アシタカ「…それが人間の心だよ」 サン「……そっか///…」【ジブリss/アニメss】
サン「アシタカ!あたしは赤子とやらがほしい!」
アシタカ「!?」
アシタカ「サン、そなた今なんと?!」
サン「人間の赤子がほしいと言ったんだ!どうしたら赤子を手に入れることが出来るんだ?」
アシタカ「…そなた、それを本心で言っているのか?何故…」
サン「昨日タタラ場にエボシを仕留めようと忍び込んだ、そうしたら女衆が現れたのでとっさに身を隠したんだ…」
アシタカ「そなた、まだエボシ殿のことを…、あの方はもう改心している。森の再建にも努めておられるし、むやみやたらと…」
サン「その時だ!女衆の一人が背中に赤子を背負っていたんだが、その赤子が、赤子が笑いだしたんだ…!」
アシタカ「?」
サン「あたしは少しほど見とれていた…、赤子は…///」
アシタカ「…赤子は?」
サン「カワイイ!!!////」
アシタカ「!!」
サン「どうしたら赤子を手に入れることができるの!?アシタカ!アシタカなら詳しいであろう?!」
アシタカ(…モロ、サンに人間の事を何も教えておらぬのか?…)
サン「アシタカ!どうなんだ!?」
アシタカ「あ?あぁ、分かってはいるが…」
サン「本当か!?アシタカ、あたしは赤子がほしい!あたしに出来ることがあったら言って、何でもするから!」
アシタカ「わ、わかった…。だが、しばし待ってくれ。少しばかりモロに聞きたいことがある」
サン「母さんに?わかった…。」
アシタカ「サンはここで待っててくれ。」
~岩の上~
モロ「…いつになったら私はタタラ場に攻めこんでよいのだ?シシ神が消え、私が復活した今、私はいつでもタタラバを攻めようと考えておる…。」
モロ「だが貴様がサンを人間に戻すというからこうして留まっておるのだぞ…?それは退屈なものだ…」
アシタカ「モロ!そなたに聞きたいことがある!…サンには何も教えておらぬのか?
モロ「…何をだ?」
アシタカ「サンに人としての生き方を…!人が人を産み世代を重ね時代を繋いでいくことを…!」
モロ「クハハ…いきなり来て何を言い出すかと思えば、そのような戯れ言を…」
アシタカ「モロ!!!」
モロ「私は山犬神だ!!サンも山犬だ、山犬に人の道を教えて何になる!?…もっとも私の愛しいサンには犬とのまぐわり方なら教える事が出来るが…クックック」
アシタカ「!…」
モロ「…貴様がサンを人間に戻すのではなかったのか?…大見栄切った割りにはサンの言葉にうろたえおって、愚か者が!!!」
アシタカ「…私に教えろと言うのか?」
モロ「…他の人間にサンとそれが出来るのか…?クックック」
アシタカ「…っ!!」
モロ「もうよい、ゆけ!!」
アシタカ「…」ダッ
モロ「…フン」
~サンの寝ぐら~
アシタカ「サン!…いない、…まさかタタラ場か?」
アシタカ「ん?山犬…。そなたら!!サンはどこか!?」
山犬A「サンは水浴びに行った、、」
アシタカ「…そうか、では帰りを待とう」
山犬B「…人間よ、サンに何かしたらただではおかんぞ?!」
アシタカ「…!!」
山犬A「母上のところに行ったな?何を話したかは知らぬが、サンを人間に差し出すようなマネをしたら、我々は貴様を殺す…!!」
アシタカ「…人間には差し出したりはしない、人間に戻すだけだ…!」
サン「…あ!アシタカ、戻ってたのか。それにお前達も!」
アシタカ「サン!」
山犬B「サン、我々は遠く人里へ家畜を狩りに行ってくる…」ザザッ
サン「わかった!あたしは母さんの側にいるから」
山犬A「…人間よ、さっきの話忘れるなよ…」ザザッ
アシタカ「…」
サン「アシタカ!私達も食事にしよう!水浴びついでに魚を頂いてきたんだ」
アシタカ「…そうだな、頂くとしよう」
~夜、焚き火~
パチッ パチッ
サン「もういいだろう!私は生でも食べれる!」
アシタカ「しっかりと焼くのだよ、腹を下さぬようにするために…」
パチッ パチ
サン「私は人間と違って山犬神だから腹など下さぬ!」
アシタカ「…」
サン「ただ、天狗茸をかじってしまったときは死ぬかと思ったけど…」
アシタカ「ハハハ、それは辛い思いをしたな」
サン「…ねぇ、アシタカ!赤子はどうなった!?母さんがいい知恵を授けてくれたんだろう?」
アシタカ「…」
