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文乃 「わたし、わがままだ……助けてもらうだけじゃ、満足できないみたい」【ぼく勉ss/アニメss】

 

………………問36後 夜 ラーメンうめえん

 

ズルズルズル……

 

うるか 「んーっ! やっぱりこの時間のラーメンは最高だね、文乃っち」

文乃 「ほんとだねぇ……」 ズルズルズル……

 

文乃 (うぅ……また太っちゃう……)

 

文乃 (でも美味しいよぅ……)

 

文乃 「あ、すみません。替え玉お願いします」

 

店員 「かしこまりましたー!」

 

文乃 (ああもう、太っちゃうなぁ……困るなぁ……)

 

うるか 「でも、リズりんほんとにダイジョーブだったの?」

 

文乃 「えっ……あ、う、うん。大丈夫。問題なかったよ」

 

うるか 「ふーん、そっか。“タスケテ” なんてメール送ってきたから心配しちゃったね」

 

文乃 「あはは……」

 

 

―――― [えっと唯我君…… これは一体全体どういうことなのか 説明してくれるかなこの野郎]

 

―――― [ち 違う! これはかくかくしかじかで……]

 

―――― [ホラー映画? ああ…… たしかにりっちゃん苦手だもんねぇ……]

 

―――― [………… ドサクサに紛れて変なこと……してないよね……?]

 

―――― [しっ してません!! 神に誓って!!]

 

―――― [……もう しょうがないなぁ…… これは貸しにしておくからね!]

 

 

文乃 (……まぁ、唯我くんのことだから全部本当のことだろうし、大丈夫だよね)

 

文乃 「そんなことより、夜はこれからだよ、うるかちゃん」 ズルズルズル……

 

うるか 「? 夜はこれから?」

 

文乃 「あ、すみません! チャーハン大盛り追加お願いします!」

 

店員 「かしこまりましたー!」

 

うるか 「ほへー、たくさん食べるねぇ、文乃っち。よーし、あたしも負けないよー!」

 

 

………………翌日 夏期講習 昼休み

 

文乃 「うぅ……」

 

ボロボロ

 

文乃 「今日の講習も散々だったよ。進むのが早いよぅ……」

 

成幸 「まぁ、しょうがない。寝なかっただけ偉いぞ、古橋」

 

成幸 「さて、じゃあ今日の範囲の復習からだな。お昼食べながらやるぞ」

文乃 「はーい……」

 

ジーーーッ

 

文乃 (……特に何も言ってこないから、わたしの方から聞くのもはばかられるけど)

 

文乃 (昨日は結局、あの後どうなったんだろう)

953 : 以下、名... - 2019/04/06 21:47:33 0O24lWYM 4/17

文乃 (りっちゃんのことだから一晩中怖かっただろうし、ヘタしたら唯我くんにずっとそばにいてもらったりして……)

 

クスッ

 

文乃 (……なんて、そんなわけないか。唯我くんは紳士だし、りっちゃんもその辺はわきまえてるもんね)

 

成幸 「あ、そういやさ、昨日の話だけど、」

 

文乃 「うん? あの後のこと?」

 

成幸 「うん。まったく、ひどい目にあったよ」

 

成幸 「結局あの後、緒方の家に泊まることになってさ」

 

文乃 「ちょっと待って」

 

成幸 「? どうかしたか?」

 

文乃 「いや、“どうかしたか?” じゃないよ!?」

 

文乃 「何 “コンビニ行ってきた” みたいな軽い感じでとんでもないこと言ってるの!?」

 

文乃 「泊まったの!? りっちゃん家に!?」

 

成幸 「いや、まぁ……泊まったって言っても一晩中起きてたし……」

 

成幸 「何も問題はないと思うけど」

 

文乃 「むしろ余計に問題が増えたんだけど!? ずっと起きてたの!?」

成幸 「なんで起きてたら問題なんだ?」

 

文乃 「むしろそれで問題ないと思っている方が疑問なんだけど!?」

 

成幸 「お、落ち着けよ。いきなりどうしたんだ、古橋」

 

成幸 「近いから。な? 少し離れようか」

 

文乃 「なんでわたしがなだめられてる感じを出すのかな!?」

 

文乃 (い、いけない。とんでもないことを言われたからつい取り乱してしまった)

 

文乃 (落ちつかないと。うん。落ち着いて……落ち着いて……)

 

成幸 「いや、それにしても、緒方って寝相悪いのな」

 

成幸 「抱きつかれたときはどうなるかと思ったよ。ははは」

 

文乃 「なんで笑ってられるのかなきみは!?」

 

文乃 「りっちゃんの部屋でりっちゃんに抱きつかれたの!?」

 

成幸 「あ、いや、ちょっと語弊があったか。抱きつかれたって言うと、あいつの名誉にかかわるもんな」

 

文乃 (ほっ……。言葉の綾だったみたいだ。よかったよかった……――)

 

成幸 「――正確に言うと、急に布団から飛び起きて腰に手を回されてのしかかられたって言うべきか?」

 

文乃 「わたしに聞かれても知らないし余計まずい感じになってることに気づかないのかなきみは!?」

 

文乃 (わたしとうるかちゃんが呑気にラーメン食べてる間にきみは一体何をやってたのかな!?)

