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八幡「お前ら、よく占いなんざ信じるよな」2/3【俺ガイルss/アニメss】

 

TV『では占いでーす!』 

 

TV『本日最もよい運勢なのは、さそり座のあなた!』 

 

 

大志「姉ちゃん! さそり座1位だってさ」 

 

沙希「ん…… 1位か」カチャカチャ 

 

TV『思いがけない出会いに相手と急接近。たまには寄り道して帰るのはいかが? ラッキーメニューはオムライスでーす!』 

 

沙希(オムライスねぇ。残念ながらそんな予定は無いよ。まあ夕飯ならできなくもないけど)ジャー 

 

沙希(そもそも相手なんて)キュッ 

 

大志「ごちそうさま。あ、俺今日7時に塾終わるから」 

 

沙希「了解。そのくらいに迎えに行くね」フキフキ 

 

大志「んじゃ、行ってきまーす」 

 

沙希「いってらっしゃい。気をつけなよ」 

 

 

TV『さらに運気を上昇させるアイテムはアゴ いつもと違う結び方をしてみては? 男性は持っているだけで大丈夫!』 

 

沙希「…… 

 

沙希「さて、あたしもそろそろ準備しなきゃね」 

 

 

先生「であるからして~」 

 

 

先生「というフレーズは漫画やアニメで登場する教師が頻用するが、実際そんな言葉を使う場面がどれだけあるか? ないでしょ」 

 

八幡(なんなんだろうかこの授業。前回登場したおばあちゃんの心境は? ねぇ先生、コンパスの話は?) 

 

 

ガララッ 

 

 

八幡(ん?) 

 

先生「ぬっ? 川崎さん、遅刻だぞ遅刻」 

 

沙希「すみません」 

 

先生「ふむ」 

 

 

八幡(あれは川ぎ……川崎だよな) 

 

 

沙希「ふー 

 

 

八幡(あいつなんかいつもと違うな。なんだ?) 

 

 

沙希(全く、ついてないね。自転車がパンクだなんて) 

 

 

八幡(ああ、分かった。あの頭の 

 

 

沙希(わざわざお団子髪になんかするんじゃなかった。いつも通りなら歩きでも少し急いで間に合ったかもしれないのに) 

 

 

 

先生「さて、私はこの『であるからして』というフレーズがなぜここまで浸透したかについて友人の文学部助教授であるところの 

 

八幡(その話まだ続くのかよ) 

 

 

放課後 

 

 

沙希(さて、大志の迎えまで暇だけど、どうしよう) 

 

沙希(寄り道ねぇ…… バカバカしい。とりあえず一旦うちに帰ろ) 

 

 

沙希「あれ?」 

 

 

沙希(自転車どこに停めたっけ 

 

沙希(って、そういや今日は歩きで来たんだった。家まで帰るとなると手間だね) 

 

沙希「…… 

 

沙希(予備校行って自習でもするかな) 

 

沙希「……カリカ 

 

沙希(えーっと、内積が出てるから) 

 

沙希「……」ピコーン! 

 

沙希「……カリカカリカ 

 

 

カラン 

 

 

沙希(ふー、ちょっと休憩。今日はなんだかいつもより集中できるね) 

 

沙希(この髪型のおかげかな? 下向いても垂れてこないからジャマにならないし、しばると気合いも入るし) 

 

沙希(案外正解だったかも。もうひと頑張りして)チラ 

 

沙希(ん、でももう18時か。歩きだからそろそろ迎え行かないと) 

 

 

ウィーン 

 

 

沙希(だいぶ日が短くなってきたね。これから冷え込んでくる季節か) 

 

沙希(早くも月が見えそう。今日はだいたい半月か。なんかあの形オムライスみたい 

 

沙希「あっしまった」 

 

沙希(大志の迎えに行く前に夕飯の材料買おうと思ってたのに。塾帰りでもいいけど、大志を待たせるのは悪いし) 

 

沙希(まいったね。自転車さえ使えれば 

 

 

八幡(あん?) 

 

 

キキッ 

 

 

沙希「ん?」 

 

八幡「よう。やっぱり川岸か」 

 

沙希「あんたかっていうか、いい加減あたしの名前覚えたら? 殺すよ?」 

 

八幡「ばっか、冗談だよ川島。怒んなって」 

 

沙希「相当死にたいらしいね」グッ 

 

八幡「は? ……あっ、川崎か! 違う! 違うんだ川崎! 今のは素で間違えた!」 

 

沙希「そっちのほうがタチ悪いんだけど!」 

 

沙希「はぁ…… あんた、なんでここに? 冬季講習の案内なら中に資料あるよ」 

 

八幡「いや、そういうんじゃない。さっきまで家にいたんだが時間余ってな、小町の迎えついでにサイクリングを嗜んでたところだ」 

 

沙希「ぷはっ。サイクリングって、それママチャリじゃん」 

 

八幡「いいんだよ。ふつうに散策とか言うよりそっちのほうが格好いいだろうが」 

 

沙希「わざわざ格好つけてるほうが格好悪いと思うけど?」 

 

八幡「うっせぇなそれよかお前は? 予備校の授業って18時からじゃねぇの?」 

 

