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カヤ「その女が首に下げてるの、私があげた小刀じゃないですか!?」 サン「アシタカ、この女は誰だ?」【ジブリss/アニメss】

 

カヤ「兄様! 誰ですかその女は!」

 

アシタカ「カヤ!? どどどどうしてここに」 

 

カヤ「兄様に会いたくて村を飛び出して…そんなことよりどういうことですか! 

その女が首に下げてるの、私があげた小刀じゃないですか!?」 

 

サン「アシタカ、この女は誰だ?」 

 

アシタカ「こ、この娘はカヤといって、私の妹のような 

カヤ「私は兄様の許嫁です」 

 

サン「許嫁だと!? 聞いてないぞアシタカ! 共に生きようと言ってくれたのは嘘だったのか? 

それにこの小刀がこの女のものだと!?」 

 

カヤ「と、共に生き…っ!? 酷い! 村を出てからまだ間もないのに、もう別の女に乗りかえるなんて!」 

 

アシタカ「し、静まれっ。静まりたまえっ! サンとカヤと私、三人が共に生きる道はないのか!」 

 

カヤ「私のことをいつも想ってくれるって言ったのに…こんなのあんまりです…っ」 

 

アシタカ「泣かないでくれカヤ。お前を忘れたことは一日だってない」 

 

サン「アシタカァァァァ!?」 

 

アシタカ「お、落ち着けサン。話せばわかる」 

 

カヤ「はっ! わかりました! この女が一方的に言い寄っているんですね!」 

 

サン「あ?」 

 

アシタカ「あわわわわ…」 

 

カヤ「見た目頭悪そうですもの。兄様がかけたなんでもない言葉を勘違いしてるんだわ。迷惑な女!」 

 

サン「…勘違い? ふん」 

 

カヤ「な、何よ」 

 

サン「私はアシタカと口を重ねたことがあるぞ」 

 

アシタカ「!?」 

 

カヤ「」 

 

サン「あのときのアシタカときたら、感動のあまり涙を流していたっけ…」 

 

カヤ「…」 

 

アシタカ「ご、誤解だ。あれは不可抗力 

 

サン「舌も入れたぞ」 

 

カヤ「あああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」 

 

サン「それでお前は? アシタカの味を知ってるのか?」フフン 

 

カヤ「 コ ロ ス 」 

 

サン「来い。返り討ちにしてやる」 

 

アシタカ「そ、双方剣を収められよ!」 

 

カヤ「どいて兄様。そいつ殺せない」 

 

アシタカ「落ち着け! 憎しみ合うだけでは、互いの身を滅ぼすだけだ!」 

 

サン「私が勘違いしていると言うが、それはお前の方じゃないのか。妹のように大切にされていただけだろう」 

 

カヤ「はぁぁ!?」 

 

サン「許嫁というのも誰かに決められたものだろう。そこに愛なんてない。あったとしてもお前が一方的に愛してるだけだ」 

 

カヤ「言わせておけばこの泥棒猫がああああああああああああああ!!!!!!」 

 

サン「違う! 私は山犬だっ!」 

 

アシタカ「そなたは人間だ!」 

 

サン「アシタカちょっと黙ってろ」 

 

アシタカ「はい」 

 

カヤ「…ふ、ふふ…私と兄様が愛し合ってないですって…?」 

 

サン「…?」 

 

カヤ「私のおなかには兄様の子がいるのよ!」 

 

アシタカ「!?」 

 

サン「なん…だと…」 

 

サン「アシタカが…この女ともう子作りを…」 

 

アシタカ「ま、待て! そんな事実(設定)はない! でたらめだ!」 

 

サン「そ、そうだな。どうせ苦し紛れの一言だろう!」 

 

カヤ「本当にそう思う?」 

 

サン(な、なんだあの自信は…) 

 

カヤ「兄様は齢十七…。この時代の十七歳って言ったら結婚してない方がおかしいぐらいよ! 

ましてや許嫁のいる男が! 相手に手をつけてないと思うの!?」 

 

サン「い、言われてみれば…!」 

 

アシタカ「たしかに…!」 

 

アシタカ「い、いや、だとしても! 事実として私はカヤを抱いてない。信じてくれ…!」 

 

サン「アシタカ…でも…」 

 

アシタカ「この曇りなき眼が嘘を言ってるように見えるかっ!?」キラキラ 

 

サン「…そうだな。疑ってすまない」 

 

カヤ「兄様の内股にはほくろがあるのよ」 

 

アシタカ「!?」 

 

サン「…」 

 

カヤ「その様子だと知らないのね。確かめてみれば?」 

 

サン「…アシタカ、じっとしていろ。一瞬で済む」 

 

アシタカ「ま、待てサン! 待って…きゃああああああああああああ」 

 

サン「内股にほくろ、内股にほくろ…。…あった」 

 

アシタカ「きっと幼い頃一緒に水浴びしてたときに見たとかそういうことだ! 私は潔白だ!」 

 

サン「…ごめん、アシタカ。私もお前を信じたい。だけど私にはもうわからない。何が本当で何が嘘なのか…。 

こうなってしまっては、全てをはっきりさせる方法は一つしかない」 

 

アシタカ「サン…?」 

 

サン「その女の腹を開く」 

 

サン「腹を開いて赤子がいなければ良し。いても二人とも始末できて良しだ」 

 

アシタカ「お落ち着け! 悲しみの向こうへと辿り着いては駄目だ!」 

 

カヤ「兄様、私とおなかの子を庇ってくれるんですね…。でも安心してください。山猿などに遅れは取りません」 

 

アシタカ「カヤ、今なら間に合う…。腹に子がいるなんて冗談だと言ってくれ…!」 

 

カヤ「冗談? 何が冗談なんですか? 兄様は私の許嫁…。そうでしょう?」 

 

アシタカ(だ、駄目だ…。もう私の声は届かない…。…誰か助けてくれ…。私をこの場から救ってくれ…! 誰でもいい。 この場の流れを変えてくれるなら、悪魔でも…!) 

