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いろは「一色じゃなくていろはって呼んでくださいよー」 八幡「それは無理だな……」【俺ガイルss/アニメss】

 

いろは「おかえりなさい、せんぱい」

 

八幡「いい加減先輩ってのは……」

 

八幡「俺はもう立派な社畜なんだぞ……しかも一番下っぱの」

 

いろは「えー、いいじゃないですかー。もう慣れちゃいましたし」

 

いろは「それならせんぱいも一色じゃなくていろはって呼んでくださいよー」

 

八幡「それは無理だな……」

 

いろは「じゃあせんぱいはせんぱいのままですね♪」

 

八幡「仕方ねぇな……ん、なんか今日飯豪華だな」

 

いろは「だって今日初めてのボーナスなんですよね?だからちょっと奮発しちゃいました」

 

八幡「おお、まぁ六月は寸志だったからな。今回が初めてっちゃ初めてか」

 

いろは「わたしのために一生懸命働いてくれて、いつもありがとうございます」

 

八幡「いきなり普通に礼とか言うな……何企んでんだ」

 

いろは「いや、ほんとにただの感謝ですって」

 

八幡「別に、お前のためじゃねぇよ……」

 

いろは「え、違うんですか……?」

 

いろは「……」シュン

 

八幡「……違わねぇな。お前がいなきゃこんな真面目に働いてねぇわ、たぶん」

 

いろは「せ、せんぱい……!愛してるって言ってもいいですか……?」

 

八幡「もう既に言ってんじゃねぇか……好きにしろ……」

 

いろは「せんぱい、愛してます。とっても」

 

八幡「恥ずかしいからもう勘弁してくれ……」

 

いろは「せんぱいは言ってくれないんですか?」

 

八幡「そんな上目遣いで見んな……可愛いのはわかったから……」

 

いろは「せんぱい今可愛いって言いました?えへへ……じゃあ、もう一声」

 

八幡「なんだそりゃ……言わねぇよ、まだ」

 

いろは「まだ?せんぱい前からそればっかりじゃないですかー。いつになったら言ってくれるんですかーもう」

 

八幡「たぶんお前が卒業して、次のボーナスが出たら……じゃねぇかな……」

 

いろは「それって……期待、して、いいん、ですか?」モジモジ

 

八幡「……あんまり凄いのは期待すんな……おあっ、ちょっ、抱きつくなっ。着替えれねぇだろ」

 

いろは「やーだー」

 

八幡「とりあえず着替えて飯にしようぜ。冷めちまうし」

 

いろは「あーそのネクタイ緩めるの、もっかいやってくださいよー。凄くいいんですそれ」

 

八幡「また締めたくねぇから、また明日な」

 

いろは「はいっ、明日も早く帰ってきてくださいね。せんぱい」

 

八幡「こいつが待ってくれてるなら、社畜も悪くねぇかもな」ボソッ

 

いろは「なにか言いました?」

 

八幡「いや、何も」

 

いろは「わたしのために、しっかり働いてくださいね。でも無理はダメですよ」

 

八幡「聞こえてんじゃねぇか……」

 

 

八幡「ふー、食った食った。超うまかった」

 

いろは「お粗末さまです。料理上手くなってきてませんかー?わたし」

 

八幡「おお、すげぇ上手くなってるよ。もう俺なんか相手にならんな」

 

いろは「またせんぱいも料理作ってくださいよー。たまには食べたいです。今はせんぱいだけ働いてるからいいですけどね」

 

八幡「お前が仕事始めたら、そうだな。お前が遅いときは俺が作って待っとくよ」

 

いろは「それは楽しみにしときます♪」

 

八幡「お前が就職なぁ……俺は不安だよ……」

 

いろは「なんですかそれー、ひどいです。わたしだってちゃんとやれるんですからね!」

 

八幡「いや、そういう問題じゃなくてだな……」

 

いろは「なんです?」

 

八幡「……いや、だからほら、お前可愛いし……外面すげぇいいじゃん、あざといけど。だからな……」

 

いろは「はー。要するにー、わたしが浮気しないか心配、ってことですか?」

 

八幡「……要約するとそうなるな……」

 

いろは「えっへっへー、嬉しいな。なんか変な笑いが出ちゃいました。せんぱいも嫉妬とかするんですね」

 

八幡「バカか……俺は嫉妬しまくりだよ……」

 

いろは「えー、そんなのいつも言ってくれないし、態度も雑じゃないですかー」

 

八幡「そういうのすら素直に言えないのが俺なんだよ……いい加減わかれ」

 

いろは「わかりました、今せんぱいからの愛を感じましたから」

 

八幡「そりゃよござんした」

 

いろは「わたしはそんなことしないから、安心してください。それに、せんぱい……」

 

八幡「ん?」

 

いろは「……わたしのこと、もっと束縛してくれて、いいんですよ?そっちのほうが、わたし愛されてるんだなって感じます」

 

八幡「……それは、俺のプライドがだな……」

 

いろは「えー、思ってること言ってくださいよー」

 

八幡「……じゃあ俺が、男にいい顔するなとか、会話すんなつったら聞いてくれんのか?」

 

