 

アスカ「・・入るわよ、ミサト」 

ミサト「珍しいじゃない、アスカ」 

アスカ「・・お酒、飲んでるの?」 

ミサト「ちょっちね。・・でも、大丈夫よ。まだ全然飲んでないから」 

アスカ「さっきゲプーって聞こえたわよ」 

ミサト「可愛い家族に冷静なアドバイスができる程度には、正気を保ってるつもりよ」 

アスカ「どーだか・・」 

ミサト「ま、座って。汚いところだけど」 

アスカ「汚いのは知ってるから、別にいいけど。・・じゃ、失礼するわ」 

ミサト「息をするように毒を吐くわね・・なんか飲み物持ってきましょうか? 長くなりそうな気がするから」 

アスカ「・・ううん。大丈夫」 

ミサト「そ。必要だったら持ってきてね」 

アスカ「わかったわ。・・・それでね、ミサト」 

ミサト「うん?」 

アスカ「・・あの、私のね、友達の、ヒカリ、っていうんだけど。・・その、最近、とっても悩んでるみたいなの」 

ミサト「シンジ君が委員長って呼んでるコね」 

アスカ「そう。・・その、ヒカリには、鈴原って彼氏がいるんだけど。 ヒカリは、どうやら、とってもその人のことが大切みたいなのよ」 

ミサト「素敵なことじゃない」 

アスカ「そう・・なのかな。 でもね、最近とっても不安に思うことがある・・んだって」 

ミサト「どんなこと?」 

アスカ「・・それを聞く前に、ミサトに聞きたいんだけど、ミサトは、中学のころ彼氏とかいた?」 

ミサト「んー。残念ながら、いなかったわ。私は、セカンドインパクトの関係でしばらく中学校いけてなかったし・・ 好きな人はいたけど、全然。ちょっと話しただけで舞い上がってたわ」 

アスカ「意外ね。グイグイいくタイプに見えるけど」 

ミサト「まぁ・・不器用なのよ、私って」 

アスカ「ふーん・・ヒカリが気にしているのはね、もっと未来のことなの」 

ミサト「未来?」 

アスカ「中学校を卒業して、高校を卒業して、大学を卒業して、社会人になって・・・ それでも、中学のころに付き合っていた人と一緒にいる人って、ほんの一握りじゃない?」 

ミサト「んー、まぁ、確かに、そうね」 

アスカ「・・もし、今お互いに気持ちを伝えて・・それで、もし、もしもよ? 付き合う、ってことになっても・・」 

ミサト「いつかは離れ離れになってしまう?」 

アスカ「可能性が、高いわけよね。 
だったら、まだ、今の関係のままでいて・・ 高校とかになってから、伝えたら、ずっと一緒にいられるんじゃないかって・・ どう思う?」 

ミサト「難しい質問ね・・・ 
そういう悩みって、本当にいくつになってもあるものよ。 

恋愛のタイミングっていうのかな・・ すごく難しいことだと思う」 

アスカ「・・悩んでも全然答えがでなくて・・」 

ミサト「そうなのよね・・ 好きな人の行動で一喜一憂して。 
つまんないことで落ち込んで。 些細なことで凄く元気になって。 
恋愛って、本当にもろ刃の剣だなって思うわ」 

アスカ「今でも?」 

ミサト「もちろん。今でもよ」 

アスカ「・・そっ、か」 

ミサト「何が正解か、私に言うことはできないけど、言えることがあるとすれば、 やらなかった後悔は取り戻せないけれど、やってしまった後悔は取り戻せるわ。 

たとえばもし、今2人が付き合いだしたとして、なんらかの理由で別れてしまったとしても、 その間に培った二人の思い出がなくなることはないの。 
だから、何かの拍子で元に戻ることだって0ではないのよ。 
お互いが、お互いを大切に思う限りね」 

アスカ「・・・伝えたほうが、いいと思う?」 

ミサト「私の個人的な意見を言わせてもらえば、伝えたほうがいいと思うわ。 伝えればよかった、って思うより、絶対にいいはずよ」 

アスカ「そう、よね」 

ミサト「あと、もう一つ言わせてもらうとすれば・・ 中学校の時分で、EVAなんてのに乗って、世界を救って、お互いの命を助けあって、 
一緒に暮らして、笑って、泣いて・・・ そんな風に一緒に過ごした人は、世の中にあなた達しかいないわ」 

アスカ「・・・・! あ、あたしはヒカリの・・・!」 


ミサト「自信を持っていいのよ、アスカ。 あの子は、本当にそういうところにニブくて、勇気がなくて、自信がなくて・・・ だけどとっても優しい人よ。 
私より、アスカのほうが詳しいと思うけど」 

アスカ「・・・・そう、よね」 

ミサト「一生の伴侶にするなら、優しい男じゃないとダメよ。 大体人気があるのはちょっと斜に構えたような男だけど、 あーいうのはホントだらしなくてだめなんだから」 

アスカ「それ、加持さんのこと言ってるの?」 

ミサト「ち、違うわよ! 一般論、一般論!」 

アスカ「・・ありがと、ミサト。フラれたら、慰めてよね」 

ミサト「フラれるって・・そんな・・いえ、やめときましょう。 もし結果がわかったら、連絡頂戴ね」 

アスカ「うん。ありがと! すっきりしたわ」 

ミサト「お役にたてて光栄よ。 おやすみなさい、アスカ」 

アスカ「おやすみ!」 

  ガラッ 

ミサト「(・・・・・・・・・やっぱり、ダメよね・・こんなこと・・)」 


 NERV本部 ミサトの部屋 

リツコ「降りたいですって? あなたが元々の発端じゃないの」 

ミサト「ほんっとーにごめん! ・・でも、ちゃんと恋してる二人を見たら・・ 私がやってることってなんてひどいことなんだろう、って思ったのよ」 

リツコ「でも、結果から言えばあなたの後押しがあったから、ここまで二人が意識しあうようになったわけでしょ?」 

ミサト「きっと、時間の問題だったわ。 私が見れていなかっただけで、二人とも本当にお互いのことばっかり考えているみたいだもの」 

リツコ「今から全部なかったことにするのは難しいわよ。 NERVのほぼ全職員がベットしてるんだから」 

ミサト「・・うへぇ・・・われながら罪悪感がハンパなくなってきたわ・・」 

リツコ「面白半分で人の恋路を賭け事になんかするからよ」 

ミサト「だってぇ・・あんまりじれったいもんだから、1年ぐらいはこのままなんじゃないかなーって思ったんだもん・・」 

リツコ「・・まぁ、もう状況は終盤よ。あとはあの二人がどうするか、ということだけだと思うわ」 

ミサト「そうね。・・問題は・・・」 

リツコ「沈黙を保っている碇司令、か・・・」 


 NERV本部 総司令室 

ゲンドウ「冬月。現在の状況を教えてくれ」 

冬月「セカンドチルドレン5割。サードチルドレン1割。現状維持3割、その他1割だ」 

ゲンドウ「そうか。・・分が悪いな、シンジ」 

冬月「あのいつもの調子を見ていれば、こうならざるをえないか」 

ゲンドウ「・・引き続きモニターを頼む。・・おそらく、近いうちに決着するだろう」 

冬月「わかっている。・・・碇、一つだけ聞きたいのだが」 

ゲンドウ「なんだ」 

冬月「なぜこんな大げさなことをする?」 

ゲンドウ「・・すべてが終わったら話そう」 

冬月「今はまだ、その時ではない・・・と、いうことか」 

ゲンドウ「・・・・・」ニヤ 

 NERV本部 総司令室 

ミサト「・・葛城ミサト、入ります」 

シンジ「碇シンジ、入ります」 

 シャッ 


ゲンドウ「・・・・」 

ミサト「お待たせして申し訳ありません」 

ゲンドウ「かまわん・・・頼みがあって呼ばせてもらった」 

ミサト「なんでしょうか」 

ゲンドウ「第2新東京市で初号機を使い、テストをしてもらいたい」 

ミサト「テスト・・ですか。どのようなテストでしょうか」 

ゲンドウ「詳細は冬月から説明する」 

冬月「内容は、広大なエリアを使用したEvaの兵装使用実験だ。新たな兵装のコンペティションも同時に行われる予定だ」 

ミサト「第2新東京市で行う理由は、機密保持でしょうか」 

冬月「察しがいいな。その通りだ。EVAも擬装して行う」 

ミサト「期間について教えていただけますか」 

冬月「急ですまんが、明後日から1週間だ」 

ミサト「承知いたしました」 

シンジ「あのっ!」 

冬月「どうした、サードチルドレン」 

シンジ「・・あの、そのテストは、初号機だけなんでしょうか」 

冬月「そうだ」 

シンジ「2号機は・・アスカは、一緒では、ないんでしょうか」 

冬月「今回のテストは初号機だけだ」 

シンジ「・・い、一緒に、同行、することは・・できませんか」 

冬月「どういう意味かね?」 

シンジ「ミサト・・さん、アスカの・・ことは・・」 

ミサト「副司令。彼は、セカンドチルドレンの体調を慮っています」 

冬月「その件は聞いている。しかし、それだけのために今回の予定を変更することはできない」 

シンジ「・・そう・・・ですか・・」 

冬月「本部の防衛が手薄になってしまうことも避けたい。理解できるな?」 

シンジ「・・はい・・・・」 

ゲンドウ「以上だ。何か質問はあるか」 

ミサト「いえ、ありません」 

シンジ「・・・・・・・・・・・いえ・・・」 

ゲンドウ「では、頼む」 

ミサト「失礼いたします」 

シンジ「失礼、します」 

 シャッ 

ゲンドウ「・・助かる」 

冬月「碇。言い辛い気持ちは理解するが、私に自分の不都合な仕事だけを押し付けるのはやめてもらいたいな?」 

ゲンドウ「・・・・・」 

冬月「まぁいい。・・これがお前が用意した、最後の切り札・・と、いうわけだな」 

ゲンドウ「・・・これで決着がつかなければ・・・・強引な策をとるしかあるまい」 

冬月「(すでに十分強引だと思うが・・)」 

 ミサト家 リビング 

ミサト「と、いうわけで、しばらく留守番お願いね、アスカ」 

アスカ「・・・・・・」 

シンジ「アスカ・・・」 

 クルッ 

アスカ「一人で自由に過ごせるなんて、ひっさしぶりー!」 

シンジ「アスカ、すぐ、帰ってくるからね」 

アスカ「ば、ばっかじゃないのぉー? なんで、そんな、私が、寂しがってるみたいな・・」 

ミサト「アスカ、なるべく予定は前倒しするつもりだから。・・その、もし、具合がわるくn 

アスカ「そんなに都合悪く、具合悪くなったりないわよ! たった一週間でしょ! あー、自由っていいわぁー!」 

ミサト「(アスカ、泣いてるのかしら・・)」 

シンジ「アスカ」 

アスカ「な、なによ!?」 

シンジ「顔、見せてよ」 

アスカ「・・・いや」 

シンジ「泣いて・・るの?」 

アスカ「な、泣くわけないでしょ! なんで、あたしがバカシンジと会えないだけで泣くのよ!」 

シンジ「・・・アスカ、帰ってきたら、聞いてほしいことがあるんだ」 

アスカ「!」 

シンジ「今、言ってもいいんだけど、言ったら・・・一週間、辛くなりそうだから・・」 

ミサト「シンジ君・・」 

アスカ「・・ミサト」 

ミサト「ん、ちょーっち、ビールを切らしてたのを思い出したわ。買ってくるから、二人ともいい子にしてるのよん♪」 

アスカ「・・ありがと」 

シンジ「ミサトさん・・」 

ミサト「・・・・ごめんね。二人とも」 

 パタン 

 クルッ 

アスカ「・・・シンジ」 

シンジ「アスカ・・・ほら、やっぱり、泣いてるじゃないか」 

アスカ「バカね、あくびよ、あ・く・び!」 

シンジ「そっか」 

アスカ「そーよ」 

シンジ「アスカも一緒に行けるように、お願いしたんだけど・・・無理だったよ」 

アスカ「そ。まあ、任務じゃしょうがないわよ」 

シンジ「・・あのね」 

アスカ「戻ってくるまで、何も言わないって決めたんでしょ。だったら、あたしは待ってるわ」 

シンジ「・・・そう、だね」 

アスカ「ただし、帰ってきたら、言いなさいよね。待っててやるから」プイッ 

シンジ「ありがとう。・・ついたら、電話、するね」 

アスカ「いーわよ別に。忙しいだろうし・・こっちだって、NERVの通常業務はそのままなんだから」 

シンジ「ご飯とか、どうするの? 作り置きしておこうか?」 

アスカ「あんたねー。アタシを誰だと思ってんのよ! 料理ぐらいちゃっちゃとできるんだから!」 

シンジ「でも、一人分作るのって、結構大変だよ?」 

アスカ「ヒカリでも呼ぶわ」 

シンジ「そっか。そうだね」 

アスカ「・・ちゃんと、無事で帰ってきなさいよね」 

シンジ「大丈夫だよ。ただのテストみたいだから」 

アスカ「・・そ。なら、いいけど」 

シンジ「・・・ありがとね、アスカ」 

アスカ「なによ、いきなり」 

シンジ「心配してくれて、うれしいよ」 

アスカ「あ、あったりまえでしょ! あんたがいなくなったら・・」 

シンジ「いなくなったら?」 

アスカ「内緒よ!」 

シンジ「ふふ。じゃあ、帰ってきたら、聞かせてね」 

アスカ「もー、なんなのよその余裕! あたしが想像してたのと、全然違うし!」 

シンジ「え? 想像って?」 

アスカ「うっるっさっいわねー! いちいちそんなこと聞かないでよ!」 

シンジ「ご、ごめん!」 

アスカ「・・もう・・・ホントにバカシンジなんだから」 

シンジ「それ、どういう意味?」 

アスカ「だーかーらー!」 

シンジ「冗談、冗談だよ!」 

アスカ「チッ・・もう、バカ」 

シンジ「・・うん」 

アスカ「お土産、いーっぱい買ってくるのよ」 

シンジ「そうするよ。なにがいいかな?」 

アスカ「何でもいいわよ。あんたのセンスに任せるわ」 

シンジ「アスカが喜びそうなもの、頑張って探すよ」 

アスカ「期待しないで待ってるわよ」 

シンジ「うん」 

アスカ「・・・・・・ん!」 
シンジ「ん? どうしたの?」 

アスカ「ほら、手、だしなさいよ!」 

シンジ「うん・・・?」 

 ギュ・・キュ 

シンジ「!」 

アスカ「ゆびきり、してよ」 

シンジ「え、う、うん」 

アスカ「ほら、早く・・」 

シンジ「えと、なにを、約束すれば、いいの?」 

アスカ「なんで今のタイミングでそれを聞くのよ!? あんたってホントムードだいなし!」 

シンジ「わわ、お、落ち着いて! きゅ、急だったから!」 

アスカ「早くしてよ!」 

シンジ「え、えと、じゃあ、お土産いっぱいかってきます」 

アスカ「・・・・・もういいわ・・・・」 
 ガックシ 

シンジ「えぇー・・」 

アスカ「期待したあたしがバカだった・・・」 

シンジ「ご、ゴメン・・・」 

アスカ「もう・・帰ってきたら、リベンジするわよ!」 

シンジ「わ、わかったよ!(よくわかんないけど・・・)」 

アスカ「まったく・・!(どうして、無事で帰ってくるとか、気の利いたことが言えないわけ!? このバカ!)」 

シンジ「でも・・・アスカの手、あったかいね」 

アスカ「!!!!!」 

シンジ「やわらかくて・・・・なんか、凄く、可愛いね」 

アスカ「あ、あ、あ、あんたバカぁ!?」カァッ 

シンジ「うわっ、 いきなりひっこめないでよ!」 

アスカ「いきなりなのはあんたでしょ! そ、そういうのは、ちゃんと、心の準備させてから言いなさいよ!」 

シンジ「え、えぇ? そうなの?」 

アスカ「そ、そうよ! ・・・はい、準備したから、もう一度言いなさい!」 

シンジ「えぇー?」 

アスカ「「えぇー?」じゃないわよ! ほら、とっとと言う!」 

シンジ「アスカの手、あったかいねー」 

アスカ「そっちじゃないだろ! バカ!」 

シンジ「え、えと・・・やわらかくて、可愛い、ね?」 

アスカ「/////」 

シンジ「ハッ(か、可愛い、とか、何言ってるんだ僕!)」 

  ギューッ 

アスカ「頑張って・・・きてよね」 

シンジ「う、うん・・・アスカも、元気でね」 

アスカ「・・・一週間ぐらい、なんてことないわよ・・」 

シンジ「そう、だよね。すぐだよね・・・」 

アスカ・シンジ「・・・・・・・」 

 ギュッ 

ミサト「・・・・おねーさんは、とっても嬉しくて、ちょっぴり切ないわよ、二人とも・・・」 

 翌日 
 NERV本部 ミサトの部屋 

リツコ「司令はいったいなにがしたいのかしらね」 

ミサト「・・さぁ? あの二人を幸せにしたいんじゃないの? それにしては、今回のは逆効果だと思うけど。 あたしがいうのもなんだけど、もうおせっかいよね。ただの。 あの2人は、ちゃんと色々考えてるわ」 

リツコ「ベット状況は依然アスカ優勢だけど、あなたならどうする?」 

ミサト「私は、もう・・」 

リツコ「もしもの話よ」 

ミサト「多分、シンジ君ね」 

リツコ「へぇ・・・信じられないわ」 

ミサト「なにそれ? 冗談?」 

リツコ「違うわよ。なにか、あったの?」 

ミサト「まぁね。 ・・今回のことは、私が引き起こしたことだから、私がけじめをつけないといけないと思ってる。 アスカやシンジ君に嫌われても仕方ないわ。 でも、あの2人の気持ちにキズをつけることだけは、絶対にしたくないの」 これは、終わりじゃなくて、大切な始まりなのよ。二人にとっては」 

リツコ「なるほど、ね」 

ミサト「だから、お願い。これからも、色々手助けしてあげてほしいの」 

リツコ「わかってるわ。 アスカの身体に関しては、ちゃんと最後まで面倒見るつもり。 シンジルフィンなんてひどい嘘だと思ったけれど、今のアスカは本当に体調がシンジ君の愛情に左右されているわ」 

ミサト「やっぱり、そうなのね・・・」 

リツコ「えぇ。私たちではモニタリングすることは不可能よ。あそこまで信じ込んでいると、何があってもおかしくないわ」 

ミサト「私の、せいね・・・」 

リツコ「私も、少し仕込が過ぎたと反省してるわ。 こんなことになるなんてね・・・プラシーボ効果のようなものだと思われるけれど」 

ミサト「どうしたら、いいのかしら」 

リツコ「・・2人が幸せになれれば・・・」 

ミサト「アスカは、シンジ君の愛情を常に受けられるわけだから・・・」 

リツコ「治る治らないはわからないけれど、アスカの体調が左右されることは少なくなるでしょうね」 

ミサト「身から出た錆よ。必ず、あの2人を幸せにしてみせるわ。傷つけることなく・・・」 

リツコ「可能な限り協力するわ」 

ミサト「・・ありがとう・・・リツコ・・」 

リツコ「(私は、あなたの変化にも驚いてるわよ、ミサト・・・)」 


 NERV本部 駐車場 
ミサト「ほいじゃ、いってくるわねん♪」 

シンジ「いってきます」 

レイ「気を付けて、碇君、葛城三佐」 

マリ「二人とも、一番危険なのは往復の車内だにゃー! 安全運転!」 

アスカ「・・・・・」 

シンジ「アスカ・・・」 

アスカ「なーにシケたツラしてんのよ」 

シンジ「・・・いつもだろ?」 

アスカ「・・ふふ、そうね」 

シンジ「待っててね」 

アスカ「! ・・そのつもりよ」 

 ジッ 

ミサト「シンジ君、行くわよ」 

シンジ「はい!」 

アスカ「(・・・・・あとは、あたしの体がどれだけ持つか、か・・・)」 

 

