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上条「いやーお前も変わったな」 禁書「もう何年も経ってるんだから、当たり前なんだよ」【とあるss/アニメss】

 

禁書「当麻、朝ごはん出来たよ」

 

上条「あー……眠い」ポリポリ 

 

上条「って、あれ? 今日は俺の当番の日じゃなかったか?」 

 

禁書「そうだよ。でも当麻が起きなかったから、私が作ったんだよ」 

 

上条「そっか、わりぃわりぃ。今日は2限の授業が休講になったから、遅くて良かったんだ」 

 

禁書「当麻。授業が無いからって、お寝坊してちゃダメだよ」 

 

上条「はーいはい」

 

上条「うん、うん。美味いな」モグモグ 

 

禁書「当麻と違って、ちゃんとお味噌汁も鰹節からお出汁を取ってるからね」フフン 

 

上条「そりゃあご苦労なこった」モグモグ 

 

禁書「ご飯には健康に良いもちきびが入ってるから、しっかり食べるんだよ」 

 

上条「はーいはい」モグモグ 

 

上条「ふぅー」 

 

上条「……」チラッ 

 

禁書「? なに?」ジトッ 

 

上条「いや~お前も変わったな~って」 

 

禁書「変わった?」 

 

上条「あぁ。この家に来た頃とは別人みたいだぞ」 

 

禁書「もう何年も経ってるんだから、当たり前なんだよ」 

 

上条「まぁそりゃあそうだけど……」

 

上条(人の変化ってのは、本人が一番自覚しにくいものなのかも知れねぇけど……本当変わったよな~)ジーッ 

 

禁書「あんまり人が食べてる所をじっと見ないで欲しいかも」プイッ 

 

上条(まず見た目だ。家に来た時は完全にガキンチョだったっていうのに……) 

 

上条(今は背が160くらいあって、すらっとしたスレンダー美人だ。む、胸もそこそこあるし……) 

 

上条(あの歩く教会とかいうのを着るのをやめたのもあるんだろうけど) 

 

上条(んで中身だ。来た頃は完全にいわゆる「穀つぶし」だったってのに……) 

 

上条(今は家事全般をパーフェクトにこなす、女子力()マックスな女の子だ) 

 

上条(インデックスのお陰で家で食べる飯は美味いし食費も掛からないし、部屋も常に綺麗な状態だ) 

 

上条(確かにここに来てからもう何年も経つわけだし、ちょうど成長期だったわけだから、変わるのは自然だけど……) 

 

上条(ここまで変わるとはな~)ジーッ 

 

禁書「だから、なんでそんなにじっと見てるのかな!」 

 

上条「わりぃ、わりぃ」ポリポリ 

 

禁書「もう」プイッ 

 

上条(昔だったら、これで噛みつかれてたもんなー)

 

禁書「今日は3限終わりだよね?」 

 

上条「あぁ (人の時間割も覚えてるのか)」 

 

禁書「じゃあ……ちょっとゆっくり帰ってきてね」 

 

上条「? なんでだよ」 

 

禁書「ちょ、ちょっと心の準備が必要かも」 

 

上条「心の準備? なんのだよ?」 

 

禁書「!」 

 

禁書「……」プクッ 

 

上条「……?」 

 

上条(な、なんか怒ってらっしゃる……) 

 

上条(思い出せ、思い出せ俺! なんか今日あったっけか……?) 

 

上条(えぇーっと……)

 

上条(えぇーっと……) 

 

上条(なにも思い出せん……)ポリポリ 

 

禁書「き、昨日言ったでしょ?」プクーッ 

 

上条「えぇーっと…… (どっか行く約束でもしたっけか……?)」 

 

禁書「私は今日、美容院に行って髪を切ってくるって」 

 

上条「……」 

 

上条「……なんだそんな事かよ」ハァ 

 

禁書「! そ、そんな事って……その言い方は酷いんだよ!」 

 

上条「いやいや、髪を切りに行くなんて、別に普通のことじゃねぇか」 

 

禁書「今回はバッサリ切るんだよ! 女の子にとっては大きいことなんだよ」 

 

上条「あぁ、そう言えば肩に掛かるくらいにするんだっけか」

 

上条「別にそんな大事じゃねぇだろ? たかが髪型なんざ……」 

 

禁書「そんなことないんだよ。それはそれはものすごく熾烈な葛藤があったんだよ。ずーっとこの長さだったし……」 

 

上条「そんな思い入れがあるなら、切るのやめればいいじゃねぇか」 

 

禁書「でも、もう17歳だし……」 

 

上条「まぁ高校生の年齢でそれだけ長い女の子は中々見ないな」 

 

禁書「だよね? 家事の時とかもちょっと邪魔だし……」 

 

上条「ころ合いって言ったらころ合いかもな」 

 

