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雪乃「私には重さが、ない」 八幡「……そうみたいだな」【俺ガイルss/アニメss】

 

 八幡「階段を登ってたら雪ノ下が落ちてきた」

 

雪乃「…………」

 

八幡(思わず受け止めてしまったが……)

 

八幡(こいつ軽っ! え、なにこれ拒食症?)

 

雪乃「……離してもらえるかしら」

 

八幡「あ、あぁ、すまん」サッ

 

雪乃「………」スタスタ

 

八幡(行っちまった……確か雪ノ下雪乃だったよな……?)

 

 

教室 昼休み

 

 

三浦「あはははは、ちょーウケる!」

 

結衣「だよねー!」

 

八幡(よし、ぼっちの妄想タイムだ)

 

八幡(とにかく、雪ノ下。雪ノ下雪乃。あれはいくらなんでもおかしいだろ)

 

八幡(冷静に考えて、あれは拒食症とかそういうレベルじゃなかった。人一人あんなに簡単に受け止められるわけねーし、俺か弱いし)

 

八幡(何かの病気か? まぁ確認しようにも訊く相手がいないんだけどな)

 

 

放課後 職員室

 

 

平塚「まったく、お前はまたこんなふざけたものを提出して……」ガミガミ

 

八幡(……あ、一人いるじゃん、訊ける相手)

 

八幡「あの先生」

 

平塚「ああん?」

 

八幡「怖いっす、あと怖い。ちょっと質問があるんすけど」

 

平塚「むしろ私の方がお前の頭の構造について訊きたい所なんだが……まぁいい、話してみろ」

 

八幡「雪ノ下雪乃って奴。あいつって何かの病気なんすか?」

 

平塚「あぁ、雪ノ下か。そうだな、体が弱いらしく、定期的に通院しているぞ」

 

八幡「体が弱い……?」

 

八幡(いやあれはそんなレベルじゃなかっただろ)

 

平塚「なんだ比企谷、雪ノ下に興味があるのか? くれぐれも性犯罪はやめるように」

 

八幡「教師のセリフじゃねえ……その心無い言葉でどれだけ生徒を傷つけてきたんだ……」

 

平塚「安心しろ、こんな事を言うのはお前相手くらいだ」

 

八幡「どこに安心する要素があるのか分かんないんすけど」

 

 

バタン……

 

 

八幡「あー、疲れた。話なげーよあの人」グッタリ

 

八幡(さて、と。まぁ全然腑に落ちないけど、そこまで深入りする理由もないしな。帰ってゴッドイーターやるか)

 

雪ノ下「ちょっといいかしら」

 

八幡「雪ノ下?」

 

雪ノ下「どうして私の名前を知っているのかしら。ストーカーね、通報するわ」

 

八幡「待て待て、どんだけ自意識過剰なんだよ。有名人なんだから知っててもおかしくないだろ」

 

雪ノ下「私はあなたの事なんて知らないわ」

 

八幡「いちいち言わなくてもそれくらい分かるわ」

 

八幡(クラスの奴等でさえ俺の事知ってるか怪しいしな)

 

雪乃「まぁあなたがどこのゴミの骨なのかはどうでもいいわ」

 

八幡「馬の骨な、ゴミの骨ってゴミじゃねえか」

 

雪乃「直接言ったら可哀想だと思って」

 

八幡「そういう微妙な気遣いとかいいから。もう十分傷付いてるから」

 

雪乃「分かったわ。じゃあゴミがや君」

 

八幡「知ってんじゃん。お前俺の名前知ってんじゃん」

 

雪乃「もうこれ以上、私に関わらないでもらえるかしら」

 

八幡「また人をストーカーみたいに言いやがって」

 

雪乃「今朝階段で私を受け止めて、そのスカスカの頭でもある程度は分かっているとは思うけれど……」

 

雪乃「私には重さが、ない」

 

八幡「……そうみたいだな」

 

八幡(普通なら厨二病乙で返すところなんだろうけどな。つかこの会話聞かれると恥ずかしくね?)