1日目 
 ミサト宅 アスカの部屋 

アスカ「ふーん。結構面倒なことやってんのね?」 

シンジ『そうなんだよー。色んな武器を試してるんだけど、一日中的に向かって撃ってるだけっていうのも結構飽きるし・・』 

アスカ「あ、そ」 

シンジ『アスカは、どう?」 

アスカ「べっつにー。今まで通りよ。特別なことなんてなにもない、素晴らしい毎日よ」 

シンジ『なんかとげがあるなぁ・・』 

アスカ「・・・あんたもいないし、つまんないのよ」 

シンジ『へ!?』 

アスカ「ふふ。びっくりした?」 

シンジ『そ、そりゃ、びっくりするよ!』 

アスカ「よしよし。今のでだいぶ満足したわ」 

シンジ『も、もう・・・』 

アスカ「もう1時間・・か。いい加減ベッドでゴロゴロしながら電話するのにも疲れてきちゃったから、切るわよ」 

シンジ『うん・・』 

アスカ「なーに、寂しそうな声だしてんの? たった1日しかたってないわよ?」 

シンジ『さ、寂しくなんか、ないけどさ!』 

アスカ「アタシは寂しいけど」 

シンジ『うぐっ』 

アスカ「ふふふ。ホントにあんたって単純ねー! ひっかかりやすすぎ!」 

シンジ『もう、アスカぁ・・・』 

アスカ「ま、ちゃっちゃと終わらせて帰ってきなさいよ。掃除洗濯、全部自分でやるの面倒なんだから」 

シンジ『なるべく早く、帰るよ』 

アスカ「はいはい。・・それじゃ、おやすみ」 

シンジ『おやすみ、アスカ』 

 プツン 

アスカ「・・・・はぁ・・・・ な、なんで電話越しだとこんなに恥ずかしいことがスラスラ言えるのかしら・・・ われながら不思議でしょうがないわ・・・」 

2日目 
 NERV本部 パイロット休憩室 

マリ「ほんでほんで、どうなの? 姫」 

アスカ「なにがどうなのって?」 

マリ「わんこ君との話に決まってるでしょぉー?」 

レイ「ぽかぽかしているの?」 

アスカ「あんたたち・・・大体、ぽかぽかって・・・」 

マリ「いいからいいから!」 

レイ「早くして」 

アスカ「レイまで・・・ べ、別に、普通よ。 帰ってきたら、なんか、言うって言ってたけど」 

マリ「おぉー・・・」 

レイ「ぽかぽかするのね」 

アスカ「まぁ・・何言われるか、わかったもんじゃないけど」 

マリ「姫、目はいやそうなのに、口元がニヤニヤしすぎだにゃ」 

レイ「元気そうでよかったわ」 


アスカ「もう・・・ 本当は、不安なんだから。あんまり茶化さないで」 

マリ「ゴメンゴメン。そうだよね。 打率9割9分9厘でも、もしもってことがあるもんね?」 

レイ「具合は、どうなの?」 

アスカ「・・・正直言うと、あんまり、よくないわ」 

マリ「わんこ君と電話してるんでしょ? それでもダメなのかにゃ?」 

アスカ「もちろん、電話してる間は大丈夫なんだけど・・」 

レイ「それ以外は辛いのね」 

アスカ「そう、かも。・・・2日目でこれじゃあ、先が思いやられるわね・・・」ハァ 

マリ「わんこ君が早く帰ってくるように、女三人、姦しく依頼するしかないね!」フンス 

アスカ「あたしたちが依頼してどうにかなるわけないでしょ。 司令の命令でいってんのよ?」 

レイ「私からもお願いしてみる」 

アスカ「レイ・・ありがたいけど、大丈夫よ。 たかだか一週間いないぐらいでどうにかなっちゃうわけないでしょ」 

レイ「でも・・」 

アスカ「これは、勝負なの。 私と、シンジの。 負けるわけにはいかないのよ」 

マリ「まーた、そんなこといって・・・ 無理してカッコつけてもしょうがないにゃ」 

アスカ「うっさいわねぇー! 人が覚悟決めてるんだから、茶々入れないでよ!」 

マリ「どーどー。ま、そういうところも、姫のかわいいところだけどにゃ! 回りくどすぎて、見てる方は疲れるんだよぉ~」 

レイ「彼女がそれでいいと決めたなら、私たちは見守るべきだわ」 

マリ「ま、それもそっか。・・・・姫、頑張るんだよ! 100%ゆーうきぃ~♪」 

アスカ「まったく・・・でも、ありがとう、二人とも・・・ (あと5日間・・・なんとか、耐えてみせるんだから・・・ やるわよ、アスカ!)」 


4日目 

 NERV本部 リツコの部屋 

リツコ「・・・アスカ」 

アスカ「なによ・・」 

リツコ「薬のペースが早すぎるわ。我慢しろとはいわないけれど・・・ 大丈夫なの?」 

アスカ「平気よ、こんなの」 

リツコ「顔色もすぐれないわよ」 

アスカ「・・きてるから、そっちのせいよ」 

リツコ「蓄積値は、既に500を切っているわ。理論上で言えば、あと2日で危険領域です」 

アスカ「あ、そ。理論上、でしょ。全然平気よ。 昨日は、忙しくて電話できなかったけど、今日は大丈夫だって言ってたし」 

リツコ「そう・・なら、いいけれど」 

アスカ「薬、大目にもらえる?」 

リツコ「それは構わないけれど、いい? わかっていると思うけれど、薬は飲み過ぎてもいけないのよ?」 

アスカ「わかってるわよ。・・ちゃんと、コントロールするから」 

リツコ「ちゃんと、辛くなったらいうのよ」 

アスカ「了解してるわ」 

リツコ「はい、これ。一応、3日分渡すわよ」 

アスカ「ありがと。・・感謝してるわ。 こんな体になってもなんとかやっていけてるのは、リツコのおかげだと思うから」 

リツコ「・・・・アスカ・・・」 

アスカ「じゃ、また来るわね」 

リツコ「ええ。・・お大事にね」 

 シャッ 

リツコ「・・なるほど、皆、成長してるのね・・・ 私も、頑張らせて、もらうわよ」フフッ 


5日目 
 第2新東京市  EVA兵装実験特別管理区域 

ミサト「・・・なんですって?」 

マコト「一部の兵装が予定通りに届かないという連絡がありました。 この出張、もう少し延びそうですね」 

ミサト「・・・なんとかならないの?」 

マコト「さんざん要望しましたが、3日延長を2日延長まで短縮するのが精いっぱいでした」 

ミサト「・・そう。短縮要望は引き続きお願い」 

マコト「了解しました」 

ミサト「シンジ君、聞こえるかしら?」 

シンジ『はい、ミサトさん』 

ミサト「申し訳ないけれど、少し予定が延びることになったわ」 

シンジ『え? ・・その、帰れない、ってことですか?』 

ミサト「そうなるわね。アスカにも連絡しておいて」 

シンジ『ま、待ってください! ミサトさん! そんな・・・アスカが・・・』 

ミサト「これは命令よ」 

シンジ『・・・そんな・・・』 

ミサト『シンジ君。私たちも、可能な限り、努力するわ。だから、お願い。アスカを・・頼みます』 

シンジ「! ・・・わかりました」 

その夜 
ミサト宅 シンジの部屋 
アスカ「・・そ。3日だっけ?」 

シンジ『うん。ごめんね、アスカ』 

アスカ「・・もう、延びない?」 

シンジ『たぶん、大丈夫だと思う』 

アスカ「・・ほんとに?」 

シンジ『うん。それ以上のびるようなら、帰ってくるから』 

アスカ「頼むわよ。もう、部屋が・・荒れちゃってるんだから・・」 

シンジ『アスカ、大丈夫? 具合、悪そうだよ』 

アスカ「なにいってんの? 全然、平気だし・・ねえ、シンジ」 

シンジ『どうしたの?』 

アスカ「ちょっと、今日、疲れちゃった・・・切っても、へいき?」 

シンジ『アスカ? 具合、悪いの? ねえ、アスk」プツン 

アスカ「・・・・・くぅ・・・・」スンスン 
アスカ「・・・シンジの香りがする・・・・ シンジ・・・早く帰ってきて・・・ ングッ・・・・ぷはっ・・・どうしちゃったんだろ・・・前みたいに・・・効かない・・・」 

 Pipipi 
アスカ「・・バカシンジ・・・心配しすぎ・・よ・・・」 
 Pi! 

シンジ『アスカ!』 

アスカ「もー、疲れたって、言ったでしょ?」 

シンジ『本当に、無理してないね? 嘘だったら、僕、許さないからね』 

アスカ「・・なに、真剣な顔しちゃってんのよ・・」 

シンジ『真剣になるにきまってるだろ! アスカの体のことじゃないか!』 

アスカ「あ、あたしの体のことで、どうして、あんたが・・・」 

シンジ『アスカ、ちゃんと答えて』 

アスカ「・・・少し、しんどい」 

シンジ『少しじゃないだろ?』 

アスカ「・・少しよ」 

シンジ『僕って、そんなに頼りない?』 

アスカ「そういうわけじゃないけど・・」 

シンジ『アスカには、無理させたり、嘘をついてほしくないよ』 

アスカ「・・ホントに、平気だってば。 あたしだって、あんたからの言葉、楽しみにしてるんだから。 そんな簡単に、くたばるわけないでしょ」 

シンジ『信じるよ、アスカ』 

アスカ「もちろんよ。・・本当にどうにもならなくなったら、ちゃんと連絡するから」 

シンジ『約束だよ。・・・指、出して』 

アスカ「? ディスプレイに出せってこと?」 

シンジ「そう。・・うん、そうそう。 ゆーびきりげんまん♪」 

 

アスカ「(・・・シンジ・・・)」 

シンジ『嘘ついたら針千本のーますっ、ゆびきった! はい、アスカ。これで、嘘だったら、ショルダーニードル1000本の刑だからね』 

アスカ「なによそれ! ・・・ばっかじゃないの!?」 

シンジ『少し、元気でた?』 

アスカ「だから、元から・・・ 
    ううん。ありがと、シンジ」 

シンジ『うん。無理しちゃ、ダメだからね』 

アスカ「わかってるわ。じゃ、おやすみなさい」 

シンジ『おやすみ、アスカ』 

  ピッ 

アスカ「・・・・もう少し・・・もう少し頑張れば、シンジに会えるんだから・・・」 


7日目 
 ミサト宅 アスカの部屋 

アスカ「・・・・・・」 

マリ「姫、だいじょうぶ?」 

レイ「・・ごはん、食べているの?」 

アスカ「・・・ん・・・? 二人とも、いつの間に来たのよ・・・?」 

マリ「さっき。念のためスペアキーを借りといてよかったにゃ」 

レイ「・・顔色が悪いわ」 

アスカ「・・・平気平気・・・全然・・・平気・・」 

マリ「平気じゃないじゃん! 無理しすぎだよ!」 

アスカ「・・・だって・・・シンジに、待ってるって・・・約束・・したんだもん・・・」 

レイ「だからって、あなたがこんな調子じゃ、碇君だって困ってしまうわ」 

アスカ「・・・シンジ、いつ帰ってくるのかな・・・」 

マリ「明後日だって、聞いてるけど」 

アスカ「・・早く会いたい・・・会いたいよ・・」グス 

レイ「・・・アスカ・・・・・」ギュ 
アスカ「・・シンジぃ・・・」 
マリ「・・これは、思いのほか重症だにゃ・・・恋する乙女病・・・」 
アスカ「・・・・ゴホッ」 

マリ「姫?」 

アスカ「うう・・・いた・・い・・・」 

レイ「どうしたの、アスカ? 苦しいの?」 

アスカ「・・・体がいた・・く・・・て・・苦しい・・・どうなってんのよ・・あたしの体・・・」 

マリ「アスカ! レイ、早く、連絡を!」 

レイ「ええ!」 

アスカ「・・・死んじゃうの・・? あたし、死んじゃう・・?」 

マリ「バカいってるんじゃない! しっかりして! シンジ君、すぐ戻ってくるから!」 

レイ「・・えぇ、すぐに! お願いします!」 

マリ「ほら、元気出してよ! アスカ!」 

アスカ「・・・シンジに・・言えなかった・・なぁ・・・」 

マリ・レイ・シンジ「アスカ!」 

アスカ「!?」 

 バタン 

シンジ「アスカ!」 

マリ・レイ「・・・え?」 

アスカ「・・・え・・・・?」 

シンジ「アスカぁっ!」 

 ギュウッ・・・ 

アスカ「・・・え・・・・? え?」 

シンジ「ごめん・・・ごめんね。遅くなって・・・」 

アスカ「・・・なん・・・で・・?」 

シンジ「アスカ。そんなことより今は、君のことだよ。 元気になって、欲しいんだ」 

アスカ「・・・シンジ・・・」 

シンジ「目、とじて・・」 

マリ・レイ「・・・・おぉ」 

アスカ「・・ん・・・」 

シンジ「アスカ・・・」 

  ・・・チュッ 

マリ「・・でてよっか」 

レイ「そうね・・」 

 パタン 

シンジ「・・・少し、元気、でた?」 

アスカ「・・うん・・・おかえり・・・シンジ」 

シンジ「よかった。・・それじゃ、改めて、言うね。 僕は、アスカが、大好きです。 これからも、ずっと、一緒にいてください!」 

アスカ「・・・一緒にいるだけで、いいの?」 

シンジ「手つないだり・・笑ったり、泣いたり・・・その、キス、したり・・・ 僕の人生をあげるから、アスカの人生を、僕にください。 一生、大切に、します」 

アスカ「・・・それって、プロポーズしてんの?」 

シンジ「うん。結婚して、欲しい」 

アスカ「あんたバカぁ・・? 中学から付き合って結婚した人なんて、どれだけいると思ってんのよ」 

シンジ「他人のことなんて、関係ないよ。僕は、今、これからもずっとアスカと一緒にいたいって、そう思うだけだよ」 

アスカ「・・・信じて、いいの? あたし、本気にするわよ」 

シンジ「うん。約束、する」 

アスカ「あたし、あんたがいないと死んじゃうんだからね」 

シンジ「ずっと一緒にいれば、いつも元気なアスカだよね?」 

アスカ「そのために、結婚しようとか、いってんじゃないわよね?」 

シンジ「アスカの病気が治っても、ずっと一緒だよ」 

アスカ「・・私のこと、本当に、好きなんだよね?」 

シンジ「好きだよ、アスカ」 
  チュッ 
アスカ「////」 
シンジ「////」 


アスカ「よ、よくもまぁ、ここまで照れくさい言葉を、並べられるわね・・・」 

シンジ「自分でも、驚いてるかも。 
    ・・・なんか、アスカと離れて過ごしてたから、アスカを目の前にしたら、我慢できなくて・・」 

アスカ「・・・バカシンジ。・・もっと、ぎゅってして」 

シンジ「うん」 

 ぎゅうっ 

アスカ「・・・ぽかぽか、するかも」 

シンジ「ぽかぽか、するね」 

アスカ「・・ね、シンジ。私のこと、どれぐらい、好き?」 

シンジ「えぇー? 難しいなぁ」 

アスカ「いいから、思いついたの答えてよ」 

シンジ「そうだなぁ・・上司を説得して出張から戻ってくるぐらいに、好き?」 

アスカ「なにそれ・・・なんか所帯じみてるわね・・・」 

シンジ「イマイチかな・・」 

アスカ「だいぶね。まあ、今回は・・・とっくべつに、許してあげるわ」 

シンジ「アスカは? アスカは、どれぐらい・・好き?」 

アスカ「・・あたしは・・・」 

シンジ「うん」 

アスカ「あなたと結婚しないと死んじゃうぐらい、好きよ」 


おわり 


1か月後 
 NERV本部 特大フロア 

 ピピーガー 
ミサト「えー、皆さん、それでは、新郎新婦の登場です! 暖かな拍手で、お迎えください!」 

パチパチパチパチ 

マヤ「うわぁ、アスカすごくキレー!」 

シゲル「おお、シンジ君も意外とさまになってるなー」 

マコト「シンジ君からかっこいいプロポーズしたって話だからな、意外だよ。 おかげで、食堂年間無料パスをもらえたけどな!」 

リツコ「・・・アスカ、本当に、良かったわ」 

マリ「・・おぉー・・姫が、本当にお姫様みたいだにゃー! そこにシビれるぅ、憧れるぅ! 幸せそうで、ホントに、よかった」 

レイ「碇君・・アスカ・・・ぽかぽか・・してる・・・」 


 NERV本部 特設式場 檀上 

アスカ「バカシンジ、あんた、歩くの早過ぎよ!」 

シンジ「う、う、ごめん」 

アスカ「あーもう、あの時の、やたら凛々しいシンジはどこいっちゃったわけ? 詐欺よ詐欺、結婚詐欺!」 

シンジ「そんなぁ・・」 

アスカ「まったくもう・・なんで、NERV職員全員の前で、結婚式の真似事しなくちゃいけないわけ!?」 

シンジ「父さんがどうしてもやってほしいって・・・」 

アスカ「司令がぁ? ・・どこにいるのかしら・・・もう・・なんでアタシがこんな・・・」 

シンジ「でも、アスカ、とっても綺麗だよ」 

アスカ「っ・・! い、いっとくけど、この一か月で、あんたのそういうセリフにも慣れたんだからね! ぜーんぜん、平気なんだから!」ソワソワ 

シンジ「そっか。・・じゃあ、これからは言うのやめとこうかなぁ・・」 

アスカ「・・・我慢しないで、言いなさいよ、バカ」 

シンジ「わかってるよ、アスカ」ニコニコ 


NERV本部 初号機ハンガー 

ゲンドウ「・・NERV職員すべてを巻き込んだ騒動の渦中にいたのは、シンジとセカンドチルドレンだ。 我々の息子が、自分の意中の女の子に思いを告げ、これから添い遂げようとしているぞ。 NERV職員全員に、不本意ながらもその恋の行方を見守られ、そしてみんなに祝福されている。 ここには、大勢の人間の暖かい気持ちが、渦巻いているぞ。 ユイ。そのままでいいのか? 親しくもない友人の色恋沙汰にまで首を突っ込んでいたお前が、 シンジの晴れ姿を見なくていいのか? 妻になる女性がどんな女性だか、見なくていいのか?」 

初号機「・・・・・・」 

ゲンドウ「これから、式の真似事をおこなうそうだ。 
     戻ってきたらどうだ、ユイ」 

初号機「ォォ・・・ン」 

ゲンドウ「待っているぞ」 


1時間前 
 NERV本部 特設式場 

ミサト・リツコ「・・アスカ」 

アスカ「・・ミサトにリツコ・・・ありがと、色々と」 

ミサト「ごめんね、アスカ」 

リツコ「本当に、ごめんなさい」 

アスカ「本当は、ぶっちぎれるところなんだろうけど、今日という日に免じて許してあげるわ」 

ミサト「・・ありがとう」 

リツコ「・・もう、平気なの?」 

アスカ「ぜーんぜん。・・ホントに、恋の病ってやつだったのかしらね。 まあ、あのバカのことで気をもんだりすることはあるけど・・・ 
あんなに苦しくなったりはしないわ。 われながら、単純だったのかな・・・ ラムネ一つで元気になったり、ね?」 

リツコ「そういってくれると、助かるわ」 

アスカ「まあ、次はないけどね」 

ミサト「わかってるわ。・・ホント、幸せそうで、うらやましい限りよ」 

アスカ「まだ私たちガキだから、どうなるかわからないけどね。 でも、シンジが言ってくれた言葉は本当だと思うし・・ 
私が、今、あの人と一緒にいたいっていうのも、本当の気持ちだと思うわ」 

ミサト「ふふ。14歳の女の子の言葉とは、思えないわ。 とっても大人っぽくて、素敵よ、アスカ」 

リツコ「まさか、先をこされるとはね・・」 

アスカ「真似事よ、真似事! 結婚式は、ドイツでこれ以上ないぐらい盛大にやるんだから!」 

ミサト「楽しみにしてるわ」 

リツコ「ちゃんと、呼んでくれる?」 

アスカ「もっちろんよ。 私たちをずっと生暖かく見守ってくれた皆を、全員呼ぶわ! 
お城をたてられるぐらいのご祝儀、期待してるからね!」 


NERV本部 特設式場 

ミサト「新郎、碇シンジ」 

シンジ「はいっ」 

ミサト「あなたは、病める時も、健やかなる時も、使徒の迎撃をする時も、妻が不条理な暴力を振るってきたときも、彼女を愛することを誓いますか?」 

アスカ「ちょっとミサト! なにいってんのよ!」 

ミサト「シンジ君に聞いてんでしょ。アスカは黙ってなさいよ」 

アスカ「・・・あとで覚えてなさいよ・・・」 

シンジ「えぇと、はい、誓います!」 

ミサト「おk」 

アスカ「おkじゃないわよ! おkじゃ! ちゃんとやんないとホントにはっ倒すわよ!」 

ミサト「な、慣れてないんだから、仕方ないでしょ!」 

シンジ「二人とも、皆、見てますよ」 

アスカ・ミサト「・・くっ・・・」 

ミサト「コホン。失礼。・・・では、新婦、式波・アスカ・ラングレー」 

アスカ「はい」 

ミサト「あなたは、病める時も、健やかなる時も、シンクロテストをしている時も、夫が他の女性と二人きりで食事をしている時も、彼を愛することを誓いますか?」 

アスカ「浮気したら殺すわ」 

シンジ「う、浮気なんてしないよ!」 

ミサト「・・こほん。えー、と・・」 

アスカ「ミィサァトォ・・・」 

ミサト「ご、ごみんごみん。き、緊張しすぎて、変な笑いを取ろうとしちゃうのよ!」 

アスカ「司令に頼んで減俸してやる」 

ミサト「うう、義理の娘の力恐ろしい・・・」 

シンジ「いい加減、ちゃんとやってくださいよ、ミサトさん」 

ミサト「ごほん。えぇと、病める時も、健やかなる時も、彼を愛することを誓いますか?」 

アスカ「はい、誓います」 

シンジ「・・アスカ・・・」 

アスカ「へへ、照れるわね」 

ミサト「お二人は、我々NERV職員全員の前で、結婚の契りをかわしました。 
    何人たりとも、この二人の仲を裂くことはできません。 
    ・・・では、指輪の交換を」 

アスカ「・・はい、お願い、シンジ」 

シンジ「う、うん・・・」 

 スッ 

アスカ「えへへ。似合う?」 

シンジ「とっても、似合うよ」 

ミサト「(ガチで羨ましい)」 

シンジ「・・はい、お願い、アスカ」 

アスカ「うん・・よっと・・」 

 スッ 

シンジ「おそろい、だね」 

アスカ「あったりまえでしょー」 

ミサト「・・それでは、誓いのキスを」 

シンジ「・・アスカ。これからも、一緒だからね」 

アスカ「聞き飽きたわよ、ばか」 

  チュッ 

 パチパチパチパチ 

ミサト「ご結婚、おめでとー!」 

NERV職員「おめでとぉぉぉ!」 

シンジ・アスカ「ありがとーーー!!!!」 

??「かわいい子ね」 

ゲンドウ「・・・・遅かったな」 

ユイ「着替えに、手間取って」 

ゲンドウ「・・・・そういうことでは、ない」 

ユイ「なになにー? 泣いてるの? 普通そういうのは、娘をとられるお父さんの役目よ」 

ゲンドウ「目に埃が入っただけだ」 

ユイ「そう。ずーっと、見てたわ。皆のことを」 

ゲンドウ「そうか」 

ユイ「・・・ただいま」 

ゲンドウ「おかえり、ユイ」 

 

 

 

 

 

 

 

 

シンジ「僕と結婚しないと、アスカが死んじゃう・・・?」

https://viper.5ch.net/test/read.cgi/news4vip/1355580392/

 

 

アイズ「私がそんなに料理できなさそうに見えるの?」 ロキ・ティオナ・ティオネ「見える」【ダンまちss/アニメss】

 

アイズ「……(喜んで、もらえるかな)」

* * *

ロキ「アーイズたんっ。どうしたんや? そんな辛気臭い顔して」

アイズ「……そんな顔、して?」

ロキ「してたで。まあ、アイズたんはいつも何考えとるかわからん部分あるけどな、でもいつもに増してわけわからん顔しとったで?」

アイズ「……」



ティオナ「ロキー、それにアイズもー。何してるの?」

ティオネ「なになに? 面白そうな話?」

ロキ「いやぁ、アイズたんがなーんか企んどるんや。でもなかなかウチに教えてくれへんねん

ティオナ「面白いこと?」

ティオネ「アイズ、何を考えてるの?」

アイズ「……実は」

(ごにょごにょごにょ……)

ロキ・ティオナ・ティオネ「ええーっ?!」



ロキ「ホンマか? それ、マジで言っとるんか?」

ティオナ「無理はしないほうがいいよー?」

ティオネ「そうそう、人には向き不向きってものがあるし……」

アイズ「……むう。みんなして、なんでそんなに私を止める?」

ロキ「そりゃあ、さあ……」

アイズ「私がそんなに料理できなさそうに見えるの?」

ロキ・ティオナ・ティオネ「見える」

アイズ「……」



ティオネ「そりゃあ、ね? アイズにだってステーキを焼くぐらいならできるかもしれないとは思うわよでも、いきなりお菓子作りをしたいだなんて、無茶すぎるわ」

アイズ「……」

ロキ「まあまあ、ティオネ、ティオナ。アイズたん、何のためにお菓子を作りたいんや?」

アイズ「渡したい人がいる……」

(ティオネ、ティオナ顔を見合わせる)

ティオネ「それってもしかして……」

ティオナ「アルゴノゥト君のこと?」

ロキ「アルゴノゥト君って、あのドちびのところの?」

アイズ「(頷く)」



アイズ「何度も助けてもらったから……お返しがしたい」

ティオナ「……でも、わざわざお菓子を作らなくってもいいんじゃない?」

ティオネ「あの子、まだレベル2になったばかりだし、剣術の稽古をしてあげるとか、やり方はいろいろ……」

アイズ「……私だって女」

ロキ「……はーぁ。つまり、アイズたんはあの子にいいところを見せたいわけだ。それも剣士としてでなく、女として」

アイズ「……(かあああっ)」

ティオネ、ティオナ「あ、赤くなった」



ロキ「そうかそうか。いやぁ、アイズたんが女としての自分に気づくとは。」

ロキ「……わかった、このロキ・ファミリアの主神が、自らアイズたんに手ほどきをしたる!」

アイズ「……!」

ロキ「さあ、何のお菓子を作る?」

アイズ「それじゃあ……」



* * *

ロキ・ファミリア内キッチンにて

ロキ「教えると言ったものの……アイズたん、いきなり難しいお菓子に挑戦しすぎやないか?