禁書「そ、そうだよね」 

 

禁書「……」 

 

禁書(で、でも……) 

 

上条「似合うと思うぞ?」 

 

禁書「!」 

 

上条「そこは心配いらねぇんじゃねぇのか?」 

 

禁書「あ、ありがとう」

 

上条「お、そろそろ時間だな。昼は土御門と学食で食う約束をしてるから……」スクッ 

 

禁書「……」ドキドキ 

 

上条「? なんだ、もう緊張してんのか?」 

 

禁書「なんか今になって……自分の髪が愛しくなってきちゃったんだよ」サラサラ 

 

上条「……」 

 

禁書「もうこうやって下を向いた時、髪が膝に掛かることもなくなるんだね……」 

 

上条「そんなに名残惜しいなら、切るのやめれば良いじゃねぇか……」 

 

禁書「でももう予約しちゃったんだよ」 

 

上条「そんなのいくらでもキャンセル出来るし、そもそもどう切るかっていう注文まではまだしてねぇだろ」 

 

禁書「そ、そうだけど……」 

 

禁書「……」頭ブンブンッ 

 

禁書「だ、ダメなんだよ。もう散々考え抜いて決心したんだから……!」 

 

上条「じゃあ俺は行くぞ」スタスタ 

 

禁書「か、帰りは、ゆーっくり帰ってきてね」

 

バタンッ 

 

禁書「……ふぅ」 

 

禁書(今日のこれからの予定は……) 

 

禁書(まず街に出かけて、ランチを食べて……) 

 

禁書(13時になったら、予約しておいた美容院に行って、か、か、髪を切って貰って……) 

 

禁書(切り抜きはお財布に入ってるよね)ガサゴソ 

 

禁書「……」ジーッ 

 

禁書(け、結構短いけど……) 

 

禁書「……」頭ブンブンッ 

 

禁書(散々悩み抜いて決めたんだから、もうこれを美容師さんに渡すんだよ!) 

 

禁書「……ふぅ」 

 

禁書(それで、髪を切り終わったら、そのままお洋服を買いに行って……) 

 

禁書(帰ってきたら、当麻を待って……) 

 

禁書(それで……)カァッ 

 

禁書「……よ、よし。頑張るんだよ」

 

 

――とある大学―― 

 

上条「うぃーす」トコトコ 

 

土御門「おうかみやん、相変わらずだるそうな顔してるにゃー」 

 

上条「せっかく2限が休講だったってのに、早く起こされちまってな~」ポリポリ 

 

土御門「そんなこと言ってると、学科の男子共に殴られるぞー?」 

 

上条「なんでだよ?」 

 

土御門「家に超可愛い子ちゃんがいて生活全般を世話して貰ってるなんていう最高の境遇にいるくせにーってな」 

 

上条「……」 

 

土御門「そんなのかみやんと俺ぐらいだぞ!」 

 

上条(……まだシスコンは治らねぇのか)

 

禁書「よし、これで良いかな」 

 

禁書「ふぅ」ドキドキ 

 

禁書「……」胸ポンポン 

 

禁書「い、行くんだよ」 

 

ガチャッ バタンッ 

 

禁書「……」トコトコ 

 

禁書「……」チラッ 

 

禁書「……」チラッ 

 

禁書(な、なんか……) 

 

禁書(ガラスに映る自分の髪が、やけに綺麗に見えるんだよ……) 

 

禁書(髪を切る日はやけに髪のセットが上手く決まるって言うけど、それと同じ現象なのかな……) 

 

禁書「……」頭ブンブンッ 

 

禁書(ダメだよ、もう決心したんだよ) 

 

禁書(私は今日、髪を切るんだよ……!)キリッ

 

 

――講義室―― 

 

教授「であるからして~」 

 

上条「ふわぁ」 

 

上条(なんて眠くなる講義なんだ……)目クシクシ 

 

上条「……」ポケーッ 

 

上条「あ」 

 

上条(姫神のやつ、また一番前で一人で授業受けてやがるな) 

 

ペチャクチャペチャクチャ 

 

上条(後ろの方の席では、また青ピが女子達と話してんのか……) 

 

土御門「なぁかみやん、今日はDS持って来てないのか?」コソコソ 

 

上条「……持って来てねぇよ」コソコソ 

 

上条(……平和だな)ポケーッ

 

 

――ファミレス―― 

 

禁書「……」スプーン コトッ 

 

禁書(うっ……) 

 

禁書(まさかこの私が、「食事が喉を通らない」なんていう状態を経験するなんて……) 

 

禁書(しかも大好きなエビと野菜のトマトクリームリゾットなのに……!) 

