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雪乃「……キスも、たくさん出来るでしょう?」 八幡「……」【俺ガイルss/アニメss】

 

八幡「おう」ガララ

 

雪乃「こんにちは比企谷君、由比ヶ浜さんは?」

 

八幡「ああ、今日は葉山達と31だとさ」

 

雪乃「そう」

 

八幡「ま、二人でも何ら問題ないだろ。どうせ人来ねぇし」スワリ

 

雪乃「……そうね」

 

ガタン

 

ピトッ

 

雪乃「……ふふ」

 

八幡「おい、……マジで? 今日もすんの?」

 

雪乃「仕方ないじゃない、我慢出来ないの」

 

雪乃「それにあなたも期待していたのでしょう? 由比ヶ浜さんが来ないと聞いた時から」

 

八幡「それは、まぁ……ないとは」

 

雪乃「…………」フイ

 

八幡「はぁ……はいはい」

 

八幡「俺もしたいよ、お前と」

 

雪乃「何よ、言えるじゃない」パァー

 

八幡「顔と声のトーンが一致してねぇんだけど……」

 

雪乃「比企谷君、早く」

 

八幡「急かすんじゃねぇよ……わかってるわかってる」

 

八幡(……どうして、こうなっちまったんだろうな)

 

八幡「いくぞ」

 

雪乃「焦らさないで、早く……」

 

 

ちゅっ

 

 

八幡「……ほらよ」

 

雪乃「はぁ……全然足りないわ。もっとしなさい」

 

八幡「ああ、ったく」

 

ちゅっ

 

雪乃「もっと、と言ったでしょう? 一度や二度で済むとでも?」

 

八幡「何回したいか言えばいいじゃねぇかよ……」

 

雪乃「そんなこと私にもわからないわ。満足するまでずっと離さない」

 

八幡(本当に、どうしてこうなったんだっけ……)

 

雪乃「ん」

 

ちゅっ

 

八幡「…………」

 

雪乃「比企谷君? 私とキスしているというのに、一体何を考えているのかしら」

 

雪乃「私に何をしたいの? 駄目よ、私達は唇だけの関係なのだから」

 

八幡「決め付けんなよ……ぼーっとしてただけだ」

 

雪乃「……そう」

 

雪乃「今日は気分が乗らない? そうならもうおしまいにしましょう」

 

八幡(……んだよ、そんな目しやがって)

 

八幡「いや、大丈夫だ」

 

ちゅー

 

雪乃「っ……比企谷、君……?」

 

八幡「続けるぞ」

 

雪乃「え、ええ」ドキドキ

 

ちゅっ

 

雪乃「ふぁ、う」

 

ちゅっ

 

八幡「ん……ふ……」

 

ちゅっ

 

ちゅっ

 

雪乃「……はぁ、はぁ」

 

八幡「…………」ナデナデ

 

八幡「満足か?」

 

雪乃「ええ、ありがとう」

 

雪乃「……優しいのね、あなたは」

 

八幡「何がだよ」

 

雪乃「とぼけないで」

 

八幡「……別にとぼけてるつもりはないんだが」

 

八幡「ちょっと考え事をしてた、……どうしてこうなったかってな」

 

八幡「二人してこんなになっちまった理由ってのを探してた」

 

雪乃「……私は、そんなものどうでもいいわ」

 

雪乃「あなたと一緒に居られて、キスができる……それだけでいいの」

 

雪乃(……嘘。本当はもっと)

 

八幡「そ、か」

 

八幡(……んなこと言ってっけどな、俺たち付き合ってねぇんだけど)

 

雪乃「……でも、あなたが言うなら」

 

八幡「っ」ドキッ

 

八幡「そ、そうかよ」

 

八幡「……最初にした時は、確か――」

 

――――――

――――

――

 

雪乃「今日の部活は終わりにしましょう」

 

八幡「うぃーす」

 

結衣「はーい」

 

ピロリンピロリ-ン

 

八幡「ん? 緊急地震速報……」

 

グラグラグラ

 

八幡「おいおい、もっと早く伝えろよ!」

 

八幡(結構強いぞ、立ってるのがやっとだ)

 

結衣「ぎゃー!」スッテン

 

八幡「由比ヶ浜! 派手にコケたな……大丈夫か?」

 

結衣「あ、うんへーきへーき! ……あ、ヒッキーあっち!」

 

八幡「え?」クルッ

 

雪乃「きゃっ」ツルン

 

八幡「雪ノ下!」ギュ

 

雪乃「ご、ごめんなさい」

 

八幡(さすがにこういう時はぐちぐち言わんのな)

 

八幡「気にすんな、不可抗力だし――」

 

グラグラグラ

 

八幡「っうお!」ズルッ

 

八幡(不意を突かれた……!)

 

八幡(だがまぁ不幸中の幸いだな、このまま後ろにずっこけても雪ノ下に被害は及ばない)

 

八幡(受け身が取れないのはなんだが、頭を打たなければどうということはない)

 

ズテッ

 

八幡(っでぇ!)

 

八幡(……? 声が出せない……)

 

雪乃「」ボーゼン

 

八幡「」フリーズ

 

八幡(……雪ノ下の唇、柔らけぇな)

 

結衣「う゛ぇ!? ひ、ヒッキーとゆきのんがち、ちゅーしてる!?」

 

八幡「!」

 

雪乃「!!」バッ

 

八幡「……」

 

雪乃「……」

 

八幡「………………すまん」

 

雪乃「………………許すわ」

 

結衣「の、ノーカン! ノーカンだからね!? 今のはちゅーじゃなかったよ!!」

 

――――――

――――

――

 

八幡「こんな感じ、だったよな……」

 

雪乃「ええ……」

 

八幡「……今だから言える」

 

八幡「あの時雪ノ下の唇をわりと堪能していた」

 

雪乃「……私もよ」

 

八幡「…………」

 

雪乃「…………」

 

ちゅー

 

八幡「……ん」

 

雪乃「ふふ……」

 

八幡(甘い! MAXコーヒーより甘いぞこの空間!)

 

八幡(まずい、あっはーんな瘴気に毒されてねぇか俺? 正気を保つんだ)

 

雪乃「ひきがやくん……」ギュー

 

八幡(雪ノ下が堕ちた!? ヤバい、健全な男子高校生の俺にとっては非常にやわらかい状況だッ……!)

 

八幡(やわらかい状況ってなんだよ!!!)

 

八幡(確かに雪ノ下の唇は柔らかいしちょくちょく当たる腕とかの感触も素晴らしいが)

 

八幡(それにしたってこの言い間違いはないだろ、俺もどうかしちまったのか?)

 

雪乃「んー……」ズイッ

 

八幡(あ、ダメだこりゃ)プツン

 

――――――

――――

――

 

「……き…や……」

 

八幡「……んん」

 

「比企谷! おい!」

 

八幡「は、はいっ!?」

 

八幡「……ひ、平塚先生? どうしてここに」

 

平塚「もう下校時刻は過ぎているぞ? さっさと起きろ」

 

八幡「はぁ……すみません」

 

八幡「ところで雪ノ下はどこですか? 意識がある前は一緒だったんですが」

 

雪乃「ここにいるわ」

 

八幡「うお、いたのか」

 

八幡「ていうか起こせよな……起きてたんならよ」

 

雪乃「それは無理よ、私もさっき起こされたのだから」

 

平塚「……でだ、聞きたいことがある」

 

平塚「お前達、寄り添い合って寝ていたようだが一体どういう関係なんだ?」

 

八幡(マジで? 超やべえじゃん)

 

雪乃「先生に言う必要があるとは思えません」

 

八幡(おいおいおいぃ! そんな敵意むき出しの言葉を使うなよ!)

 

八幡「……言わぬが花? みたいな」

 

平塚「なんだそれは、私が理解できないようなことをしていたとでも言うのか?」

 

八幡「あーたぶんそんな感じ……ですかね」

 

雪乃「先生とは縁のないことではないかと思います」

 

八幡(バーカーかてめぇ!! 煽ってどうすんだよ!)

 

平塚「聞き捨てならんな……何をした、是が非でも吐いてもらう」

 

八幡(くそ、こうなったら)

 

八幡「じゃあヒントを言いましょう、『魚の名前』……です」

 

平塚「魚……マグロ……、……ッ!!」

 

八幡(あれ? そっちじゃないんですけど)

 

平塚「比企谷ああああああああああああぁぁ!!!!」

 

八幡「不正解!不正解ですよ!! ……おい、逃げるぞ雪ノ下、殺されちまう」

 

雪乃「え、ええ」

 

平塚「貴様なぜ雪ノ下がマグロだということを知っているんだああああああああああああ!!!」

 

雪乃「言いがかりはやめてください平塚先生、私はマグロではありません」

 

八幡「てめぇ火災現場にガソリンぶちまけてんじゃねえよおおおおおおお!!」

 

雪乃「? どういうことかしら、私は魚類ではないし止まっていても死なないのだけれど」

 

八幡「そういう! 意味じゃ! ねぇんだよッ!!」

 

雪乃「よくわからないわ」

 

八幡「もういい! 逃げる!」ダダダ

 

平塚「待て比企谷、逃さんぞ! 貴様のそのふざけた根性を叩き直してやる!!」ダダダ

 

雪乃「…………?」

 

――――――

――――

――

 

雪乃「もしもし」

 

結衣『もしもし、ゆきのん? どうしたの?』

 

雪乃「比企谷君の連絡先を教えて欲しいのだけれど」

 

結衣『え、ヒッキーの? いいけど』

 

雪乃「彼に聞きたいことがあって」

 

結衣『ふーん、じゃあメールで送るね』

 

雪乃「ありがとう、由比ヶ浜さん」

 

雪乃「……一応聞いておくわ。マグロは魚よね?」

 

結衣『ええっ? ……そうじゃない?』

 

雪乃「そうよね」

 

(比企谷家)

 

八幡「はぁ……はぁ……」

 

小町「あ、おかえりお兄ちゃん」

 

八幡「おう、ただいま……ちょっと部屋に行かせてくれ、お兄ちゃん疲れて死にそう」

 

小町「はいはい、ご飯になったら呼ぶね」

 

八幡「あいよ……」スタスタ

 

ガチャ

 

八幡「……助かった」

 

ブーッブーッ

 

八幡「メール? どうせ宣伝――」

 

『雪ノ下です』

 

八幡「うそぉ!?」

 

『どうしても聞きたいことがあったのでメールしました』

 

八幡「明日じゃ駄目なのかよ」

 

『平塚先生の言っていたマグロとはどういう意味ですか?』

 

八幡「」

 

八幡「」

 

八幡(やだこの子頭の中ピュアッピュア!!)

 

八幡「…………どうしよう」

 

八幡(なんて返せばいいんだ……)

 

八幡(ここで『セックスの時に能動的に動こうとしない人のこと』なんて言えるかよ)

 

八幡(だが平塚先生の言っていたマグロは間違いなくこのマグロだ)

 

『あんまりいい意味じゃないぞ、それでもいいか』

 

八幡(送信、予防線を張っておくが……多分無意味だな)

 

ブーッブーッ

 

『構わないから早く教えなさい』

 

八幡(ですよねー)

 

八幡(……ここはひとつ、雪ノ下に性教育をしてやる心で)

 

八幡(…………)

 

『合体した時に相方任せにする奴のことだよ』

 

八幡(……俺のヘタレ)

 

ブーッブーッ

 

『合体とはなに? キスのことならあなた任せにはしていないけれど』

 

八幡(こいつ返信早ぇ……)

 

八幡(もう、逃げられんか)

 

『合体=性行為のこと。

マグロってのは性行してるときに自分から動かない奴のことだ。OK?』

 

八幡(送信、……あーあ)

 

ブーッブーッ

 

『嘘でしょう』

 

八幡(嘘じゃないんだなーこれが)

 

『マジなんだな、これが』

 

ブーッブーッ

 

『証拠を出しなさい』

 

八幡(そんな刑事ドラマに出てくる犯人にありがちな台詞なんて使うなよ……)

 

wikipediaに記事があるから嫁』

 

八幡(あ、やべぇ誤字った)

 

ブーッブーッ

 

『嫁? あなたはこんな時に私に求婚しているの?』

 

八幡(はぁ~ぁ…… )

 

『誤変換だよ、いいからさっさとwikipedia見ろ』

 

雪乃「………………」

 

雪乃「……比企谷君にも困ったものね」

 

雪乃「平塚先生の言葉に下品な意味を勝手に加えようだなんて」

 

雪乃「どうせ嘘よ、wikipediaにあるだなんてすぐにバレるでまかせを――」カチッ

 

雪乃「」

 

雪乃「」

 

雪乃「あ、あった……」

 

雪乃「…………………………」

 

雪乃(なに……これ……)

 

雪乃(嘘、嘘よ。wikipediaにこんな記事があるはずがないわ)

 

雪乃「」ゴシゴシ

 

雪乃「」チラ

 

雪乃(………………信じられないわ、wikipediaにこんな記事があったなんて)

 

雪乃(にしても、どうして平塚先生はこんな言葉を使ったのかしら)

 

雪乃(…………? うーん)

 

雪乃(私と比企谷君が、その、性交した……と、勘違いしたからよね)

 

雪乃(なぜそんなことを気にするのかしら? 平塚先生にとって、比企谷君が誰と関係を持とうが知ったことではないはずなのに)

 

雪乃(…………! ま、まさか……平塚先生は比企谷君の身体を狙っている!?)

 

雪乃(そんな……、ならぐずぐずしていられないわ。すぐに対策を考えないと)カチカチ

 

『比企谷君、明日は学校を休みなさい』

 

『私が一日平塚先生の様子を見るけれど、明後日以降も出来るだけ先生との接触は避けること』

 

『拒否は認めないわ、あなたの危機なのだから』

 

『それと、明日の時間割を教えなさい。部活は休みにして、まっすぐ家に帰るから』

 

『明日の授業の分の勉強をするわ。いくらあなたが危険な状況におかれているからといって』

 

『授業内容を学習しないでいい理由にはならないわ。連絡を入れるから、私の家に来ること』

 

『以上、必ず守りなさい』

 

 

八幡「どういうことだってばよ……」

 

『お、おう。わかった、明日は頼む』

 

八幡(これくらいの返答しか出来ねぇよ)

 

八幡(どうしてこうなった)

 

 

(翌朝)

 

八幡「すまん小町、今日は学校休むから送ってやれん」

 

小町「もー仕方ないなぁお兄ちゃんは……ご飯作っとく?」

 

八幡「いや、大丈夫」

 

八幡(体調はむしろ万全なんだがな……)

 

小町「そっか、じゃあいってきまーす!」

 

八幡「おう、気をつけてな」

 

八幡「…………はぁ」

 

八幡(小町にこんな嘘をつくとはな……心が痛い)

 

八幡(だがこうしないと雪ノ下に何をされるか……)

 

八幡(……ゲームでもしてよ)

 

 

(学校)

 

平塚「雪ノ下、ちょっといいか」

 

雪乃「はい」

 

平塚「……昨日はすまなかったな、マグロだなんて言って」

 

雪乃「気にしてません」

 

平塚「そうか……ありがとう」

 

平塚「もう一つ、比企谷が今日欠席したんだが理由を知らないか」

 

雪乃「……先生と顔を合わせづらかったからでは?」

 

平塚「ぐぅ……やはりそうなのか……? あいつめ、『今日は休みます』の一言だけで電話を切ったからな」

 

雪乃「先生と話したくなかったのではないでしょうか」

 

平塚「やめろ雪ノ下」

 

平塚「しかし、やはり今回の件は私のせいだからな……比企谷に対しての責任は取らなければ」

 

雪乃(……責任?)

 

平塚「……あ、もう行っていいぞ。すまなかったな」

 

雪乃「わかりました、失礼します」スタスタ

 

平塚「……むぅ、何を食わせてやろうか」

 

平塚「ラーメン、牛丼、ステーキ……居酒屋はさすがに駄目だな」

 

平塚「いっそ、私の家に招いてみるか……? 比企谷なら多少は料理の心得もあるだろうし、指導してもらうか」

 

雪乃(……! 平塚先生の家へ……?)

 

雪乃(もしや、そのまま勢いで事に及ぶつもりなのかしら)

 

雪乃(そうよ、『お詫びに君を大人にしてあげよう』的な流れで比企谷君を襲う気なのね)

 

雪乃(……させるものですか)

 

 

(ゆきのんのおうち)

 

ガチャ

 

雪乃「いらっしゃい、比企谷君」

 

八幡「……ズル休みしたのは人生初かもしれん」

 

雪乃「仕方ないわ、あなたの身の安全の為だもの」

 

八幡「先生そんなに怒ってんの?」

 

雪乃「表面上はそうでもないわ。ただ、まだ比企谷君を襲う気ではいるわ」

 

八幡「うっそ、マジ……?」

 

雪乃「……さ、入って。お茶を淹れるわ」

 

 

雪乃「どうぞ」コト

 

八幡「サンキュ」ゴク

 

八幡「……ん、いつも通りの美味さ」

 

雪乃「よかった」

 

雪乃「では比企谷君、早速だけれど勉強をしましょう」

 

八幡「そういやそうだったな」

 

雪乃「まずは数学からよ。教科書を開いて」

 

八幡「なんで数学からなんだよ、現文にしようぜ」

 

雪乃「嫌よ。ほとんど教えることがないじゃない」

 

八幡「ちっ」

 

雪乃「まず、この例題から解いてみなさい」

 

八幡「……これどうすんだっけ」

 

雪乃「直前のページに公式があるわよ? もう忘れたのかしら」

 

八幡「そもそも覚えようとしてないからな、俺は」

 

雪乃「誇らしげに言わないでくれるかしら……ほら、公式に当てはめるだけよ」

 

八幡「なんで公式って覚える必要あんの? 記号の羅列じゃん、社会に出て使うか?」

 

雪乃「口より手と頭を働かせなさい、早く」

 

八幡「へいへい……」

 

カリカリ

 

――――――

――――

――

 

雪乃「ふぅ、これで今日のぶんはおしまいよ」

 

八幡「やっとか……疲れた」

 

八幡「……雪ノ下、やけに教えるのが上手いのな」

 

雪乃「人に教えるということは、自分がその事を本当に理解していないと出来ないことよ」

 

雪乃「私はきちんと理解しているから出来て当然なのよ」

 

雪乃「……それと、比企谷君がぶつぶつ言いながらも真面目に取り組んでくれたのも理由の一つね」

 

八幡「俺の為にやってくれてるんだから、適当にしちゃマズいだろ」

 

雪乃「……あなたのそういうところ、嫌いじゃないわ」

 

八幡「どーも」

 

八幡「んで、勉強も終わったし平塚先生の話にしてもいいか」

 

雪乃「ええ」

 

八幡「あの人本気で俺を襲う気なの?」

 

雪乃「そのようね、家に連れ込んでどうとか言っていたわ」

 

雪乃「恐らく逃げ道を塞いでから襲う気なのでしょうね」

 

八幡「こ、こええ」

 

八幡「…………しかし、先生が怒った原因は間違いなく俺達にもある」

 

八幡「一発くらいやられてもいいんじゃないか、なんて」

 

雪乃(一発……? 一発、『やる』……『一回だけなら性交してもいい』……!?)

 

雪乃「駄目よ」

 

八幡「え?」

 

雪乃「却下するわ、たとえ一回だけだとしても私は許さない」

 

雪乃「たとえあなたの言うとおり、私達にも落ち度はあるかもしれないけれど」

 

雪乃「でもそれは、比企谷君が襲われていい理由にはならないわ」

 

八幡「だがこれが一番手っ取り早い解決策――」

 

ちゅっ

 

雪乃「……黙りなさい」

 

雪乃「いい加減、その人身御供になりたがる悪癖をどうにかしてちょうだい」

 

雪乃「あなたはどうせ一生ぼっちのままなのだから、利己的になるくらいがちょうどいいのよ」

 

八幡(雪ノ下……眼がマジなんですけど……)

 

八幡(ちょっと待って、たかが一発ぶん殴られるだけなのになんでこんなに必死なの?)

 

雪乃(こういうことは一回だけと言っておきなから、ズルズルと続けてしまうものよ)

 

雪乃(あの時の私達のように――)

 

――――――

――――

――

 

八幡「昨日はすまんかった」

 

雪乃「気にしないでちょうだい、あれは事故よ」

 

八幡「だけど……」

 

雪乃「……そんなに謝りたいなら、私のお願いを聞いてくれるかしら」

 

八幡「可能な範囲で」

 

雪乃「私のファーストキスを返しなさい」

 

八幡「どうすりゃいいんだよ……」

 

雪乃「簡単よ、もう一度キスをすればいいの。あなたの初めても返ってくるわ」

 

八幡「え、そういう問題?」

 

雪乃「こういうのは気持ちの問題だと思うのよ」

 

八幡「は、はぁ……。まぁ出来ないことじゃないからやってもいいが、本当にすんの?」

 

雪乃「同じことを何度も言わせないで」

 

八幡「さーせんした」

 

八幡「……いいのか? しちゃうよ?」

 

雪乃「いいから早くなさい。言っておくけれど、この一回しか許さないから」

 

ちゅっ

 

雪乃「っ」ビクン

 

八幡「……ん、これでいいんだろ」

 

雪乃「あ……」

 

雪乃「………………ええ。ありがとう」

 

八幡(……んだよ、その切なげな顔は)

 

雪乃「今日はもう……帰りましょう」

 

八幡「ああ……」

 

――――――

――――

――

 

雪乃(その後の展開はお察しの通り……)

 

雪乃(今のように中途半端な関係のまま唇を重ね続けている)

 

八幡「……雪ノ下?」

 

雪乃「ねぇ、比企谷君」

 

雪乃「私達ってどんな関係なのかしら」

 

八幡「どんな関係、なんて聞かれたらな……」

 

八幡(まず友達ではないよな。じゃあ……友達以上かな……いや、それも違うか?)

 

八幡(一番近いのがセフレなんだがそこまで深いことはしてないし)

 

八幡「……俺にもようわからん」

 

雪乃「でしょうね、私がわからないのにあなたがわかるわけがないわ」

 

八幡「おい、事実だけどそういうことを言うんじゃない」

 

雪乃「……比企谷君、その」

 

雪乃「そろそろ、終わりにしない? こんな中途半端な関係」

 

八幡「終わりにするって? じゃあこれからはどうする」

 

雪乃「比企谷君が受け入れてくれるか不安だけれど」

 

雪乃「……私はあなたと付き合いたい」

 

雪乃「手をつないだり、抱き締めたり、二人で並んで歩いたりしたいの」

 

雪乃「キスだってもっとしたい、あなたと一緒にやりたいことがたくさんあるのよ」

 

雪乃「あなたのそばに、いたいの……」

 

八幡「雪ノ下……俺は――」

 

ピリリリリリ

 

八幡(電話……!? 小町からかよ)

 

雪乃「出ていいわ、私のことは気にしないで」

 

八幡「すまん」ピッ

 

八幡「……もしもし、小町?」

 

小町『もしもしお兄ちゃん? ねぇ今どこ?』

 

八幡「地球ん中。俺宇宙飛行士じゃないから」

 

小町『真面目に答えてよお兄ちゃん』

 

八幡「別に言うまでもない所だよ、調子が良くなったし暇だったからふらっとな」

 

小町『駄目でしょ学校休んだんだから……また悪くなるかもしれないでしょ』

 

八幡「心配すんな、大丈夫」

 

小町『むー』

 

八幡「……あと、夕飯は外で食ってくるから作らなくていいぞ。んじゃ」プツ

 

雪乃「比企谷君? それで結局ご飯はどこで食べるのかしら」

 

八幡「ここ」

 

雪乃「え、え?」

 

八幡「お前の言う『やりたいこと』の中に『料理を作ってあげる』ことは入ってないのか?」

 

雪乃「……卑怯ね」

 

八幡「ぐぐ」

 

雪乃「ちゃんと言葉に出さないと夕飯抜きにするわよ」

 

八幡「そ、そんな殺生な」

 

雪乃「一言でも言えばいいのよ? 一単語でも私が理解できればよしとするわ」

 

八幡「……ぐぅ」

 

八幡「……雪ノ下、好き、だ」

 

八幡「ほら見ろ、ろくな告白になりゃしない」プイ

 

雪乃「いいのよ、それで。あなたらしいじゃない」

 

ぎゅう

 

雪乃「……さて、あなたが逃げ出さないように誓いを立てましょう」

 

八幡「ち、誓いって何だよ」

 

雪乃「浮気をしないことと私を愛し続けること……この二つを誓ってもらうわ」

 

八幡「信用ないの俺?」

 

雪乃「そういうわけじゃないけれど……」

 

雪乃「夢、というか……『誓いのキス』というのをしてみたくて……」カアァ

 

八幡「確かにそういう重いやつはしたことなかったな」

 

八幡「……あいよ、可愛い彼女の夢だもんな」

 

雪乃「ありがとう……」

 

ちゅっ

 

雪乃「幸せ……」

 

八幡(たった一回なのに心臓がフル稼働してんだけどなんなの)ドキドキ

 

雪乃「これで誓いは済ませたわ。浮気なんてしたら許さないんだから」

 

八幡「しねーよ、……多分」

 

雪乃「多分? そう、するかもしれないという事ね」

 

八幡「ああもう、しないからしないから」

 

雪乃「よろしい」

 

八幡「よし、飯作ってくれ雪ノ下」

 

雪乃「雪乃」

 

八幡「はい?」

 

雪乃「二人きりの時はお互いに名前で呼びましょう。付き合っているのだから」

 

雪乃「ねぇ、八幡?」

 

八幡「あ、ああ。……雪、乃」

 

八幡「よし雪乃、飯頼む」

 

雪乃「ごめんなさい、それは無理」

 

八幡「話が違うぞ 」

 

雪乃「一緒に作るのよ」

 

八幡「えー」

 

雪乃「出来たわね。なかなか良い手際だったじゃない」

 

八幡「お褒めに預かり光栄です……疲れた、お前人使い荒すぎ」

 

雪乃「八幡の主夫スキルのテストも兼ねていたから仕方ないことよ」

 

雪乃「私には及ばないけれど、二人で練習すればもっと上手くなるわ」

 

雪乃「それまで結婚はお預け」

 

八幡「気が早いぞ、お預けとか言っても年齢的にまだ結婚出来ないんだが」

 

八幡「……ま、お前と釣り合う人間になるまで頑張ってみるかね」

 

雪乃「い、意外だわ……八幡がそんな殊勝なことを言うなんて……」

 

八幡「なんなの? このシチュってドン引きされるような要素ないでしょ?」

 

雪乃「ね、ねぇ、さっきまでの八幡はどこに行ってしまったの?」

 

八幡「俺は俺だ……」

 

八幡「いいだろ、一度くらい似合わない台詞を言ったって」

 

雪乃「あなた、本当に比企谷八幡なの? 私が愛している八幡と随分違うようだけれど」

 

八幡「わざわざ俺に化ける奴なんていねぇよ……」

 

雪乃「冗談よ」

 

八幡「くだらないことをするんじゃない」

 

雪乃「ご飯が冷めてしまうわ。食べましょう、八幡」

 

八幡「スルーっすか」

 

雪乃「あーん」

 

八幡「!?」

 

雪乃「ほら、口を開けなさい」

 

八幡「あ、ああ」モグモグ

 

八幡「……ん、美味い」

 

雪乃「ねぇ八幡、私にも食べさせてちょうだい」

 

八幡「マジですんの?」

 

雪乃「もちろんよ、だから早く食べさせて……」アーン

 

八幡(上目遣いで口を開けている……なんだかエロい)

 

八幡「ん」

 

雪乃「ふふ、おいしい」モグモグ

 

八幡(こいつこんなにアグレッシブな奴だったっけ? 人のこと言えねぇじゃん)

 

八幡(……ま、いいか)

 

八幡「ふぅ、やっと食い終わったか……まさか全部食べさせ合うとは思わなかったぞ……」

 

雪乃「いいじゃない、一回くらいこんなことをしたって」

 

八幡「お前忘れてない? 俺これから家に帰るんだけど」

 

雪乃「え?」

 

八幡「時間的な都合でそろそろお暇したいんですが」

 

雪乃「泊まっていったら?」

 

八幡「小町がなんて言うかわかったもんじゃねぇよ」

 

八幡「一応俺は今病み上がりっていう設定なんだから小町も少しは心配してるだろ」

 

ピッポッパ

 

雪乃「もしもし、小町さん?」

 

八幡(早っ! 行動起こすの早っ!)