アイズ「……?」

ティオネ「チョコレートってのはね、温度管理が難しいの。ケーキに混ぜる時に固形の状態から溶かすけど、そのとき温度を高くしすぎちゃったら全部台無し。風味も飛んじゃうし、何より分離しちゃうからお菓子作りには二度と使えない」

アイズ「そういうものなの……」

ティオナ「それにね、他の材料であるメレンゲも扱いが難しいんだよ? 手早く作業しないといけないし、こっちも攪拌不足でもダメだし混ぜすぎてもダメ

アイズ「意外と、難しい……」



ロキ「だから言ったやないか。ステーキ焼くのにだって手間取るレベルのアイズたんが、いきなりチョコレートケーキを作ろうだなんて、レベル1の冒険者がダンジョンの中層に一人で行くようなものやで?」

アイズ「……でも」

ロキ「はいはい、わかってるがな。それでもやるって言うんやろ? だからこうして、私とティオナとティオネで手伝ってやっとるんやないか」

アイズ「ありがとう」

ティオ「……おほん。無駄口たたいてる暇があったら、早く作りはじめましょ? あんまり遅くまでキッチンを占領してると、料理係がロキ様のお夕飯を作るのを邪魔しちゃう」

ロキ「夕飯が遅れるのは嫌やなあ。ほな、やったろか!」

アイズ、ロキ、ティオネ、ティオナ「おー!!」



ティオ「じゃあ、まずはチョコレートを刻むわよ」

アイズ「刻む? 溶かすんじゃ、ないの?」

ティオネ「板チョコレートのまま湯煎して溶かしてたら、いつまで時間がかかるか分かったもんじゃないじゃない。それにね、そのまま湯煎してたら、端っこだけ分離して真ん中が溶けないの」

アイズ「……わかった。どれぐらい細かく刻む?」

ティオナ「できるだけ細かく。それから、サイズは均一に」

アイズ「……(エアリアル)」

すぱぱぱぱぱっ

ロキ「……あんなぁ、アイズたん。魔法で楽したらあかんで」

アイズ「でも、その方が時間短縮になる。時間が短縮できたら、夕飯作りの時間が増える」

ロキ「そう言われると形無しやなぁ」



ティオネ「ま、方法はなんでもいいとして、じゃあこれをボウルに入れて、湯煎しまーす。湯煎は私が見ていてあげるから、アイズはメレンゲを作ってね」

ティオナ「メレンゲは私が一緒に見ててあげる」

アイズ「ティオナ、ティオネ、ありがとう。心強い」

ロキ「え~? 神様にはお礼の言葉はないんか~?」

アイズ「もちろん感謝している」

アイズ「それで、どうしたらいい?」

ロキ「あっさりした感謝の言葉やなー。まあええか」



ティオナ「卵を卵黄と卵白に分けて。卵黄が少しでも卵白の方に入っちゃうと、油分でメレンゲを立てるのがすごく難しくなるから、気をつけてね」

コンコン、かぱっ

ティオナ「そうそう、そんな感じ。今回は全部で三つ卵白を使うよ。卵黄はこっちの器によけておいて、卵白をボウルに入れてね」

アイズ「……できた」

ティオナ「じゃあ、泡立て器で混ぜるわよ! ここからは力の勝負。素早く一所懸命攪拌すれば、そのうちふんわりツノが立つようになるから」

アイズ「ここにある氷水は何に使うの?」

ティオナ「氷水で卵白を入れたボウルを冷やしながら泡立てると、常温でやるときより泡立ちやすいんだよ。ちょっとボウルが冷たくなるけど、大丈夫だからやってみて」



アイズ「わかった」

シャカシャカ……シャカシャカシャカ……

ティオナ「そうそう! その勢い。そのままのペースで続けててね。……ってロキ! なに余ったチョコレートつまみ食いしてるの!

ロキ「いやぁ、『手伝ったる』って意気込んだものの、自分には何にも手伝うことないなぁ思ってな……」

ティオナ「じゃあ、ロキは向こうで休んでていいから」

ロキ「えー。アイズたんが奮闘してるとこ見たいー」

ティオナ「もぅ! ロキってばー! ……私たちの邪魔はしないでね?」

ロキ「わかってるでー」



アイズ「……メレンゲ、できた」

ティオナ「早っ!!」

アイズ「メレンゲのツノ、しっかり立ったけど……これぐらいでいいの?」

ティオナ「ちょっと見せて……ええと……あぁ……」

アイズ「どうしたの」

ティオナ「アイズ、メレンゲ泡立てすぎ」

アイズ「!!」



ロキ「泡立てすぎるとどうなるんや?」

ティオ「口当たりボソボソのクソまずいケーキになる」

アイズ「……」

ティオネ「ねー、チョコレート溶けたわよ?」

ロキ「チョコレートを置いといて、もう一度メレンゲを作り直すことはできないんか?」

ティオナ「チョコレートを何度も固めたり溶かしたりしてると、風味がどんどん落ちてきちゃうの。だからお菓子作りは一回勝負。女の子の真剣勝負なの!」

アイズ「真剣勝負に……私は負けた……」



ティオ「今回は仕方ないから、このメレンゲにチョコレートを合わせましょう。生地のつなぎとしてアーモンドの粉を入れるから、泡をつぶさないように混ぜて、あとは型に入れて焼くだけ」

アイズ「……わかった」

ふわっ……さく、さく

ロキ「おおー。メレンゲにチョコレートが混ざって色が変わっていくなあ。焼き上がりが楽しみや」

アイズ「でも、失敗作確定……」

ティオナ、ティオネ「今回は試作品ってことでさ、ベートにでもあげたらいいじゃない

アイズ「それは失礼だと思う

ティオネ「ベートはアイズがくれるものだったら炭でも食べると思うけどね

ティオナ「ほら、オーブンが余熱できたよ! ケーキを焼う」



* * *

ロキ「ベートは炭でも食べるかもとは言うとったけど……」

ティオ「本当に炭になるとは……」

ティオ「ごめん! ほんっっとうにごめん! オーブンの温度間違えてた!」

アイズ「……」

ティオ「アイズ、怒ってるよね?」

アイズ「……いい。メレンゲも失敗したし、どうせ試作品だったから……」



ベート「んあ? アイズ、ティオナ、ティオネ、それにロキ。 何してるんだ?」

ティオナ、ティオネ「噂をすればベート!」

ベート「俺の噂してたのか?」

ティオナ「ベート、いいところにきたわね」

ティオネ「アイズがお菓子を作ったのよ。食べてみる気、ない?」

ベート「アイズが?!」

アイズ「失敗作だけど……」

ベート「何作ったんだ?」



アイズ「チョコレートケーキ……」

アイズがベートにケーキを渡す

ベート「まぁせっかくだからもらっておくか。いただきまー……げほっ、げほ、げほっ」

ベート「なんだこれ、炭じゃねえか!」

アイズ「だから失敗作だって……」

ロキ、ティオナ、ティオネ「(にやにや)」

ベート「これは部屋で食うとするかな。もらっていくぜ」

ロキ、ティオナ、ティオネ「(あれ、絶対耐えられなかったんだ。あと、ベートのためじゃないんだなぁ……)」

アイズ「行っちゃった……今度は頑張るから、みんな、手伝って」

 

* * *

結局、アイズがチョコレートケーキをベルに渡せたのは、その後五度ほど失敗してからだった。


 

 

 

 

 

元スレ

アイズ「……(君に食べてもらいたい)」
http://yomicom.jp/blog-entry-56.html

 

森夏「ねえ富樫くん私と付き合って」 勇太「お断りします」【中二病でも恋がしたい!ss/アニメss】

 

森夏「あれからもう10年か・・・」

 

森夏「10年経った今でも彼氏できないとかどういう事よ・・・」



森夏「占い師なんて出会いゼロの仕事に就いた私が言える立場じゃないけどさ・・・」



森夏「一人くらい彼氏できてもいいじゃない!」



森夏「近寄ってくるヤツらは揃いも揃って本の印税だとか私の体目当てのヤツらばかりだし・・・」



森夏「飲まないとやってられないわよこんなの!」ゴクゴク



森夏「あ、店員さんすみませーん! カシスオレンジもう一杯ください」



森夏「・・・・・・」



森夏「・・・・・・」



森夏「・・・ねえ富樫くん私と付き合って」



勇太「お断りします」

 
森夏「なんでよ! 富樫くん私のこと嫌いなの!」



勇太「いやいや、そんなことはないぞ」



森夏「じゃあ付き合って」



勇太「お断りします」



森夏「なんでよ!」

 
勇太「いやほら・・・俺には六花が・・・」



森夏「・・・別れたくせに」



勇太「おいやめれ・・・」



森夏「どうせ富樫くん今彼女いないんでしょ?」



勇太「まあそうだけどさ・・・」



森夏「だから私が富樫くんの彼女になってあげるって言ってんの!」



勇太「お断りします」



森夏「小鳥遊さんと一緒の大学に入って惚気すぎて勉強に身が入らず二人で中退って」



勇太「・・・・・・」



森夏「私もそういう青春したかったわよ!」



勇太「おい声でかいって・・・」



森夏「それで丁度そのとき十花さんが自分のお店持って従業員を探してたから二人で一緒にそこに就職って」



勇太「・・・・・・」



森夏「もう完全に家族じゃないこれ!」



勇太「おい声でかいって・・・」



森夏「そこまではいいわよ・・・百歩譲って許してあげる」



森夏「でもそこで同棲ってどういうことよ・・・生々しすぎるわよ・・・」



森夏「しかも二人で暮らして一年で小鳥遊さんに嫌気が指して別れるって」



勇太「いや別に嫌気が指したわけじゃないぞ。ただ六花が予想以上に何もできなかったから・・・」



勇太「だからちょっとだけ距離を置こうって・・・」



勇太「料理と掃除と洗濯を少しでも覚えて、朝自力で起きられるようになって、中二グッズに給料全額つぎ込むのをやめて、もう少しだけ常識を覚えるまで距離を置こうって話であって・・・」



森夏「・・・それを世間では嫌気が指したって言うのよ」



勇太「・・・・・・」



森夏「だいたい小鳥遊さんは家事なにもしなかったの?」



勇太「…うん」



森夏「じゃあ同棲してるときは富樫くんが全部ひとりでやってたってこと?」



勇太「…悪いかよ」



森夏「はぁ…少し手伝ってとも言わなかったの?」



勇太「…家事を分担しようって提案はした」



森夏「………」



勇太「邪王真眼を持った~なんちゃらで誤魔化された」



森夏「…はぁ」


森夏「私なら家事全部ひとりでできるわよ」



勇太「………」



森夏「本の印税で一生遊んで暮らせるわよ」



勇太「………」



森夏「私の体好きにしていいのよ」



勇太「………」



森夏「私すっごい淫乱なんだけど」



勇太「………………」



森夏「ねぇ、ダメ?」



勇太「…ぐぬぬ

 
勇太「ちょっと待てよ丹生谷…」



勇太「お前言い寄ってくる男がお金と体目当てで嫌気が指したって言ってなかったか?」



森夏「富樫くんは別なの…」



勇太「は?」



森夏「あーもう察してよ!」ゴクゴクゴク



勇太「お、おい! 丹生谷飲みすぎ」



森夏「ゴク…ゴク…ぷひぇ~」



森夏「だから10年間あんたのことがずっと好きで他の男なんて眼中になくて今でもあんたが大好きだっていってんのよバカ!」



勇太「…は?」



森夏「あ…」



勇太「………」



森夏(///)カァアアアア



勇太「…あの丹生谷さn」



森夏「うっさい馬鹿しゃべるな!」ゴクゴク///

 
森夏「………」ゴクゴク



勇太(丹生谷が俺のこと?)



勇太(いやいや流石に冗談だろ)



勇太(でも冗談っぽくなかったよな)



勇太(丹生谷の顔もなんだか赤いし…)



勇太「………」



勇太「………」





森夏「…それで返事は」



勇太(え?やっばりマジなの??)



勇太「も、もう少しだけ考えさせてくれないか?」



勇太「ちゃんと返事したいし…」



森夏「…返事引き延ばす典型的な言い回しじゃないそれ」



勇太「むぅ…」

 

勇太「ごめんやっぱりもう少し待ってくれ。ちゃんと返事したいからさ」



森夏「じゃあ今日はもう富樫くん家に泊めて」



勇太「いきなり何言ってるんだお前は…」



森夏「別にいいじゃない。何するわけでもないんだし」



勇太「ウチは駄目」



森夏「小鳥遊さんとしか付き合ったことないヘタレ富樫くんに期待なんかしてないわよ?」



勇太「そういうことじゃなくウチは駄目だ」



森夏「………」



勇太「………」



森夏「…なんでそんなに家に上がられるの嫌がるの?」



勇太「い、いや…だって…まぁ、あれだよ…ははは…」



森夏「何か隠してるの?」



勇太「…ほら…その…男の一人暮らしなんだよ…察してくれよ…」



森夏「あ、あー、な、なるほどねー///」



森夏「まあいいわ。この話はここで――ううぇええ」



勇太「お、おい大丈夫か丹生谷」



森夏「ううう…完全に飲み過ぎたわ…」



勇太「お水もらってくるよ。少し落ち着いたら今日はもう解散にしよう」



森夏「うん。ありがと」

 
勇太「丹生谷落ち着いたか?」



森夏「まだ気持ち悪い…けど少し楽になった」



勇太「よかった。それじゃあ今日はもう帰ろう。家まで送ってくよ」



森夏「………」



勇太「ん?」



森夏「…富樫くん家がいい」



勇太「…は?」



森夏「私ん家はここから遠い。私は飲み過ぎて気持ち悪い。だから富樫くん家で寝る…」



勇太「………」



森夏(///)



勇太「…んんんっ!?」



勇太「丹生谷…まさかお前、これ狙ってあんなにイッキ飲みしてたのか」



森夏「………」



勇太「はぁ…なんていうか…」



森夏「…お願い。今日だけでいいから泊めて」



勇太「だからウチは駄目だって」



森夏「富樫くんに襲ってもらおうとかじゃないから…」



勇太「………」



森夏「純粋に好きな人の部屋が見たいの…入ってみたいの……」



森夏「何見ても驚かないから…お願いします…」



勇太「………」



勇太「………」



勇太「…わかったよ。ただし何見ても驚かないでくれよ」



森夏「ありがと富樫くんっ///」



勇太「……う///」



勇太「丹生谷もう酔い覚めてないか…」



森夏「まだ気持ち悪いわよ」



勇太「はぁ…それじゃあ行こうか」



森夏「うんっ///」ダキッ



勇太「おい」



森夏「いいじゃない腕に抱きつくくらい」



勇太「………」



勇太「…やっぱり酔い覚めてないか」



森夏「ううう気持ち悪いよぉ」



勇太「はぁ」

 
タクシー運転手「はいどうもー」バタン!ブロロロ



勇太「ここの二階だよ」



森夏「……うん」ドキドキ



勇太「丹生谷?」



森夏「はっ、はい!」ビクッ!



勇太「いや、何もしないからね……」



森夏「わ!わかってるわよ!それでも男の人の部屋入るの初めてだから緊張するのよ!処女なめんな!」



勇太(別になめてねえよ……)



勇太「一応確認しておくけどさっきの約束はちゃんと守ってくれよ」



森夏「何見ても驚かないってやつでしょ。わかってるわよ」



勇太「はぁ、約束破らないでくれよ……」ドアガチャ



森夏(まあ大体想像つくわよ)



森夏(小鳥遊さんサイズの女の子主演のエロDVDが何枚も床に転がってるとかそんなのでしょ)



勇太「ただいまー」



森夏(もしくは小鳥遊さんサイズのダッチワイフでm……)



??「お帰りなさい先輩♪今日は遅かったでs……」



森夏「………………」

??「………………」

森夏「………………」

??「………………」

森夏「……は??」
??「……え??」



森夏「な、なななななんであんたがここにいんのよ中坊!」



森夏「な、な、な……」



森夏「はあああああ!!?」



勇太「まあ色々あってな。中で全部話すよ」



森夏「ちち、ちょっと富樫くん!これは一体どういう――」

勇太「丹生谷ちゃんと約束を思い出してくれ」



            森夏「ぐぬぬぬぬ……」



勇太「という経緯で丹生谷がウチに来たんだよ」



森夏「な! なんであんたにアホとか言われなきゃいけないのよ!」



森夏「あ~~~~!富樫くん説明して!いつからこの中坊と付き合ってるの!?」



勇太「いや別に付き合ってない」



森夏「………」



森夏「………」



森夏「……え??」

 
勇太「ちょうど去年あたりに凸守から連絡があったんだよ。二人で飲みにいきましょうって」



勇太「それで今日の丹生谷と全く一緒の行動。わざと酔いつぶれて家に上がり込んで、いつの間に

か住み着いてた」



森夏「…………」



森夏「なっ!!?」



勇太「こら誤解を招くようなことを言うな」



勇太「お前が夕飯作ったときに睡眠薬盛ったんだろうが……」



森夏「……」ジトー



勇太「おい丹生谷ドン引きするな! 誰がどう見ても不可抗力じゃないか!」



森夏「あんた追い出さないどころか料理作らせてるじゃない!」



勇太「……はいそうですごめんなさい」

 
森夏「ああもう…なんで私はこんなに男運がないんだろう…」



森夏「勇気出して電話してOKもらって今日のために服買ったり初めて香水とかつけてみたりちょっ

と調子乗って色々やってみたのに…」



森夏「はぁ…」



森夏「ん、ありがと」ゴクゴク



勇太(丹生谷のやつなんか普通に馴染んでないか…)



森夏「はぁ…なんかもうどうでもいいわ…」



森夏「お前が原因だっての!」



森夏「それに何なのよあんた!髪下ろしたくらいで10年前と見た目ほとんど変わってないじゃない!」



凸守「先輩はちっちゃい子大好きなのデース!」



森夏「やっぱ口調戻ると糞ウザいわねあんた…」

 
森夏「……まあいいわ。それでこの事について小鳥遊さんは何て言ってるのよ……」



勇太「ああ六花なら――」



――ドアガチャバタン


六花「ゆうたぁ、今日はトランプ持ってきたから一緒にやろ~」



森夏「…………orz」



六花「!? 丹生谷…何故ここに…?」



森夏「久しぶりね小鳥遊さん…ちょっと用事でね」



六花「む…つまり丹生谷は…敵…?」



森夏「あんたらいい歳してまだそんな恥ずかしいことやってたのね……」



六花「まあ冗談はこのくらいにして丹生谷もトランプ一緒にやる?」



森夏「…………」



六花「…………」



森夏「…そうね、じゃあ少しやろうかしら…はぁ…」



六花「ふふふ…私と凸守は最強…」

 
――数時間後


六花「ゆうたぁ…勝てないよぉ…」



勇太「はいはい、じゃあ次から六花は俺と一緒にな」



森夏「………」



森夏「富樫くん、私今日はもう帰る…」スタスタ



勇太「あ、送ってk」



森夏「うっさいついてくんな馬鹿ァ!!」ガチャバタン!

 
六花「丹生谷すごい怒ってた…」



六花「勇太モテモテ」



六花「私の元彼」



六花「ふっふっふ」



勇太「ちょっと丹生谷追いかけてくるからお前らここにいろよ!もう夜遅いんだから!」



六花「うん、わかった」



――十数分後


森夏「ぐす…なんで…私ばっかり…ぐす…うぅ…」



森夏「っ…!ぐす…な、なんであんたがここにいんのよ…」



森夏「そんで何の用よ?まさか私にとどめを刺しに来たとかじゃないでしょうね?」



凸守「丹生谷先輩はこう見えて凄く気が小さくてビビリで恋愛経験ない処女のくせに占いで恋愛のアドバイスしたり」



森夏「な…」



森夏「な、なんであんたが私の恋愛経験なんて知ってんのよ…」



凸守「生真面目な丹生谷先輩のことですからおそらく10年間ずっと一途に思い続けたままってすぐに分かりますよ」



森夏「………」

 
凸守「先輩に告白してフられてる私とは違うんです」



森夏「…………」



凸守「アレは私が悪いですし先輩はそれ以外で何かしてきたことは一切ないんです」

 
凸守「先輩は『はいそうですごめんなさい』って庇ってくれました」



森夏「……」



凸守「私が家のことから逃れるために無理やり先輩の家に押し掛けてるんです」



凸守「その代償で家事を手伝ってるだけなんです」



凸守「私が先輩に家庭の事情を説明して少し厄介にならせて欲しいって頼み込んだとき」



凸守「辛辣な事情じゃ近所の噂の的になるし」



凸守「そう言って今の状況が出来上がったんです…」


森夏「じ、じゃあ…私が富樫くんに怒ってたのって…」



森夏「……」



凸守「小鳥遊先輩もフられてます」



森夏「……」



――タッタッタッ


勇太「はあはあはあ…どこ行ったんだ丹生谷のやつ…」



凸守「今聞いたことは誰にも言わないで下さい」



勇太「はあはあはあ…やっと見つけた…そんなとこにいたのか…」



森夏「と、富樫くん…うぅ…私…」



勇太「…?どうしたんだ丹生谷?」



森夏「わ、私・・・ぐすっ…うぅ…うわぁぁぁん…」



勇太「お、おい丹生谷!どうしたんだよ」



森夏「私…富樫くんが女の子いっぱい連れ込んで…ひっく…色んなことしてる人だと思ってた…」



勇太「…ま、まあ凸守いるしそれに近いかな…はは…」



森夏「…ぐすん」



勇太「……」



森夏「…すう…はあ」



勇太「……」



森夏「ずっとずっと富樫くんのことが好きでした。10年前駅のホームで初めて会ったときからいままでずっと好きでした」


森夏「今日二回目の告白でカッコ悪いけどね…」



勇太「……」



勇太「さっきも言ったけど俺も好きかどうか分からないんだ」



勇太「だからすこし待ってくれ…かならず返事はするから…」



森夏「うん…」



勇太「とりあえず今日は帰ろう、な?」



森夏「…うん///」


勇太「で、何で俺達は家じゃなくて休憩できるホテルになんかいるんだ…」



森夏「なんでだろうね…えへへ///」



勇太「凸守も何考えてるんだあいつは…」



勇太「マスターと一晩中大富豪の特訓するって言って鍵開けてくれないしさ…」



森夏(///)



勇太「いやいや手は出さないからね丹生谷さん?」



勇太「いやホントちゃんと付き合ってからじゃないとさ…そういうのって…」



勇太「俺だってそのくらい節度あるしさ…」



勇太「丹生谷がいくら魅力的だからって…」



勇太「丹生谷がずっとずっと俺のこと好きでいてくれてたとしてもさ…」



勇太「ちゃんと守るよそういうのは」



勇太「丹生谷さんすいませんでした」



森夏「いや私はその…う…嬉かったし…///」



森夏「富樫くんのこと、だ、大好きだから///」



勇太「う…///」

 
――数日後


勇太「そういえば丹生谷あの朝分かれて以来どこかに行っちゃって会ってないよな…」



勇太「売れっ子だし今は仕事忙しいのかな…」



勇太「会いたいな丹生谷…」



勇太「凸守と六花はあの夜のことについて何も聞いてこないし」



勇太「察してくれてるのか…?」



勇太「まあそんなことより丹生谷どこに行ったんだろう…」



勇太「森夏に会いたい…」



勇太「ん、ありがとう」ズズズ



勇太「ん?」



勇太「……」



勇太「……」



勇太「…そっか…ありがと」



勇太「しかし今日は外が騒がしいな」



勇太「え、まさか…」

 
――ピンポーン


勇太「はーい」ドアガチャ



森夏「おはよう富樫くん」



勇太「やっぱり」



森夏「今日から隣に引っ越してきたからよろしくね」



勇太「数日音信普通だったのは引越しの準備してたのか…」



森夏「ふふ…もう遠慮しないからね…私の純潔奪ったんだから覚悟しなさいよ変態」



勇太「うっさいバカ!お前が可愛いのがいけないんだよ!」



森夏「う、うるさい///」



六花「安心して凸守。私も今日から隣に越してきた」



六花「私も今日から一人暮らし。勇太の家の隣ならいいってお姉ちゃんの許可ももらった」



六花「一緒に丹生谷に打ち勝とう」



森夏「だいたい富樫くん鈍すぎなのよ!私がどんだけ想ってたと思って――」



勇太「あああああああうるさい!丹生谷いいからこっち向け!」



森夏「は!?何よ?用があるなら――」チュッ



森夏「んむっ!??」



勇太「丹生谷、俺と付き合ってくれ……」



森夏「………」



森夏「え……あ……うぅ…」ポロポロ



森夏「……はい、喜んで…」

 

 

 

 

 

 

 

 

元スレ

森夏「あれからもう10年か・・・」
https://hayabusa.5ch.net/test/read.cgi/news4vip/1379079093/l50

 

一夏「シャル!俺と付き合ってくれ!!」 【インフィニット・ストラトスss/ssアニメ】

 

一夏「シャルを本気で口説き落とそうと思う」

 

