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風太郎「い、いつも自分でしてるのか? 」三玖「……してるよ///」2/2【五等分の花嫁ss/アニメss】

 

四葉の柔らかい手が俺の手をぎゅっと握った。しっとりと汗ばんで、生暖かい。 

 

家には俺と四葉しかいなかった。止められるのは、俺の理性だけだ。 

 

風太郎(この解は微分方程式を用いて) 

 

風太郎(Xの場合分けは) 

 

四葉「ねぇ上杉さん……難しいこと考えていないで、楽になっちゃいましょうよ」 

 

風太郎「勉強だ、勉強に集中しろ。四葉も勉強に集中するんだ」ブツブツ 

 

風太郎(この上杉風太郎が性欲にまけて勉学を疎かにするなどあってはならないっ!) 

 

四葉「その計算間違ってませんか」 

 

風太郎「ぐっ……四葉に指摘できるレベルの間違いを……俺が…… 

 

四葉「だから一旦休みましょうって」 

 

風太郎「駄目だ。勉強に集中だ」 

 

四葉「上杉さんのケチー……あー、部屋暑いですね」ヌギッ 

 

風太郎「バカッ!脱ぐな!/// 

 

四葉「キャミソール姿になっただけじゃないですか。動揺しすぎですよ」 

 

風太郎(やばい。四葉を直視出来ない。というか、こんなに部屋広いのになんで隣にぴったり座って来るんだよ) 

 

風太郎(なんとか打開せねば) 

 

風太郎「勉強、勉強、勉強に集中だ」カリカリカリ 

 

四葉「もーっ、どうしてそんなにお固いんですか」 

 

風太郎「四葉、頼むから服着てくれ。その……目のやり場に困る」 

 

四葉「いいんですよ?じっくり見てくれても」 

 

風太郎「……悪いが、俺はお前の善意を踏みにじって欲望を解消したくはない」 

 

風太郎「こういうのは、好きな人同士でするべきだ」 

 

風太郎「悪いが、俺は…… 

 

四葉…… 

 

四葉「好きな人、いるんですね、上杉さん」 

 

風太郎「……」カリカリカリ 

 

四葉は今どんな顔をしているんだ?怖くて見れなかった。 

 

俺に出来ること。それは、無心に問題を解くだけだ。 

 

……

 

ノート2ページ分をひたすら無心に解き、硬くなっていた俺の股間もクールダウンしてきた。 

 

やはり勉強はいい。勉強は心を癒やしてくれる。 

 

ふと隣を見た。 

 

四葉はリボンを外していた。リボンを外した四葉と、あの子が被った。 

 

風太郎「……」ゴクッ 

 

四葉……上杉さん、私実は」 

 

ガチャッ 

 

二乃「ただいまー」 

 

三玖「フータロー?来てるの?」 

 

五月「まさか家の前でみんなとばったり会うとは」 

 

一花「あー、今日も疲れたー」

 

風太郎「お、おじゃましてます」 

 

四葉……/// 

 

三玖「ちょっと。なんか距離が近い」 

 

二乃「四葉、大丈夫?この獣に襲われなかったでしょうね?」 

 

四葉「だ、大丈夫だよー」 

 

風太郎(襲われそうになっていたのは俺がな!) 

 

一花「うーん、怪しい」 

 

五月「それじゃあ今日の夜から日曜日まで泊まり込みで勉強合宿ですね」 

 

三玖「早速、この問題教えて。フータロー」 

 

二乃「ちょっと、何当たり前のように隣座ってるのよ、三玖!」 

 

三玖「早いもの勝ち」 

 

ぎゃーぎゃー 

 

 

風太郎(騒がしくなったが、なんとか勉強出来る環境になりそうだ) 

 

風太郎(しかし、どういうつもりだ……四葉は) 

 

四葉「上杉さん。どうしても困ったら教えてくださいね。私、最後まであなたの味方ですから」 

 

四葉は耳元でそう囁いた。 

 

 

テスト当日。 

 

寝不足だ。最後まで、四葉の数字を透明にすることが出来ず、俺は悶々とした夜を過ごしていた。 

 

加えて、五つ子達への勉強の指導の負担。 

 

ここまで自分の勉強に十分に集中することが出来ずに迎えるテストは初めてだ。 

 

だが、俺には過去の積み重ねがある。この程度で泣き言を言っているようじゃ始まらない。 

 

ふいに襲ってくる勃起の波と戦いながら、俺はテストに挑んだ。 

 

 

結果発表。 

 

教師から渡された答案と点数を見て、俺は卒倒しそうになった。 

 

401点! 

 

1科目あたり平均80点!? 

 

嘘だと言ってくれ。これじゃあ学年トップどころか、学年10位以内も怪しいレベルじゃないか? 

 

というか、401点だと学年何位くらいだ?それすらイメージできないほどの点数だ。 

 

俺に、彼女たちの家庭教師を続ける資格はあるのか…… 

 

 

五月「上杉君?目の隈がすごいけど大丈夫ですか?」 

 

風太郎「五月か…… 

 

五月「そういえば、今日は結果発表でしたが、どうでした?」 

 

風太郎「ああ実は」 

 

五月「はっ!その手にはもう騙されませんよ!どうせ満点なのでしょう?危うく自慢されるところでした」 

 

風太郎(流石にこの点数だと自慢は出来ねーよ…… 

 

五月「そうそう、私の合計点数ですが」 

 

風太郎(直前の問題集の出来をみると赤点は大丈夫だとは思うが 

 

風太郎(もし、五月が俺の点数を超えてくるようなことがあれば) 

 

風太郎(その時、俺は……屈辱で死ぬかもしれん) 

 

風太郎(くそっ!素直に教え子の高得点を願えない、俺自信の弱さが悔しいっ……!) 

 

五月「150点でした」 

 

風太郎「ん?」 

 

五月「150点でした」 

 

風太郎「赤点」 

 

五月「赤点じゃない」 

 

風太郎「いやいや、赤点」 

 

五月「オール30点。赤点じゃない。ドゥー・ユー・アンダスタン?」 

 

風太郎「逆にすごいなお前!」 

 

五月「よく言われます」エヘヘ 

 

風太郎「馬鹿野郎!限りなく赤点に近い点数じゃないか!」 

 

五月「ですが、赤点は回避しましたよ?」ドヤッ 

 

風太郎「そんなんでいいのか、お前は」 

 

五月「いいわけないじゃないですか。でも、今回のテストは普段の実力を出せなかったというか」 

 

五月「心当たりは……我慢しすぎたと言うか」 

 

五月「言われた通り、あの日からずっと我慢していたんですが」 

 

五月「テスト中、全然集中できなくって」 

 

五月「今も……責任とってください!責任!」

 

風太郎(もし俺が普段どおりの点数だったら自己責任と一蹴出来たのだが) 

 

風太郎(俺の点数も過去最低点だったことを鑑みると、彼女に禁欲を強要したことが正しかったか自信が持てなくて) 

 

風太郎「…… 

 

五月「?」 

 

風太郎(まだわからない。他の姉妹の点数を……特に、禁欲しなかった、四葉の点数が知りたい) 

 

風太郎(こいつが赤点なら、禁欲の有用性が証明されるはずだ!禁欲した五月より点数が低いのだからなぁ!(錯乱)) 

 

風太郎(だがもし……こいつの点数が普段より高かったら…… 

 

風太郎(男・上杉風太郎、責任を取る覚悟だ) 

 

四葉「あれれー?五月に上杉さーん!テストどうでしたかー?」 

 

風太郎「四葉!お前の点数を教えろ!」 

 

風太郎(俺の指導が正しかったか、それがここではっきりする) 

 

四葉「190点でした。平均38点です」 

 

風太郎「フハハハ!いつも通りの四葉だ!」 

 

四葉「これでも少しは点数伸びたんですよ!褒めてください!」 

 

五月「私が……四葉に負けた……?」 

 

四葉「どれどれ、五月は……150点!?オール30点!これは逆にすごい!」 

 

五月「これやっぱりあなたの責任じゃないですか!普段どおりだった四葉が普段どおりの点数で、アレを禁止された私が、赤点スレスレで四葉以下ですよ!」 

 

五月「責任!責任!責任!」 

 

風太郎「まだだ、まだわからんよ!単純にお前の努力が足りなかっただけの可能性もある!」 

 

風太郎「他の姉妹の点数も見てからだな。責任を取るのは!」 

 

風太郎(俺が禁欲を強要したのはあとは一花と二乃だが…… 

 

風太郎(三玖の点数も気になる。三玖には、1番だったら何でも願いをかなえるみたいな約束をしたからな) 

 

四葉「三玖ー!テストどうだった?」 

 

三玖「……」チラッ 

 

風太郎「教えてくれ。三玖。お前の点数を」 

 

三玖「500点だった」 

 

五月「ファッ!?」 

 

四葉「すごすぎる!凄すぎるよ!どんな魔法を使ったの!?三玖!」 

 

三玖「……愛、かな?」 

 

三玖「これで、フータローに並んだ。フータローの教えを一言一句忘れずに……テストに挑めた」 

 

三玖「私も……報われた気がする」 

 

五月「姉妹でトップどころか学年トップじゃないですか!中野家の誇りですよ!これは!」 

 

四葉「私達も頑張れば、学年トップを取れるポテンシャルがある……?」 

 

三玖「フータロー……約束。私、約束、守ったよ」 

 

三玖「……ごめん、フータロー……嬉しくって、涙が止まらない」ポロポロ 

 

風太郎「…… 

 

風太郎(三玖は頑張った。自慰もせず、クソパン屋で働きながら、勉強も集中していた) 

 

風太郎(落ち着け。落ち着くんだ、俺。素直に三玖を褒めろ) 

 

風太郎(だが……俺は……俺の点数は) 

 

三玖「フータローと一緒に、学年トップ。嬉しい…… 

 

風太郎(俺はさも当然のように満点ということになっているが……!) 

 

風太郎(まずい。教え子の三玖より圧倒的に点数が低い!) 

 

風太郎「三玖、答案見せてくれ」 

 

風太郎(俺と三玖、名前間違えているんじゃないだろうな!)ジロジロ 

 

風太郎(が……紛れもなくこれは三玖の字だ……三玖の奴、本当にやりやがった!) 

 

風太郎(過去に500点をとった俺にはわかる) 

 

風太郎(200点を300点にあげるのは簡単だ。だが、499点から500点に点数をあげるのは至難の技だ) 

 

風太郎(全科目に及ぶ深い知識と一問のケアレスミスも許されない集中力) 

 

風太郎(そしてすべてが良問という訳じゃない。教師の悪問も、その意図を読み取り適切な解答を導き出すテクニック) 

 

風太郎(500点という点数は、偶然で取れる点数じゃない) 

 

風太郎(こいつ、本当に努力していたんだ……見えないところで、一人、ずっと勉強していたんだ……!) 

 

風太郎(昔の俺のように…… 

 

最初は認めたくなかった。自分を超えられたことを。だが、このテストの答案を見て、俺は三玖の努力が本物だと確信できた。 

 

姉妹に祝福され、照れながら涙を浮かべる三玖を見て 

 

俺の心が動く音がした。 

 

 

一花「…… 

 

四葉「あ、一花!」 

 

五月「聞いてくださいよ!三玖がやりました!」 

 

一花「…… 

 

三玖「一花はどうだったの?今回の点数」 

 

一花「225……平均45点だった」 

 

四葉「点数下がった?」 

 

一花「うん 

 

五月「原因はズバリなんですか」 

 

一花「うーん……我慢しすぎちゃったかなぁ」 

 

五月「ほら!原因は禁欲なのは明白です!」 

 

風太郎「ふーっ……お前ら、三玖の点数を見ろ。禁欲が最強だと証明されたんだぜ」 

 

三玖「今回は500点だったよ、一花」 

 

一花「ぐっ……」プルプル 

 

三玖「私が1番。やった」 

 

風太郎(なんか俺の知らないところで壮絶な戦いが繰り広げられているらしいけど、触れないでおこう) 

 

風太郎「これであとは二乃だけだな」 

 

三玖(二乃が何点であろうと……私の優位は揺るがない) 

 

三玖(フータローの1番になれたら……言うと決めている事がある) 

 

 

四葉「あっ!二乃がいましたよ!」 

 

風太郎「二乃!お前は何点だったんだ!」 

 

二乃「合計 350点。過去最高点だわ」 

 

四葉「おおっ!すごい!」 

 

風太郎「頑張ったな、二乃」 

 

二乃「ま、私が本気を出せばこんなものね。今回の指導はセクハラ紛いだったけど、あんたの功績は認めてあげてもいいわ」 

 

五月「私は認めていませんよ!」 

 

一花「まあまあ。それにしても凄いのは三玖だよね」 

 

四葉「上杉さんと並んで学年トップですよ!」 

 

風太郎「あの、四葉……実は」 

 

一花「もう三玖は卒業してもいいんじゃない?満点とったらもう家庭教師いらないよね?」 

 

三玖「私はまだフータローに教わっていない事がある!今回のだって……まだフータローを超えた訳じゃない」 

 

五月「でも三玖も今後は私達を教える側に回ってくれるのであれば力強いことこの上ないですね」 

 

四葉「学年トップの二人に教われば、百人力だよ!私達の将来も安泰だ~!」 

 

二乃「フータロー、顔青いけど大丈夫?寝不足じゃないの?」 

 

風太郎(……どうする) 

 

風太郎(問題は2つ。俺の点数が三玖より低いこと、そして禁欲を強制して五月と一花の点数を下げてしまったこと) 

 

風太郎(1つ目を打ち明ければ、上杉風太郎不要論が台頭して俺は家庭教師をクビになってしまうかもしれない……!) 

 

風太郎(2つ目にしてもそうだ。今回、三玖が最高の点数をとって、二乃もそこそこの高得点をとったが) 

 

風太郎(結局、俺のエゴで一花と五月の点数を下げてしまったのだ) 

 

風太郎(責任は……とらねばならないのか…… 

 

風太郎「わかった。俺も男だ。責任を取る」 

 

二乃「責任って何に対してよ?」 

 

風太郎「一花と五月の点数を伸ばせなかった責任だ」 

 

二乃「それは自己責任でしょ?あんたの指導で三玖は満点をとったんだから、家庭教師の有用性は証明されているわ」 

 

風太郎「三玖に対して俺は今回何も指導していないんだ。三玖が勝手に成長した。それだけのこと」 

 

三玖「そんなことはない!フータローが寝る時間も削って私達に解き方を教えてくれたり、直前予想問題まで作ってくれたおかげ」 

 

四葉「そうですよっ!三玖が頑張ったのは事実ですが、上杉さんの指導のおかげで私も二乃も点数を伸ばせたんです!」 

 

風太郎「違うんだ。一花と五月が点数を下げたのは……アレを禁止してしまったからなんだよっ!」

 

三玖「アレって?」 

 

風太郎「アレはアレだ。とてもここで口に出せるような事じゃない」 

 

二乃「あんた、まさか二人にも禁止させたの?」 

 

四葉「なになに?なんですか?」 

 

一花「うわぁ……フータロー君、私だけじゃなくて姉妹全員に……?」 

 

五月「変態ですね」 

 

三玖「説明求む!私は特に何も禁止されなかった」 

 

四葉「私も特に禁止は」 

 

風太郎「とにかく、週8回もしている二人のアレを禁止したのは俺だ!逆にストレスを貯めてしまったせいで、本番で力を出しきれなかったのだろう」 

 

五月「では、責任を取るんですね?」 

 

風太郎「ああ。責任を取る」 

 

一花「どうやって責任とってくれるのかな~?我慢させた分、しっかり私に埋め合わせして欲しいよ」 

 

五月「わ、私も……!我慢した分、気持ちよくして欲しい……です」 

 

二乃「はぁ?何いってんの?フー君もこんなの相手にしちゃ駄目よっ!」 

 

一花「二乃だって我慢してたんでしょ?期待してるくせにぃ」 

 

二乃「そりゃ……フー君だって我慢してたんだろうから……成績あげてくれたご褒美に、気持ちよくしてやらないこともないと、思っていたところだけど…… 

 

風太郎「責任は……俺が家庭教師をやめることで取ろうと思う。もうおまえたちに会うこともないだろう」 

 

場は水を打ったように静まり返った。 

 

俺は自分のエゴのために、彼女たちに禁欲を強要した。 

 

彼女たちの顔を見るたびに浮かんでくる数字が、俺の性欲を苛ませ、そのために成績が落ちることを恐れ、彼女たちのためだと言い聞かせて禁欲を強いたのだ。 

 

そんな俺は彼女たちの家庭教師でいる資格はない。 

 

風太郎「さよならだ。もうお前らなら俺がいなくても立派にやっていける」 

 

風太郎「ここには満点の三玖もいる。俺はお役御免だ。わからないことがあれば三玖に聞けばいい」 

 

風太郎「それに俺がいるせいで、お前たち姉妹の仲がギスギスしていくのを見ているのも辛かったんだ」 

 

風太郎「みんな、血を別けた姉妹を大事にしろよ。それじゃあな」 

 

卒業まで彼女たちの面倒を見れないのは残念だ。だが、もう十分だ。 

 

 

三玖「待って!」 

 

立ち去ろうとする俺の腕を彼女はぎゅっと掴んだ。 

 

三玖「フータローがいなくなることは許さない。責任を取るなら私達が卒業するまで面倒みて」 

 

五月「ご、ごめんなさい!私が安易に責任なんて言ったから!冗談ですっ……やめないでくださいっ」 

 

一花「私も色々悪ノリが過ぎたかな……ごめんっ」 

 

二乃「辞めれば責任取れる程この仕事は甘くないわよ!責任感じてるなら最後まで指導しなさいよ!」 

 

四葉「上杉さんに辞められて赤点とったら末代まで祟りますからね!祟りますよ!」 

 

赤点を回避したというのに、みな泣きそうだ。 

 

二乃や五月なんぞ、最初は俺を目の敵にして追い出そうとしていたじゃあないか。 

 

邪魔者がいなくなって少しは喜べ。 

 

三玖だって。 

 

……何事も惜しまれている内が華だ。それにここでやっぱり辞めるのを辞めまーすと言ったら男が下がるってもんだ。 

 

俺の決意は固い。涙だけはこぼさぬよう、下唇を強く噛んで俺は引き止める三玖の腕を振り払おうとした。  

 

三玖「フータロー、約束したよね。私がトップだったら。何でも言うこと1つ聞くって」 

 

風太郎「ああ」 

 

そういえばそんな約束したっけ。まさか三玖が姉妹トップどころか、学年トップまで取るとは夢にも思わなかったが。 

 

三玖「その権利をここで行使する。辞めないで、フータロー」 

 

その時の三玖の目はかつてないほど真っ直ぐ俺を見ていた。 

 

自分のためだけじゃなく、姉妹みんなのために、三玖は俺を強く求めてくれた。 

 

何でも願いを叶えろというから、一体どんな無理難題を押し付けられるのか、内心ヒヤヒヤしていたがなんてことはない。 

 

ただ、元の職場に戻れってだけ。 

 

給料は相場の5倍、アットホームで楽しい職場。 

 

やれやれ、そこまで言われたら俺の返事は決まっている。 

 

どうやら俺の家庭教師生活はまだ終わらないらしい。 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

三玖「はぁ……はぁ……んっ」 

 

三玖「はぁ……もうっ……限界っ…… 

 

三玖「フータローっ……もうこれ以上無理だからっ……んっ」 

 

風太郎「まだイケるだろ?」 

 

三玖「もう4回もイッたからぁ……5回目はむりぃ……あっ」ピクピク 

 

風太郎「ふー、情けないなぁ。ほら、手伝ってやるから」 

 

三玖「んんっー!んっ!」 

 

風太郎「ほら、もっと腰使って!」 

 

三玖「はぁぁー!んっ!」 

 

ガチャンッ 

 

風太郎「よく頑張ったな」 

 

三玖「もう腕が限界……ベンチプレスは私には向いていない」 

 

風太郎「重りつけずに鉄の棒だけでこれは……もう少し筋力つけた方がいいと思うぞ」 

 

三玖「次、フータローの番。男の人ならあの大きい丸い重りつけるべきだよ」 

 

風太郎「持ち上がらなかったらさっき俺がしたみたいに助けてくれよ、三玖」 

 

三玖「善処する」 

 

幸い、重りが重すぎて俺たちには取り付ける事が出来なかったので事故には至らなかった。 

 

テストが終わって、俺と三玖は二人で体力をつけるためにスポーツジムに来ていた。 

 

今回のテストで痛感したのは俺の体力のなさだ。23日眠らなかったからといって点数を大幅に落としてしまうとは情けない。 

 

そこで俺は同じく体力不足の三玖とジムに来たって訳だ。

 

一通りスポーツジムのマシンに触れていい汗を流した。 

 

勉強ばかりしていたせいで、体中の筋肉が悲鳴をあげている。 

 

三玖も歩き方がぎこちない。 

 

風太郎「たまには運動も悪くないが、会員になるには金がないな」 

 

三玖「安心して。ここお父さんの病院の系列のジムだから。プール・スパ・レストラン付きで病院の職員は福利厚生ばっちり」 

 

風太郎「俺は病院の関係者ではないんだが」 

 

三玖「満点のことを話したら、珍しく喜んでいた……と思う。フータローのことを話したら、会員カードを作ってくれた。一応、家庭教師も福利厚生に手厚くと。」 

 

風太郎「いいのか、これ。家族会員カードって書いているが」 

 

三玖「費用は全部お父さん持ちでこの施設使い放題カードだよ」 

 

風太郎「なんだか悪いな」 

 

三玖「お風呂で汗流したら、レストランで食事にしよ?」 

 

三玖を高得点に導いた功績はあの堅物の中野父にも認められたということか。 

 

これまた高級料理で腹を満たしながら、俺は考える。 

 

あの場で俺が責任をとらないことにしていたら、三玖は俺に何を願ったのだろうか。 

 

振り返れば、あんなくだらない事に、その願いを使わせた事に関して俺はフェアじゃないと感じていた。 

 

かといって俺が三玖にしてやれることは実はもう何もない。 

 

成績は俺よりいいし、家だって金持ちで、こうして何不自由なく高級な料理を食べたり、ブルジョア的なスポーツジムで汗を流すことだって出来る。 

 

そんな三玖は俺に何を求めていたのだろう。 

 

風太郎「そういえば、お前、好きな人いるって言ってたけど今もそいつの事好きなの?」 

 

三玖「うん。好きだよ」 

 

風太郎「そうか」 

 

三玖の顔は晴れ晴れしていた。きっと、この前のテストで1番の成績をとって、自信を取り戻したのだろう。 

 

その前のテストは一花に負けてすごい悔しそうにしていたからな。 

 

三玖「そういえば、1番だったら誰か教える約束していたよね。知りたい?」 

 

風太郎「知りたくないな」 

 

三玖の好きな人はクラスの名前もわからない男やパン屋のジャムおじさんみたいなおっさんだったりするのだろうか。 

 

確かにそうだとしたら恐ろしい。それを先に聞いてしまったら、俺はショックで死ぬかもしれない。 

 

風太郎「俺は三玖が好きだから」 

 

三玖「えっ…… 

 

彼女たちと出会う前までは、恋愛なんて馬鹿にしていた。 

 

若さと性欲にのみ突き動かされて、親の金で生活している甲斐性もないガキが、大人の真似事をしているお遊戯に見えていた。 

 

学生の本文は勉学であり、それを邪魔する恋愛なんて馬鹿げた行為にうつつを抜かす程俺は馬鹿じゃないと思っていた。 

 

だが、誰かを好きになるという真剣な気持ちを俺は馬鹿にできなくなっていた。 

 

そして俺は三玖に……その気持をいつの間にか抱いていた。 

 

三玖「それって生徒として、だよね?」 

 

確かに俺は昔、三玖を生徒として1番だと思っていたし、その気持は今も変わりない。 

 

だが、確実に三玖に対する気持ちに変わったことがある。 

 

風太郎「一人の人としてお前の事が好きだ」 

 

俺は三玖と対等なパートナーでありたい。 

 

三玖「人として好き……?」

 

誰かに気持ちを伝えるということ。途方もない勇気がいる。 

 

風太郎「他の誰よりも、三玖が好きだ」 

 

一花より、二乃より、四葉より、五月より。同じ顔と体をしているけれども、俺はお前が1番好きだ。 

 

風太郎「愛している、三玖。俺と付き合ってくれ」 

 

俺はこの時、三玖の顔を見るのが怖くて、深々と頭を下げて頼み込んだ。 

 

全身から冷たい汗が吹き出て、緊張で眼球がフラフラ揺れているのがわかる。 

 

三玖「フータロー……顔あげて」 

 

返事を聞くのが怖い。心臓が激しく鼓動している。これで三玖に振られたら俺は…… 

 

風太郎「二乃と一花は振ってきた!三玖!俺はお前じゃなきゃ駄目なんだ!」 

 

退路は断っている。四葉と五月にも、事前に三玖に告白することは通知している。 

 

四葉は応援すると言ってくれた。五月は三玖を泣かせたらグーで殴ると脅してきた。 

 

二乃と一花は……考えるな。今の俺には三玖しかいないんだ。

 

長い沈黙の後、ゆっくり顔を上げると目の前に涙を浮かべた三玖がいた。 

 

その姿が、あの旅行のとき。俺にキスした五月の姿と被って見えた。 

 

そして……あの時と同じように俺たちは唇を交わした。 

 

あの時とは違う。一瞬じゃなく、気持ちが通じ合ったことを確かめ合うように、長い時間だった。 

 

風太郎「三玖…… 

 

三玖「これが私の気持ち」 

 

そう言って三玖は、笑った。 

 

やっぱり三玖は笑顔が最高だ。 

 

 

 

三玖と付き合って3ヶ月。それからのことを少しだけ話そうと思う。 

 

付き合った直後の五つ子全員との勉強会ではかなりギクシャクしていたけど、今ではまた昔のように姉妹たちの間にも笑顔が見えはじめていた。 

 

一花「ねえねえ、フータロー君。三玖とどこまでいったの?ABCで言うと?」 

 

風太郎「一応Aまで…… 

 

一花「うそぉ!まだA!?もう付き合って3ヶ月だよね?」 

 

そのAも最初のキスだけ。勉強の合間を見て、休日は時々デートをしたり、恋人らしいことはしている。 

 

家では三玖がずいぶんと上達したパンを振る舞ってくれたり(五月評価は30点だったが、俺の中では120点だ)、一緒にジムでトレーニングしたり、一花が出ている映画を見に行ったり、服を買いに行ったり。 

 

だが、それ以上の進展はない。 

 

そうそう。あれから彼女たちの顔に数字が見えることはなくなった。やっぱり、勉強をしすぎた事による一種の精神病だったようだ。 

 

風太郎「実際、どうなんだ?高校生カップルってどれくらいで、そういう関係になるんだ」 

 

一花「んー、早い子だと付き合ったその日には。というか付き合う前から」 

 

風太郎「ファッ!?」

 

一花「まあ二人とも初めての男女交際って考えると、それは流石に早すぎるかなーと思うけど、だいたい45回もデートしたらそういう雰囲気になるんじゃないかな」 

 

だが、俺は三玖の0という無垢な数字が忘れられなかった。 

 

一花とはこういう今どきの高校生らしいちょっぴりエッチな話もするけれど、デート中、三玖と性的な話題はある種のタブーになっており、なかなか先に踏み切れない。 

 

一花「というか、男の子がそういう雰囲気作りしないと駄目だぞ!」 

 

風太郎「だが三玖はそんな素振りはないぞ。一緒にいるだけで幸せですって感じで、俺はそれを壊したくないというか」 

 

一花「うわぁ(ドン引き)……三玖かわいそう」 

 

風太郎「それに、場所は?俺の家はらいはがいるし、三玖の家も休日や夜はいつも誰かいるだろ」 

 

一花「そういう場合はホテルとかじゃないの?私の初めては海と星が見えるリッチなリゾートホテルがいいなー」 

 

風太郎「そんな金ないし、お前の希望は関係ない」 

 

一花「じゃあそこら辺のラブホで妥協しなよ」 

 

風太郎「もちろん事前に下見して調べた。だが、あそこは高校生の立ち入りが禁止されているんだ」 

 

一花「相変わらず堅いなぁ……そんなに心配なら私と一緒に下見してみる?私服着ていればバレないって」 

 

一花「ここはお姉さんが一肌ぬいでチキンなフータロー君の初めての相手に……!遺伝子レベルで同じだからいい練習相手になれると思う!」 

 

一花「っておーい!フータロー君!逃げないでー!」 

 

 

風太郎「というわけで、困っているんだ」 

 

五月「それで私に相談に来るとは……三玖もこんな男を好きになるとかどうかしていますね」 

 

風太郎「二乃とは気まずいし、四葉はこういう話は疎そうだから、頼りになるのはお前くらいなんだ。頼むっ!」 

 

五月「こういうのは同性の友人と話すべきじゃないのですか。男の友達はいないのですか?」 

 

風太郎「ぐっ」 

 

五月の攻撃が俺の精神にダイレクトアタック! 