沙希「今日は授業じゃないよ。大志の塾の迎えに行くから、それまで自習室で時間潰してただけ」 

 

八幡(すげぇ、家で美少女アニメ見て時間潰してた俺とは月とスッポンだな。今宵の月は……なにあれオムライスみたい。オムライス食べたい) 

 

八幡「……ん?」 

 

八幡「まてよ? 大志の迎えってことはだ、お前もこれから学習塾に向かうわけ?」 

 

沙希「そうだけど。そっか、あんたもか」 

 

八幡「まあな。俺はもうちょいこの辺り回るつもりだけど」 

 

八幡「っつーか今から? 小町が言うには授業が19時までかかるって話だぞ。早すぎだろ」 

 

沙希「歩きで行くからいいの」 

 

八幡「歩き? 制服ってことはお前学校から直だろ? チャリじゃねぇのかよ」 

 

沙希「あたしの自転車、朝パンクしてたからさ。今は無いんだよ」 

 

八幡「そりゃお気の毒様なことで…… ああ、それでお前今日遅刻したわけね」 

 

沙希「どーでもいいでしょそんなこと」 

 

沙希「ほら、さっさと行きなよ」 

 

八幡「おう。じゃあな」 

 

 

ガシャ 

 

 

八幡(朝からパンクとか、ついてねぇな川崎のやつ…… まあ俺には関係ない。関係ないが)キコ 

 

沙希(はぁ。自転車があれば塾の近くのスーパーで先に買い物する時間あったんだけど)スタ 

 

 

八幡(徒歩か疲れるよなどう考えても) 

 

沙希(自転車があれば……?) 

 

 

ピタッ 

 

 

八幡「おい、川崎」 

沙希「ねぇ、比企谷」 

 

 

八幡「…… 

 

沙希「…… 

 

 

 

八幡「乗ってくか?」 

沙希「乗っけてよ」 

 

 

学習塾 

 

 

小町「んはーっ! 終わったーー!」 

 

大志「今日のとこちょっと難しかったね。俺、ノート取るので手一杯だった」 

 

小町「そうなんだ。小町は余裕だったよ?」 

 

大志「比企谷さんなんだかんだ頭いいもんなぁテストの点は微妙だけど、そういうのじゃなくて、器量? っていうの?」 

 

小町「えっへん。わかってるね大志君! 世の中点数じゃないのですよ! あ、あとでノートコピーさせてね」 

 

大志「あれ!? 余裕だったんじゃねーの!?」 

 

小町「余裕で寝てたからねー」 

 

大志「あーあはは…… まあ、俺のでよければ貸すよ」 

 

小町「わ、ありがとー! さっすが大志君だね! 小町のお兄ちゃんよりずっと人間出来てるよ!」 

 

大志「えっ? そうかな」 

 

小町「うんうん! あ、でも見返りに小町のカラダ求めるとかはダメだからね?」 

 

大志「ぅええっ!? そ、そそそんなこと……しねーよ 

 

小町「大志君、顔まっかだよ? 大丈夫ー?」 

 

大志「そ、それよりさ! お兄さん!」 

 

小町「んっ? 小町のお兄ちゃん?」 

 

大志「そう! お兄さんって、そんなダメな人なわけ?」 

 

小町「むっ…… お兄ちゃんをバカにすると、いくら大志君でも小町怒るよ」 

 

大志「いやいや、俺はそんなこと思ってねーよ! ただお兄さんの周りの女の人とか、比企谷さんもだけど、みんなけっこうお兄さんのことボロクソ言ってたし 

 

小町「あー悲しいけどそれはちょっと否定できないね」 

 

大志「ずっと不思議だったんだよ。姉ちゃんの問題を解決してくれたのも大きいけど、俺的にはお兄さんはすごい人だと思うんだ」 

 

小町「えっ?」 

 

大志「なんていうか、他の人とは違う目を持ってるっていうかよく分かんねーけど」 

 

大志「とにかくさ、ヒーローとか、師匠とか、俺にとってお兄さんはそんな感じの憧れの人なんだと思う」 

 

小町「た、大志君 

 

大志「まあでもなぜかお兄さんには嫌われてるみたいなんだけどさ、俺」 

 

小町「大志君! 今の、お兄ちゃんに聞かせてあげなよ!」 

 

大志「ええっ!? やだよ、恥ずかしいし」 

 

小町「お兄ちゃんそんな褒められたことないから、きっと大喜びだよ? 大志君のこと一発で好きになるよ!」 

 

大志「そう言われてもなぁ 

 

小町「お願いっ! 一回でいいから! 罵声と中傷のスピードラーニングやってるようなお兄ちゃんに数少ない幸福の言葉を向けてあげて!」 

 

大志「なんか必死だ!? お兄さんいつもどんなこと言われてんの!?」 

 

小町「とまあ、半分冗談は置いといて。大志君のお姉さんもすごいよね」 

 

大志(半分は本当なんだ 

 

大志「姉ちゃん? そうなのかな」 

 

小町「だって、非合法とはいえ、家族のために寝る時間削って働いてたんだよ? えらいなんてもんじゃないよ」 

 

