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チュチュ「さぁ、アサヒロッカ! 準備はいいかしら?」 六花「は、はいっ!」マスキング(……頑張れよ) 【バンドリss/アニメss】

――チュチュのスタジオ―― 

 

チュチュ「Why!? なんで!? どうしてどいつもこいつも私のスカウトに靡かないの!!」 

 

パレオ「チュチュさまー、そんなに暴れてたらスカート捲れちゃいますよ?」 

 

チュチュ「あーもう悔しいっ! あんな演奏力で感動させられるし、もうなんなのよー!!」 

 

パレオ「仕方ありません、チュチュ様のスカートは私がお守りしますね! さぁ好きなだけ暴れてください!」ガシッ 

 

チュチュ「そんなのいらないわよ! はーなーれーなーさーいー!」 

 

レイヤ「主催ライブの花ちゃん……楽しそうでよかった……」 

 

マスキング「…………」 

 

マスキング(ウチのライブハウス、Galaxyでポッピンパーティーが主催ライブやってから1週間) 

 

マスキング(チュチュは毎日ギタリストを探してるけど、これってやつが見つからずにイライラ) 

 

マスキング(パレオはそんなチュチュに楽しそうに絡んでる) 

 

マスキング(レイヤはずっと花ちゃん花ちゃん言ってる) 

 

マスキング「うーん……」 

 

レイヤ「マスキ、どうかしたの?」 

 

マスキング「……いや、別に」 

 

パレオ「さぁさぁチュチュ様! スカートはバッチリしっかりパレオがお守りしますから、好きなだけ鬱憤を晴らしてください! 花さんに振られちゃってからずっと連敗続きの鬱憤を!」 

 

チュチュ「余計なお世話よ! ぐぬぬぬ……こうなったら……レイヤ! マスキング!」 

 

レイヤ「うん?」 

 

マスキング「なんだよ」 

 

チュチュ「あなたたち、前の仕事柄、いろんなミュージシャンと付き合いがあるわよね? 誰かRASに相応しいギタリストに心当たりはないかしら?」 

 

パレオ「おおー、チュチュ様がメンバーに頼ることを覚えだしました……ポピパさんたちに影響されたんですね♪」 

 

チュチュ「Shut upパレオ! どうして私があんな友達ごっこのバンドに影響されるのよ!?」 

 

パレオ「だってチュチュ様、ポピパさんの主催ライブ楽しそうだったじゃないですか~」 

 

チュチュ「あ、あれは……別に、悪くはないって思っただけだから!」 

 

パレオ「またまた~♪」 

 

チュチュ「う、うるさい! とにかく! PerfectでAmazingなギタリストに心当たりはない、レイヤ、マスキング!?」 

 

レイヤ「パーフェクトでアメイジングなギタリスト……花ちゃんのことかな?」 

 

マスキング「んなやついたら、とっくに他のバンドに入ってんだろ」 

 

レイヤ「そうだね。その条件に合致するのは花ちゃんしかいないし、もしも花ちゃんがもうひとりいるとしたら私は……私は……!」 

 

マスキング「…………」 

 

チュチュ「はぁー……まぁそうよね。メンバーに関しては最強のプロデューサーである私が発掘するべきだし、変なこと聞いたわ。忘れてちょうだい」 

 

パレオ「その心意気や良し、ですね! アッパレチュチュ様! 日本一!」 

 

チュチュ「……最近たまに思うんだけど、パレオ、私のことバカにしてない?」 

 

パレオ「いえいえ滅相もございません! これは敬愛するパステルパレットの若宮イヴさんから頂いた言葉ですからっ!」 

 

チュチュ「そう。ならいいわ」 

 

パレオ「流石チュチュ様、チョロカワですね!」 

 

チュチュ「ちょろかわ?」 

 

パレオ「これも誉め言葉ですよ? あ、ジャーキーどうぞ♪」 

 

チュチュ「ふーん、変な日本語ね」モグモグ 

 

マスキング「…………」 

 

マスキング(ギターが見つからないのはまぁいい……いや、あんまりよくはないけど) 

 

マスキング(それより、最近ふと思ったけど、RASのメンバーってなんかどっかおかしくないか) 

 

マスキング(特にレイヤ)チラッ 

 

レイヤ「花ちゃんがふたり……ポピパ用花ちゃんとRAS用花ちゃん……はぁ~……」 

 

マスキング(こいつ、花園のこと好きすぎるだろ) 

 

マスキング(幼馴染でいつかバンドやるって約束した話は聞いたけど……確かにいい話だと思って泣きそうになったけど……限度がある) 

 

マスキング(この前だって……) 

 

 

――とある日のチュチュスタジオ―― 

 

マスキング「……は? なんだって?」 

 

レイヤ「だからさ、マスキ。ちょっとこの子がね、ドラム談義したいんだって」 

 

大和麻弥「おお、本物のマスキさんだ! あ、ジブン、パステルパレットでドラムやってます、大和麻弥って言います!」 

 

マスキング「ああ、どうも……いやそうじゃなくて」 

 

レイヤ「どうしたの、マスキ?」 

 

マスキング「勝手にRAS以外のやつ連れてきたら、チュチュが怒るぞ」 

 

レイヤ「その時は私が謝るから平気だよ」 

 

麻弥「いやぁ、すみませんレイヤさん。ジブンのわがままを聞いてもらっちゃって」 

 

レイヤ「気にしないで。あなたはどこか花ちゃんに似てるから」 

 

マスキング「……んん? こいつのどこが花園に似てるんだ?」 

 

麻弥「花園って……まさかたえさんですか!? い、いやいや、ジブンがたえさんみたいな綺麗な方と似てるなんて、滅相もないです!」 

 

マスキング「いや、お前もアイドルだし十分綺麗だと思うけど」 

 

麻弥「そ、そうですか? ありがとうございます……フヘヘ……」 

 

レイヤ「……うん、やっぱり花ちゃんに似てる」 

 

マスキング「いやどこがだよ。正反対だと思うぞ」 

 

レイヤ「そっか、マスキには分からないか……花ちゃんの前世を感じさせるこのフィーリングが」 

 

麻弥「前世?」 

 

マスキング「何言ってんだ? 熱でもあんのか?」 

 

レイヤ「ふふ、でも仕方ないよ。小さな頃から約束を交わし合う私にしか分からない魂の波長があるから」 

 

マスキング「お前ってそんなキャラだったか?」 

 

レイヤ「どことなく舎弟気質、何も悪くないのにいつもペコペコ、遠慮がちで変な笑い方、そして演奏の腕はピカイチ……そんな花ちゃんの前世の魂の形が、遺伝子が、私には見えるんだ」 

 

レイヤ「もうね、UNSTOPPABLEなんだ」 

 

マスキング「知らねぇよ」 

 

麻弥「あ、あの……?」 

 

マスキング「気にしないでくれ、えーっと……大和。普段はこんな危ないやつじゃないんだけど、今日はちょっと熱でもあるみたいなんだ」 

 

レイヤ「答えは そう…inside of me But…But…だけど“UNSTOPPABLE”」 

 

レイヤ「I・MY・満たして欲しいと せがみだす」 

 

マスキング「歌うな」 

 

