アニメssリーディングパーク

おすすめSSを当ブログで再編集して読みやすく紹介! 引用・リンクフリーです

結衣「ゆ、結衣って....呼んで...ほしいかな....なんて」【俺ガイルss/アニメss】

 

「……きー。……っ……」

 

八幡(なにか……きこえる)

 

「……ヒッ……」

 

「おちつき………さん………」

 

八幡(……呼ばれてる?)

 

八幡「ん……」

 

??「ヒッキー!?大丈夫!?」

 

??「……比企谷くん。……全く驚かせないで頂戴」

 

八幡「え……」

 

??「どうしたの?ヒッキー」

 

八幡「す、すいません」

 

??「……?比企谷くんらしくない反応ね」

 

八幡「あ、あの……どちら様ですか?」

 

??「……え?」

 

??「な、なにいってるの?冗談……だよね?」

 

八幡「あ、いえ……その」

 

八幡(不味い……何かこの女の人泣きそうになってる。つか、可愛いなこんな人知り合いにいたか?いや、俺は知り合いがいないんだった)

 

??「……由比ヶ浜さん。少し落ち着いて」

 

??「で、でも!」

 

??「……比企谷くん」

 

八幡「は、はい」

 

??「私の事に見覚えはあるかしら?」

 

八幡(……こんな黒髪ロングすれ違ったら絶対目で追ってしまいその後通報されるまでセットだな。通報されるのか……)

 

八幡「……すいません。覚えていません」

 

??「……そう。なら自己紹介からね。私は雪ノ下雪乃。彼女は由比ヶ浜結衣さんよ」

 

結衣「……」ペコッ

 

八幡「あ、ども」ペコッ

 

雪乃「由比ヶ浜さん。平塚先生を呼んできて頂戴」

 

結衣「う、うん!」タタタッ

 

雪乃「……さて、その間にいくつか比企谷くんに質問するわ」

 

八幡(な、なんなんだこの状況は……何が何だかわからんぞ。助けてくれ小町。……小町ってだれだ?)

 

八幡「え、えーっと……」

 

八幡(えっと、何て呼べばいいんだ?雪ノ下さんか?)

 

八幡「ゆ、雪ノ下さん」

 

雪乃「……」

 

八幡「え、何でそんな嫌そうな顔を……」

 

八幡(あ、あれ?何かやらかしたか?つうかこんな露骨な顔されるとは普段の俺なにしてんだよ……)

 

雪乃「ご、ごめんなさい。貴方にさんをつけられると寒気が走ったわ、やめて頂戴」

 

八幡(ええー……それってつまり名前を呼ぶなってことですか?)

 

雪乃「あ、いえ、その、別に嫌な訳じゃないのよ?ただ、その……」

 

八幡(あ、あれ、今度は何かどんどん俯いていってるぞ)

 

八幡「すいません。状況が掴めないんですけど……説明をしてもらってもいいですか?」

 

雪乃「そうね。平塚先生が来るまでに私たちのことやあなたの事を軽く説明するわ」

 

八幡「お願いします」

 

 

八幡「え?高校生?」

 

雪乃「そうよ。ここは奉仕部の部室。私と貴方。そしてさっき走っていった彼女と合わせて三人の部活動よ」

 

八幡「前の俺こんな可愛い人達と過ごしてたのか……」

 

雪乃「……ひ、比企谷くん、声に出てるわよ」

 

八幡「へ?あ、え、えっと」

 

雪乃「……いいわ、説明を続けるわよ?」

 

八幡「は、はい」

 

雪乃「私と由比ヶ浜さんがたまたま出会って部室に来たら貴方が倒れていたのよ」

 

八幡「倒れていた?」

 

雪乃「ええ。それで貴方が目が覚めたらこんな状態だったのよ。何か覚えてないかしら?」

 

八幡「いえ……何も」

 

雪乃「……そう。とりあえず平塚先生……この部の顧問が来たら病院に行きましょう。なにか質問は?」

 

八幡「あの、小町って言う人を知りませんか?」

 

雪乃「!覚えているの?」

 

八幡「い、いえ、頭の中に単語みたいに思い浮かんだだけなんですけど……」

 

雪乃「そう……小町さんは貴方の妹よ。流石シスコンね」

 

八幡「え。シスコン?」

 

雪乃「ええ。貴方はシスコンだったわよ」

 

八幡(まじかよ……小町ってどんな人なんだろ……)

 

結衣「ゆきのん!先生よんできたよ!」

 

平塚「おいおい、何だ何だ。大変な事が起きたときいたんだが」

 

雪乃「先生実は……」

 

 

平塚「……それは本当か?比企谷」

 

八幡「す、すいません」

 

平塚「いや、気にすることはない。とにかく車を回そう。外で待っていてくれたまえ」

 

結衣「大丈夫?ヒッキー」

 

八幡「あ、どうも。えっと……」

 

八幡(な、何て呼ぼう。さっき雪ノ下さんにはさん付けしたら酷いこと言われたし……)

 

八幡「どうも……えっと由比ヶ浜さん」

 

結衣「……う。ヒッキーにさん付けされた……」

 

八幡(またドン引きされたぞ。どうなってんだよ俺。どんだけ酷い評価なんだよ……)

 

結衣「……そ、その」

 

八幡「え?」

 

結衣「ひ、ヒッキーさえよかったら……ゆ、結衣って……呼んで……ほしいかな……なんて」カァァァ

 

八幡(え、なにこの可愛い人。こんなのと正面から話してたの?どうなってんの記憶がなくなるまえの俺)

 

八幡(し、しかし本当にいいのか?)

 

八幡「……じゃあ……ゆ、結衣……で」

 

結衣「……う、うん」カァァ

 

八幡(ちょ、マジで恥ずかしいんだけど……顔紅くなってないかな……)

 

雪乃「……」チョンチョン

 

八幡「へ?ゆ、雪ノ下さん。どうしました?」

 

雪乃「……」ピクッ

 

八幡(あ、あれ。何かスイッチ押しちゃった?)

 

雪乃「由比ヶ浜さんは名前で呼んで私にはさん付けなの?」

 

八幡「ええー……じゃあ雪乃って呼べばいいんですか?」

 

雪乃「嫌よ。比企谷くんに名前で呼ばれるなんて絶対に嫌よ」

 

八幡(二回言わなくても……)

 

結衣「ま、まぁまぁ。ゆきのん。平塚先生車で待ってるよ」

 

雪乃「……そうね。行きましょう」

 

 

八幡「……」ガチャ

 

平塚「大丈夫か?比企谷」

 

八幡「え、ああ。はい」

 

平塚「しかし、助手席じゃなくても後ろで由比ヶ浜たちと話しても良かったんじゃないか?」

 

八幡「まぁ……そうなんですけど」

 

八幡(何か勝手に身体が助手席に向かったんだよな)

 

平塚「……まぁいい。とりあえず君のご両親と妹さんには連絡を入れておいた。すぐに来るそうだ。君の方からなにか質問はあるかな?」

 

八幡「質問ですか……」

 

八幡「今って何年の何月何日ですか?」

 

平塚「おお。まるでどっかの主人公みたいだな」

 

八幡「茶化さないで下さいよ」

 

平塚「20xx年の11月16日だ。最近あった行事といえば修学旅行や生徒会選挙だな」

 

八幡「……20xx年」

 

八幡(やっぱりだめだ……全然思い出せない)

 

平塚「ふむ。君は自分のことも何も覚えていないのか?」

 

八幡「はい……」

 

平塚「……そうか。まぁ気になることがあれば何でも聞いてくれ。私に答えられる範囲で答えよう」

 

八幡「……俺ってどんなやつだったんですか?」

 

平塚「君か……んー一言で言うなら優しい奴だったよ。優しすぎるとも言えるかもしれない」

 

八幡「え。そうなんですか」

 

八幡(そんな奴だったのに二人からあの扱いなのか……訳がわからんぞ)

 

平塚「……君のおかげで救われた人も少なくない」

 

八幡「……」

 

八幡(まえの自分が人を救った……?なんだ、すげぇお人好しだな)

 

平塚「他にもあるかね?もうすぐ病院だ」

 

八幡(……どうしようか。あと一つぐらい話を聞く時間はあるのかもしれないし)

 

八幡「友達とかいなかったんじゃないですか?」

 

平塚「ふむ。何でそう思ったのかね?」

 

八幡「それは……何となく……としか」

 

八幡(実際説明はできない。でも何となくそんな感じがした)

 

平塚「……そうだな。確かに友達は多くなかった」

 

八幡「……」

 

平塚「だが……少なからず君には友達がいたよ。まぁ君は否定していたがね」

 

八幡「……」

 

平塚「男友達なら戸塚や材木座、葉山もか?女友達なら後ろの二人や他にも川崎や一色、まぁ三浦もか」

 

八幡「……結構いるんですね」

 

平塚「……ああ。よし着いたぞ」

 

八幡「あ、はい」

 

??「お兄ちゃん!」タタタッ

 

八幡「へ?え、えっと……」

 

??「大丈夫!?記憶喪失なんて嘘だよね!?」

 

八幡「あ、あの……」

 

八幡(とにかく落ち着かせよう……えーっとどうすれば)

