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美琴「あんたは、む、胸とか小さいほうがいいの?」【とあるss/アニメss】

 

某月某日   -学園都市- 

 

「魔術」やら「レベル6」やら「2万人の妹クローン軍団」やら「幻想御手」やら。 

そんな非日常な世界とは無縁でいらっしゃる普通の住民達には何とも迷惑な話ではあるのだが。 

 

この日、学園都市はまたも原因不明の超巨大な雷に襲われ、何度目かの大停電に見舞われていた。 

 

…7月初めに起きた大停電に関しては、 

常盤台中学の超電磁砲[レールガン]とツンツン頭の高校生が事件の中心にいた事は言うまでもない。 

 

その大停電の次の日。 

ツンツン頭の高校生こと上条当麻は、 

学生寮の部屋のベランダで、食品バキュームカーこと禁書目録[インデックス]と出会うことになるのだが、、、 

それはまた別のお話。

 

雷の落下した中心地。 

いまだ白煙がただよう現場にいたのは 

 

美琴「ったく、、何だってのよ! この私を痺れさせるなんて、、!」 

 

前回の事件の張本人。レールガン 御坂美琴だった。 

 

美琴「おかしいわね、、。実験レポートによれば、あの子達の能力は高くてもLV3程度だったはずなのに、、。」 

 

ギュっと、痺れたせいで感覚がない手を握りながら美琴がつぶやく。 

高レベルの電撃使いを「電撃で痺れさせる」。 

これがどれだけ難しいことかは美琴自身がよく理解していた。 

 

しかも彼女は学園都市に7人しかいないレベル5のうち、 

第3位に当てはまる「最強の電撃使い」だったりするのだから、なおさらたちが悪い。

 

???「あの電撃を受けて片腕が痺れただけだなんて、さすがはお姉様ってとこかしら? って、ミサカミコトは素直に感心するわ」 

 

声は、美琴がいる位置から離れた場所から聞こえた。 

 

美琴「あんたねぇ、やって良いことと悪いことって教わらなかったの!? 黒子…はともかく、アイツにも加減してるようには見えなかったわよ」 

 

相手の口調から、人を舐めたような雰囲気を感じ取った美琴は苛立ちながら答える。 

 

???「そ、それはアイツが私よりもお姉様を選ぼうとしたからで、べっ別に悪気があった訳じゃ… ってミサカミコトを動揺させんじゃないわよ!」 

 

声の主が、あからさまに動揺を見せたのを聞いて美琴は少し安心する。

 

美琴「ま、いいわ。詳しい話は全部終わったあとでちゃーんと聞いてあげるから。」 

 

美琴は喋りながらスカートのポケットに手を入れる。 

 

美琴「どうしてこうなったのかは判らないけど、あんたはちょっとやりすぎたのよ。(お願いっ、、1枚でもいいからっ、、!あ、あった!!)」 

 

ポケットから引いた美琴の手には、ゲームセンターでよく見かけるメダルが1枚握られていた。 

あの子を止めるには、最悪の場合、レールガンを使用することになるかもしれない。 

もちろん直撃させるつもりはないのだが、威嚇、あるいは説得の切り札にはなるだろう。

 

美琴は意識を指先に移しつつ、相手を視界にいれようと、足を前に、、、 

 

──────!!!! 瞬間、衝撃が目の前を通過した。 

 

もし、足を前に出していたら 美琴の体は右半身がもっていかれ、 

そこにあるのは半身から生きている証である液体をピュー、ピューと噴出する氏体になっていたはずだ。

 

美琴「え、、、何よ、、、これ」 

 

目の前で起きた事が、目の前で起きたが故に理解できない。 

 

「レールガン」と呼ぶべきものがレールガンの威力を遥かに超えて打たれたのなら、 

それはなんと呼ばれるべきだろうか。 

 

ガクっと、美琴は膝をついた。つかざるをえなかった。全身を震えと恐怖が襲い、とても立ってなどいられなかった。 

 