 

雪乃「比企谷君を私の家で預かっているのだけれど」

 

小町『えっ、本当ですか!? お兄ちゃんの様子はどうですか?』

 

雪乃「あまり良いとは言えないわね。今はベッドでぐったりしているわ」

 

八幡(大嘘だ! 一つも現実と一致してないぞ!)

 

八幡(虚言は吐かないんじゃなかったのかよお前!?)

 

八幡「ちょっ、おいおま――」

 

雪乃「駄目でしょう比企谷君、体調が悪いのだからじっとしてなさい」

 

八幡「は、はい」

 

雪乃「……というわけで、明日までここに泊めておくわ」

 

小町『すみません、うちのごみいちゃんがご迷惑をおかけします』

 

雪乃「気にしないでちょうだい、それじゃ」

 

ピッ

 

八幡「oh……」

 

雪乃「八幡、外で着替えを買ってきなさい」

 

八幡「え? 着替えねぇの?」

 

雪乃「男物の服なんてあるわけ無いでしょう、私に異性を泊めるだなんて経験はないのよ」

 

八幡「俺今財布持ってないけど」

 

雪乃「はい、お金よ。無駄遣いしないように」

 

八幡「……無駄遣いなんてしねーよ、お前の金だろ」

 

雪乃「本当かしら」

 

八幡「少しは信用しろよ、仮にも彼氏だぞ俺は」

 

雪乃「……///」

 

八幡「おいどうした」

 

雪乃「な、なんでもないわ……」モジモジ

 

雪乃(八幡が彼氏、八幡の彼女……ふふふふふ///)

 

雪乃「ほら早く行きなさい、お店が閉まったらどうするの」

 

八幡「へいへい、行ってきますよっと」

 

 

(服屋)

 

八幡「寝間着と一応シャツとズボンを買って……他に何かあるかね」

 

八幡「……こ、これは」

 

八幡「パンさんシャツ……だと……?」

 

八幡(これを買って帰ればきっと喜ぶだろうな)

 

八幡(メールでサイズを聞くか)ゴソゴソ

 

八幡(……うげっ、マジかよ携帯置いてってる)

 

八幡(どうする俺、買えば喜ばれるだろうが着られないと話にならん)

 

八幡(ここは買わずにおいて後で二人で来るという手も――)

 

『数量限定! 買うなら今!』

 

八幡(うっそーん)

 

八幡(……もう俺の勘を信じるしかないのか)

 

八幡(肩幅くらいなら記憶を頼りに合わせられるかもしれないが)

 

八幡(――抱きつかれた時の記憶から判断すると、俺の肩幅と比べてこのくらい細い)

 

八幡(とすると……こいつか……?)

 

八幡(着られなかったらしょうがない、部屋のインテリアにでもしてもらうか)

 

八幡(……心臓バクバクしてきた)

 

ガチャ

 

八幡「帰ったぞ」

 

雪乃「お帰りなさい、八幡」

 

八幡「……ほれ、お土産」

 

雪乃「ぱ、パンさんのシャツ……!?」

 

雪乃「買ってくるなら連絡してくれればよかったのに、サイズ選びはどうしたのよ」

 

八幡「携帯忘れたんだよ……。記憶と勘を頼りに選んだから着られないかもしれん」

 

雪乃「これ、私のサイズぴったり……」

 

雪乃「八幡……ありがとう……」ウルウル

 

八幡(ど、どうする……まさか泣かれるとは予想してなかった……)

 

八幡(こんな時は――)

 

(選択肢)

・頭をなでる

・抱きしめる

・キスをする

・押し倒す

 

八幡(押し倒すってなんだよ!!!)

 

八幡(最後は論外として、ここは……)

 

八幡「泣くほど嬉しいのか……そんなに好きだったんだな、パンさん」

 

雪乃「パンさんも好きだけれど……あなたがプレゼントしてくれたものだから……」

 

八幡(その服お前の金で買ったんだけどね)

 

八幡「……そうか。買ってきてよかった」ナデナデ

 

雪乃「ふぁ……」

 

八幡(想像以上の撫で心地)

 

雪乃「はちまんっ」ギュー

 

八幡(抱きつかれた……これって抱き返した方がいいよな……?)

 

八幡「……どうした」ギュ

 

雪乃「ご、ごめんなさい……自分を抑えられないの」

 

雪乃「落ち着くまでこのままでいてくれるかしら……」

 

八幡「お、おう」

 

雪乃「…………」ギュー

 

八幡「…………」ギュ

 

雪乃「……もう大丈夫よ。ありがとう」

 

八幡「気にすんな」

 

雪乃「ちょっと待って、……シャツのお礼よ」

 

ちゅっ

 

八幡「っ」ドキッ

 

雪乃「ふふ」ニコニコ

 

雪乃「お風呂の準備をしてく――」

 

つるっ

 

雪乃「きゃあ!?」

 

八幡「あぶねっ!?」ガシッ

 

つるっ

 

八幡「うおっ!?」

 

どすん

 

八幡「っつつ……」

 

八幡「すまん、俺までコケちまった」

 

雪乃「い、いいのよ。気にしないで、それより……」

 

雪乃「は、恥ずかしいからそろそろどいてくれないかしら……」

 

八幡(あ、ほんとだ押し倒してるよ俺)

 

八幡「わ、悪い」バッ

 

雪乃「いいのよ、いいのよ」カアァ

 

雪乃「失礼するわ」ダダダ

 

八幡(逃げた)

 

八幡(そういや俺ってさ、さっきの4つの選択肢を全部こなしてね?)

 

八幡(俺選んだよ? 一番上の選択肢選んだよ?)

 

八幡(ハグとキスは向こうからで押し倒したのは事故だけどさ)

 

八幡(……あいつ俺のこと好きすぎだろ)

 

――――――

――――

――

 

雪乃「八幡、お風呂出来たわよ」

 

八幡「あいよ。……入ってくるなよ?」

 

雪乃「そ、そんなことしないわ」

 

雪乃(入ってくるな、というのが冗談……つまり入っていいということ……よね)

 

雪乃(入ってこなくていいとは言われたけれど禁止はされていないわ)

 

雪乃(全く、もう。八幡たら)

 

雪乃(素直じゃないんだから……ふふふふ)

 

雪乃(付き合っているのだから一緒に入浴するくらいなんてことないわよね)

 

雪乃(一緒に入ったらどうなるのかしら?)

 

雪乃(八幡はどんな反応をするのかしら……?)

 

ホワンホワーン

 

八幡『ゆ、雪乃!? 入ってこなくていいって言っただろ』

 

八幡『おい馬鹿なんで何も着てないんだよ、水着とか着ろよ』

 

八幡『風呂場は水着で入るもんじゃないって? んなこと知ってる』

 

八幡『だけどよさすがにマズいだろ、お前が裸だと――』

 

八幡『……っ!』プイ

 

八幡『んだよ、こっちみんな』

 

ピトッ

 

八幡『――ッ! や、やめろ……くっつくな……!』

 

八幡『く、あ……はぁ……』

 

八幡『ゆき、の……雪乃っ、はぁ、はぁ……ッ』

 

 

雪乃「……///」

 

雪乃「や、やめておきましょう」

 

雪乃「学生の身で間違いを犯すわけにはいかないもの、うん」

 

八幡「ふぅ、さっぱりした」

 

雪乃「あ、ああ上がったのね」

 

八幡「……? どうした、何かあったのか」

 

雪乃「いいえ、何も? 私もお風呂に入ってくるから」

 

八幡「はいよ」

 

八幡(顔が真っ赤だったな……なにか変なことでも考えたのか)

 

八幡(まさかあいつ、ムッツリだったの?)

 

八幡(……有り得る。意外と官能小説とか持ってそうだし)

 

八幡(そもそもあいつ一人でしたことあんのかね)

 

八幡(あいつの……?)

 

八幡(ま、まずい俺の機動戦士が出撃準備を始めた)

 

カポーン

 

雪乃(八幡が浸かったお湯……)

 

雪乃(普段と同じように沸かしたのに、いつもより少し温かい気がする)

 

雪乃(これが、八幡の体温なのかしら)ブクブクブク

 

雪乃(いけない……頭の中が八幡でいっぱいに……)

 

 

雪乃(のぼせかけた……)

 

八幡「お、おう。上がったのか」

 

雪乃「どうしたの八幡、顔が赤いのだけれど。それになぜ前かがみなの?」

 

八幡「特に理由はない」

 

雪乃「不可解ね」

 

八幡「え? ないの? 無性に前かがみになりたくなる時とか」

 

雪乃「ないわ」

 

八幡「俺にはあるね、多分男ならだいたいそういう気分になる時があると思うぞ」

 

雪乃「そうなの?」

 

八幡「多分な」

 

雪乃「さ、寝ましょう」

 

八幡「それはいいんだが、俺はどこで寝ればいいんだ? 布団とかねぇの?」

 

雪乃「あると思うの? 私は一人暮らしなのよ」

 

八幡「んじゃ、ソファでも借りるか」

 

雪乃「駄目。そんなところで眠らせたくないわ」

 

八幡「じゃあどこならいいんだよ」

 

雪乃「私と一緒に寝ればいいじゃない」

 

八幡「……え?」

 

雪乃「ダブルベッドだからスペースの問題はないわ」

 

八幡「ちょっちょ、マジで?」

 

雪乃「……嫌なの? 私はあなたと一緒に眠りたいのに」

 

八幡「嫌じゃねぇけど倫理的にアレだろ」

 

雪乃「私達、交際しているのよ? 倫理的な問題もないと思うのだけれど」

 

八幡「……わーったよ」

 

雪乃「ふふ」ニコニコ

 

雪乃「じゃあ、おやすみなさい。抜け出したりしないように」

 

八幡「しねーよ、もう動きたくないし」

 

雪乃「……まだ不安」ギュー

 

八幡「お、おい」

 

八幡(背中に慎ましやかなふくらみが当たってるんですが)

 

雪乃「離れちゃだめ」

 

八幡「……はいはい」

 

八幡(やばいやばいやばい、めっちゃ興奮してきた)

 

雪乃「……鼓動が早いけれど、どうしたの?」

 

八幡「べ、別に」

 

雪乃「……。あなたの体、温かいのね」

 

雪乃「心地良い……ふふ、癖になってしまいそう」

 

八幡「そうかそうか」

 

雪乃「真面目に聞いているの? 言葉に感情が全くこもっていなかったのだけれど」

 

雪乃「……あ、ごめんなさい。眠たいのね」

 

八幡(全然眠たくありませーん)

 

雪乃「聞かなくていい、反応しなくていいから……言わせてちょうだい」

 

雪乃「私は今、最高に幸せよ」

 

雪乃「ずっと、ずっとこうしていたいの」

 

雪乃「いつまでも……あなたの側で生きていきたい」

 

雪乃「……ありがとう、私の告白を受け入れてくれて」

 

雪乃「愛してるわ、八幡……」

 

雪乃「………………」

 

雪乃「眠ってしまったのね」

 

雪乃「……おやすみなさい、八幡。また明日」

 

 

八幡(寝れるかあああああああああああああ!!!!)

 

八幡(何こいつ、重ッ! メガトン級の重さだこれ!)

 

八幡(……正直こんなに愛が深いとは思ってなかった)

 

八幡(浮気したら後ろから刺されるんじゃあないか? ……ありそう、冗談抜きで)

 

八幡(だが、しかし、まあ、うん)

 

八幡(……ここまでストレートに好意を伝えられると逃げようがない)

 

八幡(逃げる気さえも起こらない。……それは俺も彼女が好きだからだろうけど)

 

八幡(そうだな、俺も……お前を愛しているよ)

 

八幡「……おやすみ」

 

八幡「……ん、ふぁあ」ノビー

 

雪乃「」スヤスヤ

 

八幡「まだ寝てやがる……しかも思いっきり抱きつきながら」

 

八幡「動けないぞ、どうする……」

 

雪乃「」スヤスヤ

 

八幡(くそっ、振り向くことも出来ないだと!? 寝顔くらい拝ませろ!)

 

八幡(……いいや、今日も学校休むんだから寝ちまえ)

 

雪乃「ん……」モゾ

 

八幡(なんだ、起きるのか?)

 

雪乃「はち……まん……」

 

八幡(はうっ!?)

 

八幡(……今のはかなり来た、耳元で囁かれるのってこんなになるもんだったの?)

 

雪乃「すき……」

 

八幡(あかんあかんあかぁぁぁあん!)

 

雪乃「……愛してる」

 

八幡「」プツン

 

八幡「誘ってんのかおい!」グルッ

 

雪乃「えっ?」

 

八幡「は!?」

 

雪乃「…………」

 

八幡「…………」

 

雪乃「あなた起きていたの?」

 

八幡「お前起きてたのかよ!」

 

八幡「……………………」

 

雪乃「……………………」

 

八幡「お前が寝てると思ってたから動かなかったんだぞ俺は」

 

雪乃「私だって、あなたが寝ていると思ったから耳元で愛を囁いたのよ」

 

八幡「んなこと俺が起きてても出来んじゃねぇか」

 

雪乃「な、は、恥ずかしかったのよ……ピロートークみたいで」

 

八幡「どうしてそういう発想になるんだよ」

 

雪乃「あなたこそ囁きくらいで興奮してどうするのよ」

 

八幡「そういうのって思ったよりヤバいんだっての」

 

雪乃「ならやってみなさい」

 

八幡「……言ったな」

 

八幡(あれ? これって誘い受け?)

 

八幡「……雪乃」ボソッ

 

雪乃「!!」ドキッ

 

八幡「好きだ……もう、お前しか見えない……」

 

八幡(視界的な意味で言えばその通りなんですけどねー。近すぎ)

 

雪乃「はぅ……」ドキドキ

 

八幡「ふぅー」

 

雪乃「ひやぁん!?」ビクン

 

八幡「どうした、耳に息をかけただけだが」

 

雪乃「ひ、卑怯よ……」

 

八幡「ふぅー」

 

雪乃「ふぁあ!」ビクン

 

八幡(なにこれ楽しい)

 

八幡「悪かったって……」

 

雪乃「ふん」ブッスー

 

八幡「どうしたら許してくれるんですかね」

 

雪乃「……昨日から不満に思っていることがあるのだけれど」

 

雪乃「八幡、あなた私のことを全然名前で呼んでくれないじゃない」

 

八幡「そうだったか?」

 

雪乃「そうよ、昨日と今日合わせて3回しか呼ばれていないわ」

 

八幡「なんで数えてるんだよ」

 

雪乃「数えるほどしか呼んでくれていないからよ」

 

雪乃「……と、いうことで。今後私を呼ぶ時は必ず名前で呼ぶこと」

 

雪乃「『お前』や『こいつ』などは一切禁止します」

 

八幡「えー」

 

雪乃「嫌なの? どうして?」

 

八幡「あ、いや……なんつーか」

 

八幡「……恥ずかしい、というか、呼びにくいというか」

 

雪乃「恋人の名前を呼ぶことがそんなに恥ずかしいことなの?」

 

八幡「俺にとってはな……」

 

雪乃「すぐに慣れるわ。だから私のことは雪乃と呼びなさい、いいわね?」

 

八幡「お、おう」

 

雪乃「約束よ、……」

 

ちゅっ

 

雪乃「……ここまでしたんだからちゃんと守りなさい」

 

八幡「わかったよ……雪乃」

 

雪乃「よし」

 

雪乃「……それじゃ、私は欠席の連絡を入れてくるから」

 

雪乃『……なので、今日はお休みしたいのですが』

 

平塚「そうか、わかった」

 

雪乃『それと、比企谷君は今日も欠席するとのことです』

 

平塚「了解した。……が、なぜそれを君が言うんだ?」

 

雪乃『ああ、比企谷君は今私の家にいるんです』

 

平塚「なぬぅ!?」

 

平塚「どどどどういうことなんだ、説明したまえ」

 

雪乃『昨日体調不良にも関わらず無謀にも外出してそのまま倒れた比企谷君を偶然拾ったんです』

 

雪乃『かなり具合が悪そうだったのでそのまま一泊させただけですが……まさか病気をうつされるとは思いませんでした』

 

平塚「バカだろ……あいつ……」

 

平塚「では今日の部活は休みだな。由比ヶ浜に言っておこう」

 

雪乃『すみません』

 

結衣「それじゃ、二人揃ってダウンしてるってことですよね。ゆきのんの家で」

 

平塚「ああ、そうなる」

 

結衣「……そうだ! お見舞いに行きましょうよ!」

 

平塚「お見舞いか……」

 

平塚「すまんな由比ヶ浜、私は今日仕事が少ないから久しぶりにラーメン屋巡りをしようと思っているんだ」

 

結衣「ラーメンならあたしが今度奢りますから! ね!」

 

平塚「ぐ、しかし」

 

結衣「ラーメンばっかり食べてると太りますよ」

 

平塚「ぐおおぉ!」

 

平塚(ま、まずい……太ってしまうと男受けが悪くなる! そうなるとますます行き遅れてしまう!!)

 

平塚「わ、わかった……ラーメン、ちゃんと奢ってくれるんだろうな」

 

結衣「はい! もちろん!」

 

平塚(くっそぉ……由比ヶ浜なんぞに乗せられるとは……!)

 

雪乃「ねぇ見て、八幡」

 

八幡「それは……昨日買ってきたパンさんのシャツか」

 

雪乃「……どう、かしら」

 

八幡「なんていうか、新鮮だな」

 

八幡「たまにはこんな雪乃も……悪くない」

 

雪乃「ありがとう……」テレテレ

 

ぎゅうー

 

八幡「……雪乃さ、俺に抱きつくのがそんなに好きなの?」

 

雪乃「ええ、温かいから」

 

雪乃「それに……」

 

ちゅっ

 

雪乃「……キスも、たくさん出来るでしょう?」

 

八幡「……誘ってんの?」

 

雪乃「そう思うならそうなんじゃない? いいわよ、何をしても」

 

八幡「ったく」

 

ちゅっ

 

八幡「ん、れろっ……」

 

雪乃「っ!? う、むぅ……」

 

八幡「ちゅ、ふ……んくっ」

 

雪乃「んん、――っ!」

 

八幡「ぷはっ」

 

雪乃「はぁ、はぁ……舌を入れるなんて……変態よ」

 

八幡「いいじゃねぇか、人間はみんな変態なんだよ」

 

雪乃「私は変態じゃないわ……あなたと一緒にしないでちょうだい」

 

八幡「と言いつつ興奮している雪乃であった」

 

雪乃「そ、そんな、こと……」

 

八幡「……もう一度してやろうか」ボソッ

 

雪乃「――!」ゾクゾクッ

 

雪乃「あ、あ……」

 

雪乃「後でにしてちょうだい、昼食の支度があるからっ」ダダダ

 

八幡「……逃げたか」

 

八幡「飯の後が楽しみで仕方ないぞ、どうしたんだ俺」

 

八幡「というわけで飯はカット」

 

八幡「早速続きをしようじゃないか、雪乃」

 

雪乃「ちょ、ちょっと待って……次にされたら腰が抜けてしまいそうだから……」

 

雪乃「ベッドの……上で……」

 

八幡「おいそれはまずい、確実になし崩し的に間違いを犯すことになるぞ」

 

雪乃「いいわ」

 

八幡「!」

 

雪乃「八幡になら……何をされたって……」

 

八幡「」プツン

 

八幡「よっと」

 

雪乃「きゃっ! は、八幡……こんな抱き方、恥ずかしいわ」

 

八幡「お姫様抱っこくらい気にすんな、ベッドまで運ぶだけだ」

 

八幡「……たっぷり可愛がってやるよ」

 

雪乃「は、はちまん……」ゾクゾク

 

ドサ

 

雪乃「は、八幡」

 

八幡「ん、どうした」

 

雪乃「その、ほ、本当に……するのかしら……」

 

八幡「さぁ? そんなもん俺の気分で決める」

 

八幡「だがどんなことになっても文句は言うなよ、何されてもいいってさっき言っただろ?」

 

雪乃「っ……」

 

八幡「……ま、するとしてもそんな乱暴にはしねぇよ」

 

八幡(嫌われたくないし)

 

八幡「ほら顔出せ、キスするんだろ」

 

雪乃「あ、……ん」

 

八幡「ん」チュッ

 

雪乃「………………」

 

八幡「なんだ、その不満げな顔は」

 

雪乃「さっきのキスをしなさい」

 

八幡「さっきのって? どういう風にすればいいんだ?」

 

雪乃「し、舌を、入れて……いたじゃない」

 

八幡「あぁ、それで?」

 

雪乃「あの、あ、あなたの舌で、私の口の中を滅茶苦茶にして……ほしいの……」

 

八幡「……雪乃、今のは『ディープキスしろ』だけで済んだ問いだぞ」

 

雪乃「え、……あっ」カアァ

 

八幡「だがまぁ俺好みの答えだったからいいんだけどさ」

 

八幡「……したいんだろ? ほら」

 

雪乃「えぇ……」

 

ちゅっ

 

八幡「じゅる、くちゅ……んくっ」

 

雪乃「ふぁ、ん!」ビクン

 

八幡「れろっ、じゅぷっ」

 

雪乃「……っ、ぁ」ビクビク

 

八幡「う……ん、ちゅうぅぅぅ」

 

雪乃「んっ!、んぅぅ―――!」

 

八幡「……ふぅ」

 

雪乃「あ……う……」クタッ

 

八幡「あーあー、マジで腰砕けてやんの」

 

雪乃「だ、って、激し……すぎて」

 

八幡「ちょっとくらい激しい方が来るだろ? 腰に」

 

雪乃「それにしたって……っ」

 

八幡「まぁいいじゃん、今ので雪乃の乳首ビンビンになってるんだし」クリッ

 

雪乃「んひぅ!」ビクン

 

八幡「……もしかして、雪乃ってMなのか?」

 

雪乃「ち、ちが……」

 

八幡「違うのか? 俺はMだと思うんだけど」

 

八幡「キスしてる時とか、今みたいに乳首いじってる時とか……滅茶苦茶悦んでんじゃねぇかよ」

 

八幡「違うってんなら証明してみろ、乳首こねくり回すけど喘ぐんじゃねぇぞ」

 

雪乃「……くっ」

 

クリクリ

 

雪乃「あぁっ!」ビクン

 

八幡「くくっ……初っ端から反応してやんの」

 

雪乃「や、あ……」

 

八幡「何か言ったか?」クリクリ

 

雪乃「ふやぁっ!」

 

八幡「楽しい……超楽しい、雪乃をいじめんのってこんなにスカッとするもんだったんだな、くくっ」

 

雪乃「ひ、どい……!」

 

八幡「おいおい、俺は雪乃が望んでいるサービスをしているだけだが」

 

雪乃「こんなの、こんなのっ……わたしは望んでなんかっ」

 

八幡「雪乃は自分の体が悦んでいるのがわからないのか……?」クリクリ

 

雪乃「んっ! んんんんっ……!」

 

八幡「どうした、……我慢なんてしなくていいんだぞ?」

 

八幡「限界なんだろ? いいよ、イッちまえよ……ほら」ギュニッ

 

雪乃「ああぁぁああああぁ―――――ッ!」ビクンビクン

 

八幡「…………」ニヤニヤ

 

雪乃「ひぃ、あ、……はあ、はあ」

 

八幡「随分気持ちよさそうだったじゃないか」

 

雪乃「こ、この、けだものっ」ポカポカ

 

八幡(全然痛くないんですねーこれが)

 

八幡「……嫌いになったか」

 

雪乃「! ……そんなことないわ。ただ、少し怖かった」

 

八幡「そ、か」

 