 

五月「ずばり、三玖をどうやったら抱けるか、という問題ですね」 

 

風太郎「ああ。話が早くて助かるぜ」 

 

五月「まずは三玖をその気にさせることからですよ」 

 

風太郎「実際のところ、どうなんだ?姉妹でそういう話は……聞いてたりする?」 

 

五月「三玖はあなたの話、家では全くしてませんよ。一花や二乃に気を使っているのでしょう」 

 

風太郎「そうなのか」 

 

五月「あなたが誰を選んだとしても、こうなっていたと思いますから、これは私達姉妹が乗り越えるべき試練なのです」 

 

5人から1人を選ぶとはそういうことか。三玖はもしかしたら他の姉妹に気を使って、そういう関係を望んでいないのかもしれない。 

 

五月「それはそれ、これはこれです。三玖も待っていると思いますよ。あなたからの誘いを」

 

風太郎「それは本当か?」 

 

五月「ここ最近、多いですから」 

 

風太郎「何が?」 

 

五月「三玖のアノ回数。特にあなたとのデート前なんて……この前なんて、あまりにも露骨な声がするので二乃が怒って壁蹴っ飛ばしてましたよ」 

 

風太郎「え?三玖もそういうことするの?」 

 

五月「え?しないと思っていたんですか?」 

 

だが三玖の回数は週0回のはずじゃ。 

 

五月「三玖は私達の中で1番むっつりスケベで……あれ?上杉くん、聞こえていますか?」 

 

なんてこった。ひょっとして俺が見ていた数字は…… 

 

風太郎「五月。確認だ。お前、週何回自慰していた!特に、この前赤点スレスレだったあのテストの前の週!」 

 

五月「いきなり何聞いてくるんですか!……いいですよ、白状しましょう。毎日最低2回はしていました!朝と寝る前の日課で!あの赤点ギリギリ事件で反省して、今はもう少し控えていますが…… 

 

毎日2回以上……14回以上…… 

 

確か、五月の数は8回だったはずじゃ…… 

 

風太郎「ははは…… 

 

乾いた笑いしかでない。俺が見ていたのは、俺の心が生んだありもしない数字。当たり前だ。他人の自慰回数が見えるなんて非科学的だ。とても全国模試4位の秀才が信じることじゃない。 

 

最初から信じていなかったさ!最初からな! 

 

五月「あなたはまだ週1回しかしてないのですか?そんなので三玖を満足させられるのか心配ですよ」 

 

三玖「そろそろ願書の時期だけど……どこ受けるか決めた?」 

 

風太郎「一人暮らしは金がかかるから、家から通えるN大を考えているが……担任からはT大かK大を強く勧められていているんだ」 

 

三玖「お父さんは医学部を受けるなら生活費と学費全額払うって」 

 

風太郎「その話は丁重に断らせて頂いた。そんなの受け取ったら逃げられねぇ」 

 

三玖「逃げる気なの?」ジロー 

 

風太郎「あっ、そういう訳じゃなくてだな……俺、医者になりたい訳じゃないし…… 

 

三玖「でもお医者さんはお金持ち」 

 

風太郎「昔の俺なら金こそ全てと割り切ったんだが」 

 

今はもう割り切れない。 

 

風太郎「教師になろうと思うんだ、俺」 

 

三玖「フータローが……先生…… 

 

風太郎「お前たちの家庭教師をして、俺は変われた。そして、最初は勉強嫌いで、どうしようもない馬鹿だったお前たちが成長していく姿を見るのが何よりうれしかった」 

 

風太郎「学校の先生になれたら、きっとそういう喜びを味わえる人生を過ごせると思うんだ」 

 

三玖「今のフータローなら……きっといい先生になれると思う。でも、気をつけて」 

 

風太郎「何に」 

 

三玖「あなた、教え子に好かれやすいから。ロリコンとして逮捕されたら、私が介錯してあげる」 

 

風太郎「ヒェッ」 

 

風太郎「三玖は大学決めたか?」 

 

三玖「……まだ」 

 

風太郎「最近のお前の成績ならそこそこの学校行けるだろ」 

 

三玖「フータローが先に決めて欲しい。私、その近くの大学にするから」 

 

風太郎「はぁ?お前、まだ自分がやりたいこと、見つかってないのか!?」 

 

他の姉妹はそれぞれ夢を見つけて、その夢を叶えるために前を向いて歩きだしている。 

 

もう俺の家庭教師としての仕事は終わった。あとはそれぞれが頑張るだけだと思っていた。 

 

三玖「私はもう見つけているから…… 

 

そう言って三玖はぎゅっと俺の袖をつまんできた。 

 

三玖「お嫁さんが私の夢……逃げられないように近くにいたい」 

 

風太郎「お、おう……

 

ブーッブーッ…… 

 

三玖「携帯鳴ってるよ」 

 

風太郎「ああ。らいはからメールだ」 

 

らいは『五月さんと遊園地で遊んでるよ!いつかのカレーライスのお礼に、夕ご飯も連れて行ってくれるみたい!』 

 

らいは『帰るの20時ころになりそう』 

 

らいは『お兄ちゃんも頑張って!』 

 

三玖「今日はらいはちゃんいないんだね」 

 

風太郎「ああ。珍しく友達と遠くにでかけたからな」 

 

三玖「お父さんは?」 

 

風太郎「仕事で深夜まで帰ってこない」 

 

三玖「そっか。二人っきりだね」 

 

風太郎「ああ」

 

このボロ家に三玖を招待するのは正直嫌だったが、止むを得ない。 

 

勇気を出して、三玖を家に遊びに来るよう誘ったら、あっさり承諾された。 

 

しかし、誘ったはいいが、特に娯楽があるわけでもない。家にあるのはテレビ1台。暇つぶしに適当にチャンネルをいじったが、つまらない番組だけだ。 

 

三玖が来て、30分でお互い話すことも特になくなった。 

 

テレビはドラマの再放送をやっている。三玖の好きな戦国武将の話だが、正直俺は興味がない。三玖は真剣そうにテレビを見ていた。 

 

このまま、二人でドラマを鑑賞するためだけにクソ高い遊園地代を出してらいはを追い出した訳じゃない。 

 

「あっ、殿……およしになってっ」 

 

「いいではないか~いいではないか~ほれほれ~」 

 

「あぁ~~」 

 

ピッ。思わず俺はテレビのスイッチを切った。 

 

風太郎「ふー。家族で見ている家もあるのに、昼間っから流すもんじゃあないよな」 

 

三玖「…… 

 

家族不在の男の家にあがったということ、三玖もこれからする事を諒解しているはずだ。 

 

三玖「んっ……ちゅっ……ちゅっ」 

 

三玖とキスするのは、告白の時以来。あの時と同じく、無言のキスから始まった。 

 

三玖「……んっ……はぁ、はぁ…… 

 

だが、あの時より長く、あの時より、しっかりとお互いの形を確かめあうような、そんなキスだ。 

 

それから何度も、俺達は手を握り合いながらキスをした。 

 

三玖の口から唾液が溢れ、それを舐めるように、三玖の口の中に舌を入れた。三玖は驚いて俺の手を強く握り返してきたが、次第に三玖も舌を動かし始めた。 

 

三玖「んっ、ちゅっ、んちゅっ……んっ……あむっ……んっ……ぷはっ……んっ、ちゅっ」 

 

お互いぎこちなく口の中を探り合う。三玖の口の中は生暖かく、唾液が溢れ、いつまでもそれを舌で味わっていたくなる。 

 

三玖は俺が乱暴に押し入れた舌に時には抵抗するように、そして時にはそれに応えるように舌を絡めてくる。 

 

ここまではいい。問題は次だ。戦いの滑り出しは上々。だが、俺は次の一手を打てずにいた。 

 

次第に緊張で舌が乾いてくる。舌が攣りそうになって、俺は一旦、三玖から顔を離した。三玖の前髪が汗でピッタリ顔にはりついていた。 

 

風太郎「はぁ、はぁ…… 

 

三玖「……いいよ。触っても」 

 

そう言って三玖は俺から手を離した。 

 

三玖「んっ……あっ」 

 

前々から興味のあった、大きな三玖の胸を服の上から揉んだ。 

 

手が沈み込みそうになる感触だが、ブラジャーの感触が邪魔だ。 

 

風太郎「三玖……ここじゃああれだから……隣の部屋に行こう」 

 

三玖「うん…… 

 

立ち上がる時、足がしびれていた。夢中になって、それさえも気が付かないとは。 

 

三玖「準備はしている?」 

 

風太郎「一応、用意はしておいた」 

 

寝室に隠しておいたコンドームを取り出す。これを買ったのは、三玖と付き合い始めた最初のデートの前日だ。 

 

三玖「ほっ。用意していなかったら……どうしようかと思ってた」 

 

風太郎「不安にさせてすまない」 

 

三玖「大丈夫。私も初めてだから。一緒に頑張ろう」 

 

風太郎「とりあえず……汚しちゃいけないから、脱ぐぞ」ヌギヌギ 

 

三玖「うん……」ヌギヌギ 

 

脱ぎながらも三玖から目が離せない。結構気合の入った下着をつけていた。こういうのも姉妹で買いに行くのだろうか。 

 

三玖「……」ジーッ 

 

風太郎「な、なんだよ!」 

 

三玖「……フータロー、脱がせて」 

 

お互い下着姿になって、そこからどっちが先に脱ぐかの牽制になった時、三玖からそういった。 

 

両手でぎこちなくブラジャーの繋ぎ目を外す。 

 

三玖「んっ」 

 

一枚剥がすと、三玖の豊満な胸があらわになった。 

 

風太郎「すまん、触るぞ」モニュ……モニュ…… 

 

三玖「あっ……やっ…… 

 

服の上からだとわからなかったが、張りがあって適度に硬さはあるものの、押せば沈み込みそうになる柔らかさ、これは俺の人生初の感触だ。 

 

三玖は、布団に押し倒されなすがままに俺に胸を弄られていた。 

 

三玖「んっ……あんっ……やっ」ピクッ 

 

乳首をつまむと、三玖は悩ましい声を出した。いつも弄っているのだろか。 

 

三玖「はぁ・・・はぁ……んっ!?そっちはっ…… 

 

左手で三玖の胸をいじりながら、下に右手を這わせた。股を触ると、じっとり濡れているのがわかる。 

 

三玖「だめっ…… 

 

風太郎「顔、見せてくれ、三玖」 

 

乱れた髪を払い、真っ赤になった三玖の唇にキスをして、俺はまた、彼女の体を弄った。 

 

次はショーツを脱がせ、中に手を這わせた。 

 

毛の感触の奥に、柔らかくて熱くなっている場所があるのがわかる。 

 

三玖「んんっ!あっ……そこっ……んっ!」ビクッ 

 

指の腹で丁寧に三玖の秘所をいじった。軽く指を中に入れようとすると、腰を浮かしながら三玖は逃げようとする。 

 

まだ、他人に触られる恐怖が強いようだ。 

 

三玖「フータローも……見せて…… 

 

パンツを脱ぐと、俺のも十二分に硬くなって、反り返っていた。 

 

三玖「フータローが、興奮してくれている……んだよね」 

 

風太郎「ああ。三玖と……こういう事が出来て、正直、興奮している」 

 

三玖「私も、触っていい?」 

 

風太郎「頼む」 

 

三玖はおっかなびっくり、手で俺のを触った。最初は握り、それから形を確かめるように、手のひらで擦った。 

 

確かにこれは怖い。自分だけの領域を、血の繋がっていない言うなれば他人に踏み込まれてくる感触だ。 

 

だが、俺はあの真面目で、引っ込み思案で清楚な三玖が一生懸命、俺の汚い場所を、俺を悦ばせようと握ってくれるという、この状況に興奮していた。 

 

そして、その三玖の、誰も立ち入ったことのない、1番神聖な場所をこれから独占出来る事に。 

 

三玖「あっ……やっ……んっ…… 

 

三玖に触らせるのは程々にして、俺はまた三玖の秘所をいじった。 

 

三玖は仰向けになって、足を開いている。顔は手で隠していたが、指をゆっくり中に出し入れすると、喘ぎ声が漏れた。 

 

三玖「ヒッ…… 

 

穴の上の、小さな突起を指の腹でなぞると、三玖は小さな悲鳴をあげた。 

 

三玖「フータロー……そこ敏感だからっ……優しく」 

 

風太郎「結構自分でいじってるのか?」 

 

三玖「……」ムゥ 

 

答えない。少し力を入れるように摘んでやると、足をぎゅっと閉じてきた。 

 

三玖「はぁ、はぁ……そこっ……んんっ、ダメッ、やめてっ、あっあっ、んっ」ビクッ 

 

三玖「イッちゃうからやめてっ!」 

 

風太郎「凄い敏感だな、三玖。毎日いじってるのか?」 

 

三玖「はぁ……はぁ……意地悪なフータローには教えないっ」

 

風太郎「んっ……れろっ」 

 

三玖「ひゃっ!ああっ~~!なにこれっ!舐めないでっ、やっ、変!やっ、あっ、んっ!?」 

 

充血してきた三玖の陰核を舌で舐める。小さくてよくわからないし、毛が邪魔だが、三玖はまた鳴いた。 

 

三玖「舐めるなんて汚いよ……フータロー…… 

 

風太郎「いや、三玖に汚いところなんてないだろ」 

 

三玖「ううっ…… 

 

風太郎「で、結構してるの?家で、一人で」 

 

三玖「……誰にも言わない?」 

 

風太郎「ああ、内緒にするよ」 

 

三玖「……してるよ……オナニー…… 

 

三玖は消え入りそうな声で告白した。 

 

風太郎「テスト期間中も?」ジュプッ 

 

三玖「うんっ…… 

 

風太郎「悪い子だな、三玖は」ヌプヌプ 

 

三玖「ごめんなさいっ!あんんっ!」

 

人差し指を濡れた口はしっかり咥え込み、指を曲げるたびに三玖は嬌声をあげた。 

 

風太郎「いつも自分の指いれてるのか?」ヌップヌップ 

 

三玖「あっ、あんっ、んっ、そうっ……時々…… 

 

三玖「でもっ痛いからほどほどでっ」 

 

風太郎「コッチのほうが好きなの?」キュッ 

 

三玖「あっ!急につままないでぇ…… 

 

風太郎「……おっぱいもいじってるのか?」モミュモミュ 

 

三玖「あっ、やっ……そうっ……おっぱいも弄りながらしているっ……んっ」 

 

風太郎「週何回くらい?道具は使うの?1回何分くらいかけてる?やっぱり好きな人とか想像するのか?」 

 

三玖「ずいぶん気にするんだね」 

 

風太郎「すまない」 

 

三玖「……そろそろ、いいよ」 

 

三玖はすっかりほぐれた様子だ。俺も、さっきからすでに限界近くまで血流が集中している。 

 

毛を巻き込まないよう注意しながら装備を装着して、三玖の上に跨った。 

 

三玖「はぁ……はぁ……」ブルッ 

 

三玖は身震いした。 

 

三玖「んっ…… 

 

俺はゆっくり腰を前にすすめ、先端をさっきまで十分にいじった三玖の穴にあてがった。 

 

風太郎「ふーぅ…… 

 

まるで相撲の立会いのようだ。俺は三玖と呼吸が合うのをじっくり待った。 

 

焦るな。いよいよ、あの中野三玖を俺のものに出来る。 

 

風太郎「……いくぞ、三玖」 

 

三玖「うん……きて」 

 

ゆっくり、狭い三玖の中を押し広げるように腰を前に進めた。 

 

三玖は腰を浮かせてそれを受け入れたが、次第に、痛みのためか、俺の背中に回した腕の締め付けがつよくなる。 

 

三玖「んっ……まだ……?」 

 

風太郎「もう少し」 

 

1番奥まで進めたあと、俺は動きを止めて、三玖の痛みが和らぐのを待った。 

 

それに、いま動けばすぐに達してしまいそうだ。 

 

三玖の狭い穴はきゅうきゅうに俺のを締め付けてきた。 

 

風太郎「大丈夫か?」 

 

三玖「うん……うっ」 

 

三玖は痛みのためか涙を流していた。 

 

風太郎「動くぞ、三玖」ヌププ 

 

三玖「あっ……やっ」 

 

風太郎「はぁ、はぁ……」ヌポヌポ 

 

三玖「あんっ、あっ、やっ……んっ」 

 

動くたびに三玖はせつなそうな声をあげた。

 

そこから先の時間は一瞬だったかもしれないが、永久のように長く感じた。 

 

俺は余計なことを考えず、三玖の上で腰を振った。 

 

あるのは真っ直ぐな本能だけだ。 

 

家庭教師だとか、勉強だとか、将来の夢だとかそういう余計なものはもう一切合切忘れて、ただ、男としての喜びに打ち震えながら、動いた。 

 

風太郎「三玖!三玖!三玖!愛しているぞ!」 

 

三玖「私もっ……フータロー!キテっ!ああっ!」 

 

風太郎「イクぞ!三玖!」 

 

三玖「あっ」 

 

1番奥で動きを止めて、俺は三玖の中に挿れたまま達した。 

 

一人でする時では出せないくらい、金玉を根こそぎもっていかれるのではないかという長い放精だった。 

 

しばらく三玖と抱き合った。 

 

お互い体力不足で息が上がっている。 

 

風太郎「ハァ、ハァ、ハァ……ハァ…… 

 

三玖「はぁ、はぁ……プッ……あはは」 

 

風太郎「ハァ、どうした、ハァ、三玖、ハァ」 

 

三玖「一緒に走ったあのときの事、思い出しちゃった」 

 

三玖「ありがとう。フータロー。あなたのおかげで、私、自信を持てたんだよ」 

 

三玖「愛しているよ、フータロー」 

 

 

 

 

 

元スレ

https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1551959266

風太郎「い、いつも自分でしてるのか? 」三玖「……してるよ///」1/2【五等分の花嫁ss/アニメss】

 

らいは「おにーちゃん!朝だよ!起きてー!ご飯できたよー」 

 

違和感に気がついたのは朝起きてからだ。 

 

風太郎「らいは。顔に0って書いてあるぞ」 

 

らいは「ゼロ?」 

 

風太郎「ああ。デカデカと大きな字で」 

 

らいは「お父さん、本当?」 

 

勇也「あ?何も書いてねぇよ。勉強しすぎて目ぇ悪くなったんじゃねーか」 

 

おかしい。目をこする。 

 

らいはの顔に書いてあった数字はだんだん薄くなっていった。 

 

らいは「お兄ちゃん、寝ぼけてる?」 

 

風太郎「いや、確かにゼロ……おなにーの回数がゼロって顔に」 

 

らいは「おなにー?」 

 

勇也「ぶっ!何言ってんだ風太郎!」 

 

らいは「?」 

 

風太郎「あ、いや、忘れてくれ」 

 

 

親父から拳骨を食らったのはガキの頃以来だった。 

 

風太郎「手加減を知らねえんだから……クソオヤジ」 

 

タンコブが出来た頭を撫でながら、俺は学校へ向かった。 

 

寝ぼけていたのだろうか。らいはの顔に確かに、1週間の自慰回数が浮かび上がっていた。 

 

ガラガラヘビの鮮やかな縞模様が誰に教わらずとも危険だと認識できるように、俺はあの数字の意味をなにかに教わる事なく、直感的に知っていた。 

 

まだ夢うつつだ。馬鹿なことは忘れよう。どうやら、定期テストの勉強で根を詰めすぎたらしい。ここのところ、睡眠時間が平均3時間を切っている。 

 

一花「おっはー。フータロー君、顔色悪いけど大丈夫?」 

 

通学路でばったり一花と会った。 

 

風太郎「ん?」 

 

またあのときの感覚だ。らいはの顔に、数字が浮かんできた時と同じだ。 

 

一花の顔に数字がゆっくりと浮かび上がってきた。 

 

 

風太郎「8回!?」 

 

一花「え?何が?」 

 

風太郎(1週間で8回はかなり多いんじゃないか?1日1回以上……こいつ、なんて時間の無駄使いをしていやがる) 

 

一花「さっきから私の顔ジロジロみて、どうしたの?見惚れちゃった?あはは」 

 

風太郎「いや、何でもない。忘れてくれ。時に一花。お前、昨日はちゃんと勉強したよな。勉強したノートみせてみろ」 

 

一花「うっ。いやー、アッチの方が忙しくて。ごめんっ!今日はちゃんとやるからっ」 

 

風太郎「アッチってどっちだ!?」 

 

一花「最近また仕事が忙しくて……えへへ、また新しい映画に出れることになったんだ」 

 

風太郎「労働基準法では未成年者の労働は22時までと決まっているんだが。夜はたっぷり時間があるだろ」 

 

一花「もーっ、たまには休んでもいいじゃん」 

 

風太郎「家帰ってからナニした!教えろ!」 

 

一花「相変わらずノー・デリカシーの名を欲しいままにする質問だね・・・」 

 

風太郎「勉強しなきゃダメだ!定期試験2週間前だぞ!直前に追い込まれて勉強するより、日頃からの習慣づけが大事なんだ」クドクド 

 

一花「はいはい」 

 

風太郎(反省の色が見えないな) 

 

風太郎(もしかして、こいつらが成績悪いのは、己の快楽に耽っているからじゃないか?) 

 

風太郎(そうならば他の姉妹も確認しなければ!) 

 

風太郎「悪い、一花!急いで学校へ行くぞ!」 

 

風太郎(もしかしたら、これがこいつらの成績改善につながるヒントになるかもしれん!) 