大志「うん…… 

 

小町「それに引きかえ小町のお兄ちゃんときたら、寝る時間削ってアニメみたりゲームしたり本読んだり……おまけに将来の夢はヒモだよ? とんだゴミいちゃんだよ」 

 

大志「え、マジで!?」 

 

小町「マジもマジだよ。そんな性格を治すために、今高校で部活やってるんだもん」 

 

大志「そうなんだでも、良いところもあるんだろ?」 

 

小町「ん、まあ、お兄ちゃん小町のこと大好きだし? 小町もお兄ちゃんのことは好きだよ」 

 

大志「そっか」 

 

大志「なら、やっぱお兄さんは良い人で、すごい人だよ」 

 

小町「ん? どゆこと?」 

 

大志「だって、こんなすてきな比企谷さんが好きなお兄さんだろ? そのお兄さんがダメな人なわけないじゃんか」 

 

小町「!?」 

 

大志「でもそうだな。うちの姉ちゃんも負けないくらい良い姉ちゃんだと思う」 

 

大志「って、どうしたの? 比企谷さん?」 

 

小町「あぅ。なんでもないから……バカ」 

 

大志「えっ!? ご、ごめん! なんか俺まずいこと言っちゃった!?」 

 

小町「な、なんでもないってばっ! あは、あはははー!」 

 

大志「えっ? ええっ?」 

 

小町「もうほんと! 大志君のお姉ちゃんもいいし! 小町のお兄ちゃんもさいこーだよ!」 

 

大志「えっ、あ、うん?」 

 

小町「いやー、いっそ二人ともくっついてくれないかなー? そしたらもっと最強ってゆーか? あっはははー!」 

 

大志「なっ!? そ、それって、姉ちゃんとお兄さんが付き合うってこと!?」 

 

小町「そーだよ? 小町的には付き合うどころか、いっそ夫婦にでもなってくれたらなーって今思っちゃったよ!」 

 

大志「ふ、ふうっ……うわぁぁ!」 

 

小町「一緒に買い物とか行ってさ! 2人並んで、そう、ちょうどあんな感じの…… 

 

大志「あんな感じの……?」 

 

 

八幡「えーっと、あそこだっけか」 

 

沙希「そうだよ。大志はいつも入口の横のところであ、いたいた」 

 

 

小町「…… 

 

大志「…… 

 

小町・大志(本人だったーーっ!!) 

 

 

 

八幡「ん? ああ」 

 

沙希「お揃いだね」 

 

沙希「大志、お待たせ」 

 

大志「姉ちゃん!と」 

 

八幡「うす。久しぶりだな、川越弟」 

 

大志「川越?」 

 

沙希「……」ギロ 

 

八幡「じょ、冗談だって川崎!な! 弟よ」 

 

大志「え? あ、そ、そうっすね、お兄さん!」 

 

八幡「お前にお兄さん呼ばわりされる筋合いはねぇ失せろ」 

 

大志「ええっ!?」 

 

沙希「あんた、大志いじめたらぶっ殺すよ?」 

 

八幡「すいましぇん 

 

小町「……」コソ 

 

八幡「ん? お? おお。よう小町、愛しのお兄ちゃんが迎えにきてやったぞ」 

 

小町「うん」 

 

八幡「 どうかしたか?」 

 

小町「ううん」 

 

八幡(なんだ? こんなしおらしい小町は久々に見るな) 

 

八幡「まさか大志、小町になにかしやがったんじゃあ」キッ 

 

大志「ひぃっ!」 

 

沙希「あんた」キッ 

 

八幡「ひぃっ 

 

小町「……」ボー 

 

 

大志「な、なぁ。お兄さんやっぱり俺のこと」ボソ 

 

小町「ほわぁあああ!」ビクッ 

 

大志「えっ!? なに!?」 

 

 

ガシッ 

 

 

八幡「おいてめぇ、いい加減に」 

 

 

ガシッ 

 

 

沙希「いい加減にしないとぶん殴るよ」 

 

八幡「ウィッス」 

 

大志「ど、どうかした? 比企谷さん、さっきからちょっと変じゃない?」 

 

小町「えっ? や、やだなー。小町はいつも通りだよ?」 

 

大志「ならいいけど 

 

 

沙希「じゃ、帰ろうか」 

 

大志「あれ? 姉ちゃんチャリは?」 

 

沙希「それがパンクしちゃってさ。今日は歩きなんだ。悪いね」 

 

大志「あ、そうなんだ。俺は別にいいよ」 

 

沙希「比企谷、ここまで助かったよ。おかげで食材も先に買えたし」 

 

八幡「なに、礼には及ばねぇよ」 

 

八幡(感触も楽しめたことだしな。いまだ背中に余韻が残って 

 

沙希「なんかやらしーこと考えてるでしょ」 

 

八幡「エスパーかよ」 

 

沙希「うわせめて否定してくんない?」 

 

小町「お兄ちゃんの節操なし 

 

八幡「どういう意味だよ! 誤解を招く発言はやめろ」 

 

小町「てゆか、もしかしてお兄ちゃんと沙希さん、学校から二人乗りしてきたんですか?」 

 