千冬「……は?」

一夏「え?」

千冬「い、今何か言ったか?」

一夏「あ、え?俺声に出してた?」

千冬「うむ。『シャルを本気でくどきおt』」

一夏「うわぁぁああやめてくれっ///」テレテレ

千冬「」


千冬「その、なんだ…お前はシャルロット・デュノアの事が好きなのか?」

一夏「いやまぁそのぅ…でへへ」モジモジ

千冬「」イラッ

一夏「気がついたら好きになってたっていうか……」

千冬「そ、そうか……」

一夏「てへへ」

千冬「(あんのガキャアアア……)」ギリリ

千冬「い、いつの間にかお前も大人になったんだなぁ……」ハハハ

一夏「俺だってもう高校だぜ?」

千冬「うむ。あんなにちっちゃかった一夏がな…」

一夏「はは、いつの話だよ」

千冬「いつかはこの家も出ていくのか……はぁ…うっ…ううぅう」

一夏「え、ちょ、千冬姉?」

千冬「一夏ぁあああ…うぅううう」グビグビ

一夏「(いつの間にこんなに飲んだんだこの人)」


千冬「それでっ」ダンッ

一夏「え?」

千冬「もう本人には伝えたのか?」

一夏「い、言ってないよ…///モノには順番が……///」

千冬「ひょ~かぁ。いつまでぇええもこの家にいていいんだぞいちかぁあ」

一夏「ちょ、飲み過ぎだって千冬ねぇ」

千冬「これが飲まずに…ひっく、いられるかいって」グビッ


一夏「あ~あ飲み潰れちゃった…初めてだな、こんな千冬姉を見るの」

千冬「私はなぁ…私はなぁ一夏ぁああ」

一夏「はいはい。いま布団まで運ぶからな」ヒョイ

千冬「けっ…!さっさと言っちまえバーロー……あっちだって、お前のこと好きに決まってるだろうが」ヒック

一夏「えっ?!マジかよ!!」ゴンッ

千冬「いてっ!」

一夏「あ、やべ」


千冬「zzz……」

一夏「よく寝てるなぁ……ははは」

一夏「さて、洗い物しちゃいますかねっ!」

ジャー ゴシゴシ

一夏「……シャルも俺の事好きなのかなぁ」

一夏「千冬姉は授業中も俺たちの事見てるわけだしな」

一夏「酔っぱらいの寝言とは言え、もしかしたら本当に俺の事をシャルが……」

一夏「……でへへへ」ニヘラ



----------連休が開けて

一夏「おーっす箒。おはよう」

箒「一夏か。確か実家に帰っていたと聞いたが」

一夏「おう。久々にずっと千冬姉と一緒にいたよ」

箒「そうか。家の様子に変わりはなかったか?」

一夏「うん。昔みたいに千冬姉と飯食って……あ」

箒「ん?どうした」

一夏「そういや千冬姉がな……」

箒「ふむ。千冬さん…こほん、織斑先生が酒に飲まれるとはな」

一夏「俺も初めてあんな千冬姉を見たよ」

箒「いいのか?身内の話を他人にペラペラ打ち明けて」

一夏「あー、箒は昔から一緒だったから家族みたいな感覚でつい」

箒「えっ!?」ドキッ

一夏「そうだよな、千冬姉にしたら言いふらしてほしくないよな。すまん忘れてくれ」

箒「え、あ、そうだな……(一夏……)ドキドキ」

箒「織斑先生もストレスが溜まっているのかも知れないな。一夏も気にかけてやれ」

一夏「そうだなー」

箒「わ、私も家族のようなものだからな。都合がつけば酌のひとつでも…」

一夏「あ、酔っ払った原因はたぶんストレスじゃないぞ」

箒「は?」

一夏「あー、どうっすかなぁ……まぁ箒だしいいかな。幼なじみに言うくらい」

箒「な、何を言うのだ一体(え!?まさかこの流れで告白?え?)」

一夏「実は俺、シャルの事が好きなんだ」

箒「…………は?」


一夏「つい千冬姉の前で言っちゃってさ。たぶんけけけ、結婚、とかの事を想像して……」

一夏「たった一人の肉親だからな。ショック受ける気持ちもわかr……箒?箒さん?」ヒラヒラ

箒「」

一夏「ちょ、どうしたんだよ箒!!」ダキッ

箒「(ハハハ…一夏からお姫様だっこされた……最悪死にたい……)」ウエェェ

一夏「ちょまっ、保険室そこだから!な!」ダダダダダ


山田「はーい、みなさん座ってくださーい」

山田「篠ノ之さんは、と……ちょっと体調くずしちゃったみたいですね」

山田「みなさんも連休とは言え羽目を外しすぎて病気しちゃダメですよっ」

セシリア『箒さん、急に倒れたんですってね』ボソッ

一夏『ああ、立ったまま白目むくからびっくりしちゃったよ』ボソッ

セシリア『お互い体調管理に気をつけましょうね』ニコッ

一夏『ああ』ニカッ

一夏「(……あの箒が体調管理に失敗するとはなぁ。ハードな訓練でもしたのかもな)」



---------------放課後

セシリア「一夏さん、わたくしに話ってなんですの?」

一夏「あー、その、何ていうかさ」

セシリア「ふふっ、大事な要件なんでしょう?ゆっくり話して頂いて結構ですわ」

一夏「あー、確かにその、だ、大事なことを聞きたいんだ」

セシリア「まぁまぁ。わたくしも一夏さんに信用されたものですわね(ももも、もしかして…愛の告白っ!?)」

一夏「うん、セシリアにしか聞けない事なんだ」

セシリア「いいですわよ。何でも聞いて下さい(キターーー!!!大事な話キターーー!!!)」


一夏「ほら、セシリアとか俺や箒と違ってヨーロッパ人じゃん?」

セシリア「そうですわね」

一夏「それでその、こ、好みというか。いろいろ、付き合い方にも違いがあるのかなぁって」

セシリア「つつつつ、付き合い方とおっしゃいますと……?」

一夏「あー、要領得ないよな俺!ごめん、はっきり聞くよ」

セシリア「はひっ」

一夏「セシリアはどんな告白されたい?」

セシリア「はひっ!?(マジで告白きたああああ!!!!!!!)」

一夏「ほら、日本の学生だと放課後に校舎裏で、とかさ……あああ何言ってんだ俺」ブンブン

一夏「せ、セシリア!」

一夏「実は俺、好きな人がいるんだ!」ジッ…

セシリア「は、はひっ!(ほ、放課後…場所は校舎裏)」ドキドキ

一夏「でも俺自身初めての経験でさ。こ、告白の仕方すら思いつかなくて」

一夏「それで漫画みたいなやり方をそのまま真似してみようか、なんて」

一夏「単純だよな俺…てへへ」

セシリア「そ、そんな事はありませんわ一夏さんっ」


セシリア「一夏さんが真面目で一途なのはみんな知っていますわ」

セシリア「きっと相手の女性も憎からず思っているはず(むしろバッチコイですわ!)」

セシリア「ですから勇気をだして、方法なんかなんでもいいんですの。一夏さんが、一番あいてに伝わると思う方法が正解ですわ」

一夏「セシリア……うん、そうだよな!」

セシリア「でも告白の前に相手の気持ちを確かめようとするのは原点!男ならズバっと直球勝負ですわ!」

一夏「うん!わかったよセシリア!俺頑張ってみる!」

セシリア「その意気ですわ!(ヘイカモン!!スバーーッとっ!!ストレートにcome onですわっ!!)」

一夏「じゃあ俺、さっそく」

セシリア「はいっ!」キラキラ

一夏「シャルを探しにいくよ!!!」

セシリア「………………………え?」


一夏「やべ、またぽろっと言っちゃったよ」

セシリア「い、いいい、一夏さん?シャルロットさんがなぜそこで……?」

一夏「ここまで言ったんだ、もうわかってると思うけど俺、シャルの事が好きなんだ!」

セシリア「」

一夏「シャルもヨーロッパ圏だろ?なんかいい告白の仕方がないかなって」

一夏「でも俺が間違ってた。うん。一生懸命やればきっと伝わるよな!」

一夏「だから俺行って来るよ!背中押してくれてありがt……あれ?セシリア?」

セシリア「あああーすげぇええ気分悪いですわ今すぐ寮に戻るから一夏さんは気にせずシャルロットさんを探しに行けばいいのですわマジで気分わりぃオエエェエエ」

一夏「あ、あの…?セシリアさん?」


一夏「いや、俺が送ってくよ」

セシリア「一夏さんは嫁入り前の乙女がゲーゲー吐くところをみたいんですの悪趣味ですわねええそりゃもうあれだけ期待させておいて」ブツブツ

一夏「(あ、これやべぇや)」

セシリア「あーうーあーうー」

一夏「とりあえず肩貸そう?な?」


一夏「ふぅ……結局昨日はセシリアをなだめてたら夜になっちゃったからなぁ」

一夏「決戦は今日に持ち越しか……」ギュッ


一夏「………と、言う訳でだ」

ラウラ「どうした嫁」

一夏「ラウラ、服を着てくれ。大切な話がある」


ラウラ「話とはなんだ嫁よ」

一夏「聞いてくれラウラ……俺、好きな人ができた」

ラウラ「? 知ってるぞ」

一夏「でも、それはお前じゃないんだ……」

ラウラ「えっ……」

一夏「俺、シャルが好きなんだ」


ラウラ「ど、どういうことだ嫁…?」ワナワナ

一夏「ずっと近くにいて、お前が俺に好意をもってくれてるのは分かってるつもりだ」

ラウラ「なら!」

一夏「でも俺……本当に好きな人に気がついたんだ」

一夏「だからゴメン…これからは友達として俺と付き合って下さい」ペコッ

ラウラ「だ、だめだ!断る!一夏は私の嫁だ!一夏を好きなのは私なんだ!」

一夏「もう……ベッドに潜り込むのもやめてくれっ」ペコッ


ラウラ「だめだ…!だめ、だめだよ……やだ……」グスッ

一夏「ラウラ」

ラウラ「どうして?クラリッサの言うことも聞いたし…なんでぇ……」グスッ

一夏「ごめんなラウラ……」

ラウラ「……どうしても私じゃダメなのか?」

一夏「………」

一夏「ごめん」ペコッ


ラウラ「う、うわぁあああああ………」

一夏「……泣かないでくれよラウラ」

ラウラ「私の事を守ってくれるって…約束したのにぃ……」ズヒッ

一夏「お前の事は絶対に守ってやるよ。ラウラは大切な仲間だからさ」

一夏「だから……俺の事嫌いになってもいいけど、俺はずっと、友達として好きだからさ」

一夏「泣きやんでくれラウラ」

ラウラ「………やっぱりやだぁああああ」ジタジタ

一夏「おいおい」


一夏「な?わかってくれよラウラ」ダキッ

ラウラ「いちかぁ……いちかぁあ……」

一夏「落ち着いたか?」ナデナデ

ラウラ「…………」ズヒッ

一夏「ほら…俺たちずっと友達だから、さ」

一夏「悲しくないだろ?」


プシューッ
一夏「ほら、もう部屋に戻らないと時間がないぞ」

ラウラ「いちかっ……」

一夏「うん?」

ラウラ「私の事好きか?」

一夏「うん。大好きな友達だよ」

ラウラ「………私は諦めないぞ一夏!ずっと、待ってるから……」トテトテトテ

一夏「……………ふぅ~、なんとか形はつけた…か?」

シャル「(あちゃ~、女の子はああいう振り方しちゃ引きずっちゃうんだけどなぁ)」

シャル「(ま、ライバルが一人減ったと言う事でいっか)」

シャル「あれ?どうしたの一夏」

一夏「へ?……シャル!?」


一夏「み、見てたのか?」

シャル「ん?ラウラが走っていったみたいなのは見えたけど」

一夏「ふ~。そ、そうか」

シャル「ん?」

一夏「いやなんでもないよ。なんでも」ハハハ

シャル「ヘンな一夏」


シャル「(でも身辺整理始めたってことは……まさか本命の子ができた!?)」

シャル「(くっ……いつの間に……)」

一夏「(どうやらシャルには聞かれてないみたいだな……一安心だ)」

一夏「(……いやマテ。ここでいつも通りお友達してどうする俺)」

一夏「(むしろこれは絶好のチャンスなのでは!?)」ゴクリッ


シャル「(誰が一番一夏と親しいのか……一緒にいた時間は篠ノ之さんと鈴にはかなわないけど)」

シャル「(でも、一夏の事なら僕だって負けないからねっ)」フンスッ

一夏「(どうする?ここで言っちまうか?)」

一夏「(……やべ、意識してたら緊張してきた)」ドキドキドキ

一夏「(えーと、シャル!俺とつきあってk……やっぱ恥ずかしいいいいいい!!!!!///)」


シャル「(どうする!?誰かにとられるくらいなら僕がここでこ、こここ、告白……)」

シャル「(だめだっ!僕が本命じゃなかったらラウラみたいに…)」

シャル「(でも今言わなきゃいずれ……)」

一夏「(弱気になるなよ俺!)」

一夏「(千冬姉だって大丈夫って言ってたじゃないか。寝言だけど)」

一夏「(箒だってセシリアだって応援してくれたんだ)」

一夏「(ラウラもしっかり断ったし。うん!やるぞ俺!!)」



一夏「シャル!俺と付き合ってくれ!!」
シャル「一夏!僕と付き合ってください!!!」


一夏「へ?」

シャル「ん?」

一夏「…………あ、あの。もう一度いっていただけますか?」

シャル「え、あ、その…///」カアッ

シャル「一夏こそ今、僕の事……///」


一夏「…………」

シャル「…………」

一夏「…………」

シャル「…………」

一夏「………ぷっ」

シャル「………ははっ」

一夏「はは、ははっは!!」

シャル「はは、ははははっ!」


一夏「シャルーー!好きだーーー!」ダキッ

シャル「うわっ……い、いちか……」

シャル「ぼ、僕だって一夏の事が、大好きだーー!!!」ダキッ

一夏「シャルーーーー!!!」ダキッ

シャル「いちかーーー!!!」ダキッ


山田「はうぅう……二人共廊下の真ん中で…でもちょっと羨ましいですね、織斑先生?」

山田「………織斑先生?」

千冬「」

山田「アレ?」


一夏「シャル、俺今すんげー幸せ」

シャル「一夏……うん、僕もだよ」

一夏「シャル……」

シャル「一夏……」

一夏「…………」ドキドキドキドキ

シャル「…………」ドキドキドキドキ


…チュッ


千冬「あが、あがががががが」

山田「はわわ……だ、誰かー!!織斑先生がぁああ!!」


コンコン
千冬「おい、もう式が始まるぞ」

一夏「あ、今いくよ千冬姉」

千冬「新婦はもう準備できてるからな」

一夏「うん、俺も今……あ、どうかな千冬姉。俺のかっこ」

千冬「………ああ、見違えるほど逞しくなったな」

一夏「千冬姉……」

千冬「もうどこに出しても恥ずかしくないよ…一夏、お前は私の自慢の弟だ」

一夏「千冬姉……今までありがとなっ」ダキッ

千冬「いち、か……(あ、もう死んでもいいかも)」ダキッ

一夏「俺、絶対シャルを幸せにするから」

千冬「あ、ああ。……お前なら大丈夫だ(クソッ!クソッ!)」


『そろそろ準備お願いしまーす』

一夏「……千冬姉、そろそろ」

千冬「ああ。シャルが待ってるぞ(うぉぉおおおお!!!!最後の気力で送り出せ千冬ウゥゥウウ!!!)」

千冬「……織斑!背筋を伸ばせ!」

一夏「えっ?千冬姉?」

千冬「結婚式は一生に一度の女の舞台だ!ばっちり決めてやれよ!失敗は許さん!!」

一夏「…………はいっ!織斑先生!!」

一夏「………ぷっ。ありがとなっ!千冬姉!」

千冬「ああ、行って来い(やべ泣きそ……)」


--------------------------


シャル「…………いちかっ」

一夏「シャルっ!」

シャル「どうかな一夏。変じゃないかな」モジモジ

一夏「変じゃないよ。すごく綺麗だ。似合ってる」

シャル「え、えへへ……ありがとう一夏」

一夏「………じゃ、いこっか」

シャル「うんっ!!」ダキッ


『汝、織斑一夏はこの者を生涯の伴侶とし健やかなる時も………』
『汝、シャルロット・デュノアはこの者を生涯の伴侶とし……』

一夏「誓います」
シャル「誓います」

『では、指輪の交換と誓いのキスを……』

一夏「シャル……」

シャル「一夏……」

………チュッ

箒「うおおおおお!!!キレイだぞ一夏ああああ!!!!!」パチパチパチパチ

セシリア「か、感動ですわっ!!お二人ともお幸せに!!!」パチパチパチパチ

ラウラ「くやしいけど、似合ってるぞシャルロット」パチパチパチ

一夏「ありがとうみんな!俺、候補生のみんなと会えて、IS学園に入れて本当に良かったよ!!!」

シャル「僕も本当に、本当に嬉しくて!!ありがとうみんな!!!」

ワーワー パチパチパチ


一夏「シャル!絶対幸せになろうな!!」

シャル「…………うんっ!!!!」


こうして二人は結婚した。
仲睦まじい二人の生活は決して派手なものではなかったが
ゆっくりはぐぐまれた愛情は、それだけ二人の間に深く根付いた。

……数十年後。年老いてもなお二人は固く手を握っているだろう。
やがて人生の終わりが近づいた時、二人はこの学園での生活を
どのように思い出すだろうか。
それは眩しくて、あたたかくて、かけがえのない……。
二人にとっての宝石に違いない。


 

 

 

 

 

 

元スレ

一夏「シャルを本気で口説き落とそうと思う」http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1326065204/

 

折本「チョコに決まってんじゃん。今年はあげるって言ったっしょ?」 八幡「え、あ、そ、そうか」【俺ガイルss/アニメss】

折本「やっはろー!」

 

八幡「……………………おう」

 

バタンッ

 

折本「えっ!なんで閉めるの!?おーい!ひーきーがーやー!」ドンドン

 

え、なにしにきたのあの子。怖いんだけど。なにが怖いかってどんだけあの「やっはろー」とかいう挨拶広まってるの?他校まで流行ってんの?

 

折本「ねえー!開けてよー!比企谷ー」ドンドン

 

うるせえな。どこの借金取りだよ。

 

ガチャ

 

八幡「…なにしにきたんですか?」

 

折本「なんで敬語なのwwwwウケるwwwwwww」

 

八幡「いやウケねえから…」

 

折本「はいこれ」

 

八幡「…なにこれ?」

 

可愛らしい箱だな…もしかしてあれか?ビックリ箱か?開けたらビヨーンとピエロでも飛び出すあれ?ふっ、甘いな。いまさらそんなもので俺は驚かん。むしろそんな箱の方が可愛いくらいだ。小学生の時に、クラスの子に「プレゼントだよ!」って渡された箱をワクワクして開けたら大量の蝉の抜け殻が入ってたあの日よりかマシだ。吐き気してきた…。

 

折本「チョコに決まってんじゃん。今年はあげるって言ったっしょ?」

 

八幡「え、あ、そ、そうか。あ、あり、ありひゃっ」

 

めっちゃ噛んだ…なに今の絶対引かれる…

 

折本「ちょっwww噛みすぎwwwwマジウケるwwwww」

 

笑われたよ…

てか、え?チョコ?俺に?折本が?確かにこの前イベントでチョコあげるみたいなことは言ってたけど、その日は結局くれなかったし。冗談で言ったのかと思ってたが。…本当にチョコなんだろうかこれは?

 

折本「…なんか信じてないでしょ比企谷。正真正銘、私が作った比企谷へのチョコだよ?」

 

八幡「お、おう…そうか…」

 

折本「ま、あげるって言っといて遅くなったのは悪かったよ。ごめん!…あげるのすっかり忘れてたから」ボソ

 

最後っ!最後の一言聞きたくなかった!ボソっって感じなのにハッキリ聞こえちゃいましたよ!くそっ!俺も鈍感主人公になりたい!てかデレたセリフでもないしとにかく聞きたくなかったわ。え?冗談とかじゃなくて忘れられてたの?なんか目から汗でてくるんだけど

 

八幡「いや、その、ありがとな。嬉しいよ。大事に食う。」

 

折本「…」ヘー

 

八幡「なんだよ」

 

折本「なんだ、比企谷ちゃんとお礼言えるじゃん!それに大事に食うとかwwwなんかウケるwww」

 

八幡「どこにウケるとこがあるんだ…俺だってお礼ぐらい言うわ。それに折本、なんかすごい頑張って作ってたし。大事に食べないとなんかもったいないだろ」

 

折本「ええ!?///…い、いや別に、頑張ってたとか、そんなことは…ていうか比企谷作ってるとこ見てたの?///キ、キモ…///」

 

えー、キモいって言われたー

なに俺って女の子が料理してるとこ見てるだけでキモいって言われるの?

実際、折本は雪ノ下のような手慣れた雰囲気もなかったし、料理はあまりやらないのだろう。女子力高そうな雑誌見ながらやってたし。チョコ作る事は折本にとって初めての挑戦なんじゃないかって感じがした。必死にチョコ混ぜててほっぺにチョコついてたし。あれはなんか可愛いかっ…ゴホンゴホンッ

 

折本「でも、そっか…大事に…食べるか…………比企谷」

 

八幡「?」

 

折本「そんなこと言ってくれたのは比企谷が初めてだよ!ありがとう!大事に食べてよ!」ニコ

 

八幡「っ///」

 

そ、その笑顔は反則ですよ折本さん

こ、こいつやっぱり可愛いよな。うん。絶対口にしないけど。

 

折本「それじゃあ用もすんだし帰りますか。あ、そうだ比企谷!今度遊びに行かない?暇でしょ?」」

 

八幡「いや…俺はその休みの日アレだから」

 

折本と遊びに行くとか怖すぎる

こいつからこんな誘いするなんて…

 

折本「いいじゃん!私たち…友達でしょ?」

 

八幡「……」

 

八幡「まあ…考えとくよ」

 

折本「そ、ありがと!んじゃあねー」ノシ

 

八幡「友達…か…」

 

友達…あの時の言葉、本気だったのか折本のやつ。

俺と折本の関係…中学時代、俺が折本に告白して、振られて、次の日には笑い者にされて…あれからずいぶん時間がたった。高校生になって偶然折本と再会して。なぜか葉山と共に遊ぶだり生徒会の仕事だったりで会うことが増え…

 

「でも…友達としては…ちょっとアリかな」

 

まさかそんなことを彼女から言われる日がくるとは思わなかった

 

「ウケるし」ニコ

 

ウケねえーけど。そんときの笑顔がちょっと可愛いかっ…たな。

 

〜1週間後〜

 

折本「やっはろー!」

 

八幡「…」スッ

 

折本「おっとと!なんですぐドア閉めようとするの!?」ガシ

 

なんなのこの子、1週間前にあったばっかですやん

なんで俺の家くるの?そういえばなんで俺の家知ってんの?

 

八幡「なんのご用でしょうか…」

 

折本「前言ったじゃん!遊ぼ!」

 

いや確かに言ってたけど。誰も了承してないし。突然家に来るとかどんだけ強引なの。いやまあそういえば連絡先知らないけどさ…昔、交換したけど、消しちゃったし…あっちも消したんだろうな

 

八幡「いや…今日は…ね?天気悪いし…」

 

折本「え?雲一つないけど?」

 

くっ…直接来られたら逃げづらい…!