八幡(……こりゃ本番するのはもっと先だな)

 

八幡「俺も悪かった、雪乃が可愛くてついやりすぎちまった」

 

雪乃「そういうことを言っておけば私が水に流すと思っているんでしょう?」

 

八幡「いやいや、真実。バリ真実」

 

雪乃「……///」

 

雪乃「と、特別に、今回の件は不問に処します」

 

八幡「すまんな」

 

雪乃「あと、今のようなことをまたしたいなら……私の許可を得てからにすること」

 

雪乃「嫌ではなかったし、まぁ、気持ちよかった……から」

 

八幡「じゃあ今からしていいか?」

 

雪乃「ダメ」

 

八幡「えー、なんでだよ。気持ちよかったんだろ?」

 

雪乃「今はそういう気分じゃないのよ」

 

八幡「ならどういう気分なんだ」

 

雪乃「……キス。キスがしたいわ」

 

八幡「本当にキスが好きなんだな……雪乃は」

 

雪乃「……ええ。大好きよ」

 

八幡「仕方ないな、雪乃の気が済むまでやってやる」

 

平塚「まったく比企谷め、私のラーメンを返せ」

 

結衣「まぁまぁ、そしたら今度ヒッキーに奢らせればいいじゃないですか」

 

平塚「それは駄目だ。いくら比企谷が相手でも病人から金を巻き上げるなんて行為は出来ないさ」

 

平塚「……お、来たな」

 

小町「お待たせしましたー」

 

小町「いやー、すみません……兄がこんなにおバカさんだとは思ってませんでした」

 

平塚「全くだ、奴のせいで私の予定が潰れてしまったんだからな」

 

結衣「まだラーメンのことを引きずってるんですか平塚先生……」

 

平塚「いいだろう、恨み言の一つや二つくらい比企谷は言われ慣れているだろうからな」

 

平塚「私が少し愚痴ったところでさしたる影響はあるまい……さて」

 

平塚「全員揃ったことだし、行くとするか」

 

結衣「はい!」

 

小町「ほぇー……でっかいマンションですねぇ」

 

平塚「雪ノ下め……私もこんな家に住みたかった……」

 

結衣「ゆきのんの部屋の番号は……っと」ピッピッ

 

結衣「…………」

 

結衣「うーん、出ませんね」

 

平塚「どうする、この扉が開かないと雪ノ下の部屋まで行けないぞ」

 

小町「……あ、人が来ましたよ」

 

平塚「扉を開けたな、よし……行くぞ」

 

タッタッタッ

 

小町「ここですか? 雪乃さんの部屋って」

 

結衣「そうだよ、……インターホン鳴らすね」

 

ピンポーン

 

結衣「……」

 

平塚「……出んぞ、もしかして留守なんじゃないか?」

 

小町「いや、それはないんじゃないんですか? 二人共病気なんですし」

 

結衣「」ガチャ

 

平塚「あ、開けた!? 由比ヶ浜、まさかお前ピッキングでもしたのか!」

 

結衣「違いますよ! 鍵がかかってなかったんです!」

 

小町「ともかくこれで入れますね」

 

結衣「お、おじゃましまーす……」

 

小町「ごみいちゃーん、お見舞いに来たよー!」

 

平塚「返答もできないほど体調が悪いのか……?」

 

平塚「それともやっぱり留守なんじゃ……」

 

平塚「しかし靴はあるんだよな、どうしたというんだ」

 

小町「……? こっちの部屋から何か聞こえるような」

 

結衣「この部屋? ……よーし」

 

ガチャ

 

結衣「ヒッキー、ゆきのん! お見舞いに――」

 

八幡「じゅるるる、ん、ちゅく」

 

雪乃「ふぁ、く……」

 

雪乃「は、はちまん、わたし……」

 

八幡「ん? どうした」チュー

 

雪乃「あ、あ……もう、だめ、だめなのっ」

 

八幡「ふ……、イきそうなのか? さっきからキスだけで何回イッてんだよ」

 

雪乃「仕方ないじゃない……気持ちいいんだもの、んんぅっ」

 

八幡「しょうがないな……ちょいと激しくするからな」

 

雪乃「ちょ、まって……」ゾクゾクッ

 

八幡「待つと思うか?」チュ

 

結衣「」

 

平塚「」

 

小町「」

 

八幡「ちゅう、ん、じゅ……ずるるるるっ」

 

雪乃「――――! ん、んんんぅぅうう!」ビクンビクン

 

八幡「……うわ、あっけな」

 

雪乃「は、ひ……ぁぅ……」

 

平塚「比企谷」

 

雪乃「はげし、すぎ……るわ……」ハァハァ

 

八幡「んなこと言われてもこのくらいしないとイかないだろーが」

 

八幡「それになんだかんだ言ってもイカされるのが癖になってんだろ?」

 

平塚「おい、比企谷」

 

雪乃「そ、そんなこと」

 

八幡「あるんだよな、雪乃はドMだし」

 

雪乃「う、ぅ……」ゾクゥ

 

平塚「比企谷ァアアッ!!」

 

八幡「うぇえ!?」

 

雪乃「!?」

 

八幡「平塚先生、由比ヶ浜……小町まで!? なんでここに」

 

雪乃「……ピッキングでもしたんですか? 平塚先生」

 

平塚「私がそんな技術を持っていると思うのか? ……鍵が開いていた」

 

八幡(そういえば昨日服を買って帰ってきた時に鍵を閉めた記憶がないな……)

 

八幡「それはいいとして、どうしてここに来たんですか」

 

平塚「お前たちのお見舞いに来てやったんだよ……」

 

結衣「あうあう……」プシュー

 

小町「」ボーゼン

 

平塚「私達は純粋にお前たちを心配していたのに……それなのに」

 

平塚「どういうことか……説明してもらおうじゃないか、比企谷ァ!!」

 

八幡「仮病使いました」

 

雪乃「元はといえば先生が八幡を襲おうとしていたからです」

 

平塚「……は? 私が、比企谷を?」

 

雪乃「適当な理由をつけて八幡を自宅に招き、逃走経路を断絶した上で事に及ぶつもりだったのでは?」

 

平塚「私がそんなことをするはずがないだろう!」

 

八幡「いや、ぶっちゃけ一発くらいやられるんじゃないかと思いますけど」

 

雪乃「日頃の八幡への扱いが招いた結果です」

 

小町「……ん?」

 

小町「雪乃さん、今お兄ちゃんのこと……名前で……」

 

雪乃「ええ、八幡と呼んだけどそれが何か?」

 

結衣「」ポワーン

 

八幡「小町、実は俺たち付き合ってるんだ」

 

雪乃「そういうことよ」

 

平塚「……いつからだ」

 

八幡「昨日からですけど」

 

平塚「ズル休みしといてなにしてくれてんだこのスッタコがぁああ!!」

 

雪乃「平塚先生、落ち着いてください」

 

雪乃「それに先生にだって落ち度はあります。八幡は先生を怖がって私のところに泣きついてきたんです」

 

八幡「違うだろ! お前がうちに来いってメールを送ってきたから――」

 

雪乃「八幡、私を呼ぶ時は名前で呼べと言ったでしょう」

 

八幡「ぐ……すまん」

 

八幡「ぶっちゃけビビってたのは本当なんですけどね」

 

平塚「」ワナワナ

 

小町「ひゅー、暑苦しーい」

 

結衣「」ボーゼン

 

平塚「……と、とにかく! 私が比企谷を襲うと考えた理由を聞かせろ」

 

結衣「」ハッ

 

雪乃「……二日前、私と八幡は部室で仲良く眠ってしまいましたね」

 

雪乃「それを見た平塚先生が不自然な問いをしました。添い寝をしているとは一体どういう関係なんだ、と」

 

八幡「埒が明かないと思って魚の名前がどうとかの問題を出したら、先生がいきなり暴れだしたんだよな」

 

平塚「ぐぬぬ

 

雪乃「そうね、そしてその時先生が呟いた『マグロ』という単語……これの意味が気になって調べました」

 

結衣「だからわざわざヒッキーにメールしようとしたの!?」

 

雪乃「ええ。検索した結果、今の意味のマグロは、……まぁいかがわしい意味だった」

 

雪乃「それで気づいたんです。平塚先生が私と八幡の関係を気にしていた理由が」

 

雪乃「……平塚先生、あなたは八幡を性的な目で見ていますね?」

 

平塚「どういう……ことだ……」

 

八幡(え、何言ってんの俺の彼女さんは? どうやったらそんな結論に到達すんの?)

 

平塚「私は比企谷を性的な目でみてなんかいないぞ」

 

八幡「……! お、おいちょっと待て雪乃」

 

八幡「雪乃がしばしば言っていた『平塚先生に襲われる』ってのは」

 

八幡「平塚先生が俺とズッコンバッコンしたいんだろう、ってことを言ってたのか?」

 

雪乃「……? ズッコンバッコンとはなんのこと?」

 

八幡(そういえばこの子めちゃピュアだったね、忘れてた)

 

八幡「セックスの擬音」

 

雪乃「そ、そうなの///」

 

雪乃「こほん。……そうよ、私は八幡の言うように考えていたわ」

 

八幡「俺はてっきりぶん殴られることかと思ったんだがな……」

 

雪乃「あなたの貞操を守るために仮病を使わせてしまったけれど、余計なお世話だったのかしら」

 

平塚「そうだ、余計なお世話だ」

 

八幡「いや、そうでもないだろ。ズル休みしたお陰で雪乃と一緒になれたんだからな」

 

雪乃「八幡……」

 

ぎゅうー

 

平塚「何やってんだおんどりゃあああああああぁああああぁ!!」

 

結衣「うわぁ……すっかりラブラブだね」

 

小町「お兄ちゃん、雪乃さんとはどこまで行ったの?」

 

八幡「Bまで」

 

小町「うそぉ!? てっきり小町はまだAだと思ったよ」

 

雪乃(Bまで? A? ……なんのことかしら?)

 

小町「ちなみにさ、キスでイかせるのもAだからね?」

 

八幡「Bだな」

 

結衣「小町ちゃん! えっちい話はやめようよ!」

 

八幡「ビッチが純情ぶってるんじゃねぇよ」

 

結衣「だからあたしはビッチじゃないし!」

 

雪乃「八幡、なでてちょうだい」

 

八幡「あいよ」ナデナデ

 

雪乃「ん、ふ……」ホワホワ

 

小町「ひゅーひゅー」

 

平塚「なんなの……この空間……」

 

――――――

――――

――

 

八幡「……どうして俺が正座させられているんだ」

 

雪乃「さあ……?」

 

八幡「雪乃も正座しろよ、共犯じゃないか俺たち」

 

雪乃「座らなくていいと言われたから」

 

平塚「比企谷」

 

八幡「……なんすか」

 

平塚「説明してもらうぞ、どうしてこうなったのか」

 

八幡「別にいいっすけど殴らないのが身のためですよ、雪乃が怒りますから」

 

平塚「」イラッ

 

結衣「せ、先生落ち着いて」

 

小町「で、お兄ちゃん! きっかけはなんだったの?」

 

八幡「……地震だ」

 

小町「地震?」

 

結衣「えぇ!? もしかして、アレが原因なの!?」

 

八幡「そういや由比ヶ浜、お前もいたな。ちょうどいいから説明してやれ」

 

結衣「う、うん……」

 

結衣「その、そのね、地震で転んだヒッキーとゆきのんがはずみでちゅーしたの」

 

小町「ほうほう」

 

平塚「偶然を装って唇を奪う……か。なかなか有用な策かもしれん」

 

八幡「それで、翌日にもう一回した」

 

平塚「!?」

 

小町「お兄ちゃんったらだいたーん♪」

 

八幡「待て小町、言い出したのは雪乃からだ」

 

結衣「うっそぉ!?」

 

雪乃「///」

 

平塚「なん……だと……」

 

八幡「あの時は『ファーストキスを返せ』なんていう口実で迫ってきたな」

 

八幡「返してやった後に凄く切なそうな表情をしてたのは黙っておいてやるか」

 

結衣「声に出てるよ! まるで黙れてないよヒッキー!」

 

雪乃「な、何言ってるの八幡!」カアァ

 

八幡「あーごめんついうっかり」

 

小町「うわー、棒読みだー」

 

八幡「そして二人してキスにハマってしまってな、由比ヶ浜がいない時は毎日してたと言っても過言じゃない」

 

結衣「……ゆきのん」

 

雪乃(視線が痛いわ……)

 

八幡「そして二日前、由比ヶ浜がいないのでその日もちゅっちゅしていたわけだが」

 

八幡「妙にヒートアップしちまって意識がなくなるまでし続けたみたいでな。実際その時の記憶がない」

 

雪乃「激しかったわ……」ポワーン

 

八幡「え、覚えてんの?」

 

雪乃「ええ、もちろん。押し倒されて徹底的に唇を弄ばれたわ」

 

結衣「」プシュー

 

小町「うわー」

 

平塚「お前たち学校内でそんなことをしてたのか……」プルプル

 

八幡(その反応をするのってちょっと遅くない?)

 

八幡「で、二人仲良く眠ってたところを平塚先生に見つかった」

 

八幡「ところで平塚先生。あの時出した問題の答え、わかりました?」

 

平塚「……今分かったよ、鱚だろ」

 

八幡「正解です。接吻と魚の鱚がかかっているそのままの簡単な問題でした」

 

八幡「えー、ちなみに平塚先生は一度マグロと誤答しています。何を考えていたんでしょうねぇ」

 

平塚「おのれ比企谷ァ!」グワッ

 

雪乃「先生?」ニコッ

 

平塚「ほ、本当に怒った……ぐぬぅ」

 

小町(お兄ちゃんちょっと調子乗ってる)

 

八幡「そして雪乃の提案でズル休みして今に至る、というわけだ」

 

八幡「説明終わったから足伸ばしていい? そろそろ限界迎えそうなんだけど」

 

雪乃「いいわよ八幡、あとでほぐしてあげる」

 

八幡「サンキュ」

 

平塚「おい比企谷! 誰が足を崩せと――」

 

雪乃「」ニコニコ

 

平塚「……なんでもない」

 

八幡「じゃあ後は質問タイムにするか、答えれる範囲で答えるぞ」

 

小町「はいっ!」

 

八幡「小町どうぞ」

 

小町「二人きりの時の雪乃さんはどんな感じですか?」

 

八幡「もうね、ヤバイよ。超くっついてくる」

 

八幡「事あるごとに抱きついてきたりキスしてくるんだぜ」

 

雪乃(事実だから何も言えないわ)///

 

八幡「口調はそんなに変わらないけど暴言はさっぱり言わなくなったな」

 

平塚「そうかそうか」イライラ

 

結衣「きゃ~、きゃ~///」

 

八幡「俺と居ると超幸せそうなんだよ、そういやこんな話が――」

 

雪乃「八幡っ! やめて、やめて恥ずかしい……」

 

八幡「というわけでやめとくか。次の質問どうぞー」

 

結衣「は、はいっ」

 

八幡「よし、カマトトビッチ」

 

結衣「ひどすぎっ!?」

 

結衣「ゆ、ゆきのんの服……なんだけどさ」

 

平塚「パンさんのシャツか……雪ノ下のイメージとはかけ離れたファンシーなものだが」

 

八幡「俺が買った」

 

小町「ほほう……」

 

雪乃「着替えを買いに行かせた時に見つけたらしくて……なんの断りもなく買ってきたわ」

 

八幡「勘で選んだらサイズがドンピシャでな、雪乃は泣いて喜んだ」

 

雪乃「~~っ!」ポカポカ

 

平塚「そうか」イライラ

 

八幡「感極まったのか抱きつかれたり買ってきた礼としてキスされたりしたぞ」

 

小町(さすがの小町もこれには唖然とします)

 

八幡「いいぞ雪乃。上手いじゃないか、肩叩き」

 

雪乃「なら次は頬でも叩いてあげましょうか」

 

八幡「すみませんでした」

 

雪乃「惚気はほどほどにしなさい、あそこでうずくまっている先生が見えないの?」

 

八幡「あ……」

 

平塚「」チーン

 

八幡「とは言うけどな、雪乃も結構遠慮なく惚気てるぞ」

 

平塚「」シクシク

 

結衣「あー! 先生が泣いてる!」

 

小町「平塚先生元気出してください、きっと先生にもいい相手がいますよ」

 

平塚「…た……って……」

 

平塚「私だって惚気けたいんだ! お前たちに旦那を自慢したいんだ!」

 

八幡「まだいないじゃないすか」

 

雪乃「やめなさい八幡」

 

平塚「それなのにお前たちときたらそんな私に幸せアピールしまくりやがって! ふざけるな!」

 

雪乃「平塚先生」

 

雪乃「……嘆いているだけでは何も変わりませんよ、私達を羨んでも先生を選んでくれる男性は現れません」

 

雪乃「私達が一緒になれたのは、お互いが歩み寄ったから……行動を起こしたからです」

 

雪乃「待っているだけで異性と結ばれるわけがありません。……先生なら行動が出来るはずです」

 

平塚「雪ノ下……」

 

平塚(……正論すぎる、ぐうの音も出ない)

 

平塚(しかし妙にムカつくな……彼氏持ちの余裕がにじみ出ていてイラッとする)

 

平塚「そうか、……そうだよな」

 

平塚「……帰るぞ」

 

結衣「え、もう帰るんですか?」

 

平塚「邪魔したな、ズル休みはもうするなよ」

 

雪乃「心得ています」

 

平塚「私は、私のやり方で……いい男を捕まえてみせる。やってみせるさ」スタスタ

 

八幡(なんか燃えてるよこの人)

 

結衣「お邪魔しましたー……」トテトテ

 

小町「お兄ちゃん、避妊はしっかりしてね」

 

雪乃「えっ///」

 

八幡「待て小町、まだしない。まだしないぞ」

 

小町「じゃ、先にお家帰ってるね」

 

八幡「おい小町、……もう一泊していい?」

 

小町「駄目だよお兄ちゃん! ズル休みしたバツとして今日と明日はは小町デーにするからね!」

 

八幡「なんだよ小町デーって……」

 

小町「ご飯用意しておくからちゃんと帰ってくるんだよー」トコトコ

 

八幡「お、おう」

 

雪乃「……」

 

八幡「……」

 

八幡「……行ったな」

 

雪乃「八幡、本当に帰るの?」

 

八幡「ああ。……小町も大事だからな」

 

雪乃「そうね、……そうよね。変なことを言ってごめんなさい」

 

八幡「まあ待て、すぐに帰るわけじゃない」

 

八幡「……晩飯の時間ギリギリまでいてやるよ」

 

雪乃「!」パアァ

 

八幡「じゃ、続きするか」ガバッ

 

雪乃「きゃっ! は、八幡……?」

 

八幡「邪魔が入ったろ? まだしたりないんじゃないかと思ってな……」

 

雪乃「う、うう」ゾクゥ

 

八幡「……くくっ」

 

平塚「由比ヶ浜ァ! ラーメン食いに行くぞ!」

 

結衣「えぇーっ!? 旦那さん作るために何かするんじゃなかったんですか!?」

 

平塚「それは明日からだ! 腹の虫とはらわたが煮えくり返っていて今はそれどころじゃない」

 

平塚「私は今すごくイライラしているのだよ、あのリア充ぼっち共のせいでなぁぁあ!!」

 

結衣「先生! 落ち着いて!」

 

平塚「こんな精神状態で男なんか探せるかバーロイ! 私の奢りだ、行くぞぉ!」グイッ

 

結衣「いたっ! 先生引っ張らないで!」

 

平塚「バーカ! バーカ! 比企谷のバーカ! 爆発しろ!!」ダダダダ

 

結衣「ぎゃああああああああ!!!」ズルズル

 

小町「大変だなー、結衣さん……」

 

八幡「……んじゃな」

 

雪乃「あの、えっと、……よかったらまた」

 

八幡「ああ、また来るよ」

 

八幡「……なんだよ、そんな顔すんじゃねぇよ。来るって言ってるだろ」

 

雪乃「だって、いつ来るかわからないんでしょう……?」

 

八幡「いつ来てもいいように準備しててくれ」

 

雪乃「…………」ウルッ

 

八幡「わかった、わかったよ。……次の土日に泊まりに来る。それでいいか?」

 

雪乃「……ありがとう」ニコッ

 

八幡「まぁ、平日だって部室で会えるだろ? 寂しくないよな」

 

雪乃「寂しいだなんて、失礼ね」

 

八幡「そういう顔してるぞ」

 

八幡「じゃ、……今度こそ――」

 

ちゅっ

 

雪乃「――」

 

八幡「ゆ、雪乃……?」

 

雪乃「………………待ってる、から」

 

八幡「……ああ。待っててくれ」

 

 

 

 

 

 

 

 

元スレ

雪乃「比企谷君とのキスにはまってしまったわ」

http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1388635538/

 

 

雪乃「比企谷君はどちらが好みかしら?」 八幡「いや雪ノ下…ここ、下着屋だよな?」【俺ガイルss/アニメss】

 

【プロローグ:奉仕部 部室】

 

平塚先生から説教のあった日の放課後、俺は少し遅れて部室に行った。

 

あらかじめ雪ノ下に遅刻の件は伝えている。

 

それにしても最近平塚先生の説教の回数が増えたような気がする…

 

まぁそれだけ心配してくれているんだろうが。

 

ちなみに由比ヶ浜は用事があるらしく、その日は欠席だった。

 

部室に入ったとき雪ノ下はいなかった。

 

荷物は置いてあったのでどうやら席を外しているらしい。

 

そして俺もいつものように雪ノ下の向かいの椅子に座る……はずだった。

 

だが雪ノ下の荷物を確認したときに見えてしまったのだ。

 

カバンからチラリと見える雪ノ下の運動着が。

 

思わずごくりと息を飲んだ。

 

年頃の男子高校生には刺激が強すぎるアイテムである。

 

そっと廊下の方に耳を傾けるが足音は聞こえない。

 

どうやら近くに人の気配はないようだ。

 

心臓がかつてないほど鼓動する。

 

 

そして気がついたとき……

 

俺は雪ノ下のTシャツを手に取っていた。

 

やることと言えばただひとつ…!

 

 

クンカクンカスーハースーハー

 

思わず夢中で嗅いでしまうほど、Tシャツからは良い匂いがした。

 

あの雪ノ下が着ていたと思うと、思わず胸と股間が熱くなってしまう。

 

はたから見ればかなり気持ち悪い光景だったであろう。

 

 

だが、あの誰もが振り返るであろう美少女の衣服である。

 

危険な行為とわかっていてもやめられない止まらない。

 

背徳感を感じながら、俺はひたすらに興奮していた。

 

 

そして、ついにはTシャツだけでは物足りなくなり、ハーフパンツにも手を伸ばそうとした――

 

 

そのときである。

 

ガラガラ

 

雪ノ下「…あら、何をしているのかしら? 比企谷君」

 

比企谷「」ピタッ

 

 

――背筋が凍った。

 

 

比企谷「ゆ、雪ノ下…! これは…その…」ゴソゴソ

 

慌ててTシャツをカバンの上に置くが、もう手遅れだった。

 

雪ノ下「ちなみに、先ほどの行為は携帯電話で録画していたから反論は無駄よ」

 

比企谷「すまん雪ノ下! つい出来心で…」

 

雪ノ下「性犯罪者の典型的な言い訳ね。謝って済むなら警察はいらないわ」

 

比企谷「本当にすまない! 俺に出来ることなら何でもするから!」

 

比企谷「だから…警察や学校には言わないでくれないか…」

 

雪ノ下「……」

 

比企谷「……」

 

 

雪ノ下「じゃあそうね…罰として、今度の日曜日、買い物に付き合ってもらえるかしら?」

 

比企谷「…へ?」

 

思わず気の抜けた声が出てしまった。

 

買い物に付き合う…だと…?

 

 

雪ノ下「安心して。別に高価なものを買って欲しい、という事ではないの」

 

雪ノ下「ただ買い物に付いてきて欲しいだけよ」

 

 

比企谷「……」

 

ますます意味が分からない。

 

言い方は悪いがそんなことでいいのか…?

 

 

雪ノ下「どうしたのかしら、あなたにとっては破格の条件だと思うのだけれど」

 

その通りである。だからこそ怪しいのだ。

 

比企谷「あ、あぁ、お前がそれで良いなら…」

 

だが、怪しいと思っても何もできない。

 

俺に選択の余地など無かった。

 

 

雪ノ下「それでは次の日曜日の11時に、○○ショッピングモール入口で待ち合わせね」

 

比企谷「おう」

 

雪ノ下「日曜日を楽しみにしてるわ、比企谷君」ニコニコ

 

 

そのときの雪ノ下は満面の笑みを浮かべていた。

 

ほとんどの男なら一発で落ちていただろう。

 

だが俺は、その笑顔からは底知れぬ不安しか感じられなかった…

 

 

 

【日曜日 10:40 ショッピングモール入口】

 

比企谷「(雪ノ下は……いない。少し早かったか)」

 

そして今、俺は待ち合わせ場所にいる。

 

あれから現状を整理してみたが、結局のところ俺が社会的に抹殺されないためには雪ノ下の言う通りにするしかないのだ。

 

 

待つこと10数分、スマホで時間を潰していると――

 

雪ノ下「おはよう比企谷君。待たせてしまったかしら」

 

比企谷「いや、俺も今来たところだか…ら…」

 

 

顔を上げると、そこにはめちゃめちゃオシャレな服を着た雪ノ下が立っていた。

 

モデルさんかな?(すっとぼけ)

 

 

雪ノ下「どうかしら比企谷君。この服…あなたのために頑張って選んできたのだけれど。あなたのために」ニコニコ

 

何で2回言ったの? 小林製薬なの?