 

一花「ちょっとまってよー!フータロー君、突然どうしたの!?」 

 

 

風太郎「はぁーっ、はーっ……急ぎすぎた……」 

 

風太郎(一花とはどこかではぐれたようだ) 

 

四葉「あれ?上杉さんも朝練ですか?汗だくで走って来たんですねっ!」 

 

校門の近くで、ランニングする四葉とばったり遭遇した。 

 

風太郎「あ?お前、何やってるんだ?」 

 

四葉「何って、駅伝の練習……はっ」 

 

風太郎「お前!あれだけ、テスト前は部活をするなと言ったのに!また赤点だぞ!」 

 

四葉「ご、ごめんなさ~い、上杉さん!べ、勉強はちゃんとしていますから!ご安心を!文武両道、質実剛健、それが最上級学年の中野四葉であります!」 

 

風太郎「本当に勉強しているんだろうな?」 

 

四葉「信じてくださいっ!この真っ直ぐな瞳を!」キラキラ 

 

風太郎「うーむ」 

 

四葉の顔をじっと見つめると、ゆっくり数字が浮かび上がってきた。 

 

風太郎(3回か。一花よりは少ないが) 

 

四葉「どうかしましたか?」キョトン 

 

風太郎(実際のところどうなんだ?女子高生の平均回数がわからないから断定できないが) 

 

風太郎(赤点すれすれの奴が部活とバイトをしながら、さらに[田島「チ○コ破裂するっ!」]をしている余裕はあるのか?勉強時間は確保出来ているのか?) 

 

四葉「上杉さん?怖い顔してますよー?」 

 

風太郎「四葉。昨日の夜はナニしていた?」 

 

四葉「昨日の夜……」ポワポンポワ~ン 

 

四葉「っ……///いくら、上杉さんにも言えないことくらいありますっ!私にだってプライバシーありますから!」 

 

風太郎「勉強はしなかったんだな?(威圧)」 

 

四葉「勉強も、しました!」 

 

風太郎「何時間した。答えろ」 

 

四葉「ええっと。0.1時間……くらい」 

 

風太郎「このアホー!たった6分で何が学べるんだ!」 

 

四葉「継続は力なりぃ……」 

 

風太郎(ダメだこいつ。だが、まだわからない。3回。もっとデータを集めて平均を出さねば) 

 

四葉「それじゃ、上杉さん、また教室で!」ドヒューン 

 

風太郎「くそっ!まだ説教は終わっていないぞっ!四葉ー!」

 

二乃「朝っぱら何大声出してるのよ」 

 

風太郎「二乃か……ちょうどいいところにいた」 

 

二乃「あら?そんなに私に会いたかった訳?昨日の夜も一緒だったじゃない、フー君っ」 

 

風太郎「一緒だったのはバイトが終わるまでだ。あの後帰ってからちゃんと勉強したんだろうな」 

 

二乃「んー、どうだったかしら」 

 

風太郎(信じているぞ、二乃!) 

 

二乃「ん?じっと見つめないでよ、照れるわ///」 

 

風太郎「3回。四葉と同じか」 

 

二乃「何が同じなの?」 

 

風太郎「いや、こっちの話だ。お前らの成績にも関係する問題だが」 

 

二乃「?」 

 

風太郎(3回くらいが平均値なのか?一花は飛び抜けてるが……成績は一花の方がいいから、回数と成績は相関しないのか?) 

 

二乃「ちょっと、今日のあんた変よ」 

 

風太郎「時に二乃。お前昨日の夜」 

 

二乃「ん?」 

 

風太郎(そういえばこいつ俺の事好きなんだよな) 

 

風太郎(落ち着け、上杉風太郎。くそっ、あの告白さえなけりゃ、二乃になら聞けたかもしれないのにっ!) 

 

二乃「昨日の夜もあんたの事考えていたわよ」 

 

風太郎「……は?」 

 

風太郎(それはどういう意味だ、二乃……) 

 

二乃「好きな人の事、考えるの当然じゃない。あんたはどうなのよ?」 

 

風太郎「いや、俺は……昨日は勉強してたから」 

 

二乃「はぁー(クソデカため息)。勉強中もたまには私達の事、考えなさいよ。 

 

いつものお礼を考えていたんだから……ほら、毎日貧相な白米ばかり食べてるあんたのために、お弁当作ってあげたわよ」 

 

風太郎「二乃様神様仏様!食費がらいはの文房具代に回せるぜ…!」 

 

二乃「それじゃ、今日はお昼ご飯、二人で一緒に食べましょ」

 

三玖「ちょっと待った」 

 

二乃「げっ!その顔は……三玖!」 

 

三玖「私だって……フータローの事考えていた。お弁当作ってきたんだから」 

 

二乃「珍しく早起きしていると思ったら……チッ」 

 

三玖「抜け駆け禁止。お昼ごはん、みんなで食べよ?」 

 

風太郎「サンキュー三玖。これで夕食分も食いだめできる……って、お前ら、弁当作ってる暇あったら勉強をしろ!」 

 

三玖「うっ」 

 

風太郎(三玖はもう心配ないと思うが。回数と成績の相関を確認せねば) 

 

風太郎「ゼロ!ゼロ!圧倒的ゼロ……!信じていたぞ、三玖!」ガシッ 

 

三玖「ちょっと、フータロー。突然、顔、近い……」 

 

二乃「こら、離れなさいよ、フータロー!」 

 

風太郎「俺は今、モーレツに感動している!お前が一番(ナンバーワン)だ、三玖!」 

 

三玖「えっ……それって……告白///」 

 

風太郎(快楽を貪ることなく、ただひたすら勉学に励む姿美しい) 

 

風太郎(やっぱり三玖が俺の一番の生徒だ!他の姉妹の手本となるべき姿だ!) 

 

二乃「告白じゃないっ…!ノーカン!今のノーカンよ!」 

 

風太郎「黙れ週3回の女!」 

 

二乃「はぁ!?」 

 

風太郎「少しは三玖の姿勢を見習うんだな」 

 

三玖「私が一番……私が一番……」ポワ~ン 

 

二乃「今日のあんたなんかおかしいわよ!三玖も早くコッチの世界に戻ってきて!」 

 

ぎゃーぎゃー 

 

五月「うるさいですね、朝から」 

 

風太郎「最後は五月か」 

 

風太郎(こいつは少し心配だ) 

 

風太郎(一見真面目に見えて、姉妹の中で一番欲望に弱そうだ) 

 

風太郎(食欲が強い奴は性欲も強いと聞いたことがある) 

 

風太郎(だが、逆に、性欲を食欲で代償している可能性もある) 

 

風太郎(適度な食事は脳にブドウ糖を補給するという意味で、見習うべきところだが) 

 

五月「どうしたんですか?そんな真剣な顔して」 

 

風太郎「信じているぞ、五月!」 

 

ここまで一花が週8回。二乃と四葉が週3回。三玖は週0回! 

 

このデータは今後の家庭教師の上でとても参考になる。 

 

五月は成績は5人の中では中くらいだ。それでも、勉強や夢へ向かう姿勢は、尊敬できるところがある。 

 

不器用だが、だからこそ報われてほしいとずっと応援しているんだ。 

 

そんな五月が、欲望に溺れるはずがない。そう信じたい俺がいた。 

 

 

風太郎「ぐわぁ~~~!8回!やはり肉まんおばけは自制心がなかったぁー!」ガックリ 

 

五月「に、肉…!!知りません、あなたのことなんて!」パシーン 

 

三玖「私が一番。フータローの一番」ブツブツ 

 

一花「あれー?みんな集まってどうしたの?」 

 

二乃「今日はそっとしてあげましょう、一花。勉強病の発作よ……」 

 

一花「たまには息抜きしなくちゃダメだよ、フータロー君。お姉さんが手伝ってあげよっか?」 

 

風太郎「お前は息抜きしすぎだ、アホ」 

 

一花「ひどい!」 

 

五月「根の詰め過ぎは良くないと教えてくれたのはあなたじゃないですか」 

 

風太郎「適度があるだろ、適度が!週8回は多すぎィ!」 

 

二乃「さっきからなんの回数よ、それ」 

 

風太郎「あ、いや、何でもない」 

 

一花「私も8回って言われたけど」 

 

二乃「私は3回。三玖は0回。四葉は何回だったのかしら?」 

 

風太郎「四葉は週3回だ」 

 

三玖「回数が少ないほうが、フータローが喜ぶ。私が一番」 

 

一花「なになに~?気になるな~?」 

 

風太郎「この回数は今後の家庭教師の上で参考にするぞ。それじゃあ各自、授業に集中し、2周間後に控えた定期試験に向けて勉強に励むように!」 

 

一同「はーい」

 

 

風太郎(なんとか成績向上のために、あの回数を利用したい。三玖はいいとして、他の4人はテスト前なのに自覚がなさすぎる!) 

 

風太郎(特に一花と五月。1日1回以上している日がある計算になる。そんなにしていれば、成績に悪影響を及ぼしているのは間違いない) 

 

風太郎(この点は指導する必要があるな) 

 

風太郎(そして週3回組の二乃と四葉。週3回……難しいところだ。もしかしたら、ストレス解消で成績向上につながっている可能性もあるが) 

 

風太郎(やはり勉強時間を圧迫しているのは間違いない。この点、詳細に確認する必要がある。場合によっては指導しなければ) 

 

風太郎(最後は三玖。0回というのは素晴らしい数字だ。しかし、逆に不安になる。他の4人があんなに励んでいるのに、一人だけ禁欲していて大丈夫か?) 

 

風太郎(ストレスは溜まっていないのか?逆にストレスが成績を下げる原因になったりするからな) 

 

風太郎(デリケートな問題だけに、慎重な対応が必要だ。さて、早速、今日から彼女たちの個別指導に当たろう。) 

 

 

風太郎(まずは三玖の指導からだ) 

 

三玖は俺と二乃がバイトしているレストランの向かいのクソパン屋で働いている。 

 

彼女が就職してからなぜか売上が下がったらしいが、理由はわからない。 

 

俺は彼女と二人きりで話すために、店の前で仕事が終わるのを待った。 

 

三玖「あれ?フータロー?お店の前でどうしたの?」 

 

風太郎「偶然だな。俺も仕事終わったとこだ」 

 

三玖「二乃は?」 

 

風太郎「今日は休みだ。一緒に帰らない?」 

 

三玖「うん。いいよ」 

 

三玖は小動物のように俺のそばにぴったりと寄り添ってきた。 

 

情緒が不安定な五つ子達の中で、三玖は一番安定しており、出会った当初は気まずさがあったものの、早々に優秀な生徒になってくれた。 

 

俺が五つ子の家庭教師としてなんとかここまでやってこれたのは三玖という協力者の力が大きい。 

 

二乃や五月と違って、不満を口にしない三玖だが、俺は逆に心配になる。 

 

彼女だって人間だ。不満を中に溜め込んでいてもおかしくはない。それがいつか大爆発して、悲劇の引き金にならないとも限らない。 

 

彼女の内に秘めた不満を引き出し、ストレスを解消して成績向上につなげる。これは家庭教師の仕事だ。 

 

風太郎「あのさ三玖…」 

 

風太郎「なにか悩みはあるか?」 

 

三玖「どうして?」 

 

三玖は怪訝そうに俺を見ている。 

 

風太郎「パン屋のバイトも大変だろ。慣れないうちは俺もバイトだけで精一杯だった。勉強してる余裕もなかったのに、お前は勉強も頑張っている。」 

 

三玖「……///」 

 

風太郎「すごいと思うぞ。他の姉妹は勉強やバイト以外のこともやってるし」 

 

三玖「勉強やバイト以外のこと?」 

 

風太郎「なんでもない。で、そんな優秀なお前を見ていると少し心配になってな。悩みとかを溜め込んでしまってるんじゃないかと」 

 

三玖「フータロー……私のこと、見てくれてたんだ///」 

 

風太郎「そりゃ、一応お前のパートナーだから」 

 

三玖「……うれしい///」 

 

しばらく俺たちは無言で帰路を歩いた。三玖は俺の腕を 

 

肝心の悩みを聞き出せないのがもどかしいが、ここは口下手な三玖が自分の言葉で悩みを打ち明けてくれるのを辛抱強く待った。 

 

三玖「悩み、あるよ」 

 

家が近くなったところで、彼女が口を開いた。 

 

三玖「聞いてくれる?フータロー。絶対、笑わない?」 

 

風太郎「ああ、絶対に笑わん」 

 

三玖「……好きな人がいるんだ」 

 

風太郎「……は?」 

 

風太郎(定期テスト前の大事な時期に恋愛にうつつを抜かすとは馬鹿なやつだ) 

 

風太郎(……と、彼女たちに出会う前の俺なら一蹴しただろう) 

 

風太郎(だが、彼女たちと出会って、俺は人を好きになるという真剣さを、以前ほど馬鹿に出来なくなっていた) 

 

風太郎(とはいえ、三玖に好きな人がいるとは……) 

 

風太郎(誰だ?クソパン屋のバイト仲間か?それともクラスの奴か?) 

 

風太郎(どこの誰か知らないけど、そいつのせいで三玖が赤点とったら潰すぞ……ガキが)イライラ 

 

三玖「フータロー?顔険しいけど、大丈夫?」 

 

風太郎「そうか?」ピキピキ 

 

三玖「安心して。勉強は集中して頑張っているから」 

 

風太郎「お前に関してはその点は心配していない。でも、誰なんだ?好きな人って」 

 

三玖「知りたい?」 

 

三玖は真剣な眼差しで俺を見つめてきた。 

 

風太郎「あ、いや。言いたくないなら言わなくていい」 

 

聞くのが怖かった。 

 

三玖「もし、次の定期試験で、私が姉妹の中で1番だったら、教えてあげる」 

 

三玖「そしてフータローにお願い。もし、私が1番だったら。私のお願いを何でも1つ叶えてほしい」 

 

三玖「それくらい、いいよね?」 

 

三玖が俺の手をぎゅっと握りしめてきた。 

 

勉強の結果で何かを与えるというやり方は好きじゃない。テストの結果それ自体が、彼女たち自身の見返りだからだ。 

 

しかし、努力に報いるのも家庭教師の仕事だ。成績向上のためには飴と鞭をうまく使い分ける必要もある。 

 

だが、俺はこのときの三玖のお願いに、ただならぬ迫力を感じた。 

 

引き受ければ逃げることは出来ない。そのまま、心の臓を握りつぶされてしまうのではないかというくらいの気迫だ。 

 

どんな無理難題をふっかけられる?もしかして、家庭教師代をタダにしろって話か? 

 

俺の本能が警告を発している。 

 

風太郎「何でもって何だ?世界一の金持ちにしろとか、金銀財宝をよこせとか、そういう願いはちょっと」 

 

三玖「大丈夫。お金関係じゃないから」 

 

風太郎(ということは家庭教師代の話じゃないな) 

 

風太郎「法律違反も出来ないぞ?殺したい奴がいても俺は手を貸せない」 

 

三玖「それは自分でやるから大丈夫」 

 

風太郎「今の俺にできることか?」 

 

三玖「うん。今のフータローに出来ること」 

 

風太郎「それなら……まあ。予算は1万円以内だぞ。俺の全財産だ。五月御用達の高級レストランで奢りは出来ないからな!」 

 

三玖「約束してくれる?」 

 

風太郎「ああ。約束するよ。お前が姉妹の中で1番だったら、願いを叶えてやる。俺の全力で」 

 

三玖「やった」 

 

 

この時、自慰にも耽らず、禁欲的に勉強している三玖が願う事を叶えてやりたいという気持ちが、俺の中の本能の警告を上回った。 

 

だが、俺はこのときの三玖の表情に底知れない不安を感じずにはいられなかった。 

 

果たしてどんな無理難題を押し付けられることやら。 

 

 

風太郎「三玖は勉強を以前よりも頑張っているみたいだな」 

 

風太郎「好きな人がいるという悩みは心配だが、自慰もしていないようだし、それで駄目になることはないだろう」 

 

風太郎「問題は、他の姉妹か」 

 

風太郎「さて、次は誰を指導するか」 

 

 

風太郎(五月は週8回か。澄ました顔してこいつもやることやってるんだな) 

 

風太郎(別に性欲自体を否定する気はない。問題は、大事な定期テスト前に、勉強時間を削って自慰に耽っているという事なのだ) 

 

風太郎(逆に、それだけストレスが溜まっているという事であるなら、これは大きな問題だ) 

 

五月「ミートスパゲティカツカレー親子丼セット頼んでいいですか?」 

 

風太郎(前言撤回!こいつは食欲も性欲も強いだけだー!) 

 

五月「いやー、奢りっていいですね。上杉さんが突然、ファミレスに誘って来た時はどんな裏があるのか心配しましたが」 

 

五月「食べて栄養つけないと頭回りませんよ。で、今日はなんですか?」モグモグ 

 

五月「貧乏な上杉さんが奢ってくれるというというのなら、よほど大きな頼み事なんでしょう?」モグモグ 

 

風太郎「頼み事というよりは、勉強の指導なんだが。それに誘ったが、奢りじゃない」 

 

五月「ええっ!?男の人にサシで晩ご飯誘われたら、大体は奢りだって……一花が言って///あわわっ、勝手に勘違いしてすみませんっ」 

 

風太郎(ひどい勘違いだ……だが、指導失敗した時は奢りにしてごまかそう)

 

五月「……上杉さんの注文、水だけですよね……カツカレーのカツでも食べます…?(断腸の思い)」 

 

風太郎「いや、念の為、今日は水だけでいい。そんなことより五月。今日誘った訳はだな……お前の抱えているある問題を解決したくて」 

 

風太郎(図書館や学校で話せる話題じゃないし、他の姉妹がいたらややこしくなるからな。なんとかこいつ一人切り離して話したかった) 

 

五月「私の……問題ですか」 

 

風太郎「ああ。心当たりはあるか?」 

 

五月「もしかして、体重……あっ、いえ、体重は大丈夫ですよ!女子高生の±2SD以内には入っていますからっ……///」 

 

風太郎(志が低すぎませんかね) 

 

風太郎「正直俺はお前の体重が何kgであろうと興味はない。体重と一緒に偏差値も+2SDをオーバーしてくれるのならな。俺はお前に惚れるぞ」 

 

風太郎「8回。この数字に見覚えはあるかね、五月君」 

 

五月「8回……?これまで次郎系ラーメンを完飲した数……ですか?」 

 

風太郎「一旦食の話から離れてくれ。この回数が多ければ多いほど、お前のテストの点数が下がるんだ」 

 

風太郎(とは言っても直接自慰の回数とは伝えにくい。なんとかうまく指導して、自慰の回数を減らす方向に誘導しなければ) 

 

五月「それは確かに問題だと思いますが……見に覚えがありません」 

 

風太郎「そうだな、五月」 

 

風太郎「三玖が最近、お前の風呂が長いとボヤいていたぞ」 

 

五月「三玖が?」 

 

風太郎「三玖だけじゃない。二乃や四葉も言っていた。一花は……お前と同じくらい長いだろうけど」 

 

五月「お風呂が長い…?」 

 

風太郎(察してくれ、五月!お前、どうせ風呂でヤッてんだろ?引っ越してから個室なくなったよなぁ?流石に姉妹と一緒に寝ている寝室ではしないだろ?) 

 

五月「それと私の問題とナニが関係……8回……」 

 

五月「意味がわかりません。そんなにお風呂長いほうじゃないと思いますが」モグモグ 

 

風太郎(駄目だ。こいつ察しが悪すぎる…) 

 

五月「チェーン店ですが美味しいですね、たまにはファミレスのご飯も。ごちそうさまでした。上杉さん、これから私はデザートを頼もうと思いますが構いませんね?」 

 

風太郎「まだ食うのか…」 

 

五月「このデラックスパフェ、特盛で」 

 

風太郎(クソ。時間がかかるほど、失敗したときのリスク(奢り代金)がかさんでいく……!次が俺の財布的に最後のチャンスだ…) 

 

風太郎(なんとか、五月に回数が多いことを伝えねば) 

 

風太郎「あのな、五月」 

 

風太郎「昨日の夜、寝る前に何をした?」 

 

五月「何をって決まっているじゃないですか」 

 

風太郎「勉強はもちろんしたと思うがそれ以外で」 

 

五月「勉強以外、ですか」 

 

五月「……」 

 

五月は少し考え込んだ。 

 

五月「はて?勉強以外した記憶は特にありませんが」カタカタ 

 

スプーンを持つ手が震えている。 

 

五月「当たり前じゃないですか!テスト前ですから。勉強に集中していますよ、私は!」カタカタ 

 

こいつ、黒だ。 

 

この反応、絶対に疚しい事をしている。 

 

ここはもう少し、追い詰めてみるか…… 

 

風太郎「これで赤点だったら、みんな悲しむぞ」 

 

風太郎「勉強に集中せず、自分の快楽を優先した結果」 

 

風太郎「五月は落第。お前の場合、お前一人の問題じゃない」 

 

風太郎「一花も二乃も三玖も四葉も一緒に留年なんだぞ」 

 

風太郎「その原因が、お前の自堕落な行いだったとみんなが知ったらどう思うかな?」 

 

五月「あの、その……ああぅ……ごめんなさい」 

 

五月のパフェを食べる手が止まった。顔を真赤にして、己の行いを悔やんでいる様子だ。 

 

これで指導は成功だ!流石に反省して、次のテストまでは自重するだろう。 

 

風太郎「わかればいいんだ。これからは勉強に邁進するように」 

 

五月「はい……ですが、上杉さん、あなたはどうしているのですか?」 

 

風太郎「ん?」 

 

 

五月「私だって……別に楽しくてしている訳じゃないのですが……どうしてもしたくなる時はあるじゃないですか」 

 

五月「ですから……昨日はそういう日だったので……つい」 

 

五月「そういえば以前、一花から聞いたのですが……男の子は一日平均三回はしないと大変なことになると」 

 

五月「本当にそうなんですか?そんなにやったら馬鹿になりますよね?上杉さんは馬鹿じゃないから我慢しているんですよね?」 

 

五月「後学のために教えて頂きたいのですが、上杉さんは週何回くらいなんですか?」 

 

風太郎(まずい。思ったより深入りしてしまったっ……!勝利を確信した瞬間、思わぬ反撃を喰らったっ……!) 

 

五月「……」ジーッ 

 

風太郎(ここで流石に五月よりしていると答えたらあまりにもバツが悪い) 

 

風太郎(していないと答えるのがベターか?しかし、それはそれで心配される可能性もある……!常識的な範囲内で……嘘をついてみるか) 

 

風太郎(というか、俺友達いないから、周りが週何回なのかわからん……) 

 

風太郎(というか、一日3回が平均って一花情報は本当か?一花はナニを知っているんだ) 

 

風太郎「五月。周りに絶対言うなよ。約束だぞ」 

 

五月「はい。約束します」 

 

風太郎「俺の場合は週1回だな」 

 

五月「週1回、ですか……」 

 

風太郎(とりあえず無難な数字で置きにいったが) 

 

風太郎(100回とかありえない数ではぐらかした方が良かったかもな) 

 

風太郎(逆に無駄なリアル感が出ちまった……) 

 

風太郎「ほら、パフェ食えよ、五月。まだ残ってんだろ。早く帰って勉強しようぜ」 

 

五月「上杉さん……大丈夫ですか?」 

 

五月「私達に勉強を教えているせいで、する時間がないんじゃ」 

 

風太郎「いや、それはお前が心配する問題じゃないというか、俺個人の問題だし」 

 

風太郎(くそーッ!嘘をついたせいで心が痛いぜ!) 

 

五月「ですが、上杉さんは私の回数を心配してくれていたんですよね?」 

 

風太郎(追い詰めていたと思ったらいつの間にか追い詰められていたのは俺だった…?) 

 

五月「私にだって、あなたの事を心配する権利があります。パートナーですから」 

 

五月「それで、いつもはどこでしているんですか?らいはちゃんと暮らしていると難しいですよね?どういう工夫をしているんですか?」 

 

五月「あと男の人は、気持ちを高めるために……本とか、ビデオとかを使うんですよね?そこのところ、どうしているんですか?」 

 

五月「道具とか使っているんですか?した後に賢者になるって本当ですか?」 

 

風太郎「五月。興味津津なのはわかった。だが」 

 

店長「あのー、お客様。そういったお話はできれば、プライベートな空間でして頂きたく……他のお客様から苦情もありますので」 

 

五月「……///」ボッ 

 

食いかけのパフェを残して俺たちは逃げるように店を出た。 

 

 

五月「それでは、私も上杉さんを見習って勉強をがんばります」 

 

五月「上杉さんもどうかご自愛下さい」 

 

五月「もし、私にお手伝い出来ることがあれば……力になりますから」 

 

最後に意味のわからないことを言っていたが、なんとか五月の指導を成功させる事ができた。 

 

 

風太郎「ふぅ。この手の話で1番怒りそうだった五月をなんとか乗り切った……」 

 

風太郎「自信がついてきたぞ」 

 

風太郎「次は誰の指導をするか」 

  

 

一花「突然、こんな人気のないところに呼び出して何の用かな?」 

 

放課後、一花を校舎裏に一人呼び出した。 

 

風太郎「大事な話があるんだ」 

 

一花「愛の告白とかーーなんちゃって」 

 

風太郎「……」 

 

一花(まさか、だよね。フータロー君に限ってそんな事ないと思うけど)ドキドキ 

 

一花(そんな真剣な表情されたら、期待しちゃうよ)ドキドキ 

 

風太郎「俺たちを裏切っていないか?」 

 

一花「え?」 

 

一花の顔から血の気が引いたのがわかった。 

 

図星だ。勉強を疎かにして自慰に耽る、己の行いを恥じろ! 

 

一花「えっ……嘘。どういうこと、かな」 

 

一花は落ち着きなく、左耳のピアスを弄っている。 

 

風太郎「胸に手を当ててよく考えるんだ。俺と、他の姉妹。特に三玖を裏切っただろ」 

 

三玖は勉強に集中するという約束を守って、禁欲的に勉強している。 

 

そんな妹をこの姉は裏切り、夜な夜な時間を浪費して快楽を貪っているのだ。 

 

これを裏切りといわずして、なんと言う? 