 

折本「んー……じゃあ比企谷の家で遊ぶ?…迷惑じゃなかったらだけど」

 

じゃあってなんだよ。まあ俺の外に出たくないオーラを感じ取ったんだろうけど。遊ぶことは譲らないんですね

さすがの強引な折本さんもいきなり家に押しかけるのは迷惑だと思うのか。少し感心した。

はぁ…まあこのまま帰すのもなんか悪い気がするな…一応、考えとくって言っちゃってたし、行く気ないって意味だったんだけどね。

家ならまあいいか…今なら小町も出かけてるし。めんどくさいことにはならんだろ。

 

八幡「はぁ…じゃあ、入れよ。でも言っとくけど俺ん家きてもやることないからな」

 

折本「えwwwwwマジでいいの?wwwwウケるwwwwwww」

 

八幡「いや…ウケねえから」

 

ー比企谷家ー

 

折本「ほえー、ここが比企谷の部屋かー。てかいきなり自分の部屋に女の子入れるなんて。比企谷って大胆すぎwwwwウケるwwwww」

 

た、確かにいきなり女子を部屋に入れるのはどうかと思った。だけど、今、家に俺しかいねえしずっと俺は自分の部屋にいたからここしか暖房効いてねえしな。さすがに客人を極寒のリビングに連れてくのはどうかと思ってだな…

 

折本「ってかここ暑すぎwww」

 

八幡「ならマフラーはずせ」

 

折本「あ、そうだね。上着も脱ごっと」スルスル

 

折本「ん〜」カラダノビノビー

 

あんま中学のときも今も気にしてなかったが…こいつって出るとこ出てるっていうか…やっぱり…スタイルいい…よな。

 

折本「ん?なに?」

 

八幡「い、いやなんでも///」

 

折本「ウケるwwww」

 

八幡「なんでだよ…ていうか脱ぎ散らかすなよ。踏んじまうぞ」

 

折本「いいじゃん別に〜。比企谷は細かいな〜」

 

八幡「学校の男友達と遊ぶ時もそんな感じなの?男子だって結構見るぞそういうとこは」

 

折本「えーわかんないよ。男子と家で遊んだことないし」

 

八幡「えっ、そうなのか…」

 

意外…てっきり男子の家で男女みんなでウェーーーイwwww今日は朝まで飲むぜーwwwとかやってるのかと。未成年だけど。

 

八幡「…お茶入れてくるから適当にくつろいでてくれ」

 

折本「は〜い」

 

………

……

 

八幡「なにをされてるんですか?」

 

いやまあなんかこいつならやりそうだなっと思ったけど。残念ながら俺のベッドの下は埃しかないですよ。

 

折本「一冊もないとか…もしかして比企谷ってホm

 

八幡「違う。断じて」

 

折本「でも、さっき良いの見つけたよ。あ、お茶ありがとね」

 

八幡「見つけたよじゃないよ。漁らないでもらえます?………それは」

 

 

卒アル…か。中学の。

そうか、同じ中学だもんな

てか、どこにあったんだそれ。俺にとってただのトラウマアルバムだからその存在自体を俺の頭の中から抹消してたわ。部屋にあったのか。

 

折本「ちょwwww比企谷wwwなにこの顔wwwちょっとニヤけてるしwwwキモウケるww」

 

それに関してはマジで写真選んだやつぶん殴りたい。なんでこれなの?真顔のやつの方がまだマシだわ。カメラマンに「じゃあ今度はちょっと笑ってみてー」っていうからちょっと笑ってみたら「い、いいと思うよ。う、うん」とか明らか微妙な反応されてたのに。なんでこれ採用したの?ちょーウケない

 

折本「てか比企谷まったく写ってないじゃんwwwちょーウケるwww」

 

八幡「い、いや。俺だって写ってるから。ちょっとぐらい写ってるから」

 

折本「へー、どれ?」

 

八幡「ほら、ここ」

 

折本「思いっきりボヤけてんじゃんwwww」

 

…卒アルもらってトラウマアルバムと言いながら最初は少しワクワクして、1時間以上写真に写る自分を探した結果あまりのステルスヒッキーに感動したよ、ほんと。涙ちょちょぎれたね。

 

八幡「あ、そうだ折本」

 

折本「ん?なに?」

 

八幡「チョコ…美味かった」

 

折本「そ、そっか///」

 

八幡「ありがとな」

 

折本「いいよ別に///…お返し忘れないでよ?」

 

八幡「ああ、わかってるよ」

 

………

……

 

それから結局、なんだかんだ、卒アルで少し思い出話をして、その後はオセロやらトランプをした。オセロやトランプを1人以外でやるなんていつ以来だろうか…ちょっと感動した。けっこう白熱して、時間も忘れて遊んだ。

こいつも「比企谷wwwww遊び地味すぎwww」とか言いながらわりと楽しんでたみたいだ

 

折本「はあ〜地味だったけどなんか久しぶりだったし楽しかった〜。オセロとか。てか比企谷オセロ強すぎ」ムスー

 

まだ拗ねてんのかこいつ

当たり前だ。俺がどれだけの年月をかけて修行したと思ってるんだ

…1人で。いやオセロって1人でやっても楽しいから。むしろ1人の方が白熱するから。

 

…………それよりさ、折本さん

 

八幡「おい、その…折本、お前もうちょっとだな…その姿勢をだな///」

 

折本「ん〜?」足パタパタ

 

無防備すぎやしませんかね

こいつさっきからずっと俺のベッドでゴロゴロしてるんだよね。スカートではないけどさ。ショートパンツなんだよね。わりと足が魅力的と言いますか…いや、あ、足フェチとかじゃないよ?よ?上も、暖房効いてるからってポイポイ服脱ぎやがって…

オセロの時、胸見えてたんたぞ…圧勝はしたが精神攻撃が尋常じゃなかったわ

 

八幡「いや…なんでもない」

 

折本「変な比企谷wwwwキモwwww」

 

八幡「キモいだけ言うなよ。ウケてくれよそこは…」

 

折本「えー、ウケないよ。キモいし」

 

八幡「さいですか…」

 

折本「…」

 

八幡「…」

 

折本「比企谷ってさあ…」

 

八幡「ん?」

 

折本「中学の時、やっぱり友達いなかったんだよね」

 

八幡「やっぱりってなんだよ…いなかったな」

 

折本「今はいるの?」

 

八幡「……………いる、と思う。わからんが」

 

折本「わかんないんだ」

 

八幡「…」

 

わからない。今の俺には。

 

折本「…彼女は?」

 

八幡「…いねえよ」

 

折本「だよね」

 

だよねってなんですか!

わかってるなら聞かないでもらえますか!

さっきからどうしたんだこいつ

 

折本「そっか…」

 

八幡「なんなんだよ一体………んお、もうこんな時間か」ヨッコラセ

 

八幡「折本、送ってやるから、そろそろ帰えっうわっと!?」ズルッ

 

折本「へ?」

 

状況を説明しよう!俺が少し折本に近づこうとしたら見事、折本が脱ぎ散らかしたマフラー踏んじゃいました!足滑ってます!フラグ回収!そして八幡の身体は倒れていきます!折本めがけて!それだけはらめええええええ!

 

折本「きゃっ!」

 

八幡「おぶっ!」

 

折本「いったー」

 

八幡「いてて…」

 

折本「えっ…ちょ///」

 

あーはいはい。これね。すごいね。しっかりと折本にぶつかり、折本が倒れて俺がその上に乗ったよ。よくエロゲとかで見るわ。はいはいテンプレテンプレ。まあ、かの有名な某漫画のリトさんならもっとエロエロだったろうし俺なんかチョロいチョロい。おいおい、あははっ、顔が近いね折本と。うんうん。…これは非常にマズイ。はやく逃げ…

 

小町「お兄ちゃーん!お兄ちゃんの愛する小町ちゃんが帰ってきましたよー!」ガチャ

 

八幡「…ぇ」

 

折本「///」

 

小町「」

 

小町「お、お邪魔…しました」ガチャン

 

八幡「待て、待ってくれ小町ぃいい!」

 

なんだよこの小町の完璧なタイミング!そこまでエロゲにしなくていいじゃんかよ神様!神様のバカ!アホ!八幡!

 

折本「ちょ、ちょっと!…比企谷…はやく離れてよ…!///」グイグイ

 

八幡「え、あっ!す、すまん!」バッ

 

折本「…」

 

怒ってるか?…怒ってますよね…

 

八幡「その、すまん。折本…。マフラーも…踏んでしまって、悪かった」

 

折本「ま、まあ私がマフラー放り投げてたのが悪いんだし…許す…よ///」

 

八幡「そ、そうか…」

 

折本「…」

 

八幡「…」

 

き、気まずくなってしまった…

 

ドア ガチャ

 

小町「あのー?お兄ちゃん?そちらは…お客さん…だよね?えっと、よかったら…夕食、食べていきます?」ソロリ

 

………

……

 

小町「改めまして!比企谷小町です!そこの人の妹です!」

 

そこの人って…

 

折本「折本かおりだよ!比企谷とは…学校は違うけど…友達……かな」

 

八幡「…」

 

小町「友達…ですか。しかも他校…。え?というか友達?お兄ちゃんに……友達!?!?!?」

 

八幡「いや驚きすぎでしょ。俺にだって友達はいる」

 

戸塚とか戸塚とかな。あ、あと戸塚。

 

折本「なに比企谷wwwそんなに友達いないの?wwwwウケるwwww」

 

あれ?さっき同じ会話しなかったけ?なんか折本が異様にシリアスでよくわからんかったな

 

八幡「だ、だからいるから。話を聞きなさい」

 

折本「まあでも、よかったじゃん!今までは友達少なかったかもしれないけど今は…私がいるでしょ?」ニコ

 

八幡「///」

 

なんでサラっとそういうこと言えちゃうんですかこの子…心臓に悪いぞ…

 

折本「え、顔真っ赤じゃん比企谷wwちょーキモいwwwwなに照れたの?照れてるの?www」

 

八幡「う、うるさい///」

 

ああ、くそ、なんか調子狂うなこいつといると

なんなんだよほんと

 

小町「ふ〜ん…なるほどなるほど」

 

八幡「な、なんだよ」

 

小町「なんでもなーい!それじゃあご飯にしましょう!今日はみんな大好き小町鍋だよ!」

 

いや鍋は鍋だろ。小町が作ったカレーで小町カレー!とかならわかるが。なんかそれ小町をぐつぐつした鍋みたいじゃねえか。…いいかもな。うまそう。ぐへへ。

 

小町「お兄ちゃん…なに考えてるかわからないけどなんか小町的にポイント大暴落してるよ…?」

 

………

……

 

折本「いやー食べた食べた!美味しかったー!」

 

八幡「よかったな」

 

当たり前だ。小町が作った料理だぞ。…鍋だけど。小町ひたすら野菜突っ込んでただけだけど。あれだ。小町がそれをするから美味しいんだ。それが小町鍋の美味しさの秘訣。小町鍋万歳。

 

折本「それにしても小町ちゃんって本当に比企谷の妹?ちょー可愛いかったんだけどwwwくれない?」

 

八幡「よく言われるよ。小町は確かに超絶美少女な女神様だが絶対やらん。将来的にも誰にもやらん」

 

折本「うわっ、シスコンきも…」

 

めちゃくちゃドン引かれたよ。なにその低い声…

違うんです。俺はただ、小町を愛してるだけなんです。

 

八幡「シスコンじゃねえよ…んっ…しょ…よし、ほら、乗れよ」

 

折本「え?」

 

八幡「え?じゃないですよ。折本ん家ってここから少し遠いんだろ?ならチャリの方がいいだろ?」

 

折本「あーなるほどっ…ぶふっwww比企谷と2人乗りとかwwwwwウケるwwww」

 

八幡「なんでだよ…嫌なら乗せねえぞ。俺だけ乗る」

 

折本「え、なにそれ…最低」

 

八幡「マジなトーンはやめてくれよ…」

 

折本「よいしょ、それじゃあレッツゴー!」ギュウ

 

八幡「結局乗るのか…っておい!そ、そんな抱きつくなって///」

 

お、おい。当たってる!当たってますよ!なんか背中にふにょんふにょんって!

 

折本「えー抱きつかないと落っこちちゃうじゃん!それにこういうイベントを期待して2人乗りすすめたんじゃないの?ほれほれ」ニヤニヤ ギュウギュウ

 

ギュウギュウするな!しないでください!柔らか…じゃない!なんでこいつこんな勘違いしそうなことばかりするわけ?俺じゃなかったら即オチだよ?

 

折本「あのさあ…ちょっと寄りたい所あるんだけど」

 

八幡「?…まあいいけど。とりあえずもうちょっとだけ離れて。かるーくでいいから。心臓に悪いから。事故るから」

 

折本「必死すぎwwwキモwwwwウケるwwww」

 

はぁ…ほんといつもウケてんな…こいつ

 

ー公園ー

 

八幡「なぜに公園?え、なにシーソーでもやる感じ?言っとくけど俺とシーソーする人なんて人生でいなかったから初体験ですよ?優しくしてね?」

 

折本「あのさ…比企谷…」

 

すごい無視された。ビックリだよ。

というかまたこれあれじゃね?シリアス折本

 

八幡「なんだよ」

 

折本「あの…」

 

八幡「?」

 

なんだ…折本にしてはずいぶん煮え切らないな

 

折本「すぅ〜〜はぁ〜〜」

 

折本「比企谷…ごめんなさい」ペコ

 

八幡「え?」

 

なんで…折本が俺に謝るの?あ、あれですか。もしかして、告白してないのにフられたのかな僕。残酷すぎるわ。

 

折本「中学の時…比企谷をみんなの笑い者にして…ごめんなさい」

 

八幡「お、お前…今更そんなこと…。俺はもうあの時のことは気にしてない。どうでもいいことだ。だから謝らなくていいぞ」

 

折本「わかってる。今更だってことは。遅すぎた…んだよね、私は。今更、どれだけ後悔しても、謝っても、意味がないってことはわかってる。でも、それでも謝りたい」

 

八幡「…」

 

折本「私は、比企谷のことをまったく見てなかった。見ようとしなかった。自分に…告白してくれた人を勝手につまんない奴だと決めつけ。笑い者にした。あの時の私は、あれが比企谷をどれだけ傷つけたのかをまったく考えず、能天気に過ごしていた」

 

折本「でも比企谷と再開して、葉山くんたちと遊んだ時に言われて、2人の女の子を見せられて、生徒会の仕事の時やバレンタインの時に総武高のいろんな人たちと話してるところをみて、私はだんだん比企谷を見るように考えるようになった」

 

折本「それでやっと理解した。自分が比企谷にしたことを。すごく、すごく後悔したよ。なんであんなことをしてしまったのかって…」

 

折本「今更だけど、でも、お願い。謝らせて。これで私の罪が消えるとは思ってない。これがただの私の自己満足だってことはわかってる。でも謝りたい」

 

八幡「……わかった」

 

折本「ごめんなさい」ペコ

 

八幡「……ああ」

 

素直に…驚いた。折本かおりがこんな風に考える奴だったなんて。

俺も…わかってなかった。見れてなかったんだな折本のこと。

あのトラウマは、もう過ぎたことだ。今更、気にしてないしどうでもいいことだ。でも…折本に言われて。なんだか嬉しかった。心が少し晴れたような…そんな気持ちになった。

 

折本「ぇっぐ…ぐすっ…」

 

八幡「え?お、おい」

 

なんか泣いてらっしゃるんですけどおおおおお

 

折本「ご、ごめん…ぐすっ…泣くっ…のは、卑怯だと…思って…うぐっ…我慢してっ…た…んだけど…やっと…ぐすっ…比企谷に言えたっ…と、思ったら…急に……うっく…」

 

八幡「はぁ…まったく」

 

折本も、女の子だな。やっぱり。

辛かった…んだろうな。

 

折本「それと…さ、もう一つあるんだ…」

 

比企谷「なんだ?」

 

折本「比企谷は…私を友達だと思ってる?…ぐすっ」

 

八幡「え?それは…」

 

正直、思っては…いない。いや、わかっていない…のか。

 

「でも…友達としては…ちょっとアリかな」

 

急にそんなこと言われても。はい、それじゃあ今から俺たち友達な!ってなれるわけない。

折本とはまったくそんな関係になることが想像つかなかったし

俺には「友達」がなんなのか、まだ、わかっていないから。

それと…折本の話を聞いて、思うことがある。折本が言う「友達」って言うのは

 

折本「言っとく…けど、罪悪感で比企谷に近づこうとしたとかそういうのじゃないから。私は今の比企谷を見て、考えて、本気で、比企谷の友達になりたいと思っただけだから」キッ

 

八幡「そう…か…」

 

心読まれちまったな…

さっきまで泣いてたくせに…そんなに強く言えるなんて…すごいな折本は

 

折本「比企谷は…嫌?私と友達になるのは。私と遊んだり、話したりするのは」

 

友達…折本と…友達。

わからない。なにが友達なのか。どうすれば友達なのか。わからないけど。今の折本を否定したくない。なぜかはわからないけど。はぁ…なんだこれ、わからないことだらけだな。まあ、とにかく…

 

八幡「折本…」

 

折本「なに?」

 

八幡「その、まだ俺にはわからないけど。嫌…ではない。折本と遊ぶのは…正直楽しかった。だからその友達?になる。なろう?なれる…か?」

 

折本「…………ふふっ…なにそれwwwなにいってんのか全然わかんないんだけどwwwwウケるwww」

 

八幡「おい…今はウケんなよ…はぁ…」

 

折本「比企谷」

 

八幡「ん?」

 

折本「ありがとう!嬉しいよ!」ニコ

 

八幡「あ、ああ……その、よろ⤴︎しく…な///」

 

折本「きょどりすぎwwwwキモwww」

 

八幡「ぐぬっ…お前も、その、もう泣くなって」ナデナデ

 

折本「ちょっ///ひ、比企谷!///と、とっくに泣きやんでるってば///」

 

八幡「あっ、わ、悪い!ついクセで」

 

やっべ、目のとこ赤くなってるし、俺が…泣かせたようなもんだし…つい…こんな時にお兄ちゃんスキルを…小町が泣いてた時よくしてたからな…で、でも折本にやってしまうとは…怒ってるか?

 

折本「男子に頭撫でられたのなんてはじめてだよ///…責任……とってよ///」頭サスサス

 

八幡「」

 

ちょっ!こいつくっそ可愛い!嘘っこんなに可愛いかったけ?ヤバイ今のはヤバイなにがヤバイかってもうヤバイ

 

八幡「せ、責任ってなんだよ///」

 

折本「え、なに顔赤くしてんの?なんかやらしいこと考えてる?勘違いしすぎwwwwキモwwwwwwwちょーウケるんだけどwwwww」

 

前言撤回だ

ちょー可愛いくない。なにこいつマジウケる。

 

折本「んー…それじゃあ今度の土日に買い物付き合ってよ」

 

八幡「え?」

 

折本「か〜い〜も〜の!どうせ暇でしょ?」

 

八幡「いや土日は…その、アレだから」

 

折本「いいじゃん…友達…でしょ?」ウワメヅカイ

 

八幡「」

 

なにこいつ卑怯すぎませんかね。

 

八幡「あーわかったよ!今度の土日な。まあ買い物ぐらいいいか…その友達…なんだしな///」ガシガシ

 

折本「そそ、それでいいんだよ!…あ、あとさ…その…」

 

…?携帯を取り出してなにか言いたそうだが…

…ああ、連絡先か。まあ…言いにくいよな。だから今までも言えなかったんだろう。…よし。

 

八幡「そういえば、俺、携帯がそのアレでアレだったからデータがアレなんだわ。土日の件もあるし、折本の連絡先教えてくれね?」

 

折本「え?あ、そうなんだ!そうかそうか!うん…なら交換しよっか…///」

 

八幡「おう。ほら」ポイ

 

折本「うわっとと…えっ?そんな簡単に携帯渡す?」

 

八幡「まあ見られて困るようなもんないからな」

 

ピロリロリン♫

 

折本「はい!オッケー!」

 

はやっ!由比ヶ浜といい最近の女子高生の指はどうなってんだ。音速超えてるんじゃなかろうか。

 

折本「てかなにこれwww電話帳すくなwwwウケるwww」

 

八幡「うるせえな。終わったなら返せ」

 

折本「…でもなんか、女子っぽい名前もあるね。これ…あの2人の女の子も入ってるんでしょ?比企谷ってもしかしてモテモテ?」

 

八幡「雪ノ下のはねえけどな。んなわけねえだろ。俺がモテたら全世界の男がモテるぞ」

 

折本「だよねーwwwウケるwwwはい!これ返す!」

 

八幡「いやウケるなよ…」

 

折本「それじゃあ今度こそ帰ろうかな。ありがとね。送ってくれて」

 

八幡「いや最後まで送るぞ。夜遅いんだし」

 

折本「いや実は私の家、この公園の隣だから。ほらあそこ。だからもう大丈夫だよ!最後まで女の子を家まで送るなんてかおり的にポイント高いよ!」

 

八幡「やめろ、そのポイント制。小町だけで十分だから。そうか…それじゃあまたな」

 

折本「おやすみ!またね〜!」ノシ ブンブン

 

ブンブンと手を振る彼女の笑顔は偽りもなく本当に気持ちのいいものだった。それを見ると俺も自然と気持ちのいい気分になれた。

あの笑顔見て、俺はさっきのことを思い出しふと思った。

 

八幡「…折本が涙流すのって…なんか嫌だな…」

 

夜も深い、寒空の下、1人帰宅する俺は彼女の笑顔が頭から離れず、身体は冷えても心はとても暖かな気持ちに包まれていた

 

八幡「はぁ…マっ缶買って帰るか…」

 

 

………

……

 

あれから俺たちは、よく2人で遊ぶようになった。2人で出かけたり、俺ん家でまたオセロやトランプしたり、テレビゲームしたり…

これが友達なのかは、やっぱり俺にはわからない

でも、折本と遊ぶのは本当に…楽しい

 

………

……

 

〜数日後〜

 

《折本side》

 

折本「ふふふっ…ほんとこいつ…絵文字ぐらい使えってのwww…じゃあ10時に駅前でっ…と」カチャカチャ

 

比企谷のメールはすんごい簡素だ。

絵文字も顔文字もなんもありゃしない。

しかもすんごいそっけない。この前なんて

 

比企谷〜!(^O^)

暇だからなんか話そう〜(^O^)/

 

そうか。俺は暇じゃない。おやすみ。

 

Σ(゚д゚lll)

 

最初はさすがにドン引きしたけどなんだかんだその後もメールしたら返してくれるし。なーんか気が楽なんだよなー。比企谷とのメールは。女子とメールするときは言葉を選んだりちょっとキャピキャピした絵文字とか顔文字使うことを意識しちゃうけど…比企谷とはすごく気楽で…なんだか楽しい

それはメールに限ったことじゃない。出かけたり、比企谷の家でゲームしたり、本当に、本当に楽しい。

 

千佳「かおり〜、最近なんかあったの?」

 

折本「え?なんで?」

 

千佳「いやなんかここ数日、浮かれてるというか…携帯さわってるときなんかニヤニヤしてるし…今も。なんかキモいよ?」

 

折本「キモッ!?ひどいよ千佳!」

 

千佳「あはははっごめんごめん。それで?なにがあったの?」

 

折本「明日、比企谷と買い物行くんだ〜♫」

 

千佳「えっ……比企谷って…あの前、葉山くんといた人?」

 

折本「そうそう!ウケるっしょ〜wwww♫」

 

千佳「その…比企谷くんと買い物行くの?2人で?」

 

折本「そうそう!」

 

千佳「ねえ…私が、最近かおり機嫌いいなって思ったの、けっこう前なんだけど…それが原因なら…もしかしてよく遊びに行ってるの?2人で」

 

折本「そうだねー。週三ぐらいで遊んでるかなー。ほんと比企谷と遊ぶの楽しくてさ!マジおもしろいんだよあいつwwww」

 

千佳「週三!?週三で2人で出かけたりしてるの!?」

 

折本「いや、比企谷の家で遊ぶ時もあるよ。というかそっちの方が多いかな?平日はさすがに学校終わりでなんかダルいし。それにあいつ基本、休みに外出るの嫌がるから。マジウケるよねwww」

 

千佳「家!?比企谷くんの!?2人で?いやいやいやウケないよ!!」

 

折本「いや、家族もいる時あるよ。あいつの妹で小町ちゃんっていうんだけどさ〜。あざと可愛いんだよね〜」

 

千佳「か、家族公認…だと…!?」

 

折本「さっきからどうしたの千佳。なんかうるさいよ」

 

千佳「はぁ……ねえ、2人は…付き合ってるの?」

 

折本「えっwwwwwないないwwww比企谷と付き合うとかないわーwwwwそれはウケないよ千佳マジウケるwwww比企谷とはただの友達!」

 

千佳「あ、あのさ…かおりってそういえば男子に友達いたっけ?よくいろんな男子と喋ってるけどさ、そういうんじゃなくてさ」

 

折本「え?んー…そういえば男子にそんな遊んだりとかいう友達ってほどの友達はいないかなー。今は比企谷がいるけどwwww」

 

千佳「はぁ…」

 

折本「なに?どうしたのため息ついて」

 

千佳「かおり…男友達のいなかったあんたに…いやていうか普通に考えてもわかることだけど…教えてあげる……」

 

折本「?」

 

千佳「男女が2人っきりで休みに買い物っていうのは一般的にデートって言うんだよ?」

 

折本「えっ……………………………………?」

 

ー折本宅ー

 

折本「ん〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜///」←枕に顔うずめながら足バタバタ

 

折本「千佳のバカッ!バカ!///」

 

でもそうだよね…私、なに考えてたんだろ。確かによく考えたらデートじゃん…いやでも、友達だから一緒に遊ぶのは普通なんじゃ?いやいやそれは女子同士だから普通であって比企谷は男だから、し、しかも2人っきりだしだからつまりそれはデートであって…わ、私、何回、比企谷と出掛けたっけ?あれが全部デー…

 

折本「っても〜〜〜なに考えてんの私〜〜〜〜〜〜///」バタバタ

 

千佳のせいだ。千佳のせいで妙に意識してしまう…

…そういえば比企谷はどうなんだろ?……ん〜比企谷はなにも考えてなさそうだな…友達だから…とか、なんか理由があれば誰とでも遊びにいきそう…家にだって、さらには自分の部屋にだって簡単にあげてくれるし…なんかこれっぽっちも意識されてないって感じで悲しいな…

って違う違う!いいんだよそれで!意識されても困るし?ただの友達だし?比企谷とはただ買い物するだけ!いつものことじゃん!今更そんな…デ、デートじゃないんだからもっと気楽に…気楽に…

なんで私…こんなに意識しちゃってるのかな…別にどうでもよくない?ひ、比企谷とか…そんなありえないし…でも、あいつって捻くれてて女心もまったくわかってなくて性格最悪だけど…時々…優しくて…頼りになって…

……デート……比企谷とデートかぁ…。

 

 

折本「今日は楽しかったねー!ちょっと疲れてきたしそろそろ帰ろっk

 

八幡「待てよ」ドンッ!!