???「一応、加減はしてるのよ? まぁ、ちょっと演算に時間がかかる割に精度が低いのが難点かしらね、、、。 とミサカミコトは教えてあげるわ」

 

つまり、ミサカミコトはこう言いたいのだ。これを打たれて生きていられるのは運がよかったからだと。 

つまり、御坂美琴はさっきの一撃で氏んでいたっておかしくはないのだと。 

 

美琴「何で、、こんな事になってるのよ、悪い夢なら早く覚めなさいよ、、、」 

 

美琴「あのバカ、、夢なら、、早く、たす、、なさいよ、、」 

 

美琴は泣きそうだった。 

夢であってほしい。 

こんな、妹に意味もなく殺されようとしてる夢なんて幻想だったらいい。 そして、あの少年のことを考える。 

どんな幻想だって打ち壊してきた右手を持つ少年ならば、こんな悲しい幻想を壊せないはずがない、と。

 

だけど、これは現実だった。 

 

御坂美琴を殺そうと、その一撃をくりだす為に準備を始める 

 

妹達<シスターズ> 検体番号 10032号 ミサカミコト 

 

ミコト「と、そうだ。氏んじゃう前に何か言っときたい事ってあるかしら? って優しい優しいミコトセンセーは遺言を聞いてあげるんだけど」 

 

その言葉に躊躇はない。不自然に喜怒哀楽を感じさせる彼女の言葉が、美琴の小さな希望さえ打ち砕く。 

 

これで終わりなんだ。 

 

美琴「そう、、どうせ言っても無駄でしょうけど、、アイツの、、を、、じゃないわよ、、」 

 

これでいいんだ。 

もうアイツに会えないかもしれないからこそ、言いたいことがあった。 

でも、それは誰にだって教えてやることはできない。 

もちろん、アイツにすら言った所で気づいてもらえないかもしれないが。

 

ミコト「えーっ?何?聞こえないわよーっ?  あ、もしかして、もうそんな元気すら残ってないとか!?」 

 

ミコト「お姉様もあんまり大したことなかったわね、、、、。 じゃあ、これでさよならってことで、ミサカミコトは別れの挨拶を告げてあげるわ!」 

 

ミコトはネットワークを使用した分散処理が終了するのを待っていた。 

本音を言えば、美琴が何を言い残すかなんてどうでもよかった。 

ミコト自身も少なからず割り振られた演算をこなされければいけない、そういう事情もあった。 

 

ミコト「……N19999 Call L6_railgun(20000,m)……N20000 exit……」 

 

会話時とはうって変わり、淡々と機械的に発せられる声。 

 

ミコト「ミサカネットワークによる演算処理の終了を確認…。」 

ミコト「本プログラムの実行により、No15230からNo19700までの個体に異常発熱を確認…。 

ミコト「以降の本プログラムの実行に必要な演算と処理時間に大幅な変更が予想されます…。」 

 

一方通行の言語能力と能力使用の代理演算を日常的に行っているミサカネットワークにとっても、 

長時間にわたって、なおかつ短い間隔での超重量級の負荷がかかる処理を 

連続で行うのは許容限界を超える状況だった。

 

ミコト「これが最後の1発って訳か。胸が熱くなるわね、、、。 ミサカミコトは感動すらしそうになるわ」 

 

そして、ミコトは左手を前に伸ばし、 

開いた手のひらに載せた銀色の物体を狙うように右手でデコピンの形を作り、構える。 

 

オリジナルはメダルを使っていたが、 

ミコトの手の上にあるのはなぜか対戦車用の狙撃銃で使用される 

いわゆる巨大な弾丸そのものだった。 

 

照準をセットする為、ミコトは環境要因を含めたあらゆる障害の 

可能性を計算し尽くした完璧な射出コースの選定を開始した。 

 

一方、あとは殺されるのをただ待つしかない御坂美琴は、 

ミコトの位置からは氏角ともいえる遠く離れた場所を、ぼーっと見つめていた。 

 

正確には、そこにいるはずがない何者かの幻を見ていた。 

氏ぬ間際に、過去の出来事が走馬灯のように駆け巡るというが、 

なぜかそいつは、さっきからなかなか動かなかった。

 