いろは「え、えー……それはちょっと困りますけど……わたしなりの処世術でもあるわけでして……」

 

八幡「だろ?だから言わねぇんだよ……」

 

いろは「せーんぱい」

 

八幡「……何故くっつく」

 

いろは「わたしは、せんぱいに愛されてるんだなって思ったからです」

 

八幡「こんな醜い嫉妬、嫌じゃねぇのかよ」

 

いろは「回りの女子はそうかもしれないですけどー、わたしはせんぱいのは全然いやじゃないです」

 

八幡「……さんきゅ」

 

いろは「えへへ、せんぱいせんぱい」

 

八幡「むがっ………………ぷはっ」

 

いろは「せんぱいとのキス、きもちいー……」

 

八幡「…………」

 

いろは「あーもう……。わたしこそせんぱいが浮気してないかいつも不安なんですよー?」

 

八幡「あ?なんでだよ……うちの会社女子ほとんどいねぇよ……潤い足りなさすぎてしんどいよほんと……」

 

いろは「潤いはわたしじゃ足りないって言うんですかー?」

 

八幡「あ、いや、そうじゃなくてだな……浮気なんかしたくても出来ねぇよと……」

 

いろは「そーなんですか、したいんですか」

八幡「いやその、そうじゃなくて……俺は、お前がいれば十分だ」

 

いろは「最初からそう言ってください♪」

 

八幡「はぁ……なんかもう俺、お前にいいようにあしらわれてんな……。このままずっと頭が上がらねぇんだろうなぁ俺」

 

いろは「ずっとってことはないんじゃないですか?えっちの時なんか、わたしはなされるがままですよ」

 

八幡「ぶはッ!あぶねぇなチューハイ吹き出すとこだったじゃねぇか」

 

いろは「そんな、今さら慌てることでもないと思うんですけど……」

 

八幡「いやまぁそうなんだが……そんなこといきなり言うことあんまないだろ。もしかして酔ってんのか?」

 

いろは「あー、うん、ちょっとだけ……酔ったかもです」

 

八幡「じゃもうゆっくりしてろ、片付け俺がやっとく」

 

いろは「すいませんー、せんぱーい」

 

八幡「片付け終わったぞ」

 

いろは「おかえりなさーい、せんぱい」

 

八幡「落ち着いたか?」

 

いろは「はいー、もう大分醒めてきました。片付けありがとです」

 

八幡「なんかあんま変わってない気もするが……」

 

いろは「はい!」ビシッ

 

八幡「いきなりなんだ……はい、一色くん」

38 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/05/15(金) 18:50:28.33

いろは「わたし、働きたくないです!専業主婦きぼーです!」

 

八幡「……俺だって働きたくねぇよ。専業主夫になりてぇよ」

 

いろは「せんぱいはダメです、わたしのために働いてください」

 

八幡「なにそれ超理不尽。でも言われなくても働くよ……生きてけねぇし。家賃も払えないとここに住めなくなんだろ、お前も」

 

いろは「そーですねー、せんぱいと住めなくなるのは嫌です」

 

八幡「お前も大学卒業したらやることねぇぞ。こんな狭い家にいても」

 

いろは「そうですかねー……」

 

八幡「それに悪いんだが……お前の希望する年収1000万は俺とてもじゃねぇけどいかねーわ。二人なら何年かしたらいくかもしれんが」

 

いろは「このかいしょーなしー」

 

八幡「うっせ。社畜の苦しみをお前も味わえ」 

 

いろは「そこはお前を楽にするために頑張るとか言うとこじゃないですかね……」

 

八幡「頑張りはするが現実は甘くねぇんだよ……ほんと社会厳しいわ……」

 

いろは「そーですかー……専業主婦になろうとしたら赤ちゃん作るしかないですかねー……しますか?」

 

八幡「やっぱお前酔い醒めてねぇじゃん……もう一時だしそろそろ寝ようぜ」

 

いろは「やーだー、動きたくなーいー。せんぱいベッドに連れてってー」

 

八幡「しゃーないな……捕まれよちゃんと」

 

いろは「わー、お姫様抱っこだー。せんぱい力持ちー」

 

八幡「いやもうベッドまでしか無理……腰が抜ける……」

 

いろは「失礼ですねほんと、せんぱいは」

 

八幡「そら、降ろすぞ……ちょっ、離せっ」

 

いろは「せんぱい……」

 

八幡「近いよ……なんだ」

 

いろは「わたし今日、大丈夫な日ですよ……」

 

八幡「………………ほんと?」

 

いろは「わたしは、せんぱいを、騙す嘘はつきません。え、ちょっと、せんぱい目が……んっ」

 

八幡「お前が悪い」

 

いろは「でもそんなっ……いきなり……やっ……あっ……」

 

一一一

 

八幡「はーっ……もう明るくなってんじゃねぇか……いわゆる一つの朝チュンだな……」

 

いろは「ほんとですねー。まあ今日は休みだしいいじゃないですか、たまには」

八幡「たまになのかこれは……結構ある気が……」

 