 

 

比企谷「に、似合ってるぞ」

 

雪ノ下「それだけ?」

 

比企谷「…いつもと雰囲気違うな」

 

雪ノ下「他には?」

 

比企谷「か、可愛いと思う…」

 

言わせるな恥ずかしい。

 

 

雪ノ下「まぁ及第点ね。じゃあ行きましょう」ギュッ

 

比企谷「!? おい、なぜ腕を組む?」

 

雪ノ下「別にいいじゃない、腕を組むくらい」

 

雪ノ下「まぁ…あなたがどうしても腕を組みたくないのなら、やめてあげてもいいわ」

 

雪ノ下「ただしその場合、『あの映像』がインターネットに拡散されてしまうから、よく考えることね」

 

 

この魔女め… 

 

中世ヨーロッパなら火あぶりにされてるぞ。

 

 

そんな悪態を付きながらも、心臓はときめきハイスクールだった。

 

雪ノ下の髪から良い匂いがしたなんて口が裂けても言えない。

 

 

比企谷「それで、今日はどこに行くんだ?」

 

雪ノ下「そうね…服屋さんに付いてきてもらってもいいかしら?」

 

比企谷「ああ、いいぜ」

 

 

服屋か。冬物でも買うのだろうか?

 

何をされるのかビクビクしていたが、案外ただの荷物持ちなのかもしれない。

 

服のことはよくわからんが、とりあえず「似合ってる」を連呼すれば乗り切れそうだな。

 

 

歩いているときも雪ノ下はずっと腕を組んできた。

 

いや、腕を組むというよりは雪ノ下がほとんど抱きついている格好である。

 

 

そしてときどき、とびきりの笑顔で俺のことを見つめてくる。

 

上目使いはドキっとするからやめろ…可愛いだろうが。

 

 

戸惑いは隠せなかったが、正直悪い気はしなかった。

 

そう…これは動画をばら撒かれないために、仕方なくやっていることなのだ。

 

 

ただかなり恥ずかしい…

 

周りからの視線がとても痛かった。

 

 

【服屋(?)】

 

雪ノ下「比企谷君、どちらがいいかしら?」

 

比企谷「ど、どっちでもいいんじゃないかな…」

 

雪ノ下「その答え方は最低ね。女性に言ってはいけない言葉だわ」ムッ

 

雪ノ下「質問を変えましょう、比企谷君はどちらが好みかしら?」

 

比企谷「いや雪ノ下… その前にここ、服屋じゃなくて下着屋だよな?」

 

 

連れてこられたのはなんと女性用のランジェリーショップだった。

 

 

雪ノ下「服も下着も似たようなものじゃない。そんなこと些細な問題に過ぎないわ」

 

 

いやいや十分大きな問題だ。

 

一刻も早くこの場から立ち去りたい。

 

 

比企谷「なんで俺の意見を聞く必要がある?」

 

雪ノ下「それを私に言わせるのかしら…」

 

 

雪ノ下「……あなたに選んで欲しいからに決まっているじゃない///」

 

 

比企谷「」

 

 

一瞬思考が停止してしまった。

 

いきなり照れるんじゃない、可愛いだろうが。

 

いやいやいや。からかっているだけですよね、雪ノ下さん?

 

 

比企谷「(…まさかね?)」

 

雪ノ下「まぁ気にすることは無いわ。あなたは私の買い物に付き合っているだけだもの」

 

比企谷「いや、目のやり場と周りの視線がだなぁ…」

 

今までも周囲の視線は十分痛かったが、今回は場所が場所だけに注目度が段違いである。

 

雪ノ下「他の人は気にしなくていいわ。それより下着選びに集中して頂戴」

 

 

雪ノ下「それに…」スッ

 

雪ノ下「比企谷君は私だけ見てればいいのよ」

 

 

比企谷「!」ドキーン

 

顔ちけぇよ!あと顔近い。

 

 

比企谷「く、黒いやつがいいと思う… じゃ俺、外で待ってるから」ピュー

 

逃げるようにお店を後にした。

 

 

雪ノ下「(…行ってしまったわね。イジワルしすぎたかしら?)」

 

 

 

【服屋近くのベンチ】

 

命からがら逃げだした俺は、MAX缶コーヒーを飲んでクールダウンしていた。

 

状況を整理しよう。

 

今日の雪ノ下はどこかおかしい…

 

~~~~

 

雪ノ下「お待たせ、比企谷君」

 

比企谷「おう… 買い物は終わったのか?」

 

雪ノ下「ええ、あなたが選んでくれた黒い下着を購入したわ」

 

雪ノ下「あなたが選んでくれた黒い下着を」

 

だから2回言うな! 俺の性癖を暴露するんじゃない。

 

 

比企谷「…なぁ」

 

雪ノ下「何かしら?」

 

比企谷「率直に聞くが、お前の言う『罰』ってのは俺を辱めるという意味だったのか?」

 

雪ノ下「ええ…その通りよ。あなたの困った顔や恥ずかしがっている顔を見るのはなかなか楽しいもの」

 

 

比企谷「…このドS魔女が」ボソリ

 

雪ノ下「…何か?」

 

比企谷「イエ、ナンデモナイデス」

 

雪ノ下「じゃあ次は…ちょっと遅いけど昼食にしましょう」

 

気が付けば1時を回ろうとしていた。

 

 

【ファミレス】

 

雪ノ下「はい、あ~ん」

 

比企谷「あ、あ~ん」

 

雪ノ下「比企谷君、私にもしてくれるかしら?」

 

 

当然俺に拒否権は無い。

 

比企谷「お、おうわかった。あ、あ~ん」

 

雪ノ下「あ~ん」パクリ

 

雪ノ下「…ちょっと比企谷君、一口が大きいわ」

 

比企谷「す、すまん」

 

雪ノ下「大きすぎて入らないかと思ったもの…///」

 

 

なぜ照れる。

 

わざと、わざとなの? エロ同人なの?

 

その後もお互いに食べさせ合って昼食は終わった。

 

こんなに精神的に疲れた食事は初めてである。

 

比企谷「(コーヒーでも飲むか…)」ズズー

 

~~~~

 

それにしても…

 

まさか女性用の下着屋に入るとは思わなかった。

 

思い出しただけでも顔から火が出そうになる。

 

ちなみに雪ノ下が購入したという下着はなかなか際どいものだった。

 

あんな下着で迫られたらひとたまりもないであろう。

 

比企谷「(あのセクシーな下着を雪ノ下が付けるのか…)」ゴクリ

 

思わず雪ノ下を舐めまわすように見てしまう。

 

比企谷「(あ、ヤバい…)」ムクムクムクバード

 

股間ポケモンがちょっとだけ目覚めてしまった。

 

 

雪ノ下「…何を考えているのかしら、比企谷君」

 

比企谷「ひ! いやぁ… この後どこに行くんだろうなぁ…と思ってな」

 

ごまかせるか…?

 

 

雪ノ下「嘘はやめなさい。あなたの考えていることなんてお見通しよ」スタッ

 

そう言うと雪ノ下は立ち上がり、俺の隣に座った。

 

雪ノ下「どうせ私の下着姿でも想像してたんでしょう…この変態」サワサワ

 

 

比企谷「!? ゆ、雪ノ下! やめろって!」

 

雪ノ下が『そこ』を撫で始めた。

 

突然の行動に頭が働かない。

 

 

雪ノ下「あら大丈夫よ。この角度はちょうど死角になっているみたいだから見られる心配は無いわ」スリスリ

 

比企谷「そういう問題じゃ……うっ!」

 

雪ノ下「静かにして頂戴。人が来てしまうわよ…」ボロン

 

雪ノ下がチャックを下げると、もうガチガチになった比企谷ジュニアが現れた。

 

 

雪ノ下「あら? ちょっと触っただけなのにもう大きくなっているのね」

 

雪ノ下「お店のなかで愛撫されるのはどんな気分かしら?」ヒソヒソ

 

 

耳元でささやくのはやめろ! 感じちゃうから!

 

 

雪ノ下「ほら比企谷君、どんどん先走り液が出てきてるわよ」シュッシュッ

 

比企谷「い、いちいち言わないでくれ… 恥ずかしい…」

 

言葉攻めかよ…やはりこいつは真正のどSだ。

 

 

雪ノ下「ん…んっ… 変な匂いね…」ペロペロ

 

比企谷「」ムクムクムクムク

 

雪ノ下が、手に付いた俺のカウパーを舐めている…!

 

そのエロすぎる光景は俺の脳をとろけさせるのに十分だった。

 

 

雪ノ下「あら、また硬くなってきたわね」

 

雪ノ下「女の子が自分の精液を舐めとるのを見て興奮したのかしら?」

 

雪ノ下「…この変態」ボソッ

 

比企谷「!」ゾクゾク

 

 

だから耳元でささやくんじゃない!

 

 

雪ノ下「あぁごめんなさい、先端も可愛がってあげるわ」グリグリ

 

比企谷「(あっ、そこは…)」ビクッ

 

不意に亀頭を撫でられ、思わず腰が引けてしまった。

 

 

雪ノ下「…ここが感じるのね、変態さん?」

 

そういうと雪ノ下は亀頭を集中的に攻め始めた。

 

強弱や擦る速度に変化を加え、的確にポイントを攻めていく。

 

あまりの恥ずかしさに息が詰まりそうになるが、雪ノ下から与えられる快感に身悶えするしかなかった…

 

雪ノ下「そういえば…男の人は太ももを撫でられても気持ちいいのよね」サワサワ

 

そしてイキそうになるとパッと手を離し、今度は内ももを撫でてくる。

 

確かにそこも気持ちいいのだが、間接的な刺激でもどかしい…

 

悶々としていると今度は竿や亀頭を擦り上げられ、またイキそうになると太ももを撫でる。

 

 

…俺の愚息は着実に雪ノ下に調教されていた。

 

 

比企谷「(ヤバイ…このままだと…)」ハァハァ

 

雪ノ下の綺麗な指で蹂躙され、先ほどから焦らしに焦らされ、だいぶ限界も近かった。

 

つい期待した目で雪ノ下を見ると、ばっちり目が合ってしまった。

 

慌てて目を逸らすが時すでに遅し。

 

 

雪ノ下「ねぇ比企谷君」ピタッ

 

雪ノ下が急に手の動きを止めた。

 

比企谷「な、なんだよ…」ウズウズ

 

語気を強めに言ってみたが、やはり雪ノ下には限界が近いことを見透かされているようだ。

 

 

雪ノ下「『雪乃さんイカせてください』ってお願いしてくれたら最後までシてあげるわ」

 

比企谷「!」

 

さすがにそれは… 俺にも男のプライドというものが…

 

 

比企谷「ゆ、雪乃さんイカせてください…」ウズウズ

 

…プライドなんて無かった。

 

 

雪ノ下「『雪乃さんは世界一かわいいです』、はい復唱」

 

どこのアイドル声優なの? 永遠の17歳なの?

 

 

比企谷「ゆ、雪乃さんは世界一かわいいです…」

 

雪ノ下「『僕は雪乃さんの性奴隷です』、はい復唱」

 

比企谷「お前…! それは…ちょっと…」

 

雪ノ下「嫌ならいいのよ、嫌なら」スーッ

 

比企谷「(…!? こ、この状況で裏スジを撫でるのは反則だろ…!)」

 

雪ノ下「どうするの? 私はやめてもいいのよ?」スリスリ

 

 

比企谷「ぼ…… 僕は… 雪乃さんの… 性奴隷… です…」

 

俺の中で決定的な何かが切れた気がした。

 

雪ノ下「はい、よく言えました」

 

雪ノ下「でもお店の中でこんなこと言えるなんて…救いようのない変態ね」シュッシュッシュッシュッ

 

そう言うと雪ノ下はギュッと愚息を包み込み、スピードを上げてしごき始めた。

 

ラストスパートを掛けられるともう我慢しきれなかった。

 

比企谷「ゆ、雪ノ下! も、もう出る!」ビクビク

 

 

雪ノ下「――でも安心して。あなたの変態なところも私は好きよ、比企谷君」

 

 

比企谷「!?」ビクンビクン

 

そして俺は性欲の塊をぶちまけた…

 

 

 

【エピローグ】

 

ファミレスの後のことはあまり覚えていない… 

 

確か放心状態のままショッピングモール近くの公園に連れて行かれ、ベンチでイチャイチャしていたと思う。

 

そして夕方、一通り雪ノ下が満足すると一緒に電車で帰路についた。

 

 

「次は~○○駅、○○駅でございます。お下りの方は~」

 

 

雪ノ下「じゃあ比企谷君、私はここで」

 

比企谷「おう」

 

雪ノ下「今日は付き合ってくれてありがとう」

 

 

雪ノ下「…明日はあなたが選んでくれた下着を付けていくから、楽しみにしててね」ヒソヒソ

 

比企谷「そ、そうか…」ドキドキ

 

雪ノ下「それじゃあ比企谷君、『また明日』ね」

 

比企谷「あ、ああ…また明日な」

 

そう言うと雪ノ下は電車を降りて行った。

 

 

『また明日』が意味深に感じたのは…おそらく気のせいではないだろう。

 

 

明日からの雪ノ下との関係に不安とほんの少しの期待を抱きつつ、俺も家路につくことにした。

 

 

 

【エピローグ:Side雪ノ下】

 

 

マンションに帰った後、私はふらふらとベッドに倒れ込んだ。

 

彼には気づかれないようにしていたが、デート中はずっとドキドキしていたのだ。

 

本当はちょっとイジワルしようと誘っただけなのに、わ、私ったらあんな大胆なことを…

 

思わずパンさんクッションに顔を沈め、バタバタと足を動かす。

 

雪ノ下「(…比企谷くんの匂いがする)」クンクン

 

一日中彼にくっついていたからだろう、服から彼の匂いがした。

 

何故だろう、彼の匂いはとても安心するし、嗅いでいると頭がクラクラしてくる。

 

 

いや、理由はもうとっくにわかっていた。

 

こんな卑怯な手段を取ってでも、私は彼との関係を進展させたかったのだ…

 

 

雪ノ下「…好き。大好きよ、比企谷君」

 

 

 

さて…明日はどう可愛がってあげようかしら?

 

 

 

 

 

 

 

 

元スレ

比企谷「こうして彼女との間違ったデートが始まる」

http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1383128366/

 

結衣「小ネタ集やろうよ!」雪乃「はぁ…」【俺ガイルss/アニメss】

 

■結衣「名探偵っスか!?雪乃ちゃん!」

 

結衣「ゆきのんは近所でも評判の美人高校生だよ」

 

結衣「この世のすべての犯罪者は、たとえ同じ学校の生徒だろうが」

 

結衣「決して容赦することなく警察に通報するくらいの心構えだよ」

 

「タスケテー」

 

結衣「って、さっそく事件みたい!」

 

戸塚「助けてー!悪質なストーカーが追いかけてきて!」

 

結衣「悪質なストーカー!?」

 

八幡「ウエヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘ//」

 

八幡「戸塚ーーーーーお医者さんごっこしようぜーーーー」

 

八幡「大丈夫だーーーーー。男同士でやることだからーーーー何も問題ねーよーー」

 

八幡「うへへへへへへへへへへへへ//」

 

ピーポーピーポー

 

警察「おとなしくしなさい!」

 

八幡「ち、違う!俺は変態じゃない!変態という名の紳士…」

 

警察「そういうのはいいから!」

 

結衣(死んだ目で半笑いのヒッキーがマジ怖かったから、ゆきのんじゃなくて警察呼んじゃった…)

 

「さすが雪乃ちゃん!登場せずに事件解決!」

 

 

■雪乃「比企谷くんを無視してみるわ」

 

ガラララッ

 

八幡「うす」

 

雪乃「こんにちは」

 

雪乃(挨拶ぐらいはいいわよね)

 

  *  *  *

 

八幡「じゃ、帰るわ」

 

雪乃「さようなら」

 

雪乃「…」

 

雪乃(ふぅ…今日の部活も終了…)

 

雪乃「…」

 

雪乃「………」

 

雪乃(部活中…会話が皆無だったわね)シュン

 

 

■いろは「先輩ー先輩ー先輩ー♪」八幡「…」

 

いろは「という感じで、葉山先輩と遊べなかったというかー」

 

八幡「…」

 

いろは「先輩、聞いてます?」

 

八幡「あー、聞いてるぞ」

 

いろは「むー」ブスー

 

八幡(前々から疑問だったんだが、なんで俺の事『先輩』なんだろう…)

 

八幡(葉山や雪ノ下の事は『葉山先輩』『雪ノ下先輩』なのに…)

 

八幡(…)

 

八幡「なぁ…」

 

いろは「なんですか?」

 

八幡「俺の名前知ってる?」

 

いろは「は?なに言ってるんですか?」

 

八幡(いろはす、素の声マジ怖い。マジいろはす

 

八幡「い、いや、俺の事『先輩』って呼ぶからさ。ほかのやつは『○○先輩』なのに…」

 

いろは「あー、もしかして、『俺も一色に名前で呼んでほしいな』アピールですかー?本当にキモいんでやめてください」

 

八幡「いや、そういうわけじゃないんだが…まぁ、この件は忘れてくれ」

 

いろは「…」

 

いろは(最初は眼中にもなかったから、覚えるつもりもなかったんだけど…)

 

いろは「…」

 

いろは「今さら名前で呼ぶのも…なんか意識しちゃったみたいで恥ずかしいというか…」ボソッ

 

八幡「ん?何か言ったか?」

 

いろは「いーえ、それよりですね。葉山先輩がー」

 

八幡「あー。はいはい」

 

 

■八幡「最近、ラッキースケベが多すぎて困る」雪乃「…」

 

雪乃「相談があるというから、何かと思えば…」

 

結衣「ヒッキー…キモイ」

 

八幡「いや、俺の話を聞いてくれ!」

 

結衣「えー」

 

八幡「今日、偶然、戸塚が転ぼうとして、俺が受け止めたんだ」

 

八幡「すごくいい匂いで、俺の意識が飛びそうになってな」

 

雪乃「…そう」

 

八幡「昨日は、俺が体操服に着替えるところを偶然戸塚に見られて」

 

八幡「戸塚の目を…純粋な目を…俺の半裸なんかで汚してしまって……」

 

結衣「…同じ男子だから、何も変じゃないし」

 

八幡「一昨日なんか-----」

 

  *  *  *

 

八幡「という感じだ」

 

雪乃「…そう、よかったわね」

 

結衣「…うん、よかったね。ヒッキー」

 

八幡「お願いだ!助けてくれ!このままだと興奮して夜も眠れなく…いや、戸塚に悪くて申し訳ない」

 

雪乃(はぁ…)

 

結衣(というか、あたしでラッキースケベあればいいのに…)

 

雪乃・結衣「はぁ…」

 

八幡「どうにかしてくれよ!ラブコメの神様!」

 

 

■八幡「…」雪乃「比企谷くんが不機嫌のようね」

 

八幡「…」ムスー

 

雪乃(比企谷くんが不機嫌だわ…なぜかしら?)

 

八幡「…」

 

雪乃「ふむ。暇だし少し考えてみましょうか…」

 

八幡「…」

 

雪乃「まず、比企谷くんは私が好き。これは決定的ね」

 

八幡「…」

 

雪乃「ああ、そういえば、昨日、知らない男の人に道を尋ねられたわね」

 

雪乃「その時にたまたま比企谷くんもいたわ」

 

雪乃「なるほど。それで嫉妬しているわけね」

 

雪乃「ふぅ…まったく男って面倒ね」クスッ

 

八幡「いや、歯が痛いだけなんだが」

 

雪乃「え?」

 

八幡「あと、全部聞こえてたからな。さっきの」

 

雪乃「………………………………………………え?」

 

  *  *  *

 

ガラララッ

 

結衣「やっはろー………って、あれ?いろはちゃん?」

 

いろは「こんにちはです。結衣先輩」

 

結衣「あれ?ゆきのんとヒッキーは?」

 

いろは「雪ノ下先輩が『お寺に修行に行く』って、言い出したらしくて、それを先輩が止めに行ってくるらしいです」

 

結衣「お寺…巫女さんにでもなるのかな?」

 

いろは「いや、それは神社だと思いますよ。結衣先輩」

 

 

■結衣「ヒッキーに恋人ができたの!?」八幡「ああ」

 

雪乃「…」

 

結衣「…」

 

いろは「なるほど、それでお二人は失神しているわけですね…」

 

平塚「ああ、そういうわけだ」

 

雪乃「い、いえ。よく考えたら、あの男の勘違いの可能性もありえるのですが」

 

平塚「復活したのか、雪ノ下」

 

雪乃「告白もしていないのに近くにいるだけで、付き合っていると勘違いしている可能性が」

 

結衣「えへへ~」

 

雪乃「いえ、あなたの事ではないわ」

 

結衣「え?」

 

いろは「なるほど、だから最近わたしに優しく…」

 

雪乃「なっ!?」

 

結衣「え!?なに!?どんな感じで優しくしてくれたの!?」

 

いろは「例えばですね。今日、図書館で高い所にある本を先輩がとってくれました♪」

 

雪乃「…」

 

結衣「…」

 

いろは「ふふん♪」

 

雪乃(ま、まさか…本当に一色さんの事を…)

 

結衣(う、羨ましくなんかないもん!)

 

平塚「そんな事なら私もあるぞ」

 

雪乃「!!」

 

平塚「プリントを運んで貰ったしな。やはり私の前で力強い男をアピールしたかったのだろう」

 

結衣「…」

 

平塚「それに昨日なんて、呼び出しをしたら、すぐに私の所に来てくれた。私の事が恋しかったのだろう」

 

雪乃「平塚先生。それはあなたが教師だからだと思うのですが」

 

平塚「…え?」

 

雪乃「先生に言われたら、どの生徒だってそうすると思います」

 

平塚「…そんなバカな…」

 

いろは「じゃあ、決まりましたね」

 

雪乃「な、なななな、何がかしら?」

 

いろは「先輩の彼女ですよ。いやーまさか先輩がわたしと付き合ってるって勘違いしてるなんてー」

 

結衣「ま、まだ決まってないし!」

 

いろは「いやー先輩の彼女なんて困っちゃうなー」テレテレ

 

雪乃「くっ」

 

ガララッ

 

戸塚「こんにちはー」

 

結衣「さいちゃんだ!やっはろー」

 

戸塚「うん。やっはろー」

 

結衣「どうかしたの?」

 

戸塚「うん。八幡は?」

 

結衣「今日は用事があるって、もう帰ったよ?」

 

戸塚「もうっ。今日はここで待ち合わせって約束してたのに」

 

雪乃「え?

 

結衣「え?」

 

いろは「…」

 

雪乃「え?」

 

戸塚「八幡とデートの約束なんだけど、八幡ってば、たまに場所を間違えるんだ。おっちょこちょいさんだよね♪」

 

結衣「え?」

 

戸塚「ごめんね。部活中お邪魔して…それじゃお邪魔しましたー」

 

ガララララッ(閉めた音)

 

雪乃「∵」

 

結衣「∵」

 

平塚「∵」

 

いろは「やっぱりこんなオチですか。そうですか」

 

 

■結衣「最近、ゆきのんとヒッキーが面倒くさい」

 

ガララッ

 

結衣「やっはろー」

 

雪乃「あなたってそんな人だったのね!?失望したわ!」

 

八幡「俺だって失望したぞ。雪ノ下雪乃がそんな人間だったなんてな…」

 

雪乃「理想を押し付けないで!」

 

八幡「雪ノ下だって押し付けてきただろう!」

 

結衣「ちょっとまって!どうしたの!?二人がケンカなんて!」

 

八幡「聞いてくれ!由比ヶ浜!」

 

雪乃「由比ヶ浜さん、私の話を聞いて!」

 

八幡「雪ノ下が『比企谷くんの声って魅力的ね。もっと聞かせて』って言ってくるんだ!」

 

雪乃「比企谷くんが『雪ノ下の話って面白いな。もっと聞かせてくれ』って言ってくるのよ!」

 

八幡「だから、雪ノ下の話が好きなんだよ!もっと俺に雪ノ下の全てを教えてくれ!」

 

雪乃「ひどいでしょう!?私は比企谷くんの声が好きなの!録音して編集して今晩の…ごほんごほん。もっとずっと聞いていたいだけなのに!」

 

 

八幡「由比ヶ浜もそう思うだろ!?」

 

雪乃「由比ヶ浜さんは私の味方よね!?」

 

結衣「うわぁ…」

 

  *  *  *

 

雪乃「今日はクッキーを作ってきたわ」

 

結衣「やったーゆきのんのクッキーだー♪」

 

八幡「…」

 

結衣「ヒッキーの分は?」

 

雪乃「はぁ…一応作ってきたわ。はい。これが比企谷くんの分」

 

八幡「お、おう。…ありがとう」

 

結衣「って、あれ?全部ハート……う、ううん。なんでもないよ?」

 

八幡「っ//」

 

雪乃「え?あっ、こ、これは、た、たまたまというか」

 

八幡「そ、そうか。たまたまなら仕方ないよな」

 

雪乃「そ、そうよ。仕方のないことよ」

 

 

結衣(二人とも初恋の中学生みたいに顔真っ赤に…)

 

結衣(はぁ…いっその事、付き合ってくれればいいのに…)

 

  *  *  *

 

雪乃「比企谷くん。少し付き合ってくれないかしら?」

 

八幡「なんで?」

 

雪乃「平塚先生から買い物を頼まれているの。少し男手が必要で…」

 

八幡「わかった。今から行くか?」

 

雪乃「いえ。もう少ししてから」

 

八幡「おう」

 

雪乃「…」

 

八幡「…」

 

結衣(二人でお出かけできるせいか)

 

結衣(二人とも嬉しそうにニヤニヤしてる…)

 

結衣(…)

 

結衣「二人とも嬉しそうだね?」

 

雪乃「!?」

 

八幡「っ!」

 

雪乃「べ、別に嬉しそうになんかしていないわよ?由比ヶ浜さん!」

 

雪乃「そもそも、この男と二人っきりなんて身の危険を感じていて…」

 

雪乃「もし、そんな関係になったらなーとか思ってないわけでもないないわけで」

 

雪乃「じゃなくて!」

 

雪乃「そう!私は憂鬱だったの!買い物が嫌で嫌で!」

 

八幡「そうだぞ。由比ヶ浜。俺もすごく嫌でな」

 

結衣「え?別に『お出かけが嬉しいの?』なんて言ってないよ?」

 

結衣「ただ『嬉しそうだね?』って言っただけで、なんで『お出かけが嬉しいの?』になるの?」

 

雪乃「い、いえ…それは…その…」

 

結衣「もしかして、ゆきのん。ヒッキーとお出かけが楽しみにしてるとか?」

 

雪乃「そ、それは…ち、ちが…」

 

八幡「もうそこまでにしておいてやれ」

 

結衣「ヒッキーも嬉しいくせに」

 

 

八幡「まぁな。頼りにされるのも悪くないかもな」

 

結衣「ふーん。そんな言い訳するんだ…」

 

八幡「言い訳じゃねーよ」

 

結衣「じゃあ、あたしも行こうかなー。暇だし」

 

雪乃「!?」

 

八幡「っ!?」

 

結衣(二人とも絶望したような表情に……)

 

結衣「って、そうだった。今日はいろはちゃんと用事が…」

 

雪乃「そう。それなら仕方ないわね。残念だけど、由比ヶ浜さんは今度また機会があったときに」

 

八幡「そうだな」

 

結衣「もうっ!二人ともそんな嬉しそうにしないでよ!」

 

雪乃「う、嬉しそうになんかしてないわよ?」

 

八幡「だな」

 

結衣(もう付き合っちゃえばいいの!)