美琴はそっと目を瞑る。 

 

体はもう動かせない。 

あれを見てなお勇敢に立ち向かっていく勇気はなかった。 

それでも相手に向かって行けるやつがいるとすれば、 

何も考えてない馬鹿か、大切な人を守ることだけしか考えられない馬鹿しかいない。 

 

使うことのなかった握られたメダルが、 

この状況下でどうも浮いた存在に感じられて、美琴は思わず笑ってしまった。 

 

美琴「考えてみれば、一度はアンタ達を助ける為に、過去の私がしてしまった過ちを償う為に、、捨てようとした命だったわね」 

 

美琴「私に出来ることはこれしかないけど、せめてアイツだけは幸せにしてやんなさいよね、、、」

 

すっ、と美琴は両腕を横にのばして、 

外すんじゃないわよ、と閉じた目をひらいて妹をジッと見返した。 

 

ミコト「……!」 

 

覚悟を決めた。 

本当は、、本当は、ちょっと、ちょっぴり、、、、いやかなり不本意だったりするんだけど。 

 

私はこれでも、あなた達のお姉ちゃんなんだから。 

大事な妹のために何かをしてあげるのは当たり前でしょ?

 

ミコト「……ミサカはお姉様と一緒にいられる時間が、彼と一緒にいられる時間が、何よりも有意義な時間でした。とミサカは最後の最後に教えてあげます」 

 

ミコト「ミサカの共有データベースに発生した致命的な感情エラー。 いまさら知っても遅いとは思いますが、これの修正を拒否したのはミサカ自身であると、ミサカは謝ります」 

 

 

美琴「あ、、」 

 

致命的なエラーと、ミコトは言った。 

生まれてはいけない感情だと、消されるべきものだったと悲しそうに告げた。 

 

それは多分、オリジナルである御坂美琴を消してしまおう、 

とか考えてしまう感情のことなんだろうけど。 

 

それっていけないことなのかな、と美琴はふと思ってしまった。

 

彼女たちは、人を好きになっちゃいけないんだろうか?  

感情の起伏がないなら、感情を表す必要はないんだろうか? 

 

 

打ち止め[ラストオーダー] という少女がいる。 

 

妹達の管理統制を目的とした生まれた20001番目の、実験用の妹達とは 異なる検体。 

 

だから、彼女は人を好きになれるんだろうか? 

 

純粋な感情のままに想いを伝えることが許されるんだろうか? 

 

もしかしたら、彼女達は羨ましかったのかもしれない。 

 

ただ、私みたいにあの少年とデート紛いの事をしてみたり、 

ギャーギャーと口喧嘩をしてみたかっただけなのかもしれない。

 

美琴「けど、、それでアンタは間違っちゃったのよね。 そんなやり方じゃあ何万回繰り返したってアイツは振り返ってくれはしないのに」 

 

ミコト「……」 

 

頷きこそしなかったが、その沈黙が彼女の解答となった。 

 

ミコト「もはやエラーを修正するのは不可能です。 ミサカは、、ミサカミコトはあなたを殺して、アイツを、、上条当麻を私のものにするんだからっ、、」 

 

それが彼女の答え。 

 

[幻想殺し]を右手に持つ上条当麻。 

 

彼が立ち上がらなかったら、2万人の妹達は全員が実験結果として無に帰るだけだった。 

 

ミサカ個人の意思というものを初めて教えてくれたのも、彼だった。 

 

そんな上条少年に、妹達は好意を抱いた。 

 

彼がくれたこの感情は学習装置では得ることができない、とてもとても大切なデータだった。 

 

だけど、彼の周りにはいつも美琴がいた。色々な人たちがいた。 

あの人たちはきっと、上条少年にとって大切な存在に違いない。 

 

対して、妹達はそれぞれ9000人以上いるクローンのうちの1体に過ぎないのだ。 

 

それならば、ミサカを認めてもらうには 唯一無二 の存在になるしかない。 

 

ミサカが認められなかった場合は、ミサカが御坂自身になればいい、、、。 

 