 

八幡「……結婚してください」ガシッ

 

??「ふぇ?ええええ!?」

 

八幡(いかん、さらに悪化したぞ)

 

結衣「ひ、ヒッキー!?」アワアワ

 

八幡(何か、後ろも慌て出したぞ……これは不味い)

 

八幡「す、すまん冗談だ」

 

結衣「も、もう!ヒッキー!変なこといったらだめだよ!」

 

八幡「ご、ごめんって結衣」

 

結衣「あ、あぅ……い、いいけど」カァァァ

 

??「ゆ、結衣!?え?え!?」

 

八幡「えーっと……」

 

八幡(さっき俺のことをお兄ちゃんって言ってたし……この子が妹か)

 

八幡「こ、小町?」

 

小町「わかるの!?」

 

八幡「あ、いや、話を聞いてただけで……ごめん」

 

小町「そ、そう」シュン

 

八幡「……ごめん」

 

小町「ううん。大丈夫!お兄ちゃんのことだから直ぐに治るよ。うん」ニコッ

 

八幡「……」

 

平塚「それじゃ小町さん。親御さんももうすぐ来るそうだし任せていいかね?」

 

小町「はい。お任せください」

 

八幡「あ、わざわざありがとうございました」

 

平塚「なに、当然のことをしたまでだ」

 

平塚「由比ヶ浜、雪ノ下我々はそろそろ戻るぞ。診断に時間もかかるしな」

 

雪乃「そうね」

 

結衣「……」

 

雪乃「……由比ヶ浜さん?」

 

結衣「あ……その、……ううん。何でもない」

 

雪乃「?」

 

八幡(結衣がこっちをチラチラみている。何か言った方がいいのかな?)

 

八幡「どうした?何かあったのか?」

 

結衣「え?そ、その……ヒッキーを一人置いていくのが……その……嫌っていうか……寂しく……ない?」

 

雪乃「由比ヶ浜さん……」

 

結衣「だって……周りの人が皆知らない人って……心細いっていうか」

 

八幡(……優しい人なんだな。優しいっていうのはこういう人のことを言うんだろう)

 

小町「どうする?お兄ちゃん。結衣さんにもいてもらう?」

 

八幡「じゃあ、お願いします」

 

結衣「うん!」

 

小町「あ、じゃあ小町はお父さんたちが来たら家に帰るね。お兄ちゃんの服取りにいかなきゃだし。結衣さんが居るなら安心だしね」

 

結衣「うん!任せといて!」

 

雪乃「私は一度戻るわ。由比ヶ浜さんの鞄も学校だしね」

 

結衣「あ、ごめんね。ゆきのん」

 

雪乃「いいわよ。由比ヶ浜さんは比企谷くんについていてあげて」

 

結衣「うん!」

 

「比企谷さん。お待たせしました。検査を開始します」

 

八幡「あ、はい」

 

小町「あ、それじゃ小町も。平塚先生ここまでありがとうございました」

 

八幡「ありがとうございました」

 

平塚「いや、また一度戻って来る。安静にしておくんたぞ?」

 

八幡「はい」

 

雪乃「それじゃあね。比企谷くん」

 

八幡「はい」

 

八幡(雪ノ下さんにもお礼を言っておいた方がいいよな。あ、でも俺雪ノ下さんに嫌われてるし……)

 

 

八幡(やっぱお礼はしっかり言わないとな)

 

八幡「雪ノ下さん!わざわざありがとうございました!」ビシッ

 

雪乃「……どうしたのかしら急に。気持ち悪いわよ?病院では静かにしなさい大声を出すと身体に響くわ」

 

八幡「ご、ごめんなさい」

 

八幡(おい。ますます評価を下げたんじゃないのかこれ。堂々と気持ち悪いとか言われたぞ)

 

雪乃「また後で」

 

八幡「あ、はい」

 

その後多くの精密検査を受けました

 

 

病室

 

八幡「2、3日入院……か」

 

八幡(両親とはさっき出会った。かなり心配されたが小町がなんとかしてくれた。今は俺の着替えを取りに行っている)

 

結衣「仕方ないよ……」

 

八幡「……そうですね」

 

結衣「……」

 

八幡「……」

 

八幡(結果二人きりなんだが……何喋ればいいんだろ……)

 

八幡「前の俺って……どんな感じだったんですか?」

 

結衣「へ?ヒッキーはヒッキーだよ?」

 

八幡「あ、いや、そうじゃなくて」

 

結衣「へ?……あ!そういうことか!わ、わかってたよ!うん!」

 

八幡(結衣は少しアホの子なのか)

 

結衣「んーヒッキーはねぇー。優しかったかな」

 

八幡(また言われた)

 

結衣「言ってることは滅茶苦茶なんだけど……でも、何時も一生懸命で……バカで鈍感でいっつも悪いことしか考えてなかったよ!」

 

八幡(途中から罵倒になってたんですがそれは……)

 

結衣「私はそんなヒッキーが大好きだったよ……」

 

八幡「へ?」

 

結衣「……はっ!?ち、違う!違うよ!友達としてって意味だからね!」アワアワ

 

八幡「あ、は、はい」

 

結衣「そ、それより、ヒッキー」

 

八幡「なんですか?」

 

結衣「敬語、やめて?」

 

八幡「え?」

 

結衣「だめかな?……何て言うか違和感があるっていうか……」

 

八幡「……わかった」

 

結衣「うん!ありがと!」

 

八幡(さて、他にも何か聞こうかな?)

 

八幡「俺って友達少ないんだよな?」

 

結衣「ええ!?うぅー答えにくい質問だよぉ」

 

八幡「その時点でほぼ答えなんだが……」

 

結衣「うぇ!?うー。確かにそうかも」

 

八幡「……それで、どうなの?」

 

結衣「んー。友達は少なかったよ。でも、彩ちゃんとか中二とかとは仲が良かったよ!」

 

八幡「えと……誰ですか?」

 

結衣「あ、そっか……えーっと。そうだ!明日連れてくるよ!」

 

八幡「へ?」

 

結衣「その方がヒッキーも何か思い出すかもだし」

 

八幡「そうですね……」

八幡(どうしようか?)

 

 

八幡「お願いします」

 

結衣「うん。任せて♪」

 

八幡(さて、話題がなくなったけどどうしようかな?)

 

八幡(……俺は友達は少ない、ろくでもないやつ、それなのにこの人は何でこんなに親切なんだろ?)

 

八幡「結衣は恋人いるの?」

 

結衣「へ!?あ、あたし!?」

 

八幡「あ、いや、可愛いからいると思って、ごめん。答えづらかったらいいから!」

 

結衣「か、かわ!?」カァァァ

 

八幡(おおー喜怒哀楽が凄い分かりやすい子だな。顔真っ赤だ)

 

結衣「そ、その、付き合ってる人はいない……よ」

 

八幡「?」

 

結衣「す……好きな人なら……いるけど」

 

八幡「あ、片思いってやつですか?」

 

結衣「う、うん」

 

八幡「結衣さんなら大丈夫ですよ。優しいし可愛いし」

 

結衣「あぅ……そ、その!可愛い禁止!」

 

八幡「へ?」

 

結衣「き、禁止ったら禁止!」

 

八幡(何故か怒られてしまった)

 

コンコン

 

いろは「先輩!」ガチャ

 

八幡「……え?」

 

結衣「ふぇ?あ、いろはちゃん!やっはろー!」

 

いろは「はぁ……はぁ……あ、結衣先輩やっはろーです。」

 

いろは「先輩、大丈夫なんですか」

 

八幡「え?えっと……どちら様ですか?」

 

いろは「……ほほぉ。このいろはちゃんを忘れるとはいい度胸してますねー」ジトッ

 

八幡(なにこの子怖いんだけど)

 

結衣「まぁまぁ。いろはちゃん」

 

いろは「……ふぅ。まぁいいです。無事なら。えっと、一年の一色いろはです。よろしく?ですかね?」

 

八幡「あ、はい。よろしくです」

 

八幡(てか、一年からもこんな扱いなのか俺は)

 

八幡(えーっと……呼び方はどうすればいいんだ)

 

八幡「よろしくです。一色さん」

 

いろは「……」

 

八幡「……」

 

いろは「……」

 

八幡「え?あの?」

 

いろは「……うぇ……吐きそう」

 

八幡「なんでだよ!」

 

いろは「気持ち悪いのでやめてください」

 

八幡「……ええー」

 

八幡(どーすんだよ。何て呼べば気がすむんだ)

 

八幡「それじゃいっちゃんで」

 

いろは「殺しますよ?」ニコリ

 

八幡「こわっ!」

 

八幡(なんなのこの子。笑顔で殺すとか怖すぎでしょ)

 

いろは「まぁ冗談ですよ。元気そうで安心しました」

 

八幡「……いっちゃん」

 

いろは「今すぐ息の根を止めますよ?」

 

八幡「ごめんなさい」

 

いろは「まったく……でもよかったです。本当に」

 

八幡「……」

 

いろは「これで、溜まりに貯まった借りを返してもらえますからね」

 

八幡「……は?」

 

いろは「いやー。先輩には生徒会長にさせられた責任とか手を出した責任とか色々と返してもらわないといけないことが沢山あるので!」

 

いろは(まぁ全部嘘だけど♪)

 

八幡「ええ……なんだそれ」

 

八幡(俺はそんなことまでしているのか……)

 

八幡「ご、ごめんな?必ず責任とるから」

 

いろは「……え」

 

八幡「退院して学校に戻ったら何でもするから」

 

いろは「あ、いや、その」

 

いろは(あ、あれー。先輩もしかして記憶なくして性格が変わった?)