 

一花「あっ、その……それは違くて」オロオロ 

 

一花「いつから、気がついたの……三玖はこの事、知ってるの?」 

 

風太郎「三玖は知らないだろう。俺も気がついたのは最近だ」 

 

一花「お願いっ……謝るからっ……他の子達には内緒にしてっ」 

 

一花(バレてた、バレてた、バレてた……!三玖のフリして、三玖の想いを踏みにじった事……!) 

 

一花(どうして?完璧な変装だったのに。このこと、三玖にバレたら全部終わる……三玖じゃなくても、多分、姉妹の誰も私の事、許さない) 

 

一花は涙目になって俺にすがりついてきた。あの一花が、ここまで動揺するとは想定外だった。 

 

内緒にするまでもなく、三玖以外の4人も同じ事をヤッているのだが…… 

 

長女故に、一花は五月よりも責任感と罪悪感が強いようだ。 

 

風太郎「他の姉妹に言えないような事、するなよ」 

 

一花「ごめんなさい……お願いだから、他の子には言わないで……」 

 

一花「何でもするからっ!三玖にだけは……言わないで……」 

 

一花は涙目になっていた。 

 

風太郎「何でもする覚悟があるんだな、一花」 

 

一花「……はい」 

 

ここはしっかり一花を教育しなくてはいけない。 

 

風太郎「そんな反省しているお前には……」 

 

一花「ううっ……ごめんっ……三玖……ごめんっ」ポロポロ 

 

風太郎「じゃじゃじゃ~ん!各教科1冊ずつの新しい問題集(手作り)だァー!」 

 

風太郎「合計5冊!内容は今のお前たちのレベルよりワンランク上だがな」 

 

風太郎「テスト範囲分を頑張って俺が手書きで写したんだぞ」 

 

風太郎「これをテスト2日前までに解いて俺に提出すること!」 

 

一花「……ん?」 

 

風太郎「言っておくが、今のお前じゃコレを完璧にこなそうと思ったら、それはもう寝る間も惜しんで取り組まないといけない」 

 

風太郎「だが、お前は寝る時間を削る前に、削る事が出来る時間があるはずだ」 

 

一花「あれ?フータロー君。どういうこと、かな?」 

 

風太郎「みなまで言うな。お前が反省しているのは十分にわかった」 

 

風太郎「何でもやるという覚悟を示したなら結果を残せッ!それが三玖へ唯一報いる道だ」 

 

一花(フータロー君はそう言い残して私に問題集を渡してクールに去っていった) 

 

一花(どうやら私が最も恐れていた事が起きた訳じゃないみたい) 

 

一花(結局、彼が何を思って私だけに問題集を追加で渡したのかは最後までわからなかった) 

 

一花(でも、その問題集の圧倒的なボリュームにげんなりしつつも) 

 

一花(私のために夜な夜な時間をかけて写してくれたであろう問題集の匂いを嗅ぐと) 

 

一花(ほんのり彼の汗の香りがして) 

 

一花「……」ムラムラ 

 

一花(今晩1回で最後。今晩だけだから。今晩スッキリしたら、次のテストまで我慢するぞー!) 

 

 

風太郎「一花への問題集作成で寝不足だ……でもその甲斐あって、一花はやる気を出して勉強に励んでいるみたいだな」 

 

風太郎「さて。残りは週3回組だ」 

 

風太郎「二乃と四葉、どっちから指導しようか」 

 

 

二乃「何?話って」ワクワク 

 

バイト終わりに二乃を厨房に呼び出した。 

 

奇しくもあの期末試験の打ち上げの時、二乃から予想だにしなかった想いを打ち明けられた場所だ。 

 

バイト終わりに大事な話がある、と伝えたら、二乃はその日の仕事はあまり手についていなかったようだ。 

 

彼女は週3回。バイトも一生懸命こなして、店長からの信頼は既に俺より厚いかもしれない。さらに、二乃は自分の手入れにも時間をかけている。 

 

そんな彼女に勉強を十分する時間は残っているのだろうか。夜更かしは美容の天敵とか言って1番寝ているのも二乃だ。 

 

自慰は美容の天敵ではないのか。少なくとも勉強の天敵なのは間違いないが。 

 

二乃「つまらない話だったら許さないから」 

 

目を爛々と輝かせながら、二乃はそう釘を指してきた。 

 

二乃の好感度は高そうだから、多少の無茶で自慰を辞めさせることも出来るかもしれない。 

 

他の姉妹だと、セクハラ騒ぎになってしまうリスクもあったが、ここは思う存分攻めるべきだ。 

 

風太郎「オ○ニーしすぎると馬鹿になるぞ」 

 

二乃「……え?」 

 

風太郎「いや、行為自体を否定する訳じゃないんだが」 

 

風太郎「テスト前に週3回もやるのはいかがなものかと思うんだ」 

 

風太郎「せめてテスト終わってからにしようぜ。三玖も勉強を頑張っているから」 

 

風太郎「お前より回数が多い一花や五月も今は心を改めて勉強に集中している」 

 

風太郎「そんな中、お前は取り残されてるんだぞ」 

 

風太郎「何も赤点を回避するだけが勉強じゃない。30点という赤点ラインは低すぎるしな」 

 

風太郎「お前も将来やりたいことをする時に、実はここで勉強を頑張っていたのが何かに生きるかもしれない」 

 

風太郎「赤点回避だけを目標にするんじゃなくて、より高い点数を目指そうぜ」 

 

風太郎「俺は……勉強する子が好きだからよ……」 

 

二乃「えっと、ごめん。フータロー、なにか心配してくれているのは伝わってきたわ」 

 

二乃「でもなんのことかしら?」 

 

風太郎「ええっ!?」 

 

二乃「心あたりがないんだけど。というか、最初、換気扇の風が強かったかしら?聞き取れなかったわ」 

 

風太郎(くそっ……!お前、いつから難聴になったんだよ!この歳で補聴器が必要なのか?) 

 

二乃「……」 

 

風太郎(このままじゃ指導失敗だ……どうする。どうする俺?) 

 

二乃「……」 

 

二乃はじっと俺の目を見つめていた。 

 

聞かれていなくてむしろ良かったのかもしれない。もしこれが二乃の耳に届いていたら、俺達の関係はもう元には戻らない可能性もある。 

 

よくよく考えたら、二乃は俺に幻滅するかもしれない。 

 

当然だ。突然、同級生の男に「自慰するな」「お前は週3回もしているんだろ?」なんて言われて気持ちがいい女の子がいるはずがない。 

 

それでも俺が踏み込んだのは、二乃が俺の事を好きだという保証があったからだ。 

 

だが、二乃が一方的に俺の事を好きだというだけで、俺達は別に付き合っているわけでもないし、心を通わせているわけでもない。 

 

そんな男から突然、土足で個人の触れられたくない領分にズカズカと踏み入られて気持ちがいい女がいるか? 

 

いるはずがない。二乃に聞かれなくて正解だ…… 

 

 

風太郎「オ○ニーしすぎると馬鹿になるぞって言ったんだよ!」 

 

二乃「は…?え?何?」 

 

風太郎(だがそんなの関係ねぇ!二乃が勉強に集中して、次のテストで良い点を取るッ!それが今の俺の望みであり、全てだ!) 

 

風太郎(その結果二乃に嫌われようが、俺は一向に構わん) 

 

風太郎(我が心と行動に一点の曇りなし!) 

 

風太郎「お前、オ○ニー週3回しているんだろ?知ってるんだぞ、俺」 

 

二乃「……」 

 

二乃「……その、さっきから何の話?お、おな?って何?」 

 

風太郎「……は?」

 

風太郎(このアマ、カマトトぶってるんじゃあねぇぞ!) 

 

しぶとい。さすが二乃。自分の非は最後まで認めないつもりか。 

 

風太郎「何度でも言うぞ。オナニーは馬鹿になるから我慢しろ」 

 

だが、覚悟を決めた今日の俺は例えるなら暴走機関車ッ!最後まで指導を完遂する計画に変更はないッ! 

 

二乃「だから、その、お、オナニーって何よ」 

 

風太郎「……え?知らないの?」 

 

二乃「……」 

 

風太郎「……」 

 

二乃「知らなきゃまずいの?」 

 

風太郎「ちょっと待て。お前、週3回しているよな?それは事実だろ?」 

 

二乃「……してないわよ。そもそもそれが何なのかわからないわ」 

 

風太郎「え?本当に、オナニー知らないの?」 

 

二乃「……そんなに言うなら教えなさいよ。それが、何なのか」 

 

風太郎「そ、それは……気持ちよくなることで……勉強の邪魔になることで……」モゴモゴ 

 

二乃「意味わからないわ。フータローにも教えられないことあるのねっ。勉強になったわ。それじゃあ、今日はここまで。バイバーイ」 

 

風太郎「待て、二乃!」ガシッ 

 

二乃「きゃっ」 

 

俺は立ち去ろうとする二乃の肩を掴んだ。 

 

だめだ。ここで帰られたら指導失敗になる。それに家庭教師として、教えるという行為から逃げる訳にはいかない。 

 

風太郎「教えてやる。耳の穴広げてよく聞けよ」 

 

二乃「……」ゴクッ 

 

二乃にオナニーとはなにか、しっかりと言葉で伝える必要がある。 

 

風太郎「一人で気持ちよくなることだ」 

 

二乃「……どうやって気持ちよくなるのよ」 

 

風太郎「方法は……性器や乳房を自分でイジることだ」 

 

二乃「……ッ///」 

 

風太郎「ただそれだけではない。物理的な刺激のみで得られる快感には限度がある」 

 

風太郎「好きな人の事を思って快感を得ること。それがオナニーだ」 

 

風太郎「お前は夜な夜な、自分で自分の性器を弄って、好きな人の事を思って一人で気持ちよくなってるんだよ!」 

 

風太郎「本来勉強するべき時間を使ってなァ!」 

 

風太郎「言い逃れできるか?認めろ!自分が、オナニーをしていた事を!」 

 

二乃「……っ……あー、もう認めるわよっ。あんたの事を想って一人でシてたこと」 

 

風太郎(そういやこいつ俺の事好きだったんだな……) 

 

二乃「これでも最近控えてたんだから……バカ」 

 

風太郎(じゃあテスト前は週何回やってんだこいつ。こいつらが馬鹿な原因はやはりオナニーのしすぎではないのか) 

 

二乃「で、あんたはどうなの?」 

 

風太郎「ん?」 

 

二乃「……あんただって男なんだからシてるんでしょ」 

 

風太郎「……」 

 

二乃「好きな人の事を思って快感を得ることって言ったわよね」 

 

風太郎「……」 

 

二乃「あんたは誰の事を思ってしてるのかしら?教えなさいよ!私だって教えたんだから!」 

 

風太郎「二乃、顔真っ赤だぞ」 

 

二乃「うるさいっ!」 

 

二乃「これだけは教えて。私の事を思ってしたこと、ある?」 

 

風太郎(正直に認めた二乃に対して、俺も誠意を持って答えることにしよう) 

 

風太郎「俺はお前の事を思ってしたことは」 

 

店長「ちょっと二人ともーそろそろ鍵閉めるから帰ってくれよー」 

 

風太郎・二乃「ビクッ」 

 

店長「ほら、帰った帰った。神聖な厨房で青春をおっぱじめられたらこっちも困るんでな」 

 

二乃「今日のところはこれくらいにしておいてあげるわ」 

 

二乃「もし、次のテストで、私があんたを満足させる点数。姉妹で1番高得点とったら、さっきの続き教えなさいよ」 

 

二乃「もしイエスなら、あんたも私の事好きってことでいいわよね?」 

 

二乃「もしノーなら……無理矢理でも私でさせてやるんだから」 

 

二乃「覚悟しててね、フー君♪」 

 

 

風太郎「さて、最後は四葉だな」 

 

風太郎「あいつ自慰なんて知りませんって顔して、やることしっかりやってるんだなぁ」 

 

風太郎(と、感慨に耽っている場合じゃない。最後の指導だ。気合を入れて取り組まねば) 

 

風太郎(だが、素直なあいつのことだ。俺の指導はきちんと聞いてくれるだろう) 

 

 

 

定期試験1週間前になって、流石に四葉も部活を休んで勉強を頑張っているようだ。 

 

だが、俺の目はごまかせない。 

 

四葉はまだ深いところで勉強を舐めている。 

 

なんとかテスト前までに自慰をやめさせたいところだ。 

 

四葉「上杉さん、最近疲れてませんかー?」 

 

風太郎「大丈夫だ、問題ない」 

 

確かに疲れているのは事実だ。想像以上にこの仕事は俺の勉強への負担を強めている。 

 

風太郎「俺のことより、四葉のことだ」 

 

自慰をやめさせねば。 

 

四葉「私のことなんてお気になさらずに!」 

 

風太郎「だが」 

 

四葉「そんなことより私が、上杉さんの悩み、聞いちゃいますよ!たまにはお役に立たせてくださいよっ」 

 

風太郎「今の俺の悩みはお前なんだがな」 

 

四葉「あはは……面目ない。でも上杉さん、無理してませんか?心配ですよ」 

 

風太郎「え…」

 

四葉「私に出来ることなら、上杉さんのお悩み、解決しちゃいますよ?」 

 

四葉はそう言って身を寄せてきた。 

 

他の姉妹は各々のアルバイトで不在にしており、特別成績の悪い四葉のために、彼女の家でマンツーマンで勉強を教えていた。 

 

四葉の匂いがする距離だ。五つ子の中でも、最初から四葉は距離が近かった。 

 

しかし香水もせず、小学生の頃からの下着を履いているお子様な四葉は、らいはのような妹に近い感じだ。 

 

彼女から女を感じることなど、なかったはずだ。 

 

だが…… 

 

四葉「色々溜まってませんか?」 

 

風太郎「うっ……」 

 

三玖が禁欲をしていると知って、他の姉妹にも禁欲を説いた手前、俺だけがするわけにもいかず、当然ずっと我慢しているのだが…… 

 

そのせいか、お子様の四葉とはいえ、この距離は危険だ。 

 

嫌でもノートの端に四葉の胸が見え、匂いが脳を揺さぶってくる。 

 

四葉「……」ジーッ 

 

風太郎「俺を見ている暇があったら勉強しろ」 

 

そう言って突き放すのが精一杯。 

 

今の俺の精神状態では、まともに四葉の指導ができそうもない。 

 

四葉「上杉さんのためなら、私、何でもしちゃいますよ。教えてください。お悩み」 

 

四葉の天使の囁きに俺はつい本音を打ち明けてしまった…… 

 

風太郎「最近、見えてはいけないものが見えてしまうんだ」 

 

最初は、らいはの顔に浮かんだ数字だった。 

 

それから五つ子の顔に数字が浮かんだ。 

 

1週間の自慰の数。ばかげている。 

 

だが、俺はその数字に吐き気を常に感じていた。 

 

澄ました顔をして、授業を受け、勉強して、バイトをして生活している彼女たちの裏の顔。 

 

生々しくて、爛れた夜の顔が、あの数字を見ているとずっと透けてくる。 

 

そんな中、俺は三玖のゼロという数字に救われたのだ。 

 

ゼロという数字は透明だった。数が多ければ多いほど、自己主張が強く、凝視できないほど艶やかな色をする。 

 

五月、一花、二乃。彼女たちを指導して透明にすることが、俺には必要だった。 

 

成績のために指導したというのは嘘っぱちだ! 

 

俺は、俺のエゴのために、彼女たちに自慰を禁じた。 

 

そして、最後に残った四葉。 

 

お前の顔にも数字が見える。 

 

週3回。別に自慰をすることは悪いことじゃあないさ。 

 

3回くらいなら健全だ。8回だって別に悪い数じゃない。俺だって暇な時はそれくらいするさ。 

 

だが、その数がお前の顔にずっと浮かんでいるせいで、俺は夜も眠れない。 

 

ずっとお前らの痴態が脳にこびりついて、いくら勉強をしても消せないんだ。

 

四葉「ゲゲッ、上杉さん、夜な夜な私達のどんな姿を想像していたんですか…!」 

 

風太郎「想像したくてした訳じゃねーよ!でもその数字を見ると……嫌でも浮かんでくるんだ!」 

 

四葉「……そういうとき、どうやって解消してるんですか?」 

 

風太郎「何度も何度も打ち消そうと勉強したが、さっぱりだ。最近じゃ寝不足で逆にケアレスミスが増えている」 

 

風太郎「くそっ……このままじゃ、次のテストでまた点数が下がってしまう」 

 

風太郎「どうすりゃいいんだよ……」 

 

四葉「上杉さん、私いい方法を思いついたんですけど」 

 

風太郎「本当か!」 

 

四葉「最後にしたのいつですか?」

 

風太郎「何を?」 

 

四葉「ナニをですよ」 

 

風太郎「……え?」 

 

そういえばずいぶんしていない。テスト前は常に禁欲しているが、今回の定期試験は1ヶ月以上前から集中勉強期間に入っていた。 

 

ゾーンに入った俺は自慰などしている暇はないのだ。 

 

四葉「溜め過ぎじゃないですか?健全な男子高校生はそれこそ1日3回はしないと病気になるって聞いた事があります!」 

 

四葉「上杉さんのそれは、多分、我慢し過ぎによる病気だと思うんですよね」 

 

四葉「一回、スッキリしたら、どうでしょうか?」 

 

風太郎「だが……家にはらいはもいるし……」 

 

四葉「今してもいいですよ」 

 

風太郎「…は?」 

 

四葉「手伝ってあげるっていったでしょ?」 

 

風太郎「……」ゴクッ 

 

続き↓

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五月「本当に鈍い人ですね……」 風太郎「……何か言ったか?」【五等分の花嫁ss/アニメss】

 

風太郎「らいは、帰ったぞー」 

 

風太郎「って、えっ」 

 

五月「……お帰りなさい」 

 

風太郎「……どうしてここにいる」 

 

らいは「わたしが呼んだんだよ」 

 

風太郎「らいは、どうして?」 

 

らいは「今日五月さんとお泊り会するの」 

 

風太郎「は?」 

 

らいは「今日お父さんいないし、お兄ちゃんと二人だけだと寂しかったの」 

 

らいは「……ダメ?」 

 

風太郎「………………いや、しかし」 

 

風太郎「おい五月。お前はいいのかよ」 

 

風太郎「というか断れよ」 

 

五月「断れるわけないじゃないですかっ」 

 

らいは『五月さんとまたお泊りしたいの…………ダメ?』 

 

五月「なんて言われたらっ」 

 

五月「可愛すぎて断れませんっ」 

 

風太郎「わかる。いやわかるけどな」

 

五月「あなたがいるのは不本意ですが、以前も泊まったことありますしね」 

 

五月「上杉くん、言っていたじゃないですか。『らいはの望みは全て叶えてやりたい』って」 

 

風太郎「くっ……」 

 

五月「まぁ、それが嫌ならあなたが出ていくべきでは」 

 

風太郎「ここは俺の家だぞ。野宿しろと?」 

 

五月「上杉くんなら大丈夫です。眠れますよ」 

 

風太郎「ふざけるな」 

 

五月「じゃあ、諦めてください」 

 

風太郎「…………わかった」 

 

風太郎「まぁ、前も泊めたことあるしな。今更か」 

 

らいは「わーい、やったぁ」 

 

五月「よかったですね、らいはちゃん」 

 

風太郎「ところでさっきから聞きたかったんだが」 

 

五月「はい? どうかしましたか」 

 

風太郎「お前のその持ってる皿は何だ?」 

 

五月「……これは」 

 

風太郎「いや言わなくていい。どうせおかわりだろう」 

 

風太郎「……ちなみにおかわり何回目だ?」 

 

五月「………………五回目です」 

 

風太郎「量は?」 

 

五月「………………全て山盛りです……」 

 

風太郎「お前はうちを破産させる気か」 

 

五月「仕方ないんです。らいはちゃんの料理が美味しいのが悪いんです」 

 

風太郎「責任転嫁するな。気持ちはよくわかるが」 

 

風太郎「というか、俺の分は残ってるのか? まさかとは思うが……」 

 

五月「だ、大丈夫です。ちゃんと残ってます」 

 

五月「の、残ってますよね? らいはちゃん」 

 

風太郎「声が震えるぐらいなら、おかわりするなよ……」 

 

らいは「大丈夫だよお兄ちゃん。ちゃんとお兄ちゃんの分もとってあるから」 

 

らいは「はい、お兄ちゃんの分」 

 

風太郎「おお、ありがとう。らいは」 

 

風太郎「そういえば、五月」 

 

五月「はい上杉くん、どうかしましたか?」 

 

風太郎「あいつらには言ったのか? うちに泊まるって」 

 

五月「友達の家に泊まると伝えておきました」 

 

風太郎「うちに泊まるとは言ってない?」 

 

五月「う、嘘は言ってませんっ」 

 

五月「らいはちゃんは友達ですから」 

 

五月「もちろん上杉くんも」 

 

風太郎「とってつけたように言わんでいい」 

 

風太郎「しかし……」 

 

五月「どうかしましたか」 

 

風太郎「いや、バレたら大変だな、と思ってな」 

 

風太郎「バレたら四葉辺りは絶対にうちに来たがる」 

 

風太郎「それどころか……」 

 

四葉『お泊り会っ。いいですね、楽しそうです。またやりましょうっ。是非やりましょうっ』 

 

風太郎「とか言い出しかねん」 

 

五月「その光景が目に浮びます……」 

 

風太郎「ウチに泊まったこと。あいつらには絶対に言うなよ。いいな?」 

 

五月「言われなくても、言いませんよ」 

 

五月「……変な勘繰りされそうですし」 

 

風太郎「なにか言ったか?」 

 

五月「いえ何も」 

 

五月「それよりも早く食べましょう。冷めてしまいますよ」 

 

らいは「五月さんの言う通りだよ。早く食べちゃって」 

 

らいは「はい、これ五月さんのおかわりの分」 

 

五月「ありがとうございます」 

 

五月「……うん、美味しいですね」 

 

風太郎「そうだろう、そうだろう」 

 

風太郎「でも、お前はもう食うな。おかわり禁止」 

 

五月「ええっ!? そんなぁ……」 

 

らいは「意地悪しちゃダメだよ、お兄ちゃん」 

 

風太郎「意地悪じゃない。こいつは明らかに食べすぎだ」 

 

風太郎「そんなに食べてると太るぞ」 

 

五月「……上杉くん」 

 

らいは「お兄ちゃん……」 

 

風太郎「なんだよ二人とも、その顔は」 

 

五月「いえ、別に。上杉くんがこういう人だってことはわかってました」 

 

らいは「ゴメンね、五月さん。お兄ちゃんデリカシーがなくて」 

 

五月「大丈夫ですよ。いつもこんな感じですからもう慣れました」 

 

らいは「お兄ちゃん……」 

 

風太郎「……勘弁してくれ」 

 

五月「寝るにはまだ早いですね……。何をしましょうか」 

 

風太郎「もちろん、勉……」 

 

らいは「トランプ!」 

 

らいは「五月さん、トランプやりましょう! トランプ!」 

 

風太郎「おい、らいは。そんなことよりも」 

 

五月「まぁまぁ、上杉くん。いいじゃないですか」 

 

らいは「そうだよ。せっかく五月さんが来てるんだもん。勉強よりも遊びたいよ」 

 

風太郎「そうか。じゃあ、お二人で……」 

 

五月「上杉くんもやるんですよ」 

 

風太郎「えっ、俺も?」 

 

五月「当然です。それにらいはちゃんの顔見てもそんなことが言えますか」 

 

らいは「お兄ちゃんも一緒にやろうよ……ダメ?」 

 

風太郎「仕方がないな」 

 

らいは「わーい、やったー」 

 

五月「よかったですね」 

 

風太郎「ただし」 

 

風太郎「やるからには手加減しないからな」 

 

五月「望むところです」 

 

らいは「五月さん、一緒にお兄ちゃんをボコボコにしましょうね」 

 

五月「ええ、らいはちゃん」 

 

風太郎「目の前で結託するなよ、お前ら……」 

 

 

風太郎「これでまた俺の勝ちだな」 

 

五月「ま、また負けた……」 

 

らいは「うわぁ……」 

 

風太郎「……何か言いたげだな」 

 

らいは「お兄ちゃん……大人げない」 

 

風太郎「元はと言えば、お前ら二人が結託したからだろうがっ」 

 

五月「ちょっとは手加減してくれてもいいと思うんですが」 

 

風太郎「睨むな、睨むな」 

 

風太郎「あと近い」 

 

五月「あっ……す、すみません」 

 

風太郎「ふぅ……わかった。ちょっとは手加減する」 

 

五月「面と向かって手加減すると言われると、それはそれでムカつきますね」 

 

風太郎「俺にどうしろと?」 

 

五月「私たちが気づかない程度に手を抜いて負けてください」 

 

風太郎「無茶苦茶だ」 

 

五月「今度は負けませんから」 

 

風太郎「お前ムキになりすぎだろ……」 

 

 

風太郎「おい、五月」 

 

五月「なんですか、上杉くん」 

 

風太郎「もういい加減やめないか」 

 

五月「まだ勝ってません」 

 

風太郎「勝ったじゃないか、らいはとそれぞれ一回ずつ」 

 

五月「一回だけじゃないですか」 

 