彼女達の想いと過ちが交差してしまったとき、事件は起きた。

 

ミコト「…本当に最後に、私達を生んでくれたお姉様に、ミサカは感謝と謝罪を述べます、、」 

 

最終調整など、とっくに完了していたレールガンをミコトは正位置に構えなおす。 

そして、ミコトはゆっくりと、その引き金とでもいうべきデコピンを手のひらに置く。 

 

美琴「……」 

 

この状況下でさえ、美琴は先程とってみせた姿勢を崩さない。 

まるで、この後自分がどうなるのか ───判っているかのように。 

 

ミコトの指先が動く。 

 

──────!!!!!!!!  衝撃。 

 

遅れて、パァンッ!!  という何かが弾ける耳障りな音が直線を走り抜ける。

 

 

10秒。いや30秒か。それとも1分以上は経っただろうか。 

 

巻き上げられた粉塵によって視界が封じられる中、とある声の主が沈黙を破った。

 

???「ふーっ、ギリギリ間に合ったか、、? って、それどころじゃねぇ!」 

 

???「おーい!ビリビリー!生きてるかー!! というかっ、生きてたら返事ぐらいしてくれないと上条さんはこれっぽっちも安心できないのですがっ!!?」 

 

美琴「……名前」 パリッ 

 

上条「あ、、なんだよ。すぐ近くにいたんじゃねぇかよ! ったく、心配させやがって、、!! 無事なら無事ですって早く言っ……。 あのー、、なぜにどうしてそんなに元気に放電していらっしゃるのでせうか、、?」

 

美琴「こ、こういう時ぐらいちゃんと名前で呼びさないよ!!!!!! 私にはっ!ちゃんと、御坂美琴って世界で私だけの可愛らしい名前があんのよ!!」 バリバリバリバリッ 

 

 

上条「ぎぃにゃあぁぁあああ!!! お、お前、、せっかく助けにきた恩人に対してその態度はないんじゃ、、。 つーか、世界中を探したら同姓同名の人間ぐらい何十人もいるだろ!!」 

 

美琴「うるさいわね!助けに来るなら、さっさと来なさいってのよ!!!」 バリバリバリ!! ヤメテ!! 

 

上条「ふ、不幸だ。やっぱり俺は幸せにハッピーエンドを迎えるフラグがばっさり打ち消されてるんだー!!!!!!!」

 

仲睦まじい、というと語弊があるかもしれない2人を見つめる視線。 

 

ミコトは目の前で実際に起きている、有り得ない出来事がすぐには理解できなかった。 

 

理解できない失敗。 

分散処理によって導き出された 99.99999987% の精度で命中するはずのレールガンが外れたこと。 

 

理解できない脅威。 

一般人の接近を感知するため、周囲に展開していた磁場観測に対し、上条当麻が反応しなかったこと。 

 

理解できない現実。 

もう自分があの2人のいる位置に立つことは 二度と叶わないということ。 

 

判ってしまった。 

この幻想はもう終わりを迎えるんだと。

 

ミコト「どうして、アンタが、、ここにいんのよ」 

 

ここで、気付く。 

 

美琴に対する嫉妬からか、体から放電しているはずの静電気が さっきから出ていないことに。

 

一方通行「やっと、、気付いたか? ハッ、お前等ってのはァ、いつでも冷静に物事を判断するのが売りだと思ってたんだがなァ?」 

 

打ち止め「むぅっ、下位個体への悪口と見せかけて、それって実は私への当て付けなの!? って、ミサカはミサカは口を尖らせてみる!!」 

 

一方通行「あァ!? 馬鹿か…。そんな訳ねェだろ、、、。」 

 

打ち止め「」ムゥ…(ほっぺたをふくらませる) 

 

一方通行「なぁ、おい! 違ぇッて言ってるだろォ!!! 、、、、チッ、あーはいはい。俺が悪かったよォ!!」 

 

事実だった。 

そんなつもりなど微塵もなかった言葉に、 

過剰反応されてしまった一方通行は、不覚にも自分から謝ってしまった。

 