 

結衣「もうこの二人!面倒くさすぎる!」

 

 

■八幡「はいはい。あざといあざとい」いろは「むー」

 

いろは「あざとい。あざとい!って、わたしのどの部分があざといって言うんですか?」

 

八幡「そうだな」

 

八幡「例えば一人称かな?」

 

いろは「…え?」

 

八幡「雪ノ下は『私』だろ。だいたい『私』が多い。まぁ、由比ヶ浜とか『あたし』で例外だが…」

 

いろは「わたしも『わたし』ですよ?」

 

八幡「いや、お前…ひらがなだろ…」

 

いろは「え?」

 

八幡「『私』で自分を呼ぶやつは全員『私』なんだよ。でもお前だけ『わたし』。な?あざといだろ?」

 

いろは「…」

 

八幡(いろはすさん。顔真っ赤にして…………怒ってらっしゃる)

 

八幡(まさか…素だったのか?)

 

いろは「…」

 

いろは(ま、まさか。先輩がそこまでわたしの事を…細かい所まで見ていてくれてるなんて…)

 

いろは(………)

 

いろは(くっ//)

 

八幡「あー、その悪かったな。ほら何か奢るから許してくれ…な?」

 

いろは「じゃあ、甘々なやつがいいです!」

 

八幡「じゃあ、マッカンだな!」

 

いろは「…それでいいです」

 

八幡「…なんで残念そうなんだよ」

 

いろは「いいえ。先輩がくれるものなら何でも嬉しいですよ♪」ニコッ

 

八幡「あー。はいはい。あざといあざとい」

 

 

■いろは「ここからずっとわたしのターン!」雪乃「!?」結衣「!」

 

ガララッ

 

八幡「おう。お帰り」

 

いろは「あーもうっ。疲れたー」

 

八幡「いつもいつも仕事お疲れな」

 

いろは「…」

 

八幡「ん?」

 

いろは「むーっ。忘れてる!」

 

八幡「あー…その玄関で恥ずかしくてな」

 

いろは「愛する奥さんが働いてきたんだから!」

 

八幡「わかった。わかったって…ほら」

 

いろは「んっ…」

 

ナデナデ

 

八幡「今日も一日お疲れさま」

 

いろは「えへへへ//」

 

八幡「お風呂にするか?それとも飯にするか?」

 

いろは「八幡とお風呂にする♪」

 

八幡「あー…もう…本当に困った…可愛い奥さんだな」ナデナデ

 

いろは「えへへー」

 

  *  *  *

 

ガバッ

 

いろは「ハッ!夢!?」

 

いろは「……」

 

いろは「っ~~~//」カァー

 

いろは「ないないないないない!」

 

いろは「先輩となんて絶対にないんだから!」

 

いろは「本当に!」

 

 

■八幡「戸塚のリコーダー!ぺろぺろぺろぺろー」雪乃「…ひぃっ」

 

この世の中。わからない事だらけだ。

 

まず、高校なのに、なぜか戸塚の机の上にリコーダーが置いてあって

 

それを洗浄していたら、なぜか雪ノ下雪乃に見られていて

 

そして、俺はなぜか雪ノ下雪乃に脅されることになった。

 

世の中わからない事だらけだ。

 

八幡「そ、そんな事できない!」

 

雪乃「あら?この写真を戸塚くんに見せてもいいのかしら?」

 

八幡「ぐっ!」

 

雪乃「さあ、由比ヶ浜さんが来る前に!」

 

八幡「わかった…」

 

 ギュッ

 

雪乃「っ//」

 

八幡「……」

 

雪乃「はぁ…あなたには次は『ナデナデする』ように命令しておいたはずだけれど」

 

雪乃「そんな簡単なこと一つできないのね」

 

雪乃「あなたの程度の低さは計算に入れていたつもりだけど、正直ここまでとは思ってなかったわ」

 

雪乃「小学生以下の…」

 

八幡「……」

 

ナデナデ

 

雪乃「脳みゅっ//」

 

八幡「ん?脳がどうかしたのか?」

 

雪乃「急に触らないでくれるかしら?」

 

八幡「じゃあ、やめるか…」

 

スッ

 

雪乃「あっ…」

 

八幡「ん?触らない方がよかったんだろ?」

 

雪乃「そ、その…急だったから…ちょっとびっくりしただけで…」

 

雪乃「別に嫌だったわけでは…」

 

八幡「冗談だ。わるかったな」

 

ナデナデ

 

雪乃「んっ…//」

 

八幡(猫みたいにすごく満足している顔をしている…)

 

八幡(あぁ…どうしようもなく雪ノ下は魅力的だ…)

 

この世の中わからない事だらけだ。

 

戸塚以外ありえないと思っていた俺が

 

いつの間にか雪ノ下の虜になっているなんて…

 

本当に世の中わからない事だらけだ。

 

八幡「雪ノ下。そのなんだ…実は俺…お前の事が…」

 

 

■雪乃「机の上にリコーダーを置いていたら、比企谷くんがペロペロしていた」

 

この世の中。ほとんどが計算で出来ている。

 

そして、感情だけは計算できないと言われている。

 

でも、私は----。

 

欲しいものを手に入れるためには、計算が必要だ。

 

八幡「戸塚のリコーダー!ぺろぺろぺろぺろー」

 

雪乃(計算通りね!)

 

雪乃(私が使っていたリコーダー!)

 

雪乃(それを戸塚くんの机の上においておけば、あの男は舐める!)

 

雪乃(全ては計算通り!あの男の感情程度、計算できる!)

 

雪乃(あとは、カメラで…)

 

ピロロン♪

 

八幡「え?」

 

雪乃「ひぃっ」

 

雪乃「ひ、比企谷くん?な、なにをやっているの?」

 

八幡「ち、違うんだ。なぜかリコーダーがここにあって」

 

八幡「そして、汚れていたらダメだから、俺の口で洗浄していただけで…」

 

雪乃「な、なにが違うの?」

 

八幡「この世の中。わからない事だらけで」

 

雪乃「……なるほど」

 

八幡「わかってくれたのか!?雪ノ下!」

 

雪乃「比企谷くん?」ニコッ

 

雪乃「この写真を戸塚くんに見せて欲しくないなら、何でも言うことを聞きなさい」

 

  *  *  *

 

雪乃「はぁはぁはぁはぁ」

 

ナデナデ

 

カマクラ(猫)「にゃー」

 

八幡「お、おい。もうちょっと優しくな?」

 

雪乃「そ、そうね。ついやりすぎてしまったわ…」

 

  *  *  *

 

カマクラ「ぐー」

 

雪乃「くー」

 

八幡「二人ともこたつで寝てるな…なんなんだこの展開…」

 

  *  *  *

 

カマクラ「にゃー」タタタタッ

 

八幡「に、逃げた…」

 

雪乃「撫で方が駄目なのよ」

 

雪乃「撫でる時はこういうふうに…」

 

八幡「…こうか?」

 

雪乃「はぁ…違うわ。こうよ」

 

ナデナデ

 

八幡「お、おう…」

 

雪乃「今度は私の頭を撫でてみなさい」

 

八幡「おう…」

 

ナデナデ

 

雪乃「んっ…」

 

八幡「あっ、痛かったか?」

 

雪乃「い、いいえ。もう少し続けてちょうだい。よくわからなかったわ」

 

八幡「あ、ああ。わかった」

 

  *  *  *

 

八幡「今日はカマクラはいいのか?」

 

雪乃「今日も練習よ。ほらナデナデして」

 

八幡「はぁ…」

 

ナデナデ

 

雪乃「んっ……」

 

  *  *  *

 

八幡「部室でやるのか!?」

 

雪乃「そうよ」

 

雪乃「いろいろ調べたのだけれど、猫は抱いてから撫でた方がいいみたい」

 

雪乃「だから、今日はギュッとしてからナデナデを……」

 

八幡「そ、そんな事できない!」

 

雪乃「あら?この写真を戸塚くんに見せてもいいのかしら?」

 

八幡「ぐっ!」

 

雪乃「さあ、由比ヶ浜さんが来る前に!」

 

八幡「わかった…」

 

ギュッ

 

雪乃「っ//」

 

八幡「……」

 

雪乃「はぁ…あなたには次は『ナデナデする』ように命令しておいたはずだけれど」

 

雪乃「そんな簡単なこと一つできないのね」

 

雪乃「あなたの程度の低さは計算に入れていたつもりだけど、正直ここまでとは思ってなかったわ」

 

雪乃「小学生以下の…」

 

八幡「……」

 

ナデナデ

 

雪乃「脳みゅっ//」

 

八幡「ん?脳がどうかしたのか?」

 

雪乃「急に触らないでくれるかしら?」

 

八幡「じゃあ、やめるか…」

 

スッ

 

雪乃「あっ…」

 

八幡「ん?触らない方がよかったんだろ?」

 

雪乃「そ、その…急だったから…ちょっとびっくりしただけで…」

 

雪乃「別に嫌だったわけでは…」

 

八幡「冗談だ。わるかったな」

 

ナデナデ

 

雪乃「んっ…//」

 

雪乃(この男…反則だわ)

 

雪乃(私は猫を触りたかったから)

 

雪乃(今回の作戦を行っていたのに…)

 

雪乃(やっぱり、感情なんて計算できないものね…)

 

雪乃(この男と一緒にいる間に…)

 

雪乃(一緒にいる間に私は…いつの間にか…)

 

雪乃(ああ…あなたが恋しい…誰よりも-----)

 

八幡「雪ノ下。そのなんだ…実は俺…お前の事が…」

 

八幡「----」

 

雪乃「え?」

 

雪乃「ええ。私もあなたの事が-----」

 

 

■いろは「あ、雨降ってる」八幡「本当だな」

 

ザーーー

 

ザーーーー

 

八幡「雨降ってるな」

 

いろは「ですね」

 

八幡「じゃあ、気を付けて帰れよ」

 

いろは「ちょっと待ってください!ここは『一色。俺の傘に入って帰るか?』って展開では!?」

 

八幡「いや、俺自転車だし。雨合羽だしな」

 

いろは「!?」

 

八幡「それにお前、俺と相合傘しても嬉しくないだろ?」

 

いろは「え?何言ってるんですか?先輩の傘に二人入ったら、わたし濡れちゃうじゃないですかー」

 

八幡「お前、一人で入るつもりか?ひでーやつ」

 

いろは「大丈夫です。骨は拾ってあげます♪」

 

八幡「なんで雨で死ぬんだよ…というか葉山はどうした?」

 

いろは「部活は休みで、わたしは生徒会で遅くて…」

 

八幡「そうか」

 

ザーーー

 

ザーーーー

 

八幡「じゃあ、俺は帰るわ」

 

いろは「えー。女子を置いていくなんて先輩ひーどーいー」

 

ボスッ

 

いろは「え?」

 

八幡「俺の雨合羽。やるよ。俺は予備があるから。じゃーな」

 

チャリンチャリーン

 

いろは「行っちゃった…」

 

いろは「先輩のばか…」

 

いろは「本当は予備の雨合羽なんてないくせに…本当にばか」

 

  *  *  *

 

八幡「おい。なんで俺の部屋にいる」

 

いろは「えー。先輩。わたしのせいで風邪ひいたんですよねー?」

 

八幡「いや、あれはお前のせいじゃなくて…」

 

いろは「責任感じて来ちゃいました♪」

 

八幡「いや、いいから帰ってくれ」

 

いろは「大丈夫です。わたしが看病しちゃいますから♪」

 

ガララッ

 

こんにちはー

 

八幡「ん?誰か来たな…」

 

いろは「あっ、わたしが出るんで、先輩は寝ててください」

 

八幡「え?ああ、ありがとう」

 

  *  *  *

 

雪乃「…で、なんで一色さんがいるのかしら?」ゴゴゴゴゴ

 

いろは「あはははは」

 

結衣「ヒッキー?」ゴゴゴゴゴ

 

八幡「せ、説明すればわかる」

 

いろは「そうです!先輩はわたしのために風邪をひいて!」

 

雪乃「一色さんのため?」ピクッ

 

結衣「ヒッキー?どういうことかなー?」

 

八幡(な、なんでこうなったんだ!?)

 

 

八幡「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

元スレ

八幡「暇だな」結衣「小ネタ集やろうよ!」雪乃「はぁ…」

http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1449197605/

 

雪乃「比企谷君。今のあなたは……『偽物』にしか…見えないわ…」【俺ガイルss/アニメss】

 

雪ノ下「別れましょう」

 

八幡「は?」

 

雪ノ下「この一カ月、とても楽しかったわ」

 

八幡「楽しかったって…だ、だったら別れる必要ないだろ!?」

 

雪ノ下「比企谷君…私はあなたの『本物』になれたかしら?」

 

八幡「……どういう意味だよ」

 

雪ノ下「私と一緒に居る時、あなたが何を考えてるか当ててみましょうか?」

 

八幡「ちょ、ちょっと待て雪ノ下!お前、あまりに脈絡がなさすぎるぞ…?」

 

雪ノ下「……由比ヶ浜さんのことを考えているのでしょう?」

 

八幡「ッ!?」ビクッ

 

雪ノ下「やっぱり…そう…なのね」

 

八幡「……雪ノ下…俺は…」

 

雪ノ下「ごめんなさい比企谷君。今のあなたは……『偽物』にしか…見えないわ…」

 

八幡「…待ってくれ雪ノ下!俺は本当にお前のことが…!」

 

雪ノ下「比企谷君、私も…『本物』が欲しいのよ。『偽物』のあなたとは、もう…付き合えないわ」

 

八幡「か、勝手なこと言うなよ!?さっきから聞いてりゃ言いたい放題言いやがって!お前に俺の何がわかるんd」

 

パンッ!

 

八幡「痛ッ…!な、何しやがr」

 

雪ノ下「私にだって…あなたが本当は誰が好きかくらいわかるわよ!?」

 

八幡「雪ノ下…」

 

雪ノ下「………比企谷君、もう一度聞くわ。…私は、あなたの『本物』になれたかしら?」

 

八幡「……」

 

雪ノ下「何も答えてくれないのね…。さよなら、比企谷君。…叩いたりして、ごめんなさい…」タタッ

 

八幡「……畜生…。いってぇな…」ズキズキ

 

 

八幡の家

 

八幡「……ただいま」

 

小町「あ、おかえりお兄ちゃん!って…どうしたのそのほっぺ!?」

 

八幡「……ちょっとな」

 

小町「今日は雪ノ下さんとデートだった筈だよね?何か…あったの?」

 

八幡「振られた」

 

小町「へ?」

 

八幡「だから!……振られたんだよ」

 

小町「お兄ちゃん…また由比ヶ浜さんのこと考えてたんでしょ?」

 

八幡「ッ!?…小町まで…なんでそんなことがわかるんだよ!?」

 

小町「だってお兄ちゃん最近ぼーっとしてること多いし、他に選択肢ないし、由比ヶ浜さんって名前出した瞬間そんな顔するんだもん。そりゃ誰だってわかるよ」

 

八幡「……」

 

小町「あと、女の勘」

 

八幡「なんでもお見通しかよ…」

 

小町「それで?見透かされて、別れを切り出されたってわけ?」

 

八幡「まぁ、そういうことだ」

 

小町「お兄ちゃんは雪ノ下さんに何も言い返さなかったの?」

 

八幡「言い返そうとしたけど…このザマだ」ズキズキ

 

小町「あちゃ~…それでビンタされたと」

 

八幡「…そういうことだ」

 

小町「お兄ちゃんは由比ヶ浜さんのことが好きなの?」

 

八幡「そうだな…。雪ノ下と付き合う前より、存在が大きくなったのは確かだな…」

 

小町「ふむふむ…具体的には?」

 

八幡「教室であいつの声が聞こえると、つい耳を澄ませちまうし…動きを目で追っちまったり…」

 

小町「お兄ちゃん…それはさすがにキモい」

 

八幡「だ、だってよ…雪ノ下と付き合ってから、あいつ…奉仕部にも顔出さなくなったし…だから…つい…」

 

小町「あのね、お兄ちゃん。どれだけ取り繕ってもお兄ちゃんがクズなことには変わりないんだよ?」

 

八幡「うぐっ…はい。…すみませんでした」

 

小町「でも、こんな一方的な振られ方しても雪ノ下さんの悪口を一言も言わないのは偉いと思うけどね。あ!今の小町的にポイント高い☆」

 

八幡「俺が…全部悪いわけだからな…。悪口なんて口が裂けても言えねぇよ」

 

小町「ほっぺ叩かれても?相当痛そうだけど…」

 

八幡「あぁ…。いてぇよ。痛くて…泣きそうだ…」グスッ

 

小町「泣くほど痛いってことは、きっとそれが『本物』だからじゃないの?」

 

八幡「小町…『本物』ってやつは…いてぇなぁ…畜生…」グスンッ

 

小町「お兄ちゃん…」

 

八幡「畜生…畜生…」グスングスン

 

小町「あーもう…そんなに泣かないの。しっかりしてお兄ちゃん!!それで、これからどうするの?」

 

八幡「どうするって言われても…」

 

小町「雪ノ下さんに謝って許してもらう?」

 

八幡「それは…もう無理だろう。あいつに「私はあなたの『本物』になれたか」って聞かれた時に、俺は答えてやれなかった…」

 

小町「…どうして?お兄ちゃんにとって雪ノ下さんは『本物』だったことには違いないでしょ?」

 

八幡「雪ノ下は俺にとって間違いなく『本物』だった。でも…由比ヶ浜への気持ちも、やっぱり『本物』なんだよ。そして、今はそっちの思いのほうが強くて…だから、何も言ってやれなかった…」

 

小町「お兄ちゃんはクズのくせに、潔癖症だからなぁ…」

 

八幡「う、うるせぇな!俺だって、自分がどれほどクズかなんて…わかってんだよ…」

 

小町「でもきっと『本物』を手に入れる為にはクズになるしかないんだよ…」

 

八幡「小町…」

 

小町「とにかく、こうなったらアタックあるのみだよお兄ちゃん!」

 

八幡「ア、アタックって…由比ヶ浜にか?」

 

小町「そうするほかないでしょ。むしろそうしないと雪ノ下さんだって納得しないだろうし」

 

八幡「振られてすぐ他の奴にって…そんなことできるわけ…」

 

小町「お兄ちゃんはクズなんだよ!?だったらクズになりきりなさいよ!!」

 

八幡「た、頼むからクズクズ言わないでくれ…」

 

小町「何度でも言うよ!だって、付き合ってる人が居るのに他の人が気になって仕方ないんでしょう?そんなの、クズ中のクズに決まってるじゃない!!」

 

八幡「……返す言葉もございません」

 

小町「お兄ちゃんが今日のことで傷ついてるのはよくわかるし、痛い思いをしてるのだって小町はちゃんとわかってる。でも、だからこそ、由比ヶ浜さんに思いを告げるべきだと思うよ?」

 

八幡「小町…」

 

小町「そうしないと…ちゃんと結論を出さないと…いつまでも引きずることになるよ?」

 

八幡「お前の…いう通りだな…。情けない兄ちゃんでごめんな…」

 

小町「情けなくたって、お兄ちゃんは小町のお兄ちゃんだよ。あっ!今の小町的にポイント高い☆」

 

八幡「……明日、由比ヶ浜と話してみる」

 

小町「うん!頑張って!お兄ちゃん!」

 

 

その夜

 

八幡(とりあえず、由比ヶ浜に連絡しとかないとな…)

 

ピッ

 

八幡「もしもし…比企谷だけど…」

 

由比ヶ浜「……どうしたの?」

 

八幡「明日、ちょっと話があんだけど…」

 

由比ヶ浜「……もしかして、ゆきのんのこと?」

 

八幡「いや、違う。雪ノ下とは…その…別れたんだ」

 

由比ヶ浜「へ?…ちょっ!?ヒッキー!それどういうこと!?」

 

八幡「とにかく、明日放課後、部室で待ってるから…それじゃあな」

 

由比ヶ浜「ちょっとヒッキー!?ちゃんと説明しt」

 

ピッ

 

八幡(とりあえず…これで来てくれるだろう。小町の言う通り、結果はどうあれ…言うことは言っておかないと、どうにもならないからな…)

 

プルルルル!プルルルル!プルルルル!

 

八幡「!?」ビクッ

 

プルルルル!プルルルル!プルルルル!

 

八幡(は、陽乃さんから着信…だと?)ゴクリ

 

ピッ

 

八幡「はい…もしもし…?」

 

陽乃「もしもし比企谷君?お姉さん、ちょ~っと比企谷君に聞きたいことあるんだけど?」

 

八幡「」

(終わった…)

 

陽乃「あのね、今日久しぶりに雪乃ちゃんの家に行ってみたんだけどさ~」

 

八幡「はい…」

 

陽乃「呼び鈴鳴らしたら、インターフォンから鼻声の雪乃ちゃんの声が聞こえてきたの」

 

八幡「」

 

陽乃「最初は風邪ぎみなのかな~って思ったんだけど、どうも様子がおかしいから合鍵で鍵を開けて中に入ってみたのよ」

 

八幡「あ、合鍵持ってるんすか…」

 

陽乃「比企谷君、少し黙っててね☆」

 

八幡「」

 

陽乃「それで、中に入ってみたらびっくり!雪乃ちゃんが目を腫らしてえんえん泣いてたのよ!」

 

八幡「」

 

陽乃「それでピーンと来たのよ。これは比企谷君と何かあったなと」

 

八幡「」

 

陽乃「比企谷君?黙ってちゃ、お姉さんわからないんだけど?」

 

八幡「あなたが黙ってろって言ったんじゃないですか…」

 

陽乃「あら?お姉さんに口答えするつもり?」

 

八幡「い、いえ!そのようなことは決して…」

 

陽乃「それじゃあ、説明してちょうだい。雪乃ちゃんに聞いても『何でもない』の一点張りなのよ」

 

八幡「実は…かくかくしかじかで…」

 

陽乃「ふむふむ…なるほどね。事情はわかったわ。比企谷君…雪乃ちゃんを泣かせて、ただで済むと思わないことね?」

 

八幡「も、申し訳ありませんでした!!」

 

陽乃「それなりの報いは受けて貰うから、覚悟しといてね☆それじゃあね~」

 

プツッ…ツーツーツーツー…

 

ピッ

 

八幡(えらいことになった…幸先が悪いにも程があるだろ…)

 

八幡「……寝よう。どのみち…覚悟を決めるしかない訳だしな…」

 

 

翌日

 

奉仕部

 

シーン…

 

八幡(やっぱり…雪ノ下は来ないか)

 

八幡「昨日の今日だしな…。当然と言えば、当然か…」シュン

 

ガラッ

 

由比ヶ浜「ヒッキー!昨日の話、どういうこと!?」

 

八幡「由比ヶ浜…来てくれたか…」

 

由比ヶ浜「ヒッキー!ゆきのんと別れたって、どういうことなの!?」

 

八幡「昨日、俺は雪ノ下に振られた」

 

由比ヶ浜「ふ、振られたって…どうして…?」

 

八幡「俺が…雪ノ下にとって『偽物』だったからだ」

 

由比ヶ浜「どういうことなの…?」

 

八幡「雪ノ下と付き合っていながら…由比ヶ浜…俺はお前のことばかり考えていたんだ…」

 

由比ヶ浜「……へ?」

 

八幡「雪ノ下と付き合ってから、お前の存在が俺の中で日に日に大きくなっていった。それを、雪ノ下に気づかれてしまって…だから、別れを告げられた」

 

由比ヶ浜「そ、それって…」

 

八幡「単刀直入に言う。俺は…由比ヶ浜のことが好きだ。今日はそれを伝えたくてお前を呼んだんだ」

 

由比ヶ浜「!?」

 

由比ヶ浜「ヒ、ヒッキー…?自分が何を言ってるか、わかってるの?」

 

八幡「雪ノ下には本当に悪いと思ってる。だけど、俺は由比ヶ浜のことが…」

 

由比ヶ浜「じゃあ、どうして初めから私を選んでくれなかったの!?」

 

八幡「由比ヶ浜…」

 

由比ヶ浜「ゆきのんに振られたからって私に乗り換えるなんて…ヒッキーがそんな人だとは思わなかった!!」

 

八幡「ち、違うんだ!由比ヶ浜!!さっきも言ったように、俺はお前のこt」

 

パンッ!

 

八幡「ぐっ…痛ッ…由比ヶ浜…」

 

由比ヶ浜「ヒッキーなんてもう知らないっ!!最低だよ!!」タタッ

 

八幡「あぁ…俺は…最低だ…」ズキズキ

 

 

帰り道

 

八幡(畜生…いてぇなぁ…痛くて…痛くて…痛い)

 

八幡「最低か…ははっ…だよな…そりゃ…そうだよな…俺だって…こんなクズ…見たことねぇよ…」

 

八幡「ぐすっ…ごめんな…雪ノ下…ごめんな…由比ヶ浜…ぐすっ…」グスングスン

 

パッパーッ!