麻弥「えぇと……」 

 

マスキング「あいつは相手にしなくていい。とりあえずあっちで一緒にドラムでも叩くか」 

 

麻弥「え、ジブンも入っちゃっていいんですか?」 

 

マスキング「レイヤとここに残すとどうなるか分からないからな」 

 

レイヤ「DNA 疼く 赤裸々に……」 

 

マスキング「うるさい。ほら行くぞ、大和」 

 

大和「は、はい!」 

 

…………………… 

 

マスキング(……冷静に考えてヤバすぎるだろ。なんだよ前世の魂と遺伝子を感じるって) 

 

マスキング(何よりそんな理由で人を拉致ってくるのが一番ヤバい) 

 

レイヤ「花ちゃん……花ちゃーん……えへへ」 

 

マスキング(事あるごとにああやって花園の名前呼んでなんか笑ってるし、ホントヤベーよ) 

 

マスキング(おかしいな……レイヤとは前から同じバンドをサポートすることもあったけど、こいつって物腰穏やかであんまり人に踏み込まないで距離感大切にするやつだったのにな……) 

 

チュチュ「はー……どこかに私のお眼鏡に適ういいギタリストがいないかしらね……」 

 

パレオ「そうですねー。チュチュ様のお眼鏡には適っても、チュチュ様がお眼鏡に適われないことが多いですもんねー」 

 

チュチュ「パレオ? あなた、言ってる意味を理解しているかしら?」 

 

パレオ「はい♪」 

 

チュチュ「自覚があるなら余計にBadよ! オシオキが必要ね!!」 

 

パレオ「きゃー♪」 

 

マスキング「…………」 

 

マスキング(レイヤは文句なしのヤベーやつだけど、パレオも大概だよな) 

 

マスキング(この前も……) 

 

 

――とある日のチュチュスタジオ―― 

 

――ガチャ 

 

マスキング「うーっす……あれ、パレオだけか」 

 

パレオ「あ、マスキさん! こんにちはです♪」 

 

マスキング「ああ。なんだよ、早く来すぎたか」 

 

パレオ「そうですねー、まだ集合の30分前ですし。マスキさん、随分お早いですね?」 

 

マスキング「ウチでドラム叩いてこうかと思ったんだけどな、今日は予約がたくさん入ってて叩けなかったんだ」 

 

マスキング「他にやることもなかったしのんびり来たんだが……早すぎたな」 

 

パレオ「なるほどなるほど……あ、そうです、マスキさん!」 

 

マスキング「あん?」 

 

パレオ「ちょっと相談があるんですけど、良かったら話を聞いてくれませんか?」 

 

マスキング「相談? 別にいいけど、ケーキ作りと漫画とドラム以外だと力になれないぞ」 

 

パレオ「大丈夫です、RASのことですから」 

 

マスキング「ん……分かった」 

 

パレオ「あ、こっちの椅子どうぞ」 

 

マスキング「さんきゅ。よっこらせ……っと」ガタッ 

 

マスキング「それで?」 

 

パレオ「はい……その、チュチュ様のことなんです」 

 

マスキング「チュチュがどうかしたのか?」 

 

パレオ「これを見てください」スッ 

 

マスキング「なんだこりゃ? アルバムか?」 

 

パレオ「はい。チュチュ様とRASでガールズバンド時代を変えていく過程を、記録として写真に残してるんです」 

 

マスキング「ふーん、初耳だな」 

 

パレオ「私が勝手にやってることですから」 

 

マスキング「そうか。けど、それになんか相談することなんてあるか?」 

 

パレオ「大アリですよ! これをどうするかによって今後のRASの方向性が左右されますから!」 

 

マスキング「そんなに重大なことなのか……分かった。それじゃあ、何で悩んでるんだ?」 

 

パレオ「では、まずこちらのページを……」ペラ 

 

マスキング「……チュチュの寝顔、だな」 

 

パレオ「はい! 夜中まで作曲して寝落ちしてたので、こっそり撮りました♪」 

 

マスキング(……なんか嫌な予感がしてきた) 

 

パレオ「普段は少し口が悪くてちょっと不遜な態度でいることがありますけど、そんなチュチュ様だからこそ、年相応、いやそれよりも若干幼げで無防備な寝顔が堪りませんよね!」 

 

マスキング「…………」 

 

マスキング(いや、それになんて答えりゃいいんだよアタシ) 

 

パレオ「それでですね、次のページが……はい、これです!」 

 

マスキング「……いつものジャーキー頬張ってる笑顔のチュチュだな」 

 

パレオ「はい! ファーストライブのあとで機嫌がよかったので、正面からお願いして正々堂々撮ったレア物です♪」 

 

マスキング(いや、それって当たり前のことだよな?) 

 

パレオ「『私はプロデューサーだからー』って普段はあんまり撮られたがらないのに、機嫌がいいと二つ返事で満面の笑みをくれる……これも普段とギャップがあっていいですよね!」 

 

マスキング「……ああ、そう……だな……」 

 

パレオ「それからそれから――」 

 

マスキング「…………」 

 

マスキング(あー、ミスった……相談なんて聞かずにさっさとドラム叩いてりゃ良かった……) 

 

パレオ「それでですね、このチュチュ様は……」ペラペラ 

 

マスキング「…………」 

 

パレオ「加えてこの日はスカートがいつもより5ミリも短くて……!」ペラペラペラ 

 

マスキング「…………」 

 

パレオ「さらにさらになんと、寝ぼけたチュチュ様が私のお膝にコテンって……!!」ペラペラペラペラ 

 

マスキング(ヤバいな。止まる気配がない) 

 

マスキング(まだ来ねーのかよ他のやつは……って、パレオが話しだしてから10分も経ってねぇし……) 

 

マスキング(なんなんだよ、相談の内容が一向に分からねぇ) 

 

マスキング(ただ単にパレオがチュチュの可愛かったと思うところを見せびらかしてるだけじゃねぇかよ) 

 

パレオ「……で、ここからが本題なんですが……」 

 

マスキング「ああ、やっと……」 

 

パレオ「やっと?」 

 

マスキング「何でもない。それで、何の相談なんだこれ?」 

 

パレオ「……はい。最近、私は気付いてしまったんです」 

 

マスキング(ロクでもないことに気付いてそうだな……) 

 

パレオ「前置きさせて頂きますけど、チュチュ様はパレオにとって何ものにも代えられない恩人なんです。チュチュ様が喜んでくれるなら、笑ってくれるなら、その姿をフィルムに収められるなら、例え火の中水の中草の中森の中チュチュ様のスカート中、という心意気なんです」 

 

マスキング(ああもう絶対にロクでもないことだこれ……) 

 

パレオ「けど、でも……ですね? 花さんに振られちゃった時のチュチュ様を見て……落ち込んで、瞳一杯に悔し涙を貯めて唇を噛みしめるチュチュ様を見て……」 

 

パレオ「『あれ? チュチュ様、笑顔より泣き顔の方が可愛くないですか??』ということに……気付いてしまったんですっ」 

 

マスキング(やっぱりだよちくしょう) 

 

パレオ「それに気付いてからパレオの中にはふたつの人格が出来ました」 

 