 

文乃 「……ねぇ、唯我くん」

 

成幸 「?」

 

文乃 「聞いたよね、わたし。それに答えたよね、きみ」

 

 

―――― [………… ドサクサに紛れて変なこと……してないよね……?]

 

―――― [しっ してません!! 神に誓って!!]

 

 

成幸 「あ、ああ……。まぁ、言ったというか、アイコンタクトだったけど、まぁ……」

 

文乃 「あれはその後なら変なことしていいって意味じゃないからね?」

 

成幸 「当たり前だろ!? 変なことなんてしてねーよ!」

 

成幸 「ちょっと朝まで(親父さんと)激しい運動してただけだよ!」

 

文乃 「おいちょっと待てコラ唯我くん」

 

文乃 「はぁああああああああ!? ほんとに何やってたのきみたちは!?」

 

成幸 「うーん……いや、あれは運動というよりは戦いだったな……」

 

文乃 「やかましいよ! 余計生々しくしてどうするのかな!?」

 

 

………………帰り道

 

文乃 「りっちゃんを寝かしつけてたら驚異的な寝相の悪さでのしかかかられ、」

 

文乃 「折悪く帰宅したりっちゃんのお父さんに見つかって一晩中戦っていた、と……」

 

文乃 「……なんだ。そういうことだったのね」

 

成幸 「いや、だから最初からそう言ってただろ……」

 

文乃 (きみがまぎらわしい言い方をするから誤解が広がったんだけどね)

 

文乃 (……まぁいいや。早とちりして疑ってしまったわたしも悪いし)

 

ジトーーーッ

 

成幸 「な、なんだよ。その目は」

 

文乃 「……ほんとにりっちゃんに何もしてないんだよね?」

 

成幸 「してないよ!」

 

文乃 「ほんとに? 抱きつかれたときに唯我くんもこっそり腰に手を回したりしてない?」

 

成幸 「してないよ! するわけないだろそんなこと!」

 

文乃 「どさくさにまぎれてあの暴力的なおっぱいを揉んだりとかは?」

 

成幸 「お前は俺のことを何だと思ってるんだ!?」

 

文乃 「……ま、いいや。信じてあげる」

 

クスッ

 

文乃 「でも、寝相だったとしても、りっちゃんに抱きつかれて少しはドキッとしてたりして」

 

成幸 「そ、それは……」

 

プイッ

 

成幸 「仕方ないだろ。俺だって男だし、緒方は……ほら、客観的に言ってかわいいし……」

 

 

―――― *1

 

―――― *2

 

 

文乃 (おや……? おやおや?)

 

文乃 (これは意外と、りっちゃんのことをちゃんと意識してるのかな?)

 

文乃 「へー」 ニヤニヤ 「つまりきみは、寝ているりっちゃんに欲情した、と?」

 

成幸 「他にもっと言い方ないかな古橋さん!!」

 

文乃 「………………」

 

ホッ

 

文乃 (ま、いいや。何もなかったのは本当のことみたいだし)

 

文乃 (結果的に、唯我くんがりっちゃんのことを意識するきっかけになってくれれば悪くもないし)

 

文乃 (……ただひとつ、明確に言えること)

 

文乃 「……ねぇ、唯我くん」

 

成幸 「ん?」

 

文乃 「りっちゃん家で一夜を明かしたこと、絶対に他の人に喋っちゃだめだからね」

 

成幸 「? まぁ、男子たちに話したらどう思われるか分かったもんじゃないし話すつもりはないけど」

 

成幸 「武元は? あいつになら笑い話として話せるかなー、なんて――」 

文乃 「――バカなの?」

 

成幸 「辛辣すぎません!?」

 

文乃 (なんでそこでよりによって一番話しちゃいけない相手にならいいとか思っちゃうのかな!?)