沙希「学校からじゃないけど、少しね。おかげでそこのスーパーに寄る時間ができて助かったよ」 

 

大志「ま、まさか買い物も一緒に?」 

 

沙希「実にいい荷物持ちだったね」 

 

八幡「おい」 

 

小町(うわーそれって完全に 

 

大志(カップルじゃん 

 

 

小町「はいはーい! そーゆーことなら、小町にいい案がありまーす」 

 

沙希「いい案?」 

 

小町「お兄ちゃん!」 

 

八幡「あん?」 

 

小町「レディーを家まで送ってさしあげなさい! これはお願いじゃないよ、命令だよ」 

 

八幡「当たり前だろ。そのために来たんだから」 

 

小町「えっ」 

 

八幡「よっと」ガシャ 

 

小町(あ、あれ? やけにあっさり 

 

 

八幡「ほら小町。早く後ろ乗れよ」 

 

小町「あーーーー、そんなことだろうと思ったよ。全然ちがうよお兄ちゃん」 

 

小町「小町じゃなくて、沙希さんを送ってあげるの。なんで文脈から判断してくれないかなぁ」 

 

八幡「はあ? なんだそりゃ 

 

沙希「妹ちゃん。気遣いはありがたいけどさ、そこまでしてもらう義理はないよ」 

 

小町「いえいえ遠慮しないでください。むしろお兄ちゃんのためにお願いします! そうでもしないと女性に触れる機会なんてない残念な兄にどうか救いの手を!」 

 

沙希「なんか逆に遠慮したくなるねいやらしい想像されてそうで気持ち悪い」 

 

八幡「お前ら勝手に話すすめながら人をディスんのやめてくんない?」 

 

大志「あの、俺は賛成っすよ」 

 

小町「おおっ!」 

 

沙希「なんで?」 

 

大志「姉ちゃんが迎えに来てくれてるのは夜道が危ないからなんで、歩きでも全然いいんすけど、早く帰れるに越したことはないですし」 

 

大志「それに、うち今日両親と妹いないんすよ。せっかくなら、みんなで姉ちゃんの作った飯食いたいかなって 

 

八幡「…… 

 

大志「あとそうすれば、姉ちゃんもお兄さんにお世話になったお礼ができると思ったんすけど」 

 

沙希「大志 

 

大志「えと……ダメっすかね?」 

 

小町「お兄ちゃん!」 

 

八幡「あー 

 

八幡「まあ、うまい飯につられてってのは……悪くないな」 

 

小町・大志「!!」 

 

沙希「ふふっ。あんまプレッシャーかけないでよ」 

 

沙希「そんじゃお言葉に甘えて。あとこれ、買ったものカゴに入れていい?」ガサ 

 

八幡「ああ。カバンの横に入りそうだな」 

 

沙希「卵はカバンの中がいいんだけど」 

 

八幡「なに? どうせ割れてこぼれるならせめて俺に嫌がらせしようって魂胆なの?」 

 

沙希「バカ。衝撃減らすためだから。もちろん割れても漏れないよう袋に入れるし」 

 

八幡「ならいいけど」 

 

小町「いつのまにかずいぶん沙希さんと仲良くなったねー、お兄ちゃん」 

 

八幡「いやいや、どこがだよ」 

 

 

大志「あれ? でもそうすると、もしや比企谷さんが帰れなくなるんすかね?」 

 

小町「あ、ほんとだー。まぁでもそれなら走ってついてくよ」 

 

大志「えっ!? ご、ごめん! そういうつもりじゃ 

 

小町「大丈夫大丈夫~。小町走るの得意だから!」 

 

大志「そんな…… 俺が走ってくから、比企谷さんは俺のチャリ乗ってよ」 

 

小町「えっ? いいよほんとに」 

 

大志「でも…… 

 

沙希「ならさ、大志の後ろに妹ちゃん乗っけてあげなよ」 

 

小町「えっ!?」 

 

大志「ちょっ!?」 

 

八幡「おい、お前勝手に」 

 

大志「姉ちゃん! それはちょっと比企谷さんも嫌だろ? そんなの」 

 

小町「へっ? い、イヤじゃないよ……?」 

 

大志「えっまじで?」 

 

沙希「はーい決定。ほら妹ちゃん、早く乗った乗った」 

 

八幡「待て待て! 俺は認めないぞ! そんなどこの馬の骨とも分からんやつ!」 

 

沙希「父親かあんたはってかあたしの弟だから。第一決定権はあんたじゃなくて本人にあるから」 

 

八幡「ぐぅ」 

 

沙希「どうする? 妹ちゃん。無理にとは言わないけど」 

 

小町「えと…… じゃあ、よろしくお願いします」ペコ 

 

大志「え、あはい。こちらこそ」ペコ 

 

 

八幡「小町ぃ………」ポタ ポタ 

 

沙希「うわ! ガチで泣かないでよ気持ち悪い!」 

 

八幡「ば、ばっか泣いてねぇよ! ヨダレだよ!」 

 

沙希「もっと気持ち悪いよ!」 

 