すると、突然 スススッと打ち止めはミコトの元へと移動を始めた。 

 

打ち止め「そんなに慌てて訂正するかわいいアナタを尻目に、ミサカはミサカは本来の目的に移ってみたり」 

 

一方通行「な!? チョっと待てェ!! この、糞ガキ。人をおちょくりやがッたな!!」 

 

 

ミコトは考える。 

 

上条当麻御坂美琴のやり取りを、一方通行と打ち止めのやり取りを 見て、ひたすら考えていた。

 

どうして2人は、あんなにも仲が良いんだろうか。 

 

どうして私は、自分を大切に思ってくれる相手がいないんだろうか。 

 

どうして世界は、、こんな 打ち止め「それは違うって、ミサカはミサカは断じてみたり」 

 

ミコト「っ!!!」 

 

いつの間にか、ミコトの正面に立っていた打ち止めは、 

真っ直ぐにミサカミコトの顔を見上げて喋り続ける。 

 

打ち止め「あなたは自分が一人ぼっちだと考えているけど、それは違う。 誰もあなたのことを思ってくれないなら、誰もあなたに関わったりはしない。 あなたが欲しいと思った大切なものは、誰もが大切にしたいと考えているから。 それでもあなたを止めたいと思ったのは、あなたのやり方が間違っているから。 あなたはあなたを止めてくれる誰かを待っていたんじゃないの? って、ミサカはあなたを含めた残りの妹達の記憶を参照しつつ、同意を求めてみる。」 

 

 

一方通行「……まァ、他人を犠牲にしてまで何かを手に入れるッてのは、あんまり気持ちのイイもんじゃねえよなァ」 

 

打ち止め「最後の最後まで、仮想レベル6を維持させるためにネットワークを極力使わないようにしていたのは誰だっけ? って、ミサカはミサカはあなたの優しさに感謝していたり」 

 

一方通行「たまたま使う理由がなかッた。それだけだろォが!!勝手に勘違いしてンじゃねえぞ!?」

 

ミコト「お姉様を殺すのを止めるだけなら、、もっと早い段階で上位命令を発行すれば済んだはず、、、」 

 

下位個体はラストオーダーからの上位命令に逆らうことができない。 

ただ、一言だけ。 

御坂美琴の殺害を停止せよ」あるいは「活動を停止せよ」と命令を出せば、 

10032号はその瞬間に無害な存在になっていたはずだ。 

 

しかし、打ち止めはそれを実行しなかった。

 

打ち止め「もちろん、あなたのとった行動と記憶は全てミサカネットワークを通じて、わたしにも伝わっていたよ。 ってミサカはミサカはその理由を教えてあげたいんだけど、、、。」 

 

チラっと、打ち止めは一方通行の顔を確認するかのように見て、こう続けた。 

 

 

打ち止め「敢えてそれをしなかったのは、それじゃ意味がないんだって彼が教えてくれたから。 過ちを犯してしまった人間は、その過ちの大きさを、罪深さを、痛みを心に刻みこまないと何も変わらないんだよ。って、ミサカはミサカは彼の代わりに答えてみたり」 

 

一方通行「……テメェも、止めろと言われて、ハイわかりました、なんてのはスッキリしねェだろ、、」 

 

ミコト「それを私に分からせるために、アレを打たせたって訳、、、?」

 

上条少年が現れて、お姉様が生きているのを認識した時から、 

ミコトの中でもやもやと理解できない何かが駆け回ってる気がした。 

 

もし、あのレールガンで美琴が氏んでいたとしたら、 

彼は何よりも自分を責めるに違いない。大切な人を守れなかった自分自身を。 

 

そこにミサカミコトが入り込む余地なんて、無い。 

 

彼を悲しませる結果しか得られないことを、今の今までミコトは気付けなかった。 

 

だからお姉様が生きていたことが、彼女の心に痛みとして突き刺さった。

 

そして、今の彼女にとって最も大きな存在である少年が、 

いつもと変わらない様子で彼女の所にやってきたのだった。 

 