 

禁書「……」ドキドキ 

 

禁書(街に来てからは、もう時計が気になって仕方ないんだよ) 

 

禁書(予約の時間まではもう1時間くらいだから……) 

 

禁書(2時間後くらいには……) 

 

禁書(私のこの髪は……) 

 

禁書「……」ドキドキ

 

禁書(今になって、いよいよ不安になってきちゃったよ……) 

 

禁書(本当に……似合うかな……?) 

 

禁書(当麻はきっと似合うって言ってくれたけど……) 

 

禁書「……」 

 

禁書(そもそも、当麻が最近、私のところを女の子として見てくれてない気がするから……) 

 

禁書(イメチェンっていうのをしてみようって事で……思い切って髪を切ろうって決心したのに……) 

 

禁書(当麻ったら、あんまり興味ない感じで……)プクッ 

 

禁書(お洋服も新しいのを買って、今日帰ってきたら思いっ切りいつもと違う感じで迎えてあげようっていう計画なんだけど……) 

 

禁書「……」 

 

禁書(でもこれで失敗だったら元も子もないよね) 

 

禁書(家事がいくら出来たって、見た目のポイント落としちゃったら……) 

 

禁書(うーん……)

 

禁書(どうしよう……) 

 

チクタクチクタク 

 

禁書「!」 

 

禁書(……なんて悩んでたら、もう時間だ) 

 

禁書(い、行かなきゃ……) 

 

禁書「……」ドキドキ 

 

禁書(で、でも……) 

 

禁書(や、やっぱり……) 

 

禁書「……」頭ブンブンッ 

 

禁書(ダメだよ私! あそこは人気店だから……直前キャンセルは、キャンセル料が取られちゃうんだよ!) 

 

禁書(だからもう、なにがなんでも行かなきゃダメなんだよ!) 

 

禁書「……よし」スクッ 

 

禁書「……」スタスタ

 

禁書(大丈夫! きっと似合うよね)トコトコ 

 

禁書(当麻の言う通り、この年齢でこんなに長い子は、中々いないんだから) 

 

禁書(しっかり切って、それで似合ったら、それが一番だよね) 

 

禁書(背も伸びたし、スタイルもちょっとは良くなったし、家事も出来るようになって……) 

 

禁書(あとは髪さえ切れば……) 

 

禁書(年相応の「良い女」になれるんだよ……!) 

 

禁書「……よし」ザッ 

 

ウイーン 

 

 

――美容院―― 

 

禁書「えぇっと、13時に予約しましたインデックス・リブロールム・プロヒビトールムです」 

 

受付「はい」

 

美容師「そこにお掛けになって、少々お待ち下さい」 

 

禁書「は、はい」 

 

禁書「ふぅ」ストンッ 

 

禁書(もうここまで来たら、後戻りは出来ないね) 

 

禁書「……」 

 

禁書「…………」 

 

禁書「…………………」 

 

禁書「………………………」 

 

禁書(本当に……) 

 

禁書(……良いのかな)

 

美容師「ではこちらへどうぞ~」 

 

禁書「はい」スクッ 

 

禁書「……」トコトコ ストンッ 

 

美容師「ではまず髪を洗いますね~。椅子倒しまーす」 

 

禁書「……」ウイーン 

 

美容師「はーい。ではお湯出しますね~」シャーッ 

 

禁書「……」 

 

美容師「……」ワシャワシャ 

 

禁書「……」 

 

禁書(私が望んでることって……なんなんだろう) 

 

禁書(見た目を大人っぽくして、当麻にしっかり女の子として見てもらえるようになりたい) 

 

禁書(確かにそうなんだけど……) 

 

禁書(じゃあなんでこんなに葛藤するの?) 

 

禁書(なんか他に……大人っぽくなる前に、やり残したことがあるような……)

 

禁書(私が本当に望んでること……) 

 

禁書(それは……) 

 

美容師「はーい、お疲れ様でした~。椅子起こしますね~」 

 

禁書「……」ウイーン 

 

美容師「……」フキフキ 

 

禁書「……」 

 

美容師「では」ポンポン 

 

禁書「……」 

 

美容師「今日はどうします?」ニコッ 

 

禁書「け、毛先を揃える感じで……」

 

 

――学内カフェ―― 

 

土御門「やったー! リュウグウノツカイ釣れたにゃー!」3DSピコピコ 

 

上条「シーラカンス釣ろうとしてたんじゃねぇのかよ……」 

 

土御門「これはこれで収穫だにゃー」 

 

チクタク チクタク 

 

上条「お、もう3時か」 

 

上条(ゆっくり帰ってこいって言われたけど……さすがにもう良いよな? 美容院の予約は1時だったはずだし……) 

 

上条「じゃあ俺、そろそろ帰るな」スクッ 

 

土御門「お、そうかにゃー」 

 

上条「じゃあまた明日な」 

 

土御門「ばいび~」 

 