 

結衣「もー。いろはちゃん?嘘はそれぐらいにしなよ?」

 

いろは「す、すいません」

 

八幡「え?嘘なの?」

 

いろは「……はい。ごめんなさい」

 

八幡(……んー。何て答えようか)

 

八幡「俺の彼女になれば許すよ」

 

いろは「は?何言ってるんですかキモいです」

 

八幡「一瞬で粉々に振られた……」

 

結衣「ヒッキー……」ウルウル

 

八幡「いや、結衣も何で涙目なんだよ……」

 

いろは「先輩サイテー」

 

八幡「ええー」

 

八幡(どうする。結衣が泣きそうだ)

 

八幡「ゆ、結衣」ギュッ

 

結衣「ふぇ!?ひ、ひひひ、ヒッキー!?」カァァァ

 

いろは「ちょ、何やってるんですか変態」

 

八幡「あ、いや、何か結衣が泣きそうだったからつい。すまん」

 

結衣「あぅ、あぅあぅ」プシュー

 

ガラガラ

 

葉山「やぁ。比企谷くん」

 

八幡「え?誰だ?」

 

いろは「葉山先輩!」

 

結衣「あ、隼人くん」

 

葉山「……本当に記憶喪失なのか」

 

八幡「は。はぁ」

 

葉山「あ、これ。お見舞いの品。フルーツだけど」

 

八幡「ど、ども」

 

葉山「ああ。自己紹介しておこうか。葉山隼人。君と同じクラスメイトだ」

 

八幡「はぁ。どうもご丁寧に」

 

八幡(えーっと何てよんだらいいんだ)

 

八幡「よろしく。葉山さん」

 

結衣「ぶっ」

 

いろは「……」ピクピク

 

葉山「あ、あはは……」

 

八幡「……?」

 

コンコン

 

戸塚「こ、こんにちは」

 

八幡(……あれ?また可愛い子がきたな)

 

結衣「あ、彩ちゃん!やっはろー!」

 

戸塚「やっはろー。八幡。大丈夫?」

 

八幡「え?あ、はい。大丈夫です」

 

戸塚「そっか。あ、僕は戸塚彩加。よろしくね?」

 

八幡「は、はぁ。よろしく」

 

結衣「あ、ちなみに彩ちゃんは男だからね?」

 

八幡「何いって……え?まじ?」

 

戸塚「う、うん」

 

八幡(ええー……マジかよ神様おかしいでしょう)

 

八幡「えーっと」

 

八幡「よろしく戸塚さん」

 

戸塚「あ……うん」

 

八幡(何か少し悲しそうな顔をしたな)

 

その後両親が帰ってきてお開きとなった

 

 

翌日

 

八幡(病院って暇だな……)

 

八幡「気分転換に屋上にでも行ってみようかな」

 

八幡(屋上から見る景色はやっぱり知らない景色だった)

 

八幡(……どうなるんだろうな。これから)

 

キィィ

 

八幡(誰かきた?)

 

川崎「……」

 

八幡(目付き悪いな……美人だけど。元気そうだけど入院してるのかな?)

 

八幡「……」

 

川崎「……」ジー

 

八幡(あれ?もしかして見られてる?)

 

 

八幡「結婚してください」

 

川崎「……はぁ!?あ、あんた何いってんの!?」

 

八幡(うぉ……凄い怒ってるぞ。顔真っ赤じゃないか)

 

八幡「ご、ごめんなさい」

 

川崎「あ……こっちこそ大きい声だしてごめん。……記憶ないんだっけ?」

 

八幡「あ、はい。あれ?それじゃ俺の知り合いですか?」

 

川崎「ん。まぁそんなとこ。川崎沙希よろしく」

 

八幡「はい。よろしくです、沙希ちゃん」

 

川崎「……へ」カァァァ

 

八幡「え?」

 

八幡(やべまた怒らせた!?やっぱ馴れ馴れしかったかな)

 

川崎「その、や、やめて。恥ずかしいから」

 

八幡「ご、ごめんなさい」

 

川崎「……沙希」

 

八幡「え?」

 

川崎「沙希なら……いい」

 

八幡(なにこの人可愛い。こう言ってるし沙希って呼んでもいいのかな?)

 

川崎「……」モジモジ

 

八幡(何か言いたそうだ……こちらから話しかけようかな?)

 

八幡「沙希愛してるぜ」

 

【川崎、愛してるぜ】

 

八幡(え?今のは……?)

 

川崎「ま、またあんたはそう言うことを!」

 

八幡(……俺の記憶?)

 

川崎「ちょ、比企谷?大丈夫?」

 

八幡「へ?あ、ああ。大丈夫」

 

川崎「顔……真っ青だよ?」

 

八幡「大丈夫……大丈夫」フラッ

 

川崎「比企谷!」ガシッ

 

八幡(あれ……力入んない……)

 

川崎「――――」

 

八幡(ああ……大丈夫だから。そんなに心配そうにするなよ……川崎)

 

 

八幡「……あれ?」ガバッ

 

結衣「あ、起きた」

 

雪乃「こんにちは」

 

小町「大丈夫?お兄ちゃん」

 

八幡「病室……?」

 

八幡(夢だった……のか?確か沙希と出会ってそこで急に……意識が)

 

結衣「ヒッキー?本当に大丈夫?」

 

八幡「好きだ」

 

結衣「えええ!?な、なにが?てか誰が!?」

 

八幡「あ、いや、違う」

 

八幡(何でこんなこと言ってるんだ俺は)

 

八幡「さ、沙希は?」

 

結衣「へ?サキサキ?」

 

雪乃「……私たちが来たときに入れ替わりで帰ったわ」

 

八幡(夢じゃなかった……のか)

 

八幡(じゃああの時のあれも……?)

 

結衣「大丈夫?」

 

八幡「うん。もう大丈夫」

 

結衣「あ、そういえばヒッキー明日には退院なんだって?おめでとう」

 

八幡「あ。はい。ありがとうございます」

 

雪乃「……それじゃ、比企谷くんも目覚めたし私たちは帰りましょうか?」

 

結衣「そうだね!それじゃヒッキーまた明日」

 

雪乃「お大事に」

 

八幡(何か別れ際に言おうかな?わざわざ見舞いにきてくれたんだし)

 

八幡「あ、その」

 

雪乃「?」

 

結衣「へ?」

 

八幡「あ、ありがとう……な」ポリポリ

 

結衣「ヒッキー……」

 

雪乃「……比企谷くん」

 

結衣「当然だよ!」ニコッ

 

雪乃「……ええ。同じ奉仕部ですもの」

 

八幡「……ありがとう」

 

 

小町「お兄ちゃんはいい友達が出来たね……本当に」

 

八幡「……そうだな」

 

八幡(そういえば……小町とはバタバタしてまともに話をしてないんだよな)

 

八幡(何か話をしようかな?)

 

八幡「なぁ、小町」

 

小町「なーに?お兄ちゃん」

 

八幡「普段の俺ってどんな感じだったんだ?」

 

小町「普段のお兄ちゃん?んー。ぐーたらでやる気なくてダメダメで捻デレでとにかくダメダメなお兄ちゃんだったかな」

 

八幡(ダメダメが二回もあるんだが、てか捻デレってなんだよ)

 

八幡「そ、そうなんだ」

 

小町「でも、そんなお兄ちゃんが小町は好きだったよ。……大好きだったんだ」

 

八幡(……震えてる……)スッ

 

小町「ふぇ?」

 

八幡「……」ナデナデ

 

小町「……お兄ちゃん」

 

八幡(……早く記憶取り戻さないとな)

 

 

翌日

 

昼前に無事退院

 

八幡(一息ついたし何処かに行こうかな?)

 

平日 13:20

 

八幡「よし、ムー大陸に行こう」バタバタ

 

八幡「……いや、現実的に無理だろ……金無いし……」

 

荷造りに時間をとられた

 

 

時刻14:20

 

八幡「よし、行くか」

 

八幡(国内ならいけるだろ)

 

八幡「書き置きもしておいたしバッチリだな」

 

駅前通

 

??「あれ?比企谷くん?」

 

八幡(誰だこのグラマーなお姉さん。何故か寒気がするぞ)

 

??「おーい、お姉さんを無視するなんてだめだぞぉー?」

 

八幡「あ、えっと、その」

 

事情を説明しました

 

??「ええ!比企谷くん記憶喪失なの!?」

 

八幡「は、はい」

 

??「そっかー。なら自己紹介からだね」

 

陽乃「初めまして。比企谷くんの彼女で雪乃ちゃんの姉の雪ノ下陽乃です♪」

 

八幡「ご丁寧にどうも……え?恋人?」

 

陽乃「そうなのです♪」

 

八幡「え、まじ?」

 

八幡(ええー。いくらなんでも冗談だろ?こんな美人が俺の彼女とかないない)

 

陽乃「陽乃って呼んでね♪」

 

八幡(ど、どうする?何て呼べばいい?)