上条「そっちの件ってのは済んだのか、、? 一方通行」 

 

一方通行「テメぇか、、。ああ。もう用はねェよ。  ……おィ、、帰んぞ、チビ」 

 

打ち止め「もう帰っちゃうの!? ってミサカはミサカは名残惜しそうにあなたの後ろを慌てて追っかけてみたり、、!」 

 

 

上条「おっと、忘れる所でしたよ? 打ち止めー!サンキューな!! 御坂妹に気付かれずに近よれたのって、お前のおかげなんだろ?助かったぜ」 

 

打ち止め「どーいたしましてー! って、ハァハァっ、待ってっ、歩くのが早すぎない!? ってミサカはミサカは息を切らしつつ、やっと追いついたよ!」

 

上条のもとから離れた一方通行は、 

まるで今までは我慢していたかのように、 

足下に反射能力を使いながら跳ぶように進んでいく。 

 

一方通行「チッ、、やっぱあいつの顔見てッとイライラしてくんだよなァ、、」 

 

打ち止め「? どうしたの、初恋でもしちゃったの? ってあなたの顔がちょっと赤い気がするけど気のせいだよね? ってミサカはミサカは心配そうにその白いお顔を覗いてみたり」 

 

一方通行「黙れ」 

 

打ち止め「」ムゥー(ほっぺたをふくらませる) 

 

一方通行「……無視」 

 

一方通行「………無視」 

 

打ち止め「まだ何もいってないよ!? もぅ、あなたはミサカの事が嫌いなの? ってミサカはミサカはショックで嘘泣きをしてみたり」

 

そんなやり取りをしながら、一方通行たちは舞台から姿を消した。 

 

残されたのは、3人。 

 

上条「で、、なんでまたこんな事になっちまったのか、お馬鹿な上条さんにもわかるように説明してくれると嬉しいのですがー、、」 

 

美琴「悪いけど、、アンタはちょっと黙っていなさい」ビリッ 

 

上条「はい…」 

 

物語の主人公っていったい何なんだろうなぁ、上条当麻はついそんな事を考えてしまうのだった。

 

ミコト「あ、、その、、」 

 

美琴「ん?」 

 

ミコトは美琴に伝えなければならない事があるのだが、 

心の隅で何かが邪魔してどうしてもその言葉を紡げない。 

 

美琴「さっきのことなら、私は何にも気にしてないわよ?」 

 

紡げなかった言葉は、それじゃない。 

 

美琴「やりすぎちゃった感はあるけどさ、でも、それってあんたの気持ちがそんだけ強かったってことじゃないの?」 

 

もう、それ以上は───。 

 

美琴「あんたはコイツの事が好きで好きでしょうがないんだから。 素直にコイツにぶつけちゃえばいいのよ」 

 

やめて。 

 

美琴「私のことなんて気にする必要は、、 

 

ミコト「私に、そんな資格なんかないっ!! 私は、たった一人しかいないお姉様を殺そうとしてしまった! お姉様がいなくなって悲しむ人がいることに気付けなかった! …そんな私が幸せになろうだなんてっ、、」 

 

美琴の言葉を遮って、ミコトは叫ぶ。

 

謝りたくても言葉では懺悔しきれないほどの罪の深さ。 

もはやどう償えばいいかすら判らないほどの心の痛み。 

 

それを知ってしまったから。 

 

美琴「……」 

 

ミコト「どうすればいいかなんて、、わからないよ、、」 

 

ミコトの目から涙が落ちるのが見えた。 

 

美琴は小さくため息をつく。 

まるで自分が泣いているのを見ているかのようでやるせなくなる。 

ほんとはアイツに頼りたくなんてなかったのだけど、仕方が無い。

 

2人の後ろで正座をしながら様子を伺っていた上条へ近づくと、 

そっと背中を叩いて彼の出番であることを告げる。 

 

美琴「あの子のこと、頼んだからね。ヘマしたら承知しないわよ、、馬鹿、、」 

 

上条「…わかってる。あいつは必ずもとの世界に連れて帰るって約束する。 だから安心して待ってろ、、美琴」 

 