八幡「いいかお前ら。二人乗りは本当はいけないんだ」 

 

八幡「警察のニオイを感じたらすぐさま止まって降りることを肝に命じた上で、ゆっくりゆっくり安全に安全に安全に走れよ」 

 

大志「は、はい!」 

 

小町「……」ギュ 

 

大志(うっ……緊張する絶対に比企谷さんだけはケガさせないようにしねーと) 

 

八幡「もし小町に擦り傷ひとつでもつけてみろ。速攻で訴訟起こして豚小屋にぶちこんでやる」 

 

沙希「年齢的に無理だから。まあでも大志、ほんとに気をつけなよ? あんたも妹ちゃんもケガしないようにね」 

 

大志「あ、ああ! 俺の命に代えても守ってみせる!」 

 

小町「っ!?」ドキ 

 

沙希「あんたもっつったでしょその心意気は格好いいけど」 

 

八幡「お前らは先に行け。後ろから監視すっから」 

 

大志「あ、はい。お願いします。比企谷さん大丈夫?」 

 

小町「だいじょーぶ」 

 

大志「よ、よし! 行こう!」ガシャ 

 

 

キコ 

 

 

八幡「……小町に変なことしたらタダじゃおかねぇぞクソ坊主」 

 

沙希「監視ってそっちの監視かちょっとはあたしの弟を信用しなよ」 

 

八幡「わーってるよ。俺らも行くか」ガシャ 

 

沙希「ん。よろしく」 

 

 

ブチッ 

 

ズルッ 

 

 

八幡「のあっ!?」キキッ 

 

沙希「っ!?」 

 

八幡「っとと…… あぶ……なんだ? 靴が抜けたぞ」 

 

沙希「な、なに?」 

 

八幡「うわ、まじかよ。右のヒモが 

 

沙希「どれ? ……あーあー、見事に切れてるね」 

 

八幡「なんてこった。ヒモって本当に切れたりすんのな」 

 

沙希「あたしは経験ないね。ヒモの靴なんてしばらく履いてないし」 

 

八幡「まいったな一人ならともかく、お前乗せるのにこの靴じゃ不安定だぞ」 

 

沙希「どうする? あたしじゃたぶん前は乗れないよ」 

 

八幡「乗れたとしてその絵面は恥ずかしすぎるから却下で」 

 

沙希「たしかに。うーん、困ったね。この辺りじゃ靴ヒモなんて売ってないだろうし」 

 

八幡「っつーか、あいつら気づかず行っちまったな 

 

沙希「靴ヒモじゃなくても代わりになるものがあればいいんだけどね。そう都合よくは 

 

沙希「あ」 

 

 

八幡「どうした?」 

 

沙希「……ある」 

 

八幡「ん? なんかヒモ持ってんのか?」 

 

沙希「うん。ほんと、たまたまだけど」 

 

八幡「まさかとは思うが、俺の将来がヒモとか言い出さねぇよな」 

 

沙希「知らないよそんなのそれよりあんたハサミ持ってない?」 

 

八幡「ハサミ?」 

 

八幡「あー、まあ、ないことはないが 

 

沙希「へぇ、意外。ダメ元で聞いてみたけど、ハサミ持ち歩いてるやつなんているんだね」 

 

八幡「ふつうのハサミじゃねぇぞ? ほら」 

 

沙希「ふーん、なんか変わった形。やけに刃先細いし」 

 

八幡「で、何か切るわけ?」 

 

沙希「ちょっと待ちな。んっと 

 

 

シュル 

 

 

八幡「なんだ、お団子解いちゃうのか?」 

 

沙希「まあね」スル 

 

沙希「ほら、これ使おうよ。ハサミ貸して」 

 

八幡「……ああ」 

 

八幡「なるほど、ヘアゴムか。確かに応急処置はできそうだが……いいのか?」 

 

沙希「ゴムなんて家にいっぱいあるからね。いつものシュシュだったらダメだけど、たまたま髪型変えててよかったよ」パチン 

 

八幡「珍しくポニーテールじゃなかったよな。気分か?」 

 

沙希「そんなとこ。ほら、結んであげるから右足だして」 

 

八幡「は? いやいいよ、自分でやるって」 

 

沙希「いいから任せなって」 

 

八幡「お、おう。じゃあ頼む」 

 

沙希「ん。はいできた。ちょっと動いてみて」 

 

八幡「んー、ああ。これなら1日くらいは全然大丈夫そうだ。サンキュな」ピョン 

 

沙希「はいよ。じゃあ今度こそ出発……あ、ちょっと待って」 

 

八幡「あん?」 

 

沙希「このままだと髪巻き込まれそうだし、いつものシュシュあるから結び直すよ。っと」グイ 

 

八幡「おお…… 

 

沙希「……なに? その顔」クル 

 

八幡「いや、ほどくときもそうだったけど、女子が髪型変える瞬間ってこう……来るものがあるよな」 

 

沙希「そんなもん? あたしにはわかんないけど」シュル 

 

八幡「ああ。お前とか特に髪長くて綺麗だし、余計そう感じるんじゃねぇかな」 

 

沙希「なにそれ、口説いてるつもり?」 

 