いろは「でもせんぱい、今日は最初、ちょっと怖かったです……凄かった……」

 

八幡「う……すまん、でもお前も悪い、たぶん……」

 

いろは「いやいや謝らないでくださいー。あれは、あれで、いいんですよ……」

 

八幡「……そうなの?」

 

いろは「はい……大抵の女の子は無理矢理ーとか、想像してるもんでして……恥ずかしながらわたしも……」

 

八幡「そんなもんなのか……女子こえぇ」

 

いろは「せんぱいだって、どうせ同じようなもんじゃないんですか?」

 

八幡「うっ……否定はできんな……」

 

いろは「やっぱそうなんですね……。それで、想像の中でわたしは、どんなことされてるんですか……?」

 

八幡「言えるわけねぇだろ……」

 

いろは「なんかドキドキしてきました……」

 

八幡「何でだよ……変態かお前は」

 

いろは「うるさいです、このけだものー」

 

八幡「へいへい……すんませんね」

 

いろは「あーもう身体中べとべとー。せんぱいお風呂いきましょーお風呂」

 

八幡「そうだな、とりあえず風呂入るか」

 

いろは「せんぱい」

 

八幡「あ?」

 

いろは「幸せですね、わたしたち」

 

八幡「……そうだな、まったくだ」

 

八幡「あー、疲れた……ただいま……」

 

いろは「おかえりなさい、せんぱい。遅かったですねー。ご飯にしますか?お風呂に……」

 

八幡「はいはい飯飯」

 

いろは「ちょっとせんぱい、せめて最後まで言わせてくださいよ……」

 

八幡「すまんほんと疲れたんだ……なんで一年目からこんなに忙しいんだ……」

 

いろは「……せんぱい、お疲れさまです」

 

八幡「……俺こそいつもありがとな。でもそんなことされると苦しいんですが……」

 

いろは「そんなにおっきくはないから、窒息はしませんよ。それとも、こんな胸じゃ嫌ですか?」

 

八幡「んなわけねぇだろ……これがいいんだ、俺は」

 

いろは「せんぱいが素直にそんなこと言うなんて、ほんとに疲れてるんですね……まだこうしてますか?」

 

八幡「もうちょい、このままで……」

 

いろは「はいはい、わたしはずっといますから」

 

八幡「………………いろは、大好きだ」

 

いろは「はい、わかってます……えっ?」

 

八幡「もう言わねぇ」

 

いろは「せ、せんぱい、お願いしますー!もう一回だけ!」

八幡「さぁ、飯にするか」

 

いろは「せーんーぱーいー!もう……」

 

八幡「もう日付変わってんじゃねぇか……なんなんだ仕事って……」

 

いろは「でも、凄く嬉しかったな……。こんなになるんだったら毎日毎日超働いてもらいますかねー……」

 

八幡「俺は難聴系じゃないから聞こえてるからな」

 

いろは「や、やだなーせんぱい。それは幻聴ですよ幻聴」

 

八幡「くっくっ……あっははっ」

 

いろは「せんぱいなんかテンションおかしいですよ?働きすぎでもう壊れたんですか……?」

 

八幡「……はー……なんでもねぇよ、明日からも働かないとな、お前のために」

 

いろは「はい、お願いしますね。そうだ、ご飯のあとちょっとマッサージしたげます」

 

八幡「んー……おお、じゃあ頼むわ」

 

一一一

 

いろは「どーですかせんぱい。これでいいんですかねマッサージって……」

 

八幡「あー、もうちょい強くても平気だぞ」

 

いろは「これ以上強くしたら指が痛いです……」

 

八幡「貧弱だなお前……。じゃああれだ、乗っかるみたいにして肘使え肘」

 

いろは「こうですか?」

 

八幡「うおお痛ぇえええよ!いきなり全体重をかけんな!」

 

いろは「もー、ワガママですねーせんぱいは……」

 

八幡「そういう問題なのか……?」

 

いろは「でもこれじゃマッサージになりませんね……ごめんなさい」

 

八幡「気にすんなって。その気持ちだけで疲れは取れたから」

 

いろは「せんぱいぃ……。わたしも、やれることでお返しします!仰向けになってください」

 

八幡「あん?何するつもりだ……」

 

いろは「よいしょっと」

 

八幡「ちょ、おいっ!なんでズボン脱がしてんだ!」

 

いろは「お疲れのせんぱいをお口で慰めようかと……」

 

八幡「お前のやれることってのはそんなんじゃねぇだろ……」

 

いろは「えー、せんぱい嫌なんですか?」

 

八幡「嫌じゃねぇけど……お前をそんな風に使うみたいなこと、したくねぇんだよ」

 

いろは「そんなこと言われると……余計したくなっちゃうじゃないですか」

 

八幡「えー!?なんで!?あうっ」

 

一一一

 

いろは「ごちそうさまでしたっと」

 

八幡「うっ……うっ……八幡犯されちゃった……じゃなくて、その発言おかしいだろお前……」

いろは「わたしは、せんぱいの喜ぶことなら何でもしてあげたいんですよ?」

 

八幡「……さっさと片付けやって、一緒に風呂入るか」

 