 

八幡「は、陽乃……」カァァァ

 

陽乃「え」ドキッ

 

八幡「どうしました?」

 

陽乃「あー。ううん。何でもないよ♪八幡はこれから何するの?」

 

八幡「あ、京都に行こうかと」

 

陽乃「そんなんだ!実は私もなんだー。一緒にいく?」ニコッ

 

陽乃(……京都に行くのは嘘だけど)

 

八幡(ど、どうしよう。冗談で言ったんだけど……明日は学校だし……)

 

八幡(……デート。そうだ。恋人ならデートしてもおかしくないし……いや、流石に恋人は冗談か?まぁ、それでうやむやにすれば家に帰れる!)

 

八幡(でも、どこに誘えばいいんだ?)

 

陽乃「どうしたのー?」

 

八幡(んー何処がいいんだろうか……)

 

時刻15:30

 

八幡「陽乃……さん」カァァァ

 

陽乃(か、可愛い。このままじゃ本気になっちゃうかも)

 

陽乃「なぁに?」

 

八幡「そ、その、ららぽーと行きませんか?買いものに」

 

陽乃「あれ?京都は?」

 

八幡「……すいません実は冗談です」

 

陽乃「あはは。知ってるよー。いいよ。行こっか♪」

 

八幡「あ、はい」

 

八幡(凄いな。こんなにニコニコしてて、可愛くて優しい人が知り合いだったのか俺は。……でも何でこの人に会ったとき寒気がはしったんだろ?)

 

陽乃「お。そうだ」

 

八幡「?」

 

陽乃「恋人らしく。手でも繋ぐ?」ニコッ

 

八幡「な……」カァァァ

 

八幡(……いくしかない)

 

八幡「……」スッ

 

陽乃「……」スッ

 

八幡(この人の手……温かいな)

 

陽乃「ふふっ……本当に恋人みたいだね」

 

八幡「あ、やっぱり冗談だったんですか?」

 

陽乃「ごめんね。あまりにも比企谷くんが前と違ったからつい」

 

八幡「……前の自分」

 

陽乃「……でも、お姉さんは今の比企谷くんも好きだよ♪」

 

八幡「……」

 

陽乃「……どうしたの?」

 

八幡(初めて……自分を認めてもらえた。記憶を失った後の俺が……初めて)

 

陽乃「大丈夫?」

 

八幡「……大丈夫です。行きましょうか」

 

陽乃「……そうだね♪行こっか」

 

ららぽーとで楽しく遊んだ

 

 

18:00

 

八幡(……本屋か)

 

八幡(何故か立ち止まってしまった……でも時間も遅いしどうしようか?)

 

八幡(少し懐かしい気分だ……前に来たことがある?)

 

雪乃「あら?」

 

八幡「あ、雪ノ下さん」

 

雪乃「……雪ノ下でいいわよ」

 

八幡「そ、そう?」

 

雪乃「ええ」

 

八幡(前すっごく言われて少しトラウマだわ)

 

八幡「雪ノ下は本が好きなんだ?」

 

雪乃「ええ。貴方は?」

 

八幡「俺は……どうなんだろ?前の俺は好きだったのかもしれない」

 

雪乃「私は今のあなたに聞いているのよ?」

 

八幡「……俺は、どうなんだろうな」

 

雪乃「……ゆっくり自分を見つければいいわ」

 

八幡「自分を……見つける」

 

雪乃「ええ。それじゃあね比企谷くん。また明日」

 

八幡「……はい」

 

その後本を数冊買って帰宅した

 

 

八幡「ん……朝か」

 

八幡「朝の五時かよ……なんつー時間だ」

 

八幡(二度寝しようかなぁ……それとも起きて何かしようか)

 

八幡(朝の五時だぞ……いいのか?いや、常識的に考えて駄目だろ……)

 

八幡(目……覚めたな。外散歩行ってみるか?)

 

 

八幡「結構歩いたな」

 

ワンワンッ!

 

八幡「え?うおっ!?」

 

結衣「さ、サブレー!ごめんなさい!うちのサブレが!ってヒッキー」

 

八幡「あ、結衣」

 

結衣「ごめんね?サブレ、ヒッキーに凄くなついてるんだ」

 

八幡「サブ……レ」

 

八幡【お前のこと知ってて助けた訳じゃない】

 

八幡「……って」ズキッ

 

結衣「どうしたの!?大丈夫?」

 

八幡「……あ、いや、何でもないよ」ニコッ

 

結衣「……」

 

八幡(今のは……前と同じ?)

 

結衣「ヒッキー本当に大丈夫?」

 

八幡(……どうしようかな。もう少し何か話してもいいかも)

 

八幡「可愛い犬だな……毎日散歩してるの?」

 

結衣「うん。……でも、私のせいでヒッキー事故にあっちゃったんだ……」

 

八幡「事故?」

 

結衣「……うん。私がリードを離したせいで……サブレが車道に飛び出して……たまたま通りかかったヒッキーがサブレを助けてくれて……それで……」

 

八幡「……そうだったんだ……もう飛び出しちゃだめだぞ?サブレ」ナデナデ

 

サブレ「くぅーん」

 

八幡「こ、こら、舐めるな。くすぐったいだろ?」

 

結衣「……ごめんね」ボソッ

 

八幡「気にするなよ。結衣」

 

結衣「で、でも……」

 

八幡「俺は今生きてるし。それでいいじゃん」ニコッ

 

結衣「……ヒッキー」

 

八幡(さて、そろそろいい時間だし、どうしようかな?)

 

八幡「あ、あのさ、結衣」

 

結衣「へ?なにかな?」

 

八幡「今日の放課後……空いてるか?」

 

結衣「え?部活だよ?どうかしたの?」

 

八幡(そうだった……部活だったんだ)

 

結衣「ヒッキー?」

 

八幡「ああ。いや、何でもないんだ」

 

八幡「それじゃ、時間もあれだしこれぐらいで」

 

結衣「うん!また後でねー!ヒッキー」

 

八幡「ん。バイバイ」

 

 

八幡(やばい。思ったより帰るのに時間かかった。)

 

八幡(ギリギリだな。と、あれは)

 

八幡「おう。ギリギリだな。一色さん」

 

いろは「あ、先輩!丁度良いところに!乗せてください!」

 

八幡「ちょ。あぶね!」

 

いろは「ほらほら!転けないでくださいね」

 

八幡(重いとか言ったら殺されるかなぁ……殺される気がするなぁ)

 

八幡「しっかりと捕まっとけよ」

 

いろは「はい♪」

 

 

八幡「ま、間に合った……」

 

いろは「ありがとうございました!先輩!それじゃ!」ピュー

 

八幡「ちょ、俺は置いてくのかよ……」ゼエゼエ

 

結局遅刻しました

 

 

結衣「あ、おはよーヒッキー」

 

八幡「おはよう。結衣」

 

ザワ

 

八幡(え。何か一斉に見られたんだけど)

 

戸塚「おはよー八幡」

 

八幡「あ、おはよう」

 

戸塚「うん」

 

川崎「おはよ」

 

八幡「おはよ。沙希」

 

ザワザワ

 

八幡(また?何でだ?)

 

川崎「……」プイッ

 

八幡「あれ?」

 

結衣「さきさきをヒッキーが沙希って呼んでる……手強いライバル出現かなぁ」

 

八幡「?」

 

八幡(てか、さっきからどんだけ見られてるんだ俺は)

 

??「ヒキオー。あんた大丈夫なわけ?」

 

八幡(え、だれこの滅茶苦茶怖い金髪の人。ヒキオって俺か?てか、結衣のヒッキーも意味がわからんな)

 

??「あれ?やっぱ本調子じゃないわけ?」

 

八幡「あ、いや。大丈夫だ。ごめん。えーっと……」

 

三浦「あー。ごめん。あーしは三浦優美子」

 

八幡「わざわざすいません。三浦さん」

 

三浦「……別に」

 

八幡「……俺の席何処だ……」

 

結衣「あ、ヒッキーはそこだよ」

 

八幡「ありがとう。結衣」

 

三浦「……結衣?」

 

八幡「?」

 

結衣「あ、あはは」

 

 

昼休み

 

八幡「お昼か」

 

八幡(んー。どうしよう?結衣と食べるか?)

 

結衣「ヒッキー」テクテク

 

八幡「どうした?」

 

結衣「いやー。そ、その。お昼……一緒に食べる?ほ、ほら、やっぱ一人で食べるより二人っていうし」

 

八幡「……そうだな。お願いするよ」

 

結衣「うん!」

 

結衣「それじゃ、行こっか」

 

八幡「へ?どこに?てか、俺パン買わないと……」

 

結衣「だ、大丈夫だよ!」

 

八幡(いや何がですか……俺に昼を食べるなということですか?)

 

八幡(あ、そういや小町が弁当作ってくれてたんだ)

 

八幡(何でパンとか言い出したんだ俺?……もしかして何時もはパンだったのか?)