 

文乃 (……まったくもう)

 

文乃 「いい? 誰にも話しちゃダメだからね? うるかちゃんにも!」

 

成幸 「そ、そういうもんか。俺にはまったくわからん……」

 

文乃 (……本当に、唯我くんは手がかかるなぁ)

 

文乃 (ま、念も押したし、大丈夫だよね。間違ってもうるかちゃんの耳にこのことが届くことはないだろう)

 

文乃 「………………」

 

 

―――― 『タスケテ』

 

 

文乃 (……あのメールを見て、唯我くんは誰より早くりっちゃんの家に駆けつけたんだよね)

 

文乃 (もしわたしが同じようなメールを出したら、唯我くんは……)

 

文乃 「……ねえ、唯我くん」

 

成幸 「ん?」

 

文乃 「もしわたしがりっちゃんと同じように困っていたら、わたしのことも助けてくれる?」

 

成幸 「えっ……?」

 

文乃 「………………」

 

ハッ

 

文乃 (わ、わたし一体何を聞いてるの!? なんでそんなこと、唯我くんに……) カァアアアア……

 

文乃 「ご、ごめん! 唯我くん! 変なこと聞いちゃったけど、忘れて――」

 

成幸 「――そんなの、当たり前だろ」

 

文乃 「へ……?」

 

成幸 「俺はお前たちの 『教育係』 だからな。当然、お前の家にも行くよ」

 

文乃 「そ、そっか……」 (唯我くん……)

 

文乃 (わたしのところにも、来てくれるんだ……)

 

成幸 「ま、夜に急に呼び出すのは、本当の緊急時に限ってほしいけどな」

 

文乃 「……だ、大丈夫だよ。わたしホラー映画怖くない人だし!」

 

成幸 「そういう問題かよ」 クスッ 「じゃ、俺こっちだから。また明日、古橋」

文乃 「……うん。また明日ね。唯我くん」

 

 

………………数ヶ月後 問89後 いつもの場所

 

文乃 「………………」

 

成幸 「………………」

 

カリカリカリ……

 

文乃 (……なつかしいこと思い出しちゃったな)

 

チラッ

 

文乃 (あのとき言ってくれた通りだね。成幸くん、君は、本当にわたしを助けてくれたんだ)

 

成幸 「ん……? どうかしたか、古橋?」

 

文乃 「へっ? う、ううん。なんでもない」

 

文乃 (……そう。なんでもない)

 

文乃 (なんでもないんだよ、成幸くん)

 

成幸 「……大丈夫か、古橋?」

 

成幸 「仲直りはしたみたいだけど、やっぱりまだお父さんと顔を合わせるのは怖いか?」

 

文乃 「……えっ?」

 

カァアアアア……

 

文乃 「あっ……そ、そうだね……」

 

成幸 「?」

 

文乃 (な、なんて不謹慎なのわたし!? 成幸くんはわたしのこと心配してくれてるのに……)

 

文乃 (わたし、全然べつのこと考えてた……)

 

文乃 「………………」 (そっか……)

 

文乃 (わたし、この人の隣にいると、辛かったこと全部、忘れちゃうんだ……)

 

成幸 「古橋……?」

 

文乃 「……ねえ、成幸くん。わたし、本当にきみがいてくれてよかった」 

成幸 「へ……?」

 

文乃 「ううん。違うな。君が変わらず君でいてくれてよかった、って言うべきかな」

 

成幸 「えっと……? それは、どういう意味だ?」

 

文乃 「……ううん。なんでもない」 クスッ 「ごめんね、ヘンなこと言って」

 

文乃 「勉強、もどろ?」

 

成幸 「ん……ああ……」

 

文乃 (……君は、りっちゃんだから家に駆けつけたわけじゃない)

 

文乃 (そして、わたしだから家に泊めてくれているわけでもない)

 

文乃 (わかってる。だから、これは君の優しさに甘えているだけのこと)

 

文乃 (……ねぇ、成幸くん)

 

文乃 (君は約束通り、わたしを助けてくれた)

 

文乃 (でもね、わたし、わがままだ)

 

文乃 (りっちゃんと同じように助けてもらうだけじゃ、満足できないみたい)

 

成幸 「………………」

 

 

―――― 『起きてる』

 

―――― 『だから…… あとほんのちょっとだけ…… このままでもいい……?』

 

 

文乃 (成幸くん、ねえ、気づいてる? わたし、もう “起きてる” んだよ?)

 

文乃 (だから、わたし……)

 

文乃 (君を……)

 

ギュッ……

 

文乃 (君を、好きになっても、いいのかな……)

 

 

 

 

 

 

 

 

元スレ

http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1541592657/

*1:普段は小動物みたいな奴だけど……

*2:こうして改めて見るとやっぱり すげぇ美少女だな……