 

八幡「!?」ビクッ

 

陽乃「なぁにしてんの?比企谷くん。そんなとこに突っ立ってるとまた轢かれちゃうよ?」

 

八幡「は、陽乃さん…?」グスッ

 

陽乃「比企谷…泣いてるの?とりあえず送ってあげるから、クルマに乗りなさいな!」

 

八幡「え…でも…」

 

陽乃「良いから!ほらっ早く!」グイッ

 

バタンッ!

 

八幡「あの…陽乃さん…」

 

陽乃「ん?」

 

八幡「妹さんの件…本当にすみませんでした」

 

陽乃「そのことならもういいわ。比企谷君はもう報いを受けたみたいだしね…」クスッ

 

八幡「……あなたの言う通り、当然の報いだと思ってます…」

 

陽乃「酷い顔しちゃって…。誰にビンタされたか、当ててみようか?……由比ヶ浜ちゃんでしょ?」

 

八幡「……当たりです」

 

陽乃「それで、どう?…罪悪感は少しはマシになった?」

 

八幡「ッ!?」

 

陽乃「雪乃ちゃんへの償いの為に、由比ヶ浜ちゃんに殴られたんでしょ?」

 

八幡「俺は…そんなつもりは…」

 

陽乃「ねぇ…比企谷君。『本物』の恋は痛くて、辛くて、怖いでしょう?…だからきっと、みんな『本物』なんて望んだりしないんだろうねぇ…」

 

八幡「……」

 

陽乃「それでどうするの?諦めちゃうの?」

 

八幡「あきら…める?」ピクッ

 

陽乃「たった一度や二度振られたくらいで、君は『本物』を諦めるの?」

 

八幡「それは…」

 

陽乃「比企谷君はその程度の男なの?」

 

八幡「あ、諦めませんよ!!必ず…必ず『本物』をこの手に掴んでみせますよ!!」

 

陽乃「それでこそ男の子だ!会ったばかりの死んだ魚の目をした比企谷君もお姉さんは嫌いじゃなかったけど、今の比企谷君も私は好きよ?」

 

八幡「か、からかわないで下さい…。でも…良いんすか?俺が今好きなのは…その…雪ノ下じゃなくって…」

 

陽乃「あら比企谷君。うちの雪乃ちゃんをあまり舐めないでちょうだい?あの子は逆境になればなるほど、強くなるんだから!!挫折を与えてくれたって点は、比企谷君に感謝しなくちゃね♪」

 

八幡「…今度は一体、何を企んでいるんですか?」

 

陽乃「企むだなんてとんでもない!全ては雪乃ちゃんの為よ?」

 

八幡の家の前

 

陽乃「はーい到着!」

 

八幡「あの…今日はその…ありがとうございました…」

 

陽乃「気にしなーい気にしなーい!それより、しっかりやりなさいよ?…大丈夫。由比ヶ浜ちゃんみたいな子はきっと押しに弱いから!あ、もちろん、相手が比企谷君に限っての話ね☆」

 

八幡「うす…が、頑張ります」

 

バタンッ!

 

陽乃「比企谷君も…まだまだ若いなぁ…。よーし!さっそく雪乃ちゃんに報告しよっと♪」

 

ピッ

 

 

次の日

 

放課後

 

八幡(よし!駄目元で今日も由比ヶ浜を部活に誘ってみよう…って、あれ?あいつ…どこ行った?)キョロキョロ

 

八幡「直帰しちまったのかな…。まぁ、警戒されるのも当然か…」シュン

 

八幡(帰ってもやることないしな…。とりあえず部室でこれからのことを考えてみるか…)

 

 

部室前

 

平塚先生「よぅ比企谷。遅かったな」

 

八幡「平塚先生…?部室の前で何してるんすか?」

 

平塚先生「青春に…耳を傾けていたのだ」ニヤッ

 

八幡「は?」キョトン

 

平塚先生「ほら、部室の中から声が聞こえるだろう?」

 

八幡「誰か…居るんすか?」

 

平塚先生「君の耳で聞いてみたまえよ」グイッ

 

八幡「へ?ちょっ…何するんすか!?」

 

由比ヶ浜さん。昨日姉さんから聞いたのだけど…なぜ比企谷君の告白を断ったりしたの?』

 

『だ、だって…ゆきのんに悪いし…』

 

八幡「!?…せ、先生!これって…」

 

平塚先生「シッ!黙って聞きたまえ」

 

『私に悪いですって?馬鹿にしないでちょうだい由比ヶ浜さん。私はそんな同情をしてもらいたくて彼を振ったわけではないわ』

 

『ど、同情なんて…そんなつもりは…』

 

『じゃあ私を理由に断ったりしないでちょうだい。あなたの本心で答えてあげるべきよ!』

 

 

平塚先生「ふっ…ようやくぶつかり合えたようだな。比企谷、人の心というものは本質的には醜いものだ。その醜い部分を晒し合える相手こそ、君の呼ぶところの『本物』という存在なのだろう』

 

八幡「醜い部分を晒し合う…?」

 

平塚先生「そうだ。本音をぶつけ合うということは、痛かったり、辛かったりするかもしれん。閉じこもったり、ひき込もったほうが楽な場合も多い。

だが…本音を言い合い、時に傷つき、時に泣くことで、共に楽しんだり、共に笑い合う瞬間の喜びもまたひとしお大きなものとなる」

 

八幡「先生…」

 

『ゆきのんは全然人の気持ちをわかってくれない!!』

 

『じゃあ言ってみなさいよ!!あなたは比企谷君のことをどう思っているのか!?』

 

 

平塚先生「頃合いだな。行きたまえ比企谷。健闘を祈るぞ」

 

ポンッ

 

八幡(これが…最後のチャンスだ…!)

 

ガラッ

 

由比ヶ浜「私はッ!ヒッキーのことが好きっ!!ヒッキーがゆきのんと付き合ってもずっとずっと好きだった!!文句ある!?」

 

雪ノ下「ようやく…本音を話してくれたわね。あら?比企谷君…遅かったわね」

 

由比ヶ浜「!?…ヒ、ヒッキー…?」

 

八幡「……由比ヶ浜。悪いが、全部聞かせて貰ったぞ」

 

由比ヶ浜「あの…これは…その…」

 

八幡「由比ヶ浜、俺もお前が好きだ」

 

由比ヶ浜「ふぇっ!?で、でも…それはだって…ゆきのんに振られたから…」

 

八幡「そうじゃないんだ!雪ノ下と付き合ったからこそ、お前への気持ちに気付けたんだ!!」

 

由比ヶ浜「ヒッキー…」

 

八幡「付き合おう…由比ヶ浜

 

由比ヶ浜「だ、だめだよ…そんな…ゆきのんに悪いし…」

 

八幡「悪いのは全部俺だ。お前は何一つ悪くない。だから、俺の傍にいろ!」

 

ギュッ

 

由比ヶ浜「ふぁっ…ヒ、ヒッキー…」

 

八幡「好きだ…由比ヶ浜

 

由比ヶ浜「わ、私も…好き。…ずっと…ずっと好きだったよ…」

 

八幡「こんな俺を好きになってくれて…ありがとう」

 

由比ヶ浜「バカ…そんなヒッキーだからこそ…私は…」

 

パンパンッ!

 

雪ノ下「はい。そこまで」

 

由比ヶ浜「ふぁっ!?ゆ、ゆきのんゴメン…」

 

雪ノ下「謝らなくて良いのよ?由比ヶ浜さん。今のはお祝いの拍手だから」ニッコリ

 

八幡「拍手って…たった2回の拍手があるかよ…」

 

雪ノ下「黙りなさい比企谷君。あなたと、それから比企谷君には言っておくことがあるから、姿勢を正して耳の穴をかっぽじってよく聞きなさい!!」

 

八幡・由比ヶ浜「「は、はいっ!!」」

 

雪ノ下「今回は私の負けということにしておくけど、私は比企谷君を諦めるつもりはないわ」

 

由比ヶ浜「へ?」

 

八幡「は、はぁ!?そもそもお前が俺を振ったんだろ!?」

 

雪ノ下「別な女にうつつを抜かしてる男なんて、こっちから願い下げよ!!今度は完璧にあなたを私の虜にしてみせるから…そのつもりで首を洗って待ってなさい」ニッコリ

 

八幡「物騒過ぎるだろ…こえーよ…どこのスクールデイズだよ…」ガクガクブルブル

 

雪ノ下「由比ヶ浜さんも、しばらく彼を預けるけど…気を抜いてるとすぐまた返してもらうからそのつもりで」

 

由比ヶ浜「むっ!ぜぇーたい返さないんだから!!ゆきのんこそ、手放したこと後悔しないようにしてよねっ!!」

 

雪ノ下「さて…今日は久しぶりに比企谷君の膝の上に座ろうかしら…」

 

八幡「!?」

 

由比ヶ浜「そ、そんなこと一度もしたことないでしょ!?てゆーか、ゆきのんキャラおかしくない!?ヒ、ヒッキーもなんで準備して待ってんの!?」

 

 

騒がしい彼女達の喧騒の中、俺は思った…

 

 

やはり青春ラブコメはこうあるべきだ。

 

 

 

 

 

 

 

元スレ

雪ノ下「別れましょう」八幡「は?」

http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1452685439/

 

打ち止め「どんな人間だって....誰かを愛していいって、ミサカはミサカは笑ってみたり」 一方「....」【とあるss/アニメss】

 

打ち止め「ヘーイ店員さーん!ってミサカはミサカは!」一方「呼ぶな押せ

 

打ち止め「あっそうだっけ?ってミサカはミサカははやとちりー!」ティヘ♪ 

 

一方「ったく…恥ずかしいマネしてンじゃねェよ」 

 

打ち止め「それじゃー改めまして店員さん召喚のボタンぽちーっ!ってミサカはミサカはボタンをどーn!」 

 

一方「…」ポチ 

 

ティントゥーン♪ 

 

打ち止め「!?」 

 

一方「…」クククク 

 

 

店員「お待たせ致しました。ご注文をお伺い…」 

 

打ち止め「こ、この外道ぉー!ってミサカはミサカはほっぺたぐにぐに引っ張ってみたりぃぃ!」 

 

一方「ほっふぇはひっふぁるンじゃふぇ(ほっぺた引っ張るンじゃねェ)」フォゴフォゴ 

 

打ち止め「ちょっと店員さん!聞いて聞いて!この人ったらひどいのひどいの!」グニグニグニグニ 

 

一方「ほっふぇはひっふぁるンじゃふぇ(ほっぺた引っ張るンじゃねェ)」フォゴフォゴ 

 

店員「えっ、えっと、」 

 

打ち止め「いじわるいじわるーっ!って!ミサカはミサカは楽しみを奪われた事に憤ってみるぅーっ!」プップクプー 

 

一方「うるせェ押すのが遅ェンだよ。次はオマエがさっさと押せばいいだろ」ケケケ 

 

打ち止め「んもーう!!」 

 

店員「あ、あの…ご注文は後でお伺いしま」 

 

打ち止め「する!注文する!ハンバーグセット!A!Aの方でお願いしまーす!ってミサカはミサカはご注文っ!」 

 

一方「ドリンクバー、単品。」 

 

打ち止め「えっ?食べないの?」 

 

一方「俺はコーヒーを自由に飲みてェだけだからな」 

 

打ち止め「ふーん?」 

 

店員(ああ…早く決めてくれ…) 

 

 

・・・。 

 

 

打ち止め「でも珍しいね」 

 

一方「あァ?」 

 

打ち止め「ファミレスに連れてってくれるとか普段は絶対しないのにってミサカはミサカはどういう風の吹き回しか暗に聞いてみる」 

 

一方「別に特に理由なンざねェよ」プイ 

 

一方「コーヒーガブ飲みしてェ、腹を空かしてうるせェオマエがたまたま傍にいる、ファミレスは家の近く。『じゃあコイツと行くか』」 

 

一方「それだけだろォが」 

 

打ち止め「えー?でもいつもはミサカを置いてきぼりにして勝手に行ってきちゃうじゃない」 

 

一方「連れてきてもオマエが退屈になるだけだろォが」 

 

打ち止め「ミサカはあなたと一緒ならどこでも楽しいもんって、ミサカはミサカは不満げに上目遣いしてみたり」ブー 

 

一方「…そォかよ」 

 

 

一方「…コーヒーを注ぎに行ってくる」ガタッ 

 

打ち止め「はーい!ってミサカはミサカはお留守番任務を承り!」 

 

一方「ちょっと席離れるだけだろォが」 

 

打ち止め「にしてもあなたの言葉もすごいよね」 

 

一方「あァ?」 

 

打ち止め「フツーはサーバー付近に行ってから何を飲むか決めるでしょ?」 

 

打ち止め「だから出る言葉は『ドリンクバーに行ってくる』なはずなのに、最初っから『コーヒー注ぐ』って決まってるもの」 

 

一方「はァ?コーヒーのお代わりが自由だから来たンだ。目的が最初から決まってンだから当たり前だろォが」 

 

打ち止め「よくあんな苦いのガパガパ飲めるよねってミサカはミサカはある種の畏敬の念を抱いてみる」 

 

一方「浴びるぐれェ飲ンでも美味いからな」 

 

打ち止め「…あなたがいつか死んじゃう時が来るとしたら、きっとカフェインとか、何かしらコーヒーが原因なんだろうなーってミサカはミサカは遠い目をしてみたり」 

 

一方「ハッ、好きなもンに殺されるなら本望だっつゥの」カツッカツッ 

 

 

・・・。 

 

 

~ドリンクバー~ 

 

 

浜面「あれ?どうしたんだこんな所で」 

 

一方「あァ?オマエこそ」 

 

浜面「いや俺は、っつーか俺らはいつも通りっつーか?あとアレだな、あいつら御所望のコーラをな」 

 

一方「パシリくンは大変だなァ」ハッ 

 

浜面「うるせっ!…アレ、お前1人?良かったら俺らんとこ来るか?」 

 

一方「…」 

 

一方「いや、いい」 

 

浜面「あ、そう?」 

 

一方「あァ。今日はいい」 

 

浜面「ふーん…彼女との記念日とか?」 

 

一方「ある意味間違っちゃァいねェな」 

 

浜面「え!マジで!?彼女いたの!?」 

 

一方「そォじゃァねェが、ニュアンスは類似してるってだけだ」 

 

浜面「ほーん…ま、いいや。記念日?楽しめよ」 

 

一方「わかったから早く席に帰りやがれ」 

 

浜面「へーへ」 

 

 

「はーーーーまづるぅああああああああ!!コーラまだーー?」 

 

浜面「ちょっ、何恥ずかしいマネしてんのアイツ!!?」 

 

一方「犬は大変だな。早く行けよご主人様待ってンぞ駄犬」 

 

浜面「犬じゃねぇよ!」 

 

「ほらほら、超早く帰ってこないと浜面の膝が私の座布団に超変わりますよー」 

 

「はまづらー」 

 

「わけよー」 

 

 

浜面「…あの席に帰るのやめちゃおっかなー…」 

 

一方「そォか。だからと言って俺ンとこには来るなよ」 

 

浜面「冷たっ!?」 

 

一方「妥当だろ。そのまま飼い殺しされてろよ」 

 

浜面「ちょっとちょっと!そりゃないんじゃないのか一方通行ぁ?!」 

 

「にゃあにゃあ!大体早くしろー」 

 

「つーか早く帰ってこねーと山盛りポテト浜ちゃんの分無くなんぞー」 

 

 

一方「おォ、オマエの餌が無くなるンだとよ。早く戻れよ」 

 

浜面「えぇー…」 

 

 

「はまづらー。帰ってきたら頭撫でてあげるよ」 

 

 

浜面「ハーイ///今戻るわー」デレー 

 

浜面「じゃ!俺はこれで!」 

 

 

たたたたたた… 

 

 

浜面「どる~ん!待ったぁ~?」 

 

 

「超遅いです!罰として超腿パーンッの刑ですッ!」ベシッ 

 

「あいだっ!?」 

 

「ほらはまづら。ご褒美にナデナデしてあげる。」 

 

「おっほぅ!」 

 

 

一方「…やっぱ犬じゃねェか」ハァ 

 

・・・・・。 

 

 

一方「ただいm」 

 

打ち止め「はわわわわ…って、ミサカはミサカは怖いお兄さん方に囲まれてビクビクしてみたり」 

 

海原「小さい御坂さん…!」ハァハァ 

 

白井「小さいお姉さま…!」ハァハァ 

 

海原「いつでも、どこでも、誰からも、何度でも。このような事になるたびに、まるで都合の良いヒーローのように駆けつけてあなたを守ります約束します」 

 

白井「片手に弓のような物を装着した男がこの辺を彷徨いているそうですの。危険ですから私と安全(エ口ス)な部屋に行きましょうねお姉さまに似たお嬢さん」 

 

一方「はァ…」 

 

一方「オーケーオーケー、愉快なオブジェに大決定だクソ野郎共」 

 

 

────カチッ。 

 

 

ずこーん!ばっこーん!ばちこーん☆ぼこぼこぼこぼこギャァアアアズンドコヒュー… ヒァィイァイイタスケッ…ずがしゃーん☆ぷにゅっ。 

 

 

─────カチッ。 

 

一方「ああいう夏の暑さで頭が茹だっちまったような奴が現れたら警備員呼べっての」ペシベシペシベシペシベシ 

 

打ち止め「あうう。やめれー!連続チョップはやめれーっ!ってミサカはミサカは頭を抑えて抗議してみる!」 

 

打ち止め「あれ?何だかそのコーヒー普通のと違うねってミサカはミサカは違いの分かる女を醸し出してみたり」 

 

一方「コーヒーっつゥかこれはエスプレッソだけどな」ズズー… 

 

打ち止め「え?エスプレッソってコーヒーじゃないの?ってミサカはミサカは黒くて苦い液体は皆コーヒーと素人判断」 

 

一方「違う。いや広義的には同じだが、」ズズズズ 

 

一方「簡単に言えば、普通のドリップコーヒーよりもカフェイン少なくてコーヒーよりも圧縮濃度とカップ内の液体構造が違ェンだよ」 

 

打ち止め「へ、へー…」 

 

一方「…あン?」 

 

打ち止め「?」 

 

一方「もう飯来てンじゃねェか。食わねェのか」 

 

打ち止め「え?あっ食べる!食べるよ!」カチャカチャ 

 

一方「…」 

 

 

打ち止め「よっしゃー!ごはん食べるモード出撃準備かんりょーう!!」 

 

打ち止め「いた 一方「だきます」 …ふぇ?」 

 

一方「…」プイ 

 

打ち止め「…今、」 

 

一方「…」 

 

打ち止め「…」 

 

    ・・・ 

一方「…今度は、冷めきらねェ内に食え。」 

 

打ち止め「…?」 

 

打ち止め「───あっ。」 

 

────── 

────────── 

──────────────── 

 

 

    ・・・ 

────あの日。 

 

 

あったかい料理を食べるのは初めてで。本当に嬉しくて。 

 

誰かとの食事が、嬉しくて。 

 

 

『何やってンだオマエ。湯気でてるメシはこれが初めてなンだろォが』 

 

『でも、誰かとごはん食べるのも初めてだったり、ってミサカはミサカは答えてみたり。』 

 

 

『いただきまーす、っていうの聞いたことある、ってミサカはミサカは思い出してみる。あれやってみたい、ってミサカはミサカはにこにこ希望を言ってみたり』 

 

そして、十五分ほど経って。もうミサカの料理からは湯気が消えた頃にあの人のごはんが運ばれてきて。 

 

それから一緒に食べはじめて。 

 

 

でも、その時に 

 

 

『いただきます』 

 

 

は。 

 

──────────────── 

──────────── 

──────── 

 

打ち止め「…ねぇ」 

 

一方「なンだ」 

 

打ち止め「前も。ミサカと初めて会ったあの日もここでごはんだったよねってミサカはミサカは懐かしい思い出話を振ってみる」 

 

一方「…あァ」 

 

打ち止め「ミサカは毛布1枚でさ、」 

 

一方「あァ」 

 

打ち止め「あなたは”実験”が凍結されて、やる事なくて。どこか放心状態で。まるで死んでるみたいに生きていてさ、」 

 

一方「あァ」 

 

打ち止め「…あの日、ミサカは迷子で。生存するためにしか生きる理由もなくて、」 

 

 

打ち止め「─────あのね、きっとね、」 

 

打ち止め「ミサカだけじゃなくて、あなたも迷子だったんじゃないかなって」 

 

一方「……あァ、かもな」 

 

 

打ち止め「…そういえば。」ジロジロ 

 

一方「…」 

 

打ち止め「あなたの今着てる服も。今気づいたけどあの日着てたシャツだねってミサカはミサカは指さしてみる」 

 

一方「あァ」 

 

打ち止め「ひょっとして」 

 

一方「ハッ、たまたまだっつゥの。たまたま。」 

 

打ち止め「ねぇ」 

 

一方「…なンだ」 

 

打ち止め「迷子だったミサカ達はあの日出会って。それからは一緒に目的地を探して歩いてきて」 

 

打ち止め「今は────」 

 

 

黄泉川『ごはんできてるじゃんよ』 

 

芳川『相変わらず仲いいわね、キミ達は』 

 

番外『悪意以外の感情、か。妹達の悪意だけを抽出するミサカがねぇ』 

 

 

打ち止め「ミサカ達、もう迷子じゃないね。って、ミサカはミサカは微笑んでみたり」ニコッ 

 

一方「…そォだな」 

 

 

打ち止め「あっ、ねぇねぇ」 

 

一方「あァ?」 

 

打ち止め「ひょっとして今日連れてきてくれたのって…?って、ミサカはミサカは期待の眼差しで見つめてみたり」 

 

一方「…フン」 

 

一方「別に。オマエが考えてそォな殊勝な考えなンざねェよ」 

 

打ち止め「むー」プクー 

 

 

一方「ただ…」 

 

打ち止め「?」 

 

 

一方「オマエが色々と俺が失くしちまったもンとか、欠けてたもンを補いやがるから」 

 

一方「ちょっと奢って借りを精算しよォとしただけだっつゥの」プイ 

 

打ち止め「…」ポカン 

 

打ち止め「…ぷっ。」 

 

一方「…」 

 

打ち止め「あなたってさ、」 

 

一方「あァ?」 

 

打ち止め「本当に素直じゃないよねって、ミサカはミサカはそんな照れ屋なあなたのほっぺたツンツンしてみたり」ツンツン 

 

一方「…」 

 

打ち止め「ほりゃほりゃ。ちょっとは素直になーあれーって、ミサカはミサカは微笑みながらツンツン続行!」 

 

一方「…」 

 

 

一方(コイツの背後のガラスに俺の顔が写ってやがる。) 

 

 

一方(コイツの”眩しさ”に目が眩んでるよォな、そンな表情が。) 

 

 

一方(…あァ…俺とコイツは今、同じ表情して、…) 

 

 

一方(…あァ…そォ、だったな、) 

 

 

一方(人間っつゥのは、眩しい時と笑う時に同じ表情になるンだったな) 

 

 

・・・・・。 

 

 

打ち止め「ふー。お腹いっぱい。」 

 

打ち止め「ちょっときゅーけーい。って、ミサカはミサカは背中の椅子にもたれかかってみるー」 

 

一方「…メシ、食ったなら言えよ」 

 

打ち止め「えっ?」 

 

一方「『ごちそうさま』…」 

 

打ち止め「…?」 

 

 

打ち止め「ああ…」 

 

────────── 

─────────────── 

──────────────────── 

 

打ち止め『「ごちそうさま」っていうのも言ってみたかった、ってミサカはミサカはため息をついてみる』 

 

一方『そォかよ。そりゃ残念だったな』 

 

─────────── 

─────── 

──── 

 

打ち止め「…そっか。」クスクス 

 

一方「何笑ってやがる」 

 

打ち止め「別に。あなたってさ、」 

 

一方「あァ?」 

 

打ち止め「時々すっごいマメで。すっごい不器用な優しさ見せるよねってミサカはミサカは笑ってみる」クスクス 

 

一方「…フン。何の話だかさっぱりわかンねェよ。言ったら行くぞ」 

 

打ち止め「…うん!」 

 

 

打ち止め「ごちそうさまっ!」 

 

打ち止め「って、ミサカはミサカは胸とお腹がいっぱいさと共に言ってみたりっ!」 

 

 

カランカロン。 

 

「ありゃりゃとしたーっ」 

 

 

打ち止め「ねぇ」 

 

一方「あァ?」 

 

打ち止め「手。つなご?ってミサカはミサカは笑顔で手を差し伸べてみたり」 

 

一方「…」 

 

打ち止め(だめかな?) 