 

伝説の壁ドンッ!!!!!!

 

折本「きゃっ……な、なに?比企谷?どうしたの急に」

 

八幡「あそこで休んでいかないか?まだ…お前といたいんだ」

 

折本「えっ…それって…」

 

八幡「俺はもっと、お前のことが知りたい」キラッ

 

 

折本「きゃぁあああああああああああああああああああああああああああっ!!!!///」バタバタバタバタバタバタ

 

折本母「かおりー!うるさいわよー!」

 

折本「ご、ごめーん!」

 

はぁ…なに考えてるの私///比企谷が壁ドンとかちょっとキュンとく…き、キモいだけだし。で、でも比企谷ってよく見たら外見はけっこういいよね…あの目のせいだよね。メガネしたらどうかな?メガネ比企谷…けっこうイイかも///ってまた!だから違う違う違う!明日はただ男友達と買い物いくだけ!そうそれだけ!はい終わり!もう終わり!

 

折本「はぁ…明日…なに着て行こうかな…?」

 

〜翌日〜

 

ー駅前ー

 

折本「やっば!ちょっと遅刻だ!」

 

昨日は服に悩みに悩んで、よく眠れず

起きてみればちょっと寝坊してた上、結局服も決まっておらずもう朝からグダグダ!最悪!

比企谷との約束で遅刻したのなんて初めてだよ…比企谷待ってるかな?…帰ってないよね?あいつすぐ我が家へ帰ろうとするから怖い

 

折本「えっと…あ、いた」

 

よかったー!いたー!って早く謝らなきゃ

うわー比企谷のことだから超不機嫌なんだろうなー

 

折本「比企谷!ごめん!遅くなって!」

 

八幡「ん…ああ、本当に待っ……いや、えっと今来たところだ。気にするな」

 

折本「…( ゚д゚)」

 

八幡「なんだよ」

 

あ、あの比企谷が気の利いたことを…!いやでも最初なんか言いそうになってなかった?気のせい?

 

折本「い、いや比企谷って、待ち合わせで遅れてきたら不機嫌そうに『待ったよ待ちましたよ10分は待ったよ(低音ボイス)』とか言ってきそうだなって思ってたんだけど」

 

八幡「なに今の俺の真似?…ちょっと似てそうで嫌なんだけど…一色にこういう時はそう言うのがマナーだっていつも口うるさくてな」

 

一色?……ああ、あの総武の生徒会長ちゃんか。ていうか…

 

折本「ちょっとー、女の子といる時に他の女の子の名前出すなんてちょーウケないよ?しかもなにそれ。一色って子とよく遊びに行ってるってこと?」イライラ

 

あれ?私なにイライラしてんだろ?

 

八幡「あ、いやそうか…そうだよな。すまん。気をつける」

 

や、やけに素直だな。まあどうせその一色って人の時にも同じことして女の子の前で他の女の子の名前は〜って同じこと言われて怒られたんだろう。

 

折本「んーまあ私も遅れてきちゃったし。おわいこってことで!」

 

八幡「…」ジー

 

折本「な、なにジロジロ見てんの?気持ち悪いよ?てか気持ち悪いよ?」

 

八幡「いや言うこと酷すぎだろ。…いや、その、今日の折本の私服…なんかいつもと違うというか………かなり可愛いな」ボソ

 

折本「なっ///」

 

八幡「えっ…あ、口に出てたか?いや、違う!そのアレだ!忘れろ!」

 

可愛いって///…比企谷に可愛いって言われた///

ちょっと気合い入れて普段、制服以外であんま履かないミニスカにしてみたけどよかったー!っていやいや!べ、別に気合い入れたわけじゃないから!ちょっとそういう気分だっただけだから!

 

折本「ど、どうせそれも一色って子にまずは服を褒めるように言われたんでしょー?///」

 

八幡「いや確かにそれは言われたが、今のは本当に可愛いくて…って違う!今のも忘れろ!」

 

折本「…///」プシュー

 

ありえない!こいつ!い、いつも捻くれてるくせに!急にそんなこと言うなんて!捻デレだ!捻デレ!私もなんでこんな反応してるのさ!ここはキモwwwwウケるwwwwとか言うとこでしょ…あーもうなんでー!比企谷の顔見れないよー///

 

八幡「…///」

 

折本「…///」

 

ああ、初っ端からこんな気まづくなってしまった…

 

八幡「おい、ほ、ほら、アレだ。買い物行くんだろ。とっとと行こうぜ」

 

折本「そ、そうだね」

 

落ち着け、落ち着け私、ひっひっふー

 

ー町ー

 

折本「そ、そういえば、比企谷も今日、わりと服いい感じじゃん?もっと地味で気持ち悪い感じなのかと思ってた」

 

正直、比企谷の服のセンスは絶望的だ。前、買い物行った時なんかは、ソッコー服屋に行って比企谷に服買わせた

 

でも今日は主に黒と紺で暗いイメージは少しあるけどバランスが整ってて、全体的に大人っぽく仕上がってる。正直、か、かっこいい…

 

八幡「気持ち悪いは余計だろ…ちょうど小町が暇そうにしててな、どこ行くか聞かれたから今日のこと話したらなんか急に目輝かして俺の服勝手に選び出したんだよ。でもまあつまり小町が選んだのだからな。センス悪いわけがない」ドヤ

 

折本「なんで比企谷がドヤ顔してんのwwwキモwwwwウケるwwww」

 

相変わらずシスコンだなー

小町ちゃんもなんだかんだかなりのブラコンだし、マジで家庭で禁断なことしてないか心配になってくるよ…

 

八幡「んでどこ行くの?」

 

折本「んーとね…映画!」

 

八幡「買い物じゃなかったのかよ…」

 

折本「いいじゃん細かいことは!観たいのがあるんだもん!」

 

八幡「だもんって…はぁ…わかったよ」

 

………

……

 

折本「比企谷wwww爆発の時ビビりすぎwwwwやっぱそういうとこはマジキモいわwwwwちょーウケるwwwwww」

 

キモい…キモいけど、なんか可愛いな〜。比企谷のそういうところ

 

八幡「し、仕方ねえだろ。…ていうか折本だって肩ビクってなってたぞ」

 

折本「ち、違っ!あ、あれは比企谷がキモすぎてビクってなっただけだから!ビビってなんかないから!比企谷がキモいから…」

 

八幡「もういい。言わなくていい。わかったから。もうライフ0だから」

 

折本「それじゃあ次はカラオケに行こう!」グイグイ

 

八幡「ハードすぎんだろ…お、おい引っ張るな!」

 

………

……

 

八幡「ああ…疲れた…」

 

折本「比企谷とはカラオケ初めてだったけど、なんだ!ちゃんと歌えるじゃん!なんか意外!アニソンばっかだったけどwww」

 

八幡「折本は普通に歌うまかったな。なんか声も歌う時はちょっと高くて、綺麗?な感じだったぞ」

 

折本「き、綺麗って…///」

 

これまた天然なんだろうなあ

ほんと比企谷あざとすぎ///

 

八幡「それで次はどこ行くんだ?」

 

折本「んーどこにしようかな」

 

八幡「考えてなかったのかよ…」

 

折本「…」ジー

 

八幡「な、なんですか?」

 

折本「…ちょっと行きたいところがあるんだけど」

 

ーメガネ屋ー

 

八幡「メガネ屋?なんでまた?お前メガネとかすんの?」

 

折本「ん〜ちょっとね〜気になることが…ん〜ほい、これ」

 

八幡「え?なに?」

 

折本「つけてみて」

 

八幡「なんでだよ…」

 

折本「いいからいいから」

 

八幡「はぁ…」スチャ

 

折本「っ!?!?!?」

 

え?…え?…え?え?

 

八幡「そういえば俺、最近視力悪くなってんだよなあ…そろそろメガネも考えないとなあ……って、なに、なにその顔?折本?…おーい、折本さーん」フリフリ

 

イケメンが私の前で手をフリフリしてるイケメンが私の前で手をフリフリしてるイケメンが私の前で手をフリフリしてるイケメンイケメンイケメン

 

八幡「ちょっ、なにこれ、どうしちゃったの?おい!折本!」

 

折本「はっ!…え?なに?ってうわっ!///」

 

八幡「いや、なに?じゃないですよ。てか俺の顔見ていきなりそんな全力で視線そらされたらさすがに死にたくなるんですが」

 

かっこよすぎ!!!嘘でしょ!嘘でしょ!誰これ!なんでメガネ一つでこんなに…腐った目が隠れただけなのに!いや比企谷は確かに腐った目さえなくなればそれなりになるとは思ってたけど…これほどなんて…

 

八幡「おい、折本?」

 

折本「こほん…あーそのメガネは、うん。やめよう。早くおさめて。あー私お腹すいちゃったなー」

 

八幡「なんだよ…やっぱり似合ってなかったのかよ。それなら早く言ってくれよ」スッ

 

似合いすぎで心臓に悪い…なんかすごい心臓ドックンドックンなってるよ…なんでこんなに心臓はやいの?

 

八幡「…?おい、折本?食べに行かないのか?」

 

折本「ひゃ、ひゃい!い、行こっか!」

 

八幡「お、おう」

 

噛んじゃったー!どうしちゃったの私…もう比企谷メガネ外してるよ?いつまでドキドキしてるの?あ、あれ、なんか比企谷さっきよりかっこよくなってない?あれ?

 

どうしちゃったの私…マジウケない…

 

ーサイゼー

 

折本「あ、やっぱりサイゼなんだ」

 

八幡「なにか問題が…?」

 

どんな人とだろうとサイゼで食事済ましそうだなこの男…

 

折本「ま、いいよ。サイゼおいしいし安いしね」

 

八幡「お!お前もサイゼの魅力わかってきた?語る?サイゼでサイゼについて語っちゃう?」

 

折本「キモい、ウザい、ウケない」

 

八幡「はい…」

 

………

……

 

雪乃「あら」

 

結衣「えっ!?ヒッキー!?」

 

小町「あちゃーマジかー」

 

あ、この人達…あの時の…雪ノ下さんと由比ヶ浜さん…だっけ?

あと小町ちゃんもいる。…なんか失敗したーって顔してる

 

八幡「げっ、なんでお前らいるの?小町まで」

 

小町「ゴミいちゃんのバカ!アホ!オタンコナス!……(なんで女の子とのデートでサイゼ選ぶのさー!)」

 

八幡「なんでいきなり貶されなきゃならんのだ…お兄ちゃん悲しいよ…」

 

雪乃「私達は小町さんに受験が無事に終わったから勉強教えてもらったお礼がしたいと誘われたのよ」

 

八幡「なるほどな。じゃあ由比ヶ浜はいらんだろ」

 

結衣「なんかひどいよ!?私だって教えたもん!ほんのちょっと!」

 

八幡「まあなんだ、俺からもお礼言っとくわ。ありがとう。妹に勉強教えてくれて」

 

雪乃「べ、べつにお礼言われるほどのことじゃないわ///」

 

八幡「そ、そうか///……ついでに由比ヶ浜もありがとな」

 

結衣「むふふ。どういたしまして」ドヤ

 

八幡「調子にのるなビッチ」

 

結衣「ビ、ビッチじゃないし!?」

 

小町「ちょ、ちょっと!お兄ちゃん!(小声)」ボソ

 

八幡「ん?なに?…あっ」

 

あーはいはい。やっと気づいたか。完全に私のこと忘れてたよね?楽しそうーーーにお喋りしてたもんね?あーもう…なんでこんなイライラすんのよ

 

八幡「す、すまん。ちょっと話しちまって」

 

折本「べ、べつにいいよー!友達、なんでしょ?」

 

なんか友達の部分強く言っちゃった

 

八幡「あ、ああ。まあそんな感じだ。…なんか怒ってません?」

 

折本「べっつにー」プイ

 

結衣「えっと…確かあの時の…」

 

折本「あ、えっと。海浜高校の折本かおりです」

 

雪乃「初めまして…というのは微妙なところだけど。一応、初めまして。雪ノ下雪乃よ」

 

結衣「由比ヶ浜結衣だよ!……それでさ…えっと…さっきから気になってたんだけど…なんでヒッキーと一緒にっていうか…」チラチラ

 

ああ、なるほど。わかりやすいなあこの子。すぐわかっちゃうよ。

てかヒッキーてwwwwあだ名?似合いすぎwwwウwwwwケwwwwwるwwww

 

折本「ああ、比企谷とはデート?みたいな?」

 

八幡「お、おい」

 

結衣「デデデ、デート!?!?」

 

雪乃「」ピク

 

小町「ふぉおおおお…」

 

あれ、なんで私こんなこと言ってるの?意地…張ってるの?なんで?

 

八幡「誤解させるようなこと言うな。ただ買い物に付き合ってただけだ。折本はただの友達だ」

 

ズキッ

 

あれ…?

 

 

八幡「そうだろ?折本??」

 

折本「そ、うだね。うん。友達だよ」

 

八幡「ほらな」

 

なんで?どうして?

 

結衣「でもさ、友達って言っても…今日は2人でなにしてたの?」

 

八幡「そりゃあお前…映画観てカラオケ行って…後メガネ屋だ」

 

結衣「デートじゃん!それデートじゃん!え!?いや待って!なにメガネ屋って!?なんでそこでメガネ屋!?」

 

おかしい。おかしいよ。

 

八幡「うるせえな…折本からもなんか言ってや…って…く…折本?どうしたんだ?」

 

なんでこんなに胸が苦しいの…なんで…私が…私が願ったはずじゃん…比企谷と友達になりたいって…なのに…なんで…なんで…涙が止まらないの…!

 

折本「ごめん…比企谷。ちょっと用事思い出しちゃったから帰るね。今日はありがと…」スタスタ

 

八幡「お、おい!どうしたんだよ…いったい…!」

 

………

……

 

はぁ…最悪。なんで帰っちゃったんだろ。どう見ても感じ悪かったよね私。なにやってんだろ…

 

今日はほんとに楽しかったな

朝からワクワクして、ドキドキしてた。

そう、楽しかったんだ。あの日から…時々2人で出かけたりしてたけど、今日は…特に楽しかった。比企谷と映画観て、比企谷とカラオケ行って、比企谷のメガネ姿に驚いて…すごくすごく楽しかった。比企谷って無愛想なわりにすごい気遣いができて、優しくて、頼りになって、本当に、本当におもしろくて。こんなに他人対して心から笑い続けたのなんて今まであっただろうか。

 

比企谷が他の女の子と親しく話してるのを見てなんであんなイライラしたんだろうか。

比企谷に「ただの友達だ」と言われ時、なんであんな苦しくなったんだろうか

私がそれを望んだはずなのに。私が比企谷となりたかった関係のはずなのに…

 

いや…もう…そうなんだろうな。さすがにここまであれだとわかっちゃうよ。

 

いつからなのかな…どうしてこうなっちゃったのかな…でもこれだけはわかる。

 

私は…比企谷のことが…

 

折本「はぁ…マジ…ウケない…」

 

《八幡side》

 

八幡「お、おい!どうしたんだよ…いったい…!」

 

いったいどうしたというんだ。急に変なこと言い出したと思ったら、急に帰るって言ったり…………折本、泣いて、たよな…

 

小町「ありゃりゃ…いつのまにここまで…想定外だよ…(小声)」ボソボソ

 

結衣「えっと…私達…なにかしちゃった、のかな?」

 

雪乃「どうなのかしら…急なことでまったくわからないわ…」

 

八幡「いやお前らは関係ない。…と思う。…俺も、帰るわ。小町をよろしく」

 

雪乃「え、ええ」

 

結衣「う、うん」

 

ーサイゼ出入り口ー

 

小町「お兄ちゃん」タッタッタッ

 

八幡「ん?どうしたんだ?もう勉強いいのか?」

 

小町「今のお兄ちゃんに追いかけろとは言わない。けどちょっと考えてあげて。折本さんのこと」

 

折本のこと?考えてと言われても…

 

小町「んじゃ!私もあとちょっと勉強したら帰るからね!」

 

八幡「あ、ああ」

 

………

……

 

「考えてあげて。折本さんのこと」

 

考えてか。なにを考えろっていうんだ。正直混乱してばかりだ。さっきの折本の言動は、行動は。理解できない。

でも…気になってしまう。彼女がなぜ涙を流したのか。気になって仕方ない。

追いかける…べきだったんだろうか。でも追いかけてどうする?なんで泣いてたの?って聞くのか?

わからない。どうすればいいのか。

 

…今日も……楽しかったな、折本と遊ぶの。

本当に楽しかった。

映画観て、カラオケいって、メガネ屋はよくわからんかったが…。

 

今でも、休みに外で遊ぶなんてことは嫌いだ。めんどくさい。でも折本と1日を過ごすと、いつも俺は、いつのまにか心の底から楽しんでいる。自然と笑顔になってしまう。その時の自分の笑顔は自分でも驚くほど純粋なものだった。あいつの笑顔が…なぜか俺をそうさせる。

俺は…いつからか、折本と遊ぶことが素直に楽しみだと思い始めていた。

 

「俺と折本はただの友達だ」

 

ただの…か。そう。ただの友達だ。…それが折本と俺が、なろうとした関係のはずだ。だからなにもおかしなことは言ってない…そのはずなんだ。

 

なのに…なんでだ。なんなんだこの気持ちは。

なんで折本の…あの涙が頭から離れないんだ。

わからない…わからない…。

 

でも…これだけはわかった。

 

俺は、彼女の…笑顔が好きだ。涙なんて…流して欲しくない。

 

 

 

〜数日後〜

 

 

あの日から折本とは連絡をとってない。

俺からメールはしてみたものの返信は1通も帰ってはこなかった。

ここで、「あ、ごっめーん☆寝ちゃってたよ。てへぺろ(-_^)」とか送られてきたらどんなに楽か…。

ほぼ週三で遊んでたのが嘘なように…俺たちは会わなくなった。

 

でも、今、あいつと連絡がとれたとしても、会えたとしても。どうするんだ。なにをすればいいんだ。

あれから…考えても考えても…俺にはわからなかった。

 

雪乃「…がやくん。比企谷くん」

 

八幡「んあっ!あ、すまん。なんだ雪ノ下?」

 

雪乃「はぁ…最近のあなた、おかしいわよ。常に上の空という感じよ」

 

結衣「教室でも最近、寝るわけでもなくずっーとボーっとしてるよね?」

 

八幡「そ、そうか?」

 

雪乃「……気になっているのね。折本さんのことが」

 

八幡「っ!」

 

結衣「やっぱり…そうなんだねヒッキー」

 

八幡「はぁ…なんでわかるんだよ」

 

雪乃・結衣「「女のカンよ(だよ)」」

 

怖すぎだろ…女のカン

神の力に等しいよ絶対…

でも、そう…だな。俺はまだ忘れられないままでいる。あいつの、折本の涙が。

 

雪乃「比企谷くん。私は、その…正直今のあなたは、見ていて辛いわ」

 

八幡「…どういうことだ?あれか?存在が気持ち悪すぎて見るの辛いから視界から消えろってこと?」

 

結衣「違うよ!真面目に聞いてヒッキー!」

 

八幡「…」

 

結衣「…私も、辛いよ、今のヒッキーは……ねえ?気づいてる?ヒッキー」

 

八幡「な、なにが」

 

雪乃「あなたが最近、考え込んでる時にどんな顔をしてるか、よ。」

 

八幡「顔?いやいやただのいつも通りの目が腐っただけの平凡な顔だろ」

 

雪乃「いいえ、本当に…本当に…辛くて、苦しそうな、そんな顔をしていたのよ。あなたは」

 

八幡「…」

 

実際、戸塚や川崎にはとてつもなく心配された。

さらに葉山にも、戸部や三浦にさえも心配された。

なんでこいつらが急にこんなに言ってくるのか理解できなかったけど…

そうか、俺の顔、そんなに酷かったのか…

確かに…今は…苦しい、な。考えても考えてもわからず。ただひたすら…苦しい。でも、折本とこのままなのはやっぱり嫌だ。だからそのために、どうするべきか…

 

雪乃「比企谷くん…」

 

結衣「ヒッキー…」

 

ああ、わかってるよ。

もう…限界だろうな。今の状況を変えるには。どれだけ悩んでもどれだけ…意地を張っても…俺1人では無理みたいだ。

だから、今の俺にできることは、

 

八幡「すぅ〜…はぁ。…………2人に聞いて欲しいことがある」

 

 

《折本side》

 

折本「」どよ〜〜〜〜〜〜ん

 

はぁ…比企谷いまごろ何してるのかな。メールしてみようかな?あ…この前メール無視しちゃったんだった…だってなんて言えばいいかわからなかったし…でも絶対、比企谷、私に無視されたと思ってるよね…嫌われちゃったかな?…いやそれよりも、あの日、すごい感じ悪くいきなり帰っちゃったんだし…絶対嫌われたよ………嫌だなぁ比企谷に嫌われるの…

 

千佳「目に見えてすんごい落ち込んでるね…かおり…なにかあったの?比企谷くんと」

 

折本「なんでもない…」

 

ああ、千佳…今はほっといて…マジで。

 

千佳「はぁ…なんでもないわけないでしょ…まったく…なんでこんなに…もしかして比企谷くんになんかされたの?あいつ目腐ってるし、なにしてもおかしくな

 

折本「比企谷のこと悪く言わないでよッ!!!!!!!」

 

教室 シーーーン

 

千佳「ご、ごめんごめんかおり!そんなつもりはなくて…だから、落ち着いて?」

 

折本「う、うん。ごめん」

 

ついカッとなってしまった…。

でも比企谷のこと悪く言われるのだけはちょー嫌だ。比企谷は誤解されやすいけど本当は優しくて頼りになって…

 

折本「はぁ…」

 

折本「」どよ〜〜〜〜ん

 

千佳「(こりゃ、重症だ)」

 

千佳「…ねえ、話してくれない?今、かおりがなにを思ってるのか。………最近のかおりさ…無意識なんだろうけど、誰とも全然喋んないし、笑わないし…本当に辛そうで………その、さ…やっぱりここまで辛そうにしてる友達を放っておけないっていうか…マジな話さ、今のかおりを見てると私まで辛くなってくるんだよね…」

 

千佳…そうか…私、そんなにやばい状態だったんだ…

それより、まさか千佳がそんなことを言うなんて思ってなかった。しかも今のは、まぎれもなくそれが彼女の本心なんだろうと…そう感じた。

女友達なんて所詮浅い関係だと、そう思ってた。普段は仲良くしてるけど、裏ではなに思ってるかわかったもんじゃない。だから頼りたくなかった。そんな人たちに。

勝手に決め付けてた。私は、千佳のことも見れてなかったんだな。

こんなに近くに、こんなにも私のことを考えくれる人がいたのに

 

もうわかってる。私1人じゃ無理だ。もう限界だ…このままは嫌だよ…比企谷…

 

今、私ができること…

 

…信じよう彼女を。

 

 

折本「千佳…ちょっと聞いて欲しいんだけど」

 

………

……

 

折本「って…感じかな…」

 

私は今の気持ちを全部話した

千佳はあえて何も突っ込まずに最後まで真剣聞いてくれていた

そして…

 

千佳「はぁぁぁぁ……」

 

盛大に溜息をされた。

 

折本「ちょっ!なんでそんな反応なの!?」

 

千佳「聞いて損した」

 

折本「ひどっ!?さすがに心折れるよ!」

 

千佳「…かおり。もうハッキリと教えてよ。比企谷くんのこと…好きなんでしょ?」

 

折本「っ!………うん。好き」

 

千佳「はい、じゃあ復唱。私は、比企谷が好きです。はい。」

 

折本「ええっ!?///…私は、比企谷が好き…で…す…」

 

千佳「声が小さい!もう一度!」

 

折本「わ、私は!比企谷が!好きです!///」

 

教室 ザワザワ

エ?ヒキガヤ? ダレソレ? ナニ?コクハク?