パレオ「ひとつは、チュチュ様の幸せを心から願い、笑顔を求める光のパレオ」スッ 

 

パレオ「そしてもうひとつは、チュチュ様に目一杯イジワルや悪戯をして涙目にさせたり悔しそうな顔をさせたりして普段とのギャップを大いに楽しみながらそれをフィルムに収めて毎晩毎夜眠る前に眺めることを日課にしつつも最後の最後にはとびっきりの笑顔を求める闇のパレオ」スッ 

 

マスキング(光と闇で自分の髪の白いとこと黒いとこ指すのやめろ) 

 

マスキング(ていうか今日のパレオの髪、白と黒の割合が2:8だぞ。もうほとんど真っ黒じゃねぇかよお前) 

 

パレオ「マスキさん……私はどうしたらいいんでしょうか?」 

 

マスキング「……何が?」 

 

パレオ「このままだと『チュチュ様を崇めるアルバムVol.8』が、方向性の一貫しない出来になってしまうんです……!」 

 

マスキング(知らねぇよ) 

 

パレオ「これは由々しき事態ですっ、RASを根底から揺るがす大事件です!」 

 

マスキング「なんでそんなもんアタシに相談すんだよ」 

 

パレオ「……前にレイヤさんにも同じことを相談したんです」 

 

マスキング「じゃあそれでいいだろ。アタシを巻き込むなよ」 

 

パレオ「けど、レイヤさん……何を言うにも絶対に『花ちゃんが』『花ちゃんなら』って言葉が付いてて……」 

 

パレオ「花さんもとても綺麗な方ですけど、チュチュ様とは違う部類じゃないですか。だからあんまり参考にならなかったんです……」 

 

マスキング(ああくそ、何の違和感もなくその場面が想像できる) 

 

パレオ「だからマスキさんに話をって思ったんです! パレオは、パレオはどうすればいいでしょうか!?」 

 

マスキング(荷が重い。その答えを出すのは荷が重すぎる) 

 

マスキング(けど出さなきゃ終わらないよなこれ……ああもうめんどくせぇ) 

 

マスキング「あー……」 

 

パレオ「…………」 

 

マスキング「……まぁ、パレオの好きにすればいいんじゃねぇか?」 

 

パレオ「私の好きに……ですか?」 

 

マスキング「ああ。パレオが作ってんだし、お前の好きなように作るのが一番だと思う……ぞ?」 

 

パレオ「……そっか、そうですよね……」 

 

マスキング(……すまん、チュチュ) 

 

パレオ「分かりました! これからは闇のパレオバリバリでアルバムを作っていこうと思います!」 

 

マスキング「……ああ。その、頑張れ……」 

 

マスキング(本当……頑張れ、チュチュ……) 

 

…………………… 

 

マスキング(……あれから目に見えてチュチュをからかうことが増えたよな、パレオ) 

 

マスキング(恩人だ何だってのはもう何回も聞いたけど、あいつは本当にチュチュのこと敬ってるのか?) 

 

パレオ「焦っても仕方ないですよ、チュチュ様。こういう時はあえてのんびりマイペースで行きましょう♪」 

 

チュチュ「それはNo goodよ。主催ライブもPerfectにこなして、メディアからも注目を受けてる今がチャンスなのよ」 

 

チュチュ「だから一刻も早く、RASに見合うギタリストをスカウトしないといけないのに……あーもう! なんでハナゾノもロゼリアも、私の言うこと全然聞いてくれないのよ!!」 

 

マスキング(そりゃ、お前の態度にも一因があると思うけどな。花園の引き抜きとか漫画の悪役そのものだったし) 

 

マスキング(……けどチュチュも根は悪いやつじゃねぇんだよな) 

 

マスキング(この前、ライブハウスの下見に行った時だって……) 

 

――駅 プラットホーム―― 

 

チュチュ「どうしてタクシーは私が手を挙げても止まらないのかしらね」 

 

マスキング「そりゃ、子供の悪戯だと思われてんだろ」 

 

チュチュ「どういう意味かしら、マスキング?」 

 

マスキング「お前が子供っぽいってことだよ」 

 

チュチュ「……アンタ、ストレートよね」 

 

マスキング「悪かったな」 

 

チュチュ「はぁ……別にいいわよ。パレオだったら叱りつけるところだったけど」 

 

マスキング(そういう反応するからパレオはますますからかうんだろうなぁ……) 

 

マスキング「本当に悪かった、チュチュ」 

 

チュチュ「だからもういいわよ。っと、電車が来たわね」スッ 

 

マスキング「……外すのか、ヘッドフォン」 

 

チュチュ「当たり前よ。外では何も聞いてないけど、電車の中で付けたままだとお行儀が悪いってパレオが言ってたし」 

 

マスキング「そうか」 

 

チュチュ「さぁ、乗りましょう」 

 

マスキング「ああ」 

 

…………………… 

 

マスキング(そのあともお年寄りに席譲るし、電車ん中ではすげー静かだし、なんかめちゃくちゃマナー良かったな) 

 

マスキング(それに道端にゴミが落ちてたら拾ってゴミ箱に捨てるし、ライブハウスのオーナーとかお世話になる人にはめちゃくちゃ丁寧に対応するし、プロデューサーって名乗るだけあってRASのことには一切手を抜かないし……) 

 

マスキング(もしかしてこのバンドで一番の常識人ってチュチュなんじゃねぇか?) 

 

パレオ「チュチュさま~、チュチュさま~♪」クルクルイジイジ 

 

チュチュ「私の髪で遊ぶなぁ!」 

 

マスキング(……なんだか不憫に思えてきたな) 

 

マスキング「ギタリスト、か」 

 

マスキング(しょうがないな……柄じゃないけど、ちょっとアタシも探してみるか……)ガタッ 

 

レイヤ「うん? どうしたの、マスキ?」 

 

パレオ「あ、お帰りですか?」 

 

マスキング「ああ。ちょっとウチのライブハウスのやつとかに、いいギタリストがいないか聞いてくる」 

 

チュチュ「Really!? っと、と……コホン。そうね、私が行き詰ってるのも確かだし、マスキングにスカウトさせてみるのも一つの手ね」 

 

パレオ「もーチュチュ様ってば。手伝ってくれるのが嬉しいくせに~♪」 

 

チュチュ「Shut up! とにかく、マスキング!」 

 

マスキング「あん?」 

 

チュチュ「あなたに期待するのはドラマーとしてのパフォーマンスよ。本来RASの管理は私の仕事。だから、その……」 

 

マスキング「気にすんな。無茶なことはしねぇよ」 

 

チュチュ「……そ。ならいいわ」 

 

マスキング「ギターがいなきゃバンドとして成り立たねぇからな。アタシもいい加減、打ち込みじゃない音が欲しいんだよ」 

 

マスキング「まぁ、あんまり期待はしないでいてくれ」 

 

チュチュ「ええ」 

 

パレオ「頑張って下さいね、マスキさん!」 

 

レイヤ「……ねぇマスキ、ワガママを言っても――」 

 

マスキング「却下だ」 

 

マスキング(どうせ『花ちゃんみたいなギターをスカウトしてくれ』とか言うだろうし) 

 

レイヤ「……仕方ない」 

 

マスキング「悪く思わないでくれ。そんじゃな」 

 