そう言って、上条は背を向けてミコトの元へ歩き出す。 

 

その後ろでは、顔を茹でたタコみたいに真っ赤にしながら 

何かをうわ言のように呟いている美琴の姿があった。

 

ミコトはただ、茫然とその場に立っている。 

好意を抱いた人が目の前にいるというのに、 

なぜか嬉しくもなんともないのが悲しかった。 

 

上条「なぁ、、御坂妹。 俺には妹や姉貴なんていないから、姉妹喧嘩っていうのがどういうものかよくわからない。 けどな、これだけは俺にもわかる。 どんなに相手の心に傷をつけちまったって、たとえどんなに悲しい想いをさせちまったって、必ず最後はニッコリ笑って仲直りできるのが姉妹ってもんだ! それができないっていうのなら、そんなのは姉妹なんかじゃねぇ!赤の他人も同じだ!!」 

 

 

それは本当の姉妹だから、血の繋がった本当の家族だからいえることだ、と。 

ミコトは上条の言葉を切り捨てる。

 

それでも上条は止まらない。止まることはできない。 

彼女が戻ってこられるまで、上条は咆え続ける。 

 

上条「おまえは、生まれてから一体何を見てきたんだ? 捨てられてる猫を、何とかしてあげたくて俺に助けを求めたのは誰だ!? 脅えさせたくないから、猫を触りたくても触れなかったのは誰だ!? おまえが本当は優しい奴だってのは、俺が良く知ってるんだよ!!」 

 

いぬ。 

ダンボールに捨てられていた猫にミコト自身がつけた名前だ。 

歪んだ感情が生まれてしまった瞬間から、いぬはミコトを避けるようになってしまった。 

 

*(動物にも人間の心の変化を見抜く能力があるなんて、ペットを飼わない人は不思議に思うかもしれない。 飼い主が誰かと喧嘩をしていれば止めようとするし、逆に落ち込んでいるときは慰めともとれる行動をとったりするのだ) 

 

 

優しくなんてない、本当に優しい人間は、大事な人を手に掛けたりはしない、と。 

ミコトは上条の言葉を切り捨てる。

 

上条「そうだな、、。確かに、お前は取り返しのつかない事をしちまった。 だけど、それがどうしたってんだ! お前のやった事は無かったことにはできない。 だけど、これからやれる事が無くなった訳じゃねーだろ!? いますぐに全部まとめてやれって訳じゃねぇ!少しずつ時間をかけてでもいいんだ!」 

 

上条はミコトの目を見て話しながら、ミコトに一歩、また一歩と近づいていく。 

 

ミコトは目を逸らせない。上条の真剣な眼差しが決してそれを許さない。 

 

そして上条は、ついに手を伸ばせばミコトの肩へ届きそうな位置まで辿り着いた。 

 

上条「……俺には何もしてやれることなんて無いのに、色々と偉そうなこと言っちまって悪かったな、、。」 

 

ミコトはただ、上条の声に耳をかたむける。 

 

上条「でも、な、ミコト、お前が壊しちまったもんは、、お前が直すしかねーんじゃねーか、、?」 

 

そう語りかけて、上条はポンっと右手をミコトの肩に載せた。

 

 

────何も、起きない。それは当然である。 

 

異能の力ならば全てを打ち消す幻想殺しイマジンブレイカー>が 

作用するものなんて、ここには何もないのだから。 

 

しかし、上条の右手の暖かさを、まるで身体全体を包み込まれるかのような優しさを、 

この身で感じたミコトは、何かがハンマーで打ち壊されたかのようなショックを受けていた。 

 

もはや、言葉はいらない。 

 

その小さな体にどれだけ深い痛みを刻みこんでいたのか、ミコトは震えながら上条の胸元に抱きついて、泣いた。 

 

 

 

オリジナルとそのクローンによる、 

一人の罪深い少年をめぐる世にも珍しい姉妹喧嘩は、 

ひとまずの終幕を迎えたのだった。 

 

 