 

折本「うわわ…ちょっ、千佳〜///」

 

千佳「うん、合格。ならもういいでしょう。もうやめようよ。逃げるのは。てかもう逃げたくないんでしょ?」

 

折本「っ…」

 

千佳「かおりさー、比企谷くんの話する時ノロケすぎwwwそんだけ好きならさ、前進みなよ。いつまでも怖がってないでさ」

 

折本「…」

 

千佳「よかったね。かおり。本当に、心から好きになれる人に出会えて」

 

折本「千佳…」

 

千佳「それと、ありがとね。話してくれて。私を…信じてくれて。私はさ…かおりが好きだから。大好きな友達だから。かおりが困ってるなら助けになりたいし、かおりが恋をするなら全力で…応援したいんだ」

 

ああ、これか。これが、

持つべきは友達ってことなのかな。

すごく、すごく嬉しい…!

 

折本「千佳!」

 

千佳「ん?」

 

折本「ありがとう!私も千佳が大好き!」ニコ

 

千佳「へっ…///な、なによ急に…もう…」

 

折本「うん…。うん!…私、頑張るよ。もう…逃げない」

 

千佳「…そっか。…頑張れ!かおり!」ニコ

 

………

……

 

よーし!こうなったらさっそく比企谷にメールを…!メール…を…うぅ…

 

折本「千佳ぁ…比企谷になんてメールしよう…い、今したら迷惑かなあ?」

 

千佳「はぁ…本気で恋するかおりってマジで初めて見たけど、けっこうダメダメなんだね」

 

折本「うぅ…」

 

確かにダメダメかも…とにかく今はなんとしてでも比企谷に会いたい。会って。話したい。

でもどうしよう。なにか…なにか会えるきっかけさえあれば…。

はぁ…他校だしな〜…きっかけなんてそうそう…

 

ドア ガララッ

 

玉縄「ちょっといいかな。折本さん。実は今度また総武高との合同イベントをしようとシンキングしていてね。これってビジネスチャンスだと思うんだ。だから…」クネクネクネクネ

 

折本「黙れ、消えろ、ウザい」

 

玉縄「」

 

あっ、やばっ、急に出てくるもんだからつい本音が

 

千佳「ちょっと!かおり!総武高と合同イベントだって!もしかしたら比企谷くん会えるんじゃない!?」

 

折本「あ…」

 

折本「\それある!!!/」

 

たま…わ…、たま、えーと、生徒会長!やるじゃん!

比企谷…来てくれるかな…?

 

………

……

合同イベントとは言ったものの。なにも決まってはなかったらしい。これから新入生も入学する春に向けて、なにかできることはないかと、またあのブ、ブレーンストーン?ブレ…なんたらの会議をするらしい

いや新入生へのイベントは別に合同にする必要ないでしょ

 

 

まあそんなものはどうでもいいが

とにかく比企谷に会えるチャンスをもらえたのはありがたい

生徒会長もやるじゃん。クネクネしててキモいけど。

 

……というか来るよね比企谷。そういえば別に比企谷って生徒会ってわけでもないし…一色って人がまた連れてこないかな。…一色さんと…仲いいのかなあ…あの子可愛いよね…

ってそうじゃなくてそうじゃなくて!

 

はぁ…どうか来てくれますように…

 

………

……

 

ー会議室ー

 

玉縄「せんきゅー!折本サーン!comeしてくれたんだね!さあ!僕とゲーミエデュケーションでクリエイティブでアグレッシブにハイテンションをプリーズしてチラリズムをギリギリにシナジー効果がなんたらかんたらでウィンウィンな関係でスタイリッシュにチョメチョメしようじゃないか!!」クネクネクネクネクネクネ

 

折本「あ、うん。それある。うん。あるある」

 

それより比企谷は!?

あっ!一色さんきた!…?どこにも比企谷いないんだけど…

 

玉縄「それじゃあ、そろそろ、ハジメマースカ。レッツ!ブレインストーミング!」クネクネクネクネ

 

嘘…始まっちゃうよ…マジでこないの?

 

一色「あっ!待ってください!たぶんそろそろ…」

 

ドア ガララ

 

由比ヶ浜「遅くなってごめん!いろはちゃん!」

 

雪乃「ギリギリだったわね」

 

八幡「お前が迷子になったせいでな」

 

玉縄「ユ、ユーたちも来たんだね。そうか…そうか」クネクネ…

 

折本「ょしっ!!よし!!」グッ

 

意識高い系の人A「!?…どうかしたの?折本さん」ビクビク

 

 

折本「いえいえーなんでもー」

 

(≧∇≦)<きたぁああああああああああ!!!!比企谷だ!比企谷だ!キタコレ!お、落ち着け私。私ぃ!ああ!久しぶりの比企谷だ!

 

折本「うへへぇ…」ニヤニヤ

 

意識高い系組「(なにこの子クレイジー)」ビクビク

 

いろは「せーんぱぁーい!遅いですよぅ〜」ダキ

 

は?なにあの女?なんで比企谷の腕にダキッとしてんの?

 

八幡「お、おい。くっつくな///あざといだよお前///」

 

なにそのまんざらでもなさそうな顔!なーにちょっと後輩の女の子に近づかれたぐらいでデレデレしてんのさ!してんのさ!

 

折本「フンッ!」バキンッ←シャーペンが折れた音

 

意識高い系組「(ふぇぇ…ヘルプミー…)」

 

〜会議スタート〜

 

いろは「せんぱい」ボソ

 

八幡「ん?」

 

いろは「あのですね…」ゴニョゴニョ

 

八幡「なっ!?///、そんなに…て…か俺?」ボソボソ

 

なにあれぇえええええええ!ゴニョゴニョって!くそう聞こえない!なに顔赤くなってんのあいつ!マジウケない!ない!ありえない!!

 

玉縄「という感じにしたいと思うんだけど、折本さんはどうかな?///」クネクネクネクネ

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!!!

折本「それないわぁ…」ビキビキ

 

玉縄「ひぃっ!?」クネクネビクビク!

 

〜会議終了〜

 

雪乃「はぁ…また、なんて内容のない会議かしら…頭痛が…」

 

結衣「あはは…」

 

よ、よし。会議も終わった。比企谷は…?あれ、どこ?

 

いろは「じーーーー」ジー

 

折本「うわっ!?ビックリした…え?なに?」

 

というかこの子、今、自分でじーーとか言ったよ。どんだけあざといの…

 

いろは「むむむ…確かに…可愛い…ですね。こういう人がタイプなのかぁ…はぁ…」

 

折本「えっと、なんの話?」

 

いろは「言っとくけど私、諦めませんから。ちょーっと先越したからって油断しないことですよ。ライバルは多いですけど絶対、最後は私が寝取りますから。それでは」

 

折本「あ、ちょっと!」

 

えーなんなのいったい…

ていうかなんか最後らへん凄いこと言ってなかった?怖すぎだよあの子

はぁ…あれ、本当にどこいったの比企谷…

 

玉縄「折本サン、ちょっちゅいいかな?」クネクネ

 

うげぇ…あんたは求めてないよ…

 

折本「ん?なに?」

 

玉縄「その…だね。この前のビャレンタウィンイベンツの時に…チョコレィトをプレゼンツしてくれたよね?」クネックネッ

 

折本「え?あー、う、うん」

 

あげたっけ?まああの時作ったやつ適当にみんなにあげてたしあげたんだろうな

…あの時私、比企谷にあげる忘れてたんだよね…今思えば最悪だよ私…

 

「ほら、いつまでそうしているの。ヘタレ谷くん。はやく行きなさい」

 

「ヒッキー!がんばだよ!」

 

「お、おう…」

 

玉縄「だから今度はミーが…その…ユーにサァプライズプレゼンツを…///ユーに似合うと思って…よかったらこれを毎日身につけて…ミーに…///」クネクネモジモジ

 

八幡「お、お、折本っ。今、大丈夫か?」

 

折本「あ!比企谷!全然大丈夫だよ!」パァ

 

玉縄「」

 

八幡「来てくれ」ガシ

 

折本「え?ちょっ///どこいくの!?」

 

きゃぁああ!///手っ!手掴まれたーっ!///

 

 

ドア ガラガラ……ガラガラ、バタン

 

 

玉縄「……(°_°)……」

 

玉縄「」ボトッ←黒パンストが落ちた音

 

周り「(あれをプレゼントする気だったの!?)」

 

………

……

 

折本「ね、ねえ!どこ行くの?」

 

八幡「ちょっと待ってろ」パッ

 

あ…手離れちゃった…シュン

 

八幡「乗れ」

 

折本「え?」

 

八幡「後ろ、乗ってくれ」

 

折本「ええっ!?///そそそそそそ、それはここここ交通違反ですよよよよよよ///きゃーー!///」

 

八幡「いや…なにをいまさら…ってか、きゃーってなんだよ」

 

2人乗りってことは比企谷の身体にくっつくってことだよね!?そんなの死んじゃうよ!ドキドキしすぎて!

 

八幡「あの…嫌なら、歩いてもいいんだが」

 

折本「え?ダメダメ!乗る!乗るよ!乗らせていただきます」

 

八幡「お、おう…そうか」

 

折本「っていうかそろそろどこ行くか教えてよ」

 

い、いきなり手掴んで外まで連れてきて今度はチャリに乗れなんて…強引な比企谷…それアリかも///

 

八幡「あー…まあ、着いたらわかる。行くぞ」

 

いや、そりゃあ着けば誰だってわかるでしょ…

 

自転車 シャー

 

はあ…それにしても比企谷…あったかいな…背中けっこう大っきんだね…なんだろ…すごく……落ち…つ…く……

 

〜公園〜

 

八幡「おい折本。起きろ。着いたぞ」ペチペチ

 

折本「はえ…あれ?私寝ちゃってた?」

 

八幡「ったく自転車で寝るなんて…落っこちたらどうすんだよ…」

 

折本「ご、ごめん。その…なんか比企谷の背中って落ち着くから…」

 

八幡「そ、そうか///」

 

折本「///」

 

八幡「…」

 

折本「…」

 

八幡「…」

 

折本「こ、ここって…あの時の…公園だよね」

 

そう、ここは、あの時の、私と比企谷が本音を語り合い、そして友達になろうと、誓い合った場所だ。

 

八幡「あ、ああ」

 

折本「なんで…ここに連れてきたの?」

 

八幡「……話が…あるからだ。ここでなら…話せそうな気が…したからだ」

 

折本「っ!………そっ……か…」

 

話って…やっぱりあのことだよね…

はぁ…そうだよ…私、なに舞い上がってたんだろ…私、すんごい感じ悪く帰っちゃって…さらにそれからずっと比企谷のメール無視しぱなっしだったじゃん…完全に比企谷を避ける感じで…いや実際避けちゃってたんだけどね…なにこれ、私、超嫌な女じゃん…

なにが頑張って気持ちを伝える!よ…それ以前の問題じゃん…最悪…マジウケない…

も、もしかしてもう友達もやめてくれとか言われるのかな…嫌だよ…そんなの…せっかく、せっかく…比企谷と…

私から望んだのことなのに…こんな…絶対嫌われた…よね…完全に…

 

八幡「折本」

 

折本「…うん」

 

2度も私は比企谷を傷つけたんだ…もう…顔も合わせれな

 

八幡「悪かった」バッ

 

折本「……え?」

 

なんで?なんで比企谷が謝るの?なんで頭下げてるの?どうして?それは私がすることじゃ…

 

折本「なん、で…」

 

八幡「お前を…泣かせてしまったから…」

 

折本「っ!」

 

八幡「あの時…なんでお前が泣いたのか。俺にはサッパリだった。でも、これだけはわかった。俺が折本を…泣かせてしまったんだって」

 

折本「…」

 

八幡「俺はなんであの時お前を追いかけなかったのかって後悔したよ。でも同時に追いかけたところで、今の俺にはなにもできないと思った。俺はなにも折本のことがわからなかったから」

 

八幡「俺はあれからお前のあの涙がいつも頭から離れなかったんだ。なんで…なんであんなに楽しかったのに…最後に折本の笑顔を消してしまったんだろうって…わからなくて、悩んでも悩んでもわからなくて…」

 

そっか…比企谷も楽しんでくれてたんだ…

私だけじゃなかったんだ…

 

八幡「正直、何度も…逃げようとした。でも忘れられなかった…。だから情けないが、最後には人に頼ってしまったよ。でも…おかげで……答えを出せた………」

 

八幡「その……俺は…お前の」

 

折本「私も!!!」

 

八幡「……な、なんだよ?」

 

このまま比企谷にだけは言わせるわけにはいかない…私だって…私だって

 

折本「私も…ごめんなさい。勝手に帰って…メール無視して…何度も、何度も比企谷を…傷つけて…本当に、ごめんなさい」

 

八幡「い、いや、それは…別に…それは俺のせいであって…」

 

折本「私もわからなかった…。なんであんな意地を張ったのか…でも私は考えて…考えて、わかってしまった。だから怖くなった。私のこの気持ちは、せっかく比企谷と友達になれたのに壊れてしまいそうで…すごく怖かった」

 

折本「だからね、私は逃げちゃってた。このままが1番いいんだって…言い聞かせてた。無意識に恐怖から避けて…結局それで比企谷を避けてた…」

 

折本「情けなくなんてないよ…私だって最後は人に頼っちゃったし。でも1人じゃなにも変われなかった。私たちは感謝するべきだよ。導いてくれた人たちに。おかげで私も自分に素直になろうと思えた」

 

折本「ねえ…比企谷、私はもっと比企谷の隣にいたい。でもそれは……私が望んだのに、本当にごめん。友達じゃ嫌なの…。このままは嫌なの。嫌になっちゃったの」

 

折本「私は比企谷のことが」

 

八幡「ちょ!ちょっと!ちょっと待った!///」

 

折本「な、なに…?」

 

あれ?比企谷、顔真っ赤だ…

 

八幡「その…俺から言わせてくれ。言ったろ。答えが出たって。だから、その、俺が言う」

 

折本「う、うん」

 

なに言われるんだろ…

でも話を遮られたってことは…そういうことなのかな…はぁ…言わせてももらえなかったか…

 

八幡「お、俺は、俺は!お前の笑顔を守りたい!///」

 

折本「……………………………………へ?」

 

笑顔?笑顔ってあれ?笑った顔のあれ?

 

八幡「いや、だから、俺は…お前の…折本の笑った顔が好きで…えっと…その、な?」

 

いや、な?って言われても…

 

八幡「だから、もう、泣いて…ほしくないんだよ。」

 

折本「っ」

 

そうか…そうだったんだ、比企谷も…

 

八幡「ずっと笑ってて欲しいんだ。折本には。いつまでも…それで、俺はその笑顔をずっと側でだな…それはつまり俺は折本のことが…えー…あー」

 

折本「ぷふっ」

 

本当は簡単なことだったんだ。私たちは。

 

八幡「お、おい!今は笑うなよ!」

 

折本「だってww比企谷wwきょどりすぎだよwww」

 

ありがとう…比企谷。前に進んでくれて。

 

八幡「う、うるさい。あーもうだから!俺は折本が好きなんだよ。折本の笑顔が好きなんだよ。だからずっと笑っててくれ。俺が…俺が守るから、お前をもう絶対泣かせたりしないから…俺はお前のことをもっと知りたい。でもそれは今の関係でじゃなくて…だから、だから俺と、友達じゃなくて…恋人に、なってくれ、ないか?」

 

折本「比企谷ぁ!」ダキッ

 

八幡「うわっ!?え!?」

 

折本「私も、私も比企谷が好き!捻くれてて女心がわからなくて最低な性格で目が腐ってて気持ち悪くてドシスコンな変態だけど私のことを真剣に考えてくれて実は気遣い上手で優しくて頼りなる比企谷が大好き!私も比企谷のこともっと知りたい!それでもっともっと比企谷のこと好きになりたい!私も、友達じゃなくて…比企谷と恋人になりたい!」

 

八幡「そ、そうか。いや最初らへん思ってることキッツイなお前。お、おい。少し離れてくれよ///」

 

折本「いいじゃん…私は比企谷の…八幡の彼女なんだから!」

 

ちゅっ

 

八幡「……んぐっ………ぷはっ!お、お前、ちょっと積極的すぎだぞ!?///」

 

折本「えへへ…八幡とキスとか…八幡と付き合うとか…マジウケるwwwwwwwwww」ニコ

 

八幡「はぁ…笑顔は好きだがなんでそんなウケれるんだよお前…ふふっ」ニコ

 

折本「なんだ、八幡の笑顔だって…可愛いじゃん///」

 

八幡「み、見るな///……あっ、そうだ。ほらこれ」

 

折本「…なにこれ?」

 

八幡「チョコのお返しだ。そんないいもんじゃねえが…もらってくれないか?」

 

すごい…綺麗なネックレス…。

ふふふ…なによ、案外センスいいじゃん。

センスが…いい…?

 

折本「…もしかして、自分じゃ何がいいのかわからなかったからって…誰か女の子に選んでもらったんじゃないよね?あの生徒会長ちゃんとか」

 

八幡「うっ…」汗ダラダラ

 

折本「…」ジトー

 

八幡「そ、そうだが…最終的に選んだのは…お、俺だ。折本に、似合うと思って…だな。だから…その」

 

ほんと…ほんとこの男は…。

まあ素直に言ってくれただけよしとしよう。

 

折本「はぁ…まったく…。でもまあ、すごい綺麗だし。許したげる。………ありがとう。すっごく!嬉しい!」

 

八幡「そうか…よかった」

 

折本「ん!」

 

八幡「え、なに?」

 

折本「ネックレス!つけて!」

 

八幡「お、おう」

 

 

ありがとう。私を笑わせてくれて。

私のことを好きになってくれて。

 

八幡「つけたぞ」

 

折本「どう?」

 

八幡「……綺麗だ」

 

折本「それってネックレスが?私が?」

 

八幡「りょ、両方に決まってんだろ…///」

 

折本「そっか///」

 

ねえ、八幡?笑顔を守りたいのは…あんただけじゃないよ?私も、もう絶対八幡を傷つけたりしない。

 

折本「八幡っ!」

 

八幡「なんだよ」

 

折本「大好きっ!」ニコ

 

絶対に私が、これからずっと八幡を…幸せにしてみせる。

 

八幡「ああ……俺も好きだよ。…かおり」ニコ

 

………

……

 

《八幡side》

 

〜数日前〜

 

八幡「すぅ〜…はぁ。ふぅ…………2人に聞いて欲しいことがある」

 

ドア ガラガラッ!

 

いろは「やっはろーでーす!ちょっとご相談があるんですけどー!いいで…す…か?えっ、なんですかこの空気」

 

一色さん…やらかしましたよあなた

うわあ、由比ヶ浜も雪ノ下もすごいジト目で見てるよ。やめてあげて。一色ちゃんが泣きそう!

 

いろは「えっと…あの、え?…せ、せ〜んぱ〜い」

 

八幡「はぁ…そうだな…お前にも聞いてもらうか。そういうの詳しそうだしな」

 

いろは「え?どういうことですか?」

 

八幡「まあ、座れ」

 

俺は、今の気持ちを全て話した

雪ノ下も由比ヶ浜も、状況がまったくわからなかった一色も最後まで真剣に聞いてくれた

そして…

 

八幡「…っと、こんな…ところだな」

 

雪乃「…」ポカーン

 

結衣「…」ポカーン

 

いろは「…」ポカーン

 

八幡「えっ、なにこの空気」

 

なんでみんな黙ってるの?お話終わったよ?3人してなんでそんなポカーンなの?

 

いろは「え…なんですかそれ…もう答え出ちゃってるじゃないですか…」

 

雪乃「はぁ…」

 

結衣「聞くんじゃなかった…」

 

八幡「え、なにその反応。俺わりと真剣に悩んでんだけど?もう心ボロボロなんだけど?」

 

いろは「はぁ…いつの間にこんな…他校とか…とんだ伏兵すぎますよ…」ボソボソ

 

八幡「それで…あの、俺はどうしたらいいのかなあって……な?」

 

いろは「折本さんに告白しましょう。好きですって。はい。お話終わり」

 

八幡「なっ!?」

 

ちょっ!なんなのこの子!俺の悲痛な悩みをこんな簡単に!…というか、今なんて言ったこの子?俺が告白する?折本に?

 

雪乃「その反応を見るに本当に全然わかってないのね…呆れるわ…」

 

結衣「あはは…」

 

八幡「いや意味わからんだろ。なんで俺が折本に告白する話になるんだよ」

 

いろは「そりゃあ、先輩が折本さんのこと好きだからに決まってるじゃないですか」

 

…え?すき?スキ?スキー?スキーはちょっと苦手かな…やっぱりソリが一番楽しいと思うんだ。俺がソリ乗るとなんか気持ち悪がられるけどな…目がキモいって…いやソリ関係ねえじゃん…もうそれなにしてもダメじゃん…

 

いろは「はぁ…気づいてなかったんですか?先輩、確かに悩んでるーって感じで話してましたけど、それよりも、……ノロケすぎです。折本は笑ってるところが可愛いとか何回言ったか覚えてます?12回ですよ?」

 

なんでお前覚えてんだよ。こえーよ。

そうか、俺…そんなに折本のこと喋ってたのか…

 

八幡「いやでも…わからん。俺と折本は友達になることを望んだはずだ。実際、友達になれた…はずだ。俺たちは…ただの…ただの」

 

結衣「ほら、ヒッキー。またその顔。また…苦しそうな顔してるよ?」

 

八幡「っ!…そう、か…」

 

雪乃「いい加減…認めなさい。あなたは確かに彼女と友達になることを望んだ。友達になって彼女を知ろうとした。でも…」

 

結衣「知れば知るほど好きになっちゃったんだよヒッキーは。だから、ヒッキーは辛いんだよ。忘れれないんだよ。好きな人の涙が…だれだってそうだもん…」

 

折本の涙…

 

雪乃「まったくこんな短期間で…本当にどこまでも呆れるわ激チョロ谷くん」

 

おい、激チョロはねえだろ。俺はチョロインではない。ないよね?俺は難攻不落の究極な……ただの、ぼっちだな…泣けてきた…

 

いろは「んーそれなら私の方が多くデート行ってるからおかしいんですよねー。なんでかなー……………くそぉ…」

 

い、一色さん?最後のなに?やだ怖いわ。いつものあざとい一色ちゃんに戻ってよぉ…ってかデートって。ただの荷物持ち要員扱いだったじゃねえか

 

結衣「ちょっ!ヒッキー!?いろはちゃんとデートってどういうこと!?しかも何回も言ってるの!?」

 

雪乃「き、聞き捨てならないわね。一色さん。比企谷くんは…その…奉仕部の私物で…それはつまり部長である私の私物…だから…そ、そのデートとか、あの…その…///」ゴニョゴニョ

 

雪ノ下がなんかよくわからん超理論言いながらゴニョゴニョしてらっしゃる…。ビチヶ浜はうるさい。

てかもうこいつら俺の相談忘れてんじゃね?忘れてるよねこれ?