いろは「はい♪」

 

八幡「言っとくけど今日はもう無理だからな……寝る時間がなくなっちまう」

 

いろは「わかってますよ、せんぱい。ゆっくり寝ましょうね、一緒に」

 

八幡「……今日は俺を蹴らないでくれよ」

 

いろは「なんのことですかー?寝てる時のことまでわたしは知りませーん」

 

八幡「はいはい……」

一一一

 

八幡「ただいまー」

 

いろは「おかえりなさい、せんぱい。今日は早いんですねー」

 

八幡「まぁたまには早く帰ってもバチは当たらんだろ……最近の俺超働きマンだし」

 

いろは「じゃあ今日はゆっくりしましょーね、せんぱい。ご飯の用意しますねー」

 

八幡「おー。でも急かすつもりはないぞ、ゆっくりでいいからな」

 

いろは「だからー、そういうこと言われると余計がんばりたくなるんですってば」

 

八幡「何なの、あまのじゃくなの?」

 

いろは「それだけはせんぱいに言われたくないです」

 

八幡「……ですよねー。まあ、慌てて怪我とかしないでくれりゃいいよ俺は」

 

いろは「……せんぱいって、天然で女心くすぐりますよね……超あざといです」

 

八幡「俺もそれだけはお前に言われたくねぇよ……」

 

いろは「まあ、お互い様ってことで♪」

 

一一一

 

八幡「働いた後の飯は旨いかと思ったけど、別に働かなくても飯は旨いから同じだな」

 

いろは「なんかせんぱいの人生観は聞いてると悲しくなってきますね……」

 

八幡「なんでだよ……名言っぽいと思ってたのに。働かなくても飯は旨い。ほらそれっぽいだろ」

 

いろは「いえ、それはもういいです。せんぱいって会社で飲みに行ったりしないですよねー。いいんですか?」

 

八幡「あー、もう誘われてねぇなぁ、俺……。まぁ別に行きたいほど仲のいいやつもいないから気にしてないが」

 

いろは「もうってことは前は誘われてたんですよね?何かあったんですかー?」

 

八幡「何かってほどのことじゃないんだが……」

 

いろは「どうせせんぱいが悪いんですよ。話してくださいよー」

 

八幡「き、決めつけはよくないぞ!」

 

いろは「いいですから、はいどうぞー」

 

八幡「俺スルーされまくりだな……悲しくなってきたよ……。いや、ほんと大したことないんだ。同期の奴等と飲みに行ってたら彼女の話になってな」

 

いろは「ふんふん」

 

八幡「みんな彼女いないみたいで、合コンしようだどうだ言ってて俺も誘われたんだよ」

 

いろは「もちろん行ってないですよねー?」

 

八幡「い、行ってねぇよ……その目すぐやめて怖いから。でも俺にはお前がいるから、俺彼女いるんでって断ったんだ」

 

いろは「せんぱい偉いですねー。流石です」

 

八幡「そしたらな、そいつらが口々に今の彼女よりかわいい子見つかるから行こうぜとか、お前に彼女とか騙されてんじゃねーのとか言うからすげぇムカついてな」

 

いろは「………………」

 

八幡「一枚だけ持ってるお前の画像見せびらかして、お前らにこれ以上可愛い彼女なんかできるわけねぇだろうが!バーカバーカ!って散々煽ってたら、誘ってくれなくなった」

 

いろは「どう考えてもバカはせんぱいですよね……」

八幡「え、そうなの?そんな人の彼女バカにするような奴等と一緒に飲みに行きたくねぇよ俺」

 

いろは「本当に、せんぱいはバカです。愛してます」

 

八幡「貶しながら愛してるとかどうなんだそれ……喜んでいいのか?」

 

いろは「……いいと思いますよ」

 

八幡「じゃあ……そうしとく」

 

いろは「ところでせんぱい」

 

八幡「ん?」

 

いろは「その画像ってどんなのですかー?わたし撮られたの知らないんですけど……」

 

八幡「え、い、言ってなかったっけ?おかしいなー……」

 

いろは「見せてください」

 

八幡「だからそんな目はやめろ……見せるから」

 

いろは「これ、料理してる時ですか?」

 

八幡「あー、うん。髪上げててうなじが見えてたから、つい……」

 

いろは「横顔なのに全然わたし気付いてないですね……」

 

八幡「き、気に入らないから消すが……」

 

いろは「いえ、キレイに撮れてるし、いいです。言ってくれればいくらでも撮らせてあげますよー?」

 

八幡「言ってから撮るとお前表情作るじゃねぇか……俺はそれより自然な顔の方が好きなんだよ」

 

いろは「………………愛してます、せんぱい。さあ、ベッドにいきましょー」

 

八幡「はぁ?え?何でそうなるんだよ」

 

いろは「あ、やっぱりその前に……二人で、お風呂いきますかー」

 

八幡「……よくわからんが……片付けたら行く。先浸かっといていいぞ」

 

いろは「はーい。今日はいっぱい尽くしちゃいますよー」

 

八幡「……お手柔らかに……」

 

一一一

 