サン「ねぇアシタカ!早く!」
アシタカ「…サン、分かった。赤子の授かり方を教えよう」
サン「…授かり方?」
アシタカ「その前にサンに色々と説明しておかなければならない事がある。それから始めよう。」
サン「難しいことはキライだ」
アシタカ「ハハ、難しくないよ。いいかいサン、そなたは山犬神でもあり人間でもあるんだ。」
サン「フン、あたしは山犬神だ。人間でもない!…すこし母さんと体の作りが違うだけだ…。」
アシタカ「サンはよくタタラバにエボシを狙って忍び込むね?」
アシタカ「そのときそなたは女衆を見ている。女衆はサンと体の形が似ているね?」
サン「…似たくないけどな」
アシタカ「人間には『女』と『男』の二種類あるんだ。
サンは『女』で、…私は『男』。」
サン「それと赤子がどう関係あるんだ?」
アシタカ「サン、赤子は…人間の赤子は女と男二人の力を合わせて出来るものなのだ。」
サン「そうなのか…?。あまり嬉しくない話だな、それは…。あたし一人で赤子を手に入れることは出来ないのか…?」
アシタカ「それは無理なのだ。サン、そなたは鳥の雛を見たことはあるか?」
サン「…うーん、見たことある?かも…」
アシタカ「卵からかえった小さい鳥だよ」
サン「それは見たことあるぞ。小さくて食べ応えがない鳥だった…」
アシタカ「あれは鳥の赤子なのだ」
サン「そ、そうなのか!?」
アシタカ「他にも、例えば鹿の小さなものも見たことあるだろう?」
サン「ある!鹿なら、あたしはすごいものを見たことがあるぞ!それは鹿の尻の間から小さい鹿が出てきたところだ。」
アシタカ「!!」
サン「あたしは木の陰から見ていたのだが、なるほど鹿というものはああやって増えていくのかと思ったことがある。」
アシタカ「それは鹿の『女』が、小さい鹿の『赤子』を生んだところだ」
サン「鹿の『女』ぁ!?」
アシタカ「そう、女は赤子を生むのだ。人間も、鳥も、そして鹿も。」
アシタカ「そして、サンは『女』だ。サンは赤子を他から手に入れるのではなく、人間の女として赤子を生むんだよ。」
サン「…そうなのか、よくわからないけど人間の女とはそういうものなのか…。…まぁでもよかった!アシタカが説明してくれて!」
サン「あたしは山犬神だけど人間の女でもあるわけだ。あんまり納得いかないが、アシタカが言うならあたしは信じるよ。」
アシタカ「…サン」
サン「あたしはあんなカワイイ赤子を生む?のか…よし!わからないことだが頑張れる気がする!あたし一人で赤子を産むぞ!」
アシタカ「…サン…実は女は一人では赤子を生むことはできないんだよ。」
サン「え?なぜ!?」
アシタカ「先程も言っただろう?女だけでは赤子は産めぬ。それには『男』の力が必要なんだ。」
サン「男?…の力が必要なのか?男と言えば…うーん、ここにいるアシタカだ。アシタカがあたしに何かしてくれるのか?」
アシタカ「…私がサンにしてあげるというならば、それは私の種をあげる事だ。」
サン「種?あの木の実の中にある種のことか?アシタカがそれを…?ではその種を見せて!!」
アシタカ「ハハ…それは今見せることはできないよ。サンに種をあげること。これは男にしかできない事なんだ。」
サン「…しかしその種と赤子がどんな関係があるんだ?」
アシタカ「そなたに分かりやすく言うと男は女に種を渡す。女は男から種を育てる。そして種が赤子となって生まれる。ということなんだ。」
サン「男の種が赤子になるのか?!」
サン「なんだ!それじゃあ種が育つとこに行けばいいではないか!そこにいけば赤子が手に入る。」
アシタカ「……それは、そなたの胴の中だよ」
サン「胴…なるほど胴か…えぇ!?あたしの!?おなかってこと?!」
アシタカ「…」コクッ
サン「と、ということは鹿のようにあたしも、し、尻から赤子が出るのか…?う、うぅ…」
アシタカ「…尻ではないが…」
サン「ぅ…んん、」
アシタカ「…サン、これが事実なのだ。私はそなたに嘘はつきたくない。人間は、例えばタタラ場の男と女はお互いを支え合い、種をお腹の中で育て、赤子を産み、そして成長し、また産み育て、…人間社会というのはそうして築かれてきたのだ。」
アシタカ「そなたも元はどなたかの女と男の間に産み落とされた一人の人間の女なんだ。わかるかい?」