風太郎「一回勝てば十分だろ」 

 

五月「あなたはその10倍以上勝ってますよね」 

 

風太郎「お前が俺より勝つまでやるのか」 

 

五月「当然です」 

 

風太郎「いや、そろそろ本当にやめよう」 

 

風太郎「らいはも眠そうにしてるしな」 

 

らいは「ま、まだ……やれるよぉ、おにぃちゃん……むにゃむにゃ」 

 

五月「あっ」 

 

風太郎「な?」 

 

五月「わかりました。次の機会にしましょう」 

 

風太郎「次があるのかよ……」 

 

風太郎「らいは、もう寝よう」 

 

らいは「やだぁ……せっかく五月さんとお泊りなんだもん……」 

 

らいは「……もっと……遊んだりおしゃべりしたいよ……むにゃむにゃ」 

 

風太郎「また今度すればいい」 

 

らいは「……こんどじゃなくて……いまが、いい……」 

 

五月「らいはちゃん、また今度遊んだりお喋りしたりできますから」 

 

五月「それに、まだ明日もありますよ」 

 

五月「明日遊ぶために今日は寝ましょう」 

 

らいは「……うん………………すぅ……すぅすぅ」 

 

風太郎「さて布団敷いて、俺たちも寝るか」 

 

五月「そうですね。…………はっ」 

 

風太郎「何故俺から離れる」 

 

五月「いえ、またあなたと同じ部屋で寝ると思うと身の危険を」 

 

風太郎「もう何回か一緒の部屋で寝てるだろ。その時も何もしなかっただろ」 

 

五月「それはそうですけど……」 

 

風太郎「安心しろ。変なことは絶対にしない」 

 

五月「……まぁ信じてますけど」 

 

風太郎「それじゃ電気消すぞ」 

 

五月「はい、どうぞ」 

 

風太郎「おやすみ」 

 

五月「おやすみなさい」 

 

………… 

 

 

「…………起きてますか、上杉くん……」 

 

「……起きてるなら目を開けてください」 

 

「反応がないですね……頬っぺた抓ってみましょうか」 

 

「……どうやら狸寝入りではないようです」 

 

「……朝ですよ。起きてください」 

 

「起きないですね……」 

 

「上杉くんの寝顔……」 

 

「……意外と可愛らしいですね」 

 

「……というかいつもこのくらいなら」 

 

「いえ、それはないですね」 

 

「………………少し悪戯してみましょうか」 

 

「……やっぱりやめましょう。バレたら酷いことになりそうです」 

 

「上杉くん、起きてください」 

 

「……全然起きませんね」 

 

「……やはり悪戯を」 

 

「仕方ないです。なかなか起きない上杉くんが悪いんですから」 

 

 

風太郎「おい」 

 

五月「うひゃあぁぁぁっ!?」 

 

五月「び、びっくりしましたぁ……。いきなりなんですか。起きてるなら起きてると」 

 

風太郎「それはこっちの台詞だ」 

 

風太郎「お前何してた?」 

 

五月「え、えっと……」 

 

風太郎「顔を逸らすな。こっち向け」 

 

風太郎「で、何やってた」 

 

五月「………………寝ている上杉くんに悪戯をしてました」 

 

五月「……その……すみませんでした」 

 

風太郎「悪戯って具体的なんなんだよ」 

 

風太郎「目が覚めたらお前の顔がどアップで飛び込んできたから驚いたわ」 

 

五月「本当にすみません……」 

 

風太郎「というか起こすにしても早すぎないか。まだ4時じゃないか」 

 

五月「その……目が覚めちゃって」 

 

風太郎「じゃあ、二度寝しろよ」 

 

五月「寝ようとしましたよ。だけど眠れなかったんです」 

 

五月「そんな中、気持ちよさそうに眠ってる上杉くんを見て……」 

 

五月「ちょっとムカついて」 

 

風太郎「おい」 

 

五月「……あの」 

 

風太郎「ん?」 

 

五月「外、出ませんか?」 

 

五月「このままここで話してるとらいはちゃんまで起こしちゃいそうですし」 

 

風太郎「俺ならいいんかい」 

 

五月「上杉くんなら別に」 

 

五月「だって、あなたなら早起きしたらしてで喜びそうですし」 

 

五月「『よし勉強ができる』みたいな感じで」 

 

五月「でしょう?」 

 

風太郎「……あながち否定できない」 

 

五月「……まだ暗いですね」 

 

風太郎「当たり前だろう。4時だぞ」 

 

風太郎「それで外に出たのはいいが、どうするんだ」 

 

五月「少し歩きましょうか」 

 

五月「まだ少し寒いですね」 

 

風太郎「歩いていればそのうち暖かくなる」 

 

五月「……こういう時は女の子に上着を貸すところでは」 

 

風太郎「それだと俺が寒くなる」 

 

五月「……そういえば林間学校で一花に貸してませんでしたっけ?」 

 

風太郎「ははは……よく覚えてらっしゃる……」 

 

五月「一花には貸して、私には貸してくれないんですか?」 

 

風太郎「……わかった、貸すから。貸すから睨むな。あとこっちに迫って来るな」 

 

五月「わかればいいんです」 

 

五月「…………上杉くんの匂いがします」 

 

風太郎「嗅ぐなよ。あと嫌なら脱いで返してくれ」 

 

五月「嫌とは言ってません。ちゃんと着ますよ」 

 

風太郎「そうしてくれ。お陰様で俺は寒くなったが」 

 

五月「歩いていれば温まりますよ」 

 

風太郎「鬼か」 

 

五月「さきほどあなたが言っていた言葉なのですが」 

 

風太郎「……そんなこと言ったか。覚えがないぞ」 

 

五月「とぼけないでください」 

 

風太郎「悪い」 

 

風太郎「お前……顔赤くないか?」 

 

五月「はい?」 

 

風太郎「熱でもあるのか?」 

 

五月「……ないですよ。大丈夫です」 

 

風太郎「本当か?」 

 

五月「ひゃっ!?」 

 

五月「なんですかっ!? い、いきなり額に手を当てて」 

 

風太郎「熱は……ないみたいだな」 

 

五月「だ、だから、大丈夫だと……」 

 

五月「あといきなりはやめてください。びっくりします」 

 

風太郎「悪い。しかし、本当に大丈夫か」 

 

五月「……少し歩いて身体が温まっただけですよ」 

 

風太郎「そんなに大した距離歩いていないと思うんだが……」 

 

五月「とにかく大丈夫ですっ」 

 

風太郎「お前が大丈夫って言うならいいが、無理するなよ」 

 

五月「本当に鈍い人ですね……」 

 

風太郎「……何か言ったか?」 

 

五月「いえ、何も」 

 

五月「それにしても上杉くんらしくないですね」 

 

風太郎「何が?」 

 

五月「私の体調を心配してくれるところですよ」 

 

風太郎「俺はそんなに人でなしじゃないぞ。まったく」 

 

五月「ふふふっ、失礼しました」 

 

風太郎「……まあ、体調が悪いと集中して勉強ができないからな。それだけだ」 

 

五月「上杉くんらしいですね」 

 

風太郎「なんで笑ってる」 

 

五月「上杉くんには教えません。自分で考えてください」 

 

五月「あ、コンビニがありますよ。入りましょう」 

 

風太郎「誤魔化したな」 

 

風太郎「あ、おい……待て」 

 

五月「さて、どれにしましょうか」 

 

風太郎「どうして弁当を見てるんだ……」 

 

五月「冗談ですよ」 

 

風太郎「お前がやると洒落にならん」 

 

五月「酷いです。私のこと食いしん坊キャラだと思ってませんか」 

 

風太郎「事実だろうが」 

 

五月「確かに少々人より食べる量が多いですけど」 

 

風太郎「少々っていうレベルじゃねぇぞ」 

 

五月「……そういうこと言うんでしたら買ってあげませんよ」 

 

風太郎「俺は食べないぞ」 

 

風太郎「というか何を買うつもりなんだ。……まさか、弁当を」 

 

五月「違いますよっ」 

 

五月「朝食のデザートにデザートをらいはちゃんに買っていこうとしたんです」 

 

五月「まったく上杉くんは……」 

 

風太郎「すまん……」 

 

五月「失礼な上杉くんにはデザートはなしで、らいはちゃんと二人で食べます」 

 

五月「上杉くんは食べたかったら自分で買ってください」 

 

風太郎「別にデザートはなくていいな」 

 

五月「なっ」 

 

風太郎「なんだよ、その予想外だと言いたげな顔は」 

 

五月「本当に予想外ですよっ」 

 

五月「どうして欲しいって言わないんですかっ」 

 

風太郎「いや、いらないからだけど」 

 

五月「むぅ……」 

 

風太郎「何故膨れる」 

 

五月「……言いたくありません」 

 

風太郎「あ、わかったぞ。俺に懇願させようとしたな?」 

 

五月「…………お察しの通りです」 

 

風太郎「悪いがデザート如きで俺は懇願したりしないぞ」 

 

風太郎「らいはと二人で食べればいい」 

 

五月「ちゃんと上杉くんの分も買いますよ」 

 

風太郎「本当にいらないんだが」 

 

五月「あのですね、私とらいはちゃんの分はあるのにあなたの分がなかったら、らいはちゃんが勘繰るでしょう?」 

 

五月「『もしかして自分のいない間に喧嘩でもしたのか』と」 

 

五月「それに……上杉くんには日ごろお世話になっているので」 

 

五月「これぐらい奢らせてください」 

 

風太郎「まぁ、そういうことなら」 

 

風太郎「あー……ありがとな」 

 

五月「いえ……」 

 

五月「さて、お好きなのを選んでください。どれでも大丈夫ですよ」 

 

風太郎「…………迷うな」 

 

五月「ですね。悩ましいです」 

 

 

風太郎「さて、帰るか」 

 

五月「そうですね。デザートを選ぶのに時間かかってしまいました」 

 

風太郎「空も明るくなってきたな」 

 

五月「らいはちゃん、もう起きてるでしょうか」 

 

風太郎「どうだろうな。流石にまだ早いと思うが」 

 

五月「起きた時、家に誰もいないと驚いちゃいますよね……」 

 

五月「らいはちゃんが起きてしまう前に帰りましょう」 

 

風太郎「そうだな」 

 

風太郎「五月、袋こっちに寄こせ」 

 

五月「? ……どうぞ」 

 

五月「どういう風の吹き回しですか?」 

 

風太郎「なんだよ。俺がこういうことしちゃおかしいか?」 

 

五月「おかしいと思います」 

 

風太郎「躊躇わずに言ったな……」 

 

五月「でも、いい気遣いだと思いますよ」 

 

五月「いつか彼女が出来た時も是非そうして上げてください」 

 

風太郎「そんな予定は今のところない」 

 

風太郎「というか、何故俺はお前にアドバイスされている?」 

 

五月「だって、上杉くんは気遣いとか出来るタイプじゃないでしょう?」 

 

五月「私なりに少しは心配してるんですよ」 

 

風太郎「余計なお世話だ」 

 

風太郎「お前は自分の成績のことだけ心配してろ」 

 

五月「……それは……その通りですね」 

 

風太郎「それに、俺が袋を持ったのはお前が朝食までに食べてしまわないようにするためだ」 

 

五月「なっ」 

 

五月「失礼ですよっ。私はそんなことしませんっ」 

 

風太郎「信じられるかっ」 

 

 

らいは「お兄ちゃん、五月さん、二人でどこ行ってたの?」 

 

風太郎「らいは、起きてたのか」 

 

らいは「目が覚めた時、二人ともいなかったから心配したんだから」 

 

五月「すみません、らいはちゃん」 

 

らいは「デートならデートって書き置きを残してよっ」 

 

風太郎、五月「「デートじゃない(ですっ)」」 

 

らいは「え? 違うの?」 

 

風太郎「違う。だいたいどこにこんな朝早くからデートしてる奴らがいるんだ」 

 

らいは「だって二人ともいなかったからてっきり……」 

 

五月「らいはちゃん。そもそも私たちは付き合ってませんよ」 

 

五月「というか上杉くんとそういう関係になるとか……ありえませんね」 

 

風太郎「それはこっちの台詞だ。お金を払われてもお断りだね」 

 

五月「むっ……」 

 

風太郎「くっ……」 

 

らいは「まぁまぁ、お兄ちゃん、五月さん。落ち着いて」 

 

らいは「それで五月さん。どこに行ってきたんですか?」 

 

五月「あまりにも早く起きてしまったので、ちょっと散歩に」 

 

らいは「お兄ちゃんが持ってるその袋は?」 

 

風太郎「これか? 途中、コンビニに寄ったんだ」 

 

らいは「あっ、プリンだ」 

 

五月「朝食のデザートに、と思いまして買ってきてしまいました」 

 

五月「私の奢りです」 

 

らいは「わーい、やったっ」 

 

らいは「ありがとうっ、五月さん」 

 

五月「ふふっ、どういたしまして」 

 

 

らいは「んーー、プリン美味しいです」 

 

五月「喜んでもらえてよかったです」 

 

らいは「五月さん、本当にありがとうっ」 

 

五月「らいはちゃん、本当にいい子ですね……」 

 

風太郎「当たり前だ。俺の妹だからな」 

 

五月「あなたを見て、よく素直に育ちましたね。奇跡ですね」 

 

風太郎「おい、なんだそれは。まるで俺がひねくれてるようじゃないか」 

 

五月「自覚ないんですか。あなたは結構ひねくれてますよ」 

 

五月「じゃあ、逆に聞きますけど、自分のこと素直だと思いますか?」 

 

風太郎「………………」 

 

五月「ほら」 

 

 

五月「ではそろそろお暇しますね」 

 

らいは「五月さん、もう帰っちゃうの……」 

 

五月「うぅ……も、もうちょっとだけなら」 

 

風太郎「おいおい。このやり取り何回目だよ……」 

 

風太郎「らいは。五月にも都合がある。また遊びに来てもらえばいい」 

 

らいは「……五月さん、また来てくれる?」 

 

五月「もちろんです。お泊り会もまたしましょうね」 

 

らいは「やったっ」 

 

風太郎「またお泊り会やるのかよ……」 

 

五月「あなたはいなくてもいいんですよ」 

 

風太郎「お前な……」 

 

五月「ふふっ、冗談ですよ」 

 

風太郎「冗談に聞こえないぞ……」 

 

五月「……では、おじゃましました」 

 

らいは「またいつでも遊びに来てくださいね」 

 

風太郎「週明け、学校でな」 

 

風太郎「予習、復習はちゃんとやれよ」 

 

五月「言われなくてもわかってますよ」 

 

風太郎「あと宿題忘れるなよ」 

 

五月「………………」 

 

風太郎「おい」 

 

五月「……問題ありません。大丈夫です」 

 

風太郎「目を逸らしながら言っても説得力がないぞ」 

 

風太郎「すっかり忘れてたな?」 

 

五月「はいぃ……」 

 

風太郎「……五月、今日の用事は全部キャンセルしろ」 

 

風太郎「俺が特別にスパルタで教えてやる」 

 

五月「いえ、大丈夫です。宿題ぐらい一人でできます」 

 

風太郎「信用ならん。早く家に戻って勉強道具を取ってこい」 

 

五月「いぃやぁぁぁぁーーーーっ」 

 

 

 

 

 

 

元スレ

https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1558203253/

一花「とりあえず……する?」 風太郎「ナニをするつもりだ!?」【五等分の花嫁ss/アニメss】

 

一花「ビーマイベイベー♪ビーマイベイベー♪アッフゥフン!」 

 

風太郎「なにやってるんだ、お前」 

 

一花「うわっ、びっくりした!? もう、おどかさないでよ! いるならいるって言ってくれればいいのに」 

 

風太郎「別におどかすつもりはなかったんだが……」 

 

一花「うわーメチャクチャ恥ずかしい。他の人、いたりしないよね?」 

 

風太郎「幸いにも俺一人だから心配するな。つうか、ホントにどうした? まさかとは思うが、仕事と勉強からくる疲れが蓄積してついに心が壊れてしまったのか?」 

 

一花「あはは、違う違う。今度出演するCMの練習してただけだよ」 

 

風太郎「CM? へえ、どんなCMなんだ?」 

 

一花「結構がっつり聞いてくるね、フータロー君……一応まだ公には出せないやつだから、絶対秘密にしてくれるって言うなら、特別に教えてあげてもいいよ」 

 

風太郎「そうか。じゃあ無理に聞く必要もないな」 

 

一花「ちょっ! そこは押してでも聞くところじゃない!?」 

 

風太郎「いや、そこまで興味ない」 

 

一花「相変わらずデリカシーがないっていうか、乙女心のなんたるかがわかってませんなー」 

 

風太郎「悪かったな、デリカシーのない男で。そんなことより、さっさと勉強始めるぞ。今は少しでも時間が惜しい」 

 

一花「ああもう、わかったってば! 教えるから! タダで教えるからもうちょっと食いついてよ! コミュニケーションとろうよ!」 

 

風太郎「しょうがねえな。そこまで言うなら聞いてやらないでもない」 

 

一花「いいようにもてあそばれてる気がするなー。ま、いいか…実は今度、シャンプーの新作が出るんだけど、そのCMに出演することが決まってさ。結構大きな仕事だからきちんと練習しておこうかと思って、歌いながらステップしてたわけ」 

 

風太郎「シャンプーのCMで歌とステップ? イロモノ系…とかじゃないよな」 

 

一花「変なのではないよ。最近では珍しいタイプだとは思うけど。『いち髪』って名前のシャンプーだから、私の名前とかけてるのかも」 

 

風太郎「ああ、一花だけに……」 

 

一花「ちょっとオヤジギャグっぽいよね」 

 

風太郎「まあな。で、CMの内容は?」 

 

一花「ふふっ、気になってきた?」 

 

 

風太郎「……少し」 

 

一花「素直なフータロー君に免じて、教えてあげましょう。BE MY BABYの曲に合わせて私がノリノリでステップ踏んで踊ります! それだけ!」 

 

風太郎「それだけ!?」 

 

一花「うん。それだけ」 

 

風太郎「はあ…期待した分、なんかすげえ損した気分だ」 

 

一花「ひど!? セリフが少ない分、演技力もかなり試されるんだよ!」 

 

風太郎「……まあ、言われてみればそうだな。ものの数十秒にかかってる金額だってバカにできないだろうし、適当なものを企業側が許すはずもないか」 

 

一花「そうそう! こういう演技力が試される仕事って、結構燃えてくるんだよね」 

 

風太郎「お前にはうってつけの仕事ってわけだな」 

 

一花「それ、褒めてるのか貶してるのかビミョーにわかりにくいんだけど」 

 

風太郎「まさか。褒めてるさ、それも掛け値なしで」 

 

一花「っ!? えっ、ホント!?」 

 

風太郎「ああ。俺には演技のなんたるかなんてこれぽっちもわからないが、どういう女優が人から求められるのかぐらいは想像がつく」 

 

一花「ほうほう」 

 

風太郎「容姿やキャラクターは当然重要だろうが、なによりもまず──上手な嘘がつける女優は食いっぱぐれることはない……違うか?」 

 

一花「間違ってはない、と思う。もちろん例外はあるだろうけど……それにしても…へえ、フータロー君も演技に関して思うところがあるんだ。それって、私が演技の世界に入ったから?」 

 

風太郎「……まあ、多少は影響あるだろ」 

 

一花「あらー、照れてる? 顔真っ赤だよ、フータロー君」 

 

風太郎「うるせえ。人をおちょくってる暇があるなら、練習の一つでもしろよ」 

 

一花「はーい! じゃあ、まずは先生のお手本を見せてほしいでーす!」 

 

風太郎「誰が先生だ! いつ俺がお前の教師になった──いや、教師ではあるか」 

 

一花「ふふふふふっ。照れ屋さんな先生もかわいいですなあ」 

 

風太郎「くそっ…! ほらっ、台本寄こせ! 一回だけ付き合ってやるから、それが終わったら勉強に移るからな」 

 

カチッ(ボイスレコーダーのスイッチを入れる音) 

 

一花「わかってるよ。もしかすると、フータロー君の演技を見るのはこれが初めてかも……最初の演技だからとか気にしないで、自分の気持ちを嘘偽りなく真っ直ぐぶつけて」 

 

風太郎「ああ。本気のやつ見せてやるから覚悟しとけ」 

 

 

一花「……うん。どんなの見せてくれるか楽しみだよ」(愉悦) 

 

 

 

 

風太郎「もう離さない~、君が~全てさ~、ビーマイベイベー、ビーマイベイベー」 

 

 

(デッデッデッデッデッ) 

 

 

カチッ(テープを止める音) 

 

風太郎「ん? 今なんか変な音がしなかったか?」 

 

一花「君がそこまで言うなら仕方ないよね。私はもちろんオッケーだから…それじゃ、これから末永くよろしくお願いします」 

 

風太郎「……はあ? お前一体なに言って──」 

 

一花「はい。これなーんだ?」 

 

風太郎「ボイスレコーダー」 

 

一花「今、フータロー君はなんて言ってたっけ?」 

 

風太郎「ビーマイベイベー」 

 

一花「だよね。だから、私はオッケーしたんだよ」 

 

風太郎「すまん。ちょっと意味がわからない」 

 

一花「ええー、フータロー君って頭良いんじゃなかったっけ? これぐらいの英語はすぐ理解してくれないと困るよ」 

 

風太郎「違う! 俺が言いたいのはそういうことでは──」 

 

一花「違わないよ」 

 

風太郎「……っ!!??」 

 

一花「フータロー君は『俺の彼女になってくれ』って言ったでしょ。だから私はイエスと答えた。そこにおかしなところはないよ」 

 

風太郎「いや、今のは演技指導の一環として言っただけであって、本気で告白したわけじゃない!」 

 

一花「はい」カチッ 

 

 

『自分の気持ちを嘘偽りなく真っ直ぐぶつけて』 

 

『ああ。本気のやつ見せてやるから覚悟しとけ』 

 

『……うん。どんなの見せてくれるか楽しみだよ』 

 

『もう離さない~、君が~全てさ~、ビーマイベイベー、ビーマイベイベー』 

 

 

風太郎「」 

 

一花「最高の、告白だったよ」(うっとり顔) 

 

風太郎「いやそれはおかしい」 

 

一花「おかしい? 証拠はここ。言質はとったし、あとは実際にカップルらしいことするだけなんだけど……とりあえず──する?」 

 

風太郎「ナニをするつもりなのかは知らないが、俺は絶対認めないぞ!」 

 

一花「ナニってそれは──女の子にそういうこと言わせようとするのは、お姉さんちょっと大人げないと思うな……もしかしてそういうプレイ好き?」 

 

風太郎「黙れ。いいからレコーダーをこっちに寄こせ」 

 

一花「うわお、こわーい。でもダメだぞ。フータロー君は今まで思わせぶりなこと言って、私のことずっと困らせてきたんだから。これはその仕返し…みんなに優しくする癖に、誰かの一番になることもなくフラフラしてたら、恨まれたりもするでしょ。私はね、フータロー君のそういうとこがずっと大好きで、ずっと憎かった。どうしてこの人は私のモノにならないんだろう──これだけアピールしてるのに、なんで振り向いてくれないんだろう。そんなことを四六時中考えてた。仕事のときも、学校のときも、勉強のときも、姉妹みんなで過ごしているときも、ずっとずっとずっとずっと、君のことを考えてた」 

 

 

風太郎「」 

 

 

一花「君の特別になりたい。君の一番になりたい。どうすれば君の心を掴めるんだろうって考えて…考えて考えて考えた末の結論が、これ。君が異性との色恋に関して受け身だって気がついてからは、早かったよ。いわゆる既成事実ってやつだけど、引っ付いてしまえば君はきっと離れない。離れられない。責任感が人一倍強いから、誰かと結ばれてしまえば最後、籠の中の鳥みたいに静かで大人しくしてくれる。君を求める女はいっぱいいるだろうし、そちらに目移りしちゃうときもあると思う。でも、罪悪感が枷になって行動には移せない。誰かを裏切る悪い自分を、君はきっと許すことができない」 

 

 

風太郎「お、お前……」(驚愕) 

 

一花「だから、無理やりにでも引っ付いた方が早いって気づいたんだ。これからは君の髪も、肌も、瞳も、爪も、唇も、全部全部全部全部、私のモノ。もう離さない。誰にも渡さない。絶対に五等分になんかしない」 

 

風太郎「ヒッ…ヒィィェェァァ…」 

 

一花「ある人がね、私にこう言ってくれたんだ。『我慢せずにしたいことしてほしい』ってさ。あのとき、自分を縛る鎖から解放された気がした──私は私のままでいいんだって、そう思えた」 

 

風太郎「あ、開かない──なんで、入るときは鍵開けたままにしていたのに──誰か! 誰か助けてくれ! 誰かー!!」ガンガンッ!! 