いろは「せんぱいー、今日お休みですよね。買い物付き合ってくださいー」

 

八幡「えー、たまの休みぐらいゴロゴロさせてくれよ……」

 

いろは「車出してくれないとしんどいんですよー」

 

八幡「お前も免許持ってんだろ……」

 

いろは「わたし運転得意じゃないから怖いんですよぅ……せんぱい運転してください。じゃないと車ぶつけても知りませんよー?」

 

八幡「それは……困るな……。いや、車はボロっちい軽だから別にいんだけどな」

 

いろは「はい?」

 

八幡「わーったよ、行くか」

 

いろは「わーい、ありがとうございますー」

 

八幡「で、何買うの?」

 

いろは「それはー、圧力鍋とかいろいろです」

八幡「そんな手の込んだもの作んなくてもいいのに……」

 

いろは「じゃあ明日から米と塩にしますねー」

 

八幡「……ごめんなさい悪かったです」

 

いろは「わかればいいです。圧力鍋って調理時間短縮もできて、ガス代節約になったりとか、いろいろ便利なんですよー」

 

八幡「おお……お前もなんか、あれだな……。いろいろ考えれるようになったんだな……」

 

いろは「そりゃーもう、一緒に住んで半年以上になりますからねー。家庭のことも考えないと」

 

八幡「いやまだ家族にはなってねぇけどな……まあいいや、行くか」

 

いろは「はいっ、運転よろしくお願いします、せーんぱい」

 

八幡「おう、任せろ。絶対事故だけは起こさねぇ」

 

いろは「あんま気合入れられると逆に怖いです……」

 

一一一

 

いろは「いやー、いろいろ買えましたー」

 

八幡「まぁいいんだけどよ……下着売り場まで引っ張るのほんと止めて……。視線に耐えられない……」

 

いろは「えー、どうせだったらせんぱいに喜んでもらいたいじゃないですかー。好みもありますし」

 

八幡「ごめん外でそんな話はほんと止めて死ぬから死ぬよ俺」

 

いろは「まだダメですよー。結婚して保険入ってからにしてください」

 

八幡「それ本気で怖い……引くわ……」

 

いろは「冗談に決まってるじゃないですかー。わたしの人生設計の中心はせんぱいなんですから、いなくなったら困ります」

 

八幡「おお……そうか……」

 

いろは「なんでそんなに照れてるんですかー、かわいいですねせんぱいは」

 

八幡「お前といると毎日ドキドキして大変だわ……」

 

いろは「や、やだなー……せんぱいこそそういうの止めてくださいよ……は、恥ずかしいじゃないですか」

 

八幡「お前の恥ずかしがるポイントがわかんねぇよ俺は……」

 

いろは「まあ、せんぱいはわからないままでいいです。わかってやっちゃうとあざとくなりますからね」

 

八幡「……お前のことじゃん、それ」

 

いろは「むー、うるさいです、せんぱい。あ、今日も卓球してから帰りましょうか」

 

八幡「なんか、最初のあれのせいで俺らしょっちゅう卓球してんな……」

 

いろは「ほんとせんぱいのせいですよ。もっとビリヤードとかダーツとか、お洒落なやつのほうがわたしには似合ってるんですから」

 

八幡「卓球が似合ってて悪かったな……」

 

いろは「いいんですよ、そのせんぱいを好きになったんですから。なんだっていいです」

 

八幡「……おし、負けた方今日の風呂掃除な」

 

いろは「おー、やるんですかー?いい度胸ですね、返り討ちにしたげます」

八幡「そういうのはいっぺんでも勝ってから言えよ」

 

いろは「ほんとせんぱい大人気なさすぎですよー。ちょっとぐらい勝たせてくれてもいいのに……」

 

八幡「勝負となりゃ話は別だからな、一色さんは手加減してほしいですかぁー?」

 

いろは「超ムカつくー!いいです本気で勝ちますから!」

 

八幡「くっくっ……楽しみにしてるぞ」

 

一一一

 

いろは「せーんーぱーいー!手加減ちっともしてくれないじゃないですかー!」

 

八幡「いらねぇつっただろお前……」

 

いろは「いやそうなんですけどね……いろいろあるじゃないですか……」

 

八幡「なんだよいろいろって……。じゃ、風呂掃除任せたぞ」

 

いろは「はい……仕方ないです……」

 

八幡「……手加減なしの俺と戦ってくれたお礼に、お願い一つ聞いてやるよ……風呂掃除以外な」

 

いろは「なんですかそれ……いいですよ敗者に情けはむよーです……」

 

八幡「そうか……」

 

いろは「それに、そんなのなくたって、わたしの願いはいつも叶ってますから」

 

八幡「どれのこと?」

 

いろは「それはせんぱいは知らなくていいんですよー」

 

八幡「あっそ……」

 

いろは「じゃ、帰りましょうか。楽しい我が家へ」

 

八幡「……そだな、帰るか」

 

一一一

 

八幡「すまん遅くなった……ただいま」

 

いろは「お仕事ですから仕方ないですよー。おかえりなさい、せんぱい」

 

八幡「……悪いな、せっかくのクリスマスなのに」

 