サン「…」
アシタカ「…サン」
サン「…認めたくない!…認めたくないが…この手足、そして、勇敢な山犬神の毛の無い体を見ればそうなのだろうな…。」
サン「そして人間の赤子を見てカワイイと感じたのも人間だからなのだろう…。なぜなら食べたいとは思わなかった…。」
アシタカ「…」
サン「山犬は美しい…人間は醜い…。そう思ってたのが、一番醜いのは山犬にも人間にもなれないあたしだったなんて…」
アシタカ「いや、……サン、そなたは美しい」
サン「…フン、前にも言ったな。アシタカはあのあと一時タタラ場に行ったくせに…」
アシタカ「私は人間だ。人間の手助けをして何が悪い?」
サン「…だったら…」
アシタカ「人間は自然なくして生きてはいられない…。住むところを作るにも木がいる。生きるためには水がいる。自然は水を作っている。」
アシタカ「そんな森で、森の中に生き暮らしている人間のそなたは美しい。」
サン「…アシタカ…」
アシタカ「…サン。そなたのような人に出会うために私は生まれたと思う。私も森に生かされた人間だ。今、森のなかにあって心が落ち着いている。私はサンと共にありたい。」
サン「…私は山犬の娘だぞ。人間の女みたいな仕草はできないし、男のアシタカに何していいかもわからない…」
アシタカ「森が教えてくれるさ。私とサンは人間であり山犬であり森の生物だ…。サン…」
サン「…あたしはどうすればいいの?」
アシタカ「私はサンの思う通りにするさ。」
サン「……そばに来てほしい」
アシタカ「わかった。」
ギュ
サン「…アシタカ人間臭い…」
アシタカ「サンは山犬のいい香りがする…」
サン「山犬の神の匂いだからあたりまえだ!…けどアシタカの匂いは好きだ…」
アシタカ「…サン、人間に戻らないか?」
サン「…人間に戻る…」
アシタカ「サン、人間として私と共に暮らそう」
サン「………わからない…、けど…」
アシタカ「…けど?」
サン「………今はずっとこうしていたい…///」ギュ
アシタカ「…ハハ、私もだよ。サンはあたたかい…。」ギュッ
サン「何故だろう…、あの子達とじゃれあったり抱きついたりしてもこんな気持ちにならなかったのに…」
アシタカ「…それが人間の心だよ」
サン「……そっか///…」
パチッ パチチッ
サン「……あ、火!魚、…焦げてしまった…」
サン「自然の恵みだから、焦げても食べ上げてしまわなければならない。ほら、アシタカ!魚だ食べろ!」
アシタカ「…あぁ頂くよ。サンは食べないのか?」
サン「あ、あたしはそんな空いてはおらぬ。さぁ、食べな」
アシタカ「…そうか、では、頂きます。パク 、モグモグ…」
サン「…」ジー
アシタカ「フフ、ふむ、焦げている方がうまいな。さぁ、サンも食べなさい。」
サン「…そうか、スンスン、…焦げてる……はむ!パク、モグモグ」
サン「…苦い、…食べれない…パク」
アシタカ「…そういえば、サンは私に口移しで食物を食べさせてくれたな…。サン、直接お礼を言っていなかった。ありがとう。」
サン「シシ神様が助けたものを私が殺すわけにはいかないからな」
アシタカ「…すこし苦かったが、美味しかったよ」
サン「また、口移しで食べてみるか?この苦い魚もうまくなるかも。」
アシタカ「私は大丈夫だ。むしろサンこそ苦いのではないか?」
サン「…そうだな、…たしかに苦い…。私は生の魚が好きなのだ!こんな苦くては、…うまく、…食べれない」
サン「アシタカ…。食べさせてくれ…ないか…///」
アシタカ「いいのか?私は人間だぞ?」
サン「……うるさい!///」
アシタカ「ハハ、すまぬ、冗談だ。さぁおいで」
サン「…」ストッ
アシタカ「…」ギュ
サン「んっ…」
アシタカ「では、よいな?」
サン「うん…」
アシタカ「…ん」
サン「ん!んんっ…」ギュゥ
チュ…チュパ…チュ
サン「んっん!あ、ん!」
サン「っはぁ!…アシタカ!」
アシタカ「…ん?」
サン「……やっぱり苦い…」
終
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サン「アシタカ!あたしは赤子とやらがほしい!」 アシタカ「!?」
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