…………………… 

 

――銀河青果店―― 

 

マスキング「とは言ったけど、どうするか……」 

 

マスキング(ハンパなギタリストじゃチュチュは納得しないだろうし、アタシだってやるなら見所のあるロックなやつとがいい) 

 

マスキング(ていうか、ロックなやつじゃないとあの変態×2と絶対に上手くやれない) 

 

マスキング(けどそんなギタリストがすぐに見つかるならチュチュだってあんな悩まないよな) 

 

マスキング「……まず親父に聞いてみるか?」 

 

マスキング(いや……でも親父のことだから、『ロックってなんだと思う?』なんて聞いても「世界を笑顔にすることだ」としか言わないだろうな……) 

 

マスキング(気に入りすぎだろ、ハローハッピーワールドのこと。確かに『世界を笑顔に!』なんてことを大真面目に掲げるのはすげーロックだけどさ) 

 

マスキング(最近の親父、ウチのエプロンにミッシェルとかいうクマのワッペン付けてるし……いや確かにミッシェルは可愛いからアタシも好きだけど) 

 

マスキング「はぁ……いいや。考えてても仕方ねーし、とりあえずケーキを焼こう」 

 

マスキング(困った時は無心になってケーキ作り。これが解決への一番の近道だ) 

 

マスキング(いつだってホイップクリームは嘘を吐かないで、アタシを導いてくれるからな) 

 

マスキング(そうと決まれば早速、だな) 

 

――キッチン―― 

 

マスキング「…………」シャカシャカ 

 

マスキング(アタシがホイッパーを細かく動かす。ボウルの中の白い水面に波が立って、空気と混ざり合って形を変えていく) 

 

マスキング(いま必要な姿へと、あるべき姿へと、迷いなく変わっていく) 

 

マスキング(……ああ、やっぱりいいなぁ。ホイップクリームを作ってる時は世界に戦争なんて起こらないんだ) 

 

マスキング(パンが無ければケーキを食べればいい。これで貧困問題も概ね解決する) 

 

マスキング(なんだか今日はホイップクリームの海に深く入り込めそうだ) 

 

マスキング「……そういやケーキを作るだとか、そんな歌があったな。たしか、えーっと……」 

 

マスキング「……ケーキを焼きましょう」シャカシャカ 

 

マスキング「ケーキを焼いてみましょう?」シャカシャカシャカ 

 

マスキング「大体の物事は考え方ひとつで どうにでもなる、なるから」シャカシャカシャカシャカ 

 

マスキング「…………」ピタ 

 

マスキング「そうか、そういうことか」 

 

マスキング(大体のお菓子は、卵に砂糖を混ぜるところから始まる。始まりは常に同じだ) 

 

マスキング(そしてお菓子の味の決め手は少しの分量差。味が足りなきゃ足せばいい、濃すぎたなら……その時はその時だ。ケーキをでかくして薄くすればいい) 

 

マスキング(何事も同じだ。まず動いてみることが大切で、それをしなければ何も始まらない) 

 

マスキング(例え分量を間違えたって、その時はその時だ。なるようになる。定められた形にすっぽりと収まる) 

 

マスキング(つまり、全てはケーキ作りに始まりケーキ作りに収束する) 

 

マスキング(いわばホイップクリームは銀河だ。ギャラクシーだ。命の始まりはそこにあるんだ) 

 

マスキング「……やっぱりケーキ作りは偉大だな。いつだって大切なことをアタシに教えてくれる」 

 

マスキング「っし、このギャラクシーショートケーキ、出来たらライブハウスのやつらにも持ってってやるか」 

 

…………………… 

 

――Galaxy―― 

 

マスキング「うーっす」 

 

朝日六花「あ、マスキさん。こんばんは」 

 

マスキング「ああ。あれ、朝日だけか」 

 

六花「はい。今日はほとんど利用者がいないですから……あっ!? えっと、その……ごめんなさい……!」 

 

マスキング「んなこと気にすんな。まだまだ忙しい方が珍しいのは事実なんだし。……しっかし、どうすっかなぁ」 

 

六花「……? どうかしたんですか?」 

 

マスキング「ケーキ焼いたんだが……流石に朝日だけじゃ食いきれないよな、これ」 

 

六花「ホ、ホールケーキ丸々ひとつはちょっと……」 

 

マスキング「だよな。まぁいいや、一緒に食おう」 

 

六花「え!? で、でも、私まだアルバイト中ですし……」 

 

マスキング「大丈夫だ。ウチを使おうってやつで、このギャラクシーケーキの良さが分からないやつなんていない」 

 

六花「ギャ、ギャラクシーケーキ……?」 

 

マスキング「そうだ。皿とか持ってくるからちょっと待ってな」 

 

六花「あ、は、はい!」 

 

 

―しばらくして― 

 

六花「あ、美味しい……」 

 

マスキング「だろ? 口の中に銀河が広がっただろ?」 

 

六花「ぎ、銀河かはちょっと……」 

 

マスキング「ああ?」 

 

六花「ひぇっ、ご、ごめんなさい!」 

 

マスキング「あ、悪い。脅かすつもりじゃなかったんだ」 

 

六花「い、いえ……」 

 

六花(いい人なのは知ってるけど……やっぱりマスキさん、ちょっと怖い……でもケーキでらうまい……) 

 

六花「その、リンゴのショートケーキって珍しいですね」 

 

マスキング「ああ、ちょうど店のリンゴにロクデナシになりかけてるのがあってな。捨てるのももったいないし、親父に言ってもらったんだ」 

 

六花「はぁー、バッドアップルですか」 

 

マスキング「そう。腐りそうなロクデナシですらこうして上手いもんに変えられるなんて、やっぱりケーキはすごいよな。銀河を内包してるよな」 

 

六花「は、はぁ……?」 

 

マスキング「っと、そうだ。朝日」 

 

六花「はい、なんでしょう」 

 

マスキング「ちょっとロックなギタリストを探してるんだが、心当たり――」 

 

マスキング(……いや、待てよ? そういや朝日、この前ギター弾いてたな。確か……) 

 

――1週間前 Galaxy・ライブステージ―― 

 

六花「はぁー、ポピパさんのライブでら堪らんかった……」 

 

六花「私もいつかバンドを組んで、ポピパさんみたいにここで……」 

 

六花「…………」キョロキョロ 

 

六花「今は店じまい直前で私しかいない……」 

 

六花「そしてさっきまでそこのステージにはポピパさんたちが立っていた……」 

 

六花「……ということは、今そのステージに立てば時間差で間接的に私もポッピンパーティー……ふへへへへ……」 

 

六花「はっ!? い、いけないいけない! 滅多なことを考えたらあかん、朝日六花!」 

 

六花「……でも今なら誰にも見られないし……」 

 

六花「…………」 

 

六花「ちょ、ちょっとだけ……お邪魔しまーす……よいしょっと」 

 

六花「……!!」 

 

六花(こ、これは……) 

 

六花(感じる……ポピパさんの残り香とかかすかな温もりを……確かに感じる……!) 