 

八幡「待ってくれ。弁当とってくる」

 

結衣「へ?お弁当あるの?」

 

八幡「おう」

 

結衣「そ、そっか。」サッ

 

八幡「?」

 

 

結衣「ここだよー」

 

八幡(裏庭か?ちょっと寒いけどいい場所だな。何か落ち着く)

 

八幡「良いところだな」

 

結衣「ヒッキーよくここでご飯食べてたから」

 

八幡「そうなんだ」

 

八幡(さっき結衣は様子が変だったんだが……聞いてみるか?)

 

 

八幡「なぁ、結衣……っ!」ズキッ

 

結衣「ヒッキー!」

 

八幡「だ……大丈夫」ズキズキ

 

結衣「待ってて!保険の先生呼んでくる」タタタ

 

八幡(何で……急に)ズキズキ

 

八幡(ヤバい……頭……割れそう)ドサッ

 

「先輩?先輩!!」

 

 

八幡「……っ」

 

八幡「ここ……は?」

 

いろは「保健室ですよ」

 

結衣「大丈夫?ヒッキー」

 

八幡「いっちゃ……一色さん」

 

いろは「……はぁ。特別にいろはでいいですよ」

 

八幡「二人が俺を?」

 

いろは「私はたまたま通っただけでしたけど」

 

結衣「私、保険の先生呼んでくるね」

 

いろは「結衣先輩、すっごく心配してましたよ?」

 

八幡「……そっか。後でお礼言わないとな」

 

いろは「でも、本当に大丈夫なんですか?」

 

八幡「大丈夫だよ。痛みも引いたし」

 

八幡(けど……何なんだろうな。本当に……記憶の断片みたいなのを思い出すと頭が痛くなる……のか?)

 

結衣「先生呼んで来たよ」

 

いろは「それじゃ、私たちは授業に戻りますか」

 

結衣「……うん。安静にしとくんだよ?ヒッキー」

 

八幡「ああ。……ありがとう。結衣。ごめんな?」

 

結衣「全然大丈夫だよ!」

 

 

「頭痛は引いたの?」

 

八幡「あ、はい」

 

「んー……ここじゃ機材もないしもう一度病院に行った方が良いかもしれないわね」

 

八幡「そう……ですね」

 

「……いい彼女ね」

 

八幡「へ?」

 

由比ヶ浜さんよ。貴方が倒れたって凄い勢いで飛んできたのよ?」

 

八幡「か、彼女じゃないですよ」

 

「あら、そうなの?」

 

八幡「は、はい」

 

「クスッ。そう。ごめんなさいね。ベットは使っていいから、一眠りするといいわ。もし戻れるなら授業に戻ってもいいし。帰るなら送るから教えて」

 

八幡「はい。ありがとうございます」

 

八幡(大人しく寝ておくか……)

 

 

八幡「……スウスウ」

 

??「……」ナデナデ

 

八幡(……暖かい……)

 

八幡「……ん」

 

八幡「……」

 

静「おっと、起こしてしまったか。すまない」

 

八幡「……先生?」

 

静「ああ。大丈夫か?」

 

八幡「……はい。もう全然」

 

静「ふむ、そうか。どうするかね?今は放課後だが、部活に行くか、それとも帰るか。私が家まで送るが」

 

八幡「帰ります」

 

静「そうか。では車を回すよ。正門で待っててくれたまえ」

 

八幡「はい。分かりました」

 

八幡(顔ぐらいはだしてもよかったかも……)

 

 

八幡「お待たせしました」

 

静「なに、気にするな。ではいこうか」

 

八幡「お願いします」

 

 

八幡「結婚してください」

 

静「結婚!?」キィィィィ

 

八幡「ちょ!先生ハンドル!」

 

静「はっ!」

 

八幡(し、死ぬかと思った)

 

静「ほ、本気か。比企谷」

 

八幡(や、ヤバい目がマジだ)

 

八幡「す、すいません。冗談です」

 

静「……うわあああ」キィィィィ

 

八幡「死ぬ。死ぬ!」

 

静「す、すまない。比企谷。少々取り乱した」

 

八幡「あ、あはは。大丈夫です」

 

八幡(この人に結婚って言うのはもうやめよう……)

 

 

八幡「……その」

 

静「うん?」

 

八幡「笑われるかもしれないんですけど……たまに記憶がフラッシュバックするんです」

 

静「フラッシュバック?」

 

八幡「はい。凄い頭が痛くなるんですけど」

 

静「……ほう。それが原因で倒れた……というわけか」

 

八幡「……はい」

 

静「……どういう状況だったんだね?」

 

八幡「えっと……よく……わかりません」

 

静「……そうか。私のほうでも少し考えてみるよ」

 

八幡「……はい」

 

帰宅し、夕飯を食べました

 

 

八幡「フラッシュバック……」

 

八幡「……落ち着かない」

 

八幡(……あの人……何してるんだろ)

 

八幡(……メールしてみるか?)

 

ポチポチ

 

八幡(陽乃さんのメアド持ってないじゃん俺。てか雪ノ下のメアドもないのね。結衣のはあったけど)

 

八幡「……」

 

八幡「メールしてみる……か?」

 

八幡(……何て送ればいいんだ?てか、迷惑じゃないか?そもそも返信がこないかも……)

 

八幡「な、なんでこんなに悪いほうばかりに考えてるんだ俺は……」

 

 

八幡「今から……会えないか?っと」

 

送信

 

八幡「……いや、いいのか?もう20:30だぞ?」

 

ブーンブーン

 

八幡「返信はやっ!」

 

返信内容

 

結衣【いいよー。何処で待ち合わせする?】

 

八幡「すげぇ顔文字多いな」

 

八幡(何処で会おうか?)

 

 

八幡「遊園地……」カチカチ

 

八幡(いや、今から遊園地はないわ。もう夜だし)ケシケシ

 

八幡(普通に駅とかでいいかなー?)

 

 

八幡「目立つし○○ホテルでいいか」

 

八幡「よし、準備していくかな」

 

八幡(自転車で行くか)

 

小町「およ?お兄ちゃんおでかけ?」

 

八幡「散歩だ」

 

小町「気を付けてねー。あ、小町コーヒー牛乳飲みたいなー」

 

八幡「ん。了解」

 

小町「う、お兄ちゃんが素直だ……本当に気を付けてねー?」

 

八幡「おう」

 

 

八幡「先についてしまった」

 

八幡「寒っ」

 

八幡(缶コーヒーでも飲むか)

 

 

八幡「甘っ……なんで迷わずこれ買ったんだよ俺は……」

 

結衣「ヒッキー!お待たせー」

 

八幡「あ、おう。急に呼び出してごめんな」

 

結衣「ううん。全然いいよーってそれ」

 

八幡「へ?」

 

結衣「MAXコーヒー?」

 

八幡「ああ。うん。寒かったから買ったんだけど、何でだろうな?気がついたら買ってた」

 

結衣「……それ、ヒッキーが好きなコーヒーだったんだよ」

 

八幡「え?まじ?」

 

結衣「うん。やっぱ身体は覚えてるのかもね!」

 

八幡「そうかも……ん?」

 

結衣「どうかした?」

 

八幡(……ああ。違和感があると思ったら結衣が何時もの団子じゃなくて髪を下ろしてるからか)

 

八幡「……」ジー

 

結衣「な、なに?そんなにジロジロ見られると……恥ずかしいよ?」

 

八幡「あー、えっと……」

 

八幡「その……髪……似合ってるな」

 

結衣「ふぇ!?え、え?」

 

八幡「あ、いや……うん」

 

結衣「あ、ありがとう」

 

八幡(へ、変な空気になったぞ……どうするんだよ)

 

 

八幡(……)ナデナデ

 

結衣「ふぇ!?あ、あ、あの、ヒッキー!?」カァァァ

 

八幡(お、俺は何を!?)

 

八幡「ご、ごめん。その、可愛かったから何か勝手に」

 

結衣「あ、う、うん。大丈夫。」カァァァ

 

八幡(俺は何をいっているんだ!)