 

 

 

一花「これからはずっと一緒だよ、フータロー君」 

 

 

風太郎「ぎゃあああああああぁぁぁぁ!!!!」 

 

 

 

 

〈数年後〉 

 

 

一花「そうやって、ママはパパと結ばれたんだよ」 

 

??「へえ、すごーい。じゃあ私もパパに同じことするー」 

 

一花「ダーメ。パパはママのものだから、するなら他の人にしなさい」 

 

??「ええー!? けちー」 

 

 

風太郎「血は争えないな…」ブルブルブルッ 

 

 

 

 

 

 

元スレ

https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1564906686/

五月「あっ、ちょっと中はダメッ!あっ」 【五等分の花嫁ss/アニメss】

 

風太郎「ニ乃と別れたい」

 

五月「!」 

 

風太郎「はぁ…… 

 

五月「上杉君、今すごい事口走りませんでしたか?」 

 

風太郎「ん?もう過去問1年分解けたか?採点と解説するか」 

 

五月「まだですが…… 

 

風太郎「勉強に集中しろよ。そろそろ本番も近いだろ。今年こそは合格、だろ?」 

 

五月「それはもちろん!ですけど、今とんでもない発言が」 

 

風太郎「なんか言った?」 

 

五月「二乃と……別れたいとかなんとか」 

 

風太郎「!」

 

風太郎「そんな事お前の前で言っていたのか、俺……はぁ……疲れてるなぁ」 

 

五月「最近ため息多いですけど、二乃と喧嘩でもしました?」 

 

風太郎「喧嘩ってわけじゃないが……すまん、お前も大事な時期だよな。気にすんな、勉強するぞ」 

 

五月「愚痴くらい聞きますよ、いつも大したお礼も出来てませんので、それくらいは……ほら、今日はもう3時間も家庭教師して貰っていますし!」 

 

風太郎「はぁ……聞いてくれるか、五月」 

 

風太郎「来年俺大学卒業で、今年二乃が短大卒業だよな」 

 

五月「はい。時の流れは早いですね」 

 

風太郎「で、二乃の奴、最近会う度にあの話してくるんだよ。結婚の話……あいつ、卒業したらすぐ結婚したいんだとよ」 

 

五月「け、結婚!?早すぎじゃないですか!?」 

 

風太郎「だよな!お前ならわかってくれると思っていたよ!」

 

五月「ですが、女の子なら憧れちゃいますね、花嫁衣装」 

 

風太郎「しかし俺達まだ21かそこらだぞ。俺に至ってはまだ就職も決まってないし、学生の内から結婚とか無理だろ」 

 

風太郎「大学の勉強の傍ら、バイトして家に金入れなきゃならんし、これから就職活動や卒業研究とかも始まって忙しくなるのに」 

 

風太郎「はぁ…… 

 

五月「はっきり言えばいいじゃないですか。結婚はもうちょっと待ってって」 

 

風太郎「もちろん伝えたぞ。そうしたら一回大喧嘩になって。宥めるの大変だったんだから。あいつ、へそ曲げたらマジで面倒くさい」 

 

五月「あ~それはわかりますね……私も高校生の頃大喧嘩して……あのときは大変お世話になりました」 

 

風太郎「で、それから1ヶ月くらいは結婚の話はお互いしないようにしていたんだけど。最近、また、ニ乃の結婚熱が高まってきてな」 

 

風太郎「会う度に週末の予定聞かれる。どうやらお父さんと三人でご飯食べに行きたいらしいんだ」 

 

五月「お父さんと……うわぁ、それは大変ですね」 

 

風太郎「他人事のように言いやがって。お前のお父さんでもあるだろ。食事の時どんな会話すればいいんだ?」 

 

五月「私も二人で食事は……高校生の時、1回だけで……。みんなで食べるときは二乃が会話盛り上げてくれますけど、基本的に二乃以外とは距離ありますから」 

 

風太郎「高校生の時かなりイキった発言しちまったからなぁ……会うの恥ずかしいし。で、のらりくらりとかわしている訳だけど」 

 

風太郎「そしたら今度、あいつ俺の親に会いたいって。はぁ…… 

 

五月「いいじゃないですか、親紹介するくらい。高校生の時何度か会ってますから、初対面ってわけじゃないでしょうに」 

 

風太郎「いや、この防衛ライン突破されたらいよいよな気がする。外堀埋められて後がなくなるぜ」 

 

五月「で、別れたい、と。結婚迫られただけで二乃の事嫌いになっちゃったんですか?小さい男……」ヒキッ 

 

風太郎「……はぁ」 

 

五月「ご、ごめんなさい!そんな落ち込むとは思わなくって!」 

 

風太郎「まだある。これは付き合ってしばらくしてわかったんだが、あいつの本性って、出会った時の意地悪い性格なんだなーって思うんだ」 

 

風太郎「最初の1年くらいは二乃は俺の事色々立ててくれるし、料理はうまいし、いじらしいし、最高の彼女だぜ!って思ってたけど」 

 

五月「あー、付き合いたての頃は毎回会う度に二乃とのこと自慢してくれましたよね、独り身の私に!」 

 

風太郎「その節はすまなんだ。でも1年くらい経ってお互い慣れてくるとさ、相手の本性が色々見えてくるんだよ」 

 

風太郎「確信をもったのは付き合って1年くらいってわけで、それまでも何度か、おや?って思う事はあったんだが」 

 

風太郎「あいつ、我が強いというか、俺を自分好みにしたがるところがあるというか。この前まで金髪だったの、あいつに無理やり染めさせられてたからなんだぜ」 

 

五月「てっきり遅めの大学デビューかと思っていました」

 

風太郎「会うたび会う度に『フーくんは絶対金髪似合うから、髪染めて!』って。うるさくて」 

 

風太郎「それにあいつメチャクチャ御洒落だろ。俺は金ないからズボラな格好していたら、そこもネチネチ言われてよ」 

 

風太郎「『私と付き合うんだからもっと御洒落に気をつけて』って。金ないって言ったら金出すって言われて、それでまた大喧嘩」 

 

風太郎「彼女に金出して貰ってまで着飾りたくないわボケ!俺はお前のペットじゃないっつーのって感じ。  結局、一緒に古着屋巡って、ニ乃好みのコーディネイトされたりしたんだが」 

 

風太郎「なんか窮屈でさあ」 

 

五月「た、大変ですね……でも、二乃の気持ちもわかります。相手の人には格好に気をつけてほしいというか」 

 

五月「上杉君だって、二乃がデートの時ジャージ姿でボサボサの髪だったら嫌でしょ?」 

 

風太郎「うーん……だから、俺も黙って二乃に従っていたんだよ、そのときは」 

 

風太郎「とまあこんな感じだったけど、なんとか仲良くやっていたんだが」 

 

風太郎「半年前くらいかなぁ。俺も高校の頃は尖っていたが、お前たちに出会ってから徐々に他人とのつながりを大切にするように心がけていてだな、いろいろな人付き合いもあるわけ」 

 

風太郎「バイトの先の後輩の女の子が病んじゃってさ。一応俺、バイトリーダーとして色々責任感じたんだ」 

 

風太郎「それまで上杉先輩に何でも頼れーって感じのノリでやってたからな。で、その病んだ後輩によく連絡して、時々一緒に飯行ったりしてたの」 

 

風太郎「もちろん、体の関係はないぞ。そこはしっかり一線引いたから、変な目で見ないでくれ」 

 

風太郎「で、それがニ乃にバレた。あいつ、メチャクチャ癇癪起こしてな。浮気しているんじゃないかって疑われて」 

 

風太郎「LINEも全部目を通された。で、その子と一緒に飯食う約束した日になぜかニ乃も一緒についてきて、三人で飯食った。すごい気まずかった」 

 

 

風太郎「その子とはそれっきりで。二乃の奴が終始怖い目で睨んでたからな」 

 

風太郎「という本怖エピソードがある」 

 

五月「姉妹としてはなんというか、ノーコメントで……お願いします」 

 

五月「で、ですが……彼女として、彼氏の浮気を心配するのは自然な事じゃないでしょうか……上杉君はイケメンだから二乃が心配する気持ちも……わかります」 

 

風太郎「俺イケメン?」 

 

五月「今の発言は忘れてくださいっ!」 

 

風太郎「と、これまでの話でわかったと思うが、二乃の奴、嫉妬深いしかなり縛ってくるんだよ」 

 

風太郎「で、そんな二乃と結婚したらこの先マジで大変なんじゃないかなーって、最近常々思っているわけ」 

 

風太郎「どうしたらいいと思う?」 

 

五月「ど、どうと私に言われましても……お幸せに、としか」 

 

風太郎「はぁ……別れたいってあいつに言ったらどうなることやら……はぁ…… 

 

五月「でも楽しいこともあるじゃないですか!二乃といえば料理!美味しい料理食べ放題ですよ!?」 

 

風太郎「料理も面倒くさいエピソードがたくさんあるぞ」 

 

風太郎「その①。二乃の飯食う度に感想を求められる。旨いって一言で済めばいいんだが。一言で済ませるとその日一日あからさまに不機嫌になるからな」 

 

風太郎「そりゃもう料理漫画の登場人物並に褒めなきゃならん。旬の食材とかよく使っていて、それ指摘するとニ乃喜ぶから、そこは外さないようにしてだな」 

 

風太郎「美味いけど疲れる。それが二乃飯」

 

風太郎「その②。料理に関しても嫉妬深い。だいぶ前の話だけど、二乃と一緒に三玖が働いているレストラン行ったんだ」 

 

風太郎「ほら、俺たち高校の頃は色々あっただろ……でも、それを乗り越えて仲良くやってるんだけど」 

 

風太郎「三玖、料理本当に上手になってるんだぜ、知ってるか?」 

 

五月「そりゃ、飯屋ブロガーMAYとしては三玖の働いている店は外せませんよ。私の評価は星3つ。家庭的なフランス料理屋さんですよね、私も何度も行きました。プロ顔負けですよね、三玖の料理」 

 

風太郎「で、三玖の飯をもちろん俺も褒めたわけ」 

 

風太郎「そしたら次の日、あいつ三玖が作ったのと同じ料理出しやがったの。ゾッとしたわ」 

 

五月「ひえっ」 

 

風太郎「意地悪すぎるだろ……で、ニコニコしながら俺の感想待ってるわけ」 

 

風太郎「流石に料理学校で学んで、料理で飯食おうとしている三玖の作ったのの方が美味かったから俺は三玖のことには触れずに、ニ乃の料理褒めたんだ」 

 

風太郎「そしたらすごい不機嫌になった。やっぱ三玖より二乃の方が美味いって言って欲しかったんだろうね……はぁ…… 

 

五月「思ったより問題は根深いようですね」 

 

風太郎「お前に話したら少し楽になったわ、サンキュ。やっぱり付き合って結婚するなら肩肘張らなくていい相手がいいよなぁ……はぁ…… 

 

五月「でも二乃を最終的に選んだのはあなたの選択でしょ?私達みんなでそれを認めたんですから。まさに大恋愛って感じですよね」 

 

五月「それなのに二乃と別れたいだなんて、他の上杉君好きだった子達に言ったら怒られちゃいますよ」 

 

風太郎「いや、一花には相談した」 

 

五月「えっ!?」 

 

風太郎「二乃にLINE監視されているから、大学のメール使ってだけど。一花はOKだって。別れたいなら別れれば~ってかなり淡白な感じだった」 

 

風太郎「あいつも今売れっ子女優で大忙しだからな。もう大して興味ないだろ、俺達の痴話喧嘩なんて」 

 

風太郎「で、三玖にも伝えたいんだけど……二乃と三玖未だに仲良しで二人でよく遊んでいるらしいからな」 

 

風太郎「三玖に伝えたら二乃に伝わること覚悟って感じで……その前に、一応四葉に話通したいんだけど、五月から渡りつけてくれるかな……四葉とは未だに気まずい」 

 

五月「ちょ、ちょっと気持ちの整理が……追いつきません、私……そんな上杉君が本気だっただなんて」 

 

風太郎「こっちも必死ですよ。結婚したらもう逃げられんし」 

 

五月「はわわっ、ど、どうしましょう……四葉……お、怒ると思います!」 

 

風太郎「はぁ……だよなー……じゃあこのままニ乃と付き合うしかないのか…… 

 

五月「贅沢ですよ、上杉君。ニ乃もいいところいっぱいあるじゃないですか」 

 

風太郎「いいところいっぱい……おっぱい」 

 

五月「もうっ、下品なのはなしで!」 

 

風太郎「まあ五月の言う通りニ乃にもいいところはたくさんある。それは認める」 

 

風太郎「気立てはいいし、可愛いし、しっかり者だしな。結婚したら家の中は安定するんだろうなって思うわ。とても大事な事だ」 

 

風太郎「だが……俺は…… 

 

風太郎「実は、他に好きな子いるから二乃と別れたいって言ったら怒るか五月」 

 

五月「!」

 

風太郎「そいつは二乃と違って垢抜けてないし、要領は悪いし、ちょっとだらしない奴だ」 

 

風太郎「分不相応な夢を追っかけて、苦手なことをずっと頑張っている不器用な馬鹿だ」 

 

風太郎「俺は高校生の頃、5人の進路が決まるまで責任もって家庭教師をやるって宣言したよな」 

 

風太郎「みんなそれぞれの進路を見つけてこのマンションから巣立っていった。でもまだ一人取り残された奴がいる」 

 

風太郎「それでもそいつは諦めずにずっと勉強と向き合っていた」 

 

五月「…… 

 

風太郎「二乃から聞いたが、この前姉妹みんなで集まったとき、いい加減諦めるよう諭されて大喧嘩しただろ」 

 

五月「それはっ……!私に教わる生徒が可哀想だ、なんて言われて、ついカッとなって……勉強が苦手な子が先生になって勉強を教えるなんて、無謀だってのはわかってるんですよっ…… 

 

風太郎「でも俺は勉強できる奴に、勉強が苦手な子が教わってとても勉強が得意になるとは思わんがな」 

 

風太郎「お前が浪人している3年間、試行錯誤で色々教えたけど、結局、俺はお前を勉強できるようにすることは出来なかった」 

 

風太郎「この前の模試。D判定だよな。三年間、D判定のまま。俺はお前にとっていい先生だったか?」 

 

五月「……

 

風太郎「実は二乃に頼まれたんだよ。お前の夢、諦めるように諭して来いって。それで、俺、二乃と別れようって決心したんだ」 

 

風太郎「お前が夢に向かってどれだけ頑張ったか、その積み重ねを全部無駄にしろってのはちと許せんよな…… 

 

五月「ですが、ニ乃も……私の事考えてくれていて」 

 

風太郎「五月、お前もう3浪だろ。次失敗したら4……もう後に引けないところまで来ているってのは自覚あるか?」 

 

五月「ううっ……はい……周りの同級生はみんなそろそろ就職したり、結婚したりしているのに、私だけ…… 

 

五月「これで教育大学合格できなかったら、どうなるのか……毎晩不安で寝れないです…… 

 

風太郎「俺も同じ気持ちだ。ここまで頑張った五月の努力が、全部無駄になるなんて。それに、友達もいないお前が……これから先、社会でやっていけるとはとても思えん」 

 

五月「……

 

五月「上杉君はいいですよね。成績優秀で有名大学に現役合格して、素敵な彼女もいて、大学では友達もいるんでしょ?理想的なキャンパスライフじゃないですか」 

 

五月「あの頃友達ゼロのガリ勉君で似たもの同士と勝手に親近感抱いていたんですが」 

 

五月「いつの間にか、私だけ取り残されて。何が高校生活エンジョイですかっ。思えば高校3年生の夏休み、家庭教師もろくにせず、宿題だけ出して放置して……!」 

 

風太郎「うっ、あのときはホントすまなかった」 

 

五月「はぁ……いいんですよ。日の出祭のときも私は一人で勉強していて、あなたは二乃や三玖とよろしくやっていたみたいですし」 

 

風太郎「ぐっ」 

 

五月「それなのに私だけ受験に失敗して……四葉でさえ合格したのにっ……ううっ…… 

 

風太郎「五月……

 

五月「ですが、感謝しています。浪人して、一人ぼっちになって自暴自棄な私を……家庭教師を続けるという形で支えてくれたあなたには…… 

 

五月「こうして3年間も、毎週、家で勉強をマンツーマンで教えてくれて……あなたも忙しいでしょうに」 

 

五月「ごめんなさい、愚痴ばかりですね。あなたは何も悪くないのに。もういいですよ、私の家庭教師の仕事は……私も、今年で諦めますから。今年ダメだったら受験は諦めて、お父さんにお願いして就職先探そうと思います」 

 

五月「それで、いいでしょ?」 

 

風太郎「五月、俺は諦めてないぞ。お前がここまで頑張ったのを無駄には絶対にさせない。何が何でも今年合格させてやるから」 

 

五月「上杉君っ……!」 

 

風太郎「で、それでも駄目だったら……俺が責任とるから」 

 

五月「……!!!」 

 

風太郎「夢諦めちゃったらお前きっと駄目になると思う。現役の時、不合格の後の事思い出せよ。本当にみんな心配したんだぞ」 

 

風太郎「一花も上京やめるって言うし、四葉もお前と一緒に浪人するって言って聞かなくてなぁ」 

 

風太郎「それでも、全員前に進むために、お前は浪人という道を選んで夢に向かうことに決めたんだろうが。それで駄目だったら、また前と同じだろ。そうはさせない。それが俺の責任だ」 

 

五月「ですが、あなたに何ができるって言うんですか?」 

 

風太郎「二乃と別れるから。俺と付き合ってくれ、五月」 

 

五月「!!!」 

 

五月「嬉しい申し出……ですけど、二乃が」 

 

風太郎「だからさっき言っただろ。二乃とは別れる。俺、やっぱりお前のことが好きだ。高校の時から、ずっと思っていたことだ、これは」 

 

五月「えっ…………

 

風太郎「恥ずかしくて言えなかった。俺たち、相性最悪だったから。でも、色々あって、四葉や二乃と付き合って改めてわかったんだよ」 

 

風太郎「俺がリラックスして俺らしく……上杉風太郎らしくいられるのは、お前と一緒の時間だけだって」 

 

風太郎「受験前にこんな話、びっくりするよな。でも、お前、最近ストレスで眠れてなかっただろ。受験失敗したらどうなるのかという先の見えない不安で…… 

 

風太郎「最後の受験くらい、リラックスして受けてほしい。もし失敗しても、その後の人生、俺が責任持ってお前の面倒みるからさ」 

 

五月「ちょっと、上杉君……突然過ぎて……あと、ちょっと距離が近いですっ……手、握るのもやめて…… 

 

風太郎「なあ五月、いいだろ。優しくするから」 

 

五月「目が怖いですっ……駄目ですって、不潔ですよ 

 

風太郎「二乃とは最近ご無沙汰なんだよ。あいつ、いつも生でやろうとしてくるから、危なっかしくて」 

 

風太郎「正直、この空間で数時間、お前に勉強教えながら頑張って理性で抑えようとしていたけどもう無理だ」 

 

風太郎「頼むよ、五月。いいだろ。お前だって満更じゃないはずだ…… 

 

そう言いながら上杉風太郎は五月の肩を抱いた。

 

五月「駄目っ…… 

 

五月は俺の腕から逃げようと身を捩ってきた。しかし、その力は弱々しかった。 

 

風太郎「いいだろ?受験前にリラックス……大事だから」 

 

五月「はううぅ…… 

 

五月は顔を赤くして目を瞑りながら唇を噛んでいた。 

 

風太郎「ほら、顔上げて。」チュッ 

 

男は五月の唇を無理やり奪う。 

 

五月「上杉君……いい加減、怒りますよ……んっ」チュッチュ 

 

風太郎「ぷはっ。生意気なことをいう口はこうだ」チュッ 

 

五月「んんーっ!んんーっ!!……んっ、ちゅっ、んっ、はぁ、はぁ……駄目っ……二乃が」 

 

風太郎「あいつのこと忘れさせてくれ。五月、お前が好きだ」 

 

五月「嘘…… 

 

そのまま男は五月を床に押し倒した。五月は涙ぐみ、肩を小さく震わせていた。 

 

五月「ひゃっ」 

 

服の上から胸を揉む。五月はいつも肩を出して胸元の開いた服を着ていた。上杉は高校時代からずっと目のやり場に困っていた。 

 

五月「このおっぱい星人……あっ」 

 

力強く五月の胸をもみながら、男は五月の汗の滲んだ首筋にキスした。自分だけの証をつけるように強いキスだった。 

 

五月「はぁっ……はぁっ…… 

 

気がつくとお互い汗だくで、五月の服はシワだらけになっていた。 

 

五月「お願いします……背中が痛いので、場所を……変えて下さい…… 

 

五月の体に馬乗りしていたと男ははたと気が付き、五月に謝り、彼女の体を優しく起こした。 

 

男が重い足取りの彼女を支えるようにして二人は寝室に入った。 

 

風太郎「大丈夫だって。優しくするから。なあ…… 

 

五月「ひっぐ……ううっ…… 

 

五月は泣いていた。信頼していた家庭教師、高校時代からの友人、姉の彼氏に突然迫られ困惑しているのかもしれない。 

 

受験間際ということもあり、五月の心は不安定になっていた。 

 

本気で拒絶することも出来た。しかし、孤独な在宅浪人で、家族以外との唯一の繋がりは上杉風太郎だけだった五月にとって、拒絶して見捨てられること、それの方が恐ろしかった。 

 

上杉は彼女のベッドに腰掛け、ひとしきり五月を慰めた後、泣き止むのを待ってズボンを脱いた。 

 

五月「これが男の人の……」ゴクッ 

 

父がおらず母に育てられた五月は男の人のそれを生で見たのは初めての経験だった。 

 

上杉風太郎のそれは硬く反り立っていた。 

 

風太郎「五月、舐めてくれ」 

 

五月「はい!?」ビクッ

 

風太郎「準備が必要なんだよ、男も」 

 

五月「も、もう十分勃ってるじゃないですか…… 

 

風太郎「舐めなきゃ先進めないぞ」 

 

五月「いきなり、それは……ちょっと」 

 

風太郎「じゃあまず触ってくれよ」 

 

五月「…… 

 

五月は恐る恐る上杉風太郎の一物を握った。それは脈打つように芯まで熱くなっていた。 

 

風太郎「そう。手を使って、上下に扱く。いいぞ、五月。実技はなかなかセンスがあるな」 

 

五月「座学は駄目ですみません」 

 

風太郎「ほら、お前が握ったらさっきより硬くなっただろ?お前のおかげで興奮してきたんだよ。ほら、次は口で咥えて」 

 

五月「ううっ……これを咥える……勇気が……いりますが……二乃も、咥えたんですか?」 

 

風太郎「あいつフェラ嫌いだからな。めったにしてくれないし下手くそなんだよ……はぁ」 

 

五月「それじゃあ失礼して……んっ、あむっ……ちゅぷっ、ちゅぷっ、れろれろっ、んっ」 

 

風太郎「おっ……おおっ…… 

 

五月は拙いながらも必死に口を使って奉仕した。

 

風太郎「ちょっ、お前っ……激しいっ」 

 

五月「ちゅっ、ちゅぷっ、じゅぷっ、じゅぽっじゅぽっ」 

 

風太郎「ちょいたんま、タンマ、でるでる」 

 

五月「ぷはっ……がっちり硬くなりましたね…… 

 

五月の口技は拙いながらも、口を開けば憎まれ口を叩く五月の口で奉仕させたことで上杉風太郎は興奮し、己の一物を限界まで怒張させた。 

 

風太郎「五月……脱がせるぞ」 

 

五月「あっ……やっ」 

 

それから上杉風太郎はベッドに横になった五月を生まれたままの姿に剥いた。 

 

五月「ううっ……恥ずかしい……あまりジロジロ見ないで下さい」 

 

五月の体は熟れていた。男のそれを初めて咥え、興奮したのか彼女の秘所もすでに濡れていた。 

 

風太郎「足開け、五月」 

 

顔を赤くして弱々しい抵抗をする五月にお構いなしに上杉風太郎は彼女の両足を力づくで開いた。

 

風太郎「ここが五月の…… 

 

五月「ジロジロ見ないで下さいっ……恥ずかしい…… 

 

五月の濡れそぼったあそこに男は顔を近づけた。 

 

花の蕾をかき分けて蜜を吸い出すように男は舌使って五月の女の部分をほじった。 

 

五月「あっ、やっ、あんっ」 

 

陰核を吸い上げるような刺激を加えると五月は面白いように嬌声を上げ、秘所から愛液をとめどなくこぼした。 

 

敏感になった五月の中に男は指を一本恐る恐る入れた。 

 

五月「やだっ……怖いっ…… 

 

彼女は震えていたが、男はお構いなしに中を刺激した。 

 

五月「あっ、やっ……あんっ、激しいっ、あっ」 

 

風太郎「感じる場所は姉妹で同じなんだな」 

 

五月「さ、サイテー…… 

 

風太郎「すまん。気を取り直して……ごほん、そろそろいいか、五月」 

 

上杉風太郎は己の張り詰めた一物を五月の股にあてがった。 

 

五月「ちょ、ちょっと!避妊は!?」 

 

風太郎「ゴムなんか持ち歩いてない。五月、初めてだろ。初めてなら出来ないから大丈夫だって。あと、きちんと外に出すから」 

 

五月「ううっ……科学的根拠はありませんが……あなたがそこまで言うなら…… 

 

五月は観念して足を広げ、体の力を抜き、男に身を委ねた。 

 

風太郎「挿れるぞ、五月……!」 

 

五月「あっ…… 

 

男のそれが五月の狭い膣内をこじ開けた。五月は破瓜の痛みを紛らわせるように強く男に抱きついた。 

 

五月「はぁっ、はぁっ……はぁっ……んんっ!」 

 

風太郎「ふーっ……動くぞ」 

 

五月「あっ、いやっ、あんっ、あんっ、あんっ、あぁっ、あんっ」 

 

風太郎「はぁっ、はぁっ」ズプズプ 

 

五月「あんっ、そこっ、いいっ、あんっ、んっ」 

 

男の動きに合わせて、五月は声を上げた。 

 

風太郎「やべっ、五月、エロいっ、くっ」ズポズポ 

 