 

六花(こんなの……こんなの、我慢できるわけが、) 

 

ロック「ないっ!」ジャーン 

 

――ガチャ 

 

マスキング「なんか音がしたけど、誰かいるのか……って、朝日か?」 

 

マスキング「ステージでギター持ってるけど、あいつギター弾けるのか」 

 

ロック(今、私は確実に繋がっとる……この広い銀河の片隅で、確実にポピパさんと繋がっとる……!) 

 

ロック(やるしかない。これはもう、1年前からずっと温めてたロック流ポピパメドレーやるしかない!!) 

 

マスキング「もう店じまいなんだが……まぁ、いつもウチのために頑張ってくれてるし、好きなようにさせとくか」 

 

ロック(1曲目はもちろんこれやね!) 

 

マスキング「アルペジオ……これ、きらきら星か?」 

 

ロック(やっぱり最初はこれやないと!!) 

 

マスキング「初っ端にこれとは……なかなかロックじゃねぇか」 

 

…………………… 

 

マスキング(……うん、朝日がいい気がしてきたな) 

 

六花「マスキさん? どうかしましたか?」 

 

マスキング「朝日、ギター弾けるよな?」 

 

六花「え? は、はい……まだまだ全然ですけど……」 

 

マスキング「謙遜すんな。この前ここで弾いてるの見たけど、結構ロックだったぞ」 

 

六花「ここで弾いて……? って、まさか……!?」 

 

マスキング「ん? どうした?」 

 

六花「あの、マスキさん……? その、私がギター弾いてるの見た日って……」 

 

マスキング「1週間前だよ。ほら、ポッピンパーティの主催ライブやって、店閉める直前の時」 

 

六花「み、み、見てたんですかっ!?」 

 

マスキング「ああ」 

 

六花「ど、どこからですか!?」 

 

マスキング「きらきら星のアルペジオ弾いてるところからだけど」 

 

六花「さ、ささ最初からじゃないですか!! うぅぅ……まさか見られてたなんて……」 

 

マスキング「それでな、朝日」 

 

六花「な、なんでしょう? はっ、もしかして、勝手にステージで演奏したからクビとか……!?」 

 

マスキング「こんなことでクビになんかしないから安心しろって。それにお前をクビにする余裕なんてウチにはないしな」 

 

六花「そ、そうですか……よかった……」 

 

マスキング「アタシが言いたいのは、RASのオーディション受けてみないかってことだよ」 

 

六花「らすのおーでぃしょん……ですか」 

 

マスキング「ああ」 

 

六花「…………」 

 

マスキング「…………」 

 

六花「えっ、ええーっ!?」 

 

マスキング「なんで驚くんだよ」 

 

六花「え、だ、だってRASってあれですよね!? 前にたえ先輩がサポートしてた……!」 

 

マスキング「そのRASだ。RAISE A SUILENだ」 

 

六花「む、む、無理です無理です! 私なんかじゃ到底、あんなにレベルの高いバンドには入れません!!」 

 

マスキング「んなことねぇって。朝日はなかなかロックだから大丈夫だ」 

 

六花「確かにあだ名はロックでしたけど、それとこれとは関係ないです!」 

 

マスキング(朝日、腕は確かだったけどな。まさかきらきら星からあんなに激しいメドレーに繋げるとは思わなかったし) 

 

マスキング(腕も確かでロックなやつならあの変態の中に入っても大丈夫そうだし、チュチュも認めると思う。だからさっさとスカウトしたいけど……どうすっかな) 

 

マスキング「朝日、バンドやりたくないのか?」 

 

六花「いえ、バンドはずっとやりたくて、ギターがいないバンドを探してるんですけど……」 

 

マスキング「ならいいだろ。RASもギター探してるし、お前もバンドやりたいなら」 

 

六花「そ、その、私個人としての技量がまだその域に達してないと言うか、そりゃあ私だってポピパさんみたいにステージでキラキラしたいですけど、まだまだ全然レベルが足りないっていうか……」 

 

マスキング「…………」 

 

マスキング(自信がないのか……十分いい腕してると思うけどな) 

 

マスキング(変に煽っても落ち込みそうだよな、朝日は。うーん……) 

 

マスキング「……お前、ポッピンパーティーに憧れてるんだよな?」 

 

六花「はい! ポピパさんのライブの為なら例え日の中水の中草の中森の中土の中雲の中です!!」 

 

マスキング(パレオみたいなこと言い出したな。絶対こいつならRASで上手くやれる。さっさとその気にさせちまおう) 

 

マスキング「それはポッピンパーティーに入りたいっていう感じの憧れなのか?」 

 

六花「そんな滅相もない! ポピパさんはあの5人でポピパさんだからポピパさんなのであってその調和とコントラストの中に朝日六花なんて人間が入ってしまったら二重の虹もあっという間に色を失ってしまいますからそれはないです!! 私はひとりのファンなんです!! でも贅沢を、本当に贅沢を言えるのならポピパさんと同じステージに立ちたいって言うかそれも別に一緒のバンドでってことじゃなくて例えば主催ライブにお呼ばれしたりもういっそ対バンなんてやっちゃったりって感じで共に立ちたいというかそういう形の憧れなんです!!」 

 

マスキング「お、おう」 

 

六花「でもそれにはやっぱりまだまだ私自身の力量が全然足りてないですしそもそもバンド組んでないですからまだまだ夢物語なのは否めないんですけどそれでもいつかはバンド組んでポピパさんの隣に並び立てるくらいのギタリストになりたいですしでもやっぱりなかなかバンド組めなくて大変なのは大変なんですけどでもポピパさんという目標がある限り私の夢は途絶えることはないんですどんなに風が強くたってどんなに雨が強くたって何度も何度も呟くんです前へススメ! って!! 私の夢みるSunflowerはポピパさんという強い光がある限り未来永劫萎れることはないんです!!」 

 

マスキング「そ、そうか」 

 

六花「そのために今は雌伏の時だと言い聞かせていてよりポピパさんに近づけるようにでも近づきすぎてあの輝きと熱量に飲まれて幸せな死を迎えてしまわないようにもっともっとポピパさんへの理解を深めるとともに腕を磨く時間を大事にしていて例えこれが零れ落ちてしまうだけの青い砂を眺める切ないSandglassだとしてもそういう感性は音楽に必要だと思いますしこの前だってポピパさんはちょっとしたすれ違いを経験してより強いキズナミュージック♪を奏でることが出来てキラキラだとか夢だとかで希望だとかドキドキだとかでこの世界は回り続けてるって教えてくれましたしそうやって走り始めたばかりの私へメッセージを送ってくれることが何よりのHappy Happy Party!で――」 

 

マスキング「わ、分かったっ、朝日の気持ちは分かったから少し落ち着けっ」 

 

六花「あっ、ご、ごめんなさい、ポピパさんのことになるとつい……」 

 

マスキング(やべぇな……もしかするとレイヤやパレオ以上のタマかもしれねぇ……) 

 

 

マスキング(でもこれなら確実にRASに馴染めるだろ。……チュチュはまた苦労するかもしれないけど) 

 

マスキング(とにかくRASのオーディションを受ける気にさせちまおう) 

 

マスキング「……あー、なんだ。朝日」 

 

六花「は、はい」 

 

マスキング「理解から一番遠い感情が何か、知ってるか?」 

 