いろは「いいですよ、今日はまだイブですから。明日はお休みなんですし、時間はたくさんあります」

 

八幡「……そだな」

 

いろは「さあご飯にしましょー、いろいろ作りましたよ。せんぱいも早く着替えてください」

 

一一一

 

八幡「ほんとすげぇな。ローストチキンとかも作れんだな」

 

いろは「ビーフシチューもですよー。圧力鍋大活躍です」

 

八幡「はー、旨かった。俺未だによくわからんのだが……クリスマスって鳥食べたら後は何すりゃいいんだ」

 

いろは「そうですねー……友達とかならゲームとかしたりしてるのかもですけど。彼氏彼女ならえっちするんじゃないですか、やっぱり」

 

八幡「やっぱそうなのかね……性夜とはよく言ったもんだな……」

 

いろは「気になるあの子も、いいなと思うあの人もみんなやってます、とか言いますよね」

 

八幡「よくそんな純真な子の心を抉るようなこと言えるな、お前……」

 

いろは「わたしが言ってるわけじゃないですよ……ネットで書いてたりするんですってば」

八幡「そうか……。あんま考えたことなかったけど、でもそんなもんなのかね……」

 

いろは「……今せんぱいが考えてる人、当ててみましょうか」

 

八幡「何だよ一体……お前のこと考えてるよ」

 

いろは「いいえ。せんぱいはさっき雪ノ下先輩と結衣先輩のこと考えたはずです」

 

八幡「………………」

 

いろは「そんなんじゃない、って何度も聞いてますけど……わたし、不安じゃないわけじゃないんですよ」

 

八幡「……だよな……すまん……」

 

いろは「家族みたいなもんだって言っても、他人じゃないですか……それに………………」

 

八幡「……言っていいぞ。お前の思いはちゃんと聞く」

 

いろは「わたしが一番好きな人に、わたしが絶対に入り込めない部分があるのは、正直辛いです……」

 

八幡「……お前は俺の……あいつらにも入り込めない、別のところにもう居座ってるから……心配すんな」

 

いろは「……はい、わかりました……」

 

八幡「……悪いな。不安にさせるようなこと……」

 

いろは「全くですよ、ほんとに……。結衣先輩とか雪ノ下先輩、彼氏できたとか聞いてないんですか?」

 

八幡「聞いてねぇなぁ……。あいつらモテモテなんだけどな、大学の時も」

 

いろは「結衣先輩は大学でわたしとせんぱいといつも一緒でしたからねー。それもあるんじゃないですか。働きはじめてからは知りませんけど」

 

八幡「理想が高過ぎるんじゃねぇか、あいつら」

 

いろは「高いってわけではないかと……。でもなかなか見つからないでしょうね……」

 

八幡「………………日付、変わったな」

 

いろは「せんぱい、メリークリスマス」

 

八幡「……メリークリスマス。これ、受け取ってくれ」

 

いろは「わぁ……開けて、いいですか?」

 

八幡「おお……サイズだけが心配なんだが……」

 

いろは「こ、これ……婚約指輪とか、ですか……?」

 

八幡「いや、そんなんじゃなくて……ただのピンキーリング……」

 

いろは「なんだ……。でも、ありがとうございます、せんぱい。ピンクゴールドだー、可愛い……」

 

八幡「さ、サイズは?」

 

いろは「……せんぱい、ちなみにこれ、わたしがどっちの手に着けるの想像してました?」

 

八幡「なんとなくだが……左手?」

 

いろは「そうですか……じゃあ左手に……。わー、すごいぴったりです」

 

八幡「助かったー……大体このぐらいかって選んだから不安だったんだ」

いろは「何度も繋いだから、体で覚えたんですよ。きっと」

 

八幡「……かもな」

 

いろは「左手のピンキーリングって、どんな意味があるか知ってるんですか?」

 

八幡「……いや、そんなの知らねぇな。意味なんかあるのか」

 

いろは「左手のピンキーリングは、幸せを留める、って意味ですよ……」

 

八幡「……そうか……」

 

いろは「わたしを幸せなままに、してくださいね。わたしもせんぱいを幸せにします、から」

 

八幡「……善処する」

 

いろは「なんですかー、そのやる気ない言葉……。まあいいです、わたしからもこれ受け取ってください」

 

八幡「おお……これは、財布か……さんきゅ」

 

いろは「古いの使ってるみたいでしたから、社会人なんですし綺麗なものにしないとダメですよ。大事にしてくださいね」

 

八幡「ああ……大事にする」

 

いろは「ちゃんと稼いでわたしを裕福にしてくださいって意味もあります」

 

八幡「うっそマジかよ……こえー……けどまぁ頑張ってみるわ……」

 

いろは「冗談ですよ……。無理して働いたりは、しないでくださいね」

 

八幡「……おう」

 

いろは「……それじゃあ、わたしたちも世間に倣って……」

 

八幡「……やっぱそうなんのか……」

 

いろは「嫌ならいいですけど……」

 

八幡「……んなわけねぇだろ」

 

いろは「ん………………」

 

八幡「……続きは、片付けやってからな」

 