五月は長い髪を振りながら、男の腕の中で乱れに乱れた。 

 

半ば無理やり手篭めにされたのも忘れ、高校の頃から淡い恋心(当時の五月は自覚していなかった)を抱いていた相手に抱かれ、五月は女になった。 

 

五月「あっ、あっあっあっあっ、イクッ、イクッ」 

 

五月の腰が動き、膣内が軽く痙攣して男のを絞り出すような動きをした。それに合わせて上杉風太郎も腰の動きを早めた。 

 

五月「駄目っ駄目っ、あぁっ、イクッ、許してぇ~~」 

 

風太郎「愛しているぞ、五月っ!受け止めろっ!」 

 

五月「あっ、ちょっと膣内はダメッ!あっ、イクッ」 

 

上杉風太郎は慌てて膣内から一物を抜き、五月の大きな腹に吐精した。五月は息絶え絶えになりながら、女になった喜びを噛み締めていた…… 

   

 

 

風太郎「はぁっ、はぁっ……えがったえがった……ふーっ…… 

 

二乃「ちょっとアンタ、最後何勝手に膣内に出してんのよ!」 

 

風太郎「あれ?フィニッシュは膣内射精じゃなかったっけ?」 

 

二乃「台本確認!ほら、最後はきちんと外に出すって打ち合わせたじゃないっ!馬鹿!それに愛してる禁止!はぁ……今日のはいまいち乗れなかったわ、私…… 

 

二乃「それより序盤のアドリブのところ、随分ノリノリだったじゃない。私のこと、そう思っていたわけ?」 

 

風太郎「いや、設定は『恋人の二乃に愛想をつかした俺が生徒の五月に我慢できず手を出す』っていうので……お前がやってみたいって言うからやったんだろ、寝取られプレイ」 

 

風太郎「俺は案外楽しかったが…… 

 

二乃「うーん、五月が浪人生っていう悲しい設定は置いておいて、あの子のフー君への気持ちがいまいちわからないからうまく役作り出来なかったわ…… 

 

風太郎「そういえばあいつ今教育実習で俺たちの母校に勤務しているんだよな。赤点常連の中野姉妹がまさか先生になって帰ってくるとは、先生方も驚きだろうな。  で、次は、上杉先生と五月先生という設定でやってみるか?」 

 

二乃「しばらく五月は禁止。愛している宣言入ったら、三ヶ月禁止ルールだからね」プイッ 

 

風太郎「すまんすまん、へそ曲げないで……俺が愛しているのは二乃だけだから」チュッ 

 

二乃「もーっ調子いいこと言っちゃって……私も愛しているのはフーくんだけよっ」チュッ 

 

風太郎「愛い奴め~、もう一回いくか?」 

 

二乃「あんっ、次は二乃をしっかり可愛がってねっ」 

 

風太郎(喧嘩もするけど、俺達はなんだかんだ仲良くやっています) 

 

風太郎(来週は……久しぶりに一花で頼んでみるか~) 

 

 

 

 

 

元スレ

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一花「…ねぇ……脱いで……」 風太郎「あ、ああっ……」【五等分の花嫁ss/アニメss】

 

一花「付き合ってるのにキスもエッチもまだなんだ」

 

四葉「うん…… 

 

一花「もうお付き合い初めてから3ヶ月くらい経つよね。デートも毎週しているのに?」 

 

四葉「やっぱり変かなぁ」ハァ 

 

一花「プラトニック・ラブですな~いいんじゃない?付き合い方は人それぞれで」 

 

四葉「こんな相談乗ってくれてありがとう、一花。でも彼はどう思ってるんだろ…… 

 

一花「ん?」 

 

四葉「ほら、男の子だもん、そういうことに興味とか……あるんじゃないの?」 

 

一花「エッチなことに?四葉は興味あるの?」 

 

四葉……/// 

 

 

 

一花「という話がこの前ありました」 

 

風太郎「……報告はいいから手を動かせ。高校最後の期末試験が赤点じゃ締まらないだろ」 

 

一花「で、実際四葉とどこまで行ったの?」 

 

風太郎「…… 

 

一花「お姉ちゃんに報告義務はあると思うけど。私が背中押してあげたから付き合えたんでしょ?」 

 

風太郎「……いや、そういう事は……大人になってからだな」 

 

一花「で、キスもまだしてないんだ」 

 

風太郎「……ああ」 

 

一花「うわっ、四葉かわいそ」

 

風太郎「…… 

 

一花「キス、したくないの?フータロー君」 

 

風太郎「……/// 

 

一花「四葉はしたそうだったけど」 

 

風太郎「しかし、そういう事は、結婚してから…… 

 

一花「したじゃん、キス。私と」 

 

風太郎「!!!」 

 

一花「忘れたとは言わせないよ。あれ、私のファーストキスだから」 

 

一花「四葉に言っていい?」 

 

風太郎「すまん、一花、それだけは勘弁してくれっ……!」 

 

一花「ちょ、ちょっと土下座やめてよ」 

 

風太郎「このとおりだ、頼む」 

 

一花「もうっ……言わないって、私だって妹の心傷つけたくないし」 

 

風太郎「ほっ」 

 

一花「代わりにフータロー君の本音聞かせてほしいな。四葉とキスしたいですか?」 

 

風太郎「……ああ/// 

 

一花「そんな恥ずかしがらなくても!好きな人とキスしたい、当たり前の事だもんね」 

 

風太郎「しかし、いざ、しようと思っても……どうしたらいいのかわからん」 

 

一花「デートの終わり際に四葉の肩寄せてブチューってすればいいじゃん」 

 

風太郎「そんな破廉恥な!俺たち、3ヶ月でやっと、手を繋げたくらいなのに…… 

 

一花「あらら、こりゃ重症ですな。付き合ってるんだからキスくらい男の子の方からいかないと駄目だよ」 

 

風太郎「しかし高校生のための恋愛ガイドブックにはお付き合いした先のことが何も書いてないんだ……くそっ、ここに来て経験の不足が!」 

 

一花「じゃあ練習する?私で」 

 

風太郎「…… 

 

風太郎「いや、それは……どうなんだろう……

 

一花「今の間はなんなのかな~フータロー君!私の唇みて……アリかもと思ったでしょ!」 

 

風太郎「待て待て!流石にナシだ!そんなことしたら浮気だろ!?」 

 

一花「うーん、もう私達キスしたよね」 

 

風太郎「つ、付き合う前だからな!浮気じゃない!」 

 

一花「でも、君、自販機でオレンジジュース買ってきたじゃん。あの時にはもう四葉と心に決めていたんでしょ?」 

 

風太郎「…… 

 

一花「あの状況で私のキスを受け入れたのは、形式的には浮気じゃなくても精神的には浮気じゃないの?」 

 

一花「だから四葉に秘密にしてほしいんでしょ?」 

 

風太郎「うぐっ…… 

 

一花「ごめんごめん、泣かないで、よしよし、よしよし」 

 

風太郎「泣いてないもん!」 

 

一花「しかし、四葉は寛大だよねー。彼氏を一人で女の子の一人暮らしのホテルに送り出して。なにか言ってない?」 

 

風太郎「特に何も言われていない。お前を雇って家庭教師やることは付き合う前からやっていたことだ。それに6人一緒に卒業するのは四葉の願いだからな」 

 

一花「ありがたや、ありがたや」 

 

風太郎「というわけで勉強するぞ」 

 

一花「待ってまだ話の途中。一応、四葉から頼まれてるんだ、フータロー君の気持ちを確認すること」 

 

風太郎「まだなにかあるのか?」 

 

一花「フータロー君って女の子とエッチな事したいと思ったことある?」 

 

風太郎「!!!!!!」 

 

風太郎「ま、待て待て。四葉が本当にそれ、知りたいって言ってたのか?」 

 

一花「うん」 

 

風太郎「いや、それは……」モジモジ 

 

一花「あともう一つ。フータロー君があの幼馴染とお付き合いしてたのかって気にしてたよ」 

 

風太郎「竹林とは……あいつは他に男いるからな」 

 

一花「じゃあ四葉が初カノでいいんだよね?」 

 

風太郎「お、おう……そ、それより四葉の方はどうなんだ?前の学校で……彼氏とかいたのか?」 

 

一花「前の学校は女子校だったよ」 

 

風太郎「だよな、四葉も俺が初めてだよな」 

 

一花「これは危ないな」 

 

風太郎「何がだ」 

 

一花「初めて同士のカップルの2年生存率0.1%。これは信頼できる雑誌(女性誌)の統計データだよ」 

 

風太郎「そんな馬鹿な!」 

 

一花「フータロー君も昔言ってたじゃん。高校生同士のカップルなんてどうせ別れるに決まってるから時間の無駄だって」 

 

風太郎「うぐっ……

 

一花「で、その雑誌によると、初めて同士のカップルが別れる理由の多くが、初めてのエッチがうまくいかなかったからなんだって」 

 

風太郎「マジか…… 

 

一花「お互い張り切って初めての夜を迎えるけど、だいたい失敗する。それから気まずくなって、徐々に心が離れていくんだってさ」 

 

風太郎「俺達はそんな事ない。四葉も、俺もそういうことを目的に付き合っているわけじゃないからだ」 

 

一花「じゃあ何を目的に付き合っているの?」 

 

風太郎「一緒に時間を過ごして……それで幸せで、楽しいんだよ」 

 

一花「じゃあ今私と一緒にいる時間は楽しいですか?」 

 

風太郎「……楽しくなくはない」 

 

一花「一緒に過ごして楽しいだけなら友達でいいじゃん。男の子と女の子がお付き合いする。それは、究極的な意味で言えば子作りしたいからでしょ」 

 

風太郎「!」 

 

一花「四葉気にしていたよ。フータロー君に子作りする能力あるかって。実はホモ……なんて笑えないよ」 

 

風太郎「俺はホモじゃない!ホモじゃ……ない!!」クワッ 

 

一花「そんな強く否定しなくても」 

 

風太郎「だから安心しろと四葉に伝えてくれ」 

 

一花「で、四葉とエッチしたいの?」 

 

風太郎「……したいです/// 

 

一花「素直に最初からそういえばいいんだよ。で、どうするの?フータロー君は」 

 

風太郎「……いや、したいと思っても、どうしたらいいのかわからない」 

 

一花「ですよねー」 

 

風太郎「教えてくれ、一花、頼む」ペコリ 

 

一花「……」ゾクッ 

 

一花「し、仕方ないなー……ここはお姉さんが一肌脱ぎますか…… 

 

風太郎「ん?一花、お前は経験あるのか?」 

 

一花「経験?じょ、女優の仕事で……経験くらい…… 

 

風太郎「さてはお前、経験ないな。さっきからお姉さんぶって俺に色々言っていたが、所詮耳年増の戯言だ。いや、むしろ彼女がいる俺の方が男女関係の経験値は上なんじゃないか」 

 

一花「ぐ……痛いところ付くなぁ」 

 

風太郎「さて、くだらない話はもう終わりで、勉強するぞ」 

 

一花「私だって……経験したいんだから」 

 

風太郎「…… 

 

一花「好きな人とエッチな事」 

 

風太郎「……そ、そうか……が、頑張れ…… 

 

一花「私の好きな人。知ってるよね、君は」 

 

一花は目をうるませながら風太郎をじっと見つめた。 

 

一花「さっき言ったよね。初めて同士だとうまくいかないって。四葉とうまくいきたいならフータロー君も経験積まないと駄目だと思う」 

 

一花「で、私は女優として……一人前になるために、男の子のこと知りたい。利害関係が一致してない?」 

 

一花「私となら、遊びでいいから。四葉とする前に、してみない?」 

 

一花「エッチなこと」 

 

そう言って一花は、目を瞑りながらゆっくり顔を風太郎に近づけた。 

 

 

ちゅっ 

 

 

風太郎「…… 

 

一花「…… 

 

一花「またしちゃった、ね。キス」 

 

風太郎「一花…… 

 

一花「優しいね、フータロー君は。逃げることも出来たのに、受け入れてくれた。妹の好きな人にちょっかいばかりかける卑しい女の事、嫌いだよね」 

 

風太郎「そんな事はない……だが、お前も自分をもっと大事にしろ…… 

 

一花「これが私の精一杯だよ。エッチなことするてのは忘れて。四葉を裏切る事は出来ないから。でも、せめてキスくらい」 

 

風太郎「一花っ」チュッ 

 

一花「あっ…… 

 

 

一花「キス、自分から出来たじゃん、フータロー君」 

 

風太郎「す、すまん。お前があまりにも可愛くて……つい」 

 

一花「そうそう、その調子で四葉にもキス、頑張りなよ」 

 

風太郎「お、おう……それじゃあ今日は、もう帰るわ」 

 

一花「……」ギュッ 

 

風太郎「手、掴まないでくれ……これ以上はまずいから」 

 

一花「……しよ?」 

 

風太郎「な、何を…… 

 

一花「四葉の事は裏切りたくなかったけど……君にキスされて……また胸が……ビービー言っている」 

 

風太郎「……

 

一花「あんっ」ちゅっ 

 

風太郎「ぷはっ。いいのか、一花……俺も男だ……ずっと、我慢していたんだが…… 

 

一花「んっ……ちゅっ、ちゅぷっれろっ…… 

 

風太郎「ちゅっ、ちゅっ……ちゅぷっ」 

 

ホテルの一室に、濡れた口づけの音が静かに響いていた。そこからしばらく、一花と風太郎は無言でキスを続けた。 

 

お互いの口の中を、舌を使って探り合う。一花は舌全体が性感帯になって、風太郎の拙い動きにさえ感じさせられていた。 

 

風太郎「ぷはっ……はぁ、はぁ…… 

 

一花「んっ、はぁ…… 

 

風太郎「おい、これ以上は…… 

 

一花「そうだね。遊びじゃ、なくなるかも。べ、勉強しよっか」 

 

風太郎「……ああ」 

 

お互い我に変えるととんでもないことをしでかしてしまったと、胸を痛めた。 

 

一花は妹を、風太郎は恋人を裏切るようなキス。 

 

背徳感を愉しむには、まだふたりとも若かった。そう、若すぎた…… 

 

風太郎「ちゅっ、ちゅっ、ちゅぷっ、んちゅっ、はむっ、んっ、ぬちゅっ」 

 

一花「ちゅっ、ちゅっ、んんっ、ぷはっ、んっ」 

 

風太郎「…… 

 

一花「……」カキカキ 

 

勉強をしながら、目が会うたびに二人は無言でお互いの口を求め合った。 

 

一度その味を知ってしまったら、我慢できるはずがなかった。 

 

一花「はぁ……はぁ……暑い、ね」 

 

風太郎「おう…… 

 

一花「横に、なっていい?」 

 

一花の提案に、風太郎は頷いた。 

 

一花はベッドに横になり、腕で目を隠した。 

 

風太郎は一花の体に覆いかぶさるようにベッドの上に乗った。 

 

一花「はぁ……はぁっちゅっ、んっ、れろっ、ちゅぷっ」 

 

風太郎「んっ、ちゅっ、ちゅぷちゅぷっ、んっ」 

 

抱き合うようにして、激しいキスが始まる。 

 

この時、風太郎はブレーキを探していた。恋人と瓜二つの目の前の女、それはよく見ると恋人とは似て非なる女だった。 

 

しかし、あまりにも一花は魅力的だった。彼女の事は嫌いじゃない。選びはしなかったが、風太郎は最後まで迷っていたのだ。 

 

そして風太郎はこの時、キスをやめる理由を必死に探していた。 

 

30分以上、一花の唇を貪りながら、キスをやめる理由を真剣に探していた。

 

一花「はぁ……はぁ……暑い……だめっ……んっ…… 

 

風太郎「はぁ……はぁ…… 

 

お互い、服を来たままキスしただけで汗だくになっていた。一花の額には前髪が汗ではりつき、体がじっとり濡れているのを風太郎は感じ取っていた。 

 

一花「脱がせて…… 

 

その言葉に、風太郎は我に返った。引き返すなら今しかない。これ以上はやめよう。 

 

その言葉が喉のてっぺんまで来たが、声の形にはならなかった。 

 

一花「…… 

 

風太郎「…… 

 

一花「脱ぐね」 

 

しびれを切らしたのは一花で、汗でぐっしょり濡れたセーターとスカートをベッドの上で脱ぎ、下着になった。 

 

風太郎は目を丸くしていた。

 

一花「はずい…………ねぇ……脱いで…… 

 

風太郎「あ、ああっ…… 

 

もうここまで来たら、一花に恥をかかせるわけにはいかない。風太郎はそう腹を括ってシャツとジーパンを脱ぎ、パンツ一丁になった。 

 

お互い下着姿で、ベッドの上で向き合う。 

 

一花「触っていい?」 

 

風太郎「……っ」 

 

一花の長い手が、上杉風太郎の最も敏感でナイーブなところに、布越しに触れた。 

 

すでにそこは硬くなっていた。 

 

一花に触れられながら、風太郎はこの次何をして良いのかわからずに固まっていた。 

 

一花「君も……触っていいよ」 

 

そんな風太郎に一花は耳元で優しく囁いた。 

 

股間を探られながら、風太郎は決心し、手を一花の胸に伸ばした。

 

一花「あっ…… 

 

一花の吐息が漏れた。それから、しばらくして、気がつくと一花のブラジャーが外れていた。 

 

たわわな一花の乳房を、風太郎は揉みしだき、硬くなった乳首の感触を試すようにつまんだ。 

 

一花はその度に切なく、蚊が鳴くような声を喉の奥から漏らした。 

 

風太郎「はぁ……はぁ……はぁっ…… 

 

一花「んっ、ちゅぷっ、れろっ、れろれろっ、んっっ」クポクポ 

 

風太郎「はぁっ……はぁっ…… 

 

一花「くぷっ、んっ、ちゅぷっちゅぷっちゅぽちゅぽ」クポクポ 

 

ホテルの中に淫靡な濡れた音が響く。ベッドに横になった男の股ぐらに一花は顔をうずめ、まだ初心な口で彼の硬くなったそれを慰撫していた。 

 

風太郎「はぁっ、はぁっ…… 

 

敏感な亀頭を一花の温かい口が包み込み、口の中で竿をザラッとした舌で擦り上げる刺激に、風太郎は腰が抜けた。 

 

一花の方を見ることができず、風太郎は天井を眺めながら、彼女との出会いのことを思い出していた。 

 

一花「ふーっ、ぷはっ……はぁ……はぁ……もう、いい?」 

 

風太郎「あ、あぁ…… 

 

すっかり硬くなったソレは反り返り、かつてない張りに痛みさえ風太郎は覚えた。 

 

一花「もう、私も、いいと思うから……いいよ、フータロー君になら…… 

 

一花がベッドに仰向けになって、足を広げた。 

 

丁寧に処理された薄い毛の奥で、一花の秘所はじっとりと濡れて準備を済ませていた。 

 

風太郎は、本能のままに彼女の上に乗った。 

 

行為のやり方など、この男は知らなかった。家は貧乏で、勉強ばかりしていた男は営みのことを知らなかった。しかし、本能はわかっていた。 

 

それを中に挿れればいい。とてもシンプルなことだ。どうしてやり方がわからなかったのか、この時風太郎は少し自嘲気味に笑った。 

 

一花「来て」 

 

一花は微笑み、手を風太郎の首へ伸ばした。 

 

風太郎は吸い寄せられるようにして、一花の柔らかな体に密着した。そして、腰を進めた。 

 

一花「んんっ」 

 

そこは思ったより固かった。だが、肉が押し広がっていく感触が、風太郎の下半身を駆けあがった。 

 

一花「んんっーっ、はぁっ、はぁっ…… 

 

風太郎「入ったぞ、一花…… 

 

一花「入ったね……おめでとう、フータロー君」 

 

風太郎「なぜ上から……お前だって」 

 

一花「ゆっくり動いて……いいよ、んっ」 

 

風太郎「ああっ」ヌプッ 

 

風太郎は恐る恐る腰を引き、一花の膣内をひっかきながら蒸気機関車のピストンのようにゆっくりと前後に動かした。 

 

風太郎「うっ、うっ」ズポズポ 

 

一花「あっ、あっ、んっ、あんっ、はぁっ」 

 

腰の動きに合わせて一花が啼いた。 

 

風太郎のソレは、一花の中ですっかり気を良くしたようだった。硬く、熱いまま、一花の敏感な中を擦り上げ、乱暴に押し広げるように動き続けた。 

 

一花「あんっ、あんっ、ああっ、あぁっ、あっ、あっあっあっ」 

 

風太郎「ふぅ、ふぅっ、はっ、はっはっはっ」ズッポズッポズッポ 

 

風太郎は無我夢中で腰を振った。それに緩急はなく、次第に速度が上がり、一気にゴールめがけて駆け上がるような100mの全力疾走に近かった。 

 

風太郎「イクぞ、一花!」 

 

一花「あっ、あっ、あっ、あっ、あんっ、はいっ」 

 

風太郎「うっ、ぐっ」ドプッ 

 

風太郎「はぁっ~~」ドプッドプッドプッビュッビュッ 

 

風太郎「あぁ~~~」ビューッビューッ 

 

一花「んっ、んんっ……はぁっ」ビクッ 

 

風太郎は一花の膣内で達し、長く尾を引く射精をした。 

 

一花も達して、上にのしかかる男の子に抱きつきながら、永遠と続くような幸せな時間を噛み締めていた。 

 

二人は長い間、そのまま抱き合った。 

 

準備も何もない、本能のままのセックスを、若い二人は経験した。

 

 

一花「今日はありがとう」 

 

風太郎「試験までにさっき渡した問題集しっかりやれよ」 

 

一花「うん」 

 

風太郎「それじゃあな」 

 

風太郎はシャワーを浴びて体をきれいにした後、服に着替えて一花のホテルを後にした。 

 

無性に幸せだった。それでも、この時の風太郎に四葉を裏切ってしまったという罪悪感がないといえば嘘になるが…… 

 

風太郎「もしもし、四葉?一花の勉強会終わったぞ。うん、うん、大丈夫だって」 

 

風太郎「それより、今週のテスト終わったら、遊びに行こう。週末、デート」 

 

風太郎「どこがいい?遊園地?水族館?プラネタリウム?」 

 

風太郎「公園か、悪くないな。それじゃ、また」 

 

通話を切って、風太郎はホテルの一花の部屋を見上げた。 

 

もう、多分二度と二人で会うことはないだろう。 

 

風太郎「じゃあな、一花」 

 

 

四葉風太郎はそれから程なくして結ばれ、何年後かに夫婦となった。 

 

一花が大女優になったのは、また別の話だ。 

 

 

 

 

 

 

元スレ

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四葉「女の子とエッチしたことありますか?」 風太郎「………………」【五等分の花嫁ss/アニメss】

 

 〈居間〉 

 

とあるテレビ番組 

 

──ちゃんもカワイイからね、モテるでしょ』 

 

『えーそんなことないですよ』 

 

 

二乃「………… 

 

 

『結構遊んでるって話も出てますけど。ほら、最近週刊誌とかでも話題持ちきりだったじゃない』 

 

『それはほら、デマってやつですよー』 

 

『怪しいなあ、こういう席なんだしぶっちゃけトークしてくれてもいいんだよ』 

 

『えー、どうしよっかなー』 

 

三玖「二乃、リモコンかして」 

 

二乃「嫌よ。あんた、チャンネル変える気でしょ」 

 

三玖「うん。来月からスタートする大河ドラマの特集見るから」 

 

二乃「今は私がこれ見てるの。録画しといてあげるから、それで我慢しなさい」 

 

三玖「生で見ないと臨場感がない」 

 

二乃「ドラマの特集に臨場感とか求めてんじゃないわよ……とにかく、今はこれを見る時間!」 

 

三玖「ずるい、テレビは五人全員のもの。私にもチャンネルを選ぶ権利がある」 

 

二乃「あぁもう、往生際が悪いわね!」 

 

三玖「大体、この番組は品が良くない。教育上よろしくないから変えるべき」 

 

二乃「はあ? こういう色恋沙汰はねえ、女子の嗜みなのよ! 女のステータスなの!」 

 

三玖「そんな嗜みはいらない。もっと過去の偉人から色々なことを学ぶべき」 

 

二乃「何百年も前のオヤジから恋のいろはが学べるわけないでしょ!」グワッ! 

 

三玖「……かちーん。今の発言、取り消して」 

 

二乃「絶対取り消さないわ。そもそも間違ってないし」 

 

三玖「二乃は色情狂」ボソッと 

 

二乃「なっ!? なんですって!?」ガバッ 

 

三玖「本物の恋を知らず、借り物の恋しか語れない哀れな女子……それが二乃」 

 

二乃「ぐっ……あ、あんただって男と付き合ったことすらないクセに! 知ったようなこと言うんじゃないわよ!」 

 

三玖「付き合ったことはない。だけど本物の恋は知ってる」 

 

二乃「へえ……随分と大きく出たじゃない。ならご教授頂けるかしら、ホンモノの恋ってやつを」 

 

三玖「そ、それは……」シュン 

 

二乃「ふん、やっぱり言えないんじゃない。けどね、私は言えるわ。本物か偽物かもわからないけど、これだけははっきりしてる── 

 

二乃「──私はフータローが好き。この世界で誰より一番あいつのことを好きな自信があるわ」 

 

三玖「……うぅ」 

 

二乃「で、あんたもなにか言いたそうだけど」 

 

三玖「わ、私も……その…… 

 

二乃「ぼそぼそ喋ってちゃ聞こえないわ。もっと大きな声で言いなさい!」 

 

三玖「私も……私もフータローのことがっ── 

 

『あたし、好きな人が経験豊富だったってパターン多いんですよー!』ジャーンッ! 