八幡「アホ。んなわけあるか。素直な感想だよ」 

 

沙希「ふーん。あっそ。でもまあありがと」ファサッ 

 

八幡「お、やっぱりそっちのがいつものお前って感じするな」 

 

沙希「そう?」 

 

八幡「お団子も新鮮でよかったけど、ポニーテールのほうが似合ってるぞと思うぞ…… 川村」 

 

沙希「あんた…… 

 

沙希「ふつうそこで名前間違える?」 

 

八幡「普通じゃないからな俺は。非凡と言ってくれてもいい」 

 

沙希「やっぱわざとかほんと、ふつうじゃないよあんたは」 

 

 

川崎宅 

 

 

小町「いっただっきまーす!」 

 

大志「いただきます!」 

 

沙希「召し上がれ」 

 

八幡「すげぇなここは洋食屋かよ」 

 

小町「んー、おいしーい! すごい美味しいです、沙希さん!」 

 

沙希「ふふ。そりゃよかった」 

 

大志(姉ちゃん気合入ってんなぁ。おいしいからいいけど) 

 

八幡「人参は甘いしくり抜いてあるし、デミソースの上に白いのが一平ちゃんのマヨビームみたいにかかってんのもすげぇそれっぽい」 

 

小町「お兄ちゃん、もうちょっと上品な表現してよポイント低いよ」 

 

八幡「別にいいだろ。リポーターでもあるまいに」 

 

沙希「お客様だから少し凝ってみたけどね。いつもはもっと簡素なことが多いよ」 

 

八幡「それにしてもオムライスか。なんでかちょうど食べたくなってたんだよな」 

 

沙希「そうなの? あたしも最初はそんな予定なかったんだけど、なんでか作る気になったんだよ。なんでだっけ」 

 

大志「あ、そういや姉ちゃんの占いのラッキーメニューってオムライスじゃなかった?」 

 

小町「えっ、そうなんですか?」 

 

沙希「ああ、そういえば」 

 

八幡「意外だな。お前占いとか信じるタイプなのか?」 

 

沙希「別に信じちゃいないけどたしかに理由のひとつではありそうだね」 

 

大志「しかも1位だったしね。姉ちゃん、いいことあった?」 

 

沙希「んー、どうだろ」 

 

八幡「朝からチャリパンクするわ、学校遅刻するわ、とんだ1位があったもんだな」 

 

小町「あー、そういえば小町も月曜占い1位だったんですよー。けどもう最悪でした! 主にお兄ちゃんのせいで」 

 

八幡「あれはお前が悪いだろ 

 

沙希「…… 

 

沙希(占い、か) 

 

沙希(……案外当たってるんじゃないの) 

 

 

大志「姉ちゃん?」 

 

沙希「ん。ほら、どんどん食べなよ。おかわりもあるから」 

 

八幡「食った食った。ごちそうさん 

 

小町「ごちそうさまでしたー!」 

 

八幡(普通におかわりしちまった。オムライスってこんなうまかったのか) 

 

沙希「綺麗に食べてくれてよかったよ」 

 

八幡「片付けるか? 皿洗うくらいならできるぞ」 

 

沙希「いいよ。お客様は座ってて。片付けまでが料理だしね」 

 

八幡「そうか、悪いな」 

 

沙希「デザートとかあったほうがいい?」 

 

八幡「いや十分だ。サンキューな、川上」 

 

沙希「……やっぱあんたに全部洗ってもらおうかな」 

 

八幡「冗談だって」 

 

沙希「~~」ジャー 

 

 

大志(最近は機嫌悪くもないけどあんな機嫌いい姉ちゃん久しぶりだなぁ) 

 

小町「やー、ほんと沙希さんっていいお姉さんだよね。塾のお迎え来てくれるし、料理上手だし、勉強熱心でしかも美人で」 

 

大志「そ、そう?」 

 

小町「だってのにお兄ちゃんは」チラ 

 

八幡「おいなんだその目は。俺だって迎え行くし、カップ麺作れるし、本は読むし心がイケメンだぞ」 

 

小町「もうやめてお兄ちゃん。大丈夫だよ、お兄ちゃんには小町がついてるから」 

 

八幡「本気で哀れむなよ悲しくなるから 

 

大志「でも俺、お兄さんのこと尊敬してるっすよ」 

 

八幡「……は?」 

 

大志「比企……小町さんにも話したんすけど、お兄さんってすごい人だなって思うんす」 

 

小町「!」 

 

八幡「あー、よくあるよな。とりあえず先輩とか年上の人に『まじリスペクトっす』みたいなやつ」 

 

大志「ちがっ! そ、そんなんじゃないっすよ!」 

 

大志「姉ちゃんの問題を解決してくれた時からずっと思ってたんすけど、お兄さんって他の人とは違う目をしてるっていうか 

 

八幡「それはあれか、目が腐ってるって」 

 

小町「お兄ちゃん黙って」 

 

八幡「ウィッス」 

 

大志「はは 

 

大志「とにかく、そういう『人とは違う』って感じにすごい憧れてて」 

 

大志「お兄さんの周りの人にはちょっと悪く言われてるのかもしんないっすけど、俺はそうは思わなくて」 

 