 

八幡「……」

 

結衣「……」モジモジ

 

八幡「……」

 

結衣「……」

 

八幡「……ほ、ほら、乗れよ」ガチャ

 

結衣「へ?あ、うん」

 

八幡「どこいきたい?」

 

結衣「……んー」

 

結衣「星が見える所かなぁ」

 

八幡「星かぁ」

 

八幡「……しっかり捕まってろよ?」

 

結衣「うん♪」ギュッ

 

八幡「……」

 

結衣「……」

 

八幡「……」

 

結衣「……♪」ギュッ

 

八幡「なぁ結衣」

 

結衣「なぁに?」

 

八幡「結衣って好きな人って……どんなやつなんだ?」

 

結衣「……内緒」ピトッ

 

八幡「……そっか」

 

 

八幡(……俺は……結衣のことが好きなのかもしれない)

 

八幡(最初出会ったときから結衣と居ると変な安心感があった)

 

八幡(でも……それを言うのは俺じゃないはずだ。俺はあくまで記憶を失う前の俺の代用品なのだから)

 

八幡(俺が、代用品の俺がこの人との関係を変えてはいけないはずなのだ)

 

結衣「……ヒッキー」

 

八幡「うん?」

 

結衣「……なに……考えてる?」

 

八幡「……何も考えてないよ」

 

八幡「……何で星が見える所を選んだんだ?」

 

結衣「……んー。特に理由はないかな!」

 

八幡「ないのかよ」

 

結衣「うん。ただ、ヒッキーと星見ながらお話とかしてみたかっただけなんだ」

 

八幡「……何時でもできるだろ。そんなの」

 

結衣「……ううん。多分今しかできない……あたしって卑怯だよね……ヒッキーが記憶喪失なのをまるで利用して……最低」

 

八幡「……今度さハワイ行こうぜ」

 

結衣「へ?」

 

八幡「……約束だ。例え俺が記憶が戻って今の記憶が無くなっても……この約束は覚えておくからさ」

 

結衣「……」

 

結衣「……バカ」ギュッ

 

八幡(……結衣は少し震えていた。けど俺は……気づかないふりを続けた)

 

星が見える裏山でしばらく他愛もない話をして別れた

 

 

ピピピピピ

 

八幡(うるさいなぁ……)ガチャ

 

八幡「……今、何時だ?」

 

八幡「7時か……学校には普通に間に合うな。前は遅刻ギリギリだったし、早めに出るか」

 

小町「あれ?お兄ちゃんもうでるの?」

 

八幡「うん。少し早めにでるよ」

 

小町「そっか。気をつけてね」

 

八幡「小町もな」

 

小町「うん」

 

 

八幡(んー早めにでたから余裕で間に合うな)

 

八幡(ん?あれは……)

 

めぐり「あれ?比企谷くん?」

 

八幡「へ?」

 

めぐり「おはよう。比企谷くん」

 

八幡(あれ?誰だこの人。何でさっきこの人に見覚えがあったんだろ?)

 

めぐり「どうかした?」

 

八幡(不味い……とにかくなにか言わないと)

 

八幡「す、すいません……誰ですか?」

 

めぐり「ええ!?」

 

八幡「ご、ごめんなさい」

 

めぐり「うう……比企谷くんに忘れられたぁ……」

 

八幡(そんなこと言われても本当にわからないんですよぉー)

 

八幡「……その……実は」

 

めぐり「へ?」

 

説明中

 

八幡「と、言うわけでして」

 

めぐり「えええ!?」

 

八幡「なので、覚えてなくて……ごめんなさい」

 

めぐり「いいよいいよ。えっとね。私は三年の城廻めぐりだよ!よろしくね♪」

 

八幡「はい。よろしくです」

 

 

八幡「何で俺に話しかけたんですか?」

 

めぐり「へ?」

 

八幡「え?」

 

めぐり「話しかけるのに理由っているの?」ポワポワ

 

八幡「……」

 

八幡(ええー。なにこのポワポワ空間。また別の意味で凄い人が知り合いなんだな俺……)

 

八幡「……一緒に行きます?」

 

めぐり「へ?もういってるよ?」

 

八幡「そ、そうですね」

 

八幡(あれー?本当になんなんだこの人)

 

めぐり「ついたね♪それじゃーね、比企谷くん」

 

八幡「あ、はい」

 

八幡(さて、授業までどうするか)

 

 

八幡「挨拶していくか」

 

結衣「へ?誰に?」

 

八幡「いや、皆に」

 

結衣「皆って?」

 

八幡「皆は皆だろ……って結衣!?」

 

結衣「やっはろー」

 

八幡「お、おう」

 

結衣「教室いかないの?」

 

八幡「……前の俺って挨拶とかしてたか?」

 

結衣「へ?あ、うん。全くだね」キッパリ

 

八幡「そ、そうなのか」

 

八幡(すっごくキッパリ言い切られてしまった……)

 

結衣「ほら、行こ♪」

 

八幡「あ、ああ」

 

八幡「……いや、やっぱり挨拶して回るわ」

 

結衣「え?何で?」

 

八幡(……昔の俺じゃなく……今の俺が居たって証を残したい……なんて言えないし)

 

八幡「まぁ、何となくだ。色んな人と話すと記憶が戻るかもって……な」

 

結衣「……そっか」

 

八幡「……ああ。また教室で」

 

結衣「うん。それじゃあね」

 

 

八幡(お、あの人は……)

 

八幡「おはよう。戸塚さん」

 

戸塚「あ、おはよう!八幡」

 

八幡「部活の朝練?」

 

戸塚「うん!また八幡ともテニスしたいね!」

 

八幡(俺は戸塚さんとテニスをしていたのか……?)

 

八幡「なぁ……戸塚さん」

 

戸塚「なに?あ、あと戸塚でいいよ」

 

八幡「あ、うん。あーっと……答えにくかったら答えなくていいんだけどさ……」

 

戸塚「……うん?」

 

八幡「前の俺と今の俺……どっちのがいい?」

 

戸塚「え……あ、あはは。確かに答えにくいね」

 

八幡「ご、ごめん」

 

戸塚「ああ。うん。大丈夫。えっとね。僕はどっちの八幡も八幡だと思うよ」

 

八幡「?」

 

戸塚「八幡は端から見たら捻くれてるんだけど、本当は今の八幡みたいに優しい人だよ」

 

八幡「……?」

 

戸塚「あはは。変なこといってごめんね」

 

八幡「いや、ありがとう」

 

戸塚「うん。それじゃあね」

 

八幡「うん」

 

八幡(教室に戻るか……)

 

 

教室

 

八幡(まだ少しだけ時間がある)

 

八幡(三浦さんに話しかけてみようかな?)

 

八幡(あー。でも、まだ来てないのか?)

 

三浦「ちょっと、入り口に立たれたら邪魔なんだけど」

 

八幡「へ?あ、ごめん」

 

三浦「別にいいけど」

 

八幡「……」ジー

 

三浦「……なに?人のことジロジロ見て」

 

八幡「あー……えっと」

 

三浦「……は?」

 

八幡(え?何で俺は三浦さんの頭を撫でているのか……)

 

三浦「ちょっと、なにしてんの」ギロッ

 

結衣「優美子羨ましいなぁ……」

 

八幡(ヤバいかなりお怒りだぞ。どうする)

 

八幡(こうなったら愛を囁くしかないのか?いや、囁いても好感度0だし)

 

三浦「ねぇ。聞いてんの?」

 

八幡「す、すいませんでした」

 

三浦「そもそもなんであーしなわけ?」

 

八幡「?」

 

三浦「結衣にしてやればいいのに」

 

結衣「何言ってるの優美子!?」

 

八幡「えっと……と、とにかくすみませんでした」

 

三浦「別に」

 

八幡(どうやら生き残れたらしい)

 

後の時間は大人しく過ごしました

 

 

八幡(さて、放課後だけど……どうするかな)

 

八幡(結衣と出掛けるか?……でもどうやって誘えばいいんだ……)

 

八幡(……てか前誘ったときは部活を理由にされたんだし、今日も結果は同じだろ)

 

結衣「どうしたん?ヒッキー」

 

八幡「うわっ。ゆ、結衣」

 

結衣「何か挙動不審で気持ち悪かったよ?」

 

八幡(気持ち悪い……)ズーン

 

結衣「ほら、部活いこっ!」グイッ

 

八幡「ちょ、て、手!」

 

結衣「ほら、きびきび歩く!」

 

 

雪乃「こんにちは。由比ヶ浜さん、比企谷くん」

 

結衣「やっはろー!」

 

八幡「こんにちは」

 

雪乃「……紅茶を淹れるわ」

 

結衣「あ、てつだ」

雪乃「気持ちだけで嬉しいわ」

 

結衣「うぅ。はい」

 

八幡「……」ボー

 

【これ、貴方のコップよ】

 

【ヒッキー。これやろうよ!相性占い!】

 

八幡「……っ」ズキッ

 

結衣「ヒッキー?」

 

八幡「あ。なんだ?結衣」

 

結衣「別に何でもないんだけど……」

 

八幡(少しずつ記憶が戻ってるのか?)

 

雪乃「……」ペラッ

 

結衣「えーっと……ここはこうかな?」ポチポチ

 

八幡(……暇だ。奉仕部ってこんなに暇なのか)

 

結衣「あ!ゆきのん見てみて!できたよ!」

 

雪乃「由比ヶ浜さん?本に皺がよってしまうわ。離れてちょうだい?」

 

結衣「わー!ごめんゆきのんー!」

 

八幡(…………平和だな)ウトウト

 

八幡(……こんな空間ならずっといたく……なるな)

 

八幡(……)スースー

 

結衣「ヒッキー?」

 

雪乃「比企谷くん?」

 

【あたしはきっと……○○のことが……】

 

【……私もああなりたいと思っていたから……】

 

八幡(……夢?)