 

一方「…」 

 

一方「…ン」スッ… 

 

打ち止め「!」 

 

一方「…おら、さっさと帰ンぞ」キュ 

 

打ち止め「うんっ!」 

 

 

てくてくてく。てくてくてく。 

 

 

打ち止め「ねぇ」 

 

一方「あァ?」 

 

打ち止め「ミサカね、あなたの言葉で好きなのあるんだけどね、なんかね、それ思い出しちゃった!って、ミサカはミサカは言いたいなーって伝えてみたり」 

 

一方「はァ?俺が誰かが感動するよォな事なンざ言うわけねェだろ」 

 

打ち止め「あれ?前にも言ったんだけどなー。…言っていい?って、ミサカはミサカはチラリと許可をとってみたり」 

 

一方「…好きにしろ」 

 

打ち止め「ちょっと長いんだけどね、ってミサカはミサカは前置きしてみる」 

 

────────── 

───────────── 

────────────────── 

 

天井『ハッ。それは何をしてるつもりだ?今さら、お前のような者が』 

 

一方『わかってンだよ。こンな人間のクズが、今さら誰かを助けようなンて思うのはバカバカしいってことぐるいよォ。』 

 

一方『まったく甘すぎだよな、自分でも虫唾が走る』 

 

一方『けどよォ』 

 

 

一方『このガキは、関係ねェだろ』 

 

 

一方『例え俺達がどンなに腐っていてもよォ。』 

 

一方『誰かを助けようと言い出す事すらバカバカしく思われるほどの、どうしよォもねェ人間のクズだったとしてもさァ』 

 

一方『このガキが、見殺しにされて良い理由にはなンねェだろォが。俺達がクズだって事が、このガキが抱えてるもン。踏みにじっても良い理由になるはずがねェだろうが!』 

 

一方『確かに俺は一万人もの妹達をブッ殺した。だからってな、残り一万人を見殺しにして良いはずがねェンだ。』 

 

一方『ああ綺麗事だってのはわかってる、今更どの口がそンな事言うンだってのは自分でもわかってる!』 

 

 

一方『でも違うンだよ!』 

 

一方『例え俺達がどれほどのクズでも、どンな理由を並べても、それでこのガキが殺されて良い事になンかならねェだろォがよ!!』 

 

─────── 

───────────── 

────────────────── 

 

一方「忘れろ」 

 

打ち止め「ええーやだー」 

 

一方「忘れろ」 

 

打ち止め「MNWに永久保存してるもん」 

 

一方「忘れろ…」 

 

 

てくてくてく。てくてくてく。 

 

 

打ち止め「あのね、あのね、」 

 

一方「なンだよ」 

 

打ち止め「ミサカね、あなたの事好きだよ」 

 

一方「…」 

 

 

一方「…何急にこっ恥ずかしいこと言ってやがる」 

 

打ち止め「うん。でもね、言いたかったの。」 

 

打ち止め「あなたはどう?ミサカの事、好き?って、ミサカはミサカは問いかけてみたり」 

 

一方「…」 

 

一方「…俺も…、いや、」 

 

一方「…」 

 

打ち止め「いいよ、言って?ってミサカはミサカは促してみる」 

 

打ち止め「あなたが今考えてそうな事は大体見当がつくけどね、」 

 

打ち止め「言っていいんだよ。どんな人間だって誰かを愛していい権利くらい持ってるんだから、って、ミサカはミサカは笑ってみたり」 

 

一方「…」 

 

 

一方「…そォだな、」 

 

一方「俺もだ。」 

 

 

一方「俺も、オマエと、ずっと一緒に居たいぐらいには」 

 

打ち止め「うん!」ニコッ 

 

 

一方「…この手は、もォ離さねェから」 

 

打ち止め「うん!ずーっと!ちゃんとしっかり握っていてね!って、ミサカはミサカは握り直してみる!」 

 

 

 

 

 

 

 

元スレ

打ち止め「ヘーイ店員さーん!ってミサカはミサカは!」一方「呼ぶな押せ」

http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1504187936/

 

 

黒子「幼馴染が起こしにきたというのに、不幸とは心外ですの」 上条「うっ…」【とあるss/アニメss】

 

上条宅 

 

「到着ですの」シュン

 

上条「ぐーぐー」スヤスヤ

 

「やっぱりですの。普段から遅刻ばかりですがまさか補習まで遅刻するつもりで?」スタスタ

 

「ほら、起きないと遅刻しますわよ」ユサユサ

 

上条「も、もうちょっと…」モウフカブル

 

 

「…人がわざわざ起こしにきてると言いますのに…」ムカムカ

 

 

「……」テツクイトリダシ

 

「…はい」テツクイキエル

 

 

シュン ヒュ--

 

 

上条「…うおっ⁉︎」 ガギンッ

 

 

上条「あ、朝起きたら目の前から鉄の杭が迫ってきた…ふ、不幸だ」ハァハァ

 

「おやおや、せっかく幼馴染が起こしにきたというのに、不幸とは心外ですの。殿方にとっては夢のようなシュチュエーションではなくて?」

 

上条「どこがだよ⁉︎ こんな起こし方されちゃ命いくつあってもたりねぇよ⁉︎」

 

上条「っていうか、下手すれば死んでたぞ、わかってるのか、白井⁉︎」

 

黒子「大丈夫ですの。その時は線香くらいは上げてあげますの」

 

上条「死ぬ前提かよ…」

 

黒子「そもそも、最初に優しく起こしたのに起きない方が悪いんではなくて? 」

 

黒子「わたくしだって鬼ではありませんし、いきなりこんなことはしませんの」

 

上条「いや、上条さんの記憶が確かなら優しく起こしたの最初の一回だけでしたよね?」

 

黒子「それで起きれば良かったんですの。一度だけでも優しく起こしたんですから感謝して欲しいくらいですわ」

 

上条「いや、だからって」

 

黒子「それとも起こさずに補習にも遅刻して、あぁ、哀れ上条当麻留年の方がよろしかったと?」

 

上条「うっ…」

 

黒子「あっ、それを繰り返せば何年も留年して本当に黒子姉ちゃんになれますし…いいかもしれませんわね。では次からは起こしに来ず」

 

上条「あぁ、わかったって。上条さんが悪うございました‼︎ はぁ…黒子姉ちゃんって昔のことをいつまでも」

 

黒子「なにか言いました?」

 

上条「いいえ、何にも言ってないです。いや白井には感謝しても仕切れないです‼︎」

 

黒子「わかればよろしいですの」

 

 

黒子「ほら、早く顔を洗ってらっしゃい。また小萌先生に怒られますわよ」

 

上条「へいへい…」ヨッコラセット

 

黒子「まったく…あっ、朝食はさっきコンビニで買っておいたのを置いときますの」ガサッ

 

上条「う、うーん」

 

黒子「なにか?」

 

上条「いや、幼馴染の女の子って朝食とか手作りのを用意するんじゃ…」

 

黒子「はぁ、頭まで類人猿でため息が出ますの」

 

上条「頭まで類人猿ってどういう意味だよ⁉︎」

 

黒子「そのまんまの意味ですが」

 

黒子「そもそも…わたくしだって寮監の目を盗んできてますし暇でありませんの。用意しただけでも感謝して欲しいですの」

 

上条「わかってるって、別に冗談で言っただけだろ。あっ、そうだ幾らだったんだ?」

 

黒子「今度でいいですの。ほら、早くしないと遅刻しますわよ」

 

上条「うぉっ⁉︎ いつの間にこんな時間に、ふ、不幸だぁー‼︎」タタタタッ

 

 

黒子「…はぁ、困った幼馴染…いいえ、弟ですの」

 

 

常盤台寮

 

シュン

 

黒子「はぁ、おバカな幼馴染を持つと大変ですの」

 

黒子「さてさて、こんな傷心のわたくしを癒してくれるのは……も・ち・ろ・ん」

 

黒子「お姉さむぁぁぁぁぁん‼︎‼︎‼︎‼︎」ダッ

 

 

美琴「朝からなんなのよ、あんたはああああ‼︎!」ビリビリ

 

黒子「あばばばばっばば⁉︎」ビリビリビリビリビリ

 

 

黒子「お、おねえ…さまぁ……あぁん…」プスプス

 

美琴「…で、今日も朝から例の幼馴染に会いに行ってたわけ」

 

黒子「会いに行ってたのではなく、遅刻しないように起こしに行った。それだけですの」ムクリ

 

美琴「ふーん。まるでママみたいね」

 

黒子「お母様ではなく、どっちかっていうと姉ですの」

 

美琴「姉、ねぇ。あれ、でも相手ってあんたより年上じゃ」

 

黒子「年齢はそうかもしれませんが、出会った時からずっとわたくしが姉みたいなものでしたから」

 

美琴「…姉みたいなものねぇ」

 

黒子「えぇ、出会った時は泣き虫でなんでも背負いこんで手のかかる弟でしたの」

 

 

ー殿方は身内以外には涙を見せないものですのー

 

ーだから、わたくしは今からあなたのお姉ちゃんですのー

 

ーこれからは、姉の前でくらい泣いてもいいんですのよー

 

 

黒子「我ながら臭いセリフですの」

 

美琴「何がよ?」

 

黒子「なーんでもありませんの」

 

 

美琴「それにしてもあんたに甲斐甲斐しく世話されてるその幼馴染に会ってみたくなるわね」

 

黒子「やめた方がいいですの、今や飛んだスケコマシになっておりますので合わない方がお姉さまのためですの」

 

美琴「え、そうなの?」

 

黒子「えぇ、ですからお姉さまだけでは絶対に会わないでくださいまし‼︎ 道で会っても声かけてはダメですの‼︎」

 

黒子「そんな不審者みたいに…」

 

 

黒子「わたくしはお姉さまのためを思って言っておりますの‼︎」ダキッ

 

美琴「はいはい、わかったわよ。ってそんなひっつくなっ‼︎」

 

黒子「ときにお姉様、最近帰りが遅い日がありますが、何をしておりますの?」

 

美琴「え、あっ、ちょっとね」

 

美琴(言えないわよね、私の電撃が効かない男がいて勝負を申し込んでるなんて)

 

黒子「何か怪しいですが」サワサワ

 

美琴「なんでもないわよ、ってどこ触ってんのよ‼︎!」ビリビリ

 

黒子「あびばびばあ“あ”⁉︎」

 

 

とある高校

 

小萌「はい、今日はここまでです」

 

上条「はぁ、やっと終わったぁ」

 

小萌「上条ちゃんもよく頑張りました。最近、課題も忘れてきませんし、えらいえらいですよ」ナデナデ

 

上条「はは、ま、まぁ、なんとか」

 

上条(忘れたりすると白井がうるさいからな…。前もまさか小萌先生にまで確認取るとは)

 

土御門「そりゃカミやんには優秀な幼なじみがいるからにゃー。毎朝寝坊しないように起こしに来てくれる年下の幼馴染が」

 

上条「なっ、なんでそれを⁉︎」

 

土御門「毎朝そんなに騒いでたら聞こえるにゃー。それに、毎朝騒がしくてすみませんって、一回謝りに来たぜい」

 

上条「えっ⁉︎ そうなのか⁉︎」

 

土御門「おう。そういえばうちの弟みたいな幼馴染が、とかなんとか言ってたがそれはどう意味かにゃー?」

 

上条「な、なんでもねぇよ⁉︎ ……白井のやつ余計なことを」

 

青髮ピアス「年下の幼馴染で弟プレイとかカミやんはレベル高いわー、はー、羨ましいー」

 

上条「プレイとかじゃねーよ⁉︎ だいたいな、白井が勝手に言ってるだけで、それは昔のこと」

 

土御門「昔からそんなプレイしてるなんて流石カミやんだにゃー」

 

青髮ピアス「お姉ちゃんお姉ちゃんっておはようからおやすみまで甘えるんやろうなー、はぁホンマに羨ましいし死んで欲しい」

 

上条「そんなことしねぇよ⁉︎」

 

小萌「上条ちゃん、先生は教え子をそんなプレイをしてたって生徒指導室につき出さなきゃいけないなんて悲しいのです」

 

 

ワ-ワ-ギャ-ギャ-

 

 

上条「あぁ、もう、話を聞けって‼︎ 不幸だああああああ‼︎」

 

 

とある日のJoseph's

 

黒子「は? わたくし達の出会いが聞きたい? ってまたですの? よくもまぁ同じ話題ばかりで飽きませんわね」

 

佐天「えぇー、いいじゃないですか。減るもんじゃないですし」

 

黒子「ですから、お父様の仕事の関係で知り合って、当時はお互いの家が近くてよく遊んだから、そう何度も言ったはずですの」

 

佐天「で、学園都市でも再会してってことですよね」ミヲノリダス

 

黒子「え、えぇ…っ知ってるではありませんか」アットウサレル

 

佐天「はぁー、いいなぁ、運命の再会ってやつ。初春もそう思うよね?」

 

初春「はい、映画とかの定番ですよね」

 

黒子「はぁ…そんなロマンチックなものではなくて只の腐れ縁…むしろ、呪いのようなものですの」

 

美琴「呪いって…言い過ぎなんじゃない?」

 

黒子「全然、むしろ言ってないくらいですの」

 

佐天「でもでもぉ、仲はいいんですよねっ‼︎」

 

黒子「まぁ、確かに悪くはないですが…あれで、もう少ししっかりとしていれば」ハァ

 

 

黒子「毎日、口うるさく言っていると言うのにちっとも改善されませんの。いつまでたっても補習常連のおバカさんですし」

 

黒子「言いだすとキリがありませんし、こっちが恥ずかしくなりますの」プンスカ

 

佐天「補習は人のこと言えないからなぁ…」ハハハ

 

黒子「今朝だってまた遅刻しそうになってましたし、夕べなんて課題をやらずに、しかも遅くまでどっかほっつき歩いて、しかもどこで何をしたのかボロボロでしたし」ガミガミ

 

 

初春「白井さんって意外と面倒見がいいんですけど、こんな目が離せない幼馴染がいたからなんですね」クショウシテ

 

美琴「ここまで言われるって、本当にどんなやつか会ってみたいわね」

 

佐天「なんかすごいボロクソ言ってますね…」

 

黒子「こっちだってこんな口うるさく言いたくはありませんの。おバカな弟を持つと苦労しますの」

 

佐天「おっ、出た‼︎ その幼馴染さんのこと弟っていうの‼︎」

 

黒子「…まぁ、昔の癖ですの。実際今でもそれくらい手はかかりますので」

 

佐天「それって姉弟愛はあるってことですよね‼︎ ってことは恋愛感情とかも…」

 

黒子「それも前に言いましたが、よくわかりませんの。そんなこと考えたことありませんし」シレッ

 

佐天「シレッと返しますね」

 

黒子「その質問にはもう慣れましたの」

 

初春「最初に聞かれた時はしばらく考え込んじゃいましたもんね」

 

黒子「お黙りなさい、初春‼︎」

 

初春「は、はい⁉︎」

 

 

黒子「っと気づけばもうこんな時間ですの、それではわたくしはお先にお暇しますの」

 

佐天「何か用事でもあるんですか」

 

黒子「えぇ。明日から数日の間、風紀委員の用事で会えませんから特売で食料を買い込む予定ですの」

 

黒子「情けないですが、そうでもしないとのたれ死んでしまいそうですので…」ハァ

 

黒子「待ち合わせの時間ですので失礼しますの、わたくしのお姉様、また後で」シュン

 

美琴「いつからあんたのになったのよ‼︎」

 

初春「行っちゃいましたね」

 

佐天「白井さんははああ言うけど、デートの約束みたいにも見えるんだけどなー」ウ-ン

 

 

とあるスーパー

 

ホンジツノタイムセ-ルハコレニテシュウリョウデス

ワイワイ ガヤガヤ

 

 

上条「ふ、不幸だ…」ドサッ

 

上条「あいつらにあることないこと言われ、小萌先生に問い詰められ、誤解を解くのに時間がかかって…」

 

上条「着いたと同時に月一の大型タイムセールも終わった…」

 

上条「明日からどうすれば…」ガクリ

 

 

黒子「おやおや、だいぶお困りみたいですのね」

 

上条「ん、って白井…っ、その荷物は⁉︎」

 

黒子「あぁ、これですの。これは、た・ま・た・ま、そこのスーパーのタイムセールで買った品々ですの」パンパンノフクロ

 

上条「な、なぁ、白井さん、実を言うとこの私めはタイムセールに間に合わずですね……」

 

黒子「それは可哀想に。ですが、わたくしも必要なものですからねぇ」フクロミセビラカス

 

上条「嘘つけ⁉︎ なんで常盤台の寮生がこんな庶民のスーパーのセール品が必要なんだよ⁉︎」

 

黒子「さぁ? なんででしょうねぇ~。それにしても重い荷物ですこと。こんな重いの誰かに譲ってもいいかと思っておりますがぁ」ニヤニヤ

 

上条「な、なぁ、その…金は払うから上条さんにそれは譲ってはくれないでしょうか?」

 

黒子「そいですわねぇ、譲ってもいいですが頼み方がありますよね?」ニヤニヤ

 

上条「お願いします‼︎ この貧乏人の上条さんにそれを譲ってください‼︎」アタマヲサゲル

 

黒子「…よく公衆の面前で高校生が中学生に頭を下げられますわね」

 

上条「お前がやらせたんだろう⁉︎」

 

黒子「まぁ、そうですが…プライドはないんですの?」

 

上条「プライドじゃお腹は膨らみませんことよ。って事でこの袋を」テヲノバス

 

黒子「ダメですの」ヒョイ

 

上条「なんでだよ。ちゃんと誠心誠意お願いしただろ」

 

黒子「忘れてはおりませんの? 昔から言っておりますわよね、お願いする時の頼み方」

 

上条「げっ…。まじかよ、それこそ公衆の面前ですることじゃない気が」

 

黒子「まぁ、わたくしはどっちでもいいのですが。それに、プライドじゃお腹は膨れないんじゃなくて?」

 

上条「いや、でもなぁ…」ウ-ン

 

黒子「さぁて、どうしますの? わたくしもそろそろ帰ろうかと思っておりますがぁ」ニヤニヤ

 

 

上条「あぁ、わかったよ‼︎ 黒子姉ちゃん、お願いします‼︎」

 

黒子「うん、よろしいですの」ニコッ

 

上条「はぁ、まさかこれを言わせる為だけに常盤台のお嬢様が庶民のスーパーで買い物をしたのか?」

 

黒子「別にそう言うわけではありませんが、まぁ、ついでですの。どうせ買えないだろうってのはわかっていましたので」

 

上条「お見通しってわけかよ」ハァ

 

黒子「そりゃ、何年も幼馴染をやっていますし、大体わかりますの。それに、お母様からもよろしくと言われてますし」

 

上条「え? もしかして俺の母さん?」

 

黒子「えぇ、前に電話で少し会話しまして。その時のよろしくと頼まれましたの」

 

上条「年下に任されるほど上条さんは頼りないんでしょうか…」

 

黒子「頼りになると思っていたのですか?」

 

上条「ふ、不幸だ…」ガクリ

 

 

黒子「さてと、私はもう行きますの。ついでにこの荷物は冷蔵庫に入れてあげますの」

 

上条「あっ、悪いな。とにかく、本当に助かった。これで暫くは生きていけそうだ」

 

黒子「少しは崖っぷちじゃない生活をしなさいな。明日から数日わたくしはいないというのに心配ですの」ハァ

 

上条「あれ、そうだったか?」

 

黒子「風紀委員の仕事が立て込んでいるのでって言ったではありませんか」

 

上条「あぁ…なんか大変だな」

 

黒子「別に、好きでしていることですので」

 

上条「そうか、頑張れよ」

 

黒子「言われなくとも。では行きますが…この場はすぐ離れたほうがいいと思いますの」シュン

 

上条「行ったか…。ん、離れたほうがいい?」マワリミル

 

 

イマアノオトコネエチャンッテ

アッチノホウガトシウエジャナイノカ?

アノフクトキワダイノダッタヨネ 

ドウイウプレイッテワヨ

 

 

上条「忘れてた⁉︎ ふ、不幸だああああああ⁉︎」タタタタッ

 

ついでにこの日大量に買った食材を謎の停電により全てダメになるのであった

 

 

時系列は一気に飛んで、上条さんが神裂にボコボコにされ3日寝込んだ後

 

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禁書目録記憶消去の期限日

 

とある公園

 

上条「どうすればいいんだ…今日でインデックスの記憶を消さないと…インデックスは」

 

上条「だけど、本当にそれでいいのか?」

 

上条「インデックスもあいつらもそれを望んでなんかない…だったら」

 

黒子「やっと見つけましたの。まったく、今までどこに行っていましたの」

 

上条「白井…どうしてここに?」

 

黒子「どうしてと言われても…探していたからとしか言いようがないですの」

 

黒子「ここ数日、寮の放火や、建物倒壊事件等ありましたが…そのボロボロの様子だと無関係ってことはないですわね」

 

上条「…風紀委員には関係のないことだよ…」

 

黒子「風紀委員として聞いているわけじゃありませんが…」

 

上条「兎に角、俺は…大丈夫だから」

 

黒子「……こっちを見なさい」グイッ

 

上条「な、なんだよ」

 

黒子「何年幼馴染やってると思っておりますの。大丈夫か大丈夫じゃないかくらい顔を見ればわかります」

 

黒子「今自分がどんな顔をしているかわかっておりますか?」

 

上条「わかんねぇよ…」

 

黒子「あの時と同じ悲しそうな目をしてますの」

 

上条「っ⁉︎」

 

黒子「また全部背負いこもうとしておりますわよね」

 

上条「…そんなこと…」

 

黒子「もう一度聞きます、何がありましたの?」

 

 

上条「……俺じゃ…救えないんだ……」

 

上条「…どうすればいいか…何をすべきか…誰が正しいのか…全然…わかんないんだ…」

 

上条「…俺は……俺は…」

 

黒子「1人では…そうかもしれませんわね」

 

上条「……だけどっ⁉︎」

 

黒子「だったら頼りなさい」

 

黒子「あの時のこと忘れましたの? 1人で泣いていたあなたに言った言葉」

 

上条「…っ」

 

黒子「わたくしの前では泣いてもいい、わたくしの前でくらい弱音を見せてもいい」

 

黒子「1人で駄目なら力はいくらでも貸しますの。2人なら救えるかもしれませんわよ」

 

黒子「それで、どうしますの?」ウデサシダス 

 

 

上条「…助けてくれよ、黒子姉ちゃん…」ガシッ

 

黒子「もちろんですの、当麻」

 

カクカクシカジカ

セツメイチュウ

 

黒子「一年周期で記憶を消去しないと脳がパンクする、その期限が今日…信じられない話ですわね」

 

上条「確かに魔術とか信じられないかもしれないが、あいつらは今までそうやって来たって…」

 

黒子「そこじゃないですの。脳パンクするって部分ですの」

 

上条「え?」

 

黒子「完全記憶能力があるとは言え、脳が圧迫されて死ぬなんてあり得ないですの」

 

上条「そうなのか⁉︎」

 

黒子「では聞きますが、世界には他にも完全記憶能力の持ち主はいますが、その方たちは毎年記憶をリセットしていると。そんな事例聞いたことないですの」

 

上条「それなら、なんであいつらは」

 

黒子「裏があるかもしれませんわね。それこそ魔術的な何かが体に仕組まれてるとか…」

 

上条「いや、待て…俺の右手で触ったけどそんな感覚はなかったけど」

 

黒子「右手で触れられない場所にあるとかでは? …例えば、口内とか?」

 

上条「そうか。ってことはもしその話が本当なら、その魔術さえ打ち消せば」

 

黒子「救えますわね、全員」

 

上条「だったら急がねぇと。もう、時間がない」ダッ

 

黒子「あっ、待ちなさい。わたくしも行き」プルルルル

 

黒子「こんな時に誰ですの‼︎ はい、初春ですの? 今はそれどころじゃ、え、通報があった、あぁ、もうっ、すぐに向かいますの‼︎」ピッ

 

 

黒子「当麻‼︎ いいですの‼︎ すぐに行きますからわたくしがいくまで待ちなさい‼︎ わかりましたね‼︎」

 

ーーーー

ーーーーーー

ーーーーーーーー

 

戻った上条当麻が自動書記を破壊

頭上から無数の羽が舞い落ちる

 

自動書記「…再生不可…」

 

上条「やった、これで…」

 

神裂「上条当麻‼︎ この羽一枚一枚が聖ジョージのドラゴンの一撃と同等です、逃げてください!!」

 

上条(…インデックスは守れた。だけどこのままじゃインデックスまで…結局俺は…)

 

上条「っ⁉︎ インデックス‼︎ ってぐはっ⁉︎」ケリトバサレル

 

 

黒子「…まったく、いつまで経っても姉の言いつけを守らない弟ですの」

 

上条「いたっ、ぐはっがはっ⁉︎」ゴンゴロゴロドンタガン

 

神裂「上条当麻、大丈夫ですか?」

 

上条「いたたっ…顔を蹴られた…って、インデックスは⁉︎」

 

黒子「ここですの。まぁ、眠ってるみたいですが」

 

禁書目録「スースー…」

 

上条「良かった…助けられたんだな」

 

黒子「よくはないですの。待てといったのにあなたの耳は何のために付いてますの‼︎」ミミヒッパル

 

上条「ちょっ痛い痛い痛いって⁉︎ 上条さんは病み上がりなんだけどぉ⁉︎」ジタバタ

 

黒子「数日間連絡つかなかったことや、今回のことといい、わたくしをなんだと思っておりますの‼︎」

 

上条「悪い悪い悪かったてぇ⁉︎ 白井さん、上条さんが悪うございましたああああ⁉︎」ジタバタ

 

黒子「何か足りないのでは⁉︎」

 

上条「黒子ねえちゃああああん‼︎」ジタバタ

 

黒子「ふん……。無事で良かった、間に合って良かったですの」ダキシメル

 

上条「ごめん…黒子姉ちゃん」

 

黒子「謝らなくてもいいですの。ただ今度同じようなことがあったら相談して欲しいですの」

 

上条「善処するよ…」

 

黒子「何を政治家みたいなこと言ってますの、まったく…」

 

上条「ははっ……ありがとう」

 

 

ステイル「やれやれ、あんな事があったのに騒がしい連中だ」

 

神裂「ですが、彼らには大きな借りができてしまいましたね」

 

 

数日後

 

 

禁書目録「ついんてー、ご飯まだー」

 

黒子「早く食べたいなら、あなたも手伝いなさい。あっ、やっぱいいですの」ジュ-ジュ-

 

禁書目録「むー、なんだか今失礼な事考えた気がする」

 

上条「あー、前に洗濯機が大変なことになったもんなー」

 

禁書目録「あ、あれはたまたまなんだよ⁉︎ 今度はきっと」

 

黒子「後始末をしたのはわたくしなんですから、出来るようになってから言いなさい」ジュ-ジュ-

 

禁書目録「むぅー、とうまー」

 

上条「あぁ、インデックスも落ち着けって、もう出来るからさ」ゴハンモル

 

 

黒子「それにしても、まさか当麻が彼女を預かることになるとは」

 

上条「あー、まぁ、俺が勝手に助けたようなもんだしなー」

 

黒子「お陰でわたくしは毎回様子を見にくるので大変ですの」ハァ

 

上条「だったら、来なきゃいいだろ」

 

黒子「そしたら2人とも餓死しそうなので、余計に心配ですの」

 

上条「いや、そんなことは…」

 

黒子「……食材を全部腐らせた男が言いますか?」

 

上条「あれは俺じゃなくて…ビリビリのせいで」

 

禁書目録「ねー、まーだー」

 

黒子「はいはい、もうできますの。まるで弟の他に妹ができたみたいですの」

 

上条「上条だんはいつまでも弟扱いかよ」

 

黒子「嫌だったらそう思わせないように行動なさい」

 

上条「はぁ…不幸だ」

 

 

黒子「わたくしが幼馴染なのがそんなに不満ですの?」

 

 

 

 

 

 

 

元スレ

上条「不幸だ」黒子「私が幼馴染なのがそんなに不満ですの?」

http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1507722795/

 

御坂「す、好きになっちゃったのよ!///」 上条「はぁ!?いったいどういうことだよ!」【とあるss/アニメss】

 

黒子「お姉様ー!!見てください!これ!」 

 

御坂「なによ、それ」 

 

黒子「恋の香水でございますわ!」 

 

御坂「うっわぁ、胡散臭、あんたそんなのどこで手に入れたのよ」 

 

黒子「今朝わたくしのベッドに置いてありましたのです!」 

 

御坂「はぁ!?怪しすぎでしょ」 

 

黒子「大丈夫ですわ、しっかりと検査には出しましたわよ」

 

御坂「でも」 

 

黒子「説明書によると自分と意中の相手に香水をかけたら効果が現れるみたいですわ」シュッ 

 

御坂「黒子、なんで自分に付けてるのよってまさか」 

 

黒子「お姉様、ちょっとそこにじっとしてて下さいまし、グへへ」 

 

御坂「ちょ、あんたやっぱり!」 

 

黒子「グへへ、別にお姉様にもかけてお姉様と両想いになって結婚しようだなんて思ってませんわーーー!!!」 

 

御坂「わー!こっち来んなー!!」ダッー! 