いろは「はい……とっとと片付けましょー」

 

八幡「お、おー」

 

いろは「あははっ、わたし、こんなに幸せなクリスマス、初めてです」

 

八幡「……俺もだ」

 

一一一

 

いろは「今年ももうすぐ終わりですねー……せんぱいもっと端寄ってください。わたし寝れないじゃないですかー」

 

八幡「おお……悪い。なぁ、お前年末年始どうすんの?」

 

いろは「基本的にはせんぱいに合わせようと思ってますよー。どうするつもりなんですか?」

 

八幡「まぁどっかで実家に戻るつもりなんだが……そんな遠いわけでもねぇからな。なんとでもなるしあんま考えてねぇ」

 

いろは「わたしも何日かは実家帰るつもりでしたけど……。なるべくせんぱいと、いたいです」

 

八幡「……そうだな……年明けるまではここにいて、年明けたら実家帰るか」

 

いろは「はい、わかりましたー。わたしも家に顔見せないとですから、わたしも年明けたら戻りますね」

 

八幡「………そうか」

 

いろは「どうかしました?」

 

八幡「いや、なんでもない。年末年始は休み取れてほんとよかったわ」

いろは「そうですねー。せんぱい、今年一年、お仕事お疲れさまでした」

 

八幡「まぁ四月からだからまだ一年立ってねぇんだけどな」

 

いろは「せんぱいがちゃんと働いてくれたから、わたしはこうして毎日せんぱいといれるんです。ほんとに感謝してます」

 

八幡「おお、お前もあと数ヵ月したら社蓄の仲間入りだからな。今をせいぜい楽しんどけ」

 

いろは「はー……ほんと憂鬱です……。早く永久就職できるとこ、どこかにないですかねー……」

 

八幡「お前、今絶対変な目で俺見てるだろ……」

 

いろは「そのうちこれみよがしにゼクシィ置いたりするかもしれない目で見てます」

 

八幡「うわぁ……超憂鬱になるわそんなの……。……やっぱ早く結婚したいもんか?」

 

いろは「うーん……まあそうなるんですかね……」

 

八幡「案外そうでもねぇのか?まあ確かに結婚なんかただの正式契約みたいなもんだしな」

 

いろは「うわぁ超ドライですねせんぱい……。いや前向きじゃないわけじゃなくてですね、今となるとまだ学生なのに両親になんて言おうとか、いろいろです……」

 

八幡「はぁ……あれだな……」

 

いろは「なんですか?あれって」

 

八幡「俺にしても、お前にしても……もうガキじゃいられねぇんだな……」

 

いろは「そうですね……でも……」

 

八幡「でも?」

 

いろは「まだ子供だった高校時代に好きだった人が今も好きなので、わたしの気分的にはあの頃とさほど差はないですよ」

 

八幡「……そ、か」

 

いろは「結婚の形はいろいろありますけど……わたしはお金目当てでも、ブランドが欲しいわけでもないですから」

 

八幡「まぁな……俺と結婚したところで金も名誉も手には入らんからな……」

 

いろは「あれから恋愛をまだ続けれてるって、わたしは超幸せです」

 

八幡「………………愛してるぞ、いろは」

 

いろは「………………へ?」

 

八幡「……愛してるって言ったんだ。次はまた今度な」

 

いろは「…………はい…………せんぱい、手……」

 

八幡「ん。結婚はまだ先だと思うが……俺はそんなもんなくてもお前といるからな」

 

いろは「……な、な、なんなんですかいきなり……そんな攻撃わたし無理ですよ……」

 

八幡「攻撃て……。俺はお前を失いたくなくなったから、言わないとって思ったんだ」

 

いろは「……せんぱい……わたしも、愛してます……ずっと」

 

八幡「……言われるのはやっぱ恥ずいな……」

 

いろは「えへへ……」

 

八幡「……年明けてお前が実家帰る前に、ちょっとうちの実家寄ってくれるか」

 

いろは「え、わたしなんかが年始にお邪魔していいんですか?」

 

八幡「いいだろ。結婚前提だって紹介しとく」

 

いろは「う、わー……今から超緊張してきたんですけど……どんな格好してけばいいんですか……?」

 

八幡「飾らない、いつものお前でいいよ」

 

いろは「……はい。せんぱいはわたしの実家、来ますか?」

 

八幡「それは怖いからまた今度で……」

 

いろは「せんぱいずるくないですかー?」

 

八幡「ばっか、息子と娘じゃちげぇだろ……ほんとこえーよ……。俺とお前に立ちはだかる最大の壁かもしれん」

 

いろは「……わたしとせんぱいなら、きっと乗り越えられます」

 

八幡「……そうだな、頑張るか」

 

いろは「じゃあ、おやすみなさい、せんぱい」

 

八幡「……おやすみ、いろは」

 

一一一

いろは「紅白も見飽きちゃいましたねー」

 

八幡「そうだな。俺は最初からあんま見てないけど」

 

いろは「年越しの時ぐらい一緒のことしてましょうよー。せんぱい本読んでばっかでつまんないです」

 