 

『うわぉ、爆弾発言。これ、オンエアできますかね』 

 

『あはは。ディレクターさん、ここカットでお願いしまーす』 

 

 

二乃「……………… 

 

三玖「……………… 

 

 

二乃「……なんかテンション下がっちゃったわね」 

 

三玖「うん。まさかこの子がそういう人だとは思わなかった」 

 

二乃「ごりごりの清純派気取ってるクセしてよく言うわ。よほどの自信なんでしょうね」 

 

三玖「なにを言ってもファンは離れないと思ってる。浅はか」 

 

二乃「ねえー、ちょっとは限度ってもんがあるでしょ。これ全国放送よ」 

 

三玖「この子を応援してる人たちがかわいそう。テレビの前でくらい、綺麗なままでいればいいのに」 

 

二乃「ホントそれ。かわいければなに言っても許されるってものじゃないわ。そもそも、好きな人が経験豊富な人ばかりって、私は遊び人が好きですよーって言ってるようなものじゃない」 

 

三玖「……………… 

 

二乃「……なんで突然黙るのよ」 

 

 

三玖「ねえ、二乃」 

 

二乃「なによ」 

 

三玖「フータローは、どうなのかな」 

 

二乃「……どうって、なにが」 

 

三玖「やっぱり経験あるのかな、フータロー」 

 

二乃「はあ!? 突然なに言いだすかと思えば……あのね、あいつが誰かと付き合ってる図なんて想像できる? キスどころかデートすらまともにしたことなさそうなのに、経験なんてあるわけないじゃない」 

 

三玖「でも、フータローはかっこいい」 

 

二乃「まあ……否定はしないわ。でも、それとこれとは別。考えるだけ無駄よ。あいつはこれまでまともな恋愛すらしてきてないはずだわ」 

 

三玖「どうしてそう言い切れるの?」 

 

二乃「それは……女の勘よ!」ドンッ!! 

 

三玖(恋愛に関しては先を行かれてると思ってたけど……案外、二乃も大差ない) 

 

三玖「ちょっと待ってほしい。フータローは女の子慣れし過ぎてると思う」 

 

二乃「あいつが女慣れ? うーん、言われてみれば確かに……普段勉強を教わってるときは感じなかったけど、同年代の男子なんてみんな揃ってオオカミみたいなものだもの。それに比べてあいつは── 

 

三玖「そう。出会ったときから、私たちを異性として意識してない。自意識過剰かもだけど、私たち姉妹はそこそこカワイイ」 

 

二乃「そうよ! なんでそんな簡単なことに気がつかなかったのかしら。これだけカワイイ同年代の女子が五人もいるのに、誰にも手を出さないなんてどう考えたっておかしいわ!」 

 

三玖「つまり、考えられるのは── 

 

 

三玖・二乃「「フータローは誰かと付き合ったことがある!」」ガバッ 

 

 

四葉「ふわーサッパリしたーー! 良いお風呂だったなー、ってあれ? 二人ともなんでそんな真剣な顔してるの?」 

 

二乃「ねえ、四葉。短刀直入に聞くから正直に答えなさい」 

 

四葉「えっ? うん、なんかよくわかんないけど、できる限りは」 

 

二乃「フータローはこれまで誰かと付き合ったことがあると思う?」 

 

 

四葉「え? ええぇぇええぇぇ!!!! う、上杉さんが誰かと付き合ったことがあるかなんて、そんなの私にはわかんないよー!」 

 

三玖「あるか、ないかで構わない。正直に答えてほしい」 

 

四葉「そ、それは……上杉さんは恋バナとか嫌いみたいだから、恋愛に関心がないだろうなーってことくらいしか」 

 

二乃「そんなの百も承知のことよ。私たちが知りたいのは、四葉──あんたの考え」じーっ 

 

四葉(鬼気迫る表情……うわぁ、二人ともこわー) 

 

四葉「あわわわわ……えーっと、その……多分だけど、上杉さんは誰とも付き合ったことがないと思うよ」 

 

三玖「どうしてそう思うの?」 

 

四葉「うーん。難しいことはわかんないし、根拠もないよ。でもさ、上杉さんがすっごく頭が良いのってそれだけ努力してきたからだよね。その分、これまで恋愛する暇もなかったと思うんだ」 

 

二乃「ふむふむ」 

 

四葉「だから、きっとないよ。なんだかそんな気がする」 

 

三玖「そう言われると」 

 

二乃「あいつに恋愛と勉強を両立させる器用さがあるとも思えない。悩みどころね……ところで四葉、なんか妙に的を得たこと言うけどまさかあんたもフータローのことを── 

 

四葉「まさか、ありえません」 

 

二乃(気のせいか。まっ、四葉に限ってそれはないわね) 

 

三玖「ここから先はフータローの過去に詳しい人に話を聞かないとダメ」 

 

二乃「ええ、ただの水かけ論になりかねないわ。あーあ、せっかく面白くなってきたとこだったのに…… 

 

 

一花「なんの話してるのかな?」スッ 

 

二乃「うわっ、びっくりした! 一花、あんたどっから湧いてきたのよ」 

 

一花「いやー、そろそろ寝ようかなって思ってたけどみんな盛り上がってるみたいだから、無視できなくて」 

 

二乃「まあいいわ。ついでにあんたの考えも聞こうじゃないの」 

 

一花「考え? なにが?」 

 

二乃(白々しい……とぼけた振りして、どうせ全部話聞いてたんでしょ) 

 

三玖「フータローが誰かと付き合ったことがあると思うか、ないと思うか」 

 

一花「えーどうだろ。彼、ああ見えてちゃっかり遊んでそうだもんねー」 

 

二乃「……あいつに限ってそれは── 

 

一花「ない、とは言い切れないよね。そもそもさ、女の子と付き合ったことがあるかどうかだけで恋愛経験を語るのはおかしくない?」 

 

四葉「というと?」 

 

一花「みんな、肝心なとこが見えてないよ。ピュアというか、お子様っぽいよね」 

 

二乃「もったいぶってないで肝心なとこ話しなさいよ」 

 

一花「ふふ……では突然ですが問題です。付き合ってなくてもできる男女の愛の営みってなーんだ?」 

 

二乃「なっ!? あんたまさか!?」 

 

三玖「一花、ハレンチ」 

 

四葉「んー? なんだろ、それ? 手短なとこでいくと……料理かな」 

 

一花「ぶっぶー、外れ。お子様の四葉にはちょっと難しかったかもね」 

 

四葉「むっ、聞き捨てならないセリフ。一花、正解教えてよー」 

 

一花「そう焦らなくても大丈夫。夜は長いんだから──私が言いたいのはね、付き合った経験があるか語るんじゃなくて…… 

 

 

一花「フータロー君が童貞かどうかを語るべきじゃないかな」 

 

五月(なんてこと……こっそりお夜食を頂いている間にとんでもないことに)ガタガタ 

 

二乃(やっぱりそっちが本命だったわけね…… 

 

四葉「う、上杉さんが童貞かどうかなんて、それこそわかるわけないよ!」 

 

三玖「同意。それにデリカシーにも欠ける」 

 

一花「ふぅーん。じゃあ、二人は除外ってことでいいね。二乃はどうする?」 

 

二乃「……話を続けようじゃないの」 

 

四葉「ちょっと、二乃っ!」 

 

二乃「好きな人を!!」ドンッ!! 

 

四葉「っ!!??」 

 

二乃「本当に好きなら、どんなことでも知りたいと思うでしょ。ましてや相手の恋愛経験値とくれば、見過ごせるはずないでしょ」 

 

一花「……決まりだね。なら、三玖と四葉はもう休んでてても── 

 

五月「待ってください!!」ズザーッ! 

 

一花「いいよ、って言おうとしてたけど……どうも盗み聞きしてた子がいたみたい」 

 

二乃「そのようね」 

 

五月「ふ、二人ともっ、一体なにを考えているんですか! 正気の沙汰とは思えません!」 

 

一花「正気かどうかなんてこの際どうでもいいでしょ。大事なのはフータロー君が童貞かどうかだよ」 

 

五月「だ・か・ら、それが下衆の勘繰りだと言っているのです! 交際経験ならともかく、ど、どどど、童貞かどうかなんて探るべきではありません!」 

 

二乃「そうね。本来なら切って捨てられるのが当然の話題よ……でもね、今回は相手が相手──他の誰でもないフータローについてよ」 

 

五月「誰が相手かなんて関係ありません! むしろ上杉君は私たちの家庭教師なのですよ! 彼の人柄はともかく……日頃から勉強を教えてくださっている彼に対して失礼だとは思わないのですか!」 

 

二乃「思うわ。でもあいつのことをより知ることができるなら、それでもいい」 

 

五月「なっ、なんてことを…… 

 

一花「五月ちゃん。これは女のプライドがかかってる、いわば戦争だよ。傷を受け入れる覚悟がないなら、静かに休んでたほうがいい」 

 

五月「いいえっ! 今回ばかりは引きません! ええ、引きませんとも! ほらっ、四葉もなんとか言ってあげてください」 

 

四葉……………… 

 

五月「……四葉?」 

 

四葉「私は……ちょっと知りたいかな」 

 

五月「んなっ!? そんな、どうして四葉まで浮ついたことを言うのです」 

 

四葉「単純に興味があるし、仮に上杉さんが他の子とHしたことあったとしてもさ、私たちの間だけで留めておけばなにも問題ないわけでしょ」 

 

五月「いやしかしですね…… 

 

三玖「私も同意見。この場だけの秘密にできるなら問題ないと思う」 

 

五月「三玖まで……ああぁぁ、私は一体どうすればいいのです」 

 

一花「こういうとき簡単に解決できる方法知ってるけど」 

 

二乃「あら、奇遇ね。私も良い方法を思いついたとこ」 

 

四葉「多分、二人とも同じ方法だろうね」 

 

一花「ここは多数決で決めよう。ねっ」 

 

五月「はあ……どうせダメだと言ってもやるのでしょう?」 

 

 

五月以外の全員が手をあげる。 

 

 

一花「あはは、ごめんね五月ちゃん」 

 

五月「よくないですけど、仕方ありません。口を挟んだ時点でこうなる気はしてましたから」 

 

二乃「よし、決定。じゃあ、誰がフータローに聞くか決めましょ」 

 

一花「はーい、私は五月ちゃんがいいと思いまーす!」 

 

二乃(ここで間髪入れずに五月を指名して難を逃れようとするとは……一花、おそろしい娘っ!!) 

 

五月「ぶっ!!?? は、はあ? さっきと言ってることが全然違います! 何故直接聞く流れになっているのです!?」 

 

二乃「だってフータローが女の子と付き合ったことあるかどうかもわからないのに、童貞かまでわかるわけないじゃない。なら、直接聞いた方が手っ取り早いってわけ」 

 

五月「確かにそうですが……ってちがーう! 本人に聞いたらこの場だけの秘密にならないではないですか!」 

 

二乃「それはそれ、これはこれよ。その場の流れと勢いでいきなさい」 

 

三玖「大丈夫、五月ならきっとできる。信じてるよ」キラキラッ 

 

五月「なにさらっと私に任そうとしてるんですか! きらきらした目をして肩叩いても無駄ですからね、やりませんよ!」 

 

四葉「ししし、みんなでこういうノリで騒ぐの久しぶりだねー!」 

 

五月「四葉ぁ! あなたという人は……この場をさらに盛り上げてどうするのです! 逆効果ですよ!」 

 

一花「今回も多数決で……ってわけにはいかないかな」 

 

五月「いいわけないでしょう! そもそも私は直接聞くのは反対ですっ! 度が過ぎています!」 

 

二乃「ならあんたは休んでなさい。私たち四人で決めて、四人で聞いて、四人で答え合わせするから」 

 

五月「ぐっ……ここにきてはみ出し者にするとは」 

 

二乃「別にそんなつもりはないわ。ただねー、どうしても嫌だって言うなら……ほら、無理にとは言えないわけでしょ」 

 

五月(人のことをチラチラと値踏みするように……挑発しているつもりなのでしょうが、そうはいきませんよ) 

 

五月「わかりました。どうやらみなさんの決意は固いようです。もう引き止めたりはしませんからご心配なく」 

 

一花「ふう……わかってもらえて一安心だよ。じゃあ、五月ちゃんが大役を果たしてくれてる間、私たちも必死で応援するから」 

 

五月「なにを言ってるんです? 私は『引き受ける』なんて一言も言っていませんが」じろっ 

 

一花「っ!?」 

 

三玖「ならどうするの?」 

 

五月「決まっているじゃないですか……勝負ですよ。この中の一人が敗者となり、勝者四人の犠牲となって使命を全うする──敗北者を決める大一番を始めましょう! このトランプを使って!!」グワッ! 

 

四葉「おおー、さすが五月。準備がいい!」 

 

二乃「……あんた、実はみんなで遊びたかっただけじゃないの?」 

 

五月「ぎくっ!? な、なんのことだかさっぱりわかりませんね……ではポーカーでもしましょうか」 

 

三玖「トランプなんて久しぶり。ちょっと燃えてきた」 

 

二乃「実力の違い、格の差ってやつを教えてあげるわ」 

 

一花「さあ、勝っても負けても恨みっこなしだよ。いざ真剣に── 

 

 

一花・二乃・三玖・四葉・五月「勝負!!」 

 

 

五つ子真剣勝負。 

 

結果、敗者──四葉 

 

 

四葉「なぁんでこうなるんですかぁー!!」 

 

一花「修学旅行での借りは返せたかな」 

 

二乃「まっ、当然の結果ね(うわぁーぎりぎりセーフ。危うくドベになるとこだったわ)」 

 

三玖「ぶいっ、一番」 

 

五月「助かりました……あとは任せましたよ、四葉 

 

四葉「ちょちょちょちょい待った! これって遊ぶためのネタだよね? みんな本気で聞こうとか思ってない? いくらなんでもそれは無理があるってー、ねっ? 五月もそう思うでしょ」 

 

五月「………………(かわいそうだけど、明日の朝にはお肉屋さんの店先に並ぶ運命なのねって感じの冷たい目線)」 

 

四葉「あ、あのー、誰か味方してくれる人は手をあげてくださーい」 

 

 

一花・二乃・三玖・五月「……………… 

 

 

四葉「嘘だそんなことぉー!! これは無理っ!! 絶対無理っ!! そもそも聞き方とかわかんないってばー!」 

 

一花「んー、いっちょ電話してみよっか」 

 

四葉「なにちょっとコンビニ行ってきてよ、みたいなノリで言ってんの? できるわけないじゃん! それに今、夜の十時だよ! 上杉さんだってもう寝てるってばぁ!」 

 

三玖「為さぬなら、為すまで鳴らそうホトトギス」キリッ 

 

四葉「みーくぅ!!!! 一番淡々としてるわりに興味深々じゃん! それムッツリっていうんだよ! いいの? 今度から三玖のことムッツリーニって呼ぶよ?」 

 

三玖「望むところ。四葉、覚悟を決めて」 

 

四葉聞く耳なしっ!!?? ぐわぁー、二乃ぉー助けてよー!」 

 

二乃「誓うわ。あんたの犠牲、絶対無駄にはしない。約束する、必ず成し遂げてみせるから」 

 

四葉「無駄にカッコいい!! スポコン物の主人公っぽい!! しようとしてるの恋愛だけどっ!! 思いっきりジャンル違うけどっ!!」 

 

二乃「あら、案外そうとも限らないんじゃない? 本物の恋愛はスポーツのように熱く激しく、真剣であるべきだもの」 

 

四葉「なんか語り出したぁ!! もうこんなとこにはいられませんっ! 私は部屋に帰らせてもらう!!」ダダッ!! 

 

一花「おっと、そうは問屋が卸さないよ。二乃、三玖、五月、出口塞いで!」 

 

二乃「任せなさい!」シュバ! 

 

三玖「合点承知!」シュババ! 

 

五月「不本意ではありますが!」シュバババ! 

 

四葉ぐぬぬ……おのれぇ、普段の三倍はあろうかという身のこなし──好奇心は人を魔物に変えるといいますが、まさかここまでとは」 

 

一花「あははっ。いくら五つ子の中でずば抜けた運動神経をしていても、さすがに四人がかりには手も足も出ないみたいだね」 

 

四葉……ホントに、やるの?」 

 

一花「もちろん。これは名誉なことなんだよ、四葉 

 

四葉「あわ、あわわわわ…… 

 

一花「みんな見守ってるから……さっ、いってみよっか」 

 

四葉「ぎゃばああぁぁぁぁーー!!!!」 

 

 

打合せ後。 

 

 

四葉(一応、なにかあったときは五人全員で企てたことだと正直に告白することにしたので、多少はマシになりましたが── 

 

四葉「しかし、本当にいいんでしょうか」 

 

四葉(むむぅ……心なしか携帯を持つ手が震えているような気がします。こんな時間に、こんなしょうもないことを聞くために上杉さんに迷惑をかけるわけには…… 

 

四葉…………とはいえ」 

 

一花・二乃・三玖・五月「「「「じーっ」」」」ワクワクッ 

 

四葉(みんな深夜テンションでおかしなことになってるし。約束した手前やらないわけにはいきません) 

 

四葉「ええぃ、ままよっ! どうにでもなれぇ!」 

 

四葉(まずは当り障りない会話から始めて、それから恥ずかしくなる前にズバリ聞くしかない! よし、それでいこう!) 

 

 

プルルルル、プルルルル。 

 

 

四葉(上杉さん、愚かな私をどうか許してください。そしてあわよくば冗談だと悟ってください!)

 

風太郎「……なんだ、こんな時間に」 

 

四葉四葉です、こんな時間にごめんなさい。もしかして、まだ勉強とかされてました?」 

 

風太郎「とかってなんだ、とかって。お察しの通り、まだ勉強中だ。お前らに教えてる分、自分の時間を確保しようとしたら自然とこうなる」 

 

四葉「で、ですよねー」 

 

風太郎「……………… 

 

四葉「あ、あのですねー、ちょっと折り入ってお話したいことが── 

 

風太郎「かしこまらなくていいから要件を言え。わざわざこんな時間にかけてくるぐらいだ、なにか問題でもあったんだろ」 

 

四葉「えー、問題といえば問題なんですが、それも人によるというか……そもそも問題は上杉さんにあると言いますかー」モジモジっ 

 

風太郎「……切るぞ」 

 

四葉「あぁ待ってください! 切らないでぇ!」 

 

風太郎「はあ……とりあえず緊急の用事じゃないってことはわかった。聞くだけ聞いてやるから、とっとと話せ。はい、3・2・1── 

 

四葉「わわっ! えっとそれが中々どうして言いずらいことと言いますか、もしかしなくても失礼になりそうなことを聞かなくちゃいけなくて──」チラッ 

 

一花・二乃・三玖・五月「………………ジー 

 

四葉(わーお、メチャクチャこっち見てるぅー!) 

 

風太郎「怒らねぇから正直に言ってみろ」 

 

四葉……あのぅ、これは答えてもらわなくて全然構わない質問なんですが」 

 

四葉(行け、行くんだ私! ここで行かなきゃ、上杉さんの時間を奪うだけ! だから、言わなきゃ!) 

 

四葉「う、上杉さんはぁ!」 

 

風太郎「お、おう」 

 

 

 

四葉「これまで女の子とエッチしたことありますかぁ!!」 

 

 

 

風太郎「……………… 

 

 

四葉「えーっと、もしもーし」 

 

 

風太郎「……どうせお前ら全員家にいるんだろ。いいか、他の四人にも伝えとけ。今からダッシュでそっちに向かう。全員そこから一歩も動くなよ、いいな」 

 

 

ガチャ! ツー、ツー…… 

 

 

四葉……やってしまいました」シュン 

 

一花「どうだった!?」 

 

四葉「今からうちに来るって。全員そこから一歩も動くなとも言ってた」 

 

二乃「あいつうちに来るの!? しかもこれから!?」 

 

三玖「フータローの足だと、多分かなり時間かかると思う」 

 

五月「……だからやめておいた方がいいと言ったのに」 

 

四葉「長い、夜になりそうだね……」どよーん 

 

 

数十分後 

 

〈中野姉妹邸、もといアパート〉 

 

 

風太郎「ぜえはあぜえはあ……お前ら、いい加減にごほっ、ごほっ…… 

 

二乃「体力ないクセに無理して走るからよ。ほら、水」 

 

風太郎「う、うるせぇ! ごくっ、ごくっ……ぷはっ! こんな夜遅くに、あんなつまんねえことで連絡してくる暇あるんなら……はあ、はあ……ちっとは勉強しやがれ!」 

 

四葉……はい、ごめんなさい」 

 

風太郎「四葉だけじゃない、お前ら全員に言ってんだ。そこんとこホントにわかってんのか!」 

 

一花「反省してます」 

 

三玖「フータロー、ごめん」 

 

二乃「悪かったわ……二度と同じようなことがないよう気をつけるから」 

 

風太郎「当たり前だ、このバカ姉妹!」 

 

五月「申し訳ありませんでした。私がきちんと引き止めていれば、こんなことには── 

 

風太郎「もういい……終わったことをくよくよするな。その分、今回のことを水に流せるぐらい勉強に集中しろ」 

 

一花「うん。挽回できるよう、努力するよ」 

 

三玖「私も、これまで以上にがんばるから……今まで通り見ててほしい」 

 

四葉「上杉さん……」ウルウルっ 

 

風太郎「だあぁ!! わかったから揃いも揃って暗い顔すんな! 五倍暗くなるだろうが! 今回のことは許してやるし、条件つきではあるが……なんならさっきの電話での質問に答えてやってもいい」 

 

二乃「はあ!? あんた、それ本気で言ってるの?」 

 

風太郎「ああ。マジもマジ、大マジだ」 

 

四葉「上杉さん……別に無理しなくてもいいんですよ。今回は全て、私たちが悪いんですから」 

 

風太郎「……ふん。無理なんかしてねぇよ。ただ、そのだな……お前たちがどうしても気になるっていうなら、それを利用して勉強させるだけだ」 

 

五月「ま、まさかっ……!?」 

 

 

風太郎「そうだ、そのまさかだ。よく聞け。どの科目でも構わん、お前らがそれぞれ得意としてる科目でいい。次のテストで一教科でも満点を取ったやつにだけ、なんでも一つ答えてやる!」 

 

五つ子「「「「「な、なんだってえぇーー!!??」」」」」 

 

 

数週間後。 

 

〈放課後の教室〉 

 

 

四葉「で、結局誰も満点取れませんでした──と」 

 

風太郎「当たり前だ。あれぐらいでいきなり成績が伸びるようなら、俺は必要ない」 

 

四葉「まあ、それでもみんながんばってたじゃないですか。点数は前回のテストより良かったし、三玖や一花なんて目を血眼にして勉強してましたから」 

 

風太郎「あれを見て、正直……お前らを指導するにはあっち方面で釣った方が良いんじゃないかと本気で思ったぐらいだ」ガーン 

 

四葉「それはやめた方がいいと思います…… 

 

風太郎「ああ、わかってる。仮にそんな指導方法を取ってみろ。俺の体裁はともかく、お前らの父親になに言われるかわかったもんじゃない!」グワッ 

 

四葉「あはは……成績だけ伸ばせばいい、というわけではないのも考えものですね」 

 

風太郎「全くだ。しかし── 

 

四葉「ん?」 

 

 

風太郎「俺も勉強以外のことを学べてるからな。わりに合わないことばかりじゃないさ」フッ 

 

四葉(机に頬杖ついて窓の外を眺める上杉さんの横顔に、あの日の少年時代の彼が重なった。それ見て、私の胸の鼓動は少しだけ早くなりました。) 

 

四葉(その意味を、私はよく知っている) 

 

 

四葉「上杉さん、一つ聞いてもいいですか」 

 

風太郎「なんだ、藪から棒に」 

 

四葉「今回のテストではダメでしたけど、これからもっとがんばってたくさん勉強して……もしどこかのテストで満点を取ったら、一つだけ答えてもらってもいいですか」 

 

風太郎「……いいぞ。なんだって答えてやる」 

 

四葉「ホントですかぁ!」 

 

風太郎「ただし、満点取れたらの話だ。お前にそれができるか?」ニヤリッ 

 

四葉(意地悪そうに笑う彼は、あの日からなにも変わっていない。幼い頃、誰かに必要とされたがっていた少年は、今確かに必要とされている) 

 

四葉(私たち姉妹に──そして、私もまた上杉さんを必要としている) 

 

 

四葉「むう……なんだかバカにしてません? そんな余裕こいてると、ホントにとっちゃいますよ」 

 

風太郎「心配するな。そんなことは万に一つ……いや、億……兆か。とにかくありえん」 

 

四葉「悩むところそこぉ!? ホントに取ってからやっぱりなし、っていうのはダメですからねー! 絶対答えてもらいますから!」 

 

風太郎「やる気があるのは大いに結構。可能性がゼロじゃないなら、いつかは報われるかもな」 

 

四葉(そう、可能性はゼロじゃない。だから、きっと私にだってできるはず── 

 

風太郎「ところで、お前は満点取ったらどんな質問するつもりなんだ」 

 

四葉(いつかこの想いが報われる日が来るって信じてますから、今は大切に胸の内にしまっておきましょう) 

 

四葉「ししし、秘密です!」 

 

 

 

 

 

 

 

元スレ

https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1561546363/