大志「俺はその、お兄さんのことめっちゃかっこいいと思うっす! 本気っすよ!」 

 

八幡「…… 

 

小町「大志君!」 

 

八幡「…… 

 

小町「お兄ちゃん。こう思ってくれる人もいるんだよ。よかったね」 

 

八幡「……大志」 

 

大志「は、はいっす」 

 

 

八幡「そ、そそそんなこと言って、俺に取り入って外堀から小町との距離埋めようったって……そうはいかねぇぞばかやろう……!!」 

 

大志「ええっ!? お、俺そんなつもりじゃ!」 

 

小町「お兄ちゃん上向きすぎ。目潤んでるのバレバレだよ」 

 

八幡「ばっか、ちげぇよ! これはヨダレだっつっただろうが!」 

 

小町「目からヨダレは出ないよ!? ってか初めて聞いたよ! 動揺しすぎだよお兄ちゃん!」 

 

大志「あははは 

 

 

 

沙希(何やってんだか……)カチャ 

 

八幡「よし大志。その心意気を見込んでお前を弟子にしてやってもいい」 

 

大志「ほんとっすか!? お願いします!」 

 

小町「えー、やめときなよ大志君 

 

大志「いやー、俺お兄さんみたいな兄ちゃん欲しかったんすよ。うち、俺以外は女きょうだいっすし」 

 

八幡「兄ちゃんって……師じゃねぇのかよ」 

 

大志「あ、そっすねすいません」 

 

小町「!」ピコーン 

 

小町「でもさ! お兄ちゃんが沙希さんと結婚すれば、大志君はお兄ちゃんの弟になれるよ!」 

 

八幡「ぶっ」 

 

大志「ちょっ、小町ちゃん!? 何言ってんの!?」 

 

小町「お兄ちゃん、考えてもみなよ」 

 

小町「沙希さんなら家事も完璧だし、面倒見いいし、勉強がんばってて将来有望だしまさにお兄ちゃんの理想じゃない?」 

 

八幡「いやいやお前……いやいやいや…… 

 

八幡(あれ、言われてみればたしかに) 

 

沙希「盛り上がってるね」 

 

八幡「おわっ! か、川崎、聞いてたのかよ」 

 

沙希「聞いてたもなにも筒抜けだから。最初から全部聞こえてるよ」 

 

小町「ちょうどよかったです、沙希さん!」 

 

沙希「ん?」 

 

小町「沙希さんはどうですか? こんな兄ですけど、仙豆と鞭を使い分ければきっと真人間に育ちますよ!」 

 

八幡「おい小町、んな勝手に 

 

八幡(っつーか仙豆なの? 飴じゃないの? 鞭打って仙豆で回復するのを繰り返せってことなの? それ育つのは戦闘力だけじゃねーか) 

 

沙希「そうだねー。どうしよっかな」 

 

八幡「悩んじゃうのかよ」 

 

小町「兄が欲しいと言ってる大志君のためにも、どうかお願いします!」 

 

大志「えぇ!? 小町ちゃん、そこまでしなくていいって!」 

 

八幡「川崎、小町の言うことを間に受けなくていいぞ」 

 

沙希「うーん。でも、大志がそこまで言うならねー」 

 

大志(そういう意味じゃないんだけどな 

 

小町「沙希さん、沙希さん!」キラキラ 

 

沙希「あ、だけど小町ちゃん。別にあたしとこいつがくっつかなくても大志の希望は叶えられるよ?」 

 

小町「へっ?」 

 

沙希「逆に考えてみなよ。こいつが大志の兄になるんじゃなくて、大志がこいつの弟になればいいのさ」 

 

小町「…… 

 

小町「えっと、なにが違うんですか?」 

 

八幡「……おい川崎、お前まさか」 

 

沙希「つまり、小町ちゃんと大志が結婚すればいいってこと。そうしたら大志は晴れてこいつの義理の弟になれるでしょ?」 

 

小町「えっ」 

 

大志「えっ!?」 

 

 

小町「……」チラ 

 

大志「……」チラ 

 

 

小町・大志「えぇええええええっ!?」 

 

大志「ま、ちょ、ちょっと待ってよ姉ちゃん!!」 

 

八幡「そうだぞ川崎!! 大志はそんなつもり毛頭」 

 

大志「俺たちまだそんな年齢じゃねーし!」 

 

八幡「あああああああん!?」 

 

八幡「おい大志てめぇ」グイッ 

 

大志「ひぇえ!? す、すすすいません師匠!」 

 

八幡「誰が師匠だこのやろうお前なんか 

 

沙希「あんた、何回大志に手あげるつもり?」ガシッ 

 

八幡「離せ川崎! いくらお前だろうとここは退けねぇ!」 

 

沙希「なに? そんじゃ、あんたがあたしと結婚するの?」 

 

八幡「なっ……!? そ、それは…… 

 

 

八幡「くっ、小町! 小町はどうなんだ!」 

 

小町「…… 

 

八幡「お、おい? 小町?」 

 

小町「け、けけけっこんだなんて、そそそんなあわわわわわ………」ぷしゅー 

 