六花「理解から一番遠い……? えーっと……無関心、とかですか?」 

 

マスキング「違うな。『憧れ』だよ」 

 

六花「え……」 

 

マスキング「憧れは理解から最も遠い感情なんだよ」 

 

六花「そうなんですか……?」 

 

マスキング「ああ。すごい実力者が言ってた言葉だ」 

 

マスキング(漫画の中で、だけど) 

 

マスキング「憧れを持つのはいいことだと思う。けど、恋は盲目って言うだろ?」 

 

マスキング「そうすると本質を見誤る。理想を押し付けて、相手の本当の姿が見えなくなるんだ」 

 

マスキング(多分) 

 

六花「…………」 

 

マスキング「だから、朝日。ひとりのファンとしてじゃなくて、ライバル……っていうのか? とにかく、対等な立場で、面と向かって勝負するような関係になってみると、もっとポッピンパーティーの本質に近付くことが出来るはずだ」 

 

マスキング(きっと) 

 

六花「……そっか……そうですね……」 

 

六花「私、ポピパさんが大好きで大好きで、明日香ちゃんと一緒にいると香澄先輩のDNAを感じて心が震えてます」 

 

マスキング(レイヤみたいなことまで言いだしたな。こいつ、実は一番ヤバいんじゃないか?) 

 

六花「でも、確かにそれじゃダメです! 明日香ちゃんにも失礼やし! 私もバンドを組んで、それが例え自分の身の程には合わないところでも一生懸命頑張って、もっともっとポピパさんに近付きたいです!!」 

 

六花「マスキさん! 力不足ではありますが、RASのオーディションを受けさせてください!!」 

 

マスキング「……ああ、その言葉を待っていたぞ」 

 

六花「い、いつやりましょうか!?」 

 

マスキング「じゃあとりあえず……明日で平気か?」 

 

六花「大丈夫です!」 

 

マスキング「ん。それじゃあ、明日一緒にチュチュのとこ行くか」 

 

六花「はい! お願いします!!」 

 

マスキング「ああ」 

 

マスキング(……正直なことを言うと、朝日が想像以上にロック過ぎてちょっと心配だけど……まぁあとはチュチュが上手くやるだろ) 

 

…………………… 

 

――翌日 チュチュのスタジオ―― 

 

チュチュ「Wellcome、アサヒロッカ! マスキングから聞いたわよ。あなた、なかなかロックらしいじゃない!」 

 

六花「は、はい! あだ名がロックです!」 

 

チュチュ「そう。それじゃあ、あなたが私のお眼鏡に適うのならそう呼ばせてもらおうかしら」 

 

六花「が、頑張りましゅ!」 

 

マスキング(噛んだ……) 

 

パレオ「チュチュ様、とても嬉しそうですね」 

 

チュチュ「まぁね。本当は私がスカウトしたミュージシャンが一番だけど、マスキングがせっかく連れてきてくれたんだし、それなりの人物だろうとは思うし?」 

 

パレオ「流石ご主人様、素直じゃないですね~♪」 

 

六花「もしもー、キミがー、不安にふるーえたーならー……」ブルブル 

 

マスキング「おい」 

 

六花「ひゃ、ひゃい!?」 

 

マスキング「緊張しすぎだ。大丈夫だ、お前はもっと自信もっていい」 

 

六花「わっ、分かりました……! が、頑張れ私、たえ先輩のように……ああでもたえ先輩に比べたら私なんて亀……ウサギとミドリガメ……」 

 

マスキング「絶対分かってないだろ」 

 

チュチュ「さぁ、アサヒロッカ! 準備はいいかしら?」 

 

六花「は、はいっ!」 

 

チュチュ「それじゃあ、こっちよ」 

 

マスキング(……頑張れよ、朝日) 

 

レイヤ「……マスキ」 

 

マスキング「あん?」 

 

レイヤ「ありがとう」 

 

マスキング「ギター見つけてきたことか? 別に、大した手間じゃねぇよ。あいつはウチで働いてるやつだし」 

 

レイヤ「ううん、そうじゃなくて」 

 

マスキング「は? じゃあなんだよ」 

 

レイヤ「私のワガママ、聞いてもいないのに答えてくれて」 

 

マスキング「それに関してはノーコメントだ。そんなつもりねぇし」 

 

レイヤ「ふふ、そういうことにしておくね。あの子からも花ちゃんの前世を感じるんだ……」 

 

マスキング(大和と朝日に似てる花園の前世ってどんなだよ……) 

 

 

―オーディション後― 

 

六花「はぁ……はぁ……ど、どうですか、チュチュさん」 

 

チュチュ「…………」 

 

六花「あ、あの……」 

 

チュチュ「……イエス」 

 

六花「はい?」 

 

チュチュ「イエスエスイエース! Excellentよ、ロック!」 

 

六花「ロック……そ、それじゃあ……!」 

 

チュチュ「文句なしの合格よ! Congratulations!」 

 

六花「あ、ありがとうございます!」 

 

パレオ「よかったですね、チュチュ様♪」 

 

チュチュ「イエース! まぁマスキングがハンパなミュージシャンを連れてくる訳ないって思ってたけど、想像以上のギタリストね!」 

 

六花「よ、よかったぁ……」 

 

マスキング「おめでとう、朝日」 

 

六花「あ、マスキさん! ありがとうございます、マスキさんのおかげです!」 

 

マスキング「アタシは何もしてねぇよ。ケーキ焼いただけだ」 

 

レイヤ「おめでとう。ええと、ロックちゃん……でいいのかな?」 

 

六花「は、はい! ベースボーカルのレイヤさん……ですよね?」 

 

レイヤ「うん。これから一緒によろしくね」 

 

六花「ありがとうございます! よろしくお願いします!」 

 

パレオ「私はキーボードのパレオです。ロックさん、よろしくお願いしますね♪」 

 

六花「はい! よろしくお願いします!」 

 

チュチュ「ふっふっふ……ここに新たなRAISE A SUILENが生まれたわ! We get to the TOP!! 目指すは頂点、私たちがガールズバンドのトップに立って、時代を新しく築き上げるのよ!」 

 

パレオ「はい! どこまでもお供します、チュチュ様!」 

 

レイヤ「これでやっと揃ったからね。花ちゃんに負けないように頑張ろう」 

 

六花「私もポピパさんに負けないよう頑張ります!」 

 

マスキング「…………」 

 

マスキング(バンドメンバーが揃ったのはいいけど……5人中3人が変態なのは大丈夫なのか。いやそのうちのひとりはアタシが連れてきたんだけど) 

 

マスキング「……まぁ、なるようになるか」 

 

…………………… 

 

マスキング(朝日がRASに加入してから2週間が経った) 

 

マスキング(ようやく正規のメンバーが揃ったことでチュチュは気合満点、曲の作成にメディアへの宣伝、演奏への指導と、RASに関わる全てのことに精魂を込めていた) 

 

マスキング(そんなチュチュをパレオは時にはからかったり時にはイジワルしたりたまにめちゃくちゃ優しくしたりしては楽しそうに笑っていた) 

 

マスキング(レイヤは朝日を眺めながら「花ちゃん……」と呟くことが多くなった) 

 