美琴「それで、、アンタ達はいつまでそうしているつもりなのかしら、、、?」チリッ バチッ 

 

これ以上は黙って見ていられないといわんばかりに、 

美琴は妹に抱きつかれて固まっている上条の前までやってきて、両腕を組む怒りの姿勢を取っていた。 

 

上条「えーと、、これは何ていうか、、。状況的にこうなるのは百歩譲られて有り得るとゆーか、名残惜しい気もしますが、先程から離れてくださるように頼んではいるのです!って、お、おい!!その手に持ってる見覚えのある黒い震えた剣状のモノは何なんでしょうか、御坂センセー!?」 

 

美琴「ふーん、、、、御坂、ねぇ、、?」ブィーン 

 

上条「は、はい?  …はっ、さっきのは親しみを込めてビリビリって呼ぶのが正解だったのでせうか!?」 

 

美琴「んな訳あるかぁぁぁぁ!!!!!!!! 氏ね!3回ぐらいまとめて氏ねっ!」ズバッ 

 

上条「は、早く離れろ!御坂妹!! このままじゃ2人とも本当に、合わせて6回は氏んじまうぞ!!」  

 

顔はよく見えなかったが、しっかりと胸元に抱きついてくる御坂妹が一緒にいては 

思うように右手でアレを防ぐこともできない

 

69: 2010/01/07(木) 02:41:37.99 id:XTRNx5iT0

ミコト「…その要望は却下します。とミサカはこの状況を1秒でも長く維持したいという気持ちを素直に表します」 

 

美琴「な、何言ってるのよ、あんた。さっきは、その、資格がないとか言ってたわよね!?」 

 

ミコト「何のことでしょうか。記憶に一切ありません。とミサカは嫉妬されているお姉様を尻目にこの状況を満喫します」 

 

 

フフフ、と御坂妹が恐らく笑ったように見えたのは美琴の見間違いなどではない。 

 

──ブチッ。 

 

美琴「冗談もほどほどにしないと、温厚な私も本気で怒るわよー?」ニコニコ 

 

さっき既に何かが切れたような音がしたのは気のせいだろうか。 

上条は、美琴の泣く子も黙るニコニコ笑顔を見ながら、そんなことを考えていた。 

 

ミコト「……ですが、あなたを困らせてまでする必要はありませんね。とミサカは渋々ながらあなたから離れます。」 

 

上条「ほ、助かった、、。いや、しかしあれですな。 女の子ってのはやっぱり男に比べたら小さいもんだよなぁって上条さんは再認識したというか、ドキドキしちゃいましたよ?」 

 

美琴「?? あんたは、む、胸とか小さいほうがいいの、、、?でも男より小さいって、、?」 

 

上条の台詞に引っかかる要素があるとすれば、それより後の部分だったりするのだが。 

幸いにも美琴はそこに気付くことはなく、むしろ間違った方向にドリフトしていた。 

 

ミコト「それはねーよ。とミサカは容赦なく切り捨てます。」 

 

 

美「……!!」ミ「……。…、…。」 

 

美&ミ「……!!!」 

 

上条「まったく、何を言ってるんだか」

 

ミコトから開放された上条は、気付かれないようにそっとその場を離れた。 

 

離れても聞こえてくる2人の御坂の会話を聞き流しながら、大きく息を吸い込む。 

 

そして、今日起きた色々なことを全部吐き捨てるかのように、肺を空っぽにする。 

 

上条「全部が全部、すぐに元通りって訳にはいかねーか」 

 

それでも上条は信じる。 

きっと今まで以上に仲良くなれるはずの姉妹の姿を。 

今まで以上に強い絆で結ばれるだろう姉妹の姿を。 

 

 

最後に、思い出す。いや、思い出してしまった。 

 

上条当麻の住む部屋の中で、昼間から何も食べずに主人の帰りを待つ、妹<シスター>の事を。

 

 

 

 

 

 

 

 

元スレ

御坂妹「ミサカによるミサカ自身のLV6進化計画、、、ふふ」

https://yutori7.5ch.net/test/read.cgi/news4vip/1262789533/