八幡「いやだから一緒に居るじゃねぇか……この体勢で本読むのすげぇ辛いんだぞ」

 

いろは「じゃあ本読むのやめてください。せんぱいたんぽは暖かいしわたしは離れませんよー」

 

八幡「何その語呂わりぃ単語……。はー、わかったよ」

 

いろは「えへへー。せんぱい、年越しの瞬間キスしてましょーか」

 

八幡「えー……年越しの瞬間ってジャンプして、俺今年になった瞬間地球にいなかった!ってやるんじゃねぇのか……」

 

いろは「うわぁ……せんぱいそんな寂しいこと毎年やってたんですか……?」

 

八幡「ま、毎年はやってねぇよ……」

 

いろは「……やったことはあるんですね……」

 

八幡「そ、その目はやめろ。俺を哀れむな同情するな」

 

いろは「大丈夫です、せんぱい。今年からはわたしが必ずいますから!もうせんぱいにそんな悲しい真似はさせません!」

 

八幡「……俺の過去が勝手に悲しいものにされていく……」

 

いろは「……キス、嫌ですか?それなら……もっと……繋がったまま、とか、ですか?」

 

八幡「いやそれはさすがに……。お前よくそんなこと思い付くな……変態なの?」

 

いろは「え、えー……そんなこと言われると思いませんでした……。いいじゃないですか素敵じゃないですかー」

 

八幡「なんか欲にまみれすぎててなんだかなー……そんな年越しはいろんなとこで思い出しそうだし……」

 

いろは「わたしがどれだけ待たされて、寂しい年越しをしてきたと思ってるんですか……責任取ってくれないんですか?」

 

八幡「それを言われると……卑怯だなお前は……」

 

いろは「なんとでも言ってください。どうなんですかせんぱいはチキンなんですかこのチキン八幡」

 

八幡「名前を悪口みたいに言うなよ……わかったわかった」

 

いろは「えへー、じゃあ……」

 

八幡「おい脱ぐな脱がすな服着ろ。そっちじゃねぇよ……」

 

いろは「あ、ごめんなさい……勘違いでした……。じゃあ、んー……」

 

八幡「なんでだ……まだ15分ぐらいあんぞ……」

 

いろは「そのぐらい平気じゃないですか?」

 

八幡「そんな時間したことねぇよ……」

 

いろは「じゃあ、やってみましょう」

 

八幡「せめて5分前にして……」

 

いろは「ぶー、わかりましたよー」

 

いろは「5分前ですよ、じゃあ、はい……」

 

八幡「おお……」

 

いろは「………………」

 

八幡「………………」

 

いろは「………………」

 

八幡「………………」

 

いろは「………………ふっ…………」

 

八幡「………………ふふっ………………」

 

いろは「………………ふふっ…………あはっ」

 

八幡「…………ぶはっ……あっははっ」

 

いろは「あははっ、せんぱいっ、鼻息くすぐったすぎですっ!」

 

八幡「お前も鼻息荒げんなっ、ぶふっ、あっはっはっ!」

 

いろは「ちょっと、早く再開しないと……あー!年明けちゃってるー!」

 

八幡「………………超笑えるな……ぶっ、あはははっ」

 

いろは「ふっふっ……あっははははっ……はーっ、苦しいっ」

 

八幡「……っはー…………一年分もう笑った気がするわ」

 

いろは「全くです……ほんと締まりませんねー、わたしたち……」

 

八幡「ま、いいんじゃねぇの別に。来年もあるしな」

 

いろは「そうですね……」

 

八幡「あけましておめでとさん、いろは」

 

いろは「あけましておめでとーございます、せんぱい。今年もよろしくお願いします」

 

八幡「……こちらこそ」

 

いろは「じゃあ、気を取り直して、今年最初の……」

 

八幡「……今度はちょっとだけな……ふはっ」

 

いろは「もー、笑わないでくださいよ……あははっ」

 

八幡「っはー………………」

 

いろは「ん………………」

 

八幡「……来年もこうしてような」

 

いろは「はい……」

 

八幡「っあー、実家戻んねぇとなー」

 

いろは「そうでした……朝から行くんですか?」

 

八幡「朝はゆっくりしたいし、昼からでいんじゃねぇかな。まだ寝ないだろ?」

 

いろは「確かに眠くないですねー………………姫始め、しときます?」

 

八幡「ぶはっ、お前そんな言葉どこで習ってくんだよ……」

 

いろは「それは秘密です……明日朝は、ゆっくり、できるんですよね?」

 

八幡「………………俺がこんなバカップルみたいになるとはなぁ……」

いろは「わたしはそんな気してましたよ。心を一度開いてくれたらこんな感じになるんじゃないかなーと」

 

八幡「……お前は俺より俺のことわかってんのかもな」

 

いろは「……長い間見てましたから。せんぱいも、わたしのこともっとわかってくださいね」

 

八幡「……時間かかるかもしれんが、頑張ってみるわ……」

 

いろは「……はい。よろしくお願いします、せんぱい♪」

 

 

 

 

 

 

 

いろは「おかえりなさい、せんぱい」八幡「いい加減先輩ってのは……」

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