八幡「」 

 

沙希「あらら」 

 

ーーーーーーーーーーー 

ーー 

 

 

その後 

 

 

八幡「じゃ、そろそろおいとまするわ」 

 

沙希「そうだね」 

 

 

 

沙希「忘れ物ない?」 

 

八幡「一応確認した。まあもしなんかあったら連絡くれ」 

 

沙希「りょーかい」 

 

大志「えと、お兄さん、今日はいろいろとありがとうっす。あと、なんかすいません 

 

八幡「姉貴の手料理に免じて今日のところは許してやる。だが次は覚悟しとけよ」 

 

大志「はい 

 

小町「も、もーお兄ちゃん。そこまで言わなくてもいいじゃん」 

 

八幡「…… 

 

八幡「ばか、覚悟ってのはあれだよ。遊びじゃなくて、真剣に向き合う覚悟とかそういうやつだよ」 

 

大志「えっ?」 

 

八幡「いいか。もし小町を手にしたいんだったらな、小町のために死ねるくらいの覚悟で来い」 

 

大志「えっ? えっ?」 

 

八幡「ちなみに俺は死ねる。早い話が、俺以上に小町のことを想ってることを伝わらせてみせろ。そしたらもう俺は何も言わねぇよ」 

 

大志「っ!」 

 

小町「ちょ、お兄ちゃん?」 

 

沙希(へぇ…… 

 

大志「わかりました。絶対お兄さんに伝わらせてみせるっす!」 

 

小町「ーーっ!?」 

 

八幡「いい返事だ」 

 

小町(そ、そんなのもう、告白してるのとおんなじだよ~~!!) 

 

 

八幡「よし、帰るぞ小町」 

 

小町「あうん」 

 

小町「じゃあ、また明日ね、大志君」 

 

大志「!」 

 

大志「小町ちゃんまた明日!」 

 

沙希(大志のやつ、妹ちゃんのこといつの間にか名前で呼んでるし。やるじゃん) 

 

八幡「世話になったな。急に押しかけて悪かった」 

 

沙希「構わないよ。友人の来客なんてまずないからね、あたしも楽しかった」 

 

八幡「お、おう。そうか」 

 

八幡(川崎って実はすげぇいいやつなんだなナチュラルに友人とか言いやがって。目頭が熱くなるだろうが) 

 

沙希(うん、楽しかった……かな。たまたまとはいえ、良い思いできたよ) 

 

 

八幡「大志も、じゃあな」 

 

大志「あ、はい! あの俺がんばるっすから!」 

 

八幡「ああ。お前とは二度と会わないよう気をつけるぜ」 

 

ガチャッ 

 

 

大志「…… 

 

大志「えぇっ!? ちょっ、それズルくないっすか!?」 

 

八幡「うるせー! 姑息な手段こそ最強なんだよ! 覚えとけ! あばよ!」 

 

大志「そんなぁ! おに」 

 

 

バタンッ! 

 

 

沙希「あんたも大変だね。いろんな意味で」 

 

大志「うぅ、でも負けねーし」 

 

沙希(比企谷。あんたと出会ってからあたしとその周りはどんどん変化してる) 

 

沙希(今日は偶然に助けられて、少しあんたとの距離が縮まった気がするよ) 

 

沙希(…… ま、それも今日限りなんだろうけどね) 

 

 

ガチャッ 

 

 

八幡「忘れてた」 

 

沙希「うわっ」 

 

沙希「びっくりしたなに、やっぱ忘れものあったの?」 

 

八幡「ものっつーか、言い忘れ」 

 

沙希「なに?」 

 

八幡「あーメシだけど、まじでうまかったから」 

 

沙希「ん? ああ、そりゃどーも」 

 

沙希「あんたわざわざそれを言いにきたの?」 

 

八幡「いや、えーっと……それもまあそうなんだけどよ」 

 

沙希「?」 

 

八幡「うまかったから、その」 

 

八幡「機会があればまたごちそうになりてぇなと思って」 

 

沙希「えっ?」 

 

八幡「厚かましくて悪いけど、なんつーか胃袋つかまれちまったんだわ。ダメか?」 

 

沙希「…… 

 

沙希「ま、気が向いたらね」 

 

八幡「そうか。よろしく頼む」 

 

沙希「はいはい」 

 

八幡「じゃあな」 

 

 

バタン 

 

沙希(またごちそうに、か) 

 

沙希「…… 

 

沙希(けっこう占いってのも馬鹿にならないもんだね) 

 

 

キコ 

 

 

八幡(占いねぇ。よくもまあ信じるやつがいたもんだ) 

 

八幡(なんて、俺も人のこと言えないか) 

 

小町「……」ボー 

 

八幡(小町のやつさっきから一言も喋んねぇな。やっぱあれか、大志絡み……だよな) 

 

 

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八幡(なんて日だ……はぁ 

 

 

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続く

 

八幡「お前ら、よく占いなんざ信じるよな」3/3【俺ガイルss/アニメss】 - アニメssリーディングパーク

 

 

 

八幡「毎日毎日よくもまあ占いなんざ信じるよなお前ら」

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