 

黒子「逃がしはしませんわー!!」ダッー!

 

 

御坂「はぁはぁ、ここまで逃げたら、なんとか、巻いたでしょ」 

 

黒子「お姉様ー!!!わたくしから逃げられるわけないでごさいますわー!!!」ダッー! 

 

御坂「ちょっ、もうしつこすぎ!」ダッー! 

 

御坂「ん?」 

 

御坂「(前方から誰か走ってくる、あいつは…)」

 

 

上条「だぁー!インデックス!いつまで追いかけてくるんだぁ!」ダッー! 

 

インデックス「とうまが悪いんだよ!とうまが勝手に私がずっと楽しみにしてたプリンを食べるから!」ダッー! 

 

上条「食べたのは俺じゃねぇ!スフィンクスだぁー!」ダッー! 

 

インデックス「そんな嘘が私に通用すると思うなんてとうまはまだまだ甘いんだよね!」ダッー!

 

 

御坂「(あいつ、またあのシスターと)」 

 

黒子「お姉様ー!!逃がしませんわー!!」ダッー! 

 

御坂「黒子!今はそれどころじゃ!」 

 

上条「だぁー!いい加減にしてくれー!」ダッー! 

 

インデックス「あっ!とうまー!前見てー前!!!」 

 

上条「えっあっ、御坂!てかぶつかr」ダッー! 

 

御坂「全くもう!」ジャンプ! 

 

上条「うお!俺を飛び越えやがった!でも取り敢えず助かっt」ダッー! 

 

黒子「お姉様―!!!!」ダッー! 

 

バーーーーン!!

 

 

黒子「いたた、誰かとぶつかりましたわってあら」 

 

黒子「恋の香水の蓋が!」 

 

黒子「あっ…」 

 

上条「いてて」 

 

御坂「ちょっと、あんた達大丈夫?」 

 

インデックス「とうまー大丈夫なの?」 

 

上条「あぁ、無事だけど、なんかびしょ濡れなんだが、なんだこれ、香水か?」 

 

御坂「あっ!まさか」

 

 

御坂「黒子!あんた!」 

 

黒子「…上条様、でしたわよね」/// 

 

上条「えっあ、はいあんたは白井さんだっけ…大丈夫か?」 

 

黒子「大丈夫でございますわ…それよりわたくしの事は黒子とお呼びくださいませ…上条様…///」 

 

御坂「う、嘘でしょー!!」

 

御坂「ま、まさかこんなことになるなんて…」 

 

黒子「うふふ上条さん…腕がふとましくて立派ですわ~」スリスリ 

 

上条「お、おい御坂!これいったいどういうことだよ!」 

 

御坂「あんたが黒子の香水を浴びたせいで!黒子があんたにその…//」 

 

上条「その…?」 

 

御坂「す、好きになっちゃったのよ!///」 

 

上条「はぁ!?いったいどういうことだよ!」

 

御坂「知らないわよ!!そもそもなんであんたがあんな所で走っていたのよ!」 

 

上条「それh」 

 

黒子「上条様~わたくしの事を無視しないで下さいまし~」スリスリ 

 

上条「ちょ!左腕に顔スリスリするな!」 

 

御坂「ちょっと黒子!そいつから離れなさいよ~!!」ムキー

 

インデックス「ちょっととうま!私だけ蚊帳の外ってひどいんじゃないかな!?」 

 

インデックス「そもそもとうまが私の 

プリンを食べたことについてまだ言及してないんだけど!!」 

 

御坂「黒子~!!」 

 

黒子「上条様~//」 

 

インデックス「とうまー!!!」 

 

上条「あーもう不幸だァー!!」

 

上条「とにかく白井さん、左腕から離れてくれ!」 

 

御坂「そうよ!黒子離れなさい!離れないと電撃くらわすわよ」ビリビリ 

 

上条「お、おい御坂、それしたら俺も」 

 

黒子「あらあらお姉様、もしかして嫉妬していらっしゃるのかしら?」クスクス 

 

御坂「...」イラッ 

 

御坂「黒子ぉ!」ビリビリ!! 

 

黒子「んふふ、瞬間移動!」シュン 

 

上条「ぎゃぁぁぁぁ!!!」 

 

御坂「チッ!黒子どこにいったの!?」

 

黒子「ここですわ…」シュン 

 

上条「おわ!次は右腕に!?」 

 

黒子「んふふ…もう一生離しまs」ギュッ 

 

黒子「ってあら…?」

 

 

黒子「な!な!な!なんでわたくしが類人猿ごときに抱きついているのですか!?」バッ! 

 

上条・御坂「えっ?」 

 

黒子「キャー!上条様~///」ギュッ 

 

上条・御坂「はい!?」 

 

黒子「だから何故!?」バッ! 

 

黒子「上条様~///」ギュッ

 

 

上条「まさか俺の幻想殺しが発動してるのか?」 

 

御坂「ちょっといったいどういうことよこr」 

 

インデックス「おーーい!!とうまー!!連れてきたよー!!」ダッー! 

 

上条「お!インデックス!やっと来たか!」 

 

インデックス「ファミレスなんでも奢るっていうの忘れないでよね!」 

 

土御門「おっすカミや~ん、いきなりどうしたんだぜよ」 

 

上条「土御門!よく来てくれた!実はあーでこーで!」

 

 

土御門「なるほどねぇ~んでその香水をつけた女の子ってのはどこにいるんぜよ?」 

 

上条「あれ?そう言えばいない、なぁ御坂どこに行ったか分かるか」 

 

御坂「知らないわよ、黒子は瞬間移動出来るんだからどこに行ったとかジャジメントの初春とかに聞かないと分かるわけないわよ」 

 

土御門「ほほーう、あんたがカミやんが言ってたビリビリの姉ちゃんかぁ~」 

 

御坂「な、なによあんた」 

 

土御門「いや~別に~あ、そうだカミやん」

 

土御門「その恋するなんちゃらの効果だけどカミやんの右腕なら打ち消せるぜよ」 

 

上条「やっぱりか…」 

 

土御門「後、容器見さしてもらった時気づいたんだが、これは魔術側ぜよ」 

 

上条「魔術!まさかまたインデックスを狙って」 

 

土御門「真意は分からん。けどこれは人の好意を使って悪用する夢魔とよく似てる」 

 

上条「…」 

 

 

土御門「その証拠にカミやんの幻想殺しが反応した」 

 

上条「でも1度触れてるのに幻想殺しから離れるとまたその恋の状態になってたぞ」 

 

土御門「カミやん、恋ってもんは永続ぜよ、幻想殺しに触れてる時は効果が消されても、離れるとまたその恋心を通じて発動する」 

 

上条「土御門、どういうことだ」 

 

土御門「簡単な話、カミやんがその子に右手で触れてる時はその子は正常、だが右手から離れた瞬間にまたその魔術が発動してしまってことだ」

 

 

御坂「ちょっとあんた達、何こそこそ喋ってるのよ」 

 

インデックス「とうまー!!ヒロインの私を置いてけぼりにするなんてひどいんじゃないかな!?」 

 

黒子「上条様~!!」シュン 

 

御坂「あ!黒子あんたね!」 

 

黒子「上条様~!!コレ見てくださいまし~!!!」 

 

上条「なんだこれ…ってなっ!!」 

 

上条「婚姻届だとー!!」 

 

御坂「はぁー!!!!?」 

 

土御門「これは面白くなってきたぜよ」ニヤニヤ

 

上条「お前!これ!」 

 

黒子「婚姻届でございますわ~!!」 

 

御坂「く、黒子!!あんた勝手に何やってるのよ!」 

 

黒子「もう手続きはすましてありますわ!」 

 

インデックス「とうまとうま!私にファミレス奢る約束は!?奢るまで結婚なんて許さないんだからね!」 

 

上条「どうしたらいいんだよー!」 

 

土御門「カミやんカミやん」 

 

上条「土御門!この窮地なんとかしてくれ!」

 

 

土御門「カミやんはこのお嬢さん方の中で誰と結婚したいんぜよ?」 

 

上条「てめー!土御門!裏切りやがったな!」 

 

御坂「そ、そうよ!あんたが黒子と結婚したいだなんて一言も言ってないんだから結婚はなし!」 

 

黒子「そんなの上条様はわたくしと結婚したいに決まってますわ!」 

 

インデックス「とうまー!お腹空いたー!!ファミレスー!!」ギリギリ

 

 

土御門「皆がひとりずつカミやんとデートってのはどうぜよ?」 

 

上条「おいてめー!」 

 

御坂「デ、デート!!?」 

 

土御門「んで、デートした女性の中でカミやんが1番いいなと思った人が結婚できるぜよ」ニヤ 

 

御坂「な、なるほど、そういうことなら仕方ないわね///!」 

 

黒子「いいですわ、わたくしが一番って証明して見せますわ!」 

 

インデックス「おーなーかすいたー!!」ガブ 

 

上条「ぎゃぁぁぁぁ!!!」 

 

上条「不幸だぁぁぁ!!!」

 

 

デート1日目-インデックス- 

 

 

インデックス「デート、デート!とうまとデート!!」 

 

上条「はぁなんでこうなるのか」 

 

インデックス「むふふー」 

 

上条「はぁ不幸だ…」

 

 

ファミレス内 

 

 

インデックス「これとこれと、後これも!!」 

 

上条「はぁ、結局いつも通りじゃないか」 

 

店員「以上でよろしいですか?」 

 

インデックス「うん、大丈夫だよー!」 

 

上条「なぁインデックス、お前の10万3千冊の魔導書の中に夢魔に関することはないのか?」

 

インデックス「あるにゃもぐもぐあるけどもぐもぐ」 

 

インデックス「あの魔法はごくん時限式だから強制的に解除はオススメしないよもぐもぐ」 

 

上条「ん?どういうことだ?」 

 

インデックス「時限式魔術の利点はもぐもぐ強制解除は難しいけどもぐもぐ名前の通り時間が制限されてるんだごくん」 

 

インデックス「だからある程度の時間が経てば勝手に術式が解けちゃうの」 

 

インデックス「私なら術式を分解出来るけど術をかけられた人に後遺症とか残る可能性があるからだからオススメはしないんだよ」

 

上条「そうなのか…」 

 

インデックス「まぁ、もぐもぐあれくらいならもぐもぐ数日で効果が切れると思うからもぐもぐ大丈夫だと思うけどねごくん」 

 

上条「はぁ…不幸だ…」 

 

店員「ありがとうございましたー」 

 

インデックス「今日はごちそうありがとうね!とうま!」 

 

上条「俺の財布が…不幸だ…」

 

 

デート2日目-御坂美琴

 

 

御坂「あ、いたいたおーい!」 

 

上条「はぁ今日は御坂か…」 

 

御坂「なによそれ!私とデート出来るんだからもっと喜びなさいよ」 

 

上条「わーいわーい」 

 

御坂「あんたねぇ」ビリ 

 

上条「じょ、冗談だって!」 

 

上条「それより、今日はどこに行くんだ?」 

 

御坂「んふふ~それはね~」

 

 

遊園地 

 

 

上条「遊園地!?」 

 

御坂「そう!実はね!この遊園地今ゲコ太君とコラボ中なんだ~!!」 

 

御坂「あっ!見てみて!さっそくゲコ太君がいる!」 

 

御坂「ほら!一緒に写真撮るわよ!!」 

 

上条「お、おい」 

 

御坂「早く来ないと置いてくわよー!」

 

 

御坂「ねね!さっそくあれ乗ろ!」 

 

上条「げっ、ジェットコースターか…」 

 

御坂「なによ、あ、あんたもしかして怖いの?」ニヤニヤ 

 

上条「そ、そんなわけあるか!」 

 

御坂「あはは、あんたそれでも男なの~?」 

 

上条「(前にジェットコースターに乗ったとき、安全レバーが俺だけ外れて死にそうになったからなぁ)」

 

 

御坂「おっ!1番前じゃん!」 

 

上条「マジか、嫌な予感しかしないんですけど」 

 

御坂「はいこれ」 

 

上条「ん?カッパ?」 

 

御坂「このジェットコースターは最初水に飛ぶ込むからカッパ着ないといけないのよ」 

 

上条「マジかよ」 

 

御坂「ほら!後がつかえるから早く着て乗って乗って!」 

 

上条「はいはい」 

 

上条「(カッパもゲコ太君なんだな)」

 

 

店員「いってらっしゃいー!!」 

 

上条「どうか死にませんように」 

 

御坂「あんたそんなに怖いわけ?」ガタガタガタ 

 

上条「だから違うって!」ガタガタガタ 

 

御坂「ま、まぁその//いやいやでも乗ってくれてありがとうっていうかその嬉しいっいうかその///」

 

 

上条「なぁ御坂...」ガタガタガタ 

 

御坂「な、なに!?////」ガタガタガタ 

 

上条「カッパ...飛んでいったんですけど...」 

 

御坂「えっ...」ビューン 

 

上条「いやぁぁぁぁぁぁ不幸だぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」ビューン

 

 

ザップァーーーン

 

 

御坂「はい、替えの服」 

 

上条「ああ、ありがとう... 」 

 

御坂「あんたお金もないなんてどういうことよ全く!」

 

 

遊園地-喫茶店

 

 

御坂「あんた、明日は黒子でしょ」 

 

上条「ん?ああ」 

 

御坂「どうすんのよ」 

 

上条「どうするもなにもなー」 

 

御坂「このままだと本当に黒子と結婚することになるわよ」 

 

上条「流石に大丈夫だろ」

 

御坂「あんたねぇ、あーゆー状態になった黒子は何するか分からないのよ」 

 

御坂「現に勝手に婚姻届作ってたじゃない」 

 

上条「つってもなぁ、俺あんまりアイツのことしらねぇし」 

 

御坂「はぁ、明日は私も後ろからこっそりついてってあげるから、いざって時は任せなさい」 

 

上条「おう、頼りにしてるぜ」 

 

御坂「か、感謝しなさいよね///」ボフッ

 

 

デート3日目-白井黒子

 

 

上条「はぁ」 

 

黒子「上条様~!!」シュン 

 

上条「うわ!瞬間移動」 

 

黒子「黒子はこの日を待ちわびていましたわ~」すりすり 

 

上条「きゅ、急に抱きつくなって!」 

 

黒子「だってだって~」 

 

上条「…」 

 

ーーーーーーーーーーーー 

 

昨日 

 

御坂「もし身の危険を感じたらすぐに右手で触れなさいよ!」 

 

御坂「さもないとどうなるか分かってるわよね?」ビリビリ

 

上条「はぁ」チラッ 

 

御坂「...」コソコソ 

 

黒子「ではさっそく向かいますわよ」 

 

上条「お、おう?どこに行くんだ?」 

 

黒子「もちろんー結婚式場ですわ!」 

 

御坂「は!?」ガタッ 

 

上条「えっ!?」

 

黒子「もう既に予約はとってありましてよ!」 

 

御坂「ちょっっと待ったぁぁぁぁ!」 

 

黒子「出ましたわね!お姉様!今日は絶対に邪魔してくるって気がしてましたわ!!」 

 

御坂「黒子!デートで結婚式するなんて反則でしょ!」 

 

黒子「そんなもの結婚した者勝ちですわよ!」

 

 

黒子「お姉様から逃げますわよ!」ダッダッダッ 

 

上条「ちょ、うわ!腕引っ張んなって」ダッダッダッ 

 

御坂「ちょっと!待ちなさいよ!あんた達!」ダッー! 

 

御坂「いい加減に...しなさいっ!」ビリビリ 

 

上条「ヤバい!御坂さん!?それは俺にも被害が」 

 

御坂「問答無用っ!」ビリビリ

 

上条「うわっ!!」バッ! 

 

ギャォォォン!!!! 

 

上条「おい!今の絶対に俺を狙っただろ!」 

 

御坂「うっさい!あんたも同罪よっ!」ビリビリ!

 

黒子「上条様!しばしの間失礼しますわ!」シュン 

 

上条「えっ」 

 

御坂「黒子が消えた!くっどこに言ったのよ黒子!」 

 

黒子「ここですわ!」シュン 

 

御坂「なっ!後ろ!?」 

 

黒子「お姉様には悪いですけど、お姉様を瞬間移動させてもらいますわ!」ダキッ 

 

御坂「し、しま!」 

 

黒子「瞬間移動!」シュン

 

 

上条「いったいどうなったんだ?」 

 

シュン 

 

黒子「さぁ上条様、おじゃま虫は消えたので結婚式場へ向かいましょう!」 

 

上条「ちょ、ちょっと待て!白井!」 

 

黒子「はい?」 

 

上条「(幻想殺しで一時的に術を解除するしか…)」グッ 

 

上条「…」スッ 

 

黒子「…」サッ 

 

上条「!?」

 

黒子「黄色い殿方がおっしゃってましたわね、上条様の右手には何か力を打ち消す様なものがある...と」 

 

上条「(土御門との話を聞かれてたのか!?)」 

 

黒子「一応本当か試してみましたけれど残念ながら瞬間移動は出来ませんでしたわ」 

 

黒子「ささ、そんな事より早く結婚式場に向かいますわよ」 

 

上条「(どうしたら)」

 

上条「(くそどうする、まさか御坂が失敗するとは思ってなかったし、土御門やインデックスに連絡するか)」 

 

上条「(いや土御門はそもそもこのデートの主犯だから余計厄介な事になる、ならインデックスだがあいつに出来ることなんて...)」 

 

黒子「着きましたわよ!」 

 

上条「(しまった!もうついてしまったのか!?)」 

 

上条「ってあれ!ここは!?」

 

 

一方御坂美琴 

 

 

御坂「ここは常盤台の学生寮!?黒子の奴っ!」 

 

御坂「チッ!どうしたら」 

 

御坂「あっ!」 

 

御坂「そうだ!」ピポパポ 

 

御坂「あーもう早く出なさいよ」プルルルルル 

 

携帯「ガチャ」 

 

初春「はいー!ジャジメントの初春ですー!」

 

御坂「あ、もしもし初春?私なんだけど今すぐ黒子の居場所を教えて!早く!」 

 

初春「ふぇ!?あっはい!」カタカタカタカタ 

 

御坂「黒子の奴!あいつと勝手に結婚だなんてさせないんだからね!」 

 

 

初春「御坂さん!黒子さんの居場所分かりました!」 

 

初春「今データを送ります!」 

 

御坂「おっけー!サンキュ!」ブツっ 

 

初春「あのー!いったい黒子さんなにをs」ブツっ 

 

初春「切れちゃった」ツーツー 

 

御坂「十字教教会...?聞いたことないわね」ダッダッ

 

 

十字教教会 

 

ステイル「上条当麻、汝は白井黒子をいついかなる不幸の時も愛すると誓いますか?というより誓え」 

 

上条「おいステイル!体に巻いてる縄をほどけ!何が誓えだふざけんな!」 

 

上条「そもそもいったいなんで俺は椅子の上に縛られてるんだ!なんでこいつらがここにいるんだよ!!」 

 

土御門「カミやん、ここは神聖な教会ぜよ、当然結婚式場でもあるわけよ」 

 

上条「土御門!てめぇの仕業だなこの野郎!」

 

ステイル「うるさいぞ上条当麻!」 

 

ステイル「おほん」 

 

ステイル「白井黒子、汝はいついかなる上条当麻の不幸の時も上条当麻を愛すると誓いますか?」 

 

黒子「誓いますわ」 

 

上条「おい!土御門!そこで見てないで助けてくれ!」ガタ 

 

土御門「まぁーまぁーカミやん?せっかくの結婚式なんだし楽しむぜよ」ニヤ

 

ステイル「いい加減にしろ上条当麻、貴様が結婚したらインデックスは君の所には居られず必然的に僕の所に来なければならない、そうすれば僕もインデックスと結ばれて無事ハッピーエンドなんだよ!」 

 

上条「うるせぇ!私欲に塗れてるじゃないかこの淫乱神父!」 

 

ステイル「では誓いのキスを」 

 

黒子「んふふ、上条様!誓いのキッスをしますわよ~」 

 

上条「ちょっとまて!マジでまってくr」

 

 

バーーーン!!! 

 

 

御坂「そこまでよ!」 

 

上条「御坂!!」 

 

御坂「黒子!いい加減にしなさい!そいつと結婚なんて私が許さないんだからね!」 

 

黒子「お姉様!性懲りもなく来ましたわね!」 

 

黒子「でももう遅いですわ!誓いのキッスさえ済ましたら私たちは無事結婚ですわ!」 

 

御坂「させるかーー!!!!!」ビリビリ!!! 

 

上条「あれ?ちょっと美琴さん?それでは身動きの取れない上条さんは避けられないのでh」 

 

黒子「チッ!」シュン

 

上条「ぎゃぁぁぁぁ!!!」 

 

黒子「ふっ!当たりませんわ!」シュン 

 

御坂「くっ!」 

 

御坂「(何か...黒子を一瞬でも止める何かが)」 

 

上条「ふ、不幸だ...」ボロボロ 

 

御坂「!」 

 

御坂「じゃあこれはどう!?」グググ 

 

上条「み、御坂さん!?御坂美琴さん!?どうして上条さんを持ち上げてるんでしょうか?」

 

御坂「どぉぉぉぉりゃゃゃゃゃゃ!!!」ポイッ! 

 

上条「うわぁぁぁ投げるなぁぁぁぁ」 

 

黒子「上条様!?」ガクッ 

 

黒子「あ、れ?体が動か...ない!?」 

 

御坂「あれ!?黒子!?なんで助けにいかないの!?」 

 

土御門「ありゃー予想より早く切れたにゃー」 

 

ステイル「ちっもう少しだったものを」

 

 

黒子「…あれ?わたくしなんでこんな所にいるのでしょうか?」 

 

黒子「ていうかなんでドレス!?」 

 

御坂「黒子!?あんた元に戻ったわけ!?」ダッダッダッ 

 

黒子「お、お姉様!?これはいったいどういうことなのですか!?」 

 

黒子「はっ!まさか!お姉様遂にわたくしと結婚を...!」 

 

御坂「はぁ効果が切れたみたいね...」 

 

上条「助けてくれぇぇぇぇぇ!!!」 

 

御坂「あっ!忘れてた!」 

 

 

上条「ぎゃふん」ボキッ! 

 

上条「ふ、不幸だぁ…」ガクッ 

 

 

ピーポーパーポー

 

 

後日 

ーー病院ーー 

 

カエル先生「はぁ、君ってここの病院が好きなんだね」 

 

上条「好きで入院してるわけじゃないんです…」 

 

カエル先生「まぁ君は頑丈だから、大事に至らなかったし、すぐに退院出来るよ」 

 

上条「ありがとうございます」

 

カエル先生「ではまたね」ガラガラ 

 

上条「(結局、恋の香水は三日で効果が切れるみたいだった)」 

 

上条「(土御門曰くあれは魔術側の資金が足りなかったから資金調達がてら作っていた物らしい)」ガラガラ 

 

上条「(だがあまりにも強力だったため製品化は中止、残った試作品を誰かが盗み白井黒子に渡したようだった)」 

 

上条「(いったい誰が白井黒子に渡したのかはまだ分かってないが)」 

 

上条「まぁ結局はなにも変わらなかったし結果オーライだな!」

 

インデックス「よくないよ!」 

 

上条「インデックス!?いつの間に!」 

 

インデックス「とうま、とうまが最後のデートに行ってから私とスフィンクスはね冷蔵庫には食べ物もなくお金もなく、どうしようもなくて餓死寸前だったんだよ?」 

 

上条「そ、それは、入院するぐらい壮絶な戦いがあったのでして」 

 

インデックス「とうま...」ギリギリ 

 

上条「イ、インデックスさんその噛み付くのだけは」 

 

インデックス「問答無用っ!」ガブッ! 

 

上条「だぁぁぁぁぁ!!!不幸だぁぁぁぁぁぁ!!!」 

 

 

 

 

 

 

 

 

元スレ

御坂「結婚おめでとう、上条黒子さん」ニコッ 黒子「お、お姉さま・・・」ゴクリ

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