 

八幡(あれ……何か柔らかい……それに仄かに暖かい)

 

結衣「……あ。起きた?」

 

八幡「……結衣?」

 

結衣「うん。そうだよ」

 

八幡(てか、なんだこの状況。結衣の顔を見上げてる?……膝枕されてるのか俺は)

 

結衣「……ヒッキー何かうなされてたから……最初は頭撫でてただけなんだけど……我慢できなくなっちゃった」アハハ

 

八幡「……夢をみてた気がする」

 

結衣「……夢?」

 

八幡「うん……でも、よく思い出せない」

 

結衣「……ゆっくりでいいんじゃないかな?」

 

八幡「……」

 

結衣「ヒッキーちょっと焦り気味じゃない?」

 

八幡「……」

 

八幡(見透かされている……俺は確かに焦っているのかもしれない)

 

八幡「……あ、てかごめん。足痺れただろ」スクッ

 

結衣「へ?足?……い、いったー!?」ビリビリ

 

八幡「わぁ!?スカートの中が見えるから暴れるな!?」

 

結衣「だ、だってー!いたいんだもんー!」

 

八幡「あわわ」

 

八幡(ちらっと水玉みたいなのが見えた気がする。気のせいだ気のせいだ)

 

 

八幡「……俺さ。少しずつ記憶が戻ってるんだ」

 

結衣「……え?」

 

八幡「……フラッシュバックって言うのかな?たまに覚えがない風景や場面が頭に浮かぶんだ」

 

結衣「……そうなんだ」

 

八幡「……記憶……戻さないとだめなのにな……怖いんだ」

 

八幡(そうか……俺は怖いんだ)

 

結衣「怖い?」

 

八幡「……うん。だんだん自分が居なくなる……そんな感じがするんだ」

 

八幡「記憶の中の皆を見たからわかる……皆が俺じゃなくて記憶を失う前の俺を待ってるんだって……だったら俺は?今の俺はどうなるんだよ……皆に忘れられて……きえちまうのかな……そう考えたら俺は……」

 

結衣「ヒッキー!」ギュッ

 

八幡「……ゆい」

 

結衣「……落ち着いて……ヒッキー」ギュッ

 

八幡「……ごめん」

 

結衣「大丈夫だよ」ナデナデ

 

結衣「私は忘れないよ……」

 

結衣「私はどっちのヒッキーもヒッキーだと思ってるし」

 

八幡「……」

 

結衣「どっちのヒッキーも好きだよ……大好き」

 

八幡「……ゆ……い」

 

結衣「……うん」

 

―――

 

八幡「ご、ごめん」

 

結衣「何が?」

 

八幡「そ、その……情けない姿見せて……」

 

結衣「気にしない気にしない!」

 

八幡「……」

 

結衣「それじゃ、あたしはここで。駅まで送ってくれてありがとう。ヒッキー」

 

八幡「……またな。結衣」

 

結衣「うん。またね!」タタタッ

 

 

八幡(俺は……多分結衣が好きだ)

 

だからこそ……

 

八幡(俺が結衣の気持ちに答えてもいいんじゃないか?)

 

八幡(俺が……)

 

八幡「……いや、ありえないか」

 

八幡(俺はバカかよ……あいつは優しい。本当は記憶が戻った方がいいのに今の俺が傷つかないように……悲しまないようしてるんだろうが……それを勝手に勘違いして変に期待して……)

 

【俺はそんな自分が……嫌いだ】

 

八幡「……っ」フラフラ

 

雪乃「大丈夫?比企谷くん」

 

八幡「雪ノ下……だ、大丈夫だ」

 

雪乃「……まったく……そんな顔色で言われても説得力がないわよ」

 

八幡「あ、あはは。すまん」

 

雪乃「いいわよ。タクシーをよんでくるから大人しくしときなさい」

 

八幡「え?別にいいよ。これぐらい。歩いて帰るし」

 

雪乃「貴方は一度倒れているのよ?異論は認めないわ」

 

八幡「……ツンケンしてるけど……やっぱ優しい人だよな」

 

その後気がつくと何故か雪ノ下の部屋に上がっていた

 

 

八幡「どうしてこうなった」

 

雪乃「仕方ないでしょ……貴方がタクシーなんて要らないとせっかく捕まえたタクシーを断るんだもの」

 

八幡「だからなぜここに……」

 

雪乃「それは道中倒れられても困るからよ」

 

八幡(でもこんな時間に男女二人っきりなんすよ?ダメでしょう)

 

雪乃「……紅茶とコーヒーどちらがいかしら?」

 

八幡「紅茶で」

 

雪乃「わかったわ」

 

八幡「……」

 

雪乃「どうぞ」カチャ

 

八幡「ありがとう」

 

八幡(紅茶の匂いが懐かしい)

 

雪乃「……気分はどうかしら?」

 

八幡「……もう平気」

 

雪乃「そう」

 

八幡(……何を話そうか。俺この人とろくに話せていない気がするんだが)

 

 

八幡「俺……結衣が好きかもしれない」

 

雪乃「……え?」

 

八幡「……まぁ、俺の片想いだけどな」

 

八幡(結衣が好きなのは俺じゃない)

 

雪乃「……そう」

 

八幡「……」

 

雪乃「……お似合いだと思うわ」

 

八幡「……そうか?」

 

雪乃「……ええ」

 

八幡「……慰めてくれてるのか?」

 

雪乃「あら?私は……」

 

雪乃【虚言は吐かないわよ?】

 

八幡「……」ズキッ

 

八幡「……そっか」

 

雪乃「ええ」

 

 

八幡「……でも」

 

雪乃「?」

 

八幡「お前のことも好きかもしれない」

 

雪乃「……何をいっているのかしら?」

 

八幡「あー、その、なんだろう。うまく説明できないんだけど……」

 

雪乃「貴方は今堂々と二股発言をしたわけだけど?」

 

八幡「ふ、二股!?」

 

雪乃「そうじゃないのかしら?」

 

八幡(どうする?)

 

八幡「……やっぱ変だよな」

 

雪乃「……」

 

八幡「前の自分と今の自分………今の俺は、結局何なんだろうな」

 

雪乃「そんなの知らないわ」

 

八幡「……だよな」

 

雪乃「ええ。私が知ってるのは、前の貴方とか今の貴方とか……どっちも貴方であることに違いはないということだけよ」

 

八幡「どっちも……俺」

 

雪乃「ええ」

 

八幡「……」

 

八幡「俺……結衣への好きと……雪ノ下への好きはまた違う気がする」

 

雪乃「……そう」

 

八幡「だから、その二股とかではなくて……」

 

雪乃「わかってるわよ……そもそも貴方に二股をする度胸なんて無いもの」

 

八幡「そ、そうですか」

 

雪乃「ええ」

 

八幡(これは信頼されているのかそれともただ貶されてるだけなのか……)

 

八幡「……なぁ、雪ノ下。俺と友」

雪乃「ごめんなさい。それは無理」

 

八幡「えぇ……最後まで言ってないよ……」

 

雪乃「……クスッ」

 

八幡「?」

 

雪乃「ほら、貴方は変わってないわ。表面上変わったように見えても……貴方は貴方よ」

 

八幡「?」

 

八幡(また随分と意味深な事を言われたが……結局は友達ですら嫌と拒否されてしまったんだよな)ズーン

 

その後家に帰りました

 

 

休日 本屋

 

「ありがとうございましたー」

 

八幡(よし、こんなもんかな?)

 

葉山「あれ?比企谷くん?」

 

八幡「え?ああ。葉山さん」

 

葉山「さんはよしてくれ。葉山でいいよ」

 

葉山「買い物?」

 

八幡「ああ。うん」

 

葉山「そうか。君は本が好きだったしね」

 

八幡「……まぁ」

 

八幡「何か……葉山に比企谷くんと呼ばれると違和感があるんだけど……」

 

葉山「……違和感?」

 

葉山「……もしかして呼び方かな?」

 

八幡「呼び方?」

 

葉山「うん。ずっと比企谷って呼び捨てしてたからね」

 

八幡「……」

 

葉山「流石にほぼ初対面なのに失礼かなって思ってね」

 

八幡「……前の俺ってどんなのだった?」

 

葉山「……前の比企谷くん?」

 

八幡「……うん」

 

葉山「……負けたくない相手……かな?」

 

八幡「?」

 

葉山「……ごめん。何でもないよ。以前の君は、そうだな……捻くれてたかな……けど、悔しいけど……凄い奴だった」

 

八幡(おいおい。こんな俺とは正反対のリア充の王が、悔しがるとか前の俺ってどんな奴なんだよ……ますますわかんないぞ……)

 

八幡「じゃあ……今の俺はどうみえる?」

 

葉山「……どうだろうね」

 

八幡「……」

 

葉山「……案外……今の君が本来の彼の本質なのかもしれないね」

 

八幡「……」

 

葉山「それじゃ。僕はこの辺で。もうすぐ待ち合わせの時間だから」

 

八幡「……ああ。引き留めて悪かった」

 

葉山「……気にしないで」

 

 

八幡(結衣と話がしたいな……電話してみるか)

 

 

プルルル

 

結衣「もしもしー?ヒッキー?」

 

八幡(お、繋がった)

 

結衣「あれ?もしもーし」

 

八幡「もしもし」

 

結衣「あ、ちゃんと繋がってた」

 

八幡(何をしゃべろう……)

 

八幡「ごめん。特に用は無いんだけどただ声が聞きたくて」

 

結衣「へ?私の?」

 

八幡「うん」

 

結衣「へ、へぇー」

 

八幡「もしかして迷惑だった?」

 

結衣「ううん!そんなことないよ?」

 

八幡「そっか」

 

結衣「ヒッキーからの電話だったからちょっとビックリしただけだよー」

 

八幡「なんだそりゃ」

 

八幡「なあ、結衣」

 

結衣「なに?」

 

八幡「今から会いに行っても良いか?」

 

結衣「へ?今から?」

 

八幡「うん」

 

結衣「んーっと」

 

結衣の返事は?