 

猩々たち「wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」 

 

アシタカ(誰でもいいとは思ったけどお前らは帰れよ…) 

 

「ちょっと待ったぁっ!」 

 

アシタカ「お、お前は…甲六!」 

 

甲六「お困りのようですね、旦那! 一部始終見させていただきやしたぜ!」 

 

カヤ「…誰ですか?」 

 

サン「たたら場の牛飼いか」 

 

甲六「旦那、それと嬢ちゃんたち。この場をきれいに収める方法が一つだけあるぜ」 

 

カヤ「へぇ?」 

 

サン「聞かせてみろ」 

 

甲六「旦那が一度言ったとおり、三人で仲良く暮らせばいいのさ。この時代、一夫多妻なんてそう珍しいもんじゃねえ。 

何も男一人に女一人なんて決まりはねえのさ!」 

 

アシタカ「甲六…っ。私は実は今までお前のことを役立たずだと思っていたし、実際そうだったけど、 

たまにはいいことを言うじゃないか!」 

 

甲六「へへっ…。それほどでもあるぜ?」 

 

「それでいいわけあるかい、この馬鹿!」 

 

甲六「げぇっ、おトキ!」 

 

トキ「殿さまじゃあるまいし、そんな男に都合がいい理屈が通るわけないだろう! 

ましてや偉さに男も女もないこのたたら場で!」 

 

甲六「いて、いでで! 堪忍してくれえ。俺には一生縁の無い話だから、つい口走っちまったんだ! 

もう二度としねえよぉ。すまねえ、旦那。もう味方してやれねえ」 

 

アシタカ(甲六、何をやってる! ふざけるなあああああああああああああ!!) 

 

トキ「アシタカさまもアシタカさまだよ! あんたがはっきりしないから、こんなに話が拗れたんだ。 

男ならどっちを嫁にするか、ここできっぱりと口にしな!」 

 

サン「そうだぞアシタカ、この女に言ってやれ。こんな所まで付きまとわれて、いいかげん迷惑だってな」 

 

カヤ「兄様、これ以上優しくしてあげる必要はありません。教えてあげましょうよ。体臭きつくてそばにいるの辛いって」 

 

アシタカ「わ、私は。私は…」 

 

アシタカ(どうしてこんなことになった…。私が何か悪いことをしたか? 

いや、たしかにカヤから貰った小刀をサンに贈ったのは、褒められることではないかもしれない。 

だが、カヤとは二度と会うこともないと思っていたし、実際そうなら何も問題はなかっただろう? 

ここまで追ってくるなんて考えられるか。ああ、面倒くさい。何故こんなにも頭を悩ませなくてはいけないのか。 

女なんてこりごりだ。旅に出たい。知ってる人が誰もいない所で静かに暮らしたい。ヤックルに乗って…) 

 

 

アシタカ「…そうだ。ヤックルだ」 

 

サン「アシタカ?」 

 

アシタカ「もうさ、ヤックルさえいればそれでいいと思うんだ。だってヤックルってかわいいし、優しいし、 

私のことを絶対に裏切らないだろう? 私にはヤックルがいればいいし、ヤックルには私がいればいい。 

私とヤックルだけの世界はこんなにも平和だ」 

 

カヤ「あ、兄様…」 

 

サン「そ、それはつまりヤックルを妻にするということか?」 

 

アシタカ「うん」 

 

サン「気を確かに持て! お前は人間でヤックルはアカシシだぞ! 人間がアカシシを妻にできるか!」 

 

アシタカ「わからない…。だが共に生きることはできる!」 

  

おトキ「アシタカさま、結論を急がせた私が悪かったよ。だから少し休もう? ね?」 

 

アシタカ「いや、むしろ何故今までこの結論に至らなかったかの方が不思議だ。…ヤックルー!」 

 

ヤックル「?」 

 

アシタカ「そなたは美しい」 

 

ヤックル「!?」 

 

アシタカ「どうした、ヤックル…。何を怯えている…?」 

 

ヤックル「」ガタガタ 

 

アシタカ「怖くない…。怖くない…。…ね?」 

 

ヤックル「っ!」ダッ 

 

アシタカ「…ヤックル…どこへ行く…? 私を裏切るのか? ヤックル…。ヤックルゥゥゥゥゥゥゥゥ!!」 

 

甲六「だ、旦那ぁっ! 正気に戻ってくだせえ!」ガシッ 

 

アシタカ「うるさいっ! 私は正気だ! 私を解き放て!」 

 

サン「やめろアシタカっ!」 

 

カヤ「兄様! しっかりしてぇ!」 

 

アシタカ「押しとおおおおおおおおおおおる!!!」 

 

 

アシタカは三人を振り切ると、ヤックルを追って草原の彼方へと駆けていった。 

 

アシタカとヤックルはたたら場にもシシ神の森にも戻らず、その後どうなったのかは、行方すら知る者はいない。 

 

 

 

 

 

 

 

 

元スレ

カヤ「兄様! 誰ですかその女は!」

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