 

いろは「それで、答えは出ましたか」

 

あ、忘れられてなかった。よかった…

……答え…か…。

 

八幡「…」

 

俺が、折本のこと好き?好き…なのか?

 

いろは「先輩は…捻くれすぎです。そして怖がりです。人の悪意には敏感で。人の好意には警戒し疑ってしまう。……少しでいいんです。ほんの少しだけ、身を任せてみませんか?素直に…なってみませんか?」

 

……確かに、俺の中には今、密かに抱いてる感情があることを自覚している。これがなんなのかも…わかる。でも今、俺が抱くこの感情が…本当に正しいのか。気のせいじゃないのか。勘違いじゃないのか。

わからない。今まで何度も勘違いして、その数だけ裏切られた…また、そうなるかもしれない。

逃げたい。楽になりたい。

 

……でもこのままは…嫌だ。だから折本に会いたい。会って話がしたい。結果なんてわからない……今度こそボロボロになるかもしれない。でも、それでも俺は

この感情を…信じたい。

彼女に伝えたい。

 

八幡「…………………ふぅ」

 

雪乃「答えは出たようね」

 

結衣「…よかったね…ヒッキー」

 

八幡「雪ノ下、由比ヶ浜、一色。ありがとう」

 

雪乃「べ、別に、あなたが調子悪いと部室の空気が悪くなるからちょっと助けただけよ…///」

 

結衣「はぁ…どんどんヒッキーが遠くに…はぁ…」

 

いろは「むむむ、なんですかこれ。これじゃあただの恋のキューピッドじゃないですか私。まあいいです。最後に勝つのは私ですから。覚悟してくださいね先輩」

 

八幡「なにと戦ってんだよお前は………あっ、そういえばお前、なんか相談があるってここに来たんじゃなかったっけ」

 

いろは「ああっ!そうでしたそうでした!実はまた海浜と会議すること…に…あれ?ビックチャンスじゃないですか先輩!!」

 

八幡「?」

………

……

 

ー比企谷宅ー

 

八幡「ただいま」

 

小町「おっかえりー!お兄ちゃん!……およ?」

 

八幡「ん?なんだよ」

 

小町「へー…もしかして答え出たの?」

 

八幡「お、お前…エスパーかよ…」

 

小町「小町はお兄ちゃんのことだったらなんでもわかるのでーす!あ、今の小町的にポイントたっかいー♫」

 

八幡「あー、はいはい」

 

小町「お兄ちゃんのあんな辛そうな顔は小町的に2度と見たくないからね…このまま酷いようだと、小町も助けに入ろうかなって思ってたんだけど、そっか、ちゃんと…頼ったんだね。よく…頑張ったね。なら、あともうひと踏ん張りだよ。頑張ってね。お兄ちゃん♫」

 

八幡「ああ、その…心配かけてすまなかった」

 

小町「いいのいいの!ささ!お兄ちゃん!ご飯にする?お風呂にする?そ・れ・と・も!小町にするぅ?きゃー(≧∇≦)」

 

八幡「じゃあ小町で」

 

小「はーい!早いとこ風呂入ってねー!なんか臭そうだよお兄ちゃん」

 

臭そうって。単に臭いって言われるよりなんか傷つくんだけど。…え?臭くないよね俺?え?

 

……………

…………

………

……

 

ー公園ー

 

当日、俺は、折本かおりに全てを話した。今の気持ちを。今までの苦痛を全て吐き出すように。

 

そして…

 

折本「八幡っ!」

 

八幡「なんだよ」

 

折本「大好きっ!」ニコ

 

こんなにも、幸せに包まれたのは…たぶん初めてだろうな。

やはり彼女の笑顔が、俺は好きだ。

 

ありがとう。俺のことを知ろうとしてくれて。

俺のことを好きになってくれて…。

俺はもう絶対お前を泣かせたりしない。

 

絶対に俺が、これからずっと折本を、いや、かおりを…幸せにしてみせる。

 

俺は…未だわからない「本物」を探し続けてる。

でも、折本かおりと出会って、心から好きになって。

思ってしまったんだ。

かおり…お前と、お前と歩いていけば、俺は、俺の中で一つの本物を見つけれるんじゃないかって…

いや、もしかしたらそれはもう…

 

八幡「ああ……俺も好きだよ。…かおり」ニコ

 

……………

…………

………

……

 

〜そして告白の後〜

 

ー会議室ー

 

いろは「で、なんで帰ってくるんですか2人して」ジトー

 

八幡「いや…そういえばカバンとか荷物全部忘れてたことに気づいてな…ってかお前こそ…いやなんでみんないるの?」

 

結衣「いやー、なんかみんな暇みたいで、せっかくお菓子とか大量に買ったしみんなで食べながら駄弁ろうってことになってー」ジトー

 

八幡「そ、そうか、ってかなんだよお前ら…なんでそんなジト目なの?」

 

雪乃「はぁ…結果は…聞かなくても見るに明らかね…」ジトー

 

かおり「八幡〜♫はっちまん〜♫」ギュウギュウ

 

八幡「お、おい。そんな腕抱きつかないでくれ。は、恥ずかしいだろうが…かおり///」

 

かおり「やだやだ〜///ずっとこうしたかったの!///ね?いいでしょ?…八幡」ウワメヅカイ

 

八幡「おうふっ。もちろんだ」

 

雪乃「な、なんなのこれは…は、吐き気が」ガク

 

結衣「ゆきのん!?死んじゃやだよゆきのん!」

 

いろは「まあやっぱり両思いでしたね…会議中なんかもう2人してすっごいわかりやすかったですし」

 

折本「会議中?」

 

 

ー回想ー

〜〜〜〜

 

〜会議中〜

 

いろは「せんぱい」ボソ

 

八幡「ん?」

 

いろは「あのですね…(折本さんのことチラチラ見過ぎです。キモいです)」

 

八幡「なっ!?///、そんなに見てたか俺?」ボソボソ

 

〜〜〜〜〜

 

いろは「んで折本さんは折本さんで顔赤くして時々せんぱいをチラッと見ては下向いてチラッと見ては下向いての繰り返しでしたよ」

 

かおり「そっか…あの時、私のこと見てたんだ///」

 

八幡「かおりも…俺のこと見てたんだな///」

 

かおり「えへへ…///」

 

八幡「…///」ポリポリ

 

いろは「ぐぬぬぬ……ねえ、せーんぱい♫」ニヤ

 

八幡「ん?なんだ一色」

 

いろは「もう、先輩ったら!2人の時は、いつもみたいに「いろは」って呼んでくださいよお〜」ニヤニヤ

 

八幡「」

 

かおり「なっ…!?」

 

いろは「あっ、今は2人っきりじゃありませんでしたね。ごめんなさい間違えましたー!てへぺろ♫」

 

かおり「どういうこと…八幡?」ジロ

 

八幡「おい、目が怖いって。違うから誤解だから。おい一色、変なこと言うな」

 

いろは「せーんぱい」グイ

 

八幡「え?」

 

いろは「私のことは…「いろは」って…呼んでください」キラキラキラキラ

 

八幡「………い、いろ///」

 

かおり「タァイイイイム!なに負けてるの!?最低!マジウケない!」

 

八幡「うぐっ…」

 

かおり「ちょっとあんた、一色?さんだっけ?この際だからハッキリ言うけど八幡はわ!た!し!の彼氏なの?ガキは引っ込んでてくれない?」ピキピキ

 

いろは「ガ、ガキィ!?ちょっーと先越したからっていい気にならないでくださいよ。知ってました?先輩は年下好きなんですよ?特に私みたいなかわいいー後輩がだーいすきなんです。おばさんは引っ込んでてくれませんかねえ?」ピキピキ

 

かおり「お、おばっ!?…あ、あー。なんか暑いなー(棒)」キラキラ

 

いろは「なあっ!?そ、そのネックレスは!?」

 

かおり「あれえ?気づいちゃった感じ?綺麗でしょう?なんてたって八幡が私のた・め・に!プレゼントしてくれた愛のネックレスだからね〜」

 

いろは「ぐぬぬぬぬぬぬぬぬっ!!!先輩!私には100カラットのダイヤモンドの婚約指輪でお願いします!!」

 

八幡「なにいってんのお前。頭イカかれすぎでしょ。落ち着けよ。てかいつから俺が年下好きに…ほらやめろ、お前ら喧嘩するn

 

結衣「あっそういえばヒッキー!今度遊びに行く約束してたよね!どこ行くかそろそろ決める?」

 

かおり「は?」

 

いろは「は?」

 

八幡「お前…なんで今その話するわけ?悪魔なの?もはや魔王だわ」

 

雪乃「比企谷くん、私と…新しい図書館に一緒に行く約束をしてるはずなのだけれど…覚えてるわよね?」

 

八幡「いつ復活したんだお前…いや、忘れるわけないだろ。けっこう楽しみだし(新しい図書館が)」

 

かおり「ねえ…一色さん?ちょっと聞いていいかな?」汗ダラダラ

 

いろは「いろはでいいですよ。かおり先輩。言いたいことはわかります。先輩は…モテてますよ。絶対気づいてないでしょうけど。まだ怪しいのが何人かうちの学校にいます…」

 

かおり「はぁ…敵多すぎでしょ…しかも美人ばっか…」

 

八幡「おい…一色」

 

いろは「なんですか?」

 

八幡「その…ありがとうな。後輩なのに助けてもらっちまって。あの時のお前マジで頼りになったよ。感謝してる」

 

いろは「な、なんですかいきなり///く、口説いてるんですか?先輩には恋人いるのにまさか愛人にしようという魂胆ですかそれはちょっとそれはそれでなんだか、でもやっぱり1番がいいというか、とにかくやっぱり諦められなくなってくるからだ、だからえっと…はぅ」

 

八幡「ありがとうな」ナデナデ

 

いろは「ちょっせんぱい///反則ですよ…///」

 

かおり「…」ナデナデ

 

いろは「な、なんでかおり先輩まで撫でてるんですか///」

 

かおり「いや、なんか八幡のこと助けてくれたみたいだし?そういえばよく考えてみれば、いろはちゃんが八幡を生徒会のに連れてきてくれなかったらそこでは出会えてなかったし?だからいろはちゃんは恋のキューピッドだよ。ありがとね、いろはちゃん」ニコ

 

いろは「っ〜…///(く、悔しいけど///確かに可愛いですね…笑顔)」

 

いろは「はぁ…先輩もかおり先輩もズルすぎです///も、もう私、帰ります!かおり先輩、私まだ負けませんから!それでは!」タタタ

 

八幡「はぁ…騒がしいやつだな」

 

雪乃「では私たちも帰りましょうか。…比企谷くん。その…おめでとう」

 

八幡「おう」

 

雪乃「明日からは前みたいな表情でいたら許さないわよ」

 

八幡「ああ…わかってる」

 

結衣「ヒッキー。もう、我慢しないでね?」

 

八幡「ああ、またなにかあれば…頼らせてくれ」

 

結衣「うん!…うん!それじゃあまた明日!ゆきのん一緒に帰ろ!」

 

雪乃「ええ。それではまた明日。比企谷くん」

 

八幡「ああ、また明日な」

 

かおり「はぁ…手強すぎ…私、彼女なのに…もう泣きそう…」

 

八幡「え?ちょ、待て。なんでだ!な、泣かないでくれ!俺なんかしたか?あああ謝るから!」アタフタ

 

かおり「…ぷふっwwwww八幡必死すぎwwwウケるwwwww」

 

八幡「そ、そうか…ウケるか。泣かないんだな?大丈夫なんだな?」

 

かおり「大丈夫大丈夫!ありがとう。心配してくれて」

 

八幡「あの…な、かおり」

 

かおり「?」

 

八幡「あいつらとはそういんじゃないから…どういうのって聞かれたら…よくわからんが…その最近はよく遊びにいったりして…奉仕部…最近は一色もよく絡んでくるが、あいつらとやる部活動は正直……楽しい…。だからそのへんを変える気はない。変えたくない…すまん。でもあいつらとはそういんじゃないから。えっと今は、かおりが俺の彼女だから。お前は、その、特別というか…だからな…えっと…」

 

かおり「もういいよ八幡///もうわかったから///」

 

八幡「そ、そうか…よかった」

 

かおり「八幡が築きあげた絆を…私がどうこうできるわけないじゃん。大切…なんだよね?あの子たちが。八幡にとってあの場所は」

 

かおり「…まあ、でも?私が彼女である限りこれからは気をつけた方がいいよ?あーんまりイチャイチャしてたら…嫉妬に狂ってヤッちゃいそうだよ」ニヤ

 

八幡「お、おい。まさかお前ってヤンデr

 

かおり「さぁ!帰ろっか!送っててよね!」

 

八幡「おい、待て。大丈夫だよね?空鍋とかしないよね?」

 

かおり「中に、誰もいませんよ」

 

八幡「なんで今、そのセリフ言ったの!?」

 

かおり「気にしない気にしない。好きだよ八幡」

 

八幡「な、なんだよ/// そんな雑な言い方されても…///」

 

かおり「照れてんじゃん…///」

 

八幡「かおりもじゃねえか///…俺も好きだよ」

 

かおり「ちょっ///もうっ///」

 

八幡「お返しだ///」

 

玉縄「ぁあああっ!?折本サン!ユーは必ずミーのところにアイルビーバックしてくれるとビリーブしていたよ!さあ、今度こそこれをユーにプレゼンt」

 

かおり「あっ、私、八幡と付き合うことになったんだ///」

 

玉縄「(・_・)」

 

かおり「なにそれ?…黒パンスト?くれるの?そういえばあまり履かないなー…ね、ねえ?八幡、私、黒パンスト…似合うかな///」テレテレ

 

玉縄「( ˙-˙ )」

 

八幡「え、そ、そうだな。見てみたいかもな///かおりなら似合いそうだ。それに俺もけっこう好きだし。黒パンスト///」

 

かおり「もう///なんか変態っぽいよ///マジウケるwww///…でも八幡がそういうんだったら…今度のデートの時履いてくるね…楽しみにしてて///」

 

八幡「おう…///」

 

かおり「それじゃ、帰ろ。…手、繋ごっか///」

 

八幡「…ああ///」

 

 

玉縄「(._.)」

 

周り「(哀れな…)」

 

 

 

 

 

 

 

 

元スレ

折本「やっはろー!」八幡「…」

http://sstokosokuho.com/ss/read/2635

 

雪乃「川崎さん、今すぐこの犯罪者から救ってあげるわ」 八幡「おい」【俺ガイルss/アニメss】

 

八幡「」ペラ

 

沙希「」ギュ

 

八幡「」ペラ

 

雪ノ下「・・・・・・」

 

由比ヶ浜「・・・・・・」

 

八幡「」ズズ

沙希「・・・・・・」

 

八幡「・・・・・・」

 

八幡「」スッ

 

沙希「」ズズ

 

八幡「美味いか?」

 

沙希「」コク

 

雪ノ下「・・・・・・」

 

由比ヶ浜「・・・・・・」

 

八幡「」ペラ

 

沙希「」ギュ

 

八幡「」ペラ

 

沙希「」ツンツン

 

八幡「ん?」

 

沙希「・・・・・・」

 

八幡「・・・・・・」

 

八幡「」ナデナデ

 

沙希「///」

 

雪ノ下「」イライラ

 

由比ヶ浜「」イライラ

 

雪ノ下「比企谷君・・・これは一体どういうことかしら?」ビキビキ

 

八幡「あ? なんもねーよ」

 

由比ヶ浜「何もないわけないでしょ!? ヒッキー超キモい!」

 

八幡「騒ぐなビチヶ浜」

 

八幡「こいつが怯えているだろ」

 

沙希「」ビクビク

 

由比ヶ浜「いいから答えるし!」

 

八幡「いや・・・くっついて離れなくなっちまったんだよ」

 

雪ノ下「そんなこと信じられるわけがないでしょう・・・?」ビキビキ

 

雪ノ下「川崎さん、正直に答えてちょうだい」

 

雪ノ下「この男に何をされたのかしら?」

 

沙希「・・・・・・」

 

由比ヶ浜「きっとセメダインでくっつけちゃったんだよ!」

 

八幡「俺はプラモデルか何かか?」

 

雪ノ下「大方、何か弱みにつけこまれてこうせざるを得ないのでしょう」

 

雪ノ下「比企谷君・・・貴方、そんな狡猾な人間だったのね」

 

八幡「勝手に話を進めるなよ」

 

雪ノ下「口を閉じなさい卑劣谷君」

 

八幡「誰だよ」

 

由比ヶ浜「と、とにかく! そんなイチャイチャするとかありえないし!」

 

八幡「イチャイチャなんてしてねーよ」

 

八幡「むしろ戸塚とイチャイチャしたいし? あ、小町も良いねぇ~・・・」

 

由比ヶ浜「キモ! キモ! ヒッキー超キモい! バカ!」

 

八幡「(え? 俺ってそんなにキモかったの? 泣いちゃうよ? 小町、お兄ちゃん泣いちゃうよ?)」

 

雪ノ下「呆れてモノも言えないわ・・・」

 

雪ノ下「川崎さん、今すぐこの犯罪者から救ってあげるわ」スッ

 

八幡「おい、どこに連絡をするつもりだ」

 

雪ノ下「あら? 決まっているじゃない、警察よ」

 

八幡「止めて下さい本当に洒落にならないです戸塚可愛い」

 

雪ノ下「」ピッピッ

 

沙希「」ガシ

 

雪ノ下「?」

 

沙希「」ギロ

 

雪ノ下「ひっ!?」ビク

 

雪ノ下「」ガタガタ

 

沙希「」ギュ

 

八幡「」ナデナデ

 

由比ヶ浜ぐぬぬ・・・!」

 

沙希「・・・・・・」

 

八幡「?」

 

沙希「」ゴニョゴニョ

 

八幡「・・・あ? そんなに戸塚が好きかって?」

 

沙希「」コクコク

 

八幡「当たり前だろ、あんな天使この世にいねーよ」

 

沙希「・・・・・・」

 

沙希「」シュン

 

八幡「!」

 

沙希「」ウルウル

 

八幡「ま、待て・・・そのだな・・・」オロオロ

 

沙希「」グス

 

八幡「ぅ・・・」

 

八幡「・・・・・・」

 

八幡「」ギュ

 

沙希「!」

 

八幡「」ナデナデ

 

沙希「・・・・・・」

 

沙希「///」ギュ

 

由比ヶ浜ぐぬぬぬぬぬ・・・!」ポロポロ

 

雪ノ下「助けて助けて助けて助けて助けて・・・・・・」ブツブツ

 

八幡「」モグモグ

 

沙希「」ギュ

 

八幡「」スッ

 

沙希「」パク

 

沙希「」モグモグ

 

八幡「美味いか?」

 

沙希「」コク

 

八幡「そうか・・・」

 

沙希「」ギュ

 

八幡「」モグモグ

 

小町「・・・・・・」

 

八幡「ふぅ・・・」チョロロロロ・・・

 

沙希「」ジー

 

沙希「///」プイ

 

八幡「・・・・・・」

 

八幡「(人に見られながら用を足すって)」

 

八幡「(こんなに難しかったんだな)」

 

八幡「(出づらい・・・)」チョロ  チョロ  チョロ

 

八幡「」ゴシゴシ

 

沙希「///」

 

八幡「(こいつ、中々のエロボディをしているな)」ゴシゴシ

 

八幡「胸の下も洗うぞ?」

 

八幡「最近暑くなってきたからな、あせもができたら大変だ」サワ

 

沙希「んっ///」ヌル

 

八幡「・・・流すぞ」スッ

 

シャーーーーーーー・・・・・・     パシャパシャパシャ

 

八幡「ふぅー・・・」ザバァ

 

沙希「」チョコン

 

八幡「・・・・・・」

 

沙希「・・・・・・」

 

八幡「」ツンツン

 

沙希「?」

 

八幡「・・・なんでもねーよ」ツンツン

 

沙希「・・・・・・」

 

沙希「・・・///」プイ

 

八幡「」シャコシャコ

 

沙希「」シャコシャコ

 

八幡「」スルスル

 

沙希「・・・・・・」

 

八幡「・・・・・・」

 

八幡「・・・俺ので良かったら」

 

八幡「これ、着ろよ」スッ

 

沙希「!」

 

沙希「」バッ

 

沙希「」スルスル

 

沙希「///」クンクン

 

八幡「・・・・・・」

 

八幡「・・・・・・」

 

八幡「・・・電気、消すぞ?」

 

沙希「」コク

 

八幡「」スッ

 

ピッ     カタ

 

八幡「・・・・・・」

 

沙希「・・・・・・」

 

沙希「」ギュ

 

八幡「・・・・・・」

 

八幡「」ギュ

 

沙希「ん・・・」

 

八幡「」ナデナデ

 

沙希「」ウトウト

 

小町「・・・・・・」

 

小町「(お兄ちゃん・・・小町的にポイント微妙だよ・・・)」

 

八幡「」カキカキ

 

沙希「」ギュ

 

八幡「」カキカキ

 

いろは「・・・・・・」

 

八幡「」カキカキ

 

沙希「」クンクン

 

いろは「・・・あの、先輩?」

 

八幡「あ?」

 

いろは「その、なんかおかしいと思いませんか?」

 

八幡「あ? 別に」

 

いろは「えっと・・・」

 

沙希「」ギュ

 

八幡「」ナデナデ

 

沙希「///」

 

いろは「・・・・・・」

 

いろは「・・・せ、先輩!」

 

八幡「うぉっ!? なんだよ急に・・・」

 

いろは「やっぱ今日はもう良いです! 私1人でどうにかできます!」

 

八幡「そうか?」

 

いろは「はい! だから早く出て行って下さい!」ズイズイ

 

八幡「お、おい押すなよ・・・」

 

沙希「」オロオロ

 

いろは「えーっい!」ズーイ

 

八幡「ぁ・・・」

 

扉『』パタン

 

いろは「・・・・・・」

 

いろは「・・・こんなの、おかしいじゃないですか」

 

いろは「先輩・・・先輩・・・・・・」

 

いろは「・・・・・・」

 

平塚「比企谷、進路相d」

 

八幡「はい?」

 

沙希「」ギュ

 

平塚「・・・・・・」

 

八幡「・・・?」

 

八幡「・・・あの、先s」

 

平塚「いや、やっぱり次にしよう」

 

平塚「うん、そうしよう」

 

八幡「はぁ・・・」

 

平塚「・・・・・・」

 

平塚「」ポロポロ

 

八幡「!?」

 

平塚「ぐすっ・・・今日はもうお家帰る・・・!」グスグス

 

沙希「」ニコニコ

 

大志「お兄さんどうもっす!」

 

八幡「小町は渡さんぞ」

 

大志「まだ何も言っていないっすよぉ!?」

 

八幡「それでだ、早速で悪いんだが」

 

八幡「席を外してくれないか?」

 

大志「え?」

 

八幡「少しお前の姉ちゃんと話したいことがある」

 

大志「姉ちゃん・・・本当?」

 

沙希「」コク

 

大志「・・・・・・」

 

大志「・・・わかったっす、自分の部屋に行ってます」

 

大志「」トボトボ

 

扉『』パタン

 

八幡「・・・・・・」

 

沙希「・・・・・・」

 

京華「・・・・・・」

 

八幡「・・・・・・」

 

沙希「・・・・・・」

 

沙希「」クイクイ

 

八幡「」チラ

 

沙希「・・・///」モジモジ

 

八幡「・・・・・・」

 

八幡「・・・・・・・・・」

 

八幡「」ユッサユッサ

 

沙希「んっ・・・あぁっ!///」ビクンビクン

 

京華「」ジー

 

八幡「俺達で大切に育てような」

 

沙希「ふふ・・・///」サスサス

 

雪ノ下「ぐぬぬ!」

 

由比ヶ浜ぐぬぬ!」

 

いろは「ぐぬぬ!」

 

平塚「」ポロポロ

 

 

 

 

 

 

 

 

元スレ

八幡「川なんとかさんとくっついて離れなくなった」

http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1433160048/