マスキング(朝日はロックになるとずっとポピパさんポピパさんと言ってチュチュを少しうんざりしたような顔にさせていた) 

 

マスキング(けれどアタシの思った通り、朝日はレイヤとパレオとはどこか波長が合うらしく、よく3人で噛み合ってるんだか噛み合ってないんだか分からない会話を交わすことが多かった) 

 

マスキング(まぁ、RASに馴染んでるということでいいんだろう。多分) 

 

マスキング(アタシはというと、そんなあいつらの性格はともあれ、この5人で派手な音楽を奏でられることが楽しかった。ケーキを焼いて、それをみんなが食べるところを見るのがそれなりに好きだった) 

 

マスキング(そんな日々を過ごす中、とうとうチュチュが宣言した) 

 

チュチュ「新生RAISE A SUILENの主催ライブをやるわ!」 

 

マスキング(もう日程を決めてハコも押さえてあるらしく、これからすぐに告知を出すらしい) 

 

マスキング(アタシはもちろん、他の3人もそれを聞いて気合の入った顔をしていた) 

 

パレオ「またステージライトに煌めく嬉しそうで楽しそうなチュチュ様を間近で余すことなく見れますね♪」 

 

レイヤ「花ちゃんを招待しよう。花ちゃんの前で『もう私たちは大丈夫だよ』ってところを見せて、花ちゃんを安心させて、花ちゃんと一緒に盛り上がりたい」 

 

六花「ポピパさん、誘えば来てくれるかな……。もし来てくれたら、ポピパさんの前でギターを弾いてポピパさんと繋がるってことで……ふへへへぇ……」 

 

マスキング(そんな三者三様の呟きについては深く考えないことにした。あいつらなりのテンションの上げ方なんだろう) 

 

マスキング(ともあれ、以前にも増して熱の入った練習をこなして着々と準備を進めていると、あっという間にライブ当日になった) 

 

…………………… 

 

――ライブハウス 楽屋―― 

 

チュチュ「ふっふっふ……とうとう来たわね、この時が」 

 

チュチュ「今日ここから、私たちが新たな伝説を築いていくのよ! Are you excited!?」 

 

パレオ「はい! パレオはいつでも、チュチュ様の隣にいます!」 

 

レイヤ「花ちゃんが来てくれてるからね。無様なところは見せられないよ」 

 

六花「つ、ついにポピパさんの前でライブ……頑張ります!」 

 

マスキング「ああ、いつでもイケる」 

 

チュチュ「All right! さぁ、行くわよっ!」 

 

 

――ライブハウス ライブステージ―― 

 

戸山香澄「わー、またすごく大きなところでやるんだね~」 

 

山吹沙綾「だね。ロック、すごいなぁ」 

 

市ヶ谷有咲「つか、私たちの場所って本当にここなのか……?」 

 

牛込りみ「場所?」 

 

花園たえ「『花ちゃん&ポピパさん専用』って書いてあるから、きっと合ってるよ。おかしなこと言う有咲だね」 

 

有咲「いやいや普通に考えておかしいだろ? なんでオールスタンディングの観客席の一番前に私たち専用のスペースが出来てんだよ? ペンライトまで名前入りで2本ずつ用意されてるし……」 

 

たえ「きっとレイとロックが気を回してくれたんだよ。ほら見てみて、私のやつ、片方にレイの名前が入ってるよ」ブンブン 

 

りみ「綺麗だね~。これもロックちゃんが用意してくれたのかな」 

 

沙綾「じゃないかな。ポピパのロゴとRASのロゴが入ってて、それからどうしてか私たちそれぞれの色にも変えられるし」 

 

香澄「うーん、ペンライトまで用意してくれて、更に一番前の特等席! 至れり尽くせりだね!」 

 

有咲「見やすいは見やすいけど、こんなステージの真ん前なんてちょっと他の客に悪い気がするっていうか、なんていうか……」 

 

りみ「有咲ちゃん、優しいね」 

 

有咲「いやそういう話じゃねーってこれ……明らかに私たち5人には広すぎるスペースだし……周りの目が……」 

 

――フッ 

 

沙綾「あ、照明が消えた」 

 

香澄「始まるね!」 

 

チュチュ「Hello, everyone! RAISE A SUILENのステージへようこそ!」 

 

チュチュ「Let me show you! その目に刻みなさい、ここから始まる私たちの伝説の幕開けを!」 

 

チュチュ「Newcomer! ギター、ロック!」 

 

ロック「よ、よろしくお願いします……!」 

 

香澄「ロック~!」ブンブン 

 

有咲「ちょ、ペンライト振り回しすぎだお前!」 

 

りみ「ロックちゃん、顔が赤くなってる……緊張してるのかな……」 

 

沙綾「頑張れ、ロック!」 

 

ロック「ポ、ポピパさんが私の目の前に……!」 

 

ロック(はわぁー、あかん、これあかんよ……ポピパさんを目の前にしてポピパさんと繋がってるなんてあかん……頭が沸騰する……!) 

 

チュチュ「ベースボーカル、レイヤ!」 

 

レイヤ「今日もよろしくね、みんな」 

 

たえ「レイ~」フリフリ 

 

レイヤ「……!」 

 

レイヤ(花ちゃんが私の名前の入ったペンライトと一緒に花ちゃん専用ペンライトを振っている……ああ、幸せ……) 

 

チュチュ「キーボード、パレオ!」 

 

パレオ「みなさーん、今日も楽しんでいってくださいね~!」 

 

パレオ(ふふふ、みなさんが楽しめば楽しむほどチュチュ様の笑顔が輝いて、悔しかったときや悲しかったときの顔とのギャップが大きくなって、私の糧になるのです……!) 

 

チュチュ「ドラム、マスキング!」 

 

マスキング「ああ」 

 

マスキング(あの3人、絶対変なこと考えてるな……) 

 

チュチュ「We are RAISE A SUILEN! さぁ、これが始まりよ!」スッ 

 

レイヤ(花ちゃん花ちゃん、ああ花ちゃん……)スッ 

 

ロック(ポピパさん、ポピパさん、ポピパさん……)スッ 

 

パレオ(チュチュ様チュチュ様チュチュ様ぁ……)スッ 

 

マスキング(アタシも最初だけ上げとくか……)スッ 

 

香澄「わっ、みんなで右手上げてる」 

 

たえ「うん。これは最初にそうする曲だから」 

 

チュチュ「その手を掲げなさい! 『A DECLARATION OF ×××』!」 

 

マスキング「……よし」 

 

沙綾(あ、ドラムの人だけ腕下げた) 

 

マスキング(こっからアタシは手を掲げらんねぇけど、せめて声くらいはしっかり出すか) 

 

マスキング「ふっ!」 

 

――ダン、ダン、ダダダダン、ダン! 