 

結衣「何で急に?」

 

八幡「え……それは……」

 

結衣「それは?」

 

八幡「……結衣のことが……好きだから」

 

結衣「へ?……えええ!?」

 

八幡「……」カァァ

 

結衣「そ、そうなん……だ?」

 

八幡「あ……ああ」

 

結衣「……あ、あはは。それは……友達的意味で……かな?」

 

八幡(ど、どうするんだよ……)

 

八幡「まだ、わからない……けど結衣と会ってれば答えが出るような気がする」

 

結衣「そっか……わかったよ。何処で会う?」

 

八幡「とりあえず駅前に12時でどう?」

 

結衣「わかったー。急いでいくねー」

 

八幡「ゆっくりでいいぞー」

 

結衣「うん。それじゃ、また後で」プツッ

 

八幡(結衣と出会ってから何をしようか)

 

八幡(お昼食べてから映画でいいかな)

 

 

結衣「ご、ごめん!お待たせ!ヒッキー」

 

八幡「……」

 

八幡「まずご飯食べようか?」

 

結衣「あ、うん」

 

結衣「何食べるの?」

 

八幡(そういえば何食べるか決めてなかった)

 

八幡(前陽乃さんに誘われたレストランでいいかな?あの時はいかなかったけど)

 

八幡「俺が決めていいか?」

 

結衣「へ?うん」

 

―――

 

高級レストラン

 

結衣「ひ、ヒッキー……あたしたち……浮いてない?」

 

八幡「……あ、ああ」

 

結衣「あ、でもすごく美味しい」

 

八幡(財布の中身がかなり消し飛んだぞ……これ)

 

結衣「コース料理とかはじめてだよ」

 

八幡(まぁ喜んでくれてるしいいか)

 

緊張しながらも楽しんだ

 

 

八幡(次は映画か……)

 

八幡「……これでいいか?」

 

結衣「へ?ヒッキーそれでいいの?」

 

八幡「?」

 

八幡(恋愛物嫌いなのかな?)

 

結衣「何か意外」

 

八幡「そうか?……それじゃこれでいいか?」

 

結衣「うん!」

 

結衣「……」ウルウル

 

八幡「……」

 

結衣「……ぁ…ぁぅ」カァァ

 

八幡「……」カァァ

 

結衣「……」ソワソワ

 

 

八幡「……」

 

八幡「……ま、まぁ……よかった……な」ポリポリ

 

結衣「……う、うん」カァァ

 

八幡「こ、この後さ……ららぽでいいか?」

 

結衣「うん……」

 

八幡「……」

 

結衣「……」

 

八幡(く、空気が重い……何を話す?)

 

 

八幡「そ、そのさ」

 

結衣「な、なに?」

 

八幡「映画見て思ったんだけどさ……俺って結衣とどうやって出会ったんだ?」

 

結衣「……」

 

八幡(あれ、暗い顔になった。あまり蒸し返したらダメな話題だったか?)

 

結衣「……前さ、ヒッキーうちのサブレと出会ったでしょ?」

 

八幡「ああ。うん」

 

結衣「その時事故の話をしたよね?」

 

八幡「そうだな」

 

結衣「その時が出逢い……だったんだ。お互い顔も名前も知らなかったけどね……」

 

結衣「その事にお礼がしたかったんだけど……言い出せなくて……結局話ができてちゃんと話せたのも最近なんだ……」

 

八幡「そうだったんだ……」

 

結衣「うん……」

 

八幡「お、俺と結衣って前にもこんな風に出掛けたことある?」

 

結衣「……ない……かな?」

 

八幡「……」

 

八幡(何かどんどん重くなってくんだが……)

 

結衣「ああ……でも、一度だけ……」

 

八幡「あるの?」

 

結衣「うん。花火大会一緒に行ったことがあるよ」

 

八幡「花火……大会」

 

【お待たせ!どう……かな?】

 

【林檎飴かな?林檎飴だよね!】

 

【……綺麗】

 

【ゆきのんは友達です】

 

【私は……きっと……】

 

八幡「……由比ヶ……浜?」

 

結衣「ヒッキー?」

 

八幡「……」ハッ

 

八幡「な、何だ?結衣」

 

結衣「どうかした?」

 

八幡「ああ。いや。何でもないよ」

 

結衣「……」

 

八幡「……」

 

八幡(さっきの映画みたいに手……繋いでみようかな)スッ

 

結衣「……?」

 

八幡「……ぅ」カァァ

 

結衣「……えへへ」ギュッ

 

八幡(……やっぱり……落ち着く)

 

結衣「……何か照れるね?」

 

八幡「……そうだな」

 

八幡「……」

 

結衣「ひゃぁ!ちょ、ちょっとヒッキー!?」

 

八幡「え?」

 

結衣「え?じゃないよ!歩きにくいし……その……恥ずかしいし」

 

八幡「……だめ?」

 

結衣「だ……駄目じゃないけど……ほ、ほら!もうすぐ、ららぽに着くし!」

 

八幡「……そうだな」

 

 

八幡「不安なんだ……」

 

結衣「不安?」

 

八幡「うん。前も言ったけど……今の俺は偽物で記憶を取り戻したら俺じゃなくなるんじゃないかって……偽物の俺は消えるんじゃないかって」

 

結衣「……消えないよ?」

 

八幡「……言い切れないだろ」

 

結衣「だって……ヒッキーはヒッキーだよ?記憶を失っても……確かに言葉使いとかは変わってたけど……それでもヒッキーの本質は変わってないもん」

 

八幡「……前にも言われたな……似たようなこと」

 

結衣「……うん。大丈夫。今のヒッキーは偽物じゃないよ。例え記憶が戻っても……ヒッキーは変わらないよ」

 

八幡「……そっか」

 

結衣「うん♪」

 

八幡「……ありがとう」

 

八幡(記憶が戻っても俺は消えない……か。……そうだといいな)

 

 

ららぽ

 

八幡(何か結衣に買ってやりたいな……お世話になってるし)

 

結衣「どうする?ヒッキー」

 

八幡「とりあえずお店回ろうか?」

 

結衣「賛成ー!そうだ、あたし服とか見たいな!」

 

八幡(この間に何を渡すか決めておこう)

 

結衣「あ、これ可愛いー!どうかな?」

 

八幡「ん……ああ、似合ってるぞ」

 

八幡(このマフラーとかいいんじゃないか?結衣のやつマフラーは着けてないし)

 

結衣「ねぇねぇ、ヒッキー!次はこれ!」

 

八幡「おお。似合ってるぞ」

 

結衣「そうかな?」ニコニコ

 

八幡「……ああ」

 

マフラーと服一着を買いました

 

 

八幡(結構いい時間だし、休憩と軽く晩飯も兼ねて喫茶店でもいくか)

 

八幡「結衣、まだ時間大丈夫か?」

 

結衣「ああ、うん。平気だよ」

 

八幡「喫茶店でもいかないか?」

 

結衣「そうだねー。実はお腹好すいちゃった」

 

八幡「ははっ。それは丁度良かった」

 

結衣「うん!」

 

――

 

茶店

 

結衣「へー。こんなところに喫茶店あるんだ」

 

八幡「……いい感じだろ?」

 

結衣「うん。気に入ったよ」

 

八幡「そっか」

 

八幡(小町……俺にここを教えてくれてありがとう。後でお土産買って帰るからな)

 

結衣「ほぇー」キョロキョロ

 

八幡(子供みたいに純粋なんだな)

 

 

八幡「……っ」ガタッ

 

結衣「……ヒッキー?」

 

八幡「……ぅ……ぁ」

 

結衣「ちょっ!ヒッキー!大丈夫!?」

 

八幡「……っ―――!」

 

八幡「……由比ヶ浜?」

 

結衣「……え?」

 

八幡「あれ?ここどこだ?」

 

結衣「ヒッキー?」

 

八幡「……あ、ああ」

 

結衣「……ヒッキー!」

 

八幡「ちょっと待て。抱きつくな。お、おい」

 

――

 

八幡(どうやら、俺は記憶喪失だったらしい……らしいと言うのは、その間に何があったか俺がわからないからだ)

 

八幡(ただ、たまに由比ヶ浜がこっちを恥ずかしそうに見てくる。訳がわからん)

 

八幡(訳がわからないことと言えばもう一つ。俺が買った覚えがない新品の女物の服とマフラーが何故か鞄に入っていた)

 

八幡(ああ、まだあったな……何で俺が記憶を失ってたのかも……わからず仕舞いだ)

 

八幡「……ま、関係ないか。記憶も戻ったし」

 

結衣「ヒッキー!部活いこー!」

 

八幡「……先に行ってて良かったのに」

 

結衣「いーのいーの。さぁーいこー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

元スレ

八幡「どこだ?……ここ」結衣「記憶喪失?」

http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1393936757/