 

雪乃「正確には五キロしかない」

 

八幡「五キロ……」

 

八幡(流石にここでスリムだなとかは言えない)

 

雪乃「あなたの存在価値と同じね」

 

八幡「俺の存在価値って五キロなの? 意味わかんねーけど、何となくバカにされてるってのは分かるぞ」

 

雪乃「とにかく、私は一匹の蟹に行き遭って、重さを奪われてしまったの」

 

八幡「へぇ……蟹に、ね」

 

八幡(学園異能バトルものだとしたら地味だな)

 

雪乃「そう、蟹よ。あなたの友達でしょう、蟹」

 

八幡「俺が蟹を友達にする奴みたいに言うのやめてくれない」

 

雪乃「あら、今のはあなたを猿並の頭だと言いたいネタだというのが分からなかったのね、ごめんなさい」

 

八幡「は、猿? あぁ、猿蟹合戦か。つかそれだと敵じゃねえか。犬猿の仲じゃねえけどよ」

 

雪乃「でもあなたは犬とは仲いいじゃない。大切で貴重なお友達じゃない」

 

八幡「最近犬関係のエピソードがあって無駄に説得力あるからやめろ」

 

雪乃「とにかく、これは私の問題だからあなたは首を突っ込んだりしないでほしいの。ただでさえ性犯罪者に片足突っ込んでいるんだから」

 

八幡「別に俺は首も片足も突っ込むつもりはねーよ」

 

雪乃「口ではどうとでも言えるわよね」

 

八幡「態度で示せってか? 土下座でもすりゃいいのか?」

 

雪乃「失うプライドがない人の土下座なんて無価値よ。いえ、というか」

 

八幡「俺の存在自体が無価値ってのは分かったから話進めろよ」

 

雪乃「脅しをかけておく事にしましょう。もしこの件に関して余計な事をすれば」

 

雪乃「あなたを社会的に抹殺するわ。どんな手を使ってでも」ギロ

 

八幡(こわっ! なにこれ明らかに何人か殺った事ある目じゃん)

 

雪乃「……まぁ、もう既に社会的には死んでるようなものだけれど。それでも、戸籍とかは残っているわけだし」

 

八幡「怖いって。あと怖い。分かった分かった、つか元々何かするつもりはねえよ。お大事にな」

 

雪乃「そう、それならいいわ。あなたもお大事にね」

 

八幡「俺の頭についてか」

 

雪乃「存在についてよ」

 

 

スタスタ……

 

 

八幡(言いたい事だけ言って行きやがった。俺の存在に対してお大事にって酷すぎるだろ悪魔じゃねえのか)

 

八幡(誰が好き好んであんな女に関わるか。確かに顔はいいけど、性格が最悪ってレベルじゃねえ)

 

八幡(……そういえば)

 

 

八幡「女子と会話したの久々だったな」ボソッ

 

 

平塚「職員室の前で何悲しい事を言ってるんだお前は……」

 

八幡「げっ、聞かれてた? うわ、はずっ!」

 

平塚「まぁ女子と話したいのであれば私が協力してやるから安心しろ」ニヤニヤ

 

八幡「いやあんたが女子とか無理ありすぎだろ……」

 

 

ビュン!!

 

 

平塚「次は当てるぞ?」

 

八幡「」

 

八幡(余裕無さ過ぎだろこの教師!)

 

 

それから俺はいつも通りに家に帰ってゲームして漫画を読んで寝た。

 

あれから雪ノ下がどうなったかは知らない。興味もない。

 

重さがない女子というのはそれなりにインパクトのある出来事ではあったけど、これもその内風化していくんだろう。

 

学生時代に体験したSF(すこしふしぎ)として。

 

 

 

 

 

 

 

 

元スレ

八幡「階段を登ってたら雪ノ下が落ちてきた」

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