 

 

『RAISE YOUR HANDS,NOW!』 

 

レイヤ「“Let's get it going”さあ始めよう…」 

 

『RAISE YOUR HANDS,NOW!』 

 

レイヤ「So, 僕らの名の下に」 

 

『RAISE YOUR HANDS,NOW!』 

 

レイヤ「Bring it, Bring it on」 

 

『RAISE YOUR HANDS,NOW!』 

 

レイヤ「Bring it, Bring it on」 

 

『RAISE YOUR HANDS,NOW!』 

 

レイヤ「Bring it, Bring it on」 

 

『RAISE YOUR HANDS,NOW!』 

 

レイヤ「Bring it, Bring it on」 

 

『RAISE YOUR HANDS,NOW!』 

 

レイヤ「CAN'T STOP!!!」 

 

レイヤ「目障りな喧騒には Get out 挑発するよう舌出して Bye now」 

 

レイヤ「不撓不屈 唯々昇るさ」 

 

レイヤ「余所見出来るの? 出来ないYou see」 

 

レイヤ「Risk 伴った愉快さがDon't stop」 

 

レイヤ「Play out 朽ちてゆけ お前が」 

 

『逆巻く熱を帯びて』 

 

レイヤ「全身全霊Checkmate」 

 

『意思表示する叫びの』 

 

レイヤ「金輪際容赦しないCondition」 

 

レイヤ「僕ら色のScenarioはNever end…」 

 

レイヤ「Ahhhhh!」 

 

『RAISE YOUR HANDS,NOW!!』 

 

レイヤ「I will win against! 運命は僕らさ 魂を魂で穿って」 

 

レイヤ「I know」 

 

『You know?』 

 

レイヤ「You know?」 

 

『I know』 

 

レイヤ「“We get to the TOP”」 

 

『3,2,1,JUMP!』 

 

レイヤ「I will win against! 前人未到の地へ 絶対的な存在へと」 

 

レイヤ「I know」 

 

『You know?』 

 

レイヤ「You know?」 

 

『I know』 

 

レイヤ「A DECLARATION OF ×××」 

 

レイヤ「此処に……聴け!」 

 

『RAISE YOUR HANDS,NOW!』 

 

―――――――――― 

――――――― 

―――― 

…… 

 

――ライブ後 控室―― 

 

チュチュ「はぁ、はぁ……やった、やりきったわ……」 

 

パレオ「はぁはぁ……はい……!」 

 

レイヤ「ふー……うん、いいライブだった……」 

 

ロック「私も……はぁー……久しぶりでとても楽しかった……です……!」 

 

マスキング「ああ、そうだな……」 

 

チュチュ(演奏技術もそうだけど、ロックはステージで想像以上にRASとシンクロするわね……それに幕が上がればあの引っ込み思案もなくなるし……いいギタリストが手に入ったわ……!) 

 

パレオ(ああ……ライブ中のチュチュ様の、楽しそうで嬉しそうでこの先の展望を見据えてワクワクしている顔を思い出すだけで……また背筋が震えます……!) 

 

レイヤ(花ちゃん……デクラレで一緒にぴょんぴょんしてくれてたな……私も今度花ちゃん家のうさぎちゃんたちと一緒にぴょんぴょんしに行かなくちゃ……ふふっ) 

 

ロック(はーライブヤバい、やっぱヤバいわー……ポピパさんも『3,2,1,JUMP!』でジャンプしてたし、もうこれ半分Jumpin'一緒にやってるのと同じやしヤバい、ポピパさんの色に私の全部を染められちゃう……!) 

 

マスキング(チュチュだけ真面目なこと考えてて、他の変態どもは欲望全開だろうな……) 

 

マスキング(ああ、なんかもうこいつらの顔見ただけでなに考えてんのか大体分かるようになっちまったなぁ) 

 

マスキング(……けど) 

 

マスキング「ふっ……はは、はははっ」 

 

チュチュ「What? いきなりどうしたのよ、マスキング?」 

 

マスキング「いや、別に。案外悪くねぇなって思っただけだ」 

 

レイヤ「そうだね。ロックちゃんが入ったRAS……花ちゃんがいないのは寂しいけど、悪くないよ」 

 

パレオ「ロックさん、やっぱり演奏中は別人ですしね! 一緒に飛んで跳ねて、私も楽しかったです!」 

 

ロック「あ、す、すみません! ついポピパさんを前にテンションが上がって……」 

 

チュチュ「はぁー……ロック、アンタはいつもポピパさんポピパさんってそればっかりよね」 

 

ロック「あぅ……ご、ごめんなさい……」 

 

チュチュ「……ま、いいわよ。気持ちはほんの少しだけ、スプーン一杯の半分の半分の半分の半分くらいだけ分かるから」 

 

ロック「え?」 

 

パレオ「もーチュチュ様ってば、本当はポピパさんもロゼリアさんも、他のバンドさんのことだって認めてるのに素直じゃないんですから~♪」 

 

チュチュ「Shut up! 余計なことは口にするなぁ!」 

 

レイヤ「ふふっ。こういうやり取りが私たちなのかもね」 

 

マスキング「だな。……お前とパレオと朝日はもう少し自重しろとは思うけどな」 

 

レイヤ「え、何を?」 

 

マスキング「薄々分かってたけどやっぱり無自覚かよ。まぁ、でもその方がお前ららしくていいや」 

 

レイヤ「そう? よく分からないけど、マスキがそれでいいならいっか」 

 

ロック「あれ、スマホにメッセージが……はっ!? か、か、香澄先輩から!?」 

 

香澄『ロック~! 今日すごくカッコよかったよ! 私たちもRASに負けないように頑張る! いつか一緒にライブしようね!!』 

 

ロック「香澄先輩からのお褒めのメッセージ……はぁぁ~、堪らんわぁ~……」 

 

レイヤ「……ということは、きっと私にも花ちゃんからのメッセージが……スマホスマホ……」 

 

チュチュ「パレオ! やっぱり最近のアンタ、私のこと舐めてるわよね!?」 

 

パレオ「舐めてないですよ~? あ、でもチュチュ様が舐めていいと仰るならパレオは……パレオは……!!」 

 

チュチュ「……Why? 急に悪寒が……?」 

 

マスキング「……ふっ」 

 

マスキング(ヤベーやつばっかのバンドだけど……一緒に演奏してみると、意外と気が合うことが分かる) 

 

マスキング(大体の物事は考え方次第でどうにでもなるし、アタシがこの変ちくりんなバンドを楽しんでるならそれでいいんだろうな) 

 

マスキング(やっぱりケーキは偉大だ。迷った時は進むべき道を切り開いてくれるし、落ち込んだ時はその甘さで元気をくれるし、嬉しい時はその喜びを増やしてくれる) 

 

マスキング(ケーキには人生の全てが詰まってる……深いな、ケーキ道) 

 

マスキング(まだまだこの道の先は長い。アタシももっとケーキを探求しないとな) 

 

パレオ「大丈夫ですチュチュ様……優しくしますから……ハァハァ……」 

 

チュチュ「パ、パレオ? その息の上がり方はBadだと私は思うわよ……?」 

 

ロック「ふぇへへへ~、香澄先輩になんて返そうかなぁ~……」 

 

レイヤ「……メッセージが来てない。実は花ちゃん、私がRASに誘っちゃったことものすごく怒ってる……? もしそうなら私は……どうしたら……!!」 

 

マスキング「よし、帰ったら早速打ち上げ用のケーキを焼こう」 

 

マスキング(RAISE A SUILENのケーキ探求の道は、まだ始まったばかりだ!) 

 

 

 

 

 

 

 

 

元スレ

http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1554212216/