上条「……」トコトコ

 

 

――寮の前―― 

 

上条(さーてと、どうなってるかな~)トコトコ 

 

上条(似合うだろうって言ったけど……あれは別にお世辞じゃなくて……) 

 

上条(実際問題似合うだろうなって思ったから言ったわけで……)カァッ 

 

上条(しょ、正直な所、ちょっと楽しみだったりもするわけで……) 

 

 

――玄関の前―― 

 

上条「ふぅ」 

 

上条「……」ゴクッ 

 

ガチャッ 

 

上条(お、鍵が開いてる) 

 

上条(不用心だけど……帰ってはきてるってことだな) 

 

上条「ただいま~」スタスタ

 

上条(さて、一体どうなって…)スタスタ 

 

上条「……?」 

 

シ―――――――――ン 

 

上条「あれ? (部屋の中いない……?)」 

 

上条「インデックス? トイレにいるのか?」コンコン 

 

シ――ン 

 

上条「じゃあお風呂か?」コンコン 

 

シ――ン 

 

上条「押し入れの中には……」ガラッ 

 

シ――ン 

 

上条「……いるわけねぇか」

 

上条(まさか、鍵開けたまんま美容院に行っちまって、まだ帰ってきてないってことか……?) 

 

上条(おいおい、不用心にもほどがあるぜ……) 

 

風フワッ 

 

上条「!」 

 

上条(おいおい、窓も開いたままじゃねぇかよ……) 

 

上条(どんだけ不用心なんだよ……)トコトコ 

 

上条(って言っても、もう最近はインデックスの方が俺よりこういうことに関してはちゃんとしてるはずだよな……)トコトコ 

 

上条(とりあえず窓を閉め…) 

 

上条「」

 

 

――ベランダ―― 

 

禁書「……」ブラーン 

 

上条「……おい、そんな所に引っ掛かってなにやってやがんだ」ジトーッ 

 

禁書「……」ブラーン 

 

上条「しかもその格好…… (歩く教会……久し振りに見たな)」 

 

禁書「……」顔スッ 

 

上条「……」 

 

禁書「お腹が空いたんだよ」 

 

上条「」

 

禁書「お腹が空いてるって言っているんだよ?」 

 

上条「なにをいきなりわけわからんシチュエーションでわけわからんことを……」 

 

禁書「お昼、しっかり食べられなかったんだよ」 

 

上条「知らねぇよ……」 

 

禁書「当麻のせいなんだよ」 

 

上条「なんでだよ…… (しかもこいつ、髪切ってねぇじゃねぇか……)」 

 

禁書「なにか食べさせてくれたら嬉しいな」ニコッ 

 

上条「……」

 

上条「夕飯の買い物に行く前だから食材がなくて、野菜炒めだけど良いか?」 

 

禁書「うん!」 

 

上条(いきなりどうしちまったんだよ……)ジュージュー 

 

禁書「……」ニコニコ 

 

禁書(私が望んでたこと) 

 

禁書(大人の「良い女」になる前にしたかったこと) 

 

禁書(それは……) 

 

上条(しかし……あの体型に歩く教会は中々……)チラッ チラッ 

 

禁書「当麻? なに見てるのかな?」ジトーッ 

 

上条「あ、いや…… (可愛いな……)」ジュージュー

 

上条「ほらよ」ゴトッ 

 

禁書「わーい!」 

 

禁書「いただきまーす!」 

 

禁書「はむっ……はむっ……」モグモグ 

 

上条(すげぇ食いっぷりだな。まさにがっつくって感じだ)ジトーッ 

 

禁書(私が、大人の「良い女」になる前にしたかったことは……)モグモグ 

 

上条(あれ、でもなんかこの感じ……) 

 

禁書(昔みたいに戻って、もう一回だけ……)モグモグ 

 

上条(なんか知らねぇけど……すげぇ懐かしいな……) 

 

禁書(もう一回だけ、当麻に思いっ切り甘えることだったみたい)モグモグ 

 

禁書「すごく美味しいんだよ!」モグモグ 

 

上条「そりゃどうも」 

 

禁書(髪切っちゃったら、しっくり来ないからね。歩く教会も似合わないだろうし)テヘペロ

 

上条(まぁ懐かしいのは良いけど……) 

 

禁書「はむっ……はむっ……」モグモグ 

 

上条「髪は切らねぇのか?」 

 

禁書「!」ピタッ 

 

禁書(もうこれで……満足したから……) 

 

禁書(……後悔なく切れるよね) 

 

禁書「……」手スッ 

 

上条「?」 

 

 

禁書「明日もう一回切り行くから、お金頂戴!」 

 

上条「」 

 

 

 

 

 

 

 

 

元スレ

禁書(17)「当麻、朝ごはん出来たよ」

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